説明

フィルムインサート成型品の製造方法及びフィルムインサート成型品の成形型

【課題】フィルムの端部の成形品内部への巻き込みを抑制し、かつユーザから見える成形品表面部分にウエルドラインが生じないようにした、フィルムインサート成型品の製造方法及びフィルムインサート成型品の成形型を提供する。
【解決手段】金属、木目等の材質や色調が印刷されたフィルム100を固定型2の成形面にセットする工程と、前記フィルムがセットされた固定型に対して、移動型3を移動させ、型締めする工程と、前記型締めを行った後、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部100aを、上面に溶融樹脂が流入する流入口が形成されたフィルム押え手段10で押える工程と、前記フィルム押え手段10により、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部100aを押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムインサート成型品の製造方法及びフィルムインサート成型品の成形型に関し、特に、表面の少なくとも一部がフィルムで覆われた樹脂成形品を射出成形するためのフィルムインサート成型品の製造方法及びフィルムインサート成型品の成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂成形品に金属、木目等の材質感や色調を与える方法として、塗装やメッキ等の処理を施す方法、あるいは樹脂に、金属、木目等の材質感を与えたフィルムをインサートする方法が知られている。
特に、金属、木目等の材質や色調が印刷されたフィルムを、樹脂にインサートするフィルムインサート成形法は、塗装やメッキ等の処理方法に比べて、製造コスト、耐久性において有利な点を有しており、例えば、家電製品のパネル、自動車の内外装部品等において用いられている。
【0003】
このフィルムインサート成形方法について、特許文献1に記載された例を図7に示すと共に、この図に基づいて説明する。
先ず、フィルム100は、ベース材101の裏面に印刷を行い、印刷インク層102を形成する。フィルム100のベース材101としては、PETフィルムが主として使用されるが、PC(ポリカーボネート)フィルム等が使用される場合もある。
【0004】
次に、前記印刷インク層102に重ねてバインダーを印刷してバインダー層103を形成する。このバインダー層103は成形樹脂(成形品)110に対する接着剤であり、成形の際に溶融樹脂の熱により溶解し接着剤となり、印刷のインク面と成形樹脂(成形品)面とを接着する。
【0005】
そして、このように形成されたフィルム100をインサート成形するには、まず、金属、木目等の材質や色調が印刷されたフィルム100を、所定寸法に切断し、所定形状にフォーミングする。具体的には、所定寸法に切断された後、加熱し、プレスを行うことにより、所定形状にフォーミングする。
【0006】
その後、射出成形金型の固定型120にフィルム100をセットし、可動型121を移動し、型締め後、フィルムインサート成形を行う。即ち、溶融樹脂が前記固定型120と移動型121との間のキャビティC内へ射出され、前記バインダー層103によって、前記インク層102(フィルム100)が成形樹脂110に接着される。
その後、成形樹脂110が冷却するのを待って、前記型から取出すことにより製品が完成する。
【0007】
上記したようにフィルムインサート成形することで、成形樹脂110に対してフィルム100を一体化することができ、フィルム100に印刷された、金属、木目等の材質や色調を成形品に与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−168613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、フィルムインサート成形は自動車のフロントバンパのように大きな成型品にも適用が考えられている。具体的に、自動車のフロントバンパに適用する場合について、図8基づいて説明する。
図8(a)に示すように、車両のフロントバンパ130の上部には、フロントグリル131が形成され、その下方にはラジエータグリル132が設けられている。また、フロントバンパ130の上部中央部(フロントグリル131の中央上方部分)には、エンブレム133の取付け面130aとして、円形状の平面部が形成されている。
【0010】
また、前記エンブレム133の取付け面130aの下端部に接し、車幅方向にモール部130bが形成されている。
そして、フロントグリル131、ラジエータグリル132を除き、前記フロントバンパ130と、前記エンブレム133の取付け面130a及びモール部130bは、一体的に成形される。ここで、特に、モール部130bには、銀色等の金属色が印刷されたフィルムがインサートされる。尚、図8(a)中のGは、成形型における、溶融樹脂が注入されるゲート位置を示している。
【0011】
次に、図8(b)に基づいて、前記モール部130bにフィルムをインサートする場合に生じる弊害について説明する。
先ず、射出成形金型の固定型134にフィルム100をセットし、可動型135を移動し、型締め後、溶融樹脂を固定型134と移動型135との間のキャビティC内へ射出する。
このとき、ゲート位置Gが前記モール部130bよりも上方に位置しているため、図中に矢印Fで示すように、溶融樹脂が上方から下方に流れる。
【0012】
そのため、前記溶融樹脂が、フィルム100の端部100aと固定型134との間に流入し、前記端部100aが浮き上がる(固定型134の成形面から剥離する)という弊害が生じる。
このようなフィルム100の浮き上がり(固定型134の成形面から剥離)により、フィルム100の端部は樹脂成形品内に巻き込まれ、見栄えの良い成型品を得ることができないという課題があった。
【0013】
この弊害をするためには、図9(b)に示すように、可動金型135内にトンネルゲートTGを形成し、フィルム100の裏面中央部から溶融樹脂を射出する方法を採用することが考えられる。
この方法によれば、射出された溶融樹脂によって、前記フィルム100は、フィルム100の裏面側から固定型135の成形面側に押さえ付けられるため、前記フィルム100の端部100aの浮き上がりが抑制された成型品を得ることができる。
尚、図9(a)中、TGは、溶融樹脂が注入されるゲート位置(トンネルゲート位置)を示している。
【0014】
しかしながら、図9(a)(b)に矢印で示すように、フィルム100の裏面中央部に配置されたトンネルゲートTGから射出された溶融樹脂の殆どが、図中矢印Fで示すように、金型の上方に向けて移動する。
そして、図9(a)に示すように、例えばユーザから見えるエンブレム取付け面131aの上方の位置で射出された溶融樹脂が合流し、その合流点にウエルドラインWLが現れる。このウエルドラインWLが製品の表面に現れると、製品の見栄えが悪く、意匠的価値が損なわれる。
因みに、図8に示す場合にあっては、ウエルドラインWLはモール部130bに現れるが、前記フィルム100によってその表面を覆い隠される。そのため、ユーザから見える部分にウエルドラインWLは現れず、意匠的価値は損なわれない。
【0015】
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、フィルムの端部の成形品内部への巻き込みを抑制し、かつユーザから見える成形品表面部分にウエルドラインが生じないようにした、フィルムインサート成型品の製造方法及びフィルムインサート成型品の成形型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかるフィルムインサート成型品の製造方法は、金属、木目等の材質や色調が印刷されたフィルムを固定型の成形面にセットする工程と、前記フィルムがセットされた固定型に対して、可動型を移動させ、型締めする工程と、前記型締めを行った後、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を、上面に溶融樹脂が流入する流入口が形成されたフィルム押え手段で押える工程と、前記フィルム押え手段により、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形する工程と、を備えることを特徴としている。
【0017】
このように、フィルム押え手段でフィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し成形するため、フィルムの浮き上がりによる、フィルムの端部の樹脂成形品への巻き込みが抑制され、見栄えの良い成型品を得ることができる。
【0018】
ここで、前記溶融樹脂の射出、成形工程において、前記射出された溶融樹脂のウエルドラインがフィルムのインサート部分に形成されることが望ましい。
このように、ウエルドラインがフィルムのインサート部分に形成されることにより、ウエルドラインをフィルムで覆い隠すことができ、見栄えの良い成型品を得ることができる。
【0019】
また、前記フィルム押え手段により、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形する工程において、前記キャビティ内に溶融樹脂が流入した後は、フィルム押え手段によるフィルムの端部の押え状態を開放した状態で、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形することが望ましい。
【0020】
このように、キャビティ内に溶融樹脂が所定量流入した後に、フィルム押え手段によるフィルムの端部の押え状態を開放することにより、キャビティ内への溶融樹脂の流入量を増加させることができ、迅速に射出、成形を行うことができる。
【0021】
上記技術的課題を解決するためになされた本発明にかかるフィルムインサート成型品の成形型は、フィルムインサート成型品の成形型であって、前記成形型は、固定型と可動型とを備え、前記可動型には、型締め状態において固定型にセットされたフィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えるフィルム押え手段が設けられていることを特徴としている。
【0022】
このように、フィルム押え手段が設けられているため、この成形型を用いれば、フィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形することができ、フィルムの浮き上がりによる、フィルムの端部の樹脂成形品への巻き込みが抑制され、見栄えの良い成型品を得ることができる。
【0023】
ここで、前記フィルム押え手段が、前記フィルムの端部を押える第1のスライドコアと、前記第1のスライドコアの上面に形成された溶融樹脂が流入する流入口と、前記第1のスライドコアを前記フィルムの端部方向に進出させ、フィルムの端部を押える移動手段と、を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、フィルムの端部の成形品内部への巻き込みを抑制し、かつユーザから見える成形品表面部分にウエルドラインが生じないようにした、フィルムインサート成型品の製造方法及びフィルムインサート成型品の成形型を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態を説明する図であって、ゲートの配置位置を金型(フロントバンパ)の上位置に配置した場合を示す、フロントバンパの正面図である。
【図2】図2は、図1に示したC−C断面部分を成形する金型の断面を示す図である。
【図3】図3は、図2に示したD−D断面図である。
【図4】図4は、図2に示した第1のスライドコアの正面図である。
【図5】図5は、図2に対応する図であって、溶融樹脂の射出開始後、所定時間経過後に溶融樹脂の流入口を開放した状態を示す金型の断面図である。
【図6】図6は、図5に示したE−E断面図である。
【図7】図7は、従来のフィルムインサート成型品の製造方法を説明するための図である。
【図8】図8は、ゲートの配置位置を金型(フロントバンパ)の上位置に配置した場合を示す図であって、(a)は、成形品であるフロントバンパを示す正面図、(b)は、(a)に示したA−A断面部分を成形する金型の断面を示す図である。
【図9】図9は、ゲートの配置位置をフィルムの裏面中央に配置した場合を示す図であって、(a)は、成形品であるフロントバンパを示す正面図、(b)は、(a)に示したB−B断面部分を成形する金型の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図1乃至図6に基づいて説明する。尚、図7乃至図9に示された部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0027】
本発明は、ゲート位置Gを前記モール部130b以外に配置し、ウエルドラインWLを前記モール部130bに生じるようになすと共に、溶融樹脂が流入することによるフィルム100の浮き上がり(固定型の成形面からのフィルムの剥離)を防止するために、フィルムの端部100aを押えるフィルム押え手段10(第1のスライドコア11)を設けた点に特徴がある。
【0028】
先ず、フィルムインサート成型品の成形型について説明する。
この成形型1は、従来に成形型と同様に、固定型2と、図示しない可動型移動手段により移動制御される可動型3とを備えている。そして、前記可動型3が固定型2に対して移動することにより、型開き状態から図2に示す型締め状態となすように構成されている。
【0029】
また、この可動型3には、型締め状態において固定型2にセットされた、フィルム100の溶融樹脂流入側の端部100aを押えるフィルム押え手段10が設けられている。
このフィルム押え手段10は、前記フィルム100の溶融樹脂流入側の端部100aを押える第1のスライドコア11と、前記第1のスライドコア11の上面11aに形成された溶融樹脂が流入するV字状の溝からなる流入口11aを備えている。この第1のスライドコア11は、図4に示すように、車幅方向に前記モール部130bの上縁部に沿って、前記モール部130bと同等の長さをもって形成されている。
またフィルム押え手段10は、前記第1のスライドコア11を前記フィルム100の端部100a方向に移動させる第2のスライドコア12と、前記第2のスライドコア12に一端が取付けられたロッド13と、前記ロッド13を水平方向に移動させるピストンシリンダ14とを備える。
【0030】
前記第1のスライドコア11は、可動金型3に形成された貫通孔3b内に摺動可能に収容されている。また、この第1のスライドコア11の下面11cは傾斜面に形成され、第2のスライドコア12の上面12aに形成された傾斜面上を摺動可能に形成されている。
即ち、図2に示すように、前記ピストンシリンダ14がロッド13を固定型2側に進出させると、第2のスライドコア12の上面12a上を第1のスライドコア11の下面11cが摺動する。その結果、第1のスライドコア11は前記貫通孔3b内を上方に摺動し、第1のスライドコア11の上面11aが固定型側に突出し、前記フィルム100の端部100aを押えるように構成されている。
【0031】
また、図5に示すように前記動作と逆に、前記ピストンシリンダ14がロッド13を後退させると、第2のスライドコア12の上面12a上を第1のスライドコア11の下面11cが摺動しながら、第1のスライドコア11は前記貫通孔3b内を下方に摺動し、突出した第1のスライドコア11は貫通孔3b内に引き込まれるように構成されている。
【0032】
次に、前記第1のスライドコア11の上面11aに形成された溶融樹脂が流入する流入口11aについて説明する。
前記第1のスライドコア11の上面11aには、図2,3に示すように、溶融樹脂が流れる方向に沿って、複数のV字状の溝が設けられている。
そのため、第1のスライドコア11の上面11aが、固定型側に突出し、前記フィルム100の溶融樹脂流入側の端部100aを押える状態にあっては、第1のスライドコア11の上面11aと前記フィルム100の下面との間には、溶融樹脂が流れるV状の流入口11bが形成され、この流入口11bを通って、溶融樹脂が下方向(フィルム100の裏面側)に流れるように構成されている。
即ち、前記第1のスライドコア11の上面11aで、フィルム100の端部100aを押えつつ、溶融樹脂が下方向に流れるように構成されている。
【0033】
また、このフィルム100は、従来と同様のフィルムが用いられるが、特これに限定されるものではなく、他の材質を用いたものであっても良い。また前記したように、ベース材101、印刷インク層102、バインダー層103の三層構造のものである必要はなく、例えば、2層構造あるいは4層構造以上のものであっても良い。
【0034】
次に、フィルムインサート成型品の製造方法について説明する。
先ず、この固定型2の成形面2aに、型開き時においてフィルム100をセットする。尚、型締め状態での固定型2及び可動型3の成形面2a,3bの間に、キャビティCが構成される。
前記固定型2と可動型3とを型締めした後は、図2で示すように、前記ピストンシリンダ14がロッド13を固定型2側に進出させることにより、第1のスライドコア11の下面(傾斜面)11cは第2のスライドコア12の上面(傾斜面)12a上を摺動する。
その結果、第1のスライドコア11は、前記貫通孔3b内を上方に摺動し、第1のスライドコア11の上面11aを固定型2側に突出させ、前記フィルム100の溶融樹脂端部100aを押える。
【0035】
このとき、第1のスライドコア11にはV字状の流入口11aが形成されているため、第1のスライドコア11を挟んで上流側と下流側とは前記流入口11aを介して連通している。
この状態において、図1に示すゲート位置Gから、フィルム100が配置されたキャビティCに向けて溶融樹脂が射出されると、溶融樹脂は、前記流入口11aを通って、第1のスライドコア11の上流側から下流側へ流れる。このとき、フィルム100の端部100aは前記第1のスライドコア11で固定されている。
したがって、ゲート位置Gが前記モール部131bよりも上方に位置し、溶融樹脂が上方から下方に流れる場合であっても、フィルム100の端部100aが、第1のスライドコア11によって固定されているため、前記フィルム100の端部100aの浮き上がり(成形面からの剥離)を防止することができる。
【0036】
そして、前記キャビティC内に溶融樹脂が所定量充填された後(前記キャビティC内に溶融樹脂が射出開始後、所定時間経過後)は、図5、図6に示すように、前記ピストンシリンダ14がロッド13を固定型2側と反対方向に移動させ(後退させ)ことにより、第1のスライドコア11の上面11aを可動型3側に移動させ、前記フィルム100の端部100aの押え状態を開放する。
【0037】
このように第1のスライドコア11を可動型3側に移動させることにより、図5に示すように、第1のスライドコア11の上面11aとフィルム100の裏面間に隙間が形成され、流入口11aが拡張する。そして、この流入口11aの拡張により、キャビティ内への溶融樹脂の流入量を増加させることができ、迅速に射出、成形を行うことができる。
【0038】
尚、前記第1のスライドコア11を後退させるタイミングは、前記キャビティC内に溶融樹脂が所定量充填され、前記フィルム100の端部100aが浮き上がらない程度に充填された後であれば良い。また、射出時間はかかるが、前記キャビティC内の溶融樹脂の充填が終了するまで、第1のスライドコア11の上面で、前記フィルム100の端部100aを押えても良い。
【0039】
以上の工程を経ることにより、フィルム100がインサートされた成形品が樹脂成形される。
このフィルムインサート成型品の製造方法、フィルムインサート成型品の成形型にあっては、フィルムの端部を押えるフィルム押え手段(スライドコア)が設けられているため、フィルムの端部の浮き上がりを抑制できる。
その結果、フィルムの成形品内へフィルムの巻き込みを抑制でき、見栄えの良い成型品を得ることができる。また、ウエルドラインWLを、フィルムがインサートされる部分に生じるように構成することによって、見栄えの良い成型品を得ることができる。
【0040】
尚、上記実施形態にあっては、ゲート位置を、前記モール部よりも上方に配置した場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ウエルドラインがフィルムの裏面に対応する位置に形成されるように、ゲートが配置されていれば良い。
また、上記実施形態にあっては、車両のフロントバンパに形成されるモール部を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両の外装品、内装品のみならず、例えば、家電製品のキャビネット、操作パネル等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 成形型
2 固定型
2a 成形面
3 移動型
3a 成形面
3b 貫通孔
10 フィルム押え手段
11 第1のスライドコア
11a 第1のスライドコアの上面
11b 流入口
11c 第1のスライドコアの下面
12 第2のスライドコア
12a 第2のスライドコアの上面
13 ロッド
14 ピストンシリンダ
100 フィルム
100a フィルムの溶融樹脂流入側の端部
F 溶融樹脂の流れ
G ゲート位置
WL ウエルドライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、木目等の材質や色調が印刷されたフィルムを固定型の成形面にセットする工程と、
前記フィルムがセットされた固定型に対して、可動型を移動させ、型締めする工程と、
前記型締めを行った後、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を、上面に溶融樹脂が流入する流入口が形成されたフィルム押え手段で押える工程と、
前記フィルム押え手段により、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形する工程と、
を備えることを特徴とするフィルムインサート成型品の製造方法。
【請求項2】
前記溶融樹脂の射出、成形工程において、
前記射出された溶融樹脂のウエルドラインがフィルムのインサート部分に形成されることを特徴とする請求項1記載のフィルムインサート成型品の製造方法。
【請求項3】
前記フィルム押え手段により、前記フィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えながら、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形する工程において、
前記キャビティ内に溶融樹脂が流入した後は、フィルム押え手段によるフィルムの端部の押え状態を開放した状態で、ゲートから溶融樹脂を射出し、成形することを特徴とする請求項1または請求項2記載のフィルムインサート成型品の製造方法。
【請求項4】
フィルムインサート成型品の成形型であって、
前記成形型は、固定型と可動型とを備え、
前記可動型には、型締め状態において固定型にセットされたフィルムの溶融樹脂流入側の端部を押えるフィルム押え手段が設けられていることを特徴とするフィルムインサート成型品の成形型。
【請求項5】
前記フィルム押え手段が、
前記フィルムの端部を押える第1のスライドコアと、
前記第1のスライドコアの上面に形成された溶融樹脂が流入する流入口と、
前記第1のスライドコアを前記フィルムの端部方向に進出させ、フィルムの端部を押える移動手段と、
を備えていることを特徴とする請求項4記載のフィルムインサート成型品の成形型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86342(P2013−86342A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228480(P2011−228480)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000157083)トヨタ自動車東日本株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】