フィルタ内蔵オイルパン
【課題】 オイル横揺れの影響を受け難く、フィルタの支持剛性が高く、或いはフィルタの組付作業性が良好な、また、従来に比して軽量なフィルタ内蔵オイルパンを提供する。
【解決手段】 オイルポンプに連通するオイル流路Qを内部に備えるとともに、オイルポンプに向かうオイルを濾過するフィルタ20を有するフィルタ内蔵オイルパンP1であって、オイル流路は、オイルパンの底壁部5に沿った流路壁7を有する底部流路Qbとオイルパンの第1側壁部1に沿った流路壁8を有する側部流路Qsとを備え、第1側壁部は、底部流路に開口し該底部流路内にフィルタを挿入させ得るドレン穴1hを備えており、底部流路には、挿入されたフィルタを係止するフィルタ係止部7kが設けられ、ドレン穴には、ドレン穴の閉塞プラグ10を固定するプラグ固定部1mが設けられ、閉塞プラグには、挿入されたフィルタの端末部20kを当て止めるフィルタ受け部11kが形成されている。
【解決手段】 オイルポンプに連通するオイル流路Qを内部に備えるとともに、オイルポンプに向かうオイルを濾過するフィルタ20を有するフィルタ内蔵オイルパンP1であって、オイル流路は、オイルパンの底壁部5に沿った流路壁7を有する底部流路Qbとオイルパンの第1側壁部1に沿った流路壁8を有する側部流路Qsとを備え、第1側壁部は、底部流路に開口し該底部流路内にフィルタを挿入させ得るドレン穴1hを備えており、底部流路には、挿入されたフィルタを係止するフィルタ係止部7kが設けられ、ドレン穴には、ドレン穴の閉塞プラグ10を固定するプラグ固定部1mが設けられ、閉塞プラグには、挿入されたフィルタの端末部20kを当て止めるフィルタ受け部11kが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば機械装置や動力装置などのオイル循環システムに装備されるオイルパン、特にフィルタを内蔵したオイルパンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械装置や動力装置などのオイル循環システムにおいて、オイル使用装置の下部に循環オイルを貯えるオイルパンが付設されたものが知られている。例えば自動車等の車両のエンジンやトランスミッションには、その下部にオイルパンが付設されており、このオイルパン内のオイルをオイルポンプで吸い上げてエンジン或いはトランスミッションに送給し、当該エンジン或いはトランスミッションで使用されたオイルをオイルパンに回収して循環させている。
【0003】
かかるオイル循環システムでは、通常、オイルポンプよりも上流側に、循環オイルを濾過するオイルフィルタ(以下、適宜、単に「フィルタ」という)が配設される。例えば特許文献1には、かかるフィルタをオイルパンの内部に配設した構成が開示されている。この従来の構成では、メインテナンス時などにオイルパン内の残留オイルを抜き出すドレン穴を閉塞する閉塞プラグに工夫を加え、この閉塞プラグを用いてフィルタがオイルパンの内部に保持されている。このように、フィルタをオイルパンに内蔵させることにより、オイル循環系の簡素化を図ることができる。
【特許文献1】特開平8−42319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来の構成では、フィルタは、閉塞プラグの先端からかなり突出した状態でオイル内に保持されており、特に、オイルパンに振動等が加わってオイルがフィルタに対して横方向に揺動した場合には、そのオイル横揺れの影響を大きく受け、また、一端側のみの支持であり支持剛性が十分でないので一般に振動入力の影響を受け易い。更に、閉塞プラグの構造が複雑であり、フィルタの組付作業性も良くないといった難点があった。また更に、オイルパンはエンジンやトランスミッション等のオイル使用装置の下部に付設される部品として、かなり大きい容積を有しているが、従来では金属製であるので重量が嵩むという難点もあった。
【0005】
この発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたもので、オイル横揺れの影響を受け難く、若しくはフィルタの支持剛性が高く、或いはフィルタの組付作業性が良好な、また、従来に比して軽量なフィルタ内蔵オイルパンを提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本願請求項1の発明(第1の発明)に係るフィルタ内蔵オイルパンは、オイルポンプに連通するオイル流路を内部に備えるとともに、前記オイルポンプに向かうオイルを濾過するフィルタを有するフィルタ内蔵オイルパンであって、前記オイル流路は、前記オイルパンの底壁部に沿った流路壁を有する底部流路と前記オイルパンの側壁部に沿った流路壁を有する側部流路とを備え、前記側壁部は、前記底部流路に開口し該底部流路内に前記フィルタを挿入させ得るドレン穴を備えており、前記底部流路には、前記ドレン穴から挿入された前記フィルタを係止するフィルタ係止部が設けられる一方、前記ドレン穴には、前記ドレン穴を閉塞する閉塞プラグを固定するプラグ固定部が設けられ、前記閉塞プラグには、前記底部流路内に挿入された前記フィルタの端末部を当て止めるフィルタ受け部が形成されている、
ことを特徴としたものである。
【0007】
また、本願請求項2の発明(第2の発明)は、前記第1の発明において、前記フィルタ係止部は前記フィルタの一端部を係止し、前記フィルタ受け部は前記フィルタの他端部を当て止めることを特徴としたものである。
【0008】
更に、本願請求項3の発明(第3の発明)は、前記第1又は第2の発明において、前記フィルタの側部に、該フィルタの挿入方向に略沿って延びる所定幅の突起部が形成され、前記底部流路の側壁内面には、前記フィルタの挿入時に前記突起部を嵌合させる嵌合溝部が設けられている、ことを特徴としたものである。
【0009】
また更に、本願請求項4の発明(第4の発明)は、前記第1又は第2の発明において、前記フィルタは、前記オイル流路の比較的上流側に位置する第1フィルタ部と、該第1フィルタ部よりも下流側に位置する第2フィルタ部とを備え、該第2フィルタ部の網目は前記第1フィルタ部の網目よりも細かく設定されている、ことを特徴としたものである。
【0010】
また更に、本願請求項5の発明(第5の発明)は、前記第1〜第4の何れか一の発明において、前記オイルパンは合成樹脂製であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本願の第1の発明によれば、オイル流路の底部流路内に(つまり、底部流路の流路壁の内側に)ドレン穴からフィルタを挿入することができ、この挿入されたフィルタを底部流路のフィルタ係止部に係止させ、且つ、前記フィルタの端末側を閉塞プラグのフィルタ受け部で当て止めることができる。これにより、フィルタは、オイル流路の底部流路内で(つまり、底部流路の流路壁の内側で)保持される。従って、例えばオイルパンに振動等が加わってオイルがフィルタに対し横方向に揺動した場合でも、フィルタは、そのオイル横揺れの影響を受け難く、底部流路の流路壁の内側で安定して保持される。
また、フィルタをオイルパン内に組み付ける際には、ドレン穴から前記底部流路内にフィルタを挿入してその一端側をフィルタ係止部に係止させ、閉塞プラグをプラグ固定部に固定してフィルタの他端側を当て止めればよく、従来に比して簡単な作業でフィルタをオイルパン内部に組み付けることができる。
【0012】
また、本願の第2の発明によれば、基本的には前記第1の発明と同様の作用効果を奏することができる。特に、フィルタは、オイル流路の底部流路内で、一端側がフィルタ係止部に係止され、且つ端末側が閉塞プラグのフィルタ受け部で当て止められた状態で、オイルパン内で保持される。これにより、フィルタは底部流路内で少なくとも両端を安定して保持されることとなり、従来に比して高い支持剛性を得ることができる。
【0013】
更に、本願の第3の発明によれば、基本的には前記第1又は第2の発明と同様の作用効果を奏することができる。特に、フィルタは、その側部に形成した挿入方向に略沿った所定幅の突起部を前記底部流路の側壁内面に設けた嵌合溝部に嵌合させた状態で保持されるので、底部流路内での支持剛性をより高めることができる。また、前記突起部を嵌合溝部に嵌合させることで、フィルタ挿入時には、フィルタはその挿入方向に沿ってガイドされ、底部流路内への組付作業性がより向上する。更に、フィルタ側部の突起部を底部流路の側壁内面の嵌合溝部に嵌合させた状態でフィルタを保持することにより、フィルタ側部と底部流路の側壁内面との間から、オイルがフィルタを通過せずに下流側に漏れることを有効に規制できる。
【0014】
また更に、本願の第4の発明によれば、基本的には前記第1又は第2の発明と同様の作用効果を奏することができる。特に、オイル流路の比較的上流側に位置するより粗い網目の第1フィルタ部で比較的サイズの大きい塵埃や切粉等の異物が下流側に流れることを防止することができ、これにより、第1フィルタ部よりも下流側に位置するより細かい網目の第2フィルタが早期に目詰まりを起こすことを有効に防止できる。
【0015】
また更に、本願の第5の発明によれば、基本的には前記第1〜第4の発明の何れか一と同様の作用効果を奏することができる。特に、オイルパンを合成樹脂製としたことにより、オイル使用装置の下部に付設される部品として大きい容積を占めるオイルパンを軽量化することができ、オイル循環システムを備えた装置全体の軽量化に寄与することができる。また、樹脂成形を適用することで、オイルパン内にオイル流路を容易に一体形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、自動車のエンジンに付設されるオイルパンに適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、第1実施形態について説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る自動車のエンジンオイルパンの内部構造を示す斜視図、図2はこのオイルパン内に組み込まれるオイルフィルタの斜視図である。また、図3は図1のY3−Y3線に沿った前記オイルパンの断面説明図、図4は図3の要部を拡大して示す前記オイルパンの部分断面説明図である。更に、図5は図4のY5−Y5線に沿ったオイルパンの断面説明図、図6は前記オイルパンの閉塞プラグの固定状態を拡大して示す断面説明図である。
【0017】
図1から良く分かるように、第1実施形態に係るオイルパンP1は、全体として、上方に開口した箱形に形成され、平面視では例えば略長方形状に構成されている。このオイルパンP1は、その長手方向と直交する第1及び第2の側壁部1及び2と、これら両側壁部1,2の各両端部を連結するように配設された第3及び第4の側壁部3及び4とを備え、各側壁部1〜4の下端部を連結するようにして底壁部5が設けられている。また、各側壁部1〜4の上端部を連結するようにして、当該オイルパンP1をエンジン(不図示)に取り付ける際に用いる上端フランジ部6が形成されている。
【0018】
前記第1及び第2の側壁部1及び2の何れか一方(本実施形態では、第1側壁部1)には、円筒状の突出部1Tが設けられており、この突出部1Tに、メインテナンス時などにオイルパンP1内の残留オイルを抜き出すドレン穴1h(図3,図4及び図6参照)が形成され、このドレン穴1hは閉塞プラグ10によって閉塞されている。前記ドレン穴1hは、オイルパンP1内の残留オイルを極力余すところ無く外部に排出させることができるように、第1側壁部1のできるだけ下部に設けられている。
【0019】
図6に詳しく示されるように、閉塞プラグ10は、略円筒状の本体部11と略平板状の頭部12とを備え、本体部11の外周部には雄ネジ11dが形成されている。一方、ドレン穴1hには、閉塞プラグ10の雄ネジ11dを螺合させる雌ネジ部1mが形成されている。
そして、前記突出部1Tの先端と閉塞プラグ10の頭部12の間に、予め選定されたシール部材15(ガスケット)を介装した上で、雄ネジ11dを雌ネジ1mに螺合させて締め付けることにより、突出部1Tの先端と閉塞プラグ10の頭部12の間をガスケット15で液密にシールした状態で、閉塞プラグ10が第1側壁部1のドレン穴1hに締結固定されるようになっている。
【0020】
図3及び図4に示されるように、オイルパンP1の内部には、エンジンのオイルポンプ(不図示)に連通するオイル流路Qが形成されている。このオイル流路Qは、底壁部5に沿った底部流路Qbと第1側壁部1に沿った側部流路Qsとを備えている。
前記底部流路Qbは、底壁部5と、該底壁部5の上側に一体的に設けられた底部流路壁7とで形成されている。この底部流路壁7は、例えば、下方が開口した略直方体の箱形に形成され、その下方開口が底壁部5で閉じられていることで、図5に示されるように断面矩形状の流路Qbが構成されている。
【0021】
一方、前記側部流路Qsは、第1側壁部1の内側に、例えば円筒状の筒状体8を側部流路壁として一体的に設けることで、この筒状体8の内部通路として構成されている。オイルパンP1をエンジン(不図示)の下部に取り付けた際には、この側部流路Qsの上端側が、前記オイルポンプと連通することになる。
底部流路Qbの一端部(上流端部)はオイルパンP1内の空間部に開口し、他端部(下流端部)は第1側壁部1に対面し側部流路Qsの下端側に連通している。第1側壁部1の下部に形成された前記ドレン穴1hは、底部流路Qbの前記他端部に開口している。
【0022】
以上のように構成されたオイルパンP1は、より好ましくは、所定の合成樹脂材料を用いて、例えば射出成形することによって製造されている。
このように、オイルパンP1を合成樹脂製としたことにより、エンジン下部に付設される部品として大きい容積を占めるオイルパンP1を、従来の金属製の場合に比して大幅に軽量化することができ、エンジン全体の軽量化、ひいては車両の軽量化に寄与することができる。また、オイルパンP1の製造に樹脂成形を適用することで、オイルパンP1内にオイル流路Qを(つまり、底部流路Qb及び側部流路Qsを)容易に一体形成することができる。
【0023】
本実施形態では、オイル流路Qの途中部に(具体的には、底部流路Qbに)、循環オイルを濾過するためのフィルタ20が組み込まれている。このフィルタ20は、図2に示されるように、平面視で矩形状に形成された網状体S(スクリーン)と、該スクリーンSの周縁を一体的に取り囲む枠状体21(フレーム)とで構成されている。
前記スクリーンSは、所定メッシュ数(単位面積当たりの開口数)の網状に形成され、一定サイズ以上の塵埃や異物(例えば切粉など)が下流側に通過することを阻止するものである。
【0024】
前記フィルタ20は、より好ましくは、フレーム21及びスクリーンSの両方が共に合成樹脂製の成形体として構成され、両者21,Sが一体に成形されている。尚、この代わりに、両者21,Sを別々に成形し、その後に両者21,Sを溶着または接着などにより一体化しても良い。或いは、スクリーンSを金属製の例えば金網または多孔板で形成し、この金属製のスクリーンSをフレーム21の樹脂成形金型内にセットしておき、所謂インサート成形で両者S,21を一体に構成することもできる。
【0025】
このフィルタ20は、前記ドレン穴1hから底部流路Qb内に挿入できるように、フレーム21のサイズが設定されている。
前記底部流路壁7の上流端部における上部内側には、図3及び図4に示されるように、ドレン穴1hから挿入されたフィルタ20を(具体的には、フレーム21の長手方向における一端部21jを)係止する溝状のフィルタ係止部7kが設けられている。一方、閉塞プラグ10の本体部11の先端には、フレーム21の長手方向における他端部21kを当て止める環状のフィルタ受け部11kが形成されている(例えば図6参照)。
【0026】
そして、前記閉塞プラグ10をドレン穴1hから取り外した状態で、フィルタ20をドレン穴1hから底部流路Qb内に挿入し、フレーム21の一端部21j(上流端部)を底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる。これにより、フィルタ20は、上流側から下流側にかけて下方に傾斜するように、底部流路Qb内および突出部T1の内部に組み込まれる。すなわち、底部流路Qbについてフィルタ20の上流側と下流側とがスクリーンSによって仕切られる。そして、前述のようにして閉塞プラグ10を第1側壁部1のドレン穴1hに締結固定することにより、フレーム21の他端部21k(下流端部)が閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kに当て止められるようになっている。
【0027】
このとき、フレーム21の下流端部21kと閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kとの間に殆ど隙間がない状態で、フィルタ20が前記フィルタ係止部7kとフィルタ受け部11kの間に保持される。若しくは、フィルタ20の若干の撓みやガスケット15の微少な圧縮により、上記隙間が完全にゼロ(0:零)でフィルタ20に長手方向の若干の圧縮力が作用した状態で、フィルタ20が前記フィルタ係止部7kとフィルタ受け部11kの間に強固に保持される。
【0028】
また、このとき、図5に示されるように、フィルタ20のフレーム21の側部外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ20の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。
従って、フィルタ20の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ20のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、オイル流路Qの底部流路Qb内にドレン穴1hからフィルタ20を挿入することができ、この挿入されたフィルタ20を(フレーム21の一端部21j(上流端部)を)底部流路Qbの(底部流路壁7の)フィルタ係止部7kに係止させ、且つ、前記フィルタ20の端末側を(フレーム21の下流端部21kを)閉塞プラグのフィルタ受け部11kで当て止めることができる。これにより、フィルタ20は、オイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持される。従って、例えばオイルパンP1に振動等が加わってオイルがフィルタ20に対し横方向に揺動した場合でも、フィルタ20は、そのオイル横揺れの影響を受け難く、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で安定して保持される。
【0030】
また、フィルタ20をオイルパンP1内に組み付ける際には、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ20を挿入してその一端側21jをフィルタ係止部7kに係止させ、閉塞プラグ10をドレン穴1hに固定してフィルタ受け部11kでフィルタ20の他端側21kを当て止めればよく、従来に比して簡単な作業でフィルタ20をオイルパンP1内部に組み付けることができるのである。
【0031】
特に、この場合、挿入されたフィルタ20の一端側21j(上流側)を底部流路Qbのフィルタ係止部7kに係止させ、且つ、前記フィルタ20の他端側21k(他端側)を閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止めることができる。すなわち、フィルタ20は、オイル流路Qの底部流路Qb内で、上流側21jがフィルタ係止部7kに係止され、且つ下流側21kが閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められた状態で、底部流路Qb内で保持される。
これにより、フィルタ20は、底部流路Qb内で、フレーム21の少なくとも両端21j,21kを安定して保持されることとなり、従来に比して高い支持剛性を得ることができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について、図7〜図10を参照しながら説明する。
尚、以下の説明において、前記第1実施形態における場合と、同様の構成を備え同様の作用をなすものについては同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
図7は第2実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図8はこの第2実施形態のフィルタの要部を拡大して示す斜視図、図9は第2実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。また、図10は図9のY10−Y10線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0033】
この第2実施形態に係るフィルタ30では、フレーム31の上流端部31jおよび下流端部31kのフレーム部分については、第1実施形態と同様であるが、左右のフレーム部分として、左右一対の縦壁32を備えている。スクリーンSは、両縦壁32間で上流側から下流側にかけて下方に傾斜する姿勢に設定された上で、フレーム31と一体化されている。フレーム31の左右部分を縦壁状とすることにより、当該フレーム31の剛性を高めることができる。
【0034】
前記縦壁32は、側面視で矩形状に形成され、また、その高さは、ドレン穴1hからのフィルタ30の挿入動作が阻害されない範囲で、オイルパンP2の底部流路Qbの高さとの差が最小となるように設定されている。
これにより、フィルタ30が底部流路Qb内でより安定して保持され、上下方向にがたつくことが有効に規制され、振動入力の影響をより軽減することができる。
【0035】
前記各縦壁32の上流端部には切欠部34が設けられており、フィルタ30をドレン穴1hから底部流路Qb内に挿入し、フレーム31の一端部31j(上流端部)を底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる際には、この切欠部34により、フィルタ係止部7kと縦壁32との干渉が回避されるようになっている。
尚、フレーム31の下流端部31kは、第1実施形態の場合と同様に、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ30が底部流路Qb内で保持される。
【0036】
この実施形態においても、図10に示されるように、フィルタ30のフレーム31の側部外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ30の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。
従って、フィルタ30の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ30のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
【0037】
この第2実施形態では、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、フィルタ30のフレーム31の左右部分を縦壁状としたことにより、当該フレーム31の剛性をより高めることができ、また、フィルタ30を底部流路Qb内でより安定して保持することができる。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態について、図11〜図13を参照しながら説明する。
図11は第3実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図12は第3実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。また、図13は図12のY13−Y13線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0039】
この第3実施形態に係るフィルタ40は、第2実施形態のフィルタ30と類似しているが、フレーム41の縦壁42の上流端部に切欠部は設けられておらず、また、底部流路壁7の上流端部における上部内側に、フレーム41の上流端部41jを係止するためのフィルタ係止部は設けられていない。
その代わりに、フレーム41の下流端部41kに、下方へ所定量だけ突出する凸部44が全幅にわたって形成されている。また、底壁部5の第1側壁部1の突出部1Tとの境界部分(つまり、底部流路Qbの下流端部)の近傍には、フレーム41の前記凸部44を係合させる段部5sが形成されている。
【0040】
この実施形態では、フィルタ40をオイルパンP3内に組み付ける際には、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ40を挿入することで、フレーム41の凸部44が底壁部5の段部5sに係止される。そして、この係止状態で閉塞プラグ10をドレン穴1hに固定することで、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kがフィルタ40の下流端部を当て止めることができる。このとき、フレーム41の左右の縦壁42はその下端面が底壁部5の上面に安定して支持される。
【0041】
この場合、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ40を挿入する際には、挿入側から見て比較的手前で、フレーム41の凸部44が底壁部5の段部5sに係止されるので、より簡単な作業でフィルタ40をオイルパンP3内部に組み付けることができる。
また、フィルタ40が、オイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
しかも、第2実施形態における場合と同様に、フィルタ40のフレーム41の左右部分を縦壁状としたことにより、当該フレーム41の剛性をより高めることができ、また、フレーム41の左右の縦壁42の下端面が底壁部5の上面に支持されることにより、フィルタ40を底部流路Qb内で安定して保持することができる。
【0042】
次に、本発明の第4実施形態について、図14〜図16を参照しながら説明する。
図14は第4実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図15は第4実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。また、図16は図15のY16−Y16線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0043】
この第4実施形態に係るフィルタ50では、フレーム51の側壁52に、該フィルタ51の挿入方向に略沿って延びる所定幅で所定厚さの突起部53が、側方へ張り出すようにして形成されている。また、フレーム51の側壁52の上流端部に、第2実施形態における場合と同様の切欠部54が設けられている。
スクリーンSは、両側壁52間で上流側から下流側にかけて下方に傾斜する姿勢に設定された上で、フレーム51と一体化されている。フレーム51の左右側壁52に前記突起部53をそれぞれ設けたことにより、当該フレーム51の剛性を高めることができる。
【0044】
一方、図16から良く分かるように、底部流路Qbの流路壁7の側壁7sの内面には、フィルタ51の挿入時に前記突起部53を嵌合させる嵌合溝部7gが設けられている。また、底部流路壁7の上流端部における上部内側には、第1及び第2実施形態における場合と同様に、フレーム51の上流端部51jを係止するためのフィルタ係止部7kが設けられている。
【0045】
フレーム51の上流端部51jを底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる際には、フレーム51の側壁52に設けた前記切欠部54により、フィルタ係止部7kと側壁52との干渉が回避される。
尚、フレーム51の下流端部51kは、第1実施形態の場合と同様に、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ50が底部流路Qb内で保持される。
【0046】
この実施形態においても、図16に示されるように、フィルタ50のフレーム51の側壁52の外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ50の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。従って、フィルタ30の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ30のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
しかも、フレーム側壁52の突起部53を底部流路Qbの側壁7sの内面の嵌合溝部7gに嵌合させた状態でフィルタ50を保持することにより、フレーム側壁52と底部流路Qbの側壁7sの内面との間から、オイルがスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることを更に有効に規制できる。
【0047】
この第4実施形態では、フィルタ50がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、フィルタ50は、そのフレーム51の側壁52に形成した挿入方向に略沿った所定幅の突起部53を底部流路Qbの側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合させた状態で保持されるので、底部流路Qb内での支持剛性をより高めることができる。また、前記突起部53を嵌合溝部7gに嵌合させることで、オイルパンP4内へのフィルタ挿入時には、フィルタ50はその挿入方向に沿ってガイドされ、底部流路Qb内への組付作業性がより向上する。
【0048】
次に、本発明の第5実施形態について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17は第5実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図18は第5実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【0049】
この第5実施形態に係るフィルタ60は、第4実施形態のフィルタ50と類似しており、フレーム61の側壁62に、該フィルタ61の挿入方向に略沿って延びる所定幅で所定厚さの突起部63が、側方へ張り出すようにして形成されている。スクリーンSは、両側壁62間で上流側から下流側にかけて下方に傾斜する姿勢に設定された上で、フレーム61と一体化されている。フレーム61の左右側壁62に突起部63をそれぞれ設けたことにより、当該フレーム61の剛性を高めることができる。
【0050】
しかし、フレーム61の側壁62の上流端部に切欠部は設けられておらず、また、底部流路壁7の上流端部における上部内側に、フレーム61の上流端部61jを係止するためのフィルタ係止部は設けられていない。
その代わりに、第3実施形態における場合と同様に、フレーム61の下流端部61kに、下方へ所定量だけ突出する凸部63が全幅にわたって形成されている。また、底壁部5の第1側壁部1の突出部1Tとの境界部分(つまり、底部流路Qbの下流端部)の近傍には、フレーム61の前記凸部63を係合させる段部5sが形成されている。この点も第3実施形態における場合と同様である。
【0051】
また、具体的には図示しなかったが、フレーム61の左右側壁62に設けた突起部63は、第4実施形態について図16で示したと同様の構造で、底部流路Qbの側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合し、この嵌合状態でフィルタ60が底部流路Qb内に保持される。
【0052】
この第5実施形態では、第3実施形態における場合と同様に、フィルタ60をオイルパンP5内に組み付ける際には、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ60を挿入することで、フレーム61の凸部64が底壁部5の段部5sに係止される。そして、この係止状態で閉塞プラグ10をドレン穴1hに固定することで、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kがフィルタ60の下流端部を当て止めることができる。
【0053】
従って、本実施形態では、フィルタ60がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、フレーム61の側壁62に前記突起部63を設けたこと、及びこの突起部63を底部流路側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合させることについて、第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。更に、フレーム61の下流端部61kに凸部63を設け、この凸部63を底壁部5の段部5sに係合させることについて、第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0054】
次に、本発明の第6実施形態について、図19及び図20を参照しながら説明する。
図19は第6実施形態に係るフィルタの全体斜視図、また図20は第6実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【0055】
この第6実施形態に係るフィルタ70では、オイル流路Qの底部流路Qbの上流側に位置する第1スクリーンS1と、該第1スクリーンS1よりも下流側に位置する第2スクリーンS2とを備えている。フレーム71の側壁72は、側面視で略三角形状に形成され、第1スクリーンS1は下流側に向かうに連れて斜め上方に傾斜し、第2スクリーンS2は下流側に向かうに連れて斜め下方に傾斜する姿勢に設定された上で、両スクリーンS1,S2がフレーム71と一体化されている。フレーム71の左右側壁72はオイルパンP6の底壁部5に支持される縦壁状とされている。これにより、当該フレーム71の剛性を高めることができる。
【0056】
前記フィルタ70では、第2スクリーンS2の網目が第1スクリーンS1の網目よりも細かく設定されている。
従って、オイル流路Qの上流側に位置するより粗い網目の第1スクリーンS1で比較的サイズの大きい塵埃や切粉等の異物が下流側に流れることを防止することができ、これにより、第1スクリーンS1よりも下流側に位置するより細かい網目の第2スクリーンS2が早期に目詰まりを起こすことを有効に防止できるのである。
【0057】
両スクリーンS1,S2を仕切るフレーム上端部71uには、その全幅にわたる切欠部74が形成され、底部流路壁7の上流端部における上部内側には、フレーム71の上端部71uを係止するためのフィルタ係止部7kが設けられている。
フレーム71の上端部71uを底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる際には、フレーム71の上端部71uに設けた前記切欠部74により、フィルタ係止部7kとの干渉が回避される。
【0058】
尚、フレーム71の下流端部71kは、第1実施形態の場合と同様に、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ70がオイルパンP6の底部流路Qb内で保持される。
【0059】
尚、具体的には図示しなかったが、この実施形態においても、フィルタ70のフレーム71の側壁72の外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ70の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。従って、フィルタ70の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ70のスクリーンS1,S2を通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
【0060】
この第6実施形態では、フィルタ70の大部分がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、第2実施形態における場合と同様に、フィルタ70のフレーム71の左右側壁72を縦壁状としたことについて、第2実施形態における場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
また、前述のように、網目が比較的大きい第1スクリーンS1と網目が比較的小さいスクリーンS2とを設けたことにより、下流側に位置するより細かい網目の第2スクリーンS2が早期に目詰まりを起こすことを有効に防止できる。
更に、この場合、第1スクリーンS1は、底部流路壁7の上流端部に設けたフィルタ係止部7kから上流側に張り出すように位置しており、この第1スクリーンS1の分だけ、スクリーン全体としての濾過面積が大きくなっており、より高いオイル濾過効果を得ることが可能である。
【0062】
次に、本発明の第7実施形態について、図21〜図23を参照しながら説明する。
図21は第7実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図22は第7実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。また、図23は図22のY23−Y23線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0063】
この第7実施形態に係るフィルタ80では、フレーム81の左右側壁82に、該フィルタ81の挿入方向に略沿って延びる所定幅で所定厚さの突起部83が側方へ張り出すようにして形成されている。また、フレーム81の上流壁部85にも上流突起部86が前記突起部83と連続するように形成されている。このフレーム81の下流端部には、底部流路Qbの内周部に嵌合する下流壁部87が一体形成されている。
スクリーンSは、両側壁82間で上流側から下流側にかけて傾斜することなく真直して伸びるように設定された上で、フレーム81と一体化されている。フレーム81の左右側壁82に側面突起部83を設け、この側面突起部83と連続するように上流壁部85に上流突起部86を設けたことにより、当該フレーム81の剛性を高めることができる。
【0064】
一方、図22及び図23から良く分かるように、底部流路Qbの流路壁7の側壁7sの内面には、フィルタ81の挿入時に前記側面突起部83を嵌合させる側面嵌合溝部7gが設けられるとともに、底部流路壁7の上流端部における上部内側にはフィルタ係止部7kが設けられ、該フィルタ係止部7kには、前記上流突起部86を嵌合させる上流嵌合溝部7hが設けられている。
【0065】
フィルタ80をオイルパンP7の底部流路Qb内に挿入する際には、フレーム81の側面突起部83を底部流路壁7の側面嵌合溝部7gに嵌合させながらフィルタ80を挿入し、その挿入終期に上流突起部86を底部流路壁7の上流嵌合溝部7hに嵌合させて、フィルタ80を底部流路壁7に組み付ける。
そして、フレーム81の下流壁部87は、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ80が底部流路Qb内で保持される。
【0066】
この実施形態においても、図23に示されるように、フィルタ80のフレーム81の側壁82の外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ80の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。従って、フィルタ80の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ80のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
しかも、フレーム側壁82の側面突起部83及び上流突起部86を底部流路Qbの側面嵌合溝部7g及び上流嵌合溝部7hにそれぞれ嵌合させた状態でフィルタ80を保持することにより、フレーム側壁82及び上流壁部85と底部流路Qbの側壁7s及び上流端部における上部内面との間から、オイルがスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることを更に有効に規制できる。
【0067】
この第7実施形態では、フィルタ80がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、フィルタ80は、そのフレーム81の側壁82に形成した挿入方向に略沿った所定幅の側面突起部83を底部流路Qbの側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合させた状態で保持されるので、底部流路Qb内での支持剛性をより高めることができる。また、前記側面突起部83を嵌合溝部7gに嵌合させることで、オイルパンP7内へのフィルタ挿入時には、フィルタ80はその挿入方向に沿ってガイドされ、底部流路Qb内への組付作業性がより向上する。
【0068】
尚、以上の実施形態は、自動車のエンジン(不図示)の下部に付設されるオイルパンP1〜P7についてのものであったが、本発明はかかる場合に限定されるものではなく、例えばトランスミッションの下部に付設されるオイルパンなど、他の種々の機械装置や動力装置などのオイル循環システムに装備されるオイルパンに有効に適用することができる。
【0069】
このように、本発明は、上記実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や改良等が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば機械装置や動力装置などのオイル循環システムに装備されるオイルパン、特にフィルタを内蔵したオイルパンに関するものであり、オイル横揺れの影響を受け難く、フィルタの支持剛性が高く、或いはフィルタの組付作業性が良好な、また、従来に比して軽量なフィルタ内蔵オイルパンを提供することができ、例えば自動車等の車両のエンジンやトランスミッションの下部に付設されるオイルパンとして有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動車のエンジンオイルパンの内部構造を示す斜視図である。
【図2】前記オイルパン内に組み込まれるオイルフィルタの斜視図である。
【図3】図1のY3−Y3線に沿った前記オイルパンの断面説明図である。
【図4】図3の要部を拡大して示す前記オイルパンの部分断面説明図である。
【図5】図4のY5−Y5線に沿った前記オイルパンの断面説明図である。
【図6】前記オイルパンの閉塞プラグの固定状態を拡大して示す断面説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図8】第2実施形態のフィルタの要部を拡大して示す斜視図である。
【図9】第2実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。
【図10】図9のY10−Y10線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図12】第3実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。
【図13】図12のY13−Y13線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図15】第4実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図16】図15のY16−Y16線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図18】第5実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図20】第6実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図21】本発明の第7実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図22】第7実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図23】図22のY23−Y23線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【符号の説明】
【0072】
1 第1側壁部
1h ドレン穴
1m 雌ネジ部
5 底壁部
5s 段部
7 底部流路壁
7k フィルタ係止部
7g 嵌合溝部
7h 上流嵌合溝部
7s 側壁
8 側部流路壁
10 閉塞プラグ
11 (閉塞プラグの)本体部
11k フィルタ受け部
20,30,40,50,60,70,80 フィルタ
21,31,41,51,61,71,81 (フィルタの)フレーム
21j,31j,51j (フレームの)上流端部
21k,31k,41k,51k,61k,71k (フレームの)下流端部
44,64 (フレームの)凸部
53,63 (フレームの)突起部
71u (フレームの)上端部
83 (フレームの)側面突起部
86 (フレームの)上流突起部
87 (フレームの)下流壁部
P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7 オイルパン
Q オイル流路
Qb 底部流路
Qs 側部流路
S スクリーン
S1 第1スクリーン
S2 第2スクリーン
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば機械装置や動力装置などのオイル循環システムに装備されるオイルパン、特にフィルタを内蔵したオイルパンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械装置や動力装置などのオイル循環システムにおいて、オイル使用装置の下部に循環オイルを貯えるオイルパンが付設されたものが知られている。例えば自動車等の車両のエンジンやトランスミッションには、その下部にオイルパンが付設されており、このオイルパン内のオイルをオイルポンプで吸い上げてエンジン或いはトランスミッションに送給し、当該エンジン或いはトランスミッションで使用されたオイルをオイルパンに回収して循環させている。
【0003】
かかるオイル循環システムでは、通常、オイルポンプよりも上流側に、循環オイルを濾過するオイルフィルタ(以下、適宜、単に「フィルタ」という)が配設される。例えば特許文献1には、かかるフィルタをオイルパンの内部に配設した構成が開示されている。この従来の構成では、メインテナンス時などにオイルパン内の残留オイルを抜き出すドレン穴を閉塞する閉塞プラグに工夫を加え、この閉塞プラグを用いてフィルタがオイルパンの内部に保持されている。このように、フィルタをオイルパンに内蔵させることにより、オイル循環系の簡素化を図ることができる。
【特許文献1】特開平8−42319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来の構成では、フィルタは、閉塞プラグの先端からかなり突出した状態でオイル内に保持されており、特に、オイルパンに振動等が加わってオイルがフィルタに対して横方向に揺動した場合には、そのオイル横揺れの影響を大きく受け、また、一端側のみの支持であり支持剛性が十分でないので一般に振動入力の影響を受け易い。更に、閉塞プラグの構造が複雑であり、フィルタの組付作業性も良くないといった難点があった。また更に、オイルパンはエンジンやトランスミッション等のオイル使用装置の下部に付設される部品として、かなり大きい容積を有しているが、従来では金属製であるので重量が嵩むという難点もあった。
【0005】
この発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたもので、オイル横揺れの影響を受け難く、若しくはフィルタの支持剛性が高く、或いはフィルタの組付作業性が良好な、また、従来に比して軽量なフィルタ内蔵オイルパンを提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本願請求項1の発明(第1の発明)に係るフィルタ内蔵オイルパンは、オイルポンプに連通するオイル流路を内部に備えるとともに、前記オイルポンプに向かうオイルを濾過するフィルタを有するフィルタ内蔵オイルパンであって、前記オイル流路は、前記オイルパンの底壁部に沿った流路壁を有する底部流路と前記オイルパンの側壁部に沿った流路壁を有する側部流路とを備え、前記側壁部は、前記底部流路に開口し該底部流路内に前記フィルタを挿入させ得るドレン穴を備えており、前記底部流路には、前記ドレン穴から挿入された前記フィルタを係止するフィルタ係止部が設けられる一方、前記ドレン穴には、前記ドレン穴を閉塞する閉塞プラグを固定するプラグ固定部が設けられ、前記閉塞プラグには、前記底部流路内に挿入された前記フィルタの端末部を当て止めるフィルタ受け部が形成されている、
ことを特徴としたものである。
【0007】
また、本願請求項2の発明(第2の発明)は、前記第1の発明において、前記フィルタ係止部は前記フィルタの一端部を係止し、前記フィルタ受け部は前記フィルタの他端部を当て止めることを特徴としたものである。
【0008】
更に、本願請求項3の発明(第3の発明)は、前記第1又は第2の発明において、前記フィルタの側部に、該フィルタの挿入方向に略沿って延びる所定幅の突起部が形成され、前記底部流路の側壁内面には、前記フィルタの挿入時に前記突起部を嵌合させる嵌合溝部が設けられている、ことを特徴としたものである。
【0009】
また更に、本願請求項4の発明(第4の発明)は、前記第1又は第2の発明において、前記フィルタは、前記オイル流路の比較的上流側に位置する第1フィルタ部と、該第1フィルタ部よりも下流側に位置する第2フィルタ部とを備え、該第2フィルタ部の網目は前記第1フィルタ部の網目よりも細かく設定されている、ことを特徴としたものである。
【0010】
また更に、本願請求項5の発明(第5の発明)は、前記第1〜第4の何れか一の発明において、前記オイルパンは合成樹脂製であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本願の第1の発明によれば、オイル流路の底部流路内に(つまり、底部流路の流路壁の内側に)ドレン穴からフィルタを挿入することができ、この挿入されたフィルタを底部流路のフィルタ係止部に係止させ、且つ、前記フィルタの端末側を閉塞プラグのフィルタ受け部で当て止めることができる。これにより、フィルタは、オイル流路の底部流路内で(つまり、底部流路の流路壁の内側で)保持される。従って、例えばオイルパンに振動等が加わってオイルがフィルタに対し横方向に揺動した場合でも、フィルタは、そのオイル横揺れの影響を受け難く、底部流路の流路壁の内側で安定して保持される。
また、フィルタをオイルパン内に組み付ける際には、ドレン穴から前記底部流路内にフィルタを挿入してその一端側をフィルタ係止部に係止させ、閉塞プラグをプラグ固定部に固定してフィルタの他端側を当て止めればよく、従来に比して簡単な作業でフィルタをオイルパン内部に組み付けることができる。
【0012】
また、本願の第2の発明によれば、基本的には前記第1の発明と同様の作用効果を奏することができる。特に、フィルタは、オイル流路の底部流路内で、一端側がフィルタ係止部に係止され、且つ端末側が閉塞プラグのフィルタ受け部で当て止められた状態で、オイルパン内で保持される。これにより、フィルタは底部流路内で少なくとも両端を安定して保持されることとなり、従来に比して高い支持剛性を得ることができる。
【0013】
更に、本願の第3の発明によれば、基本的には前記第1又は第2の発明と同様の作用効果を奏することができる。特に、フィルタは、その側部に形成した挿入方向に略沿った所定幅の突起部を前記底部流路の側壁内面に設けた嵌合溝部に嵌合させた状態で保持されるので、底部流路内での支持剛性をより高めることができる。また、前記突起部を嵌合溝部に嵌合させることで、フィルタ挿入時には、フィルタはその挿入方向に沿ってガイドされ、底部流路内への組付作業性がより向上する。更に、フィルタ側部の突起部を底部流路の側壁内面の嵌合溝部に嵌合させた状態でフィルタを保持することにより、フィルタ側部と底部流路の側壁内面との間から、オイルがフィルタを通過せずに下流側に漏れることを有効に規制できる。
【0014】
また更に、本願の第4の発明によれば、基本的には前記第1又は第2の発明と同様の作用効果を奏することができる。特に、オイル流路の比較的上流側に位置するより粗い網目の第1フィルタ部で比較的サイズの大きい塵埃や切粉等の異物が下流側に流れることを防止することができ、これにより、第1フィルタ部よりも下流側に位置するより細かい網目の第2フィルタが早期に目詰まりを起こすことを有効に防止できる。
【0015】
また更に、本願の第5の発明によれば、基本的には前記第1〜第4の発明の何れか一と同様の作用効果を奏することができる。特に、オイルパンを合成樹脂製としたことにより、オイル使用装置の下部に付設される部品として大きい容積を占めるオイルパンを軽量化することができ、オイル循環システムを備えた装置全体の軽量化に寄与することができる。また、樹脂成形を適用することで、オイルパン内にオイル流路を容易に一体形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、自動車のエンジンに付設されるオイルパンに適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、第1実施形態について説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る自動車のエンジンオイルパンの内部構造を示す斜視図、図2はこのオイルパン内に組み込まれるオイルフィルタの斜視図である。また、図3は図1のY3−Y3線に沿った前記オイルパンの断面説明図、図4は図3の要部を拡大して示す前記オイルパンの部分断面説明図である。更に、図5は図4のY5−Y5線に沿ったオイルパンの断面説明図、図6は前記オイルパンの閉塞プラグの固定状態を拡大して示す断面説明図である。
【0017】
図1から良く分かるように、第1実施形態に係るオイルパンP1は、全体として、上方に開口した箱形に形成され、平面視では例えば略長方形状に構成されている。このオイルパンP1は、その長手方向と直交する第1及び第2の側壁部1及び2と、これら両側壁部1,2の各両端部を連結するように配設された第3及び第4の側壁部3及び4とを備え、各側壁部1〜4の下端部を連結するようにして底壁部5が設けられている。また、各側壁部1〜4の上端部を連結するようにして、当該オイルパンP1をエンジン(不図示)に取り付ける際に用いる上端フランジ部6が形成されている。
【0018】
前記第1及び第2の側壁部1及び2の何れか一方(本実施形態では、第1側壁部1)には、円筒状の突出部1Tが設けられており、この突出部1Tに、メインテナンス時などにオイルパンP1内の残留オイルを抜き出すドレン穴1h(図3,図4及び図6参照)が形成され、このドレン穴1hは閉塞プラグ10によって閉塞されている。前記ドレン穴1hは、オイルパンP1内の残留オイルを極力余すところ無く外部に排出させることができるように、第1側壁部1のできるだけ下部に設けられている。
【0019】
図6に詳しく示されるように、閉塞プラグ10は、略円筒状の本体部11と略平板状の頭部12とを備え、本体部11の外周部には雄ネジ11dが形成されている。一方、ドレン穴1hには、閉塞プラグ10の雄ネジ11dを螺合させる雌ネジ部1mが形成されている。
そして、前記突出部1Tの先端と閉塞プラグ10の頭部12の間に、予め選定されたシール部材15(ガスケット)を介装した上で、雄ネジ11dを雌ネジ1mに螺合させて締め付けることにより、突出部1Tの先端と閉塞プラグ10の頭部12の間をガスケット15で液密にシールした状態で、閉塞プラグ10が第1側壁部1のドレン穴1hに締結固定されるようになっている。
【0020】
図3及び図4に示されるように、オイルパンP1の内部には、エンジンのオイルポンプ(不図示)に連通するオイル流路Qが形成されている。このオイル流路Qは、底壁部5に沿った底部流路Qbと第1側壁部1に沿った側部流路Qsとを備えている。
前記底部流路Qbは、底壁部5と、該底壁部5の上側に一体的に設けられた底部流路壁7とで形成されている。この底部流路壁7は、例えば、下方が開口した略直方体の箱形に形成され、その下方開口が底壁部5で閉じられていることで、図5に示されるように断面矩形状の流路Qbが構成されている。
【0021】
一方、前記側部流路Qsは、第1側壁部1の内側に、例えば円筒状の筒状体8を側部流路壁として一体的に設けることで、この筒状体8の内部通路として構成されている。オイルパンP1をエンジン(不図示)の下部に取り付けた際には、この側部流路Qsの上端側が、前記オイルポンプと連通することになる。
底部流路Qbの一端部(上流端部)はオイルパンP1内の空間部に開口し、他端部(下流端部)は第1側壁部1に対面し側部流路Qsの下端側に連通している。第1側壁部1の下部に形成された前記ドレン穴1hは、底部流路Qbの前記他端部に開口している。
【0022】
以上のように構成されたオイルパンP1は、より好ましくは、所定の合成樹脂材料を用いて、例えば射出成形することによって製造されている。
このように、オイルパンP1を合成樹脂製としたことにより、エンジン下部に付設される部品として大きい容積を占めるオイルパンP1を、従来の金属製の場合に比して大幅に軽量化することができ、エンジン全体の軽量化、ひいては車両の軽量化に寄与することができる。また、オイルパンP1の製造に樹脂成形を適用することで、オイルパンP1内にオイル流路Qを(つまり、底部流路Qb及び側部流路Qsを)容易に一体形成することができる。
【0023】
本実施形態では、オイル流路Qの途中部に(具体的には、底部流路Qbに)、循環オイルを濾過するためのフィルタ20が組み込まれている。このフィルタ20は、図2に示されるように、平面視で矩形状に形成された網状体S(スクリーン)と、該スクリーンSの周縁を一体的に取り囲む枠状体21(フレーム)とで構成されている。
前記スクリーンSは、所定メッシュ数(単位面積当たりの開口数)の網状に形成され、一定サイズ以上の塵埃や異物(例えば切粉など)が下流側に通過することを阻止するものである。
【0024】
前記フィルタ20は、より好ましくは、フレーム21及びスクリーンSの両方が共に合成樹脂製の成形体として構成され、両者21,Sが一体に成形されている。尚、この代わりに、両者21,Sを別々に成形し、その後に両者21,Sを溶着または接着などにより一体化しても良い。或いは、スクリーンSを金属製の例えば金網または多孔板で形成し、この金属製のスクリーンSをフレーム21の樹脂成形金型内にセットしておき、所謂インサート成形で両者S,21を一体に構成することもできる。
【0025】
このフィルタ20は、前記ドレン穴1hから底部流路Qb内に挿入できるように、フレーム21のサイズが設定されている。
前記底部流路壁7の上流端部における上部内側には、図3及び図4に示されるように、ドレン穴1hから挿入されたフィルタ20を(具体的には、フレーム21の長手方向における一端部21jを)係止する溝状のフィルタ係止部7kが設けられている。一方、閉塞プラグ10の本体部11の先端には、フレーム21の長手方向における他端部21kを当て止める環状のフィルタ受け部11kが形成されている(例えば図6参照)。
【0026】
そして、前記閉塞プラグ10をドレン穴1hから取り外した状態で、フィルタ20をドレン穴1hから底部流路Qb内に挿入し、フレーム21の一端部21j(上流端部)を底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる。これにより、フィルタ20は、上流側から下流側にかけて下方に傾斜するように、底部流路Qb内および突出部T1の内部に組み込まれる。すなわち、底部流路Qbについてフィルタ20の上流側と下流側とがスクリーンSによって仕切られる。そして、前述のようにして閉塞プラグ10を第1側壁部1のドレン穴1hに締結固定することにより、フレーム21の他端部21k(下流端部)が閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kに当て止められるようになっている。
【0027】
このとき、フレーム21の下流端部21kと閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kとの間に殆ど隙間がない状態で、フィルタ20が前記フィルタ係止部7kとフィルタ受け部11kの間に保持される。若しくは、フィルタ20の若干の撓みやガスケット15の微少な圧縮により、上記隙間が完全にゼロ(0:零)でフィルタ20に長手方向の若干の圧縮力が作用した状態で、フィルタ20が前記フィルタ係止部7kとフィルタ受け部11kの間に強固に保持される。
【0028】
また、このとき、図5に示されるように、フィルタ20のフレーム21の側部外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ20の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。
従って、フィルタ20の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ20のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、オイル流路Qの底部流路Qb内にドレン穴1hからフィルタ20を挿入することができ、この挿入されたフィルタ20を(フレーム21の一端部21j(上流端部)を)底部流路Qbの(底部流路壁7の)フィルタ係止部7kに係止させ、且つ、前記フィルタ20の端末側を(フレーム21の下流端部21kを)閉塞プラグのフィルタ受け部11kで当て止めることができる。これにより、フィルタ20は、オイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持される。従って、例えばオイルパンP1に振動等が加わってオイルがフィルタ20に対し横方向に揺動した場合でも、フィルタ20は、そのオイル横揺れの影響を受け難く、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で安定して保持される。
【0030】
また、フィルタ20をオイルパンP1内に組み付ける際には、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ20を挿入してその一端側21jをフィルタ係止部7kに係止させ、閉塞プラグ10をドレン穴1hに固定してフィルタ受け部11kでフィルタ20の他端側21kを当て止めればよく、従来に比して簡単な作業でフィルタ20をオイルパンP1内部に組み付けることができるのである。
【0031】
特に、この場合、挿入されたフィルタ20の一端側21j(上流側)を底部流路Qbのフィルタ係止部7kに係止させ、且つ、前記フィルタ20の他端側21k(他端側)を閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止めることができる。すなわち、フィルタ20は、オイル流路Qの底部流路Qb内で、上流側21jがフィルタ係止部7kに係止され、且つ下流側21kが閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められた状態で、底部流路Qb内で保持される。
これにより、フィルタ20は、底部流路Qb内で、フレーム21の少なくとも両端21j,21kを安定して保持されることとなり、従来に比して高い支持剛性を得ることができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態について、図7〜図10を参照しながら説明する。
尚、以下の説明において、前記第1実施形態における場合と、同様の構成を備え同様の作用をなすものについては同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
図7は第2実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図8はこの第2実施形態のフィルタの要部を拡大して示す斜視図、図9は第2実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。また、図10は図9のY10−Y10線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0033】
この第2実施形態に係るフィルタ30では、フレーム31の上流端部31jおよび下流端部31kのフレーム部分については、第1実施形態と同様であるが、左右のフレーム部分として、左右一対の縦壁32を備えている。スクリーンSは、両縦壁32間で上流側から下流側にかけて下方に傾斜する姿勢に設定された上で、フレーム31と一体化されている。フレーム31の左右部分を縦壁状とすることにより、当該フレーム31の剛性を高めることができる。
【0034】
前記縦壁32は、側面視で矩形状に形成され、また、その高さは、ドレン穴1hからのフィルタ30の挿入動作が阻害されない範囲で、オイルパンP2の底部流路Qbの高さとの差が最小となるように設定されている。
これにより、フィルタ30が底部流路Qb内でより安定して保持され、上下方向にがたつくことが有効に規制され、振動入力の影響をより軽減することができる。
【0035】
前記各縦壁32の上流端部には切欠部34が設けられており、フィルタ30をドレン穴1hから底部流路Qb内に挿入し、フレーム31の一端部31j(上流端部)を底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる際には、この切欠部34により、フィルタ係止部7kと縦壁32との干渉が回避されるようになっている。
尚、フレーム31の下流端部31kは、第1実施形態の場合と同様に、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ30が底部流路Qb内で保持される。
【0036】
この実施形態においても、図10に示されるように、フィルタ30のフレーム31の側部外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ30の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。
従って、フィルタ30の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ30のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
【0037】
この第2実施形態では、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、フィルタ30のフレーム31の左右部分を縦壁状としたことにより、当該フレーム31の剛性をより高めることができ、また、フィルタ30を底部流路Qb内でより安定して保持することができる。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態について、図11〜図13を参照しながら説明する。
図11は第3実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図12は第3実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。また、図13は図12のY13−Y13線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0039】
この第3実施形態に係るフィルタ40は、第2実施形態のフィルタ30と類似しているが、フレーム41の縦壁42の上流端部に切欠部は設けられておらず、また、底部流路壁7の上流端部における上部内側に、フレーム41の上流端部41jを係止するためのフィルタ係止部は設けられていない。
その代わりに、フレーム41の下流端部41kに、下方へ所定量だけ突出する凸部44が全幅にわたって形成されている。また、底壁部5の第1側壁部1の突出部1Tとの境界部分(つまり、底部流路Qbの下流端部)の近傍には、フレーム41の前記凸部44を係合させる段部5sが形成されている。
【0040】
この実施形態では、フィルタ40をオイルパンP3内に組み付ける際には、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ40を挿入することで、フレーム41の凸部44が底壁部5の段部5sに係止される。そして、この係止状態で閉塞プラグ10をドレン穴1hに固定することで、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kがフィルタ40の下流端部を当て止めることができる。このとき、フレーム41の左右の縦壁42はその下端面が底壁部5の上面に安定して支持される。
【0041】
この場合、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ40を挿入する際には、挿入側から見て比較的手前で、フレーム41の凸部44が底壁部5の段部5sに係止されるので、より簡単な作業でフィルタ40をオイルパンP3内部に組み付けることができる。
また、フィルタ40が、オイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
しかも、第2実施形態における場合と同様に、フィルタ40のフレーム41の左右部分を縦壁状としたことにより、当該フレーム41の剛性をより高めることができ、また、フレーム41の左右の縦壁42の下端面が底壁部5の上面に支持されることにより、フィルタ40を底部流路Qb内で安定して保持することができる。
【0042】
次に、本発明の第4実施形態について、図14〜図16を参照しながら説明する。
図14は第4実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図15は第4実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。また、図16は図15のY16−Y16線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0043】
この第4実施形態に係るフィルタ50では、フレーム51の側壁52に、該フィルタ51の挿入方向に略沿って延びる所定幅で所定厚さの突起部53が、側方へ張り出すようにして形成されている。また、フレーム51の側壁52の上流端部に、第2実施形態における場合と同様の切欠部54が設けられている。
スクリーンSは、両側壁52間で上流側から下流側にかけて下方に傾斜する姿勢に設定された上で、フレーム51と一体化されている。フレーム51の左右側壁52に前記突起部53をそれぞれ設けたことにより、当該フレーム51の剛性を高めることができる。
【0044】
一方、図16から良く分かるように、底部流路Qbの流路壁7の側壁7sの内面には、フィルタ51の挿入時に前記突起部53を嵌合させる嵌合溝部7gが設けられている。また、底部流路壁7の上流端部における上部内側には、第1及び第2実施形態における場合と同様に、フレーム51の上流端部51jを係止するためのフィルタ係止部7kが設けられている。
【0045】
フレーム51の上流端部51jを底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる際には、フレーム51の側壁52に設けた前記切欠部54により、フィルタ係止部7kと側壁52との干渉が回避される。
尚、フレーム51の下流端部51kは、第1実施形態の場合と同様に、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ50が底部流路Qb内で保持される。
【0046】
この実施形態においても、図16に示されるように、フィルタ50のフレーム51の側壁52の外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ50の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。従って、フィルタ30の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ30のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
しかも、フレーム側壁52の突起部53を底部流路Qbの側壁7sの内面の嵌合溝部7gに嵌合させた状態でフィルタ50を保持することにより、フレーム側壁52と底部流路Qbの側壁7sの内面との間から、オイルがスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることを更に有効に規制できる。
【0047】
この第4実施形態では、フィルタ50がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、フィルタ50は、そのフレーム51の側壁52に形成した挿入方向に略沿った所定幅の突起部53を底部流路Qbの側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合させた状態で保持されるので、底部流路Qb内での支持剛性をより高めることができる。また、前記突起部53を嵌合溝部7gに嵌合させることで、オイルパンP4内へのフィルタ挿入時には、フィルタ50はその挿入方向に沿ってガイドされ、底部流路Qb内への組付作業性がより向上する。
【0048】
次に、本発明の第5実施形態について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17は第5実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図18は第5実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【0049】
この第5実施形態に係るフィルタ60は、第4実施形態のフィルタ50と類似しており、フレーム61の側壁62に、該フィルタ61の挿入方向に略沿って延びる所定幅で所定厚さの突起部63が、側方へ張り出すようにして形成されている。スクリーンSは、両側壁62間で上流側から下流側にかけて下方に傾斜する姿勢に設定された上で、フレーム61と一体化されている。フレーム61の左右側壁62に突起部63をそれぞれ設けたことにより、当該フレーム61の剛性を高めることができる。
【0050】
しかし、フレーム61の側壁62の上流端部に切欠部は設けられておらず、また、底部流路壁7の上流端部における上部内側に、フレーム61の上流端部61jを係止するためのフィルタ係止部は設けられていない。
その代わりに、第3実施形態における場合と同様に、フレーム61の下流端部61kに、下方へ所定量だけ突出する凸部63が全幅にわたって形成されている。また、底壁部5の第1側壁部1の突出部1Tとの境界部分(つまり、底部流路Qbの下流端部)の近傍には、フレーム61の前記凸部63を係合させる段部5sが形成されている。この点も第3実施形態における場合と同様である。
【0051】
また、具体的には図示しなかったが、フレーム61の左右側壁62に設けた突起部63は、第4実施形態について図16で示したと同様の構造で、底部流路Qbの側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合し、この嵌合状態でフィルタ60が底部流路Qb内に保持される。
【0052】
この第5実施形態では、第3実施形態における場合と同様に、フィルタ60をオイルパンP5内に組み付ける際には、ドレン穴1hから前記底部流路Qb内にフィルタ60を挿入することで、フレーム61の凸部64が底壁部5の段部5sに係止される。そして、この係止状態で閉塞プラグ10をドレン穴1hに固定することで、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kがフィルタ60の下流端部を当て止めることができる。
【0053】
従って、本実施形態では、フィルタ60がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、フレーム61の側壁62に前記突起部63を設けたこと、及びこの突起部63を底部流路側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合させることについて、第4実施形態と同様の作用効果を奏することができる。更に、フレーム61の下流端部61kに凸部63を設け、この凸部63を底壁部5の段部5sに係合させることについて、第3実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0054】
次に、本発明の第6実施形態について、図19及び図20を参照しながら説明する。
図19は第6実施形態に係るフィルタの全体斜視図、また図20は第6実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【0055】
この第6実施形態に係るフィルタ70では、オイル流路Qの底部流路Qbの上流側に位置する第1スクリーンS1と、該第1スクリーンS1よりも下流側に位置する第2スクリーンS2とを備えている。フレーム71の側壁72は、側面視で略三角形状に形成され、第1スクリーンS1は下流側に向かうに連れて斜め上方に傾斜し、第2スクリーンS2は下流側に向かうに連れて斜め下方に傾斜する姿勢に設定された上で、両スクリーンS1,S2がフレーム71と一体化されている。フレーム71の左右側壁72はオイルパンP6の底壁部5に支持される縦壁状とされている。これにより、当該フレーム71の剛性を高めることができる。
【0056】
前記フィルタ70では、第2スクリーンS2の網目が第1スクリーンS1の網目よりも細かく設定されている。
従って、オイル流路Qの上流側に位置するより粗い網目の第1スクリーンS1で比較的サイズの大きい塵埃や切粉等の異物が下流側に流れることを防止することができ、これにより、第1スクリーンS1よりも下流側に位置するより細かい網目の第2スクリーンS2が早期に目詰まりを起こすことを有効に防止できるのである。
【0057】
両スクリーンS1,S2を仕切るフレーム上端部71uには、その全幅にわたる切欠部74が形成され、底部流路壁7の上流端部における上部内側には、フレーム71の上端部71uを係止するためのフィルタ係止部7kが設けられている。
フレーム71の上端部71uを底部流路壁7のフィルタ係止部7kに嵌め込んで係止させる際には、フレーム71の上端部71uに設けた前記切欠部74により、フィルタ係止部7kとの干渉が回避される。
【0058】
尚、フレーム71の下流端部71kは、第1実施形態の場合と同様に、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ70がオイルパンP6の底部流路Qb内で保持される。
【0059】
尚、具体的には図示しなかったが、この実施形態においても、フィルタ70のフレーム71の側壁72の外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ70の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。従って、フィルタ70の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ70のスクリーンS1,S2を通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
【0060】
この第6実施形態では、フィルタ70の大部分がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、第2実施形態における場合と同様に、フィルタ70のフレーム71の左右側壁72を縦壁状としたことについて、第2実施形態における場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0061】
また、前述のように、網目が比較的大きい第1スクリーンS1と網目が比較的小さいスクリーンS2とを設けたことにより、下流側に位置するより細かい網目の第2スクリーンS2が早期に目詰まりを起こすことを有効に防止できる。
更に、この場合、第1スクリーンS1は、底部流路壁7の上流端部に設けたフィルタ係止部7kから上流側に張り出すように位置しており、この第1スクリーンS1の分だけ、スクリーン全体としての濾過面積が大きくなっており、より高いオイル濾過効果を得ることが可能である。
【0062】
次に、本発明の第7実施形態について、図21〜図23を参照しながら説明する。
図21は第7実施形態に係るフィルタの全体斜視図、図22は第7実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。また、図23は図22のY23−Y23線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【0063】
この第7実施形態に係るフィルタ80では、フレーム81の左右側壁82に、該フィルタ81の挿入方向に略沿って延びる所定幅で所定厚さの突起部83が側方へ張り出すようにして形成されている。また、フレーム81の上流壁部85にも上流突起部86が前記突起部83と連続するように形成されている。このフレーム81の下流端部には、底部流路Qbの内周部に嵌合する下流壁部87が一体形成されている。
スクリーンSは、両側壁82間で上流側から下流側にかけて傾斜することなく真直して伸びるように設定された上で、フレーム81と一体化されている。フレーム81の左右側壁82に側面突起部83を設け、この側面突起部83と連続するように上流壁部85に上流突起部86を設けたことにより、当該フレーム81の剛性を高めることができる。
【0064】
一方、図22及び図23から良く分かるように、底部流路Qbの流路壁7の側壁7sの内面には、フィルタ81の挿入時に前記側面突起部83を嵌合させる側面嵌合溝部7gが設けられるとともに、底部流路壁7の上流端部における上部内側にはフィルタ係止部7kが設けられ、該フィルタ係止部7kには、前記上流突起部86を嵌合させる上流嵌合溝部7hが設けられている。
【0065】
フィルタ80をオイルパンP7の底部流路Qb内に挿入する際には、フレーム81の側面突起部83を底部流路壁7の側面嵌合溝部7gに嵌合させながらフィルタ80を挿入し、その挿入終期に上流突起部86を底部流路壁7の上流嵌合溝部7hに嵌合させて、フィルタ80を底部流路壁7に組み付ける。
そして、フレーム81の下流壁部87は、閉塞プラグ10のフィルタ受け部11kで当て止められ、この状態で、フィルタ80が底部流路Qb内で保持される。
【0066】
この実施形態においても、図23に示されるように、フィルタ80のフレーム81の側壁82の外面は、底部流路壁7の側壁7sの内面との間隙が、フィルタ80の挿入動作が阻害されない範囲で最小となり両者が実質的に密着するように寸法設定されている。従って、フィルタ80の側部外面と底部流路壁7の側壁7sの内面との間から、オイルがフィルタ80のスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることが有効に抑制されている。
しかも、フレーム側壁82の側面突起部83及び上流突起部86を底部流路Qbの側面嵌合溝部7g及び上流嵌合溝部7hにそれぞれ嵌合させた状態でフィルタ80を保持することにより、フレーム側壁82及び上流壁部85と底部流路Qbの側壁7s及び上流端部における上部内面との間から、オイルがスクリーンSを通過せずに下流側に漏れることを更に有効に規制できる。
【0067】
この第7実施形態では、フィルタ80がオイル流路Qの底部流路Qb内で(つまり、底部流路Qbの底部流路壁7の側壁7sの内側で)保持されることについて、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができ、しかも、フィルタ80は、そのフレーム81の側壁82に形成した挿入方向に略沿った所定幅の側面突起部83を底部流路Qbの側壁7sの内面に設けた嵌合溝部7gに嵌合させた状態で保持されるので、底部流路Qb内での支持剛性をより高めることができる。また、前記側面突起部83を嵌合溝部7gに嵌合させることで、オイルパンP7内へのフィルタ挿入時には、フィルタ80はその挿入方向に沿ってガイドされ、底部流路Qb内への組付作業性がより向上する。
【0068】
尚、以上の実施形態は、自動車のエンジン(不図示)の下部に付設されるオイルパンP1〜P7についてのものであったが、本発明はかかる場合に限定されるものではなく、例えばトランスミッションの下部に付設されるオイルパンなど、他の種々の機械装置や動力装置などのオイル循環システムに装備されるオイルパンに有効に適用することができる。
【0069】
このように、本発明は、上記実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や改良等が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、例えば機械装置や動力装置などのオイル循環システムに装備されるオイルパン、特にフィルタを内蔵したオイルパンに関するものであり、オイル横揺れの影響を受け難く、フィルタの支持剛性が高く、或いはフィルタの組付作業性が良好な、また、従来に比して軽量なフィルタ内蔵オイルパンを提供することができ、例えば自動車等の車両のエンジンやトランスミッションの下部に付設されるオイルパンとして有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動車のエンジンオイルパンの内部構造を示す斜視図である。
【図2】前記オイルパン内に組み込まれるオイルフィルタの斜視図である。
【図3】図1のY3−Y3線に沿った前記オイルパンの断面説明図である。
【図4】図3の要部を拡大して示す前記オイルパンの部分断面説明図である。
【図5】図4のY5−Y5線に沿った前記オイルパンの断面説明図である。
【図6】前記オイルパンの閉塞プラグの固定状態を拡大して示す断面説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図8】第2実施形態のフィルタの要部を拡大して示す斜視図である。
【図9】第2実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。
【図10】図9のY10−Y10線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図12】第3実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパンの断面説明図である。
【図13】図12のY13−Y13線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図15】第4実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図16】図15のY16−Y16線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図18】第5実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図19】本発明の第6実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図20】第6実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図21】本発明の第7実施形態に係るフィルタの全体斜視図である。
【図22】第7実施形態のオイルパンの要部を示す説明図で、図4に相当するオイルパン断面を拡大して示す断面説明図である。
【図23】図22のY23−Y23線に沿ったオイルパンの断面説明図である。
【符号の説明】
【0072】
1 第1側壁部
1h ドレン穴
1m 雌ネジ部
5 底壁部
5s 段部
7 底部流路壁
7k フィルタ係止部
7g 嵌合溝部
7h 上流嵌合溝部
7s 側壁
8 側部流路壁
10 閉塞プラグ
11 (閉塞プラグの)本体部
11k フィルタ受け部
20,30,40,50,60,70,80 フィルタ
21,31,41,51,61,71,81 (フィルタの)フレーム
21j,31j,51j (フレームの)上流端部
21k,31k,41k,51k,61k,71k (フレームの)下流端部
44,64 (フレームの)凸部
53,63 (フレームの)突起部
71u (フレームの)上端部
83 (フレームの)側面突起部
86 (フレームの)上流突起部
87 (フレームの)下流壁部
P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7 オイルパン
Q オイル流路
Qb 底部流路
Qs 側部流路
S スクリーン
S1 第1スクリーン
S2 第2スクリーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポンプに連通するオイル流路を内部に備えるとともに、前記オイルポンプに向かうオイルを濾過するフィルタを有するフィルタ内蔵オイルパンであって、
前記オイル流路は、前記オイルパンの底壁部に沿った流路壁を有する底部流路と前記オイルパンの側壁部に沿った流路壁を有する側部流路とを備え、
前記側壁部は、前記底部流路に開口し該底部流路内に前記フィルタを挿入させ得るドレン穴を備えており、
前記底部流路には、前記ドレン穴から挿入された前記フィルタを係止するフィルタ係止部が設けられる一方、
前記ドレン穴には、前記ドレン穴を閉塞する閉塞プラグを固定するプラグ固定部が設けられ、
前記閉塞プラグには、前記底部流路内に挿入された前記フィルタの端末部を当て止めるフィルタ受け部が形成されている、
ことを特徴とするフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項2】
前記フィルタ係止部は前記フィルタの一端部を係止し、前記フィルタ受け部は前記フィルタの他端部を当て止めることを特徴とする請求項1記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項3】
前記フィルタの側部に、該フィルタの挿入方向に略沿って延びる所定幅の突起部が形成され、
前記底部流路の側壁内面には、前記フィルタの挿入時に前記突起部を嵌合させる嵌合溝部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項4】
前記フィルタは、前記オイル流路の比較的上流側に位置する第1フィルタ部と、該第1フィルタ部よりも下流側に位置する第2フィルタ部とを備え、
該第2フィルタ部の網目は前記第1フィルタ部の網目よりも細かく設定されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項5】
前記オイルパンは合成樹脂製であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項1】
オイルポンプに連通するオイル流路を内部に備えるとともに、前記オイルポンプに向かうオイルを濾過するフィルタを有するフィルタ内蔵オイルパンであって、
前記オイル流路は、前記オイルパンの底壁部に沿った流路壁を有する底部流路と前記オイルパンの側壁部に沿った流路壁を有する側部流路とを備え、
前記側壁部は、前記底部流路に開口し該底部流路内に前記フィルタを挿入させ得るドレン穴を備えており、
前記底部流路には、前記ドレン穴から挿入された前記フィルタを係止するフィルタ係止部が設けられる一方、
前記ドレン穴には、前記ドレン穴を閉塞する閉塞プラグを固定するプラグ固定部が設けられ、
前記閉塞プラグには、前記底部流路内に挿入された前記フィルタの端末部を当て止めるフィルタ受け部が形成されている、
ことを特徴とするフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項2】
前記フィルタ係止部は前記フィルタの一端部を係止し、前記フィルタ受け部は前記フィルタの他端部を当て止めることを特徴とする請求項1記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項3】
前記フィルタの側部に、該フィルタの挿入方向に略沿って延びる所定幅の突起部が形成され、
前記底部流路の側壁内面には、前記フィルタの挿入時に前記突起部を嵌合させる嵌合溝部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項4】
前記フィルタは、前記オイル流路の比較的上流側に位置する第1フィルタ部と、該第1フィルタ部よりも下流側に位置する第2フィルタ部とを備え、
該第2フィルタ部の網目は前記第1フィルタ部の網目よりも細かく設定されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【請求項5】
前記オイルパンは合成樹脂製であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一に記載のフィルタ内蔵オイルパン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2006−283627(P2006−283627A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103140(P2005−103140)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(300084421)ジー・ピー・ダイキョー株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(300084421)ジー・ピー・ダイキョー株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]