説明

フォトリソグラフィーのための組成物および方法

【課題】フォトレジスト組成物上に適用される上塗り層組成物を提供する。
【解決手段】フォトレジスト層上での上塗り層の形成における使用に適した組成物であって、1種以上の酸性官能基を含む第1樹脂、重合単位として式(I)のモノマーを含み、第1樹脂とは異なる第2樹脂であって、第1樹脂の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する第2樹脂、並びに、ジアルキルグリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸リソグラフィー処理のようなフォトリソグラフィー処理においてフォトレジスト組成物上に適用されうる上塗り(topcoat)層組成物に関する。本発明は、半導体素子の形成のための液浸リソグラフィープロセスにおける上塗り層としての特定の用途を見いだした。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストはイメージを基体に移すために使用される感光膜である。フォトレジストの塗膜層が基体上に形成され、フォトレジスト層が次いでフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明な領域および活性化放射線に対して透明な他の領域を有する。活性化放射線への露光はフォトレジスト塗膜の光誘起化学変換をもたらし、それによりフォトマスクのパターンをフォトレジストで覆われた基体に移す。露光に続いて、フォトレジストは現像剤溶液との接触によって現像され、基体の選択的処理を可能にするレリーフイメージを提供する。
【0003】
半導体素子においてナノメートル(nm)スケールフィーチャーサイズを達成する一つのアプローチは、より短い波長の光を使用することである。しかし、193nm未満で透明な物質を見いだす困難さは、液体の使用によりレンズの開口数を増大させ、より多くの光の焦点を膜に合わせるために液浸リソグラフィー方法につながった。液浸リソグラフィーは比較的高い屈折率の流体を、画像形成装置(例えば、KrFまたはArF光源)の最終表面と基体、例えば、半導体ウェハ上の第一表面との間で使用する。液浸流体として水(193nmの波長で1.44の屈折率)を使用する場合には、193nmで35nmの線幅が可能である。
【0004】
液浸リソグラフィーにおいて、液浸流体とフォトレジスト層との間の直接の接触は結果的にフォトレジストの成分の液浸流体への漏出をもたらしうる。この漏出は光学レンズの汚染を生じさせる場合があり、かつ液浸流体の実効屈折率および透過特性の変化をもたらしうる。この問題を改善するための努力において、フォトレジスト層上の上塗り層を、液浸流体と下地フォトレジスト層との間のバリヤとして使用することが提案されてきた。しかし、液浸リソグラフィーにおける上塗り層の使用は様々な困難を提示した。上塗り層は、例えば、上塗り屈折率、厚み、酸性度、レジストとの化学相互作用、および浸せき時間のような特性に応じて、プロセスウィンドウ(process window)、限界寸法(CD)バリエーション、およびレジストプロファイルに影響を及ぼしうる。さらに、上塗り層の使用は、例えば、適切なレジストパターン形成を妨げるマイクロ架橋欠陥のために、素子収率に悪影響を及ぼしうる。
【0005】
上塗り物質の性能を改良するために、段階的な(graded)上塗り層を形成するための自己分離型(self−segregating)上塗り組成物の使用が、例えば、Self−segregating Materials for Immersion Lithography(液浸リソグラフィーのための自己分離型物質),Daniel P.Sandersら,Advances in Resist Materials and Processing Technology XXV,Proceedings of the SPIE、第6923巻、692309−1〜692309−12(2008)に提案されてきた。段階的上塗りは理論的に、液浸流体界面およびフォトレジスト界面の双方で望まれる特性、例えば、液浸流体界面での高い水後退角およびフォトレジスト界面での良好な現像剤溶解性を有するように調整された物質を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Self−segregating Materials for Immersion Lithography(液浸リソグラフィーのための自己分離型物質),Daniel P.Sandersら,Advances in Resist Materials and Processing Technology XXV,Proceedings of the SPIE、第6923巻、692309−1〜692309−12(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
液浸リソグラフィーにおいて使用するための改良された自己分離型上塗り組成物についての、およびその使用方法についての当該技術分野における継続した必要性がある。液浸フォトリソグラフィーのための新たな上塗り組成物および方法が提供される。液浸でない画像形成方法において使用するためのフォトレジスト層上で上塗り層として使用されうる新たな組成物も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に従って、フォトレジスト層上での上塗り層の形成における使用に適した組成物が提供される。この組成物は、1種以上の酸性官能基を含む第1樹脂;重合単位として式(I):
【化1】

(式中、Rは水素または場合によって置換されているC1〜C6アルキルもしくはフルオロアルキル基であり、Rは場合によって置換されているシクロアルキルもしくは分岐アルキル基であり、Rは場合によって置換されているアルキレン基であり、RおよびRは独立してC1〜C4フルオロアルキル基である)
のモノマーを含み、第1樹脂とは異なる第2樹脂;並びに、ジアルキルグリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒;を含む。第2樹脂は、第1樹脂の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する。
【0009】
本発明のさらなる態様においては、Rは場合によって置換されているC3〜C6イソアルキル基もしくはシクロアルキル基であることができる。さらなる態様においては、第1樹脂の酸性官能基は、スルホン酸基のような強酸性官能基であることができる。さらなる態様においては、組成物は、フッ素化されておりかつ1種以上の酸性官能基を含み、第1および第2樹脂とは異なる第3樹脂を含むことができる。さらなる態様において、第2樹脂は重合単位として、1以上の光酸不安定(photoacid−labile)基を含む第2のモノマーをさらに含むことができる。さらなる態様においては、溶媒はアルコールとアルキルエーテルまたはアルカンとをさらに含む。
本発明のさらなる態様に従って、被覆された基体が提供される。被覆された基体は、基体上のフォトレジスト層;およびフォトレジスト層上の上塗り層;を含む。上塗り層は、第1の態様に関して上述された第1樹脂および第2樹脂を含み、第2樹脂は第1樹脂の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有し、溶媒はジアルキルグリコールモノアルキルエーテルを含む。さらなる態様に従って、上塗り層は段階的(graded)層である。
本発明のさらなる態様に従って、フォトレジスト組成物を処理する方法が提供される。この方法は、(a)フォトレジスト組成物を基体上に適用してフォトレジスト層を形成し;(b)フォトレジスト層上に、第1の態様に関して上述された上塗り組成物を適用し;および(c)フォトレジスト層を化学線に露光する;ことを含む。さらなる態様に従って、露光は液浸露光であることができ、基体は半導体ウェハであることができる。
ある態様においては、フォトレジスト組成物層上に適用される本発明の上塗り層組成物は自己分離性(self−segregating)であり、段階的な上塗り層を形成し、これは液浸リソグラフィープロセスにおいて使用される液浸流体にフォトレジスト層の成分の移動を少なくとも阻害するのを助けることができるか、好ましくはこの移動を最小化もしくは防ぐのを助けることができる。さらに、液浸流体界面での水動的接触角特性、例えば、水後退角は改良されうる。さらに、上塗り層組成物は、層の露光領域および未露光領域の双方について、例えば、水性塩基現像剤中において優れた現像剤溶解性を有する上塗り層を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において使用される場合、用語「液浸流体」は、液浸リソグラフィーを行うために露光ツールのレンズとフォトレジストで覆われた基体との間に挿入される流体(例えば、水)を意味する。
また、本明細書において使用される場合、同じ方法で処理されるが上塗り組成物層のない同じフォトレジストシステムと比較して、上塗り組成物の使用によって、低減された量の酸または有機物質が液浸流体中で検出される場合には、上塗り層はフォトレジスト物質の液浸流体への移動を阻害すると見なされる。液浸流体中のフォトレジスト物質の検出は、フォトレジスト(オーバーコートされた上塗り組成物層を有する、および有しない)の露光前の、および次いで液浸流体を通した露光を用いたフォトレジスト層(オーバーコートされた上塗り組成物層を有する、および有しない)のリソグラフィック処理後の液浸流体の質量分析によって行われることができる。好ましくは、上塗り組成物は、何ら上塗り層を使用しない同じフォトレジスト(すなわち、液浸流体がフォトレジスト層に直接接触する)と比較して、液浸流体中に存在するフォトレジスト物質(例えば、質量分析で検出される酸または有機物質)の少なくとも10パーセント低減をもたらし、より好ましくは上塗り組成物は、上塗り層を使用しない同じフォトレジストと比較して、液浸流体中に存在するフォトレジスト物質の少なくとも20、50または100パーセント低減をもたらす。
【0011】
ある態様においては、上塗り組成物の1種以上の樹脂は2種の異なる繰り返し単位のポリマー(コポリマー)、3種の異なる繰り返し単位のポリマー(ターポリマー)、4種の異なる繰り返し単位のポリマー(テトラ−ポリマー)、5種の異なる繰り返し単位のポリマー(ペンタポリマー)、またはより高次のポリマーを有する。
【0012】
本発明の上塗り組成物の典型的な樹脂は様々な繰り返し単位、例えば、疎水性基;弱酸基;強酸基;分岐した、場合によって置換されたアルキルもしくはシクロアルキル基;フルオロアルキル基;または極性基、例えばエステル基、エーテル基、カルボキシ基もしくはスルホニル基:の1種以上を含む繰り返し単位を含むことができる。
【0013】
ある態様においては、コーティング組成物の1種以上の樹脂はリソグラフィック処理中に反応性である1種以上の基、例えば、酸および熱の存在下で切断反応を受けうる1種以上の光酸不安定基、例えば、酸不安定(acid−labile)エステル基(例えば、t−ブチルアクリラートまたはt−ブチルメタクリラートの重合によって提供されるようなt−ブチルエステル基、アダマンチルアクリラート)および/またはビニルエーテル化合物の重合により提供されるようなアセタール基を含む。
【0014】
本発明の上塗り組成物は様々な物質を含むことができ、組成物の典型的な樹脂は高分子量物質、例えば、約3000、4000、または4500ダルトンを超える分子量を有する物質である。組成物の1種以上の樹脂は6000、7000、8000または9000ダルトンを超える分子量を有することができる。
【0015】
本発明の上塗り組成物は、樹脂成分に加えて、1種以上の任意成分、例えば、1種以上の酸発生剤化合物、例えば、1種以上の熱酸発生剤(TAG)化合物および/または1種以上の光酸発生剤(PAG)化合物;および1種以上の界面活性剤化合物を含むことができる。
【0016】
本発明の上塗り組成物が、液浸リソグラフィープロセスにおいて評価される場合に、好ましい静的および動的水接触角を示すことができることが見いだされた。このような水接触角の議論についてはBurnettら、J.Vac.Sci.Techn.B,23(6)、ページ2721−2727(2005年11月/12月)を参照。
【0017】
本発明のリソグラフィックシステムの典型的な画像形成波長には、サブ(sub)−300nm波長、例えば、248nm、サブ−200nm波長、例えば、193nmが挙げられる。本発明のシステムにおいて使用するのに特に好ましいフォトレジストは、光活性成分(例えば、1種以上の光酸発生剤化合物)および下記から選択される1種以上の樹脂を含むことができる:
1)248nmでの画像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよびアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、ここにおいて、重合されたアクリル酸アルキル単位は光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうる。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的なアクリル酸アルキルには、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートが挙げられる。例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号に記載されたポリマーである:ii)ビニルフェノール、場合によって置換されている(ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まない)ビニルフェニル(例えばスチレン)、および上記ポリマーi)で記載されたデブロッキング基を有するもののようなアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー;例えば、米国特許第6,042,997号に記載されたポリマー:およびiii)光酸で反応しうるアセタールもしくはケタール部分を含む繰り返し単位、および場合によってフェニルもしくはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー;このようなポリマーは、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されている:並びに、i)および/またはii)および/またはiii)のブレンド。
【0018】
2)サブ−200nm波長、例えば、193nmで画像形成するのに特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、フェニルもしくは他の芳香族基を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)芳香族でない環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー;このようなポリマーは、米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載されたポリマー:ii)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートを含むポリマー;例えば、米国特許第6,057,083号;欧州特許出願公開第EP01008913A1号およびEP00930542A1号;および米国特許第6,136,501号に記載される:およびiii)重合された酸無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー;例えば、欧州特許出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されるポリマー:並びに、i)および/またはii)および/またはiii)のブレンド。
【0019】
3)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位(ただし、酸無水物以外、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含み、好ましくは、芳香族単位を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位が樹脂骨格に融合され、さらに好ましいのは、樹脂が、ノルボルネン基の重合により提供されるような縮合炭素脂環式単位、および/または無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供されるような酸無水物単位を含むものである。このような樹脂は国際公開第WO01/86353A1号および米国特許第6,306,554号に開示されている。
4)例えば、テトラフルオロエチレン、フッ素化芳香族基、例えば、フルオロ−スチレン化合物、ヘキサフルオロアルコール部分を含む化合物などの重合により提供されうるような、フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)。このような樹脂の例は、例えば、国際公開第WO2000017712号に開示されている。
【0020】
本発明の液浸リソグラフィー法においては、約1〜約2の屈折率を有する液浸流体が、露光中に、露光ツールと上塗り組成物との間に好適に維持される。本発明のこれらの方法において、様々なフォトレジスト、例えば、化学増幅ポジ型フォトレジストおよびネガ型フォトレジストが使用されうる。
【0021】
本発明のこれらの方法のいくつかの態様において、フォトレジスト組成物はオーバーコートされる上塗り組成物を適用する前に、熱処理されなくてもよい。また、本発明のこれらの方法のいくつかの態様において、適用されたフォトレジスト組成物および上塗り組成物を有する基体は、露光前に熱処理されて、適用されたフォトレジスト組成物および適用された上塗り組成物の双方から溶媒を除去する。
【0022】
本発明の方法およびシステムは様々な画像形成波長、例えば、300nm未満の波長、例えば、248nmの波長、または200nm未満の波長、例えば、193nmの波長を有する放射線を用いて使用されうる。
【0023】
上塗り組成物
上述のように、本発明の上塗り組成物は複数の異なる樹脂、例えば、2種、3種またはそれより多種の樹脂を含む。本発明において有用な樹脂はホモポリマーであることができるが、より典型的には、2種または3種の異なる単位を有する複数の異なる繰り返し単位を含み、すなわち、コポリマーまたはターポリマーが典型的である。
【0024】
重合されたアクリラート基、ポリエステル、並びに他の繰り返し単位および/またはポリマー骨格構造、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、重合された芳香族(メタ)アクリラート、および重合されたビニル芳香族モノマーにより提供されるものを含む樹脂をはじめとする、様々な樹脂が本発明の上塗り組成物中に使用されることができる。ある好ましいシステムにおいては、コーティング組成物は少なくとも3種の異なる樹脂を含むことができ、第1樹脂、第2樹脂および第3樹脂のそれぞれは、少なくとも2種の異なる繰り返し単位を含み、より好ましくは、第1樹脂、第2樹脂および第3樹脂の少なくとも2種は少なくとも3種の異なる繰り返し単位を含む。異なる樹脂は好適には様々な相対量で存在することができる。
【0025】
本発明の上塗り組成物の樹脂は様々な繰り返し単位、例えば、疎水性基;弱酸基;強酸基;分岐した、場合によって置換されたアルキルもしくはシクロアルキル基;フルオロアルキル基;または極性基、例えばエステル基、エーテル基、カルボキシ基もしくはスルホニル基:の1種以上を含む繰り返し単位を含むことができる。樹脂の繰り返し単位における特定の官能基の存在は、例えば、意図される樹脂の機能に依存しうる。
【0026】
ある好ましい態様においては、コーティング組成物の1種以上の樹脂は、リソグラフィック処理中に反応性である1種以上の基、例えば、酸および熱の存在下で切断反応を受けうる1種以上の光酸酸不安定基、例えば、酸不安定エステル基(例えば、アクリル酸t−ブチルまたはメタクリル酸t−ブチルの重合により提供されるようなt−ブチルエステル基、アクリル酸アダマンチル)および/またはビニルエーテル化合物の重合により提供されるようなアセタール基を含むことができる。このような基の存在は関連する樹脂を現像剤溶液中でより可溶性にすることができ、それにより現像プロセス中の上塗り層の現像可能性および除去を助けることができる。
【0027】
上塗り組成物の樹脂は典型的には比較的高い、例えば、約3000、4000または4500ダルトンを超える分子量を有する。組成物の1種以上の樹脂は6000、7000、8000または9000ダルトンを超える分子量を有しうる。
【0028】
本発明の上塗り組成物の典型的な樹脂システムは2種以上、より典型的には3種以上の異なる樹脂を含む。これらの樹脂は、それぞれが特定の目的または機能を概して果たし、上塗り層の特性を調整するように選択される。このような機能には、例えば、フォトレジストプロファイル調整、上塗り表面調整、欠陥の低減および上塗り層とフォトレジスト層との間の界面混合の低減の1種以上が挙げられる。本発明の樹脂システムは、概して組成物中に最も大きな割合で存在し、上塗り膜の主要部分を形成する樹脂であるマトリックス樹脂、および1種以上の添加樹脂を含む。少なくとも1種の添加樹脂は表面調整目的のために、例えば、液浸流体接触角特性を改良するために存在する。本発明に有用な典型的なこのような樹脂はここでは記載されない。
【0029】
マトリックス樹脂は、例えば、1種以上の繰り返し単位を含むことができ、2種の繰り返し単位が典型的である。マトリックス樹脂は、例えば、マイクロ架橋による全体的な欠陥を低減させるのに充分高い現像剤溶解速度をもたらすべきである。マトリックス樹脂は、ポリマー現像剤溶解速度を向上させるために、例えば、スルホンアミド含有モノマーを含むことができる。マトリックスポリマーの典型的な現像剤溶解速度は500nm/秒より大きい。マトリックス樹脂は、上塗り層と下地フォトレジストとの間の界面混合を低減するかまたは最小化するために、典型的にはフッ素化される。マトリックス樹脂の1種以上の繰り返し単位は、例えば、C1〜C4フルオロアルキル基、典型的にはフルオロメチルのようなフルオロアルキル基でフッ素化されることができる。
【0030】
本発明に従った典型的なマトリックス樹脂ポリマーには次のものが挙げられる:
【化2】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは0〜90重量%(重量パーセント)であり、yは10〜100重量%である。典型的な第1マトリックスポリマーにおいては、x/yは90/10重量%である:
【化3】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは0〜85重量%であり、yは10〜80重量%であり、zは5〜20重量%である。典型的なマトリックスポリマーにおいては、x/y/zは40/45/15重量%である:
【化4】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは0〜85重量%であり、yは10〜80重量%であり、zは5〜20重量%である。典型的なマトリックスポリマーにおいては、x/y/zは40/45/15重量%である。
【0031】
第1添加樹脂は上塗り組成物中に提供され、上塗り/液浸流体界面での表面特性を向上させる。特に、第1添加樹脂は、上塗り/液浸流体界面での液浸流体後退角を有益に増大させることができ、それによりより速いスキャニング速度を可能にする。第1添加樹脂は、システム中に存在するマトリックスポリマー樹脂および他の添加樹脂よりも有意に低い表面エネルギーを有するべきであり、かつマトリックスポリマー樹脂および他の添加樹脂と実質的に非混和性であるべきである。この方法において、上塗り層は自己分離性であることができ、ここで、第1添加樹脂はコーティング中に他の樹脂から離れて上塗り層の表面に移動する。得られた上塗り層は、それにより段階的であり、上塗り/液浸流体界面において第1添加樹脂が豊富である。第1添加樹脂は、フォトレジストを処理した後、例えば、活性化放射線に露光しそして露光後ベーキングした後で、現像剤溶液中での溶解度を増大させるために1種以上の酸不安定官能基をさらに含むことができる。第1添加樹脂は、典型的には、フォトリソグラフィー処理の前および後の双方で優れた現像可能性を有する。この樹脂は、典型的には、例えば、1Å/秒以上のダークフィールド(dark field)現像剤溶解速度を示す。第1添加樹脂は重合単位として式(I)のモノマーを含む:
【化5】

式中、Rは水素、または場合によって置換されているC1〜C6アルキルもしくはフルオロアルキル基であり、Rは場合によって置換されているシクロアルキルもしくは分岐アルキル基であり、Rは場合によって置換されているアルキレン基であり、RおよびRは独立してC1〜C4フルオロアルキル基である。
【0032】
本発明に従った典型的な第1添加樹脂は重合単位として、次の式M1、M2およびM3のモノマーを含む:
【化6】

式中、R’は独立して水素または場合によって置換されているC1〜C6アルキルもしくはフルオロアルキル基であり、Rは場合によって置換されているシクロアルキル、例えば、シクロヘキシル、または分岐アルキル基、例えば、イソアルキル基、例えば、イソプロピルもしくはイソブチルであり、Rは場合によって置換されているアルキレン基であり、RおよびRは独立してC1〜C4フルオロアルキル基、例えば、フルオロメチルもしくはフルオロエチルであり、Rは場合によって置換されているC1〜C6アルキレン、例えば、エチレンもしくはプロピレンであり、RはC1〜C4フルオロアルキル基、例えば、フルオロメチルもしくはフルオロエチルであり、Rは酸不安定脱離基であって、好ましくは低い活性化エネルギーを有する。第1添加樹脂における使用のための、このような酸不安定脱離基を含む好適なモノマーには、例えば、次のものが挙げられる:
【化7】

式中RはモノマーM1〜M3に関して上述されたとおりである。上記の典型的な式におけるモノマーM1、M2およびM3のそれぞれは、第1添加樹脂に有益な特性をもたらすと考えられる。たとえば、モノマーM1は増大した動的接触角、例えば、増大した後退角および低減した転落角を可能にし、および現像剤親和性および溶解性を改良することを可能にする;モノマーM2は有益な動的接触角を維持しつつ、ダークフィールド現像剤溶解速度を改良する;モノマーM3は、酸不安定基に起因する露光された領域における増大した現像剤溶解性を提供し、動的接触角を改良し、特に液浸流体後退角を、例えば、72°より高く増大させると考えられる。
【0033】
上述のように、上塗り組成物の樹脂システムは1種以上の添加樹脂を含むことができる。特に好適な組成物において、レジストフィーチャープロファイルを調整し、レジスト上部損失を抑制する目的のために、マトリックス樹脂および第1添加樹脂に加えて、第2添加樹脂が提供される。第2添加樹脂は、典型的には、1種以上の強酸官能基、例えば、スルホン酸基を含む。典型的には第2添加樹脂は1種以上のスルホン酸官能基を含む。典型的には、第2添加樹脂はマトリックスポリマーと混和性であるべきであり、一方で、上述のように、第1添加樹脂と概して非混和性であるべきである。
【0034】
本発明において第2添加樹脂として有用な典型的なポリマーには、次のものが挙げられる:
【化8】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは0〜89重量%であり、yは10〜99重量%であり、zは1〜5重量%である。典型的なポリマーにおいては、x/y/zは10/85/5重量%である:
【化9】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは5〜20重量%であり、yは75〜94重量%であり、zは1〜5重量%である。典型的なポリマーにおいては、x/y/zは15/80/5重量%である:
【化10】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは5〜20重量%であり、yは75〜94重量%であり、zは1〜5重量%である:
【化11】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは0〜89重量%であり、yは10〜99重量%であり、zは1〜5重量%である。典型的なポリマーにおいては、x/y/zは10/87/3重量%である:
【化12】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは5〜20重量%であり、yは75〜94重量%であり、zは1〜5重量%である。典型的なポリマーにおいては、x/y/zは15/82/3重量%である:
【化13】

式中、ポリマーの重量を基準にして、xは5〜20重量%であり、yは75〜94重量%であり、zは1〜5重量%である。典型的なポリマーにおいては、x/y/zは10/87/3重量%である。式中、ポリマーの重量を基準にして、xは5〜20重量%であり、yは75〜94重量%であり、zは1〜5重量%である。典型的なポリマーにおいては、x/y/zは10/87/3重量%である。
【0035】
上述のように、上塗り組成物は1種以上の酸発生剤化合物、例えば、1種以上の熱酸発生剤化合物および/または1種以上の光酸発生剤化合物を含むことができる。場合によっては、上塗り組成物はこのような酸発生剤化合物を含まなくてもよい。この点において、酸発生剤化合物は処理中に下地フォトレジストから上塗り層へ移動することにより提供されることができ、酸発生剤化合物を上塗り組成物の部分として別に添加することを不要にする。望まれる場合には、上塗り組成物に使用するのに好適な光酸発生剤化合物は、フォトレジスト組成物に関して以下で論じられ、特に、非イオン性化合物、例えば、イミドスルホナート、例えば、下記の式の化合物:
【化14】

(式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホナートおよびペルフルオロノナンスルホナート)が挙げられる。上塗り組成物において使用するのに特に好ましい光酸発生剤化合物は、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0036】
イオン性もしくは実質的に中性の熱酸発生剤、例えば、アレーンスルホン酸アンモニウム塩をはじめとする本発明の熱酸発生剤化合物も上塗り組成物中に使用されうる。
【0037】
使用される場合には、1種以上の酸発生剤は上塗り組成物中で比較的少量、例えば、組成物の乾燥成分の合計(溶媒キャリア以外の全成分)の0.1〜10重量%、例えば、乾燥成分の合計の約2重量%で使用されうる。
【0038】
このような1種以上の酸発生剤化合物の使用は、下地レジスト層にパターン形成された現像された画像のリソグラフィック性能、特に解像度に有利な影響を及ぼしうる。
【0039】
本発明の上塗り組成物のさらなる任意的な添加剤は1種以上の界面活性剤であり、これは上塗り組成物の実質的に均一な塗膜層の形成を促進することができる。様々な界面活性剤が使用されうる。典型的な界面活性剤は両親媒特性を示し、両親媒特性とは、界面活性剤が親水性および疎水性の双方であり得ることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水への強い親和性を有する親水性ヘッド基、および有機物親和性でありかつ水をはじく長い疎水性テイルを有する。好適な界面活性剤はイオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)または非イオン性でありうる。界面活性剤のさらなる例には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、およびフルオロケミカル界面活性剤が挙げられる。水溶液中で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤には、これらに限定されないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシラート、例えば、TRITON登録商標X−114、X−102、X−45、X−15、およびアルコールエトキシラート、例えば、BRIJ登録商標56(C1633(OCHCH10OH)(ICI)、BRIJ登録商標58(C1633(OCHCH20OH)(ICI)が挙げられる。さらに典型的な界面活性剤には、アルコール(第1級および第2級)エトキシラート、アミンエトキシラート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、またはグレンロック、ニュージャージー州のManufactures Confectioners Publishing Co.により刊行されるMcCutcheon’s Emulsifiers and Detergents、2000年北アメリカエディションに開示される他の界面活性剤が挙げられる。
【0040】
次の式の界面活性剤のような、アセチレン系ジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も好適であり得る:
【化15】

これらの式中、R1およびR4は線状または分岐アルキル鎖であり、好適には3から10の炭素原子を有し;R2およびR3はHまたはアルキル鎖であり、好適には1〜5の炭素原子を有し;m、n、pおよびqは0〜20の範囲の数である。このような界面活性剤はアレンタウン、ペンシルベニア州のAir Products and Chemicals,Inc.から、商品名SURFYNOL登録商標およびDYNOL登録商標で商業的に入手可能である。
【0041】
本発明のコーティング組成物における使用のための追加の好適な界面活性剤には、他のポリマー化合物、たとえば、トリブロックEO−PO−EOコポリマー、PLURONIC登録商標25R2、L121、L123、L31、L81、L101およびP123(BASF,Inc.)が挙げられる。
【0042】
一種以上の界面活性剤は比較的少量で、例えば、全固形分(全固形分は溶媒キャリアを除いた全ての組成物成分である)の重量に対して5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満または0.5重量%未満で好適に存在することができる。
【0043】
好ましいトップコート組成物層は193nmで約1.4以上、例えば193nmで約1.47以上の屈折率を有しうる。さらに、特定の系については、屈折率は、上塗り組成物の1種以上の樹脂の組成を変更することにより、例えば、樹脂ブレンドの成分の割合、または上塗り組成物の樹脂のいずれかの組成を変えることにより調整されうる。例えば、上塗り層組成物中の有機物質含有量を増加させることは、層の増大した屈折率をもたらしうる。
【0044】
好ましい上塗り層組成物は、ターゲット露光波長、例えば、193nmまたは248nmで、液浸流体とフォトレジストの屈折率との間の屈折率を有しうる。
【0045】
上塗り組成物を配合しキャストするための典型的な溶媒物質は、上塗り層組成物の成分を溶解または分散させるが、下地フォトレジスト層を関知できるほどに溶解しないものである。より詳細には、上塗り組成物を配合するのに好適な溶媒には、これらに限定されないが、アルコール、例えば、n−ブタノール、およびアルキレングリコール、例えばプロピレングリコールの1種以上が挙げられる。あるいは、非極性溶媒、例えば、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素、およびアルキルエーテル、例えば、ドデカン、イソオクタン、およびイソペンチルエーテルが使用されうる。溶媒系における1種以上の溶媒は、個々に、実質的に純粋な形態であることができ、このことは、溶媒分子の異性体が、溶媒中で5重量%未満、例えば、2重量%未満、または1重量%未満の量で存在することを意味する。場合によって、溶媒は、溶媒分子の異性体の混合物を含むことができ、この異性体は5重量%を超える、例えば、10重量%を超える、20重量%を超える、40重量%を超える、60重量%を超える、80重量%を超える、または90重量%を超える量で存在する。好ましくは、異なる溶媒、例えば、2種、3種またはそれより多い種類の溶媒の混合物が使用され、組成物中の他のポリマーからの第1添加樹脂の分離の効率的な相分離を達成し、かつ配合物の粘度を低減し、このことは適用体積の低減を可能にする。
【0046】
典型的な態様においては、3溶媒系が本発明の上塗り組成物に使用されることができる。この溶媒系は、例えば、主溶媒、希釈溶媒、および添加溶媒を含むことができる。主溶媒は、典型的には、上塗り組成物の非溶媒成分に関して優れた溶解性を示す。主溶媒の望まれる沸点は溶媒系の他の成分に応じて変化するが、この沸点は典型的には、添加溶媒の沸点未満であり、120〜140℃の沸点、例えば、約130℃の沸点が典型的である。好適な主溶媒には、例えば、C4〜C8n−アルコール、例えば、n−ブタノール、、イソブタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、イソへキサノールおよびイソヘプタノール、これらの異性体並びにこれらの混合物が挙げられる。主溶媒は典型的には、溶媒系を基準にして30〜80重量%の量で存在する。
【0047】
希釈溶媒は粘度を低下させ、より低い適用体積でコーティングカバレッジを向上させるために存在する。希釈溶媒は、典型的には、組成物の非溶媒成分に対して主溶媒よりも劣った溶媒である。希釈溶媒の望まれる沸点は溶媒系の他の成分に応じて変化するが、140〜180℃、たとえば約170℃の沸点が典型的である。好適な希釈溶媒には、例えば、アルカン、例えば、C8〜C12n−アルカン、例えば、n−オクタン、n−デカンおよびドデカン、これらの異性体並びにこれらの異性体の混合物;および/またはアルキルエーテル、例えば、式R−O−R(式中、RおよびRは独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル、およびC〜Cアルキルから選択される)のものが挙げられる。このアルキルエーテル群は線状または分岐、かつ対照または非対称であることができる。特に好適なアルキルエーテルには、たとえば、イソブチルエーテル、イソペンチルおよびイソブチル イソヘキシル、これらの異性体およびこれらの混合物が挙げられる。希釈溶媒は、典型的には、溶媒系を基準にして10〜70重量%の量で存在する。
【0048】
添加溶媒は、段階的な上塗り構造を促進する、上塗り組成物中の相分離樹脂と他の樹脂との間の相分離を促進するために存在する。さらに、より高い沸点の添加溶媒はコーティング中のチップ乾燥効果を低減させうる。添加溶媒は、溶媒系の他の成分よりも高い沸点を有することが典型的である。添加溶媒の望まれる沸点は溶媒系の他の成分に応じて変化しうるが、170〜200℃、例えば、約190℃の沸点が典型的である。好適な添加溶媒には、例えば、ヒドロキシアルキルエーテル、例えば、式:
【化16】

(式中、Rは場合によって置換されているC1〜C2アルキル基、RおよびRは独立して、場合によって置換されているC2〜C4アルキル基から選択される)のもの、並びにこのようなヒドロキシアルキルエーテルの混合物、例えば、異性体混合物が挙げられる。典型的なヒドロキシアルキルエーテルには、ジアルキルグリコールモノアルキルエーテルおよびこれらの異性体、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、これらの異性体並びにこれらの混合物が挙げられる。添加溶媒は、典型的には、溶媒系を基準にして、3〜15重量%の量で存在する。
【0049】
特に好適な3溶媒系には、4−メチル−2ペンタノール/イソペンチルエーテル/ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(重量比49/45/6)が挙げられる。典型的な溶媒系が3成分系に関して記載されるが、追加の溶媒が使用されうることは当然明らかである。例えば、1種以上の追加の主溶媒、希釈溶媒、添加溶媒および/または他の溶媒が使用されうる。
【0050】
上塗り組成物は、1種以上の極性溶媒、例えば、上述のような極性溶媒、または1種以上の非極性溶媒、例えば、上述のような脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素に樹脂を混合することにより好適に製造されうる。全体的な組成物の粘度は、典型的には、1.5〜2センチポイズ(cp)、例えば、1.6〜1.9cpであり、典型的には約1.8cpである。
後述の実施例は、本発明の上塗り組成物の典型的な製造を提供する。
【0051】
フォトレジスト
様々なフォトレジスト組成物が、本発明の上塗り層組成物および方法と組み合わせて使用されうる。
上述のように、本発明に従って使用するのに典型的なフォトレジストには、ポジ型またはネガ型化学増幅型フォトレジスト、すなわち、1以上の組成物成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受け、このレジストの塗膜層の露光領域を、未露光領域よりも水性現像剤中でより可溶性にするポジ型レジスト組成物、並びに、光酸促進架橋反応を受けて、このレジストの塗膜層の露光領域を、未露光領域よりも現像剤非可溶性にするネガ型レジスト組成物が挙げられる。これらのなかで、ポジ型物質が典型的である。エステルのカルボキシル酸素に共有結合しているターシャリー非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)またはターシャリー脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むエステル基は、多くの場合、本発明のリソグラフィーシステムのフォトレジストに使用される樹脂の好ましい光酸不安定基である。アセタール光酸不安定基も好ましいであろう。
【0052】
本発明に従って有用なフォトレジストは、典型的には、樹脂成分および光活性成分を含む。典型的には、樹脂は、レジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、典型的なものは、ヒドロキシルまたはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーである。典型的には、樹脂成分は、アルカリ水溶液でレジストを現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物中で使用される。
【0053】
200nmを超える波長、例えば、248nmでの画像形成のために、フェノール系樹脂が典型的である。典型的なフェノール系樹脂はポリ(ビニルフェノール)であり、これは触媒の存在下で対応するモノマーのブロック重合、乳化重合または溶液重合によって形成されうる。ポリビニルフェノール樹脂の製造に有用なビニルフェノール類は、例えば、商業的に入手可能なクマリンまたは置換クマリンの加水分解、それに続く、得られたヒドロキシケイヒ酸の脱カルボキシル化によって製造されうる。有用なビニルフェノール類は対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水により、または置換もしくは非置換のヒドロキシベンズアルデヒドとマロン酸との反応から得られるヒドロキシケイヒ酸の脱カルボキシル化によっても製造されうる。このようなビニルフェノール類から製造される好ましいポリビニルフェノール樹脂は約2,000〜約60,000ダルトンの分子量範囲を有する。
【0054】
また、200nmを超える波長、例えば、248nmでの画像形成に典型的なものは、フェノール系単位および非フェノール系単位の双方を含むコポリマーを含む樹脂成分と光酸性分とを混合して含む化学増幅型フォトレジストである。例えば、このようなコポリマーのある典型的なグループは、実質的に、本質的に、または完全に、コポリマーの非フェノール系単位上にだけ酸不安定基を有し、特にアルキルアクリラート光酸不安定基を有し、すなわち、フェノール系−アルキルアクリラートコポリマーである。ある種の特に好ましいコポリマーバインダーは次の式の繰り返し単位xおよびyを有する:
【0055】
【化17】

【0056】
式中、ヒドロキシル基はコポリマー中でオルト、メタもしくはパラ位に存在し、R’は場合によって置換された1〜約18の炭素原子、より典型的には1〜約6〜8の炭素原子を有するアルキルである。ターシャリーブチルが概して好ましいR’基である。R’基は、例えば、ハロゲン(特に、F、ClまたはBr)、C1−8アルコキシ、C2−8アルケニルなどの1種以上によって場合によって置換されていてもよい。単位xおよびyはコポリマー中で規則的に交互であってよく、またはポリマー中でランダムに散在していてもよい。このようなコポリマーは容易に形成されうる。例えば、上記式の樹脂については、ビニルフェノールおよび場合によって置換されたアルキルアクリラート、例えば、アクリル酸t−ブチルなどが当該技術分野で知られているようにフリーラジカル条件下で縮合されうる。置換エステル部分、すなわち、アクリラート単位のR’−O−C(=O)−部分は、樹脂の酸不安定基として機能し、この樹脂を含むフォトレジストの塗膜層の露光による光酸誘起切断をうけうる。典型的には、コポリマーは約8,000〜約50,000、より典型的には、約15,000〜約30,000のM、約3以下の分子量分布、より典型的には、約2以下の分子量分布を有しうる。非フェノール系樹脂、例えば、アクリル酸t−ブチルまたはメタクリル酸t−ブチルのようなアクリル酸アルキルと、ビニルノルボルナニルもしくはビニルシクロへキサノール化合物のような脂環式ビニルとのコポリマーも、本発明の組成物において樹脂バインダーとして使用されうる。このようなコポリマーは、このようなフリーラジカル重合もしくは他の公知の手順によっても製造されることができ、好適には、約8,000〜約50,000のMおよび約3以下の分子量分布を有しうる。
【0057】
本発明のポジ型化学増幅型フォトレジストにおいて使用するための酸不安定デブロッキング基を有する他の典型的な樹脂は、欧州特許出願公開第EP0829766A2号(アセタールを有する樹脂およびケタール樹脂)および欧州特許出願公開第EP0783136A2(1)スチレン;2)ヒドロキシスチレン;および3)酸不安定基、特にアルキルアクリラート酸不安定基、例えば、アクリル酸t−ブチル、もしくはメタクリル酸t−ブチルの単位を含むターポリマーまたは他のコポリマー)に開示されている。一般に、様々な酸不安定基、例えば、酸感受性エステル、カルボナート、エーテル、イミドなどを有する樹脂が好適であることができる。光酸不安定基はより典型的には、ポリマー骨格からペンダントであることができるが、ポリマー骨格に組み込まれた酸不安定基を有する樹脂も使用されうる。
【0058】
サブ−200nmの波長、例えば、193nmでの画像形成のために、典型的なフォトレジストは、実質的に、本質的にまたは完全にフェニルまたは他の芳香族基を含まない1種以上のポリマーを含む。例えば、サブ−200nmの画像形成について、典型的なフォトレジストポリマーは約5モルパーセント(モル%)未満の芳香族基を、より典型的には、約1モル%未満または2モル%未満の芳香族基を、より典型的には、約0.1モル%未満、0.02モル%未満、0.04モル%未満、および0.08モル%未満の芳香族基を、さらにより典型的には約0.01モル%未満の芳香族基を含む。特に有用なポリマーは芳香族基を完全に含まない。芳香族基はサブ−200nm放射線を非常に吸収することができ、よってこのような短い波長の放射線で画像形成されるフォトレジストにおいて使用されるポリマーには一般的に望ましくない。
【0059】
実質的にまたは完全に芳香族基を含まず、PAGと配合されてサブ−200nmの画像形成のためのフォトレジストを提供することができるのに好適なポリマーは欧州特許出願公開第EP930542A1号および米国特許第6,692,888号および6,680,159号に開示されている。
【0060】
芳香族基を実質的にもしくは完全に含まない好適なポリマーは、好適に、メチルアダマンチルアクリラート、メチルアダマンチルメタクリラート、エチルフェンキルアクリラート、エチルフェンキルメタクリラートなどの重合により提供されうるような光酸不安定アクリラート単位のようなアクリラート単位;ノルボルネン化合物または環内炭素−炭素二重結合を有する他の脂環式化合物の重合により提供されうるような縮合非芳香族脂環式基;無水マレイン酸および/または無水イタコン酸の重合により提供されうるような酸無水物;などを含む。
【0061】
本発明において有用なネガ型フォトレジスト組成物は、酸への曝露により硬化し、架橋しまたは固化しうる物質と、本発明の光活性成分との混合物を含む。特に有用なネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許第0164248B1号および第0232972B1号、並びに米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するための典型的なフェノール系樹脂には、上述のようなノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)が挙げられる。典型的な架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン−ベースの物質および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、一般的に最も典型的である。このような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、Cymel 300、301および303の商品名で、Cytec Industriesにより販売されているメラミン樹脂;Cymel 1170、1171および1172の商品名で、Cytec Industriesにより販売されているグリコールウリル樹脂;Beetle 60、65および80の商品名で、Teknor Apex Companyにより販売されている尿素ベースの樹脂;およびCymel 1123および1125の商品名で、Cytec Industriesにより販売されているベンゾグアナミン樹脂がある。
【0062】
サブ−200nmの波長、例えば、193nmで画像形成するために、典型的なネガ型フォトレジストは国際公開第WO03077029号に開示されている。
【0063】
本発明において有用なレジストの樹脂成分は、典型的には、レジストの露光された塗膜層を、例えば、アルカリ水溶液を用いて、現像可能にするのに充分な量で使用される。より詳細には、樹脂バインダーは好適に、レジストの全固形分の50〜約90重量%を構成しうる。光活性成分は、レジストの塗膜層中の潜像の形成を可能にするのに充分な量で存在すべきである。より詳細には、光活性成分は、好適には、レジストの全固形分の約1〜40重量%の量で存在しうる。典型的には、より少ない量の光活性成分が化学増幅型レジストに好適であり得る。
【0064】
本発明に有用なレジスト組成物は、活性化放射線への露光によりレジストの塗膜層中に潜像を生じさせるのに充分な量で使用されるPAGも含む。193nmおよび248nmでの画像形成に典型的なPAGには、イミドスルホナート、例えば、次式の化合物:
【化18】

(式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)もしくはペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル)、特にペルフルオロオクタンスルホナートおよびペルフルオロノナンスルホナート)が挙げられる。特に好ましいPAGはN−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0065】
スルホナート化合物、特にスルホン酸塩も好適なPAGである。193nmおよび248nmでの画像形成に好適な2種の化合物は次のPAG1および2である:
【化19】

このようなスルホナート化合物は、上記PAG1の合成を詳述する欧州特許第0783136B1号に開示されるように製造されることができる。
【0066】
上記カンフルスルホナート基以外のアニオンと複合体を形成する上記2種のヨードニウム化合物も好適である。特に典型的なアニオンには、式RSO(式中、Rはアダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびペルフルオロアルキル、例えば、ペルフルオロ(C1−12アルキル))のアニオン、特にペルフルオロオクタンスルホナート、ペルフルオロブタンスルホナートなどが挙げられる。
【0067】
他の公知のPAGも本発明に従って使用されるフォトレジストにおいて使用されうる。高められた透明性を提供するために、上記イミドスルホナートのような芳香族基を含まないPAGが、特に193nmの画像形成のために、概して典型的である。
【0068】
レジストの典型的な任意添加剤は、添加塩基、特に水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、または乳酸テトラブチルアンモニウムであり、これは現像されたレジストレリーフイメージの解像度を高めることができる。193nmで画像形成されるレジストのために、典型的な添加塩基は、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンのようなヒンダードアミンである。添加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03から5重量%で好適に使用される。
【0069】
本発明に従って使用されるフォトレジストは他の任意物質も含むことができる。例えば、他の任意添加剤には、ストリエーション防止(anti−striation)剤、可塑剤および速度向上剤が挙げられる。このような任意添加剤は、典型的には、充填剤および染料(これらは、比較的高濃度で、例えば、レジストの乾燥成分の全重量を基準にして約5〜30重量%の量で存在しうる)を除いてはフォトレジスト組成物中で低濃度で存在するであろう。
【0070】
本発明において有用なネガ型フォトレジストは、典型的には、架橋性成分を含みうる。架橋性成分は、典型的には別のレジスト成分として存在する。メラミン、例えば、Cymelメラミン樹脂のようなアミンベースの架橋剤は、多くの場合好まれるであろう。
【0071】
本発明において有用なフォトレジストは、概して、公知の手順に従って製造される。例えば、本発明のレジストは、好適な溶媒、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;ラクタート、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル、乳酸エチルが好ましい;プロピオナート、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルおよびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えばトルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン中でフォトレジストの成分を溶解することによりコーティング組成物として製造されうる。典型的には、フォトレジストの固形分含有量は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして5〜35重量%で変化する。このような溶媒の混合物も好適である。
【0072】
リソグラフィック処理
液体フォトレジスト組成物は、例えば、スピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術により基体に適用されることができ、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分含有量は、使用される特定のスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度およびスピニングされる時間に基づいて、所望の膜厚を提供するように調節されうる。
【0073】
本発明に従って使用されるフォトレジスト組成物は、フォトレジストでのコーティングを伴う方法で従来使用されている基体に対して好適に適用される。例えば、組成物は、マイクロプロセッサおよび他の集積回路部品の製造のためのシリコンウェハまたは酸化ケイ素で覆われたシリコンウェハ上に適用されうる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども好適に使用されうる。フォトレジストは、反射防止層、特に有機反射防止層上にも好適に適用されうる。
【0074】
本発明の上塗り組成物は、フォトレジスト組成物に関して上述したようなあらゆる好適な方法によってフォトレジスト組成物上に適用されることができ、スピンコーティングが典型的である。
【0075】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、それは、典型的にはフォトレジスト塗膜が粘着性でなくなるまで加熱することにより乾燥させられて、溶媒を除去することができ、または上述のように、フォトレジスト層は、上塗り層組成物が適用された後で乾燥させられることができ、フォトレジスト組成物層および上塗り組成物層の双方からの溶媒が実質的に単一の熱処理工程で除かれうる。
【0076】
上塗り組成物層を有するフォトレジスト層は、次いで、パターン形成された放射線に露光され、フォトレジストの光活性成分を活性化する。
【0077】
液浸リソグラフィーシステムにおいては、露光ツール(特に投影レンズ)と基体を覆うフォトレジストとの間の空間が、水、または1種以上の添加剤、例えば、高められた屈折率の流体を提供できる硫酸セシウムと混合された水のような液浸流体で占められている。典型的には、液浸流体(例えば、水)は気泡を避けるために、例えば、水を脱ガスしてナノバブルを回避するように処理されている。
【0078】
本明細書において、「液浸露光」または他の類似の用語に関する言及は、露光が露光ツールと塗布されたフォトレジスト組成物層との間に挿入されたこのような流体(例えば、水または添加剤含有水)層を用いて行われることを示す。
【0079】
露光工程中(流体が挿入されている液浸であるか、このような流体が挿入されていない非液浸であるかにかかわらず)、フォトレジスト組成物層は、露光エネルギーが、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に依存するが、典型的には約1〜100mJ/cmの範囲であるパターン形成された活性化放射線に露光される。本明細書において、フォトレジスト組成物を、フォトレジストを活性化する放射線に露光するとの言及は、その放射線が、光活性成分の反応を生じさせる、例えば、光酸発生剤化合物から光酸を生じさせることによるなどして、フォトレジスト中に潜像を形成することができることを示す。
【0080】
上述のように、フォトレジスト組成物は短い露光波長、特にサブ−300nmおよびサブ−200nmの露光波長(248nmおよび193nmが特に好ましい露光波長である)、並びにEUVおよび157nmによって光活性化されることができる。露光に続いて、組成物の膜層は典型的には約70℃〜約160℃の温度範囲でベークされる。
【0081】
その後、膜は、典型的には、水酸化第四級アンモニウム溶液、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム溶液;アミン溶液、典型的には0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミンもしくはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンもしくはトリエタノールアミン;および環式アミン、例えばピロールもしくはピリジンから選択される水性塩基現像剤を用いる処理によって現像される。一般に、現像は当該技術分野において認識されている手順に従う。
【0082】
基体上のフォトレジスト塗膜の現像に続いて、現像された基体は、レジストが除かれた領域上で、例えば、当該技術分野で知られた手順に従って、レジストが除かれた基体領域を化学エッチングまたはめっきすることにより、選択的に処理されうる。マイクロエレクトロニック基体の製造のために、例えば、酸化ケイ素ウェハの製造のために、好適なエッチング剤には、ガスエッチング剤、例えば、プラズマ流れとして適用されるClまたはCF/CHFエッチング剤のような塩素−もしくはフッ素−ベースのエッチング剤のようなハロゲンプラズマエッチング剤が挙げられる。このような処理後、レジストは、知られている剥離手順を用いて処理された基体から除かれることができる。
次の非限定的な実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0083】
実施例1〜5
上塗り組成物の製造
本発明の上塗り組成物は次の成分を次の量で混合することにより製造される。
【0084】
実施例1組成物
1)0.145グラム(g)のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)重量比90/10;
2)0.019gのポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)重量比55/25/20;
3)0.3gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)1.0gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)8.54gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0085】
実施例2組成物
1)0.16gのポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)重量比80/20;
2)0.02gのポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)重量比55/25/20;
3)0.5gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)1.0gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)5.33gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0086】
実施例3組成物
1)0.16gのポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)重量比80/20;
2)0.02gのポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)重量比55/25/20;
3)0.6gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)5.0gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)4.23gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0087】
実施例4組成物
1)0.16gのポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−アクリロニトリル)重量比40/45/15;
2)0.019gのポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)重量比55/25/20;
3)0.6gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)4.0gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)5.23gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0088】
実施例5組成物
1)0.16gのポリ(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−アクリロニトリル)重量比85/15;
2)0.02gのポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)重量比55/25/20;
3)0.6gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)4.0gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)5.23gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0089】
実施例6〜16
上塗り組成物の製造
本発明の上塗り組成物は次の成分を次の量で混合することにより製造された。
【0090】
実施例6組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)(重量比90/10)の13.3重量%溶液を0.41g;
2)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(重量比95/5)の10.0重量%溶液を0.36g;
3)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
4)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
5)0.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
6)3.53gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0091】
実施例7組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)(重量比90/10)の13.3重量%溶液を0.41g;
2)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(重量比95/5)の10.0重量%溶液を0.36g;
3)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
4)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
5)1.0gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
6)3.03gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0092】
実施例8組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)(重量比90/10)の13.3重量%溶液を0.41g;
2)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(重量比95/5)の10.0重量%溶液を0.36g;
3)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
4)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
5)1.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
6)2.53gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0093】
実施例9組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)(重量比90/10)の13.3重量%溶液を0.41g;
2)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(重量比95/5)の10.0重量%溶液を0.36g;
3)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
4)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
5)2.0gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
6)2.03gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0094】
実施例10組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(重量比69/30/1)の21.0重量%溶液を0.41g;
2)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
3)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)0.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)3.89gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0095】
実施例11組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−アクリロニトリル−コ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)(重量比83/15/2)の21.0重量%溶液を0.41g;
2)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
3)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)0.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)3.89gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0096】
実施例12組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−メタクリル酸−コ−トリフルオロエチルメタクリラート)(重量比65/25/10)の21.0重量%溶液を0.41g;
2)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
3)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)0.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)3.89gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0097】
実施例13組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−メタクリル酸−コ−トリフルオロエチルメタクリラート)(重量比65/25/10)の21.0重量%溶液を0.41g;
2)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比30/30/20/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
3)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)0.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)3.89gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0098】
実施例14組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−メタクリル酸)(重量比80/20)の21.0重量%溶液を0.41g;
2)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル 2−メタクリラート−コ−1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比30/30/20/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
3)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)0.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)3.89gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0099】
実施例15組成物
1)4−メチル−2−ペンタノール中のポリ(2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート−コ−メタクリル酸)(重量比80/20)の21.0重量%溶液を0.41g;
2)プロピレングリコールメチルエーテルアセタート中のポリ(1,1,1−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−6−メチル−2−(トリフルオロメチル)ヘプタン−4−イル メタクリラート−コ−2−{[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミノ}エチル 2−メタクリラート)−コ−2,3,3−トリメチル 2−メタクリラート)(重量比55/25/20)の21.0重量%溶液を0.05g;
3)0.15gのジプロピレングリコールモノメチルエーテル、異性体の混合物;
4)0.5gのイソペンチルエーテル、異性体の混合物;
5)3.89gの4−メチル−2−ペンタノール。
【0100】
実施例16:コーティングおよび水接触角の評価
実施例6〜16の組成物が、シリコンウェハ基体上に配置された乾燥フォトレジスト層上にスピンコートされた。コーティング組成物について水接触角が評価された。評価された水接触角は、BurnettらのJ.Vac.Sci.Techn.B、23(6)、ページ2721−2727(2005年11月/12月)に開示された手順に一般的に従った静的(θ静的)、後退(θ後退)、前進(θ前進)および転落(θ転落)を含む。結果は以下の表1に示される。
【0101】
【表1】

【0102】
実施例17
液浸リソグラフィー
実施例1〜15のコーティング組成物はそれぞれ、デブロッキング−メタクリラートベースの193nmポジ型フォトレジストの塗膜層を有する各シリコンウェハ上にスピンコートされる。それぞれのウェハについてのフォトレジスト層は次いで、193nmの波長を有するパターン化された放射線を用いた液浸リソグラフィーシステムで画像形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジスト層上での上塗り層の形成における使用に適した組成物であって、
1種以上の酸性官能基を含む第1樹脂;
重合単位として式(I):
【化1】

(式中、Rは水素または場合によって置換されているC1〜C6アルキルもしくはフルオロアルキル基であり、Rは場合によって置換されているシクロアルキルもしくは分岐アルキル基であり、Rは場合によって置換されているアルキレン基であり、RおよびRは独立してC1〜C4フルオロアルキル基である)
のモノマーを含み、第1樹脂とは異なる第2樹脂であって、第1樹脂の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する第2樹脂;並びに、
ジアルキルグリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒;
を含む組成物。
【請求項2】
が場合によって置換されているC3〜C6イソアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
が場合によって置換されているシクロアルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
第1樹脂の酸性官能基が強酸性官能基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
第2樹脂が重合単位として、1以上の光酸不安定基を含む第2モノマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
溶媒が、アルコールと;アルキルエーテルまたはアルカンと;をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ジアルキルグリコールモノアルキルエーテルがジプロピレングリコールモノメチルエーテルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
基体上のフォトレジスト層;フォトレジスト層上の上塗り層;を含む被覆された基体であって、
前記上塗り層が、
1種以上の酸性官能基を含む第1樹脂;
重合単位として式(I):
【化2】

(式中、Rは水素または場合によって置換されているC1〜C6アルキルもしくはフルオロアルキル基であり、Rは場合によって置換されているシクロアルキルもしくは分岐アルキル基であり、Rは場合によって置換されているアルキレン基であり、RおよびRは独立してC1〜C4フルオロアルキル基である)
のモノマーを含み、第1樹脂とは異なる第2樹脂であって、第1樹脂の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する第2樹脂;並びに、
ジアルキルグリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒;を含む;
被覆された基体。
【請求項9】
上塗り層が段階的層である、請求項8に記載の被覆された基体。
【請求項10】
(a)フォトレジスト組成物を基体上に適用してフォトレジスト層を形成し;
(b)1種以上の酸性官能基を含む第1樹脂;
重合単位として式(I):
【化3】

(式中、Rは水素または場合によって置換されているC1〜C6アルキルもしくはフルオロアルキル基であり、Rは場合によって置換されているシクロアルキルもしくは分岐アルキル基であり、Rは場合によって置換されているアルキレン基であり、RおよびRは独立してC1〜C4フルオロアルキル基である)
のモノマーを含み、第1樹脂とは異なる第2樹脂であって、第1樹脂の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを有する第2樹脂;および
ジアルキルグリコールモノアルキルエーテルを含む溶媒;
を含む上塗り組成物をフォトレジスト層上に適用し;並びに
(c)フォトレジスト層を化学線に露光する;
ことを含む、フォトレジスト組成物を処理する方法。

【公開番号】特開2010−211188(P2010−211188A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−254(P2010−254)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】