説明

フォトリソグラフィー方法

【課題】液浸リソグラフィーに特に好適な新規のフォトレジストプロセスを提供する。
【解決手段】(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を液浸露光し;(c)露光されたフォトレジスト層の水接触角を調節し;および(d)処理されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;ことを含む、フォトレジスト組成物を処理する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液浸リソグラフィーに特に有用なリソグラフィー方法に関する。一形態においては、本発明の方法は、基体上にフォトレジスト組成物を適用し;フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を露光し;露光されたフォトレジスト層の全部ではない一部分を除去し;および、処理された(すなわち、部分的に除去された)フォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供することを含む。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは基体への像の転写に使用される感光膜である。フォトレジストの塗膜層が基体上に形成され、次いで、そのフォトレジスト層がフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは活性化放射線に対して不透明な領域および活性化放射線に対して透明な他の領域を有する。活性化放射線への露光は、フォトレジスト塗膜の光誘起化学変換をもたらし、それによって、フォトマスクのパターンをフォトレジストでコーティングされた基体に写す。露光に続いて、フォトレジストは現像されて、基体の選択的な処理を可能にするレリーフ像を提供する。米国特許出願公開第2006/0246373号(特許文献1)および第2006/0246373号(特許文献2)を参照。
【0003】
半導体産業の成長は、ICデバイスの複雑さは平均で2年ごとに二倍になることを提示するムーアの法則によって進展する。このことは、さらに小さなフィーチャーサイズのパターンおよび構造をリソグラフィー的に写す必要性を余儀なくさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0246373号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0246373号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在入手可能なフォトレジストは多くの用途に適しているが、現在のレジストは有意な欠陥、特に、高解像1/4ミクロン未満、さらには1/10ミクロン未満のフィーチャーの形成のような、高性能用途における有意な欠陥も示しうる。
ここで、本発明者は、液浸リソグラフィーに特に好適な新規のフォトレジストプロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、驚くべきことに、本発明の方法が水性アルカリ現像の後の欠陥の低減をもたらしうることを見いだした。このような低減された欠陥には、現像の際にフォトレジストが除かれた領域における有機残留物の低減、および像、レジスト線または他のフィーチャー間のマイクロ架橋の低減が挙げられる。
より具体的には、一形態においては、本発明の方法は、(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を液浸露光し;(c)露光されたフォトレジスト層を、フォトレジスト層の水接触角を調節するように処理し;および(d)処理されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;ことを好適に含むことができる。
別の形態においては、本発明の方法は、(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を液浸露光し;(c)露光されたフォトレジスト層の一部分を除去し;および(d)処理されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;ことを好適に含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
好ましくは、露光されたフォトレジスト層は現像の前に処理され、それにより、レジストの他の低疎水性成分(例えば、酸不安定基を有する樹脂)と比較して、レジスト層の頂部に存在しうるようなフォトレジスト層の比較的疎水性の成分が選択的に除去される。
【0008】
露光されたフォトレジスト層のこのような処理は、好適には、露光後ベーク工程の前に、露光後ベーク工程と実質的に同時に、または露光後ベーク工程の後で行われうる。多くの場合においては、露光後ベークの後でかつ現像前にこの処理工程を行うのが好まれる場合がある。
【0009】
好ましい現像前露光後処理プロトコルは、露光されたフォトレジスト層を溶媒組成物で処理することを含み、この溶媒組成物は好適には1種以上の有機溶媒もしくは非有機溶媒を含むことができる。少なくともある形態においては、溶媒組成物が有意な割合(例えば、全溶媒組成物重量を基準にして少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80または90重量パーセント)の1種以上の比較的疎水性の溶媒、またはフォトレジスト塗膜層と実質的に非混和性である溶媒を含むことが好ましい。このような非混和性溶媒には、比較的非極性の有機溶媒(例えば、アルコール、カルボキシもしくはシアノ部分を含まない溶媒)を挙げることができ、またはそうでなければ、水のように、フォトレジスト層と実質的に混和性ではない。好適な疎水性溶媒には、例えば、イソアミルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびこれらの異性体または異性体の混合物、および水が挙げられる。このような疎水性溶媒は、好適には、比較的低い疎水性で、かつフォトレジスト層とより混和性である1種以上の溶媒、例えば、比較的極性の溶媒(アルコール、カルボキシもしくは基によって提供されうるような)、例えば、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびテトラヒドロフランを含む溶媒とブレンドされることができる。PGME、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびテトラヒドロフランは水混和性であり、かつ溶媒組成物の実質的に非混和性の成分として水が使用される場合には、PGME、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびテトラヒドロフランが効果的に使用されうる。
【0010】
好適な露光後現像前処理工程は、使用される具体的なフォトレジストおよび処理方法に応じて変化することができ、かつ経験的に容易に決定されうる。好適な露光後現像前処理工程は多量のフォトレジスト層を除去せず、それにより、機能的レリーフ像のその後の現像が抑制される(例えば、過剰量のフォトレジスト層が除去される)。好ましい露光後現像前の剥ぎ取りまたは除去処理工程は、この処理工程が使用されない同じ方法および物質よりも向上したリソグラフィー結果をもたらすことができ、例えば、現像によってレジストが除かれた基体表面上に、望まれない現像後有機残留物がより少ししか存在しない。
【0011】
ある好ましい実施形態においては、露光されかつ露光後ベークされたフォトレジスト層が、0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像剤で現像する前の約20〜60秒間、室温(20℃)で、有機溶媒組成物(好ましくは、少なくとも30重量パーセントの非極性(すなわち、疎水性)溶媒、例えば、シクロヘキサンもしくはイソアミルエーテル)と(パドルモードで)接触させられる。このような溶媒組成物の、約5秒間以上の動的適用(レジストでコーティングされたウェハが回転させられる)も好適であり得る。
【0012】
本発明の方法で使用するのに好ましいフォトレジストは1種以上の樹脂、光活性成分、および当該1種以上の樹脂と実質的に非混和性である1種以上の物質を含むことができる。このようなフォトレジストは米国特許出願公開第2006/0246373号に開示されている。本発明の方法で使用するのに特に好ましいフォトレジストは、1種以上の樹脂;光活性成分;並びに1)Si置換、2)フッ素置換、3)超分岐ポリマー、および/または4)ポリマー粒子、を含む1種以上の物質;を含むことができる。このようなフォトレジストは米国特許出願公開第2006/0246373号にも開示されている。
【0013】
このようなフォトレジストにおいては、本明細書において言及される場合、1種以上のフォトレジスト樹脂と実質的に非混和性である1種以上の物質は、水性アルカリ現像による欠陥の低減をもたらすフォトレジストに添加されるあらゆる物質であることができる。本発明のフォトレジストにおいて使用するのに好適な実質的に非混和性の物質には、ケイ素および/またはフッ素置換を含む組成物が挙げられる。
【0014】
本発明の方法のフォトレジストに使用するのに好ましい1種以上の物質は、酸性基、例えば、カルボキシ、フッ素化アルコール(例えば、(CFC(OH)−)、スルホンアミド、および/またはヘテロ置換炭素環式アリール部分を含む。
【0015】
光酸不安定基(photoacid−labile groups)、例えば、光酸不安定エステルもしくはアセタール基、例えば、化学増幅型フォトレジストの樹脂成分に使用される本明細書において記載されるような基などを含む、これら実質的に非混和性の物質も好ましい。
【0016】
本発明の方法のフォトレジストにおける使用に好ましい実質的に非混和性の物質は、フォトレジスト組成物を配合するのに使用されるのと同じ有機溶媒に可溶性であってもよい。
【0017】
本発明の方法のフォトレジストにおける使用に特に好ましい実質的に非混和性の物質は、フォトレジストの樹脂成分の1種以上の樹脂よりも低い表面エネルギーおよび/またはより小さい流体力学的容積を有することもできる。より低い表面エネルギーは、適用されたフォトレジスト塗膜層の頂部または上部に、実質的に非混和性の物質が分離または移動するのを容易にすることができる。さらに、相対的により小さい、より高い流体力学的容積も好ましい場合がある、というのは、それは、適用されたフォトレジスト塗膜層の上部領域への、1種以上の実質的に非混和性の物質の効果的な移動(より高い拡散係数)を容易にすることができるからである。
【0018】
本発明のフォトレジストにおける使用に好ましい実質的に非混和性の物質は、フォトレジスト現像剤組成物(例えば、0.26Nのアルカリ水溶液)にも可溶性でありうる。よって、上述のような光酸不安定基に加えて、他の水性塩基可溶性基、例えば、ヒドロキシル、フルオロアルコール(例えば、−CH(CF)、カルボキシなどが、実質的に非混和性の物質中に含まれることができる。
【0019】
本発明の方法のフォトレジストにおいて使用するのに好適な実質的に非混和性の物質は粒子の形態であってもよい。このような粒子には、離散した粒子の形態に重合されているポリマー、すなわち、分離した、別個のポリマー粒子が挙げられ得る。このようなポリマー粒子は、典型的には、線状もしくはラダーシリコンポリマーのような、線状もしくはラダーポリマーとは異なる一以上の特徴を有する。例えば、このようなポリマー粒子は、特定されたサイズと低分子量分布を有することができる。より具体的には、好ましい形態においては、約5〜3000オングストローム、より好ましくは約5〜2000オングストローム、さらにより好ましくは約5〜約1000オングストローム、さらにより好ましくは約10〜約500オングストローム、さらにより好ましくは10〜50または200オングストロームの平均粒子サイズ(直径)を有する複数のポリマー粒子が本発明のフォトレジストにおいて使用されることができる。多くの用途のためには、特に好ましい粒子は約200オングストローム未満または約100オングストローム未満の平均粒子サイズを有する。
【0020】
本発明の方法のフォトレジストにおいて使用するのに好適なさらなる実質的に非混和性の物質はSi成分を有することができ、例えば、シルセスキオキサン物質、SiO基を有する物質などが挙げられる。好ましいケイ素含有の実質的に非混和性の物質には、ポリへドラルオリゴマー系シルセスキオキサンも挙げられる。
【0021】
好ましい物質には次のものが挙げられる:
分岐光酸不安定基:
上述のように、特定の形態においては、1種以上の物質の光酸不安定基は、1種以上の樹脂の光酸不安定基よりも高度に分岐していてもよい。この形態における1種以上の物質において使用するのに好適な高度に分岐した光酸不安定エステル基は米国特許第6136501号に開示されている。例えば、好適な分岐光酸不安定エステル基は、場合によって置換され、約5以上の炭素原子を有し、少なくとも2つの分岐炭素原子、すなわち、少なくとも2つの第二級、第三級もしくは第四級炭素原子を有するアルキル部分を含むことができる。このアルキル部分は非環式もしくは単一環脂環式基であることができる。好適なアルキル部分には、1、2もしくはそれより多い第三級炭素原子、および/または1、2もしくはそれより多い第四級炭素を有するものが挙げられる。本明細書における「第二級」炭素との言及は、炭素原子が2つの非水素置換基を有することを示す(すなわち、RR、式中RおよびRは同じかまたは異なっており、かつそれぞれは水素ではない);本明細書における「第三級」炭素との言及は、炭素原子が3つの非水素置換基を有することを示す(すなわち、HRR、式中R、RおよびRは同じかまたは異なっており、かつそれぞれは水素ではない);並びに、本明細書における「第四級」炭素との言及は、炭素原子が4つの非水素置換基を有することを示す(すなわち、HRR、式中R、R、RおよびRはそれぞれ同じかまたは異なっており、かつそれぞれは水素ではない)。これらの第二級、第三級および第四級の用語の詳細については、例えば、モリソンおよびボイド有機化学(Morrison and Boyd,Organic Chemistry)、特に85ページ(第三版、Allyn and Bacon)を参照。本明細書における「アルキル」との言及は、アルキリデン、アルキレンなどのような連結もしくは分岐炭素鎖も含むものと理解されるべきである。さらに、本開示の目的のためには、エステル結合のケト酸素(すなわち、C=)は、本明細書においては、「カルボニル酸素」と称され、結合酸素(すなわち、C=O(O))は、本明細書においては、「カルボキシル酸素」と称される。上記構造において示されるような、第四級炭素がエステルカルボキシル酸素に直接結合している(すなわち、他の挿入原子なしに共有結合されている)のが、多くの場合好まれる。
【0022】
酸性基:
上述のように、本発明における使用に好ましい1種以上の物質は、酸性基、例えば、カルボキシ、フッ素化アルコール(例えば、(CFC(OH)−)、スルホンアミド、および/またはヘテロ置換炭素環式アリール部分を含む。これら酸性基はさらに次のように説明される。
【0023】
カルボキシ基
このような基には、−COOHの官能基を有する部分、例えば、1以上の−COOH基で置換されたC1−25アルキルが挙げられる。
【0024】
スルホンアミド基
好ましいフォトレジスト組成物は、RS(=O)(X)NR’(式中、Rは非水素置換基、特に、−OH(−SOHを提供する)、場合によって置換されたC1−20アルキル、および電子吸引基、例えば、ハロゲン、特に、フルオロ、またはハロアルキル、例えば、フルオロアルキル、例えば、FC−)などをはじめとする、場合によって置換されたスルホンアミド基を含む1種以上の物質を含むことができる。式、RS(=O)(X)NR’においては、Xはスペーサー(例えば、化学結合または1〜8炭素の連鎖)、および各R’は独立して、水素もしくは非水素置換基、例えば、上記Rについて定義されたような基をはじめとする、場合によって置換されたC1−20アルキルである。
【0025】
よって、本明細書における「スルホンアミド」についての言及は、スルホノ(SO)部分が窒素に直接結合していること(すなわち、式、RS(=O)(X)NR’におけるXが化学結合である)、並びにスルホノ(SO)部分がスルホンアミド基の窒素から1、2、3またはそれより多い原子(例えば、炭素原子、例えば、式、RS(=O)(X)NR’におけるXが(−CH−)1−3である)で隔てられていることも包含すると理解されるべきである。
【0026】
本発明のある形態においては、スルホノ(SO)部分がスルホンアミド部分の最も近い窒素から1、2、3もしくはそれより多い非窒素原子で隔てられているスルホンアミド基を含む物質を含むフォトレジスト組成物が好ましい。
【0027】
ヘテロ置換炭素環式アリール
樹脂に組み込むのに好ましい置換炭素環式アリール単位はナフチル基、並びに他の置換炭素環式アリール部分、例えば、ヘテロ置換されたフェニル、アントラセニル、アセナフチル、フェナントリルなどである。一般的に、ヘテロ置換ナフチル、アントラセニル、アセナフチル、フェナントリルなどのような複数の縮合環(例えば、環の少なくとも1つが炭素環式アリールである2もしくは3縮合環)を有するヘテロ置換炭素環式アリール基が好ましい。
【0028】
炭素環式基は様々なヘテロ置換基を有することができ、酸素含有置換基および硫黄含有置換基が一般的に好ましい。例えば、本発明の樹脂の好ましいヘテロ置換炭素環式アリール基には、ヒドロキシ(−OH)、チオ(−SH)、アルコール(例えば、ヒドロキシC1−6アルキル)、チオアルキル(例えば、HSC1−6アルキル)、アルカノイル(例えば、C1−6アルカノイル、例えば、ホルミルもしくはアシル)、アルキルスルフィド、例えば、C1−6アルキルスルフィド、カルボン酸エステル(例えば、C1−12エステル)、アルキルエーテル、例えばC1−8エーテルなどの1以上を有するアリール基が挙げられる。好ましくは、ヘテロ含有置換基の少なくとも1つのヘテロ原子は水素置換基を有する(例えば、ヒドロキシはアルコキシよりも好ましい)。このヘテロ基が、炭素環式環に直接結合したヘテロ原子を有するか、またはヘテロ原子が活性化炭素の置換基、例えば、−CHOHもしくは−CHSH、または他の第一級ヒドロキシもしくはチオアルキルの環置換基であることも好ましい。
【0029】
本発明のフォトレジストにおいて使用するのに好ましいヘテロ置換炭素環式アリール単位を有する物質(これは実質的に非混和性の物質でありうる)は、置換炭素環式アリール単位に加えて、繰り返し単位、特に、アクリラートもしくは場合によって置換された環式オレフィン(特に炭素脂環式またはヘテロ脂環式基)の重合により提供されるような非芳香族単位、例えば、重合された場合によって置換されたノルボルネンを含むこともできる。好ましくは、樹脂繰り返し単位の少なくとも1種が光酸不安定部分、例えば、光酸不安定エステルもしくはアセタール部分を含む。193nmで像形成されるフォトレジストにおける使用のために、特に好ましい実質的に非混和性の樹脂はヒドロキシナフチル基もしくは他のへテロ置換炭素環式アリール基以外のあらゆる芳香族部分を実質的に含まない。
【0030】
追加の好ましいポリマー単位は無水マレイン酸もしくは無水イタコン酸のような無水物の重合によって;または好適なアクリラート、例えば、アクリルオキシ−ノルボルナン−ブチロラクトンなどの重合により提供されるようなラクトンの重合によって提供されうる。
【0031】
本発明のフォトレジストにおける使用のためのヘテロ置換炭素環式アリール単位を有する物質(これは実質的に非混和性の物質であり得る)は、比較的広範囲の量のヒドロキシナフチル単位もしくは他のへテロ置換炭素環式アリール基を好適に含むことができる。非常に少量のヒドロキシナフチル単位を含む樹脂を使用して、良好なリソグラフィー結果が実現されうる。例えば、本発明のフォトレジストにおける使用のための樹脂(これは実質的に非混和性の物質であり得る)は、樹脂の全単位を基準にして約50または40モルパーセント未満のへテロ置換炭素環式アリール単位、またはポリマーの全単位を基準にして約30、20、15または10モルパーセント未満のヘテロ置換炭素環式アリール単位を好適に含むことができる。実際に、実質的に非混和性の樹脂は、樹脂の全単位を基準にして約0.5、1、2、3、4、5、6、7または8モルパーセントのヒドロキシナフチル単位を好適に含むことができる。典型的には、樹脂は、全樹脂単位を基準にして少なくとも約1、2、3、4または5モルパーセントのヘテロ置換炭素環式アリール単位、例えばヒドロキシナフチル単位を含むことができる。全樹脂単位を基準にして、少なくとも約5、10、20、30、40もしくは45、または約5、10、20、30、40もしくは45以下のヘテロ置換炭素環式アリール単位、例えば、ヒドロキシナフチル単位を含む樹脂が一般的に好ましい。
【0032】
193nmで像形成される本発明のフォトレジストにおいて使用するのに好ましい、ヘテロ置換炭素環式アリール単位を有する物質(これは実質的に非混和性の物質であり得る)はヘテロ置換炭素環式アリール単位以外のあらゆるフェニルまたは他の芳香族基を実質的に含まないことができる。例えば、好ましいポリマーはヘテロ置換炭素環式アリール単位以外の芳香族基を約5モルパーセント未満含み、より好ましくは、約1または2モルパーセント未満の芳香族基ヘテロ置換炭素環式アリール単位を含む。
【0033】
論じられるように、ヘテロ置換炭素環式アリール物質、樹脂単位および本発明のフォトレジストの他の成分の様々な部分が場合によって置換されうる。「置換される」置換基は1以上の利用可能な位置、典型的には、1、2または3つの位置で、1種以上の好適な基、例えば、ハロゲン(特に、F、ClもしくはBr);シアノ;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C1−8アルキルチオ;C1−8アルキルスルホニル;C2−8アルケニル;C2−8アルキニル;ヒドロキシル;ニトロ;アルカノイル、例えば、C1−6アルカノイル、例えば、アシルなどで置換されうる。
【0034】
樹脂に組み込むのに好ましい置換炭素環式アリール単位は、ヒドロキシ(−OH)、チオ(−SH)、アルコール(例えば、ヒドロキシC1−6アルキル)、チオアルキル(例えば、HSC1−6アルキル)、アルカノイル(例えば、C1−6アルカノイル、例えば、ホルミルもしくはアシル)、アルキルスルフィド、例えば、C1−6アルキルスルフィド、カルボン酸エステル(例えば、C1−12エステル)、アルキルエーテル、例えばC1−8エーテルなどの1以上で置換されたナフチル基である。好ましくは、ヘテロ含有置換基の少なくとも1つのヘテロ原子は水素置換基を有する(例えば、ヒドロキシがアルコキシよりも好ましい)。このヘテロ基が、炭素環式環に直接結合したヘテロ原子を有するか、またはヘテロ原子が活性化炭素の置換基、例えば、−CHOHもしくは−CHSH、または他の第一級ヒドロキシもしくはチオアルキルの環置換基であることも好ましい。
【0035】
フッ素化アルコール
1以上のフッ素原子で置換されたC1−25アルキルをはじめとする広範囲のフッ素化アルコール基が使用されうる。
【0036】
本発明のリソグラフィックシステムに好ましい像形成波長には、サブ(sub)−300nm波長、例えば、248nm、サブ−200nm波長、例えば、193nmが挙げられる。1種以上の実質的に非混和性の物質に加えて、本発明の特に好ましいフォトレジストは、光活性成分(例えば、1種以上の光酸発生剤化合物)および下記から選択される1種以上の樹脂を含むことができる:
【0037】
1)248nmでの像形成に特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、酸不安定基を含むフェノール系樹脂。この種の特に好ましい樹脂には、以下のものが挙げられる:i)ビニルフェノールおよびアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー、ここにおいて、重合されたアクリル酸アルキル単位は光酸の存在下でデブロッキング(deblocking)反応を受けうる。光酸誘起デブロッキング反応を受けうる代表的なアクリル酸アルキルには、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、および光酸誘起反応を受けうる他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラート、例えば、米国特許第6,042,997号および第5,492,793号におけるポリマーが挙げられ、これら文献は参照によって本明細書に組み込まれる:ii)ビニルフェノール、場合によって置換されている(ヒドロキシもしくはカルボキシ環置換基を含まない)ビニルフェニル(例えばスチレン)、および上記ポリマーi)で記載されたデブロッキング基を有するもののようなアクリル酸アルキルの重合単位を含むポリマー;例えば、米国特許第6,042,997号に記載されたポリマー:およびiii)光酸で反応しうるアセタールもしくはケタール部分を含む繰り返し単位、および場合によってフェニルもしくはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー;このようなポリマーは、米国特許第5,929,176号および第6,090,526号に記載されており、これら文献は参照により本明細書に組み込まれる:並びに、i)および/またはii)および/またはiii)のブレンド。
【0038】
2)ポリ(ビニルフェノール)およびノボラック樹脂のような、酸不安定基を含まないフェノール系樹脂、これはジアゾナフトキノン光活性化合物と共にI線およびG線フォトレジストにおいて使用されることができ、例えば、米国特許第4983492号;第5130410号;第5216111号および第5529880号に記載されている。
【0039】
3)サブ−200nm波長、例えば、193nmで像形成するのに特に好適な化学増幅ポジ型レジストを提供できる、フェニルもしくは他の芳香族基を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。この種の特に好ましい樹脂には以下のものが挙げられる:i)芳香族でない環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー;このようなポリマーは、米国特許第5,843,624号および第6,048,664号に記載され、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる:ii)アクリル酸アルキル単位、例えば、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチルアダマンチル、メタクリル酸メチルアダマンチル、並びに他の非環式アルキルおよび脂環式アクリラートを含むポリマー;このようなポリマーは米国特許第6,057,083号;欧州特許出願公開第EP01008913A1号およびEP00930542A1号;および米国特許出願第09/143,462号に記載されており、これら全ては参照により本明細書に組み込まれる:およびiii)重合された酸無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー;例えば、欧州特許出願公開第EP01008913A1号および米国特許第6,048,662号に開示されるポリマー、これら双方の文献は参照により本明細書に組み込まれる:並びに、i)および/またはii)および/またはiii)のブレンド。
【0040】
4)ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位(ただし、酸無水物以外、すなわち、この単位はケト環原子を含まない)を含み、好ましくは、芳香族単位を実質的にもしくは完全に含まない樹脂。好ましくは、ヘテロ脂環式単位が樹脂骨格に融合され、さらに好ましいのは、樹脂が、ノルボルネン基の重合により提供されるような縮合炭素脂環式単位、および/または無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供されるような酸無水物単位を含むものである。このような樹脂は国際出願PCT/US01/14914号および米国特許出願第09/567,634号に開示されている。
【0041】
5)ポリ(シルセスキオキサン)などをはじめとするSi置換を含み、下塗り層と共に使用されうる樹脂。このような樹脂は米国特許第6803171号に開示されている。
【0042】
6)フッ素置換を含む樹脂(フルオロポリマー)、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ素化芳香族基、例えば、フルオロ−スチレン化合物、ヘキサフルオロアルコール部分を含む化合物などの重合により提供されうるような、フッ素置換を含む樹脂。このような樹脂の例は、例えば、国際出願PCT/US99/21912号に開示されている。
【0043】
本発明における使用に好ましいフォトレジストには、化学増幅ポジ型およびネガ型フォトレジストの両方が挙げられる。典型的に好ましい化学増幅ポジ型レジストは、光酸不安定エステルもしくはアセタール基のような光酸不安定基を含む1種以上の樹脂を含む。
【0044】
本発明は、本発明のフォトレジストを使用してフォトレジストレリーフ像を形成する方法、および本発明のフォトレジストを使用して電子デバイスを製造する方法をさらに提供する。本発明は、本明細書において開示されるようなフォトレジストでコーティングされた基体を含む新規の製造物品も提供する。
本発明の他の形態が以下に開示される。
【0045】
上述のように、本発明の方法は後続の水性アルカリ現像による欠陥が低減されるフォトレジストレリーフ像を提供することができる。このような欠陥の低減には、現像の際にフォトレジストが除かれた領域における有機残留物の低減を挙げることができる。
【0046】
より具体的には、ある形態においては、本発明の方法は(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を液浸露光し;(c)露光されたフォトレジスト層の水接触角を調節し;およびその後に(d)フォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;ことを好適に含むことができる。露光は好ましくは液浸リソグラフィープロセスによる。フォトレジスト層の水接触角は、フォトレジスト層の機能的な厚みを除かない流体組成物で処理する(すなわち、このような流体組成物処理の後で、後続の水性アルカリ現像の際に良好な品質のレジストレリーフ像の形成を可能にするのに充分な厚さのフォトレジスト層が残る)ことにより、好適に低減される。
【0047】
別の形態においては、本発明の好ましい方法は(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を露光し;(c)露光されたフォトレジスト層の一部分を除去し;および(d)処理されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;ことを好適に含むことができる。露光は好ましくは液浸リソグラフィープロセスによる。露光後現像前処理工程は、好適には、フォトレジスト層の機能的な厚みを除かない流体組成物での処理を含む(すなわち、このような流体組成物処理の後で、後続の水性アルカリ現像の際に良好な品質のレジストレリーフ像の形成を可能にするのに充分な厚さのフォトレジスト層が残る)。
【0048】
記載されるように、本発明のこのような方法においては、好適な露光後現像前処理工程は多量のフォトレジスト層を除去せず、それにより、後に続く機能的なレリーフ像の現像が抑制される(例えば、過剰量のフォトレジスト層が除去される)。例えば、好ましい好適な露光後現像前処理工程は、露光されたフォトレジスト層厚みの約10、20、30、40、50、60、70または80パーセントを超えて除去しない。
【0049】
上述のように、レジスト樹脂成分と実質的に非混和性である本発明のフォトレジストの好適な物質は単純な試験によって容易に特定されうる。特に、本明細書において言及される場合、好ましい実質的に非混和性の物質は、同じ方法であるが候補となる実質的に非混和性の物質の非存在下で処理される同じフォトレジストシステムに対して、水性アルカリ現像による欠陥の発生および量の低減をもたらすことができる。欠陥の評価(またはその不存在)は走査型電子顕微鏡によりなされうる。液浸流体中のフォトレジスト物質の検出は米国特許出願公開第2006/0246373号の実施例2に記載されるように行われることができ、フォトレジストを露光する前および後での液浸流体の質量分析を含む。この分析において、液浸流体は試験されるフォトレジスト組成物層に露光中約60秒間直接接触する。好ましくは1種以上の実質的に非混和性の物質の添加は、このような実質的に非混和性の物質を使用しない同じフォトレジストと比較して、液浸流体中に存在するフォトレジスト物質(質量分析で検出される様な酸または有機物質)の少なくとも10パーセントの低減をもたらし、より好ましくは、1種以上の実質的に非混和性の物質は、実質的に非混和性の物質を含まない同じフォトレジストと比較して、液浸流体中に存在するフォトレジスト物質(酸および/または有機物質)の少なくとも20、50、または100、200、500、または1000パーセントの低減をもたらる。
【0050】
本発明の好ましいフォトレジストは、米国特許出願公開第2006/0246373号の実施例2に記載される分析方法によって、露光中60秒間に、脱イオン水または他のオーバーコート液浸流体に漏出する光酸発生剤物質を、結果的に1.6×E−10(モル/cm/秒)未満にすることができる。
【0051】
本発明の好ましいフォトレジストは好ましい水接触角を有することができる。本明細書で言及される場合、静的、後退、前進転落(advancing sliding)、現像剤静的のような水接触角は、バーネット(Burnett)ら、J.Vac.Sci.Techn.B,23(6)、2721−2727ページ(2005年11/12月)に開示された手順に従って決定されうる。好ましいフォトレジストは(ソフトベークによって除去される溶媒を用いてスピンコートされた層として決定される)少なくとも65°、より好ましくは少なくとも70°の後退角を有しうる。さらに、好ましい実質的に非混和性の物質は(ソフトベークによって除去される溶媒を用いてスピンコートされた層として決定される)少なくとも65°、より好ましくは少なくとも70°の後退角を有しうる。
【0052】
(1種以上のポリマーと実質的に非混和性である)特に好ましい物質には、高次のポリマー、例えば、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマーおよびペンタポリマーが挙げられる。フッ素置換を含むこのようなポリマーが特に好ましい。好ましいフッ素置換には、ペルフルオロ基、例えば、FC−、FCCF−、およびフッ素化アルコール、例えば、(FC)C(OH)−が挙げられる。好ましい樹脂の1種以上の物質は、1,000〜100,000、より典型的には、約1,000から約20,000もしくは30,000のMwをはじめとする、広範囲の分子量を有しうる。
【0053】
本発明のフォトレジストにおける使用に特に好ましい実質的に非混和性の樹脂には次のものが挙げられる。また、以下に示される分岐エステル基部分(すなわち、−C(CHCH)(CH、−C(CHCH、−C(CH(CH、−C(CHCH(CHなど)が特に好ましい分岐基である:
【化1】

【化2】

式中、上記構造のそれぞれにおいてR〜Rは水素またはメチルである。
【0054】
さらに、本発明のフォトレジストにおける使用に特に好ましい実質的に非混和性の樹脂には、次のもの(下記基−(エチル)シクロペンチルを有し、これは別の特に好ましい分岐基である)が挙げられる:
【化3】

【0055】
上述のように、好適な実質的に非混和性の物質には、Si含有物質が挙げられる。特に好ましい実質的に非混和性の物質には、ナノ構造化された組成物が挙げられ、これはハイブリッドプラスチックス(Hybrid Plastics;カリフォルニア州、ファウンテンバレイ)、シグマ/アルドリッチなどのグループから市販されている。このような物質には、有機基に包まれたSi−Oコアを有するモレキュラーシリカ;シラノール;並びにシルセスキオキサンケージ構造化合物を含むポリマーおよび樹脂を挙げることができ、このポリマーおよび樹脂は、シリコーン、スチレン系物質、アクリル系物質、脂環式物質、例えば、ノルボルネンなどであることができる。
【0056】
実質的に非混和性の物質として有用な粒子(有機粒子など)には、カルボキシ置換を有する、Si含有物質およびフッ素化物質が挙げられる。このような粒子は市販されており、または所望の場合には、1種以上のモノマーを架橋剤および開始剤化合物と一緒に反応させることにより容易に合成されることができる。反応したモノマーは、望まれる場合には、例えば、フッ素、Si基、光酸不安定基、例えば、光酸不安定エステルもしくはアセタール、他の塩基可溶性基、例えば、アルコールなどの置換を有することができる。得られるポリマー粒子にモノマーの1種が光酸不安定基を提供する複数種の異なるモノマーを用いて製造されるこのような粒子の典型的な合成について後述する実施例1を参照。
【0057】
実質的に非混和性の物質はフォトレジスト組成物中に、比較的少量で存在することができ、依然として効果的な結果を提供することができる。例えば、1種以上の実質的に非混和性の物質は、流体フォトレジスト組成物の全重量を基準にして、約0.1〜20重量パーセントで好適に存在することができる。好適な量は後述の実施例においても提供される。
【0058】
上述のように、本発明に従った使用に好ましいフォトレジストには、ポジ型もしくはネガ型化学増幅型フォトレジスト、すなわち、光酸促進架橋反応を受けて、このレジストの塗膜層の露光領域を、未露光領域よりも低い現像剤可溶性にするネガ型レジスト組成物、並びに1以上の組成物成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受けて、このレジストの塗膜層の露光領域を、未露光領域よりも水性現像剤中でより可溶性にするポジ型レジスト組成物が挙げられる。エステルのカルボキシ酸素に共有結合された第三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)もしくは第三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むエステル基は多くの場合、本発明のフォトレジストにおいて使用される樹脂の好ましい光酸不安定基である。アセタール光酸不安定基も好ましい場合がある。
【0059】
本発明の好ましいフォトレジストは、典型的には、樹脂成分および光活性成分を含む。好ましくは、樹脂は、レジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、ヒドロキシルまたはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーが好ましい。好ましくは、樹脂成分は、アルカリ水溶液でレジストを現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物中で使用される。
【0060】
200nmを超える波長、例えば、248nmでの像形成には、フェノール系樹脂が典型的に好ましい。好ましいフェノール系樹脂はポリ(ビニルフェノール)であり、これは触媒の存在下で対応するモノマーのブロック重合、乳化重合または溶液重合によって形成されうる。ポリビニルフェノール樹脂の製造に有用なビニルフェノール類は、例えば、商業的に入手可能なクマリンまたは置換クマリンの加水分解、それに続く、得られたヒドロキシケイヒ酸の脱カルボキシル化によって製造されうる。有用なビニルフェノール類は対応するヒドロキシアルキルフェノールの脱水により、または置換もしくは非置換のヒドロキシベンズアルデヒドとマロン酸との反応から得られるヒドロキシケイヒ酸の脱カルボキシル化によっても製造されうる。このようなビニルフェノール類から製造される好ましいポリビニルフェノール樹脂は約2,000〜約60,000ダルトンの分子量範囲を有する。
【0061】
また、200nmを超える波長、例えば、248nmでの像形成に好ましいものは、フェノール系単位および非フェノール系単位の双方を含むコポリマーを含む樹脂成分と光活性成分とを混合して含む化学増幅型フォトレジストである。例えば、このようなコポリマーのある好ましいグループは、実質的に、本質的に、または完全に、コポリマーの非フェノール系単位上にだけ酸不安定基を有し、特にアルキルアクリラート光酸不安定基を有し、すなわち、フェノール系−アルキルアクリラートコポリマーである。ある種の特に好ましいコポリマーバインダーは下記式の繰り返し単位xおよびyを有する:
【化4】

式中、ヒドロキシル基はコポリマー中でオルト、メタもしくはパラ位に存在し、R’は置換もしくは非置換の1〜約18の炭素原子、より典型的には1〜約6〜8の炭素原子を有するアルキルである。ターシャリーブチルが概して好ましいR’基である。R’基は、例えば、ハロゲン(特に、F、ClまたはBr)、C1−8アルコキシ、C2−8アルケニルなどの1種以上によって場合によって置換されていてもよい。単位xおよびyはコポリマー中で規則的に交互であってよく、またはポリマー中でランダムに散在していてもよい。このようなコポリマーは容易に形成されうる。例えば、上記式の樹脂については、ビニルフェノールおよび置換もしくは非置換のアルキルアクリラート、例えば、アクリル酸t−ブチルなどが当該技術分野で知られているようにフリーラジカル条件下で縮合されうる。置換エステル部分、すなわち、アクリラート単位のR’−O−C(=O)−部分は、樹脂の酸不安定基として機能し、この樹脂を含むフォトレジストの塗膜層の露光による光酸誘起切断をうけうる。好ましくは、コポリマーは約8,000〜約50,000、より好ましくは、約15,000〜約30,000のM、約3以下の分子量分布、より好ましくは、約2以下の分子量分布を有しうる。非フェノール系樹脂、例えば、アクリル酸t−ブチルまたはメタクリル酸t−ブチルのようなアクリル酸アルキルと、ビニルノルボルナニルもしくはビニルシクロへキサノール化合物のような脂環式ビニルとのコポリマーも、本発明の組成物において樹脂バインダーとして使用されうる。このようなコポリマーは、このようなフリーラジカル重合もしくは他の公知の手順によっても製造されることができ、好適には、約8,000〜約50,000のMおよび約3以下の分子量分布を有しうる。
【0062】
本発明において使用するためのポジ型化学増幅型フォトレジストにおいて使用するための酸不安定デブロッキング基を有する他の好ましい樹脂は、シプレイカンパニーの欧州特許出願公開第EP0829766A2号(アセタールを有する樹脂およびケタール樹脂)およびシプレイカンパニーの欧州特許出願公開第EP0783136A2(1)スチレン;2)ヒドロキシスチレン;および3)酸不安定基、特にアルキルアクリラート酸不安定基、例えば、アクリル酸t−ブチル、もしくはメタクリル酸t−ブチルの単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)に開示されている。一般に、様々な酸不安定基、例えば、酸感受性エステル、カルボナート、エーテル、イミドなどを有する樹脂が好適であることができる。光酸不安定基はより典型的には、ポリマー骨格からペンダントであることができるが、ポリマー骨格に組み込まれた酸不安定基を有する樹脂も使用されうる。
【0063】
上述のように、サブ−200nmの波長、例えば、193nmでの像形成のために、好ましくは、実質的に、本質的にまたは完全にフェニルまたは他の芳香族基を含まない1種以上のポリマーを含むフォトレジストが使用される。例えば、サブ−200nmの像形成について、好ましいフォトレジストポリマーは約5モルパーセント未満の芳香族基を、より好ましくは、約1モル%未満または2モル%未満の芳香族基を、より好ましくは、約0.1モル%未満、0.02モル%未満、0.04モル%未満、および0.08モル%未満の芳香族基を、さらにより好ましくは約0.01モル%未満の芳香族基を含む。特に好ましいポリマーは芳香族基を完全に含まない。芳香族基はサブ−200nm放射線を非常に吸収することができ、よってこのような短い波長の放射線で像形成されるフォトレジストにおいて使用されるポリマーには望ましくない。
【0064】
実質的にまたは完全に芳香族基を含まず、本発明のPAGと配合されてサブ−200nmの像形成のためのフォトレジストを提供することが可能な好適なポリマーは欧州特許出願公開第EP930542A1号、米国特許第6,692,888号および6,680,159号(これら全てシプレイカンパニー)に開示されている。
【0065】
芳香族基を実質的にもしくは完全に含まない好適なポリマーは、好適に、メチルアダマンチルアクリラート、メチルアダマンチルメタクリラート、エチルフェンキルアクリラート、エチルフェンキルメタクリラートなどの重合により提供されうるような光酸不安定アクリラート単位のようなアクリラート単位;ノルボルネン化合物または環内炭素−炭素二重結合を有する他の脂環式化合物の重合により提供されうるような縮合非芳香族脂環式基;無水マレイン酸および/または無水イタコン酸の重合により提供されうるような酸無水物;などを含む。
【0066】
本発明における使用に好ましいネガ型組成物は、酸への曝露により硬化し、架橋しまたは固化しうる1種以上の物質(架橋剤成分、例えば、メラミン樹脂のようなアミンベースの物質など)と、本発明の光活性成分とを含む。特に好ましいネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は欧州特許出願公開第0164248号および第0232972号、並びに米国特許第5,128,232号(サッカレー(Thackeray)ら)に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに好ましいフェノール系樹脂には、上述のようなノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)が挙げられる。好ましい架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン−ベースの物質および尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は、一般的に最も好ましい。このような架橋剤は商業的に入手可能であり、例えば、サイメル(Cymel)300、301および303の商品名で、アメリカンシアナミド(American Cyanamid)により販売されているメラミン樹脂がある。グリコールウリル樹脂はアメリカンシアナミドによって、サイメル1170、1171および1172の商品名で販売されていおり、尿素ベースの樹脂はビートル(Beetle)60、65および80の商品名で販売されており、ベンゾグアナミン樹脂はサイメル1123および1125の商品名で販売されている。
【0067】
サブ−200nmの波長、例えば、193nmで像形成するために、好ましいネガ型フォトレジストはシプレイカンパニーへの国際公開第WO03077029号に開示されている。
【0068】
本発明のフォトレジストは他の物質も含みうる。例えば、他の任意の添加剤には、化学線染料(actinic dyes)およびコントラスト染料、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤、増感剤(例えば、より長波長、例えば、I線(365nm)またはG線波長での本発明のPAGの使用のため)などが挙げられる。典型的には、比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量の5〜30重量パーセントの量などで存在することができる充填剤および染料を除いて、このような任意の添加剤は、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0069】
本発明における使用のためのレジストの好ましい任意成分の添加剤は追加塩基、例えば、カプロラクタムであり、この追加塩基は現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。追加塩基は、比較的少量、例えばPAGに対して約1〜10重量パーセント、より典型的には1〜約5重量パーセントで好適に使用される。他の好適な塩基性添加剤には、スルホン酸アンモニウム塩、例えば、p−トルエンスルホン酸ピペリジニウム、およびp−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルアンモニウム;アルキルアミン、例えば、トリプロピルアミンおよびドデシルアミン;アリールアミン、例えば、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。
【0070】
本発明における使用のためのレジストの樹脂成分は、典型的には、レジストの露光された塗膜層を、アルカリ水溶液などを用いて現像可能にするのに充分な量で使用される。より詳細には、樹脂バインダーは好適に、レジストの全固形分の50〜約90重量%を構成しうる。光活性成分は、レジストの塗膜層中の潜像の形成を可能にするのに充分な量で存在すべきである。より詳細には、光活性成分は、好適には、レジストの全固形分の約1〜40重量%の量で存在しうる。典型的には、より少ない量の光活性成分が化学増幅型レジストに好適であり得る。
【0071】
本発明における使用のためのフォトレジストは、活性化放射線への露光によりレジストの塗膜層中に潜像を生じさせるのに充分な量で好適に使用される光酸発生剤(すなわち、PAG)も含む。193nmおよび248nmでの像形成に好ましいPAGには、イミドスルホナート、例えば、次式の化合物が挙げられる:
【化5】

式中、Rはカンフル、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)およびフルオロアルキル、例えば、フルオロ(C1−18アルキル)、例えば、RCF−、(Rは場合によって置換されたアダマンチルである)である。
【0072】
上記スルホナートアニオンのようなアニオンと複合体を形成したトリフェニルスルホニウムPAG、特に、ペルフルオロブタンスルホナートのようなペルフルオロアルキルスルホナートも好ましい。
【0073】
本発明のレジストにおいて、他の公知のPAGも使用されうる。特に、193nmの像形成のためには、高められた透明性を提供するために、上記イミドスルホナートのような芳香族基を含まないPAGが一般的に好ましい。
【0074】
本発明のフォトレジストにおいて使用するのに好適な他の光酸発生剤には、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されうる。
【0075】
本発明に従って使用されるフォトレジストの好ましい任意成分の添加剤は追加塩基、特にテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクタートであり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。193nmで像形成されるレジストについては、好ましい追加塩基はテトラブチルアンモニウムヒドロキシドの乳酸塩、並びに様々な他のアミン、例えば、トリイソプロパノール、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量パーセントで好適に使用される。
【0076】
本発明に従って使用されるフォトレジストは他の任意物質を含むこともできる。例えば、他の任意の添加剤には、ストリエーション防止(anti−striation)剤、可塑剤、速度向上剤などが挙げられる。このような任意の添加剤は、充填剤および染料(これらは比較的高濃度、例えば、レジストの乾燥成分の全重量の約5〜30重量パーセントの量で存在できる)を除いて、典型的には、フォトレジスト組成物中で低濃度で存在する。
【0077】
本発明に従って使用されるフォトレジストは一般的には、公知の手順に従って製造される。例えば、本発明のレジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解することによりコーティング組成物として製造されることができ、この好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル、乳酸エチルが好ましい;プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルおよびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。フォトレジストの固形分量は、典型的には、フォトレジスト組成物の全重量の5〜35重量パーセントで変化する。このような溶媒のブレンドも好適である。
【0078】
液体フォトレジスト組成物は、例えば、スピニング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。スピンコーティングの場合、コーティング溶液の固形分は、所望の膜厚を提供するように、使用される具体的なスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度およびスピニングが行われる時間量に基づいて調節されうる。
【0079】
本発明に従って使用されるフォトレジスト組成物は、フォトレジストでのコーティングを伴うプロセスにおいて従来使用されている基体に好適に適用される。例えば、この組成物はマイクロプロセッサおよび他の集積回路部品の製造のための、シリコンウェハ、または二酸化ケイ素で覆われたシリコンウェハ上に適用されうる。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英、銅、ガラス基体なども好適に使用される。フォトレジストは反射防止層、特に有機反射防止層上にも好適に適用されうる。
【0080】
表面上へのフォトレジストのコーティングに続いて、それは加熱により乾燥させられて、好ましくはフォトレジスト塗膜が粘着性でなくなるまで溶媒を除去する。
【0081】
次いで、フォトレジスト層(存在する場合には、上塗りバリア組成物層を伴う)は、好ましくは液浸リソグラフィーシステム[すなわち、露光ツール(特に、投影レンズ)とフォトレジストでコーティングされた基体との間の空間が液浸流体、例えば、水もしくは、向上した屈折率の流体を提供しうる硫酸セシウムのような1種以上の添加剤と混合された水で占有されている液浸リソグラフィーシステム]において、活性化放射線で露光される。好ましくは、液浸流体(例えば、水)は気泡を回避するために処理されており、例えば、水はナノバブルを回避するために脱ガスされうる。
【0082】
本明細書において「液浸露光」または他の類似の用語についての言及は、露光が、露光ツールと、塗布されたフォトレジスト組成物層との間に挿入されるこのような流体層(例えば、水もしくは添加剤を含む水)を用いて行われることを示す。
【0083】
次いで、フォトレジスト組成物層は、露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に応じて、典型的には約1〜100mJ/cmの範囲の露光エネルギーで活性化放射線で露光され、好適にパターン形成される。本明細書において、フォトレジスト組成物を、そのフォトレジストを活性化する放射線で露光することについての言及は、光活性成分の反応を引き起こす(例えば、光酸発生剤化合物から光酸を生じさせる)ことなどにより、フォトレジスト中に潜像を形成することができることである。
【0084】
上述のように、フォトレジスト組成物は好ましくは、短い露光波長によって、特に、サブ(sub)400nm、サブ300nmおよびサブ200nmの露光波長によって光活性化され、EUVおよび157nmだけでなく、I線(365nm)、248nmおよび193nmも特に好ましい露光波長である。
【0085】
露光に続いて、組成物の膜層は、好ましくは約70℃〜約160℃の範囲の温度でベークされる。
【0086】
フォトレジスト層は、次いで、部分的な除去工程にかけられ、この工程では、頂部(約10、20、30、40、50、60、70、80、90または100オングストローム以下のレジスト層)が除去され、および/またはレジスト表面の水接触角が調節される(典型的には、水接触角が低減させられる)。この処理工程は好適には露光後ベーク工程に続いて行われるが、露光直後で露光後熱処理前に行われることもできる。
【0087】
その後、このように処理されたフォトレジスト膜は、好ましくは、水性現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液;様々なアミン溶液、好ましくは0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミンまたはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、例えば、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミン;環式アミン、例えば、ピロール、ピリジンなどによって現像される。一般に、現像は当該技術分野で認識された手順に従う。
【0088】
基体上のフォトレジスト塗膜の現像に続いて、現像された基体はレジストが除かれた領域上について、例えば、当該技術分野で知られた手順に従って、レジストが除かれた基体領域を化学的にエッチングするかまたはめっきすることにより、選択的に処理されうる。マイクロエレクトロニクス基体の製造、例えば、二酸化ケイ素ウェハの製造のためには、好適なエッチング剤には、ガスエッチング剤が挙げられ、例えば、ハロゲンプラズマエッチング剤、例えば、プラズマ流れとして適用される塩素またはフッ素ベースのエッチング剤、例えばClまたはCF/CHFエッチング剤が挙げられる。このような処理の後、レジストは、公知の剥ぎ取り手順を用いて、処理された基体から除去されることができる。
【0089】
本明細書において言及される全ての文献は参照により本明細書に組み込まれる。次の非限定的な実施例は本発明の例示である。本明細書において言及される全ての文献は参照することによりその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0090】
実施例1:カルボキシ樹脂製造
下記構造を有するカルボキシターポリマー樹脂が記載されるように製造された:
【化6】

【0091】
A.モノマーおよび開始剤混合物:供給バイアルに7.00gのCH(CH=CH)C(=O)OCH(CH)CHC(CFOH(第1のモノマー)、2.80gの(CH=CH)C(=O)OC(CH(CH))C(CH(第2のモノマー)、2.0gの無水酢酸(第3のモノマー)、0.42gのトリガノクス(Trignox)−23(開始剤)および17.0gのPGMEA(溶媒)を秤量する。
B.反応器:反応器中に30gのPGMEA、85℃に維持する。
C.AをBに供給:Aが一定の供給速度、120分間でBに供給される。
D.温度保持:AをBに供給後、反応器の温度がさらに2時間、85℃で維持され、次いで、反応器の温度を自然に室温まで低下させる。
この反応器からのカルボキシ樹脂は、さらなる精製なしにフォトレジスト組成物において使用されうる。
【0092】
実施例2:さらなるカルボキシ樹脂製造
実施例1のと類似する手順によって、下記カルボキシ樹脂が製造される:
【化7】

【0093】
実施例3:ヘテロ置換炭素環式アリール樹脂製造
下記構造を有するヒドロキシナフチルターポリマー樹脂が記載されるように製造された:
【化8】

【0094】
1.反応器:磁気攪拌棒を備えた100mlフラスコに20gのプロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)を添加し、このフラスコを攪拌しつつ、還流凝縮器を装備させて85℃の浴中に置く。反応器を乾燥窒素でパージする。
2.モノマー/開始剤溶液:6.5gの4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−(トリフルオロメチル)ブチル−2−メタクリラート、1.0gのヒドロキシビニルナフタラート、および2.5gの2,3,3−トリメチルアクリラートを好適なバイアルに秤量する。次いで、このバイアルに10.0gのPGMEAを添加する。このバイアルを振とうして全てのモノマーを溶かし、次いで、このバイアルを氷浴中に置きモノマー溶液を0℃に冷却する。次いで、このモノマーバイアルに、0.3gのtert−ブチルペルオキシネオデカノアート(開始剤トリガノクス;Triganox23、ノウリーケミカルズ;Noury Chemicals)を添加し、このバイアルを振とうして開始剤を溶かす。このモノマー/開始剤溶液を氷浴中に置く。
3.重合:モノマー/開始剤バイアルを氷浴中に維持しつつ、好適な供給ポンプを用いて90分間で反応器にモノマー/開始剤溶液を供給する。このモノマー/開始剤溶液を供給した後、反応器をさらに3時間攪拌しつつ85℃に維持する。この反応器を、次いで、自然に室温にした。反応器中で得られたポリマーの濃度は概して23〜25%、Mw10,000〜12,000である。
【0095】
実施例4:スルホンアミド樹脂製造
下記構造を有するスルホンアミドコポリマー樹脂が下記のように製造された:
【化9】

【0096】
A.モノマーおよび開始剤混合物:供給バイアルに7.00gのCH(CH=CH)C(=O)OCH(CH)CHC(CFOH(第1のモノマー)、2.80gの(CH=CH)C(=O)OC(CHNHSOCF(第2のモノマー)、0.42gのトリガノクス(Trignox)−23(開始剤)および17.0gのPGMEA(溶媒)を秤量する。
B.反応器:反応器中に30gのPGMEA、85℃に維持する。
C.AをBに供給:Aが一定の供給速度、120分間でBに供給される。
D.温度保持:AをBに供給後、反応器の温度がさらに2時間、85℃で維持され、次いで、反応器の温度を自然に室温まで下げた。
この反応器からのスルホンアミド樹脂は、さらなる精製なしにフォトレジスト組成物において使用されうる。
【0097】
実施例5:フォトレジスト製造および処理
示された量で下記物質を混合物することによりフォトレジスト組成物が製造される:
1.樹脂成分:フォトレジスト組成物の全重量を基準にして6.79重量%の量の(メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル/ベータ−ヒドロキシ−ガンマ−ブチロラクトンメタクリラート/メタクリル酸シアノ−ノルボルニル)のターポリマー;
2.光酸発生剤化合物:フォトレジスト組成物の全重量を基準にして0.284重量%の量のt−ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロブタンスルホナート;
3.塩基添加剤:フォトレジスト組成物の全重量を基準にして0.017重量%の量のN−アルキルカプロラクタム;
4.界面活性剤:フォトレジスト組成物の全重量を基準にして0.0071重量%の量のR08(フッ素含有界面活性剤、大日本インキ化学工業株式会社から入手可能);
5.実質的に非混和性の添加剤:フォトレジスト組成物の全重量を基準にして0.213重量%の量の、上記実施例1で記載されるように製造された実施例1のポリマー;
6.溶媒成分:約90パーセントの流体組成物を提供するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート。
【0098】
このフォトレジスト組成物がシリコンウェハ上にスピンコートされ、真空ホットプレート上で乾燥させられ、ソフトプレートを除き、次いで乾燥フォトレジスト層を水性液浸流体に直接接触させた液浸リソグラフィープロセスで露光される。その液浸システムにおいて、フォトレジスト層はパターン化された193nmの放射線で約24.1mJ/cmの線量で露光される。
このフォトレジスト層は次いで(例えば、約120℃で)露光後ベークされる。
露光後ベークされたフォトレジスト層は、次いで、20重量パーセントのプロピレングリコールメチルエーテルアセタートと80重量パーセントのイソアミルエーテルとを含む流体組成物を用いて、シングルパドルモードで30秒間処理することにより、部分的に剥ぎ取られる。このような部分的な剥ぎ取りはレジスト層の水接触角を調節する(典型的には低減させる)。
この部分的な剥ぎ取りの後で、フォトレジスト層は0.26Nのアルカリ現像剤水溶液で処理される。
【0099】
実施例6:比較例
フォトレジストが、上記実施例5に記載される配合であるが、実質的に非混和性の添加剤が下記構造を有していたように実質的に製造された:
【化10】

【0100】
このフォトレジストは、実施例5に記載されるように2つの別のセットのウェハ上にスピンコートされた。
ウェハの両方のセットは、上記実施例5に記載されるように露光され、露光後ベークされた。
20重量パーセントのプロピレングリコールメチルエーテルアセタートと80重量パーセントのイソアミルエーテルとを含む流体組成物を用いて、ダイナミックモードで5秒間処理することにより、第1のセットのウェハのフォトレジスト層を部分的に剥ぎ取った。このような部分的な剥ぎ取りは、レジスト層の水接触角を低減させた。このような部分的な剥ぎ取りの後で、第1のセットのウェハのフォトレジスト層を0.26Nのアルカリ現像剤水溶液で処理することにより現像して、レジストレリーフ像を提供した。
第2のウェハのフォトレジスト層は剥ぎ取り用組成物で処理されず、露光後ベーク後に直接、0.26Nアルカリ現像剤水溶液での処理により現像されて、レジストレリーフ像を提供した。
現像によりフォトレジストが除かれた第2のウェハの基体領域に観察された有機残留物の量と比較して、第1のセットのウェハは、現像によりフォトレジストが除かれた基体領域において有意に低い有機残留物を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;
(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を液浸露光し;
(c)露光されたフォトレジスト層の水接触角を調節し;および
(d)処理されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;
ことを含む、フォトレジスト組成物を処理する方法。
【請求項2】
露光されたフォトレジスト層の水接触角が低減させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;
(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を液浸露光し;
(c)露光されたフォトレジスト層の一部分を除去し;および
(d)処理されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;
ことを含む、フォトレジスト組成物を処理する方法。
【請求項4】
露光されたフォトレジスト層が、現像前に、流体組成物で処理される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
流体組成物がフォトレジスト組成物のための非溶媒を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
流体組成物が、(i)フォトレジスト組成物のための1種以上の非溶媒、および(ii)フォトレジスト組成物のための1種以上の溶媒を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
フォトレジスト層が水性アルカリ現像剤組成物で現像される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
フォトレジスト組成物が
(i)1種以上の樹脂;
(ii)光活性成分;並びに
(iii)前記1種以上の樹脂と実質的に非混和性である、1種以上の物質;
を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
フォトレジスト組成物が
(i)1種以上の樹脂;
(ii)光活性成分;並びに
(iii)1種以上の物質;
を含み、前記1種以上の物質が1)Si置換、2)フッ素置換、3)超分岐ポリマーおよび/または4)ポリマー粒子を含む;
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記1種以上の物質が樹脂である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
(a)基体上にフォトレジスト組成物を適用し;
(b)フォトレジスト組成物を活性化する放射線でフォトレジスト層を露光し;
(c)露光されたフォトレジスト層の全部ではない一部分を除去し;および
(d)処理されたフォトレジスト層を現像してフォトレジストレリーフ像を提供する;
ことを含む、フォトレジスト組成物を処理する方法。
【請求項12】
露光されたフォトレジスト組成物が溶媒組成物で処理され、当該溶媒組成物が(i)フォトレジスト組成物のための1種以上の非溶媒、および(ii)フォトレジスト組成物のための1種以上の溶媒を含む、請求項11に記載の方法。

【公開番号】特開2011−53650(P2011−53650A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−130771(P2010−130771)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】