説明

フェロエレクトレット2層および多層コンポジットおよびその製造方法

本発明は:第1ポリマーフィルム(1)の少なくとも1つの第1表面を構造化し、高さのある外形を形成し、工程a)で形成された第1ポリマーフィルム上の構造化表面に少なくとも1つの第2ポリマーフィルム(5,1’)を適用し、ポリマーフィルム(1,1’5)を接着してポリマーフィルムコンポジットを与え、空隙(4,4’)を形成し、工程c)で形成された空隙(4,4’)の内側表面に反対電荷を用いて帯電させることによって、規定の空隙を有する2層または多層フェロエレクトレットを製造する方法に関するものである。さらに、本発明は、前記方法によって任意に製造され、少なくとも2つのポリマーフィルムは一方が他方の上に配置され、互いに接着されて成り、ここでポリマーフィルム間に空隙が形成される、フェロエレクトレット多層コンポジットに関する。前記フェロエレクトレット多層コンポジットを備える圧電素子も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規定の空隙を持つ2層および多層フェロエレクトレットの製造方法、およびこれらの製造方法により製造されたフェロエレクトレット多層コンポジットに関する。
【背景技術】
【0002】
その有効で選択的に調節可能な特性のために、たとえば、軽量、熱伝導性、機械的変形性、電気特性だけでなく、遮断特性のために、ポリマーおよびポリマーコンポジット材料は多くの一般的用途で使用される。たとえば、これらは食品や他の商品用パッケージ材料として、たとえば、建設工学や自動車工学における建設材料または絶縁材料として使用される。しかし、機能性ポリマーはセンサ用途やアクチュエータ用途における動的部品としての重要性も広がっている。この関連で重要な用途概念は、電気機械的または圧電的変換器としてこのポリマーを使用することに関する。圧電材料は、機械的圧力を線形的に電圧信号に変えることができる。逆に、圧電材料に加えられた電場を、変換器の形状の変化に変換することができる。圧電材料は、多くの用途において、これまでも動的部品として組み込まれている。これらの部品には、たとえば、キーボードまたはタッチパッド用構造圧力センサ、加速センサ、マイク、拡声器、医療工学、海洋工学または材料試験における用途のための超音波変換器がある。国際特許出願第WO 2006/053528号公報には、たとえば、ポリマーフィルムからなる圧電素子に基づく電子音響変換器が記載されている。
【0003】
近年、フェロエレクトレットと呼ばれる、新しい種類の圧電性ポリマーが、次第に研究対象となってきている。フェロエレクトレットは、ピエゾエレクトレットとも呼ばれている。フェロエレクトレットは、電荷を長時間保持できる空隙構造を有するポリマー材料からなる。これまで知られているフェロエレクトレットは、セル状空隙構造を有し、発泡ポリマーフィルムとして、あるいはポリマーフィルムまたはポリマー織物から成る多層系として、形成される。電荷が空隙の様々な表面にそれらの極性に応じて分布されるなら、各帯電空隙は電気双極子に相当する。そして、空隙が変形されると、双極子の大きさに変化が生じ、外部電極間に電流が流れることになる。フェロエレクトレットは、他の圧電材料に匹敵する圧電活性を示し得る。
【0004】
米国特許第US 4,654,546号公報には、フェロエレクトレットフィルムの前段階として、ポリプロピレン発泡フィルムを製造することが記載されている。この場合には、ポリマーフィルムを充填材粒子と混合する。充填材としては、たとえば、二酸化チタンが使用される。押出し後、ポリプロピレンフィルムを二軸延伸すると、フィルム内部には充填材粒子の周囲に小さい空隙が形成される。この方法は、他のポリマーに応用することもできる。たとえば、M.ベゲナー(Wegener),M.パージャネン(Paajanen),O.ボロニーナ(Voronina),R.シュルゼ(Schulze),W.ウィルゲス(Wirges),およびR.ゲハード−マルトープ(Gerhard-Multhaupt)「空隙シクロオレフィンポリマーフィルム(Voided cyclo-olefin polymer films):高い熱安定性を有するフェロエレクトレット(ferroelectrets with high thermal stability)」,議事録,第12回エレクトレット国際シンポジウム(IEEEサービスセンター,ピスカタウェイ,ニュージャージー,USA 2005),47−50(2005)およびエッタ・サーリマエキ(Eetta Saarimaeki),ミカ・パージャネン(Mika Paajanen),アン−マリ・サビジャエルビ(Ann-Mari Savijaervi),およびハンヌ・ミンキネン(Hannu Minkkinen),ミカエル・ウェグナー(Michael Wegener),オレンナ・ボロニナ(Olena Voronina),ロベルト・シュルゼ(Robert Schulze),ウェルナー・ウィルゲス(Werner Wirges)およびレイマンド・ゲハード−マルトープ(Reimund Gerhard-Multhaupt)「新規の熱耐性電気機械的フィルム(Novel Heat Durable Electromechanical Film):電気機械的およびエレクトレット用途用処理(Processing for Electromechanical and Electret Applications)」,誘電性および電気絶縁体IEEE議事録(Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation)13,963−972(2006年10月)には、シクロオレフィンコポリマー(COC)およびシクロオレフィンポリマー(COP)からのフェロエレクトレットフィルムの製造が記載されている。発泡ポリマーフィルムは、気泡サイズ分布が幅広いという欠点を有する。その結果、全ての気泡が、後の帯電工程において均一に帯電されるということはない。
【0005】
発泡フェロエレクトレットポリマーフィルムのさらなる製造方法は、超臨界液体、たとえば、二酸化炭素を用いて均一なフィルムに直接物理的に泡形成するものである。アドバンスド・ファンクショナル・マテリアルズ(Advanced Functional Materials)17,324−329(2007),ウェルナー・ウィルゲス(Werner Wirges),ミカエル・ウェグナー(Michael Wegener),オレンナ・ボロニナ(Olena Voronina),ラリッサ・ジルケル(Larissa Zirkel),およびレイマンド・ゲハード−マルトープ(Reimund Gerhard-Multhaupt)「空隙のないポリ(エチレンテレフタレート)フィルムからの弾性的に軟質で、高い圧電性のセル状フェロエレクトレットの最適調製(Optimized preparation of elastically soft, highly piezoelectric, cellular ferroelectrets from nonvoided poly(ethylene terephthalate) films)」に、およびアプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)90,192908(2007),P.ファング(Fang),M.ベゲナー(Wegener),W.ウィルゲス(Wirges),およびR.ゲハード(Gerhard),L.ジルケル(Zirkel)「セル状ポリエチレン−ナフタレンフェロエレクトレット(Cellular polyethylene-naphthalate ferroelectrets):超臨界二酸化炭素中での発泡、構造および電気特性、および得られた圧電性(Foaming in supercritical carbon dioxide, structural and electrical preparation, and resulting piezoelectricity)」には、ポリエステル材料を用いたこの方法が記載されており、また、アプライド・フィジックス(Applied Physics)A:マテリアルズ・サイエンス&プロセッシング(Materials Science & Processing)90,615−618(2008),O.ボロニーナ(Voronina),M.ウェグナー(Wegener),W.ウィルゲス(Wirges),R.ゲハード(Gerhard),L.ジルケル(Zirkel)およびH.ミュンステッド(Munstedt)「超臨界二酸化炭素中でのフッ素化エチレン−プロピレン(FEP)コポリマーの物理的発泡(Physical foaming of fluorinated ethylene-propylene (FEP) copolymers in supercritical carbon dioxide):単層フルオロポリマーピエゾエレクトレット(single film fluoropolymer piezoelectrets)」には、フルオロポリマーFEP(フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー)について記載される。
【0006】
フェロエレクトレット多層系の場合には、とりわけ硬質層と軟質層から成り、その間に電荷が導入される構成が知られている。「2層エレクトレット変換器(Double-layer electret transducer)」,ジャーナル・オブ・エレクトロスタティックス(Journal of Electrostatics),Vol.39,pp.33−40,1997,R.カクプリチック(Kacprzyk),A.ドブルキー(Dobrucki)およびJ.B.ガジュースキー(Gajewski)には、弾性係数が大きく異なる固体材料から成る多層が記載される。これらは、これらの層系が比較的低い圧電効果しか示さないといった不都合を有する。
【0007】
近年、種々の刊行物には、閉塞外側層および多孔質または穿孔中間層から成る多層系が、記載されている。これら刊行物には、Z.フー(Hu)およびH.ファン・セガーン(von Seggern),「繊維状ポリテトラフルオロエチレンフィルムのエアー−ブレイクダウンチャージングメカニズム(Air-breakdown charging mechanism of fibrous polytetrafluoroethylene films)」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),Vol.98,ペーパー014108,2005および「多孔性フルオロポリマーサンドイッチ内のブレイクダウン誘発分極の蓄積(breakdown-induced polarization buildup in porous fluoropolymer sandwiches):熱安定性ピエゾエレクトレット(A thermally stable piezoelectret)」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),Vol.99,ペーパー024102,2006による論文、さらに、H.C.バッソ(Basso),R.A.P.アルタフィルム(Altafilm),R.A.C.アルタフィルム(Altafilm),A.メリンガー(Mellinger),ペン・ファン(Peng Fang),W.ウィルゲス(Wirges)およびR.ゲハード(Gerhard),「2つの均一なテフロン−FEPフィルム間に溶融した穿孔テフロン−PTFEが存在してなる三層フェロエレクトレット(Three-layer ferroelectrets from perforated Teflon-PTFE films fused between two homogeneous Teflon-FEP films)」IEEE,電気絶縁性および誘電性理論2007年次報告会(Annual Report Conference on Electrical Insulation and Dielectric Phenomena),1−4244−1482−2/07,453−456(2007)による刊行物およびジンフェン・ヒュアン(Jinfeng Huang),キサオキン・ザン(Xiaoqing Zhang),ゾンフ・キサ(Zhongfu Xia)およびクエウェン・ワン(Xuewen Wang)「多孔性ポリテトラフルオロエチレンフィルムと非多孔性フルオロエチレンプロピレンフィルムのラミネートサンドイッチからのピエゾエレクトレット(Piezoelectrets from laminated sandwiches of porous polytetrafluoroethylene films and nonporous fluoroethylenepropylene films)」ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),Vol.103,ペーパー084111,2008による論文が含まれる。多孔質または穿孔中間層を有する層系は、多くの場合、上記の系より大きい圧電定数を有する。しかし、この関連で、中間層はしばしば固体外側層としっかりとラミネートしない場合がある。さらに、中間層の穿孔には一般的に非常に時間を要する。
【0008】
X.ザン(Zhang),J.ヒレンブランド(Hillenbrand)およびG.M.セスラー(Sessler),「高い圧電係数を有する熱安定性フッ化炭素フェロエレクトレット(Thermally stable fluorocarbon ferroelectrets with high piezoelectric coefficient)」,アプライド・フィジックス(Applied Physics)A,Vol.84,pp.139−142,2006および「溶融フッ化炭素層から形成される改良された熱安定性を有するフェロエレクトレット(Ferroelectrets with improved thermal stability made from fused fluorocarbon layers)」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics),Vol.101,ペーパー054114,2007,並びにキサオキン・ザン(Xiaoqing Zhang),ジンフェン・ヒュアン(Jinfeng Huang)およびゾンフ・キサ(Zhongfu Xia)「セル状フッ化炭素フィルムの圧電活性および熱安定性(Piezoelectric activity and thermal stability of cellular fluorocarbon films)」PHYSICA SCRIPTA Vol.T129,pp.274−277,2007による刊行物には、少なくとも3つのFEPおよびPTFE層を互いに交互に積み重ねてなるポリマー層スタックに、金属格子を押しつけることによりポリマー層を構造化することが、記載されている。FEPの融点を越える温度とPTFEの融点未満の温度との間にある温度で、格子によって層を互いに圧接することで、ポリマー層が格子構造に従って相互に接着されて、長方形の基礎表面を有するドーム状または気泡状空隙が、格子の筋の間に形成されるようにする。しかしながら、この方法では、均一な空隙の形成は、特に層の数が増すにつれて、複雑に制御することによってのみ可能であるので、フェロエレクトレットの特性が変化することになる。
【0009】
格子を使用して気泡状空隙を製造する別の方法が、R.A.C.アルタフィルム(Altafim),H.C.バッソ(Basso),R.A.P.アルタフィルム(Altafim),L.リマ(Lima),C.V.デ・アクイノ(De Aquino),L.ゴナルブス・ネトー(Gonalves Neto)およびR.ゲハード−マルトープ(Gerhard-Multhaupt)により、「フルオロポリマーエレクトレットフィルムの熱形成された気泡構造からのピエゾエレクトレット(Piezoelectrets from thermo-formed bubble structures of fluoropolymer-electret films)」,誘電性および電気絶縁体IEEE議事録(IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation),Vol.13,No.5,pp.979−985,2006に記載されている。この場合には、相互に重ねて配置された2つのテフロン−FEPフィルムが金属格子と上方円筒金属部品との間に配置される。この構造物を、真空を印加するための開口を有する下方円筒金属部品の上に置き、金属格子でプレスする。FEPフィルムは、上方金属部品により加熱され、下方金属部品に印加される真空によって下側フィルムは格子の開口に引きつけられ、対応する空隙が形成される。ポリマー多層コンポジットに空隙を形成するために格子を使用する記載の方法は、複雑で、大規模製造に移行するのは困難である。
【0010】
均一な大きさおよび構造を有するチューブ状空隙を持つフェロエレクトレットの有益で簡単な製造方法が、R.A.P.アルタフィルム(Altafim),X.クイ(Qiu),W.ウィゲス(Wirges),R.ゲハード(Gerhard),R.A.C.アルタフィルム(Altafim),H.C.バッソ(Basso),W.ジェニンガー(Jenninger)およびJ.ワグナー(Wagner)により、論文「チューブ状チャネルを有する変換器用途用のテンプレートに基づくフルオロエチレンプロピレンピエゾエレクトレット(Template-based fluoroethylenepropylene piezoelectrets with tubular channels for transducer applications)」に記載されており、これはジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics)で刊行物として一般的に認知されている。これに記載の方法では、最初に、2つのFEPフィルムとその間に挿入されたPTFEマスクフィルムのサンドイッチ配置が利用可能に作られる。形成されたフィルムスタックをラミネートし、FEPフィルムを相互に接着し、続いて、マスクフィルムを除去し、空隙を露出させる。
【0011】
フェロエレクトレットに対する関心が、商業用途において、たとえばセンサ、アクチュエータおよび発電機システムにおいて、さらに増している。この関連で商業規模での製造方法の適用には、費用対効果が極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、規定のフェロエレクトレット空隙構造を生じさせ、大規模な商業生産においても、簡単かつコスト効率よく実施できる、利用可能な代替フェロエレクトレット多層コンポジット、さらにはフェロエレクトレット多層コンポジットの代替製造方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、請求項1による、フェロエレクトレット多層コンポジットの製造方法、および請求項12または13による、この方法により製造されたフェロエレクトレット多層コンポジットにより達成される。
【0014】
本発明によれば、規定の空隙を有するフェロエレクトレット2層または多層コンポジットを製造する方法を提案するものであって、以下の工程:
a)少なくとも1つの第1ポリマーの少なくとも1つの第1表面を構造化し、高さのある外形を形成し、
b)工程a)で形成された第1ポリマーフィルムの構造化表面上に、少なくとも1つの第2ポリマーフィルムを適用し、
c)ポリマーフィルムを接着してポリマーフィルムコンポジットを生じさせ、閉塞および/または開放空隙を形成し、
d)工程c)で形成された空隙の内側表面を、反対電荷を用いて帯電させること
を包含する。
【0015】
本発明に従って製造される2層および多層コンポジットは、言い換えればポリマーフィルムがスタックの形態で積層され、かつ空隙が各場合、少なくとも2つのポリマーフィルムの間に形成されてなるものである。この関連で、ポリマーフィルムは空隙を挟んで互いに接着する。好都合にも、空隙の形状および寸法は、本発明によれば、非常に正確に予め定められた規定の様式に製造することができる。本発明による方法では、工程a)での構造化、および少なくとも第1ポリマーフィルムの少なくとも1つの表面上に高さのある外形を形成することは、ポリマーフィルムコンポジットの作成において、規定の空隙を形成するためには重要である。
【0016】
本発明による方法を用いれば、規定の空隙構造を有するフェロエレクトレット多層系を簡単に製造することができることを見出した。本発明による方法を用いれば、さらに各々の用途に対して、様々に共鳴振動数および圧電活性、および特に圧電定数d33を調節することができる。好都合にも、本発明に従って製造されるフェロエレクトレット多層コンポジット系なら、高くかつ均一な圧電係数を、より大きな表面積で達成することもできる。原理的には、このことは、これらのフェロエレクトレット多層コンポジットにとって、多くの用途を切り開くことになる。さらに好都合なことは、本発明に従って提案される方法は、材料依存性がほとんどなく、自動化できることである。
【0017】
原理的には、使用されるポリマーフィルムは、高さのある外形を形成し、ポリマーフィルム間で接着しフィルム間に空隙を形成することができるなら、いずれのプラスチックから製造されてもよい。使用されるポリマーフィルムは、本発明によれば、同じまたは異なるポリマー材料、たとえば、ポリカーボネート、パーフッ素化または部分フッ素化ポリマーおよびコポリマー(たとえば、PTFE、フルオロエチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシエチレン(PFA))、ポリエステル(たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN))、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド、特にポリエーテルイミド、ポリエーテル、ポリメチルメタクリレートおよびポリプロピレンまたは上記ポリマー混合物の群から選択されてもよい。これらの材料を使用して、良好なまたは非常に良好な圧電活性を達成することができる。本発明によれば、材料の広範な選択により、好都合にも特定の用途に適合させることも可能になる。
【0018】
好ましくは、ポリマーフィルムは、≧10μm〜≦500μm、特に好ましくは≧15μm〜≦300μmの厚さを有してもよい。本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットにおける種々のポリマーフィルムの厚さは、同じに選択されても、異なるように選択されてもよい。ポリマーフィルムの特に適した厚さは、好都合にも、各場合、ポリマー材料に依存して、所望用途ごとに選択されてもよい。原理的には、本方法の工程c)において形成される空隙が潰れないことが重要である。したがって、より硬いポリマー材料は、比較的より弾性のポリマー材料よりも薄く形成することができる。
【0019】
ポリマーフィルムは、フィルムシート、またはとりわけ大規模生産の場合には、好都合にもフィルムウェブとして、構成されてもよく、これを工程b)において互いの上に配置し、工程c)において相互に接着し、空隙を形成する。この関連で、フィルムシートは、長方形、正多角形または非正多角形または円形、たとえば、真円形、楕円形または長円形のような形状を有してもよく、基礎表面は、互いの上に配置されるフィルムの場合には、便宜上、同じ基礎表面を有する。原理的には、基礎表面は、特定の用途に適合させてもよい。
【0020】
本発明による方法の工程b)では、言い換えれば、積層ポリマーフィルムスタックを利用可能に形成する。この関連で、ポリマーフィルムの総数を選択し、構造化および非構造化ポリマーフィルムの順序を選択することを介して、ポリマーフィルムコンポジットの全高さおよび空隙の数および空隙を有するラミネーションの数を確立することができる。2つの個々のポリマーフィルム間の空隙は、空隙のラミネーションであると理解される。本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットでは、2、3またはそれ以上の、その間に空隙が配置されてなるポリマーフィルムが、互いの上に配置され、互いに接着される。本発明によれば、この関連で、構造化および非構造化ポリマーフィルムを、各場合用いてもよい。これらはたとえば、互いの上に配置され、場合によってはフィルムスタックの形態に配置されてもよい。場合によっては、使用される全てのポリマーフィルムが高さのある外形、すなわち、構造を有してもよい。同様に好ましくは、一方側または両側が構造化されたポリマーフィルムのみから成るもの、または両タイプのフィルムが同じまたは異なる数で成るものを使用してもよい。原理的には、全ての場合において、外向きの表面は緻密質でまたは構造化されていないのが好ましい。このことで、ポリマーフィルムコンポジットのこれらの外側表面上への電極の取り付けを容易にすることができ、いずれにしても適当である。両面が構造化されたポリマーフィルムを使用する場合には、この目的のために、たとえば、さらに非構造化または一方のみ構造化ポリマーフィルムを、各場合、ポリマーフィルムスタックの上下に末端フィルムとして配置してもよい。これらの末端フィルムは、その非構造化表面でカバーを形成し、そして、ポリマーフィルムコンポジットの外側表面が形成される。
【0021】
好都合にも、本発明によれば、3以上のポリマーフィルムと、これに対応していくつかの空隙のラミネーションもがフェロエレクトレット多層コンポジットに設けられる場合には、2つのポリマーフィルムのみの場合に比べて軟質になり、存在するさらなる空隙によって、コンポジットの感応性、および故に圧電定数d33は増加し得る。
【0022】
本発明の工程d)では、空隙の内側表面の帯電および分極のために、公知の確立された方法を、有益に使用してもよい。空隙の反対側の分極は、たとえば、コロナ放電またはプラズマ法により実施することができる。大規模には、コロナ処理を有益に使用することもできる。
【0023】
工程a)で行われるポリマーフィルム内に高さのある外形を構造化し形成すること、および工程b)での少なくとも1つの第2ポリマーフィルムとの接着により、正確に設定された空隙を、利用可能な方法により規定した様式で作成し、製造することができる。したがって、さらに好都合にも、本発明による方法を用いれば、異なる共鳴振動数、たとえば不均一気泡による発泡フェロエレクトレットフィルムの場合に制御されずに生じるような共鳴振動数を、回避することができる。逆に、本発明によれば、ポリマーフィルムコンポジット作成の際に一部の領域に異なる構成の空隙を作成し、それにより、異なる性質、たとえば圧電活性を調節することさえ可能である。
【0024】
ある実施の形態では、工程a)における第1ポリマーフィルムの少なくとも1つの表面の構造化はエンボス法によって行うことができる。同様に好ましくは、エンボス法は構造化ローラを用いて、またはエンボスパンチによって行うことができる。構造化ローラの使用も、構造化エンボスパンチを用いる場合も共に、各場合、エンボスツールの表面に形成された構造がポリマーフィルム上に転写され、高さのある外形を形成することができる。この関連で、エンボスツール、すなわち、ローラまたはエンボスパンチの表面上にはポジ型かネガ型の形状を施すことができる。構造化は、フィルムの押出し後、または独立の処理としてたとえば、ホットプレス内で直接行うことができる。本発明によれば、各々のポリマーフィルムを、エンボスツールを用いて両側表面から処理することも包含する。たとえば、ポリマーフィルムをその上側からおよびその下側から、各場合、構造化ローラを用いてエンボス加工し、そして構造化することができる。
【0025】
本方法の別の代替構成では、工程a)における第1ポリマーフィルムの少なくとも1つの表面の構造化は、任意に予熱され形状形成された鋳ぐるみを備える成形ツール内で、任意に加熱されたポリマーフィルムに、たとえば、圧縮空気または他の気体を用いて、圧力を印加することで変形させることによって行うことができる。たとえば、ポリマーフィルムをその軟化点(ガラス転移温度)未満の温度に加熱し、次に≧20bar〜≦300barの圧縮空気の作用で一気に変形させてもよい。たとえば、ポリカーボネートフィルム(たとえば、ベイヤー・マテリアル・サイエンス(Bayer MaterialScience)AGによって製造されるマクロホール(Macrofol))をちょうどガラス転移温度未満の130〜140℃に加熱してもよい。この後、フィルムに250barの空気圧を施して、フィルムを成形ツール上にプレスすると、それ自体がツールの鋳ぐるみに適合して、永久的に変形することができる。この場合には、使用されるポリマーフィルムはたとえば、≧10μm〜≦500μmの厚さを有してもよく、形成される凹および/または凸は、≧10μm〜≦500μmの高さおよび≧10μm〜≦5000μmの幅を有してもよい。空隙について、≧10μm〜≦250μmの高さおよび≧50μm〜≦3000μmの幅が好ましい。特に好ましくは、空隙は≧100μm〜≦2000μmの幅を有する。
【0026】
特に印刷されたプラスチックフィルムを繰り返し正確に変形させる場合には、類似の方法が既に確立されており、たとえば、ドイツ特許出願第DE 39 05 177 A1号公報に記載される。この場合にはポリマーフィルムをパレットシステム(必要なら、加熱されてもよい)上に配置し、適当な成形ツール内で、予熱され形状形成された鋳ぐるみ上に、圧力を印加することによって変形させてもよい。高圧変形法は高圧形成(HPF)またはHPF法とも呼ばれる。好都合にも本発明によれば、第DE 39 05 177 A1号公報に記載される設備と同様に構成された設備を、工程a)におけるポリマーフィルムを構造化する目的のために使用してもよい。
【0027】
記載した様々な構造化の場合は全て、各場合、所望の外形のポリマーフィルム上への転写を、正確な位置に行うことができるといった利点を有する。そして次の工程b)で形成される空隙の形状および寸法の両方を、好都合にも前述の方法を用いれば、ほとんど自由に選択することができ、フィルム材料およびその性質および個々のフィルム厚さに依存して、個々の用途の所望の機械的および電気的要求に適合させることができる。この関連で、フィルムの性質と形成される空隙の形状および寸法の組み合わせを選択して、いかなる用途の場合でも、分離されておくべきフィルムセグメントが、互いに接触することができないようにする。記載の構造化方法はさらに、自動化可能で、任意に連続処理として実施することができるといった利益を有する。
【0028】
本発明によれば、工程a)における第1ポリマーフィルムの少なくとも1つの表面の構造化は、適当な形状のダイを用いてポリマーフィルムをスリット押出しすることによって行うこともできる。たとえば、この構造化方法を適用することによって、チューブ状またはチャネルタイプの構造を形成することができ、続く工程で対応する空隙を形成することができる。スリット押出しは、好都合にも、既に確立された方法であって、これはさらに同様に、連続的にかつ自動的に実施することができる。
【0029】
本発明に従って製造されるフェロエレクトレット多層コンポジットでは、ポリマーフィルムの厚さが≧10μm〜≦500μmの場合には、空隙はたとえば、≧10μm〜≦500μmの高さを有してもよい。「高さ」とは、特に、空隙の断面の高さを意味する。特に好ましくは、空隙は、≧10μm〜≦250μmの高さを有し得る。
【0030】
空隙は、本発明による方法によって、非常に様々な形状に形成することができる。したがって、空隙の形状は、ポリマーフィルムの層方向に垂直に、円形または矩形断面を有する円筒状、チューブまたはチャンネル状の形状に限定されない。加えて、本発明による方法によって、種々の形状に形成された空隙を組み合わせることが可能である。このようにして、一方では、生じた空隙の全体の空間容積を、好都合にも最大化できる。他方、本発明による方法で製造されたフェロエレクトレット多層コンポジットおよび電気機械変換器の電気機械的性質、特に圧電特性を、空隙の形状、寸法および形態を選択することにより、その数、配置および/または分布で対処することができる。
【0031】
空隙は、かなり狭い領域、たとえば、線(たとえば、曲線または直線、単線または交差線、幾何学的図形の輪郭線(たとえば、円周)または十字架の輪郭線)、またはより広い面積の図形(たとえば、長方形、円形、十字架形等)を持つ形状に形成されてもよい。空隙の形状および寸法は、好ましくは、ポリマーフィルムが、空隙内で層方向に互いに垂直に接触できず、および/または完成後に生じる全体の空隙容積ができるだけ大きくなるように、調節される。言い換えると、特に、分極によって空隙の内側表面にへと印加される正電荷および負電荷が互いに接触できないようにすべきである。
【0032】
空隙は、実質的に円形、たとえば真円形、楕円形または長円形、多角形、たとえば三角形、長方形、台形、菱形、五角形、六角形、とりわけハニカム形、十字形、星形、部分円形部分多角形、たとえばS字形の断面からなる群から選択される断面を有する形状に形成されてもよい。フィルムスタックにおける様々なポリマーフィルム間の様々なラミネーション内の空隙は、この場合には同様にまたは異なって構成されてもよい。これには、形状、寸法およびその形態のみならず、空隙の数、その配置および/または分布も含まれる。
【0033】
好都合にも、形成されたポリマーフィルムコンポジット内の空隙によって、製造されるフェロエレクトレット多層コンポジットは、厚くなるに連れてより柔らかくなり得り、したがって、その弾性率は低下し、得られた空隙における分極処理も可能になり得る。
【0034】
本発明による方法の範囲内では、形成されるポリマーフィルムコンポジット内の空隙を、均一な分布状態だけでなく、不均一な分布状態にも、形成することができる。特に、製造されるフェロエレクトレット多層コンポジットの用途分野に依存して、空隙を、選択的に、局所的に分散した不均一分布状態で形成することが有利である場合もある。
【0035】
工程c)におけるポリマーフィルムコンポジットを得るためのポリマーフィルムの接着は、本発明によれば、たとえば、ラミネート、粘着性接着、クリップ留め、クランプ締め、ネジ留め、リベット留めまたは溶接(たとえば、レーザ溶接、超音波溶接または振動溶接)により、行われもよい。
【0036】
ラミネートによるポリマーフィルムの接着は、特に、加圧下において熱的に、および/または超音波により、および/または紫外線または赤外線の照射により、行われてもよい。この手段によって、好都合にも、ポリマーフィルムの材料の選択の幅をさらに増やすことができる。この場合、ラミネーションの条件は、便宜上、フィルム層が互いに接着するが、第1ポリマーフィルムとその高さのある外形の構造は非常に広範囲で保持され、したがって、形状安定性および空隙の規定の形態は確保されるように、選択される。ラミネートの前に、第1構造化ポリマーフィルムの材料および/または第2ポリマーフィルムの材料、また言い換えれば第1フィルムのカバーを形成する第2ポリマーフィルムの材料は、完全に固化してよく、たとえば、完全に乾燥および/または完全に架橋し、および/または完全に硬化および/または完全に結晶化してよい。この手段によって、本方法により作成された空隙を有するポリマーフィルムコンポジットの形状安定性を改善することができる。
【0037】
工程c)でのポリマーフィルムの接着は、たとえば、粘着性接着により、アクリレート接着剤を使用して行うことができる。場合によっては、特に同じ材料から成るポリマーフィルムを接着する場合、個々のポリマー材料にとって良好な溶媒または溶媒組成物をフィルムの一方または両方に塗布し、次いで、フィルムを一体にプレスし、溶媒を蒸発させることにより、接着を達成することもできる。言い換えれば、溶媒が塗布された場所および/または領域で、ポリマー材料は部分的に溶解し、溶媒の蒸発の結果、再度固化し、このようにしてポリマーフィルム間における粘着性物質としての役割を果たすことができる。たとえば、塩化メチレンを用いてポリカーボネートを粘着性接着することができる。この溶媒法によって接着する場所の利点は、熱負荷が生じず、特に、熱変形性ポリマー材料の場合、形状安定性を改良することができ、形成される空隙の崩壊を回避することができる。
【0038】
さらなる構成では、ラミネーションに加えて、ポリマーフィルムを、互いに粘着性接着によって接着してもよい。これらの粘着性接着はたとえば、アクリレート接着剤によって達成されてもよい。この手段によって、ポリマーフィルムの機械的接着を助け、改良することができる。
【0039】
本方法の別の構成では、工程d)での空隙の内側表面への帯電の前および/または後に、ポリマーフィルムコンポジットの外側表面への電極の配置を、行ってもよい。外側表面への電極の配置は、少なくとも一部の領域、特に、ポリマーコンポジットの外向き表面に、導電性表面コーティングを設けることを意味するものと理解される。電極は、好ましくは、使用したポリマーフィルムの緻密質または非構造化表面上に配置される。
【0040】
本発明によれば、フェロエレクトレット多層コンポジットの外側表面に電極を配置した後、電圧を印加して、直接帯電させることができる。電極の配置前に、空隙の反対側の分極を、たとえばコロナ放電により、実現することができる。コロナ処理はまた、好都合にも、大規模でも十分に使用することができる。本発明によれば、まず、1つの表面に導電性表面コーティングを利用可能に形成し、次いで、ポリマーコンポジットを帯電させ、最後に、反対側の外側表面に第2電極を適用することも可能である。
【0041】
言い換えると、本発明により製造されたフェロエレクトレット多層コンポジットは、ポリマーフィルムの外向き表面の上に、少なくとも部分的に導電性コーティングを有することができる。これらの導電性領域を、電極として使用することができる。この関連で、導電性コーティング、すなわち電極は、平面的および/または構造的に適用され得る。構造化導電性コーティングは、たとえば帯状または格子状の塗膜として構成されてもよい。この手段は、フェロエレクトレット多層コンポジットの感応性に影響を与え、その感応性を特定の用途に適合させることができる。
【0042】
電極材料を選択する場合には、当業者に公知の導電性材料であってよい。本発明によれば、金属、合金、導電性オリゴマーまたはポリマー(たとえば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール)、導電性酸化物(たとえば、ITOのような混合酸化物)、または導電性充填材が充填されたポリマーが、たとえばこの目的のために考慮される。導電性充填材が充填されたポリマー用充填材として、金属、導電性炭素に基づく材料、たとえばカーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、または導電性オリゴマーまたはポリマーが、たとえば考慮される。この場合、ポリマー中の充填材含有量は、導電性充填材が連続した導電経路を形成するように、浸透閾値より上にある。
【0043】
電極は、公知の方法、たとえば、表面の金属化、スパッタリング、気相コーティング、化学蒸着(CVD)、印刷、ドクタリング、スピンコーティング、ペースティングまたは導電性層の組み立て方式でのインプレッシングによって、または導電性プラスチックから成る放電電極によって実現されてもよい。この場合、電極は、構造的に、たとえば帯状または格子状に構成されてもよい。たとえば、本発明によれば、電極は、電気機械変換器として、フェロエレクトレット多層コンポジットが能動領域および受動領域を有するように、構造化されてもよい。とりわけ、電極は、特にセンサモードにおいては、信号が位置的に分解されて検波され、および/または、特にアクチュエータモードにおいては、能動領域が選択的に駆動され得るように、構造化されてもよい。これは、たとえば、能動領域に電極を設け、一方、受動領域は電極を有さないようにすることで、達成され得る。
【0044】
本発明によれば、2以上のフェロエレクトレット多層コンポジットを、同じ極性の導電層、すなわち電極で接着することができることをも包含する。換言すると、本発明による2つのフェロエレクトレット多層コンポジット間に中間電極を形成して、これが外側表面上の2つの電極に代わることができる。この手段によって、フェロエレクトレット多層コンポジットを、直列に接続することができ、達成できる圧電効果を2倍に、あるいは何倍にも増大させることができる。
【0045】
好ましくは、本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットは、2つの電極を含む。本発明による電気機械変換器が2以上の電極を有する場合には、これは好ましくは本発明により製造された複数のフェロエレクトレット多層コンポジット系から成るスタック構造であってもよい。
【0046】
本発明による方法の別の構成では、工程a)、b)、c)および/またはd)を、連続ロール−ツー−ロール(roll−to−roll)法で実施することができる。したがって、好都合にも、多層コンポジットの製造を、少なくとも部分的に連続法として、好ましくはロール−ツー−ロール法として、実施することができる。これは、工業的に大規模に方法を実施する場合に特に有利である。製造方法の少なくとも一部を自動化することは、方法を簡単にし、空隙を有するフェロエレクトレット多層コンポジットの低コスト生産を可能にする。本発明によれば、好都合にも、方法の全工程を自動化することが可能である。
【0047】
本発明のある実施の形態では、工程b)の前に、第2ポリマーフィルムをも構造化して、高さのある外形を形成するようにしてもよい。この手段によって、製造することができるフェロエレクトレット多層コンポジットの種類をさらに増やすことができる。ポリマーフィルムの総数を選択し、構造化および非構造化ポリマーフィルムの順序を選択することを介して、空隙の全高さおよび数、または空隙を伴うラミネーションの数を確立することができる。したがって、本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットでは、2、3またはそれ以上の、その間に空隙が配置されてなるポリマーフィルムが、互いの上に配置され、互いに接着され得る。構造化および非構造化ポリマーフィルムがたとえば、互いの上に配置され、場合によってはフィルムスタックの形態に配置されてもよい。場合によっては、使用される全てのポリマーフィルムが高さのある外形を有してもよく、この場合には、フィルムは互いに関して同じ構造を有しても、異なる構造を有してもよい。
【0048】
他の構成では、工程d)での帯電の前または後に、さらなる工程e)において、工程c)で形成されたポリマーフィルムコンポジットのエッジの封止を行う。したがって、本発明による多層コンポジットを、たとえば高湿度大気または水中のような攻撃的環境における利用の際に、環境の影響からエッジを密封して保護するために、好都合にも封止することができる。
【0049】
本発明のさらなる好ましい実施の形態では、空隙に気体を充填することができる。気体は、たとえば、純窒素(N)、一酸化窒素(NO)または六フッ化硫黄(SF)でもよい。この気体充填によって、本発明に従って製造されるフェロエレクトレット多層コンポジットの場合、繰り返すが、好都合にも分極により非常に高い圧電定数でさえ達成することができる。
【0050】
本発明によれば、上記その各種構成でも提案される方法の重要な利点は、広い範囲で材料に依存せず、その結果、用途選択肢が幅広いことである。
【0051】
更に、本発明は、少なくとも1つの第1ポリマーフィルムおよび前記第1ポリマーフィルムと接着する第2ポリマーフィルムから成る層スタックを備えるフェロエレクトレット多層コンポジットを提供するものであり、これによって少なくとも第1ポリマーフィルムは、第2ポリマーフィルムに面する少なくともその表面側に、凹凸を有する構造を備え、構造によって形成されたその高さのある外形を備える第1ポリマーフィルムは、第2ポリマーフィルムと、1以上の空隙がポリマーフィルム間に形成されるように接着し、さらに空隙の内側表面は反対電荷を有する。
【0052】
本発明の範囲内では、空隙の少なくともいくつかを、ポリマーフィルムの層の方向に、実質的に円形、たとえば真円形、楕円形または長円形、多角形、たとえば三角形、長方形、台形、菱形、五角形、六角形、とりわけハニカム形、十字形、星形、部分円形部分多角形、たとえばS字形の断面からなる群から選択される断面を有する形状に形成してもよく、これとは全く異なる形状に形成してもよい。幾何学形状はさらに、規則的に構成されても不規則に構成されてもよい。
【0053】
層方向の形状に依存することなく、空隙を、フィルムスタックにおけるポリマーフィルムの層方向に垂直に、実質的に円形、たとえば真円形、楕円形または長円形、多角形、たとえば三角形、長方形、台形、菱形、五角形、六角形、とりわけハニカム形、十字形、星形、部分円形部分多角形、たとえばS字形の断面からなる群から選択される断面を有する形状に、部分的または全体的に形成してもよく、これとは全く異なる形状に形成してもよい。幾何学形状はさらに、規則的に構成されても不規則に構成されてもよい。
【0054】
特に、本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットは、特に長方形の基礎表面の場合には、部分的にまたは完全に純粋な気泡形状またはドーム形状ではない空隙を備え得る。本発明により可能な純粋な気泡形状またはドーム形状とは異なる空隙形状は、作成される多層コンポジットの本質的特性、たとえば、圧電定数または厚さに依存する多層コンポジットの弾性および柔軟性の設定を、この手段によって、様々な幅広い用途に合わせて変更可能にする。空隙、特に本発明により可能な形状および寸法、さらにはその分布を選択することによって、好都合にも、フェロエレクトレット多層コンポジットの全空隙容量を最適化することができる。
【0055】
本発明による多層コンポジットはたとえば、2以上のポリマーフィルムと、これに対応したいくつかの空隙のラミネーションをも含有してもよく、空隙は同じまたは異なった形状、寸法、空隙の数および分布を有してもよい。さらに、本発明による多層コンポジットは電極を備えてもよい。本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットのさらなる特性に関して、本発明による方法と関連付けて参照し、これによって明白に説明するものである。
【0056】
本発明はさらに、上記により本発明に従う方法によって製造される、空隙を備えるフェロエレクトレット2層または多層コンポジットに関する。この関連で、利用可能な種々の場合の製造方法およびそこから得られるフェロエレクトレット多層コンポジットは、任意に相互に組み合わせて行われてもよい。そのような本発明による2層および多層コンポジットは、スタック状に積層されたポリマーフィルムと、各場合、少なくとも2つのポリマーフィルム間に形成される空隙を含む。この場合、ポリマーフィルムは、空隙を挟んで相互に接着される。本発明によれば、好都合にも、空隙の形状および寸法は、非常に正確に予め定められ、規定されたように製造され得る。
【0057】
本発明はさらに、本発明による少なくとも1つのフェロエレクトレット多層コンポジットおよび/または本発明による方法によって製造される少なくとも1つのフェロエレクトレット多層コンポジットを備える圧電素子に関する。この圧電素子は、たとえば、センサ素子、アクチュエータ素子または発電素子であってもよい。好都合にも、本発明を、電気機械分野および電子音響分野、特に機械的振動からのエネルギーの発生、音響、超音波、医療診断、超音波顕微鏡、機械センサ、特に圧力センサ、応力センサおよび/または歪みセンサ、ロボット工学および/または通信技術の分野における、非常に多種多様な用途において、実現することができる。これらの代表的な例は、圧力センサ、電子音響変換器、マイク、拡声器、振動変換器、光偏向器、膜、ガラス光ファイバ用変調器、焦電検出器、コンデンサおよび制御システム並びに「インテリジェント」フロアである。
【0058】
さらに本発明は、本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットを製造するための装置をも包含する。換言すると、本発明はさらに、本発明による方法を実施するための装置に関しており、該装置は、第1ポリマーフィルムの少なくとも1つの表面を構造化する手段を含む。この手段は、たとえば、エンボスローラ、エンボスパンチまたは圧力を印加することによって変形させるための装置であってもよい。
【0059】
要するに、本発明によれば、大規模でも簡単にかつ低コストで実施することができる、空隙を有するフェロエレクトレット多層コンポジットの製造方法が提供される。また、本発明による方法で製造されたフェロエレクトレット多層構造は、正確に規定された空隙構造を有する非常に多数の層を含むように製造され得る。断面形状および寸法、空隙の形状および大きさ、層の順序およびラミネーションの数を自在に調節でき、さらに、使用されるポリマーフィルムの材料を広く選択できることにより、本発明に従って製造されるフェロエレクトレットを、用途分野に特によく合わせて調節することができる。
【0060】
以下に記載する図面は、本発明をより詳細に説明することを意図するものであり、示され記載された態様に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
〔図1〕エンボスローラによって表面上に溝構造を設けた第1ポリマーフィルムの構造化を示す図である。
【0062】
〔図2〕両側に溝構造を取り入れた第1ポリマーフィルムを示す図である。
【0063】
〔図3a〕構造化フィルムと第2の滑らかなフィルムからポリマーフィルムコンポジットを製造することを示す斜視図である。
【0064】
〔図3b〕両面を構造化したフィルムと2つの非構造化フィルムからポリマーフィルムコンポジットを製造することを示す斜視図である。
【0065】
〔図3c〕第1構造化フィルムと第2の同様に構造化したフィルムからポリマーフィルムコンポジットを製造することを示す斜視図である。
【0066】
〔図3d〕2つの一方のみ構造化したフィルムと第3の非構造化フィルムからポリマーフィルムコンポジットを製造することを示す斜視図である。
【0067】
〔図4a〜4g〕ポリマーフィルム内を構造化することによって形成される高さのある外形の各種形状を示す図である。
【0068】
〔図5〕2つのポリカーボネートフィルムから成る本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットの拡大顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、エンボスローラ10によって、表面上に溝構造を設けた第1ポリマーフィルム1の構造化を模式的に示す。「エンボスローラ10」という用語によって、ローラはエンボスツールとして、その構造をポリマーフィルム上へ転写することができるものと理解される。たとえば、ポリマーフィルム1は、押出し直後に、エンボスローラ10と非構造化ガイドローラ11間に案内されてもよい。場合によっては、使用される装置内ではエンボスローラ10用の対向部品のために、ガイドローラ11に代えて非構造化プレートを用いることもできる。エンボスローラ10上の窪み12によって、相応に高さのある外形がポリマーフィルム1上に形成され得る。窪みによって、チャネルタイプの構造がポリマーフィルム上に形成され、これによって高さのある外形がバー2によって形成され、水平な基礎表面3上に、互いに平行で互いに分離されて配置され得る。構造化の示す形状は、本発明によれば、場合に従って適切な形状のダイを備えるスリットダイ押出しによっても得られ得る。使用されるエンボスローラは、好都合にも、形成されるべき所望の空隙形状に適切に合わせることができれば、他のエンボス構造を有してもよい。この構成では、ポリマーフィルム1の基礎表面3は、高さのある外形の反対側表面上に、ポリマーフィルム1の非構造化第2表面を形成する。示される態様の場合には、バー2は垂直な側面と水平なエッジで構成される。このような構造化ポリマーフィルム1を、本発明によれば、たとえば、図3aに示されるように、非構造化ポリマーフィルム5と接着して、長方形の断面を有するチャネルタイプの空隙4を形成することができる。溝構造は、示される実施の形態に限定されず、たとえば、窪みは半円状の断面を有するように形成されてもよい。但し、原理的には、本発明によれば、最終的に形成されるポリマーフィルムコンポジットの外向き表面は構造化されない。そして、分極の前および/または後に、電極をこれらの非構造化表面上に適用することができる。
【0070】
図2は、両側に形成された溝のある3次元構造を有する第1ポリマーフィルム1を示しており、この構造はたとえば、2つのエンボスローラ10がポリマーフィルム1に対して互いの上に配置され(ここでは図示しない)、ポリマーフィルム1が前記ローラ間に案内されることによって、組み込まれる。エンボスローラ10はこの場合には、各場合、円筒形状に構成された構造どうしが相互係合するように配置されてもよい。場合によっては、このように両面が構造化されたポリマーフィルム1の製造をたとえば、任意に予熱され形状形成された鋳ぐるみを備える成形ツール内で、任意に加熱されたポリマーフィルムに、圧力を印加することで変形させることによって、行うことができる。この場合のポリマーフィルム1では、ポリマーフィルム1の基礎表面3上には、図1に示されるような高さのある外形は配備されず、ポリマーフィルム1は全体的に3次元的に変形する。次に、図3bに示されるように、ポリマーフィルム1と非構造化フィルムとを、各場合、ポリマーフィルム1の両側表面上に両面から接着することによって、空隙4を形成することができる。本発明によれば、基礎表面3から出発して、高さのある外形を両面に形成するようにして、ポリマーフィルム1の両面に構造を作成することもできる。
【0071】
図3aは、図1と同様に製造された構造化ポリマーフィルム1と、第2の非構造化ポリマーフィルム5からの、本発明によるポリマーフィルムコンポジットの製造を模式的に示す。第2ポリマーフィルム5をポリマーフィルム1の表面上に配置することができ、ポリマーフィルム1上にはたとえば、高さのある外形がバー2の形態で形成されている。そこから形成される空隙4は、示される実施の形態では、長方形の断面を有し得る。2つのポリマーフィルム1および5の接着は、この場合には、ラミネート、粘着性接着、クリップ留め、クランプ締め、ネジ留め、リベット留めまたは溶接(たとえば、レーザ溶接、超音波溶接または振動溶接)により、行われもよい。
【0072】
図3bは、図2に示される両面が構造化されたポリマーフィルム1と、2つの非構造化ポリマーフィルム5および5’からの、本発明によるポリマーフィルムコンポジットの製造を模式的に示す。非構造化ポリマーフィルム5および5’と構造化ポリマーフィルム1とを、表面側の矢印の方向に接着すると、各場合粘着性接着によって、空隙4および4’のラミネーションを形成することができる。示される実施の形態では、各場合、長方形の断面を有し得る。本発明によれば、空隙4および4’は原理的には、各場合、互いに独立して様々な形状および寸法に構成されてもよい。これは、作成されるポリマーフィルムコンポジットのラミネーション内の空隙4および4’でも保持される。本発明による空隙のラミネーションは、2つの独立したポリマーフィルム間に形成されるものであると理解され示される。形成されたポリマーフィルムコンポジット内の空隙によって、好都合にも、厚さ(すなわちポリマーフィルム1、5、5’の層方向に垂直)に伴って、より柔軟になるフェロエレクトレット多層コンポジットを製造することができ、したがって、その弾性係数を低減し、得られた空隙の分極処理を可能にすることができる。2つのポリマーフィルム1および5の接着は、この場合には、ラミネート、粘着性接着、クリップ留め、クランプ締め、ネジ留め、リベット留めまたは溶接(たとえば、レーザ溶接、超音波溶接または振動溶接)により、行われもよい。原理的には、分極は、ポリマーフィルムの接着後に、たとえば、既に設置されている電極に電圧を印加することにより直接帯電させることによって、行われてもよい。電極の設置前なら、空隙の反対側の分極を、たとえば、コロナ放電またはプラズマ法により実施することができる。
【0073】
図3cは、図1と同様に製造された構造化ポリマーフィルム1と、第2の同様に構造化されたポリマーフィルム1’とからの、本発明によるポリマーフィルムコンポジットの製造を模式的に示す。ポリマーフィルム1および1’は共に、高さのある外形のために、基礎表面3上にバー2を有する。ポリマーフィルム1および1’は各場合、形成されたバーを有するその構造化表面側どうしを接着してもよい。この場合にはバー2は矢印の方向に正確に取り付けられるように互いの上に配置され、これによって長方形の断面を有するチャネルタイプの空隙4が、ポリマーフィルム1および1’の層方向に垂直に生じ得る。2つのポリマーフィルム1および1’の接着は、この場合には、ラミネート、粘着性接着、クリップ留め、クランプ締め、ネジ留め、リベット留めまたは溶接(たとえば、レーザ溶接、超音波溶接または振動溶接)により、行われもよい。
【0074】
図3dは、図1と同様に製造された構造化ポリマーフィルム1と、第2の同様に構造化されたポリマーフィルム1’と、さらに非構造化ポリマーフィルム5とからの、本発明によるポリマーフィルムコンポジットの製造を模式的に示す。本発明によれば、示されるように、第2の構造化ポリマーフィルム1’のその非構造化表面を、ポリマーフィルム1の構造化表面側上に、矢印の方向に配置し、これをポリマーフィルム5に接着することができる。ポリマーフィルム1’とさらにポリマーフィルム5との接着によって、次に第2の空隙ラミネーションが形成され得る。示される実施の形態では、構造化フィルム1および1’は、その構造を同じ向きにして互いの上に配置され、その後互いに接着される。同様に構造は異なる向きであってもよい。たとえば、構造がバーの場合には、バーを互いに対して45°または90°の角度で配置し、これによって本発明によれば、互いに関して構造の角度または向きを違えて、全てを配置することができる。ポリマーフィルム1および1’の層順序については、1以上の構造化および/または非構造化ポリマーフィルムを様々に連続させて、様々に実施してもよい。好都合にも、空隙を有するいくつかのラミネーションを備えるフェロエレクトレット多層コンポジットの製造は、それ故様々な様式が可能であり、任意に半製品として実存のポリマーフィルムに採用されてもよく、または意図する用途および所望の特性、たとえば、弾性係数および圧電定数に適合させてもよい。
【0075】
図4a〜4gは、ポリマーフィルム1内のエンボス構造の様々な実施の形態の上方図、すなわち、ポリマーフィルム1の層方向に対して右の角度での対応する空隙の基礎表面の可能な構造を示す。構造はたとえば、ポリマーフィルム1へと、エンボス加工によって、原理的にはポジ型またはネガ型形状に、すなわち凹凸として組み込まれる。示される構造の実施の形態および構成は単なる例を示し、本発明をいずれかの形態に制限することを意図するものではない。明瞭化のために、図4a〜4gでは各場合、形状の1つの窪みのみを例示的に参照の代表とする。
【0076】
図4aは凹部6を有する構造化ポリマーフィルム1を示し、凹部は円形の基礎表面を有する。凹部6は図4aに示されるように、さらに複数の小さい凹部6が形成されてもよい。
【0077】
図4bは凹部6を有する構造化ポリマーフィルム1を示し、凹部6は細長い長方形の基礎表面を有する。
【0078】
図4cは凹部6を有する構造化ポリマーフィルム1を示し、凹部6は十字型の基礎表面を有する。
【0079】
図4dは各種凹部6、6’を有する構造化ポリマーフィルムを示し、凹部は円形の基礎表面6の部分と菱形の基礎表面6’の部分とを有する。図4dは、円形6と菱形6’の断面を有する凹部が均一に分布した配置の場合には、好都合にも、全空隙容積を特に大きくすることができることを示している。
【0080】
図4eは凹部6を有するポリマーフィルム1を示し、凹部6はハニカム型の基礎表面を有する。図4eは、もっぱらハニカム型断面を有する凹部6に基づく配置によって、同様に好都合にも、全空隙容積を大きくすることができることを示している。
【0081】
図4fは凹部6、6’、6”を有する構造化ポリマーフィルム1を示し、この構造は異なる形状および寸法で形成され、十字型6’、6”と実質的にハニカム型表面6を有する。さらに図4fは、凹部6、6’、6”は不均一に分布するように、かつ部分的に互いに接続するように形成されてもよいことを示している。
【0082】
図4gは凹部6を有するポリマーフィルム1を示し、凹部6は、異なるドット厚さおよびライン厚さの異なる構造、特に六角形/ハニカム型、十字型およびドットを組み合わせて適用することによって形成される。図4gはさらに、本発明による製造処理の終了後に、連続的ポリマー層との接触で、1以上の封止された空隙が得られるように、連続的なポリマー層の縁取り領域が、構造を取り囲むように形成されてもよいことを示している。このようにして凝集型の空隙を形成することができる。さらに図4gは、本発明の範囲内では、「高さのある外形を有する構造化ポリマーフィルム1」という表現によって、ポリマーフィルムが1のみの凹部6を有するものと理解されてもよく、この場合には凹部6はいくつかの凹部の融合または結合と理解されてもよい、といったことを示している。
【0083】
図5は、2つのポリカーボネートフィルムから成る本発明によるフェロエレクトレット多層コンポジットの断面の拡大顕微鏡写真を示す。構造化ポリマーフィルム1は厚さ75μmのポリカーボネートフィルム(マクロホール・ベイヤー・マテリアル・サイエンスAG)であり、これを本目的のために、ちょうどガラス転移温度未満の130〜140℃に加熱した。この後、ポリカーボネートフィルム1を、溝の外形を有する成形ツール上に250barの空気圧でプレスした。成形ツールによって、ポリカーボネートフィルム1は変形して、半円筒形状の凹部を形成した。この場合には、ポリマーフィルム1の反対表面上に、相応の構造が、半円筒形状の高さのある外形として形成された。構造によって凹部を備えた構造化ポリカーボネートフィルム1のその表面側上に、75μmの厚さの滑らかなポリカーボネートフィルム5を配置し、第1フィルムにラミネートによって接着した。この手段によって、ポリマーフィルム1および5の層方向に垂直に半円状の断面を有する空隙が生じた。断面では、空隙4は100μmの高さを有していた。盛り上がりのあるポリマーフィルム1の緻密質の外側表面と、さらにはポリマーフィルム5の外向きの非構造化表面に、次に各場合、50nmの厚さのアルミニウム電極を設けた。内側空隙4の分極を、直接電圧を印加することによって行った。作成したコンポジットは、実施例5に従って得られた試験片の圧電活性に比べて、良好な圧電活性を示した。
【0084】
本発明を以下に記載する実施例によってさらに説明するが、これに限定されない。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
潤滑添加剤マスターバッチの製造
常套の二軸混練押出し成形機(たとえば、ZSK 32)を用いた、250℃〜330℃のポリカーボネートにとって一般的処理温度での、潤滑添加剤化合物の製造。
【0086】
以下の組成を有するマスターバッチを:
・ベイヤー・マテリアル・サイエンスAGによって製造されたポリカーボネート、マクローロン(Makrolon)2600 000000を、98重量%の割合で、
・ジ−イソプロピルジメチルアンモニウムパーフルオロブタンスルホネートを、無色のパウダーとして、2重量%の割合で、
製造した。
【0087】
(実施例2)
(フィルム押出し)
以下の組成の化合物を:
・実施例1による潤滑添加剤マスターバッチを20重量%の割合で、およびベイヤー・マテリアル・サイエンスAGによって製造されたポリカーボネート、マクローロン2600
を80.0重量%の割合で、
混合した。
【0088】
フィルムの製造に使用される設備は、
・105mmの直径(D)と41×Dの長さのスクリューを備えるメイン押出し成形機;スクリューは脱気ゾーンを有する;
・1500mm幅の押出しスリットダイ;
・水平なローラ配置を有する3−ローラスムージングカレンダ、第3ローラは水平に関して+/−45°で旋回することができる;
・ローラトラック;
・保護フィルムを両面塗布するための装置;
・取出し装置;
・巻上げステーション
から成る。
【0089】
粒剤を押出し成形機の充填ファンネルに投入した。押出し成形機の可塑化システムのシリンダ/スクリューで、材料の溶融と運搬を行った。材料溶融物をスムージングカレンダに投入し、そのローラの温度を表1に記載した。(3つのローラから成る)スムージングカレンダで、フィルムを規定の形状にし、冷却を行った。
【0090】
【表1】

【0091】
フィルム表面の一方側を構造化する目的のために、この場合には、使用される設備において、ゴムローラを第1の位置で使用した。フィルム表面の構造化用に使用されるゴムローラは、ナウタ・ロール社(Nauta Roll Corporation)が持つ特許第US4,368,240号公報に開示される。
【0092】
設備の第2の位置には、高度複合放物集光器(advanced−compound−parabolic concentrator)(ACPC)構造を用いて構造化された金属ローラを使用した。以下のパラメータ:受光角8°、短縮係数:0.05を有するACPC構造を使用した。
【0093】
構造の複合放物集光器(CPC)領域を:
a)規定受光角によるフレネル方程式からの媒体の開口角θとθとを計算;
b)以下の方程式
【数1】

(式中、θ1,2は、左側のパラボラの媒体の開口角(θ)と右側のパラボラの媒体の開口角(θ)であり、xはX座標であり、y1,2は左側のパラボラのY座標(y)と右側のパラボラのY座標(y)とである)
による、媒体の開口角がθであるパラボラブランチ(parabola branch)Pの構築および媒体の開口角がθであるパラボラブランチPの2つのパラボラブランチの構築;
c)パラボラブランチのエンドポイント(end−point)F、FおよびE、Eの計算;
d)媒体の開口角−θおよびθ周りのパラボラの回転およびパラボラPのX軸に沿う並進;
e)任意に、θ1≠θ2の非対称変形の場合、ポイントEとEとによって規定される傾斜面の傾斜の決定;
f)工程a)〜e)において構築されるジオメトリーからの大気中における有効受光角の決定;
g)有効受光角と規定受光角との比較、ずれが0.001%よりも大きい場合、工程a)において規定受光角の代わりに修正受光角を用いた、工程a)〜f)の繰り返しであって、修正受光角が規定受光角と同じでなく、工程f)の有効受光角が規定受光角と一致するように修正受光角が選択される、工程a)〜f)の繰り返し;並びに
h)有効受光角の規定受光角からのずれ0.001%以下を達成すると、パラボラのy方向を短縮係数によって規定される程度に短縮すること;
によって決定することができた。
【0094】
上に示す構造の記載は非常に一般性を維持したものであるので、ACPC構造を有するローラは原理的には、様々な材料から製造されてもよい(媒体1:たとえば、PMMAまたはポリカーボネート)。さらに、ACPC領域を様々な環境で使用してもよい(媒体2:たとえば、空気または水)。すなわち、媒体1および媒体2のその屈折率を次に定められたフレネル方程式に代入する。
【0095】
次にエンボス加工されたフィルムを取出し装置によって搬送した。この後、ポリエチレンから成る保護フィルムを両側に塗布し、フィルムの巻上げを行うことができた。ベース層が180μmの厚さを有するフィルムを得、その一方側上にACPC構造をエンボス加工し、他方側上に8μmの粗面度Rzの深さを有するテクスチャーを加工した。ベース層からのACPC構造の高さは73μmであり、間隔は135μmであった。言い換えれば、谷から谷まで135μmの間隔であり、谷からピーク頂点までは垂直に73μmの間隔である。
【0096】
(実施例3)
ローラによって構造化された第1フィルムと、20μmの厚さを有する滑らかなポリカーボネートフィルムとからのフェロエレクトレット多層コンポジットの製造:
滑らかな20μmの厚さのポリカーボネートフィルムを、実施例1に記載されるような、ACPCローラの外形を備え、285μmの厚さを有するポリカーボネートフィルムの構造化された側上に配置した。次に、このフィルムコンポジットを205℃でラミネートした。ラミネート後、フィルムコンポジットは285μmの層厚を有する。ローラの外形がフィルムの深さの外形になり、2つのポリカーボネートフィルムのポリマーフィルムコンポジット内に空隙が形成される。断面では、これらの空隙は40μmの高さと25μmの幅を有する。空隙の間隔はエンボス加工ローラの外形によって予め定められる。しかし、ラミネート処理のために、ローラの外形は幾分平坦化されるので、空隙は当初のローラの外形の予め定められた高さより小さくなる。その結果、層スタック全体の厚さは、ラミネート処理前の個々のフィルムの層厚の合計より小さくなる。次に、フィルムコンポジットの両側表面上に、50nmの厚さのアルミニウム電極を設けた。内側空隙の分極は、17kV〜19kVの電圧を直接印加することによって行った。分極後、圧電効果を直接測定した。17kVでの分極の場合には、測定により、分極直後に4pC/Nのd33係数を得、19kVでの分極の場合には、5pC/Nのd33係数を得た。各試験片について5回の測定を行い、平均値を作成した。
【0097】
(実施例4)
ローラ外形を有するポリカーボネートフィルムと、50μmの厚さの滑らかなポリカーボネートフィルムとからのフェロエレクトレット多層コンポジットの製造:
滑らかな50μmの厚さのポリカーボネートフィルムを、実施例1と同様のローラの外形を備え、285μmの全体厚さを有するフィルムの外形形成された側上に配置した。次に、このフィルムコンポジットを205℃でラミネートした。ラミネート後、フィルムコンポジットは320μmの厚さを有する。ローラの外形がフィルムの深さの外形になり、ポリマーフィルムスタック内に三角形の空隙が形成される。これらの空隙は約40μmの深さと60μmの幅を有する。空隙の間隔はエンボス加工ローラの外形によって予め定められる。ラミネート処理のために、50μmの厚さのポリカーボネート層はローラ外形内にプレスされるので、空隙は当初のローラの外形の予め定められた高さより小さくなる。その結果、ポリマーフィルムコンポジット全体の厚さは、ラミネート処理前の個々のフィルムの層厚の合計より小さくなる。次に、フィルムコンポジットの両側表面上に、50nmの厚さのアルミニウム電極を設けた。内側空隙の分極は、20kVの電圧を直接印加することによって行った。分極後、圧電効果を直接測定した。この実施例によれば、4cm×4cmの大きさの4つの試験片を作成し、それぞれ5回評価した。分極直後の測定値について平均値を得、これを表2に示す。
【0098】
【表2】

【0099】
(実施例5)
エンボスローラによって構造化された2つのポリカーボネートフィルムからのフェロエレクトレット多層コンポジットの製造:
各場合、全体(基礎表面と構造)で285μmの厚さを有し、ローラの外形を備える2つのフィルムの外形形成された側を、エンボス構造が交差するように、互いの上に配置した。次に、このフィルムコンポジットを205℃でラミネートした。ラミネート後、フィルムコンポジットは550μmの層厚を有する。ローラの外形がフィルムの深さの外形になり、層スタック内に空隙が形成される。空隙は交差構造に関して45°と評価され、断面では、これらの空隙は約50μmの高さと100μmの幅を有する。空隙の間隔は、45°と評価されるので、190μmに相当する。ラミネート処理のために、ローラの外形は平坦化されたので、空隙の寸法は当初のローラの外形の予め定められた高さより小さくなった。その結果、層スタック全体の厚さは、ラミネート処理前の個々のフィルムの層厚の合計より小さくなった。次に、フィルムコンポジットの外向きの両側表面上に、50nmの厚さのアルミニウム電極を設けた。内側の空隙の分極は、20kVの電圧を直接印加することによって行った。分極直接、圧電効果を測定した。この実施例によれば、4cm×4cmの大きさの9個の試験片を作成し、評価した。各場合、圧電定数の測定を5回行い、そこから平均値を作成した。分極直後の測定値についての値を得、これを表3に示す。
【0100】
【表3】

【0101】
(実施例6)
成形ツール内で圧力を印加することによって構造化された第1フィルムと、滑らかなポリカーボネートフィルムからのフェロエレクトレット多層コンポジットの製造:
75μmの厚さを有するポリカーボネートフィルム(マクロホール・ベイヤー・マテリアル・サイエンスAG)を、ちょうどガラス転移温度未満の130〜140℃に加熱した。この後、ポリカーボネートフィルムを、250barの空気圧を用いて、溝型外形を有する成形ツール上にプレスした。ポリカーボネートフィルムは、それ自体がツールの鋳ぐるみに適合して、永久的に溝型に変形した。この場合には、フィルムはその全体が変形するので、高さのある外形は一方表面上に生じ、対応する溝型凹部はポリカーボネートの他方表面側上に生じた。この構造化ポリカーボネートフィルム上に、滑らかな75μmの厚さのポリカーボネートフィルムを配置し、構造化ポリカーボネートフィルムにラミネートによって接着した。空隙は、ポリマーフィルムの層方向に垂直に半円状の断面を有していた。断面では、空隙は100μmの高さを有していた。次に、フィルムコンポジットの両面上に50nmの厚さのアルミニウム電極を設けた。内側空隙の分極は、電圧を直接印加することによって行った。作成したコンポジットは、実施例5により得られた試験片の圧電活性に比べて、良好な圧電活性を示した。ポリマーフィルムコンポジットの空隙領域を詳細に拡大したものを図5に示す。
【0102】
(実施例7)
エンボスパンチの外形を有するポリカーボネートフィルムと、滑らかな125μmの厚さのポリカーボネートフィルムから成るフェロエレクトレット多層コンポジット:
アルミニウムから成るエンボスパンチに溝構造を設けた。この関連で、溝は1mmの間隔、80μmの深さを有する。このエンボスパンチへと、ポリカーボネートフィルム(マクロホール DE 1−1、125μmの厚さ)を、ホットプレスでプレスし、溝構造を、高さのある外形の形態で、ポリカーボネートフィルム上に生じさせた。第2ポリカーボネートフィルム(マクロホール DE 1−1、125μmの厚さ)上に、Apec1800溶液(メシチレン、1メトキシ−2−プロパノールアセテート、1,2,4−トリメチルベンゼン、エチル−3−エトキシプロピオネート、クメンおよび溶媒ナフサ)をドクターブレードで塗布した。次に、溶媒が蒸発するまで、2つのフィルムを静かに互いにプレスし、このようにして互いに接着した。作成したコンポジットの外向き表面上に電極を設け、内側空隙4を分極した。ポリマーフィルムコンポジットは、実施例5により得られた試験片の圧電活性に比べて、良好な圧電活性を示した。
【0103】
作成したフェロエレクトレット多層コンポジット系のd33圧電定数の機械的測定様式、および測定の実施:
測定装置について、原理的には、以下の3つの主要要素:応力発生器、応力測定装置および電荷測定装置が必要である。応力発生器には、ブルーエル&クジャー(Bruel & Kjar)によって製造された電気的振動励振器、タイプ4810を選択した。振動励振器によって、入力電圧に依存した規定の応力を出力することができる。この振動励振器を可動式プラットホームに取り付け、垂直方向におけるその位置を手動で調節することができる。振動励振器の高さの調節は、試験片をクランプするために、必要である。さらに、測定に必要な静止時予備圧力を、これによって調節することができる。振動励振器を制御するために、スタンフォード・リサーチ・システムズ(Stanford Research Systems)によって製造された関数発生器DS345を、ブルーエル&クジャーによって製造された出力増幅器、タイプ2718と共同で使用した。応力測定装置には、バースター(Burster)によって製造された応力センサー、タイプ8435を用いた。応力センサーは、0N〜200Nの範囲内での圧力測定と張力測定の両方用に設計されている。しかし、力の作用は垂直方向にしか生じ得ないので、横力と回転力はセンサーに作用しない。これを担保するために、応力センサーは円筒状の圧力案内レールを備え、ステンレススチールから成るボルトがほとんど摩擦がない状態でそこをスライドしていた。ボルトの自在端部には2センチメートル幅の研磨されたプレートが配置され、試験片表面を担持する役割を果たしていた。応力センサーからの信号を、バースターによって製造されたモジュール式増幅器、タイプ9243で記録し、オシロスコープ、GOULD 4094に送信する。
【0104】
電荷測定装置には、ブルーエル&クジャーによって製造された電荷増幅器、タイプ2635を用いた。電荷増幅器によって、0.1pCまでの電荷を記録することができる。表面電荷の測定のために、試験片の両側を電荷増幅器に電気的に接続せねばならない。試験片の下側との電気的接触は、表面を担持することによって可能であり、そして構造全体に接続される。試験片の上側は、真鍮から成る加圧パンチによって電荷増幅器に接続した。パンチは、振動励振器上のプレキシガラスから成るアタッチメントによって、残りの構造からは電気的に絶縁され、ケーブルによって電荷増幅器に接続される。
【0105】
ケーブルは、機械的ストレスを排除し、そして測定結果の変造を排除するために、できる限り薄く柔軟であるべきである。測定信号は最終的に電荷増幅器からオシロスコープに送信される。基準として、3Nの予備圧力(静止時)を設定し、1Nの幅(動作時)で測定した。
【符号の説明】
【0106】
1 第1ポリマーフィルム、1’,5 第2ポリマーフィルム、4,4’ 空隙。
【図1】

【図2】

【図3a】

【図3b】

【図3c】

【図3d】

【図4a】

【図4b】

【図4c】

【図4d】

【図4e】

【図4f】

【図4g】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空隙を有するフェロエレクトレット2層または多層コンポジットを製造する方法であって、以下の工程:
a)第1ポリマーフィルム(1)の少なくとも1つの第1表面を構造化し、高さのある外形を形成し、
b)工程a)で形成された第1ポリマーフィルムの構造化表面上に、少なくとも1つの第2ポリマーフィルム(5,1’)を適用し、
c)ポリマーフィルム(1,1’,5)を接着してポリマーフィルムコンポジットを生じさせ、空隙(4,4’)を形成し、
d)工程c)で形成された空隙(4,4’)の内側表面を、反対電荷を用いて帯電させること
を特徴とする製造方法。
【請求項2】
工程a)における第1ポリマーフィルム(1)の少なくとも1つの表面の構造化がエンボス加工によって行われることを特徴とする請求項1による方法。
【請求項3】
エンボス加工が構造化ローラを用いて行われることを特徴とする請求項2による方法。
【請求項4】
エンボス加工が構造化エンボスパンチを用いて行われることを特徴とする請求項2による方法。
【請求項5】
工程a)における第1ポリマーフィルム(1)の少なくとも1つの表面の構造化が、任意に予熱され形状形成された鋳ぐるみを備える成形ツール内で、任意に加熱されたポリマーフィルムに、圧力を印加することで変形させることによって行われることを特徴とする請求項1による方法。
【請求項6】
工程a)における第1ポリマーフィルム(1)の少なくとも1つの表面の構造化が、所定形状のダイを用いて、ポリマーをスリット押出しすることによって行われることを特徴とする請求項1による方法。
【請求項7】
工程c)におけるポリマーフィルムコンポジットを得るためのポリマーフィルムの接着が、ラミネート、粘着性接着、クリップ留め、クランプ締め、ネジ留め、リベット留めまたは溶接(たとえば、レーザ溶接、超音波溶接または振動溶接)によって行われることを特徴とする請求項1による方法。
【請求項8】
工程d)における空隙の内側表面への帯電の前および/または後に、ポリマーフィルムコンポジットの外側表面への電極の配置を行うことを特徴とする請求項1による方法。
【請求項9】
工程a)、b)、c)および/またはd)を、連続ロール−ツー−ロール(roll−to−roll)法で実施することを特徴とする請求項1による方法。
【請求項10】
工程d)での帯電の前または後に、さらなる工程e)において、工程c)で形成されたポリマーフィルムコンポジットのエッジを封止すること包含することを特徴とする請求項1による方法。
【請求項11】
工程d)での分極の前に、さらなる工程f)において、ポリマーフィルムコンポジットの空隙内に気体を充填すること包含することを特徴とする請求項1による方法。
【請求項12】
少なくとも1つの第1ポリマーフィルム(1)および前記第1ポリマーフィルムと接着する第2ポリマーフィルム(1’,5)から成る層スタックを備えるフェロエレクトレット2層または多層コンポジットであり、少なくとも第1ポリマーフィルム(1)は、第2ポリマーフィルム(1’,5)に面する少なくともその表面側に、凹凸を有する構造を備え、第1ポリマーフィルム(1)は、第2ポリマーフィルム(1’,5)と、1以上の空隙(4)がポリマーフィルム(1)(1’,5)間に形成されるように接着し、さらに形成された空隙(4)の内側表面は反対電荷を有することを特徴とするフェロエレクトレット2層または多層コンポジット。
【請求項13】
ポリマーフィルムの層方向に平行および垂直な空隙の断面形状は、互いに独立して部分的または全体的に規則的または不規則な、円形、楕円形または長円形、多角形、ハニカム形、十字形、星形、部分円形部分多角形の形状から選択されることを特徴とする請求項12によるフェロエレクトレット2層または多層コンポジット。
【請求項14】
請求項12による少なくとも1つのフェロエレクトレット2層または多層コンポジットおよび/または請求項1による方法によって製造される少なくとも1つのフェロエレクトレット2層または多層コンポジットを備える圧電素子。
【請求項15】
第1ポリマーフィルムの少なくとも1つの表面を構造化する手段を包含することを特徴とする請求項1による方法を実施する装置。

【公表番号】特表2012−532768(P2012−532768A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539920(P2011−539920)
【出願日】平成21年11月28日(2009.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008479
【国際公開番号】WO2010/066348
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】