説明

フェンスの支柱

【課題】フェンスの組み立て、および分解作業が容易となるフェンスの支柱を提供すること。
【解決手段】長尺体により形成されるフェンス100の支柱1であって、支柱1には、上端から長手方向に沿って溝2が形成され、この溝2は、支柱1の内部に形成された孔部22と、この孔部22と支柱1の外部とを連通するスリット部21とから成り、孔部22の巾は、スリット部21の巾より大きくしたので、フェンス100の仕切り体3を溝2に沿って挿入するだけで、フェンス100の組み立てが完了し、仕切り体3を溝2に沿って上方に持ち上げ、支柱1の上端から引き抜くだけで、フェンス100の分解が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスの支柱に関する。特に支柱の長手方向に沿って溝が形成されるフェンスの支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、互いに隣接する敷地を仕切り敷地境界を明確にするためや、家屋が建てられた敷地への侵入防止のためや、敷地内を目隠しするためにブロック塀が設けられてきた。
このブロック塀は、コンクリート製の基礎の上に、ブロックを積むことにより形成される。
【0003】
しかしながら、地震大国である日本においては、地震が起きた場合のことを考慮する必要がある。このようなブロック塀は、重量が重いため、地震の大きさによっては倒壊し、大きな事故につながるおそれがある。また、ブロック塀は、ブロックとブロックの間に鉄筋を入れながら一段ずつ積んでいくため、設置に多大な労力を要する。
そこで、軽量で設置が容易なフェンスが提案されている。
【0004】
このようなフェンスとしては、例えば、複数の支柱と、支柱間に架け渡された上下の横桟と、この横桟に支持されたフェンス部材とを備えてなるフェンスにおいて、横桟を中空構造とし、支柱に取り付けられた取付金具を横桟の中空部分に挿入し、横桟の外方から挿入された固定具でフェンス部材を支持させた横桟を支柱に固定するフェンスの固定構造が提案されている(特許文献1参照)。
このフェンスの固定構造によれば、中空構造にしたことで、軽量化が図れるので、その取り扱いが容易となる。
【特許文献1】特開2002−4647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなフェンスの固定構造により、フェンスを組み立て、または分解するためには、複数の部品を、道具を使って、組み立て、または分解する必要があり、組み立て、または分解作業が煩雑であった。
ここで、多雪地域にこのようなフェンスを設置した場合に、大量の雪が降ると、フェンス部材に大量の雪が積もり、雪の重みでフェンス部材が押し倒され、この押し倒されたフェンス部材に引っ張られることで支柱も破壊される場合がある。
よって、大量の雪が降るおそれがあるときには、フェンスのフェンス部材だけ取り外したいという要望がある。
しかし、通常、フェンスは数十メートルに亘って設置されているので、フェンスの分解作業が煩雑であると、全てのフェンス部材を取り外し、再び取り付けることは容易ではない。
【0006】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、フェンスの組み立て、および分解作業が容易となるフェンスの支柱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のようなものを提供する。
【0008】
(1) 長尺体により形成されるフェンスの支柱であって、前記支柱には、上端から長手方向に沿って溝が形成され、この溝は、前記支柱の内部に形成された孔部と、この孔部と前記支柱の外部とを連通するスリット部とから成り、前記孔部の巾は、前記スリット部の巾より大きいことを特徴とする支柱。
【0009】
(1)の発明によれば、長尺体により形成されたフェンスの支柱に、上端から長手方向に沿って溝を形成し、この溝を支柱の内部に形成した孔部と、この孔部と支柱の外部とを連通するスリット部とで構成し、孔部の巾をスリット部の巾より大きくした。
ここで、通常、フェンスは、網体やパネル等で形成され空間を仕切る仕切り体と、この仕切り体を支持する支柱と、仕切り体を支柱に取り付ける取付装置とで構成される。
よって、この支柱を用いてフェンスを組み立て、および分解する手順は、以下のようになる。
まず、この長尺体により形成した支柱を、仕切り体の巾に合わせて、地面、または地面に埋設した基礎の上に設置する。ここで、仕切り体には、ワイヤーメッシュ、パネル、パンチングメタル等の一般的に流通している物を使用することができる。
次に、仕切り体の略鉛直方向に形成された辺の下端部を、支柱の上面に近接させ、支柱の上端から長手方向に沿って形成した溝に、上方から下方に挿入する。以上の手順の作業だけで、フェンスの組み立てが完了する。また、仕切り体を溝に沿って上方に持ち上げ、支柱の上端から引き抜くだけで、フェンスの分解が完了する。
したがって、フェンスの組み立て、および分解作業が容易となる。
【0010】
さらに、溝を支柱の内部に形成した孔部と、この孔部と支柱の外部とを連通するスリット部とで構成し、孔部の巾をスリット部の巾より大きくした。
よって、例えば、一般的に流通している金物を仕切り体の略鉛直方向に形成された辺に取り付けたり、この辺を仕切り体の表面から突出するように屈曲させる等の簡易な手段により、仕切り体の表面から突出する突出部を設ける。この突出部の出巾を溝の孔部の巾より小さく、かつ溝のスリット部の巾より大きくすることで、このような突出部を仕切り体に設けた場合でも、仕切り体の略鉛直方向に形成された辺の下端部を、支柱の上面に近接させ、仕切り体の下端をスリット部に近接させ、突出部を孔部に近接させ、溝に沿って挿入するだけで、フェンスの組み立てが完了し、仕切り体を溝に沿って上方に持ち上げ、支柱の上端から引き抜くだけで、フェンスの分解が完了する。
また、フェンスの組み立てが完了すると、仕切り体の突出部が支柱の孔部に係合するので、仕切り体が支柱から略水平方向に向けて抜けるのを防止し、確実に仕切り体を支柱に固定できる。
したがって、フェンスの組み立て、および分解作業が容易になるとともに、フェンスの組み立てが完了したときは、フェンスの安定性を向上できる。
【0011】
(2) 前記支柱の形状は、円柱形状または多角柱形状であることを特徴とする(1)に記載の支柱。
【0012】
(2)の発明によれば、支柱の形状を円柱形状または多角柱形状としたので、一般に流通している既成の材料の中から、フェンスの使用目的および美観に応じた形状を選択できる。よって、フェンスの経済性とデザイン性とをともに向上できる。
【0013】
(3) 前記支柱は、木材、プラスチック、石、コンクリート、および金属からなる群から選択されるいずれか一種の材質により形成されることを特徴とする(1)または(2)に記載の支柱。
【0014】
(3)の発明によれば、支柱を、木材、プラスチック、石、コンクリート、および金属からなる群から選択されるいずれか一種の材質により形成したので、支柱の加工が容易となり、一般的に流通している道具を用いて、支柱に溝を形成できる。よって、支柱の大量生産が可能となり、支柱を安価で市場に供給できる。
【0015】
(4) 前記孔部は、略一文字形状、略V字形状、略三角形状、および略円形状からなる群から選択されるいずれか一種の形状に形成されることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の支柱。
【0016】
(4)の発明によれば、孔部を、略一文字形状、略V字形状、略三角形状、および略円形状からなる群から選択されるいずれか一種の形状に形成したので、上述の仕切り体の突出部の形状を、フェンスの使用目的に応じた様々な形状としても、この突出部と孔部とを係合できる。
【0017】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の支柱と、この支柱に支持され、空間を仕切る仕切り体と、この仕切り体を前記支柱に取り付ける取付装置とからなるフェンスの取付構造であって、前記取付装置は、前記仕切り体と係合する係合部と、この係合部から延出する腕部と、この腕部の延出方向の先端側に設けられ、前記溝に挿入されて前記取付装置と前記支柱とを固定する固定部とから成り、前記固定部は、前記腕部の先端から延出し、雄ねじが形成された軸部と、雌ねじの形状で形成された開口部を有し、この開口部により前記軸部と螺合する固定片とから成り、前記軸部は、前記軸部の外径である軸外径が前記支柱の前記スリット部の巾より小さい寸法で形成され、前記固定片の一部は、前記軸部の延出方向に略直交する方向の巾が前記スリット部の巾より大きい寸法で形成されることを特徴とするフェンスの取付構造。
【0018】
(5)の発明によれば、支柱、仕切り体、および仕切り体を支柱に取り付ける取付装置とで構成したフェンスの取付構造の取付装置を、仕切り体と係合する係合部、この係合部から延出する腕部、この腕部の延出方向の先端側に設けられ、支柱の溝に挿入されて取付装置と支柱とを固定する固定部とで構成した。
よって、取付装置を介して、仕切り体を支柱によって支持できるので、取付装置の腕部の長さを変えることで、仕切り体と支柱との距離を任意の距離としつつ、仕切り体を支柱によって支持できる。
例えば、隣地や道路との境界線上にフェンスを設置する場合、この境界線上に縁石やアスファルトが敷設されていると支柱を設置することが困難であるので、支柱を境界線から下がった土が露出している部分に設置し、仕切り体を取付装置により境界線上まで持ち出して支持することで、境界線上に仕切り体を配置することができる。
【0019】
また、取付装置の固定部を、腕部の先端から延出し雄ねじが形成された軸部と、雌ねじの形状で形成された開口部を有しこの開口部により軸部と螺合する固定片と、で構成し、軸部を軸部の外径である軸外径が支柱のスリット部の巾より小さい寸法で形成し、固定片の一部を、軸部の延出方向に略直交する方向の巾がスリット部の巾より大きい寸法で形成した。
よって、取付装置を支柱に固定する手順は、以下のようになる。
まず、地面等に設置した支柱の溝に、略水平方向から取付装置の固定部を近接させる。このとき、固定片を軸部の先端に螺合させ、この固定片のスリット部の巾より大きい寸法で形成した部分を、支柱の長手方向に形成されたスリット部に沿うように配置し、スリット部を挿通させて、孔部まで挿入する。次に、軸部を回動させて、孔部の内部で、固定片のスリット部の巾より大きい寸法で形成した部分を、支柱の長手方向に沿う方向からずらして配置する。すると、軸部を挿入した方向と反対の方向に引っ張ると、固定片は、スリット部から抜けず、孔部のスリット部が設けられた側の側壁に当接する。固定片を孔部の側壁に当接させた状態で、軸部を所定方向に回転させると、固定片は側壁との摩擦により回動しないで、当節した状態が維持される。一方、軸部の先端は、軸部を挿入した方向に回転しながら挿入しつづける。軸部の先端は、やがて、孔部のスリット部が設けられた側と反対側の側壁に当接する。すると、軸部の先端、および固定片により、孔部の互いに対向する側壁を押圧することで、取付装置を支柱に固定できる。
また、取付装置を支柱から取り外す場合は、軸部を上記の所定の方向と反対方向に回転させると、軸部の先端と固定片とにより孔部の互いに対向する側壁を押圧した状態を解除できる。その後、固定片のスリット部の巾より大きい寸法で形成した部分を、支柱の長手方向に形成されたスリット部に沿うように配置し、軸部を挿入した方向と反対の方向に引っ張ることで、取付装置を支柱から取り外すことができる。
【0020】
すなわち、取付装置の固定片を支柱の溝の任意の位置に、挿入し、軸部を所定方向に回転させるだけで、取付装置を支柱に固定でき、この取付装置の係合部に仕切り体を係合するだけで、フェンスを組み立てることができる。また、このフェンスを分解する場合は、取付装置の係合部から仕切り体を外し、取付装置の軸部を所定方向と反対方向に回転させ、取付装置を支柱から取り外すだけで、フェンスを分解することができる。
したがって、フェンスの組み立て、および分解作業が容易になるとともに、フェンスの設置位置の自由度を向上し、フェンスの組み立てが完了したときは、フェンスの安定性を向上できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、長尺体により形成した支柱を、仕切り体の巾に合わせて、地面、または地面に埋設した基礎の上に設置する。次に、仕切り体の略鉛直方向に形成された辺の下端部を、支柱の上面に近接させ、支柱の上端から長手方向に沿って形成した溝に、上方から下方に挿入する。以上の手順の作業だけで、フェンスの組み立てが完了する。また、仕切り体を溝に沿って上方に持ち上げ、支柱の上端から引き抜くだけで、フェンスの分解が完了する。
したがって、フェンスの組み立て、および分解作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る支柱1の斜視図である。
支柱1は、略直方体形状に形成されている。この支柱1の4つ側面1aの略中央には、それぞれ、支柱1の上端面1bから下端面1cまで長手方向に沿って溝2が形成されている。また、支柱1の上端面1bや下端面1cには、後述する基礎4の支持棒41(図4参照)が挿入される支持穴11が形成されている。支柱1は、木材により形成されている。
【0023】
なお、支柱1を略直方体形状に形成したが、これに限らず、支柱1を円柱形状または略直方体以外の多角柱形状に形成してもよい。
また、支柱1を木材により形成したが、これに限らず、支柱1をプラスチック、石、コンクリート、および金属からなる群から選択されるいずれか一種の材質により形成してもよい。
【0024】
図2は、本発明の第1実施形態に係る支柱1の上面図である。
溝2は、支柱1の内部に形成され、断面形状が略一文字形状の孔部22と、この孔部22と支柱1の外部とを連通し、断面形状が略I字形状のスリット部21とから構成されている。すなわち、溝2の断面形状は、略T字形状に形成されている。
【0025】
なお、孔部22の断面形状を略一文字形状に形成したが、これに限らず、孔部22の断面形状は、略一文字形状、略V字形状、略三角形状、および略円形状からなる群から選択されるいずれか一種の形状に形成してもよい。
【0026】
図3は、本発明の第1実施形態に係る支柱1の側面図である。
支柱1の溝2は、以下の手順で形成される。
まず、I字型の歯をルーターに装着し、このルーターを支柱1の上端面1bから下端面1cまで長手方向に沿って、I字型の歯を回転させながら移動することで、スリット部21を形成する。次に、このスリット部21の巾より小さい軸の先端に、この軸に略直交する方向に向けて円形状の歯をルーターに装着し、このルーターを支柱1の上端面1bから下端面1cまで長手方向に沿って、円形状の歯を回転させながら移動することで、孔部22を形成する。
なお、溝2は、I字型の歯の先端に、このI字型の歯に略直交する方向に向けた円形状の歯を設けたルーターにより、1段階で形成することもできる。
【0027】
図4は、本発明の第1実施形態に係るフェンス100の斜視図である。
フェンス100は、空間を仕切る仕切り体3と、この仕切り体3を支持する支柱1と、この支柱1を支持する基礎4とで構成されている。また、フェンス100は、所定方向に沿って、略一直線状に複数の支柱1を順次配置している。
【0028】
仕切り体3は、矩形形状のワイヤーメッシュにより形成されている。この仕切り体3の厚さは、支柱1のスリット部21の巾より小さい寸法である。この仕切り体3の互いに対向する辺には、それぞれ、I字状に形成されたプレート31が固着されている。このプレート31の巾は、支柱1の孔部22の巾より小さい寸法である。
【0029】
基礎4は、上面から下面に向けて径が徐々に広がる円柱体状に形成されている。この基礎4は、コンクリートにより形成されている。また、基礎4には、支柱1に形成された支持穴11に挿入する支持棒41の一部が埋設され、基礎4の上面には、支持棒41の一部が略鉛直方向に向けて突出している。
【0030】
図5は、本発明の第1実施形態に係る取付部分の部分断面図である。
次に、フェンス100を組み立て、および分解する手順について説明する。
まず、仕切り体3の巾を所定間隔として、この所定間隔で、基礎4の一部を地中に埋設する。次に、この埋設した基礎4の支持棒41に支柱1の下端面1cの支持穴11に挿入することで、基礎4の上に支柱1を設置する。次に、仕切り体3を支柱1の上端面1bの上方に配置する。その後、仕切り体3のプレート31を上端面1bに形成されている孔部22近接させ、支柱1の溝2に沿って、上端面1bから下端面1c向けて挿入する。以上の手順で、フェンスの組み立てが完了する。
また、フェンス100を分解する場合は、仕切り体3を溝2に沿って上方に持ち上げ、支柱1の上端面1bから引き抜くだけで、フェンスの分解が完了する。
【0031】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)仕切り体3にプレート31を設けた場合でも、プレート31を孔部22に近接させ、溝2に沿って挿入するだけで、フェンス100の組み立てが完了し、仕切り体3を溝2に沿って上方に持ち上げ、支柱1の上端面1bから引き抜くだけで、フェンス100の分解が完了する。
また、フェンス100の組み立てが完了すると、仕切り体3のプレート31が支柱1の孔部22に係合するので、仕切り体3が支柱1から略水平方向に向けて抜けるのを防止し、確実に仕切り体3を支柱1に固定できる。
したがって、フェンスの組み立て、および分解作業が容易になるとともに、フェンスの組み立てが完了したときは、フェンスの安定性を向上できる。
【0032】
(2)支柱1の形状を円柱形状または多角柱形状とすることを可能としたので、一般に流通している既成の材料の中から、フェンス100の使用目的および美観に応じた形状を選択できる。よって、フェンス100の経済性とデザイン性とをともに向上できる。
【0033】
(3)支柱を、木材、プラスチック、石、コンクリート、および金属からなる群から選択されるいずれか一種の材質により形成することを可能にしたので、支柱の加工が容易となり、一般的に流通している道具を用いて、支柱に溝を形成できる。よって、支柱の大量生産が可能となり、支柱を安価で市場に供給できる。
【0034】
(4)孔部22を、略一文字形状、略V字形状、略三角形状、および略円形状からなる群から選択されるいずれか一種の形状に形成したので、プレート31に限らず、仕切り体3の端部の形状を、フェンス100の使用目的に応じた様々な形状としても、この仕切り体3の端部と孔部22とを係合できる。
【0035】
<第2実施形態>
以下の第2実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るフェンス200の斜視図である。
第2実施形態では、複数の支柱1を略矩形状に配置し、基礎4を設けていない点が、第1実施形態と異なる。
フェンス200は、空間を仕切る仕切り体3と、この仕切り体3を支持する支柱1とで構成されている。また、フェンス200は、所定方向に沿って、複数の支柱1を略矩形状に配置している。
このように、所定の空間を囲うように、複数の支柱1と仕切り体3とを配置することで、基礎を設けなくても、フェンス200を自立させることができる。
【0036】
<第3実施形態>
以下の第3実施形態の説明にあたって、第1実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図7は、本発明の第3実施形態に係る取付構造10の斜視図である。
第3実施形態では、仕切り体3を、取付構造10を介して、支柱1に支持している点が、第1実施形態と異なる。
取付構造10は、仕切り体3と係合する係合部51と、この係合部51から延出する腕部52と、この腕部52の延出方向の先端側に設けられ、取付装置5と支柱1を固定する固定部53とで構成されている。
【0037】
係合部51は、しゃもじ型のプレートにより形成されている。この係合部51の先端側には、欠き込み部511が形成されている。この欠き込み部511は、仕切り体3を形成する複数のワイヤーのいずれかと係合する。また、係合部51には、係合した仕切り体3を固定するためのバンド孔512が形成されている。この係合部51の基端側には、腕部52が棒状体を形成して延出している。
【0038】
固定部53は、腕部52の先端から延出し、雄ねじが形成された軸部531と、雌ねじの形状で形成された開口部532aを有し、この開口部532aにより軸部531と螺合する固定片532と、円板状体の略中心に雌ねじの形状で形成された開口部533aを有し、この開口部533aにより軸部531と螺合する円板片533とで構成されている。
【0039】
軸部531は、軸部531の外径である軸外径が支柱1のスリット部21の巾より小さい寸法で形成され、固定片532の一部は、軸部531の延出方向に略直交する方向の巾がスリット部21の巾より大きい寸法で形成されている。また、円板片533の開口部533aの周囲には、複数のビス孔が形成されている。
【0040】
図8は、本発明の第3実施形態に係る取付構造10の部分断面図である。
次に、取付装置5を支柱1に取り付け、および取り外す手順について説明する。
まず、取付装置5において、固定片532を軸部531の先端側に配置し、円板片533を腕部52側に配置する。次に、取付装置5を支柱1の上端面1bの上方に配置する。その後、取付装置5の固定片532を上端面1bに形成されている孔部22に近接させ、支柱1の溝2に沿って、上端面1bから下端面1cに向けて挿入する。取付装置5を地面から所定の高さで配置し、軸部531を支柱1から離す方向に引っ張ると、固定片532は、孔部22のスリット部21が設けられた側の側壁22aに当接する。固定片532を孔部22の側壁22aに当接させた状態で、軸部531を所定方向に回転させると、固定片532は側壁22aとの摩擦により回動しないで、当節させた状態が維持される。一方、軸部531の先端は、支柱1の中心方向に回転しながら挿入しつづける。軸部531の先端は、やがて、孔部22のスリット部21が設けられた側と反対側の側壁22bに当接する。すると、軸部531の先端、および固定片532により、孔部22の互いに対向する側壁22a、22bを押圧することで、取付装置5を支柱1に固定できる。さらに、円板片533を所定方向に回転させて、支柱1の側面1aに当接させ、必要に応じて円板片533のビス孔から支柱1にビスをねじ込むことで、取付装置5を支柱1にさらに強固に固定できる。
【0041】
また、取付装置5を支柱1から取り外す場合は、円板片533を所定方向と反対方向に回転させてから、軸部531を上記の所定の方向と反対方向に回転させると、軸部531の先端と固定片532とにより孔部22の互いに対向する側壁22a、22bを押圧した状態を解除できる。その後、取付装置5を溝2に沿って上方に持ち上げ、支柱1の上端面1bから引き抜くと、取付装置5を支柱1から取り外すことができる。
【0042】
さらに、固定片532の一部を、軸部531の延出方向に略直交する方向の巾がスリット部21の巾より大きい寸法で形成するとともに、固定片532のその他の部分をスリット部21の巾より小さい寸法で形成することで、以下の手順で、取付装置5を支柱1に取り付け、および取り外すことができる。
【0043】
まず、固定片532を軸部531の先端側に配置し、円板片533を腕部52側に配置する。次に、基礎4に設置した支柱1の溝2に、略水平方向から取付装置5の固定部53を近接させる。このとき、この固定片のスリット部21の巾より大きい寸法で形成した部分を、支柱1の長手方向に形成されたスリット部21に沿うように配置し、スリット部21を挿通させて、孔部22まで挿入する。次に、軸部531を回動させて、孔部22の内部で、固定片532のスリット部21の巾より大きい寸法で形成した部分を、支柱1の長手方向に沿う方向からずらして配置する。すると、軸部531を挿入した方向と反対の方向に引っ張ると、固定片532は、スリット部21から抜けず、孔部22のスリット部21が設けられた側の側壁22aに当接する。固定片532を孔部22の側壁22aに当接させた状態で、軸部531を所定方向に回転させると、固定片532は側壁22aとの摩擦により回動しないで、当節させた状態が維持される。一方、軸部531の先端は、軸部531を挿入した方向に回転しながら挿入しつづける。軸部531の先端は、やがて、孔部22のスリット部21が設けられた側と反対側の側壁22bに当接する。すると、軸部531の先端、および固定片532により、孔部22の互いに対向する側壁22a、22bを押圧することで、取付装置5を支柱1に固定できる。さらに、円板片533を所定方向に回転させて、支柱1の側面1aに当接させ、必要に応じて円板片533のビス孔から支柱1にビスをねじ込むことで、取付装置5を支柱1にさらに強固に固定できる。
【0044】
また、取付装置5を支柱1から取り外す場合は、円板片533を所定方向と反対方向に回転させてから、軸部531を上記の所定の方向と反対方向に回転させると、軸部531の先端と固定片532とにより孔部22の互いに対向する側壁22a、22bを押圧した状態を解除できる。その後、固定片532のスリット部21の巾より大きい寸法で形成した部分を、支柱1の長手方向に形成されたスリット部21に沿うように配置し、軸部531を挿入した方向と反対の方向に引っ張ることで、取付装置5を支柱1から取り外すことができる。
【0045】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(5)取付装置5を介して、仕切り体3を支柱1によって支持できるので、取付装置5の腕部52の長さを変えることで、仕切り体3と支柱1との距離を任意の距離としつつ、仕切り体3を支柱1によって支持できる。
例えば、隣地や道路との境界線上にフェンス100を設置する場合、この境界線上に縁石やアスファルトが敷設されていると支柱を設置することが困難であるので、支柱1を境界線から下がった土が露出している部分に設置し、仕切り体3を取付装置5により境界線上まで持ち出して支持することで、境界線上に仕切り体3を配置することができる。
【0046】
また、取付装置5の固定片532を支柱1の溝2の任意の位置に、挿入し、軸部531を所定方向に回転させるだけで、取付装置5を支柱1に固定でき、この取付装置5の係合部51に仕切り体3を係合するだけで、フェンス100を組み立てることができる。また、このフェンス100を分解する場合は、取付装置5の係合部51から仕切り体3を外し、取付装置5の軸部531を所定方向と反対方向に回転させ、取付装置5を支柱1から取り外すだけで、フェンス100を分解することができる。
したがって、フェンス100の組み立て、および分解作業が容易になるとともに、フェンス100の設置位置の自由度を向上し、フェンス100の組み立てが完了したときは、フェンス100の安定性を向上できる。
【0047】
<第4実施形態>
以下の第4実施形態の説明にあたって、第3実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図9は、本発明の第4実施形態に係る取付装置5aの斜視図である。
【0048】
第4実施形態では、第3実施形態の腕部52に相当する部材としての腕部52aと、固定部53に相当する部材としての固定部53aと、腕部52aと固定部53aとを接続する中継部55とを備えた点が第3実施形態と異なる。
腕部52aは、先端側に、雄ねじが形成され、中継部55と螺合可能となっている。また、固定部53aは、基端側に、雄ねじが形成され、中継部55と螺合可能となっている。
【0049】
中継部55は、両端に雄ねじが形成された中継軸部55aと、この中継軸部55aの両端に設けられ、腕部52a、固定部53a、および中継軸部55aの雄ねじと螺合する雌ねじが形成されたナット部55bとを備える。
【0050】
このように、中継軸部55aを設けたことで、取付装置5aの長さを調整できる。また、腕部52aと中継軸部55aとを螺合したので、ナット部55bを回転することで、微調整も可能となる。
【0051】
<応用実施形態>
以下の応用実施形態の説明にあたって、第4実施形態と同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
図10は、本発明の応用実施形態に係る取付構造20の斜視図である。
応用実施形態では、第4実施形態の係合部51および腕部52aの代わりに、固定部53aを設けた取付装置5bを、構造物の支柱の補強装置として用いている。
取付装置5bは、2つの固定部53aと、これら2つの固定部53aの間に、ナット部55bを介して設けた中継軸部55aとを備える。
【0052】
取付構造20では、構造物の支柱として複数の支柱1を所定の間隔で設け、これらの支柱1を互いに、取付構造20を用いて連結したものである。
このような取付構造20を用いることで、それぞれの支柱1を固定部53aにより固定することで、取付装置5bを構造用筋交いとして用いることができる。
よって、簡易かつ強固な構造用筋交いを提供できる。
【0053】
上記のような本願発明に係る実施形態は、例えば、隣地との境界の形成、敷地内の目隠し、敷地内への侵入防止、動物の檻、幼稚園児の遊び場の区画、池や川等の危険地域の防護柵等の多様な用途に用いられる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、支柱1の4つの側面1aのそれぞれに、溝2を形成したが、これに限らず、支柱1のいずれかの1つの側面1aに形成することや、2つ、もしくは3つの側面1aに形成してもよい。
また、基礎4の上面および下面を円形状に形成したが、これに限らず、基礎4の上面および下面を矩形状に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る支柱の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る支柱の上面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る支柱の側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るフェンスの斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る取付部分の部分断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るフェンスの斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る取付構造の斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る取付構造の部分断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る取付装置の斜視図である。
【図10】本発明の応用実施形態に係る取付構造の斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1 支柱
2 溝
3 仕切り体
5 取付装置
21 スリット部
22 孔部
51 係合部
52 腕部
53 固定部
100 フェンス
531 軸部
532 固定片
532a 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱により形成されるフェンスの支柱であって、
前記支柱には、上端から長手方向に沿って溝が形成され、
この溝は、
前記支柱の内部に形成された孔部と、
この孔部と前記支柱の外部とを連通するスリット部とから成り、
前記孔部の巾は、前記スリット部の巾より大きいことを特徴とする支柱。
【請求項2】
前記支柱の形状は、円柱形状または多角柱形状であることを特徴とする請求項1に記載の支柱。
【請求項3】
前記支柱は、木材、プラスチック、石、コンクリート、および金属からなる群から選択されるいずれか一種の材質により形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の支柱。
【請求項4】
前記孔部は、略一文字形状、略V字形状、略三角形状、および略円形状からなる群から選択されるいずれか一種の形状に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の支柱。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の支柱と、この支柱に支持され、空間を仕切る仕切り体と、この仕切り体を前記支柱に取り付ける取付装置とからなるフェンスの取付構造であって、
前記取付装置は、
前記仕切り体と係合する係合部と、
この係合部から延出する腕部と、
この腕部の延出方向の先端側に設けられ、前記取付装置と前記支柱を固定する固定部とから成り、
前記固定部は、
前記腕部の先端から延出し、雄ねじが形成された軸部と、
雌ねじの形状で形成された開口部を有し、この開口部により前記軸部と螺合する固定片とから成り、
前記軸部は、前記軸部の外径である軸外径が前記支柱の前記スリット部の巾より小さい寸法で形成され、
前記固定片の一部は、前記軸部の延出方向に略直交する方向の巾が前記スリット部の巾より大きい寸法で形成されることを特徴とするフェンスの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−19683(P2008−19683A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194671(P2006−194671)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(505212979)
【Fターム(参考)】