説明

フェライト磁石粉末、焼結磁石、ボンド磁石、磁気記録媒体

組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表されるフェライト磁石粉末において、0.05≦x≦0.80、1.5≦a≦2.2、12≦b≦17とする。このように、W型フェライトにおけるFe2+サイトの一部を、一定の範囲内でZn等のM元素で置換することで、高い飽和磁化4πIsが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はハードフェライト材料、特に六方晶W型フェライト磁石の磁気特性を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
従来、SrO・6Feに代表されるマグネトプランバイト型六方晶フェライト、つまりM型フェライトがフェライト焼結磁石の主流をなしてきた。このM型フェライト磁石については、フェライト結晶粒径を単磁区粒径に近づけること、フェライト結晶粒を磁気異方性方向に揃えることおよび焼結体を高密度化することを主眼に高性能化の努力が続けられてきた。その努力の結果、M型フェライト磁石の特性はその上限に近づいており、飛躍的な磁気特性の向上を望むのは難しい状況にある。
M型フェライト磁石を凌駕する磁気特性を示す可能性をもつフェライト磁石として、W型のフェライト磁石が知られている。W型フェライト磁石はM型フェライト磁石より飽和磁化(4πIs)が10%程度高く、異方性磁界が同程度である。特表2000−501893号公報には、SrO・2(FeO)・n(Fe)であり、nが7.2〜7.7を満足する組成からなり、焼結体の平均結晶粒径が2μm以下、(BH)maxが5MGOe以上のW型フェライト磁石が開示されている。このW型フェライト磁石は、1)SrOとFeを所要のモル比で混合する、2)原料粉末にCを添加する、3)仮焼する、4)仮焼後にCaO、SiO、Cをそれぞれ添加する、5)平均粒径0.06μm以下に粉砕する、6)得られた粉砕粉を磁場中で成形する、7)非酸化性雰囲気中で焼結する、の各工程を経て製造されることが記載されている。
また、特開2001−85210号公報では、従来のM型フェライトよりも優れた磁気特性をもつフェライト系焼結磁石を得るために、W型フェライト相に、マグネタイト相の一種または二種を混合させた複合材料で焼結磁石を構成することを開示している。
上記した特表2000−501893号公報では、その実施例で飽和磁化4πIsが5.0kGのフェライト磁石を得ることができることが示されている。しかしながら、より高い飽和磁化4πIsを示すフェライト磁石が求められている。
一方、上記した特開2001−85210号公報では、その実施例で5.22kG、5.12kG、5.06kGという高い残留磁束密度Brを示すフェライト磁石を得ることができることが示されている。ここで、特開2001−85210号公報では飽和磁化4πIsに関する直接の記載はないが、一般的に、残留磁束密度Brは、「残留磁束密度Br=飽和磁化4πIs×配向度×密度」という式で算出される(なお、本発明において、飽和磁化4πIsは、この式に基づいて算出することを予め注記する)。よって、特開2001−85210号公報の残留磁束密度Brの値から換算すると、飽和磁化4πIsについては5.44kG以上の値が得られているものと推察される。しかしながら、特開2001−85210号公報において高い残留磁束密度Brが得られているのは、W型フェライト相と、マグネタイト相(飽和磁化4πIs=6.0kG)との混相のものである。マグネタイト相がソフト磁性相であることを鑑みると、特開2001−85210号公報に記載の手法によれば、BH曲線における減磁曲線の角型性に悪影響を及ぼしてしまう。磁石では、角型性も重要な要素であり、残留磁束密度Brおよび飽和磁化4πIsの値が向上したとしても、角型性が低いものは磁石としての実際に発揮できる特性は低い。
したがって本発明は、磁石に求められる角型性を損なうことなく、高い飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを示すハードフェライト材料等を提供することを課題とする。
【発明の開示】
かかる目的のもと、本発明者は従来よりも高い飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを示すハードフェライト材料を得るために様々な検討を行った。その結果、W型フェライトにおけるFe2+サイトの一部を、一定の範囲内でZn等の特定元素で置換することが、角型性を損なうことなく、高い飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを得るために極めて有効であることを知見した。すなわち、本発明は、組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表されるフェライト磁石粉末であって、0.05≦x≦0.80、1.5≦a≦2.2、12≦b≦17であることを特徴とするフェライト磁石粉末である。本発明のフェライト磁石粉末において、X線回折により同定される結晶相はW相を主相とする。ここで、本発明において、X線回折強度から算定されるW相のモル比が50%以上のときに、W相が主相であると称する。本発明のフェライト磁石粉末によれば、W相を90%以上、さらにはW相を単相とすることも可能である。なお、W相を単相とするとは、W相のモル比をほぼ100%とすることである。
上述した組成式において、xについては0.1≦x≦0.70であることが望ましい。またaについては1.7≦a≦2.2、bについては14≦b≦17であることが望ましい。
また、MとしてZnを選択することが磁気特性の観点から望ましい。
本発明のフェライト磁石粉末によれば、飽和磁化が5.0kG以上、さらには5.1kG以上という優れた特性を有する。
さらに本発明は、組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表され、0.05≦x≦0.80、1.5≦a≦2.2、12≦b≦17であることを特徴とする焼結磁石を提供する。
さらにまた、本発明は、A元素(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素)とFe2+およびFe3+とを含む六方晶W型フェライトをモル比で50%以上含む焼結磁石であって、六方晶W型フェライトのFe2+サイトの一部がM元素(MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で置換されていることを特徴とする焼結磁石を提供する。これらの焼結磁石は、飽和磁化が5.0kG以上、さらには5.1kG以上という優れた特性を示す。
本発明による焼結磁石によれば、飽和磁化を5.0kG以上かつ角型性を80%以上とすることができる。
また本発明による焼結磁石によれば、飽和磁化を5.0kG以上かつ残留磁束密度を4.2kG以上とすることができる。
本発明の焼結磁石において、M元素はZnであることが望ましい。
また本発明の焼結磁石において、A元素はSrであることが望ましく、SrおよびBaを併用してもよい。
また、本発明は、組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表され、0.05≦x≦0.80、1.5≦a≦2.2、12≦b≦17であるフェライト磁石粉末と、このフェライト磁石粉末を分散、保持する樹脂相と、を備えたことを特徴とするボンド磁石を提供する。
さらにまた、本発明は、基体と、この基体上に形成される磁性層とを備えた磁気記録媒体を提供する。ここで、磁気記録媒体としては、磁気ヘッド、フレキシブルディスク等の薄膜型の磁気記録媒体、磁気テープ等の塗布型の磁気記録媒体が広く包含される。本発明では、この磁性層を組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表されるフェライト構造を含むものとし、かつ組成式中、0.05≦x≦0.80、1.5≦a≦2.2、12≦b≦17の範囲で設定する。本発明の磁気記録媒体では、この磁性層の飽和磁化を5.2kG以上にすることができる。
本発明の磁気記録媒体において、MとしてZnを選択し、磁性層の飽和磁化を5.2kG以上かつ残留磁束密度を4.5kG以上とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の焼結磁石の製造方法を示すフローチャート、第2図は第1実施例で得られた焼結体の組成、磁気特性を示す図表、第3図はZnの置換割合と飽和磁化4πIsとの関係を示すグラフ、第4図はZnの置換割合と残留磁束密度Brとの関係を示すグラフ、第5図(a)はx=0のときのX線回折結果を示すグラフ、第5図(b)はx=0.26のときのX線回折結果を示すグラフ、第6図(a)はx=0.51のときのX線回折結果を示すグラフ、第6図(b)はx=0.74のときのX線回折結果を示すグラフ、第7図は試料No.1、試料No.4について蛍光X線定量分析法に基づき定量分析を行った結果を示す図表、第8図(a)は試料No.4の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真、第8図(b)は試料No.6の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真、第8図(c)は試料No.8の粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真、第9図は第2実施例で得られた焼結体の組成、磁気特性を示す図表、第10図は第3実施例で得られた焼結体の組成、磁気特性を示す図表である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明のフェライト磁石粉末について詳細に説明する。
W型フェライトとして、Zn−W型フェライト、Fe−W型のフェライトがある。Znをその組成に含むZn−W型フェライトは、Fe−W型のフェライトよりも高い残留磁束密度Brを示す。また、Zn−W型フェライトは大気中で焼成が可能であるため、量産しやすいという利点がある。その一方で、Zn−W型フェライトは異方性磁界が低いために、保磁力Hcjが低いという問題がある。この問題を解消し、高特性のW型フェライトを得るために、本発明では、Fe2+をその組成に含むFe−W型のフェライトのFe2+サイトの一部をZn等のM元素で置換することを提案する。Fe−W型のフェライトのFe2+サイトの一部をZn等のM元素で置換することにより、磁気特性が高い、特に高い飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを示す新規なW型フェライトを得ることができる。
ここで、本発明では、W相のモル比が50%以上のときに、W相が主相であると称する。磁気特性の観点から、W相のモル比は90%以上がよく、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、さらに好ましくはほぼ100%(W単相)である。本願におけるモル比は、W型フェライト、M型フェライト、ヘマタイト、スピネルそれぞれの粉末試料を所定比率で混合し、それらのX線回折強度から比較算定することにより算出するものとする(後述する実施例でも同様)。
本発明者は、従来のW単相(またはW相を主相)よりも高い磁気特性を得るために様々な検討を行った。その結果、以下の式(1)に示すように、Fe2+サイトの一部をZn等のM元素で置換することが、極めて有効であることを知見したのである。こうした置換を行うことで、W相を単相(またはW相を主相)としつつ、高い飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを兼備したW型フェライトを得ることができる。
AFe2+a(1−x)axFe3+27・・・式(1)
式(1)中、
0.05≦x≦0.80、
1.5≦a≦2.2、
12≦b≦17である。
また式(1)中、Aは、Sr、BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素である。
Aとしては、SrおよびBaの少なくとも1種が好ましく、磁気特性の観点からSrが特に好ましい。また、SrおよびBaを併用することが、残留磁束密度Brを向上させる上で有効である。なお、上記式(1)においてa(1−x)、axおよびbはそれぞれモル比を表す。
次に、式(1)中におけるx、aおよびbの限定理由を説明する。
Fe2+サイトに対するZn等のM元素の置換量を示すxは、0.05≦x≦0.80の範囲とする。この範囲でFe2+サイトの一部をZn等のM元素で置換することにより、飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを向上させることができる。xが0.05未満では、置換による効果を十分に享受することができない。一方、置換量が増えるにつれて徐々に飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brが向上するが、飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brはともにxが0.5近辺でピーク値を示し、xが0.80を超えると残留磁束密度BrがM元素置換前とほぼ同等の値を示す。よって、xは、0.05≦x≦0.80の範囲とする。xの望ましい範囲は0.10≦x≦0.70、より望ましい範囲は0.30≦x≦0.70である。
上記xとともに、Fe2+サイトに対するM元素置換量を左右するaは、1.5≦a≦2.2の範囲とする。aが1.5未満になると、飽和磁化4πIsがW相よりも低いM相、Fe(ヘマタイト)相が生成して、飽和磁化4πIsが低下してしまう。一方、aが2.2を超えると、スピネル相が生成して、保磁力Hcjが低下してしまう。よって、aは、1.5≦a≦2.2の範囲とする。aの望ましい範囲は1.7≦a≦2.2、より望ましくは1.8≦a≦2.1、より一層望ましい範囲は1.9≦a≦2.1である。
Fe3+の割合を示すbは、12≦b≦17の範囲とする。bが12未満になると、スピネル相が生成して保磁力Hcjが低下する。一方、bが17を超えると、M相、Fe(ヘマタイト)相が生成して、飽和磁化4πIsが低下してしまう。よって、bは、12≦b≦17の範囲とする。bの望ましい範囲は14≦b≦17、より望ましくは15≦b≦17、より一層望ましい範囲は15.5≦b≦17である。
フェライト磁石粉末の組成は、蛍光X線定量分析などにより測定することができる。また、本発明は、A元素(Sr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素)、Fe、M元素(Zn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)以外の元素の含有を排除するものではない。これらの元素の他、例えばSi、Ca等の元素を含有していてもよい。
以上、本発明のフェライト磁石粉末について詳述したが、本発明のフェライト磁石粉末はボンド磁石、焼結磁石のいずれとしても用いることができる。よって、上述した本発明のフェライト磁石粉末としては、仮焼粉末、仮焼および本焼成を経た後に粉砕された粉末、仮焼後に粉砕した後、熱処理された粉末、のいずれの形態も含まれる。
本発明のフェライト磁石粉末をボンド磁石とする場合には、その平均粒径を0.1〜5μmとすることが望ましい。ボンド磁石用粉末のより望ましい平均粒径は0.1〜2μm、さらに望ましい平均粒径は、0.1〜1μmである。一方、本発明のフェライト磁石粉末を焼結磁石とする場合には、その平均粒径を0.1〜2μmとすることが望ましい。焼結磁石用粉末のより望ましい平均粒径は0.1〜1μm、さらに望ましい平均粒径は、0.1〜0.8μmである。詳しくは後述するが、本発明のフェライト磁石粉末を用いて焼結磁石を作製した場合には、5.1kG以上の飽和磁化4πIsおよび4.5kG以上の残留磁束密度Brを得ることができる。このように、本発明のフェライト磁石粉末は従来よりも高い残留磁束密度Brを有するため、このフェライト磁石粉末を応用することにより、一般に次に述べるような効果が得られ、優れた応用製品を得ることができる。すなわち、従来のフェライト製品と同一形状であれば、磁石から発生する残留磁束密度Brを増やすことができるため、モータであれば高トルク化を実現でき、スピーカーやヘッドホンであれば磁気回路の強化により、リニアリティーのよい音質が得られるなど応用製品の高性能化に寄与できる。また、従来と同じ機能でよいとすれば、磁石の大きさ(厚み)を小さく(薄く)でき、小型軽量化(薄型化)に寄与できる。
次に、第1図を用いて本発明の焼結磁石の製造方法について説明する。本発明の焼結磁石の製造方法は、配合工程(ステップS101)、仮焼工程(ステップS103)、解砕工程(ステップS105)、粉砕工程(ステップS107)、磁場成形工程(ステップS109)、熱処理工程(ステップS111)、本焼成工程(ステップS113)を含む。Fe2+は大気中ではFe3+になりやすいため、本発明の焼結磁石の製造方法では、Fe2+を安定制御するために熱処理温度、焼成雰囲気等を制御している。以下、各工程について説明する。
<配合工程(ステップS101)>
まず、Fe(ヘマタイト)粉末およびZnO粉末を準備する。また、本発明において、A元素としてSrを選択した場合にはSrCO粉末をさらに準備する。そして、SrCO粉末、Fe(ヘマタイト)粉末、ZnO粉末を、その主組成が上記した式(1)になるように秤量する。秤量後、湿式アトライタ等で1〜3時間混合・粉砕する。
<仮焼工程(ステップS103)>
次いで、配合工程(ステップS101)で得られた混合粉末材料を1100〜1350℃で仮焼する。この仮焼を窒素ガスやアルゴンガスなどの非酸化性雰囲気中で行うことにより、Fe(ヘマタイト)粉末中のFe3+が還元されてW型フェライトを構成するFe2+が発生し、W型フェライトが構成される。但し、この段階でFe2+の量を十分に確保できなければ、W相の他にM相またはヘマタイト相が存在することになる。なお、W単相のフェライトを得るためには、酸素分圧を調整することが有効である。酸素分圧を下げると、Fe3+が還元されてFe2+が生成するためである。
<解砕工程(ステップS105)>
仮焼体は一般に顆粒状なので、これを解砕することが好ましい。解砕工程(ステップS105)では、振動ミル等を用い、平均粒径が0.5〜10μmになるまで解砕する。
<粉砕工程(ステップS107)>
続く、粉砕工程(ステップS107)では、解砕粉末をアトライタやボールミル、或いはジェットミルなどによって、湿式或いは乾式粉砕して1μm以下、好ましくは0.1〜0.8μmに粉砕する。また、この段階で、還元効果のあるカーボン粉末を添加することが、W型フェライトを単相に近い状態(または単相)で生成させる上で有効である。なお、保磁力Hcjの向上や結晶粒径の調整のために、粉砕に先立ってCaCOとSiO、或いはさらにAlやCr等の粉末を添加してもよい。
<磁場成形工程(ステップS109)>
粉砕後、湿式または乾式で成形を行う。配向度を高くするためには、湿式成形を行うことが好ましいため、以下では湿式成形を行う場合について説明する。
湿式成形を採用する場合は、湿式粉砕後のスラリーを濃縮して湿式成形用スラリーを調製する。濃縮は、遠心分離やフィルタープレス等によって行えばよい。この際、フェライト磁石粉末が湿式成形用スラリー中の30〜80wt%を占めることが望ましい。また、分散媒としての水には、グルコン酸(塩)、ソルビトール等の界面活性剤を添加することが望ましい。次いで、湿式成形用スラリーを用いて磁場成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5ton/cm程度、印加磁場は5〜15kOe程度とすればよい。なお、分散媒は水に限らず、非水系のものでもよい。非水系の分散媒を用いる場合には、トルエンやキシレン等の有機溶媒を用いることができる。非水系の分散媒として、トルエンまたはキシレンを用いる場合には、オレイン酸等の界面活性剤を添加することが望ましい。
<熱処理工程(ステップS111)>
本工程では、成形体を100〜450℃、より好ましくは200〜350℃の低温で、1〜4時間保持する熱処理を行う。この熱処理を大気中で行うことにより、Fe2+の一部が酸化されてFe3+になる。つまり、本工程では、Fe2+からFe3+への反応をある程度進行させることにより、Fe2+量を所定量に制御するのである。また、本工程において、分散媒が除去される。
<本焼成工程(ステップS113)>
続く本焼成工程(ステップS113)では、成形体を1100〜1270℃、より好ましくは1160〜1240℃の温度で0.5〜3時間、焼成する。焼成雰囲気は、仮焼工程(ステップS103)と同様の理由により、非酸化性雰囲気中とする。
以上の工程を経ることにより、本発明の焼結磁石を得ることができる。Feサイトの一部をZn等のM元素で置換したことを特徴とする本発明の焼結磁石によれば、5.0kG以上、さらには5.1kG以上、より望ましくは5.2kG以上の飽和磁化4πIsを得ることができる。また、飽和磁化4πIsと残留磁束密度Brは密接に関係しているため、飽和磁化4πIsの向上に伴い、残留磁束密度Brも4.5kG以上、さらには4.6kG以上、より望ましくは4.7kG以上まで向上する。また、以上の工程を経ることで、W相を主相とする焼結磁石、さらにはW相を単相とする焼結磁石を得ることができる。
以上、焼結磁石の製造方法について詳述したが、本発明のフェライト磁石粉末を用いることで、高特性のボンド磁石を得ることもできる。以下、ボンド磁石の製造方法について述べる。ボンド磁石を製造する際にも、上述した要領で配合工程(ステップS101)、仮焼工程(ステップS103)、解砕工程(ステップS105)、粉砕工程(ステップS107)を行う。このようにして得られた仮焼体は、W相を主相とするか、もしくはW相を単相とする。そして、このフェライト磁石粉末を樹脂、金属、ゴム等の各種バインダと混練し、磁場中または無磁場中で成形する。バインダとしては、NBRゴム、塩素化ポリエチレン、ポリアミド樹脂が好ましい。成形後、硬化を行なってボンド磁石とする。なお、フェライト磁石粉末をバインダと混練する前に、熱処理を施すことが望ましい。
以上、本発明のフェライト磁石粉末、焼結磁石およびボンド磁石について詳述したが、本発明のフェライト磁石粉末を用いたボンド磁石、焼結磁石は所定の形状に加工され、以下に示すような幅広い用途に使用される。例えば、フュエールポンプ用、パワーウインド用、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータとして用いることができる。また、FDDスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTRカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジカセ等キャプスタン用、CD,LD,MDスピンドル用、CD,LD,MDローディング用、CD,LD光ピックアップ用等のOA、AV機器用モータとして用いることができる。また、エアコンコンプレッサー用、冷蔵庫コンプレッサー用、電動工具駆動用、扇風機用、電子レンジファン用、電子レンジプレート回転用、ミキサ駆動用、ドライヤーファン用、シェーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータとしても用いることができる。さらにまた、ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モータとして用いることも可能である。その他の用途としては、オートバイ用発電器、スピーカー・ヘッドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセンサ、マグネットラッチ等に好適に使用される。
本発明には、磁性層を有する磁気記録媒体も包含される。この磁性層は、上述した式(1)で表わされるW型のフェライト相を含む。磁性層の形成には、例えば蒸着法、スパッタ法を用いることができる。スパッタ法で磁性層を形成する場合には、例えば上述した式(1)の組成を有する焼結磁石をターゲットとして用いることもできる。また、塗布型の磁気記録媒体を作製する際には、上述した式(1)で表わされるフェライト磁石粉末をバインダと混練して塗料化し、これを樹脂等からなる基体に塗布し硬化することにより磁性層を形成すればよい。なお、磁気記録媒体としては、磁気ヘッド、フレキシブルディスク、磁気テープ等が挙げられる。
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
〔第1実施例〕
M元素としてZnを選択した場合の実験例を、第1実施例として示す。
以下の手順に従って本発明の焼結磁石を作製した。
原料粉末として、Fe粉末(1次粒子径:0.3μm)、SrCO粉末(1次粒子径:2μm)、ZnO粉末(1次粒子径:0.3μm)を準備した。これらの原料粉末を、所定の値となるように秤量した。つまり、最終的に得られる焼結磁石の組成が式(1)の範囲内になるように、原料粉末をそれぞれ秤量した。秤量後、湿式アトライタで2時間混合、粉砕した。次いで、粉砕粉末を乾燥して整粒した後、窒素中で1300℃、1時間仮焼し、粉末状の仮焼体を得た。その仮焼体220gを乾式振動ミルにより、10分間粉砕して平均粒径1μmの粉末とした。続いて、仮焼体210gに対し、SiO粉末(1次粒子径:0.01μm)、CaCO粉末(1次粒子径:1μm)、カーボン粉末(1次粒子径:0.05μm)をそれぞれ0.6wt%、1.4wt%、(0.75−x)/2.5wt%添加し、ボールミルを用いて40時間湿式粉砕した。なお、スラリー中の仮焼粉末の量は33wt%である。次に、粉砕終了後のスラリーを遠心分離器で濃縮し、湿式成形用スラリーを作製した。この湿式成形用スラリーを用いて磁場中成形を行った。なお、印加した磁界(縦磁場)は12kOe(1000kA/m)であり、成形体は直径30mm、高さ15mmの円柱状である。この成形体を250℃で3時間大気中で熱処理した後、窒素中で昇温速度5℃/分、最高温度1200℃で1時間焼成し、SrFe2+a(1−x)ZnaxFe3+27の組成を有する8種類の焼結体を得た(a,b,xの値は第2図に示す)。得られた焼結体の上下面を加工した後、最大印加磁場25kOeのBHトレーサを用いて、以下の要領で磁気特性を評価した。その結果を、第2図に併せて示す。また、飽和磁化4πIs、残留磁束密度Brの測定結果を第3図、第4図にそれぞれ示す。なお、第2図には、密度および配向度も併せて示してある。
第2図および第3図から、xの値、つまりZnの置換割合が増えるにつれて、飽和磁化4πIsが向上することがわかる。但し、xが0.5を超えると、徐々に飽和磁化4πIsが低下し、xが0.74になるとxが0.26のときと同等の飽和磁化4πIsを示すため、xは0.8以下とすることが望ましい。
次に第4図を見ると、そのピーク値が0.4近辺であることを除けば、残留磁束密度Brについても飽和磁化4πIsと同様の傾向を示すことがわかる。
以上の結果から、Znの置換割合を示すxの値は0.8以下、さらには0.05〜0.75とすることが、飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを向上させる上で有効であることがわかった。また、xが0.1〜0.7の範囲内では、5200G(5.2kG)以上の飽和磁化4πIsおよび4600G(4.6kG)以上の残留磁束密度Brを得ていることから、より望ましいxの値は0.1〜0.7であることがわかった。さらに、第2図に示した「角型性」の値から、Fe2+サイトの一部をZnで置換した場合にも、90%以上という良好な角型性を示すことがわかった。
X線回折装置を用いて、試料No.1、4、6、8の相状態を同定した結果を第5図および第6図に示す。なお、X線回折の条件は以下の通りである。
X線発生装置:3kW
管電圧:45kV
管電流:40mA
サンプリング幅:0.02deg
走査速度:4.00deg/min
発散スリット:1.00deg
散乱スリット:1.00deg
受光スリット:0.30mm
第5図、第6図に示したX線回折から、試料No.1、4、6、8は、いずれもW単相であること、つまり、W相のモル比がほぼ100%であることが確認された。つまり、Fe2+サイトの一部をZnで置換した試料No.4、6、8についても、W単相を維持できていることが確認できた。周知の通り、W型フェライトはハードフェライトであることから、W単相を示す焼結体試料はBH曲線の角型性も良好であることはもちろんである。
ここで、試料No.1、4について蛍光X線定量分析法に基づき定量分析を行った結果を第7図に示す。第7図では、Fe、SrO、ZnOの成分量を分析するとともに、Feについて化学分析によりFe2+量を求めた結果を示している。試料No.4の最終組成はSrFe2+1.47Zn0.51Fe3+16.2(式(1)表記のa=1.98,b=16.2,x=0.26)となっている。X線回折の結果がW単相であることを考慮すると、ZnはFe2+のサイトに置換されているものと判断される。仮に、ZnがFe2+サイトの一部に取り込まれた、つまりFe2+サイトの一部がZnで置換されたのではないとすると、W相以外の異相が生成してしまうからである。
次に、走査型電子顕微鏡を用いて、試料No.4、6、8の粒子構造を確認した。その顕微鏡写真を第8図に示す。第8図(a)、第8図(b)、第8図(c)は、Fe2+サイトの一部をZnで置換した焼結体(試料No.4、6、8)の粒子構造をそれぞれ示している。第8図(a)、第8図(b)、第8図(c)から、平均結晶粒径0.8μmの微細かつ均一な組織が得られていることがわかる。
〔第2実施例〕
以下の点を除き、第1実施例と同様の条件でAFe2+a(1−x)axFe3+27の組成を有する3種類の焼結体(試料No.9、10、11)を得た(a,b,xの値は第9図に示す)。そして、第1実施例と同様の条件で、焼結体の磁気特性を評価した。その結果を、第9図に併せて示す。
<試料No.9>
仮焼体210gに対し、添加物の種類および添加量を以下のように設定した。
SiO粉末(1次粒子径:0.01μm) 0.6wt%
CaCO粉末(1次粒子径:1μm) 0.7wt%
ソルビトール(1次粒子径:10μm) 1.2wt%
カーボン粉末(1次粒子径:0.05μm) 0.25wt%
SrCO粉末(1次粒子径:2μm) 1.5wt%
<試料No.10>
仮焼体210gに対し、添加物の種類および添加量を以下のように設定した。
SiO粉末(1次粒子径:0.01μm) 0.6wt%
CaCO粉末(1次粒子径:1μm) 0.7wt%
ソルビトール(1次粒子径:10μm) 1.2wt%
カーボン粉末(1次粒子径:0.05μm) 0.25wt%
SrCO粉末(1次粒子径:2μm) 2.4wt%
<試料No.11>
A元素としてSr及びBaを選択し、原料粉末として、Fe粉末(1次粒子径:0.3μm)、SrCO粉末(1次粒子径:2μm)、BaCO粉末(1次粒子径:2μm)を準備した。この原料粉末を秤量した後、湿式アトライタで2時間混合、粉砕し、第1実施例と同様の条件で仮焼体を得た。
そして、仮焼体210gに対し、添加物の種類および添加量を以下のように設定し、第1実施例と同様の手順でAFe2+a(1−x)axFe3+27の組成を有する焼結体を得た。なお、得られた焼結体において、SrとBaとの比はSr:Ba=0.67:0.33である。
SiO粉末(1次粒子径:0.01μm) 0.6wt%
CaCO粉末(1次粒子径:1μm) 0.35wt%
ソルビトール(1次粒子径:10μm) 1.2wt%
カーボン粉末(1次粒子径:0.05μm) 0.25wt%
BaCO粉末(1次粒子径:2μm) 1.4wt%
SrCO粉末(1次粒子径:2μm) 0.7wt%
第9図に示すように、試料No.9〜11は5400G(5.4kG)以上の4πIs、4900G(4.9kG)以上の残留磁束密度Br、90%以上の角型性を兼備することができた。この結果から、粉砕時にソルビトールを添加するとともに、SrCO粉末を粉砕時にも添加することが、高い磁気特性を得る上で有効であることがわかった。
また、試料No.11(A元素としてSrおよびBaを選択)の磁気特性と、試料No.9、10(A元素としてSrのみを選択)の磁気特性との比較から、A元素としてBaを選択した場合にも、Srと同様の効果が得られることが確認できた。
また第1実施例と同様の条件で、試料No.9〜11の相状態を同定した。その結果、W相のモル比が70〜100%であることが確認された。
〔第3実施例〕
M元素としてCo,Mn,Niを選択した場合の実験例を、第3実施例として示す。
第1実施例と同様の手順で、SrFe2+a(1−x)axFe3+27の組成を有する5種類の焼結体を得た(a,b,xの値は第10図に示す)。そして、第1実施例と同様の条件で、焼結体の磁気特性を評価した。その結果を、第10図に併せて示す。なお、第10図には、密度および配向度も併せて示してある。
第10図に示すように、Fe2+サイトの一部をCo,Mn,Niのいずれかで置換した場合にも、90%以上という良好な角型性を示しつつ、置換なしの試料No.1よりも高い4πIsを得ることができた。
また第1実施例と同様の条件で、試料No.12〜16の相状態を同定した。その結果、W相のモル比が70〜100%であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、磁石に要求される角型性を損なうことなく、高い飽和磁化4πIsおよび残留磁束密度Brを兼備したハードフェライト材料等が提供される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表されるフェライト磁石粉末であって、
0.05≦x≦0.80、
1.5≦a≦2.2、
12≦b≦17であることを特徴とするフェライト磁石粉末。
【請求項2】
X線回折により同定される結晶相はW相を主相とすることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石粉末。
【請求項3】
前記組成式において、0.1≦x≦0.70であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石粉末。
【請求項4】
前記組成式において、1.7≦a≦2.2であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石粉末。
【請求項5】
前記組成式において、14≦b≦17であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石粉末。
【請求項6】
前記MはZnであることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石粉末。
【請求項7】
飽和磁化が5.0kG以上であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石粉末。
【請求項8】
飽和磁化が5.1kG以上であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁石粉末。
【請求項9】
組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表される焼結磁石であって、
0.05≦x≦0.80、
1.5≦a≦2.2、
12≦b≦17であることを特徴とする焼結磁石。
【請求項10】
A元素(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素)とFe2+およびFe3+とを含む六方晶W型フェライトをモル比で50%以上含む焼結磁石であって、
前記六方晶W型フェライトのFe2+サイトの一部がM元素(MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で置換されていることを特徴とする焼結磁石。
【請求項11】
飽和磁化が5.1kG以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の焼結磁石。
【請求項12】
飽和磁化が5.0kG以上かつ角型性が80%以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の焼結磁石。
【請求項13】
飽和磁化が5.0kG以上かつ残留磁束密度が4.2kG以上であることを特徴とする請求項9または10に記載の焼結磁石。
【請求項14】
前記M元素はZnであることを特徴とする請求項9または10に記載の焼結磁石。
【請求項15】
前記A元素はSrであることを特徴とする請求項9または10に記載の焼結磁石。
【請求項16】
前記A元素はSrおよびBaであることを特徴とする請求項9または10に記載の焼結磁石。
【請求項17】
組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表され、
0.05≦x≦0.80、
1.5≦a≦2.2、
12≦b≦17であるフェライト磁石粉末と、
前記フェライト磁石粉末を分散、保持する樹脂相と、
を備えたことを特徴とするボンド磁石。
【請求項18】
基体と、
前記基体上に形成される磁性層とを備えた磁気記録媒体であって、
前記磁性層は、
組成式AFe2+a(1−x)axFe3+27(ただし、AはSr,BaおよびPbから選択される少なくとも1種の元素、MはZn,Co,MnおよびNiから選択される少なくとも1種の元素)で表されるフェライト構造を含み、
前記組成式中、
0.05≦x≦0.80、
1.5≦a≦2.2、
12≦b≦17であることを特徴とする磁気記録媒体。
【請求項19】
前記磁性層の飽和磁化は5.2kG以上であることを特徴とする請求項18に記載の磁気記録媒体。
【請求項20】
前記MはZnであり、
前記磁性層の飽和磁化は5.2kG以上かつ残留磁束密度は4.5kG以上であることを特徴とする請求項18に記載の磁気記録媒体。

【国際公開番号】WO2004/077458
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502824(P2005−502824)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001207
【国際出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】