説明

フッ素化炭化水素と酸素化溶媒とを含む組成物

【課題】HCFC141b(ハイドロクロロフルオロカーボン141b)の全ての溶媒とうしての用途で使用可能なフッ素化炭化水素と酸素化溶媒とを含む新規組成物。固体表面の処理、クリーニング、脱脂、フラックス除去または固体表面の乾燥処理等で使用される。
【解決手段】ベースフッ素化物と、ジアセトンアルコール(DAA)と、DMSOおよび/または第二級ブタノールとから成る組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフッ素化炭化水素に関するものである。
本発明は特に、フッ素化炭化水素と酸素化溶媒とを含む新規な組成物に関するものである。
本発明の新規組成物は特にHCFC141b(ハイドロクロロフルオロカーボンl4lb)の溶媒の全ての応用作業、特に、固体表面の処理、例えば洗浄、クリーニング、脱脂、フラックス除去(defluxing)または固体表面の乾燥で使用できる。
【背景技術】
【0002】
1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC141として知られる)は不純物、特に有機の不純物の残存含有量をゼロにするか、できる限り低くすることが要求される各種の固体表面(金属、ガラス、プラスチック、複合材料)の洗浄、クリーニング、脱脂で工業的に極めて広範囲に使用されている。
その用途としては大型金属製品の脱脂、大量生産される精密機械の洗浄、その他の各種工業、例えば航空宇宙産業、電気、エレクトロニクス産業、機械製造業、金細工、刃物製造業、時計製造、医学分野での人工器官等の製造業を挙げることができる。さらに、印刷回路の製造分野で半田接合の品質を良くするために基材から残留物(はんだフラックスとして知られている)を除去するのにも使用される。この操作は一般に「フラックス除去操作」(defluxing)とよばれている。
【0003】
HCFC141は熱的および化学的に安定で、引火性がなく、毒性が低く、沸点が低いという性質(熱的にもろい成分を保存する)の他に、表面張力が低く(18.4 mN/m)、溶解力が相対的に高い(カウリ−ブタノール指数、Indice Kauri-butanol、KEI=51)という性質のために上記用途には特に有効であると考えられている。
【0004】
後者の2つの化学的特性によってHCFCl4lbはベトベトした汚染物、特に孔、凹部、通路が存在する複雑な部品、例えば、精度機械、時計または刃物に付いた汚染を溶解する能力を有している。
【0005】
しかし、HCFC141はオゾン層に対する作用がゼロではない(オゾン劣化可能性、ODP=0.11)ためその使用は規制され、使用禁止の対象になりつつある。欧州規制ではオゾン層(2037/2000番)に有害な物質に関するHCFC141のようなHCFCは2002年1月1日から溶媒としての用途での使用が禁止されており、欧州では2008年からは航空宇宙の分野を除いて使用が禁止される。
【0006】
上記用途でHCFC141に代わる代替溶液が提案されている。特に、HFC(ハイドロフルオロカーボン、hydrofluorocarbon)および/またはHFE(ヒドロフルオロエーテル、hydrofluoroether)の使用が提案されている。HFCおよびHFEはオゾン層に対して作用しない(ODPがゼロか、規制値に対して無視できる値である)。
【0007】
最もよく知られ、使用されているHFCの中では、例えば下記のものを挙げることができる:1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(365 mfc)、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5‐デカフルオロペンタン(4310 mee)、1,1,l,2-テトラフルオロエタン(134a)、ペンタフルオロエタン(125)、l,1,l-トリフルオロエタン(143a)、ジフルオロメタン(32)、1,1-ジフルオロエタン(152a)、l-フルオロエタン(161)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(227 ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(245 fa)、オクタフルオロプロパン(218)、(ペルフルオロブチル)エチレン(C4H9CH=CH2)、1,1,2,2,3,4,5-ヘプタフルオロシクロペンタン(C5H3F7)、ペルフルオロヘキシルエチレン(C6F13CHCH2)、トリデカフルオロヘキサン(C6F13H)とペルフルオロ(メチルモルホリン)(PF 5052)。さらに、特定の特性、例えば非引火性を改良することができるこれらの混合物も挙げられる。
【0008】
最もよく知られ、使用されているHFEの中では、例えば下記のものを挙げることができる:メチルヘプタフルオロプロピルエーテル(C3F7CH3)、メチルノナフルオロブチルエーテル(C4F9OCH3)、エチルノナフルオロブチルエーテル(C4F9OC2H5)、ペルフルオロピラン(C5F100)およびこれらの混合物。
【0009】
これらのHFCおよびHFEの物理化学的特性はHCFC141の特性にほぼ匹敵し、熱的および化学的安定性に優れ、毒性が低く、沸点が低く、表面張力が小さい。
【0010】
しかし、溶解力はHCFC141の溶解力には届かない。すなわち、HCFC141のカウリ−ブタノール指数、Indice Kauri-butanol、KEI)は51であるのに対して、HFC 4310 meeおよびHFE C4F9OCH3のKEIは9および10にすぎない。従って、固体表面処理用途でのこれらの化合物の効率はHCFC141の効率よりはるかに低い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者は、表面張力(ISO 304-1985規格)が30 mN/m以下である一種または複数のハロゲン化物の混合物から成るベースフッ素化物へ、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコールともよばれる)(DAA)と、ジメチルスルホキシド(DMSO)および/または第二級ブタノールとを合わせて加えることによって、オゾン層への作用が無視し得る(ODPがゼロか、無視し得る)新規な組成物が得られ、その性能はるHCFC141の性能と同じになる、ということを偶然見出した。
しかも、この組成物はオゾン層を破壊する作用がない。
従って、この組成物はHCFC141を溶媒として使用する分野でHCFC141の完全に満足しえる代替品として使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の対象は、ベースフッ素化物と、ジアセトンアルコール(DAA)と、DMSOおよび/または第二級ブタノールとから成る組成物にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書で組成物の含有量を表すのに使用する百分比は特にことわらない限り重量百分率である。
本発明組成物は、1〜88%のベースフッ素化物と、5〜94%のDAAと、5〜70%のDMSOおよび/または第二級ブタノールとから成るのが好ましい。
DMSOまたは第二級ブタノールの含有量は最高でもDAAの含有量に等しくするのが有利である。
好ましい本発明組成物は5〜80%のベースフッ素化物と、15〜85%のDAAと、5〜50%のDMSOおよび/または第二級ブタノールから成る。
【0014】
本発明組成物で使用可能なベースフッ素化物は、表面張力が30mN/m以下で且つあるオゾン層に対する作用が無視しえる(ODPがゼロか無視しえる)一種または複数のハロゲン化物の混合物を意味する。このハロゲン化物はHFC(ハイドロフルオロカーボン)および/またはHFE(ヒドロフルオロエーテル)から選択できる。
【0015】
HFCの非限定的な例としては以下のものを挙げることができる:1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(365 mfc)、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(4310 mee)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(134a)、ペンタフルオロエタン(125)、1,1,1-トリフルオロエタン(143a)、ジフルオロメタン(32)、1,1-ジフルオロエタン(152a)、l-フルオロエタン(161)、1,1,1,2,3,3.3-ヘプタフルオロプロパン(227 ea)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(245 fa)、オクタフルオロプロパン(218)、(ペルフルオロブチル)エチレン(C4H9CH=CH2)、1,1,2,2,3,4,5-ヘプタフルオロシクロペンタン(C5H3F7)、ペルフルオロヘキシルエチレン(C6F13CHCH2)、トリデカフルオロヘキサン(C6F13H)およびペルフルオロ(メチルモルホリン)(PF 5052)。
【0016】
HFEの非限定的な例としては以下のものを挙げることができる:メチルヘプタフルオロプロピルエーテル(C3F7OCH3)、メチルノナフルオロブチルエーテル(C4F9OCH3)、エチルノナフルオロブチルエーテル(C4F9OCH2H5)とペルフルオロピラン(C5F10O)。
上記化合物の大部分は市販のものである。
【0017】
本発明組成物で使用可能なベースフッ素化物の中では、例えばHFC 365 mfc / HFC 4310 mee、HFC 365 mfc / HFC 4310 mee / HFC 227ea、HFC 227 ea / HFEの二成分または三成分混合物を挙げることができる。
好ましいベースフッ素化物はHFC 365 mfcとHFC 4310 meeとの混合物である。この混合物は5〜95%のHFC 365 mfcと、5〜95%のHFC 4310 meeとから成るのが好ましい。この混合物は必要に応じてHFC 227eaを含むことができる。好ましい混合物は80%のHFC 365 mfcと20%のHFC4310 meeとから成る。他の好ましい混合物は50%のHFC 365 mfcと50%のHFC 4310 meeとから成る。
【0018】
ベースフッ素化物は沸点が47.8℃であるtrans-1,3-ジクロロエチレンをさらに含むことができる。
特に有利な本発明組成物は、50%のベースフッ素化物と、40%のDAAと、10%のDMSOのとから成る。他の有利な組成物は、30%のベースフッ素化物と、23.33%のDAAと、23.33%の第二級ブタノールと、23.33%のDMSOとから成る。
【0019】
本発明組成物は各成分を単に混合するだけで容易に製造できる。
本発明組成物はHCFC141bをベースにした従来の組成物で使用されていたものと同じ用途に同じ使用方法で使用できる。すなわち、本発明組成物は固体表面の処理、例えば洗浄、クリーニング、脱脂、固体表面の乾燥または印刷回路のフラックス除去での使用に適している。これらの用途では一般にHCFC141bの他に、重質溶媒、例えば石油留分または重質グリコールエーテルをベースにした溶媒混合物またはベースフッ素化物以外の溶媒混合物と、界面活性剤を含む水溶性界面活性剤とが一緒に使用される。
【0020】
本発明の組成物は他の溶液に比較して多くの利点を有している。特に、粘性が小さく、従って、流動性に優れ、使用が容易であり(特に、重質グリコールエーテルに比較して)、濯ぎが極めて容易になる(特に、ベトベトしたフィルム上に残留する傾向のある石油留分に比較して)。水性界面活性剤は別の溶媒を用いた濯ぎおよび乾燥操作を必要とし、しかもこの溶媒の除去に別の難しい問題を発生させる。一般に、これらの他の溶液はHCFCl4lbが使用できるものと同じ機械は使用できない。これに対して本発明組成物はHCFCl4lbと完全に同じ機械を使用することができ、性能は多くの点で他の溶液に比べてはるかに優れている。
【0021】
以下、固体表面の処理に使用されている公知の機械を添付図面を用いて説明する。この機械は2つのタンク(洗浄タンク(2)および濯ぎがタンク(8))と、蓋(13)とを有する。タンク(2)および(8)は溶媒蒸気を閉じ込めることができるだけの高さと幅とを有しているのが好ましい。弱い被洗浄物でない場合には、超音波装置で被洗浄物に超音波を加えることもできる。
【0022】
使用開始時に本発明組成物を洗浄タンク(2)に充填し、抵抗加熱器(1)を用いて組成物中に存在するベースフッ素化物の沸点まで加熱する。DAAの沸点(168℃)、DMSOの沸点(189℃)および第二級ブタノールの沸点(99.5℃)はベースフッ素化物の沸点(一般に55℃以下)より明らかに高いので、これらの溶媒混合物は清浄タンク(2)の液相中に残り、蒸発することは実質的にない。
【0023】
濯ぎタンク(8)にはベースフッ素化物のみを充填する。
洗浄タンク(2)から出た沸騰したベースフッ素化物の蒸気(3)は冷却コイル(4)で冷却され、樋(5)で回収され、濯ぎタンク(8)へ再循環される。液相および蒸気相の温度は温度計(9)および(10)で制御できる。セパレータ(7)の役目は外気の水蒸気が凝縮して生じる水を分離することにある。
【0024】
洗浄タンク(2)には濯ぎタンク(8)からオーバーフロー装置を介して相対的に清浄な再循環されたベースフッ素化物(その汚染度は洗浄タンクに対して最大で10%)が送られる。固体粒子はポンプ(11)を用いて溶媒から濾過できる。HCFC l4lbを用いた場合と同様に、洗浄タンク(2)は汚染度が約30%に汚染されたときに交換できる。
【0025】
この機械を使用する際には、被洗浄物を先ず最初に洗浄タンク(2)中に浸す。被処理表面は金属、無機ガラス、セラミック、その他であり、有機ポリマーでもよい。被洗浄表面に付着している被覆物は動物、植物、無機物、合成物を起源とする各種の脂肪、油脂物、例えば液体鉱油、水溶性油または完全鉱油であることができる。また、はんだフラックスの被覆でもよい。
【0026】
本発明者は、洗浄タンクのDMSOおよび/または第二級ブタノールが表面に存在するオイルを液滴に変えるのを促進すると考えるが、この説明に限定されるものではない。DAAは液滴を引き離す界面活性剤の役目をする。第二級ブタノールははんだフラックスの除去に特に有利な効果があるということが分かっている。この用途ではDAAと一緒にベースフッ素化物への極めて優れた添加剤を構成する。フラックスの除去が困難な場合には、DMSOを入れることによって極性を増し、効率をさらに良くすることができる。
【0027】
次に、被洗浄物を濯ぎ溶液(8)中に浸す。
純粋なベースフッ素化物から成る濯ぎ溶液(8)は被洗浄物表面上に随伴される脂肪物質によって徐々に汚染される。随伴される汚染が著しい場合には第2の濯ぎタンクを用いることができる。機械の冷却帯域(6)で乾燥を行う前に、蒸気相のベースフッ素化物から成る帯域(3)で追加の濯ぎを行うこともできる。
【0028】
本発明の他の対象は洗浄タンク(2)と濯ぎタンク(8)とを有する機械で実行される固体表面の処理方法にある。本発明方法の特徴は、洗浄タンク(2)には本発明組成物を充填し、濯ぎタンク(8)には純粋なベースフッ素化物を充填し、このベースフッ素化物は洗浄タンク(2)中に存在するものと同じでも異なっていてもよい点にある。
【0029】
本発明方法の好ましい変形例では、濯ぎタンク中に存在するベースフッ素化物は洗浄タンク中に存在するものと同一である。この場合には残留オイルまた半だフラックスがなく、痕跡量の溶媒もない、乾燥した清浄な被処理物を得ることができる。洗浄が難しいケースではベースフッ素化物の含有量を高くし、ベースフッ素化物を少なくとも30%にした洗浄組成物を使用するのが好ましい。本発明の洗浄組成物は濯ぎ成分を既に含んでいるので、濯ぎ作業は容易である。濯ぎタンクが洗浄タンク中に存在するベースフッ素化物以外のものを収容(充填)している場合も本発明の範囲を逸脱するものではない。
【0030】
本発明の組成物はHCFC l4lbと同様に上記以外の用途で使用できる。例えば、織物のドライクリーニング、冷凍、冷蔵プラントのクリーニング、ポリウレタンフォームの膨張剤、エーロゾルの推進薬、伝熱液体またはシリコーン塗装剤として使用することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。実施例の組成物の含有量を表すために記載の百分比は重量百分率である。
実施例1
本発明の各種組成物の脱脂効率を評価するために、8cm2の表面積を有するステンレス鋼板を使用した。各鋼板の表面に一滴の鉱油を塗布し、それを広げて被膜を作った。各鋼板はテストすべき組成物を50ml収容したビーカー中に外界温度で5分間浸した。その後、鋼板をビーカーから取出し、水切りし、純粋なベースフッ素化物50mlを収容した第2ビーカー中に外界温度で2分間浸した。これら2つの操作の間、攪拌は全くしなかった。次に、ベースフッ素化物が蒸発するまで鋼板を外界温度で2、3秒間乾燥した。
脱脂効率は、鉱油が除去された鋼板表面の比率を目視して評価した。この評価に使用した記号は[表1]に示してある。
【0032】
【表1】

【0033】
テストでは下記3つのタイプの鉱油を用いた:
1) 美容用ワセリンオイル
2) 水溶性オイルSHRADER
3) モービルオイルCUTREX 734
各種組成物で得られた結果を[表2]にまとめて示す。
【0034】
【表2】

【0035】
本発明組成物の場合には鋼鈑の表面積の大部分からオイルが除去されており、テストした3種類のオイルに対して優れた脱脂特性を示している。
【0036】
実施例2
この実施例では添付図面に示した脱脂機械を用いた。
洗浄タンク(2)に実施例1の番号L1の脱脂組成物を5リットル充填し、この洗浄タンクをベースフッ素化物の沸点(すなわち40℃)に加熱した。濯ぎタンク(8)には80%のHFC365mfcと、20%のHFC4310meeとからなる同じ純粋なベースフッ素化物を5リットル充填した。濯ぎタンク(8)の温度は40℃にした。
試験片は航空宇宙産業で使用される多数の孔と通路を有する約10x15x3cmの寸法を有する金メッキされた軽量金属部品で、孔および通路の全体にオイルが付着している。使用したオイルはCASTROL のVariotcut D734(約1g)である。
試験片を洗浄タンク(2)中に3分間浸した後、濯ぎタンク(8)中に1分間浸した。第2回目の濯ぎを蒸気相(3)中で10秒間行い、上記機械(6)の冷却帯域中で10秒間乾燥させた。
上記条件で試験片は完全に脱脂された。
【0037】
実施例3(比較例)
実施例2と同じ操作を行ったが、洗浄タンク(2)に80%のHFC365 mfcと、20%のHFC 4310 meeとからなる純粋なベースフッ素化物を充填した。濯ぎタンク(8)も同じ。
しかし、この場合には洗浄、濯ぎ、乾燥後の試験片上にオイルの痕跡が残った。
【0038】
実施例4
実施例2の操作を繰返したが、洗浄タンク(2)には[表3]の脱脂組成物に変えた。濯ぎタンク(8)には80%のHFC365 mfcと20%のHFC 4310 meeとからなる純粋なベースフッ素化物を充填した。
【0039】
【表3】

【0040】
これらの組成物は全て優れた脱脂結果を示した。
【0041】
実施例5
本発明の2つの組成物のフラックス除去効率を評価するために、図1に示す洗浄機械を用いた(超音波振動装置Ultrason Annemasseを備え、シリポライト(siliporite)を充填した分離器(7)とを有する)。2つのタンク(2)および(8)は20リットルの容量を有する。
洗浄タンク(2)にはフラックス除去組成物を充填し、温度を沸点すなわち67℃にした。濯ぎタンク(8)にはベースフッ素化物のみを充填した。濯ぎタンクの温度はベースフッ素化物の沸点すなわち40℃にした。
被洗浄物(電子回路板)を洗浄タンク(2)中に約3〜5分間浸したのち、濯ぎタンクに2分間浸した。その後、冷却大域(6)で直接乾燥した。
テストした組成物M4とM5は[表4]に示してある。
【0042】
【表4】

【0043】
M4の組成物は合成ゴムコロファンを有する電子回路板に対して優れたフラックス除去性能を示した。M5の組成物は「クリーンでない」とよばれる除去が困難なはんだフラックスを除去することができた。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明組成物を用いた固体表面の処理に使用される洗浄機械の概念図。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフッ素化物と、ジアセトンアルコール(DAA)と、DMSOおよび/または第二級ブタノールとから成る組成物。
【請求項2】
1〜88重量%のベースフッ素化物と、5〜94重量%のDAAと、5〜70重量%のDMSOおよび/または第二級ブタノールとから成る請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
5〜80重量%のベースフッ素化物と、15〜85重量%のDAAと、5〜50重量%のDMSOおよび/または第二級ブタノールとから成る請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ベースフッ素化物の表面張力が30mN/m以下で、オゾン劣化能(ODP)がゼロである一種または複数のハロゲン化物から成る請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ハロゲン化物がハイドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbons、HFC)および/またはハイドロフルオロエーテル(hydrofluoroether、HFE)の中から選択される請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ベースフッ素化物がtrans-1,2-ジクロロエチレンを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC 365 mfc)、l,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC 4310 mee)、1,1,l,2-テトラフルオロエタン(HFC 134a)、ペンタフルオロ-エタン(HFC 125)、l,1,1-トリフルオロエタン(HFC 143a)、ジフルオロメタン(HFC 32)、1,1-ジフルオロエタン(HFC 152a)、l-フルオロエタン(HFC 1.61)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC 227ea)、1,1,l,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC 245fa)、オクタフルオロプロパン(HFC 218)、(ペルフルオロブチル)エチレン(C4H9CH=CH2)、1,1,2,2,3,4,5-ヘプタフルオロシクロペンタン(C5H3F7)、ペルフルオロヘキシルエチレン(C6F13CHCH2)、トリデカフルオロヘキサン(C6F13H)およびペルフルオロ(メチルモルホリン)(PF 5052)からなる群の中から選択される請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
ベースフッ素化物がHFC 365 mfcとHFC 4310 meeとの混合物から成り、この混合物が必要に応じてHFC 227eaをさらに含む請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ハイドロフルオロエーテル(HFE)が、メチルヘプタフルオロプロピルエーテル(C3F7OCH3)、メチルノナフルオロブチルエーテル(C4F9OCH3)、エチルノナフルオロブチルエーテル(C4F90C2H5)およびペルフルオロピラン(C5F10O)からなる群の中から選択をされる請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の固体表面の処理、例えば洗浄、クリーニング、脱脂または固体表面の乾燥、印刷回路のフラックス除去での使用。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の繊維織物のドライクリーニングでの使用。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の冷凍、冷蔵設備のクリーニングでの使用。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物のポリウレタンフォームの膨張剤としての使用。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物のエーロゾル推進剤としての使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物の熱伝導液体としての使用。
【請求項16】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物のシリコーン塗布剤としての使用。
【請求項17】
洗浄タンク(2)と濯ぎタンク(8)とから成る機械において実行される固体表面の処理方法において、
洗浄タンク(2)に請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を充填し、濯ぎタンク(8)に純粋なベースフッ素化物を充填し、このベースフッ素化物は洗浄タンク(2)中に存在する化合物とは異なるものであることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−516296(P2006−516296A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518320(P2005−518320)
【出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000049
【国際公開番号】WO2004/072218
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(591004685)アルケマ (112)
【Fターム(参考)】