説明

フェニルアラニン誘導体の固体分散体または固体分散体医薬製剤

式(1)で表されるフェニルアラニン化合物[式中、Aは式(2)等、Bはアルコキシ基等、Eは水素原子等、Dは置換されたフェニル基等、T、U、およびVはカルボニル基等、Armはベンゼン環等、R1はアルキル基等、R2、R3、R4は同一または異なって、水素原子、置換されたアミノ基等、JおよびJ'は水素原子等を表す。]またはその医薬的に許容される塩と水溶性高分子物質を含む固体分散体または固体分散体医薬製剤、及びその製造方法並びに、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩および溶解剤を含有する可溶化医薬製剤。この固体分散体医薬製剤又は可溶化医薬製剤によれば、難溶性薬物である式(1)で表されるフェニルアラニン化合物を有効成分としているが、溶解性および経口吸収性が高い医薬製剤が得られる。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α4インテグリン阻害作用を有し、炎症性腸疾患等の治療剤として有用なフェニルアラニン誘導体またはその医薬的に許容される塩の固体分散体または固体分散体医薬製剤に関する。また、上記誘導体またはその医薬的に許容される塩の可溶化医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、難溶性薬物を高分子に分散させて固体分散体として、溶解性や吸収性を改善することが知られている。例えば、グリゼオフルビン(Griseofulvin)を水溶性高分子物質のポリエチレングリコールポリマーに分散させ、固体分散体とし、その溶解性等を改善している例が知られている(非特許文献1)。
ところで、本発明で対象とする式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、α4インテグリン阻害作用を有し、炎症性腸疾患等の治療薬として有用な化合物であり、特許文献1の記載に従って製造することができるが、この公報には式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を配合した錠剤やカプセル剤等が記載されているが、固体分散体または固体分散体医薬製剤については開示されていない。また、可溶化医薬製剤に関しても開示されていない。式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩は、難溶性薬物であり、溶解性や吸収性を改善する余地があった。
【0003】
【特許文献1】国際公開第02/16329号パンフレット
【非特許文献1】J. Pharm. Sci., 60, 9, pp1281−1302, (1971)
【発明の開示】
【0004】
本発明は、式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩の溶解性や吸収性を向上させた形態及び医薬製剤を提供することを目的とする。
【0005】
本発明者らは、上記課題を製剤学的観点から解決しようと種々検討した結果、式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を非晶質状態で水溶性高分子物質との固体分散体となすことによりその溶解性が改善され、吸収性も改善されることを見出し、本発明を完成した。
また、式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を、溶解剤に溶解、分散させることにより溶解性が改善され、吸収性も改善されることをも見出し、本発明を完成した。その場合、界面活性剤または医薬的に許容される油を添加してもよい。
【0006】
すなわち、本発明は、式(1)









【化1】

[式中、Aは下記式(2)、(3)、(3−1)又は(3−2)で表される基のいずれかを表し、
【0007】
【化2】

(式中Armは酸素原子、硫黄原子または窒素原子より選ばれるヘテロ原子を0、1、2、3または4個含んだ環状アルキル基または芳香環である。式(3-2)中の実線と点線の複合線は、単結合、または二重結合をあらわす。また、U、V、XはC(=O)、S(=O)2、C(-R5)(-R6)、C(=C(R5)(R6))、C(=S)、S(=O)、P(=O)(-OH)、P(-H)(=O)のいずれかを表し、WはC(-R7)、窒素原子のいずれかを表し、
【0008】
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、置換された低級アルキル基、低級アルケニル基、置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換された低級アルキニル基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルコキシ基および低級アルキルチオ基、アリール基で置換された低級アルコキシ基および低級アルキルチオ基、ヘテロアリール基で置換された低級アルコキシ基および低級アルキルチオ基、環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでも良い)オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキルチオ基、ハロゲノ低級アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、置換または無置換アミノ基、カルボキシル基、低級アルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、低級アルカノイル基、アロイル基、低級アルキルスルホニル基、置換または無置換スルファモイル基、アンモニウム基のいずれかを表し、また、R5及びR6は結合して環を形成してもよく、場合により、環中に1または2個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてよく、
【0009】
Bはヒドロキシル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシルアミノ基のいずれかを表し、
Eは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基のいずれかを表し、
Dは低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、低級アルコキシ基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルコキシ基、アリール基で置換された低級アルコキシ基、ヘテロアリール基で置換された低級アルコキシ基、環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでも良い)オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、置換または無置換アミノ基、カルボキシル基、低級アルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、低級アルカノイル基、アロイル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、置換または無置換スルファモイル基のいずれかを表す。
また、E及びDは結合して環を形成してもよく、場合により、環中に1または2個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい。
Tは原子間結合、C(=O)、C(=S)、S(=O)、S(=O)2、N(H)-C(=O)、N(H)-C(=S)のいずれかを表し、
J及びJ'はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルキルオキシ基、ニトロ基のいずれかを表す。]
で表されるフェニルアラニン化合物[以下、単に化合物(I)という]またはその医薬的に許容される塩が非晶質状態で水溶性高分子物質中に分散されていることを特徴とする固体分散体に関する。
【0010】
本発明は、又、上記固体分散体が、例えば、混合工程、造粒工程、練合工程、打錠工程、カプセル充填工程、コーティング工程から選ばれる1以上の工程を経て製剤加工されてなる固体分散体医薬製剤に関する。
本発明は、又、上記固体分散体を含む核成分をコーティング剤で被覆してなる固体分散体医薬製剤に関する。
本発明は、又、上記化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を、(i) 水溶性高分子物質と共に有機溶媒に溶解または分散させた後、有機溶媒を除去するか、(ii) 加熱下で水溶性高分子物質に溶解または分散させた後、冷却するか、(iii)加熱及び加圧下で水溶性高分子物質に溶解または分散させた後、冷却するか、または、(iv) 水溶性高分子物質と共に混合した後、粉砕するか、のいずれかの工程を採用することを特徴とする固体分散体の製造方法に関する。
本発明は、又、上記化合物(I)またはその医薬的に許容される塩および溶解剤を含有する可溶化医薬製剤に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書中の式(1)、(2)、(3)、(3−1)及び(3−2)の各基の定義において、低級アルキル基等の「低級」という語は、炭素数が1〜6の基を意味し、好ましくは炭素数1〜4である。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルカノイル基、アルキルアミノ基等の成分としてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は直鎖若しくは分岐鎖状であることができる。アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、炭素数1〜6が好ましく、より好ましくは、1〜4である。アルケニル基はビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられ、炭素数2〜6が好ましく、より好ましくは、2〜4である。アルキニル基としてはエチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられ、炭素数2〜8が好ましく、より好ましくは、2〜4である。環状アルキル基は、置換または無置換の環状アルキル基を意味し、例としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、炭素数3〜8が好ましく、より好ましくは、3〜5である。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基等が挙げられ挙げられ、炭素数1〜6が好ましく、より好ましくは、1〜4である。
【0012】
ヘテロ原子としては窒素、酸素、イオウ等が挙げられる。ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示している。ハロゲノアルキル基としてはクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオルエチル基、ペンタフルオロメチル基等が挙げられる。ハロゲノアルコキシ基としてはトリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等が挙げられる。環中にヘテロ原子を含んでも良い環状アルキル基は、置換または無置換のどちらでもよく、例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、ウラシル基等の4〜8員環が好ましく、より好ましくは5〜7員環である。
【0013】
アリール基は、置換または無置換のアリール基を意味し、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基及び置換されたフェニル基であり、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。ヘテロアリール基は置換または無置換のヘテロアリール基を意味し、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、ピロリル基、トリアジル基、フリル基、チエニル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾリル基等が挙げられ、好ましくはピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基及び置換されたピリジル基、フリル基、チエニル基等であり、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。アリール基で置換された低級アルキル基はたとえば、置換または無置換のベンジル基、置換または無置換のフェネチル基等があげられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基の例としては例えばピリジルメチル基が挙げられハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。
【0014】
アルカノイル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基等が挙げられる。アロイル基としてはそれぞれ置換または無置換のベンゾイル基、ピリジルカルボニル基等が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。ハロゲノアルカノイル基としては、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基等が挙げられる。アルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等があげられる。アリールスルホニル基としてはベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。ヘテロアリールスルホニル基としては、ピリジルスルホニル基等があげられる。ハロゲノアルキルスルホニル基としては、トリフルオロメタンスルホニル基等が挙げられる。アルキルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ターシャリーブトキシカルボニル基等、またアリール置換アルコキシカルボニル基としてはベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等があげられる。
【0015】
置換カルバモイル基としては、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、置換フェニルカルバモイル基、等が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。置換チオカルバモイル基としては、メチルチオカルバモイル基、フェニルチオカルバモイル基、置換フェニルチオカルバモイル基等が挙げられハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。本明細書において置換アミノ基とは、モノ置換あるいは、ジ置換アミノ基を示し、その置換基としては、低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、低級アルカノイル基、アロイル基、ハロゲノ低級アルカノイル基、低級アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、ハロゲノアルキルスルホニル基、低級アルキルオキシカルボニル基、アリール置換低級アルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のチオカルバモイル基が挙げられる。アンモニウム基としては例えばトリアルキルアンモニウム基が挙げられる。
【0016】
また本発明の式(1)で示されるフェニルアラニン化合物は、不斉炭素を含む為、光学異性体も考えられるが、本発明で示している化合物はこの光学異性体も含んでいる。ただし、L体が好ましい。
また、ジアテステレマーが存在する化合物については、そのジアステレオマー及びジアステレオマー混合物も含まれる。また、本発明の式(1)で示されるフェニルアラニン化合物は移動性の水素原子を含む為、種々の互変異性体も考えられるが、本発明で示している化合物はこの互変異性体も含んでいる。また、本発明化合物におけるカルボキシル基は、生体内でカルボキシル基に変換される適当な置換基により置換されていてもよく、そのような置換基としては、例えば低級アルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0017】
本発明の式(1)で示される化合物が塩の形態を成し得る場合、その塩は医薬的に許容しうるものであればよく、例えば、式中のカルボキシル基等の酸性基に対しては、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、アンモニウム等)との塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、有機アミン(トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピペリジン、ジシクロへキシルアミン等)との塩、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)との塩を挙げることができる。
また、式中に塩基性基が存在する場合の塩基性基に対しては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸など)との塩、有機カルボン酸(酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸等)との塩、有機スルホン酸(メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等)との塩を挙げることができる。塩を形成する方法としては、式(1)の化合物と必要な酸または塩基とを適当な量比で溶媒、分散剤中で混合することや、他の塩の形より陽イオン交換または陰イオン交換を行うことによっても得られる。
また、本発明の化合物は式(1)で示される化合物の溶媒和物、例えば水和物、アルコール付加物等も含んでいる。
化合物(I)またはその医薬的に許容される塩は、WO02-16329(特許文献1)記載の方法により製造することができる。WO02-16329公報の記載内容は、本明細書の記載に含まれるものとする。また、化合物(I)の具体例としては、WO02-16329(特許文献1)記載の実施例1〜213が挙げられる。
化合物(I)またはその医薬的に許容される塩において、式(1)で表されるフェニルアラニン化合物として、R1がメチル基あるいはエチル基を表し、R2、R3、R4が、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換された低級アルキル基、置換された低級アルケニル基、置換された低級アルキニル基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルキル基で置換されたアミノ基、低級アルキル基で置換されたカルバモイル基のいずれかを表す(ここで、置換された低級アルキル基、置換された低級アルケニル基、置換された低級アルキニル基における置換基としては、アミノ基、低級アルキル基で置換されたアミノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基が挙げられる)化合物が好ましい。
化合物(I)またはその医薬的に許容される塩において、好適には、WO02-16329(特許文献1)記載の実施例1、108、162、169、122、66、91、99、89、75、147、148、202、201、196、193、198、197が挙げられる。これらを以下に示す。
【0018】
【化3】









【0019】
【化4】

















【0020】
【化5】

最適にはWO02-16329(特許文献1)記載の実施例196である。本化合物[以下、単に化合物(A)という]を下記に示す。








【0021】
【化6】

【0022】
本発明における「固体分散体」とは、水溶性高分子に薬物を非晶質状態で分散させたものをいう。このような形態をすることにより、本発明では、薬物の溶解度を向上させることができることを見出した。固体分散体化することにより、好適には、USP(米国薬局方)24記載のリン酸緩衝液(pH6.8)における溶解度が、薬物の溶解度の1.5倍以上、より好適には2倍以上を示すものが望ましい。ここで、溶解度は、例えば、USP24記載のリン酸緩衝液(pH6.8)500mLを37±0.5℃に保持しながら、ここに固体分散体として化合物(I)を20mg相当入れ、50rpmで60分後の薬物の溶出量を求めることにより決定することができる。
【0023】
本発明で用いられる水溶性高分子物質としては、水溶性であり、かつ化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を溶解または分散できるものであれば特に制限はなく、各種合成高分子および天然高分子が用いられる。これら水溶性高分子物質としては、セルロース類およびその誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボシキメチルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース);合成高分子(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリルコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、カルボキシルビニルポリマー);天然高分子及び糖類(例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天、ゼラチン、トラガント、キサンタンガム)等が好ましいものとして挙げられる。
水溶性高分子物質としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、特に、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがより好ましく用いられる。これら高分子物質は単独または混合して用いることができる。
【0024】
本発明の固体分散体または固体分散体医薬製剤における化合物(I)と水溶性高分子物質との割合は、前者の1重量部に対して後者が0.1〜100重量部であるのが好ましく、好適には0.25〜20重量部であり、さらに好適には0.5〜10重量部の範囲から選ばれる。
本発明の固体分散体は、例えば、溶媒法、溶融法、加熱加圧溶融混練法、混合粉砕法により調製できる。
溶媒法とは、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を、水溶性高分子物質と共に有機溶媒に溶解または分散させた後、有機溶媒を常法により除去する方法である。
有機溶媒に溶解または分散させる方法としては、
(i)化合物(I)またはその医薬的に許容される塩のみを有機溶媒に溶解または分散させ、この溶液を水溶性高分子物質に分散させる方法、および、
(ii)化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を、水溶性高分子物質と共に有機溶媒に溶解または分散させる方法が挙げられる。
【0025】
溶媒法に用いられる有機溶媒としては、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を溶解または分散するものであれば特に制限はない。このような有機溶媒としては、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、有機酸類(例えば、酢酸、プロピオン酸)、エステル類(例えば、酢酸エチル)、アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒の中で、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、それらの混合溶媒が好適である。更に好適には、ジクロロメタン、メタノール、エタノール及びそれらの混合溶媒が挙げられる。
また溶媒法に用いられる有機溶媒として、上記有機溶媒と水との混合溶媒も挙げられる。
【0026】
化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を水溶性高分子物質に分散かつ吸着させる方法として、具体的には、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を有機溶媒に溶解させ、さらに水溶性高分子物質を該有機溶媒に溶解または分散させ、この有機溶媒を常法により、減圧下または常圧下で留去する方法、または、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を有機溶媒に溶解させ、さらに水溶性高分子物質を該有機溶媒に溶解または分散させ、その混合液を賦形剤、崩壊剤等の助剤と共に、攪拌造粒装置、流動層造粒装置、スプレードライ装置、ボーレコンテナミキサー、V型混合装置等の装置を用いて、造粒または混合を行った後、有機溶媒を常法により、減圧下または常圧下で留去する方法が挙げられる。
有機溶媒の除去としては、例えば、減圧乾燥または加熱乾燥することにより行うことができる。処理圧力、処理温度、処理時間等の条件は、使用する化合物、水溶性高分子物質、有機溶媒等により異なるが、処理圧力としては、1mmHg〜常圧、処理温度としては、室温〜250℃、処理時間としては、数分〜数日の範囲内である。
【0027】
溶融法とは、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を加熱下で水溶性高分子物質に溶解または分散させた後、冷却する方法をいう。溶解または分散させる方法としては、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩、または、水溶性高分子物質の融点もしくは軟化点以上に加熱して撹拌する方法が挙げられる。この場合、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、トリアセチン)や界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン)を添加剤として添加することができる。
溶融法による固体分散体医薬製剤は、例えば加熱付き攪拌造粒装置を用いて製造される。
具体的には、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩と水溶性高分子物質との混合物を予め調製する。この混合物には必要に応じて、前述の可塑剤や界面活性剤等を添加してもよい。処理温度、処理時間等の条件は、使用する化合物、水溶性高分子物質、添加剤等により異なるが、処理温度としては、室温〜300℃、処理時間としては、数分〜十数時間の範囲内である。また、冷却温度としては、−100℃〜室温の範囲内である。
【0028】
加熱加圧溶融混練法とは、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩と水溶性高分子物質を加熱及び加圧下で混合する方法をいう。処理スクリュー回転数、処理温度、処理時間等の条件は、使用する化合物、水溶性高分子物質、添加剤等により異なるが、処理スクリュー回転数としては、10〜500rpm、処理温度としては、室温〜300℃、処理時間としては、数分〜十数時間の範囲内である。加熱加圧溶融混練法による固体分散体は、例えば加熱装置を備えた二軸エクストルーダー、混練機等を用いて製造される。具体的には、例えば以下のようにして製造される。
化合物(I)またはその医薬的に許容される塩と水溶性高分子物質及び必要に応じて前述の添加剤を予め混合する。これを粉体供給速度10〜200g〜g/分で供給する。処理スクリュー回転数50〜300rpm、処理温度25℃〜300℃で行う。このプラスチック様の固体分散体を、粉砕機を用いて粉砕し、固体分散体を得る。
混合粉砕法とは、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を水溶性高分子物質と共に混合した後、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩が非晶質状態となるように粉砕する方法をいう。
混合および粉砕は、混合機および粉砕機を用いて常法で行うことができる。ここで、粉砕は水溶性高分子と化合物(I)をカッターミル、ボールミル、ハンマーミル、乳鉢等により行うことが好ましい。
【0029】
本発明における固体分散体は、そのまま散剤、細粒剤、顆粒剤として使用することができるが、常法に従って、さらに製剤に加工する工程(例えば、混合工程、造粒工程、練合工程、打錠工程、カプセル充填工程、コーティング工程)を経て、錠剤やカプセル剤等の固体分散体医薬製剤にすることができる。ここで、混合工程とは、例えば、本発明の固体分散体を他の化合物と混合装置等によって混合する工程をいい、造粒工程とは、例えば、本発明の固体分散体を造粒混合装置等によって造粒する工程をいい、練合工程とは、例えば本発明の固体分散体を練合装置等によって練合する工程をいい、打錠工程とは、例えば、本発明の固体分散体を打錠装置等によって打錠する工程をいい、カプセル充填工程とは、例えば、本発明の固体分散体をカプセル充填装置等によってカプセル充填する工程をいい、コーティング工程とは、例えば、本発明の固体分散体にコーティング剤を用いてコーティング装置等によってコーティングする工程をいう。
【0030】
製剤化するにあたっては、必要に応じて、賦形剤(糖類(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、還元麦芽糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース)、デンプン類およびその誘導体(例えば、部分α化デンプン、デキストリン、プルラン、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン)、セルロース類(例えば、結晶セルロース、微結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、アミノ酸等)、着色剤、矯味剤(例えば、ショ糖、アスパルテーム、マンニトール、デキストラン、サッカリン、メントール、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、アマチャ、ウイキョウ、エタノール、果糖、キシリトール、グリチルリチン酸、精製白糖、L-グルタミン酸、シクロデキストリン)、崩壊剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、α化デンプン、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシルメチルスターチナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸カルシウム、酸化マグネシウム、ラウリル硫酸マグネシム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン)等の添加剤を加えることができる。
【0031】
本発明の固体分散体医薬製剤における、固体分散体を含む核成分は、固体分散体そのものの粒子であってもよいし、他の製剤化成分と共に造粒したものであってもよい。
核成分が固体分散体そのものであるときは、固体分散体を粉砕し整粒するのが好ましい。他の製剤化成分と共に造粒するものであるときは、例えば、撹拌造粒装置、流動層造粒装置、押し出し造粒装置、ボーレコンテナミキサー、V型混合装置、スプレードライ装置等を用いて、撹拌造粒、流動層造粒、押し出し造粒、噴霧乾燥(スプレードライ)造粒するのが好ましい。
【0032】
また、本発明固体分散体医薬製剤は、発泡剤を含有してもよく、本発明の固体分散体医薬製剤において、発泡剤を含有するものは好ましい。
本発明において発泡剤は、特に限定されるものでないが、通常、二酸化炭素源として作用する試剤と、二酸化炭素の放出を誘発する試剤とからなるのがよい。二酸化炭素源として作用する試剤としては、医薬として許容され得る炭酸のモノ又はジ塩基性塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属カーボネイト又はアルカリ金属ビカーボネイト;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属カーボネイト;炭酸グリシンナトリウム等が挙げられる。これら炭酸のモノ又はジ塩基性塩は単独で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。なかでも、炭酸水素ナトリウムが好ましい。また、二酸化炭素の放出を誘発する試剤としては、医薬として許容され得る有機酸並びにそれらの塩及び酸無水物、例えばコハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、クエン酸無水物、コハク酸無水物、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、シュウ酸、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上の混合物を使用してもよい。なかでも、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸が好ましく、特に酒石酸が好ましい。
本発明の固体分散体または固体分散体医薬製剤における化合物(A)と発泡剤との割合は、前者の1重量部に対して後者が0.001〜200重量部であるのが好ましく、好適には0.01〜1重量部であり、さらに好適には0.06〜50重量部の範囲から選ばれる。
また、二酸化炭素源として作用する試剤としての炭酸のモノまたはジ塩基性塩と有機酸並びにそれらの塩及び酸無水物との割合は前者の1重量部に対して後者が前者の1重量部に対して後者が0.01〜100重量部であるのが好ましく、好適には0.1〜50重量部であり、さらに好適には0.25〜25重量部の範囲から選ばれる。炭酸のモノまたはジ塩基性塩と有機酸並びにそれらの塩及び酸無水物の混合方法としてボーレコンテナミキサー、V型混合装置を用いて混合もしくは手振りにて混合するのが好ましい。
本発明の固体分散体医薬製剤では、固体分散体に発泡剤を添加し、打錠して医薬製剤としてもよく、発泡剤の添加方法として造粒時に原料及び製剤化成分と共に添加する方法及び造粒後に得られた顆粒に混合する方法が挙げられる。
造粒した顆粒と発泡剤を共に造粒するものであるときは、例えば、撹拌造粒装置、流動層造粒装置、押し出し造粒装置、スプレードライ等を用いて、撹拌造粒、流動層造粒、押し出し造粒、噴霧乾燥(スプレードライ)造粒することができる。造粒後に得られた顆粒を添加する場合にはボーレコンテナミキサー、V型混合装置、攪拌造粒及び流動層造粒を用いて混合するのが好ましい。
その後、次に述べるコーティング剤を施してもよい。
【0033】
本発明の固体分散体医薬製剤における、コーティング剤としては、当製剤分野で常用されているものであればいずれも使用でき、例えば、アクリル酸誘導体(例えば、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーS、メタアクリル酸コポリマーLD、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE)、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、オパドライ、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム)、ビニール誘導体(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート)、デンプン(デキストリン、プルラン)、天然高分子及び糖類(例えば、セラック、ゼラチン、寒天、アラビアゴム)が挙げられる。これらコーティング基剤は、1または2以上用いることができる。
好適には、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、オパドライ、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン、プルラン、ゼラチン、寒天、アラビアゴムが挙げられる。
【0034】
コーティングに際してはフィルム基材の造膜性を助け、新しい特徴を付与するために、例えば、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、トリアセチン)、または遮光剤(例えば酸化チタン、三二酸化鉄)を併用することもできる。
ここで、コーティングの量は固体分散体の溶出速度があまり変化しない程度の量であり、製剤の固形分被覆率が、例えば0.1〜20重量%、好適には0.5〜10重量%、更に好適には、1〜7重量%である。
【0035】
本発明における可溶化医薬製剤は、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩と溶解剤を含有する可溶化医薬製剤であるが、さらに、界面活性剤または医薬的に許容される油を含有してもよい。
可溶化医薬製剤における溶解剤としては、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類(例えば、ポリエチレングリコール600等)、クエン酸トリエチル、モノ脂肪酸グリセリン(例えば、モノカプリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン)、トリカプリリン、ポリソルベート80、ラウロマクロゴール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、グリセリン、オリーブ油、ソルビタンオレイン酸エステル、ソルビタンラウリン酸エステル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、中鎖脂肪酸トリグリセライド、オレイルアルコール、オレイン酸、カプリン酸、塩酸、乳酸が挙げられ、好適には、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール類、クエン酸トリエチル、モノカプリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンが挙げられる。
【0036】
ここで、可溶化医薬製剤における界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、イオン性界面活性剤及び疎水性界面活性剤などが使用できる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン型界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸、ポリオキシエチレンモノポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセオール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレングリコールポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレン水素化植物油)、アルキルグルコシド、アルキルマルトシド、アルキルチオグルコシド、ラウリルマクロゴルグリセリド、ポリグリセオール脂肪酸エステル、ショ糖エステル、ショ糖エーテル、グリセリド等が挙げられる。また、脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油、水素化植物油およびステロールからなる群の少なくとも1種と多価アルコールとの反応混合物も挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、胆汁酸塩、アミノ酸、アルキルアンモニウム塩、オリゴペプチドまたはポリペプチドの脂肪酸縮合物、リン脂質、リゾリン脂質等が挙げられる。
疎水性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、胆汁酸、アセチル化グリセロール脂肪酸エステル、乳酸エステル、プロピレングリコールジグリセリドが挙げられる。
好適には、ポリオキシエチレン型界面活性剤が挙げられ、さらに好適には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、60,100(HCO50、60、100)、ポリオキシエチレンモノ脂肪酸(例えば、ステアリン酸ポリオキシル40)、ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレングリコール(例えば、プルロニック、PEP101)が挙げられる。
【0037】
可溶化医薬製剤における医薬的に許容される油としては、ミリスチン酸、オレイン酸、大豆油、モノ脂肪酸ソルビタン(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、脂肪酸のグリセリンエステル(例えば、オレイン酸グリセリンエステル、カプリル酸グリセリンエステル、ラウリル酸グリセリンエステル)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30)が挙げられる。
好適には、炭素数6〜18の脂肪酸のグリセリンエステル(例えば、オレイン酸グリセリンエステル、カプリル酸グリセリンエステル、ラウリル酸グリセリンエステル)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30)が挙げられる。
【0038】
溶解剤単独でも可溶化効果を有するが、医薬的に許容される界面活性剤または油と組み合わせて用いるのが好ましい。
好適には、(i)ポリオキシエチレン型界面活性剤と、(ii)炭素数6〜18の脂肪酸のグリセリンエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルのいずれかの医薬的に許容される油とを組み合わせてなる可溶化医薬製剤が挙げられる。
さらに好適には、(i)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60と、(ii)オレイン酸グリセリンエステル、カプリル酸グリセリンエステル、ラウリル酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油30のいずれかの医薬的に許容される油とを組み合わせてなる可溶化医薬製剤が挙げられる。
【0039】
化合物(I)またはその医薬的に許容される塩、界面活性剤、溶解剤、医薬的に許容される油の各成分の割合は、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を1とした場合に、溶解剤は1〜100、界面活性剤は0.1〜20、医薬的に許容される油は0.01〜20の重量比の範囲であるのが好ましい。
可溶化医薬製剤の製造方法としては、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を溶解剤に攪拌機、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、超音波、超音波ホモジナイザーを用い分散、溶解させることにより製造する方法が挙げられる。界面活性剤、医薬的に許容される油を含有する場合には、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩、溶解剤の中に界面活性剤または医薬的に許容される油を添加、混合させることにより製造する方法が挙げられる。
可溶化医薬製剤は、液剤、エマルジョン、カプセルに充填されている製剤、賦形剤上に薬物を吸着させた製剤として投与することが好ましい。
【0040】
エマルジョンは、上述の液剤を適当な水性の希釈剤と混合するか又は該希釈で希釈して形成させる。 カプセルに充填されている製剤は、例えば、ゼラチンに前述の液剤を充填することが挙げられる。
本発明には、化合物(I)またはその医薬的に許容される塩を含有する製剤を、胃内で速やかに分解、溶解させることが可能な固体分散体もしくは固体分散体医薬製剤、または可溶化医薬製剤を含む。
本発明の固体分散体または固体分散体医薬製剤は、生物学的利用率等の薬物動態学的パラメーターを大幅に改善し、懸濁剤や通常錠剤よりも非常に優れた経口吸収性を示す。また、本発明の可溶化医薬製剤は、生物学的利用率等の薬物動態学的パラメーターを改善し、懸濁剤や通常錠剤よりも非常に優れた経口吸収性を示す。
本発明の固体分散体、固体分散体医薬製剤、可溶化医薬製剤につき、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、下記において、化合物(A)は、WO02-16329(特許文献1)の実施例196である。
【0041】
(実施例1)固体分散体(ポリビニルピロリドン 0.1倍量)
化合物(A) 15gとポリビニルピロリドン(コリドンK30、BASF)1.5gをジクロロメタン約230g、メタノール約57gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量42〜48mmH20、スプレー速度8.3g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
(実施例2)固体分散体(ポリビニルピロリドン 0.5倍量)
化合物(A) 15gとポリビニルピロリドン(コリドンK30、BASF)7.5g をジクロロメタン約227g、メタノール約56gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量40〜48mmH20、スプレー速度7.9g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
(実施例3)固体分散体(ポリビニルピロリドン 1倍量)
化合物(A) 10gとポリビニルピロリドン(コリドンK30、BASF)10g をジクロロメタン約226g、メタノール約58gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量38〜44mmH20、スプレー速度7.7g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
【0042】
(実施例4)固体分散体(ポリビニルピロリドン 5倍量)
化合物(A) 3gとポリビニルピロリドン(コリドンK30、BASF)15g をジクロロメタン約227g、メタノール約57gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量38〜46mmH20、スプレー速度8.2g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
(実施例5)固体分散体(メチルセルロース 1倍量)
化合物(A) 3gとメチルセルロース(メトローズSM4、信越化学工業)3gをジクロロメタン約220g、メタノール約55gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量36〜40mmH20、スプレー速度10g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
(実施例6)固体分散体(メチルセルロース 0.1倍量)
化合物(A) 30gとメチルセルロース(メトローズSM4、信越化学工業)3gをジクロロメタン約220g、メタノール約55gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量36〜40mmH20、スプレー速度10g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
【0043】
(実施例7)固体分散体(メチルセルロース 0.5倍量)
化合物(A) 15gとメチルセルロース(メトローズSM4、信越化学工業)7.5gをジクロロメタン約222g、メタノール約58gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量40mmH20、スプレー速度6g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
(実施例8)固体分散体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース 5倍量)
化合物(A) 3gとヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズTC-5E、信越化学工業)15gをジクロロメタン約218g、メタノール約56gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量36〜40mmH20、スプレー速度9g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
(実施例9)固体分散体(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート 5倍量)
化合物(A) 3gとヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP HP55、信越化学工業)15gをジクロロメタン約229g、メタノール約57gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量34〜38mmH20、スプレー速度8.1g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
【0044】
(実施例10)固体分散体(ポリエチレングリコール 5倍量)
化合物(A) 3gとポリエチレングリコール6000(PEG6000、日本油脂)15gをジクロロメタン約228g、メタノール約57gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液を入口温度80℃、熱風流量36〜44mmH20、スプレー速度8.2g/minでスプレードライヤーを用いて溶媒を留去させ、固体分散体とした。
(実施例11)固体分散体(ポリビニルピロリドン 5倍量)
化合物(A) 100gとポリビニルピロリドン(コリドンK30)500gをビニール袋に入れ、手振りで約200回混合した。この混合粉体をバレル温度80℃、スクリュー回転数192rpmに設定したニーダーに約19g/分の速度で定量供給し、固形物を得た。この固形物を粉砕機を用いて粉砕し、固体分散体とした。
(実施例12)固体分散体(メチルセルロース)
メチルセルロース(SM-4、信越化学工業)10gにジクロロメタン80g、メタノール120gを加え、よく混合させ溶解させた。この液26.8gの中に化合物(A)0.3gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液の中にクロスカルメロースナトリウム(Ac‐Di-sol、旭化成工業)0.3gを加え、振り混ぜた。これをロータリーエバボレーターで溶媒を留去させ、さらに乳鉢で粉砕し、固体分散体とした。
【0045】
(実施例13)固体分散体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5R、信越化成工業)10gにジクロロメタン80g、メタノール120gを加え、よく振り混ぜ溶解させた。この液36.7gの中に化合物(A) 0.3gを加えよく振り混ぜ溶解させた。この液の中にクロスカルメロースナトリウム0.3gを加え、振り混ぜた。これをロータリーエバボレーターで溶媒を留去させ、さらに乳鉢で粉砕し、固体分散体とした。
(実施例14) 固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 撹拌造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 55gにメタノール 205gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン 820gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 22gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。攪拌造粒装置(深江パウテック:LFS-2)の槽内に、部分α化デンプン(PCS PC-10:旭化成工業)150g、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol:旭化成工業)40g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH-11:信越化学工業)70g、結晶セルロース(セオラスKG-802:旭化成工業)100g、乳糖(200M:DMV)88gを仕込み、約80℃温水を循環させて攪拌し、混合および乾燥させた。その後、前述で調製したスプレー液1,000gを窒素気流下で噴霧させながら攪拌造粒装置で造粒し、噴霧終了後、減圧攪拌乾燥して粗顆粒を得た。また必要に応じて適宜、流動層乾燥機で追加乾燥した。得られた粗顆粒はスピードミル等の整粒機で整粒した。整粒された顆粒は0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングをして、固体分散体医薬製剤を得た。
【0046】
(実施例15)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 流動層造粒)
実施例14と同様にスプレー液を調製し、流動層造粒装置(FLO-1:フロイント産業)内にPC-10 188g、Ac-Di-Sol 50g、LH-11 63g、セオラスKG-802 125g、造粒乳糖(DCL-11:DMV)110gを仕込み、混合および乾燥後、スプレー液1,237gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒装置で乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒は、0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し、素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
(実施例16)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース ススプレードライ造粒)
ジクロロメタン 3.6kg、メタノール 0.9kg、メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 0.5kgを攪拌して溶解し、Ac-Di-Sol 116gを添加して分散し、更にジクロロメタン 2.4kg、メタノール0.6kgを追加で添加後、化合物(A) 200gを添加して、溶解および分散させた。ここで得られた溶液をスプレードライヤー(TCSD:日本車輌)にて、噴霧乾燥してスプレードライ粉末を得た。再度この粉体0.76kgをジクロロメタン 5.6kgおよびメタノール 1.4kgに溶解させ、スプレードライヤーで噴霧乾燥して、スプレードライ粉末が得られた。得られたスプレードライ粉末 82g、LH-11 50g、造粒乳糖(DCL-11:DMV)316g、結晶セルロース(アビセルPH-301:旭化成工業)50gをそれぞれ混合し、更にステアリン酸マグネシウム2.5gを添加して混合した粉体を、打錠し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
【0047】
(実施例17)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 撹拌造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 175gにメタノール 658gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン 2635gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 35gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。攪拌造粒装置(深江パウテック:LFS-2)の槽内に、PC-10 83g、Ac-Di-Sol 26g、LH-11 39g、セオラスKG-802 77g、乳糖200M 103gを仕込み、約80℃温水を循環させて攪拌し、混合および乾燥させた。その後、前述で調製したスプレー液1,100gを窒素気流下で噴霧させながら攪拌造粒装置で造粒し、噴霧終了後、減圧攪拌乾燥して粗顆粒を得た。また必要に応じて適宜流動層乾燥装置で追加乾燥した。得られた粗顆粒はスピードミル等の整粒機で整粒した。整粒された顆粒は0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングをして、固体分散体医薬製剤を得た。
【0048】
(実施例18)固体分散体医薬製剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース 撹拌造粒) ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC-5E:信越化学工業) 116gにメタノール 302gを入れてヒドロキシプロピルメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン 705gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 33gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。攪拌造粒装置内に、PCS PC-10 112g、Ac-Di-Sol 30g、LH-11 38g、セオラスKG-802 75g、乳糖200M 51gを仕込み、約80℃温水を循環させて攪拌し、混合および乾燥させた。その後、前述で調製したスプレー液525gを窒素気流下で噴霧させながら攪拌造粒装置で造粒し、噴霧終了後、減圧攪拌乾燥して粗顆粒を得た。また必要に応じて適宜、流動層乾燥機で追加乾燥した。得られた粗顆粒はスピードミル等の整粒機で整粒した。整粒された顆粒は0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングをして、固体分散体医薬製剤を得た。
【0049】
(実施例19)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 流動層造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業)312.5gにメタノール約1139gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン約4552.1gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 250.0gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。流動層造粒装置(FLO-1:フロイント産業)の槽内に、部分α化デンプン(PCS PC-10:旭化成工業)56.0g、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol:旭化成工業)44.8g、結晶セルロース(アビセルPH102:旭化成工業)84.0g、マンニトール(マンニットP:東和化成工業)22.4gを仕込み、吸気温度90℃で混合および乾燥後スプレーエアー圧0.15Mpa、スプレー速度30g/minでスプレー液3500gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒装置で乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒は、0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し、素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
【0050】
(実施例20)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 流動層造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 225.1gにメタノール約825.0gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン約3300.0gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 150.1gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。流動層造粒機(FLO-1:フロイント産業)内にPC-10 56.0g、Ac-Di-Sol 44.8g、アビセルPH102 84.0g、マンニットP 22.4gを仕込み、混合および乾燥後、スプレー液4200gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒機で乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒は、0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し、素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
(実施例21)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 流動層造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 198.0gにメタノール約728.2gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン約2906.7gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 132.0gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。流動層造粒機(FLO-1:フロイント産業)内にPC-10 70.0g、Ac-Di-Sol 44.8g、アビセルPH102 84.0g、造粒乳糖(DCL-11:DMV)47.3gを仕込み、混合および乾燥後、スプレー液3733.0gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒機で乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒は、0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し、素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
【0051】
(実施例22)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 流動層造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 150.0gにメタノール約550.0gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン約2200.0gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 100.0gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。流動層造粒機(FLO-1:フロイント産業)内にPC-10 140.0g、Ac-Di-Sol 44.8g、アビセルPH102 84.0g、DCL11 55.1gを仕込み、混合および乾燥後、スプレー液gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒機で乾燥して顆粒を得た。
得られた顆粒は、0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し、素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
(実施例23)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 流動層造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 112.5gにメタノール約412.5gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン約1650.0gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 75.0gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。流動層造粒機(FLO-1:フロイント産業)内にPC-10 140.0g、Ac-Di-Sol 44.8g、アビセルPH102 84.0g、DCL-11 57.4g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH11:信越化学工業)56.0gを仕込み、混合および乾燥後、スプレー液2100gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒機で乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒は、0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し、素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
【0052】
(実施例24)固体分散体医薬製剤(メチルセルロース 流動層造粒)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業) 150.0gにメタノール約555.0gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン約2220.0gを入れて、攪拌し溶解後、化合物(A) 75.0gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。流動層造粒機(FLO-1:フロイント産業)内にPC-10 140.0g、Ac-Di-Sol 44.8g、アビセルPH102 84.0g、DCL-11 57.4g、低置換度ヒドロキシプロピル
セルロース(LH11:信越化学工業)56.0を仕込み、混合および乾燥後、スプレー液2100gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒機で乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒は、0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加して打錠し、素錠を得た。また、得られた素錠はヒドロキシプロピルメチルセルロースにてフィルムコーティングして、固体分散体医薬製剤を得た。
(実施例25)可溶化医薬製剤
12N塩酸を2mLとり炭酸プロピレン(昭和電工)で20mL とした。この液6mL をとり、炭酸プロピレンで10mL とした。化合物(A)を0.3003gとり0.72mol/Lの塩酸入りの炭酸プロピレン1.514gで溶解させ、さらにポリエチレングリコール400 6.00gを加え、よく混合させ、可溶化医薬製剤を調製した。
【0053】
(実施例26)固体分散体医薬製剤(発泡製剤)
メチルセルロース(SM4:信越化学工業(株))216.0gにメタノール792.0gを入れてメチルセルロース全体を湿潤し、これにジクロロメタン3169.8gを入れて、攪拌し、溶解後、化合物(A) 144.0gを添加し、攪拌して溶解させた。ここで調製された溶液を後述のスプレー液とした。流動層造粒機(FLO-1:フロイント産業)の槽内に、部分α化デンプン(PCS PC-10:旭化成工業(株))56.0g、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol:旭化成工業(株))44.8g、結晶セルロース(アビセルPH-102:旭化成工業(株))84.0g、マンニトール(マンニットP:東和化成(株))22.4gを仕込み、吸気温度90℃で混合および乾燥後スプレーエアー圧0.15Mpa、スプレー速度30g/minでスプレー液4230gを噴霧して流動層造粒し、噴霧終了後、流動層造粒機で乾燥して顆粒を得た。得られた顆粒150gに炭酸水素ナトリウム及びL-酒石酸を質量比1:1にて手振りで混合したものを15g添加し、V型混合機(Mix well blender V-10 :徳寿工作所)にて7分間,30rpmにて混合した.さらに0.5%ステアリン酸マグネシウムを添加し、打錠を行い、発泡製剤である固体分散体医薬製剤を得た。
【0054】
比較例として、カルメロースナトリウム(CMCNa)懸濁液、および通常錠剤を挙げて説明する。
(比較例1) CMCNa懸濁液
カルメロースナトリウム(CMCNa)粉末2.0gを精密に量り、水を加え400mL とし0.5%のCMCNa溶液を調製した。
別に、化合物(A)0.2gを精密に量り、メノウ乳鉢でCMCNa溶液とよく混和させながら、100mLとし、CMCNa懸濁液を調製した。
(比較例2) 通常錠剤
化合物(A)0.3g、造粒乳糖(DCL-11:DMV)2.7g、結晶セルロース(アビセルPH-301:旭化成工業)1.35g、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol:旭化成工業)0.15g、ステアリン酸マグネシウム0.02gを量り、ボルテックミキサーで混合させた。この粉末を打錠し、通常錠剤を得た。
【0055】
生物学的利用率算出のために用いた静脈注射用液について説明する。
(参考例1) 静脈内投与用液
化合物(A)を0.1g精密に量り、ポリエチレングリコール400(日本油脂)約30mLに加え、超音波処理を行い、溶解させた後、ポリエチレングリコール400を加え50mL とし、静脈内投与用液を調製した。
(参考例2) 静脈内投与用液
化合物(A)を0.4g精密に量り、ポリエチレングリコール400(日本油脂)約80mLに加え、超音波処理を行い、溶解させた後、ポリエチレングリコール400を加え100mL とし、静脈内投与用液を調製した。
【0056】
本発明の固体分散体、固体分散体医薬製剤、および可溶医薬製剤の効果について試験例で説明する。
(試験例1)
実施例1〜11で得られた粉末を粉末X線測定装置にて結晶性の有無について評価を行った。粉末X線回折パターン測定における条件を下記に示す。
Target :Cu 全自動モノクロメータ
Voltage:45kV
Current:45mV
Slit :発散 1/2 °
:散乱 1/2 °
:受光 0.15mm
Scan Speed: 2°/ min
2θrange:5〜40°
実施例1〜11はいずれも同じ分析結果を示した。一例として、実施例1の固体分散体における粉末X線回折の分析結果を図1に示す。固体分散体中の化合物Aまたはその医薬的に許容される塩が結晶構造をとらないことは、図1から明らかである。
(試験例2) 固体分散体(メチルセルロース)
10mL用のシリンジのフランジ先端をパラフィルムで覆い、精製水5mLを注入した。このフランジ内に実施例12の固体分散体(メチルセルロース)0.07gを正確に量り、投入した。プランジャーをフランジ内にガスケット部まで挿入し、十分振とうさせ、経口用ゾンデを用い、絶食下、強制的にビーグル犬の胃内に10mg/body(1個体あたり化合物(A)量として10mgの意、以下同様)の量を投与し、投与後ゾンデ内を精製水30mL で胃内に洗い流した。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
【0057】
(試験例3) 固体分散体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)
10mL用のシリンジのフランジ先端をパラフィルムで覆い、精製水5mLを注入した。このフランジ内に実施例13の固体分散体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)0.1285gを正確に量り、投入した。プランジャーをフランジ内にガスケット部まで挿入し、十分振とうさせ、経口用ゾンデを用い、絶食下、強制的にビーグル犬の胃内に10mg/bodyの量を投与し、投与後ゾンデ内を精製水30mL で胃内に洗い流した。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
(試験例4) 固体分散体医薬製剤
実施例14〜18の各固体分散体医薬製剤を1錠、絶食下、直接ビーグル犬の口腔内に10mg/bodyの量を入れて嚥下させ、精製水20mL を与えた。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
【0058】
(試験例5) 可溶化医薬製剤
実施例25の可溶化医薬製剤0.26gを正確に量り、2号硬カプセルに充填し、これを絶食下で直接ビーグル犬の口腔内に入れて嚥下させ(10mg/body)、精製水20mL を与えた。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
(試験例6) 固体分散体医薬製剤
実施例19〜24の各固体分散体医薬製剤を1錠、絶食下、直接ビーグル犬の口腔内に40mg/bodyの量を入れて嚥下させ、精製水30mL を与えた。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
(試験例7) 固体分散体医薬製剤(発泡剤含有)
実施例26の固体分散体医薬製剤を1錠、絶食下、直接ビーグル犬の口腔内に40mg/bodyの量を入れて嚥下させ、精製水50mL を与えた。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
(比較試験例1)CMCNa懸濁液
比較例1のカルメロースナトリウム(CMCNa)懸濁液5mL を経口用ゾンデを用い、強制的にビーグル犬の胃内に10mg/bodyの量を投与し、投与後ゾンデ内を精製水30mL で胃内に洗い流した。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
【0059】
(比較試験例2)通常錠剤
比較例2の通常錠剤を1錠、絶食下、直接ビーグル犬の口腔内に10mg/bodyの量を入れて嚥下させ、精製水20mL を与えた。投与前、投与開始0.25、0.5、1、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
(参考試験例1)静脈内投与用液
参考例1の静脈内投与用液を絶食下、ビーグル犬の静脈内に10mg/bodyの量を投与し、投与前、投与開始2、10、30、60分、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
(参考試験例2)静脈内投与用液
参考例2の静脈内投与用液を絶食下、ビーグル犬の静脈内に40mg/bodyの量を投与し、投与前、投与開始2、10、30、60分、2、4、6、8、24時間後の血漿サンプルを採取した。
【0060】
(i)本発明の固体分散体である実施例12〜13、可溶化医薬製剤である実施例25、および比較例1、2を用いた場合、(ii) 本発明の固体分散体医薬製剤である実施例14〜18および比較例1、2を用いた場合、(iii) 本発明の固体分散体医薬製剤である実施例19〜24を用いた場合、(iv)本発明の固体分散体医薬製剤である実施例26を用いた場合における、各薬物動態学的パラメーター(Cmax, Tmax, AUC, BA)を表1、表2、表3並びに表4に示す。
(i) 本発明の固体分散体である実施例12〜13、可溶化医薬製剤である実施例25、および比較例1、2を用いた場合、(ii) 本発明の固体分散体医薬製剤である実施例14〜18および比較例1、2を用いた場合、(iii) 本発明の固体分散体医薬製剤である実施例19〜24を用いた場合における、各薬物動態学的パラメーター(Cmax, Tmax, AUC, BA)を表1、表2並びに表3に示す。
ここで、Cmaxは、各薬物の最高血中濃度を示し、Tmaxは最高血中濃度に到達するまでの時間を示し、AUCは、投与開始から8時間経過後までの各薬物の血中濃度曲線下面積を示し、BAは、生物学的利用利用率を示す。
【0061】
【表1】






















【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
表1、表2、表3及び表4の薬物動態学的パラメーターから明らかなように、本発明の固体分散体および固体分散体医薬製剤は、比較例1のCMCNa懸濁剤および比較例2の通常錠剤よりも非常に優れた経口吸収性を有していることがわかる。
また、本発明の可溶化医薬製剤も、比較例1のCMCNa懸濁剤および比較例2の通常錠剤よりも優れた経口吸収性を有していることがわかる。
【0066】
本発明により、難溶性薬物である化合物(I)またはその医薬的に許容される塩の溶解性および経口吸収性が高い固体分散体医薬製剤または固体分散体医薬製剤、および可溶化医薬製剤が提供される。本発明の固体分散体医薬製剤または固体分散体医薬製剤、および可溶化医薬製剤はα4インテグリン阻害作用を有し、α4インテグリン依存性の接着過程が病態に関与する炎症性疾患、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、シェーグレン症候群、喘息、乾せん、アレルギー、糖尿病、心臓血管性疾患、動脈硬化症、再狭窄、腫瘍増殖、腫瘍転移、移植拒絶いずれかの治療剤または予防剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1の粉末X線回折のチャートを示す説明図である。
【図2】実施例12および13の固体分散体、実施例25の可溶化医薬製剤、比較例1で得られた懸濁液、並びに比較例2で得られた通常錠剤を、経口投与ビーグル犬に投与したときの、化合物Aの血漿中濃度推移を示す説明図である。
【図3】実施例14〜18の固体分散体医薬製剤、比較例1で得られた懸濁液、並びに比較例2で得られた通常錠剤を、経口投与ビーグル犬に投与したときの、化合物Aの血漿中濃度推移を示す説明図である。
【図4】実施例19〜24の固体分散体医薬製剤を、経口投与ビーグル犬に投与したときの、化合物Aの血漿中濃度推移を示す説明図である。
【図5】実施例26の固体分散体医薬製剤を、経口投与ビーグル犬に投与したときの、化合物Aの血漿中濃度推移を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

[式中、Aは下記式(2)、(3)、(3−1)又は(3−2)で表される基のいずれかを表し、
【化2】

(式中Armは酸素原子、硫黄原子または窒素原子より選ばれるヘテロ原子を0、1、2、3または4個含んだ環状アルキル基または芳香環である。式(3-2)中の実線と点線の複合線は、単結合、または二重結合をあらわす。また、U、V、XはC(=O)、S(=O)2、C(-R5)(-R6)、C(=C(R5)(R6))、C(=S)、S(=O)、P(=O)(-OH)、P(-H)(=O)のいずれかを表し、WはC(-R7)、窒素原子のいずれかを表し、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、置換された低級アルキル基、低級アルケニル基、置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換された低級アルキニル基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルコキシ基および低級アルキルチオ基、アリール基で置換された低級アルコキシ基および低級アルキルチオ基、ヘテロアリール基で置換された低級アルコキシ基および低級アルキルチオ基、環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでも良い)オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキルチオ基、ハロゲノ低級アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、置換または無置換アミノ基、カルボキシル基、低級アルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、低級アルカノイル基、アロイル基、低級アルキルスルホニル基、置換または無置換スルファモイル基、アンモニウム基のいずれかを表し、また、R5及びR6は結合して環を形成してもよく、場合により、環中に1または2個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてよく、
Bはヒドロキシル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシルアミノ基のいずれかを表し、
Eは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基のいずれかを表し、
Dは低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、低級アルコキシ基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルコキシ基、アリール基で置換された低級アルコキシ基、ヘテロアリール基で置換された低級アルコキシ基、環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでも良い)オキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルケニル基、ニトロ基、シアノ基、置換または無置換アミノ基、カルボキシル基、低級アルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、低級アルカノイル基、アロイル基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基、置換または無置換スルファモイル基のいずれかを表す。
また、E及びDは結合して環を形成してもよく、場合により、環中に1または2個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよい。
Tは原子間結合、C(=O)、C(=S)、S(=O)、S(=O)2、N(H)-C(=O)、N(H)-C(=S)のいずれかを表し、
J及びJ'はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルキルオキシ基、ニトロ基のいずれかを表す。]
で表されるフェニルアラニン化合物またはその医薬的に許容される塩が非晶質状態で水溶性高分子物質中に分散されていることを特徴とする固体分散体。
【請求項2】
水溶性高分子物質が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボシキメチルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースから選ばれるセルロース類又はその誘導体;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリルコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、カルボキシルビニルポリマーから選ばれる合成高分子;アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天、ゼラチン、トラガント、キサンタンガムから選ばれる天然高分子または糖類から選ばれる1以上の高分子物質である請求項1記載の固体分散体。
【請求項3】
水溶性高分子物質が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンから選ばれる1以上の高分子物質である請求項1記載の固体分散体。
【請求項4】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩と水溶性高分子物質との重量比が、1:0.1〜1:100である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項5】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩と水溶性高分子物質との重量比が、1:0.25〜1:20である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項6】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩と水溶性高分子物質との重量比が、1:0.5〜1:10である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項7】
式(1)で表されるフェニルアラニン化合物またはその医薬的に許容される塩が、
式(1)において、
R1がメチル基あるいはエチル基を表し、
R2、R3、R4が、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換された低級アルキル基、置換された低級アルケニル基、置換された低級アルキニル基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルキル基で置換されたアミノ基、低級アルキル基で置換されたカルバモイル基のいずれかを表す(ここで、置換された低級アルキル基、置換された低級アルケニル基、置換された低級アルキニル基、における置換基としては、アミノ基、低級アルキル基で置換されたアミノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、シアノ基、低級アルキルチオ基、低級アルキルスルホニル基が挙げられる)、
化合物またはその医薬的に許容される塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体分散体。
【請求項8】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩が、式(A)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩である請求項1〜6のいずれか1項に記載の固体分散体。
【化3】

【請求項9】
請求項1〜8記載のいずれか1項記載の固体分散体が、製剤加工されてなる固体分散体医薬製剤。
【請求項10】
請求項1〜8記載のいずれか1項記載の固体分散体と発泡剤を含む固体分散体医薬製剤。
【請求項11】
請求項1〜8記載のいずれか1項記載の固体分散体を含む核成分をコーティング剤で被覆してなる固体分散体医薬製剤。
【請求項12】
コーティング剤が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、オパドライ、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン、プルラン、ゼラチン、寒天及びアラビアゴムから選ばれる1以上のコーティング剤である請求項11記載の固体分散体医薬製剤。
【請求項13】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を、水溶性高分子物質と共に有機溶媒に溶解または分散させた後、有機溶媒を除去することを特徴とする固体分散体の製造方法。
【請求項14】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を、加熱下で水溶性高分子物質に溶解または分散させた後、冷却することを特徴とする固体分散体の製造方法。
【請求項15】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を、加熱及び加圧下で水溶性高分子物質に溶解または分散させた後、冷却することを特徴とする固体分散体の製造方法。
【請求項16】
式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を、水溶性高分子物質と共に混合した後、粉砕することを特徴とする固体分散体の製造方法。
【請求項17】
有機溶媒が、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類から選ばれる1以上の有機溶媒である請求項13記載の固体分散体の製造方法。
【請求項18】
請求項1記載の式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩および溶解剤を含有することを特徴とする可溶化医薬製剤。
【請求項19】
請求項1記載の式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩、溶解剤、および界面活性剤を含有することを特徴とする可溶化医薬製剤。
【請求項20】
医薬的に許容される油を含有する請求項18または19記載の可溶化医薬製剤。
【請求項21】
溶解剤が、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、モノカプリル酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンから選ばれる請求項18〜20のいずれか1項記載の可溶化医薬製剤。
【請求項22】
界面活性剤が、ポリオキシエチレン型界面活性剤である請求項19または20記載の可溶化医薬製剤。
【請求項23】
医薬的に許容される油が、炭素数6〜18の脂肪酸のグリセリンエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる請求項20記載の可溶化医薬製剤。
【請求項24】
界面活性剤が、ポリオキシエチレン型界面活性剤であり、医薬的に許容される油が、炭素数6〜18の脂肪酸のグリセリンエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルのいずれかである請求項20記載の可溶化医薬製剤。
【請求項25】
請求項1記載の式(1)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩が、請求項8記載の式(A)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩である請求項18〜24のいずれか1項記載の可溶化医薬製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【国際公開番号】WO2005/046696
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515473(P2005−515473)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016942
【国際出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】