説明

フィーダ装置及び切り出し方法

【課題】切り出されるシュレッダーダストの成分のばらつきを軽減することができるフィーダ装置及び切り出し方法を提供する。
【解決手段】被処理物を切り出すフィーダ装置20において,上面に被処理物を載せて搬送し,被処理物を上面端部から落下させて切り出す搬送コンベア43を備えた。そして,搬送コンベア43の上方に,被処理物を供給する供給口33と,供給口33から供給される被処理物を受け取り,被処理物を搬送しながら搬送コンベア43の上面に落下させる搬送供給機構34とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えばシュレッダーダスト等の被処理物を貯留し,切り出して搬出するフィーダ装置及び切り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の構成部品は,大部分がリサイクルされているが,残りは粉砕してシュレッダーダストとし,埋め立て処分されていた。しかし,最終処分場の逼迫などから,シュレッダーダストについても更なる処理による減容化,資源の回収・リサイクルが求められている。かような要求の下,流動床炉等を用いてシュレッダーダストを焼却処理し,減容化を図ることが行われている。また,冷蔵庫等の家電製品を廃棄する場合も,リサイクル可能な部品を除去して,残りを粉砕してシュレッダーダストとし,焼却処理している。
【0003】
シュレッダーダストには,金属,ガラス等の無機物,プラスチック,ウレタン,油などの有機物が混在する。また,素材の硬さ,弾性,伸展性,引っ張り強度なども異なるため,シュレッダー時の破砕条件が同じでも,一様な形状,大きさに破砕されておらず,粗粒物が混在している。このように成分や形状,大きさがばらついたままでシュレッダーダストを焼却すると,燃焼が不安定になり,安定した炉の連続操業がしにくいといった問題を生ずる。そのため,シュレッダーダストを焼却処理する前に,篩い分け,ガラスや金属類の選別,再破砕などの前処理を行う必要がある。また,焼却施設においては,炉内の燃焼状態の安定を図るため,シュレッダーダストを定量的に連続して供給することが好ましい。そのため,前処理したシュレッダーダストを貯留して,定量ずつ切り出して供給するフィーダ装置が用いられる。かかるフィーダ装置の一例としては,シュレッダーダストを搬送コンベアの上方に貯留した後,搬送コンベアを横方向に駆動させ,搬送コンベアの端部からシュレッダーダストを落下させることにより,定量的に切り出して搬出できるようにしたものが提案されている(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−68462号公報
【0005】
しかしながら,従来のフィーダ装置にあっては,切り出されるシュレッダーダストの成分にばらつきが多い問題があった。即ち,前処理工程のガラス選別部や金属類の選別部等において,シュレッダーダストを篩い分けた際,焼却に適した大きさのものは搬出され,フィーダ装置に投入されるが,各選別部から供給されたシュレッダーダストの成分は,互いに異なる割合になっている。そのため,フィーダ装置内には,各選別部から供給された成分の異なるシュレッダーダストが,投入された順に蓄積され,混合されずに偏った状態で貯留される。また,自動車のシュレッダーダスト,各種家電製品のシュレッダーダスト等,元の廃品が異なるシュレッダーダストが同じフィーダ装置に投入される場合も,元の廃品によってシュレッダーダストの成分が異なるため,フィーダ装置内に偏った状態で貯留されてしまう。このように,シュレッダーダストの成分が不均一な状態で貯留されていると,切り出しを行う際,異なる成分のシュレッダーダストが順次切り出されることになる。この場合,炉内に供給されるシュレッダーダストの成分が一定でないため,炉の燃焼が不安定になるおそれがあった。
【0006】
また,例えば自動車のシュレッダーダストには,発泡ウレタンや軽量のプラスチック等も多く含まれているため,シュレッダーダストの嵩密度は非常に低い。この場合,搬送コンベア上に堆積したシュレッダーダストの山は不安定で崩れやすく,切り出しの際,シュレッダーダストが搬送コンベアから一気に落下してしまうおそれがある。従って,シュレッダーダストを定量的に切り出すことが困難であった。そのため,シュレッダーダストの炉内への供給量や成分のばらつきが多くなり,炉の燃焼が不安定になるおそれがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は,切り出されるシュレッダーダストの成分のばらつきを軽減することができ,また,定量的な切り出しができるフィーダ装置及び切り出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため,本発明によれば,被処理物を切り出すフィーダ装置であって,上面に被処理物を載せて搬送し,被処理物を上面端部から落下させて切り出す搬送コンベアと,前記搬送コンベアの上方において被処理物を供給する供給口と,前記供給口から供給される被処理物を受け取り,被処理物を搬送しながら前記搬送コンベアの上面に落下させる搬送供給機構とを備えたことを特徴とする,フィーダ装置が提供される。ここで,被処理物とは,例えば廃棄自動車のシュレッダーダスト等である。かかるフィーダ装置によれば,被処理物を搬送供給機構によって搬送コンベア上に散布させることができる。これにより,被処理物の堆積状態を調整することができる。例えば,異なる成分を有する被処理物を順次層状に堆積させることができる。この場合,被処理物を切り出す際,異なる成分を有する被処理物が混合して落下するようになる。従って,切り出される被処理物の成分のばらつきを軽減することができる。
【0009】
前記搬送供給機構は,並列に配置された一対の回転軸に巻回された供給用コンベアと,前記供給用コンベアを移動させる移動機とを備え,前記供給用コンベアの上面に被処理物を載せ,前記回転軸を回転させることにより供給用コンベアを周動させ,前記供給用コンベアの上面端部から被処理物を落下させる構成としても良い。これにより,被処理物を搬送コンベア上に散布させることができる。また,エアブロー等により供給用コンベアの清掃を簡単に行うことができる。
【0010】
前記搬送コンベアは,並列に配置された一対の搬送コンベア用回転軸に巻回され,前記搬送コンベアの上面に被処理物を載せ,前記搬送コンベア用回転軸を回転させることにより搬送コンベアを周動させる構成としても良い。この場合,エアブロー等により搬送コンベアの清掃を簡単に行うことができる。
【0011】
前記搬送コンベアの上方に,前記搬送コンベアから被処理物を掻き落とす掻き落とし機構を備えても良い。この場合,被処理物を効率的に切り出すことができる。さらに,前記掻き落とし機構は,複数の回転部材を備え,前記回転部材は,回転板と,前記回転板に取り付けられた羽とを備えることとしても良い。また,前記複数の回転部材を,上方に向かうに従い前記コンベアの上面端部から他端部側に向かう傾斜方向に沿って,並べて備えても良い。このようにすると,異なる成分を有する異なる層の被処理物を確実に混合させて切り出すことができる。従って,成分の均一性を向上させることができる。また,掻き落とし機構によって被処理物を補強しながら掻き落とすことにより,被処理物の山が不規則に崩れることを防止して,定量的な切り出しを行うことができる。
【0012】
また,本発明によれば,被処理物を切り出す方法であって,被処理物を搬送しながら搬送コンベアの上面に落下させ,前記搬送コンベアの上面に層状に堆積させ,前記搬送コンベアを移動させ,前記搬送コンベアの上面端部から被処理物を落下させることにより,被処理物を切り出すことを特徴とする,切り出し方法が提供される。この切り出し方法にあっては,前記搬送コンベアの上面端部から被処理物を落下させる際,前記搬送コンベア上の被処理物を掻き落とし,堆積させた被処理物の各層を混合させるようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,被処理物を横方向に搬送しながら搬送コンベア上に落下させることにより,被処理物の堆積状態を調整することができる。例えば,成分の異なる被処理物を層状に堆積させることができる。そして,搬送コンベアの移動により被処理物を切り出す際,成分の異なる層を混合させて搬出できる。従って,フィーダ装置から切り出される被処理物の成分のばらつきを少なくすることができる。また,掻き落とし機構によって被処理物を補強しながら掻き落とすことにより,被処理物の山が不規則に崩れることを防止して,定量的な切り出しを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,被処理物の一例としてのシュレッダーダストを焼却処理する際に前処理を行う前処理システムに基づいて説明する。かかるシュレッダーダストは,例えば廃棄自動車からリサイクル備品を取除いた残りの廃棄物を粉砕したもの(ASR:Automobile Shredder Residue)である。シュレッダーダストの成分は多様であり,例えば無機物として鉄(Fe),銅(Cu),アルミニウム(Al)等の金属,ガラス等が含まれており,また,有機化合物としては,ゴム,繊維くず,ウレタン及びナイロンなどの軟質樹脂,塩ビなどの硬質プラスチック等が含まれる。シュレッダーダスト中に含有されるガラスは,主に自動車の窓ガラス等であり,このガラスには,酸化珪素が含まれる他,酸化ナトリウム,酸化マグネシウム,酸化亜鉛,アルミナ,酸化カルシウムなど無機金属の酸化物が含有されている。また,前処理を行う前においては,シュレッダーダストの大きさや形状は多様であり,大きさが十数cmといった粗粒のものから粉塵状の細粒物までが混在している。
【0015】
図1に示すように,前処理システム1には,スクリーン装置2,スクリーン装置2によって篩い分けられた細粒物からガラスを選別するガラス選別部3が備えられている。さらに,ガラス選別部3によってガラスが除去されたシュレッダーダストを風力選別する風力選別装置5,風力選別装置5によって選別された軽量物を篩い分けるスクリーン装置6,スクリーン装置6によって篩い分けられた粗粒物を破砕する破砕装置7が備えられている。また,鉄,アルミニウム,銅などの金属類を選別する金属選別部8が備えられている。
【0016】
スクリーン装置2によって篩い分けられた異物,ガラス選別部3によって選別されたガラス,金属選別部8によって選別された鉄類,アルミニウム類,銅類は,それぞれ前処理システム1から図示しない搬送装置によって異物ヤード10,ガラスヤード11,Feヤード12,Alヤード13,Cuヤード14に移送されるようになっている。前処理システム1において処理されたシュレッダーダストは,移送コンベア等の搬送装置を介して,本発明にかかるフィーダ装置としてのベルトフィーダ装置20に搬送される。ベルトフィーダ装置20は,シュレッダーダストを焼却施設21に供給する。焼却施設21では,例えば流動床炉等によってシュレッダーダストが焼却されるようになっている。
【0017】
図2に示すように,ベルトフィーダ装置20の装置本体30内部の下部には,シュレッダーダストを載せて搬送するコンベア機構32が備えられている。また,コンベア機構32の上方には,シュレッダーダストを供給する複数,例えば5個の供給口33と,各供給口33から受け取ったシュレッダーダストを横方向に搬送しながら落下させる搬送供給機構34とが備えられている。コンベア機構32の前端部(図2においては右側の端部)の下方には,装置本体30からシュレッダーダストを搬出する搬出口35が設けられている。
【0018】
コンベア機構32は,並列に配置された一対のベルトコンベア用回転軸41,42と,回転軸41,42に渡って巻回された搬送コンベアとしてのベルトコンベア43とを備えている。回転軸41,42は,装置本体30内の下部において,後側と前側(図2においては左側と右側)にそれぞれ備えられており,シュレッダーダストの搬送方向と略垂直な左右方向に向けて,互いに略平行かつ同じ高さに配置されている。また,回転軸41を回転させる駆動部45が設けられている。ベルトコンベア43は,回転軸41,42の外側に無端状に巻回されており,上面が略水平になるように保持されている。かかるベルトコンベア43は,可撓性を有するゴム等からなる長尺の帯状部材を無端状に継ぎ合わせたものであっても良く,また,例えば多数の板状部材をジョイントを介して連結させた無限軌道状のものであってもよい。駆動部45の駆動により,回転軸41を図2において右回転させると,ベルトコンベア43は回転軸42を回転させながら周動する。ベルトコンベア43の上面は,後方から前方に向かって略水平方向に移動する。従って,ベルトコンベア43の周動により,上面に載せたシュレッダーダストが後方から前方に向かって横方向に搬送されるようになっている。また,ベルトコンベア43の上面前端部に移動したシュレッダーダストは,搬出口35に確実に落下するようになっている。なお,ベルトコンベア43の清掃はエアブロー等により簡単に行うことができる。
【0019】
図3に示すように,ベルトコンベア43の左右両側には,側壁51A,51Bが備えられている。側壁51A,51Bは,それぞれ平板状をなし,略鉛直方向に向けてベルトコンベア43の上面から上方に延びるように設けられている。また,ベルトコンベア43上面の左右両縁部に沿って互いに略平行に,ベルトコンベア43の上面における後端部から前端部に渡って設けられている。また,図2に示すように,ベルトコンベア43の後端部には,側壁52が備えられている。側壁52は平板状をなし,略鉛直方向に向けてベルトコンベア43の上面から上方に延びるように設けられている。これら側壁51A,51B,52によって,上方から見て略コの字状の囲い53が形成されている。そして,ベルトコンベア43の上面と,側壁51A,51B,52とによって囲まれた内側の空間が,シュレッダーダストを貯留する貯留部54となっている。なお,側壁51A,51B,52は,上方に向かうほど内側に向かって傾斜させるようにしても良い。この場合,貯留部54にシュレッダーダストを貯留した際,側壁51A,51B,52にかかる応力を軽減することができる。
【0020】
図2に示すように,5個の供給口33は,ベルトコンベア43の上方において,ベルトコンベア43の搬送方向に沿って前後に並べて配置され,下向きに開口している。また,シュレッダーダストをガラス選別部3や金属選別部8から移送して各供給口33に供給する移送コンベア55が備えられている。移送コンベア55は,装置本体30の上方において,ベルトコンベア43の搬送方向に沿って前後方向に延設されており,移送コンベア55内のシュレッダーダストを,ベルトコンベア43の搬送方向と同じ後方から前方に向かう方向に移送するようになっている。移送コンベア55としては,例えばチェーンコンベア,パイプコンベア等が用いられる。また,移送コンベア55には,複数,例えば5個の開閉弁部56が,移送コンベア55の移送方向に並べて介設されている。各供給口33は,それぞれ開閉弁部56を介して移送コンベア55に接続されている。即ち,各開閉弁部56を開閉させることにより,各供給口33からシュレッダーダストを供給する状態と供給を停止した状態とを個別に切り換える構成となっている。
【0021】
搬送供給機構34は,供給口33の下方に備えられており,シュレッダーダストを載せて周動する供給用コンベア61を有する供給用コンベア機62と,レール63A,63B,及び,レール63A,63Bに沿って前後方向に移動可能な移動台64からなる移動機65とを備えている。供給用コンベア機62は移動台64によって支持されており,移動台64と共に移動することができる。
【0022】
供給用コンベア機62は,並列に配置された一対の回転軸71,72と,回転軸71,72に渡って巻回された無端状のコンベア61とを備えている。回転軸71,72は,貯留部54の上方において,前側と後側にそれぞれ備えられており,シュレッダーダストの搬送方向と略垂直な左右方向に向けて,互いに略平行かつ同じ高さに配置されている。また,回転軸71,72は,供給用コンベア機62の左右両側において前後方向にそれぞれ延設された支持部材73A,73Bの前後両端部に,回転可能な状態で取り付けられている。各支持部材73A,73Bは,移動台64の上面に対して,支持柱74を介してそれぞれ固定されている。コンベア61は回転軸71,72の外側に巻回されており,上面が略水平になるように保持されている。また,図3に示すように,回転軸71を回転させる駆動部75が設けられている。駆動部75の駆動により回転軸71を回転させると,コンベア61が回転軸72を回転させながら周動する。これにより,コンベア61の上面は,後方から前方に向かって略水平方向に移動し,回転軸72を回って下面側に移動するようになっている。このコンベア61の周動により,上面に載せたシュレッダーダストが後方から前方に向かって横方向に移動して,コンベア61の端部から落下し,ベルトコンベア43上に供給されるようになっている。コンベア61の周動方向は一定方向になっており,周動速度については,例えば等加速度運転と等速度運転とに切り替えて制御できるように構成されている。なお,コンベア61の清掃はエアブロー等により簡単に行うことができる。
【0023】
図3に示すように,移動機65は,一対のレール63A,63Bと,前述した支持柱74が取り付けられた移動台64とを備えている。レール63A,63Bは,貯留部54の上方において,前後方向に沿って略水平に,互いに略平行に延設されている。移動台64の下部には,複数,例えば4個の車輪83が,左右両側にそれぞれ例えば2個ずつ取り付けられている。左側の車輪83,83はレール63Aに沿って前後方向に移動し,右側の車輪83,83はレール63Bに沿って前後方向に移動するようになっている。また,前側に備えられた左右両側の2つの車輪83,83は,回転駆動部85の回転によって回転する回転駆動軸86に取り付けられている。回転駆動軸86の回転方向は切り換え可能になっている。回転駆動部85の駆動により回転駆動軸86を回転させると,前側の2つの車輪83,83が回転し,これにより,移動台64が後側の車輪83,83を回転させながら,前方又は後方に移動するようになっている。そして,供給用コンベア機62が,移動台64と一体的に,前後に移動するようになっている。
【0024】
なお,供給用コンベア機62は,総ての供給口33の下方に移動可能であり,各供給口33から供給されるシュレッダーダストをコンベア61の上面によって受け止めることができる。さらに,コンベア61を移動機65の駆動により前後に移動させながら,供給口33から供給されるシュレッダーダストを受けることにより,コンベア61の上面全体にシュレッダーダストを載せることが可能である。
【0025】
図2に示すように,ベルトコンベア43の上面における前端部の上方には,ベルトコンベア43上からシュレッダーダストを掻き落とす掻き落とし機構91が設けられている。掻き落とし機構91は,複数の回転部材92と,各回転部材92を回転させる図示しないモータとを備えている。各回転部材92は,円板状の回転板93と,回転板93の両面にそれぞれ4個ずつ取り付けられた羽94とによって構成されている。回転板93は,略鉛直方向に向けて設けられ,回転板93の中心部を支持する回転軸95を中心として,略垂直面内において回転可能になっている。また,回転部材92は,図2に示すように,ベルトコンベア43の上端部近傍から貯留部54の上端部付近までの間において,上方に向かうに従いベルトコンベア43の上面における前端部側から後端部側に向かう傾斜方向に沿って,ほぼ等間隔を空けて並べて備えられており,かつ,図3に示すように,ベルトコンベア43の幅方向に,即ち,左右方向にもほぼ等間隔を空けて並べて設けられている。また,各回転軸95は,図示しないモータの駆動により一括して回転させられる。回転軸95の回転により,各回転部材92は,ベルトコンベア43側において羽94が上方から下方に向かう方向,即ち,図2においては左回転方向に回転させられる。
【0026】
また,ベルトフィーダ装置20には,コンベア機構32の駆動部45,移動機65の回転駆動部85,及び,掻き落とし機構91の図示しないモータを制御する制御部100が設けられている。この制御部100によって駆動部45を制御し,回転軸41の回転数を制御することにより,ベルトコンベア43の周動速度,即ち搬送速度を調節することができる。また,回転駆動部85を制御し,車輪83の回転を制御することにより,移動台64及び供給用コンベア機62が前後に移動する移動速度を制御することができる。さらに,掻き落とし機構91のモータを制御することにより,回転部材92の回転数を制御することができる。また,各開閉弁部56の開閉も,制御部100によって制御されるようになっている。
【0027】
さらに,ベルトコンベア43上に堆積したシュレッダーダストの高さを計測する図示しないレベルセンサが設けられており,このレベルセンサの計測値は,制御部100によって監視される。従って,制御部100は,ベルトコンベア43上のシュレッダーダストの高さを監視しながら,ベルトコンベア43の搬送速度,供給用コンベア機62の移動速度,及び,回転部材92の回転速度を調節する制御を行うことができる。レベルセンサとしては,例えば,シュレッダーダストの上面位置を検知する超音波計等が用いられる。
【0028】
搬送供給機構34の周囲には,シュレッダーダストの飛散を防止するため,搬送供給機構34の下方以外を囲むように防塵カバー105が設けられている。また,掻き落とし機構91の外側にも,シュレッダーダストの飛散を防止する防塵カバー106が設けられている。さらに,防塵カバー105,106内を排気して集塵する図示しない排気路が設けられている。
【0029】
次に,以上のように構成された前処理システム1によってシュレッダーダストを前処理する方法について説明する。先ず,シュレッダーダストをスクリーン装置2に供給して篩い分けを行う。スクリーン装置2においては,長尺物等の大型の異物が粗物として篩い分けられる。これらの異物は,図2に示すように異物ヤード10に集積され,再破砕などの処理が行われる。一方,細粒物として篩い分けられたシュレッダーダストは,ガラス選別部3に搬送される。
【0030】
ガラス選別部3では,シュレッダーダストが粗物と細粒物とに再び篩い分けられる。このうち,細粒物は例えば風力選別により,主にガラスを含む重量物とその他の軽量物とに選別される。ガラスはガラスヤード11に集積され,軽量の細粒物はベルトフィーダ装置20に搬送される。なお,ガラス選別部3で選別される細粒物の大きさは,例えば約20mm以下になるようにすることが好ましい。一方,ガラス選別部3で篩い分けられた粗物は,風力選別装置5に搬送され,風力選別により,重量物と軽量物とに選別される。
【0031】
風力選別装置5で選別された重量物は,金属選別部8に搬送される。一方,風力選別装置5で選別された軽量物はスクリーン装置6に搬送され,スクリーン装置6によって粗物と細粒物とに篩い分けられる。細粒物は金属選別部8に搬送される。粗物は破砕装置7によって再破砕された後,再びスクリーン装置6に戻され篩い分けられる。こうして破砕装置7によって粗物を破砕し,スクリーン装置6において細粒物として選別されるまで破砕を繰り返すことにより,シュレッダーダストの大きさを十分に小さくすることができる。なお,スクリーン装置6で篩い分けられる細粒物の大きさは,例えば約20mm以下になるようにすることが好ましい。
【0032】
金属選別部8では,シュレッダーダストから鉄類,アルミニウム類,銅類がそれぞれ選別される。鉄類はFeヤード12に集積され,アルミニウム類はAlヤード13に集積され,銅類はCuヤード14に集積される。金属類が除去された残りのシュレッダーダストは,金属選別部8からベルトフィーダ装置20に搬送される。その際には,鉄類を選別する工程において分離された細粒のシュレッダーダスト,アルミニウム類を選別する工程において分離された細粒のシュレッダーダスト,銅類を選別する工程において分離された細粒のシュレッダーダストが,例えばこの順に,金属選別部8から搬出され,ベルトフィーダ装置20に移送される。
【0033】
前述したガラス選別部3から搬出されたシュレッダーダスト,金属選別部8において鉄類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,アルミニウム類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,銅類を選別する工程において分離されたシュレッダーダストは,順次移送コンベア55を通ってベルトフィーダ装置20に移送される。従って,移送コンベア55内には,例えばガラス選別部3から搬出されたシュレッダーダスト,鉄類を選別する工程において分離された細粒のシュレッダーダスト,アルミニウム類を選別する工程において分離された細粒のシュレッダーダスト,銅類を選別する工程において分離された細粒のシュレッダーダストが,搬送方向と逆方向に沿ってこの順に並ぶように詰め込まれている。
【0034】
ベルトフィーダ装置20においては,先ず,各開閉弁部56を閉じた状態とし,複数の供給口33のいずれか一つの下方に,供給用コンベア機62を移動させ,コンベア61の上面前部が供給口33の真下に配置されるようにする。なお,コンベア61の周動は停止させた状態にしておく。そして,コンベア61の上方に位置する供給口33に対応する開閉弁部56のみを開き,シュレッダーダストを供給する。シュレッダーダストは供給口33からコンベア61の上面前部に落下して受け止められる。さらに,移動機65の駆動により供給用コンベア機62を後方から前方に向かって移動させながらシュレッダーダストを供給すると,シュレッダーダストがコンベア61上面の前部から後部に渡って供給される。こうして,コンベア61の上面全体にシュレッダーダストが載せられたら,開閉弁部56を閉じ,供給口33からのシュレッダーダストの供給を停止させる。
【0035】
なお,コンベア61の上面に堆積させるシュレッダーダストの厚さは,供給用コンベア機62の移動速度を調節することで,所望の値に調整することができる。即ち,制御部100の制御により,回転駆動部85の出力を調節して,移動台64に備えた車輪83の回転を調整し,供給用コンベア機62の移動速度を調節すれば良い。供給用コンベア機62の移動速度を速くすれば,コンベア61上のシュレッダーダストの厚さは薄くなり,供給用コンベア機62の移動速度を遅くすれば,シュレッダーダストの厚さは厚くなる。また,移動台64によって供給用コンベア機62を前後に往復させながら,コンベア61の上面にシュレッダーダストを供給しても良い。
【0036】
次に,移動機65の回転駆動部85の駆動により,移動台64及び供給用コンベア機62を前後に移動させ,シュレッダーダストを前後に搬送しながら,コンベア61の周動を開始させ,コンベア61の上面を前方に向かって横方向に移動させることにより,コンベア61の上面前端部からシュレッダーダストを落下させる。コンベア61上のシュレッダーダストは,前側に堆積したものから順次,側壁51A,51Bの間に落下していき,ベルトコンベア43の上面に受け止められる。また,供給用コンベア機62を前後方向に移動させることにより,シュレッダーダストの落下開始地点が前後に移動するので,ベルトコンベア43の上面においてシュレッダーダストが広範囲に渡って散布される。なお,シュレッダーダストを落下させる際は,ベルトコンベア43の周動は停止させた状態とする。
【0037】
ベルトコンベア43上のシュレッダーダストの堆積状態,即ち,シュレッダーダストが散布される範囲や,ベルトコンベア43上に堆積したシュレッダーダストの厚さ等は,供給用コンベア機62の移動方向,移動速度,移動範囲を調節することで,所望の状態にすることができる。即ち,制御部100の制御により,回転駆動部85の出力を調節することで,移動台64に備えた車輪83の回転量や回転方向を調整し,これにより,供給用コンベア機62の移動方向,移動速度,移動範囲を調節すれば良い。供給用コンベア機62の移動速度を速くすれば,ベルトコンベア43上のシュレッダーダストの厚さは薄くなり,供給用コンベア機62の移動速度を遅くすれば,ベルトコンベア43上のシュレッダーダストの厚さは厚くなる。また,例えば,供給用コンベア機62をベルトコンベア43の上面後端部の上方に移動させてから,コンベア61の周動を開始させ,供給用コンベア機62がベルトコンベア43の上面前端部の上方に移動したとき,コンベア61のシュレッダーダストが総て落下し終えるようにしても良い。また,供給用コンベア機62を前後に往復移動させながら,シュレッダーダストを落下させても良い。
【0038】
供給用コンベア機62からベルトコンベア43上にシュレッダーダストを供給したら,コンベア61の周動を停止させ,再び,供給口33のいずれか一つの下方に供給用コンベア機62を移動させ,開閉弁部56を開いてシュレッダーダストを供給し,コンベア61の上面にシュレッダーダストを載せる。そして,上述した散布工程と同様にして,供給用コンベア機62によってシュレッダーダストを前後方向に搬送しながら,コンベア61からシュレッダーダストを落下させ散布させる。このシュレッダーダストは,先にベルトコンベア43上に供給されたシュレッダーダストの上に層状に重なって堆積する。以下,同様にして,供給口33から供給されたシュレッダーダストを供給用コンベア機62によって散布して,シュレッダーダストを重ねて堆積させていく。
【0039】
こうしてベルトフィーダ装置20にシュレッダーダストを供給する一方で,前処理システム1に次のシュレッダーダストを搬入して,前述したガラス選別,金属選別等を継続して行う。そして,ガラス選別部3,金属選別部8から,次のシュレッダーダストをベルトフィーダ装置20に搬送し,ベルトコンベア43上にシュレッダーダストを散布していく。さらに,ベルトコンベア43上にシュレッダーダストが適量に堆積されるまで,かかる散布工程を繰り返し行う。
【0040】
ところで,前述したように,移送コンベア55内には,ガラス選別部3から搬出されたシュレッダーダスト,鉄類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,アルミニウム類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,銅類を選別する工程において分離されたシュレッダーダストが,この順に詰められており,移送コンベア55の駆動に伴って,供給口33から順番に供給され,散布される。従って,ベルトコンベア43上に蓄積されたシュレッダーダストは,ガラス選別部3から搬出されたシュレッダーダスト,鉄類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,アルミニウム類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,銅類を選別する工程において分離されたシュレッダーダストが,例えば下からこの順に積層された状態になる。また,シュレッダーダストの山の上面がほぼ均一な高さになるように堆積させても良い。
【0041】
なお,ベルトコンベア43上に堆積したシュレッダーダストの山の高さは,図示しないレベルセンサによって検知することができる。従って,レベルセンサを監視している制御部100の判断により,散布工程を繰り返すか否かを決定することができる。また,各散布工程において供給されるシュレッダーダストの層の厚さも,レベルセンサの検出値を監視することにより計測することができる。制御部100は,レベルセンサの検出値を監視しながら,供給用コンベア機62の移動方向,移動速度,移動範囲を調節することができ,これにより,シュレッダーダストを満遍なく散布することができる。
【0042】
ベルトコンベア43上にシュレッダーダストが十分に蓄積されたら,散布工程を終了させ,次に,駆動部45の駆動を開始して,回転軸41を回転させ,ベルトコンベア43を周動させる。ベルトコンベア43の上面は前方に向かって横方向に移動し,回転軸42に沿って下面側に向かって移動する。また,掻き落とし機構91の各回転部材92を所定の回転速度で回転させる。ベルトコンベア43上のシュレッダーダストは,ベルトコンベア43の上面の移動に伴って前方に移動して,ベルトコンベア43の上面前端部から落下し始める。また,シュレッダーダストの山の前面に回転部材92が当接し,各回転部材92の羽94によって,シュレッダーダストの前面が掻き落とされる。そして,ベルトコンベア43の前端部から落下し,搬出口35に排出される。こうして,ベルトコンベア43上のシュレッダーダストは,前側に堆積したものから順次掻き落とされ,搬出口35から連続的に搬出される。
【0043】
ここで,ベルトコンベア43上に蓄積されたシュレッダーダストの山は,前述したように成分が異なるシュレッダーダストが上下方向に層状に堆積した状態になっているので,ベルトコンベア43を移動させるに従い,ベルトコンベア43の上面前端部においては,各層のシュレッダーダストが同時に落下する。従って,異なる成分を有するシュレッダーダストが互いに混合しながら落下し,搬出される。また,シュレッダーダストの山を構成する各層は前後方向に渡って分布しているので,ベルトコンベア43上のシュレッダーダストは,ベルトコンベア43の前側に堆積したものからから後側に堆積したものに至るまで,常に複数の層のシュレッダーダストが混合した状態で,搬出口35に連続的に落とされていく。従って,ガラス選別部3から搬出されたシュレッダーダスト,鉄類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,アルミニウム類を選別する工程において分離されたシュレッダーダスト,銅類を選別する工程において分離されたシュレッダーダストが,互いに成分の割合が異なる構成であっても,これらを混合しながら切り出すことにより,切り出されたシュレッダーダストの成分が偏ることを防止できる。そして,焼却施設21に対して,成分の偏りが少ないシュレッダーダストを連続的に送り出すことができる。
【0044】
また,シュレッダーダストをベルトコンベア43上に均一な高さで堆積させておくことにより,切り出しの際,単位時間当たり一定の重量のシュレッダーダストがベルトコンベア43から搬出口35に落下していくようにすることができる。従って,シュレッダーダストを定量的に切り出し,焼却施設21に送り出すことができる。特に,ベルトコンベア43の周動と回転部材92の回転を一定にした状態でも定量的な切り出しが可能であり,制御が簡単である。なお,シュレッダーダストの高さが均一でない場合であっても,ベルトコンベア43の周動と回転部材92の回転を制御することにより,定量的に切り出すことが可能である。
【0045】
さらに,ベルトコンベア43からシュレッダーダストを落下させる際,掻き落とし機構91によってシュレッダーダストの山の前面を掻き落とすことにより,シュレッダーダストを効率的かつ定量的に落下させることができ,また,複数の層のシュレッダーダストを効率的に混合して落下させることができる。特に,掻き落とし機構91に備えた複数の回転部材92は,上方に向かうに従いベルトコンベア43の上面前端部から後端部側に向かう傾斜方向に沿って並べて備えられているので,複数の回転部材92が下層のシュレッダーダストから上層のシュレッダーダストまで接触し,各層のシュレッダーダストが同時に掻き落とされ,特定の層のシュレッダーダストに偏ることなく,バランス良く確実に混合される。従って,切り出されるシュレッダーダストの均一性を向上させることができ,また,定量的に送り出すことができる。ベルトコンベア43上にシュレッダーダストを高く堆積させた場合でも,各回転部材92によって掻き落とすことで,シュレッダーダストを均一に混合させ,定量的に切り出すことが容易になる。なお,シュレッダーダストを切り出す速度は,ベルトコンベア43の周動速度と,各回転部材92の回転速度を調節することで,所望の値に調整することが可能である。
【0046】
また,シュレッダーダストの山の前面に回転部材92を接触させることによって,山の前面が押さえられ,補強される。これにより,山の前面が不規則な山崩れを起こすこと,シュレッダーダストが前面から瞬間的に一気に落下してしまうことを防止できる。例えば発泡ウレタンや軽量のプラスチック等の軽量物が多く含まれた嵩密度が低いシュレッダーダストであっても,回転部材92の接触によって山の前面が適度に安定するので,山崩れを効果的に防止できる。従って,シュレッダーダストがベルトコンベア43から規則的に落下するように制御し,定量的な切り出しを安定的に行うことができる。なお,各回転部材92をシュレッダーダストの山の前面に対して深く埋没させるほど,シュレッダーダストの山の前面をより確実に補強することができ,シュレッダーダストの掻き落としを確実に制御し易くなる。従って,さらに安定した切り出しができるようになる。
【0047】
ベルトフィーダ装置20から焼却施設21に搬送されたシュレッダーダストは,流動床炉等によって焼却処理される。前処理されたシュレッダーダストは大きさが最大約20mm程度になっており,粗物が含まれていないので,炉の燃焼が安定する。さらに,ベルトフィーダ装置20から成分の偏りが少ないシュレッダーダストが定量的に供給されるので,例えばシュレッダーダストの成分のばらつきや供給量の変動に伴う炉内の熱バランスの悪化等に対処する対応処理,排ガス処理等を軽減でき,炉の燃焼を安定的に継続させることができる。また,ガラスや金属成分が低減されているので,効率良く燃焼させることができ,焼却施設12内の設備の磨耗も低減される。さらに,銅が触媒となったダイオキシンの発生抑制,未回収金属の低減が図れる。また,ガラスの主成分は流動床炉内の流動砂と類似しており,ガラスが流動砂に混入すると排出が困難となる他,結果的に流動砂の増加と同じこととなり,流動砂の挙動,温度等の制御を不安定にさせるが,そのようなガラスが除去されているので,炉内の燃焼が更に安定し,クリンカの発生も抑制できる。
【0048】
かかるベルトフィーダ装置20によれば,搬送供給機構34によってシュレッダーダストを横方向に搬送しながら落下させることにより,シュレッダーダストをベルトコンベア43上で広範囲に散布して堆積させることができる。従って,成分の異なるシュレッダーダストを層状に堆積させることができる。ベルトコンベア43の駆動によりシュレッダーダストを落下させて切り出す際,成分の異なる層を混合させることができる。従って,ベルトフィーダ装置20から切り出されるシュレッダーダストの成分のばらつきを少なくすることができ,焼却施設21での燃焼を安定させることができる。
【0049】
また,掻き落とし機構91によってシュレッダーダストの山の前面を補強しながら掻き落とすことにより,シュレッダーダストの山が不規則に崩れることを防止して,さらに安定した切り出しを行うことができる。これにより,ベルトフィーダ装置20における単位時間当たりの切り出し量のばらつきを抑えることができ,焼却施設21での燃焼を安定させることができる。
【0050】
以上,本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0051】
例えば,本実施形態においては,被処理物として自動車のシュレッダーダストを例示したが,被処理物とはかかるものに限定されず,例えば廃棄家電製品の破砕物などであっても良い。また,例えば自動車と廃棄家電製品のシュレッダーダストを混合したものであっても良い。また,本実施の形態では,前処理したシュレッダーダストを焼却施設に供給するためのフィーダ装置について説明したが,本発明は,かかるシュレッダーダスト用のフィーダ装置には限定されない。本発明は,他の技術分野において廃棄物以外の被処理物を定量的に切り出す様々な用途のフィーダ装置に適用できる。
【0052】
シュレッダーダストがベルトフィーダ装置20に供給されるまでの工程は,本実施の形態に示したものには限定されない。本実施の形態においては,1つのガラス選別部3と1つの金属選別部8からベルトフィーダ装置20にシュレッダーダストを搬送することとしたが,他の複数の選別部から1つのベルトフィーダ装置20にシュレッダーダストを搬送するようにしても良い。また,例えば,廃棄自動車を前処理するシステムと,廃棄家電製品を前処理するシステムから,廃棄自動車のシュレッダーダスト,廃棄家電製品のシュレッダーダストをそれぞれ1つのベルトフィーダ装置20に搬送するようにしても良い。この場合も,べルトフィーダ装置20において,廃棄自動車のシュレッダーダスト,廃棄家電製品のシュレッダーダストを層状に堆積させ,混合して切り出すことができる。従って,焼却施設21の燃焼を安定させることができる。
【0053】
また,ベルトフィーダ装置20を2つ以上設け,各ベルトフィーダにシュレッダーダストを搬送するようにしても良い。例えば,図4に示すように,2つのベルトフィーダ装置20A,20Bを備え,ベルトフィーダ装置20Aの開閉弁部56,ベルトフィーダ装置20Bの開閉弁部56を,それぞれ移送コンベア55に直列に介設し,移送コンベア55によってベルトフィーダ装置20A,20Bにシュレッダーダストを供給可能な構成とする。かかる構成によれば,一方のベルトフィーダ装置20Aにシュレッダーダストを貯留している間に,他方のベルトフィーダ装置20Bに貯留したシュレッダーダストを切り出して焼却施設21に搬送し,また,ベルトフィーダ装置20Bにシュレッダーダストを貯留している間に,他方のベルトフィーダ装置20Aに貯留したシュレッダーダストを切り出して焼却施設21に搬送することができる。即ち,シュレッダーダストの貯留を行うベルトフィーダ装置と切り出しを行うベルトフィーダ装置を交互に切り換え,シュレッダーダストの貯留と切り出しを並行して行うことができる。この場合,ガラス選別部3,金属選別部8から搬送されたシュレッダーダストを,ベルトフィーダ装置20A,20Bのいずれかに連続的に貯留でき,また,シュレッダーダストをベルトフィーダ装置20A,20Bのいずれかから焼却施設21に連続的に供給することができる。従って,シュレッダーダストを効率的に貯留及び切り出し供給することができる。
【0054】
また,本実施の形態では,コンベア61の上面に堆積させるシュレッダーダストの厚さを,供給用コンベア機62の移動速度を調節することで,調整することとしたが,例えば,開閉弁部56の開度を可変とし,この開度を調節することにより,シュレッダーダストの供給量を増減することで,コンベア61上のシュレッダーダストの厚さを調節することもできる。また,コンベア61の周動速度又は周動方向を可変とし,コンベア61の周動速度又は周動方向を変化させながら,シュレッダーダストを供給しても良い。この場合は,シュレッダーダストを散布する際も,コンベア61の周動速度又は周動方向を変化させたり,コンベア61の上面後端部からシュレッダーダストを落下させたりしながら散布させても良い。
【0055】
また,コンベア61を振動させる振動発振器を備えても良い。例えば支持柱74に振動発振器を取り付け,支持部材73A,73B,回転軸71,72を介してコンベア61を振動させるようにしても良い。そうすれば,振動によりシュレッダーダストの落下を促進させることができ,また,シュレッダーダストを定量的に落下させやすくなる。従って,ベルトコンベア43上のシュレッダーダストの堆積状態を良好に調整することができる。
【0056】
コンベア61は移動機65によって前後方向に移動可能としたが,例えば左右方向に移動可能にしても良い。これにより,ベルトコンベア43の幅方向においても,シュレッダーダストの堆積状態を調整することができるようになる。
【0057】
本実施の形態では,シュレッダーダストをベルトコンベア43上で前後に満遍なく散布し,成分が異なるシュレッダーダストを上下に層状に堆積させる場合を説明したが,勿論,シュレッダーダストの堆積状態はかかるものに限定されず,自在に調整することができる。即ち,ベルトコンベア43に対する供給用コンベア装置62からのシュレッダーダストの供給位置を制御したり,コンベア61の回転を制御することで,シュレッダーダストをベルトコンベア43上の所望の位置に所望の量だけ供給することができる。例えば,特定の成分のシュレッダーダストをベルトコンベア43上の所定の位置に偏在させたり,成分が異なるシュレッダーダストが前方から後方に向かって順に並ぶように堆積させたりしても良い。この場合,切り出されるシュレッダーダストの成分が時間の経過に従って変わるようにすることができる。例えば,炉内における燃焼状態の経過に応じて,炉内に供給されるシュレッダーダストの成分が変化するように調節することにより,炉内の燃焼状態を制御したり向上させたりすることもできる。
【0058】
掻き落とし機構の形態は,シュレッダーダストの掻き落としが可能な構造であれば良く,実施の形態に示したものには限定されない。例えば,回転部材の形状は,複数の羽板が中心軸の外周に放射状に設けられたものであっても良い。また,回転部材を回転させる形態に代えて,例えば,上方から下方に向かって掻き落とし用の羽を直線的に移動させるような形態にしても良い。
【0059】
本実施の形態では,シュレッダーダストを定量的に切り出す場合について説明したが,例えば,ベルトコンベア43の周動速度や,掻き落とし機構91の回転部材92の回転速度を調節することにより,単位時間当たりに切り出されるシュレッダーダストの量を任意に調節することもできる。この場合,例えば炉内における燃焼状態の経過に応じて,炉内に供給されるシュレッダーダストの量を変化させることで,燃焼状態を制御したり向上させたりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は,シュレッダーダスト,その他各種の被処理物を切り出すフィーダ装置及び切り出し方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】前処理システムの構成を説明する説明図である。
【図2】ベルトフィーダ装置の概略縦断面図である。
【図3】ベルトフィーダ装置を掻き落とし機構側からみた状態を示す概略断面図である。
【図4】ベルトフィーダ装置を2つ備えた実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 前処理システム
3 ガラス選別部
8 金属選別部
20 ベルトフィーダ装置
32 コンベア機構
33 供給口
34 搬送供給機構
35 搬出口
43 ベルトコンベア
55 移送コンベア
61 供給用コンベア
62 供給用コンベア機
65 移動機
91 掻き落とし機構
92 回転部材
93 回転板
94 羽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を切り出すフィーダ装置であって,
上面に被処理物を載せて搬送し,被処理物を上面端部から落下させて切り出す搬送コンベアと,
前記搬送コンベアの上方において被処理物を供給する供給口と,
前記供給口から供給される被処理物を受け取り,被処理物を搬送しながら前記搬送コンベアの上面に落下させる搬送供給機構とを備えたことを特徴とする,フィーダ装置。
【請求項2】
前記搬送供給機構は,並列に配置された一対の回転軸に巻回された供給用コンベアと,前記供給用コンベアを移動させる移動機とを備え,
前記供給用コンベアの上面に被処理物を載せ,前記回転軸を回転させることにより供給用コンベアを周動させ,前記供給用コンベアの上面端部から被処理物を落下させる構成としたことを特徴とする,請求項1に記載のフィーダ装置。
【請求項3】
前記搬送コンベアは,並列に配置された一対の搬送コンベア用回転軸に巻回され,
前記搬送コンベアの上面に被処理物を載せ,前記搬送コンベア用回転軸を回転させることにより搬送コンベアを周動させる構成としたことを特徴とする,請求項1又は2に記載のフィーダ装置。
【請求項4】
前記搬送コンベアの上方に,前記搬送コンベアから被処理物を掻き落とす掻き落とし機構を備えたことを特徴とする,請求項1,2又は3に記載のフィーダ装置。
【請求項5】
前記掻き落とし機構は,複数の回転部材を備え,
前記回転部材は,回転板と,前記回転板に取り付けられた羽とを備えることを特徴とする,請求項4に記載のフィーダ装置。
【請求項6】
前記複数の回転部材を,上方に向かうに従い前記コンベアの上面端部側から他端部側に向かう傾斜方向に沿って,並べて備えたことを特徴とする,請求項5に記載のフィーダ装置。
【請求項7】
被処理物を切り出す方法であって,
被処理物を搬送しながら搬送コンベアの上面に落下させ,前記搬送コンベアの上面に層状に堆積させ,
前記搬送コンベアを移動させ,前記搬送コンベアの上面端部から被処理物を落下させることにより,被処理物を切り出すことを特徴とする,切り出し方法。
【請求項8】
前記搬送コンベアの上面端部から被処理物を落下させる際,前記搬送コンベア上の被処理物を掻き落とし,堆積させた被処理物の各層を混合させることを特徴とする,請求項7に記載の切り出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−219283(P2006−219283A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36103(P2005−36103)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000224798)同和鉱業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】