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ピロロキノリンキノンジナトリウム結晶
説明

ピロロキノリンキノンジナトリウム結晶

【課題】高純度で安定なPQQ(ピロロキノリンキノン)ナトリウム塩の結晶及びその簡便な製造方法を提供すること。
【解決手段】PQQのトリナトリウム塩を水に懸濁させた後、この懸濁液に水溶性有機溶媒を加えPQQのトリナトリウム塩の溶解度を下げ、pHを2〜5の範囲に調整することにより製造した、結晶格子内に3分子以下の水を含むピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶および、該結晶が壊れたものを湿度20から100%の環境に15分以上置くことで結晶を再生する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロロキノリンキノンのナトリウム塩の新規結晶およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
式(1)で示される酸化型ピロロキノリンキノンは、一般的にPQQと呼ばれ、新しいビタミンの可能性があることが提案されて注目を集めている。
【化1】


PQQは細菌に限らず、真核生物のカビ、酵母に存在し、補酵素として重要な働きを行っている。また、PQQについて近年までに細胞の増殖促進作用、抗白内障作用、肝臓疾患予防治療作用、創傷治癒作用、抗アレルギー作用、逆転写酵素阻害作用およびグリオキサラーゼI阻害作用−制癌作用、神経線維再生作用など多くの生理活性が明らかにされている。
【0003】
PQQは、有機化学的合成法および発酵法などにより製造することが可能である。しかし、これらの方法で得られるPQQは水や不純物の含量が多く、安定で純度の高いPQQの結晶を得る技術が求められていた。これまでに、PQQのジナトリウム塩を燐酸バッファー中で蒸発濃縮することで、X線結晶構造解析において単結晶を示すPQQのナトリウム塩結晶が得られていた(非特許文献1)。しかし、この方法は大量製造には向いていなく、工業的、経済的に有利な方法でない。
また、塩析での方法は大量使用するNaClのような塩が析出した固体中に混入するために、存在する塩を取り除く操作が必要で、その塩のために安定な品質を保証するための分析が困難になる欠点があった。また、結晶格子中に含まれる水分子が多く、品質低下の原因、カビ等の微生物の生育に適している欠点があった。
【0004】
このような欠点がないPQQの結晶を得る方法として、水溶性有機溶媒を添加することで再結晶をする方法が報告されている(特許文献1)。しかし、この文献には結晶形の情報はなく、さらに、固体を析出させるために冷却設備を必要とし、処理費用が高くなる欠点があった。また、結晶を構造破壊することなく、取り扱うのは難しく、壊れた際には元に戻らないのがふつうである。
従って、安定な結晶、その再生方法も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−113024号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】JACS, 第111巻, 第6822〜6828頁(1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、高純度で安定なPQQナトリウム塩の結晶及びその簡便な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったその結果、以下の様にPQQナトリウム塩の結晶化の条件を工夫することにより、上記課題を解決しうるPQQのナトリウム塩の新規な結晶を高純度で得ることに成功し、本発明を完成させた。
〔1〕式(1)で表されるピロロキノリンキノンのジナトリウム塩結晶であって、
【化2】


ピロロキノリンキノンジナトリウム塩1分子に対し3分子以下の水を含むことを特徴とするピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶。
〔2〕(a)〜(d)の1つ以上を満たす〔1〕記載のピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶。
(a)図1および2に示した結晶構造を有する。
(b)本明細書中の図3における座標により定義された結晶構造を有する。
(c)a=7.60、b=10.09、c=11.43Å、α=72.85、β=88.01°、γ=82.62°での結晶格子定数を有する。
(d)P-1(#2)といったような晶系空間群に属する結晶構造を有する。
〔3〕〔1〕又は〔2〕に記載の結晶又は該結晶が壊れたものを湿度20から100%の環境に15分以上置くことで結晶を再生する方法。
〔4〕〔1〕又は〔2〕記載のピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶を含む機能性食品。
〔5〕〔1〕又は〔2〕記載のピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶を含む医薬。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、高純度で安定なPQQナトリウム塩の結晶の提供及びその簡便な製造方法を提供可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1で得られた結晶構造。
【図2】実施例1で得られた結晶構造。
【図3】原子の配置。
【図4】粉末X線回折。
【図5】DSC-XRD測定結果。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の結晶1は式(1)に示す酸化型ピロロキノリンキノン(PQQ)のジナトリウム3水和物の結晶である。
【化3】


本発明の結晶は図1および2に示した結晶構造を有し;および/または
本明細書中の表1における座標により定義された結晶構造を有し;および/または
a=7.60、b=10.09、c=11.43Å、α=72.85、β=88.01°、γ=82.62°での結晶格子定数を有し;および/または
P-1(#2)といったような晶系空間群に属する結晶構造を有する。
この物質は単結晶X線回折で同定されるが、モノクロメータが装着された一般的な粉末X線回折装置でその存在を確認することは可能である。
【0012】
この結晶に含まれる水は3分子であるが、1分子減少しても結晶構造を維持することができる。1分子減少した結晶2は、一般的な粉末X線回折装置で確認することができ、その結果は9.1°、10.3°、13.8°、17.7°、18.3°、24.0°(±0.2°)にピークがある。
従来のエタノール再結晶法で得られたPQQジナトリウム塩の場合、粉末X線回折装置での測定で多くの回折ピークは現れず、結晶性が低い固体であると考えられた。
本発明の結晶は結晶学的には非特許文献1で報告されたPQQジナトリウム塩と異なり、キノンの酸素、カルボン酸の酸素がナトリウムとイオン結合する距離に存在する。また、芳香環の面間隔も小さく、高密度である。さらに本発明の結晶の特徴としては高湿度状態であれば水和水は3分子になり、結晶格子から水が抜けていても、元に戻り安定な品質を保持できる利点を有している。
【0013】
本発明のPQQジナトリウム塩結晶の製造方法としては、例えば、原料のPQQのトリナトリウム塩を水に懸濁させる。この際、水1L当たり10〜80gのPQQのトリナトリウム塩を加えることが好ましい。次に、この懸濁液に水溶性有機溶媒を10〜90(v/v)%、好ましくは20〜80(v/v)%の濃度になるように加えPQQのトリナトリウム塩の溶解度を下げる。そして、pHを2〜5の範囲に調整して結晶化させる方法が挙げられる。
【0014】
または、水溶性有機溶媒にPQQトリナトリウム塩を懸濁(一部溶解してもよい)させた後、水溶性有機溶媒濃度が10〜90(v/v)%、好ましくは20〜80(v/v)%の濃度になるように水を加えた後、pHを2〜5の範囲となるように調整して結晶化させてもよい。この際、加えた水溶性有機溶媒と水の合計量の1L当たり0.5〜800gのPQQのトリナトリウム塩を加えることが好ましい。
【0015】
あるいは、水溶性有機溶媒を10〜90(v/v)%、好ましくは20〜80(v/v)%含む水性媒体にPQQのトリナトリウム塩を懸濁(一部溶解してもよい)させた後、pHを2〜5の範囲に調整して結晶化させてもよい。この際、水性媒体1L当たり0.5〜800gのPQQのトリナトリウム塩を加えることが好ましい。
【0016】
原料に用いるPQQのトリナトリウム塩は、有機化学的合成法(例えば、JACS、第103巻、5599〜5600頁(1981))又は発酵法(例えば、特開平1−218597号公報や特許第2692167号公報)等により製造することが可能である。原料に用いるPQQのトリナトリウム塩は結晶でもよいし、非晶質でもよい。また、不純物を含んでいてもよい。
【0017】
使用可能な水溶性有機溶媒の具体的な例をあげると、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メトキシエタノール、ジエチレングリコール、メトキシジエチレングリコール、グリセリン、メトキシプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、乳酸エチル、ヒドロキシイソブチル酸メチル等がある。このうちアルコールがより好ましく、エタノールが特に好ましい。
水溶性有機溶媒は貧溶媒としてPQQトリナトリウム塩の溶解度を下げるために使用するが、その濃度は初期のPQQトリナトリウム塩の量にあわせて上記範囲内で適宜設定すればよい。
【0018】
一般的な結晶の製造方法においては、固体を溶媒に溶解後、貧溶媒を加えて結晶を析出させるが、本発明では固体が存在する懸濁状態でも結晶化を行うことができる。懸濁状態で操作を行うことが出来ることで、使用する装置の容積の低減ができ、さらに排出する排水が低減できるために好ましい。
【0019】
PQQのトリナトリウム塩の水溶液及び/又は懸濁液に、水溶性有機溶媒を加える際の両液体の温度は、液の凍結が発生しない限り特に制限はないが、高温にすればエネルギー効率が落ちることから、−30℃〜80℃が好ましい。
水溶性有機溶媒を添加した後、酸を添加してpHを2〜5にする際の溶液もしくは懸濁液の温度は、液の凍結が発生しない限り特に制限はないが、高温にすればエネルギー効率が落ち、また低温にすれば結晶化の速度が落ちることから、5℃〜80℃が好ましい。
【0020】
pH調整の方法としては、酸やバッファーの添加等が挙げられる。酸を添加する場合は用いる酸の種類は特に制限されないが、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、過塩素酸、硝酸、硫酸などの無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、トリクロロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸などが挙げられ、その中でも塩酸が好ましい。
【0021】
pHの調整中又は調整後、必要に応じて攪拌すればよい。また、静置しても良い。攪拌時間は、例えば、5分〜7日とすることができる。静置時間は、例えば、5分〜15日とすることができる。
pHが安定し、pH2〜5の間の値で一定になった状態で、濾過、または遠心分離等により析出した結晶を分離して、結晶を得ることができる。
【0022】
結晶1は3含水物であるが、含水量が異なっていても本発明の結晶構造を有する限り、問題がない。乾燥条件によっては含水量が変化する。水和量が減ることで結晶構造が壊れることがあるが、本発明の結晶は壊れたのち水と接触することで元の結晶構造に戻すことができる。水との接触は水溶性有機溶媒を含む結晶が溶けにくい水を含む溶液に漬けるか、湿度の高い環境に15分以上置くことで可能である。湿度の高い環境に接触することが結晶の操作としては容易で好ましい。ここで高い湿度は20%以上を示しており、より好ましくは70−100%の湿度で接触させるのが好ましい。
【0023】
本発明で得られるPQQジナトリウム結晶は、ヒト用または動物用として、食品、機能性食品、医薬品または医薬部外品として使用することができる。
具体的な形態としては、粉末、皮膚外用剤、注射剤、経口剤、坐剤、カプセル剤、タブレット、チュアブル、錠剤、ドリンク剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
調製の際に使用される添加剤としては、液剤としては水、果糖、ブドウ糖等の糖類、落下生油、大豆油、オリーブ油等の油類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類を用いることができる。錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの固形剤の賦型剤としては乳糖、ショ糖、マンニット等の糖類、滑沢剤としてはカオリン、タルク、ステアリン酸マグネシウム等、崩壊剤としてデンプン、アルギン酸ナトリウム、結合剤としてポリビニルアルコール、セルロース、ゼラチン等、界面活性剤としては脂肪酸エステル等、可塑剤としてグリセリン等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。必要に応じて溶解促進剤、充填剤等を加えてもよい。
【0025】
機能性食品とは、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、栄養保健食品等、健康の維持あるいは食事にかわり栄養補給の目的で摂取する食品を意味する。機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防菌防黴剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等を用いることができる。一般的には通常の食品、例えば味噌、醤油、インスタントみそ汁、ラーメン、焼きそば、カレー、コーンスープ、マーボードーフ、マーボーなす、パスタソース、プリン、ケーキ、パン等に加えることも可能である。
【0026】
本発明のPQQジナトリウム結晶は、単独でも、他の素材と組み合わせても使用できる。組み合わせ可能な素材としては、ビタミンB群、ビタミンCおよびビタミンE等のビタミン類、アミノ酸類、アスタキサンチン、α-カロテン、β-カロテン等のカロテノイド類、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等のω3脂肪酸類、アラキドン酸等のω6脂肪酸類などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
実施例では以下の条件で行った。
粉末X線回折:株式会社マックサイエンス製M18XCE装置又は株式会社RIGAKU製RINT2500
X線:Cu/管電圧40kV/管電流100mA
スキャンスピード:4.000°/min
サンプリング幅:0.020°
水分量測定はカールフィッシャー法で測定した。
【0029】
参考例1 原料のPQQトリナトリウム塩の調製
特許第2692167号公報の実施例1に基づき、ハイホミクロビウム DSM1869を培養して得られた培養液を遠心分離して、菌体を除去し、PQQを含有する培養上澄液を得た。当該菌株はDSM(Deutsche Sammlung von Microorganismen (German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)から入手できる。
Sephadex G−10(ファルマシア製)カラムに、この培養上澄液を通過させてPQQを吸着させ、NaCl水溶液で溶出させて得られたpH7.5のPQQ水溶液にさらにNaClを60g/L濃度になるように加えて冷却し、PQQトリナトリウム塩を得た。高速液体クロマトグラフィーのUV吸収による得られたPQQトリナトリウム塩の純度は99.0%であった。
【0030】
PQQナトリウム塩の分析は以下の分析条件で行った。
(PQQ分析)
PQQ濃度及び純度を以下に示す条件で測定した。
装置: 島津製作所、高速液体クロマトグラフィー、LC−20A
カラム:YMC−Pack ODS−TMS(5μm)、150x4.6mm I.D.
測定温度:40℃
検出:260nmにおける吸光度
溶離液:100mM CHCOOH/100mM CHCOONH(30/70,pH5.1)
溶出速度:1.5mL/min
【0031】
(Na分析)
Na濃度を以下に示す条件で測定した。
ポンプ: 島津製作所、陽イオンクロマトグラフィー LC−6A
カラムオーブン:島津製作所、HIC−6A
測定温度:40℃
検出器:東ソー株式会社、電気伝導度計CM−8000
カラム:昭和電工株式会社、Shodex、IC Y−521
溶離液:4mM HNO
溶出速度:1.0mL/min
得られるPQQとNaの各濃度から、PQQナトリウム塩に含まれるPQQとNaの物質量比を求めた。本発明のPQQジナトリウム塩は物質量比が2.0±0.2であり、PQQトリナトリウム塩は物質量比が3.0±0.2である。
【0032】
実施例1 PQQジナトリウム塩の結晶
参考例1で調製したPQQトリナトリウム塩12gをイオン交換水500gとエタノールを500mLの混合溶液に添加した。この時、懸濁状態になった。pHメーターで測定を行いながら、塩酸を滴下し、pHを3.6にした後、室温下で1時間攪拌した。50℃で保存し、10日以上置いた。この溶液中の結晶を取り出して、単結晶X線回折で測定した。
赤色の単結晶 C14H10N2Na2011で大きさ 0.100 x 0.100 x 0.100 mm ガラスファイバーに固定し、Rigaku 単結晶X線構造解析装置(VariMax with RAPID system)を使用し、 CuK・(λ=1.54187Å)40 kV 30 mA −180℃(吹付低温装置使用)Cu−K線を使用して測定した。結果を図1,2,3に示す。
この単結晶データから9.1°、10.3°、13.8°、17.7°、18.3°、24.0°(±0.2°)にピークを粉末X線回折で示すことが分かった。水分量は12.6%であった。
【0033】
実施例2 前駆体結晶
原料のPQQトリナトリウムは参考例と同様にして得られた含水固体を使用した。PQQ20gを含む含水PQQトリナトリウム塩の固体60gをイオン交換水500mlとエタノール500mlの混合液に加えた。この時、固体は溶け切っていない。ここに室温下で塩酸を加え、pHを3.5にした。塩酸の添加は約2時間かけてゆっくり滴下して行った。2日間攪拌した。濾過して含水PQQジナトリウム結晶を収率99mol%で得た。色は明赤色であった。水分量26.5%であった。
これを40℃RH75%の環境に一晩以上結晶を置き、水分量を測定した結果11.5%であった。2θのピークで9.1、10.3、13.8、17.7、18.3、24.0±0.2°あった。
水分が過剰存在しても三水和物の組成に戻り、結晶構造も維持していた。
【0034】
実施例3 水分量11.4%
実施例2で得た前駆体結晶を減圧乾燥器に入れダイヤフラム型真空ポンプでできるだけ減圧し50℃1時間乾燥した。水分量測定の結果、11.4%であった。色は明赤色であった。2θのピークで9.1、10.3、13.8、17.7、18.3、24.0±0.2°であった。粉末X線回折のデータを図4に示す。
これを40℃RH75%の環境に1晩以上結晶を置き、水分量を測定した結果11.7%であった。水和量は2.7に相当し、3水和物としての構造を維持している。湿度の高い粉末X線の結果は同じであり、構造を維持していた。
【0035】
実施例4 水分量7%
実施例2で得た前駆体結晶を減圧乾燥器に入れダイヤフラム型真空ポンプでできるだけ減圧し50℃22時間乾燥した。水分量測定の結果、7%であった。この固体の色は茶色であった。
粉末X線の結果、実施例2と異なる結晶の混合物であった。これを40℃RH75%の環境に一晩以上結晶を置き、水分量を測定した結果、10.8%で2.5水和量に変化した。このときの粉末X線回折は2θのピークで9.1、10.3、13.8、17.7、18.3、24.0±0.2°であった。このときの色は明赤色であった。
水分量7%に減少すると結晶構造が壊れるが、湿度を与えることで元の結晶に変化した。また、色も同様に元の結晶の色になった。
【0036】
実施例5 水分量0.7%
実施例2で得た前駆体結晶を減圧乾燥器に入れダイヤフラム型真空ポンプでできるだけ減圧し50℃77時間乾燥した。水分量測定の結果、0.7%であった。このときの色は黒紫色であった。粉末X線の結果、実施例2と異なる結晶であった。これを40℃RH75%の環境に一晩以上結晶を置き、水分量を測定した結果、12.7%で3水和量に変化した。このときの粉末X線回折は2θのピークで9.1、10.3、13.8、17.7、18.3、24.0±0.2°であった。このときの色は明赤色であった。
水が減少すると結晶構造が壊れたが、湿度を与えることで元の結晶に変化した。また、色も同様に元の結晶の色になった。
本発明の結晶を使用することで安定な構造をとることが可能になる。また、結晶構造の回復を容易に行うことができる。
【0037】
実施例6 DSC-XRD測定
装置 リガク製SmartLab(試料水平型多目的X線回折)示差走査熱量−X線回折同時測定装置(DSC−XRD)高速一次元検出器D/teX Ultra
条件 X線源 Cu−Kα(40kV−50mA)走査軸 2θ/θ走査速度 5deg./min測定範囲 3〜6 0deg.(2/θ)
実施例2の粉末を測定した。窒素中で180℃まで温度をあげると元の結晶はすべて消失した。温度を下げても元の構造には戻らなかった。この状態から湿度を徐々に上げ、熱分析とXRD測定を同時に行った。その結果を図5に示す。
20%湿度にすると熱の発生がみられ、2時間後にXRDは元の3水和物構造に変化した。
本発明の結晶は湿度20%でももとに戻ることが可能であった。
【0038】
比較例1 エタノール再結晶法によるPQQジナトリウム塩の固体析出
参考例1で調製したPQQトリナトリウム塩をイオン交換水にすべて溶解し、PQQ10g/Lを含む溶液を800g用意した。塩酸を加えてpHを3.5にした後、ここにエタノールを200mL添加した。この時、赤色固体が析出した。室温下で5時間攪拌した後、5℃で24時間静置し、固体を析出させた。連続遠心分離で固体を回収し、50℃で減圧乾燥を行った。
得られた固体の粉末X線回折スペクトルを測定した。得られた固体には低角側でピークが見られるほかはほとんどピークが見られず、結晶性が低かった。実施例2と同様の条件でガスクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、エタノールが、0.02%固体内に残留していることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のPQQジナトリウム塩結晶は、ヒト用又は動物用として食品、機能性食品、医薬品または医薬部外品等の分野で有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるピロロキノリンキノンのジナトリウム塩結晶であって、
【化1】


ピロロキノリンキノンジナトリウム塩1分子に対し3分子以下の水を含むことを特徴とするピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶。
【請求項2】
(a)〜(d)の1つ以上を満たす請求項1記載のピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶。
(a)図1および2に示した結晶構造を有する。
(b)本明細書中の図3における座標により定義された結晶構造を有する。
(c)a=7.60、b=10.09、c=11.43Å、α=72.85、β=88.01°、γ=82.62°での結晶格子定数を有する。
(d)P-1(#2)といったような晶系空間群に属する結晶構造を有する。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の結晶又は該結晶が壊れたものを湿度20から100%の環境に15分以上置くことで結晶を再生する方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載のピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶を含む機能性食品。
【請求項5】
請求項1又は2記載のピロロキノリンキノンジナトリウム塩結晶を含む医薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112677(P2013−112677A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263429(P2011−263429)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】