説明

フォトレジスト保護膜用組成物、フォトレジスト保護膜およびフォトレジストパターン形成方法

【課題】液浸リソグラフィプロセスに適用できるフォトレジスト保護膜、該保護膜を形成できるフォトレジスト保護膜用組成物、該フォトレジスト保護膜を用いたフォトレジストパターンの形成方法の提供。
【解決手段】−COOH、−SOH、−OP(=O)(OH)、−NRおよび−NCl(Rは炭素数1〜4のアルキル基)からなる群から選ばれる1種以上の官能基を有し、重量平均分子量Mが千〜10万である含フッ素重合体および溶媒(水、アルコールまたは含フッ素溶媒)を含有するフォトレジスト保護膜用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトレジスト保護膜用組成物、フォトレジスト保護膜およびフォトレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、集積回路の配線の微細化が進み、サブミクロン以下のパターンが形成できる解像度に優れたリソグラフィプロセスの開発が進められている。解像度を向上する方法としては、光源の短波長化があり、現行のKrFエキシマレーザー(248nm)から、今後はArFエキシマレーザー(193nm)、F2レーザー(157nm)への移行が予想される。
【0003】
また、光源の短波長化以外に、投影レンズとウェハ表面のフォトレジスト層との間を水または水を主成分とする液体で満たす液浸リソグラフィプロセスが検討されている。この方法原理は、フォトレジストパターンの解像度がNA(開口数)に反比例し、NAは露光光が通過する媒質の屈折率に比例することから、投影レンズとフォトレジスト層の間の空間を空気よりも大きな屈折率を有する液体で満たすことにより、解像度の向上を図るものである。
【0004】
また、解像度を向上する方法として感度の高いフォトレジスト材料の開発も進んでいる。光により発生する酸が触媒となり保護基が分解され、さらに保護基の分解により発生した酸が分解反応を加速していく化学増幅型フォトレジスト材料が用いられつつある。
【0005】
しかし、前記液浸リソグラフィプロセスに化学増幅型フォトレジストを適用すると、投影レンズに接触する、水または水を主成分とする液体中に、フォトレジスト層から酸発生剤等が溶出し、微細なフォトレジストパターンが形成できない等の問題がある。また、溶出した酸発生剤等が投影レンズに腐食等の影響を与える可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、液浸リソグラフィプロセスに適用できる、フォトレジスト保護膜用組成物、フォトレジスト保護膜およびフォトレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、−COOH、−SOH、−OP(=O)(OH)、−NRおよび−NCl(ただし、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)からなる群から選ばれる1種以上の官能基を有し、重量平均分子量Mが1千〜10万である含フッ素重合体および溶媒を含有することを特徴とするフォトレジスト保護膜用組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、該フォトレジスト保護膜用組成物を用いて形成された液浸リソグラフィ用フォトレジスト保護膜を提供する。また、本発明は、基材の表面にフォトレジスト層を形成し、ついで前記フォトレジスト保護膜が形成されてなるフォトレジスト基材を、液浸リソグラフィ法により露光し、ついで、アルカリ現像することを特徴とするフォトレジストパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフォトレジスト保護膜は、水または水を主成分とする液体に溶解せず、一方、アルカリ現像液への溶解性に優れる。また、撥水性に優れるので、表面に該フォトレジスト保護膜が形成されたフォトレジスト基材を用いた液浸リソグラフィプロセスにおいては、フォトレジスト層から水または水を主成分とする液体へ酸発生剤等が溶出せず、投影レンズへの影響が抑えられ、解像度が高く微細なフォトレジストパターンが形成できる。
【0010】
また、本発明のフォトレジスト保護膜用組成物は、フォトレジスト層に影響を与えない溶媒を含有する。また、本発明のフォトレジスト保護膜用組成物は、上記の優れた性質を有するフォトレジスト保護膜が形成できる。
【0011】
また、本発明のフォトレジストパターン形成方法によれば、解像度が高く微細なフォトレジストパターンを形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における含フッ素重合体は、−COOH、−SOH、−OP(=O)(OH)、−NRおよび−NCl(ただし、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)から選ばれる1種以上の官能基(以下、官能基Mと記す。)を有する。
官能基Mとしては、−COOHおよび−SOHが好ましい。これらの官能基を含有すると、アルカリ現像液への溶解性に優れる。
【0013】
含フッ素重合体としては、官能基Mとフッ素原子とを含む単量体に基づく繰り返し単位を含有する重合体(以下、含フッ素重合体(A)と記す。)、または、官能基Mを含みフッ素原子を含まない単量体に基づく繰り返し単位と、フッ素原子を含み官能基Mを含まない単量体に基づく繰り返し単位とを含有する共重合体(以下、含フッ素重合体(B)と記す。)が好ましい。
【0014】
前記含フッ素重合体(A)は、官能基Mとフッ素原子とを含む単量体に基づく繰り返し単位を含有する重合体であり、該繰り返し単位としては、下式1で表される繰り返し単位(以下、単位1と記す。)または下式2で表される繰り返し単位(以下、単位2と記す。)が好ましく、単位1がより好ましい。
−CFCF[O(CFCF(CF)O)(CFW]−・・式1
−CFCF[(CFW]−・・式2
ただし、単位1または単位2において、pおよびqはそれぞれ独立に0または1〜5の整数を示し、rは0または1〜10の整数を示し、Wは−COOHまたは−SOHを示す。
【0015】
単位1の具体例としては、−CFCF[OCFCFCFCOOH]−、−CFCF[OCFCF(CF)OCFCFCOOH]−、−CFCF[OCFCF(CF)OCFCFCFCOOH]−、−CFCF[OCFCF(CF)OCFCFSOH]−等が好ましい。単位2の具体例としては、−CFCF[COOH]−、−CFCF[CFCOOH]−、−CFCF[(CFCOOH]−等が好ましい。
【0016】
含フッ素重合体(A)は、単位1または単位2以外の繰り返し単位(以下、単位3と記す。)を有する共重合体が好ましい。単位3を形成する単量体としては、フッ素置換されたエチレン性不飽和結合を有する単量体が好ましい。また、該単量体にはエーテル性酸素原子が含まれていてもよい。
【0017】
該単量体の具体例としては、以下の化合物が挙げられる(ただし、sは1〜10の整数を示す。)。
CF=CF
CF=CFCF
CF=CFCF(CFF、
CF=CH
CH=CH(CFF、
CH=CHCH(CFF、
CF=CFO(CFF、
CF=CFOCH(CFF、
CF=CFO(CFCF=CF
CF(CF)=CFO(CFCF=CF
CF=CFO(CFCF=CFCF
CF=CFOCF(CF)CF=CF
CF=CFOCFCF(CF)CF=CF
CF=CFOCF(CF)(CFCF=CF
CF=CFOC(CF(CFCF=CF
【0018】
該単量体としては、CF=CFまたはCF=CFOCFCFCF=CFがより好ましい。
【0019】
含フッ素重合体(A)としては、−CFCF[OCFCFCFCOOH]−およびCF=CFに基づく繰り返し単位を含有する共重合体、−CFCF[OCFCFCFCOOH]−およびCF=CFOCFCFCF=CFに基づく繰り返し単位を含有する共重合体がより好ましい。
【0020】
含フッ素重合体(A)において、単位1または単位2の割合は10〜90モル%が好ましく、30〜90モル%がより好ましい。また、単位3の割合は90〜10モル%が好ましく、70〜10モル%がより好ましい。該範囲であると、形成されたフォトレジスト保護膜が、アルカリ現像液への溶解性に優れ、水または水を主成分とする液体への不溶性に優れ、撥水性に優れる。
【0021】
含フッ素重合体(B)は、官能基Mを含みフッ素原子を含まない単量体に基づく繰り返し単位(以下、単位4と記す。)とフッ素原子を含み官能基Mを含まない単量体に基づく繰り返し単位(以下、単位5と記す。)とを含有する共重合体である。
【0022】
官能基Mを含みフッ素原子を含まない単量体としては、官能基Mと重合性官能基とを含む単量体が好ましい。官能基Mは前記の官能基Mと同じである。重合性官能基としては、CH=CR’−、CH=CR’COO−、CH=CR’OCO−、CH=CR’−φ−CHO−、CH=CHO−、CH=CR’CONH−(R’は水素原子、メチル基またはハロゲン原子、φはフェニレン基を示す。以下同じ。)等が好ましく、CH=CR’COO−がより好ましい。
【0023】
官能基Mを含みフッ素原子を含まない単量体の具体例としては、CH=CR’COOH、CH=CR’COOCHCHOCORCOOH、CH=CR’COOCHCHN(R、CH=CR’COOCHCH(R・Cl−、CH=CR’COOCHCHOPO(OH)、CH=CR’CON(R)RSOH(R’は上記と同じ、Rはアルキレン基、シクロアルキレン基またはアリーレン基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。)等が好ましく、CH=CHCOOH、CH=C(CH)COOHまたはCH=CHCONHC(CHSOHがより好ましい。
【0024】
フッ素原子を含み官能基Mを含まない単量体としては、ポリフルオロアルキル基(以下、R基と記す。)を含む単量体が好ましい。
【0025】
基を含み官能基Mを含まない単量体(以下、R単量体と記す。)としては、X(Y−Z)(Xは重合性官能基、Yは2価有機基または単結合、Zは炭素数1〜20のR基、nは1または2を示す。)で表される化合物が好ましい。nが2の場合には(Y−Z)は同じであっても異なっていてもよい。
【0026】
Xとしては、nが1の場合は、炭素−炭素不飽和結合が好ましく、具体的には、ビニル基(CH=CR’−)、ビニロキシ基(CH=CHO−)、ビニルオキシカルボニル基(CH=CR’OCO−)、(メタ)アクリロイロキシ基(CH=CR’COO−)、マレイン酸エステル類またはフマル酸エステル類の残基(−OCOCH=CHCOO−)、CH=CR’−φ−CHO−(R’、φは前記と同じ意味を示す。)等が好ましい。
【0027】
nが2の場合のXとしては、CH=CR’(CHCH=、CH=CR’COO(CHCH=、CH=CR’OCO(CHCH=、−OCOCH=CHCOO−(R’は前記と同じ意味、mは0または1〜4の整数を示す。)等が好ましい。
【0028】
Xとしては、他の重合体との共重合性に優れる等の観点からCH=CR’COO−がより好ましい。
【0029】
Yとしては、単結合、アルキレン基、−O−、−NH−、−CO−、−SO−、−CD=CD−(D、Dはそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を示す。)、−R−Q−R−(R、Rはそれぞれ独立して、単結合、1個以上の酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜22の飽和または不飽和の炭化水素基を示し、Qは単結合、−OCONH−、−CONH−、−SONH−または−NHCONH−を示す。)等が挙げられる。
【0030】
Yの具体例としては、単結合、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−(CH11−、−CHCHCH(CH)−、−CH=CHCH−、−(CHCHO)CHCH−、−[CHCH(CH)O]CHCH−(tは1〜10の整数)、−COCONHC−、−COCOOC−または−COOC−等が挙げられる。Yとしてはアルキレン基が好ましく、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−がより好ましい。
【0031】
基は、アルキル基の水素原子の一部または全てがフッ素原子に置換された基であり、炭素数は1〜20が好ましく、3〜12がより好ましい。R基としては、炭素−炭素不飽和二重結合などの不飽和基を1個以上有していてもよい。
【0032】
基は、アルキル基の水素原子数の少なくとも20〜80%がフッ素原子に置換された基が好ましい。また残余の水素原子の一部または全部が塩素原子に置換されていてもよい。該R基は直鎖状または分岐状が好ましく、分岐状の場合には、結合手から遠い末端またはその近傍に短い分岐を有するものが好ましい。
【0033】
基としては、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基(以下、R基と記す。)が好ましい。R基としては、炭素数1〜20のR基がより好ましく、F(CF−(hは1〜20の整数)で表される基、または、C2j+1(CMCM−(M、M、M、Mはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、かつ、その1つはフッ素原子であり、j、iはそれぞれ1以上の整数で20≧(j+2×i)≧6を満足する。)で表される基が最も好ましい。
【0034】
基としては、具体的には以下の基が好ましく挙げられる。
F(CF−、F(CF−、F(CF−、(CFCF(CF−、H(CF−、H(CF−、Cl(CF−、F(CF(CHCF−、F(CF(CHCF−、F(CF(CFClCF−、CFCF=CFCFCF=CF−、CH(CF)(CFCF)(CFCF)C(CF)−、C2k+1O[CF(CF)CFO]CF(CF)−、CO[CF(CF)CFO](CF−(kは3〜6の整数、lは0または1〜3の整数、hは0または1〜3の整数、vは1〜6の整数を示す。)。
【0035】
単量体としては、CH=CHCOOC(CFF、CH=C(CH)COOC(CFF、CH=CHCOOC(CFF、CH=C(CH)COOC(CFF、CH=CHCOOC(CFF、CH=C(CH)COOC(CFF、CH=CHCOOCH(CFF等が好ましい。
【0036】
含フッ素重合体(B)は、上記単位4および単位5以外の単量体に基づく繰り返し単位(以下、単位6と記す。)を含有していてもよい。該単量体としては、共重合性に優れる観点から(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。また、溶解性に優れ、保護膜を形成する際の造膜性に優れる観点から、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が好ましい。該単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0037】
含フッ素重合体(B)としては、CH=CHCOOH、CH=C(CH)COOH、CH=CHCONHC(CHSOH等に基づく繰り返し単位を含有し、CH=CHCOO(CFF、CH=C(CH)COO(CFF、CH=CHCOO(CFF、CH=C(CH)COO(CFF、CH=CHCOO(CFF、CH=C(CH)COO(CFF等のR単量体に基づく繰り返し単位を含有する共重合体が好ましい。
【0038】
含フッ素重合体(B)において、単位4と単位5の割合は、質量比で1〜99/99〜1が好ましく、10〜90/90〜10がより好ましい。該範囲であると、形成されたフォトレジスト保護膜は、撥水性に優れ、水または水を主成分とする液体に対して不溶であり、アルカリ現像液に対する溶解性に優れる。
【0039】
本発明における含フッ素重合体の重量平均分子量Mは1千〜10万であり、アルカリ現像液への溶解性に優れることから8万以下が好ましく、5万以下がより好ましい。また、フォトレジスト保護膜用組成物を用いてフォトレジスト保護膜を形成する際の造膜性に優れる観点から5千以上が好ましく、6千以上がより好ましい。含フッ素重合体の重量平均分子量Mは8千〜4万が最も好ましい。
【0040】
含フッ素重合体の製造方法は特に限定されず、含フッ素重合体(A)の製造は下記方法(a)、含フッ素重合体(B)の製造は下記方法(b)が好ましい。
方法(a):官能基Mに変換可能な官能基を有する含フッ素単量体を重合した後、官能基Mに変換可能な官能基を官能基Mに変換する方法。
方法(b):官能基Mを含みフッ素原子を含まない単量体とR単量体とを共重合する方法。
【0041】
方法(a)の具体例としては、CF=CF[O(CFCF(CF)O)(CFCOOCH](p、qは前記と同じ意味を示す。)またはCF=CF[(CFCOOCH](rは前記と同じ意味を示す。)を重合した後、−COOCH部分を加水分解する方法、CF=CF[O(CFCF(CF)O)(CFSOF](p、qは前記と同じ意味を示す。)またはCF=CF[(CFSOF](rは前記と同じ意味を示す。)を重合した後、−SOF部分を加水分解する方法等が好ましい。
【0042】
方法(b)の具体例としては、例えばCH=CHCOOHとCH=CHCOOC(CFFとを重合する方法が好ましい。
【0043】
方法(a)、方法(b)の重合方法としては、特に限定はなく、上記単量体にラジカル重合開始剤を加えて加熱するラジカル重合が好ましい。ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ化合物等が好ましい。過酸化物としては、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキシド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシエステル類等が好ましく挙げられる。アゾ化合物としては、アゾニトリル類、アゾアミド類、アゾアミジン類等が好ましく挙げられる。
【0044】
ラジカル重合開始剤の具体例としては、以下の化合物が好ましく挙げられる。
【0045】
パーオキシケタール類としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ペンタノエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等。
【0046】
ジアシルパーオキシド類としては、ペルフルオロブタノイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、スクシニックアシッドパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド等。
【0047】
パーオキシジカーボネート類としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等。
【0048】
パーオキシエステル類としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート等。
【0049】
無機過酸化物としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が好ましく挙げられる。
アゾニトリル類としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[1−シアノ−1−メチルエチルアゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)等。
【0050】
アゾアミド類としては、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオアミド]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等。
【0051】
アゾアミジン類としては、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−プロピオアミジン]等。
【0052】
アゾ化合物としては、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等。
重合開始剤の使用量は、単量体のモル数の合計に対して0.01〜3モル%が好ましい。
【0053】
重合反応においては、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール、ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン等が好ましく挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、単量体のモル数の合計に対して0.01〜10モル%が好ましい。
【0054】
重合反応においては、媒体を使用してもよく、使用しなくてもよい。使用する場合には、含フッ素単量体が溶解または分散する媒体を用いることが好ましい。媒体としては、水、ハロゲン化合物等が好ましい。
【0055】
ハロゲン化合物としては、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化エーテル、ハロゲン化アミン等が好ましい。ハロゲン化炭化水素としては、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン等が好ましい。
ハイドロクロロフルオロカーボンの例としては、CHCClF、CHClCFCF、CHClFCFCClF等が好ましい。
【0056】
ハイドロフルオロカーボンとしては、炭素数4〜6の鎖状化合物および環状化合物が好ましい。
【0057】
炭素数4の鎖状化合物としては、CFCFCFCHF、CFCFCFCHF、CFCFCHCF、CHFCFCFCHF、CHFCHCFCF、CFCHFCHCF、CFCHCFCHF、CHFCHFCFCHF、CFCHFCFCH、CHFCHFCHFCHF、CFCHCFCH、CFCFCHCH、CHFCHCFCH等。
【0058】
炭素数5の鎖状化合物としては、CHFCFCFCFCF、CFCFCFCHFCF、CHFCFCFCFCHF、CFCHFCHFCFCF、CFCHFCFCHCF、CFCF(CF)CHCHF、CFCH(CF)CHCF、CFCHCFCHCF、CHFCHFCFCHFCHF、CHFCFCFCHFCH、CFCHCHCHCF、CHFCHCFCHCHF等。
【0059】
炭素数6の鎖状化合物としては、CF(CFCHF、CF(CFCHF、CFCFCFCFCHCF、CHFCFCFCFCFCHF、CFCH(CF)CHFCFCF、CFCFCHCH(CF)CF、CFCHCFCFCHCF、CFCFCHCHCFCF、CFCFCFCFCHCH、CFCH(CF)CHCHCF、CHFCFCHCHCFCHF、CFCFCFCHCHCH等。
【0060】
環状化合物として、1,2−ジヒドロペルフルオロペンタン、1,2−ジヒドロペルフルオロヘキサン、1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロヘキサン等。
【0061】
ペルフルオロカーボンとしては、C14、C16、C18、C20等が好ましい。
ハロゲン化エーテルとしては、ハイドロフルオロエーテル、ペルフルオロエーテルが挙げられる。ハイドロフルオロエーテルとしては、分離型ハイドロフルオロエーテル、非分離型ハイドロフルオロエーテル等が好ましい。
【0062】
分離型ハイドロフルオロエーテルとは、エーテル性酸素原子を介してぺルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキレン基とアルキル基またはアルキレン基とが結合している化合物である。非分離型ハイドロフルオロエーテルとは、部分的にフッ素化されたアルキル基またはアルキレン基を含むハイドロフルオロエーテルである。
【0063】
分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、CFCFCFOCH、(CFCFOCH、CFCFCFOCHCH、CFCFCFCFOCH、(CFCFCFOCH、(CFCOCH、CFCFCFCFOCHCH、(CF)CFCFOCHCH、(CFCOCHCH、CFCF(OCH)CF(CF、CFCF(OCHCH)CF(CF、C11OCHCH、CFCFCFCF(OCHCH)CF(CF、CHO(CFOCH、CHOCFCFOCHCH、COCF(CF)CFOCH等が好ましい
【0064】
非分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、CHFOCFOCHF、CHFCFOCHF、CFCFCFOCHF、CFCFOCHCHF、CHFCFCHOCF、CFCFCHOCHF、CHFCFOCHCHF、CFCHOCFCHF、CFCHOCFCHF、CHFCFCFOCH、HFCFCHOCH、CFCFCFOCHCF、CFCFCHOCFCF、CFCFCFOCHCHF、CFCFCHOCFCHF、CHFCFCHOCFCF、CHFCFCHOCFCHF、CFCHFCFCHOCF、CFCHFCFCHOCHF、CFCFCFCHOCH、(CFCHCFOCH、CFCFCFOCHCFCF、CFCFCFOCHCFCHF、CFCFCFCFOCFCHF、CF(CFOCHF、CHFOCFCFOCHF、CHFOCFOCFCFOCHF、CHFOCFOCFOCFOCHF等が好ましい。
【0065】
ペルフルオロエーテルとしては、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、CF(CFOCFCF、CF(CFO(CFCF等が好ましい。
【0066】
ハロゲン化アミンとしては、トリス(ペルフルオロブチル)アミン等が好ましい。
ハロゲン化合物としては市販の製品を用いてもよく、市販の製品としては以下のものが好ましく挙げられる。
【0067】
アサヒクリンAK−225、AE−3000、アフルードE−10、E−16、E−18(以上、旭硝子社製)。
フロリナートPF−5060、PF−5070、PF−5080、PC−72、PC−75、FC−40、FC−43、FC−70、FC−71、FC−75、FC−77(以上、3M社製)。
フルーテックPP−50、PP−1、PP−2、PP−3、PP−5、PP−9(以上、F2ケミカルズ社製)。
ペルフルードIL−310、IL−270、IL−260(以上、トクヤマ社製)。
エフトップEF−L102、EF−L174、EF−L100(以上、ジェムコ社製)。
ガルデンHT70、HT110、HT135、HT200、HT230、HT270、D01、D02、LS155、LS230、HS260(以上、ソルベーソクレシス社製)。
【0068】
本発明のフォトレジスト保護膜用組成物は溶媒を含有する。該溶媒としては、水、アルコールおよび含フッ素溶媒からなる群から選ばれる1種以上を含む溶媒が好ましい。該溶媒を用いると、塗布時にフォトレジスト層に与える影響を最小限にできる。アルコールとしては、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。含フッ素溶媒としては、ハイドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロエーテル等が好ましく、CF(CFCHF、CF(CFCHF、CF(CFCHFCF、CF(CFCFまたはペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)がより好ましい。フォトレジスト保護膜用組成物は、上記溶媒のみを含有することが好ましいが、上記溶媒以外の溶媒を含有してもよい。
【0069】
本発明のフォトレジスト保護膜用組成物における含フッ素重合体の含有量は、含フッ素重合体が溶解する範囲内であれば特に限定されず、塗布時に所望の厚さの保護膜が形成できるように設定すればよい。フォトレジスト保護膜用組成物における含フッ素重合体の含有量は、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0070】
本発明のフォトレジスト保護膜用組成物は、フォトレジスト層からの酸発生剤の移行を抑制する等の目的で、酸または塩基を含んでもいてよい。酸としては、特に限定されず、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、アミノ酸、アミノスルホン酸、硫酸、リン酸等が好ましく挙げられる。
【0071】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、メトキシ酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸等。
スルホン酸としては、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等。
ホスホン酸としては、フェニルホスホン酸等。
【0072】
アミノ酸としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、グリシン、セリン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、トレオニン、システイン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン、ベタイン等。
【0073】
アミノスルホン酸としては、スルファミン酸、N−(2−アセタミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸、2−モルホリノエタンスルホン酸、3−モルホリノプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸等。
【0074】
塩基としては、特に限定されず、アミン、アンモニウム塩等が好ましく挙げられ、モノエタノールアミン、テトラアンモニウムヒドロキシド等が好ましい。
【0075】
本発明のフォトレジスト保護膜用組成物は、各種機能性添加剤を含んでいてもよい。造膜性を向上させる目的で本発明における含フッ素重合体以外のポリマーを含ませてもよい。また、フォトレジスト層に対する濡れ性、レベリング性を向上させる目的で界面活性剤等を含ませてもよい。
【0076】
該ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等が好ましく挙げられる。該界面活性剤としては、ポリフルオロアルキル基とポリオキシエチレン基を有する化合物(3M社製、フロラード「FC−430」、「FC−4430」、セイミイケミカル社製、「S−393」等)、アセチレングリコールにポリオキシエチレンを付加した化合物(エアープロダクツ社製、「サーフィノール104」、「サーフィノール420」)、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が好ましく挙げられる。
【0077】
本発明の液浸リソグラフィ用のフォトレジスト保護膜は、フォトレジスト保護膜用組成物を用いて形成される。液浸リソグラフィプロセスにおいて、フォトレジスト層と投影レンズの間に存在する水または水を含む液体としては、投影レンズの動きに追随することが求められることから、アルコール類等を含むことが好ましく、2−プロパノールを含むことがより好ましい。
【0078】
本発明のフォトレジスト保護膜用組成物を用いてフォトレジスト保護膜を形成する際の塗工方法としては、塗膜の均一性に優れ、簡便性に優れる観点から、スピンコート法が好ましい。また、塗工後に溶媒を除去する目的で、ホットプレート、オーブン等により乾燥を行うことが好ましい。乾燥条件としては、70〜100℃が好ましく、30〜180秒間が好ましい。
【0079】
本発明のフォトレジストパターンの形成方法は、基材の表面にフォトレジスト層を形成し、ついで本発明のフォトレジスト保護膜が形成されてなるフォトレジスト基材を、液浸リソグラフィ法により露光し、ついで、アルカリ現像する方法が好ましい。該液浸リソグラフィ法において用いられる光は、特に制限はなく、KrF、ArF等のエキシマレーザーが使用できる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例(例1、2)、比較例(例3)により本発明を詳細に説明する。形成したフォトレジスト保護膜について、水に対する溶解性、アルカリ現像液への溶解性を評価した。評価方法は以下のとおりである。なお、重量平均分子量Mは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、ポリメチルメタクリレート換算の数字で表した。
【0081】
[溶解性の評価方法]
塗布した膜厚が100〜200nmになるようにスピンコーターの塗布条件を調整しておく。フォトレジスト保護膜用組成物を、該調整した条件のスピンコーターを用いてシリコンウェハの表面に塗布し、保護膜が形成されたシリコンウェハを得る。保護膜の膜厚(該膜厚を膜厚Aとする。)をエリプソメータを用いて測定する。
【0082】
次に、得られたシリコンウェハを水に30秒間浸漬し、引き上げて乾燥後、保護膜の膜厚(該膜厚を膜厚Bとする。)をエリプソメータを用いて測定する。
【0083】
さらに、アルカリ現像液である2.38質量%のテトラヒドロアンモニウムヒドロキシド水溶液に30秒間浸漬し、引き上げて乾燥後、保護膜の膜厚(該膜厚を膜厚Cとする。)をエリプソメータを用いて測定する。
【0084】
膜厚Bが膜厚Aの95%以上であり、目視により保護膜の損傷が確認されない場合は、該保護膜は「水に不溶」と判定する。また、膜厚Cが膜厚Bの50%以下であり、目視により保護膜膜が失われていることが確認される場合、該保護膜は「アルカリ現像液に可溶」と判定し、これ以外の場合は「アルカリ現像液に不溶」と判定する。
【0085】
[例1]
200mLのオートクレーブに、2−(ペルフルオロヘキシル)エチルアクリレートの18.4g、アクリル酸の1.36g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の0.65g、アセトンの44.6g、メタノールの14.8gおよびジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の0.15gを仕込み、窒素にて系内を置換し、65℃で15時間反応を行い反応液を得た。
【0086】
得られた反応液を常温減圧下にて乾燥して含フッ素重合体1の20gを得た。含フッ素重合体1の収率は98%であり、含フッ素重合体1の重量平均分子量Mは3×10であった。
【0087】
含フッ素重合体1をCF(CFCHFに溶解させて3質量%の溶液としたものを用いて、シリコンウェハ上に保護膜を形成した。得られた保護膜は、水不溶かつアルカリ現像液に可溶であった。また、保護膜の水に対する接触角は110°であった。
【0088】
[例2]
200mLのオートクレーブに、CF=CFOCFCFCFCOOCH(以下、PFAと記す。)の20g、CF=CFOCFCFCF=CF(以下、PFBと記す。)の20gおよびジイソプロピルパーオキシジカーボネート(以下、IPPと記す。)の0.23gを仕込み、窒素にて系内を置換し、さらに0.2MPaに加圧後、40℃に昇温し、40℃で24時間反応を行い反応液を得た。
【0089】
得られた反応液から未反応の単量体を留去し、常温減圧下にて乾燥して含フッ素重合体2の25gを得た。含フッ素重合体2の収率は63%であり、重量平均分子量Mは2×10であった。含フッ素重合体2を水に入れて80℃に加熱し、加水分解を行い、加水分解生成物を得た。加水分解生成物中のカルボキシル基をアルカリで滴定することにより、加水分解生成物における共重合組成(モル比)を求めたところ、PFA由来の繰り返し単位/PFB由来の繰り返し単位=7/3であった。
【0090】
該加水分解生成物を水/2−プロパノールの質量比90/10の溶媒に溶解させて3質量%の溶液としたものを用いて、シリコンウェハ上に保護膜を形成した。得られた保護膜は、水不溶かつアルカリ現像液に可溶であった。また、保護膜の水に対する接触角は93°であった。
【0091】
[例3]
200mLのオートクレーブに、PFBの40gおよびIPPの0.23gを仕込み、窒素にて系内を置換し、さらに0.2MPaに加圧後、40℃に昇温し、40℃で24時間反応を行い反応液を得た。得られた反応液から未反応の単量体を留去し、常温減圧下にて乾燥して含フッ素重合体3の20gを得た。含フッ素重合体3の収率は50%であり、重量平均分子量Mは3×10であった。
【0092】
含フッ素重合体3をCF(CFCFに溶解させて3質量%の溶液としたものを用いて、シリコンウェハ上に保護膜を形成した。得られた保護膜は、水不溶かつアルカリ現像液に不溶であった。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明のフォトレジスト保護膜は、液浸リソグラフィプロセスにおけるフォトレジスト保護膜として使用できる。本発明のフォトレジスト保護膜用組成物は、液浸リソグラフィプロセスに用いるフォトレジスト保護膜を形成できる。また、本発明のフォトレジスト保護膜が形成されたフォトレジスト基材に液浸リソグラフィ法によりフォトレジストパターンが形成できる。また、フォトレジスト保護膜用組成物は、フォトレジスト層表面の反射防止膜としても使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−COOH、−SOH、−OP(=O)(OH)、−NRおよび−NCl(ただし、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)からなる群から選ばれる1種以上の官能基を有し、重量平均分子量Mが1千〜10万である含フッ素重合体および溶媒を含有することを特徴とするフォトレジスト保護膜用組成物。
【請求項2】
前記溶媒が水、アルコールおよび含フッ素溶媒からなる群から選ばれる1種以上を含む溶媒である請求項1に記載のフォトレジスト保護膜用組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフォトレジスト保護膜用組成物を用いて形成された液浸リソグラフィ用フォトレジスト保護膜。
【請求項4】
基材の表面にフォトレジスト層を形成し、ついで請求項3に記載のフォトレジスト保護膜が形成されてなるフォトレジスト基材を、液浸リソグラフィ法により露光し、ついで、アルカリ現像することを特徴とするフォトレジストパターン形成方法。


【公開番号】特開2006−47351(P2006−47351A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223813(P2004−223813)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】