説明

ピリドピリミジノン化合物、その製造法、およびそれを含む医薬

式(I)〔式中、R、R、R、Rは明細書に定義した通りである〕で示される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基との付加塩。上記化合物はキナーゼ修飾特性を有し、癌、糖尿病、肥満などの処置に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ピリドピリミジノン化合物、その製造方法、およびそれを含む医薬組成物に関する。
【0002】
本発明の化合物は、新規であり、一団のキナーゼに関して価値ある調節特性を有しており、それにより数多くの種類の疾患の処置に有用であり、中でも、限定する意味はないが、癌、関節症、糖尿病、肥満、高血圧などを挙げてもよい。その上、それらは完全に無毒である。さらに、我々の知見の限りでは、この化合物ファミリーは完全に新規であり、それらにおいて発見した活性は、構造的に近い化合物においても言及されていない。
【0003】
より具体的には、本発明は、式(I)
【化5】


(式中、
およびRは、同じかまたは異なっており、水素原子またはアルキル基を示すか、あるいは、それらを有する窒素原子と一緒にヘテロ環を形成し、
は、ハロゲン原子、アルコキシ基、場合により置換されたアリール基、またはNR′R′基を示し、ここでR′およびR′は、同じかまたは異なり、水素原子またはアルキル基を示すか、あるいは、それらを有する窒素原子と一緒にヘテロ環を形成し、
は、水素原子またはNR″R″基を示し、ここでR″およびR″は、同じかまたは異なり、水素原子またはアルキル基を示すか、あるいは、それらを有する窒素原子と一緒にヘテロ環を形成し、
「アルキル」なる用語は、1〜8個の炭素原子を含む直鎖または分岐炭化水素鎖を示し、
「アルコキシ」なる用語は、アルキル−オキシ基を示し、ここでアルキル鎖は直鎖または分岐であり、1〜8個の炭素原子を含み、
「アリール」なる用語は、フェニルまたはナフチル基を示し、
「ヘテロ環」なる用語は、5〜11個の炭素原子を含み、R、R′R′、またはR″R″が結合している窒素原子の他に、酸素、硫黄、および窒素から選択された1または2個のさらなるヘテロ原子を含んでもよい、単環または二環系を示し、ヘテロ環系は、1、2、または3個のアルキル基により置換されることが可能であり、
アリール基に関連した「置換」なる用語は、フェニルまたはナフチル基が、ハロゲン原子ならびにアルキル、アルコキシ、ポリハロアルキル、およびヒドロキシ基から選択された1、2、または3個の同一または異なる基により置換されていることを示し、「ポリハロアルキル」は、1〜3個の炭素原子および1〜7個のハロゲン原子を含む直鎖または分岐炭素鎖であると理解される)
で示される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩に関する。
【0004】
薬学的に許容されうる酸には、限定する意味はないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ショウノウ酸などを挙げてもよい。
【0005】
薬学的に許容されうる塩基には、限定する意味はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミンなどを挙げてもよい。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、式(I′)
【化6】


で示される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩に関する。
【0007】
本発明の別の有利な実施形態は、NRがNH基、ジ−n−プロピルアミン基またはモルホリン基を示す化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩に関する。
【0008】
本発明の好ましい化合物は、Rが3,4−ジメトキシフェニル、3,5−ジメチルモルホリン、チオモルホリン、アゼピン、ペルヒドロキノリン、もしくはピロリジン基、または塩素原子を示す化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩である。
【0009】
本発明の別の有利な実施形態は、Rが水素原子またはモルホリンもしくはアゼピン基を示す化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩に関する。
【0010】
本発明の好ましい化合物の中には、
2−(ジプロピルアミノ)−8−(4−チオモルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−(1−アゾカニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−((4aα,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−((4aβ,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
6,8−ジ(1−アゼパニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−(1−アゼパニル)−2−(ジプロピルアミノ)−6−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−(1−アゼパニル)−2,6−ジ(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−アミノ−8−[(3α,5β)−3,5−ジメチルモルホリニル]ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−アミノ−8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−[(3α,5β)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−アミノ−8−(1−アゼパニル)−6−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−クロロ−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−(ジプロピルアミノ)−8−(1−ピロリジニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
および8−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
その互変異性体、および薬学的に許容されうる酸とのその付加塩を挙げてもよい。
【0011】
本発明はまた、出発物質として、式(II)
【化7】


(式中、
およびRは、式(I)で定義した通りである)
で示される化合物を使用し、これを式(III)
S=C=N−C(O)OR20 (III)
(式中、
20は、アルキルまたはアリール−アルキル基を示す)
で示される化合物と縮合させて、式(IV)
【化8】


(式中、
、R、およびR20は、前記に定義した通りである)
で示される化合物を生成し、この式(IV)の化合物を、金属塩の存在下でアミン(V)
HNR (V)
(式中、
およびRは、式(I)で定義した通りである)
と縮合させて、式(I)の化合物を生成し、
これを、適宜、慣用の精製法に従って精製してもよく、
これを、適用可能であれば、慣用の分離技術に従ってその立体異性体に分離し、
これを、所望であれば、薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩に変換し、
前記した工程の経過中の適切であると考えられるあらゆる時点において、出発試薬(II)のアミノまたはアルキルアミノ基を保護してから、縮合後に合成の必要に応じて脱保護してもよく、
試薬(II)は文献に記載されているかまたは文献に記載の既知の手順に従って調製すると理解されることを特徴とする、式(I)の化合物の製造方法にも関する。
【0012】
本発明の化合物は、キナーゼ群に関連して研究され、それに関してそれらは優れた活性を示す。この活性は、一般に、特定の種類のキナーゼに特異的であり、この種類は、式(I)の化合物の構造の機能に比例して変化する。
【0013】
本発明の化合物が活性を示すキナーゼの種類に応じて、種々の種類の癌、代謝疾患、より特定すると、高血糖、異脂肪血症、例えば高コレステロール血症および高脂血症の治療または予防、ならびに非インスリン依存性II型糖尿病、肥満、および糖尿病の合併症、特に心臓血管領域における糖尿病の合併症の処置、または関節症などの炎症疾患、最後に動脈性高血圧などの糖尿病に関連していない心臓血管疾患において優れた活性を示すと予想され得る。さらに、本発明の化合物が完全に無毒であるという事実により、治療使用に紛れもなく価値がある。
【0014】
本発明はまた、活性成分として少なくとも1つの式(I)の化合物を、単独でまたは1つ以上の不活性で無毒性の賦形剤もしくは担体と組み合わせて含む、医薬組成物にも関する。
【0015】
本発明に記載の医薬組成物として、より特定すると、経口、非経口、および鼻腔投与に適したもの、錠剤または糖衣錠、舌下錠、ゼラチンカプセル剤、ロゼンジ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、および皮膚ゲル剤などを挙げてもよい。
【0016】
有用な用量は、患者の年齢および体重、疾患の性質および重症度、ならびに投与経路(これは経口、鼻腔、直腸、または非経口であってもよい)に応じて変化する。一般に、単位用量は、1から3回の投与の処置において、24時間あたり0.01〜500mgの範囲である。
【0017】
以下の実施例は、本発明を説明し、いずれにしても制限するものではない。記載した化合物の構造は、慣用の分光学的および分光測定的技術により確認されている。
【0018】
使用した出発物質は、既知の生成物であるか、または既知の手順に従って調製する。
【0019】
(4aα,8aα)化合物は、関連する環接合部がシス立体配置である化合物を意味すると理解される。
【0020】
(3α,5α)化合物は、関連する環接合部がシス立体配置である化合物を意味すると理解される。
【0021】
(4aβ,8aα)化合物は、関連する環接合部がトランス立体配置である化合物を意味すると理解される。
【0022】
(3α,5β)化合物は、関連する環接合部がトランス立体配置である化合物を意味すると理解される。
【0023】
実施例1:
8−(1−アゾカニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
100mlのDMF中の、0.02mol(4.10g)の3−アミノ−2−アゾカノピリジンと0.02molのエトキシカルボニルイソチオシアネートの混合物を、周囲温度で、3時間攪拌し、これにより式(IV)のチオ尿素が得られ、これは単離する必要がなかった。溶液を0℃まで冷却し、2.5当量のジ−n−プロピルアミンで飽和させ、0.02molの塩化水銀を加え、15分後の終了時に、氷浴を外し、混合物を周囲温度で3時間攪拌した(水銀スルフィドの形成により引き起こされる黒い沈降物の出現は依然として見られる)。150mlの酢酸エチルを添加した後、溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧下で蒸発除去する。これにより得られた粗N−エトキシカルボニルグアニジンを再度50mlのDMFに溶かし、2時間加熱還流した。熱溶液をろ過して、水銀塩の最後の残留物を除去した後、DMFを減圧下で蒸発除去した。これにより得られた固体を最小量のアセトニトリルにとり、吸引下でフリット上でろ別し、その後、アセトニトリルから再結晶した。
融点:172℃
【0024】
実施例2:
8−(4−チオモルホリニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを3−アミノ−2−(4−チオモルホリニル)ピリジンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:226℃
【0025】
実施例3:
8−((4aα,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを2−((4aα,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−3−ピリジンアミンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:215℃
【0026】
実施例4
8−((4aβ,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを2−((4aβ,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−3−ピリジンアミンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:225℃
【0027】
実施例5
6,8−ジ(1−アゼパニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを3−アミノ−2,6−ジアゼパノピリジンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:220℃
【0028】
実施例6:
8−(1−アゼパニル)−2−(ジプロピルアミノ)−6−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを3−アミノ−2−アゼパノ−6−(4−モルホリニル)ピリジンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:250℃
【0029】
実施例7:
8−(1−アゼパニル)−2,6−ジ(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例6のように進行するが、ジ−n−プロピルアミンをモルホリンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:240℃
【0030】
実施例8
2−アミノ−8−[(3α,5β)−3,5−ジメチルモルホリニル]ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
ステップA:N−エトキシカルボニル−N′−2−(3,5−ジメチルモルホリン−4−イル)ピリジル−チオ尿素
100mlDMF中の、0.02molのシス−/トランス−3−アミノ−2−[4−(3,5−ジメチル)モルホリニル]ピリジン(3.80g)と2.62g(0.02mol)のエトキシカルボニルイソチオシアネートの混合物を、周囲温度で3時間攪拌した。得られた混合物を200mlの水に注いだ。形成した沈降物を吸引ろ別し、石油エーテルで洗浄した。シスおよびトランス異性体をカラムクロマトグラフィー(溶出液:エーテル/シクロヘキサン55/45)により分離した。
【0031】
ステップB:2−アミノ−8−[(3α,5β)−3,5−ジメチルモルホリニル]ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
ステップAで得られた0.002molのシスチオ尿素を、100mlのDMFに溶かし、これにより形成された溶液を0℃まで冷却し、その後、ガス性アンモニアで飽和させた。0.002mol(0.50g)の塩化水銀を加えた。15分後の終了時に、氷浴を外し、混合物を周囲温度で3時間攪拌した。150mlの酢酸エチルを再び加えた後、溶液をセライトろ過し、溶媒を減圧下で蒸発除去した。これにより得られた沈降物を再び50mlのDMFに溶かし、2時間加熱還流した。熱いうちにろ過した後、DMFを減圧下で蒸発除去した。これにより得られた固体を最小量のアセトニトリルにとり、吸引下でフリット上でろ別し、アセトニトリルから再結晶した。
融点:260℃を超える
【0032】
実施例9:
2−アミノ−8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例8のステップAで得られたトランス−N−エトキシカルボニル−N′−2−[3−(3,5−ジメチル)モルホリン−4−イル]−ピリジル−チオ尿素を使用し、実施例8ステップBのように進行することにより、表題化合物を得た。
【0033】
実施例10:
8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例8ステップBのように進行するが、ガス性アンモニアを0.002molのジ−n−プロピルアミンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:195℃
【0034】
実施例11:8−[(3α,5β)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例9のように進行するが、ガス性アンモニアを0.002molのジ−n−プロピルアミンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:173℃
【0035】
実施例12:
8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例8ステップBのように進行するが、ガス性アンモニアを0.002molのモルホリンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:275℃
【0036】
実施例13:2−アミノ−8−(1−アゼパニル)−6−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例6のように進行するが、ジ−n−プロピルアミンをガス性アンモニアに置き換えることにより、表題化合物を得た。
260℃で昇華
【0037】
実施例14:
8−クロロ−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを3−アミノ−2−クロロピリジンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:180℃
【0038】
実施例15:
2−(ジプロピルアミノ)−8−(1−ピロリジニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを3−アミノ−2−(1−ピロリジニル)ピリジンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:220℃
【0039】
実施例16
8−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン
実施例1のように進行するが、3−アミノ−2−アゾカノピリジンを3−アミノ−2−(3,4−ジメトキシフェニル)ピリジンに置き換えることにより、表題化合物を得た。
融点:202℃
【0040】
薬理試験
実施例A:一団のキナーゼのスクリーニング
商業的に入手可能なキナーゼを使用した慣用のスクリーニング法を使用して、本発明の生成物は以下の価値ある特性を示した:
本発明の多くの生成物の、特定のキナーゼに関して活性化する特性;
本発明の多くの生成物の、他のキナーゼに関して阻害する特性;
他の生成物の、キナーゼ活性化剤または阻害剤に関して増強する特性。
【0041】
実施例B:脂肪降下活性
本発明の生成物を、肥満に関連したインスリン耐性モデルとして使用した肥満ob/obマウスにおいてインビボで試験した。例えば、実施例6の化合物は、125mg/kgの経口でトリグリセリドを有意に減少させ、一方、メトホルミンでは、同じ減少は250mg/kgの経口で得られた。このモデルにおいて、従って、本発明の化合物は、強力な脂肪降下剤であることが示された。
【0042】
実施例C:急性毒性試験
各々8匹のマウス(26±6g)を含むグループに試験化合物を漸増用量で経口投与した後に、急性毒性を評価した。動物を、最初の日は一定間隔で、処置後2週間は毎日観察した。本発明の化合物は完全に無毒性のようである。
【0043】
実施例D:医薬組成物
各々5mgの活性成分を含む1000個の錠剤の調製処方
実施例8の化合物 5g
ヒドロキシプロピルセルロース 2g
小麦デンプン 10g
ラクトース 100g
ステアリン酸マグネシウム 3g
タルク 3g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


(式中、
およびRは、同じかまたは異なっており、水素原子またはアルキル基を示すか、あるいは、それらを有する窒素原子と一緒にヘテロ環を形成し、
は、ハロゲン原子、アルコキシ基、場合により置換されたアリール基、またはNR′R′基を示し、ここでR′およびR′は、同じかまたは異なり、水素原子またはアルキル基を示すか、あるいは、それらを有する窒素原子と一緒にヘテロ環を形成し、
は、水素原子またはNR″R″基を示し、ここでR″およびR″は、同じかまたは異なり、水素原子またはアルキル基を示すか、あるいは、それらを有する窒素原子と一緒にヘテロ環を形成し、
「アルキル」なる用語は、1〜8個の炭素原子を含む直鎖または分岐炭化水素鎖を示し、
「アルコキシ」なる用語は、アルキル−オキシ基を示し、ここでアルキル鎖は直鎖または分岐であり、1〜8個の炭素原子を含み、
「アリール」なる用語は、フェニルまたはナフチル基を示し、
「ヘテロ環」なる用語は、5〜11個の炭素原子を含み、R、R′R′、またはR″R″が結合している窒素原子の他に、酸素、硫黄、および窒素から選択された1または2個のさらなるヘテロ原子を含んでもよい、単環または二環系を示し、ヘテロ環系は、1、2、または3個のアルキル基により置換されることが可能であり、
アリール基に関連した「置換」なる用語は、フェニルまたはナフチル基が、ハロゲン原子ならびにアルキル、アルコキシ、ポリハロアルキル、およびヒドロキシ基から選択された1、2、または3個の同一または異なる基により置換されていることを示し、「ポリハロアルキル」は、1〜3個の炭素原子および1〜7個のハロゲン原子を含む直鎖または分岐炭素鎖であると理解される)
で示される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I′)
【化2】


で示される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項3】
NRがNH基、ジ−n−プロピルアミン基、またはモルホリン基も示す請求項1に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項4】
NRがNH基、ジ−n−プロピルアミン基、またはモルホリン基を示す請求項2に記載の式(I′)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項5】
が3,4−ジメトキシフェニル、3,5−ジメチルモルホリン、チオモルホリン、アゼピン、ペルヒドロキノリン、もしくはピロリジン基、または塩素原子を示す請求項1または請求項3に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項6】
が3,4−ジメトキシフェニル、3,5−ジメチルモルホリン、チオモルホリン、アゼピン、ペルヒドロキノリン、もしくはピロリジン基、または塩素原子を示す請求項2または請求項4に記載の式(I′)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項7】
が水素原子またはモルホリンもしくはアゼピン基を示す請求項1、3、および5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸とのその付加塩。
【請求項8】
が水素原子またはモルホリンもしくはアゼピン基を示す請求項2、4、および6のいずれか一項に記載の式(I′)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、互変異性体、および薬学的に許容されうる酸とのその付加塩。
【請求項9】
2−(ジプロピルアミノ)−8−(4−チオモルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−(1−アゾカニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−((4aα,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−((4aβ,8aα)−オクタヒドロ−1(2H)−キノリル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
6,8−ジ(1−アゼパニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−(1−アゼパニル)−2−(ジプロピルアミノ)−6−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−(1−アゼパニル)−2,6−ジ(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−アミノ−8−[(3α,5β)−3,5−ジメチルモルホリニル]ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−アミノ−8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−[(3α,5β)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−[(3α,5α)−3,5−ジメチルモルホリニル]−2−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−アミノ−8−(1−アゼパニル)−6−(4−モルホリニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
8−クロロ−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
2−(ジプロピルアミノ)−8−(1−ピロリジニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オン、
および8−(3,4−ジメトキシフェニル)−2−(ジプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−4(3H)−オンから選択された請求項1に記載の化合物、その互変異性体、および薬学的に許容されうる酸とのその付加塩。
【請求項10】
出発物質として、式(II)
【化3】


(式中、
およびRは、式(I)で定義した通りである)
で示される化合物を使用し、これを式(III)
S=C=N−C(O)OR20 (III)
(式中、
20は、アルキルまたはアリール−アルキル基を示す)
で示される化合物と縮合させて、式(IV)
【化4】


(式中、
、R、およびR20は、前記に定義した通りである)
で示される化合物を生成し、この式(IV)の化合物を、金属塩の存在下でアミン(V)
HNR (V)
(式中、
およびRは、式(I)で定義した通りである)
と縮合させて、式(I)の化合物を生成し、
これを、適宜、慣用の精製法に従って精製してもよく、
これを、適用可能であれば、慣用の分離技術に従ってその立体異性体に分離し、
これを、所望であれば、薬学的に許容されうる酸または塩基とのその付加塩に変換することを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項11】
活性成分として請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を、単独でまたは1つ以上の薬学的に許容されうる不活性で無毒性の賦形剤もしくは担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項12】
癌、非インスリン依存性II型糖尿病、肥満、高脂血症、高コレステロール血症、およびその心臓血管合併症、関節症、動脈性高血圧を治療または予防する医薬の製造に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの活性成分を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
非インスリン依存性II型糖尿病およびその心臓血管合併症を治療または予防する医薬の製造に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの活性成分を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
癌を治療または予防する医薬の製造に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの活性成分を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
関節症を処置する医薬の製造に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの活性成分を含む、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項16】
動脈性高血圧を処置する医薬の製造に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの活性成分を含む、請求項11に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2006−512317(P2006−512317A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550726(P2004−550726)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003274
【国際公開番号】WO2004/043956
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(500287019)レ ラボラトワール セルヴィエ (166)
【Fターム(参考)】