フォイルエレメント
【課題】傷のあるときにも、より大きな安全性の余裕度を持つ容器懸架装置として使われるハンガーラベルを提供する。
【解決手段】スリット6aとして形成された弱体化ゾーンは、両側を矢印Fで示した負荷方向に対して横幅を持つ形でフォイル材料7によって境界を規定される。ミクロの傷のために端から進行する亀裂の形成8は、遅くともこのスリット6aで止まり、ピーク応力が低減し、局所的に高まった応力がフォイル材料7の負荷のより少ないエレメントにそらす。他の実施形態では、互いに貼り付いてしまうフォイル層の下の層から上の層を分離させるために、局所的に接着剤層を中断する。この場合、この接着剤のない切欠きは、弱体化ゾーンとなっている。そのようにして一つの層から他の層への亀裂の伝搬が避けられる。さらに、一つのフォイル層で発生した亀裂が弱体化層に達した場合、応力をそらすことによって、亀裂の進行が防止する。
【解決手段】スリット6aとして形成された弱体化ゾーンは、両側を矢印Fで示した負荷方向に対して横幅を持つ形でフォイル材料7によって境界を規定される。ミクロの傷のために端から進行する亀裂の形成8は、遅くともこのスリット6aで止まり、ピーク応力が低減し、局所的に高まった応力がフォイル材料7の負荷のより少ないエレメントにそらす。他の実施形態では、互いに貼り付いてしまうフォイル層の下の層から上の層を分離させるために、局所的に接着剤層を中断する。この場合、この接着剤のない切欠きは、弱体化ゾーンとなっている。そのようにして一つの層から他の層への亀裂の伝搬が避けられる。さらに、一つのフォイル層で発生した亀裂が弱体化層に達した場合、応力をそらすことによって、亀裂の進行が防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、張力に耐えるフォイルエレメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォイル形のエレメントは、縦方向の張力を伝達するために、例えば物品の支持、結合、閉鎖および/またはカバーのための(特にセルフシールの)機能部品としてしばしば使われる。日常の例では、例えば接着テープまたは接着バンドである。さらに、これには、様々な吊りひも、テープと荷札、手提げカバンまたは手提げカバンの支持取っ手、積荷止めフォイル(例えば荷を積んだパレット上の)、密封ラベル、封印ラベル、包装フォイルなどが含まれる。
【0003】
特に医薬の分野、しかも薬品では、いわゆる「ハンガーラベル」が使われている。これらは、ハンガー形の懸架ベルトを有し、このベルトは、容器、例えば点滴ビンに貼られた残りのラベルのフォイル面から引き出せるものである。点滴ビンでは、容器は、頭を下にして懸架される。その場合、ハンガー形の懸架ベルトは、容器の大きさと充填物に応じて、かなりの引っ張り荷重を受ける。
【0004】
そのようなハンガーラベルは、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4により周知である。
【0005】
フォイルに張力がかかると、特に、小さな材料欠陥により微小亀裂が生じる。亀裂末端では局所的に応力が高まり、それは亀裂の伝搬、および最終的には材料の破壊、つまりフォイルの断裂につながる。
【0006】
ハンガーラベルの輪郭は、通常型抜きで作られるので、この場合、不良型抜き、例えばちびた型抜きによって起こる端の欠陥のために、微少亀裂が発生する可能性がある。ローラー平面型抜きに比べはるかに生産性の高いロータリー型抜きの場合には、この問題は大きくなる。
【0007】
ハンガーラベルの懸架ベルトの断裂は、それに掛かった容器の落下となる。このことは、点滴ビンの場合、治療中の患者にとって重大な結果を持つことがある。
【0008】
従来技術では、張力を受けるフォイル部分は、より厚いまたはより亀裂に強い、つまり通常ははるかに高価な材料を使い、ある程度の安全度をみて設計されている。
【0009】
すなわち、例えば、様々なオレフィンフォイルが使われるが、それは耐裂性は大きく、傷に対して強いが、延性が大きく、抗張力は小さいため、非常に厚いフォイル(フォイル厚、約150〜250μm)が使われている。さらに、多層にフォイルを重ね合わせたものも使われている。すなわち、例えばPETから成る厚さ75μmと50μmの二層の積層体は、厚さ125μmの一層のPETよりも、傷に対して強い。それにもかかわらず,ハンガーラベルの危ない部分、例えば懸架点、あるいは懸架ベルトのラベルの貼りつけ部分への移行点での曲がった型抜き場所では、小さな傷が、抗張力を明らかに低下させることとなる。
【0010】
表1は、例えばPETから成る2層のハンガーラベルのハンガーが、端部の傷により弱体化することを示している。傷のないラベルの場合と層に軽く端部に傷をつけた場合の抗張力をニュートン単位で示したものである。
表1 2層のPET製ハンガーの抗張力
傷なし 1層の傷 両層の傷
抗張力[N] 206 50 1.4
表1から簡単に分かるように、1層の端部の軽い傷が、抗張力の減少とともに、まさにかなりの亀裂し易さを生みだす一方、両層の端部の傷は、抗張力を大きく減少させている。
【0011】
表2では、様々な材料の25mm幅の1層ないし2層のフォイルバンドにつき、各々傷のある状態と傷のない状態での抗張力をニュートン単位で表わしたものである。この場合、A材とB材は、延性が小さく、抗張力が強いプラスチック材料であり、C材とD材は、延性が大きく、抗張力が弱いプラスチック材である。μm値は、各々フォイルあるいはフォイル層の厚みを示す。
表2 25mm幅のフォイルバンドの抗張力
材料 抗張力[N]傷なし 抗張力[N]傷あり
A材(125μm) 665 300以下
A材(75μm) 437 189
A材(50μm) 252 11 2
A材(75μm/50μm) 556 246(両層傷あり)
366(1層傷あり)
B材(40μm/40μm) 199 63
C材(101μm) 40 34
D材(165μm) 236 167
D材(60μm) 77 56
表2で、従来技術のフォイルバンドに張力をかけると、端に傷のある場合抗張力の大きな減少は明らかに避けられないことが容易に分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ特許公開第3907862号明細書
【特許文献2】ドイツ実用新案登録第9101464号明細書
【特許文献3】欧州特許公開第0356574号明細書
【特許文献4】欧州特許公開第0632422号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上に述べた問題に鑑みて、当発明の課題は、亀裂の結果としての断裂に対して、より高い安全性を示す、張力に耐えるフォイルエレメントを作ることである。とりわけ、特に傷のあるときにも、より大きな安全性の余裕度を持つ容器懸架装置として使われるハンガーラベルを作ることも当発明の課題である。他方では、これまでの技術の材料消費効率に比べて、同じかより高い断裂に対する安全性を持ちつつ、材料の量を減らすか、より安価な材料を使えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、当発明の一つの特徴にもとづき、請求項1のフォイルエレメントで解決される。請求項2〜15のフォイルエレメントは、特に優れた実施構成である。
【0015】
当発明では、専門家にとって全く意外にも、例えば縦スリットのような、局所的な弱体化によって、張力に耐えるフォイルエレメント、特にハンガー形の懸架ベルトの負荷能力または亀裂に対する安全性が高められる。弱体化ゾーン、つまり例えば縦スリットにより局所的に弱められた部分は、力を分散させるエレメントの働きをして、その力を弱体化点に沿って傷のない材料部分にそらす、あるいは力に耐える、より大きな面に分散することができる。それゆえ局所的に発生する負荷の極値が低減される。亀裂形成の際には亀裂は単に弱体化ゾーンまで広がり、そこで作用している力がある程度分裂するため、張力ピークは弱められ、そのため個々の材料セグメントの負荷は減少する。その結果として、亀裂の波及に必要な力の消費は高まり、フォイルエレメントの引張り強さは上昇する。
【0016】
当発明は、特に、明確に規定した断裂ストップ、つまり予め決まった亀裂端を持つフォイルエレメントを作るためのものである。つまり、当発明は、ある点だけまでなら断裂してよいフォイルをも含む。すなわち、例えば規定どおりに断裂するフォイル形エアバッグカバーも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】従来技術による懸架ベルト付きハンガーラベルの基本形を示す。当発明の弱体化ゾーンはここでは示されていない。
【図1b】図1aの基本形の、頭を下にして懸架された容器に貼られたハンガーラベルの概観図である。
【図1c】容器を頭を下にして懸架したときの、懸架ベルトの図1bの破線で囲んだ部分Aを拡大した概観図である。
【図2a】図1aの基本形のハンガーラベルで、弱体化ゾーンが縦スリットとなっている。
【図2b】図1aの基本形の多層ハンガーラベルで、弱体化ゾーンがフォイル層の間の局所的に接着剤のない部分となっている。
【図2c】図1aの基本形のハンガーラベルで、斜線の弱体化ゾーンが接着剤の薄い周縁部分となっている。
【図3】図2のハンガーラベルの破線で囲まれた部分Bの断面の概観図である。
【図4】張力のかかった別のフォイルエレメントの断面の概観図で、弱体化ゾーンが異なるフォイル層における互いにずれた型抜き部分となっている。
【図5】張力のかかった別のフォイルエレメントの断面の概観図で、弱体化ゾーンが低い弾性モジュールをもつ中間層となっている。
【図6】図2bのハンガーラベルの破線に囲まれた部分Cの断面の概観図である。
【図7】図2cのハンガーラベルの破線に囲まれた部分Dの断面の概観図である。
【図8】別の実施形態による図2cのハンガーラベルの破線に囲まれた部分Dの断面の概観図である。
【図9】従来技術のスリットのないハンガーラベルに対して、当発明のスリット入りのハンガーラベルの抗張力の向上を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を使って当発明の特に有利な実施構成の例を詳細に説明する。この場合、選んだ図面は縮尺通りでなく、概略図である。特に、断面図では層の厚さがわかり易くするため大きくしてあり、隣合う層の間の間隙が拡大図によって部分的に表されている。
【0019】
図1aでは、型抜きされた懸架ベルト2付きの、当発明のハンガーラベル1の従来技術による基本形が示されており、その際ここでは当発明の弱体化ゾーンは示されていない。型抜き部5の端部4a,4bは異なる形で実現可能であり、表示した形の外に従来の技術で使われている優れた形、例えば渦巻形でもよい。図1bでは、ハンガーラベル1はセルフシールのコーティング層により規定どおりに容器3に貼られており、その容器は、例えば頭を下にして懸架された点滴ビンである。頭を下にして懸架ベルト2に吊るされた容器の破線で囲まれた部分Aが、図1cに拡大して描かれている。従来技術では懸架ベルト2の型抜き部5の近くの部分が張力Fの大部分を引き受けなければならないことは明らかである。この場合、従来技術により実現されたハンガーラベルでは亀裂が形成される危険は特に大きい。
【0020】
図2aには、図1aに描かれている基本形で形成されたハンガーラベルが載っており、それは懸架ベルト2に、(規定どおりの使用では)負荷方向に向いているスリット6a,6bをもつ。スリット6a,6bは、型抜きまたは切断で作られ、フォイルまたはフォイル層を貫通するか、あるいは単に切り込み溝のように局所的にその厚みを減少させたものである。
【0021】
図3は、図2aのハンガーラベル1の破線で囲まれた部分Bの断面の概観図である(もちろん他の引っ張り応力を加えられるフォイルエレメントも同様に構成することができる)。スリット6aとして実現された弱体化ゾーンは、両側をそれぞれ縦方向に、つまり矢印Fで示した負荷方向に対して横幅を持つ形でフォイル材料7によって境界を規定されている。ミクロの傷によって端から進行する亀裂の形成8は、遅くともスリット6aで停止するが、それは、そこで張力ピークが減少し、局所的な高い応力はフォイル材料7の負荷の少ないエレメントにそらされるためである。
【0022】
図4は、2層による実施形態であり、スリット9a,9bはフォイル層10a,10bにずらして配置されている。フォイル層10a,10bは、接着剤層11で互いに結合されている。単にわかり易くするために、一番下のフォイル層10bは、他の二つの層10a,11から離して表示されている。フォイルエレメントが二つのフォイル層10a,10bで同時に端の傷を持つ場合、このずらした配置によって、より大きな安全性に対する余裕度が生れる。
【0023】
図5は、フォイル層12a,12bの間に、さらにこれらに接着されている中間層13を持つフォイルエレメントを示しており、この中間層の弾性モジュールは、フォイル層12a,12bの弾性モジュールより薄く、そのため当発明の意味での弱体化ゾーンであり、この弱体化ゾーンは、上下を、つまり矢印Fによって示した負荷方向に対して縦幅を持つ形でフォイル層12a,12bによって境界を規定されている。上のフォイル層12bでの亀裂の形成8が進行すれば、中間層13は接着剤層14aでの力の伝達によって伸びる。比較的軟らかい中間層13の上下側の(違った長さの両側矢印によって示した)違った大きさの伸びによって局所的に応力が減じ、亀裂は接着剤層14bからさらに下のフォイル層12bには移行しない。
【0024】
図2bと6は、下のフォイル層12bから上のフォイル層12aを分離するための、局所的に中断されている接着剤層11を示している。ここでは接着剤のない切欠き15a,15bが、この当発明の意味での弱体化ゾーンとなっている。図5に関連して説明したように、そのようにして一つの層から他の層12a,12bへの亀裂の伝搬が避けられる。さらに、フォイル層12a,12bで発生した亀裂が弱体化ゾーン15aに達すれば、応力をそらすことによって亀裂進行に歯止めがかかる。単にわかり易くするために、一番上の層12aは、他の二つの層11,12bから離して表示されている。
【0025】
図2c、7および8は、下のフォイル層12bから上のフォイル層12aを分離するための、局所的に弱体化された接着剤層11を示す。ここでは、当発明の弱体化ゾーンの位置を図2cに斜線で示しているが、この弱体化ゾーンは、上下を弱体化されていないフォイル層12a,12bで局所的に境界を規定された、接着剤層11の弱体化となっている。この場合、弱体化ゾーンが、特に危険な周縁部分、すなわちここでは型抜き部5の端に近い丸い部分に置かれるのは特に有利である。図7に描かれた代替法では、弱体化は局所的に接着性の強くない、または粘性の低い、あるいは結合性の強くない接着剤16にある。図8に描かれた代替法では、弱体化は下の層12bの局所的な接着剤をはじくコーティング17にある。この場合、それは例えばシリコン化でもあり得る。さらに、わかり易くするため図7では上のフォイル層12aが、図8では接着剤をはじくコーティング17とともに下のフォイル層12bが、各々他のフォイル結合体から離して表示されている。さらに、一つの可能な実施形態として局所的な接着剤の無効化がある。
【0026】
もちろん、例で示した弱体化ゾーンの実施形態を互いに組合せることもできることは自明である。
【0027】
抗張力の向上のための当発明の手段の効果は、図9の棒グラフで明らかである。ここでは、PET/ポリオレフィンフォイル結合体の異なる層厚に対する抗張力Fmax がニュートン単位で表わされている。この場合、それは、懸架ベルト2を規定する型抜き部5の端部4a,4bが渦巻状に形成されているハンガーラベル1である。左の白の棒は、各々従来技術のスリットのない仕様での抗張力を示し、右の黒の棒は、各々渦巻状の型抜き部分の特に負荷のかかっている下の層にスリットを設けた場合の抗張力を示し、その際スリットは規定どおりの使用での引っ張り負荷の縦方向に向いている。4つの棒のペアは、個々のフォイル層の層厚が異なる結合体を表わす。当発明のスリットをつけた実施形態における負荷能力が高いことが明らかに分かる。
【0028】
上に記した実験では、ハンガーは渦巻形の部分を切断によって傷つけられている。これで、スリットの形での当発明の弱体化ゾーンが、抗張力を、そしてそのために同じ材料構成でも懸架ベルトの製品安全性を高めることを実験によって再確認することができる。例えば、ちびた型抜きでは排除できない実際の望ましくない傷の場合に、当発明による弱体化ゾーンを作る方法が特に効果がある。
【0029】
さらに、断裂特性は、材料構成、材料厚、材料タイプ、伸展度、染色、表面処理などのパラメータを適切に調整して変化をつけることができる。すなわち、特に、2層または多層の結合体に対して、特に以下の材料が適している: ポリエチレンテレフタレート(上層および/または下層用)、ポリオレフィン(上層および/または下層用)、ポリアミド (上層および/または下層用)、ポリプロピレン(上層用)、方位結晶ポリプロピレン (上層および/または下層用)、ポリブチレンテレフタレート(上層用)、フリース(上層用)、グリッド構造。
【符号の説明】
【0030】
1 ハンガーラベル
2 懸架ベルト
3 容器
4a,4b 端部
5 型抜き部
6a,6b スリット
7 フォイル材料
8 亀裂の形成
9a,9b スリット
10a,10b フォイル層
11 接着剤層
12a,12b フォイル層
13 中間層
14a,14b 接着剤層
15a,15b 切欠き
16 接着剤
17 接着剤をはじくコーティング
A,B,C,D 破線で囲まれた部分
F,Fmax 張力
【技術分野】
【0001】
本発明は、張力に耐えるフォイルエレメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォイル形のエレメントは、縦方向の張力を伝達するために、例えば物品の支持、結合、閉鎖および/またはカバーのための(特にセルフシールの)機能部品としてしばしば使われる。日常の例では、例えば接着テープまたは接着バンドである。さらに、これには、様々な吊りひも、テープと荷札、手提げカバンまたは手提げカバンの支持取っ手、積荷止めフォイル(例えば荷を積んだパレット上の)、密封ラベル、封印ラベル、包装フォイルなどが含まれる。
【0003】
特に医薬の分野、しかも薬品では、いわゆる「ハンガーラベル」が使われている。これらは、ハンガー形の懸架ベルトを有し、このベルトは、容器、例えば点滴ビンに貼られた残りのラベルのフォイル面から引き出せるものである。点滴ビンでは、容器は、頭を下にして懸架される。その場合、ハンガー形の懸架ベルトは、容器の大きさと充填物に応じて、かなりの引っ張り荷重を受ける。
【0004】
そのようなハンガーラベルは、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4により周知である。
【0005】
フォイルに張力がかかると、特に、小さな材料欠陥により微小亀裂が生じる。亀裂末端では局所的に応力が高まり、それは亀裂の伝搬、および最終的には材料の破壊、つまりフォイルの断裂につながる。
【0006】
ハンガーラベルの輪郭は、通常型抜きで作られるので、この場合、不良型抜き、例えばちびた型抜きによって起こる端の欠陥のために、微少亀裂が発生する可能性がある。ローラー平面型抜きに比べはるかに生産性の高いロータリー型抜きの場合には、この問題は大きくなる。
【0007】
ハンガーラベルの懸架ベルトの断裂は、それに掛かった容器の落下となる。このことは、点滴ビンの場合、治療中の患者にとって重大な結果を持つことがある。
【0008】
従来技術では、張力を受けるフォイル部分は、より厚いまたはより亀裂に強い、つまり通常ははるかに高価な材料を使い、ある程度の安全度をみて設計されている。
【0009】
すなわち、例えば、様々なオレフィンフォイルが使われるが、それは耐裂性は大きく、傷に対して強いが、延性が大きく、抗張力は小さいため、非常に厚いフォイル(フォイル厚、約150〜250μm)が使われている。さらに、多層にフォイルを重ね合わせたものも使われている。すなわち、例えばPETから成る厚さ75μmと50μmの二層の積層体は、厚さ125μmの一層のPETよりも、傷に対して強い。それにもかかわらず,ハンガーラベルの危ない部分、例えば懸架点、あるいは懸架ベルトのラベルの貼りつけ部分への移行点での曲がった型抜き場所では、小さな傷が、抗張力を明らかに低下させることとなる。
【0010】
表1は、例えばPETから成る2層のハンガーラベルのハンガーが、端部の傷により弱体化することを示している。傷のないラベルの場合と層に軽く端部に傷をつけた場合の抗張力をニュートン単位で示したものである。
表1 2層のPET製ハンガーの抗張力
傷なし 1層の傷 両層の傷
抗張力[N] 206 50 1.4
表1から簡単に分かるように、1層の端部の軽い傷が、抗張力の減少とともに、まさにかなりの亀裂し易さを生みだす一方、両層の端部の傷は、抗張力を大きく減少させている。
【0011】
表2では、様々な材料の25mm幅の1層ないし2層のフォイルバンドにつき、各々傷のある状態と傷のない状態での抗張力をニュートン単位で表わしたものである。この場合、A材とB材は、延性が小さく、抗張力が強いプラスチック材料であり、C材とD材は、延性が大きく、抗張力が弱いプラスチック材である。μm値は、各々フォイルあるいはフォイル層の厚みを示す。
表2 25mm幅のフォイルバンドの抗張力
材料 抗張力[N]傷なし 抗張力[N]傷あり
A材(125μm) 665 300以下
A材(75μm) 437 189
A材(50μm) 252 11 2
A材(75μm/50μm) 556 246(両層傷あり)
366(1層傷あり)
B材(40μm/40μm) 199 63
C材(101μm) 40 34
D材(165μm) 236 167
D材(60μm) 77 56
表2で、従来技術のフォイルバンドに張力をかけると、端に傷のある場合抗張力の大きな減少は明らかに避けられないことが容易に分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】ドイツ特許公開第3907862号明細書
【特許文献2】ドイツ実用新案登録第9101464号明細書
【特許文献3】欧州特許公開第0356574号明細書
【特許文献4】欧州特許公開第0632422号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上に述べた問題に鑑みて、当発明の課題は、亀裂の結果としての断裂に対して、より高い安全性を示す、張力に耐えるフォイルエレメントを作ることである。とりわけ、特に傷のあるときにも、より大きな安全性の余裕度を持つ容器懸架装置として使われるハンガーラベルを作ることも当発明の課題である。他方では、これまでの技術の材料消費効率に比べて、同じかより高い断裂に対する安全性を持ちつつ、材料の量を減らすか、より安価な材料を使えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、当発明の一つの特徴にもとづき、請求項1のフォイルエレメントで解決される。請求項2〜15のフォイルエレメントは、特に優れた実施構成である。
【0015】
当発明では、専門家にとって全く意外にも、例えば縦スリットのような、局所的な弱体化によって、張力に耐えるフォイルエレメント、特にハンガー形の懸架ベルトの負荷能力または亀裂に対する安全性が高められる。弱体化ゾーン、つまり例えば縦スリットにより局所的に弱められた部分は、力を分散させるエレメントの働きをして、その力を弱体化点に沿って傷のない材料部分にそらす、あるいは力に耐える、より大きな面に分散することができる。それゆえ局所的に発生する負荷の極値が低減される。亀裂形成の際には亀裂は単に弱体化ゾーンまで広がり、そこで作用している力がある程度分裂するため、張力ピークは弱められ、そのため個々の材料セグメントの負荷は減少する。その結果として、亀裂の波及に必要な力の消費は高まり、フォイルエレメントの引張り強さは上昇する。
【0016】
当発明は、特に、明確に規定した断裂ストップ、つまり予め決まった亀裂端を持つフォイルエレメントを作るためのものである。つまり、当発明は、ある点だけまでなら断裂してよいフォイルをも含む。すなわち、例えば規定どおりに断裂するフォイル形エアバッグカバーも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1a】従来技術による懸架ベルト付きハンガーラベルの基本形を示す。当発明の弱体化ゾーンはここでは示されていない。
【図1b】図1aの基本形の、頭を下にして懸架された容器に貼られたハンガーラベルの概観図である。
【図1c】容器を頭を下にして懸架したときの、懸架ベルトの図1bの破線で囲んだ部分Aを拡大した概観図である。
【図2a】図1aの基本形のハンガーラベルで、弱体化ゾーンが縦スリットとなっている。
【図2b】図1aの基本形の多層ハンガーラベルで、弱体化ゾーンがフォイル層の間の局所的に接着剤のない部分となっている。
【図2c】図1aの基本形のハンガーラベルで、斜線の弱体化ゾーンが接着剤の薄い周縁部分となっている。
【図3】図2のハンガーラベルの破線で囲まれた部分Bの断面の概観図である。
【図4】張力のかかった別のフォイルエレメントの断面の概観図で、弱体化ゾーンが異なるフォイル層における互いにずれた型抜き部分となっている。
【図5】張力のかかった別のフォイルエレメントの断面の概観図で、弱体化ゾーンが低い弾性モジュールをもつ中間層となっている。
【図6】図2bのハンガーラベルの破線に囲まれた部分Cの断面の概観図である。
【図7】図2cのハンガーラベルの破線に囲まれた部分Dの断面の概観図である。
【図8】別の実施形態による図2cのハンガーラベルの破線に囲まれた部分Dの断面の概観図である。
【図9】従来技術のスリットのないハンガーラベルに対して、当発明のスリット入りのハンガーラベルの抗張力の向上を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を使って当発明の特に有利な実施構成の例を詳細に説明する。この場合、選んだ図面は縮尺通りでなく、概略図である。特に、断面図では層の厚さがわかり易くするため大きくしてあり、隣合う層の間の間隙が拡大図によって部分的に表されている。
【0019】
図1aでは、型抜きされた懸架ベルト2付きの、当発明のハンガーラベル1の従来技術による基本形が示されており、その際ここでは当発明の弱体化ゾーンは示されていない。型抜き部5の端部4a,4bは異なる形で実現可能であり、表示した形の外に従来の技術で使われている優れた形、例えば渦巻形でもよい。図1bでは、ハンガーラベル1はセルフシールのコーティング層により規定どおりに容器3に貼られており、その容器は、例えば頭を下にして懸架された点滴ビンである。頭を下にして懸架ベルト2に吊るされた容器の破線で囲まれた部分Aが、図1cに拡大して描かれている。従来技術では懸架ベルト2の型抜き部5の近くの部分が張力Fの大部分を引き受けなければならないことは明らかである。この場合、従来技術により実現されたハンガーラベルでは亀裂が形成される危険は特に大きい。
【0020】
図2aには、図1aに描かれている基本形で形成されたハンガーラベルが載っており、それは懸架ベルト2に、(規定どおりの使用では)負荷方向に向いているスリット6a,6bをもつ。スリット6a,6bは、型抜きまたは切断で作られ、フォイルまたはフォイル層を貫通するか、あるいは単に切り込み溝のように局所的にその厚みを減少させたものである。
【0021】
図3は、図2aのハンガーラベル1の破線で囲まれた部分Bの断面の概観図である(もちろん他の引っ張り応力を加えられるフォイルエレメントも同様に構成することができる)。スリット6aとして実現された弱体化ゾーンは、両側をそれぞれ縦方向に、つまり矢印Fで示した負荷方向に対して横幅を持つ形でフォイル材料7によって境界を規定されている。ミクロの傷によって端から進行する亀裂の形成8は、遅くともスリット6aで停止するが、それは、そこで張力ピークが減少し、局所的な高い応力はフォイル材料7の負荷の少ないエレメントにそらされるためである。
【0022】
図4は、2層による実施形態であり、スリット9a,9bはフォイル層10a,10bにずらして配置されている。フォイル層10a,10bは、接着剤層11で互いに結合されている。単にわかり易くするために、一番下のフォイル層10bは、他の二つの層10a,11から離して表示されている。フォイルエレメントが二つのフォイル層10a,10bで同時に端の傷を持つ場合、このずらした配置によって、より大きな安全性に対する余裕度が生れる。
【0023】
図5は、フォイル層12a,12bの間に、さらにこれらに接着されている中間層13を持つフォイルエレメントを示しており、この中間層の弾性モジュールは、フォイル層12a,12bの弾性モジュールより薄く、そのため当発明の意味での弱体化ゾーンであり、この弱体化ゾーンは、上下を、つまり矢印Fによって示した負荷方向に対して縦幅を持つ形でフォイル層12a,12bによって境界を規定されている。上のフォイル層12bでの亀裂の形成8が進行すれば、中間層13は接着剤層14aでの力の伝達によって伸びる。比較的軟らかい中間層13の上下側の(違った長さの両側矢印によって示した)違った大きさの伸びによって局所的に応力が減じ、亀裂は接着剤層14bからさらに下のフォイル層12bには移行しない。
【0024】
図2bと6は、下のフォイル層12bから上のフォイル層12aを分離するための、局所的に中断されている接着剤層11を示している。ここでは接着剤のない切欠き15a,15bが、この当発明の意味での弱体化ゾーンとなっている。図5に関連して説明したように、そのようにして一つの層から他の層12a,12bへの亀裂の伝搬が避けられる。さらに、フォイル層12a,12bで発生した亀裂が弱体化ゾーン15aに達すれば、応力をそらすことによって亀裂進行に歯止めがかかる。単にわかり易くするために、一番上の層12aは、他の二つの層11,12bから離して表示されている。
【0025】
図2c、7および8は、下のフォイル層12bから上のフォイル層12aを分離するための、局所的に弱体化された接着剤層11を示す。ここでは、当発明の弱体化ゾーンの位置を図2cに斜線で示しているが、この弱体化ゾーンは、上下を弱体化されていないフォイル層12a,12bで局所的に境界を規定された、接着剤層11の弱体化となっている。この場合、弱体化ゾーンが、特に危険な周縁部分、すなわちここでは型抜き部5の端に近い丸い部分に置かれるのは特に有利である。図7に描かれた代替法では、弱体化は局所的に接着性の強くない、または粘性の低い、あるいは結合性の強くない接着剤16にある。図8に描かれた代替法では、弱体化は下の層12bの局所的な接着剤をはじくコーティング17にある。この場合、それは例えばシリコン化でもあり得る。さらに、わかり易くするため図7では上のフォイル層12aが、図8では接着剤をはじくコーティング17とともに下のフォイル層12bが、各々他のフォイル結合体から離して表示されている。さらに、一つの可能な実施形態として局所的な接着剤の無効化がある。
【0026】
もちろん、例で示した弱体化ゾーンの実施形態を互いに組合せることもできることは自明である。
【0027】
抗張力の向上のための当発明の手段の効果は、図9の棒グラフで明らかである。ここでは、PET/ポリオレフィンフォイル結合体の異なる層厚に対する抗張力Fmax がニュートン単位で表わされている。この場合、それは、懸架ベルト2を規定する型抜き部5の端部4a,4bが渦巻状に形成されているハンガーラベル1である。左の白の棒は、各々従来技術のスリットのない仕様での抗張力を示し、右の黒の棒は、各々渦巻状の型抜き部分の特に負荷のかかっている下の層にスリットを設けた場合の抗張力を示し、その際スリットは規定どおりの使用での引っ張り負荷の縦方向に向いている。4つの棒のペアは、個々のフォイル層の層厚が異なる結合体を表わす。当発明のスリットをつけた実施形態における負荷能力が高いことが明らかに分かる。
【0028】
上に記した実験では、ハンガーは渦巻形の部分を切断によって傷つけられている。これで、スリットの形での当発明の弱体化ゾーンが、抗張力を、そしてそのために同じ材料構成でも懸架ベルトの製品安全性を高めることを実験によって再確認することができる。例えば、ちびた型抜きでは排除できない実際の望ましくない傷の場合に、当発明による弱体化ゾーンを作る方法が特に効果がある。
【0029】
さらに、断裂特性は、材料構成、材料厚、材料タイプ、伸展度、染色、表面処理などのパラメータを適切に調整して変化をつけることができる。すなわち、特に、2層または多層の結合体に対して、特に以下の材料が適している: ポリエチレンテレフタレート(上層および/または下層用)、ポリオレフィン(上層および/または下層用)、ポリアミド (上層および/または下層用)、ポリプロピレン(上層用)、方位結晶ポリプロピレン (上層および/または下層用)、ポリブチレンテレフタレート(上層用)、フリース(上層用)、グリッド構造。
【符号の説明】
【0030】
1 ハンガーラベル
2 懸架ベルト
3 容器
4a,4b 端部
5 型抜き部
6a,6b スリット
7 フォイル材料
8 亀裂の形成
9a,9b スリット
10a,10b フォイル層
11 接着剤層
12a,12b フォイル層
13 中間層
14a,14b 接着剤層
15a,15b 切欠き
16 接着剤
17 接着剤をはじくコーティング
A,B,C,D 破線で囲まれた部分
F,Fmax 張力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用中に負荷により亀裂の生じる危険があると判断された少なくとも一つの部分(A,B,C,D)を有する、張力に耐えるフォイルエレメント(1)において、
このフォイルエレメント(1)は、そのような部分(A,B,C,D)に、張力(F)の作用方向に延び、負荷による局所的なピーク応力を低減する、少なくとも一つの弱体化ゾーン(6a,6b,9a,9b,13,15a,15b,16)を有し、この弱体化ゾーンが、少なくとも一つの張力(F )の作用方向と交差する方向に関して、両側において弱体化されていない材料(7,10a,10b,12a,12b)により境界を規定されていることを特徴とするフォイルエレメント。
【請求項2】
当該のフォイルエレメント(1)が、少なくとも二つのフォイル層(10a,10b,12a,12b)を有することを特徴とする請求項1に記載のフォイルエレメント。
【請求項3】
当該のフォイル層(10a,10b,12a,12b)が、少なくとも部分的に互いに貼り合わされているか、溶接されているか、あるいは封印されていることを特徴とする請求項2に記載のフォイルエレメント。
【請求項4】
少なくとも一つの弱体化ゾーンが、縦スリット(6a,6b,9a,9b)を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【請求項5】
当該の縦スリット(9a,9b)が、各々一つのフォイル層(10a,10b)だけを貫通することを特徴とする請求項4に記載のフォイルエレメント。
【請求項6】
当該のフォイルエレメントが、異なるフォイル層(10a,10b)において複数の互いにずれた縦スリット(9a、9b)を有することを特徴とする請求項5に記載のフォイルエレメント。
【請求項7】
少なくとも一つの弱体化ゾーンが、一つの分かれた補助構造(13,15a,15b,16,17)を有し、この補助構造が、二つの隣接するフォイル層(12a,12b)に作用する力を局所的に、少なくとも部分的に分離する働きがあることを特徴とする請求項2から6までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【請求項8】
当該のフォイルエレメント(1)が、少なくとも一つの全体的な面あるいは部分的な面の接着剤層(11)を有し、この接着剤層が、二つのフォイル層(10a,10b,12a,12b)を互いに結合していることと、
当該の分かれた補助構造が、これらのフォイル層(12a,12b)間の接着力を局所的に軽減するための手段(13,15a,15b,16,17)として実現されていることと、
を特徴とする請求項7に記載のフォイルエレメント。
【請求項9】
当該の接着力を局所的に軽減するための手段が、以下の手段の中の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8に記載のフォイルエレメント、
‐接着剤層(11)を局所的に中断(15a,15b)すること、
‐接着剤層(11)の結合を局所的に軽減すること、
‐接着剤層(11)内において、周囲の接着剤層(11)よりも面に関する接着力が小さい接着剤(16)を局所的に配置すること、
‐局所的に接着剤を無効化すること、
‐接着剤層(11)と接する少なくとも一つのフォイル層(12b)の表面(17)において局所的に接着力を減少させるように処理すること。
【請求項10】
当該の分かれた補助構造が、より大きな延性を持つ中間層(13)として実現されていることを特徴とする請求項7に記載のフォイルエレメント。
【請求項11】
当該のフォイルエレメント(1)の下側が、少なくとも部分的にセルフシールでコーティングされていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【請求項12】
当該のフォイルエレメントが、点滴ビンを懸架するためのハンガーラベル(1)として実現されており、このハンガーラベルは、型抜き部(5)により境界を規定された、ハンガーラベル(1)が貼り付けられた点滴ビン(3)を懸架するための懸架ベルト(2)を有し、この懸架ベルト(2)は、ハンガーラベル(1)が点滴ビン(3)に貼り付けられた状態において、ハンガーラベル(1)の残りの面からひっくり返して、引っ張り出すことが可能であるを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【請求項1】
使用中に負荷により亀裂の生じる危険があると判断された少なくとも一つの部分(A,B,C,D)を有する、張力に耐えるフォイルエレメント(1)において、
このフォイルエレメント(1)は、そのような部分(A,B,C,D)に、張力(F)の作用方向に延び、負荷による局所的なピーク応力を低減する、少なくとも一つの弱体化ゾーン(6a,6b,9a,9b,13,15a,15b,16)を有し、この弱体化ゾーンが、少なくとも一つの張力(F )の作用方向と交差する方向に関して、両側において弱体化されていない材料(7,10a,10b,12a,12b)により境界を規定されていることを特徴とするフォイルエレメント。
【請求項2】
当該のフォイルエレメント(1)が、少なくとも二つのフォイル層(10a,10b,12a,12b)を有することを特徴とする請求項1に記載のフォイルエレメント。
【請求項3】
当該のフォイル層(10a,10b,12a,12b)が、少なくとも部分的に互いに貼り合わされているか、溶接されているか、あるいは封印されていることを特徴とする請求項2に記載のフォイルエレメント。
【請求項4】
少なくとも一つの弱体化ゾーンが、縦スリット(6a,6b,9a,9b)を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【請求項5】
当該の縦スリット(9a,9b)が、各々一つのフォイル層(10a,10b)だけを貫通することを特徴とする請求項4に記載のフォイルエレメント。
【請求項6】
当該のフォイルエレメントが、異なるフォイル層(10a,10b)において複数の互いにずれた縦スリット(9a、9b)を有することを特徴とする請求項5に記載のフォイルエレメント。
【請求項7】
少なくとも一つの弱体化ゾーンが、一つの分かれた補助構造(13,15a,15b,16,17)を有し、この補助構造が、二つの隣接するフォイル層(12a,12b)に作用する力を局所的に、少なくとも部分的に分離する働きがあることを特徴とする請求項2から6までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【請求項8】
当該のフォイルエレメント(1)が、少なくとも一つの全体的な面あるいは部分的な面の接着剤層(11)を有し、この接着剤層が、二つのフォイル層(10a,10b,12a,12b)を互いに結合していることと、
当該の分かれた補助構造が、これらのフォイル層(12a,12b)間の接着力を局所的に軽減するための手段(13,15a,15b,16,17)として実現されていることと、
を特徴とする請求項7に記載のフォイルエレメント。
【請求項9】
当該の接着力を局所的に軽減するための手段が、以下の手段の中の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8に記載のフォイルエレメント、
‐接着剤層(11)を局所的に中断(15a,15b)すること、
‐接着剤層(11)の結合を局所的に軽減すること、
‐接着剤層(11)内において、周囲の接着剤層(11)よりも面に関する接着力が小さい接着剤(16)を局所的に配置すること、
‐局所的に接着剤を無効化すること、
‐接着剤層(11)と接する少なくとも一つのフォイル層(12b)の表面(17)において局所的に接着力を減少させるように処理すること。
【請求項10】
当該の分かれた補助構造が、より大きな延性を持つ中間層(13)として実現されていることを特徴とする請求項7に記載のフォイルエレメント。
【請求項11】
当該のフォイルエレメント(1)の下側が、少なくとも部分的にセルフシールでコーティングされていることを特徴とする請求項1から10までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【請求項12】
当該のフォイルエレメントが、点滴ビンを懸架するためのハンガーラベル(1)として実現されており、このハンガーラベルは、型抜き部(5)により境界を規定された、ハンガーラベル(1)が貼り付けられた点滴ビン(3)を懸架するための懸架ベルト(2)を有し、この懸架ベルト(2)は、ハンガーラベル(1)が点滴ビン(3)に貼り付けられた状態において、ハンガーラベル(1)の残りの面からひっくり返して、引っ張り出すことが可能であるを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載のフォイルエレメント。
【図9】
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−70183(P2011−70183A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194273(P2010−194273)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【分割の表示】特願2004−42814(P2004−42814)の分割
【原出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(504048881)シュライナー・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【分割の表示】特願2004−42814(P2004−42814)の分割
【原出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(504048881)シュライナー・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】
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