説明

フラットパネルディスプレイ用感光性ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネル

【課題】製造ラインを改造することなく、また工数も大きく増加させることなく、高い精度および良好な視認性を有するアライメントマークを簡単に形成し、さらに低コストで生産性よくフラットパネルディスプレイを製造する。
【解決手段】フラットパネルディスプレイ用感光性ペーストは、黒色材料とガラス粉末とを含む無機材料成分と、感光性ポリマーと感光性モノマーと光重合開始剤とを含む有機材料成分からなり、黒色材料は平均粒径が1μm以下であって、ガラス基板21上に塗布して感光性膜bxを形成した後、露光することによりアライメントマーク51を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ用アライメントマークを形成するフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイの中でも、大画面化の容易なプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」とする)が、主流の1つとなってきている。
【0003】
従来のPDPは、対向配置された前面板と背面板との間に多数の放電セルが形成されている。前面板は、前面側のガラス基板と、そのガラス基板上に形成された1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対と、それらを覆う誘電体層および保護層とを有する。背面板は、背面側のガラス基板と、そのガラス基板上に形成されたデータ電極と、それを覆う誘電体層と、隔壁と、蛍光体層とを有する。そして、表示電極対とデータ電極とが立体交差するように前面板と背面板とが対向配置されて密封され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。ここで表示電極対とデータ電極とが対向する部分に放電セルが形成される。このように構成されたPDPの各放電セル内でガス放電を発生させ、赤、緑、青各色の蛍光体を励起発光させてカラー表示を行っている。
【0004】
走査電極および維持電極のそれぞれは、幅の広いストライプ状の透明電極の上に幅の狭いストライプ状のバス電極を積層して形成されている。透明電極は、ガラス基板の全面にスパッタ法等を用いて形成したITO薄膜をフォトリソグラフィ法によりストライプ状にパターニングして形成される。このとき、以降の工程に必要な露光マスクの位置合わせ用のアライメントマークを同時に形成する。そしてバス電極は、透明電極およびアライメントマークを形成したガラス基板上に導電性の感光性ペーストを印刷し、露光マスクを位置合わせして露光した後エッチングして形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら透明電極を形成するには、スパッタ等でITO薄膜を形成するための大掛りな真空装置や高価なITOターゲット材料が必要であった。さらにITO薄膜をフォトリソグラフィ法でエッチングするための露光機や露光マスクも必要となり、生産設備が大型になるだけでなくPDPの生産性も低くなるという問題点もあった。
【0006】
そのため、透明電極を形成することなくPDPを構成する方法として、導電性のバス電極で走査電極と維持電極とを形成したPDPが開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし透明電極を形成しないPDPでは、アライメントマークを他の方法で形成する必要があった。アライメントマークを形成する方法としては、例えば印刷、レーザー刻印等により形成する方法(例えば、特許文献3参照)やバス電極と同じ材料で形成する方法等が知られている。
【特許文献1】特開2000−156158号公報
【特許文献2】特開2004−127951号公報
【特許文献3】特開2004−130789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フラットパネルディスプレイのアライメントマークは精度および視認性が重要である。とりわけ近年主流となりつつある高精細度PDPでは、特に高い精度が要求される。しかしながら、透明電極を用いない電極構成のPDPを製造するためにはアライメントマークを他の方法により形成しなければならず、製造ラインの改造や製造工数の増加といった問題があった。
【0008】
例えば、従来の感光性のペースト等を用いてアライメントマークを形成する手段も開示されているが、表示電極対を形成する前の段階にて、露光・現像工程を別途設ける必要があり、製造工数が大幅に増加する。
【0009】
また従来の感光性の導電ペースト等を用いて表示電極対を形成する際に表示電極対と同時にアライメントマークを形成することは可能であるが、露光を複数回行って表示電極対を形成する場合には、この方法を適用することはできない。実際、表示電極対を形成する際には、露光マスクの傷やごみ付着による露光不良を抑えるために2回の露光を行っている。このとき1回目の露光と2回目の露光との位置ずれを防ぐために、少なくとも2回目の露光マスクの位置合わせのためのアライメントマークが不可欠である。
【0010】
また感光性の導電ペーストは通常3μm〜10μmと厚く塗布されるため、露光、現像した場合のパターニングの精度が低く、アライメントマークを精度よく作成することが難しいという課題があった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、製造ラインを改造することなく、また工数も大きく増加させることなく、高い精度および良好な視認性を有するアライメントマークを簡単に形成し、さらに低コストで生産性よくフラットパネルディスプレイを製造することができるフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明のフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストは、黒色材料とガラス粉末とを含む無機材料成分と、感光性ポリマーと感光性モノマーと光重合開始剤とを含む有機材料成分からなり、黒色材料は平均粒径が1μm以下であって、ガラス基板上に塗布して感光性膜を形成した後、露光することによりアライメントマークを形成することを特徴とする。この構成により、製造ラインを改造することなく、また工数も大きく増加させることなく、高い精度および良好な視認性を有するアライメントマークを簡単に形成することができるフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストを提供することができる。
【0013】
また本発明のフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストの黒色材料は、酸化ルテニウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化マンガンの少なくとも1つを含むことが望ましい。
【0014】
また本発明のフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストの黒色材料は、さらに銀、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、マンガン、モリブデン、ルテニウムの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0015】
また本発明のフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストのガラス粉末の平均粒径は、0.3μm〜1μmであることが望ましい。
【0016】
また本発明のフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストの有機材料成分の含有量は、20wt%〜60wt%であることが望ましい。
【0017】
また本発明のプラズマディスプレイパネルは、請求項1から請求項5のいずれかに記載のフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストを用いたことを特徴とする。この構成により、製造ラインを改造することなく、また工数も大きく増加させることなく、高い精度および良好な視認性を有するアライメントマークを簡単に形成し、さらに低コストで生産性よくフラットパネルディスプレイを製造することができるプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、製造ラインを改造することなく、また工数も大きく増加させることなく、高い精度および良好な視認性を有するアライメントマークを簡単に形成し、さらに低コストで生産性よくフラットパネルディスプレイを製造することができるフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストおよびプラズマディスプレイパネルを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態におけるフラットパネルディスプレイの製造方法について、PDPの製造方法を例に、図面を用いて説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の分解斜視図である。PDP10は、前面板20と背面板30とを対向配置し、周辺部を低融点ガラス(図示せず)を用いて封着することにより構成されており、内部に多数の放電セルが形成されている。
【0021】
前面板20は、前面側のガラス基板21と、走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24と、誘電体層26と、保護層27とを有する。ガラス基板21上には1対の走査電極22と維持電極23との間に放電ギャップを形成した表示電極対24が互いに平行に複数形成されている。そしてこれらの表示電極対24を覆うように誘電体層26が形成され、誘電体層26上に保護層27が形成されている。
【0022】
背面板30は、背面側のガラス基板31と、データ電極32と、誘電体層33と、隔壁34と、蛍光体層35とを有する。ガラス基板31上には、複数のデータ電極32が互いに平行に形成されている。そしてデータ電極32を覆うように誘電体層33が形成され、さらにその上に縦隔壁34aと横隔壁34bとからなる井桁状の隔壁34が形成され、誘電体層33の表面と隔壁34の側面とに赤、緑、青各色の蛍光体層35が形成されている。
【0023】
そして、表示電極対24とデータ電極32とが立体交差するように前面板20と背面板30とが対向配置され、表示電極対24とデータ電極32とが対向する部分に放電セルが形成される。放電セルが形成された画像表示領域の外側の位置で、低融点ガラスを用いて前面板20と背面板30とが封着され、内部の放電空間には放電ガスが封入されている。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の前面板20の詳細を示す図であり、図2(a)は前面板20の正面の拡大図、図2(b)は前面板20の断面の拡大図である。
【0025】
走査電極22は、バス電極221とバス電極222とを有する。維持電極23もバス電極231とバス電極232とを有する。そしてバス電極221とバス電極231との間に放電ギャップMGが形成されている。
【0026】
バス電極221、222はそれぞれ黒色層221b、222bと導電層221c、222cとからなり、バス電極231、232も黒色層231b、232bと導電層231c、232cとからなる。黒色層221b、222b、231b、232bは、PDP10を表示面側から見たときに走査電極22、維持電極23を黒く見せるために設けられており、例えば酸化ルテニウム等の黒色材料をガラス基板21の上に幅の狭いストライプ状に形成したものである。そして導電層221c、222c、231c、232cは、走査電極22、維持電極23の導電性を高めるために設けられており、黒色層221b、222b、231b、232bの上に銀を含む導電性の材料を積層して形成したものである。
【0027】
本実施の形態においては、特に前面板20の製造に使用する各種ペーストとして、黒色の感光性ペースト(以下、「黒色感光性ペースト」と略記する)、導電性の感光性ペースト(以下、「導電性感光性ペースト」と略記する)、誘電体ペーストを用いている。以下に、それぞれのペーストの作成方法について説明する。
【0028】
(黒色感光性ペースト)
黒色感光性ペーストは、ガラス基板21上に塗布し乾燥して第1の感光性膜(以下、「黒色感光性膜」と略記する)を形成し、その後露光することにより、黒色層221b、222b、231b、232bおよびアライメントマークを形成するための感光性ペーストである。黒色感光性ペーストは、黒色材料とガラス粉末とを含む無機材料成分と、感光性ポリマーと感光性モノマーと光重合開始剤とを含む有機材料成分とからなり、上記黒色材料の粒径は1μm以下である。
【0029】
黒色感光性ペーストを作成するには、黒色材料とガラス粉末とで構成される無機材料と、光硬化性ポリマー等の感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤および溶媒等の各種有機材料を所定の組成となるように調合し、均質に混合分散して作成する。
【0030】
黒色材料としては、例えば、酸化ルテニウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、二酸化マンガン等の酸化物の少なくとも1つを用いることができる。ここで、アライメントマークの精度を上げるために、黒色顔料の平均粒径を1μm以下、より望ましくは0.01μm〜0.5μmに設定する。これらの黒色材料をペースト中に5wt%〜40wt%含有させることによって、良好な黒色層221b、222b、231b、232bおよびアライメントマークを形成することができる。黒色材料が5wt%より少ないと色が薄くなるためコントラストが低下するおそれがある。また40wt%より大きいとペーストの軟化点が上昇し、またガラス基板21と熱膨張係数を整合させるのが難しくなる。さらに露光時に紫外線が下部まで到達しなくなり、黒色層の形成不良を生じるおそれがあり好ましくない。
【0031】
ガラス粉末としては、酸化ビスマスを主成分とするガラス粉末を用いることができる。ガラス粉末の平均粒径は0.3μm〜1.0μmが望ましく、最大粒子径が2.0μm以下であればさらに望ましい。ガラス粉末の組成は、酸化ビスマスを30wt%〜85wt%、酸化珪素を5wt%〜30wt%、酸化硼素を5wt%〜20wt%、酸化ジルコニウムを0.1wt%〜10wt%、酸化亜鉛を2wt%〜20wt%、酸化アルミニウムを1wt%〜5wt%、それぞれ含有するのが望ましい。ガラス基板への接着性を高めるために、ペースト中に25wt%〜40wt%のガラス粉末を含有させることが望ましい。
【0032】
また黒色感光性ペーストの無機材料として、さらに導電性材料を含んでもよい。導電性材料としては、例えば、平均粒径を1μm以下、より望ましくは0.01μm〜0.5μmの銀、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、マンガン、モリブデン、ルテニウム等の金属微粒子を用いることができる。
【0033】
黒色感光性ペーストの有機材料としては、感光性ポリマーとして、分子内にカルボキシル基と不飽和二重結合を有する重量平均分子量500〜100000のオリゴマーまたはポリマーを用いることが望ましい。また感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物を用いることができる。これらの各種有機材料成分の含有量を20wt%〜60wt%と設定することによって、印刷特性の良好な黒色感光性ペーストを作成することができる。また有機材料として感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤および溶媒以外に、さらに必要に応じて、バインダー、紫外線吸光剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、有機溶媒、酸化防止剤、分散剤、沈殿防止剤、レベリング剤等の添加剤を加えることもできる。
【0034】
黒色感光性ペーストの粘度は2000cps〜20000cpsの範囲で調整することが望ましく、例えばスクリーン印刷法で1回塗布して膜厚5μm〜20μmの黒色感光性膜を得るには、50000cps〜200000cpsが望ましい。またブレードコーター法やダイコーター法等を用いて黒色感光性膜を得るには、1500cps〜20000cpsが望ましい。黒色感光性ペーストの粘度は、無機粉末、増粘剤、有機溶媒、可塑剤、沈殿防止剤等の添加割合によって上記の値に調整することができる。
【0035】
本実施の形態においては、黒色材料として平均粒径が0.1μmの酸化ルテニウムを10wt%、四酸化コバルトを26wt%、ガラス粉末として酸化ビスマスを主成分とする市販のガラスフリットを12wt%、有機材料として市販の光硬化性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤の合計が22wt%、および溶媒を30wt%調合し、3本ローラで均質に混合分散して黒色感光性ペーストを作成した。
【0036】
(導電性感光性ペースト)
導電性感光性ペーストは、アライメントマークを形成しない黒色感光性膜上に塗布し乾燥して第2の感光性膜(以下、「導電性感光性膜」と略記する)を形成し、その後露光することにより、導電層221c、222c、231c、232cを形成するための材料である。導電性感光性ペーストは、銀を主成分とする導電性材料とガラス粉末とで構成される無機材料成分と、光硬化性ポリマー等の感光性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤、溶媒等の各種有機材料成分を所定の組成となるように調合した後、均質に混合分散し作成する。
【0037】
導電性材料としては、導電層221c、222c、231c、232cを精細よく形成するために、平均粒径が0.1μm〜2.0μmの銀粉末が望ましく、45wt%以上の銀粉末をペーストに含有させることにより好ましい導電層用パターンを形成することができる。
【0038】
ガラス粉末としては、酸化ビスマスを主成分とするガラス粉末を用いることができる。ガラス粉末の平均粒径は0.3μm〜1.0μmが望ましく、最大粒子径が2.0μm以下であればさらに望ましい。ガラス粉末の組成としては、酸化ビスマスを30wt%〜85wt%、酸化珪素を5wt%〜30wt%、酸化硼素を5wt%〜20wt%、酸化ジルコニウムを0.1wt%〜10wt%、酸化亜鉛を2wt%〜20wt%、酸化アルミニウムを1wt%〜5wt%、それぞれ含有するのが望ましい。またガラス基板への接着性を高めるために、ペースト中に0.5wt%〜5wt%のガラス粉末を含有させることが望ましい。また、上記の各種有機材料は、ペースト中に20wt%〜45wt%含むことによって、良好な印刷特性を有する導電性感光性ペーストを形成することができる。
【0039】
本実施の形態においては、平均粒径0.8μmの銀粉末を69wt%、酸化ビスマスを主成分とする市販のガラスフリットを3wt%、同じく市販の光硬化性ポリマー、感光性モノマー、光重合開始剤の合計が13wt%、および溶媒を15wt%調合し、3本ローラで均質に混合分散して導電性感光性ペーストを作成した。
【0040】
(誘電体ペースト)
誘電体ペーストは誘電体層26を形成するための材料である。誘電体ペーストは、酸化硼素、酸化珪素、酸化亜鉛、アルカリ土類酸化物、アルカリ金属酸化物、酸化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化セリウム等の中からいくつかを含んだ軟化点520℃〜590℃の誘電体ガラスを含むペーストである。
【0041】
本実施の形態の誘電体層26においては、酸化硼素35wt%、酸化珪素1.4wt%、酸化亜鉛27.6wt%、酸化バリウム3.3wt%、酸化ビスマス25wt%、酸化アルミニウム1.1wt%、酸化モリブデン4.0wt%、酸化タングステン3.0wt%を含んだ誘電体ガラスを含む誘電体ペーストを作成した。このようにして作成された誘電体ガラスの軟化点は約570℃である。
【0042】
次にPDP10の製造方法について説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の前面板20の製造方法を説明するための図である。前面板20の製造工程を以下の5つの工程に分けて、それぞれについて詳細に説明する。
【0044】
(第1工程)
第1工程では、前面側のガラス基板21上に黒色感光性ペーストを塗布し乾燥して黒色感光性膜bxを形成する。まずガラス基板21をアルカリ洗浄する。ガラス基板21は、42インチのPDPであれば、例えば、大きさが980mm×554mm、厚みが1.8mmのガラス基板である。
【0045】
次に、スクリーン印刷法等の公知の技術を用いてガラス基板21の全面に黒色感光性ペーストを塗布、乾燥して、黒色感光性膜bxを形成する。このとき、ガラス基板21上の表示電極対24を形成しない領域であってアライメントマークを形成する位置、本実施の形態においては、ガラス基板21の四隅の位置にも黒色感光性ペーストを塗布しておく。しかしアライメントマークを形成する位置は上記に限定されるものではなく、ガラス基板21の長辺側の表示電極対24を形成しない領域や、ガラス基板21の短辺側の表示電極対24を形成しない領域であってもよい(図3(a))。
【0046】
次に、黒色感光性膜bxの上のアライメントマークを形成しない位置に導電性感光性膜cxを形成する。導電性感光性膜cxは、スクリーン印刷法等の公知の技術を用いて、ガラス基板21の黒色感光性膜bxの上に導電性感光性ペーストを塗布し、乾燥して形成する。このとき、黒色感光性膜bx上の表示電極対を形成しない領域であってアライメントマークを形成する位置、本実施の形態においては、ガラス基板21の四隅の位置には導電性感光性ペーストを塗布しない(図3(b))。
【0047】
(第2工程)
第2工程では、第1の露光マスクを用いて黒色感光性膜bxを露光してアライメントマークを形成する。第1の露光マスク41には、バス電極221、222、231、232を形成するためのパターンとアライメントマーク51を形成するためのパターンとが形成されている。そして第1の露光マスク41を用いて1回目の露光を行う。このときの露光強度は、例えば300mJ/cmである。すると黒色感光性膜bxの表面に凹凸のパターンが浮かび上がり、これらはアライメントマーク51を形成する。このようにして、ガラス基板21の四隅の位置に塗布された黒色感光性膜bxの上にアライメントマーク51を形成するとともに、ガラス基板21の画像表示領域に走査電極22、維持電極23を形成するための1回目の露光を行う。但し黒色感光性膜bxの現像前であるため、こうして形成されたアライメントマーク51は、黒色感光性膜bxの上に浮かび上がった凹凸のパターンとして出現する(図3(c))。
【0048】
図4は、本発明の実施の形態1におけるPDP10のアライメントマーク51を示す図であり、図4(a)はガラス基板21のアライメントマーク51を形成した部分の拡大平面模式図、図4(b)はガラス基板21のアライメントマーク51を形成した部分の拡大断面図である。また図5は、本発明の実施の形態1におけるPDP10のアライメントマーク51の詳細を示す図であり、図5(a)はアライメントマーク51をカメラで撮像した画像の模式図、図5(b)は第1の露光マスク41とガラス基板21のアライメントマーク51との関係を示す図、図5(c)は図5(a)のA−A線に沿った表面の形状を表面荒さ計で測定した結果を示す図である。
【0049】
このようにアライメントマーク51は、ガラス基板21上に黒色感光性ペーストを塗布し乾燥して形成した黒色感光性膜bxを形成し、黒色感光性膜bxの表面に少なくとも凹部および凸部のいずれかを設けることにより形成されている。
【0050】
本実施の形態においては、図5(c)に示したように、黒色感光性膜bxの表面に凹部と凸部とを隣接して設けた凹凸でアライメントマーク51が形成されており、これらの凹凸は露光することにより形成される。アライメントマーク51の形状は、例えば縦および横の長さがそれぞれ3mm、幅が160μmの十字形状である。凸部は露光された領域であって、黒色感光性膜bxに含まれる感光性モノマーが露光により重合硬化して体積膨張を起こすことにより形成されたと考えられる。また露光された領域と露光されていない領域との境界に生じる隣接した凸部と凹部とは、以下のようにして生じると考えられる。露光領域では感光性モノマーが露光により重合硬化して液状モノマーの濃度が低くなる。すると非露光領域と露光領域との境界に液状モノマーの大きな濃度勾配が生じ、非露光領域から露光領域へ液状モノマーが拡散する。この拡散により境界近傍の非露光領域側では体積が減少して凹部が生じ、一方、露光領域側では拡散した液状モノマーによって膨潤して凸部が生じる。このようにして非露光領域と露光領域との境界の露光領域側に凸部が、非露光領域側に凹部が生じ、黒色感光性膜bxの表面に光学的に検出可能なアライメントマーク51が形成される。
【0051】
なお、露光直後は、黒色感光性膜bxの表面の凹凸は比較的小さく、時間の経過とともに凹凸が大きくなる傾向がある。そのため本実施の形態においては、1回目の露光の後、30min〜60minの放置時間を設けている。
【0052】
本発明者は、露光後60min経過後のアライメントマーク51近傍の表面の形状を表面荒さ計で測定した。その結果、図5(c)に示したように、露光領域と非露光領域との境界の凹部と凸部の段差の振れ幅(=最大値−最小値)が0.5μm〜1.0μm程度であり、アライメントマークとして十分使用できることを確認した。
【0053】
また、上記の拡散・膨潤の程度によっては凹部のみ、または凸部のみ形成される場合があるが、段差の振れ幅が上記の程度を満たしていれば、アライメントマークとして認識される。
【0054】
これはアライメントマークに照明光が投射された際に、凹部または凸部の存在によって、反射光にコントラストが生じてカメラに撮像され、形状の検出が可能になると考えられる。
【0055】
なお、上記以外にも、乾燥により体積が縮小して非露光領域と露光領域との境界に段差が生じるという要因も考えられる。実際、露光の後にガラス基板を乾燥させることにより、短時間でアライメントマークを形成することができる。
【0056】
(第3工程)
第3工程では、黒色感光性膜bxを現像する前の状態でアライメントマーク51を認識して、走査電極22および維持電極23を形成するための第2の露光マスク42の位置合わせを行い、黒色感光性膜bxの2回目の露光を行う。このとき黒色感光性膜bxの表面に形成されたアライメントマーク51に光を照射し、アライメントマーク51をカメラで撮像して第2の露光マスクの位置決めを行う。第2の露光マスク42には、バス電極221、222、231、232を形成するためのパターンが形成されている。しかし第2の露光マスク42に形成されているパターンは第1の露光マスク41のパターンの幅よりもやや狭く設計されており、本実施の形態においては、第1の露光マスク41に形成されているバス電極221、222、231、232のパターンの幅よりも20%程度狭いパターンが第2の露光マスク42に形成されている。このときアライメントマーク51を照射する光の波長幅が広すぎるとアライメントマーク51を精度よく撮像できないため、照明としては、タングステンランプ等よりも波長幅の狭いLED等を用いることが望ましい。また、2回目の露光強度は、例えば200mJ/cmである(図3(d))。
【0057】
このようにバス電極221、222、231、232を形成するための露光を2回繰り返すことにより、露光マスク41、42の傷やごみ付着による露光不良を、事実上ほぼ0に抑えることができる。また、このとき1回目の露光と2回目の露光との位置ずれを防ぐために、1回目の露光で形成されたアライメントマークを用いて2回目の露光マスク42の位置合わせを行う。さらに、第2の露光マスク42の電極パターンは第1の露光マスク41の電極パターンの幅よりもやや狭く設計されているため、多少の位置ずれが発生した場合であっても、形成される電極の形状が大きく損なわれることはない。
【0058】
(第4工程)
第4工程では、黒色感光性膜bxを現像して走査電極22および維持電極23を形成する。具体的には、黒色感光性膜bxの現像を行って黒色層221b、222b、231b、232bの前駆体221bx、222bx、231bx、232bxおよび導電層221c、222c、231c、232cの前駆体221cx、222cx、231cx、232cxを形成する。なお、現像後、必ずしもアライメントマーク51がガラス基板21上に残存するわけではない。しかし第2の露光マスク42を用いて2回目の露光を行う際に、第2の露光マスク42の位置決め用の孔を通してアライメントマーク51も露光されるため、通常はアライメントマーク51がガラス基板21上に残存する(図3(e))。
【0059】
次に、これら黒色層221b、222b、231b、232bの前駆体221bx、222bx、231bx、232bxおよび導電層221c、222c、231c、232cの前駆体221cx、222cx、231cx、232cxが形成されたガラス基板21を焼成して、バス電極221、222、231、232を形成する。このときの焼成のピーク温度は550℃〜600℃が望ましく、本実施の形態においては580℃である。またバス電極221、222、231、232の厚みは1μm〜6μmが望ましく、本実施の形態においては4μmである(図3(f))。
【0060】
(第5工程)
第5工程では、バス電極221、222、231、232が形成されたガラス基板21上に、スクリーン印刷法、ダイコート法等の公知技術により、誘電体ペーストを塗布し、乾燥して誘電体層26の前駆体を形成する。そして誘電体層26の前駆体を焼成して、厚み20μm〜50μmの誘電体層26を形成する。本実施の形態においては、誘電体層26の前駆体を約590℃で焼成して、厚みが約40μmの誘電体層26を形成した(図3(g))。
【0061】
そして誘電体層26の上に、酸化マグネシウムを主成分とする保護層27を、真空蒸着法等の公知技術により形成した(図3(h))。
【0062】
このようにして前面板20が完成する。
【0063】
次に背面板30の製造方法について説明する。図6は、本発明の実施の形態1におけるPDP10の背面板30の製造方法を説明するための図である。
【0064】
まず背面側のガラス基板31をアルカリ洗浄する(図6(a))。
【0065】
次に、スクリーン印刷法、フォトリソグラフィ法等の公知技術を用いて、ガラス基板31上に、銀を主成分とする導電性感光性ペーストを一定間隔でストライプ状に塗布し、データ電極32の前駆体を形成する。次に、データ電極32の前駆体が形成されたガラス基板31を焼成して、データ電極32を形成する。データ電極32の厚みは、例えば2μm〜10μmであり、本実施の形態では3μmである(図6(b))。
【0066】
続いて、データ電極32を形成したガラス基板31上に誘電体ペーストを塗布し、この後焼成して誘電体層33を形成する。誘電体層33の厚みは、例えば約5μm〜15μmであり、本実施の形態では10μmである(図6(c))。
【0067】
続いて、誘電体層33を形成したガラス基板31上に感光性の誘電体ペーストを塗布した後、焼成して隔壁34の前駆体を形成する。その後、露光マスクを用いて感光し、現像して隔壁34を形成する。こうして形成された隔壁34の高さは、例えば100μm〜150μmであり、本実施の形態では120μmである(図6(d))。
【0068】
そして、隔壁34の壁面および誘電体層33の表面に、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体のいずれかを含む蛍光体インクを塗布する。その後乾燥、焼成して蛍光体層35を形成する(図6(e))。
【0069】
赤色蛍光体としては、例えば(Y,Gd)BO:Eu、(Y,V)PO:Eu等を、緑色蛍光体としては、例えばZnSiO:Mn、(Y,Gd)BO:Tb、(Y,Gd)Al(BO:Tb等を、青色蛍光体としては、例えばBaMgAl1017:Eu、SrMgSi:Eu等をそれぞれ用いることができる。
【0070】
このようにして背面板30が完成する。
【0071】
そして前面板20と背面板30とを、表示電極対24とデータ電極32とが立体交差するように対向配置し、放電セルが形成された画像表示領域の外側の位置で低融点ガラスを用いて封着する。その後、内部の放電空間にキセノンを含む放電ガスを封入して、PDP10が完成する。
【0072】
このように本実施の形態においては、表示電極対24を形成する際に用いる第1の露光マスク41のパターンを変更するだけで、1回目の露光と同時にアライメントマーク51を形成することができる。そのため製造ラインを改造することなく、また工数も大きく増加させることなく前面板20を作成することができる。
【0073】
(実施の形態2)
実施の形態2におけるPDPの構造は、図1および図2に示したPDPの構造と同じである。また使用する各種ペーストも実施の形態1と同様である。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは、黒色感光性ペーストをガラス基板21に塗布し乾燥した後に、アライメントマークを形成するための露光を行い、その後、導電性感光性ペーストを塗布する点である。
【0074】
図7は、本発明の実施の形態2におけるPDP10の前面板20の製造方法を説明するための図である。前面板20の製造工程を以下の5つの工程に分けて、それぞれについて詳細に説明する。
【0075】
(第1工程)
第1工程では、前面側のガラス基板21上に黒色感光性ペーストを塗布し乾燥して黒色感光性膜bxを形成する。
【0076】
まずガラス基板21をアルカリ洗浄する。次に、ガラス基板21上に黒色感光性膜bxを形成する。黒色感光性膜bxは、スクリーン印刷法等の公知の技術を用いて、ガラス基板21の全面に黒色感光性ペーストを塗布し、乾燥して形成する。
【0077】
このとき、ガラス基板21上の表示電極対を形成しない領域であってアライメントマークを形成する位置、本実施の形態においては、ガラス基板21の四隅の位置にも黒色感光性ペーストを塗布しておく(図7(a))。ここまでは実施の形態1と同様である。
【0078】
(第2工程)
第2工程では、黒色感光性膜bxを露光して少なくとも第1のアライメントマークと第2のアライメントマークとを形成する。
【0079】
具体的には、アライメントマーク専用の第1の露光マスク45を用いて第1のアライメントマーク56、第2のアライメントマーク57を形成するための露光を行う。このとき、電極を形成する際に2回の露光を行うことに対応して、ガラス基板21の四隅の位置のそれぞれに対して、2つずつアライメントマーク56、57を形成する。こうして形成された第1のアライメントマーク56および第2のアライメントマーク57は、黒色感光性膜bxの上に浮かび上がった状態で出現する。このときの露光強度は、例えば300mJ/cmである(図7(b))。
【0080】
次に、第1のアライメントマークおよび第2のアライメントマークを形成しない黒色感光性膜bx上の位置に導電性感光性膜cxを形成する。導電性感光性膜cxは、スクリーン印刷法等の公知の技術を用いて、ガラス基板21の黒色感光性膜bxの上に上述した導電性感光性ペーストを塗布し、乾燥して形成する。このとき、アライメントマークを形成した位置には導電性感光性ペーストを塗布しない(図7(c))。
【0081】
なお、上述したように、アライメントマークの露光直後は黒色感光性膜bxの表面の凹凸は比較的小さく、アライメントマークとして使用可能となるまでにある程度の時間の経過が必要である。しかしながら実施の形態2においては、アライメントマークを形成するための露光を行った後、導電性感光性膜cxを形成する際にガラス基板21を乾燥させるため、短時間でアライメントマークが形成される。
【0082】
(第3工程)
第3工程では、第1のアライメントマーク56を認識して第2の露光マスク46を位置合わせし、走査電極22および維持電極23を形成するための1回目の露光を行う。具体的には、黒色感光性膜bxの表面に形成された第1のアライメントマーク56に光を照射し、第1のアライメントマーク56をカメラで撮像して、第2の露光マスク46の位置決めを行う。このときもLED等の照明を用いることが望ましい。第2の露光マスク46には、バス電極221、222、231、232を形成するためのパターンが形成されている。このときの露光強度は、例えば200mJ/cmである(図7(d))。
【0083】
その後、第2のアライメントマーク57を認識して第3の露光マスク47を位置合わせし、走査電極22および維持電極23を形成するための2回目の露光を行う。具体的には、黒色感光性膜bxの表面に形成された2つ目のアライメントマーク57をカメラで読み取り、第3の露光マスク47の位置決めを行う。このときもLED等の照明を用いることが望ましい。第3の露光マスク47には、バス電極221、222、231、232を形成するためのパターンが形成されている。しかし第3の露光マスク47に形成されているパターンは第2の露光マスク46のパターンの幅よりもやや狭く設計されている。このときの露光強度は、例えば200mJ/cmである(図7(e))。
【0084】
そしてその後、現像を行って黒色層221b、222b、231b、232bの前駆体221bx、222bx、231bx、232bxおよび導電層221c、222c、231c、232cの前駆体221cx、222cx、231cx、232cxを形成する(図7(f))。
【0085】
次に、これら黒色層221b、222b、231b、232bの前駆体221bx、222bx、231bx、232bxおよび導電層221c、222c、231c、232cの前駆体221cx、222cx、231cx、232cxが形成されたガラス基板21を焼成して、バス電極221、222、231、232を形成する(図7(g))。
【0086】
(第5工程)
次に、バス電極221、222、231、232が形成されたガラス基板21上に、スクリーン印刷法、ダイコート法等の公知技術により、誘電体ペーストを塗布し、乾燥して誘電体層26の前駆体を形成する。そして誘電体層26の前駆体を焼成して、厚み20μm〜50μmの誘電体層26を形成する(図7(h))。
【0087】
そして誘電体層26の上に、酸化マグネシウムを主成分とする保護層27を真空蒸着法等の公知技術により形成した(図7(i))。
【0088】
そして上述のようにして作成した前面板20と実施の形態1と同様にして作成した背面板30とを、表示電極対24とデータ電極32とが立体交差するように対向配置し、放電セルが形成された画像表示領域の外側の位置で低融点ガラスを用いて封着する。その後、内部の放電空間にキセノンを含む放電ガスを封入して、PDP10が完成する。
【0089】
このように実施の形態2においては、第1のアライメントマーク56、第2のアライメントマーク57を形成する工程が増えるものの、放置時間を設けることなく露光を行えるという利点がある。実施の形態2におけるPDPの製造方法は、隣接する表示電極対24の間にブラックストライプを設けたPDPを製造する場合に特に有益である。ブラックストライプを形成するための露光マスクにアライメントマークのパターンを設けることにより、ブラックストライプの露光と同時にアライメントマークを形成できるので、工数を増やすことなく前面板20を作成することができる。
【0090】
なお、本発明の実施の形態1、2においては、図2に示したように、走査電極22はバス電極221とバス電極222とから構成され、維持電極23もバス電極231とバス電極232とから構成されているものとして説明した。しかしながら本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
図8は、本発明の実施の形態1または2におけるPDPの表示電極対の他の形状の詳細を示す図である。走査電極62は、梯子形状の長い縦木の一方に相当し放電ギャップMGを規定するバス電極621と、梯子形状の長い縦木の他方に相当し走査電極62の導電性を高めるためのバス電極622と、梯子形状の横木に相当しバス電極621とバス電極622との間の抵抗を下げるためのバス電極623とを有する。維持電極63も同様に、梯子形状の長い縦木の一方に相当し放電ギャップMGを規定するバス電極631と、梯子形状の長い縦木の他方に相当し維持電極63の導電性を高めるためのバス電極632と、梯子形状の横木に相当しバス電極631とバス電極632との間の抵抗を下げるためのバス電極633とを有する。
【0092】
走査電極62および維持電極63をこのような形状に構成することで、バス電極621とバス電極622との間の抵抗、およびバス電極631とバス電極632との間の抵抗を下げることができ、より安定した放電を発生させることができる。なお、図8には、放電セルのそれぞれに対してバス電極623、633を1つずつ設けた例を示した。しかしバス電極623、633は、例えば3つの放電セルに対して1つ設ける等、必要に応じて適宜設ければよい。
【0093】
また、本発明の実施の形態1、2においては、PDP1枚分の大きさのガラス基板を用いて、PDP1枚毎に前面板20および背面板30を製造するPDP10の製造方法を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、PDP4枚分またはPDP6枚分等、PDP複数枚分の大きさのガラス基板を用いて、一度に複数枚の前面板20および背面板30を製造する、いわゆる多面取りによるPDPの製造方法についても適用することができる。
【0094】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3におけるPDPのアライメントマーク81の詳細を示す図であり、図9(a)はアライメントマーク81をカメラで撮像した画像の模式図、図9(b)は第1の露光マスク71とガラス基板21のアライメントマーク81との関係を示す図、図9(c)は図9(a)のA−A線に沿った表面の形状を表面荒さ計で測定した結果を示す図である。実施の形態3におけるアライメントマーク81の特徴は十字形状の輪郭を未露光部とした点である。図9(b)に示したように、十字形状の輪郭を未露光部とした第1の露光マスク71を用いて露光すると、図9(c)に示したように、十字形状の輪郭が深い凹部となる。そのため、アライメントマーク81をカメラで撮像したとき、鮮明なアライメントマーク81の画像を得ることができる。
【0095】
なお、実施の形態1〜3において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、PDPの仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明のアライメントマークを形成するフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストおよびそれを用いたプラズマディスプレイパネルによれば、製造ラインを改造することなく、また工数も大きく増加させることなく、高い精度および良好な視認性を有するアライメントマークを簡単に形成することができ、低コストで生産性よくフラットパネルディスプレイを製造することができるので、プラズマディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の形態1におけるPDPの分解斜視図
【図2】同PDPの前面板の詳細を示す図
【図3】同PDPの前面板の製造方法を説明するための図
【図4】同PDPのアライメントマークを示す図
【図5】同PDPのアライメントマークの詳細を示す図
【図6】同PDPの背面板の製造方法を説明するための図
【図7】本発明の実施の形態2におけるPDPの前面板の製造方法を説明するための図
【図8】本発明の実施の形態1または2におけるPDPの表示電極対の他の形状の詳細を示す図
【図9】本発明の実施の形態3におけるPDPのアライメントマークの詳細を示す図
【符号の説明】
【0098】
10 PDP
20 前面板
21 (前面側の)ガラス基板
22,62 走査電極
23,63 維持電極
24 表示電極対
26 誘電体層
27 保護層
30 背面板
31 (背面側の)ガラス基板
32 データ電極
33 誘電体層
34 隔壁
35 蛍光体層
41,45,71 (第1の)露光マスク
42,46 (第2の)露光マスク
47 第3の露光マスク
51,56,57,81 アライメントマーク
221,222,231,232,621,622,623,631,632,633 バス電極
221b,222b,231b,232b 黒色層
221bx,222bx,231bx,232bx 黒色層の前駆体
221c,222c,231c,232c 導電層
221cx,222cx,231cx,232cx 導電層の前駆体
bx 黒色感光性膜
cx 導電性感光性膜
MG 放電ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色材料とガラス粉末とを含む無機材料成分と、感光性ポリマーと感光性モノマーと光重合開始剤とを含む有機材料成分からなり、
前記黒色材料は平均粒径が1μm以下であって、
ガラス基板上に塗布して感光性膜を形成した後、露光することによりアライメントマークを形成することを特徴とするフラットパネルディスプレイ用感光性ペースト。
【請求項2】
前記黒色材料は酸化ルテニウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化マンガンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ用感光性ペースト。
【請求項3】
前記黒色材料は、さらに銀、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、マンガン、モリブデン、ルテニウムの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載のフラットパネルディスプレイ用感光性ペースト。
【請求項4】
前記ガラス粉末の平均粒径が、0.3μm〜1μmであることを特徴とする請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ用感光性ペースト。
【請求項5】
前記有機材料成分の含有量は、20wt%〜60wt%であることを特徴とする請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ用感光性ペースト。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のフラットパネルディスプレイ用感光性ペーストを用いたプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−118301(P2010−118301A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292250(P2008−292250)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】