説明

ファブリペロー干渉計

【課題】広帯域な波長帯域の光であっても、効率良く光を透過させることができるファブリペロー干渉計を提供する。
【解決手段】半導体基板1の他方の面1bに、他方の面1bに垂直な方向においてアパーチャ14のうち光を透過させる部分を他方の面1bに投影したとき、当該光を透過させる部分の全域に複数の凹凸1cを設ける。これにより、半導体基板1の他方の面1bと空気との界面において屈折率をなだらかに連続的に変化させることができるので、広帯域な波長帯域の光であっても当該界面において光を効率良く透過させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折材料で形成された下側ミラーと上側ミラーとの間に空気のギャップを介してなる光学多層膜ミラーを備えたファブリペロー干渉計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガス濃度測定の装置として、光学多層膜を用いて高反射ミラーを構成したファブリペロー干渉計を用いたものが知られており、光学多層膜を用いて高反射ミラーを構成したファブリペロー干渉計が特許文献1で提案されている。
【0003】
具体的に、特許文献1では、下側ミラーと上側ミラーとを有し、これら下側ミラーと上側ミラーが例えばエアギャップを介して対向配置された構造を基板の表面に形成し、さらに、下側のミラーを基板の上にシリコン酸化膜と多結晶シリコン層を交番的に積層することにより形成すると共に、上側のミラーをシリコン層と酸化物層を交番的に積層することにより形成することで、光学多層膜を用いた高反射ミラーを備えたファブリペロー干渉計が提案されている。
【0004】
このようなファブリペロー干渉計には干渉計構造と一体的に金属層が形成されており、この金属層にアパーチャと呼ばれる、光学的活性中央領域の外側での放射線透過(光透過)を阻止する孔が設けられている。アパーチャを実現するものとしては、金属、ドーピングしたシリコン等がある。すなわち、上側および下側ミラーで多重反射した光は、このアパーチャを通過してディテクタにて検出される。
【0005】
また、基板の裏面にカットオフフィルターエレメントを形成する層が設けられているが、この層と基板との界面で光が反射することを防止するために、つまり光を効率的に透過させるために、反射防止膜と呼ばれる膜が基板の裏面に設けられている。例えば、付加する反射防止膜の屈折率をnとし、透過する波長をλとした場合、nλ≒1/4とされている。
【0006】
しかしながら、上記従来の技術では、光学多層膜を用いて高反射ミラーを構成する場合、光学多層膜は反射率の波長依存性が大きいため、ミラーの高反射な帯域が狭くなる。そして、ファブリペロー干渉計の分光帯域はミラーの高反射領域に対応しているため、高反射帯域が狭いミラーで形成するファブリペロー干渉計では分光帯域が狭くなるという問題があった。例えば、ミラーの高反射帯域の波長が3〜9μmとなる場合では、その帯域ΔWは6μm以上となり、n比は約3.3以上が必要になる。
【0007】
そこで、出願人は特願2006−319779において、半導体工程で使える材料で、尚且つ3〜9μmの波長に対して透明なGe(屈折率=4)やSi(屈折率=3.45)などの高屈折率材料と、空気(屈折率=1)や真空などの低屈折率材料とを組み合わせることにより、高n比(例えば、n比3.4以上)を得ることが可能な高反射帯域が広い光学多層膜ミラーを提案した。この光学多層膜ミラーを有するファブリペロー干渉計を図9に示す。
【0008】
図9では、例えばシリコン基板からなる半導体基板1上に下側ミラーM1が配置されると共に、該下側ミラーM1と対応する位置において、該下側ミラーM1から空気のギャップAgを介して配置された上側ミラーM2とを有してなる光学多層膜ミラーが示されている。
【0009】
図9に示すように、例えばシリコン基板からなる半導体基板1の表面全面に、シリコン酸化膜等で構成された絶縁膜2が形成されている。この絶縁膜2を介して、半導体基板1上の全面に多結晶シリコン等で構成された第1屈折率の第1高屈折率膜3が形成されている。
【0010】
第1高屈折率膜3のうち、光学積層膜ミラーとなる領域には、例えば空気層で構成された第1屈折率よりも低い第2屈折率の第1低屈折率層4が形成されている。そして、この第1低屈折率層4の上を含めて第1高屈折率膜3の表面には、例えば多結晶シリコン等で構成された第1屈折率の第2高屈折率膜5が積層されている。すなわち、第1低屈折率層4は、第1高屈折率膜3と第2高屈折率膜5の間に挟まれた構成とされている。
【0011】
第1低屈折率層4は、第2高屈折率膜5によって上面が覆われると共に側面が囲まれた構造となっている。第2高屈折率膜5のうち、第1低屈折率層4の側面を囲む部分5aは第1低屈折率層4の補強部として機能するものであり、機械的な強度が不足する第1低屈折率層4の変形を抑制する。具体的には、第1低屈折率層4は複数個に細分化されるように分割されており、分割されたそれぞれの上面形状が六角形状を為し、複数の第1低屈折率層4がハニカム(蜂の巣)状に配置されている。すなわち、第2高屈折率膜5のうち第1低屈折率層4の上面および側面を囲む部分5aと第1高屈折率膜3とにより六角錐台状の空間が形成され、この空間内が第1低屈折率層4とされている。そして、第2高屈折率膜5のうち六角錐台の側面に位置する部分5aが第1低屈折率層4の補強部となる。
【0012】
このような第1、第2高屈折率膜3、5および第1低屈折率層4により、下側ミラーM1が構成されており、第2高屈折率膜5のうち第1低屈折率層4の上面に位置する部分において光を透過させると共に、第2高屈折率膜5のうち第1低屈折率層4の側面に位置する部分5aにおいて光を透過させない(あまり透過させない)ようになっている。
【0013】
なお、第2高屈折率膜5や第1高屈折率膜3には、図示しないが不純物がドーピングされた拡散層による配線層が備えられており、下側ミラーM1用の電極(以下、下部電極という)11への電圧がこの配線層を通じて印加されることで、第2高屈折率膜5および第1高屈折率膜3の電位を調整できるようになっている。
【0014】
さらに、第2高屈折率膜5の上面には、下側ミラーM1およびその周辺を避けるように、例えばシリコン酸化膜で構成された絶縁膜6が形成されている。そして、この絶縁膜6の表面および下側ミラーM1やその周辺と対向する位置までほぼ全域に渡って、第1屈折率の第3高屈折率膜7および第4高屈折率膜9が形成されていると共に、その中央位置において第2屈折率の第2低屈折率層8が形成されている。これらのうち、絶縁膜6の表面ではない領域、すなわち下側ミラーM1やその周辺と対向する位置がメンブレンMenとなる。なお、メンブレンMenは、実際には図1に示す断面図よりも広い範囲とされ、下側ミラーM1および上側ミラーM2にて構成される光学多層膜ミラーは、メンブレンMenの一部の領域にのみ形成されているが、図9では便宜上、縮尺を変えた図としてある。
【0015】
具体的には、第3高屈折率膜7のうち、光学積層膜ミラーとなる領域には、例えば空気層で構成された第2低屈折率層8が形成されている。そして、この第2低屈折率層8の上を含めて第3高屈折率膜7の表面には、例えば多結晶シリコン等で構成された第4高屈折率膜9が積層されている。すなわち、第2低屈折率層8は、第3高屈折率膜7と第4高屈折率膜9の間に挟まれた構成とされている。
【0016】
第2低屈折率層8は、第4高屈折率膜9によって上面が覆われると共に側面が囲まれた構造となっている。第4高屈折率膜9のうち、第2低屈折率層8の側面を囲む部分9aは第2低屈折率層8の補強部として機能するものであり、機械的な強度が不足する第2低屈折率層8の変形を抑制する。具体的には、本実施形態の場合、第2低屈折率層8は複数個に細分化されるように分割されており、分割されたそれぞれの上面形状が六角形状を為し、複数の第2低屈折率層8がハニカム(蜂の巣)状に配置されている。すなわち、第4高屈折率膜9のうち第2低屈折率層8の上面および側面を囲む部分9aと第3高屈折率膜7とにより六角錐台状の空間が形成され、この空間内が第2低屈折率層8とされている。そして、第4高屈折率膜9のうち六角錐台の側面に位置する部分9aが第2低屈折率層8の補強部となる。
【0017】
このような第3、第4高屈折率膜7、9および第2低屈折率層8により、上側ミラーM2が構成されており、第4高屈折率膜9のうち第2低屈折率層8の上面に位置する部分において光を透過させると共に、第4高屈折率膜9のうち第2低屈折率層8の側面に位置する部分9aにおいて光を透過させない(あまり透過させない)ようになっている。
【0018】
このように構成される上側ミラーM2は、下側ミラーM1と上面レイアウトが一致させられている。
すなわち、第2低屈折率層8および第4高屈折率膜9のハニカム状の上面レイアウトは、第1低屈折率層4および第2高屈折率膜5のハニカム状の上面レイアウトと同様となっている。これにより、上側ミラーM2のミラーとして働く部分を透過した光が下側ミラーM1のミラーとして働く部分に効率的に入射されるようにできる。
【0019】
なお、第4高屈折率膜9や第3高屈折率膜7には、図示しないが不純物がドーピングされた拡散層による配線層が備えられており、上側ミラーM2用の電極(以下、上部電極という)12への電圧がこの配線層を通じて印加されることで、第4高屈折率膜9および第3高屈折率膜7の電位を調整できるようになっている。
【0020】
さらに、絶縁膜6および第3、第4高屈折率膜7、9のうち、メンブレンMenよりも外周の位置には、第2高屈折率膜5に達する開口部10が形成されている。この開口部10にはAu/Cr等により構成された下部電極11が形成されており、第2高屈折率膜5に形成された不純物の拡散層よりなる図示しない配線部とオーミック接触させられている。同様に、第4高屈折率膜9の表面のうち、メンブレンMenよりも外周の位置にも、Au/Cr等により構成された上部電極12が形成されており、第4高屈折率膜9に形成された不純物の拡散層よりなる図示しない配線部とオーミック接触させられている。なお、これら第2高屈折率膜5や第4高屈折率膜9に形成された配線部は、下側ミラーM1や上側ミラーM2の外周部や下側ミラーM1や上側ミラーM2のうち補強部となる部分など高反射ミラーとして機能しない部分などに不純物がドーピングされることで構成されるようにすると好ましい。これは、不純物がドーピングされると光が吸収されるためであり、ミラーとして働く部分には不純物が導入されない方が好ましい。
【0021】
そして、メンブレンMenの内部において、第3、第4高屈折率膜7、9を貫通し、エアギャップAgと外部とを連通させる孔13が形成され、かつ図示していないが下側ミラーM1の第1低屈折率層4上の高屈折率膜5の一部と、上側ミラーM2の第2低屈折率層4上の高屈折率膜の一部には孔が形成された構造とされている。
【0022】
これによると、例えば、Ge/Air/GeやSi/Air/Siといった高屈折率材料と低屈折率材料との組み合わせにより、従来と比較して高反射帯域が広い光学多層膜ミラーを備えたファブリペロー干渉計とすることが可能となる。
【0023】
上記のような光学多層膜ミラーを用いた広帯域(n比3.3以上、△W6μm以上)に分光できるファブリペロー干渉計においてもまた、基板の裏面には、光を透過させるための反射防止膜が必要である。このため、上述のように、波長に併せるような厚さの反射防止膜を基板の裏面に設けることとなる。
【特許文献1】特許第3457373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
しかしながら、反射防止膜は、△Wが数μmという狭い波長域では反射防止膜として機能するが、優位なガス濃度計測に必要なセンサとして機能させる広帯域な波長帯域(△Wで例えば6μm以上)を計測させようとした場合、反射防止膜の設計波長から離れた波長で透過効率が大幅に低下してしまい、反射防止膜として機能しなくなってしまうという問題がある。
【0025】
図10は、反射防止膜として厚さが440nmであり屈折率nが2であるシリコン窒化膜の反射特性を示した図である。この図に示されるように、波長λが4〜5μmであって波長帯域が1μmの範囲では、窒化膜の反射率は低くなっており、透過効率が高い反射防止膜として機能している。一方、波長λが4〜5μmより小さくなったり、逆に大きくなったりすると、これに伴って反射率も増加してしまい、透過効率が低下してしまっている。この場合、低い反射率を得るために窒化膜の厚さを波長に応じて薄くしたり厚くしたりしなければならないが、反射防止膜として機能する波長帯域は1μm程度であるから、狙った波長以外では反射防止膜の透過効率は低下してしまう。
【0026】
本発明は、上記点に鑑み、広帯域な波長帯域の光であっても、効率良く光を透過させることができるファブリペロー干渉計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板(1)の一方の面(1a)に高屈折材料と低屈折材料とを用いた高屈折率材料/低屈折率材料/高屈折率材料の3層構造で形成された下側ミラー(M1)が配置されると共に、該下側ミラー(M1)と対応する位置において、該下側ミラー(M1)から空気のギャップ(Ag)を介して配置され高屈折材料と低屈折材料とを用いた高屈折率材料/低屈折率材料/高屈折率材料の3層構造で形成された上側ミラー(M2)とを有してなる光学多層膜ミラーを備えたファブリペロー干渉計において、高屈折率材料はシリコンもしくはゲルマニウムであり、低屈折率材料は空気であり、基板(1)には、前記一方の面(1a)に垂直な方向において光学多層膜ミラーを基板(1)に投影したとき、光学多層膜ミラーに対応する部分では光を通過させると共に、光学多層膜ミラーを除いた部分では光の通過を妨げるアパーチャ(14)が設けられており、基板(1)の他方の面(1b)には、他方の面(1b)に垂直な方向においてアパーチャ(14)のうち光を透過させる部分を他方の面(1b)に投影したとき、当該光を透過させる部分の全域に、透過させる光の波長よりも短い距離間隔で配置され、かつ表面側の方が内部よりも細い、尖った形状を有する複数の凹凸(1c)が設けられていることを特徴とする。
【0028】
このような凹凸(1c)を利用することで、通常では基板(1)と空気との屈折率の違いで生じる界面での反射を、基板(1)の他方の面(1b)と空気との界面において屈折率をなだらかに連続的に変化させることができる。したがって、広帯域な波長帯域の光であっても、基板(1)と空気との界面で光が反射されないようにすることができ、極めて広帯域の波長で反射防止機能を持たせることができる。
【0029】
請求項2に記載の発明では、複数の凹凸(1c)はそれぞれ四角錐であり、四角錐の底面が他方の面(1b)に配置されており、四角錐の底面の対角線の長さが光の波長よりも短くなっていることを特徴とする。
【0030】
このように、凹凸(1c)が四角錐になっていることで、四角錐の側面によって基板(1)と空気との屈折率をなだらかに変化させることができる。また、四角錐の底面の対角線の長さを規定することで、凹凸(1c)によって光が散乱されてしまうことを防止することができる。
【0031】
請求項3に記載の発明では、基板(1)は、シリコンもしくはゲルマニウム基板であり、基板面は(100)面であり、複数の凹凸(1c)の側面は(111)面になっていることを特徴とする。このような基板を用いることで、中赤外光を透過させることができ、かつ容易に四角錐を形成することができる。
【0032】
請求項4に記載の発明では、アパーチャ(14)は、基板(1)の他方の面(1b)に設けられ、光を吸収する金属膜で形成されたものであることを特徴とする。
【0033】
これにより、光学多層膜ミラーで多重反射した光のみをアパーチャ(14)のうち光が通過する部分から外部に取り出すことができる。すなわち、基板(1)内のノイズ光がアパーチャ(14)から外部に取り出されないようにすることができる。
【0034】
請求項5に記載の発明のように、光学多層膜ミラーのうち光の反射面を六角形に細分化し、この細分化した光学多層膜ミラーをハニカム状に配置し、基板(1)の他方の面(1b)のうち、他方の面(1b)に垂直な方向においてハニカム状に配置された六角形の光学多層膜ミラーが投影された領域全域に凹凸(1c)を設けることができる。
【0035】
この場合、請求項6に記載の発明のように、基板(1)の他方の面(1b)に投影された一つの六角形の面積は、細分化された光学多層膜ミラーの一つの六角形の面積よりも小さくなっていることが好ましい。これにより、ノイズ光が基板(1)に僅かに斜めに入射したとしても進入することを抑制することができる。
【0036】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0038】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。以下では、図9に示す構成要素と同一のものには、同一符号を記してある。本実施形態で示されるファブリペロー干渉計は、例えばガス濃度を測定する装置に用いられる。
【0039】
図1は、本発明の第1実施形態に係るファブリペロー干渉計の平面図であり、(a)は表面側すなわち干渉計に光が入射する面を示しており、(b)は裏面側すなわち干渉計から光が射出する面を示している。また、図2は、図1(a)のA−A断面図である。以下、図1および図2を参照してファブリペロー干渉計について説明する。
【0040】
図2に示されるように、ファブリペロー干渉計は、例えばシリコン基板からなる半導体基板1と、当該半導体基板1の一方の面1aに設けられた光学多層膜ミラーと、半導体基板1の他方の面1bに設けられたアパーチャ14および被覆層15とを備えている。
【0041】
光学多層膜ミラーは、図9に示されるものと同じ構造である。ここで、各ミラーM1、M2を構成する高屈折率材料として、シリコンもしくはゲルマニウムによって形成されたものが採用される。また、半導体基板1の結晶面は(100)面となっている。
【0042】
また、図1(a)に示されるように、メンブレンMenの領域うち、上側ミラーM2が設けられた透過領域に光が入射するようになっている。
【0043】
アパーチャ14は、半導体基板1の一方の面1aに垂直な方向において光学多層膜ミラーを半導体基板1に投影したとき、光学多層膜ミラーに対応する部分では光を通過させ、光学多層膜ミラーを除いた部分では光の通過を妨げるものである。つまり、光を通過させる貫通孔を有するものである。
【0044】
したがって、アパーチャ14のうち光を通過させる部分は開口しており、半導体基板1の他方の面1bが露出している。一方、アパーチャ14のうち光を通過させない部分は半導体基板1の他方の面1bを覆っている。これによると、光学多層膜ミラーで多重反射した光のみをアパーチャ14のうち光が通過する部分から外部に取り出すことが可能となり、半導体基板1内のノイズ光がアパーチャ14から外部に取り出されないようになる。
【0045】
図1(b)に示されるように、本実施形態では、アパーチャ14において光を通過させる貫通孔は1つである。このようなアパーチャ14は、光を吸収する金属膜で形成されたものである。この金属膜として、例えばTiW等の材料が採用される。
【0046】
被覆層15は、アパーチャ14の上に形成され、このアパーチャ14を保護するものである。このような被覆層15として、例えばSiN膜が採用される。
【0047】
また、図1(b)および図2に示されるように、半導体基板1の他方の面1bには、他方の面1bに垂直な方向においてアパーチャ14のうち光を透過させる部分を他方の面1bに投影したとき、当該光を透過させる部分、すなわち光の透過領域の全域に複数の微小な凹凸1cが設けられている。
【0048】
本実施形態では、アパーチャ14が半導体基板1の他方の面1bに設けられているので、アパーチャ14の開口部分から露出する半導体基板1の他方の面1b全体が凹凸1cの形状になっている。
【0049】
複数の凹凸1cはそれぞれ四角錐になっており、四角錐の底面が他方の面1bに配置されている。このような半導体基板1の他方の面1bのパターンは、半導体基板1の結晶面として(100)面を用い、かつシリコンの異方性エッチングを利用することで、透過領域に形成される複数の凹凸1cはそれぞれ四角錐形状となる。半導体基板1の他方の面1bは(100)面であるので、四角錐の側面は(111)面になっている。
【0050】
この微小な凹凸1cは、透過させる光の波長よりも短い距離間隔で配置され、かつ表面側の方が内部よりも細い、尖った形状であるため、半導体基板1内を通過した光が半導体基板1と空気との界面での屈折率をなだらかに連続的に変化させる役割を果たすものである。これにより、半導体基板1と空気との界面の屈折率がなだらかに変化することで、半導体基板1内を通過した光が半導体基板1の他方の面1bと空気との界面での屈折率差で反射されずに、当該他方の面1bから空気に射出されるようになっている。特に、微小な凹凸の距離間隔よりも長い波長では、屈折率はなだらかに変化するように働くため、広帯域な光に対して反射防止として機能するものである。
【0051】
「微小な凹凸1c」とは、四角錐の底面の対角線の長さが光の波長よりも短くなっていることを意味しており、波長の半分よりも短い方が望ましい。だたし、当該対角線の長さの寸法が短すぎると四角錐の高さが低くなるため、屈折率の変化が緩やかにならず、凹凸1cを通過する光の透過率、すなわち反射防止性能は悪化する。
【0052】
そこで、本実施形態では、具体的には、帯域3〜9μm(△W6μm)を分光させるために、微小な凹凸と長さを面内方向の寸法(四角錐の底面の対角線)を最低波長である3μm以下の2μmとした。その際、高さは四角錐の形状で決まり、対角線の長さの半分として形成される。
【0053】
一方、半導体基板1として、近赤外光〜中赤外域まで透過特性を持つシリコンもしくはゲルマニウムによって形成されたものが採用される。その際、半導体基板1はゲルマニウム基板が長波長まで透過特性を持ち好適である一方、半導体基板1に含まれる不純物によって赤外光が吸収され易いため、極力不純物の無い高抵抗な基板(低効率>1000Ωcm)が好適である。
【0054】
次に、図1および図2に示されるファブリペロー干渉計の製造方法について、図3および図4に示すファブリペロー干渉計の製造工程図を参照して説明する。
【0055】
〔図3(a)に示す工程〕
まず、シリコン基板などで構成される半導体基板1を用意する。このとき、(100)基板を用いると、後の微小な凹凸1cを形成するのに有利である。そして、この半導体基板1の表面全面に、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁膜2と多結晶シリコン等で構成された第1高屈折率膜3をデポジションすると共に、第1高屈折率膜3の表面全面に例えばシリコン酸化膜など、第1、第2高屈折率膜3、5とエッチング選択比の高い材料で構成された犠牲膜20をデポジションする。このとき、犠牲膜20の膜厚は、上述した第1低屈折率層4の厚み相当とする。その後、犠牲膜20の表面にレジスト21を配置したのち、レジスト21のうち第1低屈折率層4の形成予定位置と対応する部分のみを残るように開口部21aを形成し、この状態でエッチング(等方性エッチングなど)を行うことで、犠牲膜20を六角錐台形状とする。その後、レジスト21を除去する。
【0056】
〔図3(b)に示す工程〕
犠牲膜20および第1高屈折率膜3のうち犠牲膜20で覆われていない部分の表面全面に多結晶シリコン等で構成された第2高屈折率膜5をデポジションする。このとき、犠牲膜20が六角錐台形状を為しているため、第2高屈折率膜5のうち犠牲膜20の上に配置された部分に関しては、その形状が受け継がれ、六角錐台形状となる。
【0057】
続いて、第2高屈折率膜5の表面にレジスト22を配置したのち、図3(b)とは別断面において、レジスト22のうち下側ミラーM1の孔M1bと対応する部分に開口部22aを設ける。そして、レジスト22をマスクとしたドライエッチング(異方性エッチング)を行うことにより、孔M1bを開口させる。このとき、第2高屈折率膜5の形状が六角錐台形状を受け継いだものとなっているため、孔M1bを形成したときに、第1高屈折率膜3と犠牲膜20との境界部近傍に残渣が発生し難くなる。
【0058】
その後、レジスト22を除去したのち、配線部形成領域が開口するマスク(図示せず)を用いて不純物をイオン注入する。
【0059】
〔図3(c)に示す工程〕
第2高屈折率膜5の表面全面に、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁膜6をデポジションする。このとき、絶縁膜6の膜厚は、エアギャップAgの大きさ、つまり下側ミラーM1と上側ミラーM2との間の間隔分の厚さとされる。なお、この絶縁膜6の材質は特に限定されないが、犠牲膜20の材質と同じであるのが好ましい。また、絶縁膜6の厚さによっては、絶縁膜6の表面に第2高屈折率膜5の凹凸形状が残った状態になるが、残っていても構わない。
【0060】
〔図3(d)に示す工程〕
絶縁膜6の表面全面に、例えば多結晶シリコンからなる第3高屈折率膜7をデポジションすると共に、第2高屈折率膜7の表面全面に例えばシリコン酸化膜など、第3、第4高屈折率膜7、9とエッチング選択比の高い材料で構成された犠牲膜23をデポジションする。このとき、犠牲膜23の膜厚は、上述した第2低屈折率層8の厚み相当とする。その後、犠牲膜23の表面にレジスト24を配置したのち、レジスト24のうち第2低屈折率層8の形成予定位置と対応する部分のみを残るように開口部24aを形成し、この状態でエッチング(等方性エッチングなど)を行うことで、犠牲膜23を六角錐台形状とする。その後、レジスト24を除去する。
【0061】
〔図3(e)に示す工程〕
犠牲膜23および第3高屈折率膜7のうち犠牲膜23で覆われていない部分の表面全面に多結晶シリコン等で構成された第4高屈折率膜9をデポジションする。このとき、犠牲膜23が六角錐台形状を為しているため、第4高屈折率膜9のうち犠牲膜23の上に配置された部分に関しては、その形状が受け継がれ、六角錐台形状となる。
【0062】
続いて、配線部形成領域が開口するマスク(図示せず)を用いて不純物をイオン注入したのち、そのマスクを除去する。
【0063】
さらに、第4高屈折率膜9の表面にレジスト25を配置したのち、レジスト25のうち上側ミラーM2の孔M2bと対応する部分に開口部25a(図3(e)とは別断面)および開口部10や孔13と対応する部分に開口部25bを設ける。そして、レジスト25をマスクとしたドライエッチング(異方性エッチング)を行うことにより、孔M2bおよび孔13を開口させると共に、開口部10の一部を形成する。
【0064】
〔図4(a)に示す工程〕
続いて、レジスト25を除去したのち、第4高屈折率膜9をマスクとし、HFによるウェットなどによりエッチングを行う。これにより、絶縁膜6が部分的に除去されて開口部10が形成される。このとき、第4高屈折率膜9のうち、メンブレンMenの位置する部分にマスクを配置した状態でエッチングを行うことで、孔M2bや孔13を通じて絶縁膜6が除去されないようにしても構わないが、除去しておくと、メンブレンMenを構成するためにメンブレンMenの下方の絶縁膜6を除去する際に除去し易くなる。
【0065】
その後、開口部10を覆うために用いたマスクを除去した後、メタルマスク等を用いてAu/Crを蒸着し、開口部10内に下部電極11を形成すると共に、メンブレンMenの外周部に上部電極12を形成し、必要に応じてこれらを研削、研磨する。
【0066】
〔図4(b)に示す工程〕
続いて、裏面にアパーチャ14となる金属TiWを成膜し、透過領域部以外の領域に残るように、パターニングし、エッチングする。
【0067】
その後、透過領域に微小な凹凸1cを形成するために、プラズマCVD法によるSiN膜(窒化シリコン)を形成し、パターニングする。これにより、アパーチャ14の上に被覆層15を形成する。
【0068】
〔図4(c)に示す工程〕
次に、専用の治具を用いて、被覆層15となるSiN膜をマスクとし、裏面のみ(半導体基板1の他方の面1b)に強アルカリ液(KOH、TMAH)などを晒し、シリコンの異方性エッチングを行うことで、透過領域に四角錐形状の凹凸1cを複数形成する。強アルカリ液に晒さているシリコンの全ての面が(111)面で止まるようにパターニングされており、安定して構造を形成できる。
【0069】
この際、透過領域部分のマスクとして用いたSiN膜は、凹凸1cが形成された際に、自然に剥離する。
【0070】
なお、凹凸1cを形成する方法として、本実施形態では、強アルカリ液を用いた異方性シリコンエッチングを用いたが、これに限定するものでは無く、透過させる光の波長よりも短い距離間隔で配置でき、かつ表面側の方が内部よりも細い、尖った形状を形成できる方法であれば何でも良い。
【0071】
〔図4(d)に示す工程〕
次に、さらに、上側ミラーM2の孔M2bおよびその外周に位置する孔13を通じて、さらには下側ミラーM1の孔1bを通じて、絶縁膜6や第1、第2低屈折率層4、8が配置される空間に存在する犠牲膜20、23をエッチングする。このとき、必要に応じて図示しないマスクにより開口部10を覆うことで、開口部10において露出している絶縁膜6が除去されないようにしても良い。このエッチングにより、絶縁膜6のうちメンブレンMenの下部に位置する部分が除去されることでエアギャップAgが形成されると共に、第1、第2低屈折率層4、8が構成される。
【0072】
このような製造方法により、図1および図2に示した本実施形態の光学多層膜ミラーを有するファブリペロー干渉計が完成する。
【0073】
上記のようにして製造されたファブリペロー干渉計を用いたガス濃度検出は、以下のように行われる。まず、光源、ガス導入セル、バンドパスフィルタ、ファブリペロー干渉計、そしてディテクタという順で各々が一直線状に配置される。ファブリペロー干渉計においては、光学多層膜ミラー側がバンドパスフィルタ側に向けられ、微小な凹凸1c側がディテクタ側に向けられる。ファブリペロー干渉計の光学多層膜ミラーには光が垂直に入射するように配置される。
【0074】
そして、ガス導入セルにガスが充満し、光源から光が発せられると、光はガス、バンドパスフィルタを通過してファブリペロー干渉計の光学多層膜ミラーに入射する。光学多層膜ミラーに入射した光は、上側ミラーM2と下側ミラーM1との間を多重反射して半導体基板1に進入し、アパーチャ14のうち開口した部分、すなわち微小な凹凸1cを介してファブリペロー干渉計から射出され、ディテクタにて受光される。
【0075】
ここで、ファブリペロー干渉計の上部電極12および下部電極11に印加する電圧を変化させて上側ミラーM2と下側ミラーM1との間隔を調節することにより、光学多層膜ミラーに入射した光を分光することができる。したがって、光学多層膜ミラーに入射した光を例えば3〜9μmに分光して、ガス導入セル内のガスの吸収スペクトルを測定することにより、ガスに含まれる気体の成分を調べることができる。
【0076】
図5は、半導体基板1の他方の面1bに凹凸1cが形成されたものと、図10に示されるものとの、反射防止能力の比較を示した図である。この図に示されるように、本実施形態に係るファブリペロー干渉計では、波長が2〜10μmの広帯域な波長帯域であっても、反射率が波長に依存してほとんど変化していない。すなわち、広帯域な波長帯域であっても、低い反射率を維持できており、効率良く光を透過させることができていると言える。
【0077】
これは、光学多層膜ミラーから半導体基板1に進入した光がアパーチャ14を介して空気中に射出される際に、半導体基板1と空気との屈折率がなだらかに連続的に変化するため、屈折率差で生じる反射が無いからである。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、半導体基板1の他方の面1bに、他方の面1bに垂直な方向においてアパーチャ14のうち光を透過させる部分を他方の面1bに投影したとき、当該光を透過させる部分の全域に複数の凹凸1cを設けたことが特徴となっている。
【0079】
この微小な凹凸1cは、透過させる光の波長よりも短い距離間隔で配置され、かつ表面側の方が内部よりも細い、尖った形状であるため、半導体基板1内を通過した光が半導体基板1と空気との界面での屈折率をなだらかに連続的に変化させる役割を果たすものである。
【0080】
これにより、広帯域な波長帯域の光であっても、半導体基板1と空気との界面で効率良く光を透過させることができる。
【0081】
また、凹凸1cを四角錐とすることで半導体基板1と空気との屈折率をなだらかに容易に変化させることができる。さらに、四角錐の底面の対角線の長さを光の波長よりも短くすることで、凹凸1cによって光が散乱されてしまうことを防止し、光の透過率が低下してしまうことを防止できる。
【0082】
そして、光を吸収する金属膜でアパーチャ14を形成することにより、光学多層膜ミラーから半導体基板1に進入したノイズ光を吸収することができる。これにより、ファブリペロー干渉計から精度の良い光を取り出すことができる。
【0083】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。上記第1実施形態では、アパーチャ14には光が通過する貫通孔が一つしか設けられていないが、本実施形態では、細分化された光学多層膜ミラーの六角形それぞれに対応した貫通孔をアパーチャ14に設けたことが特徴となっている。
【0084】
図6(a)は、本実施形態に係るファブリペロー干渉計において半導体基板1の他方の面1bの平面図であり、図6(b)は図6(a)のB部拡大図である。また、図7は、本実施形態に係るファブリペロー干渉計の断面図であり、図1(a)のA−A断面に相当する断面図である。
【0085】
図7に示されるように、光学多層膜ミラーのうち光の反射面が六角形に細分化され、この細分化された光学多層膜ミラーがハニカム状に配置されている。さらに、半導体基板1の他方の面1bのうち、他方の面1bに垂直な方向においてハニカム状に配置された六角形の光学多層膜ミラーが投影された領域に開口部を有するアパーチャ14が設けられている。すなわち、図6(a)に示されるように、アパーチャ14には六角形の集合体が設けられている。
【0086】
具体的には、図6(b)に示されるように、光学多層膜ミラーの六角形を光の進行方向にアパーチャ14に投影したとき、アパーチャ14には当該六角形が投影された場所に開口部が設けられている。そして、半導体基板1の他方の面1bのうちアパーチャ14の開口部それぞれに凹凸1cが設けられている。この凹凸1cは、各開口部全域にそれぞれ設けられている。
【0087】
このようにアパーチャ14に六角形の開口部をハニカム状に形成することで、ハニカムミラー(細分化された光学多層膜ミラー)のエッジで、特性が若干悪化する部分の光を遮断することができる。
【0088】
また、半導体基板1の他方の面1bに投影された一つの六角形の面積は、細分化された光学多層膜ミラーの一つの六角形の面積よりも小さくなっている。これは、半導体基板1の上部からほぼ垂直に光を入射させたとしても、若干光の拡がりがあり、光線は角度を持つこととなる。そのため、ハニカムミラーエッジ(六角形と他の部分との境界)で若干特性が悪化する光もまた、裏面(半導体基板1の他方の面1b)に来たときに角度を持ち、微小凹凸1c内に光線が入るため、ノイズが大きくなるからである。
【0089】
具体的には、アパーチャ14にハニカムミラーの面積の80%の大きさに縮小した六角形の領域に微小凹凸1cを形成した結果、ほとんどノイズとなる光は観察されなかった。以上説明したように、アパーチャ14の開口部を光学多層膜ミラーの六角形に合わせることで、ファブリペロー干渉計を通過する光のノイズを小さくすることが可能となる。
【0090】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第1、第2実施形態では、微小な凹凸1cを形成する方法として、半導体基板の(100)面を用いて(111)面を持つ四角錐を形成したが、このような基板の結晶面を用いなくても、以下のような方法でも凹凸1cを形成することができる。
【0091】
図8は、本実施形態において、凹凸1cの製造工程を示した図である。この図に示されるように、半導体基板1の他方の面1bのうち透過領域に四角や丸等の微細なマスクパターン30を形成し、等方性に近いエッチング条件によるドライエッチングを行う。これにより、他方の面1bにテーパ状の傾斜面が形成される。
【0092】
この場合、凹凸1cの一つの凸部分において、半導体基板1の他方の面1bの面方向の長さを波長よりも短くできる一方、半導体基板1の深さ方向(光の進行方向)を長くすることができるので、屈折率をさらに緩やかに変化でき、好適である。
【0093】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、アパーチャ14は半導体基板1の他方の面1bに設けられているが、これは一例を示すものであって、他の場所にアパーチャ14が設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態に係るファブリペロー干渉計の平面図であり、(a)は干渉計の表面側の平面図であり、(b)は干渉計の裏面側の平面図である。
【図2】図1(a)のA−A断面図である。
【図3】図1および図2に示すファブリペロー干渉計の製造工程図である。
【図4】図3に続くファブリペロー干渉計の製造工程図である。
【図5】波長と反射率との相関関係を示した図である。
【図6】(a)は、本発明の第2実施形態に係るファブリペロー干渉計において半導体基板の他方の面の平面図であり、(b)は(a)のB部拡大図である。
【図7】第2実施形態に係るファブリペロー干渉計の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態において、凹凸の製造工程を示した図である。
【図9】光学多層膜ミラーを有するファブリペロー干渉計の断面図である。
【図10】反射防止膜として厚さが440nmであり屈折率nが2である窒化膜の反射特性を示した図である。
【符号の説明】
【0095】
1 半導体基板
1a 半導体基板の一方の面
1b 半導体基板の他方の面
1c 凹凸
14 アパーチャ
M1 下側ミラー
M2 上側ミラー
Ag ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(1)の一方の面(1a)に高屈折材料と低屈折材料とを用いた高屈折率材料/低屈折率材料/高屈折率材料の3層構造で形成された下側ミラー(M1)が配置されると共に、該下側ミラー(M1)と対応する位置において、該下側ミラー(M1)から空気のギャップ(Ag)を介して配置され高屈折材料と低屈折材料とを用いた高屈折率材料/低屈折率材料/高屈折率材料の3層構造で形成された上側ミラー(M2)とを有してなる光学多層膜ミラーを備えたファブリペロー干渉計において、
高屈折率材料はシリコンもしくはゲルマニウムであり、低屈折率材料は空気であり、
前記基板(1)には、前記一方の面(1a)に垂直な方向において前記光学多層膜ミラーを前記基板(1)に投影したとき、前記光学多層膜ミラーに対応する部分では光を通過させると共に、前記光学多層膜ミラーを除いた部分では光の通過を妨げるアパーチャ(14)が設けられており、
前記基板(1)の他方の面(1b)には、前記他方の面(1b)に垂直な方向において前記アパーチャ(14)のうち光を透過させる部分を前記他方の面(1b)に投影したとき、当該光を透過させる部分の全域に、透過させる光の波長よりも短い距離間隔で配置され、かつ表面側の方が内部よりも細い、尖った形状を有する複数の凹凸(1c)が設けられていることを特徴とするファブリペロー干渉計。
【請求項2】
前記複数の凹凸(1c)はそれぞれ四角錐であり、前記四角錐の底面が前記他方の面(1b)に配置されており、
前記四角錐の底面の対角線の長さが前記光の波長よりも短くなっていることを特徴とする請求項1に記載のファブリペロー干渉計。
【請求項3】
前記基板(1)は、シリコンもしくはゲルマニウム基板であり、基板面は(100)面であり、前記複数の凹凸(1c)の側面は(111)面になっていることを特徴とする請求項2に記載のファブリペロー干渉計。
【請求項4】
前記アパーチャ(14)は、前記基板(1)の他方の面(1b)に設けられ、光を吸収する金属膜で形成されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のファブリペロー干渉計。
【請求項5】
前記光学多層膜ミラーのうち前記光の反射面が六角形に細分化され、この細分化された前記光学多層膜ミラーがハニカム状に配置されており、
前記基板(1)の他方の面(1b)のうち、前記他方の面(1b)に垂直な方向において前記ハニカム状に配置された六角形の光学多層膜ミラーが投影された領域全域に前記凹凸(1c)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のファブリペロー干渉計。
【請求項6】
前記基板(1)の他方の面(1b)に投影された一つの六角形の面積は、前記細分化された光学多層膜ミラーの一つの六角形の面積よりも小さくなっていることを特徴とする請求項5に記載のファブリペロー干渉計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−204381(P2009−204381A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45626(P2008−45626)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】