説明

フィルタ材およびその製造方法

フィルタおよびその製造方法が開示される。フィルタは、閉じた先端部および開いた基端部を備えるほぼ袋状の形状を有する。フィルタは薄膜から形成することができる。フィルタ材は有機ポリマーまたは無機ポリマーからなってもよい。一実施例において、フィルタ材は25マイクロメートル未満の厚さを有するポリウレタンフィルタである。フィルタは、1つまたは複数の区分からなるフィルタ材から形成することができる。2つの区分からなる実施例において、第1および第2区分の外縁部は重ね合わされて、溶剤、熱、他の接合処理を使用して接合される。単一区分からなる実施例において、第1区分の外縁部は重ね合わされて、溶剤や接着剤等の接合剤、熱や他の接合処理を用いて接合される。本発明のフィルタは、減少した量のヒステリシスを有するため、配置されると元の形状に形成し直すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塞栓予防用フィルタリング装置に関する。より詳細には、本発明はフィルタおよびフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの血管は、プラーク、血栓、他の蓄積物、すなわち血管の血液を送る能力を低減させる物質により閉塞すなわち遮断されることが多い。循環器系の重要な箇所において遮断されると、深刻かつ永久的な損傷を受け、死に至ることもある。そのようなことを防止するために、重大な閉塞が発見された場合には、通常何らかの形で医学的介入が行われる。
【0003】
患者の血管壁に蓄積したプラークや他の物質により生じた、狭窄あるいは閉塞した血管を開通させるために、複数の治療法が使用されている。例えば、血管形成術はよく知られており、膨張可能なバルーンが閉塞した領域へ挿入される。バルーンが膨張し閉塞箇所を広げることにより管腔内の径が増す。
【0004】
他の治療法はアテローム切除術である。アテローム切除術においては、カテーテルが狭窄した動脈へ挿入されて、動脈を閉塞あるいは狭窄している物質すなわち脂肪物質を取り除く。カテーテルは、その先端に配置された回転式ブレードすなわちカッターを備えている。また、先端には開口部が配置され、開口部からカテーテルの反対側にはバルーンが配置されている。先端が脂肪物質の基端側に近接して配置されると、バルーンは膨張して開口部を脂肪物質に接触させる。ブレードが回転すると、脂肪物質の一部が削がれてカテーテルの内腔内に保持される。この工程がくり返されると、十分な量の脂肪物質が除去されて正常な血流が回復する。
【0005】
別の治療法においては、動脈や他の血管内の狭窄領域にステントを永久的あるいは一時的に留置して、管腔を広げるための治療が行われる。ステントは、通常、ほぼ円筒状の管材、あるいはステンレス鋼やニチノール等の材料から形成されたメッシュ状スリーブを有する。材料設計により、ステントは径方向へ拡張できるが、所望の寸法へ拡張するとその形状を維持できるように十分な剛性が付与されている。
【0006】
しかしながら、そのような介入的な治療法、すなわち、血管形成術、アテローム切除術、ステント留置術は、血管壁から物質を遊離させることが多い。遊離した物質は、血流に入り、下流側のより細い血管を閉塞させる程度の大きさであれば、組織へ送られる血流を遮断する可能性がある。その結果生じた虚血により、心臓、肺、腎臓、脳等の重要な組織において閉塞が起き、発作や梗塞を起こした場合には、患者の健康や生命に重大な脅威をもたらすことになる。
【0007】
現存する器具や技術には、血流から遊離した物質を捕捉するためにフィルタを使用するものがある。通常、フィルタは、より大きなデブリの通過を防止しつつ血液を通過させる細孔すなわち開口部を含むフィルタ材を備える。フィルタ材は一般的に、有機ポリマーや無機ポリマーから形成される。好適なポリマー材料は、押出成形、延伸、鋳造、カレンダ加工等の様々な技術を用いて薄膜に形成することができる。
【0008】
ポリマーフィルムは、極めて薄い、通常約1ミル(25マイクロメートル)の壁厚を有するように形成することが可能である。しかしながら、均一な壁厚を有するポリマーフィルムを有する点が有利である。より薄いフィルムすなわち材料を有することにより、フィルタを配置する機構へより多量のフィルタ材を詰め込むことが可能になる。その結果、より多くのフィルタ材がフィルタリング機能に提供されるために、より多くのデブリをフィルタリング機構により捕捉することが可能である。
【0009】
さらに、フィルタ材の所望の特性としては、ある程度の弾力性(elasticity)、すなわち幾らかの弾性(elastomeric attribute)を有することである。流体がフィルタ材を通過する際に、血流によりフィルタ材が裂けないように幾分弾性を有することが望ましい。
【0010】
また、フィルタ材は、その表面を越える流体に耐えるように高い引裂強度を有することが望ましい。加えて、高い引裂強度や弾性を有する必要があることとほぼ同様に理由により、高い引張強度を有することが望ましい。
【0011】
所望の強度や可撓性を維持するために、フィルタ材は均一な厚さを維持することが重要である。多くの種類の薄い材料においては、一般的に材料の厚さが減少するにつれて、高い弾性、高い引裂強度および高い引張強度の望ましい質も減少する。したがって、ディップコーティング(dip coating)等の特定の処理は、フィルタ材を均一な厚さにするためには適さない。ディップコーティング工程では、操作者は、担体すなわち溶剤に溶解しているポリマーにマンドレルを浸す。次に、マンドレルは一定の速度で引き上げられる。引き上げる速度や流体の粘度によって、フィルタ材の厚さが調節される。しかしながら、溶剤がマンドレルからはがれると、フィルタ材の厚さが均一にならない。また、どの程度まで薄いフィルタ材を形成できるかどうかについては、ディップコーティング工程には限度がある。さらに、分子レベルでのディップ成形工程においては、形成されたフィルタ材の引裂強度や引張強度を実際に減少させる極めて均一な分子構造が形成される。
【0012】
フィルタ材が薄膜である場合、薄膜には特別な処理が求められる。そのため、材料の繊細で薄い性質により、製造コストが極めて高くなる場合がある。しかしながら、コストを削減するためにできるだけ製造の工程段階を単純にすることが望ましい。加えて、安全に処理を行うことも望ましい。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルムは、押出成形や延伸工程から形成することができる。しかしながら、PTFEフィルムは、危険な溶剤や熱接合処理を必要とするため一般的に扱いが難しい。また、押出成形や延伸工程では、所望のフィルムの厚さや血流をフィルタリングする用途に求められる所望の引裂強度を得ることが依然できていない。
【0013】
加えて、患者の脈管系内においてフィルタ材を案内するために、配置機構などの内部にフィルタ材を詰め込めることが望ましい。フィルタ機構が正しい場所に位置決めされると、フィルタ材は元の形状にほぼ形成し直すことができるように、容易に配置されなければならない。フィルタ材の様々な性質が、元の形状に回復する能力に影響を及ぼす。そのような性質には、コンプライアンス、剛性、厚さ、回復力、弾性が含まれる。
【0014】
多くの従来型のフィルタ材は適切なコンプライアンスを備えておらず、剛性が高過ぎたり、厚さがあり過ぎたりして、配置された時に元の形状に形成し直すための十分な回復力や弾性を備えていない。さらに、部分的に圧縮されたままであったり、あるいは多くの折り目や皺が表面にできてしまう。しかしながら、これらの折り目や皺はヒステリシスとして知られているものを生ずる。フィルタ材にヒステリシスが存在すると、折り目や皺のある場所においてフィルタ材が弱くなったり、裂けたり、あるいは破れることがある。加えて、折り畳まれた部分は、血流に十分に晒されないため、フィルタリングの効率を低下させることがある。したがって、配置されたフィルタ材のヒステリシスの量を減少させることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、フィルタならびにフィルタを構成する方法および装置に関する。本発明のフィルタは、塞栓性のデブリを患者の血流からろ過するように形成された塞栓予防器具に使用することができる。一実施例において、塞栓予防器具はその先端部に位置するフィルタアセンブリを備える。フィルタアセンブリはフィルタおよびフィルタバスケットを備える。フィルタバスケットは、付勢されると外方向へ開く1つまたは複数のストラットを備える。フィルタは、閉じた先端部および開いた基端部を含むほぼ袋状の構造体である。そのため、基端部の複数の部分は、ストラットの端部に対して連結されている。ストラットは外方向へ移動することにより、血流に向かってフィルタを広げる。
【0017】
上述したように、フィルタは通常、先端部および基端部を有する袋状をなす。袋状フィルタは任意の適切な袋形状を有することが可能である。一態様においては、袋形状はほぼ円錐形状をなす。先端部は、貫通する構造(例えばガイドワイヤチップ)を有することも可能であるが、通常は閉じている。これに対してフィルタの基端部は開放端である。フィルタは、その基端部と先端部との間に延びる1つまたは複数の継ぎ目を有することも可能である。例えば、継ぎ目はフィルタ材の2つの縁部を接合して形成されてもよい。そのような縁部は、単体からなるフィルタ材、すなわち単体のフィルタ材の対向する縁部であっても、あるいは、2つ以上の部分からなるフィルタ材、すなわちフィルタ材の第1部分からなる一方の縁部およびフィルタ材の第2部分からなる他方の縁部からなっていてもよい。
【0018】
フィルタ材の望ましい特徴には、極めて薄いこと、ある程度の弾性を有すること、高い引張強度を有すること、高い引裂強度を有することが含まれるが、これらの特徴に限定されるものではない。加えて、フィルタ材は、通常、表面全体にわたってほぼ均一な厚さを有することが望ましい。また、フィルタは、血管内に配置されると元の形状に容易に形成し直すことができるように、適切なコンプライアンスを有することが望ましい。フィルタ材は、通常配置されると減少した量のヒステリシスを示す。さらに、フィルタ材が生体適合性を有することや接合処理が生体適合性を有することも望ましい。
【0019】
一実施例において、フィルタ材は1つまたは複数の薄片状の材料から形成される。例えば、フィルタ材は、約25マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、あるいは約5マイクロメートルの厚さの薄膜からなっていてもよい。
【0020】
一態様において、フィルタ材はポリマーフィルムであってもよい。ポリマーフィルムは、シート状のポリマーフィルムをさらに薄くするために高圧ローラを使用して形成される。高圧ローラにより行われる応力処理(stressing process)は、ポリマーフィルムの強度を高めるポリマーストランドを直線状に整列させる。十分な薄膜を形成するための他の工程には、押出成形、延伸、ディップ成形、ブロー成形が含まれるがこれらに限定されるものではない。一実施例においては、25マイクロメートル未満の厚さを有するポリウレタンフィルムが使用される。
【0021】
フィルタは、フィルタ材の1つまたは複数の部分(piece)や区分(section)から形成されてもよい。一実施例において、フィルタは2つの部分からなるフィルタ材から形成可能である。他の実施例においては、フィルタは単体のフィルタ材から形成されていてもよい。さらに別の実施例において、フィルタは2つ以上の部分からなるフィルタ材から形成されてもよい。
【0022】
フィルタ材の複数の区分は、通常、より大きな部分からなるフィルタ材から裁断すなわち形成されている。このような区分は、コンピュータ制御されてエクシマレーザにより切断されてもよい。これに代えて、これらの区分はパターンを使用して形成されてもよい。パターンは、区分にとって望ましい形態や形状を有しており、フィルタ材の区分上に配置される。配置されると、幅の広いレーザ光がパターン上を通過してパターンの外周の外側にあるフィルタ材を全て燃焼すると成形された部分が残る。これに代えて、溶剤、すなわちフィルタ材の一部をエッチングすなわち除去することのできる化学物質を使用して、パターンの縁部の外側にある材料を浸食することも可能である。そのような化学物質には、腐食性化学薬品、酸、酸や腐食性化学薬品の混合物、またはフィルタ材の一部をエッチングすなわち除去することのできる他の化学品が含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0023】
円錐形の袋状フィルタを形成するためには、フィルタ材の1つまたは複数の区分をそれぞれほぼテーパ状をなすように形成する。つまり、フィルタ材の各区分は基端部および先端部を有し、基端部から先端部にかけてほぼテーパ状をなしている。基端部は、フィルタをフィルタアセンブリの他の構造体に対して連結できるように切り欠き構造または鋸歯構造を有することも可能である。フィルタ材の区分がほぼテーパ状をなす場合は、この区分は、平面状や湾曲状をなす、あるいは、これらに代えて突出する部分を有する2つのほぼ角度をなす縁部を含む。例えば、一態様において、縁部はほぼ平行な部分やほぼ角度のある部分を有する。これらの区分は、様々な多角形状を有することもできる。
【0024】
フィルタ材の各区分は多孔領域を備える。多孔領域は区分の外周部から一定の距離をおいて形成されてもよく、あるいは、区分の表面全体を覆ってもよい。区分の製造時に多孔領域を形成することも可能である。これに代えて、フィルタ材を形成する際に多孔領域を形成してもよい。孔は、円形、楕円形、多角形等の様々な形状を有することが可能であるが、これらの形状に限定されるものではない。孔は約50マイクロメートル〜約200マイクロメートルの径を有することも可能である。
【0025】
挟持アセンブリを使用して、フィルタ材の区分の近接する縁部または重なり合う縁部を固定して、区分の残りの部分を選択された接合処理から保護することも可能である。一態様において、フィルタ材の2つの区分を使用して袋状フィルタを形成する場合に、挟持アセンブリには第1ダイ部分および第2ダイ部分が形成されている。第1ダイ部分は第1挟持面を形成し、第2ダイ部分は第2挟持面を形成する。一実施例において、これらの挟持面は、フィルタ材の部分とほぼ同様の形状に成形される。一実施例において、フィルタ材の区分の表面積は、挟持面の表面積よりもわずかに大きいため、フィルタ材の一部はダイ部分の外周部の外側にはみ出る。挟持アセンブリは、開閉位置の間において選択的に位置決め可能である。整合手段は、ダイ部分を整合させるために構成されてもよい。
【0026】
一実施例において、一方または両方の挟持面の外縁部は、わずかに面取りをした端部を有する。このことにより、接合処理を受けるフィルタ材の区分の寸法が増加する。両方の挟持面が面取りをした端部を有する場合には、その端部が接合剤を保持する溝を形成するため、接合剤にはフィルタ材の近接する縁部を接合するための十分な空間と時間が与えられる。さらに、溝は、操作者が接合処理を完了するために、溝の外側および/または内側にある接合剤やフィルタ材の一部を除去するための用具を使用できるように、案内部を形成する。
【0027】
挟持アセンブリは、十分に高い挟持力を付与し、かつ、選択された接合処理に耐える金属、セラミック、プラスチック、他の材料から形成することができる。加えて、材料は適度な耐腐食性を有することが望ましい。
【0028】
フィルタ材の2つの区分を接合する工程には、これらの区分を第1挟持面に水平に配置する工程が含まれる。第2挟持面は重なり合った区分上に配置される。第1区分の第1縁部の少なくとも一部は、第2区分の第1縁部の少なくとも一部と重なり合う。同様に、第1区分の第2縁部の少なくとも一部は、第2区分の第2縁部の少なくとも一部と重なり合う。次に、挟持面が閉じた姿勢において配置される。一態様において、これらの縁部の少なくとも一部は、挟持アセンブリの外側に露出する。次に、縁部は、溶剤や接着剤等の接合剤、熱、または他の接合処理やこれらの組合せを用いて接合されて、袋状フィルタが形成される。面取りされた縁部により形成された溝に用具を任意で用いることにより、余分な接合剤および/またはフィルタ材の区分の縁部の不要な部分を除去することができる。
【0029】
さらに他の態様において、単一区分からなるフィルタ材から袋状フィルタを形成することも可能である。単一区分からなるフィルタ材はほぼテーパ状をなし、第1縁部、第2縁部および第3縁部を有する。また、フィルタ材は多孔領域を有する。第1縁部および第2縁部は、互いに接合されてほぼ円錐状の袋状フィルタを形成するように構成されている。挟持アセンブリには、挟持面の代わりに、第1ブレードおよび第2ブレードが形成される。第1縁部および第2縁部は重なり合い、ブレードは重なり合った縁部の上に配置されて、そこに高い挟持力を付与する。ブレードは挟持面に類似する面取りされた縁部を備える。次に、第1縁部および第2縁部は、接合剤、熱、または他の接合処理やこれらの組合せを用いて接合されて、袋状フィルタが形成される。単体のフィルタ材から形成されたフィルタは、単一の継ぎ目のみを有するため、フィルタにおける脆弱部分の数を最小限にできる。
【0030】
本発明のこれらのおよび他の目的や特徴は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲においてより明確となり、本明細書に記載されているように本発明を実施することにより確認することが可能であろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1に関して、本発明のフィルタ14を使用する塞栓予防器具10が示されている。塞栓予防器具10の一般的な特徴については、本明細書において説明されるが、本発明のフィルタ14は他の異なる構成からなる塞栓予防器具と共に使用することができる。
【0032】
塞栓予防器具10はフィルタ14を使用して、フィルタを流れる血液をろ過して、大きなデブリが手術部位の下流へ移動することを防止する。これを行うために、塞栓予防器具10は、その先端部に配置されるフィルタアセンブリ12を備える。フィルタアセンブリ12は、患者の血管系内でフィルタアセンブリ12の配置を補助する案内部材16の先端部に対して連結される。案内部材16は、患者の蛇行する生体構造内を移動できるための十分なトルク伝達性、剛性、可撓性を有する限り、様々な形状を有することが可能である。一態様において、案内部材16は金属からなる部材であり、他の態様においては、案内部材16は複合材料、合金、他の材料からなってもよい。
【0033】
フィルタアセンブリ12は、フィルタ14およびフィルタ14を支持するためのフィルタバスケット18を備える。より詳細には、フィルタバスケット18は、案内部材16の先端部に連結された基端部を有しており、1つまたは複数のストラット20は、フィルタバスケット18の先端部と共に一体的に形成または同先端部に連結されている。これらのストラット20は、塞栓予防器具10の使用時に、外方向へ移動してフィルタ14を配置する。ストラット20、フィルタバスケット18および塞栓予防器具10についての詳細は、2002年6月28日付けにて出願された米国特許出願第10/186,275号(発明の名称:塞栓予防および塞栓物質を除去するための方法、システムおよび器具(Methods, systems and devices for providing embolic protection and removing embolic material))および2002年11月7日付けにて出願された米国特許出願第10/290,099号(発明の名称:ステントを搬送するための方法、システムおよび器具(Methods, systems and devices for delivering stents))に開示されており、これら特許文献に開示された内容は本願においても開示されたものとする。
【0034】
さらに図1に関して、フィルタ14は袋状の形状を有する。詳細には、フィルタ14は先端部22および基端部24を有する。フィルタ14の先端部22は、閉じた状態で示されている。一方、フィルタ14の基端部24は開放端をなしている。フィルタ14の断面は、フィルタ14が配置される血管(図示せず)の断面をほぼ覆うように形成される。そのため、血管内を流れる流体のほぼ全体が、フィルタ14の一部と接触する。このようにして、フィルタ14は血流から塞栓性デブリをろ過するように形成される。
【0035】
図1に示されるように、フィルタ14を形成するフィルタ材の2つの部分を接合することにより形成される1つまたは複数の継ぎ目26を有するため、フィルタ14は袋状をなす。継ぎ目26は、1つのみが図1に示されているが、通常はフィルタ14の先端部22と基端部24との間に延びる。例えば、継ぎ目26は、フィルタ材の2つの縁部を互いに接合して形成されてもよい。そのような縁部は単体からなるフィルタ材、すなわち単体をなすフィルタ材の対向する縁部であっても、あるいは、2つ以上のフィルタ材、すなわち第1のフィルタ材の一方の縁部および第2のフィルタ材の他方の縁部からなっていてもよい。フィルタ14の製造に関しては以下に詳細を述べる。
【0036】
フィルタ14のフィルタ材は、極めて薄くすることも可能であり、また、高い弾性や高い引張強度や高い引裂強度を有することができる。さらに、フィルタ材は、その表面全体がほぼ均一な厚さを有することにより、フィルタ材の強度を最大にして脆弱部分を予防することができる。他の態様において、フィルタ材は、不規則すなわち不均一な厚さを有することも可能である。この後者の態様においては、増加したフィルタの強度は、フィルタ材の厚さを増加することにより得ることができる。例えば、ストラット20がフィルタ14に対して連結されている箇所において、さらなる強度を有することが可能である。同様に、先端部22はフィルタ材の他の部分よりも厚さを有することにより、塞栓物質を捕捉中に、または塞栓予防器具10を取り除く際に、破れる可能性を制限することが可能である。
【0037】
すでに述べたように、フィルタアセンブリ12および連結されたフィルタ14は、通常、血管に配置されるまでは複数の方法により厳重に包装されている。フィルタ14に使用される好適なフィルタ材は、適切なコンプライアンスを有するため、フィルタ14が血管内に配置されると、包装前の形状へ容易に形成し直すことができる。さらに、フィルタ14は配置されると、従来型のフィルタと比較して確認されるヒステリシスの量が少ないことが望ましい。ヒステリシスとは、フィルタ14のフィルタ材を堅固に包装することにより生じる折り目および/または皺のことを指す。
【0038】
通常、フィルタ14のフィルタ材は、有機ポリマーや無機ポリマーからなってもよいが、これらに限定されるものではない。有機ポリマーには、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、これらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。これに代えて、フィルタ材は、1種類または複数の金属、合金、合成物質、複合材料、所望の医療特性を備えていたり薄膜として形成可能な他の材料から形成されてもよい。
【0039】
一態様において、フィルタ14に使用されるフィルタ材は、1つまたは複数の薄片状の材料から形成される。例えば、フィルタ材は、約25マイクロメートル(1ミル)未満、約10マイクロメートル未満、あるいは約5マイクロメートルの厚さの薄膜からなっていてもよい。フィルタ14に薄膜を使用する場合、好適な薄膜が選択されるため、薄膜を容易に袋状の構造体へ形成できる。すなわち、そのような薄膜を使用する場合には、容易に手動で行うことができる工程を提供することが望ましい。さらに、フィルタ14は人体や他の有機体の内部に配置されることを意図しているため、フィルタ材自身が生体適合性を有しており、また、生体適合性のある接合剤および/または安全な熱処理により、薄膜の縁部に形成された継ぎ目を形成することが望ましい。フィルタ材は、メッシュ材、すなわち複数の孔すなわち貫通する穴を有する薄膜から形成することができる。
【0040】
一態様において、フィルタ14を形成するフィルタ材はポリマーフィルムであってもよい。例示的な一態様において、ポリマーフィルムは圧延工程から形成されてもよい。例示的な一工程にはカレンダ加工が含まれてもよいがこれに限定されるものではない。カレンダ加工においては、ローラの1つまたは複数が一方の方向へ移動かつローラの1つまたは複数が反対方向へ移動すると、1つまたは複数のローラが薄膜上を回転する。他の工程も周知であり、通常薄膜を形成する任意の工程が可能である。この例示的な態様においては、1つまたは複数の高圧ローラを用いて薄膜の1つまたは複数の層をさらに押圧して、均一により薄いポリマーフィルムを形成する。ローラにより行われるこの延伸工程には、ポリマーのストランドを整列させる効果があるため、ポリマーフィルムの強度を高めることができる。実際に、ポリマーフィルムが均一により薄くなるにもかかわらず、この整合工程により引裂強度を高くすることができる。この薄化工程に使用される典型的なポリマー材料はポリウレタンである。しかしながら、上記の材料を含むがこれらに限定されない他のポリマー材料も使用することが可能である。さらに、他の工程を使用して薄膜やフィルタのフィルタ材を形成することも可能である。これらの工程には、押出成形、延伸、加圧成形、圧延、ブロー成形、所望のフィルタ材を形成できる他の工程が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
一態様において、ポリウレタンフィルムは、生体適合性を有するために使用され、生体適合性を備える方法を使用して袋状の構造体に形成される。袋状の構造体には、所望の弾性や引張強度や引裂強度が付与され、さらに十分なコンプライアンスを備えるために、最小限度のヒステリシス量により元の形状にほぼ形成し直すことができる。
【0042】
図1に関して、フィルタ14は複数の孔を有するため、血流中に浮遊するデブリを捕捉することができる。本発明の実施例および態様は、ほぼ円錐形状をなすフィルタ14について説明しているが、フィルタ14は本明細書において述べるシステムや方法を使用して任意の好適な袋状に形成可能である。円錐状をなすフィルタ14の利点は、円錐の長手方向軸線が長くなるとフィルタの表面積が増加するため、ろ過を行うために使用できる表面積が大きくなることである。
【0043】
フィルタ14は、1つまたは複数の部分からなるフィルタ材から形成されてもよい。一実施例において、図2A〜2Cに示すように、フィルタ14は2つの部分からなるフィルタ材から構成可能である。他の実施例においては、図3A〜3Cに示すように、単体からなるフィルタ材から構成可能である。図2A〜2Cおよび図3A〜3Cに示される部分からなるフィルタ材はほぼ平坦状であるが、これらのフィルタ材は、実際には可撓性材料において共通して確認されるような非平坦状部分を含むことも可能である。
【0044】
図2A〜2Cに関して、フィルタ14は、第1区分100Aおよび第2区分100Bとして特定される2つの部分からなるフィルタ材から形成される。図2Aに示されるように、第1区分100Aおよび第2区分100Bは、ほぼ同形を有するように切断されて形成される。第1区分100Aおよび第2区分100Bは、コンピュータ制御されてエクシマレーザにより切断されてもよい。これに代えて、第1区分100Aおよび第2区分100Bはパターンを使用して形成されてもよい。パターンは、第1区分100Aおよび第2区分100Bにとって望ましい形態や形状を有しており、ポリマーフィルムの区分等のフィルタ材の区分上に配置される。配置されると、幅の広いレーザ光がパターン上を通過してパターンの外周部の外側にあるフィルタ材を全て燃焼させると、成形された部分が残る。これに代えて、溶剤を使用して、パターンの縁部の外側にある材料を浸食することも可能である。しかしながら、溶剤がパターンの縁部内に浸透しないように注意が払われる。
【0045】
特定の方法を使用して第1区分100Aおよび第2区分100Bが形成されても、第1区分100Aおよび第2区分100Bの例示的な形状は図2Aに示す通りである。両区分100A,100Bはほぼテーパ状をなしている。最初に第1区分100Aの例示的な形状について以下に述べるが、第2区分100Bに関しても同様の説明を行うことが可能である。
【0046】
図2Bに示すように、第1区分100Aはほぼテーパ状をなしており、基端部102Aおよび先端部104Aを有する。第1区分100Aは、基端部102Aから先端部104Aにかけてほぼテーパ状をなしている。第1区分100Aがテーパ状をなすことにより、フィルタ14の所望の円錐形状、すなわちテーパ形状が形成される。基端部102Aは、フィルタ14(図1)をフィルタアセンブリ12(図1)の他の構造体に対して連結できるような複数の突出する部分106Aを備える切り欠き構造または鋸歯構造を有する。例えば、図1に示すように、突出する部分106Aは、1つまたは複数のストラット20の先端部または他の部分に対して連結されてもよい。
【0047】
縁部108A,110Aは、基端部102Aから先端部104Aへ向かって延びる。これらの縁部108A,110Aは、ほぼ平面状をなすように示されるが、湾曲状であってもよく、これに代えて突出する部分を有することも可能である。縁部108A,110Aは、ほぼ平行な第1部分112A,114A、および互いに角度をなして配向する第2部分116A,118Aを有する。ほぼ平行な第1部分112A,114Aを備えることにより、第1区分100Aおよび第2区分100Bがフィルタ14を形成する際に、フィルタ14(図1)の容積を増加することができる。加えて、平行な第1部分112A,114Aは、フィルタ14の使用時に血管壁に接触するフィルタ14の一定断面積部分を形成する。さらに、平行な第1部分112A,114Aがフィルタバスケット18の外形に倣っているため、フィルタバスケット18のストラット20(図1)と強固に嵌合することができる。
【0048】
第1部分112Aおよび第2部分114Aの第2部分116A,118Aは、先端部104Aにおいて終端する。先端部104Aは平坦、湾曲、または尖塔形状を有することも可能である。他の実施例において、各縁部108A,110Aは、ほぼ平行な第1部分112A,114Aを除いて、基端部102Aから先端部104Aにかけてテーパ状をなしている。同様に、縁部108A,110Aは、ほぼ角度をなす第2部分116A,118Aを除いて、基端部102Aから先端部104Aにかけてほぼ平行である。より一般的には、第1区分100Aは、血流から塞栓物質を収集できるように、袋状に形成かつフィルタアセンブリ12(図1)に対して連結可能である限りは、任意の所望の多角形を有していてもよい。
【0049】
図2Bに関して、第1区分100Aは多孔領域120Aを有する。例示的な態様において、多孔領域120Aは第1区分100Aの外周部から一定の距離をおいて形成される。すなわち、固体境界122Aが多孔領域120Aの周囲に形成される。しかしながら、他の実施例において、多孔領域120Aは、第1区分100Aの表面全体を覆うように形成されてもよい。固体境界122Aは、第1区分100Aおよび第2区分100Bが互いに近接して配置されると、区分上に形成された固体境界は重なり合って、第1区分100Aと第2区分100Bとの接合を補助する表面を形成するように構成される。以下にさらに述べるように、固体部分122Aの幾らかあるいは全体は、多孔領域120Aのほとんどを残して最終的に除去される。
【0050】
多孔領域120Aは、複数の区分120Aの形状を作る際に形成することも可能である。一態様において、第1区分100Aおよび第2区分100Bを形成するために使用されるパターンは、多孔領域120Aの孔の位置に適合する複数の穴を含んでいる。幅の広いレーザ光がパターン上を通過すると、孔がフィルタ材に形成される。他の態様においては、レーザからの幅の狭い光線を使用して孔を個別に形成する。さらに別の態様においては、溶剤を使用して、多孔領域120Aの孔を形成することも可能である。第1区分100Aおよび第2区分100Bを形成する工程において孔を形成する必要はない。例えば、ポリマーフィルム等のフィルタ材は十分な寸法に設定された孔を含むことができるため、第1区分100Aおよび第2区分100Bを形成する工程において他の孔を形成する必要がない。
【0051】
フィルタ14のフィルタ材に形成された孔は、円形、楕円形、多角形、これらの組合せや本明細書に教示されているような当業者には周知な他の形状等の様々な形状を有することが可能であるが、これらの形状に限定されるものではない。一態様において、フィルタ14は、約50マイクロメートル〜約200マイクロメートルの径を有する一様に寸法が設定された孔を有する。他の態様においては、孔は約60マイクロメートル〜約180マイクロメートルの径を有する。さらに別の態様においては、孔は約75マイクロメートル〜約150マイクロメートルの径を有する。
【0052】
他の態様において、フィルタ14は、異なる寸法や形状を有する孔を有することも可能である。したがって、各孔の長径または短径は、約50マイクロメートル〜約200マイクロメートル、約60マイクロメートル〜約180マイクロメートル、約75マイクロメートル〜約150マイクロメートルといった様々に異なる寸法を有することも可能である。通常は、孔の寸法は、孔がフィルタ14を通過する血流を妨げないで(すなわち、フィルタ内の血流を妨げないで)、組織への血流を遮断したり卒中や梗塞を引き起こすような下流の細い血管を閉塞させ得る物質を収集するように寸法が設定される限り、必要に応じて変更することも可能である。
【0053】
一態様において、第1区分100Aの長さL1は、約8ミリメートル〜約20ミリメートルである。多孔領域120Aの長さL2は、約7ミリメートル〜約19ミリメートルである。第1区分100Aの幅W1は、約3ミリメートル〜約14ミリメートルである。多孔領域120Aの幅W2は、約25ミリメートル〜約13ミリメートルである。これらの寸法や本発明において開示される任意の寸法は、単に例示を目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0054】
第1区分100Aの特徴や性質に関する上記の説明は、第2区分100Bにも適用される。第1区分100Aおよび第2区分100Bはほぼ同寸法からなり、またはこれに代えて、寸法が異なっていてもよい。
【0055】
第1区分100Aおよび第2区分100Bの特徴やこれらの区分を形成する方法についてこれまで説明を行ってきた。第1区分100Aおよび第2区分100Bを形成する工程は、フィルタ14(図1)を形成する過程における最初の工程である。形成前工程は、フィルタ14を形成するために2つ以上の区分を結合、連結または装着する工程の直前、あるいは、そのような工程に先立つ任意の時期に行われてもよい。
【0056】
図2Aに関して、フィルタ14の袋形状を形成するために、一実施例において、挟持アセンブリ200が使用される。挟持アセンブリ200は、第1ダイ部分202Aおよび第2ダイ部分202Bを備える。ダイ部分202A,202Bは、第1挟持面204Aおよび第2挟持面204Bを形成して、フィルタ形成工程時にこれらの面の間にフィルタ材の複数の部分が配置されて挟持される。
【0057】
第1および第2ダイ部分202A,202Bの挟持面204A,204Bは、フィルタ材の複数の部分の形状にほぼ類似するように成形されることが望ましい。例えば、フィルタ材の第1区分100Aが2つの平行な部分112A,114Aおよび2つの角度をなす部分116A,118Aを有する上記の実施例においては、挟持面204A,204Bが、2つの平行な部分および2つの角度をなす部分をそれぞれ備えた類似する形状からなる外周部を有することが望ましい。一実施例において、挟持面204A,204Bの周辺部は、フィルタ材の区分100A,100Bの周辺部よりも小さい。このことにより、フィルタ材の複数の部分がダイ部分202A,202Bの周辺部の外側に露出するため接合処理が行い易くなる。接合処理については以下に詳述する。
【0058】
ダイ部分202A,202Bの垂直側面は、例えば、ダイ部分202Aに関して、その上面が挟持面204Aとほぼ同様の形状を有するように、ほぼ直線状に示される。しかしながら、これらの垂直側面は湾曲状またはテーパ状をなしていてもよい。
【0059】
挟持アセンブリ200の機能は、袋形状を組み立てる際に、フィルタ材の複数の部分を保持することである。特に、挟持アセンブリ200は、フィルタ材の同じ部分や異なる部分に関わらず、フィルタ材の近接する縁部を保持するために使用することができる。したがって、挟持アセンブリ200は、開閉位置の間において選択的に配置される。ダイ部分202A,202Bは、閉鎖位置にある時にダイ部分を整合させるための手段を備える。例えば、上方ダイ部分202Aは整合ピン206を備えており、下方ダイ部分202Bは整合開口部208を備える。挟持アセンブリ200が閉じている時は、整合ピン206は整合開口部208内に配置されて、ダイ部分202A,202Bを整合させる。ダイ部分202A,202Bを整合させるための他の態様を適用することも可能である。例えば、整合ピン206および整合開口部208の場所を逆にすることも可能である。同様に、整合ピン206および整合開口部208の組合せを各ダイ部分202A,202Bに含めることも可能である。整合構造体の他の種類や形状を使用して、一方のダイ部分を他方のダイ部分に整合させることも可能である。
【0060】
挟持アセンブリ200の他の機能は、接合処理用の境界を形成することである。すなわち、挟持アセンブリ200により、所望の量のフィルタ材に接合処理が施されるが、フィルタ材の残りの部分は保護される。図2Cに示すように、第1挟持面204Aおよび第2挟持面204Bの外縁部は、わずかに面取りされた縁部210A,210Bを有する。面取り部分の長さXは、約75マイクロメートル(3ミル)〜約200マイクロメートル(8ミル)である。例示的な一実施例において、面取り部分の長さXは、約125マイクロメートル(5ミル)である。したがって、挟持面204A,204Bにより、区分100A,100Bに接合処理を施すことができる。特定の例示的な寸法が本明細書において示されるが、フィルタ14を形成するためにフィルタ材の縁部を接合すべく使用されるフィルタ材の量に応じて、面取り部分は所望の長さを有することができることが当業者には理解されよう。
【0061】
結合された縁部210A,210Bは、接合処理において結合材を保持できる溝212を形成する。さらに、用具(例えば綿棒、ビット等)を溝212の長さに沿って延ばして、余分な接合剤および/またはフィルタ材を除去することも可能である。このようにして、余分なフィルタ材を除去することができる。
【0062】
また、面取り部分の深さXにより内側挟持縁部Yが形成されるため、この縁部を越えて接合処理を行うことはできない。例えば、接合工程に、所望の結合を行うために接合剤を使用する工程が含まれる場合、接合剤が内側挟持縁部Yを越えて移動しないように、ダイ部分202A,202Bは十分な力で挟持される。挟持面204A,204Bの一方または両方は、面取り部分を有することも可能である。これに代えて、いずれの挟持面204A,204Bも面取り部分を有していなくてもよい。
【0063】
上述したように、フィルタ材の区分100A,100Bを挟持面204A,204Bの外周部よりも大きく形成することにより、フィルタ材の一部が挟持面204A,204Bの周辺部を越えて延びることが可能である。例えば、図2Cに示すように、区分100A,100Bは、面取り部204A,204Bを越えて一定の距離Zが露出される。一実施例において、距離Zは約500マイクロメートル(20ミル)である。このように、第1区分100Aおよび第2区分100Bの整合が解除されても、フィルタの形成を妨げることはない。特定の距離Zは、行われる特定の処理に応じて、約500マイクロメートル(20ミル)よりも大きくても小さくてもよい。第1区分100Aおよび第2区分100Bのフィルタ材の複数の部分が、内側挟持縁部Yを越えて延びることのみが重要である。
【0064】
したがって、挟持アセンブリの構成は図2Aの構成に限定されるものではなく、フィルタを形成するフィルタ材の部分の数やフィルタ材の部分を接合する方法によって異なってもよい。例えば、挟持アセンブリ200は、以下に詳述するブレード形状を有することも可能である。
【0065】
一態様において、ダイ部分202A,202Bは金属材料から形成される。例えば、金属はステンレス鋼やタングステンであってもよい。他の実施例において、挟持面204A,204Bはセラミック材料から形成される。いずれの場合においても、挟持面204A,204Bを形成する材料は、選択される接合処理に十分に耐えることができ、また、接合剤や熱が挟持された領域内に深く浸透し過ぎないように、これら2つの表面の間に十分な挟持力を付与することが重要である。さらに、挟持アセンブリ200の材料は、適度な耐腐食性を有することが望ましい。
【0066】
挟持アセンブリ200を使用して2つの区分を接合する例示的な工程は以下の通りである。第1区分100Aおよび第2区分100Bを互いに向き合うように配置して第1挟持面204A上に水平に置く。第2挟持面204Bを重なり合った区分上に配置する。第1区分100Aが第2区分100Bと重なり合うことにより、第1縁部108Aの少なくとも一部が、第2縁部108Bの少なくとも一部に重なり、第2縁部110Aの少なくとも一部が、第2区分100Bの第2縁部110Bの少なくとも一部と重なり合う。第1および第2挟持面204A,204Bは、整合ピン206および整合開口部208を使用して閉じられて、挟持面204A,204Bを整合させる。
【0067】
一態様において、第1および第2挟持面204A,204Bは、第1区分100Aおよび第2区分100Bとほぼ同じ形状を有するように形成されるため、挟持アセンブリが閉じると、縁部108A,108B,11OA,11OBは、挟持アセンブリ200の外側に露出した状態となる。しかしながら、挟持面204A,204Bを区分100A,100Bとほぼ同じ形状に成形することなく、区分100A,100Bの複数の部分を露出させることも可能である。図2Cに示すように、縁部108A,108B,11OA,11OBの露出した部分は接合処理に使用することができる。
【0068】
一実施例において、接合工程には、重なり合った縁部108,110の露出した部分に接合剤を塗布する工程が含まれる。接合剤は、溶剤、溶剤に溶解したポリマー、接着剤等であってもよい。接合剤は、第1区分100Aおよび第2区分100Bを接合するように作用する。接合剤として溶剤を使用した態様においては、溶剤により余分な量のフィルタ材を除去することができるため、第1区分100Aと第2区分100Bとの間に形成された継ぎ目(図1)を極めて小さくすることができる。一態様においては、低密度接合剤が塗布される。接合剤が内側挟持縁部Yを越えて浸透しないように、使用者は確実に、第1挟持面204Aおよび第2挟持面204Bを区分100A,100B上に係着させなければならない。しかしながら、わずかな量の接合剤が内側挟持縁部Yを越えて浸透することもある。わずかな量の接合剤が内側挟持縁部Yを越えて浸透した場合に、そのような接合剤を第1区分100Aと第2区分100Bとの間の接合に役立てることができる
一実施例において、溶剤はジメチルスルホキシド(DMSO)である。しかしながら、他の溶剤には、シクロヘキサノン、ストッダード溶剤、アセトン、フィルタを形成するために使用されるフィルタ材を溶解できる他の溶剤等が含まれるが、これらに限定されるものではない。接合剤として使用するための好適な接着剤には、シアノアクリレートやアクリル系接着剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
他の実施例において、接合工程には、縁部108,110の露出した部分を加熱する工程が含まれる。加熱することにより、第1区分100Aおよび第2区分100Bが接合され、余分な量のフィルタ材も除去される。接合剤と加熱を組み合わせて、第1区分100Aを第2区分100Bに接合することも可能である。加えて、接合工程には、レーザ溶接工程を含めることも可能である。選択された接合工程により、フィルタ材と同様の引張強度またはほぼ同様の引張強度を有する継ぎ目(図1)が形成される。
【0070】
第1区分100Aおよび第2区分100Bの露出したフィルタ材に対して、溶剤、熱、他の接合器具や接合処理を行う際またはその後で、用具(例えば綿棒)を面取りした縁部210A,210Bにより形成された溝212に使用することも可能である。この用具により、継ぎ目26から余分な接合剤および/または余分なフィルタ材が除去される。
【0071】
図3A〜3Cにおいて、本発明の他の例示的な態様が示されており、単体からなるフィルタ材を使用してフィルタが形成される。図3Aはフィルタ材のほぼテーパ状をなす区分300を示す。フィルタ材の区分300は、第1縁部302、第2縁部304、および第3縁部306を備える。第1縁部302および第2縁部304はほぼ直線状をなすが、第3縁部306は曲線形状をなす。さらに、区分300は、多孔領域120Aに類似する構成の多孔領域308を有する。区分300は、区分100A,100Bに関して述べた方法により形成されてもよい。フィルタ材の単一の区分300を使用する実施例において、第1縁部302は第2縁部304に接合されるように形成される。そのため、ほぼ袋状のフィルタが単一の継ぎ目26(図1)を有して形成される。
【0072】
図3Bに関して、第1縁部302および第2縁部304は、重なり合って挟持アセンブリ400の間に配置される。この実施例において、挟持アセンブリ400は、第1ブレード402および第2ブレード404を備える。第1ブレード402および第2ブレード404は、重なり合う縁部302,304に高い挟持力を付与する。さらに、これらのブレードは、挟持面204A,204Bに関して上述した面取り部と同様に面取りされていてもよい。ブレード402,404により、区分300の縁部302,304の少なくとも一部は接合処理において露出されるが、同時にこの区分の残りの部分は接合処理から保護される。そのため、単体からなるフィルタ材から、ほぼ円錐形をなす袋状のフィルタが形成される。フィルタの端部を閉じるためには、チップ312(図3A)において接合剤や他の接合処理を行うための他の工程を必要としてもよい。
【0073】
さらに有利な点は、単一の継ぎ目(図1)のみを有するフィルタにより、フィルタを形成するための工程数を減少できることである。これは、フィルタ材が極めて薄く取り扱いが困難な実施例においては特に望ましい。
【0074】
図3Cにおいて、区分300の重なり合う縁部302,304を配置するための他の実施例が示される。本実施の形態において、縁部302,304の表面を向き合わせて互いに近接して配置する代わりに、これらの縁部の向き合わない面を近接して配置する。次に、ブレード308,310の一面に沿って接合処理を行って、縁部を融合または融解させる。
【0075】
ブレードを有する挟持アセンブリ400をフィルタ材の2つの区分を有する実施例に使用することも可能である。これとは逆に、挟持面を有する挟持アセンブリ200を単一区分からなるフィルタ材を有する実施例に使用して、単一の継ぎ目を使用することも可能である。他の実施例において、フィルタ材の縁部を手動で固定してから接合処理を行ってもよい。
【0076】
様々な技術や構造体を使用して、本発明のブレードおよびダイを移動させることも可能である。例えば、接合処理において、ブレードおよびダイの移動を容易にするラック内やトラック上(図示せず)にブレードおよびダイを取り付けることも可能である。したがって、ブレードおよびダイは、空気圧ラムや水圧ラム、ラックシステムやギアシステム、あるいは、制御かつ反復可能な方法で一方のブレードまたはダイを他方のブレードまたはダイに向かって移動させるために使用される他の構造体の影響を受けて、移動させることが可能である。さらに、ブレードおよびダイは、手動、自動、あるいはこれらの動作や位置を制御する1つまたは複数の電子部品の制御下で移動させることが可能である。
【0077】
本発明は、その趣旨や本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態において具体化されてもよい。本明細書に記載された実施例は、あらゆる点において例示として考慮されるべきであり、それらに限定されるものではない。したがって、本発明の範囲は、上記の記載によるよりも添付の特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲の同等物の意味および範囲内における全ての変更は、その範囲内に包含されるものである。
【0078】
本発明の上記および他の効果ならびに特徴を明確にするために、添付の図面に示される特定の実施例を参照してより詳細に説明される。これらの図面は、本発明の典型的な実施例のみを示し、したがって、その範囲を限定することを考慮するものではない。本発明は、添付の図面を使用することにより、さらに具体的かつ詳細に説明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】塞栓予防器具の先端部を示す側面図であって、本発明の一実施例により形成されたフィルタを備えるフィルタアセンブリを示しており、フィルタアセンブリは配置された姿勢にある。
【図2A】図1のフィルタを組み立てるための挟持アセンブリを示す斜視図。
【図2B】図2Aのフィルタ材の複数の区分の1つを示す図。
【図2C】閉じた姿勢にある図2A挟持アセンブリを示す部分側面図。
【図3A】本発明の他の実施例によるフィルタを形成するために使用されるフィルタ材の1つの区分を示す図。
【図3B】図3Aのフィルタ材の区分を組み立てるための挟持アセンブリの一部を示す図。
【図3C】図3Aのフィルタ材の区分を組み立てるための挟持アセンブリの他の実施例の一部を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内器具に対して接続して使用するために形成されるフィルタであって、該フィルタは約25マイクロメートル未満の厚さを有するポリウレタンフィルムからなり、該ポリウレタンフィルムは密閉された先端部および開口した基端部を有するように形成されることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
袋状をなす請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
ほぼ円錐形状をなす請求項1に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記ポリウレタンフィルムは約5マイクロメートル〜約25マイクロメートルの厚さを有する請求項1に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記ポリウレタンフィルムは約5マイクロメートル〜約15マイクロメートルの厚さを有する請求項1に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記ポリウレタンフィルムは約5マイクロメートル〜約8マイクロメートルの厚さを有する請求項1に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記ポリウレタンフィルムは互いに接合された第1縁部および第2縁部を備える請求項1に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記第1縁部および第2縁部は溶剤処理により互いに接合される請求項7に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記第1縁部および第2縁部は接着剤により互いに接合される請求項7に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記第1縁部および第2縁部は加熱処理により互いに接合される請求項7に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記ポリウレタンフィルムは第1区分および第2区分を備え、該第1区分および第2区分の各々はテーパ状をなす端部を有し、該第1区分および第2区分のテーパ状をなす端部の少なくとも一部は互いに接合されることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ。
【請求項12】
塞栓予防器具に対して接続して使用するためのフィルタを形成する方法であって、
約25マイクロメートル未満の厚さを有するフィルタ材の第1区分を形成する工程と、該第1区分は第1縁部および第2縁部を有することと、
該第1縁部の少なくとも一部を該第2縁部の少なくとも一部に密着させる工程と、
該第1区分が袋状に形成されるように、該第1縁部の少なくとも一部を該第2縁部の少なくとも一部に接合させる工程とを備える方法。
【請求項13】
前記フィルタ材の第1区分を形成する工程は、該フィルタ区分を形成するために所定のパターンに従って前記フィルタ材のより大きな部分をレーザ切断する工程を含む請求項12に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項14】
前記フィルタ材の第1区分を形成する工程は、
所定のパターンに従って前記フィルタ材のより大きな部分をマスキングする工程と、
レーザ光線および溶剤の少なくとも一方により該所定のパターンの外側にある前記フィルタ材の余分な部分を除去する工程とを含む請求項11に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項15】
前記第1縁部および第2縁部の少なくとも一部を密着させる工程は、挟持アセンブリを使用して該第1縁部および第2縁部の少なくとも一部を挟持する工程を含む請求項12に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項16】
前記挟持アセンブリは第1挟持面および第2挟持面を備える請求項15に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項17】
前記第1挟持面および第2挟持面の少なくとも一方は、その外周部に面取りした縁部を備える請求項16に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項18】
前記挟持アセンブリは第1ブレードおよび第2ブレードを備える請求項15に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項19】
前記第1ブレードおよび第2ブレードの少なくとも一方は面取りした縁部を備える請求項18に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項20】
前記第1縁部の少なくとも一部を前記第2縁部の少なくとも一部に接合させる工程は、該第1縁部および該第2縁を互いに接合するために、接合剤により該第1縁部の少なくとも一部および該第2縁部の少なくとも一部を密着させる工程を含む請求項12に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項21】
前記第1縁部の少なくとも一部を前記第2縁部の少なくとも一部に接合させる工程は、該第1縁部および該第2縁部を互いに接合するために、十分加熱することにより該第1縁部および該第2縁部の少なくとも一部を密着させる工程を含む請求項12に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項22】
塞栓予防器具に対して接続して使用するためのフィルタを形成する方法であって、
フィルタ材の第1区分および第2区分を形成する工程と、各区分は、約25マイクロメートル未満の厚さを有し、第1縁部および第2縁部を有することと、
該第1区分の第1縁部および該第2区分の第1縁部の少なくとも一部を密着させる工程と、
該第1区分の第2縁部および該第2区分の第2縁部の少なくとも一部を密着させる工程と、
該第1区分および第2区分が袋状に形成されるように、該第1縁部および第2縁部の少なくとも一部を互いに接合させる工程とを備える方法。
【請求項23】
前記フィルタ材の第1区分および第2区分を形成する工程は、所定のパターンに従って前記フィルタ材のより大きな部分をレーザ切断する工程を含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第1区分および第2区分を形成する工程は、所定のパターンに従ってフィルタ材のより大きな区分をマスキングする工程と、幅広いレーザ光線で該所定のパターンの外側にある余分なフィルタ材を除去する工程とを含む請求項22に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項25】
前記第1区分の第1縁部および前記第2区分の第1縁部の少なくとも一部を重ね合わせる工程は、挟持アセンブリを使用して該第1区分の第1縁部および該第2区分の第1縁部の少なくとも一部を挟持する工程をさらに含む請求項22に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項26】
前記挟持アセンブリは第1挟持面および第2挟持面を備える請求項25に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項27】
前記第1挟持面および第2挟持面の少なくとも一方は、その外周部に面取りした縁部を備える請求項25に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項28】
前記挟持アセンブリは第1ブレードおよび第2ブレードを備える請求項25に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項29】
前記第1ブレードおよび第2ブレードの少なくとも一方は面取りした縁部を備える請求項28に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項30】
前記第1区分および第2区分の重ね合わされた第1縁部の少なくとも一部を互いに接合する工程は、該重ね合わされた第1縁部を接合するために、接合剤によりこれら第1縁部の少なくとも一部を密着させる工程を備える請求項22に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項31】
前記第1区分および第2区分の重ね合わされた第1縁部の少なくとも一部を互いに接合する工程は、該重ね合わされた第1縁部を接合するために、十分に加熱することによりこれら第1縁部の少なくとも一部を密着させる工程を備える請求項22に記載のフィルタを形成する方法。
【請求項32】
塞栓予防器具に対して接続して使用するために形成されるフィルタであって、該フィルタは先端部において密閉され、かつ、基端部において開口部を有する袋形状に形成されたフィルタ材を備えることと、該袋形状は該基端部から先端部にかけて形成された少なくとも1つの継ぎ目を有することとを特徴とするフィルタ。
【請求項33】
前記袋形状はほぼ円錐形状である請求項32に記載のフィルタ。
【請求項34】
前記フィルタ材は約5マイクロメートル〜約25マイクロメートルの厚さを有する請求項32に記載のフィルタ。
【請求項35】
前記フィルタ材は約5マイクロメートル〜約15マイクロメートルの厚さを有する請求項32に記載のフィルタ。
【請求項36】
前記フィルタ材は約5マイクロメートル〜約8マイクロメートルの厚さを有する請求項32に記載のフィルタ。
【請求項37】
前記フィルタ材は、前記少なくとも1つの継ぎ目を形成するために互いに接合された第1縁部および第2縁部を備える請求項32に記載のフィルタ。
【請求項38】
前記第1縁部および第2縁部は溶剤処理により互いに接合される請求項37に記載のフィルタ。
【請求項39】
前記第1縁部および第2縁部は接着剤により互いに接合される請求項37に記載のフィルタ。
【請求項40】
前記第1縁部および第2縁部は加熱処理により互いに接合される請求項37に記載のフィルタ。
【請求項41】
前記フィルタ材は第1区分および第2区分を備え、該第1区分および第2区分の各々はテーパ状をなす端部を有し、前記継ぎ目を形成するために、該第1区分および該第2区分のテーパ状をなす端部の少なくとも一部は互いに接合されることを特徴とする請求項32に記載のフィルタ。
【請求項42】
前記フィルタ材は、低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレンプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、またはこれらの組合せから選択される材料からなる請求項32に記載のフィルタ。
【請求項43】
塞栓予防器具に対して接続して使用するために形成されるフィルタであって、
ほぼ平坦形状を有し、かつ、周辺端部を有する第1区分と、
該第1区分にほぼ類似する形状を有する第2区分と、該第2区分は該第1区分の周辺端部の基端側の近接した位置において該第1区分に接合されることと、該第1区分および第2区分の結合部分は、先端部において密閉され、かつ、基端部において開口部を有するほぼ円錐形状を形成することと、該円錐形状は該基端部から該先端部にかけて形成された少なくとも1つの継ぎ目を備えることとを特徴とするフィルタ。
【請求項44】
前記第1区分および第2区分の各々は、約5マイクロメートル〜約25マイクロメートルの厚さを有する請求項43に記載のフィルタ。
【請求項45】
前記フィルタ材は約5マイクロメートル〜約15マイクロメートルの厚さを有する請求項43に記載のフィルタ。
【請求項46】
前記フィルタ材は約5マイクロメートル〜約8マイクロメートルの厚さを有する請求項43に記載のフィルタ。
【請求項47】
前記フィルタ材はポリマー材からなる請求項43に記載のフィルタ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2007−529595(P2007−529595A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503909(P2007−503909)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/004722
【国際公開番号】WO2005/091813
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506069365)ルビコン メディカル インコーポレイテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】RUBICON MEDICAL INC.
【Fターム(参考)】