説明

ファルネセン共重合体

ファルネセン共重合体は、ファルネセン(例えば、α-ファルネセン又はβ-ファルネセン)から誘導される単位及び少なくとも1種のビニルモノマーから誘導される単位を含む。ファルネセン共重合体は、触媒の存在下でファルネセンと少なくとも1種のビニルモノマーとを共重合させて調製できる。いくつかの実施態様において、ファルネセンは微生物を利用して糖から調製される。他の実施態様において、少なくとも1種のビニルモノマーは、エチレン、α-オレフィン、又は置換もしくは非置換のビニルハライド、ビニルエーテル、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミドもしくはメタクリルアミド、又はその組み合わせである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(先の関連出願)
本願は、2008年9月4日に出願された米国仮特許出願第61/094,059号;2009年6月26日に出願された米国仮特許出願第61/220,587号;及び2009年6月26日に出願された米国仮特許出願第61/220,588号の利益を主張し、その全体を引用により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、ファルネセンから誘導される単位及び少なくとも1種のビニルモノマーから誘導される単位を含むファルネセン共重合体;並びに該ファルネセン共重合体を製造し使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
テルペン又はイソプレノイド化合物は、針葉樹などの多種多様な植物及びキアゲハなどの数種の昆虫により産生されうる、広大で多彩な種類の有機分子である。イソプレノイド化合物の中には、生体工学でつくられた微生物を含む微生物により糖などの有機化合物から作られるものもある。テルペン又はイソプレノイド化合物は種々の再生可能な源から得られるので、環境に優しく再生可能なポリマーを作るための理想的なモノマーである。
【0004】
テルペン又はイソプレノイド化合物から誘導されたテルペンポリマーは有用なポリマー材料である。例えば、ポリイソプレン、ポリピネン、及びポリリモネンは、紙のコーティング、接着剤、ゴム化合物、及び他の工業製品の製造など種々の用途に使用されてきた。最も多く存在するテルペンポリマーは、一般的に、C5及びC10テルペン、例えば、イソプレン、リモネン、ミルセン、3-カレン、オシメン、及びピネンから誘導される。これらのテルペンモノマーは、重合又は他のコモノマーと共重合されて、対応するテルペンホモポリマー又はコポリマーを形成できる。しかし、炭素原子を少なくとも15有するテルペン又はイソプレノイド化合物のポリマー又はコポリマーはあまり知られていないか、又は存在しない。その長い鎖長のため、ファルネセン、ファルネソール、ネロリドール、バレンセン、フムレン、ゲルマクレン、及びエレメンなどのイソプレノイド化合物は、独特な物理的性質、化学的性質、及び生物学的性質を有するポリマー又はコポリマーを与えうる。
【0005】
より環境に優しいポリマー及び/又は再生可能なポリマー、例えば天然源から得られるイソプレノイド化合物から誘導されるポリマーが必要とされている。さらに、独特な物理的性質、化学的性質、及び生物学的性質を有する新規なポリマーも必要である。
【発明の概要】
【0006】
上述の必要性は、本明細書に開示される本発明の種々の態様により満たされる。一態様において、式(X')を有する1種以上のポリマー分子を含むファルネセン共重合体が本明細書に提供される:
【化1】

(式中、n及びmのそれぞれは、独立に1から約100,000の整数であり;Xは式(I')〜(VIII')の1種以上を有し:
【化2】

Yは式(IX')を有し:
【化3】

式中、R1は式(XI)を有し:
【化4】

R2は式(XII)を有し:
【化5】

R3は式(XIII)を有し:かつ
【化6】

R4は式(XIV)を有し:
【化7】

式中、R5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アシルオキシ、ニトリル、又はハロであり、但し、mが0である場合、式(I')の量が、該ポリファルネセンの総重量に対して最大約80重量%であり、かつmが1以上である場合、X対Yのモルパーセント比が約1:4から約100:1であることを条件とする)。
【0007】
いくつかの実施態様において、式(II')の量は、該ファルネセンの総重量に対して約5重量%から約99重量%である。他の実施態様において、式(III')の量は、該ファルネセンの総重量に対して少なくとも約70重量%である。さらなる実施態様において、式(I')〜(III')、(V')〜(VII')、及び(XI)〜(XIV)、並びにその立体異性体の1種以上にある二重結合の少なくとも一部は水素化されている。
【0008】
特定の実施態様において、mは0であり、Xは式(I')〜(IV')の1種以上を有する。他の実施態様において、mは0であり、Xは式(V')~(VIII')の1種以上を有する。
【0009】
いくつかの実施態様において、式(V')及び(VI')の総量は、該ポリファルネセンの総重量に対して約1重量%から約99重量%である。他の実施態様において、式(VII')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して約1重量%から約99重量%である。
【0010】
特定の実施態様において、mは1から約100,000であり;R5、R6、R7、及びR8のそれぞれはHである。他の実施態様において、mは1から約100,000であり;R5はアリールであり;R6、R7、及びR8のそれぞれはHである。さらなる実施態様において、該アリールはフェニルである。
【0011】
特定の実施態様において、mは1から約100,000であり、該ポリファルネセンはランダムファルネセン共重合体である。他の実施態様において、mは1から約100,000であり、該ポリファルネセンはブロックファルネセン共重合体である。さらなる実施態様において、該ブロックファルネセン共重合体は、Xを含む1つのブロック及びYを含む2つのブロックを含み、Xを含むブロックがYを含む2つのブロックの間にある。
【0012】
いくつかの実施態様において、該ポリファルネセンのMwは約60,000ダルトンを超える。他の実施態様において、該ポリファルネセンのTgは約-60℃未満である。さらなる実施態様において、mとnとの合計が約300を超える。
【0013】
他の態様において、β-ファルネセンを触媒の存在下で重合させて調製されるポリファルネセンであって、該ポリファルネセン中のcis-1,4-微細構造の量が、該ポリファルネセンの総重量に対して最大約80重量%であるポリファルネセンが本明細書に提供される。
【0014】
他の態様において、α-ファルネセンを触媒の存在下で重合させて調製されるポリファルネセンであって、該ポリファルネセン中のcis-1,4-微細構造の量が、該ポリファルネセンの総重量に対して約1重量%から約99重量%であるポリファルネセンが本明細書に提供される。
【0015】
他の態様において、
(a)触媒の存在下でファルネセンを重合させて不飽和ポリファルネセンを形成する工程;及び
(b)水素化試薬の存在下で該不飽和ポリファルネセン中の二重結合の少なくとも一部を水素化する工程
により調製されたポリファルネセンが本明細書に提供される。
【0016】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンを調製するためのファルネセンはビニルモノマーと共重合されてファルネセン共重合体を形成する。他の実施態様において、該ビニルモノマーはスチレンである。さらなる実施態様において、該ファルネセンは微生物により調製される。なおさらなる実施態様において、該ファルネセンは単純な糖から誘導される。
【0017】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンを調製するための触媒は有機リチウム試薬を含む。他の実施態様において、該触媒は1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタンをさらに含む。さらなる実施態様において、該有機リチウム試薬はn-ブチルリチウム又はsec-ブチルリチウムである。
【0018】
特定の実施態様において、該水素化試薬は水素化触媒存在下の水素である。他の実施態様において、該水素化触媒は10%Pd/Cである。
【0019】
他の態様において、ファルネセンと少なくとも1種のビニルモノマーとを触媒の存在下で共重合させる工程を含み、該ファルネセン対該ビニルモノマーのモルパーセント比が約1:4から約100:1である、ポリファルネセンが本明細書に提供される。
【0020】
他の態様において、
(a)微生物により単純な糖からファルネセンを製造する工程;及び
(b)該ファルネセンと少なくとも1種のビニルモノマーとを触媒の存在下で共重合させる工程
を含む、ポリファルネセンの製造方法が本明細書に提供される。
【0021】
いくつかの実施態様において、ファルネセン対ビニルモノマーのモルパーセント比は約1:4から約100:1である。他の実施態様において、少なくとも1種のビニルモノマーはテルペンを含まない。
【0022】
特定の実施態様において、該少なくとも1種のビニルモノマーは、エチレン、α-オレフィン、又は置換もしくは非置換のビニルハライド、ビニルエーテル、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミドもしくはメタクリルアミド、又はそれらの組み合わせである。他の実施態様において、該少なくとも1種のビニルモノマーはスチレンである。
【0023】
いくつかの実施態様において、該触媒は、チーグラーナッタ触媒、カミンスキー触媒、メタロセン触媒、もしくは有機リチウム試薬、又はそれらの組み合わせである。他の実施態様において、該触媒は有機リチウム試薬である。さらなる実施態様において、該触媒は、1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタンをさらに含む。さらなる実施態様において、該有機リチウム試薬は、n-ブチルリチウム又はsec-ブチルリチウムである。
【0024】
他の態様において、本明細書に開示される方法により調製されたポリファルネセンが本明細書に提供される。
【0025】
他の態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン及び少なくとも1種の添加剤を含むポリマー組成物が本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、該添加剤は、充填剤、グラフト開始剤、粘着付与剤、スリップ剤、粘着防止剤、可塑剤、酸化防止剤、発泡剤、発泡剤活性化剤、UV安定化剤、酸掃去剤、着色剤もしくは顔料、助剤、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、処理助剤、押出助剤、カップリング剤、架橋剤、安定性調節剤、核化剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、又はそれらの組み合わせである。他の実施態様において、該添加剤は充填剤である。さらなる実施態様において、該添加剤は架橋剤である。
【0026】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリマー組成物は、第2ポリマーをさらに含む。他の実施態様において、該ポリファルネセン対該第2ポリマーの比は約1:99から約99:1である。さらなる実施態様において、該第2ポリマーは、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、スチレンポリマー、フェノール樹脂、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、又はそれらの組み合わせである。
【0027】
他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン又は本明細書に開示されるポリマー組成物を含む物品が本明細書に開示される。いくつかの実施態様において、該物品は、成形物品、フィルム、シート、又はフォームである。他の実施態様において、該物品は、玩具、グリップ、ソフトタッチハンドル、バンパー摩擦ストリップ、フローリング、自動車フロアマット、ハンドル(wheel)、キャスター、家具及び電化製品の脚部、タグ、シール、静的又は動的ガスケットなどのガスケット、自動車のドア、バンパーフェイシア、グリルコンポーネント、ロッカーパネル、ホース、ライニング、オフィス用品、シール、ライナー、隔壁、チューブ、蓋、ストッパー、プランジャーチップ、デリバリー系、台所用品、靴、靴の内袋、及び靴底から選択される成形物品である。
【0028】
本発明の追加の態様並びに本発明の種々の実施態様の特性及び性質は以下の説明とともに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、実施例1及びβ-ファルネセンの紫外−可視(UV-Vis)スペクトルを表す。
【0030】
【図2】図2は、実施例1のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)曲線を表す。
【0031】
【図3】図3は、実施例1のC13核磁気共鳴(NMR)スペクトルを表す。
【0032】
【図4】図4は、実施例1のH1NMRスペクトルを表す。
【0033】
【図5】図5は、実施例1の示差走査熱量測定(DSC)曲線を表す。
【0034】
【図6】図6は、空気中で測定された実施例1の熱重量分析(TGA)曲線を表す。
【0035】
【図7】図7は、窒素中で測定された実施例1の熱重量分析(TGA)曲線を表す。
【0036】
【図8】図8は、実施例1のラップ試験結果を表す。
【0037】
【図9】図9は、実施例2のGPC曲線を表す。
【0038】
【図10】図10は、実施例2のDSC曲線を表す。
【0039】
【図11】図11は、実施例2の引張試験結果を表す。
【0040】
【図12】図12は、実施例3のGPC曲線を表す。
【0041】
【図13】図13は、実施例3のC13 NMRスペクトルを表す。
【0042】
【図14】図14は、実施例3のH1 NMRスペクトルを表す。
【0043】
【図15】図15は、実施例3のDSC曲線を表す。
【0044】
【図16】図16は、実施例3のTGA曲線を表す。
【0045】
【図17】図17は、実施例3のラップ試験結果を表す。
【0046】
【図18】図18は、形成されたポリスチレンのGPC曲線を表す。
【0047】
【図19】図19は、形成されたポリスチレン-1,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーのGPC曲線を表す。
【0048】
【図20】図20は、実施例4のGPC曲線を表す。
【0049】
【図21】図21は、実施例4の13C NMRスペクトルを表す。
【0050】
【図22】図22は、実施例4の1H NMRスペクトルを表す。
【0051】
【図23】図23は、実施例4のDSC曲線を表す。
【0052】
【図24】図24は、実施例4のTGA曲線を表す。
【0053】
【図25】図25は、実施例4の引張試験結果を表す。
【0054】
【図26】図26は、実施例4のラップ試験結果を表す。
【0055】
【図27】図27は、形成されたポリスチレンのGPC曲線を表す。
【0056】
【図28】図28は、形成されたポリスチレン-3,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーのGPC曲線を表す。
【0057】
【図29】図29は、実施例5のGPC曲線を表す。
【0058】
【図30】図30は、実施例5の13C NMRスペクトルを表す。
【0059】
【図31】図31は、実施例5の1H NMRスペクトルを表す。
【0060】
【図32】図32は、実施例5のDSC曲線を表す。
【0061】
【図33】図33は、実施例5のTGA曲線を表す。
【0062】
【図34】図34は、実施例5の引張試験結果を表す。
【0063】
【図35】図35は、ヘキサン抽出後の実施例5のGPC曲線を表す。
【0064】
【図36】図36は、実施例5の抽出後のヘキサンのGPC曲線を表す。
【0065】
【図37】図37は、実施例5の引張試験結果を表す。
【0066】
【図38】図38は、実施例5のラップ試験結果を表す。
【0067】
【図39】図39は、実施例6の引張試験結果を表す。
【0068】
【図40】図40は、実施例7の引張試験結果を表す。
【0069】
(発明の詳細な説明)
(全般的な定義)
「ポリマー」は、同種でも異種でもよいモノマーの重合により調製される高分子化合物である。「ポリマー」という総称は、「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」、並びに「共重合体」という用語を含む。
【0070】
「共重合体」は、少なくとも2種の異なるモノマーの重合により調製されたポリマーを意味する。「共重合体」という総称は、「コポリマー」という用語(一般的は2種の異なるモノマーから調製されたポリマーを意味する)並びに「ターポリマー」という用語(一般的には3種の異なるモノマーから調製されたポリマーを意味する)を含む。4種以上のモノマーを重合させて作られたポリマーも包含する。
【0071】
「オルガニル」は、官能基の種類にかかわらず、炭素原子に1つの自由原子価を有する有機置換基を意味し、例えばCH3CH2-、ClCH2-、CH3C(=O)-、4-ピリジルメチルがある。
【0072】
「ヒドロカルビル」は、アルキル(例えばエチル)、シクロアルキル(例えばシクロヘキシル)、及びアリール(例えばフェニル)など、炭化水素から水素原子を除いて形成された任意の一価の基を意味する。
【0073】
「ヘテロシクリル」は、複素環化合物の任意の環原子から水素原子を除いて形成された任意の一価の基を意味する。
【0074】
「アルキル」又は「アルキル基」は、飽和の、非分岐又は分岐の脂肪族炭化水素から水素原子を除いて誘導された一般式CnH2n+1-(nは整数又は1から20もしくは1から8の整数である)を有する一価の基を意味する。アルキル基の例には、(C1-C8)アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-メチル-1 -プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1 -ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1 -プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1 -ペンチル、4-メチル-1 -ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、及びオクチルがあるが、これらに限定されない。より長いアルキル基にはノニル及びデシル基がある。アルキル基は非置換でも、1つ以上の好適な置換基により置換されていてもよい。さらに、アルキル基は分岐でも非分岐でもよい。いくつかの実施態様において、アルキル基は、少なくとも、2、3、4、5、6、7、又は8つの炭素原子を含む。
【0075】
「シクロアルキル」又は「シクロアルキル基」は、炭素及び水素原子を含む非芳香族の単環又は多環から水素原子を除いてシクロアルカンから誘導された一価の基を意味する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルなどの(C3-C7)シクロアルキル基、及びシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルなどの飽和環式及び二環式テルペン及び(C3-C7)シクロアルケニル基、並びに不飽和環式及び二環式テルペンがあるが、これらに限定されない。シクロアルキル基は非置換でも、1つ又は2つの好適な置換基により置換されていてもよい。さらに、シクロアルキル基は単環でも多環でもよい。いくつかの実施態様において、シクロアルキル基は、少なくとも5、6、7、8、9、又は10の炭素原子を含む。
【0076】
「アリール」又は「アリール基」は、水素原子を除くことにより単環又は多環芳香族炭化水素から誘導された有機残基を意味する。アリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、ベンジル、又はトラニル基、セクシフェニレン、フェナントレニル、アントラセニル、コロネニル、及びトラニルフェニルがある。アリール基は非置換でも、1つ以上の好適な置換基により置換されていてもよい。さらに、アリール基は単環でも多環でもよい。いくつかの実施態様において、アリール基は少なくとも6、7、8、9、又は10の炭素原子を含む。
【0077】
「イソプレノイド」及び「イソプレノイド化合物」は、本明細書において交換可能に使用され、イソペンテニル二リン酸から誘導された化合物を意味する。
【0078】
化合物又は化学的部分の記載に使用される「置換されている」は、その化合物又は化学的部分の少なくとも1つの水素原子が第2の化学的部分により置き換わっていることを意味する。第2の化学的部分は、化合物の所望の活性に悪影響を与えない任意の所望の置換基でよい。置換基の例は、本明細書に開示される例示的な化合物及び実施態様に見いだされるもの並びにハロゲン;アルキル;ヘテロアルキル;アルケニル;アルキニル;アリール;ヘテロアリール、ヒドロキシル;アルコキシル;アミノ;ニトロ;チオール;チオエーテル;イミン;シアノ;アミド;ホスホナト;ホスフィン;カルボキシル;チオカルボニル;スルホニル;スルホンアミド;アシル;ホルミル;アシルオキシ;アルコキシカルボニル;オキソ;ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル);単環でも縮合もしくは非縮合多環でもよい炭素環シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシル)又は単環でも縮合もしくは非縮合多環でもよいヘテロシクロアルキル(例えば、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、又はチアジニル);炭素環又は複素環の、単環又は縮合もしくは非縮合多環アリール(例えば、フェニル、ナフチル、ピロリル、インドリル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、アクリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、又はベンゾフラニル);アミノ(一級、二級、又は三級);o-低級アルキル;o-アリール、アリール;アリール-低級アルキル;-CO2CH3;-CONH2;-OCH2CONH2;-NH2;-SO2NH2;-OCHF2;-CF3;-OCF3;-NH(アルキル);-N(アルキル)2;-NH(アリール);-N(アルキル)(アリール);-N(アリール)2;-CHO;-CO(アルキル);-CO(アリール);-CO2(アルキル);及び-CO2(アリール)であり;かつ、そのような部分は、縮合環構造又は橋かけ、例えば-OCH2O-により任意に置換されていてもよい。これらの置換基は、そのような基から選択された置換基により任意にさらに置換されていてもよい。特記されない限り、本明細書に開示される化学基は全て置換されていてよい。
【0079】
「有機リチウム試薬」は、炭素とリチウム原子との間の直接結合を持つ有機金属化合物を意味する。有機リチウム試薬の非限定的な例には、ビニルリチウム、アリールリチウム(例えばフェニルリチウム)及びアルキルリチウム(例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、メチルリチウム、イソプロピルリチウム、又は1〜20の炭素原子を有する他のアルキルリチウム試薬)がある。
【0080】
ある化合物を「実質的に含まない」組成物とは、該組成物の総重量に対して、該組成物が、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.01重量%未満の該化合物を含むことを意味する。
【0081】
「実質的に直鎖」であるポリマーとは、該組成物の総重量に対して、該ポリマーが、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.01重量%未満の分岐、星状、又は他の規則的もしくは不規則な構造を含むことを意味する。
【0082】
「実質的に分岐状」であるポリマーとは、該組成物の総重量に対して、該ポリマーが、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.01重量%未満の直鎖、星状、又は他の規則的もしくは不規則な構造を含むことを意味する。
【0083】
「実質的に星状」であるポリマーとは、該組成物の総重量に対して、該ポリマーが、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約3重量%未満、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、又は約0.01重量%未満の分岐、直鎖、又は他の規則的もしくは不規則な構造を含むことを意味する。
【0084】
以下の記載において、本明細書に開示される全数字は、「約」又は「およそ」という言葉が関連して使用されているかどうかにかかわらず、およその値である。数字は、1パーセント、2パーセント、5パーセント、又は時には10から20パーセント変動することがある。下限RL及び上限RUを持つ数値範囲が開示されている場合、その範囲内の任意の数字が具体的に開示されている。詳細には、範囲内の以下の数字が具体的に開示される:R=RL+k×(RU-RL)(式中、kは1パーセントの増加量を持つ1パーセントから100パーセントの範囲の変数であり、すなわち、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、…、50パーセント、51パーセント、52パーセント、…、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、又は100パーセントである)。さらに、上記で定義された2つのR数により定義される任意の数値範囲も具体的に開示される。
【0085】
本明細書に開示される組成物は、一般的にポリファルネセン及び任意に粘着付与剤を含む。他の実施態様において、本明細書に開示される組成物は粘着付与剤を含まない。さらなる実施態様において、本明細書に開示される組成物は粘着付与剤を含む。
【0086】
いくつかの実施態様において、ポリファルネセンは、ファルネセンホモポリマー、ファルネセン共重合体、又はそれらの組み合わせである。特定の実施態様において、該ポリファルネセンは、α-ファルネセン、β-ファルネセン、又はそれらの組み合わせなどの少なくとも1種のファルネセンから誘導された単位を含むファルネセンホモポリマーである。他の実施態様において、該ポリファルネセンは、少なくとも1種のファルネセンから誘導された単位及び少なくとも1種の共重合性ビニルモノマーから誘導された単位を含むファルネセン共重合体である。さらなる実施態様において、該ファルネセン共重合体は、スチレン及び少なくとも1種のファルネセンから誘導される。なおさらなる実施態様において、該ファルネセン共重合体は、ランダム、ブロック、又は交互共重合体である。なおさらなる実施態様において、該ファルネセン共重合体は、ジブロック、トリブロック、又は他のマルチブロック共重合体である。
【0087】
いくつかの実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、β-ファルネセンを、エチレン、スチレン、又はイソプレンなどのオレフィンの重合に好適な任意の触媒の存在下で重合させて調製される。他の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、その立体異性体、又はそれらの組み合わせを有する1種以上の単位を含む:
【化8】

(式中、R1は式(XI)を有し:かつ
【化9】

R2は式(XII)を有し:
【化10】

式中、m、n、l、及びkのそれぞれは、独立に、1から約5,000、1から約10,000、1から約50,000、1から約100,000、1から約200,000、1から約500,000、2から約10,000、2から約50,000、2から約100,000、2から約200,000、2から約500,000の整数である)。いくつかの実施態様において、m、n、l及びkのそれぞれは、独立に、1から100,000の整数である。他の実施態様において、m、n、l、及びkのそれぞれは、独立に、2から100,000の整数である。
【0088】
特定の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは式(I)を有する少なくとも1種の単位を含み、mが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。他の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは式(II)を有する少なくとも1種の単位を含み、nが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。さらなる実施態様において、ファルネセンホモポリマーは式(III)を有する少なくとも1種の単位を含み、lが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、ファルネセンホモポリマーは式(IV)を有する少なくとも1種の単位を含み、kが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。
【0089】
いくつかの実施態様において、フェルネセンホモポリマーは、式(I)を有する少なくとも1種の単位及び式(II)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとnとの合計が、約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。他の実施態様において、フェルネセンホモポリマーは、式(I)を有する少なくとも1種の単位及び式(III)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとlとの合計が、約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。他の実施態様において、フェルネセンホモポリマーは、式(II)を有する少なくとも1種の単位及び式(III)を有する少なくとも1種の単位を含み、nとlとの合計が、約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、フェルネセンホモポリマーは、式(I)を有する少なくとも1種の単位、式(II)を有する少なくとも1種の単位、及び式(III)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとnとlとの合計が、約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、フェルネセンホモポリマーは、式(I)を有する少なくとも1種の単位、式(II)を有する少なくとも1種の単位、式(III)を有する少なくとも1種の単位、及び式(IV)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとnとlとkとの合計が、約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセンホモポリマー中の式(I)、(II)、(III)、又は(IV)を有する1種以上の単位はどのような順序でもよい。
【0090】
特定の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、オレフィン重合に好適な任意の触媒の存在下でα-ファルネセンを重合させて調製される。他の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、その立体異性体、又はそれらの組み合わせを有する1種以上の単位を含む:
【化11】

(式中、R3は式(XIII)を有し:かつ
【化12】

R4は式(XIV)を有し:
【化13】

式中、m、n、l、及びkのそれぞれは、独立に、1から約5,000、1から約10,000、1から約50,000、1から約100,000、1から約200,000、1から約500,000、2から約10,000、2から約50,000、2から約100,000、2から約200,000、2から約500,000の整数である)。いくつかの実施態様において、m、n、l及びkのそれぞれは、独立に、1から100,000の整数である。他の実施態様において、m、n、l、及びkのそれぞれは、独立に、2から100,000の整数である。
【0091】
特定の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(V)を有する少なくとも1種の単位を含み、mが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。他の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(VI)を有する少なくとも1種の単位を含み、nが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。さらなる実施態様において、フェルネセンホモポリマーは、式(VII)を有する少なくとも1種の単位を含み、lが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、フェルネセンホモポリマーは、式(VIII)を有する少なくとも1種の単位を含み、kが約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。
【0092】
いくつかの実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(V)を有する少なくとも1種の単位及び式(VI)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとnとの合計が約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。他の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(V)を有する少なくとも1種の単位及び式(VII)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとlとの合計が約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。他の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(VI)を有する少なくとも1種の単位及び式(VII)を有する少なくとも1種の単位を含み、nとlとの合計が約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(V)を有する少なくとも1種の単位、式(VI)を有する少なくとも1種の単位、及び式(VII)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとnとlとの合計が約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(V)を有する少なくとも1種の単位、式(VI)を有する少なくとも1種の単位、式(VII)を有する少なくとも1種の単位、及び式(VIII)を有する少なくとも1種の単位を含み、mとnとlとkとの合計が約300を超え、約500を超え、又は約1000を超える。なおさらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセンホモポリマー中の式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)を有する1種以上の単位はどのような順序でもよい。
【0093】
いくつかの実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、オレフィン重合に好適な任意の触媒の存在下で、α-ファルネセンとβ-ファルネセンとの混合物を重合させて調製される。他の実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、本明細書に開示される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)、その立体異性体、又はそれらの組み合わせを有する1種以上の単位を含む。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセンホモポリマー中の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)を有する少なくとも1種の単位はどのような順序でもよい。
【0094】
いくつかの実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、その立体異性体、及びそれらの組み合わせから選択される2つの異なる式を有する2種以上の単位を含む。他の実施態様において、そのようなファルネセンホモポリマーは以下の式により表すことができる:AxBy(式中、x及びyのそれぞれは少なくとも1であり、A及びBのそれぞれは、独立に、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)を有し、AとBは異なる)。さらなる実施態様において、x及びyのそれぞれは独立に1より大きく、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、A及びBは、実質的に分岐状又は実質的に星状ではなく、実質的に直鎖状に結合している。他の実施態様において、A及びBは、ファルネセンホモポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。他の実施態様において、A及びBは2つの「セグメント」にあり、例えば、AA--A-BB---Bなどのセグメント構造を有するファルネセンホモポリマーを与える。他の実施態様において、A及びBは、ファルネセンホモポリマー鎖に沿って交互に分布して、A-B、A-B-A、A-B-A-B、A-B-A-B-Aなどの交互構造を有するファルネセンホモポリマーを与える。
【0095】
いくつかの実施態様において、ファルネセンホモポリマーは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、その立体異性体、及びそれらの組み合わせから選択される3つの異なる式を有する3種以上の単位を含む。他の実施態様において、そのようなファルネセンホモポリマーは以下の式により表すことができる:AxByCz(式中、x、y、及びzのそれぞれは少なくとも1であり、A、B、及びCのそれぞれは、独立に、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)を有し、AとBとCとは異なる)。さらなる実施態様において、x、y、及びzのそれぞれは独立に1より大きく、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、A、B、及びCは、実質的に分岐状又は実質的に星状ではなく、実質的に直鎖状に結合している。他の実施態様において、A、B、及びCは、ファルネセンホモポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。他の実施態様において、A、B、及びCは3つの「セグメント」にあり、例えば、AA--A-BB--B-CC--Cなどのセグメント構造を有するファルネセンホモポリマーを与える。他の実施態様において、A、B、及びCは、ファルネセンホモポリマー鎖に沿って交互に分布して、例えばA-B-C-A-B、A-B-C-A-B-Cなどの交互構造を有するファルネセンホモポリマーを与える。
【0096】
特定の実施態様において、ポリファルネセンはファルネセン共重合体である。他の実施態様において、該フェルネセン共重合体は、少なくとも1種のファルネセンと少なくとも1種のビニルモノマーとを、オレフィンとビニルモノマーとの重合に好適な任意の触媒の存在下で重合させて調製される。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、(a)本明細書に開示される式(I)、(II)、(III)、及び(IV)の少なくとも1種を有する1種以上の単位;並びに(b)式(IX)を有する1種以上の単位を含む:
【化14】

(式中、pは1から約5,000、1から約10,000、1から約50,000、1から約100,000、1から約200,000、1から約500,000、2から約10,000、2から約50,000、2から約100,000、2から約200,000、又は2から約500,000の整数であり;R5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、独立に、H、オルガニル基、又は官能基である)。いくつかの実施態様において、R5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、4〜8の炭素原子を含む一価炭化水素基ではない。いくつかの実施態様において、R5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、4〜8の炭素原子を含むアルキル基ではない。
【0097】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、(a)本明細書に開示される式(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)の少なくとも1種を有する1種以上の単位;並びに(b)本明細書に開示される式(IX)を有する1種以上の単位を含む。他の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、(a)本明細書に開示される式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)の少なくとも1種を有する1種以上の単位;並びに(b)本明細書に開示される式(IX)を有する1種以上の単位を含む。
【0098】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体はランダム共重合体である。他の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、ビニルモノマー単位及びファルネセン単位がランダムに分布しているランダム共重合体である。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、ビニルモノマー単位及びファルネセン単位がランダムに分布しており、該ファルネセン単位中の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、及び(XI)の2種以上が、ランダム、交互、又はブロックで分布しているランダム共重合体である。
【0099】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は交互共重合体である。他の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、ビニルモノマー単位及びファルネセン単位が交互に分布している交互共重合体である。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、ビニルモノマー単位及びファルネセン単位が交互に分布しており、該ファルネセン単位中の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、及び(XI)の2種以上が、ランダム、交互、又はブロックで分布している交互共重合体である。
【0100】
特定の実施態様において、ファルネセン共重合体は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、又はそれらの組み合わせを有する1種以上の単位を含む1つ以上の第1ブロック及び式(IX)を有する1種以上の単位を含む1つ以上の第2ブロックを有するブロック共重合体である。さらなる実施態様において、該ファルネセン共重合体は、式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、又はそれらの組み合わせを有する1種以上の単位を含む1つ以上の第1ブロック及び式(IX)を有する1種以上の単位を含む1つ以上の第2ブロックを有するブロック共重合体である。なおさらなる実施態様において、1つの第1ブロック及び2つの第2ブロックがあり、該第1ブロックは該第2ブロックの間にある。なおさらなる実施態様において、該第2ブロックのそれぞれはスチレンから誘導された単位を含む。いくつかの実施態様において、該ファルネセンブロック共重合体は、ポリスチレン-ポリファルネセンジブロックポリファルネセン、ポリスチレン-ポリファルネセン-ポリスチレントリブロックポリファルネセン、又はそれらの組み合わせである。
【0101】
いくつかの実施態様において、ファルネセン共重合体は以下の式により表すことができる:PxQy(式中、x及びyのそれぞれは少なくとも1であり、Pは式(IX)を有し、Qは、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)を有する)。さらなる実施態様において、x及びyのそれぞれは、独立に、1より大きく、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、又はそれ以上である。いくつかの実施態様において、P及びQは、実質的に分岐状又は実質的に星状ではなく、実質的に直鎖状に結合している。他の実施態様において、P及びQは、ファルネセン共重合体鎖に沿ってランダムに分布している。他の実施態様において、P及びQは、2種以上のブロック又はセグメントにあり、例えばPP--P-QQ---Q又はPP--P-QQ---Q-P---PPなどのブロック構造を有するファルネセン共重合体を与える。他の実施態様において、P及びQは、ファルネセン共重合体鎖に沿って交互に分布しており、例えば、P-Q、P-Q-P、P-Q-P-Q、P-Q-P-Q-Pなどの交互構造を有するファルネセン共重合体を与える。いくつかの実施態様において、Qはそれぞれ、本明細書に開示される式AxBy又はAxByCzを有する。
【0102】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(I)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約85重量%、最大約80重量%、最大約70重量%、最大約60重量%、又は最大約50重量%である。他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(III)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%である。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(II)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、約1重量%から約99重量%、約5重量%から約99重量%、約10重量%から約99重量%、約15重量%から約99重量%である。なおさらなる実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(IV)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約0.1重量%、最大約0.5重量%、最大約1重量%、最大約2重量%、又は最大約3重量%である。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンは、式(I)、(II)、(III)、又は(IV)を実質的に含まない。
【0103】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約1重量%、最大約5重量%、最大約10重量%、最大約20重量%、最大約30重量%、最大約40重量%、最大約50重量%、最大約60重量%、最大約70重量%、最大約80重量%、又は最大約90重量%である。他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%である。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、約1重量%から約99重量%、約5重量%から約99重量%、約10重量%から約99重量%、又は約15重量%から約99重量%である。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンは、式(V)、(VI)、(VII)、又は(VIII)を実質的に含まない。
【0104】
他の実施態様において、本明細書に開示されるmとnとの合計は、約250を超え、約300を超え、約500を超え、約750を超え、約1000を超え、又は約2000を超える。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるmとlとの合計は、約250を超え、約300を超え、約500を超え、約750を超え、約1000を超え、又は約2000を超える。特定の実施態様において、本明細書に開示されるmとnとlとの合計は、約250を超え、約300を超え、約500を超え、約750を超え、約1000を超え、又は約2000を超える。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるmとnとlとkとの合計は、約250を超え、約300を超え、約500を超え、約750を超え、約1000を超え、又は約2000を超える。
【0105】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、又は粘度平均分子量(Mz)は、約60,000ダルトンを超え、約100,000ダルトンを超え、200,000ダルトンを超え、300,000ダルトンを超え、約500,000ダルトンを超え、750,000ダルトンを超え、1,000,000ダルトンを超え、1,500,000ダルトンを超え、又は2,000,000ダルトンを超える。他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンのMn、Mw、又はMzは、約10,000,000ダルトン未満、5,000,000ダルトン未満、1,000,000ダルトン未満、約750,000ダルトン未満、又は500,000ダルトン未満である。
【0106】
いくつかの実施態様において、該ポリファルネセンは、引用により本明細書に組み込まれるASTM D7426-08「ポリマー又はエラストマー化合物のTg測定のためのDSC手順の任務のための標準試験方法(Standard Test Method for Assignment of the DSC Procedure for Determining Tg of a Polymer or an Elastomeric Compound)に準じて測定して、-55℃未満、-60℃未満、-65℃未満、-70℃未満、又は-75℃未満のガラス転移温度(Tg)を少なくとも有する。
【0107】
いくつかの実施態様において、式(I)の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約80重量%である。他の実施態様において、mとnとlとの合計は約300を超える。さらなる実施態様において、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(IX)、(XI)、(XII)、及びその立体異性体の1種以上にある二重結合の少なくとも一部分は水素化されている。
【0108】
いくつかの実施態様において、該ポリファルネセンはファルネセン共重合体である。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、ファルネセン共重合体全体の少なくとも約5モルパーセント、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約15モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、少なくとも約80モルパーセント、又は少なくとも約90モルパーセントの量でファルネセンから誘導された1種以上の単位を含む。なおさらなる実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、ファルネセン共重合体全体の少なくとも約5モルパーセント、少なくとも約10モルパーセント、少なくとも約15モルパーセント、少なくとも約20モルパーセント、少なくとも約30モルパーセント、少なくとも約40モルパーセント、少なくとも約50モルパーセント、少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、少なくとも約80モルパーセント、又は少なくとも約90モルパーセントの量でビニルモノマーから誘導された1種以上の単位を含む。
【0109】
特定の実施態様において、該ポリファルネセンは、式(X')を有する1種以上のポリマー分子を含む:
【化15】

(式中、nは、1から約5,000、1から約10,000、1から約50,000、1から約100,000、1から約200,000、又は1から約500,000の整数であり;mは、0から約5,000、0から約10,000、0から約50,000、0から約100,000、0から約200,000、又は0から約500,000の整数であり;Xはファルネセンから誘導され;Yはビニルモノマーから誘導される)。
【0110】
いくつかの実施態様において、Xは式(I')〜(VIII')の1種以上を有する:
【化16】


【0111】
特定の実施態様において、Yは式(IX')を有する:
【化17】

(式中、R1、R2、R3、R4は本明細書で定義されたとおりであり、R5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、独立に、H、オルガニル基、又は官能基である)。
【0112】
一般に、ポリファルネセンはポリマー分子の混合物を含み、そのそれぞれは式(X')を有し、n及びmのそれぞれは独立に特定の値を有する。本明細書に開示されるn又はmの値の平均及び分布は、出発物質のモル比、反応時間及び温度、連鎖停止剤の有無、開始剤を使用する場合その量、並びに重合条件などの種々の因子に依存する。式(X')のファルネセン共重合体は未反応のコモノマーを含むことがあるが、コモノマーの濃度は、非常に低いか又は検知不可能でないとしても一般的に低いだろう。n及びmの値により特定される重合の程度は、得られるポリマーの性質に影響を与えうる。いくつかの実施態様において、nは、1から約5,000、1から約10,000、1から約50,000、1から約100,000、1から約200,000、又は1から約500,000の整数であり;mは、0から約5,000、0から約10,000、0から約50,000、0から約100,000、0から約200,000、又は0から約500,000の整数である。他の実施態様において、nは、独立に、約1から約5000、約1から約2500、約1から約1000、約1から約500、約1から約100、又は約1から約50であり;mは、約0から約5000、約0から約2500、約0から約1000、約0から約500、約0から約100、又は約0から約50である。当業者は、平均のn及びmの値の追加の範囲が企図され、本開示の中にあることを認識するだろう。
【0113】
いくつかの実施態様において、式(X')は以下の式により示される2つの末端基を有する:
【化18】

(式中、式中のアスタリスク(*)のそれぞれは、出発物質のモル比、連鎖停止剤の有無、及び重合工程の最後での特定の重合プロセスの状態などの多くの因子に依存してポリファルネセンの異なるポリマー分子の間で変わることも変わらないこともある末端基を表す)。
【0114】
いくつかの実施態様において、式(X')のX及びYは実質的に直鎖状に結合している。他の実施態様において、式(X')のX及びYは実質的に分岐状に結合している。さらなる実施態様において、式(X')のX及びYは実質的に星状に結合している。なおさらなる実施態様において、X及びYのそれぞれは、少なくとも1つのXブロック及び少なくとも1つのYブロックを有するジブロック、トリブロック、又はマルチブロックファルネセン共重合体を与えるように、独立にポリマー鎖に沿って少なくとも1ブロックを形成する。なおさらなる実施態様において、X及びYは、ランダムファルネセン共重合体を与えるように、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。なおさらなる実施態様において、X及びYは、交互ファルネセン共重合体を与えるように、ポリマー鎖に沿って交互に分布している。
【0115】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体中のファルネセンの量は、該ファルネセン共重合体の総量に対して、約1.5モル%を超え、約2.0モル%を超え、約2.5モル%を超え、約5モル%を超え、約10モル%を超え、約15モル%を超え、又は約20モル%を超える。他の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体中のファルネセンの量は、該ファルネセン共重合体の総量に対して、約90モル%未満、約80モル%未満、約70モル%未満、約60モル%未満、約50モル%未満、約40モル%未満、又は約30モル%未満である。
【0116】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体中のビニルモノマーの量は、該ファルネセン共重合体の総量に対して、約1.5モル%を超え、約2.0モル%を超え、約2.5モル%を超え、約5モル%を超え、約10モル%を超え、約15モル%を超え、又は約20モル%を超える。他の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体中のビニルモノマーの量は、該ファルネセン共重合の総量に対して、約90モル%未満、約80モル%未満、約70モル%未満、約60モル%未満、約50モル%未満、約40モル%未満、又は約30モル%未満である。
【0117】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体中のファルネセン対ビニルモノマーのモルパーセント比(すなわち、X対Yのモルパーセント比)は、約1:5から約100:1である。他の実施態様において、X対Yのモルパーセント比は、約1:4から約100:1;約1:3.5から約100:1、約1:3から約100:1、約1:2.5から約100:1、又は約1:2から約100:1である。いくつかの実施態様において、mは1以上であり、X対Yのモルパーセント比は約1:4から約100:1である。
【0118】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(I')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約85重量%、最大約80重量%、最大約70重量%、最大約60重量%、又は最大約50重量%である。他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(III')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%である。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(II')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、約1重量%から約99重量%、約5重量%から約99重量%、約10重量%から約99重量%、又は約15重量%から約99重量%である。なおさらなる実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(IV')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約0.1重量%、最大約0.5重量%、最大約1重量%、最大約2重量%、又は最大約3重量%である。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンは、式(I')、(II')、(III')、又は(IV')を実質的に含まない。
【0119】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(V')、(VI')、(VII')、又は(VIII')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約1重量%、最大約5重量%、最大約10重量%、最大約20重量%、最大約30重量%、最大約40重量%、最大約50重量%、最大約60重量%、最大約70重量%、最大約80重量%、又は最大約90重量%である。他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(V')、(VI')、(VII')、又は(VIII')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%である。さらなる実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン中の式(V')、(VI')、(VII')、又は(VIII')の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、約1重量%から約99重量%、約5重量%から約99重量%、約10重量%から約99重量%、又は約15重量%から約99重量%である。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンは、式(V')、(VI')、(VII')、又は(VIII')を実質的に含まない。
【0120】
ファルネセンと共重合可能な、ビニル基、すなわち-CH=CH2を含む任意の化合物を、本明細書に開示されるファルネセン共重合体を製造するためのビニルモノマーとして使用することができる。本明細書に開示される有用なビニルモノマーには、エチレン、すなわちCH2=CH2がある。特定の実施態様において、該ビニルモノマーは式(XV)を有する:
【化19】

(式中、R5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、独立に、H、オルガニル基、又は官能基である)。
【0121】
いくつかの実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8の少なくとも1つはオルガニル基である。さらなる実施態様において、該オルガニル基は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、又は置換ヘテロシクリルである。特定の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アシルオキシ、ニトリル、又はハロである。他の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アシルオキシ、ニトリル、又はハロである。特定の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5はアリールであり;R6、R7、及びR8のそれぞれはHである。さらなる実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5はフェニルであり;R6、R7、及びR8のそれぞれはHである。
【0122】
特定の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8の少なくとも1つはHである。他の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8のそれぞれはHである。さらなる実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5はヒドロカルビルであり;R6、R7、及びR8のそれぞれはHである。なおさらなる実施態様において、該ヒドロカルビルは、アルキル、シクロアルキル、又はアリールである。なおさらなる実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8のいずれも、アルケニル、シクロアルケニル、もしくはアルキニルでなく、又はそれを含まない。なおさらなる実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8のいずれも、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクリル、もしくは置換ヘテロシクリルでなく、又はそれを含まない。
【0123】
特定の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8の少なくとも1つは、ハロ、O、N、S、P、又はそれらの組み合わせを含む官能基である。好適な官能基の非限定的な例には、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ニトロ、チオール、チオエーテル、イミン、シアノ、アミド、ホスホナト(-P(=O)(O-アルキル)2、-P(=O)(O-アリール)2、又は-P(=O)(O-アルキル)(O-アリール))、ホスフィナト(-P(=O)(O-アルキル)アルキル、-P(=O)(O-アリール)アルキル、-P(=O)(O-アルキル)アリール、又は-P(=O)(O-アリール)アリール)、カルボキシル、チオカルボニル、スルホニル(-S(=O)2アルキル、又は-S(=O)2アリール)、スルホンアミド(-SO2NH2、-SO2NH(アルキル)、-SO2NH(アリール)、-SO2N(アルキル)2、-SO2N(アリール)2、又は-SO2N(アリール)(アルキル))、ケトン、アルデヒド、エステル、オキソ、アミノ(一級、二級、又は三級)、-CO2CH3、-CONH2、-OCH2CONH2、-NH2、-OCHF2、-OCF3、-NH(アルキル)、-N(アルキル)2、-NH(アリール)、-N(アルキル)(アリール)、-N(アリール)2、-CHO、-CO(アルキル)、-CO(アリール)、-CO2(アルキル)、又は-CO2(アリール)がある。いくつかの実施態様において、該官能基は、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アシルオキシ、ニトリル、もしくはハロであるか、又はそれを含む。他の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8はいずれも官能基でなく、又は官能基を含まない。他の実施態様において、式(IX)、(IX')、又は(XV)のR5、R6、R7、及びR8はいずれも、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アシルオキシ、ニトリル、もしくはハロでなく、又はそれを含まない。
【0124】
いくつかの実施態様において、ビニルモノマーは置換又は非置換オレフィンであり、例えば、エチレンもしくはスチレン、ビニルハライド、ビニルエーテル、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、又はそれらの組み合わせである。他の実施態様において、該ビニルモノマーは、エチレン、α-オレフィン、又はそれらの組み合わせである。好適なα-オレフィンの非限定的な例には、スチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、ノルボルネン、1-デセン、1,5-ヘキサジエン、及びそれらの組み合わせがある。
【0125】
いくつかの実施態様において、該ビニルモノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、又はジビニルベンゼンなどのアリールである。追加の例には、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第7,041,761号により開示されたものなどの官能化ビニルアリールがある。
【0126】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、少なくとも1種のファルネセン及び少なくとも1種のオレフィンモノマーから誘導される。オレフィンとは、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を持つ不飽和炭化水素系化合物を意味する。特定の実施態様において、該オレフィンは共役ジエンである。触媒の選択により、任意のオレフィンを本発明の実施態様に使用できる。好適なオレフィンの非限定的な例には、ビニル不飽和性を含むC2-20脂肪族及びC8-20芳香族化合物並びにシクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエンなどの環式化合物及び5位及び6位でC1-20ヒドロカルビルもしくはシクロヒドロカルビル基により置換されているノルボルネンを含むがこれに限定されないノルボルネンがある。好適なオレフィンの他の非限定的な例には、そのようなオレフィンの混合物並びにそのようなオレフィンとC4-40ジオレフィン化合物との混合物がある。
【0127】
好適なオレフィン又はα-オレフィンモノマーの非限定的な例には、スチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,6-ジメチル-1-ヘプテン、4-ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキサン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C4-40ジエン、例えば限定はされないが、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、他のC4-40α-オレフィンなどがある。特定の実施態様において、該オレフィンモノマーは、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、又はそれらの組み合わせである。
【0128】
本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、ファルネセン及びスチレンから誘導してよい。該ファルネセン共重合体は、少なくとも1種のC2-20オレフィン、少なくとも1種のC4-18ジオレフィン、少なくとも1種のアルケニルベンゼン、又はそれらの組み合わせをさらに含むことがある。ファルネセンとの重合に有用である好適な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン型不飽和モノマー、共役もしくは非共役ジエンなどのポリエン、アルケニルベンゼンなどがある。そのようなコモノマーの例には、エチレン、C2-20オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンなどがある。他の好適なモノマーには、スチレン、ハロ-もしくはアルキル-置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、及びシクロアルケン、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、及びシクロオクテンがある。
【0129】
いくつかの好適な非共役ジエンモノマーは、6から15の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、又は環式の炭化水素ジエンでよい。好適な非共役ジエンの非限定的な例には、直鎖非環式ジエン、例えば、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、分岐鎖非環式ジエン、例えば、5-メチル-1,4-ヘキサジエン;3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン;3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、並びにジヒドロミリセン及びジヒドロオシネンの異性体混合物、単環脂環式ジエン、例えば、1,3-シクロペンタジエン;1,4-シクロヘキサジエン;1,5-シクロオクタジエン、及び1,5-シクロドデカジエン、並びに多環脂環式縮合及び架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ-(2,2,1)-へプタ-2,5-ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及びシクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB);5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、及びノルボルナジエンがある。EPDMの調製に通常使用されるジエンのうち、特に好ましいジエンは、1,4-ヘキサジエン(HD)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニリデン-2-ノルボルネン(VNB)、5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。特定の実施態様において、該ジエンは、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)又は1,4-ヘキサジエン(HD)である。他の実施態様において、該ファルネセン共重合体は、ジエン、トリエン、テトラエンなどのポリエンから誘導されない。
【0130】
いくつかの実施態様において、該ファルネセン共重合体は、ファルネセンとスチレンとC2-20オレフィンとの共重合体である。好適なオレフィンの非限定的な例には、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクテンがある。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体はエチレンから誘導されない。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、1種以上のC2-20オレフィンから誘導されない。
【0131】
特定の実施態様において、ビニルモノマーはテルペンを含まない。他の実施態様において、該ビニルモノマーは、イソプレン、ジペンテン、α-ピネン、β-ピネン、テルピノレン、リモネン(ジペンテン)、テルピネン、ツジュン、サビネン、3-カレン、カンフェン、カジネン、カリオフィレン、ミルセン、オシメン、セドレン、ビサルボン(bisalbone)、ビサルボン、ビサルボン、ジンギベレン、フムレン、シトロネロール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、イプセノール、テルピネオール、D-テルピネオール-(4)、ジヒドロカルベオール、ネロリドール、フェルネソール、ユーデスモール、シトラール、D-シトロネラール、カルボン、D-プレゴン、ピペリトン、カルベノン、ビサボレン、セリネン、サンタレン、ビタミンA、アビエチン酸、又はそれらの組み合わせから選択されるテルペンを含まない。さらなる実施態様において、該ビニルモノマーはイソプレンを含まない。
【0132】
ファルネセン共重合体は、そのポリマー構造中に少なくとも1種の官能基を取り込むことにより官能化できる。例示的な官能基には、例えば、エチレン型不飽和モノ-及びジ-官能性カルボン酸、エチレン型不飽和モノ-及びジ-官能性カルボン酸無水物、その塩、及びそのエステルがある。そのような官能基はファルネセン共重合体にグラフトすることができ、又は、それらは任意の追加コモノマーと共重合されたファルネセンであって、ファルネセンと、官能性コモノマーと、任意の他のコモノマー(複数可)との共重合体を形成することもできる。当業者に公知の官能基をグラフト化する任意の手段を利用できる。特に有用な官能基は無水マレイン酸である。
【0133】
官能性ファルネセン共重合体に存在する官能基の量は変わりうる。いくつかの実施態様において、該官能基は、ファルネセン共重合体の総重量に対して、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約7.5重量%、又は少なくとも約10重量%の量で存在する。他の実施態様において、該官能基は、ファルネセン共重合体の総重量に対して、約40重量%未満、約30重量%未満、約25重量%未満、約20重量%未満、又は約15重量%未満の量で存在する。
【0134】
ファルネセンを重合又は共重合させることができる任意の触媒を、本明細書に開示されるポリファルネセンの製造に使用できる。好適な触媒の非限定的な例には、有機リチウム試薬、チーグラーナッタ触媒、カミンスキー触媒、及び他のメタロセン触媒がある。いくつかの実施態様において、該触媒は、チーグラーナッタ触媒、カミンスキー触媒、メタロセン触媒、又はそれらの組み合わせである。
【0135】
いくつかの実施態様において、該触媒はさらに助触媒を含む。さらなる実施態様において、該助触媒は、金属のハライド、アルキル、もしくはアリール、又はそれらの組み合わせである。なおさらなる実施態様において、該金属は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、又はマグネシウムである。
【0136】
いくつかの実施態様において、該触媒は有機リチウム試薬である。オレフィン重合の触媒として作用できる任意の有機リチウム試薬を本明細書において使用できる。好適な有機リチウム試薬の非限定的な例には、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、又はtert-ブチルリチウムがある。好適なルイス塩基の非限定的な例には、TMEDA、PMDTA、又はスパルテインがある。数種の有機リチウム試薬が、どちらも引用により本明細書に組み込まれるZvi Rappoportらの論文「有機リチウム化合物の化学(The Chemistry of Organolithium Compounds)」、パート1(2004)及び2巻(2006)に開示されている。
【0137】
いくつかの実施態様において、触媒は、有機リチウム試薬とルイス塩基との混合物である。有機リチウム試薬の会合を解き溶解度及び反応性を高めることのできる任意のルイス酸を本明細書において使用できる。会合している有機リチウム試薬は、一般に2つ以上の炭素原子に配位している1つのリチウム及び2つ以上のリチウム原子に配位している1つの炭素原子を有する。好適なルイス塩基の非限定的な例には、1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタン(テトラメチルエチレンジアミン又はTMEDAとしても知られる)、N,N,N'N'N"-ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDTA)、スパルテイン、及びそれらの組み合わせがある。
【0138】
いくつかの実施態様において、該触媒はチーグラーナッタ触媒である。一般的に、チーグラーナッタ触媒は、不均一系にも均一系にもなりうる。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンの重合に使用されるチーグラーナッタ触媒は、不均一系チーグラーナッタ触媒である。数種の有用なチーグラーナッタ触媒が、どちらも引用により本明細書に組み込まれるJ.Boorの文献「チーグラーナッタ触媒及び重合(Ziegler-Νatta Catalysts and Polymerizations)」、Saunders College Publishing、1-687ページ(1979);及びMalcolm P. Stevensの文献「ポリマー化学、入門(Polymer Chemistry, an Introduction)」、3版、Oxford University Press、236-245ページ(1999)に開示されている。
【0139】
不均一系チーグラーナッタ触媒は、一般的に、(1)周期律表のIV族からVIII族の元素を含む遷移金属化合物;及び(2)I族からIII族の金属を含む有機金属化合物を含む。遷移金属化合物は触媒と称されるが、有機金属化合物は助触媒又は活性化剤と見なされる。遷移金属化合物は一般的に金属及び1つ以上のアニオン及び配位子を含む。好適な金属の非限定的な例には、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、鉄、及びコバルトがある。好適なアニオン又は配位子の非限定的な例には、ハライド、オキシハライド、アルコキシ、アセチルアセトニル、シクロペンタジエニル、及びフェニルがある。
【0140】
有機金属錯体をイオン化して活性なオレフィン重合触媒を生み出すことのできる任意の助触媒又は活性化剤を本明細書において使用できる。一般的に、有機金属助触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、及びマグネシウムなどの金属のヒドリド、アルキル、又はアリールである。好適な助触媒の非限定的な例には、アルモキサン(メチルアルモキサン(MAO)、PMAO、エチルアルモキサン、ジイソブチルアルモキサン)、アルキルアルミニウム化合物(トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム)、ジエチル亜鉛、ジ(i-ブチル)亜鉛、ジ(n-ヘキシル)亜鉛、及びエチル亜鉛(t-ブトキシド)などがある。他の好適な助触媒には、非求核性アニオンを含む酸性塩がある。これらの化合物は一般的に、ホウ素又はアルミニウムに結合した嵩高い配位子からなる。そのような化合物の非限定的な例には、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどがある。好適な助触媒の非限定的な例には、ホウ素及び1つ以上のアルキル、アリール、又はアラルキル基を含む有機ボランがある。好適な助触媒の他の非限定的な例には、置換及び非置換トリアルキルボラン及びトリアリールボラン、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルボラン、トリ-n-オクチルボランなどがある。これら及び他の好適なホウ素含有助触媒又は活性化剤は、どちらも引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5,153,157号、同第5,198,401号、及び同第5,241,025号に記載されている。
【0141】
特定の実施態様において、チーグラーナッタ触媒は、担体材料に含浸させることができる。数種の好適な担体材料が、引用により本明細書に組み込まれるMalcolm P. Stevensの文献「ポリマー化学、入門(Polymer Chemistry, an Introduction)」3版、Oxford University Press、251ページ(1999)に記載されている。
【0142】
担体材料は一般的に、オレフィン重合反応に不活性であるか、又は実質的に不活性な材料である。好適な担体材料の非限定的な例には、MgCl2、MgO、活性アルミナ及びミクロゲルなどのアルミナ、シリカ、マグネシア、珪藻土、フラー土、粘土、アルミナシリケート、多孔性希土類ハライド及びオキシハライド(oxylalides)、及びそれらの組み合わせがある。担体材料は、引用により本明細書に組み込まれるS. Brunauer、P. H. Emmett、及びE. Tellerの論文Journal of the American Chemical Society, 60, 309(1938)に記載されるとおり、表面積を測定するBET(Brunauer-Emmet-Teller)法により測定して、約5m2/gから約450m2/gの表面積を有することがある。いくつかの実施態様において、担体材料の表面積は約10m2/gから約350m2/gである。さらなる実施態様において、担体材料の表面積は約25m2/gから約300m2/gである。
【0143】
担体材料は、約20から約300ミクロン、約20から約250ミクロン、約20から約200ミクロン、約20から約150ミクロン、約20から約120ミクロン、約30から約100ミクロン、又は約30から約90ミクロンの平均粒径を有することがある。担体材料の圧縮又は突き固めた嵩密度は、約0.6から約1.6g/cc、約0.7から約1.5g/cc、約0.8から約1.4g/cc、又は約0.9から約1.3g/ccの範囲になることがある。
【0144】
特定の実施態様において、本明細書に使用される触媒は、均一系チーグラーナッタ触媒としても知られるカミンスキー触媒であるか、又はそれを含む。カミンスキー触媒を使用して、独特な構造及び物性を有する本明細書に開示されるポリファルネセンなどのポリオレフィンを製造できる。数種のカミンスキー触媒又は均一系チーグラーナッタ触媒が、どちらも引用により本明細書に組み込まれるMalcolm P. Stevensの文献「ポリマー化学、入門(Polymer Chemistry, an Introduction)」3版、Oxford University Press、245-251ページ(1999);並びにJohn Scheirs及びWalter Kaminskyの文献「メタロセン系ポリオレフィン:調製、性質、及び技術(Metallocene-Based Polyolefins: Preparation, Properties, and Technology)」1巻、Wiley (2000)に開示されている。
【0145】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンの製造に好適なカミンスキー触媒は、フェロセン環構造にはさまれた遷移金属原子を含む。他の実施態様において、カミンスキー触媒は、式Cp2MX2により表すことができる(式中、Mは遷移金属(例えば、Zr、Ti、又はHf)であり;Xは、ハロゲン(例えばCl)、アルキル、又はそれらの組み合わせであり;Cpはフェロセニル基である)。さらなる実施態様において、カミンスキー触媒は式(XVI)を有する:
【化20】

(式中、Zは任意の二価橋かけ基、通常C(CH3)2、Si(CH3)2、又はCH2CH2であり;RはH又はアルキルであり;Mは遷移金属(例えば、Zr、Ti、又はHf)であり;Xはハロゲン(例えばCl)、アルキル、又はそれらの組み合わせである)。カミンスキー触媒の非限定的な例は式(XVII)から(XIX)を有する:
【化21】

(式中、Mは、Zr、Hf、又はTiである)。
【0146】
いくつかの実施態様において、助触媒がカミンスキー触媒とともに使用される。助触媒は本明細書に開示される助触媒のいずれでもよい。特定の実施態様において、該助触媒は、メチルアルミノキサン(MAO)である。MAOは、nが1から10である一般式(CH3AlO)nを有するオリゴマー化合物である。MAOはいくつかの役割を果たしうる:塩素原子をメチル基により置換してメタロセン前駆体をアルキル化する;触媒活性イオンペアCp2MCH3+/MAO-を生みだすが、カチオン部分は重合の原因であると考えられ、MAOは弱配位性のアニオンとして作用する。MAOの非限定的な例には式(XX)から(XXI)がある:
【化22】


【0147】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体を製造するための触媒は、メタロセン触媒であるか、又はそれを含む。数種のメタロセン触媒が、どちらも引用により本明細書に組み込まれるTae Oan Ahnらの文献「メタロセン触媒によるチーグラーナッタ触媒の修飾及びそのオレフィン重合挙動(Modification of a Ziegler-Natta catalyst with a metallocene catalyst and its olefin polymerization behavior)」Polymer Engineering and Science, 39(7), p.1257(1999);並びにJohn Scheirs及びWalter Kaminskyの文献「メタロセン系ポリオレフィン:調製、性質、及び技術(Metallocene-Based Polyolefins: Preparation, Properties, and Technology)」1巻、Wiley (2000)に開示されている。
【0148】
他の実施態様において、メタロセン触媒は、Ni及びPdなどの遷移金属を含む遷移金属中心並びにα-ジイミン又はジケチミンを含む嵩高く中性の配位子を持つ錯体を含む。さらなる実施態様において、メタロセン触媒は式(XXII)を有する:
【化23】

(式中、MはNi又はPdである)。
【0149】
いくつかの実施態様において、本明細書に使用される触媒は、モノアニオン性二座配位子を有するメタロセン触媒であるか、又はそれを含む。そのようなメタロセン触媒の非限定的な例は構造(XXIII)を有する:
【化24】


【0150】
他の実施態様において、本明細書に使用される触媒は鉄を含むメタロセン触媒であるか、又はそれを含み、ピリジルが2つのイミン基の間に組み込まれて三座配位子を与える。そのようなメタロセン触媒の非限定的な例は構造(XXIV)を有する:
【化25】


【0151】
いくつかの実施態様において、本明細書に使用される該触媒は、ジルコニウムに基づくサリチルイミン触媒系を含むメタロセン触媒であるか、又はそれを含む。そのようなメタロセン触媒の非限定的な例は構造(XXV)を有する:
【化26】


【0152】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセンホモポリマーは、
(a)微生物を利用して単純な糖又は非発酵性炭素源からファルネセンを製造する工程;及び
(b)本明細書に開示される触媒の存在下で該ファルネセンを重合する工程
を含む方法により調製される。
【0153】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、
(a)微生物を利用して単純な糖又は非発酵性炭素源からファルネセンを製造する工程;及び
(b)本明細書に開示される触媒の存在下で該ファルネセンと少なくとも1種のビニルモノマーとを共重合する工程
を含む方法により調製される。
【0154】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンは、触媒の存在下でβ-ファルネセンを重合させることにより調製されるが、該ポリファルネセン中のcis-1,4-微細構造の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、最大約80重量%、最大約75重量%、最大約70重量%、最大約65重量%、又は最大約60重量%である。いくつかの実施態様において、β-ファルネセンはビニルモノマーと共重合されてファルネセンコポリマーを形成する。他の実施態様において、該ビニルモノマーはスチレンである。さらなる実施態様において、該ファルネセンコポリマーはブロックコポリマーである。
【0155】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンは、触媒の存在下でα-ファルネセンを重合させることにより調製されるが、該ポリファルネセン中のcis-1,4-微細構造の量は、該ポリファルネセンの総重量に対して、約1重量%から約99重量%、約10重量%から約99重量%、約20重量%から約99重量%、約30重量%から約99重量%、約40重量%から約99重量%、約50重量%から約99重量%、約1重量%から約99重量%、約1重量%から約90重量%、約1重量%から約80重量%、約1重量%から約70重量%、又は約1重量%から約60重量%である。いくつかの実施態様において、α-ファルネセンはビニルモノマーと共重合されてファルネセンコポリマーを形成する。他の実施態様において、該ビニルモノマーはスチレンである。さらなる実施態様において、該ファルネセンコポリマーはブロックコポリマーである。
【0156】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンは、当業者に公知である任意の水素化剤により部分的又は完全に水素化することができる。例えば、飽和ポリファルネセンは、(a)本明細書に開示される触媒の存在下で本明細書に開示されるファルネセンを重合させてポリファルネセンを形成する工程;及び(b)水素化試薬の存在下で該ポリファルネセン中の二重結合の少なくとも一部を水素化する工程により調製できる。いくつかの実施態様において、該ファルネセンは、本明細書に開示されるビニルモノマーと共重合されてファルネセンコポリマーを形成する。他の実施態様において、該ビニルモノマーはスチレンである。さらなる実施態様において、該ファルネセンコポリマーはブロックコポリマーである。なおさらなる実施態様において、該ファルネセンはα-ファルネセンもしくはβ-ファルネセン又はそれらの組み合わせである。
【0157】
特定の実施態様において、水素化試薬は水素化触媒の存在下の水素である。いくつかの実施態様において、該水素化触媒は、Pd、Pd/C、Pt、PtO2、Ru(PPh3)2Cl2、ラネーニッケル、又はそれらの組み合わせである。一実施態様において、該触媒はPd触媒である。他の実施態様において、該触媒は5%Pd/Cである。さらなる実施態様において、該触媒は、高圧反応容器中の10%Pd/Cであり、水素化反応は完了まで進行される。一般に、完了後、反応混合物を洗浄し、濃縮し、乾燥して対応する水素化された生成物を与えることができる。その代わりに、C=C結合をC-C結合に還元できる任意の還元剤も使用できる。例えば、ポリファルネセンは、酸素雰囲気下で、過塩素酸5-エチル-3-メチルルミフラビニウムなどの触媒の存在下で、ヒドラジンによる処理によって水素化し、対応する水素化された生成物を与えることができる。ヒドラジンによる還元反応は、引用により本明細書に組み込まれるImadaらの文献、J. Am. Chem. Soc, 127, 14544-14545 (2005)に開示されている。
【0158】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセンのC=C結合の少なくとも一部は、触媒及び水素の存在下室温での水素化により還元されて、対応するC-C結合になる。他の実施態様において、式(I')〜(III')、(V')~(VII')、及び(XI)~(XIV)、並びにその立体異性体の1種以上のC=C結合の少なくとも一部は、触媒及び水素の存在下室温での水素化により還元されて、対応するC-C結合になる。さらなる実施態様において、水素化触媒は10%Pd/Cである。
【0159】
特定の実施態様において、該ビニルモノマーはスチレンである。いくつかの実施態様において、該ファルネセンは、α-ファルネセン、もしくはβ-ファルネセン、又はその組み合わせである。他の実施態様において、該ファルネセンは、微生物を利用して調製される。さらなる実施態様において、該ファルネセンは、単純な糖又は非発酵性の炭素源から誘導される。
【0160】
(ファルネセン)
ファルネセンは任意の源から誘導でき、又は当業者に公知である任意の方法により調製できる。いくつかの実施態様において、ファルネセンは化学的源(例えば、石油又は石炭)から誘導されるか、又は化学合成法により得られる。他の実施態様において、ファルネセンは石油又はコールタールの分留により調製される。さらなる実施態様において、ファルネセンは任意の公知の化学合成法により調製される。好適な化学合成法の非限定的な例には、引用により本明細書に組み込まれるAnet E. F. L. Jの論文「(E,Z)--,(Z,Z)--,及び(Z)--ファルネセンの合成(Synthesis of (E,Z)--, (Z,Z)--, and (Z)--farnesene)」Aust. J. Chem., 23(10), 2101-2108(1970)に記載されているとおり、ピリジン中でのホスホリルクロライドによるネロリドールの脱水がある。
【0161】
いくつかの実施態様において、ファルネセンは、コパイフェラ・ラングスドルフィ(Copaifera langsdorfii)、針葉樹、トウダイグサなどの多種多様な植物;キアゲハ、ハムシ、シロアリ、及びマツハバチなどの昆虫;並びに海草、海綿、珊瑚、軟体動物、及び魚などの海洋生物などにより産生されうる天然のテルペンから得られるか、又は誘導することができる。
【0162】
コパイフェラ・ラングスドルフィ又はコパイフェラの木は、ディーゼルツリー及びケロシンツリーとしても知られる。それは地元の言葉で、クパイ(kupa'y)、カビスモ(cabismo)、及びコパウバ(copauva)など多くの名前を有する。コパイフェラの木は、その木部及び葉に大量のテルペン炭化水素を産生することがある。一般的に、1本のコパイフェラの木は、1年に約30から約40リットルのテルペン油を産生することができる。
【0163】
テルペン油は、針葉樹及びトウダイグサからも得られる。針葉樹は、球果植物門又は毬果植物に属し、一般的に維管束組織を持つ球果をつける種子植物である。針葉樹の大多数は木であるが、低木の針葉樹もある。好適な針葉樹の非限定的な例には、ヒマラヤスギ、イトスギ、ベイマツ、モミ、ビャクシン、カウリマツ、カラマツ、マツ、セコイア、トウヒ、及びイチイがある。トウダイグサは、ユーフォルビアとしても知られ、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)に属する、非常に多様な世界中に見られる植物の属である。約2160種からなり、トウダイグサは植物界の最も大きな属の1つである。
【0164】
ファルネセンは、テルペンと呼ばれる大きな化合物の種類の一部であるセスキテルペンである。広大で多彩な種類の炭化水素であるテルペンは、ヘミテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、セステルテルペン、トリテルペン、テトラテルペン、及びポリテルペンを含む。その結果、ファルネセンは、本発明に使用するためにテルペン油から単離又は誘導できる。
【0165】
特定の実施態様において、ファルネセンは生物学的源から誘導される。他の実施態様において、ファルネセンは、容易に利用できる再生可能な炭素源から得られる。さらなる実施態様において、ファルネセンは、ファルネセンの製造に好適な条件下で、ファルネセンを製造できる細胞を炭素源に接触させて調製される。
【0166】
1種以上のイソプレノイド化合物に転化されうる任意の炭素源を本明細書において使用できる。いくつかの実施態様において、該炭素源は糖又は非発酵性炭素源である。糖は当業者に公知である任意の糖でよい。特定の実施態様において、糖は、単糖、二糖、多糖、又はそれらの組み合わせである。他の実施態様において、糖は単純な糖(単糖又は二糖)である。好適な単糖の非限定的な例には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、リボース、及びそれらの組み合わせがある。好適な二糖の非限定的な例には、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、及びそれらの組み合わせがある。なお他の実施態様において、該単純な糖はスクロースである。特定の実施態様において、生体工学によりつくられた燃料成分が多糖から得られる。好適な多糖の非限定的な例には、スターチ、グリコーゲン、セルロース、キチン、及びそれらの組み合わせがある。
【0167】
ファルネセンの製造に好適な糖は、多種多様な穀物及び源に見いだすことができる。好適な穀物又は源の非限定的な例には、サトウキビ、バガス、ミスカンタス、テンサイ、モロコシ、穀実用モロコシ、スイッチグラス、大麦、麻、ケナフ、ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、ヒマワリ、果物、糖蜜、乳清又は脱脂乳、トウモロコシ、ワラ、穀物、小麦、木、紙、麦わら、綿、多くの種類のセルロース廃棄物、及び他のバイオマスがある。特定の実施態様において、好適な穀物又は源には、サトウキビ、テンサイ、及びトウモロコシがある。他の実施態様において、糖の源はサトウキビ汁又は糖蜜である。
【0168】
非発酵性炭素源は、生物によりエタノールに転化され得ない炭素源である。好適な非発酵性炭素源の非限定的な例にはアセテート及びグリセロールがある。
【0169】
特定の実施態様において、ファルネセンは、C15イソプレノイドの生物学的製造が可能な設備中で調製することができる。該設備は、微生物を利用して、α-ファルネセン、β-ファルネセン、ネロリドール、又はファルネソールなどのC15イソプレノイドを調製するのに有用な構造を有することがある。いくつかの実施態様において、生物学的設備は、本明細書に開示される1種以上の細胞を有する。他の実施態様において、該生物学的設備は、細胞培養液の総重量に対して、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%の量で少なくとも1種のC15イソプレノイドを含む細胞培養液を有する。さらなる実施態様において、該生物学的設備は、本明細書に記載される1種以上の細胞を含む発酵槽を有する。
【0170】
細胞又は細菌が成長又は繁殖できる安定で最適な環境を細胞又は細菌に与えられる任意の発酵槽を本明細書に使用できる。いくつかの実施態様において、該発酵槽は、本明細書に開示される1種以上の細胞を含む培養液を含む。他の実施態様において、該発酵槽は、ファルネシルピロリン酸(FPP)を生物学的に製造できる細胞培養液を含む。さらなる実施態様において、該発酵槽は、イソペンテニル二リン酸(IPP)を生物学的に製造できる細胞培養液を含む。特定の実施態様において、該発酵槽は、細胞培養液の総重量に対して、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%の量で少なくとも1種のC15イソプレノイドを含む細胞培養液を含む。
【0171】
該設備は、α-ファルネセン、β-ファルネセン、ネロリドール、又はファルネソールなどのC15イソプレノイドから燃料成分又は燃料添加剤を製造できる任意の構造をさらに有することがある。該構造は、ネロリドール又はファルネソールを脱水してα-ファルネセン又はβ-ファルネセンにするための反応器を有することがある。当業者に公知である条件下でのアルコールのアルケンへの転化に使用できる任意の反応器を本明細書において使用できる。該反応器は、本明細書に開示される脱水触媒を有することがある。いくつかの実施態様において、該構造は、混合機、容器、及び脱水工程から得た脱水生成物の混合物をさらに有する。
【0172】
C15イソプレノイド化合物を製造する生合成方法は、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第7,399,323号;米国特許出願第2008/0274523号;及び国際公開第2007/140339号及び同第2007/139924号に開示されている。
【0173】
(α-ファルネセン)
α-ファルネセンは、その構造が以下のとおりであり、
【化27】

アリのデュフール腺並びにリンゴ及び西洋ナシの皮のコーティングなどがあるがそれらに限定されない種々の生物学的源に見いだされる。生化学的には、α-ファルネセンは、α-ファルネセンシンターゼによりFPPからつくられる。そのような酵素をコードする好適なヌクレオチド配列の非限定的な例には、(DQ309034;西洋ナシ(Pyrus communis)栽培品種d'Anjou)及び(AY182241;リンゴ(Malus domestica))がある。Pechouusらの文献Planta 219(1):84-94 (2004)を参照されたい。
【0174】
β-ファルネセン
β-ファルネセンは、その構造が以下のとおりであり、
【化28】

アリマキ及びペパーミントオイルなどの精油を含むがこれらに限定されない種々の生物学的源に見いだされる。ワイルドポテトなどの数種の植物中で、β-ファルネセンは天然の昆虫忌避剤として合成される。生化学的には、β-ファルネセンは、β-ファルネセンシンターゼによりFPPからつくられる。そのような酵素をコードする好適なヌクレオチド配列の非限定的な例には、(AF024615;ペパーミント(Mentha x piperita))及び(AY835398;クソニンジン(Artemisia annua))がある。Picaudらの文献Phytochemistry 66(9): 961-967(2005)を参照されたい。
【0175】
(ファルネソール)
ファルネソールは、その構造が以下のとおりであり、
【化29】

昆虫並びにシトロネラ、ネロリ、シクラメン、レモングラス、チュベローズ、及びバラから得られる精油を含む種々の生物学的源に見いだされる。生化学的には、ファルネソールは、ファルネソールシンターゼなどのヒドロキシラーゼによりFPPからつくられる。そのような酵素をコードする好適なヌクレオチド配列の非限定的な例には(AF529266;トウモロコシ(Zea mays))及び(YDR481C;出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))がある。Song, L.の文献Applied Biochemistry and Biotechnology 128:149-158(2006)を参照されたい。
【0176】
(ネロリドール)
ネロリドールは、その構造が以下のとおりであり、
【化30】

ペルビオールとしても知られており、ネロリ、ショウガ、ジャスミン、ラベンダー、ティーツリー、及びレモングラスから得られた精油を含む種々の生物学的源に見いだされる。生化学的には、ネロリドールはネロリドールシンターゼなどのヒドロキシラーゼによりFPPからつくられる。そのような酵素をコードする好適なヌクレオチド配列の非限定的な例には、トウモロコシ(Zea mays)由来のAF529266(トウモロコシ;tps1遺伝子)がある。
【0177】
本明細書に開示されるファルネソール及びネロリドールは、脱水剤又は酸触媒による脱水によりα-ファルネセン、β-ファルネセン、又はそれらの組み合わせに転化されうる。アルコールをアルケンに転化できる任意の脱水剤又は酸触媒を本明細書において使用できる。好適な脱水剤又は酸触媒の非限定的な例には、ホスホリルクロライド、無水塩化亜鉛、リン酸、及び硫酸がある。
【0178】
(ポリファルネセン製造の一般的な手順)
ファルネセンの重合又はビニルコモノマーとのファルネセンの共重合は広い温度範囲で実施できる。特定の実施態様において、重合温度は約-30℃から約280℃、約30℃から約180℃、又は約60℃から約100℃である。ビニルコモノマーの分圧は、約15psig(0.1MPa)から約50,000psig(245MPa)、約15psig(0.1MPa)から約25,000psig(172.5MPa)、約15psig(0.1MPa)から約10,000psig(69MPa)、約15psig(0.1MPa)から約5,000psig(34.5MPa)、又は約15psig(0.1MPa)から約1,000psig(6.9MPa)になりうる。
【0179】
本明細書に開示されるポリファルネセンの製造に使用される触媒の濃度は多くの因子に依存する。いくつかの実施態様において、該濃度は約0.01マイクロモルパーリットルから約100マイクロモルパーリットルの範囲である。重合時間は、プロセスの種類、触媒濃度、及び他の因子に依存する。一般的に、重合時間は数分以内から数時間である。
【0180】
ファルネセンホモポリマーの溶液重合手順の非限定的な例は以下に概説されている。β-ファルネセンなどのファルネセンをシクロヘキサンなどの溶剤に加えて、任意に窒素又はアルゴン雰囲気下にあってもよい反応器中に溶液を形成することができる。溶液を、モレキュラーシーブなどの乾燥剤により乾燥させることができる。有機リチウム試薬などの触媒を反応器に加えることができ、次いで、ファルネセンの全て又は相当な部分が消費されるまで、反応器を高温に加熱する。次いで、ファルネセンホモポリマーを反応混合物から沈殿させ、真空オーブン中で乾燥させることができる。
【0181】
ファルネセン共重合体の溶液重合手順の非限定的な例は以下に概説されている。β-ファルネセンなどのファルネセンをシクロヘキサンなどの溶剤に加えて、任意に窒素又はアルゴン雰囲気下にあってもよい反応器中にファルネセン溶液を形成することができる。ファルネセン溶液を、モレキュラーシーブなどの乾燥剤により乾燥させることができる。任意に窒素又はアルゴン雰囲気下にある第2の反応器に、10%スチレンをシクロヘキサンに溶かした溶液を同様に調製し、モレキュラーシーブなどの乾燥剤により乾燥させる。スチレンの全て又は相当な部分が消費されるまで、有機リチウム試薬などの触媒により高温でスチレンを重合させる。次いで、ファルネセン溶液を第2反応器に移す。ファルネセンの全て又は相当な部分が消費されるまで、反応を起こさせる。次いで、ジクロロシランカップリング剤(例えば、1,2-ジクロロエタン中のジクロロジメチルシラン)を第2反応器に加えて、ファルネセン共重合体を形成する。
【0182】
(ポリファルネセン組成物)
ポリファルネセンを使用して、多種多様な用途のためのポリファルネセン組成物を調製できる。いくつかの実施態様において、該ポリファルネセン組成物は、本明細書に開示されるポリファルネセン及び第2ポリマー又は少なくとも1種の添加剤を含む。特定の実施態様において、該ポリファルネセン組成物は第2ポリマーを含む。他の実施態様において、該ポリファルネセン組成物は第2ポリマーを含まない。第2ポリマーはビニルポリマー又はポリファルネセン、非ビニルポリマー又はポリファルネセン、又はそれらの組み合わせでもよい。ビニルポリマー及びポリファルネセンの非限定的な例は、引用により本明細書に組み込まれるMalcolm P. Stevensの文献「ポリマー化学、入門(Polymer Chemistry, an Introduction)」3版、Oxford University Press、17-21ページ及び167-279ページ(1999)に開示されている。好適な第2ポリマーの非限定的な例には、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、スチレンポリマー、フェノール樹脂、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、又はそれらの組み合わせがある。
【0183】
特定の実施態様において、該ポリファルネセン対該第2ポリマーの比は、約1:99から約99:1、約1:50から約50:1、約1:25から約25:1、又は約1:10から約10:1である。
【0184】
いくつかの実施態様において、該第2ポリマーはポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレンとプロピレンとのコポリマー、及びエチレンと酢酸ビニルとのコポリマー(EVA))、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、スチレンポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)など)、フェノール樹脂、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施態様において、該第2ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)、又はそれらの組み合わせである。該第2ポリマーを、ポリファルネセン組成物への添加前に、ファルネセン共重合体と配合してよい。いくつかの実施態様において、該第2ポリマーは、ファルネセン共重合体との予備配合なしに、ポリファルネセン組成物に直接加えられる。
【0185】
ポリマー組成物中の該ポリファルネセン対該第2ポリマーの重量比は、約1:99から約99:1、約1:50から約50:1、約1:25から約25:1、約1:10から約10:1、約1:9から約9:1、約1:8から約8:1、約1:7から約7:1、約1:6から約6:1、約1:5から約5:1、約1:4から約4:1、約1:3から約3:1、約1:2から約2:1、約3:7から約7:3、又は約2:3から約3:2になりうる。
【0186】
いくつかの実施態様において、該第2ポリマーはポリオレフィンである。ポリファルネセンと部分的又は完全に相溶性である任意のポリオレフィンを使用できる。好適なポリオレフィンの非限定的な例には、ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブチレン(例えば、ポリブテン-1);ポリペンテン-1;ポリヘキセン-1;ポリオクテン-1;ポリデセン-1;ポリ-3-メチルブテン-1;ポリ-4-メチルペンテン-1;ポリイソプレン;ポリブタジエン;ポリ-1,5-ヘキサジエン;オレフィンから誘導された共重合体;オレフィンと、他のポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタンなどから誘導された共重合体;及びそれらの混合物がある。いくつかの実施態様において、該ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン-1、ポリ-3-メチルブテン-1、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリイソプレン、ポリブタジエン;ポリ-1,5-ヘキサジエン、ポリヘキセン-1、ポリオクテン-1、及びポリデセン-1などのホモポリマーである。
【0187】
好適なポリエチレンの非限定的な例には、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量高密度ポリエチレン(HMW-HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)、及びそれらの組み合わせがある。ポリプロピレンの非限定的な例には、低密度ポリプロピレン(LDPP)、高密度ポリプロピレン(HDPP)、高溶融張力ポリプロピレン(HMS-PP)、及びそれらの組み合わせがある。いくつかの実施態様において、該第2ポリマーは、高溶融張力ポリプロピレン(HMS-PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、又はそれらの組み合わせであるか、又はそれを含む。
【0188】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、該ポリファルネセン組成物の加工性、外観、物理的、化学的、及び/又は機械的性質の向上及び/又は制御の目的で、少なくとも1種の添加剤を含む。いくつかの実施態様において、該ポリファルネセン組成物は添加剤を含まない。当業者に公知である任意のプラスチック添加剤を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に使用できる。好適な添加剤の非限定的な例には、充填剤、グラフト開始剤、粘着付与剤、スリップ剤、粘着防止剤、可塑剤、酸化防止剤、発泡剤、発泡剤活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛など)、UV安定化剤、酸掃去剤、着色剤もしくは顔料、助剤(例えば、シアヌル酸トリアリル)、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、処理助剤、押出助剤、カップリング剤、架橋剤、安定性調節剤、核化剤、界面活性剤、溶剤、難燃剤、帯電防止剤、及びそれらの組み合わせがある。
【0189】
添加剤の総量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約80%、約0.001%から約70%、約0.01%から約60%、約0.1%から約50%、約1%から約40%、又は約10%から約50%になりうる。数種のポリマー添加剤が、引用によりその全体が本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」、Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版(2001)に記載されている。
【0190】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は粘着防止剤を含むことがある。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は粘着防止剤を含まない。粘着防止剤を使用して、特に貯蔵、製造、又は使用の間の中程度の圧力及び熱の下での、ポリファルネセン組成物から製造された物品の接触層の間の望ましくない粘着を防止できる。当業者に公知である任意の粘着防止剤を本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に添加してよい。粘着防止剤の非限定的な例には、鉱物(例えば、粘土、白亜、及び炭酸カルシウム)、合成シリカゲル(例えば、SYLOBLOC(登録商標)、メリーランド州コロンビア、Grace Davison社製)、天然シリカ(例えば、SUPER FLOSS(登録商標)、カリフォルニア州サンタバーバラ、Celite Corporation社製)、タルク(例えば、OPTIBLOC(登録商標)、コロラド州センテニアル、Luzenac社製)、ゼオライト(SIPERNAT(登録商標)、ニュージャージー州パーシッパニー、Degussa社製)、アルミノシリケート(例えば、SILTON(登録商標)、日本国、東京、水澤化学工業製)、石灰石(例えば、CARBOREX(登録商標)、ジョージア州アトランタ、Omya社製)、球状ポリマー粒子(EPOSTAR(登録商標)、ポリ(メチルメタクリラート)粒子、日本国、東京、日本触媒製及びTOSPEARL(登録商標)、シリコーン粒子、コネチカット州ウィルトン、GE Silicones社製)、蝋、アミド(例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミド、ベヘンアミド、エチレン-ビス-ステアラミド、エチレン-ビス-オレアミド、ステアリルエルカミド、及び他のスリップ剤)、モレキュラーシーブ、及びそれらの組み合わせがある。鉱物粒子は、物品間に物理的な空隙を作ることにより粘着を低減でき、有機粘着防止剤は表面に移動して表面の粘着を制限できる。使用される場合、ポリマー組成物中の粘着防止剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約3重量%、約0.0001から約2重量%、約0.001から約1重量%、又は約0.001から約0.5重量%になりうる。数種の粘着防止剤が、引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、7章、585-600ページ、(2001)に記載されている。
【0191】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は可塑剤を含んでよい。一般的に、可塑剤は、ポリマーの柔軟性を増しガラス転移温度を下げることができる化学物質である。当業者に公知である任意の可塑剤を本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えることができる。可塑剤の非限定的な例には、鉱油、アビエチン酸エステル、アジピン酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、塩素化パラフィン、クエン酸エステル、エポキシド、グリコールエーテル及びそのエステル、グルタル酸エステル、炭化水素油、イソ酪酸エステル、オレイン酸エステル、ペンタエリスリトール誘導体、リン酸エステル、フタル酸エステル、エステル、ポリブテン、リシノール酸エステル、セバシン酸エステル、スルホンアミド、トリメリト酸エステル及びピロメリト酸エステル、ビフェニル誘導体、ステアリン酸エステル、ジフランジエステル、フッ素含有可塑剤、ヒドロキシ安息香酸エステル、イソシアン酸エステル付加物、多環芳香族化合物、天然製品誘導体、ニトリル、シロキサン系可塑剤、タール系製品、チオエテル(thioeters)、及びそれらの組み合わせがある。使用される場合、ポリマー組成物中の可塑剤の量は、ポリマー組成物の総重量の0%超から約15重量%、約0.5から約10重量%、又は約1から約5重量%である。数種の可塑剤が、引用により本明細書に組み込まれるGeorge Wypychの文献「可塑剤のハンドブック(Handbook of Plasticizers)」ChemTec Publishing, Toronto- Scarborough, Ontario (2004)に記載されている。
【0192】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、ポリファルネセン組成物中のポリマー成分及び有機添加剤の酸化を防止できる酸化防止剤を任意に含む。当業者に公知である任意の酸化防止剤を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に添加できる。好適な酸化防止剤の非限定的な例には、芳香族アミン又はヒンダードアミン、例えば、アルキルジフェニルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、アルキル置換又はアラルキル置換フェニル-α-ナフチルアミン、アルキル化p-フェニレンジアミン、テトラメチル-ジアミノジフェニルアミンなど;フェノール、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール;1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン(例えば、IRGANOX(商標)1010、ニューヨーク州、Ciba Geigy社製);アクリロイル修飾フェノール;オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート(例えば、IRGANOX(商標)1076、Ciba Geigy社から市販);亜リン酸エステル及び亜ホスホン酸エステル;ヒドロキシルアミン;ベンゾフラノン誘導体;及びそれらの組み合わせがある。使用される場合、ポリマー組成物中の酸化防止剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約5重量%、約0.0001から約2.5重量%、約0.001から約1重量%、又は約0.001から約0.5重量%になりうる。数種の酸化防止剤が、引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「ブラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、1章、1-140ページ(2001)に記載されている。
【0193】
他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、紫外線によるポリファルネセン組成物の劣化を防止又は低減することのできるUV安定剤を任意に含む。当業者に公知である任意のUV安定剤を本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えてよい。好適なUV安定剤の非限定的な例には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、アリールエステル、オキサニリド、アクリル酸エステル、ホルムアミジン、カーボンブラック、ヒンダードアミン、ニッケルクエンチャー、ヒンダードアミン、フェノール酸化防止剤、金属塩、亜鉛化合物、及びそれらの組み合わせがある。使用される場合、ポリマー組成物中のUV安定剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約5重量%、約0.01から約3重量%、約0.1から約2重量%、又は約0.1から約1重量%になりうる。数種のUV安定剤が、引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、2章、141-426ページ(2001)に記載されている。
【0194】
さらなる実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、人間の目に対するポリファルネセン組成物の外観を変えることのできる着色剤又は顔料を任意に含む。当業者に公知である任意の着色剤又は顔料を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えてよい。好適な着色剤又は顔料の非限定的な例には、金属酸化物などの無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、及び二酸化チタン、混合金属酸化物、カーボンブラック、有機顔料、例えば、アントラキノン、アンタントロン、アゾ及びモノアゾ化合物、アリールアミド、ベンゾイミダゾロン、BONAレーキ、ジケトピロロ-ピロール、ジオキサジン、ジスアゾ化合物、ジアリリド化合物、フラバントロン、インダントロン、イソインドリノン、イソインドリン、金属錯体、モノアゾ塩、ナフトール、β-ナフトール、ナフトールAS、ナフトールレーキ、ペリレン、ペリノン、フタロシアニン、ピラントロン、キナクリドン、及びキノフタロン、並びにそれらの組み合わせがある。使用される場合、ポリマー組成物中の着色剤又は顔料の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約10重量%、約0.1から約5重量%、又は約0.25から約2重量%になりうる。数種の着色剤が、引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、15章、813-882ページ(2001)に記載されている。
【0195】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、とりわけ体積、重量、コスト、及び/又は技術的性能の調整に使用できる充填剤を含んでよい。当業者に公知である任意の充填剤を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えてよい。好適な充填剤の非限定的な例には、タルク、炭酸カルシウム、白亜、硫酸カルシウム、粘土、カオリン、シリカ、ガラス、ヒュームドシリカ、マイカ、珪灰石、長石、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、アルミナ、アルミナ三水和物などのアルミナ水和物、ガラス微小球、セラミック微小球、熱可塑性樹脂微小球、バライト、木粉、ガラス繊維、カーボンファイバー、マーブルダスト、セメントダスト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、二酸化チタン、チタン酸塩、及びそれらの組み合わせがある。いくつかの実施態様において、該充填剤は、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス、ガラス繊維、アルミナ、二酸化チタン、又はそれらの組み合わせである。他の実施態様において、該充填剤は、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、又はそれらの組み合わせである。使用される場合、ポリマー組成物中の充填剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約80重量%、約0.1から約60重量%、約0.5から約40重量%、約1から約30重量%、又は約10から約40重量%になりうる。数種の充填剤が、どちらも引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6,103,803号及びZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、17章、901-948ページ(2001)に開示されている。
【0196】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は潤滑剤を含んでよい。一般に、潤滑剤は、とりわけ溶融したポリファルネセン組成物のレオロジーの変更、成形物品の表面仕上がりの向上、及び/又は充填剤もしくは顔料の分散の促進のために使用することができる。当業者に公知である任意の潤滑剤を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えることができる。好適な潤滑剤の非限定的な例は、脂肪族アルコール及びそのジカルボン酸エステル、短鎖アルコールの脂肪酸エステル、脂肪酸、脂肪酸アミド、金属石鹸、オリゴマー性脂肪酸エステル、長鎖アルコールの脂肪酸エステル、モンタン蝋、ポリエチレン蝋、ポリプロピレン蝋、天然及び合成パラフィン蝋、フルオロポリマー、及びそれらの組み合わせがある。使用される場合、ポリマー組成物中の潤滑剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約5重量%、約0.1から約4重量%、又は約0.1から約3重量%になりうる。数種の好適な潤滑剤が、どちらも引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、5章、511-552ページ(2001)に開示されている。
【0197】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は帯電防止剤を含んでよい。一般的に、帯電防止剤は、ポリファルネセン組成物の導電性を増し、静電荷の蓄積を予防できる。当業者に公知である任意の帯電防止剤を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えることができる。好適な帯電防止剤の非限定的な例には、導電性充填剤(例えば、カーボンブラック、金属粒子、及び他の導電性粒子)、脂肪酸エステル(例えば、グリセロールモノステアレート)、エトキシ化アルキルアミン、ジエタノールアミド、エトキシ化アルコール、アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、及びそれらの組み合わせがある。使用される場合、ポリマー組成物中の帯電防止剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約5重量%、約0.01から約3重量%、又は約0.1から約2重量%になりうる。数種の好適な帯電防止剤が、どちらも引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、10章、627-646ページ(2001)に開示されている。
【0198】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、発泡物品調製のための発泡剤を含んでよい。発泡剤には、無機発泡剤、有機発泡剤、化学発泡剤、及びそれらの組み合わせがあるが、それらに限定されない。数種の発泡剤が、引用により本明細書に組み込まれるSendijarevicらの文献「高分子発泡体及び発泡技術(Polymeric Foams And Foam Technology)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、2版、18章、505-547ページ(2004)に開示されている。
【0199】
好適な無機発泡剤の非限定的な例には、二酸化炭素、窒素、アルゴン、水、空気、窒素、及びヘリウムがある。好適な有機発泡剤の非限定的な例には、1〜6の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、1〜3の炭素原子を有する脂肪族アルコール、及び1〜4の炭素原子を有する完全又は部分的にハロゲン化された脂肪族炭化水素がある。好適な脂肪族炭化水素の非限定的な例には、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタンなどがある。好適な脂肪族アルコールの非限定的な例には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、及びイソプロパノールがある。完全又は部分的にハロゲン化された好適な脂肪族炭化水素の非限定的な例には、フロオロカーボン、クロロカーボン、及びクロロフルオロカーボンがある。好適なフルオロカーボンの非限定的な例には、フッ化メチル、パーフルオロメタン、フッ化エチル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1-トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、パーフルオロエタン、2,2-ジフルオロプロパン、1,1,1-トリフルオロプロパン、パーフルオロペンタン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、パーフルオロブタン、パーフルオロシクロブタンがある。部分的にハロゲン化された好適なクロロカーボン及びクロロフルオロカーボンの非限定的な例には、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1-トリクロロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b)、1,1-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン(HCFC-123)、及び1-クロロ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)がある。完全にハロゲン化された好適なクロロフルオロカーボンの非限定的な例には、トリクロロモノフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、トリクロロトリフルオロエタン(CFC-113)、1,1,1-トリフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)、クロロへプタフルオロプロパン、及びジクロロヘキサフルオロプロパンがある。好適な化学発泡剤の非限定的な例には、アゾジカルボンアミド、アゾジイソブチロニトリル、ベンゼンスルホンヒドラジド、4,4-オキシベンゼンスルホニルセミカルバジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、バリウムアゾジカルボキシラート、N,N'-ジメチル-N,N'-ジニトロソテレフタルアミド、及びトリヒドラジノトリアジンがある。いくつかの実施態様において、該発泡剤はアゾジカルボンアミド、イソブタン、CO2、又はそれらの混合物である。
【0200】
本明細書に開示されるポリマー組成物中の発泡剤の量は、ファルネセン共重合体又はポリマー組成物の重量に対して、約0.1から約20重量%、約0.1から約10重量%、又は約0.1から約5重量%になりうる。他の実施態様において、発泡剤の量は、共重合体又はポリマー組成物のキログラムあたり約0.2から約5.0モル、共重合体又はポリマー組成物のキログラムあたり約0.5から約3.0モル、又は共重合体又はポリマー組成物のキログラムあたり約1.0から約2.50モルである。
【0201】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物はスリップ剤を含む。他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物はスリップ剤を含まない。スリップは、フィルム表面の互いの上又は他の基剤の上での滑動である。フィルムのスリップ性能は、引用により本明細書に組み込まれるASTM D 1894、プラスチックフィルム及びシートの静摩擦・動摩擦係数(Static and Kinetic Coefficients of Friction of Plastic Film and Sheeting)により測定できる。一般的に、スリップ剤は、フィルムの表面性質の変更;並びにフィルムの層どうし及びフィルムとそれが接触する他の表面との間の摩擦の低減により、スリップ性を伝えることができる。
【0202】
当業者に公知である任意のスリップ剤を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えることができる。スリップ剤の非限定的な例には、約12から約40の炭素原子を有する一級アミド(例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミド、及びベヘンアミド);約18から約80の炭素原子を有する二級アミド(例えば、ステアリルエルカミド、ベヘニルエルカミド、メチルエルカミド、及びエチルエルカミド);約18から約80の炭素原子を有する二級ビスアミド(例えば、エチレン-ビス-ステアラミド及びエチレン-ビス-オレアミド);及びそれらの組み合わせがある。
【0203】
いくつかの実施態様において、スリップ剤は、18から約40の炭素原子を有する飽和脂肪族基を持つ一級アミド(例えば、ステアラミド及びベヘンアミド)である。他の実施態様において、該スリップ剤は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合及び18から約40の炭素原子を含む不飽和脂肪族基を持つ一級アミド(例えば、エルカミド及びオレアミド)である。さらなる実施態様において、該スリップ剤は、少なくとも20の炭素原子を有する一級アミドである。さらなる実施態様において、該スリップ剤は、エルカミド、オレアミド、ステアラミド、ベヘンアミド、エチレン-ビス-ステアラミド、エチレン-ビス-オレアミド、ステアリルエルカミド、ベヘニルエルカミド、又はそれらの組み合わせがある。特別な実施態様において、該スリップ剤はエルカミドである。さらなる実施態様において、ATMER(商標)SA、Uniqema社製、ベルギー国エバーバーグ;ARMOSLIP(登録商標)、Akzo Nobel Polymer Chemicals社製、イリノイ州シカゴ;KEMAMIDE(登録商標)、Witco社製、コネチカット州グリニッジ;及びCRODAMIDE(登録商標)、Croda社製、ニュージャージー州エジソンなどの商標を有するスリップ剤が市販されている。使用される場合、ポリマー組成物中のスリップ剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約3重量%、約0.0001から約2重量%、約0.001から約1重量%、約0.001から約0.5重量%、又は約0.05から約0.25重量%になりうる。数種のスリップ剤が、引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、8章、601-608ページ(2001)に記載されている。
【0204】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は粘着付与剤を含む。他の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は粘着付与剤を含まない。エラストマーに加えられて接着剤を生み出すことのできる任意の材料を、本明細書において粘着付与剤として使用できる。粘着付与剤の非限定的な例には、天然樹脂及び変性樹脂;天然ロジン又は変性ロジンのグリセロールエステル又はペンタエリスリトールエステル;天然テルペン(natured terpene)のコポリマー又はターポリマー;ポリテルペン樹脂又は水素化ポリテルペン樹脂;フェノール変性テルペン樹脂又はその水素化誘導体;脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂又はその水素化誘導体;芳香族炭化水素樹脂又はその水素化誘導体;芳香族変性脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂又はその水素化誘導体;又はそれらの組み合わせがある。特定の実施態様において、粘着付与剤は、引用により本明細書に組み込まれるASTM 28-67に準じて測定して、60℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、又は100℃以上の環球法(R&B)軟化点を有する。特定の実施態様において、粘着付与剤は、ASTM 28-67に準じて測定して、80℃以上のR&B軟化点を有する。
【0205】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物中の粘着付与剤の量は、該組成物の総重量に対して、約0.1重量%から約70重量%、約0.1重量%から約60重量%、約1重量%から約50重量%、又は約0.1重量%から約40重量%、又は約0.1重量%から約30重量%、又は約0.1重量%から約20重量%、又は約0.1重量%から約10重量%の範囲である。他の実施態様において、本明細書に開示される組成物中の粘着付与剤の量は、該組成物の総重量に対して、約1重量%から約70重量%、約5重量%から約70重量%、約10重量%から約70重量%、約15重量%から約70重量%、約20重量%から約70重量%、又は約25重量%から約70重量%の範囲である。
【0206】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、蝋、例えば、石油蝋、低分子量ポリエチレン又はポリプロピレン、合成蝋、ポリオレフィン蝋、蜜蝋、木蝋、大豆蝋、ヤシ蝋、ろうそく、又は融点が25℃より高いエチレン/α-オレフィン共重合体を含むことがある。特定の実施態様において、該蝋は、数平均分子量が約400から約6,000g/モルである低分子量ポリエチレン又はポリプロピレンである。該蝋は、組成物全体の重量で約10%から約50%又は20%から約40%の範囲で存在してよい。
【0207】
任意に、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、部分的又は完全に架橋されることがある。架橋が望ましい場合、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、ポリファルネセン組成物の架橋を起こし、それにより特に弾性率及び剛性を増加させるために使用できる架橋剤を含む。ポリファルネセン組成物の利点は、ポリイソプレン及びポリブタジエンなどの他のポリマーのようにポリマー骨格でなく、その側鎖に架橋が起こりうることである。当業者に公知である任意の架橋剤を、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物に加えることができる。好適な架橋剤の非限定的な例には、有機過酸化物(例えば、アルキル過酸化物、アリール過酸化物、ペルオキシエステル、ペルオキシカーボネート、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、及び環式過酸化物)及びシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、及び3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン)がある。使用される場合、ポリマー組成物中の架橋剤の量は、ポリマー組成物の総重量の約0%超から約20重量%、約0.1重量%から約15重量%、又は約1重量%から約10重量%になりうる。数種の好適な架橋剤が、どちらも引用により本明細書に組み込まれるZweifel Hansらの文献「プラスチック添加剤ハンドブック(Plastics Additives Handbook)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio、5版、14章、725-812ページ(2001)に開示されている。
【0208】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン共重合体は、1種以上のファルネセンと1種以上のビニルモノマーとの共重合により調製されたファルネセン変性ポリマーを含む。特定の実施態様において、1種以上のビニルモノマーから誘導される未変性ポリマーは、任意の公知のオレフィンホモポリマー又は共重合体でよい。さらなる実施態様において、1種以上の他のビニルモノマーのいずれも、架橋剤と反応できる不飽和側鎖を持たない。ファルネセンから誘導される不飽和側鎖のため、本明細書に開示されるファルネセン変性ポリマーは、本明細書に開示される架橋剤により架橋できる。
【0209】
特定の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン変性ポリマー中のファルネセンの量は、該ファルネセン変性ポリマーの総重量に対して、約1重量%から約20重量%、約1重量%から約10重量%、約1重量%から約7.5重量%、約1重量%から約5重量%、約1重量%から約4重量%、約1重量%から約3重量%、又は約1重量%から約2重量%になりうる。他の実施態様において、本明細書に開示されるファルネセン変性ポリマー中の1種以上の他のビニルモノマーの量は、該ファルネセン変性ポリマーの総重量に対して、約80重量%から約99重量%、約90重量%から約99重量%、約92.5重量%から約99重量%、約95重量%から約99重量%、約96重量%から約99重量%、約97重量%から約99重量%、又は約98重量%から約99重量%である。
【0210】
ポリファルネセン組成物の架橋は、電子線照射、ベータ線照射、ガンマ線照射、コロナ照射、紫外線を含むがそれらに限定されない当分野に公知である任意の放射手段により、架橋触媒があってもなくても開始できる。米国特許出願第10/086,057号(米国特許公開第2002/0132923 A1号として公開)及び米国特許第6,803,014号は、本発明の実施態様に使用できる電子線照射方法を開示している。
【0211】
照射は、高エネルギー、イオン化電子、紫外線、X線、ガンマ線、ベータ粒子など、及びそれらの組み合わせの使用により実施できる。好ましくは、電子は最大70メガラドの線量で利用される。照射源は、所望の線量を供給できるパワー出力を持ち約150キロボルトから約6メガボルトの範囲で運転する任意の電子線発生装置でよい。電圧は、例えば、100,000、300,000、1,000,000、又は2,000,000、又は3,000,000、又は6,000,000、又はそれ以上もしくはそれ以下でよい適切なレベルに調節できる。ポリマー材料を照射するための他の多くの装置(apparati)が当分野に公知である。照射は、通常、約3メガラドから約35メガラド、好ましくは約8から約20メガラドの線量で実施される。さらに、照射は簡便には室温で実施できるが、例えば0℃から約60℃の高温及び低温も利用できる。好ましくは、照射は、物品の成形又は二次加工後に実施される。また、好ましい実施態様において、プロラド(pro-rad)添加剤が混合されたファルネセン共重合体は、約8から約20メガラドで電子線放射により照射される。
【0212】
架橋は架橋触媒により促進することができ、この機能を与える任意の触媒を利用できる。好適な触媒には、一般的に、有機塩基;カルボン酸;有機金属化合物、例えば、鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛、及びスズの有機チタン酸塩及び錯体又はカルボキシラート;ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジオクチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、ジオクタン酸ジブチルスズ、酢酸第一スズ、オクタン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルトなどがある。触媒(又は触媒の混合物)は、典型的には約0.015から約0.035phrの触媒量で存在する。
【0213】
典型的なプロラド添加剤には、アゾ化合物、有機過酸化物、及び多官能性ビニル又はアリル化合物、例えば、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、グルタルアルデヒド、ジメタクリル酸エチレングリコール、マレイン酸ジアルビル(diallvl)、マレイン酸ジプロパルギル、シアヌル酸ジプロパルギルモノアリル、過酸化ジクミル、過酸化ジ-tert-ブチル、過安息香酸t-ブチル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過オクタン酸t-ブチル、過酸化メチルエチルケトン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ラウリル、過酢酸tert-ブチル、アゾビスイソブチルニトリルなど及びそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されない。本発明での使用に好ましいプロラド添加剤は、C=C、C=N、又はC=Oなどの多官能性(すなわち少なくとも2つ)部分を有する化合物である。
【0214】
当分野に公知の任意の方法により、少なくとも1種のプロラド添加剤をファルネセン共重合体に導入できる。しかし、好ましくは、プロラド添加剤(複数可)は、ファルネセン共重合体と同じか、又は異なる原樹脂を含むマスターバッチコンセントレートにより導入される。好ましくは、マスターバッチ用のプロラド添加剤濃度は比較的高く、例えば約25重量%(コンセントレートの総重量に対して)である。
【0215】
少なくとも1種のプララド添加剤が、任意の有効な量でポリファルネセンに導入される。好ましくは、少なくとも1種のプロラド添加剤導入量は、(ファルネセン共重合体の総重量に対して)約0.001から約5重量%、より好ましくは約0.005から約2.5重量%、最も好ましくは約0.015から約1重量%である。
【0216】
電子線照射に加え、架橋は紫外線照射によっても実施できる。該方法は、繊維が形成される前、その間、又はその後に、光架橋剤とともに、又は光架橋剤なしに、光開始剤をポリマーと混合する工程及び繊維を光開始剤とともに十分な紫外線に曝露させてポリマーを所望のレベルに架橋する工程を含む。本発明の実施に使用される光開始剤は、芳香族ケトン、例えば、ベンゾフェノン又は1,2-ジケトンのモノアセタールである。モノアセタールの主な光反応は、α結合の均等開裂によるアシル及びジアルコキシアルキルラジカルの生成である。この種のα開裂はノリッシュI型反応として知られ、W. Horspool及びD. Armestoの文献「有機光化学:包括的な処理(Organic Photochemistry: A Comprehensive Treatment)」Ellis Horwood Limited, Chichester, England, 1992;J. Kopeckyの文献「有機光化学:視覚的アプローチ(Organic Photochemistry: A Visual Approach)」VCH Publishers, Inc., New York, NY 1992; N.J. Turroらの文献 Acc. Chem. Res., 1972, 5, 92; 及びJ.T. Banksらの文献J. Am. Chem. Soc, 1993, 115, 2473により詳細に記載されている。芳香族1,2-ジケトンのモノアセタール、Ar-CO-C(OR)2-Ar'の合成は、米国特許第4,190,602号及びドイツ国公開特許第2,337,813号に記載されている。この種の好ましい化合物は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、C6H5-CO-C(OCH3)2-C6H5であり、Ciba-Geigy社からIrgacure 651として市販されている。光開始剤として本明細書において有用な他の芳香族ケトンの例はIrgacure 184、369、819、907、及び2959があり、全てCiba-Geigy社から市販されている。
【0217】
本発明の一実施態様において、光開始剤が光架橋剤と組み合わせて使用される。フリーラジカルの生成と同時に、骨格との共有結合の形成により2つ以上のポリオレフィン骨格を結合する光架橋剤を本明細書において使用できる。好ましくは、これらの光架橋剤は多官能性であり、すなわち、活性化と同時にポリファルネセンの骨格上の部位と共有結合を形成する2つ以上の部位を含む。代表的な光架橋剤には、多官能性ビニル又はアリル化合物、例えば、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、テトラメタクリル酸ペンタエリスリトール、ジメタクリル酸エチレングリコール、マレイン酸ジアリル、マレイン酸ジプロパルギル、シアヌル酸ジプロパルギルモノアリルがあるが、これらに限定されない。本発明での使用に好ましい光架橋剤は、多官能性(すなわち少なくとも2つの)部分を有する化合物である。特に好ましい光架橋剤は、シアヌル酸トリアリル(TAC)及びイソシアヌル酸トリアリル(TAIC)である。
【0218】
特定の化合物は、本明細書において光開始剤と光架橋剤の両方として作用する。これらの化合物は、紫外光への曝露時に2種以上の反応種(例えば、フリーラジカル、カルベン、ニトレンなど)を生成し、その後2つのポリマー鎖と共有結合する能力により特徴づけられる。これらの2つの機能を果たすことのできる任意の化合物を本明細書において使用でき、代表的な化合物にはスルホニルアジドがある。
【0219】
他の実施態様において、ポリファルネセンは、二次架橋、すなわち光架橋ではなく光架橋に加えられる架橋を受ける。この実施態様において、光開始剤が、非光架橋剤、例えばシランと組み合わせて使用されるか、又はポリファルネセンが二次架橋手順、例えば、電子線放射への曝露を受ける。この実施態様での光架橋剤の使用は任意である。
【0220】
少なくとも1つの光添加剤、すなわち光開始剤及び任意の光架橋剤は、当分野に公知である任意の方法によりポリファルネセンに導入できる。しかし、好ましくは、光添加剤(複数可)は、ポリファルネセンを含むマスターバッチコンセントレートにより導入される。好ましくは、マスターバッチ用の光添加剤濃度は、コンセントレートの総重量に対して、約10重量%、約15重量%、約20重量%、又は約25重量%より高い。
【0221】
少なくとも1種の光添加剤が、任意の有効な量でポリファルネセンに導入される。好ましくは、少なくとも1種の光添加剤導入量は、ポリファルネセンの総重量に対して、約0.001重量%から約5重量%、より好ましくは約0.005重量%から約2.5重量%、最も好ましくは約0.015重量%から約1重量%である。
【0222】
光開始剤(複数可)及び任意の光架橋剤(複数可)は、繊維又はフィルムの製造プロセスの異なる段階の間に加えることができる。光添加剤が押出温度に耐えられる場合、押出機に供給される前に、ポリオレフィン樹脂を、例えばマスターバッチ添加により添加剤と混合できる。別法としては、スロットダイの直前で添加剤を押出機に導入できるが、この場合は押出前の効率よい成分混合が重要である。他の手法では、ポリオレフィン繊維を光添加剤無しに延伸でき、押出された繊維に、光開始剤及び/又は光架橋剤を、キスロール、噴霧、添加剤入りの溶液への浸漬により、又は処理後の他の工業的方法を利用して塗布できる。次いで、光添加剤(複数可)の付いた繊維が、連続又はバッチプロセスで電磁放射により硬化される。光添加剤を、一軸及び二軸スクリュー押出機を含む従来の配合装置を利用してポリオレフィンと配合できる。
【0223】
電磁放射の出力及び照射時間は、ポリマーの劣化及び/又は寸法不良なしに効率よい架橋を可能にするように選択される。好ましいプロセスはヨーロッパ特許第0 490 854 B1号に記載されている。十分な耐熱性を持つ光添加剤(複数可)はポリオレフィン樹脂と予備混合され、繊維に押し出され、1つのエネルギー源又は直列に連結しているいくつかのユニットを利用する連続プロセスで照射される。スプールに集められる繊維又は織物のシートを硬化するバッチプロセスに比べて連続プロセスを利用する利点がいくつかある。
【0224】
照射は、紫外線の利用により達成できる。好ましくは、紫外線は最大100J/cm2の強度で使用される。照射源は、所望の線量を供給できるパワー出力を持ち約50ワットから約25000ワットの範囲で運転する任意の紫外光発生器でよい。ワット数は、例えば、1000ワット又は4800ワット、又は6000ワット、それ以上又はそれ以下でよい適切なレベルに調節できる。ポリマー材料を紫外線照射するための多くの他の装置が当分野に公知である。照射は、通常、約3J/cm2から約500J/scm2、好ましくは約5J/cm2から約100J/cm2の線量で実施される。さらに、照射は簡便には室温で実施できるが、例えば0℃から約60℃の高温及び低温でも実施してよい。光架橋プロセスは高温で迅速になる。好ましくは、照射は、物品の成形又は二次加工の後で実施される。好ましい実施態様において、光添加剤を取り込んだポリファルネセンは、約10J/cm2から約50J/cm2で紫外線により照射される。
【0225】
(ポリマー組成物の成分の配合)
ポリファルネセン組成物の成分、すなわち、ファルネセン共重合体、添加剤、任意の第2ポリマー(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、及び添加剤(例えば架橋剤)は、当業者に公知である方法を利用して混合又は配合できる。好適な配合方法の非限定的な例には、溶融配合、溶剤配合、押出などがある。
【0226】
いくつかの実施態様において、ポリファルネセン組成物の成分は、Guerinらの米国特許第4,152,189号に記載されている方法により溶融配合される。最初に、溶剤がある場合には、約100℃から約200℃又は約150℃から約175℃の適切な高温へ約5トル(667Pa)から約10トル(1333Pa)の圧力での加熱により、成分から全ての溶剤が除かれる。次に、成分が所望の比率で容器中に量り入れられ、容器の内容物を攪拌しながら溶融状態に加熱することによりフォームが形成される。
【0227】
他の実施態様において、物品の成分は溶剤配合を利用して処理される。最初に、所望のフォームの成分が好適な溶剤に溶かされ、次いで混合物が混合又は配合される。次に、溶媒が除去されてフォームを与える。
【0228】
さらなる実施態様において、分散混合、分布混合及び、又は分散混合と分布混合との組み合わせを与えられる物理的配合装置を均一なブレンドの調製に使用できる。物理的配合のバッチ法と連続法の両方が使用できる。バッチ法の非限定的な例には、BRABENDER(登録商標)混合装置(例えば、BRABENDER PREP CENTER(登録商標)、ニュージャージー州サウス・ハッケンサックのC. W. Brabender Instruments, Inc.から市販、)又はBANBURY(登録商標)内部混合及びロール練り(コネチカット州アンソニアのFarrel Companyから市販)装置を使用する方法がある。連続法の非限定的な例には、一軸スクリュー押出、二軸スクリュー押出、ディスク押出(disk extruding)、往復一軸スクリュー押出、及びピンバーレル一軸スクリュー押出(pin barrel single screw extruding)がある。いくつかの実施態様において、添加剤は、ファルネセン共重合体、任意の第2ポリマー、又はフォームの押出の間に供給ホッパー又は供給口を通って押出機に加えることができる。押出によるポリマーの混合又は配合は、引用により本明細書に組み込まれるC. Rauwendaalの文献「ポリマーの押出(Polymer Extrusion)」Hanser Publishers, New York, NY,322-334ページ(1986)に記載されている。
【0229】
1種以上の添加剤がポリファルネセン組成物中に必要とされる場合、所望の量の添加剤を、1回で、又は複数回で、ファルネセン共重合体、第2ポリマー、又はポリマー組成物に加えることができる。さらに、添加はどのような順序で実施してもよい。いくつかの実施態様において、最初に、添加剤がファルネセン共重合体に加えられ、混合又は配合され、次いで、添加剤を含有する共重合体が第2ポリマーと配合される。他の実施態様において、最初に添加剤が第2ポリマーに加えられ、混合又は配合され、次いで、添加剤を含有する第2ポリマーがファルネセン共重合体と配合される。さらなる実施態様において、ファルネセン共重合体が最初に第2ポリマーと配合され、次いで、添加剤がポリマー組成物と配合される。
【0230】
ポリマー組成物の成分は、当業者に公知である任意の好適な混合装置又は配合装置で、混合又は配合できる。次いで、ポリマー組成物中の成分は、全成分が均一に混合され変化しないままであることを確実にするように、発泡剤及び架橋剤の分解温度未満の温度で混合できる。ポリマー組成物が比較的均一に混合された後、組成物が成形され、発泡剤及び架橋剤を活性化しフォームを形成するために十分な時間ある条件(例えば、熱、圧力、剪断など)に曝露させる。
【0231】
(ポリファルネセンを含む組成物の用途)
本明細書に開示されるポリファルネセン又はポリファルネセン組成物は、多種多様な用途に使用できる。例えば、種々の従来の熱可塑性樹脂二次加工プロセスに使用して、単層フィルムなどの少なくとも1つのフィルム層又はキャストコーティング、吹込コーティング、カレンダーコーティング、又は押出コーティングプロセスにより調製される多層フィルム中の少なくとも1つの層を含む物体;吹込成形、射出成形、又は回転成形品などの成形品;押出品;繊維;及び織布又は不織布などの有用な物品を製造できる。本発明のポリマーを含む熱可塑性組成物には、他の天然又は合成ポリマー、添加剤、強化剤、耐発火性添加剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、増量剤、架橋剤、発泡剤、及び可塑剤とのブレンドがある。少なくとも部分的に1種以上の本発明のポリマーを含む、外表面相を有する、芯鞘繊維などの多成分繊維も特に有用である。
【0232】
本明細書に開示されるポリファルネセン又はポリファルネセン組成物から調製できる繊維には、ステープルファイバー、トウ、多成分、芯鞘、撚られた繊維、モノフィラメントがある。任意の繊維形成方法を本明細書において使用できる。例えば、好適な繊維形成方法には、スピンボンド、溶融吹込技術、ゲルスパン繊維、織布及び不織布、又はポリエステル、ナイロンもしくは綿などの他の繊維とのブレンドを含むそのような繊維から作られる構造、熱成形された物品、異形押出及び同時押出を含む押出品、圧延物品、及び延伸され、撚られた、又は縮らせたヤーン又は繊維がある。本明細書に開示されるポリファルネセン又はポリファルネセン組成物は、ワイヤー及びケーブルのコーティング操作、並びに真空成形操作のためのシート押出、射出成形、吹込成形プロセス、及び回転成形プロセスの利用を含む成形物品の形成にも有用である。本明細書に開示されるポリファルネセン又はポリファルネセン組成物は、ポリオレフィン加工の当業者に周知である従来のポリオレフィン加工技術を利用して、先に言及されたものなどの二次加工された物品にも形成できる。
【0233】
分散液(水性及び非水性の両方)も本明細書に開示されるポリファルネセン又はポリファルネセン組成物を利用して形成できる。本明細書に開示されるポリファルネセン又はポリファルネセン組成物を含む発泡フォーム(frothed foam)も形成できる。公知の手段、例えば過酸化物、電子線、シラン、アジド、又は他の架橋技術を利用して、ポリマーを架橋してもよい。グラフト化(例えば、無水マレイン酸(MAH)、シラン、又は他のグラフト剤の使用による)、ハロゲン化、アミノ化、スルホン化、又は他の化学修飾により、ポリマーを化学修飾してもよい。
【0234】
上記の製品の好適な最終用途には、弾性フィルム及び繊維;歯ブラシの持ち手及び家電製品のハンドルなどのソフトタッチ品;ガスケット及び異形材;接着材(ホットメルト接着剤及び感圧接着剤を含む);履物類(靴底及び靴のライナーを含む);自動車内装品及び異形材;フォーム製品(連続気泡及び独立気泡の両方);高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、又は他のオレフィンポリマーなどの他の熱可塑性ポリマー用の耐衝撃性改良剤;被覆布;ホース;チューブ類;目詰め材;キャップライナー;フローリング;及び潤滑剤用の流動点改良剤としても知られる粘度指数改良剤がある。
【0235】
本明細書に開示されるポリファルネセン組成物は、種々の用途、例えば、自動車、建設、医療、食品及び飲料、電気、電化製品、事務用機械、及び消費者市場の物品製造にも使用できる。いくつかの実施態様において、ポリファルネセン組成物を使用して、玩具、グリップ、ソフトタッチハンドル、バンパー摩擦ストリップ、フローリング、自動車フロアマット、ハンドル、キャスター、家具及び電化製品の脚部、タグ、シール、静的又は動的ガスケットなどのガスケット、自動車のドア、バンパーフェイシア、グリルコンポーネント、ロッカーパネル、ホース、ライニング、オフィス用品、シール、ライナー、隔壁、チューブ、蓋、ストッパー、プランジャーチップ、デリバリー系、台所用品、靴、靴の内袋、及び靴底から選択される成形部品又は物品が製造される。
【0236】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるポリファルネセン組成物を使用して、公知のポリマープロセス、例えば、押出(例えばシート押出及び異形押出);成形(例えば、射出成形、回転成形、及び吹込成形);紡糸;及びインフレーションフィルム及びキャストフィルムプロセスなどにより、成形物品、フィルム、シート、及びフォームが調製される。一般的に、押出は、ポリマーが高温高圧の領域を通ってスクリューに沿って連続的に押し込まれ、該高温高圧領域でポリマーが溶融し圧縮され、ついにはダイを通って押し出されるプロセスである。押出機は、一軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、ディスク押出機、又はラム押出機でよい。ダイは、フィルムダイ、インフレートフィルムダイ、シートダイ、パイプダイ、チューブダイ、又は異形押出ダイでよい。ポリマーの押出は、どちらも引用により本明細書に組み込まれるC. Rauwendaalの文献「ポリマーの押し出し(Polymer Extrusion)」Hanser Publishers, New York, NY (1986)及びMJ. Stevensの文献「押出機の原理及び操作(Extruder Principals and Operation)」Ellsevier Applied Science Publishers, New York, NY (1985)に記載されている。
【0237】
射出成形も種々の用途向けの種々のプラスチック部品の製造に広く利用されている。一般的に、射出成形は、ポリマーが溶融され、所望の形状の逆である型に高圧で射出され、所望の形状及び大きさの部品を形成するプロセスである。型は、鋼及びアルミニウムなどの金属製でよい。ポリマーの射出成形は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれるBeaumontらの文献「成功する射出成形:プロセス、設計、及びシミュレーション(Successful Injection Molding: Process, Design, and Simulation)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio (2002)に記載されている。
【0238】
成形は、一般的に、ポリマーが溶融され、所望の形状の逆である型に導かれて、所望の形状及び大きさの部品を形成するプロセスである。成形は、常圧でも、加圧されていてもよい。ポリマーの成形は、引用により本明細書に組み込まれるHans-Georg Eliasの文献「プラスチックへの入門(An Introduction to Plastics)」Wiley-VCH, Weinhei, Germany,161-165ページ(2003)に記載されている。
【0239】
回転成形は、一般的に、中空のプラスチック製品の製造に使用されるプロセスである。追加の成形後操作を利用して、他の成形及び押出技術と同様に効率よく、複雑な部品を製造できる。回転成形が他の加工方法と異なるのは、加熱、溶融、成形、及び冷却段階の全てが、ポリマーを型に入れてから起こり、そのため成形の間に外圧が加わらない点である。ポリマーの回転成形は、引用により本明細書に組み込まれるGlenn Beallの文献「回転成形:設計、材料、及び加工(Rotational Molding : Design, Materials & Processing)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio (1998)に記載されている。
【0240】
吹込成形は、中空のプラスチック容器の製造に利用できる。このプロセスは、軟化したポリマーを型の中心に入れ、ブローピンにより型の壁に対してポリマーを膨らませ、冷却により製品を凝固させる工程を含む。3種の一般的な種類の吹込成形がある:押出吹込成形、射出吹込成形、及び延伸吹込成形。射出吹込成形は、押出ができないポリマーの加工に利用できる。延伸吹込成形は、吹込が困難なポリプロピレンなどの結晶性及び結晶化可能なポリマーに利用できる。ポリマーの吹込成形は引用により本明細書に組み込まれるNorman C. Leeの文献「吹込成形の理解(Understanding Blow Molding)」Hanser Gardner Publications, Cincinnati, Ohio(2000)に記載されている。
【0241】
以下の実施例は本発明の実施態様を例示するために提示されるが、述べられる特定の実施態様に本発明を限定しないものとする。反対であると記されない限り、全ての部及びパーセンテージは重量による。全ての数値はおおよその値である。数字の範囲が示される場合、記載される範囲外の実施態様も本発明の範囲内に入りうることを理解されたい。各実施例に記載される具体的な詳細を、本発明の必要な特徴であると解釈すべきでない。
【実施例】
【0242】
(出発物質の精製)
純度97.6重量%のβ-ファルネセンを、カリフォルニア州エメリービルのAmyris Biotechnologies Inc.から入手した。β-ファルネセンは、ジンギベレン、ビサボレン、ファルネセンエポキシド、ファルネソール異性体、E,E-ファルネソール、スクアレン、エルゴステロール、及びファルネセンの数種の二量体などの炭化水素系不純物を含んでいた。β-ファルネセンを3Åのモレキュラーシーブにより精製して不純物を除き、窒素雰囲気下で再蒸留して純度を上げた。シクロヘキサンは、窒素雰囲気下で蒸留して水分を除き、乾燥剤とともに保存した。
【0243】
(示差走査熱量分析)
TA Q200示差走査熱量計を利用して、本明細書に開示されるポリマー試料のガラス転移温度(Tg)を測定した。5mgの試料をアルミニウムパンに入れた。空の参照パン及び試料パンを±0.01mgに保った。10℃/分の速度で約-175℃から約75℃まで試料を走査した。Tgは、熱流の階段状変化転移として確認した。転移の中点を試料のTgとして報告した。
【0244】
(ゲル浸透クロマトグラフィー)
GPCを利用して、ポリマー試料の分子量及び多分散性を測定した。Waters 2414 RI検出器をWaters 1515アイソクラティックHPLCポンプとともに使用した。HPLCグレードのテトラヒドロフランを溶媒として使用した。多分散フラクションをGPCから得た。試料の分子量は、一般的に数平均分子量(Mn)又は重量平均(Mw)として記録した。各ピーク特有の多分散性の決定を妨げるピークのオーバーラップがある場合、ピーク分子量(Mp)を本明細書に取り入れた。
【0245】
(熱重量分析)
試料の分解温度を熱重量分析(TGA)により測定した。約20mgの試料を、風袋計量済みのパンに入れた。次いで、パンをファーナスに入れた。気流を平衡化した。次いで、試料を10℃/分で室温から580℃に加熱した。試料の1%及び5%の重量減少の温度をそれぞれ報告した。
【0246】
(紫外−可視分光法)
紫外−可視(UV-Vis)分光法を利用して、反応中のモノマー消費をモニターした。モノマーが全て消費されるまで反応を続けた。Shimadzu UV-2450 UV-Vis分光計を利用した。空の石英キュベットによる5回の測定からバックグラウンド測定を平均化した。反応容器からアリコートを定期的に取り、次いでビーム距離1cmの正方形石英キュベットに入れた。試料の吸光度はアリコート中のモノマーの濃度に正比例する。反応の進行は、230nmでのβ-ファルネセンの特性吸収ピークによりUV-Vis分光法によりモニターした。
【0247】
(引張強度)
試料の引張強度は、INSTRON(商標)引張試験機により測定した。試料をキャストしてフィルムにし、適切な寸法に切った。処理後の試料の厚さ及び幅を測定した。標点距離2.54cmを、クロスヘッドスピード25mm/分で利用した。
【0248】
(ラップ試験)
ラップ試験を利用して試料の接着性を特性化した。2つの基材を接着剤により結合した。次いで、基材を引きはがし、接着剤に剪断をかけた。構造物は3つの方法の1つで破損する。基材が破損した場合、基材破損と呼んだ。接着剤が裂けた場合、凝集破壊と呼んだ。基材と接着剤との界面が破損した場合、接着破壊と呼んだ。INSTRON(商標)引張試験機を使用して、破壊に関与する力を特性化した。クロスヘッドスピード25mm/分で、接着剤を基材の2cm2部分に塗布した。基材としてアルミニウムを使用した。結合の前にアルミニウムをアセトンで洗浄した。
【0249】
1H及び13C核磁気共鳴)
1H及び13C核磁気共鳴を利用して、試料の化学微細構造を特性化した。Varian Mercury 300MHz NMRをこれらの測定に使用した。重水素化クロロホルムを溶媒として使用した。スペクトルを集めるために数回の測定を繰り返した。
【0250】
(実施例1−Mnが105,000である1,4-ポリファルネセン)
アルゴン雰囲気下の乾燥させた三口反応器に、13.7%で92.29gのβ-ファルネセンを溶かした予備乾燥済みシクロヘキサン溶液を入れた。n-ブチルリチウム(1.85×10-3mol、Acros社製、ニュージャージー州モリスプレーンズ)を開始剤として反応器に加え、UV-Vis分光法によりモニターしてβ-ファルネセンが全て消費されるまで、反応器を約50℃で約19時間加熱した。実施例1を、エタノール及びt-ブチルカテコール(Sigma-Aldrich社製、ミズーリ州セントルイス)の1%溶液により反応混合物から沈殿させた。真空オーブン中で約60℃で約2時間乾燥させた後、実施例1を約16時間真空下に保った。その後、89.83g(収率97%)を回収した実施例1を、キャラクタリゼーション前の架橋を防ぐために冷蔵庫中で保存した。
【0251】
実施例1合成の進行は、反応混合物のUV-Visにより測定して、β-ファルネセンの消失によりモニターした。図1は、実施例1及びβ-ファルネセンの紫外−可視(UV-Vis)スペクトルを示す。230nmでのβ-ファルネセンの特性吸収ピークは図1のβ-ファルネセンのUV-Visスペクトルに存在するが、図1の実施例1のUV-Visスペクトルにはない。
【0252】
実施例1の分子量及び多分散性は、GPCにより測定した。図2は実施例1のGPC曲線を示す。実施例1の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピーク分子量(Mp)、z平均分子量(Mz)、z+1平均分子量(Mz+1)、Mw/Mn(すなわち、多分散性)、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表1に示す。Mn、Mw、Mz、Mz+1、Mp、及び多分散性の定義は、引用により本明細書に組み込まれるPolymer Laboratoriesにより出版されたTechnical Bulletin TB021、「分子量分布及びMW平均の定義(Molecular Weight Distribution and Definitions of MW Averages)」に見いだすことができる。ポリマーの分子量を測定する数種の方法が、引用により本明細書に組み込まれるMalcolm P. Stevensの成書「ポリマー化学:入門(Polymer Chemistry: An Introduction)」Oxford University Press、2章(1999)、35-58ページに見いだされる。実施例1中のファルネセン単位の数を計算すると約490であった。
【表1】

【0253】
図3は実施例1の13C NMRスペクトルを示す。77.28ppm、77.02ppm、及び76.77ppmのピークは、13C NMRスペクトルを集めるために使用される重水素化クロロホルムに関連するピークであった。実施例1を同定する特性ピークは139.05ppmにあった。
【0254】
図4は実施例1の1H NMRスペクトルを示す。4.85ppm及び4.81ppmのピークは、3,4-微細構造に関連するピークであった。5.17ppm、5.16ppm、5.14ppm、及び5.13ppmのピークは、1,4-及び3,4-微細構造に関連するピークであった。図4のピークの下の面積に基づき、実施例1中の約12%のファルネセン単位が3,4-微細構造を持つことが見いだされた。
【0255】
実施例1のDSC曲線を図5に示す。実施例1の熱的特性をDSCにより測定した。実施例1のTgは約-76℃であることが分かった。-175℃と75℃の間で、他の熱事象は全く検出されなかった。
【0256】
空気中で測定した実施例1のTGA曲線を図6に示す。空気中の実施例1の分解温度をTGAにより測定した。空気中の実施例1の1%重量減少は210℃で記録され、空気中の実施例1の5%重量減少は307℃で記録された。
【0257】
窒素雰囲気下で測定した実施例1のTGA曲線を図7に示す。窒素雰囲気下の1%重量減少は307℃で記録され、窒素雰囲気下の実施例1の5%重量減少は339℃で記録された。
【0258】
実施例1を観察すると粘着性であった。実施例1のラップ試験結果を図8に示す。実施例1の接着能力をラップ試験により測定した。実施例1の接着エネルギーは約11,400J/m2でありピーク応力が約314N/m2であることが分かった。
【0259】
(実施例2−Mnが245,000である1,4-ポリファルネセン)
実施例2は、Mnが約245,000g/molである1,4-ポリファルネセンである。実施例2は、sec-ブチルリチウムを開始剤として使用した以外、実施例1の手順に従い同様に合成した。実施例2の正味重量は83.59g(収率71.4%)であった。反応の進行をモニターするためにアリコートを除いたので収率は低い。
【0260】
実施例2の分子量及び多分散性をGPCにより測定した。図9は実施例2のGPC曲線を示す。実施例2のMn、Mw、Mp、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表2に示す。実施例2中のファルネセン単位の数を計算すると約2000であった。実施例2は分子量が高いので、実施例1よりも高レベルの絡み合いを有し、緩和時間が長い。
【表2】

【0261】
実施例2のDSC曲線を図10に示す。実施例2の熱的特性をDSCにより測定した。実施例2のTgは約-76℃であることが分かった。
【0262】
実施例2の引張試験結果を図11に示す。実施例2の引張強度を引張試験により測定した。実施例2を観察すると、柔らかく、粘着性で、すぐに降伏した。図11に示すとおり、実施例2のピーク伸びは約6%であり、最大引張強度は約19psi(0.13MPa)であることが分かった。実施例2の弾性率を計算すると約4.6kpsi(31.7MPa)であった。実施例2は約40%伸びまで降伏し続けた。
【0263】
(実施例3−3,4-ポリファルネセン)
実施例3は、n-ブチルリチウム(1.71×10-3mol)をN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(1.71×10-3mol、TMEDA、Sigma-Aldrich社製、ミズーリ州セントルイス)の存在下で加えたこと以外、実施例1の手順に従い同様に合成した。実施例3の正味重量は82.72g(収率97%)であった。
【0264】
実施例3の分子量及び多分散性をGPCにより測定した。図12は実施例3のGPC曲線を示す。図12中の2つのピークは、実施例3中に形成された2つの別な重量分画を示した。実施例3のMn、Mw、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表3に示す。図12の第1のピークのMpは約97,165g/molであった。図12の第2ピークのMpは約46,582g/molであった。実施例3中のファルネセン単位の数を計算すると約240であった。
【表3】

【0265】
図13は実施例3の13C NMRスペクトルを示す。77.28ppm、77.02ppm、及び76.77ppmのピークは、13C NMRスペクトルを集めるために使用される重水素化クロロホルムのピークであった。139.05ppmでの実施例1を同定する特性ピークは図13にはなく、実施例3の規則的な微細構造を示す。
【0266】
図14は実施例3の1H NMRスペクトルを示す。4.85ppm及び4.81ppmのピークは実施例3の微細構造を示すピークであった。5.17ppm、5.16ppm、5.14ppm、及び5.13ppmのピークは、1,4-及び3,4-微細構造に関連するピークであった。図14のピークの下の面積に基づき、実施例3中の約10%のファルネセン単位が1,4-微細構造を有することが分かった。
【0267】
実施例3のDSC曲線を図15に示す。実施例3の熱的特性をDSCにより測定した。実施例3のTgは約-76℃であることが分かった。他の熱事象は、-175℃と75℃の間に全く検出されなかった。
【0268】
空気中で測定した実施例1のTGA曲線を図16に示す。空気中の実施例3の分解温度をTGAにより測定した。空気中の実施例1の1%重量減少は191℃で記録され、空気中の実施例1の5%重量減少は265℃で記録された。
【0269】
実施例3を観察すると、非常に粘着性の粘性流体であった。実施例3のラップ試験結果を図17に示す。実施例3の接着能力をラップ試験により測定した。実施例3の接着エネルギーは約12,900J/m2であり、ピーク応力が約430N/m2であることが分かった。
【0270】
(実施例4−ポリスチレン-1,4-ポリファルネセン-ポリスチレン)
アルゴン雰囲気下の乾燥させた第1の三口反応器に、12%のβ-ファルネセンをシクロヘキサンに溶かした予備乾燥済み溶液を加えた。アルゴン雰囲気下の乾燥させた第2の三口反応器に、10%スチレンをシクロヘキサンに溶かした20.65gの溶液を加えた。その後、スチレン溶液に、n-ブチルリチウム(6.88×10-4mol)を開始剤として反応器に加え、GPCによりモニターしてスチレンが全て消費されるまで、反応器を約50℃で約16時間加熱した。次いで、161.8β-ファルネセン溶液(すなわち、19.61gのβ-ファルネセン)をアルゴン雰囲気下で反応器に移した。GPCによりモニターして、約7時間完了まで反応を続けた。次いで、ジクロロシランカップリング剤(3.44×10-4mol、Acros社製、ニュージャージー州モリスプレーンズ)の3つの等しいアリコートを、反応混合物のLi対Clのモル比が1:2になるように反応器に加えた。黄色から透明への反応器中の色の変化により示される完了まで、反応混合物を反応させ続けた。1%t-ブチルカテコールのエタノール溶液により反応混合物から実施例4を沈殿させた。真空オーブン中で約60℃で約2時間乾燥させた後、実施例4を真空下で約16時間保った。その後、39.15g(収率97%)を回収した実施例4を、キャラクタリゼーション前の架橋を防ぐため冷蔵庫中に保存した。
【0271】
ポリスチレンのGPC曲線を図18に示す。ポリスチレン合成反応の進行をGPCによりモニターした。図18の2つのピークは、形成されたポリスチレンに2つの別な重量分画があることを示す。ポリスチレンのMn、Mw、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表4に示す。図18の第1ピークのMpは約59,596g/molであることが分かった。図20の第2ピークのMpは約28,619g/molであることが分かった。
【表4】

【0272】
ポリスチレンが形成し、次いでβ-ファルネセンとの重合を開始する開始剤として作用し、ポリスチレン-1,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーを形成した。ジブロックコポリマーのGPC曲線を図19に示す。ジブロックコポリマー合成反応の進行をGPCによりモニターした。図19中の3つのピークは、ジブロックコポリマー反応溶液中に3つの別な重量分画があることを示した。ジブロックコポリマーのMn、Mw、Mp、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表5に示す。ポリスチレン-1,4-ポリファルネセン-ポリスチレンに対応する図19中の第1ピークのMpは、約141,775g/molであることが分かった。ジブロックコポリマーに対応する図19中の第2ピークのMpは約63,023g/molであることが分かった。ジブロックコポリマー中の1,4-ポリファルネセンの分子量を計算すると、約35,000g/molであった。ポリスチレンに対応する図19中の第3ピークのMpは約29,799g/molであることが分かった。
【表5】

【0273】
ポリスチレン-1,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーをさらにカップリングして、実施例4を形成した。図20は実施例4のGPC曲線を示す。実施例4の分子量及び多分散性をGPCにより測定した。図20中の3つのピークは、形成されたカップリング生成物に3つの別な重量分画があることを示した。カップリング生成物のMn、Mw、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表6に示す。実施例4に対応する図20中の第1ピークのMpは、約138,802g/molであることが分かった。実施例4は、カップリング生成物の約10%中に得られた。実施例4中のファルネセンモノマー単位の数を計算すると、約300であった。ポリスチレン-1,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーに対応する図20中の第2ピークのMpは約63,691g/molであることが分かった。ポリスチレンに対応する図20中の第3ピークのMpは約29,368g/molであることが分かった。
【表6】

【0274】
図21は、実施例4の13C NMRスペクトルを示す。77.69ppm及び76.80ppmのピークは、13C NMRスペクトルを集めるのに使用した重水素化クロロホルムに関連するピークであった。図21中の他のピークは、1,4-ポリファルネセン及びポリスチレンに関連するピークであった。139.25ppmでの1,4-ポリファルネセンを同定する特性ピークは図21に存在し、実施例4中の1,4-ポリファルネセンの存在を示している。
【0275】
図22は、実施例4の1H NMRスペクトルを示す。4.85ppm及び4.81ppmのピークは3,4-微細構造に関連するピークであった。5.10ppm、5.12ppm、及び5.14ppmのピークは1,4-及び3,4-微細構造に関連するピークであった。図22のピークの下の面積に基づき、実施例4中の約3%のファルネセン単位が3,4-微細構造を有することが分かった。
【0276】
実施例4のDSC曲線を図23に示す。実施例4の熱的特性をDSCにより測定した。実施例4中の1,4-ポリファルネセンのTgは約-76℃であることが分かった。実施例4中のポリスチレンのTgは約96℃であることが分かった。-175℃と75℃の間で、他の熱事象は全く検出されなかった。
【0277】
空気中で測定した実施例4のTGA曲線を図24に示す。空気中の実施例4の分解温度をTGAにより測定した。空気中の実施例4の1%重量減少は307℃で記録され、空気中の実施例4の5%重量減少は333℃で記録された。
【0278】
実施例4の引張試験結果を図25に示す。実施例4の引張強度を引張試験により測定した。実施例4は堅いが降伏した。図25に示されるとおり、実施例4の破断点伸びは約425%であり、最大引張強度は約152psi(1.048MPa)であることが分かった。実施例4の弾性率を計算すると、約31.9kpsi(220MPa)であった。実施例4の330%伸びでの応力は約33.4psi(0.23MPa)であった。
【0279】
実施例4を観察すると粘着性であった。接着破壊による実施例4のラップ試験結果を図26に示す。実施例4の接着エネルギーは約2,928,000J/m2であり、ピーク応力は約134,000N/m2であることが分かった。
【0280】
(実施例5−ポリスチレン-3,4-ポリファルネセン-ポリスチレン)
アルゴン雰囲気下の乾燥させた第1の三口反応器に、12%のβ-ファルネセンをシクロヘキサンに溶かした予備乾燥済み溶液を加えた。アルゴン雰囲気下の乾燥させた第2の三口反応器に、10%スチレンをシクロヘキサンに溶かした予備乾燥済み溶液を加えた。その後、141.1gのスチレン溶液(すなわち、14.82gのスチレン)を、アルゴン雰囲気下の乾燥させた反応器に移した。n-ブチルリチウム(5.84×10-4mol)とTMEDA(5.02×10-4mol)との混合物を開始剤として反応器に加え、GPCによりモニターしてスチレンが全て消費されるまで、反応器を約50℃で約16時間加熱した。次いで、143.07gのβ-ファルネセン溶液(すなわち、15.74gのβ-ファルネセン)をアルゴン雰囲気下で反応器に移した。GPCによりモニターして約16時間完了まで反応を続けさせた。次いで、ジクロロシランカップリング剤を、Li対Clのモル比が1:2になるように、三等分して反応器に加えた。黄色から透明への反応器中の色の変化により示される完了まで、反応混合物を反応させ続けた。1%t-ブチルカテコールのエタノール溶液により反応混合物から実施例5を沈殿させた。真空オーブン中で約60℃で約2時間乾燥させた後、実施例5を真空下で約16時間保った。その後、28.75g(収率96%)を回収した実施例5を、キャラクタリゼーション前の架橋を防ぐため冷蔵庫中に保存した。
【0281】
ポリスチレンのGPC曲線を図27に示す。ポリスチレン合成の進行をGPCによりモニターした。図27の2つのピークは、ポリスチレンに2つの別な重量分画があることを示す。ポリスチレンのMn、Mw、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表7に示す。図27の第1ピークのMpは約65,570g/molであることが分かった。図27の第2ピークのMpは約32,122g/molであることが分かった。
【表7】

【0282】
ポリスチレンが形成し、次いでβ-ファルネセンとの重合を開始する開始剤として作用し、ポリスチレン-3,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーを形成した。ジブロックコポリマーのGPC曲線を図28に示す。ジブロックコポリマー合成の進行をGPCによりモニターした。図28中の3つのピークは、ジブロックコポリマー反応溶液中に3つの別な重量分画があることを示した。ジブロックコポリマーのMn、Mw、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表8に示す。ポリスチレン-3,4-ポリファルネセン-ポリスチレンに対応する図28中の第1ピークのMpは、約174,052g/molであることが分かった。ジブロックコポリマーに対応する図28中の第2ピークのMpは約86,636g/molであることが分かった。ジブロックコポリマー中の3,4-ポリファルネセンの分子量を計算すると、約54,000g/molであった。ポリスチレンに対応する図28中の第3ピークのMpは約33,955g/molであることが分かった。
【表8】

【0283】
ポリスチレン-3,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーをさらにカップリングして、実施例5を形成した。図29は実施例5のGPC曲線を示す。実施例5の分子量及び多分散性をGPCにより測定した。図29中の3つのピークは、形成されたカップリング生成物に3つの別な重量分画があることを示した。実施例5のMn、Mw、Mz、Mz+1、多分散性、Mz/Mw、及びMz+1/Mwを表9に示す。実施例5に対応する図29中の第1ピークのMpは、約148,931g/molであることが分かった。実施例5は、カップリング生成物の約33%中に得られた。実施例5中のファルネセンモノマー単位の数を計算すると、約300であった。実施例5中のブロックのピーク分子量は約32,000-108,000-32,000g/molであった。ポリスチレン-3,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーに対応する図29中の第2ピークのMpは約81,424g/molであることが分かった。ポリスチレンに対応する図29中の第3ピークのMpは約32,819g/molであることが分かった。
【表9】

【0284】
図30は、実施例5の13C NMRスペクトルを示す。77.72ppm、77.29ppm、及び76.87ppmのピークは、13C NMRスペクトルを集めるのに使用した重水素化クロロホルムに関連するピークであった。図30中の他のピークは、3,4-ポリファルネセン及びポリスチレンに関連するピークであった。139.05ppmの1,4-ポリファルネセンを同定する特性ピークは図30になく、実施例5中の規則的な微細構造を示している。
【0285】
図31は、実施例5の1H NMRスペクトルを示す。4.85ppm及び4.81ppmのピークは3,4-微細構造に関連するピークであった。5.15ppm及び5.13ppmのピークは1,4-及び3,4-微細構造に関連するピークであった。図31のピークの下の面積に基づき、実施例5中の約5%のファルネセン単位が1,4-微細構造を有することが分かった。
【0286】
実施例5のDSC曲線を図32に示す。実施例5の熱的特性をDSCにより測定した。実施例5中の3,4-ポリファルネセンのTgは約-72℃であることが分かった。実施例5中のポリスチレンのTgは約94℃であることが分かった。-175℃と75℃の間で、他の熱事象は全く検出されなかった。
【0287】
空気中で測定した実施例5のTGA曲線を図33に示す。空気中の実施例5の分解温度をTGAにより測定した。空気中の実施例5の1%重量減少は240℃で記録され、空気中の実施例5の5%重量減少は327℃で記録された。
【0288】
実施例5の引張試験結果を図34に示す。実施例5の引張強度を引張試験により測定した。実施例5は堅いが降伏した。図34に示されるとおり、実施例5の破断点伸びは約175%であり、最大引張強度は約768psi(5.30MPa)であることが分かった。実施例5の弾性率を計算すると、約39.5kpsi(272MPa)であった。
【0289】
溶媒ヘキサンによる4回の反復抽出により、実施例5をさらに精製した。精製された実施例5のGPC曲線を図35に示す。カップリング生成物からの実施例5の抽出をGPCにより評価した。抽出後、図35中の第1ピークとして示される実施例5は、抽出された生成物の約60%に増加した。図35の第2ピークとして示されるポリスチレン-3,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーは、抽出された生成物の約30%に減少した。図35の第3ピークとして示されるポリスチレンは、抽出された生成物の約10%に減少した。
【0290】
抽出溶媒ヘキサンのGPC曲線を図36に示す。抽出後、実施例5は、図36中の第1ピークとして示されるとおり、抽出溶媒中に非常に少量存在した。相当な量のポリスチレン-3,4-ポリファルネセンジブロックコポリマーが、図36中の第2ピークとして示されるとおり、抽出溶媒に抽出された。ポリスチレンの大部分は、図36中の第3ピークとして示されるとおり、抽出溶媒に抽出された。
【0291】
精製された実施例5の引張試験結果を図37に示す。精製された実施例5の引張強度を引張試験により測定した。実施例5は柔らかく容易に降伏した。図37に示されるとおり、精製された実施例5の破断点伸びは約550%であり、最大引張強度は約340psi(2.34MPa)であることが分かった。精製された実施例5の弾性率を計算すると約65.9kpsi(454MPa)であることが分かった。精製された実施例5の300%伸びでの応力は約57.1psi(0.39MPa)であることが分かった。
【0292】
精製された実施例5を観察すると非常に粘着性であった。接着破壊による精製された実施例5のラップ試験結果を図38に示す。精製された実施例5の接着能力をラップ試験により測定した。精製された実施例5の接着エネルギーは約1,787,000J/m2であり、ピーク応力は約120,000N/m2であることが分かった。
【0293】
(実施例6)
実施例1の加硫により、実施例6を形成した。反応混合物の処方には、62.7gの実施例1を、3.20gの酸化亜鉛、1.25gのステアリン酸、0.94gのRubbermakers Sulfur MC-98、0.13gの促進剤TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、及び0.63gの促進剤OBTS(N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド)と混合した。酸化亜鉛、ステアリン酸、Rubbermakers Sulfur MC-98、促進剤TMTD、及び促進剤OBTSは、オハイオ州アクロンのAkrochem Corporation社から入手した。次いで、混合物を加硫用型に入れ、約140℃で約30分間脱気した。脱気後、混合物を約170℃で約15分間硬化させた。型から外した後、弾性固体である実施例6を70.4g(収率81%)回収した。
【0294】
実施例6の引張試験結果を図39に示す。実施例6の引張強度を引張試験により測定した。図39に示されるとおり、実施例6の破断点伸びは約38%であり、最大引張強度は約16psi(0.11MPa)であった。実施例6の弾性率を計算すると約58psi(0.40MPa)であった。
【0295】
(実施例7)
実施例2の加硫により実施例7を形成した。実施例1を60.3gの実施例2に替えた以外、実施例6の手順に従い同様に実施例7を合成した。実施例7の正味重量は68.1g(収率78%)であることが分かった。
【0296】
実施例7の引張試験結果を図40に示す。実施例7の引張強度を引張試験により測定した。図40に示されるとおり、実施例7の破断点伸びは約25%であり、最大引張強度は約10psi(0.069MPa)であることが分かった。実施例7の弾性率を計算すると約66psi(0.45MPa)であることが分かった。
【0297】
限られた数の実施態様に関して本発明を説明してきたが、ある実施態様の特定の特徴は本発明の他の実施態様に帰するべきでない。唯一の実施態様が本発明の態様の全てを代表するものではない。いくつかの実施態様において、組成物又は方法は、本明細書に言及されていない多くの化合物又は工程を含むことがある。他の実施態様において、組成物又は方法は、本明細書に列挙されていない化合物又は工程を含まないか、又は実質的に含まない。記載された実施態様からの変形及び改良が存在する。最後に、本明細書に開示されたどの数字も、その数字の記載に「約」又は「およそ」と言う言葉が使用されているかどうかにかかわらず、おおよそを意味すると解釈するものとする。添付される請求項は、そのような改良及び変形の全てを本発明の範囲内にあるものとして網羅するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(X')を有する1種以上のポリマー分子を含むポリファルネセン:
【化1】

(式中、nは1から約100,000の整数であり;mは0から約100,000の整数であり;
Xは式(I')〜(VIII')の1種以上を有し:
【化2】

Yは式(IX')を有し:
【化3】

式中、R1は式(XI)を有し:
【化4】

R2は式(XII)を有し:
【化5】

R3は式(XIII)を有し:かつ
【化6】

R4は式(XIV)を有し:
【化7】

式中、R5、R6、R7、及びR8のそれぞれは、独立に、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、シクロアルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アシルオキシ、ニトリル、又はハロであり、但し、mが0である場合、式(I')の量が、該ポリファルネセンの総重量に対して最大約80重量%であり、かつmが1以上である場合、X対Yのモルパーセント比が約1:4から約100:1であることを条件とする)。
【請求項2】
式(II')の量が、前記ポリファルネセンの総重量に対して約5重量%から約99重量%である、請求項1記載のポリファルネセン。
【請求項3】
式(III')の量が、前記ポリファルネセンの総重量に対して少なくとも約70重量%である、請求項1〜2のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項4】
式(I')〜(III')、(V')〜(VII')、及び(XI)〜(XIV)、並びにその立体異性体の1種以上にある二重結合の少なくとも一部が水素化されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項5】
mが0であり、Xが式(I')〜(IV')の1種以上を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項6】
mが0であり、Xが式(V')〜(VIII')の1種以上を有する、請求項1記載のポリファルネセン。
【請求項7】
式(V')及び(VI')の総量が、前記ポリファルネセンの総重量に対して約1重量%から約99重量%である、請求項6記載のポリファルネセン。
【請求項8】
式(VII')の量が、前記ポリファルネセンの総重量に対して約1重量%から約99重量%である、請求項6記載のポリファルネセン。
【請求項9】
mが1から約100,000であり;R5、R6、R7、及びR8のそれぞれがHである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項10】
mが1から約100,000であり;R5がアリールであり;R6、R7、及びR8のそれぞれがHである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項11】
前記アリールがフェニルである、請求項10記載のポリファルネセン。
【請求項12】
mが1から約100,000であり、前記ポリファルネセンがランダムファルネセン共重合体である、請求項1〜4及び9〜11のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項13】
mが1から約100,000であり、前記ポリファルネセンがブロックファルネセン共重合体である、請求項1〜4及び9〜11のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項14】
前記ブロックファルネセン共重合体が、Xを含む1つのブロック及びYを含む2つのブロックを含み、Xを含む該ブロックがYを含む2つの該ブロックの間にある、請求項13記載のポリファルネセン。
【請求項15】
前記ポリファルネセンのMwが約60,000ダルトンを超える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項16】
前記ポリファルネセンのTgが約-60℃未満である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項17】
mとnとの合計が約300を超える、請求項1〜16のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項18】
β-ファルネセンを触媒の存在下で重合させて調製されるポリファルネセンであって、該ポリファルネセン中のcis-1,4-微細構造の量が、該ポリファルネセンの総重量に対して最大約80重量%であるポリファルネセン。
【請求項19】
α-ファルネセンを触媒の存在下で重合させて調製されるポリファルネセンであって、該ポリファルネセン中のcis-1,4-微細構造の量が、該ポリファルネセンの総重量に対して約1重量%から約99重量%であるポリファルネセン。
【請求項20】
下記工程により調製されたポリファルネセン:
(a)触媒の存在下でファルネセンを重合させて不飽和ポリファルネセンを形成する工程;及び
(b)水素化試薬の存在下で不飽和ポリファルネセン中の二重結合の少なくとも一部を水素化する工程。
【請求項21】
前記ファルネセンをビニルモノマーと共重合させてファルネセン共重合体を形成する、請求項18〜20のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項22】
前記ビニルモノマーがスチレンである、請求項21記載のポリファルネセン。
【請求項23】
前記ファルネセンが微生物により調製される、請求項18〜22のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項24】
前記ファルネセンが単純な糖から誘導される、請求項18〜23のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項25】
前記触媒が有機リチウム試薬を含む、請求項17〜24のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項26】
前記触媒が1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタンをさらに含む、請求項25記載のポリファルネセン。
【請求項27】
前記有機リチウム試薬がn-ブチルリチウム又はsec-ブチルリチウムである、請求項25〜26のいずれか一項に記載のポリファルネセン。
【請求項28】
前記水素化試薬が水素化触媒存在下の水素である、請求項20記載のポリファルネセン。
【請求項29】
前記水素化触媒が10%Pd/Cである、請求項28記載のポリファルネセン。
【請求項30】
ファルネセンと少なくとも1種のビニルモノマーとを触媒の存在下で共重合させる工程を含み、該ファルネセン対該ビニルモノマーのモルパーセント比が約1:4から約100:1である、ポリファルネセンの製造方法。
【請求項31】
下記工程を含むポリファルネセンの製造方法:
(a)微生物により単純な糖からファルネセンを製造する工程;及び
(b)該ファルネセンと少なくとも1種のビニルモノマーとを触媒の存在下で共重合させる工程。
【請求項32】
前記ファルネセン対ビニルモノマーのモルパーセント比が約1:4から約100:1である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種のビニルモノマーがテルペンを含まない、請求項30〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1種のビニルモノマーが、エチレン、α-オレフィン、又は置換もしくは非置換のビニルハライド、ビニルエーテル、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミドもしくはメタクリルアミド、又はそれらの組み合わせである、請求項30〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1種のビニルモノマーがスチレンである、請求項30〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記触媒が、チーグラーナッタ触媒、カミンスキー触媒、メタロセン触媒、もしくは有機リチウム試薬、又はそれらの組み合わせである、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記触媒が有機リチウム試薬である、請求項30〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記触媒が、1,2-ビス(ジメチルアミノ)エタンをさらに含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記有機リチウム試薬が、n-ブチルリチウム又はsec-ブチルリチウムである、請求項37〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
請求項30〜39のいずれか一項に記載の方法により調製されたポリファルネセン。
【請求項41】
請求項1〜29及び40のいずれか一項に記載のポリファルネセン及び少なくとも1種の添加剤を含むポリマー組成物。
【請求項42】
前記添加剤が、充填剤、グラフト開始剤、粘着付与剤、スリップ剤、粘着防止剤、可塑剤、酸化防止剤、発泡剤、発泡剤活性化剤、UV安定化剤、酸掃去剤、着色剤もしくは顔料、助剤、潤滑剤、防曇剤、流動助剤、処理助剤、押出助剤、カップリング剤、架橋剤、安定性調節剤、核化剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、又はそれらの組み合わせである、請求項41記載のポリマー組成物。
【請求項43】
前記添加剤が充填剤である、請求項41記載のポリマー組成物。
【請求項44】
前記添加剤が架橋剤である、請求項41記載のポリマー組成物。
【請求項45】
第2ポリマーをさらに含む、請求項41〜44のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項46】
前記ポリファルネセン対前記第2ポリマーの比が約1:99から約99:1である、請求項45記載のポリマー組成物。
【請求項47】
前記第2ポリマーが、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、スチレンポリマー、フェノール樹脂、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、又はそれらの組み合わせである、請求項45記載のポリマー組成物。
【請求項48】
請求項1〜29及び40のいずれか一項に記載のポリファルネセン又は請求項41〜47のポリマー組成物を含む物品。
【請求項49】
前記物品が、成形物品、フィルム、シート、又はフォームである、請求項48記載の物品。
【請求項50】
前記物品が、玩具、グリップ、ソフトタッチハンドル、バンパー摩擦ストリップ、フローリング、自動車フロアマット、ハンドル、キャスター、家具及び電化製品の脚部、タグ、シール、静的又は動的ガスケットなどのガスケット、自動車のドア、バンパーフェイシア、グリルコンポーネント、ロッカーパネル、ホース、ライニング、オフィス用品、シール、ライナー、隔壁、チューブ、蓋、ストッパー、プランジャーチップ、デリバリー系、台所用品、靴、靴の内袋、及び靴底から選択される成形物品である、請求項48記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公表番号】特表2012−502136(P2012−502136A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526040(P2011−526040)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/004959
【国際公開番号】WO2010/027464
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(511056437)アムイリス ビオテクフノロジエス,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】