説明

フックの係合を利用した樹脂部材の組立構造

【課題】樹脂部材同士の結合がフック部とこれに対応する凹部を利用して上記フックの外れを防止し梱包時や搬送時の落下衝撃や振動が加わった場合にもフック部の外れが生じる事のない組立構造。
【解決手段】樹脂部材5同士の結合が、第一の樹脂部材4より押圧方向に突設し弾性変形により前記押圧方向と異なる方向に変形するフック部41と、第二の樹脂部材5側に形成され、前記フック部の押圧収納位置に設けた凹部51と、からなり、前記フック部41を前記凹部51で樹脂部材同士が所定位置で結合保持される樹脂部材の組立構造において、フック部41と凹部51との係合を離脱させるために工具を挿入する工具挿入用穴部52が開口して設けられ、前記工具を前記工具挿入用穴部52に挿入した際に該工具が前記凹部51よりも内部方向へ進入することを阻止する内部保護壁53を前記工具挿入用穴部52に臨んで第二の樹脂部材5裏面側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ、プリンタ、複写機、画像読取装置等に代表される電子機器収納装置において、複数の樹脂製カバー等若しくは樹脂板同士をフック係合により組み立ててなる樹脂部材の組立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂カバー類の組み付けにおいては特許第3334350号公報(特許文献1)に示すように、ねじ部材にて樹脂カバー同士を組み合わせた構造が提示されているが、ねじ構造を使用するために組み立てが煩雑化するのは否めない。
【0003】
このためネジによる締め付けに加えて、若しくはねじによる締め付けに代えて、最近ではコスト削減等の目的で樹脂の弾性変形を利用したフック形状のはめ込みがよく使われるようになっている。
しかしながら樹脂部材の弾性変形を利用したフック形状のはめ込みにより締結された部品を含む製品を梱包して輸送した場合に、梱包時、若しくは搬送時の落下衝撃や振動が加わることによりフック部の外れが生じることがある。
【0004】
このような梱包時にフック部の外れ等から起因する簡単かつ確実に梱包できる技術として特開2002−370787公報(特許文献2)が存在する。かかる技術は、製品の上から梱包する技術で、可撓性を有するカバー体と、カバー体の両端部をそれぞれ伸張状態に保形するように連結する一対の連結杆とを備え、カバー体で被梱包材である製品を覆って押さえるべくカバー体を伸張状態に保持するように、前記一対の連結杆を係止する係止手段が設けられている。
しかしながらかかる技術は、製品自体のフックはずれを防止するものではなく、フック等で外れやすい製品を梱包するもので、本発明とは無関係な技術である。
【0005】
また、図7を参照して、2つの樹脂部材(第一の樹脂部材4、第二の樹脂部材5)同士を第一の樹脂部材4側に設けたフック部41と第二の樹脂部材5側に設けた凹部51を係合・離脱させることにより着脱自在に構成するような場合には、製品の外側に開口した工具挿入用の穴部52からマイナスドライバなどの工具6を挿入して、凹部51に嵌め込まれたフック部41を押圧することによりこの係合を離脱させることができるようにすれば、樹脂部材同士の着脱が容易となるが、この場合、図7(a)に示すように、工具6がフック部41の係合位置を越えて機器内部に侵入し機器内部の基板などを傷つけてしまったり、図7(b)のように工具6によってフック部41を破損しかねないほどフック部をこじりすぎてしまうということが生じる。
【特許文献1】特許第3334350号
【特許文献2】特開2002−370787公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、図5に示すように、第一の樹脂部材4と第二の樹脂部材5同士の結合が、第一の樹脂部材4より押圧方向に突設し弾性変形により前記押圧方向と異なる方向に変形するフック部41と、第二の樹脂部材5側に形成され、前記フック部の押圧収納位置に設けた凹部51と、からなり、前記フック部41を前記凹部51に係合させることにより、前記第一の樹脂部材4と前記第二の樹脂部材5同士が所定位置で結合保持される樹脂部材の組立構造において、
前記フック部41と前記凹部51との係合を離脱させるために工具を挿入する工具挿入用穴部52が前記第二の樹脂部材5表面より開口して設けられ、前記工具を前記工具挿入用穴部52に挿入した際に該工具が前記凹部51よりも内部方向へ進入することを阻止する内部保護壁53を前記工具挿入用穴部52に臨んで第二の樹脂部材5裏面側に設けたことを特徴とする。
これによれば、第一の樹脂部材と第二の樹脂部材との結合を工具によって容易に着脱できるとともに、フック部41と凹部51との係合を離脱する際に工具挿入用穴部52に工具をZ方向から挿入しても、挿入した工具は内部保護壁53に突き当たり、凹部51よりも内部方向へ進入することが阻まれるので、工具により機器内部が傷つけられてしまうことがない。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記工具挿入用穴部52の奥側に回路基板42等の破損容易部が存在し、該破損容易部より手前側であって前記工具による前記破損容易部への誤接触を阻止する位置に、前記内部保護壁53を設けたことを特徴とする。
これによれば、機器内部に配された回路基板42などの破損容易であって特に傷つけたくない部分に工具が接触する事を有効に阻止することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、図5と図6に示すように、前記フック部41が複数設けられ、一方のフック部41aにより第二の樹脂部材5との結合位置が規制され、他方のフック部41bの突設位置が異なる第一の樹脂部材4が機種毎に複数種類存在し、
前記他方のフック部41bと係合する結合調整用凹部51bは、それぞれの機種の第一の樹脂部材4の他方のフック部41bが係合可能な幅を持って形成されるとともに、前記内部保護壁52を前記結合調整用凹部51bの幅方向に延在させて設けたことを特徴とする。
このように、第一の樹脂部材4にフック部41が複数設けられ、一方のフック部41aを結合位置規制用とし、他方のフック部41bの突設位置が機種毎に異なる場合であっても、それぞれの機種毎のフック部41bの突設位置に合わせて結合調整用凹部51bの幅を広く設けることにより、それぞれの機種の第一の樹脂部材4と第二の樹脂部材5とが所定位置において結合されるとともに、結合調整用凹部51bのフック部41bが係合していない位置に工具を挿入してしまった場合であっても、内部保護壁52を結合調整用凹部51bの幅方向に延在させて設けるようにしたから、工具の機器内部への侵入を有効に阻止することが出来る。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記工具挿入用穴部52へ挿入される前記工具の挿入方向を規制する位置に前記内部保護壁53を設けたことを特徴とする。
このように、内部保護壁53によって工具の挿入方向を規制するようにしたから、フック部41と凹部51との係合を離脱させる位置に工具をスムーズに挿入することができ、係合離脱作業の作業効率が良くなる。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記工具により前記フック部41と前記凹部51との係合を離脱させる際に、前記フック部41の弾性変形量が許容範囲内となるよう前記工具の動きを規制する位置に前記内部保護壁53を設けたことを特徴とする。
このように、内部保護壁53によって、前記フック部41の弾性変形量が許容範囲内となるよう前記工具の動きを規制するようにしたから、工具のこじり過ぎによりフック部41が変形されすぎて破損してしまうことを阻止することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上記載のごとく本発明によれば、一の樹脂部材(カバー)と他の樹脂部材(カバー)同士の結合が、フック部とこれに対応する凹部を利用して上記のフックの外れを防止し、梱包時、若しくは搬送時の落下衝撃や振動が加わった場合においてもフック部の外れが生じる事のない樹脂部材の組立構造を提供することが出来る。また、一の樹脂部材と他の樹脂部材同士を着脱自在に構成し、両樹脂部材同士の結合を、フック部とこれに対応する凹部との係合を離脱することにより解除する際、係合を離脱させるために挿入した工具が機器内部に侵入することのない樹脂部材の組立構造を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
〔参考例〕
【0013】
図1は本発明の参考例にかかる画像入力装置のフレームカバーの概略断面図を示し、又図2はその具体的な装置構成を示す要部斜視図である。
図に示すように、本装置は、第一の樹脂部材1(以下フレーム上カバー1という)と、第二の樹脂部材2(以下フレーム下カバー2という)同士の結合が、フレーム上カバー1より垂直下方に向かう押圧方向に向け突設するごとく延在し、該延在方向と直交する方向に変形する第一のフック部11を有する。
そして前記第一のフック部11はフレーム上カバー1端側に図2に示すように2本延設され、その先端においてフック係合凸部11aを内側に向けて折曲させている。
又、フレーム下カバー2の前記フック部11の係合凸部11aと対面する位置には矩形状の中空突出部26が立設しており、そして該中空突出部26の前記フック部の係合凸部11aと対面する壁面位置に凹部(穴)21を設け、前記第一のフック部11の係合凸部11aを凹部(穴)21に係合させることにより、フレーム上カバー1とフレーム下カバー2同士が所定位置で結合保持されるように構成している。
そしてフレーム下カバー2は第三の部材3(以下操作盤カバーという)の取り付け部として延在部22が延在しており、該延在部22の上面を塞ぐごとく操作盤カバー3が設けられている。
又操作盤カバー3には各種操作キー39や表示部(不図示)が取り付けられているが、図2には表示部が取り付けられる前の状態を示す。
【0014】
そして該操作盤カバー3は上面が基側よりなだらかに先側に向け傾斜して延在部32を形成しているとともに、その基側にはリブ31aを延在させ、又下方に垂下する垂直壁35の途中位置より水平リブ31bを延在させ、該リブ31a、31b先端が凹部(穴)21への係合部側の反対側の前記第一のフック部11背面側の任意の位置に、該第一のフック部11が係合凹部21から離脱する方向への弾性変形を阻止するように作用させている。
なお前記フレーム上カバー1及びフレーム下カバー2及び操作盤カバー3はいずれも弾性変形可能な樹脂部材で形成されている。
【0015】
かかる参考例によれば、フレーム上カバー1及びフレーム下カバー2の弾性変形を利用したフック11及び凹部(穴)21からなるはめ込み締結において、前記フレーム上カバー1及びフレーム下カバー2の締結後に組み付けられる操作盤カバー3の基側に弾性変形阻止手段としてのリブ31a、31bを延在して設け、リブ31a、31bはフック部11背面側の、該フック部11が外れることを防止する位置に突設されているために、梱包時、若しくは搬送時の落下衝撃や振動が加わった場合においても第一のフック部11と凹部(穴)21間の外れを防止できる。
【0016】
又前記操作盤カバー3及びフレーム下カバー2は、前記したように先側方向に延在する延在部32、22を有し、該延在部32、22の先側で、前記操作盤カバー3及びフレーム下カバー2同士が結合する為に幅方向左右に設けられた第二のフック33と第二の係合凹部23を有し、該第二のフック33が係合凹部23から離脱する方向が前記先側方向と対向する基側方向であるために、第二のフック33が外れる方向に操作盤カバー3が衝撃移動しても、前記弾性変形阻止用のリブ31a、31bが第一のフック部11背面側に衝突して該第一のフック部11を係合方向に押圧し、又第二のフック33も係合位置からの離脱が阻止される。
【0017】
従ってかかる参考例によれば、第二のフック33が係合凹部23から離脱する方向が前記第一のフック11の係合押圧方向であるために、梱包時、若しくは搬送時の落下衝撃や振動がどの方向に加わっても基側に位置する前記弾性変形阻止用のリブ31a、31bを介して前記第一のフック部11を係合方向に押圧することが出来、第二のフック33も第一のフック部11のいずれも外れが生じる事がない。
【0018】
そして、前記操作盤カバー3は、前記フレーム上カバー1とフレーム下カバー2を組み付け後に、その基側を、フレーム上カバー1のL字型リブ14下面(対峙面)14aとフレーム下カバー2の基面25の間の矩形状空隙に差し込んだ後、第二のフック33がフレーム下カバー2の係合凹部23に係合されて固定されている。
従って前記操作盤カバー3の組み付けが、前記フレーム上カバー1とフレーム下カバー2を組み付け前若しくは同時であると、前記変形阻止用リブ31a、31bが邪魔してフレーム上カバー1とフレーム下カバー2のフック結合が困難になるが、前記操作盤カバー3の組み付けが前記フレーム上カバー1とフレーム下カバー2を組み付け後であるために、前記変形阻止用リブ31a、31bを第一のフック部11背面に近接させることが出来る。
【0019】
又、前記フレーム上カバー1のL字型リブ14下面(対峙面14a)は、前記のフック押圧方向(A方向)と直交する面に位置し、操作盤カバー3側の係止面34と対峙する対峙面14aとして機能し、前記第一の樹脂部材1のフック部11がフレーム下カバー2の凹部21に係合させた状態で前記係止面34とL字型リブ14下面(対峙面14a)が近接若しくは接触している。これにより搬送時の落下衝撃や押圧方向に振動が加わっても係止面34と対峙面14a同士で吸収し、フック部11に加わる衝撃が緩和される。
【0020】
又前記操作盤カバー3の上面及びフレーム下カバー2の下面はいずれも、先側方向に延在する延在部32、22をなし、該延在部32、22の先側で、前記操作盤カバー3及びフレーム下カバー2同士が第二のフック33と第二の係合凹部23により結合しているとともに、前記操作盤カバー3の基側では、弾性変形リブ31a、31bを設けるための垂直壁35が垂下され、該垂直壁35下面35aがフレーム下カバー2の基面25に止設されて位置規制部位(25、35a)として機能している。
かかる参考例によれば、前記リブ31a、31bの取り付け部である垂直壁35に前記操作盤カバー3及びフレーム下カバー2が止設される位置規制部位(25、35a)が形成されることになるために、搬送時の落下衝撃や押圧方向に振動が操作盤カバー3に直接かかっても操作盤カバー3及びフレーム下カバー2が止設される位置規制部位(25、35a)同士で吸収し、フック部11に加わる衝撃が緩和される。
このように、第三の部材が操作盤カバーの場合は、操作盤に配列した操作キーや表示板の破損を防止できる。
【0021】
又前記フレーム上カバー1とフレーム下カバー2は、前記係合部21の反対側で互いに当接する凹部18、28を設け、該凹部同士をビス27でビス止めしているが、フック(19、29)による係合構造をとることも出来る。
〔実施例〕
【0022】
図を用いて本実施例について説明する。なお、先の参考例と同一の構成要素については、同一の符号を付す。
図3に、本実施例にかかる樹脂部材の組立構造が使用された画像読み取り装置の全体斜視図を示す。この画像読み取り装置は、各種の操作キーを有する操作パネル4aがその表面に設けられた樹脂製の操作部カバー4(第一の樹脂部材)が図中手前側上面に位置しており、この操作部カバー4はやはり樹脂製の下側本体フレーム5(第二の樹脂部材)の上に取り付けられた状態となっている。なお、図中奥側は原稿が載置される画像読み取り部であり、下側本体フレーム5の上に樹脂製の上側本体フレーム5bが取り付けられ、原稿読み取り部カバー5aがその上に位置している。原稿を読み取る際には、原稿読み取り部カバー5aを上に持ち上げ、図示しない原稿読み取り台に原稿を載置する。
【0023】
この画像読み取り装置の手前側(操作部パネル4aが設けられている側)をS方向から見た断面図を図4に示す。操作部カバー4と下側本体フレーム5とは、操作部カバー4より突設したフック部41と、下側本体フレーム5側に形成された凹部51とを係合させることにより、操作部カバー4と下側本体フレーム5同士が所定位置で結合保持されるように構成されている。なお、フック部41及び凹部51は、操作部カバー4及び下側本体フレーム5にそれぞれ2つずつ設けられており、それぞれのフック部41の押圧収納位置に凹部51が設けられている。下側本体フレーム5に操作部カバー4を取り付ける際には、それぞれのフック部41と凹部51との位置を合わせ、操作部カバー4を下側本体フレーム5の上にかぶせて押圧する。これにより、フック部41が凹部51に嵌って、操作部カバー4と下側本体フレーム5とが結合される。
【0024】
図中D部分の拡大図である図5を参照して、また、下側本体フレーム5には、フック部41と凹部51との係合を離脱させるためにマイナスドライバなどの工具を挿入する工具挿入用穴部52がその表面より開口して設けられており、これらの工具を工具挿入用穴部52に挿入し、工具の先端をフック部41の先端に引っ掛け、C方向にこじることにより、フック部41が凹部51から外れて、フック部41と凹部51との係合が離脱され、操作部カバー4を下側本体フレーム5より容易に取り外すことが出来るようになっている。なお、操作部カバー4の裏面側に位置する内部空間には回路基板42が取り付けられており、回路基板42は工具挿入用穴部52から見て奥側に存在するが、下側本体フレーム5表面から回路基板42までの距離は、一般に使用される工具の長さよりも短い距離であるため、もし工具挿入用穴部52に挿入された工具が凹部51を越えて進入した場合には、破損してしまうおそれがある。
【0025】
しかし、工具挿入用穴部52に臨んで下側本体フレーム5裏面側に内部保護壁53が設けられており、内部保護壁53は回路基板42よりも手前側に位置しているため、工具挿入用穴部52に工具を図中Z方向から挿入した場合であっても、工具は内部保護壁53に突き当たって止まるから、工具が凹部51よりも内部方向へ進入し、回路基板42に接触することを阻止することができる。
【0026】
また、フック部41と凹部51との係合を離脱させるためには、工具を図中Y方向に挿入して、工具の先端をフック部41の先端に位置付けてからC方向にこじる必要がある。ここで、内部保護壁53はY方向とほぼ同方向に延在しているから、工具挿入用穴部52へ挿入された工具はその挿入方向が内部保護壁53によってY方向に規制され、工具の先端をフック部41の先端にスムーズに到達させることが出来る。
【0027】
また、工具の先端をフック部41の先端に到達させた後、フック部41をC方向に変形させるよう工具をこじるが、内部保護壁53の存在により、工具を動かす量が制限される。そして内部保護壁53によってフック部41の弾性変形量が許容範囲内となるよう工具の動きを規制することにより、工具をこじりすぎてフック部41を破損してしまうことを阻止することが出来る。
【0028】
次に、下側本体フレーム5の下面図である図6も参照して、操作部カバー4にはフック部41が2つ設けられており、下側本体フレーム5にはそれぞれのフック部41に対応して凹部51が2つ設けられている。本実施例にかかる画像読み取り装置には複数の機種が存在し、これらの機種は全て本体は同一であるが、操作部カバー4及び操作部カバー4に取り付けられた基板42からなる操作部のみが異なるものである。そして機種の違いにより、操作パネルの配置や大きさ等が異なる為、操作部カバー4に設けられるフック部41の突設位置も機種毎に異なるが、2つのフック部41(41a、41b)のうち一方のフック部41aは下側本体フレーム5との結合位置を規制するものであり、フック部41a先端の幅と同程度の幅を有する凹部51aに係合される。
【0029】
一方、他方のフック部41bの突設位置は、それぞれの機種毎によって異なる。そのため、フック部41bに係合する凹部(結合調整用凹部)51bの幅cは、それぞれの機種のフック部41bと係合可能となるように、凹部51aの幅dよりも長く形成される。また、内部保護壁53は凹部51bの幅方向に延在して設けられる。凹部51bの幅が長くなると、フック部41bの先端の幅bと凹部51bの幅cとの差が大きくなり、フック部41bと凹部51bとの係合を離脱させる際に工具挿入用穴部52b内のフック部41bが存在しない位置に工具を差し込んでしまう可能性が高くなるが、内部保護壁53が凹部51bの幅方向に延在しているため、このような場合であっても工具が機器内部に侵入することを阻止することが出来る。また、これにより、凹部51b及び凹部51bに至る工具挿入穴52bの幅を大きく作ることが許容されるので、設計の自由度が増す。
【産業上の利用可能性】
【0030】
上記実施例においては画像入力装置及び画像読み取り装置を例に説明したが、これに限らず、フックの係合を利用した樹脂部材の組み立て構造全般において適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の参考例にかかる画像入力装置のフレームカバーの概略断面図を示す。
【図2】図1の具体的な装置構成を示す要部斜視図である。
【図3】本発明の実施例にかかる樹脂部材の組立構造が使用された画像読み取り装置の全体斜視図である。
【図4】図3の画像読み取り装置の手前側部分をS方向から見た断面図である。
【図5】図4のD部分の拡大図である。
【図6】図3の画像読み取り装置の下側本体フレームの下面図である。
【図7】従来の樹脂部材の組み立て構造を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 第一の樹脂部材(フレーム上カバー)
2 第二の樹脂部材(フレーム下カバー)
3 第三の部材
4 第一の樹脂部材(操作部カバー)
5 第二の樹脂部材(下側本体フレーム)
6 工具
11、41 フック部
14a対峙面
21、51 凹部(穴)
31a、31b 弾性変形阻止手段(リブ)
22、32延在部
23 第二の係合凹部
25 位置規制部位(基面)
33 第二のフック
34 係止面
35 位置規制部位(垂直壁)
35a位置規制部位(下面)
42 回路基板
52 工具挿入用穴部
53 内部保護壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の樹脂部材と第二の樹脂部材同士の結合が、第一の樹脂部材より押圧方向に突設し弾性変形により前記押圧方向と異なる方向に変形するフック部と、第二の樹脂部材側に形成され、前記フック部の押圧収納位置に設けた凹部と、からなり、前記フック部を前記凹部に係合させることにより、前記第一の樹脂部材と前記第二の樹脂部材同士が所定位置で結合保持される樹脂部材の組立構造において、
前記フック部と前記凹部との係合を離脱させるために工具を挿入する工具挿入用穴部が前記第二の樹脂部材表面より開口して設けられ、前記工具を前記工具挿入用穴部に挿入した際に該工具が前記凹部よりも内部方向へ進入することを阻止する内部保護壁を前記工具挿入用穴部に臨んで第二の樹脂部材裏面側に設けたことを特徴とする樹脂部材の組立構造。
【請求項2】
前記工具挿入用穴部の奥側に回路基板等の破損容易部が存在し、該破損容易部より手前側であって前記工具による前記破損容易部への誤接触を阻止する位置に、前記内部保護壁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂部材の組立構造。
【請求項3】
前記フック部が複数設けられ、一方のフック部により第二の樹脂部材との結合位置が規制され、他方のフック部の突設位置が異なる第一の樹脂部材が機種毎に複数種類存在し、
前記他方のフック部と係合する結合調整用凹部は、それぞれの機種の第一の樹脂部材の他方のフック部が係合可能な幅を持って形成されるとともに、前記内部保護壁を前記結合調整用凹部の幅方向に延在させて設けたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂部材の組立構造。
【請求項4】
前記工具挿入用穴部へ挿入される前記工具の挿入方向を規制する位置に前記内部保護壁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂部材の組立構造。
【請求項5】
前記工具により前記フック部と前記凹部との係合を離脱させる際に、前記フック部の弾性変形量が許容範囲内となるよう前記工具の動きを規制する位置に前記内部保護壁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂部材の組立構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−320309(P2007−320309A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117635(P2007−117635)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【分割の表示】特願2003−341070(P2003−341070)の分割
【原出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】