フリバンセリンの製剤及びその製造方法
本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔発明の分野〕
フリバンセリンの特に経口投与用の医薬放出システム、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
〔発明の背景〕
本発明は、フリバンセリンのようなpH-依存性水溶性を有する塩基性薬物の新規な医薬放出システムに関する。フリバンセリンは、化学表示1,3-ジヒドロ-1-[2-[4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-ピペラジニル]エチル]-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンで表される、要約式C20H21F3N4Oを有する既知ベンゾイミダゾロン誘導体であり、既にEP-A-526 434でその塩酸塩の形態で1992年に開示され、下記化学式を有する。
【化1】
【0003】
フリバンセリンは、既知のポスト-スナプス性完全セロトニン(5-HT1A)アゴニスト及び5-HT2Aアンタゴニストである。従って、フリバンセリンは種々の疾患、例えばうつ病、精神分裂症、及び不安の処置用の有望な治療薬である。
フリバンセリンを含有する即時放出錠剤は(例えばWO 03/097058で開示されているように)良く耐えられるが、1日1回の投与計画が可能で、かつ副作用がさらに低減すれば、患者のコンプライアンスはずっと改善されるだろう。フリバンセリンのこのような医薬放出システムは患者の高いコンプライアンスという利点を有するのみならず、平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxを低減することによって、望ましくない副作用を引き起こす可能性を減らすことでも有利であろう。
酸性環境では、フリバンセリンのような化合物は通常非常によく水に溶けるが、中性又は塩基性環境では、これらの薬物は実用的に不溶性だろう。例えば、フリバンセリンは、0.1N HCl中で6.2mg/mlの溶解度を示し、0.05Mのリン酸緩衝液(pH 6.8)中では0.002mg/mlの溶解度を示す。塩基性化合物のこれらの物理化学的性質は、持続型放出剤形の開発を困難にする。生理流体のpHが典型的にほぼ1〜2である胃の酸性から中性のpH勾配があり、弱酸性の十二指腸を経て、実質的に中性環境の小腸までpHが5〜8の範囲内である。
【0004】
pH-非依存性膨潤ポリマーのみを含有する通常のシステムからのフリバンセリンの薬物放出は、小腸及び結腸内での遅いか又は不完全でさえある薬物放出に比べて胃内でずっと速いだろう。pH-依存性遅延ポリマーのみを含有する製剤は、これらのポリマーが一定のpHを超えるとその遅延作用をゆるめることから、持続的時間にわたって薬物放出できないだろう。例えば、Eudragit(登録商標)L 100-55は、5.5未満のpHで不溶性かつ不浸透性の皮膜を形成するが、小腸内ではより浸透性のゲル層を形成し、またアルギン酸は酸性環境内で不溶性ゲル層を形成するが、より高いpHでは可溶性のアルギン酸ナトリウムに変換される。結果として、pH-依存性水溶性の塩基性薬物に、胃腸管全体にわたって改良されたバイオアベイラビリティーを与えるであろう機能性賦形剤を見出すことも困難である。
【0005】
先行技術には、放出システムを提供するいくつかのアプローチがある。
例えば米国特許第4,792,452号は、塩基特性の医薬を環境のpHとは関係なく制御速度で放出する制御放出医薬製剤であって、基本的に塩基特性の医薬と、pH-依存性ポリマー(該製剤の約15〜約45質量%の量のアルギン酸の塩であって、このアルギン酸の塩は、1%の溶液中25℃で約4〜約500センチポアズの範囲内の粘度を有する)と、2%の溶液中20℃で約50〜約100,000センチポアズの範囲内の粘度を有するpH-非依存性ハイドロコロイドゲル化剤(該製剤の約3〜約35質量%の範囲内の量)と、結合剤とから成る医薬製剤を開示している。従って前記製剤はカルシウムイオンが無い。使用する薬物は、好ましくは、通常その塩酸塩の形態で調合されるベラパミルのようなカルシウムチャネルブロッカーである。
既に説明したように、経口投与後、制御放出医薬製剤中に存在するアルギネートは胃内でアルギン酸に変換され、特にカルシウムイオンの存在下では錠剤の周囲に不溶性ゲル層を形成する。従って、カルシウムイオンは明白に排除され、提案製剤の有用性を非常に制限する。
【0006】
さらに、米国特許第4,968,508号は、約0.1質量%〜約90質量%のセファクロルと、約5質量%〜約29質量%の親水性ポリマーと、約5.0〜約7.4の範囲内のpHで溶解する約0.5質量%〜約25質量%のアクリルポリマーとを含んでなる錠剤単位剤形の持続放出マトリックス製剤(但し、親水性ポリマーと前記アクリルポリマーの総質量は該製剤の30質量%未満である)に関する。活性物質は抗菌剤、つまりセファクロルである。すなわち、提案製剤は、非常に特異的な要件を有する酸性と塩基性の両官能基を有する両性イオンについて特別に設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を回避して、pH-非依存性放出プロファイルを与えてフリバンセリンのバイオアベイラビリティーを改善することができ、かつ望ましい薬物動態プロファイルを示す(例えば、1日1回の投与計画を許容し、及び/又は副作用を低減することによって)、改良された医薬放出システムを提供することである。さらに前記医薬放出システムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明の説明〕
本発明は、1日1回の投与に適し、即時放出製剤に比べて最大血漿中濃度を低減しながら、それでも活性成分の治療に適した曝露を維持する、好ましくは経口投与用の医薬放出システムに関する。
驚くべきことに、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムが1日1回の投与計画を可能にし、かつ副作用を低減することを見出した。
従って、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
別の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
別の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
【0010】
なおさらに、本発明の放出製剤は、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイル(実施例3)を有することを特徴とする。
好ましい実施形態では、本発明の放出製剤は、最後のパラグラフで述べる通りに溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ50%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ60%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも35%w/wかつ95%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とする。
上で与えた薬物動態及び溶解プロファイルは、指定した範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含する。
上記in vitro溶解プロファイルに従う医薬製剤は、本発明の薬物動態プロファイルを与える。
従って、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とする医薬放出システムを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
前記医薬放出システムが、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
前記医薬放出システムが、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる医薬放出システムを提供する。
【0012】
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる医薬放出システムを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、フリバンセリンが必要とされる状態又は障害を有する対象の治療方法であって、前記対象に1日1回、好ましくは経口で上記及び後述する放出システムの1つを投与する工程を含む方法を提供する。
さらに、本発明は、フリバンセリンが必要とされる状態又は障害を有する対象の治療用薬物製造のための上記及び後述する医薬放出システムの使用に関する。
本発明の意味内の治療的に有効な量又は医薬的に有効な量のフリバンセリンは、フリバンセリンが必要とされる状態又は障害の治療で治療利益を与える、1日の投薬量である。
本発明の範囲内の用語「平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax」は、血漿中濃度の時間プロファイルから決定した場合に個々の最大血漿中濃度から計算されるフリバンセリンの幾何平均最大血漿中濃度として定義される。
本発明の範囲内の用語「平均全身曝露」は、下記式に従って得られる個々の値から計算されるフリバンセリン血漿中濃度の時間プロファイル下の幾何平均全面積(AUC0-∞)として定義される。
【数1】
【0014】
C'tz=時間tz(定量限界を超える血漿中濃度の最終時点)における予測濃度
λz=濃度-時間プロファイルの定期の対数-線形薬物素因部分にわたってln(C)対時間の回帰から推定される見かけの定期速度定数
AUC0-tz=線形アップ/対数ダオウン法(linear up/log down method)で計算した場合の時点0から最後の定量可能な薬物血漿中濃度までの濃度-時間曲線下面積
【0015】
フリバンセリンのために選択される特定の医薬放出システムは、ここで定義した通りの薬物動態プロファイルを達成する限り重要でない。経口、舌下、局所又は直腸などのいずれの経路でフリバンセリンを投与してよい。しかし、経口投与が好ましい。フリバンセリンを投与するのに適した医薬放出システムとして、例えばパッチ、錠剤、カプセル剤、丸剤、ペレット剤、糖衣錠、散剤、トローチ剤、座剤などが挙げられる。好ましくは、本発明の医薬放出システムは錠剤、さらに好ましくはマトリックス錠剤、二層錠剤及びペレット剤である。
しかし、既に上述したように、フリバンセリンのような塩基性化合物の物理化学的性質は、当該in vivo化合物の溶解度が胃及び腸内の異なるpH値によって強く影響を受けることから、上記薬物動態基準を満たす持続放出剤形を開発するのを困難にする。
驚くべきことに、3種の機能性賦形剤の特有の組合せが、医薬フリバンセリン製剤のpH-非依存性放出プロファイルを有する持続放出システムを与えることを見出した。
【0016】
従って、本発明は、特に経口投与用の、pH-依存性の水溶性活性物質の医薬持続放出システムであって、以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成る医薬持続放出システムを提供する。
従って、活性物質のpH-非依存性バイオアベイラビリティーを大いに保証する、特に経口投与用の、フリバンセリンの持続放出システムが提供される。従って、本発明のフリバンセリンの持続放出製剤は、特に1〜5のpH範囲内でpH-非依存性薬物放出挙動を与える。これらの製剤は、機能性賦形剤として有機酸と、pH-依存性及びpH-非依存性の遅延ポリマーを含有する。
【0017】
本発明の発明者らは、pH-依存性ポリマーとpH-非依存性ポリマーの適切な組合せが、胃腸管の低部内における薬物、特にフリバンセリンの減少する溶解度の効果を平均化できることを見出した。結果として、驚くべきことに、pH環境が異なる胃腸管の異なる部分間に適したバランスを確立するための困難をうまく取り扱った。
さらに、持続放出システム内の微環境内で酸性pHを生じさせ、ひいては薬物の溶解度を高める有機酸の添加によって、高pHの放出媒体内においてフリバンセリンのような薬物放出の向上を達成することができる。
従って、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0018】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0019】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0020】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0021】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0022】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0023】
上述したような前記3種の機能性賦形剤を有する「持続放出システム」という表現で使用する場合の用語「システム」は、特に経口投与に適したいずれのタイプの製剤、調合剤又は医薬剤形をも含むその最も広い意味で解釈すべきである。持続放出システムは、ペレット剤、錠剤、マトリックス錠剤、二層錠剤又はミニ錠剤の形態でよい。本システムを直接、例えば錠剤の形態で投与してよく、又はカプセル剤のような別の剤形に詰めてよい。本発明の持続放出システムは、好ましくは錠剤又は二層錠剤の形態で提供される。
本発明の文脈では、用語「持続放出」は、「即時放出」に対比して解釈すべきである。活性成分は、経時的に時には遅く又は速く、徐々に、連続して遊離されるが、事実上、pH値に非依存性である。特に、この用語は、経口投与直後に該システムが活性成分の全用量を放出せず、かつ該製剤が投与頻度の低減を可能にすることを表す。
【0024】
以下、本発明の持続放出システムをさらに詳細に説明する。
持続放出システムの有機酸は、本発明の枠組みによって制限されず、医薬品で利用できるいずれの酸をも使用しうる。有機酸は、必ずしも固体又は固体の混合物の形態で使用されず、例えば、まず担体若しくは担体粒子上に有機酸を付着又はコーティングすることによって、液体又は液体の混合物の形態で有機酸を使用しうる。例えば、医薬製剤の製造で常用されている通常のコーティング方法、例えば流動床コーティング、パンコーティング等で付着又はコーティングを行うことができる。不活性な担体として、担体物質、例えばスクロース、ラクトース、デンプン、結晶性セルロース、コロイド二酸化ケイ素などの粒子が挙げられる。
医薬的に許容しうる有機酸は、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸(mucinic acid)、硝酸、オミチン(omithine)、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されうる。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。特に好ましくはアジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸、好ましくはコハク酸、酒石酸及びフマル酸である。
有機酸は、好ましくは0.25〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜35質量%、最も好ましくは1〜30質量%、特に5〜30質量%の量で存在する。
本明細書で与えられる値の範囲は、指定した通りの範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含することに注意すべきである。
【0025】
持続放出システムのpH-非依存性ポリマーは、本発明によって制限されず;環境のpH値に依存しない溶解特性を有するいずれの医薬的に許容しうるポリマーをも使用しうる。
本発明の1種以上のpH-非依存性ポリマーは、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;他の天然、半合成、又は合成の二糖、オリゴ糖及び多糖、例えばガラクトマンナン、トラガカント、アガー、ガーゴム、及びポリフルクタン(polyfructans);アンモニオメタクリレートコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せ;ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、並びにその誘導体及び混合物;好ましくはセルロースエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばMethocelエーテルを含む。
本発明の用語「誘導体」は、基本系として述べた化合物から、例えば、1以上の官能基による置換によって誘導されるいずれの化合物をも包含することを意味する。これは、当業者の一般知識に属する。
pH-非依存性ポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のpH-非依存性ポリマーを併用してよい。pH-非依存性ポリマーは0.5〜75質量%、好ましくは1〜70質量%、さらに好ましくは2〜65質量%、特に5〜50質量%、最も好ましくは15〜30質量%の量で存在しうる。
【0026】
持続放出システムのpH-依存性ポリマーも本発明によって制限されない。pH-依存性溶解度を有するいずれの医薬的に許容しうるポリマーをも使用しうる。ポリマーの溶解性が好ましくは低pH媒体(約1〜2のpH)に比べて高いpHの媒体(約4より高いpH)内で良いという意味で、高pH媒体内で高い溶解度を有し、低pH媒体内で低い溶解度を有するポリマーが好ましい。
本発明のpH-依存性ポリマーは、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、アルギネート、カラギーナン、アカシア、キサンタンゴム、キチン誘導体、例えばキトサン、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、トリメリテート、例えばセルロースアセテートトリメリテート、シェラック並びにその誘導体及び混合物、好ましくはメタクリル酸コポリマー、例えばポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S)、及びアルギネート(例えばProtanal(登録商標))、最も好ましくはEudragit(登録商標)L及びProtanal(登録商標)を含む。
pH-依存性ポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のpH-依存性ポリマーを併用してよい。pH-依存性ポリマーは、0.25〜25質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、最も好ましくは2〜15質量%、特に3〜10質量%の量で存在しうる。
本発明で使用する場合、用語「1種以上」又は「少なくとも1種」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種の化合物を表し、或いはそれより多くの化合物さえ表す。好ましい実施形態は、1、2、又は3種の該化合物を含む。さらに好ましい実施形態は、1又は2種の該化合物を含み、なおさらに好ましくは、1種の該化合物を含む実施形態である。
【0027】
本発明の持続放出システムに含まれる医薬的に活性な物質はフリバンセリンである。フリバンセリンを遊離塩基の形態、又はそのいずれの既知の医薬的に許容しうる誘導体の形態、例えばその医薬的に許容しうる酸付加塩の形態及び/又は任意にその水和物及び/又は溶媒和物の形態でも使用しうる。適切な酸付加塩として、例えば、コハク酸、臭化水素酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、酒石酸及びクエン酸から選択される酸の当該酸付加塩が挙げられる。上記酸付加塩の混合物をも使用しうる。上記酸付加塩から、塩酸塩及び臭化水素酸塩、特に塩酸塩が好ましい。
フリバンセリンを遊離塩基の形態で使用する場合、特有の多形のフリバンセリンの遊離塩基を代表するフリバンセリン多形Aの形態で使用することが好ましい。多形A及びその製法は、その全開示を参照によって本明細書に引用したものとする国際公開第03/014079(A1)号に開示されている。
フリバンセリンは既知かつ投薬のタイプによって変わる各薬物の所望の薬理活性を示すのに適した量で含まれる。フリバンセリンは好ましくは医薬的に有効な量(0.01mg〜200mg、好ましくは0.1〜100mg又は0.1〜50mg)で存在するが、多くの因子、例えば、患者の年齢と体重、及び疾患の性質と段階によって左右されうる。これは当業者の能力の範囲内であると考えられ、かつ該成分に関する現存する文献を参考にして最適用量に到達することができる。1日に適用できる投与量範囲は0.1〜400、好ましくは1.0〜300、さらに好ましくは2〜200mgである。
好ましくは1日1回本発明の医薬放出システムを患者に投与する。しかし、必要な場合、本発明の製剤を、ある期間にわたって継続的に1日2回以上投与してよい。
例えば、ある期間にわたって継続的に、朝と夜、さらに好ましくは朝1回(25又は50mgのフリバンセリン)と夜1回(25又は50mgのフリバンセリン)、最も好ましくは夜だけ1回(50又は100mgのフリバンセリン)、薬用量を投与することができる。
本発明の持続放出システムでは、フリバンセリン含量は、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、最も好ましくは40質量%以下の量である。この範囲は、好ましくは2.5〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは10〜40質量%、最も好ましくは15〜30質量%である。
上で与えた用量は、指定範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含する。
【0028】
用語「フリバンセリンが必要とされる状態又は障害」は、フリバンセリンの全ての既知の適応症、好ましくは中枢神経系障害、特に情動障害(例えば、大うつ病性障害、小児うつ病、情緒異常、季節性情動障害、胸腺分泌障害(dysthymic disorder)及び軽うつ病性障害のようなうつ病;双極性障害)、不安(広場恐怖症を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害の経歴がない広場恐怖症、特有の恐怖症(単純恐怖症)、社会恐怖症(社会不安障害)、強迫性障害(OCD)、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全身性不安障害等及び他に特定されない不安障害)、睡眠及び性障害(例えば性的欲求低下障害(Hypoactive Sexual Desire Disorder)、月経前障害、例えば月経前不機嫌、月経前症候群、月経前気分障害(dysphoric disorder);性嫌悪障害、性刺激障害、オルガスム障害、性痛障害、例えば性交疼痛症、膣痙、非性交性痛障害;全身の健康状態に起因する性機能不全及び物質誘導性機能不全)、精神病、精神分裂症(解体型、緊張型、妄想型、未分化型、後遺症型の分裂症、分裂感情障害、分裂病様障害、妄想障害、短時間の精神異常、共有精神異常、全身の健康状態に起因する精神異常、物質誘導精神異常等及び他に特定されない精神異常)、人格異常、精神器質性障害、小児の精神障害、攻撃性、年齢に伴う記憶障害、神経保護、神経変性疾患並びに種々起源の脳虚血(例えば、てんかん、低血糖症、低酸素症、無酸素症、脳外傷、脳浮腫、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、低血圧症、心筋梗塞、脳圧(高頭蓋内圧)、虚血性及び出血性発作(脳卒中)、心臓停止中の全脳虚血症、糖尿病性多発神経障害、耳鳴、周産期窒息、心臓肥大(心筋の肥厚化)及び心不全(心筋の軟弱);神経性拒食症(過食/瀉下型の神経性拒食症及び拘束型の神経性拒食症など)、注意欠陥多動障害(ADHD)(混合型ADHD、不注意優勢型ADHD、及び多動性・衝動性優勢型ADHDなど)、肥満症(外因性肥満症、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満症、過多骨端軟骨肥満症(hyperphyseal adiposity)、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満及び中心性肥満など)、尿失禁(過活動性膀胱症候群、緊急性、切迫尿失禁、ストレス尿失禁、混合型尿失禁など)、慢性疼痛(神経痛、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛(PHN)、手根管症候群(CTS)、HIV神経障害、幻肢痛、複合性局所疼痛症候群(CPRS)、三叉神経痛(trigeminal neuralgia)/三叉神経痛(trigeminus neuralgia)/三叉神経痛性チック、外科的介入(例えば術後鎮痛薬)、糖尿病性脈管障害、膵島炎に伴う毛細血管抵抗又は糖尿病性症状、狭心症に伴う疼痛、月経に伴う疼痛、癌に伴う疼痛、歯痛、頭痛、偏頭痛、三叉神経痛、顎関節症候群、筋膜痛筋肉傷害、線維筋痛、骨関節痛(骨関節炎)、リウマチ性関節炎、火傷に伴う外傷に起因するリウマチ性関節炎と浮腫;骨関節炎、骨粗しょう症、骨転移又は未知理由による捻挫又は骨折骨痛、痛風、結合組織炎、筋膜痛、胸部出口症候群、上背痛又は下背痛(上背痛は全身、局所、又は主棘疾患(神経根障害)から生じる;骨盤痛、心臓性胸痛、非心臓性胸痛、脊髄損傷(SCI)随伴疼痛、中心性脳卒中後疼痛、癌性神経障害、AIDS疼痛、鎌状赤血球痛及び老人性疼痛)、心臓弁膜症(心臓弁膜狭窄、弁逆流症、1つの弁の閉鎖症、僧帽弁逸脱など)、好ましくは性的欲求低下障害(HSDD)に苦しむ患者の治療における適応症を包含する。
【0029】
本発明の持続放出システムのポリマー、少なくとも1種のpH-依存性及び少なくとも1種のpH-非依存性ポリマーの選択は、所望の放出プロファイルを確立するためのフリバンセリンの放出に影響を及ぼす。存在する活性物質はpH-依存性溶解度を有するが、本発明の持続放出システムの放出プロファイルはpH値にほとんど非依存性であり、結果としてバイオアベイラビリティーが改善される。実際、異なる遅延ポリマーの組合せと有機酸の添加がpH-依存性の水溶性フリバンセリンの広範なpH-非依存性薬物放出(1〜5のpH範囲)をもたらす。
従って、上記本発明の持続放出システムは、フリバンセリンと、pH-依存性及びpH-非依存性遅延ポリマーと、有機酸とを含むか又は本質的に前記成分から成り、任意に、医薬製剤に適した添加剤、例えば賦形剤、担体、技術的アジュバント等を含んでよい。好ましい添加剤は、例えば充填剤、潤沢剤、流動促進剤、可溶化剤、染料、結合剤などである。
【0030】
好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 0.25〜25質量%
pH-非依存性ポリマー 0.5〜75質量%
有機酸 0.25〜40質量%
潤沢剤 0.1〜4質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
さらに好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 1〜20質量%
pH-非依存性ポリマー 1〜70質量%
有機酸 0.5〜3.5質量%
潤沢剤 0.2〜3.5質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
なおさらに好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 2〜15質量%
pH-非依存性ポリマー 2〜65質量%
有機酸 1〜30質量%
潤沢剤 0.25〜3質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
【0031】
なおさらに好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 3〜10質量%
pH-非依存性ポリマー 5〜50質量%
有機酸 5〜30質量%
潤沢剤 1〜3質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
特に好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 3〜10質量%
pH-非依存性ポリマー 15〜30質量%
有機酸 5〜30質量%
潤沢剤 1〜3質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
特に断らない限り、指定するパーセンテージは常に質量パーセントである。
【0032】
従って、持続放出システム中に添加剤、例えば賦形剤、担体、技術的アジュバント、例えば潤沢剤、流動促進剤、顆粒化剤、固化防止剤、凝集抑制剤、付着防止剤、粘着防止剤、固着防止剤、調味料、噴霧剤、染料又は着色剤、保存剤、可塑剤、湿潤剤、甘味料、キレート化剤、安定剤、可溶化剤、酸化防止剤、充填剤、希釈剤などが存在しうる。これらの医薬的に許容しうる配合剤は、例えば製剤の製造、圧縮性、外観及び/又は風味を向上させるために存在する。技術上周知の他の通常の添加剤をも含んでよい。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
潤沢剤又は凝集抑制剤を用いて、例えばアッパ・パンチ(upper punch)の表面への付着(「ピッキング」)又はロア・パンチ(lower punch)の表面への付着(「スティッキング」)を防止することによって、製剤を形成する装置からの該剤形の遊離を促進できる。これらの材料は、付着防止又は流動促進特性をも有しうる。好ましい潤沢剤は、例えばステアリン酸並びにステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリルといったその塩、特にステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール(全てのタイプの異なる分子量のPEG)、フマル酸、グリセリド、例えばベヘン酸グリセリル(Compritol(登録商標)888)、Dynasan(登録商標)118又はBoeson(登録商標)VPである。
粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤又は流動性を改善するための薬剤を用いて、製造プロセス前及び製造プロセス中の粉末の流動特性を改善し、かつ固化を減らすことができる。この群の賦形剤のうち、典型例として二酸化ケイ素、特にコロイド二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標))、ステアリン酸並びにステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム等のその塩及びタルクが挙げられる。好ましい流動促進剤は、コロイド二酸化ケイ素とタルクである。
【0033】
結合剤として、医薬品で常用されているいずれの結合剤をも使用できる。例として、アカシア、アガー、アルギン酸、カルボマー、カルメロースナトリウム、カラギーナン、セルロースアセテートフタレート、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポビドン、ポビドン、綿実油、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、マルトデキストリン、マルトース、セルロースとその誘導体、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース(セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル)、デンプンとその誘導体、例えばα化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、トラガカント、ガーゴム、硬化植物油、イヌリン、ラクトース、グルコース、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリメタクリレート、ポリエチレングリコール、アルギネート、例えばアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、スクロース、ヒマワリ油、ゼイン並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される天然に存在するか又は部分的若しくは全体的に合成したポリマーが挙げられる。
特に好ましい結合剤は、アカシア、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せである。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
【0034】
存在しうるさらなる添加剤として、以下の非限定群を与える。
−保存剤、好ましくは抗菌性保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、安息香酸ナトリウム及びソルビン酸;
−甘味料、例えばアセサルフェームカリウム、アリテーム、アスパルテーム、圧縮糖、粉砂糖、デキストロース、エリトリトール、フルクトース、グリセリン、イヌリン、イソマルト(isomalt)、ラクチトール、液体グルコース、マルチトール、マルチトール溶液、マルトース、マンニトール、ネオスフェリジンジヒドロカルコーン(neospheridin dihydrochalcone)、ポリデキストロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、ソルビトール、スクラロース、スクロース、タウマチン、トレハロース、キシリトール;
−可溶化剤、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、塩化セチルピリジニウム、シクロデキストリン、レシチン、メグルミン、ポロキサマー、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ポビドン、2-ピロリドン、炭酸水素ナトリウム、ソルビタンエステル、ステアリン酸、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びビタミンE-TPGS;
−分離剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はケイ酸が働いて、製造プロセス中に粒子が凝集するのを防止する;及び
【0035】
−可塑剤は、通常、可塑剤のない持続放出システム中に好ましくは存在しない;しかし、まれなケースでは、例えば、シトレート、例えばクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、ヒマシ油、フタレート、例えばセルロースアセテートフタレート、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ヒプロメロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ジメチコン、ヤシ油、クロルブタノール、デキストリン、セバセート、例えばセバシン酸ジブチル、グリセリン、グリセリン誘導体、例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、アセチル化モノグリセリド、マンニトール、鉱油、ラノリンアルコール、パルミチン酸、2-ピロリドン、ソルビトール、ステアリン酸、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコール、並びにこれらの誘導体及び混合物から可塑剤を選択してよい。
−特に有用な顔料は、二酸化チタン、インジゴカルミン、酸化鉄顔料、例えば赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、並びにいくつかのアルミニウムレーキ及び黒色顔料、白色顔料、黄色顔料、サンセットイエロー、サンセットイエローレーキ、キノリンイエローレーキ等である。
【0036】
本発明の持続放出システムは、さらに、希釈又は充填特性を有する1種以上の賦形剤(充填剤又は希釈剤)を含みうる。充填剤又は希釈剤は、薬物用量自体が該剤形に必要なバルクを生じさせるのに不十分な場合に、このバルクを補うために設計される不活性な化合物である。
好適な充填剤は、例えば、ラクトース、特にラクトース一水和物、タルク、デンプンと誘導体、例えばα化デンプン、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、滅菌トウモロコシ、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、特に塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム又はリン酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、セルロースと誘導体、例えば粉末セルロース、微結晶性又はケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、糖と誘導体、例えば粉砂糖、フルクトース、スクロース、デキストレート、デキストリン、D-ソルビトールスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、トレハロース、マルトース、マルチトール、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、イヌリン、キシリトール、エリトリトール、イソマルト、カオリン及びラクチトールから選択される。
添加しうる可能なキレート化剤は、エデト酸、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、マルトール等である。
添加剤が複数の機能性を有するので、複数のタイプの添加剤に分類されうることは当然である。例えば、トウモロコシデンプン又はα化デンプンは、膨潤ポリマー、充填剤、流動促進剤などの複数の機能を同時に与えうる。しかし、当業者は、この複数の機能を知っており、かつその意図した用途に応じて添加剤を選択することができる。
【0037】
結果の持続放出システムを最後に、好ましくは医薬的に通常の皮膜形成剤及び任意的な添加剤の皮膜剤でコーティングしうる。常法でコーティングを行うことができる。コーティングは、薬物の味を隠し、例えば錠剤を容易に飲み込めるようにし、例えばカプセルに充填中の如何なる摩耗の上昇をも減らし、貯蔵寿命を増やすのに役立ち、及び/又はさらなる拡散バリアとして働き、場合によっては剤形の外観を向上させうる。
持続放出システムを、技術上周知の手順に従って糖衣コーティングするか、又は製剤化学者が頻繁に利用する多くのポリマー皮膜形成剤のいずれかでコーティングすることができる。適切な皮膜形成剤として、例えばアルギン酸アンモニウム、キトサン、マレイン酸クロルフェニラミン、コポビドン、フタレート、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ジブチル、乳酸エチル、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、ポリエチレンオキシド、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せ、例えばポリメタクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリビニルアセテートフタレート、クエン酸トリエチル、バニリン、シェラック並びにその誘導体及び混合物が挙げられる。
特に好ましい皮膜形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せである。好ましくは、ポリマーはポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート(Aquacoate(登録商標)CPD)、ポリビニルアセテートフタレート(Sureteric(登録商標))、及びシェラックである。
所望により、さらなる好適な添加剤、賦形剤、希釈剤、担体、技術的アジュバントが存在してよい。
【0038】
本発明の持続放出システムは当業者に周知の方法で調製され、例えば湿式顆粒化、直接圧縮又はローラー圧縮法を持続放出システムの製造に適用することができる。ローラー圧縮法が特に好ましい。
本発明の持続放出システムで使用するpH-依存性ポリマーをプロセスの異なる段階で製剤中に組み入れてよい。例えば微細粉末の形態でpH-非依存性ポリマーを所望通りの適切な賦形剤又は添加剤と共に活性物質及び一部又は全てのpH-依存性ポリマーに添加してよい。次に、これらの成分を完全に混合してプレミクスチャーを得、引き続き適切な装置で圧縮工程に供する。その後、さらなる粉末状添加剤を添加し、ふるいにかけて最終混合物を得、この混合物から錠剤をプレス加工することができる。
これとは別に、プレミクスチャーを得た後及び/又は圧縮が完了した後に全て又は一部のpH-依存性ポリマーを添加してもよい。当業者は、過度の負担なく、容易に製剤を製造することができる。
1つの即時放出層と、1つのフリバンセリンの持続放出層との二層錠剤を有することもできる。
【0039】
従って、本発明の主題は、医薬持続放出システムを摂取するための経口の、特に錠剤、例えば飲み込み用錠剤、二層錠剤、糖衣錠剤、コーティング錠剤、咀嚼錠剤、マトリックス錠剤、丸剤又はカプセル剤である。これらのうち、本発明では錠剤が最も好ましい。中でもコーティング錠剤及び/又は飲み込める錠剤が好ましい。
本発明の持続放出システムはいずれの適切な大きさ及び形状、例えば円形、楕円形、多角形又は枕形状でもよく、かつ任意に非機能表面標識を有してよい。
本発明の主題である持続放出システムが錠剤の場合、好ましくは錠剤は円形又は楕円形を有するであろう。その大きさは好ましくは円形の場合5mm〜12mmの直径であり、楕円形の場合6×12mm〜10×20mmであろう。その重さは好ましくは50〜1000mgであろう。
本発明の主題である持続放出システムがカプセル剤の場合、好ましくはカプセル剤は5〜0号のカプセルサイズのものであろう。そして、カプセルは顆粒の形態で医薬持続放出システムを含む。これらの顆粒はその化学的及び物理的組成物において錠剤のコアに相当するが、その大きさが錠剤のコアより小さい。
技術上周知のボトル又はブリスターに持続放出システムを詰めることができる。該ブリスターのうち、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン製のものである。アルミニウム-ブリスターも可能である。ボトルは、例えばポリプロピレン又はポリエチレン製でよい。任意に、シリカゲル等の乾燥剤又は分子ふるいをボトルに使用することができる。他の通常の包装材料も可能である。
例えば、薬用量及び投与情報、禁忌、注意、薬物相互作用及び副作用などの関連情報を提供する添付文書を伴う容器に本発明の持続放出システムを詰めることができる。
【0040】
本発明の持続放出システムの利点は多様である。
本発明の持続放出システムは、酸性環境内において活性物質の即時溶解及び放出を抑制できるが、腸液内では活性物質の連続的放出を確実に達成することができる。活性物質の所望の血中濃度を長時間実現できるので、望ましくない副作用を引き起こす可能性を低減する。
本発明の持続放出システムは、貯蔵時に十分安定した状態を保つ。製剤システムの投与後だけ、pHモディファイヤーが溶解して、活性物質が溶解しうる微環境を作り出す。
本発明により、弱塩基性で、かつpH1〜pH7.5の範囲でpH-依存性溶解特性を示すであろう活性物質フリバンセリンの事実上pH-非依存性の放出が提供される。すなわち、フリバンセリンは通常、酸性条件下で高い溶解度を有し、中性及び塩基性条件下で低い溶解度を有する。結果として、本発明はフリバンセリンの放出特性を変化させて、経口投与したとき胃腸管内のpHに依存しない有意に改良されたバイオアベイラビリティーをもたらす。
上述したような持続放出システムのみならず、後述する医薬制御放出システムも、本発明が定義する通りの薬物動態プロファイルを達成しうる。
【0041】
本発明のさらなる例として、制御放出システムの特有の強化が、所望の放出プロファイルを容易に制御かつ調整できるようにし、この処方原理はpH値から独立した放出プロファイルを与える。
従って、本発明は、フリバンセリンの投与、特に経口投与のための医薬制御放出システムであって、以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含んでなる医薬制御放出システムを提供する。
【0042】
従って、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0043】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0044】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0045】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0046】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0047】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0048】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0049】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0050】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0051】
従って、フリバンセリンの特に経口投与のための制御放出システムであって、フリバンセリンのpH-非依存性バイオアベイラビリティーを大いに保証し、かつ望ましい薬物動態プロファイルを示す(例えば、1日1回の投与計画を可能にし及び/又は副作用を減らすことによって)制御放出システムが提供される。
本発明の枠組みでは、用語「制御放出」は「即時放出」に対比して解釈すべきであり、活性成分は、経時的に時には遅く又は速く、徐々に、連続して遊離されるが、pH値に非依存性である。特に、この用語は、経口投与直後に該システムが活性成分の全用量を放出せず、かつ該製剤がピーク血漿中濃度の低減及び/又は投与頻度の低減を可能にすることを表す。制御放出は、吸収側のpH及び/又はコアのpHモディファイヤーの最初に当てはまる方によって誘発されるpH-制御放出である。
「制御放出システム」という表現で使用する場合の用語「システム」は、本発明に必要な数の層を提供するいずれのタイプの製剤、調合剤又は医薬剤形をも含むその最も広い意味で解釈すべきである。制御放出システムは、ペレット剤、錠剤、マトリックス錠剤、ミニ錠剤、マイクロカプセル剤又は顆粒剤の形態でよい。本システムを直接投与してよく、或いは、カプセルなどの別の形態に詰め、又は適切な充填剤と共に圧縮して錠剤にすることができる。
制御放出システムの層の組合せの構造、組成及び強化が、先行技術の欠点を回避する放出システムの改良された制御を提供することを可能にする。
本発明の制御放出システムの製剤では、pHモディファイヤーがフリバンセリンから空間的に離れているので、貯蔵時に制御放出システムは安定状態を保ち、pHモディファイヤーとフリバンセリンとの間の望ましくない相互作用が防止される。本発明の制御放出システムの経口投与後だけ、pHモディファイヤーが溶解して、フリバンセリンが溶解しうる微環境を作り出す。
【0052】
以下、制御放出システムの任意な層及び不可欠な層について詳述する。
a)コア材料
コア材料は少なくとも1種のpHモディファイヤーを含む。本発明によってpHモディファイヤーは限定されず、pH値を修正できるいずれの既知の化学物質をも使用しうる。通常、1種以上の有機酸及び/又は有機塩基及び/又は緩衝液又はその混合物からpHモディファイヤーを選択することができる。pHモディファイヤーを選択してフリバンセリンの溶解度を制御する。すなわち、pHモディファイヤーのタイプの選択とpHモディファイヤーの量の調整がフリバンセリンの放出に影響を与え、或いはフリバンセリンの放出を誘発する。従って、pHモディファイヤーの選択は、使用する予定の活性物質に非常に左右される。pHモディファイヤーが、フリバンセリンのために調整すべきpHを制御し;先行技術と対照的に、本発明のpHモディファイヤーはいずれの外層の浸透性にも影響を及ぼさない。
有機酸、塩基又は緩衝液は、本発明の枠組みによって制限されず、医薬品で使用可能ないずれの酸、塩基又は緩衝液をも利用しうる。従って、pHモディファイヤーは、1種以上の医薬的に許容しうる有機酸、1種以上の医薬的に許容しうる塩基、1種以上の医薬的に許容しうる緩衝液、その誘導体及び混合物から成る群より選択される。
本発明で使用する場合、用語「1種以上」又は「少なくとも1種」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種の化合物を表し、或いはそれより多くの化合物さえ表す。好ましい実施形態は、1、2又は3種の該化合物を含む。さらに好ましい実施形態は、1又は2種の該化合物を含み、なおさらに好ましくは、1種の該化合物を含む実施形態である。
【0053】
pHモディファイヤーは固体又は液体形態でよい。必ずしもpHモディファイヤーを固体又は固体の混合物の形態で使用せず、例えば、pHモディファイヤーを担体若しくは担体粒子上に付着又はコーティングしてから該pHモディファイヤーを含有するコアを形成することによって、液体又は液体の混合物の形態でpHモディファイヤーを使用することができる。例えば、医薬製剤の製造で常用されている通常のコーティング方法、例えば流動床コーティング、パンコーティング等で付着又はコーティングを行うことができる。不活性な担体として、単体物質、例えばスクロース、ラクトース、デンプン、結晶性セルロース、リン酸カルシウム、二酸化ケイ素及びその誘導体などの粒子が挙げられる。
コアに含まれる医薬的に許容しうる有機酸及び/又は塩基は、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸、硝酸、オミチン、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されうる。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
【0054】
特に好ましい有機酸は、酢酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルタル酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、アジピン酸及びコハク酸又はその組合せである。
誘導体、例えば酸の水和物又は塩として、アルカリ及びアルカリ土類塩又はアンモニウム塩などを使用しうる。好ましいタイプは、制御放出システムの意図した用途によって決まる。特に好ましくは、弱有機酸、例えばコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタル酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、又は乳酸の塩である。特に好適な塩は、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウムである。
緩衝液は、好ましくは1種以上の医薬的に許容しうるか又は適合性の緩衝液若しくは緩衝剤、例えばMcIlvaine緩衝液(例えばクエン酸リン酸緩衝液、pH 2.2〜7.0)、アンモニア溶液、炭酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、クエン酸一水和物、二塩基性リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム(例えばpH 5.0〜8.0)、ジエタノールアミン、リンゴ酸、一塩基性リン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、グルタミン酸一ナトリウム、リン酸、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリエタノールアミン並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される。
使用するコア材料は、好ましくは任意に0〜50質量%、好ましくは0.1〜25質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、なおさらに好ましくは2〜8質量%、最も好ましくは3〜6質量%の適切な結合剤を添加した医薬的に許容しうるpHモディファイヤーである。
医薬的に許容しうるpHモディファイヤーの含量は、通常、コア材料中の30〜100質量%である。しかし、出発原料として純粋(100%)のpHモディファイヤーを使用することもでき、そうすると、十分狭い範囲の粒径を用いるという利点があるだろう。
本明細書で与えられる値の範囲は、指定した通りの範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含することに注意すべきである。与えられるパーセント数は、常に質量パーセント値である。質量パーセント値は、コア又はコーティング等の該剤形の個々の部分に関するパーセンテージを意味する。
【0055】
結合剤として、医薬品で常用されているいずれの結合剤をも使用できる。例として、アカシア、アガー、アラビアゴム、アルギン酸、カルボマー、カラギーナン、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポビドン、ポビドン、綿実油、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、マルトデキストリン、マルトース、セルロースとその誘導体、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒプロメロース(セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル)、セルロースアセテートフタレート、デンプンとその誘導体、例えばα化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、ガーゴム、硬化植物油、イヌリン、ラクトース、グルコース、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリメタクリレート、アルギネート、例えばアルギン酸ナトリウム、ステアリン酸、スクロース、ヒマワリ油、ゼイン並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される天然に存在するか又は部分的若しくは全体的に合成したポリマーが挙げられる。
本発明の用語「誘導体」は、基本系として述べた化合物から、例えば、1以上の官能基による置換によって誘導されるいずれの化合物をも包含することを意味する。これは、当業者の一般知識に属する。
特に好ましい結合剤は、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポビドン、トモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せである。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
【0056】
当然のことながら、医薬製剤に適した他の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバント、例えば潤沢剤、流動促進剤、流動性を高める薬剤、顆粒化剤、固化防止剤、凝集抑制剤、細孔形成剤、付着防止剤、粘着防止剤、固着防止剤、調味料、噴霧剤、染料又は着色剤、保存剤、可塑剤、希釈剤、湿潤剤、甘味料、崩壊剤、等張化剤(tonicity agent)、キレート化剤、安定剤、可溶化剤、酸化防止剤、充填剤、顔料なども存在しうる。これらの医薬的に許容しうる配合剤は、例えば製剤の製造、圧縮性、外観及び/又は風味を向上させるために存在する。技術上周知の他の通常の添加剤をも含んでよい。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
球形でよいコア材料は、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.2〜2mm、最も好ましくは0.4〜1.5mmの平均粒径を有する。実際には、コーティングする予定のコアは、いずれの形態、例えば結晶、微粒子、ビーズ、錠剤、カプセル剤、丸剤、ペレット、顆粒、又は微細顆粒でもよい。
当該技術で一般に知られている方法、例えば直接プレス加工、押出し後、好ましくは丸みのある形状に成形、例えばプレート又はローターペレタイザーで湿式若しくは乾式顆粒化又はペレット化、或いは粉末の結合、例えば小球体(ノンパレイル)上の粉末層化によってコアを製造できる。
【0057】
b)任意の遮断/移動低減層
さらなる層の適用前に、水溶性の医薬的に許容しうるポリマーに基づくで遮断/移動低減層でコア材料をコーティングすることは、以下の2つの理由で有利であろう。
I)完成コア生成物の耐久性を高めるため。
II)pHモディファイヤーの移動を減らして、pHモディファイヤーと次の層(第1の層)との間の相互作用を制御するため(特に第1の層がEudragit(登録商標)RSを含む場合)。
このような水溶性ポリマーの例として、アラビアゴム、又は部分的若しくは全体的に合成のポリマー(アルキルセルロースとその誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー又は前記ポリマーの組合せ並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される)が挙げられる。アカシアゴム又はヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく使用される。所望により、この水溶性の医薬的に許容しうるポリマーによるコーティングを賦形剤、好ましくは1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料を添加して行うことができる。
典型的に列挙される可塑剤は、シトレート、例えばクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、ヒマシ油、フタレート、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ジメチコン、ヤシ油、クロルブタノール、デキストリン、セバセート、例えばセバシン酸ジブチル、グリセリン、グリセリン誘導体、例えばグリセリンモノステアレート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、アセチル化モノグリセリド、マンニトール、鉱油、ラノリンアルコール、パルミチン酸、2-ピロリドン、ソルビトール、ステアリン酸、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコール、並びにこれらの誘導体及び混合物である。使用しうる好ましい可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコールである。クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)及びプロピレングリコールが特に好ましい。
【0058】
典型的に列挙される分離剤は、タルク、ケイ酸及びグリセロールモノステアレートである。
特に有用な顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄顔料、並びにいくつかのアルミニウムレーキ及び黒色顔料、白色顔料、黄色顔料、サンセットイエロー、サンセットイエローレーキ、キノリンイエローレーキ等である。
所望により、他の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバントが存在してよい。
出発コアの比表面積に基づく任意の(第1の)遮断層の適用量は、I)の場合:0.05〜5.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3.0mg/cm2、さらに好ましくは0.15〜2.5mg/cm2、特に0.2〜2.0mg/cm2、さらに特に0.2〜1.5mg/cm2の範囲であり、II)の場合:0.1〜30.0mg/cm2、好ましくは0.2〜20mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜15mg/cm2、特に0.7〜12mg/cm2、さらに特に1〜10mg/cm2の範囲である。
【0059】
c)第1の層
コア層の上に直接、或いは任意の遮断層又はコア層若しくは遮断層の上に適用され、かつ好ましくは所望の制御放出を支援するための制御層として働く別の中間層の上に第1の層を与える。さらに、第1の層は、その下の層、特にコア材料の保護層としても役に立ちうる。第1の層は不水溶性ポリマーを基礎とする。不水溶性ポリマーは、本発明によって限定されない。いずれのタイプの医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーをも使用できる。用語「不水溶性」により、該化合物が室温で0.1mg/ml未満の水中溶解度を有するものと解釈することができる。
好ましくは、第1の層に含まれる不水溶性ポリマーは、アクリル及び/又はメタクリルポリマー(そのアルキル部分に低含量の四級アンモニウム基、例えばトリメチルアンモニウム基を含有しうる)、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、及びポリ酢酸ビニル並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択される。
好ましくは、不水溶性ポリマーは、四級アンモニウム基を含有しうるアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のポリマー又はコポリマー、例えばアンモニオ(メタ)アクリル酸コポリマーを含みうる。好ましい例は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーである。該アクリルポリマーは、不水溶性コポリマー(ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.1、Rhom Pharma、Germany製)、Eudragit(登録商標)RSという名で、例えばコーティングに使用可能なその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)RS 30Dで入手可能である。別のアクリルポリマーはEudragit(登録商標)RSと同一成分から成るが、異なるモル比を有する(Eudragit(登録商標)RL:ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド;1:2:0.2)、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態のEudragit(登録商標)RL、例えばEudragit(登録商標)RL 30Dでよい。四級アンモニウムの存在が、フリバンセリンの放出のためにイオンの相互作用を利用するようである。この相互作用を、クロリドより四級アンモニウム基に向けて高い誘引力を示すアニオンに対してEudragit(登録商標)RS又はRLの元の対カチオン(クロリド)を交換する有利な方法でさらに変えることができる(R. Grutzmann、Thesis 2005、University of Tubingen、Germany、“Zum Mechanismus der Anionenwirkung auf die Permeabilitat kationischer Polymethacrylatuberzuge”)。この効果を、再び述べないが、本発明でポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)を使用するいずれの工程でも有利な方法で使用することができる。如何なる理論にも拘泥されないが、コアから放出された溶媒和アニオンと第1の層のカチオン性四級アンモニウムイオンとの間の相互作用が起こる、イオン誘導輸送が生じると想定される。放出速度は、とりわけ、アニオン種と存在するアニオン/カチオンの比に左右される。
例えば、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1(Eudragit(登録商標)NE)、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)NE 30D、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;及びエチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばエチルセルロースN10、N20若しくはN45、Aquacoate(登録商標)ECD、及びSurelease(登録商標)も好ましく使用される。
さらに好ましくは、酢酸セルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液の形態及び/又はポリ酢酸ビニル、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばKollicoat(登録商標)SR 30Dが挙げられる。
【0060】
言及したポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のポリマーを併用してよい。不水溶性(コ)ポリマー又は(コ)ポリマーの混合物の選択は、所望の放出プロファイルを確立するためのフリバンセリンの放出に影響を及ぼす。フリバンセリンはpH-依存性溶解度を有するが、pH値に依存しない放出プロファイルを調整することができ、結果としてバイオアベイラビリティーを改善する。放出システムのさらなる構造によっては、プロファイルをさらに調整することができる。例えば、使用する不水溶性ポリマーの粘度を高めると、フリバンセリンの放出の遅延が増しうる(例えば、エチルセルロースはN10→N20→N40と粘度が高くなる)。
【0061】
限定するものではないが、可塑剤、流動促進剤、粘着防止剤、界面活性剤、顔料及び他の着色剤及び/又は細孔形成剤といった他の添加剤は、層全体の70%の量まで存在しうる。添加剤及びその量は使用するポリマーによって決まるが、当業者の一般知識に属する。好ましくは、1種以上の可塑剤、特に既に述べた当該可塑剤が存在する。好ましく使用される可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ヤシ油、グリセリン、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコールである。
従って、有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー溶液若しくは分散液を用いてスターターコア上に噴霧して第1の層を得ることができる。前記溶液又は分散液は、好ましくは上述したような1種以上の不水溶性ポリマーと、好ましくは賦形剤を含むか又はそれらから成る。例えば、可塑剤があるか無いか、固化防止剤があるか無いか、細孔形成剤及び/又は溶媒及び/又はビヒクルがあるか無いかでよい。
【0062】
粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤又は流動性を改善するための薬剤を用いて、製造プロセス前及び製造プロセス中の粉末の流動特性を改善し、かつ固化を減らすことができる。潤沢剤と凝集抑制剤を用いて、例えばアッパ・パンチの表面への付着(「ピッキング」)又はロア・パンチの表面への付着(「スティッキング」)を防止することによって、製剤を形成する装置からの該剤形の遊離を促進できる。この群の賦形剤のうち、典型例としてホウ酸、ケイ酸カルシウム、セルロース、特に粉末セルロース、コロイド二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標))、DL-ロイシン、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、二酸化ケイ素、デンプン、三塩基性リン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル(例えばCompritol(登録商標)888)、酸化マグネシウム、鉱油、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、硬化油、例えば硬化植物油(例えばSterotex(登録商標))、硬化ヒマシ油、カオリン、(軽)鉱油、キャノーラ油、トリグリセリド、例えば中鎖トリグリセリド、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、ベンゾエート、例えば安息香酸ナトリウム又は安息香酸カリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛といった塩、グリセロールモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、マクロゴル(macrogol)、例えばマクロゴル400又は6000、ポリオキシ-40-ステアレート、ワックス等が挙げられる。
【0063】
可能な界面活性剤は、レシチン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、スクロース脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホネート、スルホコハク酸エステル塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸アンモニウム、及び他の硫酸アルキル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及び他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、ココアンフォグリシネート(coco ampho glycinate)、アルキルポリグリコシド、例えばオクチルグルコシド及びデシルマルトシド、セチルアルコール、オレイルアルコール及びコカミド又はその混合物である。
第1の層の全量に基づく界面活性剤の適用量は、0〜10質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%、さらに好ましくは1〜3質量%の範囲である。
可能な細孔形成剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)、アルギン酸及びアルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウムといったその塩、プロピレングリコール、及びアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ポビドン、及びポリビニルアルコールである。
出発コアの比表面積に基づく第1の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.5〜12mg/cm2、さらに好ましくは1.0〜10mg/cm2、特に1.5〜8.0mg/cm2、さらに特に2.0〜6.0mg/cm2の範囲である。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、第1の層は、2.0〜4.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)RS、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマーと、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤と、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤とを含む。
適用層の量に基づいてフリバンセリンの放出を制御することもできる。例えば、適用量を増やせば、遅延効果が増すだろう。しかし、層厚を増やすことは、コストを高くし、かつ適用形態の重量を増やすので望ましくない。さらに、フリバンセリン/賦形剤の比が好ましくなく、患者のコンプライアンスが不十分になるだろう。結果として、使用する層の組成と構造で放出を制御するのが良い方法である。
【0065】
d)第2の層
第2の層はフリバンセリンを含む。持続放出システムについて既に述べたのと同じ疾患の治療のため、フリバンセリンを含有する制御放出システムを使用することができる。
持続放出システムに関しては、所望の薬理活性を示すために適した量でフリバンセリンが含まれる。1日に適用可能な用量範囲及び投与計画も持続放出システムについてと同じである。
好ましいフリバンセリン含量は、制御放出システム全体の60%以下、好ましくは50%以下である。
特に断らない限り、指定パーセンテージは常に質量パーセントである。
活性物質層はフリバンセリンのみならず、好ましくは1種以上の結合剤を含み、及び/又は任意に1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含みうる。制御放出システムについて解釈する場合、用語「賦形剤」又は「添加剤」又は「アジュバント」は、本発明の制御放出システムに1以上の機能性を与えるため、医薬品で使用しうるいずれの既知の適切な補助化合物をも意味するものとする。
例えば、適切な結合剤は、コア材料に関して述べた当該結合剤でよい。セルロースとその誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標)、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せ、例えばポリメタクリレート、デンプンとその誘導体、糖、酢酸ビニル又はこれらのポリマーの組合せ及びその誘導体が好ましく使用される。最も好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース又はN-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが使用される。
適切な分離剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はケイ酸の添加は、製造プロセス中に粒子が凝集するのを防止するのに役立つ。
結合剤と分離剤に加えて、第2の層は種々の他の通常の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバント、例えば充填剤、希釈剤、潤沢剤、流動促進剤、流動性を改善するための薬剤、細孔形成剤、付着防止剤、粘着防止剤、調味料、保存剤、甘味料、崩壊剤、染料などをも組み入れることができる。上記リストは限定的性格のものでなく、技術上周知の他の通常の添加剤をも含めることができる。
【0066】
存在しうるさらなる添加剤として、以下の非限定群を与える。
−保存剤、好ましくは抗菌性保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、安息香酸ナトリウム及びソルビン酸;
−甘味料、例えばアセサルフェームカリウム、アリテーム、アスパルテーム、圧縮糖、粉砂糖、デキストロース、エリトリトール、フルクトース、グリセリン、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、液体グルコース、マルチトール、マルトース、マンニトール、ネオスフェリジンジヒドロカルコーン、ポリデキストロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、ソルビトール、スクラロース、スクロース、タウマチン、トレハロース、キシリトール;
−崩壊剤、例えばアルギン酸とその塩、例えばアルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸マグネシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、キトサン、コロイド二酸化ケイ素、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ドクサートナトリウム、ガーゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、特に低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、ポビドン、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、特にα化デンプン、及びトウモロコシデンプン。
好適な充填剤は、例えば、ラクトース、特にラクトース一水和物、タルク、ヒマワリ油、トラガカント、デンプンと誘導体、例えばα化デンプン又は滅菌トウモロコシデンプン、アルギネート、例えばアルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム又はリン酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、セルロースと誘導体、例えば微結晶性又はケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、糖と誘導体、例えば粉砂糖、フルクトース、スクロース、デキストレート、デキストリン、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、トレハロース、マルトース、マルチトール、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、イヌリン、キシリトール、エリトリトール、フマル酸、グルセリルパルミトステアレート、タブレトース、硬化植物油、イソマルト、カオリン、ラクチトール、トリグリセリド、特に中鎖トリグリセリド、ポリメタクリレート、及びシメチコン並びにこれらの誘導体又は混合物から選択される。
【0067】
添加剤が複数の機能性を有するので、複数のタイプの添加剤に分類されうることは当然である。例えば、トウモロコシデンプン又はα化デンプンは、膨潤ポリマー、充填剤、流動促進剤などの複数の機能を同時に与えうる。しかし、当業者は、この複数の機能を知っており、かつその意図した用途に応じて添加剤を選択することができる。添加剤の選択は、種々の因子、例えば所望の適用分野、剤形などによって決まる。当業者は、このような要件を知っている。
出発コアの比表面積に基づく第2の層の適用量は、0.1〜20mg/cm2、好ましくは1.0〜18mg/cm2、さらに好ましくは5.0〜15mg/cm2、特に7.0〜13mg/cm2、さらに特に8.0〜12.0mg/cm2の範囲内である。
本発明の制御放出システムの代替実施形態によれば、フリバンセリンを含有する第2の層上に適用する任意の遮断層を与えることもできる。上述した第1の遮断層に加えて、或いは第1の遮断層と二者択一的に前記遮断層を与えることができる。第2の遮断層は、第1の遮断層について既に上述したのと同じ構造と組成を有しうる。
出発コアの比表面積に基づく任意の(第2の)遮断層の適用量は、0.05〜5.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3.0mg/cm2、さらに好ましくは0.15〜2.5mg/cm2、特に0.2〜2.0mg/cm2、さらに特に0.2〜1.5mg/cm2の範囲である。
【0068】
e)第3の層
制御放出外側コーティング層でありうる第3の層は、アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上のポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る。このポリマーは本発明によって制限されない。アニオン性又は非イオン性基を有するいずれのタイプの医薬的に許容しうるポリマーをも使用しうる。
第3の層に含まれるアニオン性又は非イオン性基を有するポリマーは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はその誘導体(四級アンモニウム基のようなカチオン性基を持たず、特にトリメチルアンモニウムン-エチル基が無い)を含むポリマー及び/又はコポリマー、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシアルキル セルロースとその誘導体、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHypromellose E5)とその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートとその誘導体、例えばセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリ酢酸ビニルとその誘導体、例えばポリビニルアセテートフタレート、シェラック、これらの誘導体及び混合物から選択されうる。特に好ましいポリマーは、エトキシル含量と分子量を変える等の異なるグレードのエチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えば、エチルセルロースN10、N20又はN45、Aquacoat(登録商標)ECD、Surelease(登録商標)、キトサン、シェラック、及びゼインである。
【0069】
例えば、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1(Eudragit(登録商標)NE)、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)NE 30D、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態;セルロースアセテートトリメリテート、例えばその有機ベースポリマー溶液の形態;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標)、セルロースアセテートフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばAquacoat(登録商標)CPD;ポリビニルアセテートフタレート、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばSureteric(登録商標)及びシェラック、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態も好ましく使用される。
さらに好ましく列挙されるのは、セルロースアセテートとその誘導体、例えばその有機ベースポリマー溶液及び/又はポリ酢酸ビニルとその誘導体及び/又はその水ベースポリマー分散液、例えばKollicoat(登録商標)SR 30Dである。
上記ポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のポリマーを併用してよい。
カチオン性基を有するEudragit(登録商標)RS、又はEudragit RL(登録商標)は、第3の層に存在するポリマーから除外される。
好ましい実施形態では、第3の層内に存在するポリマーは第1の層内に存在するポリマーと同一又は異なる。例えば、第1及び第2の層のポリマーが同一でよい。
【0070】
好ましくは、第3の層内に1種以上の可塑剤が存在する。可塑剤は、任意の遮断層に関連して既に述べた可塑剤から選択されうる。さらに好ましくは、可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコールから成る群より選択される。
好ましくは、第3の層内に1種以上の細孔形成剤が存在する。可能な細孔形成剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)、アルギン酸とその塩、例えばアルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、プロピレングリコール、及びアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ポビドン(例えばKollidon 17)、及びポリビニルアルコールである。
他の添加剤、例えば潤沢剤、付着防止剤、固化防止剤、充填剤などを使用しうる。
【0071】
本発明の制御放出システムの好ましい実施形態では、第3の層は、0.2〜3.0mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45) Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマーと、30〜300%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル )1:2:1)から成る群より選択される細孔形成剤と、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤とを含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0072】
本発明の制御放出システムのさらなる好ましい実施形態では、第3の層は、0.2〜3.0mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45) Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーと、10〜30%の量(w/w、乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤とを含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0073】
好ましくは、第3の層で使用するポリマーは、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル メチルセルロースフタレート、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択され、さらに好ましくはエチルセルロース及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択される。
出発コアの比表面積に基づく第3の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜10mg/cm2、特に0.7〜8.0mg/cm2、さらに特に0.8〜5.0mg/cm2の範囲内である。
【0074】
f)任意の第4の層
任意の第4の層は、好ましくは外側コーティング層でよい。例えばカプセル中に充填中のいずれの摩耗増加をも減らすため及び/又は貯蔵寿命を増やすため及び/又はさらなる拡散バリアとして役に立ちうる前記任意の最外層は、1種以上の医薬的に通常の皮膜形成剤を含むか又は前記皮膜形成剤から成り、かつ任意に賦形剤、特に好ましくは可塑剤と顔料を含んでよい。
摩耗増加を減らすため及び/又はさらなる拡散バリアとして役立ちうる適切な皮膜形成剤として、例えばアルギン酸アンモニウム、キトサン、マレイン酸クロルフェニラミン、コポビドン、フタレート、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セバシン酸ジブチル、乳酸エチル、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、ポリエチレンオキシド、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらポリマーの組合せ、例えばポリメタクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリビニルアセテートフタレート、クエン酸トリエチル、バニリン、シェラック、ゼイン、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0075】
特に好ましい皮膜形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらポリマーの組合せであり、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態で使用される。ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液;セルロースアセテートトリメリテート、例えばその有機ベースポリマー溶液;セルロースアセテートフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液、例えばAquacoate(登録商標)CPD;ポリビニルアセテートフタレート、例えばその水ベースポリマー分散液、例えばSureteric(登録商標)及びシェラック、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液も好ましいポリマーである。
これらの化合物は、有機ベース溶液若しくは分散液又は水ベース溶液若しくは分散液の形態で部分的に商業的に入手可能である。このような溶液又は分散液を製造することもできる。「有機ベース」及び「水ベース」系という表現は、使用する液体系中に主に存在する溶媒又は分散剤に関するものと解釈する。溶媒及び/又は分散剤の混合物をも含んでよい。
好適な可塑剤については既に述べたが、好ましくは、とりわけクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン又はポリエチレングリコールを使用する、使用する好ましい顔料は、例えば二酸化チタン又は酸化鉄顔料でよい。充填剤をも含んでよく、可能な充填剤については上述した。所望により、他の既知の添加剤が存在してよい。
【0076】
本発明の制御放出システムにおいて任意の第4の層を省くと特に好ましい。しかし、本発明の制御放出システムは、この第4の層が摩耗防止層として意図される場合は非機能性コーティングのタイプとして、或いは該層が拡散バリアとして意図される場合は機能性コーティングのタイプとして含むことができる。この文脈における用語「非機能性」は、制御放出システムの放出特性に何ら実質的な作用を及ぼさず、かつ該コーティングが別の有用な目的に役立つことを意味する。例えば、このようなコーティングは該剤形に独特の外観を付与し、充填及び輸送中の摩擦に対する保護を与え、飲み込み易さを向上させ、及び/又は他の利益を有しうる。制御放出システムを完全に覆うのに十分な量で非機能性コーティングを適用すべきである。全体として、典型的に制御放出システムの約1質量%〜約10質量%の量、さらに典型的には約2質量%〜約5質量%の量が適する。
第4の層が摩耗から薬品を保護するように意図される場合の本発明の好ましい実施形態では、この層は、0.2〜1.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーと、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤と、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤とを含む。
第4の層が追加の拡散バリアとして意図される場合の本発明の別の好ましい実施形態では、この層は、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)、Kollicoat(登録商標)EMM 30D、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーを0.2〜2.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)で含む。さらに、第4の層は、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤を含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0077】
第4の層が追加の拡散バリアとして意図される場合の本発明のさらなる好ましい実施形態では、この層は、0.2〜2.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーと、30〜300%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)から成る群より選択される細孔形成剤と、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤とを含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0078】
好ましくは、第4の層が追加の拡散バリアとして意図される場合、この層は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択され、さらに好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーを含み、最も好ましくは該ポリマーは、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55)である。
出発コアの比表面積に基づく第4の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜10mg/cm2、特に0.7〜8.0mg/cm2、さらに特に0.8〜5.0mg/cm2の範囲内である。
【0079】
好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.05〜5.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
0.1〜20mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内。
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.1〜3.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.5〜12mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
1〜18mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
【0080】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.15〜2.5mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1〜10mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
5〜15mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
【0081】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜2.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1.5〜8mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
7〜13mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内。
【0082】
最も好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜1.5mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
2〜6mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
8〜12mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内。
さらなる好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.05〜30.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
0.1〜20mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内。
【0083】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.1〜20.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.5〜12mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
1〜18mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.15〜15mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1〜10mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
5〜15mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内。
【0084】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1.5〜8mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
7〜13mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内。
最も好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜10mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
2〜6mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
8〜12mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内。
【0085】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシルプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、86〜88%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0086】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5);
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、86〜88%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0087】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0088】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5);
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0089】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0090】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5);
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0091】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜10.0mg/cm2の範囲で適用される、95〜100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)及び0〜5%(w/w)の?;
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、62〜86%(w/w)のEudragit(登録商標)RS、5〜20%(w/w)のクエン酸トリエチル、5〜10%のグリセロールモノステアレート及び4〜8%の硫酸ナトリウム;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、63〜72%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例えばHP 50(登録商標))、20〜25%(w/w)のポビドン(例えばKollidon 17)、4〜6%のグリセロールモノステアレート及び4〜6%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0092】
通常の既知の方法で本発明の制御放出システムを調製することができる。後述する以下の方法で制御放出システムを調製することができる。
pHモディファイヤーを含むコア材料は、例えば、使用する特定のpHモディファイヤーの結晶を含んでよく、或いはさらに有利には、所定量のpHモディファイヤーを含有する所望サイズの略球形の粒子を含み、かつ製薬技術で既知かつ確立されている方法で製造することができる。特に、パン法によって、又はペレット化プレート上で、又は押出し/球形化によって、コア材料を製造することができる。次に、このようにして得られたコア材料をふるいにかけて所望の直径のフラクションに分割することができる。適切なコア材料は、好ましくは0.4〜1.5mm、好ましくは0.5〜0.8mmの平均径を有する。
引き続き、コア材料に任意の遮断層を適用することができる。常法でこれを行うことができ、例えば、可塑剤、分離剤及び/又は顔料及び/又は他の適切な添加剤を添加してよい、水溶性の医薬的に許容しうるポリマーの水溶液又は水性分散液を流動床、コーティングパン又は通常の層コーティング装置内で適用することによって行うことができる。必要な場合、生成物を再びふるいにかけることができる。
その後、第1の層を適用することができる。常法でこれを行うことができ、例えば、任意に適切な添加剤を添加してよい、不水溶性の医薬的に許容しうるポリマーの溶液又は分散液(水ベース又は有機ベース)を流動床、コーティングパン又は通常の層コーティング装置内で適用することによって行うことができる。必要な場合、生成物を再びふるいにかけることができる。
次に、好ましくは結合剤を含有し、任意に分離剤及び/又は他の添加剤を含んでよい溶液又は分散液からフリバンセリンを適用することができる。このプロセス中かプロセス後に乾燥によって揮発性の溶媒又は分散剤を除去する。本発明の本プロセスで使用する溶媒又は分散剤は、例えば水、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はこれらの溶媒のと別の溶媒の混合物でよい。セチルアルコール、Nonoxynol 100、オレイン酸、ポリソルベート(ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、水酸化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビン酸などの乳化剤又は安定剤が存在してよい。
製薬技術で既知の確立した方法で、例えばコーティングパン、通常の層コーティング装置内で、又は流動床法によって、コア材料にフリバンセリンを適用することができる。次に、さらなるふるいプロセスを行うことができる。
引き続き、さらなる任意の(第2の)遮断層を第2の層上に与えることができる。前記遮断層は既に述べた通りに構成される。この遮断層は、第1の遮断層に加えて或いは二者択一的に存在しうる。
後に、製薬技術で既知かつ確立した方法で第3の層を製造することができる。常法でこれを行うことができ、例えば、任意に可塑剤及び/又は他の適切な添加剤を添加してよい、アニオン性若しくは非イオン性基を有する医薬的に許容しうるポリマーの分散液を流動床、コーティングパン又は通常の層コーティング装置内で適用することによって行うことができる。必要な場合、生成物を再びふるいにかけることができる。
【0093】
カプセル中への移動中の如何なる摩耗増加をも減らすため及び/又は貯蔵寿命を増やすため又はさらなる拡散バリアを加えるため、最後に制御放出システムを、好ましくは通常の医薬用の皮膜形成剤と、可塑剤と、任意的な顔料との被覆物(すなわち任意の第4の層)でコーティングすることができる。常法でこれを行うことができる。
本発明の制御放出システムは、いずれの大きさ及び形状のものでもよく、例えば、円形、楕円形、多角形又は枕形状でよく、かつ任意に非機能性表面標識を有しうる。
0.4〜1.5mmの平均径を有するコア材料を使用すると、上記プロセスによりフリバンセリンを含有する例えばペレットが生成し、これをカプセルに詰めることができる。これを行うため、所要用量に対応する数のこれらの単位を標準的なカプセル充填機でカプセルに詰めることができる。適切な硬カプセルとして、例えば、硬ゼラチンカプセル又はヒドロキシメチルセルロース(HPMC)の硬カプセルが挙げられる。或いは、これらの単位を適切な結合剤と共に圧縮して錠剤にすることができ、この錠剤は胃内で崩壊して該コーティングペレットを放出する。
錠剤又はカプセル剤を提供する場合、技術上周知のボトル又はブリスターにそれらを詰めてよい。このようなブリスターのうち、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン製のものでよい。アルミニウム-ブリスターも可能である。ボトルは、例えばポリプロピレン又はポリエチレン製でよい。他の通常の包装材料も可能である。
例えば、薬用量及び投与情報、禁忌、注意、薬物相互作用及び副作用などの関連情報を提供する添付文書を伴う容器に、例えばカプセル剤又は別の適切な剤形で存在する本発明の制御放出システムを詰めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の概略図を示す。
【図2a】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の作用を略図形式で示す。
【図2b】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の作用を略図形式で示す。
【図3】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の好ましい製造方法を説明する流れ図を示す。
【図4】本発明の持続放出製剤のin vitro溶解プロファイルを示す。
【図5】本発明の持続放出製剤のin vitro溶解プロファイルを示す。
【図6】本発明の制御放出システムの好ましい実施形態の断面拡大図を示す。
【図7】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程b)。
【図8】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程c)。
【図9】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程d)。
【図10】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程e)。
【図11】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程f)。
【図12】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.2工程d)。
【図13】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.2工程e)。
【図14】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.2工程f)。
【図15】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程b)。
【図16】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程c)。
【図17】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程d)。
【図18】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程e)。
【図19】実施例24でさらに完全に説明するように、1つの非修正放出剤形と比較した本発明の3つの異なる修正放出剤形のin vitro溶解プロファイルの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の概略図を示す。この剤形は、フリバンセリン20の形態の活性物質と、少なくとも1種のpH-依存性ポリマー10と、少なくとも1種の有機酸30の形態の1種以上のpHモディファイヤーと、少なくとも1種のpH-非依存性ポリマー40とを含むか又は本質的に前記成分から成る。明瞭さの目的のため、図1では添加剤を省いている。本発明の持続放出システムは、好ましくは錠剤化によって、成分をよく混合して所定形状に固定した複合体として定義しうるマトリックス型システムと考えられる。投与後に環境のpH値が変化するが、この成分の密接した混合物が、その中に含まれる活性物質フリバンセリン20の持続放出をもたらす。
【0096】
図2a及び2bは、経口投与後の本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の作用を略図形式で示す。図2aは、胃内(pH約1.2)の環境のような低pH媒体を示し、図2bは、小腸(pH5〜8)、十二指腸(pH4〜6.4)、空腸(pH4〜6.5)、回腸(pH6.5〜8)及び結腸(6〜7.5)のようなより高いpHの媒体を示す。
「D」は拡散層を表し、「DS」は薬物、この場合はフリバンセリンを表す。通常、2つの一般的な流れ方向が存在し、一方は、本発明の持続放出システム中に拡散する水性媒体、すなわち胃腸液の流れ方向で、他方は、持続放出システムから拡散する薬物の流れ方向である。薬物の溶解は通常、マトリックスの多孔度(ε)と薬物の溶解度(L)の関数である。マトリックスの多孔度と薬物の溶解度が上昇すると、薬物の溶解度が増すだろう。
図2aに示されるような低い、つまり酸性のpHの媒体内では(例えば胃)、存在する活性物質の溶解度が高いので、低い多孔度が望ましい。低pH内ではpH-依存性ポリマーは溶解せず、水性媒体と薬物の拡散バリアという意味をもつ。存在するpHモディファイヤーは酸性pHの媒体内ではあまり有効でない。
図2bに示されるような高いpHの媒体(例えば腸)は、薬物フリバンセリンの低い溶解度をもたらす。従って、この高いpHの媒体内でpH-依存性ポリマーが溶解してマトリックスシステムの高い多孔度につながるので、薬物の放出が増えるだろう。さらに、存在する酸が活性物質の溶解を補助する。
従って、上記持続放出マトリックスシステムの通常の放出能力が、pHに依存して溶解する薬物の実質的にpHに依存しない放出に到達する様式で変化する。
【0097】
図3については実施例で詳述する。
図4は、米国薬局方(United States Pharmacopeia)(USP)28の第711章に準拠し、溶解媒体の組成とpH以外(1〜4でpHを変えた)、同じ条件と設定を用いて行った実施例1bのin-vitro溶解試験を示す。0.5、1、2、3、6、9、12、15及び18時間後にサンプルを採取した。結果では、放出された薬物の平均量が全ての時点で両溶解媒体内で似通っていた。
図5は、米国薬局方(USP)28の第711章に準拠し、溶解媒体の組成とpH以外(1〜4でpHを変えた)、同じ条件と設定を用いて行った実施例1eのin-vitro溶解試験を示す。0.5、1、2、3、6、9、12、15及び18時間後にサンプルを採取した。結果では、放出された薬物の平均量が全ての時点で両溶解媒体内で似通っていた。
【0098】
図6は、本発明の制御放出システムの好ましい実施形態の断面拡大図を示す。好ましくはビーズ形/球形コア部10は1種以上の医薬的に許容しうる有機酸及び/又は塩基及び/又は緩衝液と任意の適切な賦形剤を含むか又は前記成分から成る。このコアの後、任意に、該コア10を次の層と隔離する層、いわゆる遮断層20を含んでよい。遮断層20、遮断層20がない場合はコア材料10が、順次、1種以上の不水溶性ポリマーと任意の賦形剤を含むか又は前記成分から成る第1の層30で包囲され、その上に活性物質層40が適用される。両層30及び40も好ましくは球形で、層40自体が、分子内にカチオン性基を持たない1種以上のポリマーと任意の賦形剤を含むか又は前記成分から成る第3の層50で包囲され、その上に、本発明の制御放出システムの耐摩耗性と貯蔵寿命を増やすか又は低pH値(例えばpH 1)における活性成分の放出を制御するための1種以上のコーティング60を備えうる。
さらに、図6では、胃液(pH約1)による本発明の制御放出システムの放出を概略的に表現している。例えば、該流体が、例えば弱塩基性でよい活性物質を溶解する製剤(a)中に浸透する。そして、第4の層(60)によって活性物質の放出速度が制御され、pHが6に向けて上昇する小腸中に活性物質が移動する。こうしてこの例では第4の層が溶解するだろう。従って、腸液がコアに浸透し、溶解しているpHモディファイヤーが第1の層(30)に浸透し、制御pH(B)で活性物質の溶解を高める。最後に、第3の層が薬物放出を制御する。
図7〜19については実施例で詳述する。
さて、以下の実施例で本発明を説明する。しかし、実施例及び説明は、例示としてのみ意図され、かつ本発明を限定するものとみなすべきでないことを明白に指摘しておく。
【実施例1】
【0099】
(本発明の持続放出システム)
以下、本発明の持続放出システムの好ましい製造方法を典型例として説明する。しかし、プロセス工程は、限定的性格のものと意図されない。
図3に示す流れ図で以下のプロセス工程を説明する。
以下の実施例の本発明の持続放出システムの調製は通常、下記7工程で行われる。
工程1):プレミクスチャーの調製;
工程2):圧縮用混合物の調製;
工程3):ローラー圧縮の実行;
工程4):アドミクスチャーの調製;
工程5):主混合物の調製;
工程7):錠剤の調製。
以下、各工程について詳述する。
1.プレミクスチャー
前もってふるいにかけた(ふるいサイズ0.5mm)活性物質フリバンセリン(200.00g)にコハク酸(100.00g)、ヒプロメロース(200.00g)及び微結晶性セルロース(215.00g)を加え、通常のブレンダー又はミキサーで5分間混合する。
【0100】
2.圧縮用混合物
前もってふるいにかけた(ふるいサイズ0.5mm)、上記工程1で得られたプレミクスチャーに、草本起源のステアリン酸マグネシウム(5.00g)を加え、通常のブレンダー又はミキサーで3分間混合する。
3.ローラー圧縮
上記工程2で得られた混合物を、当業者に既知のローラー圧縮プロセス工程に供する。
4.工程3で得られた圧縮混合物に、微結晶性セルロース(215.00g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(50.00g)と高分散二酸化ケイ素(ふるいサイズ0.5mmで前もってふるいにかけた;5.00g)を加えて5分間ブレンドする。得られた混合物を引き続きふるいにかける(ふるいサイズ0.8mm)。
5.主混合物
工程4で得られたアドミクスチャーを再びさらに5分間ブレンドする。
6.最終混合物
前もってふるいにかけた(ふるいサイズ0.5mm)、上記工程5で得られた主混合物に、草本起源のステアリン酸マグネシウム(10.00g)を加え、3分間ブレンドする。
7.錠剤
上記工程6で得られた最終混合物を適切な錠剤成形装置でプレス加工して所望錠剤を得る。インプロセスコントロール(IPC)を普通どおりに使用する。
上記プロセスに従って以下の錠剤を調製することができる。
【0101】
実施例1a:
【0102】
実施例1b:
【0103】
実施例1c:
【0104】
実施例1d:
【0105】
実施例1e:
【0106】
実施例1f:
【0107】
実施例1g:
【0108】
実施例1h:
【0109】
実施例1i:
【0110】
実施例1j:
【0111】
実施例1k:
【0112】
実施例1l:
【0113】
実施例1m:
【0114】
実施例1n:
【0115】
実施例1o:
【0116】
実施例1p:
【実施例2】
【0117】
〔本発明の制御放出システム〕
(実施例2.1)
以下、本発明の制御放出システムの好ましい方法を典型例として説明する。しかし、プロセス工程は、まったく限定的性格のものと意図されない。
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は通常、下記6工程で行われる。
工程a):pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):活性物質を含有する第2の層の調製;
工程d):第3の層の調製;
工程e):第4の層の調製;
工程f):カプセル中への充填。
以下、各工程について詳述する。
工程a) pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製
a1)1質量部のアラビアゴムを4質量部の精製水に50℃で撹拌しながら溶かし、次にこの溶液に撹拌しながら5質量部の酒石酸を溶かす。
空気入口と排気口を備えた適切なコーティング装置に、平均粒径が0.4〜0.6mmの8.3質量部の酒石酸の結晶を入れて容器を回転させる。空気入口の温度は60℃〜80℃である。酒石酸の結晶を酒石酸-アラビアゴムの溶液を用いて間欠操作で噴霧し、全部で3.7質量部の粉末酒石酸を散在させ、ほぼ球形の粒子を生成する。次に、回転容器内で60〜80℃の空気入口温度にて球形の酒石酸コア材料を乾燥させる。
0.6〜0.8mmの公称メッシュサイズを有する多孔プレートを備えたタングラーふるい分け機でコア材料を分別する。0.6〜0.8mmの生成物フラクションをその後の処理で使用する。
a2)酒石酸を含有するコア材料の単離
0.5部のヒプロメロースを10.1部の96%エタノールに溶かす。さらに0.01部のポリジメチルシロキサンと共に0.5部のタルクをヒプロメロース/エタノール溶液に撹拌しながら溶かす。この遮断用分散液を流動床処理プラント内で酒石酸コア(a1)上に噴霧し、床下噴霧法で空気入口温度35℃〜40℃にてヒプロメロース/タルク分散液で21質量部の酒石酸含有コア材料に噴霧する。この単離酒石酸含有コア材料を循環空気乾燥機内で40℃〜80℃にて8時間乾燥させる。塊を除去するため、乾燥単離酒石酸含有コア材料を公称メッシュサイズ1.0mmのふるいにかける。材料のフラクション(1mm未満の粒径)をさらに処理する。
【0118】
他の工程b)〜f)を図7〜11に示される流れ図で説明する。
工程b)第1の層の調製
図7に示されるように、上述した通りに調製したコア材料、例えば酒石酸を含有するコア材料で出発し、引き続き以下のように第1の層を調製した。
1.レーキ溶液の調製
イソプロピルアルコール(4730.00g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(45.00g)とエチルセルロースN10型(225.00g)を少しずつ加えて撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、得られたレーキ溶液を1500gの酒石酸スターターペレット(遮断されている)上に噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約45℃の空気入口温度で酒石酸ペレットにレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 2〜18g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約7時間
生成物温度 30〜40℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.0mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0119】
工程c)活性物質を含有する第2の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図8に示されるように、イソプロピルアルコール(1360.00g)を適切な反応容器に装填してからKlucel EF(結合剤;50.00g)とフリバンセリン(250.00g)を少しずつ加え、この溶液に撹拌しながらタルク(40.00g)を分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程b)で得られた生成物778g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置に生成物を入れた。約25℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 1〜10g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約5時間
生成物温度 20〜25℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0120】
工程d)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図9に示されるように、イソプロピルアルコール(421.70g)を適切な反応容器に装填してから精製水(74.42g)、クエン酸トリエチル(1.65g)、エチルセルロースN10型(16.50g)及びヒプロメロース(Methocel E5、16.50g)を少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得られた生成物1100g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約4時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0121】
工程e)第4の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図10に示されるように、イソプロピルアルコール(341.36g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(1.25g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(25.00g)及び精製水(46.550g)を少しずつ加えて撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、レーキ溶液にタルク(2.50g)を懸濁させた後、工程d)で得られた生成物1000.0g上に噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で25℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0122】
工程f)カプセル中への充填
図11に示されるように、活性物質を含有するある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得、引き続きカプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのようなサイズのカプセルに充填した。
いずれの工程の間又は後でも通常の内部プロセスコントロール(IPC)を利用した。
【0123】
(実施例2.2)
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は通常、下記6工程で行われる。
工程a):pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):フリバンセリンを含有する第2の層の調製;
工程d):遮断層の調製;
工程e):第3の層の調製;及び
工程f):カプセル中への充填。
実施例1で上述したのと同じプロセス工程a)、b)及びc)を行った。次に、プロセスを以下のように続けた。
工程d)遮断層
1.レーキ溶液の調製
図12に示されるように、精製水(466.88g)を適切な反応容器に装填してからヒプロメロース(Methocel E5)(22.00g)を70〜75℃の温度で少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を冷まして室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得られた生成物1100.0g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約40℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 1〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0124】
工程e)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図13に示されるように、イソプロピルアルコール(341.36g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(1.25g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(25.00g)及び精製水(46.55g)を少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、レーキ溶液にタルク(2.50g)を懸濁させた後、工程d)で得られた生成物1000.0g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で25℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0125】
工程f)カプセル中への充填
図14に示されるように、活性物質を含有するある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得、引き続きカプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのようなサイズのカプセルに充填した。
いずれの工程の間又は後でも通常の内部プロセスコントロール(IPC)を利用した。
【0126】
(実施例2.3)
以下、本発明の制御放出システムの好ましい方法を典型例として説明する。しかし、プロセス工程は、まったく限定的性格のものと意図されない。
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は通常、下記5工程で行われる。
工程a):pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):活性物質を含有する第2の層の調製;
工程d):第3の層の調製;
工程e):カプセル中への充填。
以下、各工程について詳述する。
工程a) pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製
a1)1質量部のアラビアゴムを4質量部の精製水に50℃で撹拌しながら溶かし、次にこの溶液に撹拌しながら5質量部の酒石酸を溶かす。
空気入口と排気口を備えた適切なコーティング装置に、平均粒径が0.4〜0.6mmの8.3質量部の酒石酸の結晶を入れて容器を回転させる。空気入口の温度は60℃〜80℃である。酒石酸の結晶を酒石酸-アラビアゴムの溶液を用いて間欠操作で噴霧し、全部で6.7質量部の粉末酒石酸を散在させて、ほぼ球形の粒子を生成する。次に、回転容器内で60〜80℃の空気入口温度にて球形の酒石酸コア材料を乾燥させる。
0.6〜0.8mmの公称メッシュサイズを有する多孔プレートを備えたタングラーふるい分け機でコア材料を分別する。0.6〜0.8mmの生成物フラクションをその後の処理で使用する。
a2)酒石酸を含有するコア材料の単離
1部のヒプロメロースを9部の水に90℃で分散させてから該分散液をさらに撹拌しながら20℃に冷却する。この遮断用溶液を流動床処理プラント内で酒石酸コア(a1)上に噴霧し、Wurster噴霧法で空気入口温度45℃〜49℃にてヒプロメロース溶液で1質量部の酒石酸含有コア材料に噴霧する。この単離酒石酸含有コア材料を循環空気乾燥機内で40℃にて12時間乾燥させる。塊を除去するため、乾燥単離酒石酸含有コア材料を公称メッシュサイズ1.0mmのふるいにかける。材料のフラクション(1mm未満の粒径)をさらに処理する。
【0127】
他の工程b)〜e)を図15〜19に示される流れ図で説明する。
工程b)第1の層の調製
図15に示されるように、上述した通りに調製したコア材料、例えば酒石酸を含有するコア材料で出発し、引き続き以下のように第1の層を調製した。
1.レーキ溶液の調製
精製水(1385.1g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(10.00g)、グリセロールモノステアレート(10.00g)、硫酸ナトリウム(8.83)及びEudragit(登録商標)RS 30D(666.67g)を少しずつ加えて撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、得られたレーキ溶液を1000gの酒石酸スターターペレット(遮断されている)上に噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約40〜48℃の空気入口温度で酒石酸ペレットにレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 90m3/時間
噴霧速度 2〜10g/分
噴霧圧 1.2バール、
ノズル径 1.0mm
噴霧時間 約7時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて24時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.0mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0128】
工程c)活性物質を含有する第2の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図16に示されるように、イソプロピルアルコール(1360.00g)を適切な反応容器に装填してからKlucel EF(結合剤;50.00g)とフリバンセリン(250.00g)を少しずつ加え、この溶液に撹拌しながらタルク(40.00g)を分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程b)で得られた生成物778g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置に生成物を入れた。約25℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 1〜10g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約5時間
生成物温度 20〜25℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0129】
工程d)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図17に示されるように、イソプロピルアルコール(33.09g)を適切な反応容器に装填してから精製水(7.79g)、クエン酸トリエチル(0.12g)、グリセロールモノステアレート(0.12g)、HP 50(登録商標)(1.80g)及びKollidon 17(登録商標)(0.60g)を少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得られた生成物30g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 500m3/時間
噴霧速度 0.3〜0.5g/分
噴霧圧 0.8バール、
ノズル径 0.3mm
噴霧時間 約2時間
生成物温度 22〜28℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0130】
工程e)カプセル中への充填
図18に示されるように、活性物質を含有するある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得、引き続きカプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのようなサイズのカプセルに充填した。
いずれの工程の間又は後でも通常の内部プロセスコントロール(IPC)を利用した。
【実施例3】
【0131】
各実施例1a、1k、2.1、2.2、2.3の修正放出製剤の溶解プロファイルを評価し、かつWO 03/097058(実施例3)に記載されている通りの即時放出製剤と比較した。
pH-センサーと滴定装置を備えた装置2(USP 30)で溶解試験を行った。550mlの下部リン酸緩衝水相と、その上を覆う100mlのn-オクタノールの上部親油相との二相溶解媒体に薬生成物をいれて、溶解試験の間じゅう該親油相内におけるシンク状態を助長する。装置2溶解容器内で37℃及び50rpmにて24時間、試験装置内における薬物放出を行う。各相についてUV-DAD分光光度計を用いてオンラインで薬物放出の定量化を行う。溶解試験中、適切な滴定システムを用いて3段階でpH値を調整する:段階1 pH2(1時間)、段階2 pH5.5(2+2時間)、段階3 pH6.8(19時間)。5Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH調整を行う。該薬生成物の、組み込まれたpHモディファイヤーと共同してpH5.5で活性成分を放出する能力を試験するため、段階2で低減したpH値(pH<5.5)を2時間後に初期値に再調整する。全ての溶解プロファイルは、水相と有機相に総合して全薬物が溶解したことを示す。
【0132】
データを図19に示す。活性成分が良い溶解度を示すpH2の最初の1時間の間、全ての実施例が耐えて用量ダンピングを防止した。対照的に、IR錠剤はpH2の最初の1時間の段階で20分以内に全用量を放出した。第2段階(pH5.5)の最初には、pH2(段階1)で水相に溶解していた活性成分の、オクタノール相への吸収が完了しないので、水相内の活性成分の溶解フラクションは、2から5.5へのpHの変化時に沈殿しやすい。この現象は、混合型の溶解/吸収試験においてIR錠剤で非常に顕著であるが、IR錠剤にとってin vivoでは関係ない。というのは、IR錠剤のAUCは胃内の低pHにおける早期の薬物放出によって決定されるからである。対照的に、有利な修正放出製剤は、特に活性成分の水溶性が不十分であるpH値(5.5〜6.8)において該プロトタイプによって制御される種々の薬物放出を示した。
【実施例4】
【0133】
健康なヒトボランティアでin vivo研究を行い、WO 03/097058(実施例3)に記載されている通りの即時放出フリバンセリン錠剤(フリバンセリンIR錠剤100mg)による参照治療との比較によって、絶食状態で実施例1b、2.1及び2.2並びに高脂肪/高カロリー食事後に実施例1b及び2.1の制御放出システム又は持続放出システムとして処方されたフリバンセリンのバイオアベイラビリティーを評価した。
研究は、オープンラベル、6ウェイ、ランダム化交差設計に従い、かつ21〜50歳の健康な男性及び女性対象で行った。
研究の過程で対象は、単一センターで行う6回の治療を受けた。全部で24名の対象を登録した。対象は、一晩絶食してから100mgの経口用量のフリバンセリンを受けるか又は高脂肪/高カロリーの標準的な朝食直後に100mgのフリバンセリンの単一経口用量を受けた。制御放出プロファイルの説明のため、72時間にわたって連続的な血液サンプルを取った。同72時間の間、副作用を記録した。
血漿中フリバンセリン濃度をHPLC-MS/MS法で定量し、1〜1000ng/mlのアッセイ範囲にわたって検証した。全ての実験は、較正規格及び品質管理について生物学的分析の合格基準を満たした。
非線形回帰プログラムWinNonlinTM(Professional, バージョン5.0.1, Pharsight Corporation, Mountain View, California)を用いて、ノンコーパートメント法でフリバンセリンの薬物動態パラメーターを見積もった。個々の血漿中濃度データと各対象から血液採取する実際の時点を分析で使用した。初期の時点における定量下限未満の血漿中濃度をゼロに設定し、終末相中の当該血漿中濃度を分析から除外した。
【0134】
結果:
実施例1bによる絶食状態(N=24)及び食事直後(N=24)の健康な男性と女性のボランティアへの100mgのフリバンセリン単一投与後、70ng/mL及び489ng/mLの最大フリバンセリン血漿中濃度に達した。絶食投与及び食後投与後の対応する全身曝露はそれぞれ1540ng・h/mL及び2380ng・h/mLだった。
報告された鎮静有害事象は、425ng/mLの最大血漿中濃度及び2130ng・h/mLの全身曝露であった即時放出錠剤による100mgのフリバンセリンの絶食投与に比べて有意に減少した。同様の結果が実施例2.2による摂食状態の健康な男性と女性のボランティア(N=23)への100mgのフリバンセリンの単一投与後に得られた(121ng/mLの最大血漿中濃度に達した)。対応する全身曝露は1670ng・h/mLだった。この場合もやはり、報告された鎮静有害事象は、即時放出錠剤による100mgのフリバンセリンの絶食投与に比べて有意に減少した。また、実施例2.1による摂食状態(N=24)及び食事直後(N=24)の健康な男性と女性のボランティアへの100mgのフリバンセリンの単一投与後、53ng/mLの最大血漿中濃度に達した。絶食投与及び食後投与後の対応する全身曝露はそれぞれ546ng・h/mL及び629ng・h/mLであり、即時放出錠剤による100mgのフリバンセリンの絶食投与と比較した場合、報告された鎮静有害事象は有意に減少した。
【技術分野】
【0001】
〔発明の分野〕
フリバンセリンの特に経口投与用の医薬放出システム、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
〔発明の背景〕
本発明は、フリバンセリンのようなpH-依存性水溶性を有する塩基性薬物の新規な医薬放出システムに関する。フリバンセリンは、化学表示1,3-ジヒドロ-1-[2-[4-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1-ピペラジニル]エチル]-2H-ベンゾイミダゾール-2-オンで表される、要約式C20H21F3N4Oを有する既知ベンゾイミダゾロン誘導体であり、既にEP-A-526 434でその塩酸塩の形態で1992年に開示され、下記化学式を有する。
【化1】
【0003】
フリバンセリンは、既知のポスト-スナプス性完全セロトニン(5-HT1A)アゴニスト及び5-HT2Aアンタゴニストである。従って、フリバンセリンは種々の疾患、例えばうつ病、精神分裂症、及び不安の処置用の有望な治療薬である。
フリバンセリンを含有する即時放出錠剤は(例えばWO 03/097058で開示されているように)良く耐えられるが、1日1回の投与計画が可能で、かつ副作用がさらに低減すれば、患者のコンプライアンスはずっと改善されるだろう。フリバンセリンのこのような医薬放出システムは患者の高いコンプライアンスという利点を有するのみならず、平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxを低減することによって、望ましくない副作用を引き起こす可能性を減らすことでも有利であろう。
酸性環境では、フリバンセリンのような化合物は通常非常によく水に溶けるが、中性又は塩基性環境では、これらの薬物は実用的に不溶性だろう。例えば、フリバンセリンは、0.1N HCl中で6.2mg/mlの溶解度を示し、0.05Mのリン酸緩衝液(pH 6.8)中では0.002mg/mlの溶解度を示す。塩基性化合物のこれらの物理化学的性質は、持続型放出剤形の開発を困難にする。生理流体のpHが典型的にほぼ1〜2である胃の酸性から中性のpH勾配があり、弱酸性の十二指腸を経て、実質的に中性環境の小腸までpHが5〜8の範囲内である。
【0004】
pH-非依存性膨潤ポリマーのみを含有する通常のシステムからのフリバンセリンの薬物放出は、小腸及び結腸内での遅いか又は不完全でさえある薬物放出に比べて胃内でずっと速いだろう。pH-依存性遅延ポリマーのみを含有する製剤は、これらのポリマーが一定のpHを超えるとその遅延作用をゆるめることから、持続的時間にわたって薬物放出できないだろう。例えば、Eudragit(登録商標)L 100-55は、5.5未満のpHで不溶性かつ不浸透性の皮膜を形成するが、小腸内ではより浸透性のゲル層を形成し、またアルギン酸は酸性環境内で不溶性ゲル層を形成するが、より高いpHでは可溶性のアルギン酸ナトリウムに変換される。結果として、pH-依存性水溶性の塩基性薬物に、胃腸管全体にわたって改良されたバイオアベイラビリティーを与えるであろう機能性賦形剤を見出すことも困難である。
【0005】
先行技術には、放出システムを提供するいくつかのアプローチがある。
例えば米国特許第4,792,452号は、塩基特性の医薬を環境のpHとは関係なく制御速度で放出する制御放出医薬製剤であって、基本的に塩基特性の医薬と、pH-依存性ポリマー(該製剤の約15〜約45質量%の量のアルギン酸の塩であって、このアルギン酸の塩は、1%の溶液中25℃で約4〜約500センチポアズの範囲内の粘度を有する)と、2%の溶液中20℃で約50〜約100,000センチポアズの範囲内の粘度を有するpH-非依存性ハイドロコロイドゲル化剤(該製剤の約3〜約35質量%の範囲内の量)と、結合剤とから成る医薬製剤を開示している。従って前記製剤はカルシウムイオンが無い。使用する薬物は、好ましくは、通常その塩酸塩の形態で調合されるベラパミルのようなカルシウムチャネルブロッカーである。
既に説明したように、経口投与後、制御放出医薬製剤中に存在するアルギネートは胃内でアルギン酸に変換され、特にカルシウムイオンの存在下では錠剤の周囲に不溶性ゲル層を形成する。従って、カルシウムイオンは明白に排除され、提案製剤の有用性を非常に制限する。
【0006】
さらに、米国特許第4,968,508号は、約0.1質量%〜約90質量%のセファクロルと、約5質量%〜約29質量%の親水性ポリマーと、約5.0〜約7.4の範囲内のpHで溶解する約0.5質量%〜約25質量%のアクリルポリマーとを含んでなる錠剤単位剤形の持続放出マトリックス製剤(但し、親水性ポリマーと前記アクリルポリマーの総質量は該製剤の30質量%未満である)に関する。活性物質は抗菌剤、つまりセファクロルである。すなわち、提案製剤は、非常に特異的な要件を有する酸性と塩基性の両官能基を有する両性イオンについて特別に設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を回避して、pH-非依存性放出プロファイルを与えてフリバンセリンのバイオアベイラビリティーを改善することができ、かつ望ましい薬物動態プロファイルを示す(例えば、1日1回の投与計画を許容し、及び/又は副作用を低減することによって)、改良された医薬放出システムを提供することである。さらに前記医薬放出システムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔発明の説明〕
本発明は、1日1回の投与に適し、即時放出製剤に比べて最大血漿中濃度を低減しながら、それでも活性成分の治療に適した曝露を維持する、好ましくは経口投与用の医薬放出システムに関する。
驚くべきことに、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムが1日1回の投与計画を可能にし、かつ副作用を低減することを見出した。
従って、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
別の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
別の実施形態では、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
【0010】
なおさらに、本発明の放出製剤は、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイル(実施例3)を有することを特徴とする。
好ましい実施形態では、本発明の放出製剤は、最後のパラグラフで述べる通りに溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ50%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ60%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも35%w/wかつ95%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とする。
上で与えた薬物動態及び溶解プロファイルは、指定した範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含する。
上記in vitro溶解プロファイルに従う医薬製剤は、本発明の薬物動態プロファイルを与える。
従って、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とする医薬放出システムを提供する。
【0011】
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
前記医薬放出システムが、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
前記医薬放出システムが、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システムを提供する。
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる医薬放出システムを提供する。
【0012】
さらに、本発明は、治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる、好ましくは経口送達可能な医薬放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを有することを特徴とし、かつ
絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる医薬放出システムを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、フリバンセリンが必要とされる状態又は障害を有する対象の治療方法であって、前記対象に1日1回、好ましくは経口で上記及び後述する放出システムの1つを投与する工程を含む方法を提供する。
さらに、本発明は、フリバンセリンが必要とされる状態又は障害を有する対象の治療用薬物製造のための上記及び後述する医薬放出システムの使用に関する。
本発明の意味内の治療的に有効な量又は医薬的に有効な量のフリバンセリンは、フリバンセリンが必要とされる状態又は障害の治療で治療利益を与える、1日の投薬量である。
本発明の範囲内の用語「平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax」は、血漿中濃度の時間プロファイルから決定した場合に個々の最大血漿中濃度から計算されるフリバンセリンの幾何平均最大血漿中濃度として定義される。
本発明の範囲内の用語「平均全身曝露」は、下記式に従って得られる個々の値から計算されるフリバンセリン血漿中濃度の時間プロファイル下の幾何平均全面積(AUC0-∞)として定義される。
【数1】
【0014】
C'tz=時間tz(定量限界を超える血漿中濃度の最終時点)における予測濃度
λz=濃度-時間プロファイルの定期の対数-線形薬物素因部分にわたってln(C)対時間の回帰から推定される見かけの定期速度定数
AUC0-tz=線形アップ/対数ダオウン法(linear up/log down method)で計算した場合の時点0から最後の定量可能な薬物血漿中濃度までの濃度-時間曲線下面積
【0015】
フリバンセリンのために選択される特定の医薬放出システムは、ここで定義した通りの薬物動態プロファイルを達成する限り重要でない。経口、舌下、局所又は直腸などのいずれの経路でフリバンセリンを投与してよい。しかし、経口投与が好ましい。フリバンセリンを投与するのに適した医薬放出システムとして、例えばパッチ、錠剤、カプセル剤、丸剤、ペレット剤、糖衣錠、散剤、トローチ剤、座剤などが挙げられる。好ましくは、本発明の医薬放出システムは錠剤、さらに好ましくはマトリックス錠剤、二層錠剤及びペレット剤である。
しかし、既に上述したように、フリバンセリンのような塩基性化合物の物理化学的性質は、当該in vivo化合物の溶解度が胃及び腸内の異なるpH値によって強く影響を受けることから、上記薬物動態基準を満たす持続放出剤形を開発するのを困難にする。
驚くべきことに、3種の機能性賦形剤の特有の組合せが、医薬フリバンセリン製剤のpH-非依存性放出プロファイルを有する持続放出システムを与えることを見出した。
【0016】
従って、本発明は、特に経口投与用の、pH-依存性の水溶性活性物質の医薬持続放出システムであって、以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成る医薬持続放出システムを提供する。
従って、活性物質のpH-非依存性バイオアベイラビリティーを大いに保証する、特に経口投与用の、フリバンセリンの持続放出システムが提供される。従って、本発明のフリバンセリンの持続放出製剤は、特に1〜5のpH範囲内でpH-非依存性薬物放出挙動を与える。これらの製剤は、機能性賦形剤として有機酸と、pH-依存性及びpH-非依存性の遅延ポリマーを含有する。
【0017】
本発明の発明者らは、pH-依存性ポリマーとpH-非依存性ポリマーの適切な組合せが、胃腸管の低部内における薬物、特にフリバンセリンの減少する溶解度の効果を平均化できることを見出した。結果として、驚くべきことに、pH環境が異なる胃腸管の異なる部分間に適したバランスを確立するための困難をうまく取り扱った。
さらに、持続放出システム内の微環境内で酸性pHを生じさせ、ひいては薬物の溶解度を高める有機酸の添加によって、高pHの放出媒体内においてフリバンセリンのような薬物放出の向上を達成することができる。
従って、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0018】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0019】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0020】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0021】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0022】
さらに、本発明は、医薬持続放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬持続放出システムを提供する。
【0023】
上述したような前記3種の機能性賦形剤を有する「持続放出システム」という表現で使用する場合の用語「システム」は、特に経口投与に適したいずれのタイプの製剤、調合剤又は医薬剤形をも含むその最も広い意味で解釈すべきである。持続放出システムは、ペレット剤、錠剤、マトリックス錠剤、二層錠剤又はミニ錠剤の形態でよい。本システムを直接、例えば錠剤の形態で投与してよく、又はカプセル剤のような別の剤形に詰めてよい。本発明の持続放出システムは、好ましくは錠剤又は二層錠剤の形態で提供される。
本発明の文脈では、用語「持続放出」は、「即時放出」に対比して解釈すべきである。活性成分は、経時的に時には遅く又は速く、徐々に、連続して遊離されるが、事実上、pH値に非依存性である。特に、この用語は、経口投与直後に該システムが活性成分の全用量を放出せず、かつ該製剤が投与頻度の低減を可能にすることを表す。
【0024】
以下、本発明の持続放出システムをさらに詳細に説明する。
持続放出システムの有機酸は、本発明の枠組みによって制限されず、医薬品で利用できるいずれの酸をも使用しうる。有機酸は、必ずしも固体又は固体の混合物の形態で使用されず、例えば、まず担体若しくは担体粒子上に有機酸を付着又はコーティングすることによって、液体又は液体の混合物の形態で有機酸を使用しうる。例えば、医薬製剤の製造で常用されている通常のコーティング方法、例えば流動床コーティング、パンコーティング等で付着又はコーティングを行うことができる。不活性な担体として、担体物質、例えばスクロース、ラクトース、デンプン、結晶性セルロース、コロイド二酸化ケイ素などの粒子が挙げられる。
医薬的に許容しうる有機酸は、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸(mucinic acid)、硝酸、オミチン(omithine)、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されうる。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。特に好ましくはアジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸、好ましくはコハク酸、酒石酸及びフマル酸である。
有機酸は、好ましくは0.25〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜35質量%、最も好ましくは1〜30質量%、特に5〜30質量%の量で存在する。
本明細書で与えられる値の範囲は、指定した通りの範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含することに注意すべきである。
【0025】
持続放出システムのpH-非依存性ポリマーは、本発明によって制限されず;環境のpH値に依存しない溶解特性を有するいずれの医薬的に許容しうるポリマーをも使用しうる。
本発明の1種以上のpH-非依存性ポリマーは、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;他の天然、半合成、又は合成の二糖、オリゴ糖及び多糖、例えばガラクトマンナン、トラガカント、アガー、ガーゴム、及びポリフルクタン(polyfructans);アンモニオメタクリレートコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せ;ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー、並びにその誘導体及び混合物;好ましくはセルロースエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばMethocelエーテルを含む。
本発明の用語「誘導体」は、基本系として述べた化合物から、例えば、1以上の官能基による置換によって誘導されるいずれの化合物をも包含することを意味する。これは、当業者の一般知識に属する。
pH-非依存性ポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のpH-非依存性ポリマーを併用してよい。pH-非依存性ポリマーは0.5〜75質量%、好ましくは1〜70質量%、さらに好ましくは2〜65質量%、特に5〜50質量%、最も好ましくは15〜30質量%の量で存在しうる。
【0026】
持続放出システムのpH-依存性ポリマーも本発明によって制限されない。pH-依存性溶解度を有するいずれの医薬的に許容しうるポリマーをも使用しうる。ポリマーの溶解性が好ましくは低pH媒体(約1〜2のpH)に比べて高いpHの媒体(約4より高いpH)内で良いという意味で、高pH媒体内で高い溶解度を有し、低pH媒体内で低い溶解度を有するポリマーが好ましい。
本発明のpH-依存性ポリマーは、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、アルギネート、カラギーナン、アカシア、キサンタンゴム、キチン誘導体、例えばキトサン、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、トリメリテート、例えばセルロースアセテートトリメリテート、シェラック並びにその誘導体及び混合物、好ましくはメタクリル酸コポリマー、例えばポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S)、及びアルギネート(例えばProtanal(登録商標))、最も好ましくはEudragit(登録商標)L及びProtanal(登録商標)を含む。
pH-依存性ポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のpH-依存性ポリマーを併用してよい。pH-依存性ポリマーは、0.25〜25質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、最も好ましくは2〜15質量%、特に3〜10質量%の量で存在しうる。
本発明で使用する場合、用語「1種以上」又は「少なくとも1種」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種の化合物を表し、或いはそれより多くの化合物さえ表す。好ましい実施形態は、1、2、又は3種の該化合物を含む。さらに好ましい実施形態は、1又は2種の該化合物を含み、なおさらに好ましくは、1種の該化合物を含む実施形態である。
【0027】
本発明の持続放出システムに含まれる医薬的に活性な物質はフリバンセリンである。フリバンセリンを遊離塩基の形態、又はそのいずれの既知の医薬的に許容しうる誘導体の形態、例えばその医薬的に許容しうる酸付加塩の形態及び/又は任意にその水和物及び/又は溶媒和物の形態でも使用しうる。適切な酸付加塩として、例えば、コハク酸、臭化水素酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、乳酸、リン酸、塩酸、硫酸、酒石酸及びクエン酸から選択される酸の当該酸付加塩が挙げられる。上記酸付加塩の混合物をも使用しうる。上記酸付加塩から、塩酸塩及び臭化水素酸塩、特に塩酸塩が好ましい。
フリバンセリンを遊離塩基の形態で使用する場合、特有の多形のフリバンセリンの遊離塩基を代表するフリバンセリン多形Aの形態で使用することが好ましい。多形A及びその製法は、その全開示を参照によって本明細書に引用したものとする国際公開第03/014079(A1)号に開示されている。
フリバンセリンは既知かつ投薬のタイプによって変わる各薬物の所望の薬理活性を示すのに適した量で含まれる。フリバンセリンは好ましくは医薬的に有効な量(0.01mg〜200mg、好ましくは0.1〜100mg又は0.1〜50mg)で存在するが、多くの因子、例えば、患者の年齢と体重、及び疾患の性質と段階によって左右されうる。これは当業者の能力の範囲内であると考えられ、かつ該成分に関する現存する文献を参考にして最適用量に到達することができる。1日に適用できる投与量範囲は0.1〜400、好ましくは1.0〜300、さらに好ましくは2〜200mgである。
好ましくは1日1回本発明の医薬放出システムを患者に投与する。しかし、必要な場合、本発明の製剤を、ある期間にわたって継続的に1日2回以上投与してよい。
例えば、ある期間にわたって継続的に、朝と夜、さらに好ましくは朝1回(25又は50mgのフリバンセリン)と夜1回(25又は50mgのフリバンセリン)、最も好ましくは夜だけ1回(50又は100mgのフリバンセリン)、薬用量を投与することができる。
本発明の持続放出システムでは、フリバンセリン含量は、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、最も好ましくは40質量%以下の量である。この範囲は、好ましくは2.5〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、さらに好ましくは10〜40質量%、最も好ましくは15〜30質量%である。
上で与えた用量は、指定範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含する。
【0028】
用語「フリバンセリンが必要とされる状態又は障害」は、フリバンセリンの全ての既知の適応症、好ましくは中枢神経系障害、特に情動障害(例えば、大うつ病性障害、小児うつ病、情緒異常、季節性情動障害、胸腺分泌障害(dysthymic disorder)及び軽うつ病性障害のようなうつ病;双極性障害)、不安(広場恐怖症を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害の経歴がない広場恐怖症、特有の恐怖症(単純恐怖症)、社会恐怖症(社会不安障害)、強迫性障害(OCD)、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全身性不安障害等及び他に特定されない不安障害)、睡眠及び性障害(例えば性的欲求低下障害(Hypoactive Sexual Desire Disorder)、月経前障害、例えば月経前不機嫌、月経前症候群、月経前気分障害(dysphoric disorder);性嫌悪障害、性刺激障害、オルガスム障害、性痛障害、例えば性交疼痛症、膣痙、非性交性痛障害;全身の健康状態に起因する性機能不全及び物質誘導性機能不全)、精神病、精神分裂症(解体型、緊張型、妄想型、未分化型、後遺症型の分裂症、分裂感情障害、分裂病様障害、妄想障害、短時間の精神異常、共有精神異常、全身の健康状態に起因する精神異常、物質誘導精神異常等及び他に特定されない精神異常)、人格異常、精神器質性障害、小児の精神障害、攻撃性、年齢に伴う記憶障害、神経保護、神経変性疾患並びに種々起源の脳虚血(例えば、てんかん、低血糖症、低酸素症、無酸素症、脳外傷、脳浮腫、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病、低血圧症、心筋梗塞、脳圧(高頭蓋内圧)、虚血性及び出血性発作(脳卒中)、心臓停止中の全脳虚血症、糖尿病性多発神経障害、耳鳴、周産期窒息、心臓肥大(心筋の肥厚化)及び心不全(心筋の軟弱);神経性拒食症(過食/瀉下型の神経性拒食症及び拘束型の神経性拒食症など)、注意欠陥多動障害(ADHD)(混合型ADHD、不注意優勢型ADHD、及び多動性・衝動性優勢型ADHDなど)、肥満症(外因性肥満症、過インシュリン性肥満症、過血漿性肥満症、過多骨端軟骨肥満症(hyperphyseal adiposity)、減血漿性肥満症、甲状腺機能低下肥満症、視床下部性肥満、症候性肥満症、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満症、性機能低下性肥満及び中心性肥満など)、尿失禁(過活動性膀胱症候群、緊急性、切迫尿失禁、ストレス尿失禁、混合型尿失禁など)、慢性疼痛(神経痛、糖尿病性神経障害、ヘルペス後神経痛(PHN)、手根管症候群(CTS)、HIV神経障害、幻肢痛、複合性局所疼痛症候群(CPRS)、三叉神経痛(trigeminal neuralgia)/三叉神経痛(trigeminus neuralgia)/三叉神経痛性チック、外科的介入(例えば術後鎮痛薬)、糖尿病性脈管障害、膵島炎に伴う毛細血管抵抗又は糖尿病性症状、狭心症に伴う疼痛、月経に伴う疼痛、癌に伴う疼痛、歯痛、頭痛、偏頭痛、三叉神経痛、顎関節症候群、筋膜痛筋肉傷害、線維筋痛、骨関節痛(骨関節炎)、リウマチ性関節炎、火傷に伴う外傷に起因するリウマチ性関節炎と浮腫;骨関節炎、骨粗しょう症、骨転移又は未知理由による捻挫又は骨折骨痛、痛風、結合組織炎、筋膜痛、胸部出口症候群、上背痛又は下背痛(上背痛は全身、局所、又は主棘疾患(神経根障害)から生じる;骨盤痛、心臓性胸痛、非心臓性胸痛、脊髄損傷(SCI)随伴疼痛、中心性脳卒中後疼痛、癌性神経障害、AIDS疼痛、鎌状赤血球痛及び老人性疼痛)、心臓弁膜症(心臓弁膜狭窄、弁逆流症、1つの弁の閉鎖症、僧帽弁逸脱など)、好ましくは性的欲求低下障害(HSDD)に苦しむ患者の治療における適応症を包含する。
【0029】
本発明の持続放出システムのポリマー、少なくとも1種のpH-依存性及び少なくとも1種のpH-非依存性ポリマーの選択は、所望の放出プロファイルを確立するためのフリバンセリンの放出に影響を及ぼす。存在する活性物質はpH-依存性溶解度を有するが、本発明の持続放出システムの放出プロファイルはpH値にほとんど非依存性であり、結果としてバイオアベイラビリティーが改善される。実際、異なる遅延ポリマーの組合せと有機酸の添加がpH-依存性の水溶性フリバンセリンの広範なpH-非依存性薬物放出(1〜5のpH範囲)をもたらす。
従って、上記本発明の持続放出システムは、フリバンセリンと、pH-依存性及びpH-非依存性遅延ポリマーと、有機酸とを含むか又は本質的に前記成分から成り、任意に、医薬製剤に適した添加剤、例えば賦形剤、担体、技術的アジュバント等を含んでよい。好ましい添加剤は、例えば充填剤、潤沢剤、流動促進剤、可溶化剤、染料、結合剤などである。
【0030】
好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 0.25〜25質量%
pH-非依存性ポリマー 0.5〜75質量%
有機酸 0.25〜40質量%
潤沢剤 0.1〜4質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
さらに好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 1〜20質量%
pH-非依存性ポリマー 1〜70質量%
有機酸 0.5〜3.5質量%
潤沢剤 0.2〜3.5質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
なおさらに好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 2〜15質量%
pH-非依存性ポリマー 2〜65質量%
有機酸 1〜30質量%
潤沢剤 0.25〜3質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
【0031】
なおさらに好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 3〜10質量%
pH-非依存性ポリマー 5〜50質量%
有機酸 5〜30質量%
潤沢剤 1〜3質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
特に好ましい実施形態により本発明の持続放出システムは以下の成分から成る。
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 3〜10質量%
pH-非依存性ポリマー 15〜30質量%
有機酸 5〜30質量%
潤沢剤 1〜3質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
特に断らない限り、指定するパーセンテージは常に質量パーセントである。
【0032】
従って、持続放出システム中に添加剤、例えば賦形剤、担体、技術的アジュバント、例えば潤沢剤、流動促進剤、顆粒化剤、固化防止剤、凝集抑制剤、付着防止剤、粘着防止剤、固着防止剤、調味料、噴霧剤、染料又は着色剤、保存剤、可塑剤、湿潤剤、甘味料、キレート化剤、安定剤、可溶化剤、酸化防止剤、充填剤、希釈剤などが存在しうる。これらの医薬的に許容しうる配合剤は、例えば製剤の製造、圧縮性、外観及び/又は風味を向上させるために存在する。技術上周知の他の通常の添加剤をも含んでよい。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
潤沢剤又は凝集抑制剤を用いて、例えばアッパ・パンチ(upper punch)の表面への付着(「ピッキング」)又はロア・パンチ(lower punch)の表面への付着(「スティッキング」)を防止することによって、製剤を形成する装置からの該剤形の遊離を促進できる。これらの材料は、付着防止又は流動促進特性をも有しうる。好ましい潤沢剤は、例えばステアリン酸並びにステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリルといったその塩、特にステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール(全てのタイプの異なる分子量のPEG)、フマル酸、グリセリド、例えばベヘン酸グリセリル(Compritol(登録商標)888)、Dynasan(登録商標)118又はBoeson(登録商標)VPである。
粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤又は流動性を改善するための薬剤を用いて、製造プロセス前及び製造プロセス中の粉末の流動特性を改善し、かつ固化を減らすことができる。この群の賦形剤のうち、典型例として二酸化ケイ素、特にコロイド二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標))、ステアリン酸並びにステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウム等のその塩及びタルクが挙げられる。好ましい流動促進剤は、コロイド二酸化ケイ素とタルクである。
【0033】
結合剤として、医薬品で常用されているいずれの結合剤をも使用できる。例として、アカシア、アガー、アルギン酸、カルボマー、カルメロースナトリウム、カラギーナン、セルロースアセテートフタレート、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポビドン、ポビドン、綿実油、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、マルトデキストリン、マルトース、セルロースとその誘導体、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒプロメロース(セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル)、デンプンとその誘導体、例えばα化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、トラガカント、ガーゴム、硬化植物油、イヌリン、ラクトース、グルコース、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリメタクリレート、ポリエチレングリコール、アルギネート、例えばアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、スクロース、ヒマワリ油、ゼイン並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される天然に存在するか又は部分的若しくは全体的に合成したポリマーが挙げられる。
特に好ましい結合剤は、アカシア、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せである。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
【0034】
存在しうるさらなる添加剤として、以下の非限定群を与える。
−保存剤、好ましくは抗菌性保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、安息香酸ナトリウム及びソルビン酸;
−甘味料、例えばアセサルフェームカリウム、アリテーム、アスパルテーム、圧縮糖、粉砂糖、デキストロース、エリトリトール、フルクトース、グリセリン、イヌリン、イソマルト(isomalt)、ラクチトール、液体グルコース、マルチトール、マルチトール溶液、マルトース、マンニトール、ネオスフェリジンジヒドロカルコーン(neospheridin dihydrochalcone)、ポリデキストロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、ソルビトール、スクラロース、スクロース、タウマチン、トレハロース、キシリトール;
−可溶化剤、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、塩化セチルピリジニウム、シクロデキストリン、レシチン、メグルミン、ポロキサマー、ポリエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、ポビドン、2-ピロリドン、炭酸水素ナトリウム、ソルビタンエステル、ステアリン酸、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及びビタミンE-TPGS;
−分離剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はケイ酸が働いて、製造プロセス中に粒子が凝集するのを防止する;及び
【0035】
−可塑剤は、通常、可塑剤のない持続放出システム中に好ましくは存在しない;しかし、まれなケースでは、例えば、シトレート、例えばクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、ヒマシ油、フタレート、例えばセルロースアセテートフタレート、フタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ヒプロメロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ジメチコン、ヤシ油、クロルブタノール、デキストリン、セバセート、例えばセバシン酸ジブチル、グリセリン、グリセリン誘導体、例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、アセチル化モノグリセリド、マンニトール、鉱油、ラノリンアルコール、パルミチン酸、2-ピロリドン、ソルビトール、ステアリン酸、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコール、並びにこれらの誘導体及び混合物から可塑剤を選択してよい。
−特に有用な顔料は、二酸化チタン、インジゴカルミン、酸化鉄顔料、例えば赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、並びにいくつかのアルミニウムレーキ及び黒色顔料、白色顔料、黄色顔料、サンセットイエロー、サンセットイエローレーキ、キノリンイエローレーキ等である。
【0036】
本発明の持続放出システムは、さらに、希釈又は充填特性を有する1種以上の賦形剤(充填剤又は希釈剤)を含みうる。充填剤又は希釈剤は、薬物用量自体が該剤形に必要なバルクを生じさせるのに不十分な場合に、このバルクを補うために設計される不活性な化合物である。
好適な充填剤は、例えば、ラクトース、特にラクトース一水和物、タルク、デンプンと誘導体、例えばα化デンプン、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、滅菌トウモロコシ、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、特に塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム又はリン酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、セルロースと誘導体、例えば粉末セルロース、微結晶性又はケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、糖と誘導体、例えば粉砂糖、フルクトース、スクロース、デキストレート、デキストリン、D-ソルビトールスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、トレハロース、マルトース、マルチトール、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、イヌリン、キシリトール、エリトリトール、イソマルト、カオリン及びラクチトールから選択される。
添加しうる可能なキレート化剤は、エデト酸、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、マルトール等である。
添加剤が複数の機能性を有するので、複数のタイプの添加剤に分類されうることは当然である。例えば、トウモロコシデンプン又はα化デンプンは、膨潤ポリマー、充填剤、流動促進剤などの複数の機能を同時に与えうる。しかし、当業者は、この複数の機能を知っており、かつその意図した用途に応じて添加剤を選択することができる。
【0037】
結果の持続放出システムを最後に、好ましくは医薬的に通常の皮膜形成剤及び任意的な添加剤の皮膜剤でコーティングしうる。常法でコーティングを行うことができる。コーティングは、薬物の味を隠し、例えば錠剤を容易に飲み込めるようにし、例えばカプセルに充填中の如何なる摩耗の上昇をも減らし、貯蔵寿命を増やすのに役立ち、及び/又はさらなる拡散バリアとして働き、場合によっては剤形の外観を向上させうる。
持続放出システムを、技術上周知の手順に従って糖衣コーティングするか、又は製剤化学者が頻繁に利用する多くのポリマー皮膜形成剤のいずれかでコーティングすることができる。適切な皮膜形成剤として、例えばアルギン酸アンモニウム、キトサン、マレイン酸クロルフェニラミン、コポビドン、フタレート、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ジブチル、乳酸エチル、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、ポリエチレンオキシド、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せ、例えばポリメタクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリビニルアセテートフタレート、クエン酸トリエチル、バニリン、シェラック並びにその誘導体及び混合物が挙げられる。
特に好ましい皮膜形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せである。好ましくは、ポリマーはポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート(Aquacoate(登録商標)CPD)、ポリビニルアセテートフタレート(Sureteric(登録商標))、及びシェラックである。
所望により、さらなる好適な添加剤、賦形剤、希釈剤、担体、技術的アジュバントが存在してよい。
【0038】
本発明の持続放出システムは当業者に周知の方法で調製され、例えば湿式顆粒化、直接圧縮又はローラー圧縮法を持続放出システムの製造に適用することができる。ローラー圧縮法が特に好ましい。
本発明の持続放出システムで使用するpH-依存性ポリマーをプロセスの異なる段階で製剤中に組み入れてよい。例えば微細粉末の形態でpH-非依存性ポリマーを所望通りの適切な賦形剤又は添加剤と共に活性物質及び一部又は全てのpH-依存性ポリマーに添加してよい。次に、これらの成分を完全に混合してプレミクスチャーを得、引き続き適切な装置で圧縮工程に供する。その後、さらなる粉末状添加剤を添加し、ふるいにかけて最終混合物を得、この混合物から錠剤をプレス加工することができる。
これとは別に、プレミクスチャーを得た後及び/又は圧縮が完了した後に全て又は一部のpH-依存性ポリマーを添加してもよい。当業者は、過度の負担なく、容易に製剤を製造することができる。
1つの即時放出層と、1つのフリバンセリンの持続放出層との二層錠剤を有することもできる。
【0039】
従って、本発明の主題は、医薬持続放出システムを摂取するための経口の、特に錠剤、例えば飲み込み用錠剤、二層錠剤、糖衣錠剤、コーティング錠剤、咀嚼錠剤、マトリックス錠剤、丸剤又はカプセル剤である。これらのうち、本発明では錠剤が最も好ましい。中でもコーティング錠剤及び/又は飲み込める錠剤が好ましい。
本発明の持続放出システムはいずれの適切な大きさ及び形状、例えば円形、楕円形、多角形又は枕形状でもよく、かつ任意に非機能表面標識を有してよい。
本発明の主題である持続放出システムが錠剤の場合、好ましくは錠剤は円形又は楕円形を有するであろう。その大きさは好ましくは円形の場合5mm〜12mmの直径であり、楕円形の場合6×12mm〜10×20mmであろう。その重さは好ましくは50〜1000mgであろう。
本発明の主題である持続放出システムがカプセル剤の場合、好ましくはカプセル剤は5〜0号のカプセルサイズのものであろう。そして、カプセルは顆粒の形態で医薬持続放出システムを含む。これらの顆粒はその化学的及び物理的組成物において錠剤のコアに相当するが、その大きさが錠剤のコアより小さい。
技術上周知のボトル又はブリスターに持続放出システムを詰めることができる。該ブリスターのうち、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン製のものである。アルミニウム-ブリスターも可能である。ボトルは、例えばポリプロピレン又はポリエチレン製でよい。任意に、シリカゲル等の乾燥剤又は分子ふるいをボトルに使用することができる。他の通常の包装材料も可能である。
例えば、薬用量及び投与情報、禁忌、注意、薬物相互作用及び副作用などの関連情報を提供する添付文書を伴う容器に本発明の持続放出システムを詰めることができる。
【0040】
本発明の持続放出システムの利点は多様である。
本発明の持続放出システムは、酸性環境内において活性物質の即時溶解及び放出を抑制できるが、腸液内では活性物質の連続的放出を確実に達成することができる。活性物質の所望の血中濃度を長時間実現できるので、望ましくない副作用を引き起こす可能性を低減する。
本発明の持続放出システムは、貯蔵時に十分安定した状態を保つ。製剤システムの投与後だけ、pHモディファイヤーが溶解して、活性物質が溶解しうる微環境を作り出す。
本発明により、弱塩基性で、かつpH1〜pH7.5の範囲でpH-依存性溶解特性を示すであろう活性物質フリバンセリンの事実上pH-非依存性の放出が提供される。すなわち、フリバンセリンは通常、酸性条件下で高い溶解度を有し、中性及び塩基性条件下で低い溶解度を有する。結果として、本発明はフリバンセリンの放出特性を変化させて、経口投与したとき胃腸管内のpHに依存しない有意に改良されたバイオアベイラビリティーをもたらす。
上述したような持続放出システムのみならず、後述する医薬制御放出システムも、本発明が定義する通りの薬物動態プロファイルを達成しうる。
【0041】
本発明のさらなる例として、制御放出システムの特有の強化が、所望の放出プロファイルを容易に制御かつ調整できるようにし、この処方原理はpH値から独立した放出プロファイルを与える。
従って、本発明は、フリバンセリンの投与、特に経口投与のための医薬制御放出システムであって、以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含んでなる医薬制御放出システムを提供する。
【0042】
従って、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0043】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0044】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0045】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0046】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0047】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0048】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び500〜5000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0049】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1300〜3000ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0050】
さらに、本発明は、医薬制御放出システムであって、実施例3で述べる方法で溶解を測定した場合、1時間で少なくとも1%w/wかつ60%w/w以下のフリバンセリンが放出され;4時間で少なくとも5%w/wかつ70%w/wまでのフリバンセリンが放出され;12時間で少なくとも30%w/wかつ100%w/wまでのフリバンセリンが放出されるようなin vitro溶解プロファイルを示し;絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満、好ましくは200ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax、及び1500〜2500ng・h/mLの平均全身曝露によって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示し;かつ以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むか又は前記pHモディファイヤーから成るコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含むか又は前記不水溶性ポリマーから成る、特に下層の保護のため及び/又は前記pHモディファイヤーの放出をさらに制御するための第1の層;
d)フリバンセリンを含むか又はフリバンセリンから成る第2の層;
e)アニオン性基又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る、好ましくはさらなる制御放出層に相当する第3の層;及び
f)任意的な第4の層(例えば、好ましくは胃内の放出を制御するための第2の制御放出外側コーティング又は非機能性コーティングの形態)
を含むか又は本質的に前記成分から成ることを特徴とする医薬制御放出システムを提供する。
【0051】
従って、フリバンセリンの特に経口投与のための制御放出システムであって、フリバンセリンのpH-非依存性バイオアベイラビリティーを大いに保証し、かつ望ましい薬物動態プロファイルを示す(例えば、1日1回の投与計画を可能にし及び/又は副作用を減らすことによって)制御放出システムが提供される。
本発明の枠組みでは、用語「制御放出」は「即時放出」に対比して解釈すべきであり、活性成分は、経時的に時には遅く又は速く、徐々に、連続して遊離されるが、pH値に非依存性である。特に、この用語は、経口投与直後に該システムが活性成分の全用量を放出せず、かつ該製剤がピーク血漿中濃度の低減及び/又は投与頻度の低減を可能にすることを表す。制御放出は、吸収側のpH及び/又はコアのpHモディファイヤーの最初に当てはまる方によって誘発されるpH-制御放出である。
「制御放出システム」という表現で使用する場合の用語「システム」は、本発明に必要な数の層を提供するいずれのタイプの製剤、調合剤又は医薬剤形をも含むその最も広い意味で解釈すべきである。制御放出システムは、ペレット剤、錠剤、マトリックス錠剤、ミニ錠剤、マイクロカプセル剤又は顆粒剤の形態でよい。本システムを直接投与してよく、或いは、カプセルなどの別の形態に詰め、又は適切な充填剤と共に圧縮して錠剤にすることができる。
制御放出システムの層の組合せの構造、組成及び強化が、先行技術の欠点を回避する放出システムの改良された制御を提供することを可能にする。
本発明の制御放出システムの製剤では、pHモディファイヤーがフリバンセリンから空間的に離れているので、貯蔵時に制御放出システムは安定状態を保ち、pHモディファイヤーとフリバンセリンとの間の望ましくない相互作用が防止される。本発明の制御放出システムの経口投与後だけ、pHモディファイヤーが溶解して、フリバンセリンが溶解しうる微環境を作り出す。
【0052】
以下、制御放出システムの任意な層及び不可欠な層について詳述する。
a)コア材料
コア材料は少なくとも1種のpHモディファイヤーを含む。本発明によってpHモディファイヤーは限定されず、pH値を修正できるいずれの既知の化学物質をも使用しうる。通常、1種以上の有機酸及び/又は有機塩基及び/又は緩衝液又はその混合物からpHモディファイヤーを選択することができる。pHモディファイヤーを選択してフリバンセリンの溶解度を制御する。すなわち、pHモディファイヤーのタイプの選択とpHモディファイヤーの量の調整がフリバンセリンの放出に影響を与え、或いはフリバンセリンの放出を誘発する。従って、pHモディファイヤーの選択は、使用する予定の活性物質に非常に左右される。pHモディファイヤーが、フリバンセリンのために調整すべきpHを制御し;先行技術と対照的に、本発明のpHモディファイヤーはいずれの外層の浸透性にも影響を及ぼさない。
有機酸、塩基又は緩衝液は、本発明の枠組みによって制限されず、医薬品で使用可能ないずれの酸、塩基又は緩衝液をも利用しうる。従って、pHモディファイヤーは、1種以上の医薬的に許容しうる有機酸、1種以上の医薬的に許容しうる塩基、1種以上の医薬的に許容しうる緩衝液、その誘導体及び混合物から成る群より選択される。
本発明で使用する場合、用語「1種以上」又は「少なくとも1種」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種の化合物を表し、或いはそれより多くの化合物さえ表す。好ましい実施形態は、1、2又は3種の該化合物を含む。さらに好ましい実施形態は、1又は2種の該化合物を含み、なおさらに好ましくは、1種の該化合物を含む実施形態である。
【0053】
pHモディファイヤーは固体又は液体形態でよい。必ずしもpHモディファイヤーを固体又は固体の混合物の形態で使用せず、例えば、pHモディファイヤーを担体若しくは担体粒子上に付着又はコーティングしてから該pHモディファイヤーを含有するコアを形成することによって、液体又は液体の混合物の形態でpHモディファイヤーを使用することができる。例えば、医薬製剤の製造で常用されている通常のコーティング方法、例えば流動床コーティング、パンコーティング等で付着又はコーティングを行うことができる。不活性な担体として、単体物質、例えばスクロース、ラクトース、デンプン、結晶性セルロース、リン酸カルシウム、二酸化ケイ素及びその誘導体などの粒子が挙げられる。
コアに含まれる医薬的に許容しうる有機酸及び/又は塩基は、好ましくは酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸、硝酸、オミチン、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されうる。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
【0054】
特に好ましい有機酸は、酢酸、アスコルビン酸、酒石酸、グルタル酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、アジピン酸及びコハク酸又はその組合せである。
誘導体、例えば酸の水和物又は塩として、アルカリ及びアルカリ土類塩又はアンモニウム塩などを使用しうる。好ましいタイプは、制御放出システムの意図した用途によって決まる。特に好ましくは、弱有機酸、例えばコハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、グルタル酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、又は乳酸の塩である。特に好適な塩は、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウムである。
緩衝液は、好ましくは1種以上の医薬的に許容しうるか又は適合性の緩衝液若しくは緩衝剤、例えばMcIlvaine緩衝液(例えばクエン酸リン酸緩衝液、pH 2.2〜7.0)、アンモニア溶液、炭酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、クエン酸一水和物、二塩基性リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム(例えばpH 5.0〜8.0)、ジエタノールアミン、リンゴ酸、一塩基性リン酸ナトリウム、モノエタノールアミン、グルタミン酸一ナトリウム、リン酸、クエン酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、トリエタノールアミン並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される。
使用するコア材料は、好ましくは任意に0〜50質量%、好ましくは0.1〜25質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、なおさらに好ましくは2〜8質量%、最も好ましくは3〜6質量%の適切な結合剤を添加した医薬的に許容しうるpHモディファイヤーである。
医薬的に許容しうるpHモディファイヤーの含量は、通常、コア材料中の30〜100質量%である。しかし、出発原料として純粋(100%)のpHモディファイヤーを使用することもでき、そうすると、十分狭い範囲の粒径を用いるという利点があるだろう。
本明細書で与えられる値の範囲は、指定した通りの範囲内の全ての数値、整数と分数の両方を明白に包含することに注意すべきである。与えられるパーセント数は、常に質量パーセント値である。質量パーセント値は、コア又はコーティング等の該剤形の個々の部分に関するパーセンテージを意味する。
【0055】
結合剤として、医薬品で常用されているいずれの結合剤をも使用できる。例として、アカシア、アガー、アラビアゴム、アルギン酸、カルボマー、カラギーナン、セラトニア、キトサン、粉砂糖、コポビドン、ポビドン、綿実油、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、マルトデキストリン、マルトース、セルロースとその誘導体、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ヒプロメロース(セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル)、セルロースアセテートフタレート、デンプンとその誘導体、例えばα化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、トウモロコシデンプン、ゼラチン、ベヘン酸グリセリル、ガーゴム、硬化植物油、イヌリン、ラクトース、グルコース、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、ポロキサマー、ポリカルボフィル、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、ポリメタクリレート、アルギネート、例えばアルギン酸ナトリウム、ステアリン酸、スクロース、ヒマワリ油、ゼイン並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される天然に存在するか又は部分的若しくは全体的に合成したポリマーが挙げられる。
本発明の用語「誘導体」は、基本系として述べた化合物から、例えば、1以上の官能基による置換によって誘導されるいずれの化合物をも包含することを意味する。これは、当業者の一般知識に属する。
特に好ましい結合剤は、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポビドン、トモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せである。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
【0056】
当然のことながら、医薬製剤に適した他の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバント、例えば潤沢剤、流動促進剤、流動性を高める薬剤、顆粒化剤、固化防止剤、凝集抑制剤、細孔形成剤、付着防止剤、粘着防止剤、固着防止剤、調味料、噴霧剤、染料又は着色剤、保存剤、可塑剤、希釈剤、湿潤剤、甘味料、崩壊剤、等張化剤(tonicity agent)、キレート化剤、安定剤、可溶化剤、酸化防止剤、充填剤、顔料なども存在しうる。これらの医薬的に許容しうる配合剤は、例えば製剤の製造、圧縮性、外観及び/又は風味を向上させるために存在する。技術上周知の他の通常の添加剤をも含んでよい。上記リストは限定的性格のものでなく、当業者はさらなる例に精通している。
球形でよいコア材料は、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.2〜2mm、最も好ましくは0.4〜1.5mmの平均粒径を有する。実際には、コーティングする予定のコアは、いずれの形態、例えば結晶、微粒子、ビーズ、錠剤、カプセル剤、丸剤、ペレット、顆粒、又は微細顆粒でもよい。
当該技術で一般に知られている方法、例えば直接プレス加工、押出し後、好ましくは丸みのある形状に成形、例えばプレート又はローターペレタイザーで湿式若しくは乾式顆粒化又はペレット化、或いは粉末の結合、例えば小球体(ノンパレイル)上の粉末層化によってコアを製造できる。
【0057】
b)任意の遮断/移動低減層
さらなる層の適用前に、水溶性の医薬的に許容しうるポリマーに基づくで遮断/移動低減層でコア材料をコーティングすることは、以下の2つの理由で有利であろう。
I)完成コア生成物の耐久性を高めるため。
II)pHモディファイヤーの移動を減らして、pHモディファイヤーと次の層(第1の層)との間の相互作用を制御するため(特に第1の層がEudragit(登録商標)RSを含む場合)。
このような水溶性ポリマーの例として、アラビアゴム、又は部分的若しくは全体的に合成のポリマー(アルキルセルロースとその誘導体、例えばメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー又は前記ポリマーの組合せ並びにこれらの誘導体及び混合物から選択される)が挙げられる。アカシアゴム又はヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましく使用される。所望により、この水溶性の医薬的に許容しうるポリマーによるコーティングを賦形剤、好ましくは1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料を添加して行うことができる。
典型的に列挙される可塑剤は、シトレート、例えばクエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、ヒマシ油、フタレート、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ジメチコン、ヤシ油、クロルブタノール、デキストリン、セバセート、例えばセバシン酸ジブチル、グリセリン、グリセリン誘導体、例えばグリセリンモノステアレート、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、アセチル化モノグリセリド、マンニトール、鉱油、ラノリンアルコール、パルミチン酸、2-ピロリドン、ソルビトール、ステアリン酸、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコール、並びにこれらの誘導体及び混合物である。使用しうる好ましい可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコールである。クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)及びプロピレングリコールが特に好ましい。
【0058】
典型的に列挙される分離剤は、タルク、ケイ酸及びグリセロールモノステアレートである。
特に有用な顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄顔料、並びにいくつかのアルミニウムレーキ及び黒色顔料、白色顔料、黄色顔料、サンセットイエロー、サンセットイエローレーキ、キノリンイエローレーキ等である。
所望により、他の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバントが存在してよい。
出発コアの比表面積に基づく任意の(第1の)遮断層の適用量は、I)の場合:0.05〜5.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3.0mg/cm2、さらに好ましくは0.15〜2.5mg/cm2、特に0.2〜2.0mg/cm2、さらに特に0.2〜1.5mg/cm2の範囲であり、II)の場合:0.1〜30.0mg/cm2、好ましくは0.2〜20mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜15mg/cm2、特に0.7〜12mg/cm2、さらに特に1〜10mg/cm2の範囲である。
【0059】
c)第1の層
コア層の上に直接、或いは任意の遮断層又はコア層若しくは遮断層の上に適用され、かつ好ましくは所望の制御放出を支援するための制御層として働く別の中間層の上に第1の層を与える。さらに、第1の層は、その下の層、特にコア材料の保護層としても役に立ちうる。第1の層は不水溶性ポリマーを基礎とする。不水溶性ポリマーは、本発明によって限定されない。いずれのタイプの医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーをも使用できる。用語「不水溶性」により、該化合物が室温で0.1mg/ml未満の水中溶解度を有するものと解釈することができる。
好ましくは、第1の層に含まれる不水溶性ポリマーは、アクリル及び/又はメタクリルポリマー(そのアルキル部分に低含量の四級アンモニウム基、例えばトリメチルアンモニウム基を含有しうる)、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、及びポリ酢酸ビニル並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択される。
好ましくは、不水溶性ポリマーは、四級アンモニウム基を含有しうるアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のポリマー又はコポリマー、例えばアンモニオ(メタ)アクリル酸コポリマーを含みうる。好ましい例は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル及びトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーである。該アクリルポリマーは、不水溶性コポリマー(ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.1、Rhom Pharma、Germany製)、Eudragit(登録商標)RSという名で、例えばコーティングに使用可能なその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)RS 30Dで入手可能である。別のアクリルポリマーはEudragit(登録商標)RSと同一成分から成るが、異なるモル比を有する(Eudragit(登録商標)RL:ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド;1:2:0.2)、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態のEudragit(登録商標)RL、例えばEudragit(登録商標)RL 30Dでよい。四級アンモニウムの存在が、フリバンセリンの放出のためにイオンの相互作用を利用するようである。この相互作用を、クロリドより四級アンモニウム基に向けて高い誘引力を示すアニオンに対してEudragit(登録商標)RS又はRLの元の対カチオン(クロリド)を交換する有利な方法でさらに変えることができる(R. Grutzmann、Thesis 2005、University of Tubingen、Germany、“Zum Mechanismus der Anionenwirkung auf die Permeabilitat kationischer Polymethacrylatuberzuge”)。この効果を、再び述べないが、本発明でポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)を使用するいずれの工程でも有利な方法で使用することができる。如何なる理論にも拘泥されないが、コアから放出された溶媒和アニオンと第1の層のカチオン性四級アンモニウムイオンとの間の相互作用が起こる、イオン誘導輸送が生じると想定される。放出速度は、とりわけ、アニオン種と存在するアニオン/カチオンの比に左右される。
例えば、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1(Eudragit(登録商標)NE)、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)NE 30D、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;及びエチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばエチルセルロースN10、N20若しくはN45、Aquacoate(登録商標)ECD、及びSurelease(登録商標)も好ましく使用される。
さらに好ましくは、酢酸セルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液の形態及び/又はポリ酢酸ビニル、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばKollicoat(登録商標)SR 30Dが挙げられる。
【0060】
言及したポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のポリマーを併用してよい。不水溶性(コ)ポリマー又は(コ)ポリマーの混合物の選択は、所望の放出プロファイルを確立するためのフリバンセリンの放出に影響を及ぼす。フリバンセリンはpH-依存性溶解度を有するが、pH値に依存しない放出プロファイルを調整することができ、結果としてバイオアベイラビリティーを改善する。放出システムのさらなる構造によっては、プロファイルをさらに調整することができる。例えば、使用する不水溶性ポリマーの粘度を高めると、フリバンセリンの放出の遅延が増しうる(例えば、エチルセルロースはN10→N20→N40と粘度が高くなる)。
【0061】
限定するものではないが、可塑剤、流動促進剤、粘着防止剤、界面活性剤、顔料及び他の着色剤及び/又は細孔形成剤といった他の添加剤は、層全体の70%の量まで存在しうる。添加剤及びその量は使用するポリマーによって決まるが、当業者の一般知識に属する。好ましくは、1種以上の可塑剤、特に既に述べた当該可塑剤が存在する。好ましく使用される可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ヤシ油、グリセリン、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコールである。
従って、有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー溶液若しくは分散液を用いてスターターコア上に噴霧して第1の層を得ることができる。前記溶液又は分散液は、好ましくは上述したような1種以上の不水溶性ポリマーと、好ましくは賦形剤を含むか又はそれらから成る。例えば、可塑剤があるか無いか、固化防止剤があるか無いか、細孔形成剤及び/又は溶媒及び/又はビヒクルがあるか無いかでよい。
【0062】
粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤又は流動性を改善するための薬剤を用いて、製造プロセス前及び製造プロセス中の粉末の流動特性を改善し、かつ固化を減らすことができる。潤沢剤と凝集抑制剤を用いて、例えばアッパ・パンチの表面への付着(「ピッキング」)又はロア・パンチの表面への付着(「スティッキング」)を防止することによって、製剤を形成する装置からの該剤形の遊離を促進できる。この群の賦形剤のうち、典型例としてホウ酸、ケイ酸カルシウム、セルロース、特に粉末セルロース、コロイド二酸化ケイ素(例えばAerosil(登録商標)、Cab-O-Sil(登録商標))、DL-ロイシン、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、二酸化ケイ素、デンプン、三塩基性リン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル(例えばCompritol(登録商標)888)、酸化マグネシウム、鉱油、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、硬化油、例えば硬化植物油(例えばSterotex(登録商標))、硬化ヒマシ油、カオリン、(軽)鉱油、キャノーラ油、トリグリセリド、例えば中鎖トリグリセリド、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、ベンゾエート、例えば安息香酸ナトリウム又は安息香酸カリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ステアリン酸及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛といった塩、グリセロールモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、マクロゴル(macrogol)、例えばマクロゴル400又は6000、ポリオキシ-40-ステアレート、ワックス等が挙げられる。
【0063】
可能な界面活性剤は、レシチン、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、スクロース脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホネート、スルホコハク酸エステル塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸アンモニウム、及び他の硫酸アルキル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及び他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、ココアンフォグリシネート(coco ampho glycinate)、アルキルポリグリコシド、例えばオクチルグルコシド及びデシルマルトシド、セチルアルコール、オレイルアルコール及びコカミド又はその混合物である。
第1の層の全量に基づく界面活性剤の適用量は、0〜10質量%、好ましくは0.5〜5.0質量%、さらに好ましくは1〜3質量%の範囲である。
可能な細孔形成剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)、アルギン酸及びアルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウムといったその塩、プロピレングリコール、及びアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ポビドン、及びポリビニルアルコールである。
出発コアの比表面積に基づく第1の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.5〜12mg/cm2、さらに好ましくは1.0〜10mg/cm2、特に1.5〜8.0mg/cm2、さらに特に2.0〜6.0mg/cm2の範囲である。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、第1の層は、2.0〜4.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)RS、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマーと、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤と、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤とを含む。
適用層の量に基づいてフリバンセリンの放出を制御することもできる。例えば、適用量を増やせば、遅延効果が増すだろう。しかし、層厚を増やすことは、コストを高くし、かつ適用形態の重量を増やすので望ましくない。さらに、フリバンセリン/賦形剤の比が好ましくなく、患者のコンプライアンスが不十分になるだろう。結果として、使用する層の組成と構造で放出を制御するのが良い方法である。
【0065】
d)第2の層
第2の層はフリバンセリンを含む。持続放出システムについて既に述べたのと同じ疾患の治療のため、フリバンセリンを含有する制御放出システムを使用することができる。
持続放出システムに関しては、所望の薬理活性を示すために適した量でフリバンセリンが含まれる。1日に適用可能な用量範囲及び投与計画も持続放出システムについてと同じである。
好ましいフリバンセリン含量は、制御放出システム全体の60%以下、好ましくは50%以下である。
特に断らない限り、指定パーセンテージは常に質量パーセントである。
活性物質層はフリバンセリンのみならず、好ましくは1種以上の結合剤を含み、及び/又は任意に1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含みうる。制御放出システムについて解釈する場合、用語「賦形剤」又は「添加剤」又は「アジュバント」は、本発明の制御放出システムに1以上の機能性を与えるため、医薬品で使用しうるいずれの既知の適切な補助化合物をも意味するものとする。
例えば、適切な結合剤は、コア材料に関して述べた当該結合剤でよい。セルロースとその誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、シェラック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標)、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらのポリマーの組合せ、例えばポリメタクリレート、デンプンとその誘導体、糖、酢酸ビニル又はこれらのポリマーの組合せ及びその誘導体が好ましく使用される。最も好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース又はN-ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマーが使用される。
適切な分離剤、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム又はケイ酸の添加は、製造プロセス中に粒子が凝集するのを防止するのに役立つ。
結合剤と分離剤に加えて、第2の層は種々の他の通常の添加剤、賦形剤、担体、技術的アジュバント、例えば充填剤、希釈剤、潤沢剤、流動促進剤、流動性を改善するための薬剤、細孔形成剤、付着防止剤、粘着防止剤、調味料、保存剤、甘味料、崩壊剤、染料などをも組み入れることができる。上記リストは限定的性格のものでなく、技術上周知の他の通常の添加剤をも含めることができる。
【0066】
存在しうるさらなる添加剤として、以下の非限定群を与える。
−保存剤、好ましくは抗菌性保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、安息香酸ナトリウム及びソルビン酸;
−甘味料、例えばアセサルフェームカリウム、アリテーム、アスパルテーム、圧縮糖、粉砂糖、デキストロース、エリトリトール、フルクトース、グリセリン、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、液体グルコース、マルチトール、マルトース、マンニトール、ネオスフェリジンジヒドロカルコーン、ポリデキストロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、ソルビトール、スクラロース、スクロース、タウマチン、トレハロース、キシリトール;
−崩壊剤、例えばアルギン酸とその塩、例えばアルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸マグネシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、キトサン、コロイド二酸化ケイ素、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、ドクサートナトリウム、ガーゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、特に低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、ポビドン、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、特にα化デンプン、及びトウモロコシデンプン。
好適な充填剤は、例えば、ラクトース、特にラクトース一水和物、タルク、ヒマワリ油、トラガカント、デンプンと誘導体、例えばα化デンプン又は滅菌トウモロコシデンプン、アルギネート、例えばアルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸二カルシウム又はリン酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、セルロースと誘導体、例えば微結晶性又はケイ化微結晶性セルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、糖と誘導体、例えば粉砂糖、フルクトース、スクロース、デキストレート、デキストリン、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、デキストロース、ポリデキストロース、トレハロース、マルトース、マルチトール、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトール、イヌリン、キシリトール、エリトリトール、フマル酸、グルセリルパルミトステアレート、タブレトース、硬化植物油、イソマルト、カオリン、ラクチトール、トリグリセリド、特に中鎖トリグリセリド、ポリメタクリレート、及びシメチコン並びにこれらの誘導体又は混合物から選択される。
【0067】
添加剤が複数の機能性を有するので、複数のタイプの添加剤に分類されうることは当然である。例えば、トウモロコシデンプン又はα化デンプンは、膨潤ポリマー、充填剤、流動促進剤などの複数の機能を同時に与えうる。しかし、当業者は、この複数の機能を知っており、かつその意図した用途に応じて添加剤を選択することができる。添加剤の選択は、種々の因子、例えば所望の適用分野、剤形などによって決まる。当業者は、このような要件を知っている。
出発コアの比表面積に基づく第2の層の適用量は、0.1〜20mg/cm2、好ましくは1.0〜18mg/cm2、さらに好ましくは5.0〜15mg/cm2、特に7.0〜13mg/cm2、さらに特に8.0〜12.0mg/cm2の範囲内である。
本発明の制御放出システムの代替実施形態によれば、フリバンセリンを含有する第2の層上に適用する任意の遮断層を与えることもできる。上述した第1の遮断層に加えて、或いは第1の遮断層と二者択一的に前記遮断層を与えることができる。第2の遮断層は、第1の遮断層について既に上述したのと同じ構造と組成を有しうる。
出発コアの比表面積に基づく任意の(第2の)遮断層の適用量は、0.05〜5.0mg/cm2、好ましくは0.1〜3.0mg/cm2、さらに好ましくは0.15〜2.5mg/cm2、特に0.2〜2.0mg/cm2、さらに特に0.2〜1.5mg/cm2の範囲である。
【0068】
e)第3の層
制御放出外側コーティング層でありうる第3の層は、アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上のポリマーを含むか又は前記ポリマーから成る。このポリマーは本発明によって制限されない。アニオン性又は非イオン性基を有するいずれのタイプの医薬的に許容しうるポリマーをも使用しうる。
第3の層に含まれるアニオン性又は非イオン性基を有するポリマーは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸又はその誘導体(四級アンモニウム基のようなカチオン性基を持たず、特にトリメチルアンモニウムン-エチル基が無い)を含むポリマー及び/又はコポリマー、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシアルキル セルロースとその誘導体、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHypromellose E5)とその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートとその誘導体、例えばセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ポリ酢酸ビニルとその誘導体、例えばポリビニルアセテートフタレート、シェラック、これらの誘導体及び混合物から選択されうる。特に好ましいポリマーは、エトキシル含量と分子量を変える等の異なるグレードのエチルセルロース、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えば、エチルセルロースN10、N20又はN45、Aquacoat(登録商標)ECD、Surelease(登録商標)、キトサン、シェラック、及びゼインである。
【0069】
例えば、ポリ(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル)2:1(Eudragit(登録商標)NE)、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばEudragit(登録商標)NE 30D、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態;セルロースアセテートトリメリテート、例えばその有機ベースポリマー溶液の形態;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばHP 55(登録商標)又はHP 50(登録商標)、セルロースアセテートフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態、例えばAquacoat(登録商標)CPD;ポリビニルアセテートフタレート、例えばその水ベースポリマー分散液の形態、例えばSureteric(登録商標)及びシェラック、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態も好ましく使用される。
さらに好ましく列挙されるのは、セルロースアセテートとその誘導体、例えばその有機ベースポリマー溶液及び/又はポリ酢酸ビニルとその誘導体及び/又はその水ベースポリマー分散液、例えばKollicoat(登録商標)SR 30Dである。
上記ポリマーを単独で使用してよく、或いは2種以上のポリマーを併用してよい。
カチオン性基を有するEudragit(登録商標)RS、又はEudragit RL(登録商標)は、第3の層に存在するポリマーから除外される。
好ましい実施形態では、第3の層内に存在するポリマーは第1の層内に存在するポリマーと同一又は異なる。例えば、第1及び第2の層のポリマーが同一でよい。
【0070】
好ましくは、第3の層内に1種以上の可塑剤が存在する。可塑剤は、任意の遮断層に関連して既に述べた可塑剤から選択されうる。さらに好ましくは、可塑剤は、アセチル化モノグリセリド、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、及びプロピレングリコールから成る群より選択される。
好ましくは、第3の層内に1種以上の細孔形成剤が存在する。可能な細孔形成剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)、アルギン酸とその塩、例えばアルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、プロピレングリコール、及びアルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ポビドン(例えばKollidon 17)、及びポリビニルアルコールである。
他の添加剤、例えば潤沢剤、付着防止剤、固化防止剤、充填剤などを使用しうる。
【0071】
本発明の制御放出システムの好ましい実施形態では、第3の層は、0.2〜3.0mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45) Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されるポリマーと、30〜300%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル )1:2:1)から成る群より選択される細孔形成剤と、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤とを含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0072】
本発明の制御放出システムのさらなる好ましい実施形態では、第3の層は、0.2〜3.0mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45) Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーと、10〜30%の量(w/w、乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤とを含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0073】
好ましくは、第3の層で使用するポリマーは、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル メチルセルロースフタレート、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択され、さらに好ましくはエチルセルロース及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択される。
出発コアの比表面積に基づく第3の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜10mg/cm2、特に0.7〜8.0mg/cm2、さらに特に0.8〜5.0mg/cm2の範囲内である。
【0074】
f)任意の第4の層
任意の第4の層は、好ましくは外側コーティング層でよい。例えばカプセル中に充填中のいずれの摩耗増加をも減らすため及び/又は貯蔵寿命を増やすため及び/又はさらなる拡散バリアとして役に立ちうる前記任意の最外層は、1種以上の医薬的に通常の皮膜形成剤を含むか又は前記皮膜形成剤から成り、かつ任意に賦形剤、特に好ましくは可塑剤と顔料を含んでよい。
摩耗増加を減らすため及び/又はさらなる拡散バリアとして役立ちうる適切な皮膜形成剤として、例えばアルギン酸アンモニウム、キトサン、マレイン酸クロルフェニラミン、コポビドン、フタレート、例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セバシン酸ジブチル、乳酸エチル、アルキルセルロースとその誘導体、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとその誘導体、例えばヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セルロースアセテートフタレート、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール(異なる分子量の全てのタイプのPEG)、ポリエチレンオキシド、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらポリマーの組合せ、例えばポリメタクリレート、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、ポリビニルアセテートフタレート、クエン酸トリエチル、バニリン、シェラック、ゼイン、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0075】
特に好ましい皮膜形成剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アクリル酸とメタクリル酸及びそのエステルのポリマーとコポリマー、又はこれらポリマーの組合せであり、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液の形態で使用される。ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液;セルロースアセテートトリメリテート、例えばその有機ベースポリマー溶液;セルロースアセテートフタレート、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液、例えばAquacoate(登録商標)CPD;ポリビニルアセテートフタレート、例えばその水ベースポリマー分散液、例えばSureteric(登録商標)及びシェラック、例えばその有機ベースポリマー溶液又は水ベースポリマー分散液も好ましいポリマーである。
これらの化合物は、有機ベース溶液若しくは分散液又は水ベース溶液若しくは分散液の形態で部分的に商業的に入手可能である。このような溶液又は分散液を製造することもできる。「有機ベース」及び「水ベース」系という表現は、使用する液体系中に主に存在する溶媒又は分散剤に関するものと解釈する。溶媒及び/又は分散剤の混合物をも含んでよい。
好適な可塑剤については既に述べたが、好ましくは、とりわけクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン又はポリエチレングリコールを使用する、使用する好ましい顔料は、例えば二酸化チタン又は酸化鉄顔料でよい。充填剤をも含んでよく、可能な充填剤については上述した。所望により、他の既知の添加剤が存在してよい。
【0076】
本発明の制御放出システムにおいて任意の第4の層を省くと特に好ましい。しかし、本発明の制御放出システムは、この第4の層が摩耗防止層として意図される場合は非機能性コーティングのタイプとして、或いは該層が拡散バリアとして意図される場合は機能性コーティングのタイプとして含むことができる。この文脈における用語「非機能性」は、制御放出システムの放出特性に何ら実質的な作用を及ぼさず、かつ該コーティングが別の有用な目的に役立つことを意味する。例えば、このようなコーティングは該剤形に独特の外観を付与し、充填及び輸送中の摩擦に対する保護を与え、飲み込み易さを向上させ、及び/又は他の利益を有しうる。制御放出システムを完全に覆うのに十分な量で非機能性コーティングを適用すべきである。全体として、典型的に制御放出システムの約1質量%〜約10質量%の量、さらに典型的には約2質量%〜約5質量%の量が適する。
第4の層が摩耗から薬品を保護するように意図される場合の本発明の好ましい実施形態では、この層は、0.2〜1.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、Eudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーと、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤と、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤とを含む。
第4の層が追加の拡散バリアとして意図される場合の本発明の別の好ましい実施形態では、この層は、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)、Kollicoat(登録商標)EMM 30D、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーを0.2〜2.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)で含む。さらに、第4の層は、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤を含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0077】
第4の層が追加の拡散バリアとして意図される場合の本発明のさらなる好ましい実施形態では、この層は、0.2〜2.5mg/cm2の量(ポリマー又はポリマー混合物の乾燥物質として計算)の、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース(N10、N20又はN45)、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーと、30〜300%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポビドン(例えばKollidon 17)及びEudragit(登録商標)E(ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2-ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)1:2:1)から成る群より選択される細孔形成剤と、10〜30%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリントリアセテート(トリアセチン)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコールから成る群より選択される可塑剤とを含み、かつ任意に、0〜20%の量(w/w、層の乾燥ポリマー/ポリマー-混合物質に基づいて)の、グリセロールモノステアレート、タルク又はポリエチレングリコールから成る群より選択される粘着防止剤、固着防止剤又は流動促進剤を含んでよい。
【0078】
好ましくは、第4の層が追加の拡散バリアとして意図される場合、この層は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択され、さらに好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);及び/又はこれらの混合物から成る群より選択されるポリマーを含み、最も好ましくは該ポリマーは、ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55)である。
出発コアの比表面積に基づく第4の層の適用量は、0.1〜15mg/cm2、好ましくは0.2〜12mg/cm2、さらに好ましくは0.5〜10mg/cm2、特に0.7〜8.0mg/cm2、さらに特に0.8〜5.0mg/cm2の範囲内である。
【0079】
好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.05〜5.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
0.1〜20mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内。
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.1〜3.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.5〜12mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
1〜18mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
【0080】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.15〜2.5mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1〜10mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
5〜15mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
【0081】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜2.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1.5〜8mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
7〜13mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内。
【0082】
最も好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜1.5mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
2〜6mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
8〜12mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内。
さらなる好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.05〜30.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
0.1〜20mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.1〜15mg/cm2の範囲内。
【0083】
さらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.1〜20.0mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
0.5〜12mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
1〜18mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内。
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.15〜15mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1〜10mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
5〜15mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.5〜10mg/cm2の範囲内。
【0084】
なおさらに好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜12mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
1.5〜8mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
7〜13mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.7〜8mg/cm2の範囲内。
最も好ましい実施形態によれば、本発明の制御放出システムは、存在する層の適用量が、出発コアの比表面積に基づいて以下の通りであることを特徴とする。
−任意の(第1の)遮断層:
0.2〜10mg/cm2の範囲内;
−第1の層:
2〜6mg/cm2の範囲内;
−第2の層:
8〜12mg/cm2の範囲内;
−第3の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内、及び
−任意の第4の層:
0.8〜5mg/cm2の範囲内。
【0085】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシルプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、86〜88%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0086】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5);
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、86〜88%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0087】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0088】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5);
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0089】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、46〜48.5%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)、46〜48.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)及び3〜5.5%(w/w)のクエン酸トリエチル、
−第4の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0090】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、48〜50%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)、48〜50%(w/w)のタルク及び0.1〜1.5%の消泡剤(例えばDimeticon 350);
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、82〜84%(w/w)のエチルセルロース(例えばエチルセルロースN10)及び16〜18%(w/w)のクエン酸トリエチル;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第2の遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜1.5mg/cm2の範囲で適用される、100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばヒプロメロースE5);
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、70〜72%(w/w)のEudragit(登録商標)L 100-55、15〜20%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、8〜10%(w/w)のタルク及び3〜5%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0091】
さらなる好ましい実施形態では、上記適用量を有する制御放出システムの層は以下の成分を含み、好ましくは以下の成分から成る:
−任意の(第1の)遮断層:出発コアの比表面積に基づいて0.2mg/cm2〜10.0mg/cm2の範囲で適用される、95〜100%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばPharmacoat 603)及び0〜5%(w/w)の?;
−第1の層:出発コアの比表面積に基づいて2mg/cm2〜6mg/cm2の範囲で適用される、62〜86%(w/w)のEudragit(登録商標)RS、5〜20%(w/w)のクエン酸トリエチル、5〜10%のグリセロールモノステアレート及び4〜8%の硫酸ナトリウム;
−第2の層:出発コアの比表面積に基づいて8mg/cm2〜12mg/cm2の範囲で適用される、13.5〜15.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel EF)、72〜75%(w/w)のフリバンセリン及び11〜13%(w/w)のタルク;
−第3の層:出発コアの比表面積に基づいて0.8mg/cm2〜5mg/cm2の範囲で適用される、63〜72%(w/w)のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(例えばHP 50(登録商標))、20〜25%(w/w)のポビドン(例えばKollidon 17)、4〜6%のグリセロールモノステアレート及び4〜6%(w/w)のクエン酸トリエチル。
【0092】
通常の既知の方法で本発明の制御放出システムを調製することができる。後述する以下の方法で制御放出システムを調製することができる。
pHモディファイヤーを含むコア材料は、例えば、使用する特定のpHモディファイヤーの結晶を含んでよく、或いはさらに有利には、所定量のpHモディファイヤーを含有する所望サイズの略球形の粒子を含み、かつ製薬技術で既知かつ確立されている方法で製造することができる。特に、パン法によって、又はペレット化プレート上で、又は押出し/球形化によって、コア材料を製造することができる。次に、このようにして得られたコア材料をふるいにかけて所望の直径のフラクションに分割することができる。適切なコア材料は、好ましくは0.4〜1.5mm、好ましくは0.5〜0.8mmの平均径を有する。
引き続き、コア材料に任意の遮断層を適用することができる。常法でこれを行うことができ、例えば、可塑剤、分離剤及び/又は顔料及び/又は他の適切な添加剤を添加してよい、水溶性の医薬的に許容しうるポリマーの水溶液又は水性分散液を流動床、コーティングパン又は通常の層コーティング装置内で適用することによって行うことができる。必要な場合、生成物を再びふるいにかけることができる。
その後、第1の層を適用することができる。常法でこれを行うことができ、例えば、任意に適切な添加剤を添加してよい、不水溶性の医薬的に許容しうるポリマーの溶液又は分散液(水ベース又は有機ベース)を流動床、コーティングパン又は通常の層コーティング装置内で適用することによって行うことができる。必要な場合、生成物を再びふるいにかけることができる。
次に、好ましくは結合剤を含有し、任意に分離剤及び/又は他の添加剤を含んでよい溶液又は分散液からフリバンセリンを適用することができる。このプロセス中かプロセス後に乾燥によって揮発性の溶媒又は分散剤を除去する。本発明の本プロセスで使用する溶媒又は分散剤は、例えば水、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はこれらの溶媒のと別の溶媒の混合物でよい。セチルアルコール、Nonoxynol 100、オレイン酸、ポリソルベート(ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、水酸化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビン酸などの乳化剤又は安定剤が存在してよい。
製薬技術で既知の確立した方法で、例えばコーティングパン、通常の層コーティング装置内で、又は流動床法によって、コア材料にフリバンセリンを適用することができる。次に、さらなるふるいプロセスを行うことができる。
引き続き、さらなる任意の(第2の)遮断層を第2の層上に与えることができる。前記遮断層は既に述べた通りに構成される。この遮断層は、第1の遮断層に加えて或いは二者択一的に存在しうる。
後に、製薬技術で既知かつ確立した方法で第3の層を製造することができる。常法でこれを行うことができ、例えば、任意に可塑剤及び/又は他の適切な添加剤を添加してよい、アニオン性若しくは非イオン性基を有する医薬的に許容しうるポリマーの分散液を流動床、コーティングパン又は通常の層コーティング装置内で適用することによって行うことができる。必要な場合、生成物を再びふるいにかけることができる。
【0093】
カプセル中への移動中の如何なる摩耗増加をも減らすため及び/又は貯蔵寿命を増やすため又はさらなる拡散バリアを加えるため、最後に制御放出システムを、好ましくは通常の医薬用の皮膜形成剤と、可塑剤と、任意的な顔料との被覆物(すなわち任意の第4の層)でコーティングすることができる。常法でこれを行うことができる。
本発明の制御放出システムは、いずれの大きさ及び形状のものでもよく、例えば、円形、楕円形、多角形又は枕形状でよく、かつ任意に非機能性表面標識を有しうる。
0.4〜1.5mmの平均径を有するコア材料を使用すると、上記プロセスによりフリバンセリンを含有する例えばペレットが生成し、これをカプセルに詰めることができる。これを行うため、所要用量に対応する数のこれらの単位を標準的なカプセル充填機でカプセルに詰めることができる。適切な硬カプセルとして、例えば、硬ゼラチンカプセル又はヒドロキシメチルセルロース(HPMC)の硬カプセルが挙げられる。或いは、これらの単位を適切な結合剤と共に圧縮して錠剤にすることができ、この錠剤は胃内で崩壊して該コーティングペレットを放出する。
錠剤又はカプセル剤を提供する場合、技術上周知のボトル又はブリスターにそれらを詰めてよい。このようなブリスターのうち、ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン製のものでよい。アルミニウム-ブリスターも可能である。ボトルは、例えばポリプロピレン又はポリエチレン製でよい。他の通常の包装材料も可能である。
例えば、薬用量及び投与情報、禁忌、注意、薬物相互作用及び副作用などの関連情報を提供する添付文書を伴う容器に、例えばカプセル剤又は別の適切な剤形で存在する本発明の制御放出システムを詰めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の概略図を示す。
【図2a】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の作用を略図形式で示す。
【図2b】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の作用を略図形式で示す。
【図3】本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の好ましい製造方法を説明する流れ図を示す。
【図4】本発明の持続放出製剤のin vitro溶解プロファイルを示す。
【図5】本発明の持続放出製剤のin vitro溶解プロファイルを示す。
【図6】本発明の制御放出システムの好ましい実施形態の断面拡大図を示す。
【図7】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程b)。
【図8】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程c)。
【図9】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程d)。
【図10】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程e)。
【図11】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.1工程f)。
【図12】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.2工程d)。
【図13】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.2工程e)。
【図14】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.2工程f)。
【図15】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程b)。
【図16】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程c)。
【図17】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程d)。
【図18】本発明の制御放出システムの好ましい製造方法を説明する流れ図を示す(実施例2.3工程e)。
【図19】実施例24でさらに完全に説明するように、1つの非修正放出剤形と比較した本発明の3つの異なる修正放出剤形のin vitro溶解プロファイルの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の概略図を示す。この剤形は、フリバンセリン20の形態の活性物質と、少なくとも1種のpH-依存性ポリマー10と、少なくとも1種の有機酸30の形態の1種以上のpHモディファイヤーと、少なくとも1種のpH-非依存性ポリマー40とを含むか又は本質的に前記成分から成る。明瞭さの目的のため、図1では添加剤を省いている。本発明の持続放出システムは、好ましくは錠剤化によって、成分をよく混合して所定形状に固定した複合体として定義しうるマトリックス型システムと考えられる。投与後に環境のpH値が変化するが、この成分の密接した混合物が、その中に含まれる活性物質フリバンセリン20の持続放出をもたらす。
【0096】
図2a及び2bは、経口投与後の本発明の持続放出システムの好ましい実施形態の作用を略図形式で示す。図2aは、胃内(pH約1.2)の環境のような低pH媒体を示し、図2bは、小腸(pH5〜8)、十二指腸(pH4〜6.4)、空腸(pH4〜6.5)、回腸(pH6.5〜8)及び結腸(6〜7.5)のようなより高いpHの媒体を示す。
「D」は拡散層を表し、「DS」は薬物、この場合はフリバンセリンを表す。通常、2つの一般的な流れ方向が存在し、一方は、本発明の持続放出システム中に拡散する水性媒体、すなわち胃腸液の流れ方向で、他方は、持続放出システムから拡散する薬物の流れ方向である。薬物の溶解は通常、マトリックスの多孔度(ε)と薬物の溶解度(L)の関数である。マトリックスの多孔度と薬物の溶解度が上昇すると、薬物の溶解度が増すだろう。
図2aに示されるような低い、つまり酸性のpHの媒体内では(例えば胃)、存在する活性物質の溶解度が高いので、低い多孔度が望ましい。低pH内ではpH-依存性ポリマーは溶解せず、水性媒体と薬物の拡散バリアという意味をもつ。存在するpHモディファイヤーは酸性pHの媒体内ではあまり有効でない。
図2bに示されるような高いpHの媒体(例えば腸)は、薬物フリバンセリンの低い溶解度をもたらす。従って、この高いpHの媒体内でpH-依存性ポリマーが溶解してマトリックスシステムの高い多孔度につながるので、薬物の放出が増えるだろう。さらに、存在する酸が活性物質の溶解を補助する。
従って、上記持続放出マトリックスシステムの通常の放出能力が、pHに依存して溶解する薬物の実質的にpHに依存しない放出に到達する様式で変化する。
【0097】
図3については実施例で詳述する。
図4は、米国薬局方(United States Pharmacopeia)(USP)28の第711章に準拠し、溶解媒体の組成とpH以外(1〜4でpHを変えた)、同じ条件と設定を用いて行った実施例1bのin-vitro溶解試験を示す。0.5、1、2、3、6、9、12、15及び18時間後にサンプルを採取した。結果では、放出された薬物の平均量が全ての時点で両溶解媒体内で似通っていた。
図5は、米国薬局方(USP)28の第711章に準拠し、溶解媒体の組成とpH以外(1〜4でpHを変えた)、同じ条件と設定を用いて行った実施例1eのin-vitro溶解試験を示す。0.5、1、2、3、6、9、12、15及び18時間後にサンプルを採取した。結果では、放出された薬物の平均量が全ての時点で両溶解媒体内で似通っていた。
【0098】
図6は、本発明の制御放出システムの好ましい実施形態の断面拡大図を示す。好ましくはビーズ形/球形コア部10は1種以上の医薬的に許容しうる有機酸及び/又は塩基及び/又は緩衝液と任意の適切な賦形剤を含むか又は前記成分から成る。このコアの後、任意に、該コア10を次の層と隔離する層、いわゆる遮断層20を含んでよい。遮断層20、遮断層20がない場合はコア材料10が、順次、1種以上の不水溶性ポリマーと任意の賦形剤を含むか又は前記成分から成る第1の層30で包囲され、その上に活性物質層40が適用される。両層30及び40も好ましくは球形で、層40自体が、分子内にカチオン性基を持たない1種以上のポリマーと任意の賦形剤を含むか又は前記成分から成る第3の層50で包囲され、その上に、本発明の制御放出システムの耐摩耗性と貯蔵寿命を増やすか又は低pH値(例えばpH 1)における活性成分の放出を制御するための1種以上のコーティング60を備えうる。
さらに、図6では、胃液(pH約1)による本発明の制御放出システムの放出を概略的に表現している。例えば、該流体が、例えば弱塩基性でよい活性物質を溶解する製剤(a)中に浸透する。そして、第4の層(60)によって活性物質の放出速度が制御され、pHが6に向けて上昇する小腸中に活性物質が移動する。こうしてこの例では第4の層が溶解するだろう。従って、腸液がコアに浸透し、溶解しているpHモディファイヤーが第1の層(30)に浸透し、制御pH(B)で活性物質の溶解を高める。最後に、第3の層が薬物放出を制御する。
図7〜19については実施例で詳述する。
さて、以下の実施例で本発明を説明する。しかし、実施例及び説明は、例示としてのみ意図され、かつ本発明を限定するものとみなすべきでないことを明白に指摘しておく。
【実施例1】
【0099】
(本発明の持続放出システム)
以下、本発明の持続放出システムの好ましい製造方法を典型例として説明する。しかし、プロセス工程は、限定的性格のものと意図されない。
図3に示す流れ図で以下のプロセス工程を説明する。
以下の実施例の本発明の持続放出システムの調製は通常、下記7工程で行われる。
工程1):プレミクスチャーの調製;
工程2):圧縮用混合物の調製;
工程3):ローラー圧縮の実行;
工程4):アドミクスチャーの調製;
工程5):主混合物の調製;
工程7):錠剤の調製。
以下、各工程について詳述する。
1.プレミクスチャー
前もってふるいにかけた(ふるいサイズ0.5mm)活性物質フリバンセリン(200.00g)にコハク酸(100.00g)、ヒプロメロース(200.00g)及び微結晶性セルロース(215.00g)を加え、通常のブレンダー又はミキサーで5分間混合する。
【0100】
2.圧縮用混合物
前もってふるいにかけた(ふるいサイズ0.5mm)、上記工程1で得られたプレミクスチャーに、草本起源のステアリン酸マグネシウム(5.00g)を加え、通常のブレンダー又はミキサーで3分間混合する。
3.ローラー圧縮
上記工程2で得られた混合物を、当業者に既知のローラー圧縮プロセス工程に供する。
4.工程3で得られた圧縮混合物に、微結晶性セルロース(215.00g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(50.00g)と高分散二酸化ケイ素(ふるいサイズ0.5mmで前もってふるいにかけた;5.00g)を加えて5分間ブレンドする。得られた混合物を引き続きふるいにかける(ふるいサイズ0.8mm)。
5.主混合物
工程4で得られたアドミクスチャーを再びさらに5分間ブレンドする。
6.最終混合物
前もってふるいにかけた(ふるいサイズ0.5mm)、上記工程5で得られた主混合物に、草本起源のステアリン酸マグネシウム(10.00g)を加え、3分間ブレンドする。
7.錠剤
上記工程6で得られた最終混合物を適切な錠剤成形装置でプレス加工して所望錠剤を得る。インプロセスコントロール(IPC)を普通どおりに使用する。
上記プロセスに従って以下の錠剤を調製することができる。
【0101】
実施例1a:
【0102】
実施例1b:
【0103】
実施例1c:
【0104】
実施例1d:
【0105】
実施例1e:
【0106】
実施例1f:
【0107】
実施例1g:
【0108】
実施例1h:
【0109】
実施例1i:
【0110】
実施例1j:
【0111】
実施例1k:
【0112】
実施例1l:
【0113】
実施例1m:
【0114】
実施例1n:
【0115】
実施例1o:
【0116】
実施例1p:
【実施例2】
【0117】
〔本発明の制御放出システム〕
(実施例2.1)
以下、本発明の制御放出システムの好ましい方法を典型例として説明する。しかし、プロセス工程は、まったく限定的性格のものと意図されない。
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は通常、下記6工程で行われる。
工程a):pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):活性物質を含有する第2の層の調製;
工程d):第3の層の調製;
工程e):第4の層の調製;
工程f):カプセル中への充填。
以下、各工程について詳述する。
工程a) pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製
a1)1質量部のアラビアゴムを4質量部の精製水に50℃で撹拌しながら溶かし、次にこの溶液に撹拌しながら5質量部の酒石酸を溶かす。
空気入口と排気口を備えた適切なコーティング装置に、平均粒径が0.4〜0.6mmの8.3質量部の酒石酸の結晶を入れて容器を回転させる。空気入口の温度は60℃〜80℃である。酒石酸の結晶を酒石酸-アラビアゴムの溶液を用いて間欠操作で噴霧し、全部で3.7質量部の粉末酒石酸を散在させ、ほぼ球形の粒子を生成する。次に、回転容器内で60〜80℃の空気入口温度にて球形の酒石酸コア材料を乾燥させる。
0.6〜0.8mmの公称メッシュサイズを有する多孔プレートを備えたタングラーふるい分け機でコア材料を分別する。0.6〜0.8mmの生成物フラクションをその後の処理で使用する。
a2)酒石酸を含有するコア材料の単離
0.5部のヒプロメロースを10.1部の96%エタノールに溶かす。さらに0.01部のポリジメチルシロキサンと共に0.5部のタルクをヒプロメロース/エタノール溶液に撹拌しながら溶かす。この遮断用分散液を流動床処理プラント内で酒石酸コア(a1)上に噴霧し、床下噴霧法で空気入口温度35℃〜40℃にてヒプロメロース/タルク分散液で21質量部の酒石酸含有コア材料に噴霧する。この単離酒石酸含有コア材料を循環空気乾燥機内で40℃〜80℃にて8時間乾燥させる。塊を除去するため、乾燥単離酒石酸含有コア材料を公称メッシュサイズ1.0mmのふるいにかける。材料のフラクション(1mm未満の粒径)をさらに処理する。
【0118】
他の工程b)〜f)を図7〜11に示される流れ図で説明する。
工程b)第1の層の調製
図7に示されるように、上述した通りに調製したコア材料、例えば酒石酸を含有するコア材料で出発し、引き続き以下のように第1の層を調製した。
1.レーキ溶液の調製
イソプロピルアルコール(4730.00g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(45.00g)とエチルセルロースN10型(225.00g)を少しずつ加えて撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、得られたレーキ溶液を1500gの酒石酸スターターペレット(遮断されている)上に噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約45℃の空気入口温度で酒石酸ペレットにレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 2〜18g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約7時間
生成物温度 30〜40℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.0mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0119】
工程c)活性物質を含有する第2の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図8に示されるように、イソプロピルアルコール(1360.00g)を適切な反応容器に装填してからKlucel EF(結合剤;50.00g)とフリバンセリン(250.00g)を少しずつ加え、この溶液に撹拌しながらタルク(40.00g)を分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程b)で得られた生成物778g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置に生成物を入れた。約25℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 1〜10g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約5時間
生成物温度 20〜25℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0120】
工程d)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図9に示されるように、イソプロピルアルコール(421.70g)を適切な反応容器に装填してから精製水(74.42g)、クエン酸トリエチル(1.65g)、エチルセルロースN10型(16.50g)及びヒプロメロース(Methocel E5、16.50g)を少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得られた生成物1100g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約4時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0121】
工程e)第4の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図10に示されるように、イソプロピルアルコール(341.36g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(1.25g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(25.00g)及び精製水(46.550g)を少しずつ加えて撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、レーキ溶液にタルク(2.50g)を懸濁させた後、工程d)で得られた生成物1000.0g上に噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で25℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0122】
工程f)カプセル中への充填
図11に示されるように、活性物質を含有するある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得、引き続きカプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのようなサイズのカプセルに充填した。
いずれの工程の間又は後でも通常の内部プロセスコントロール(IPC)を利用した。
【0123】
(実施例2.2)
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は通常、下記6工程で行われる。
工程a):pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):フリバンセリンを含有する第2の層の調製;
工程d):遮断層の調製;
工程e):第3の層の調製;及び
工程f):カプセル中への充填。
実施例1で上述したのと同じプロセス工程a)、b)及びc)を行った。次に、プロセスを以下のように続けた。
工程d)遮断層
1.レーキ溶液の調製
図12に示されるように、精製水(466.88g)を適切な反応容器に装填してからヒプロメロース(Methocel E5)(22.00g)を70〜75℃の温度で少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を冷まして室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得られた生成物1100.0g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約40℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 1〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0124】
工程e)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図13に示されるように、イソプロピルアルコール(341.36g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(1.25g)、Eudragit(登録商標)L 100-55(25.00g)及び精製水(46.55g)を少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、レーキ溶液にタルク(2.50g)を懸濁させた後、工程d)で得られた生成物1000.0g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 70m3/時間
噴霧速度 2〜6g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約3時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で25℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0125】
工程f)カプセル中への充填
図14に示されるように、活性物質を含有するある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得、引き続きカプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのようなサイズのカプセルに充填した。
いずれの工程の間又は後でも通常の内部プロセスコントロール(IPC)を利用した。
【0126】
(実施例2.3)
以下、本発明の制御放出システムの好ましい方法を典型例として説明する。しかし、プロセス工程は、まったく限定的性格のものと意図されない。
以下の実施例の本発明の制御放出システムの調製は通常、下記5工程で行われる。
工程a):pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製;
工程b):第1の層の調製;
工程c):活性物質を含有する第2の層の調製;
工程d):第3の層の調製;
工程e):カプセル中への充填。
以下、各工程について詳述する。
工程a) pHモディファイヤーを含有するコア材料の調製
a1)1質量部のアラビアゴムを4質量部の精製水に50℃で撹拌しながら溶かし、次にこの溶液に撹拌しながら5質量部の酒石酸を溶かす。
空気入口と排気口を備えた適切なコーティング装置に、平均粒径が0.4〜0.6mmの8.3質量部の酒石酸の結晶を入れて容器を回転させる。空気入口の温度は60℃〜80℃である。酒石酸の結晶を酒石酸-アラビアゴムの溶液を用いて間欠操作で噴霧し、全部で6.7質量部の粉末酒石酸を散在させて、ほぼ球形の粒子を生成する。次に、回転容器内で60〜80℃の空気入口温度にて球形の酒石酸コア材料を乾燥させる。
0.6〜0.8mmの公称メッシュサイズを有する多孔プレートを備えたタングラーふるい分け機でコア材料を分別する。0.6〜0.8mmの生成物フラクションをその後の処理で使用する。
a2)酒石酸を含有するコア材料の単離
1部のヒプロメロースを9部の水に90℃で分散させてから該分散液をさらに撹拌しながら20℃に冷却する。この遮断用溶液を流動床処理プラント内で酒石酸コア(a1)上に噴霧し、Wurster噴霧法で空気入口温度45℃〜49℃にてヒプロメロース溶液で1質量部の酒石酸含有コア材料に噴霧する。この単離酒石酸含有コア材料を循環空気乾燥機内で40℃にて12時間乾燥させる。塊を除去するため、乾燥単離酒石酸含有コア材料を公称メッシュサイズ1.0mmのふるいにかける。材料のフラクション(1mm未満の粒径)をさらに処理する。
【0127】
他の工程b)〜e)を図15〜19に示される流れ図で説明する。
工程b)第1の層の調製
図15に示されるように、上述した通りに調製したコア材料、例えば酒石酸を含有するコア材料で出発し、引き続き以下のように第1の層を調製した。
1.レーキ溶液の調製
精製水(1385.1g)を適切な反応容器に装填してからクエン酸トリエチル(10.00g)、グリセロールモノステアレート(10.00g)、硫酸ナトリウム(8.83)及びEudragit(登録商標)RS 30D(666.67g)を少しずつ加えて撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、得られたレーキ溶液を1000gの酒石酸スターターペレット(遮断されている)上に噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約40〜48℃の空気入口温度で酒石酸ペレットにレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 90m3/時間
噴霧速度 2〜10g/分
噴霧圧 1.2バール、
ノズル径 1.0mm
噴霧時間 約7時間
生成物温度 30〜35℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて24時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.0mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0128】
工程c)活性物質を含有する第2の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図16に示されるように、イソプロピルアルコール(1360.00g)を適切な反応容器に装填してからKlucel EF(結合剤;50.00g)とフリバンセリン(250.00g)を少しずつ加え、この溶液に撹拌しながらタルク(40.00g)を分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程b)で得られた生成物778g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置に生成物を入れた。約25℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧して、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 100m3/時間
噴霧速度 1〜10g/分
噴霧圧 0.6バール、
微環境 0.2バール
ノズル径 1.2mm
噴霧時間 約5時間
生成物温度 20〜25℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0129】
工程d)第3の層の調製
1.レーキ溶液の調製
図17に示されるように、イソプロピルアルコール(33.09g)を適切な反応容器に装填してから精製水(7.79g)、クエン酸トリエチル(0.12g)、グリセロールモノステアレート(0.12g)、HP 50(登録商標)(1.80g)及びKollidon 17(登録商標)(0.60g)を少しずつ加え、撹拌しながらこの溶液に分散させた。溶液を室温で一晩撹拌した。こうしてレーキ溶液を得た。
2.得られたレーキ溶液の噴霧
次に、工程c)で得られた生成物30g上にレーキ溶液を噴霧した。この目的のため、空気入口と排気口を供えた適切なコーティング装置にペレットを入れた。約35℃の空気入口温度で生成物にレーキ溶液を連続操作で噴霧し、散在させて、ほぼ球形の粒子を生じさせた。下記条件を用いた。
入口空気量 500m3/時間
噴霧速度 0.3〜0.5g/分
噴霧圧 0.8バール、
ノズル径 0.3mm
噴霧時間 約2時間
生成物温度 22〜28℃
次に、得られた事実上球形の生成物を適切な乾燥装置で40℃にて12時間乾燥させた。公称メッシュサイズ1.25mmの多孔プレートを備えた適切なふるい分け機を用いて生成物を分別した。
【0130】
工程e)カプセル中への充填
図18に示されるように、活性物質を含有するある量のペレットをタルクと混合して最終混合物を得、引き続きカプセル充填機を用いて0号サイズの硬ゼラチンカプセルのようなサイズのカプセルに充填した。
いずれの工程の間又は後でも通常の内部プロセスコントロール(IPC)を利用した。
【実施例3】
【0131】
各実施例1a、1k、2.1、2.2、2.3の修正放出製剤の溶解プロファイルを評価し、かつWO 03/097058(実施例3)に記載されている通りの即時放出製剤と比較した。
pH-センサーと滴定装置を備えた装置2(USP 30)で溶解試験を行った。550mlの下部リン酸緩衝水相と、その上を覆う100mlのn-オクタノールの上部親油相との二相溶解媒体に薬生成物をいれて、溶解試験の間じゅう該親油相内におけるシンク状態を助長する。装置2溶解容器内で37℃及び50rpmにて24時間、試験装置内における薬物放出を行う。各相についてUV-DAD分光光度計を用いてオンラインで薬物放出の定量化を行う。溶解試験中、適切な滴定システムを用いて3段階でpH値を調整する:段階1 pH2(1時間)、段階2 pH5.5(2+2時間)、段階3 pH6.8(19時間)。5Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH調整を行う。該薬生成物の、組み込まれたpHモディファイヤーと共同してpH5.5で活性成分を放出する能力を試験するため、段階2で低減したpH値(pH<5.5)を2時間後に初期値に再調整する。全ての溶解プロファイルは、水相と有機相に総合して全薬物が溶解したことを示す。
【0132】
データを図19に示す。活性成分が良い溶解度を示すpH2の最初の1時間の間、全ての実施例が耐えて用量ダンピングを防止した。対照的に、IR錠剤はpH2の最初の1時間の段階で20分以内に全用量を放出した。第2段階(pH5.5)の最初には、pH2(段階1)で水相に溶解していた活性成分の、オクタノール相への吸収が完了しないので、水相内の活性成分の溶解フラクションは、2から5.5へのpHの変化時に沈殿しやすい。この現象は、混合型の溶解/吸収試験においてIR錠剤で非常に顕著であるが、IR錠剤にとってin vivoでは関係ない。というのは、IR錠剤のAUCは胃内の低pHにおける早期の薬物放出によって決定されるからである。対照的に、有利な修正放出製剤は、特に活性成分の水溶性が不十分であるpH値(5.5〜6.8)において該プロトタイプによって制御される種々の薬物放出を示した。
【実施例4】
【0133】
健康なヒトボランティアでin vivo研究を行い、WO 03/097058(実施例3)に記載されている通りの即時放出フリバンセリン錠剤(フリバンセリンIR錠剤100mg)による参照治療との比較によって、絶食状態で実施例1b、2.1及び2.2並びに高脂肪/高カロリー食事後に実施例1b及び2.1の制御放出システム又は持続放出システムとして処方されたフリバンセリンのバイオアベイラビリティーを評価した。
研究は、オープンラベル、6ウェイ、ランダム化交差設計に従い、かつ21〜50歳の健康な男性及び女性対象で行った。
研究の過程で対象は、単一センターで行う6回の治療を受けた。全部で24名の対象を登録した。対象は、一晩絶食してから100mgの経口用量のフリバンセリンを受けるか又は高脂肪/高カロリーの標準的な朝食直後に100mgのフリバンセリンの単一経口用量を受けた。制御放出プロファイルの説明のため、72時間にわたって連続的な血液サンプルを取った。同72時間の間、副作用を記録した。
血漿中フリバンセリン濃度をHPLC-MS/MS法で定量し、1〜1000ng/mlのアッセイ範囲にわたって検証した。全ての実験は、較正規格及び品質管理について生物学的分析の合格基準を満たした。
非線形回帰プログラムWinNonlinTM(Professional, バージョン5.0.1, Pharsight Corporation, Mountain View, California)を用いて、ノンコーパートメント法でフリバンセリンの薬物動態パラメーターを見積もった。個々の血漿中濃度データと各対象から血液採取する実際の時点を分析で使用した。初期の時点における定量下限未満の血漿中濃度をゼロに設定し、終末相中の当該血漿中濃度を分析から除外した。
【0134】
結果:
実施例1bによる絶食状態(N=24)及び食事直後(N=24)の健康な男性と女性のボランティアへの100mgのフリバンセリン単一投与後、70ng/mL及び489ng/mLの最大フリバンセリン血漿中濃度に達した。絶食投与及び食後投与後の対応する全身曝露はそれぞれ1540ng・h/mL及び2380ng・h/mLだった。
報告された鎮静有害事象は、425ng/mLの最大血漿中濃度及び2130ng・h/mLの全身曝露であった即時放出錠剤による100mgのフリバンセリンの絶食投与に比べて有意に減少した。同様の結果が実施例2.2による摂食状態の健康な男性と女性のボランティア(N=23)への100mgのフリバンセリンの単一投与後に得られた(121ng/mLの最大血漿中濃度に達した)。対応する全身曝露は1670ng・h/mLだった。この場合もやはり、報告された鎮静有害事象は、即時放出錠剤による100mgのフリバンセリンの絶食投与に比べて有意に減少した。また、実施例2.1による摂食状態(N=24)及び食事直後(N=24)の健康な男性と女性のボランティアへの100mgのフリバンセリンの単一投与後、53ng/mLの最大血漿中濃度に達した。絶食投与及び食後投与後の対応する全身曝露はそれぞれ546ng・h/mL及び629ng・h/mLであり、即時放出錠剤による100mgのフリバンセリンの絶食投与と比較した場合、報告された鎮静有害事象は有意に減少した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システム。
【請求項2】
絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び500〜5000ng・h/mlの平均全身曝露を特徴とする請求項1に記載の医薬放出システム。
【請求項3】
以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成る、請求項1又は2に記載の医薬放出システム。
【請求項4】
水溶性活性物質の特に経口投与用の医薬放出システムであって、以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成る、前記医薬放出システム。
【請求項5】
前記pH-依存性ポリマーが、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、アルギネート、カラギーナン、アカシア、キサンタンゴム、キチン誘導体、例えばキトサン、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、フタレート、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、トリメリテート、例えばセルロースアセテートトリメリテート、シェラック、並びにその誘導体及び混合物、好ましくはメタクリル酸コポリマー、例えばポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S)、及びアルギネート(例えばProtanal(登録商標))並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項3又は4に記載の医薬放出システム。
【請求項6】
前記pH-依存性ポリマーが、0.25〜25質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、最も好ましくは2〜15質量%、特に3〜10質量%の量で存在することを特徴とする請求項3、4、又は5に記載の医薬放出システム。
【請求項7】
前記pH-非依存性ポリマーが、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;他の天然、半合成、又は合成の二糖、オリゴ糖及び多糖、例えばガラクトマンナン、トラガカント、アガー、ガーゴム、及びポリフルクタン;アンモニオメタクリレートコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せ;ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;並びにその誘導体及び混合物、好ましくはセルロースエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばMethocelエーテル、並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項8】
前記pH-非依存性ポリマーが、0.5〜75質量%、さらに好ましくは1〜70質量%、なおさらに好ましくは2〜65質量%、特に5〜50質量%、最も好ましくは15〜30質量%の量で存在することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項9】
前記有機酸が、酢酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸、硝酸、オミチン、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン、並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項10】
前記有機酸が、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸及びグルタル酸から成る群より選択されることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項11】
前記有機酸が、0.25〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜35質量%、最も好ましくは1〜30質量%、特に5〜30質量%の量で存在することを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項12】
以下の成分:
フリバンセリン 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 0.25〜25質量%
pH-非依存性ポリマー 0.5〜75質量%
有機酸 0.25〜40質量%
潤沢剤 0.1〜4質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
から成ることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項13】
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体を含有する特に経口投与用の請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬放出システムの製造方法であって、湿式顆粒化、直接圧縮又はローラー圧縮法、好ましくはローラー圧縮法から選択される、前記方法。
【請求項14】
以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含む第1の層;
d)フリバンセリンを含む第2の層;
e)アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含む第3の層;及び
f)任意的な第4の層
を含んでなる請求項1又は2に記載の医薬放出システム。
【請求項15】
前記pHモディファイヤーが、1種以上の医薬的に許容しうる有機酸、1種以上の医薬的に許容しうる塩基、1種以上の医薬的に許容しうる緩衝液及びその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項14に記載の医薬放出システム。
【請求項16】
前記コア材料に含まれる前記有機酸及び/又は塩基が、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸、硝酸、オミチン、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項14又は15に記載の医薬放出システム。
【請求項17】
前記第1の層に含まれる前記不水溶性ポリマーが、四級アンモニウム基を含有しうるアクリル酸及び/又はメタクリル酸ポリマー、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル並びにその誘導体及び混合物から選択されることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項18】
前記第3の層が、アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上のポリマーと1種以上の可塑剤とを含み、かつ任意に1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含有しうることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項19】
前記第3の層に含まれる前記アニオン性又は非イオン性基を有するポリマーが、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項20】
前記第3の層がさらに細孔形成剤を含むことを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項21】
前記制御放出システムが第4の層を含むことを特徴とする請求項14〜20のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項22】
請求項14〜20のいずれか1項に記載の特に経口投与用の医薬制御放出システムの製造方法であって、以下の工程:
工程a) 1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーから、任意に1種以上の結合剤及び/又は他の賦形剤を添加して、パン方法により、又はペレット化プレート上で、又は押出し/球形化によって、前記コア材料を製造する工程;
工程b) 1種以上の医薬的に許容しうる水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料、及び/又は他の添加剤を添加してよい遮断層を適用する任意的な工程;
工程c) 1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の添加剤を添加してよい第1の層を適用する工程;
工程d) 任意に1種以上の結合剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含有しうる溶液又は分散液からの少なくとも1種の活性物質を含む第2の層を適用し、かつ同時に又は引き続き乾燥させて、溶媒又は分散剤を除去する工程;
工程e) 1種以上の医薬的に許容しうる水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい遮断層を適用する任意的な工程;
工程f) アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい第3の層を適用する工程;
工程g) 任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい第4の層を適用する任意的な工程;
工程h) このようにして得られた、活性物質を含有する制御放出システムをカプセル中に充填する任意的な工程
を含んでなる前記方法。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の医薬放出システムの、中枢神経系障害、情動障害、不安、睡眠及び性障害(性的欲求低下障害、月経前障害、例えば月経前不機嫌、月経前症候群、月経前気分障害;性嫌悪障害、性刺激障害、オルガスム障害、性痛障害、例えば性交疼痛症、膣痙、非性交性痛障害;全身の健康状態に起因する性機能不全及び物質誘導性機能不全)、精神病、精神分裂症、人格異常、精神器質性障害、小児の精神障害、攻撃性、年齢に伴う記憶障害、神経保護、神経変性疾患、種々起源の脳虚血、神経性拒食症、注意欠陥多動障害(ADHD)、肥満症、尿失禁、慢性疼痛及び心臓弁膜症の治療用薬物製造のための使用。
【請求項1】
治療的に有効な量のフリバンセリン及び少なくとも1種の医薬的に許容しうる賦形剤を含んでなる医薬放出システムであって、絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmaxによって特徴づけられる薬物動態プロファイルを示すことを特徴とする医薬放出システム。
【請求項2】
絶食状態又は食事直後の健康なボランティアに単一用量の投与後の300ng/mL未満の平均最大フリバンセリン血漿中濃度Cmax及び500〜5000ng・h/mlの平均全身曝露を特徴とする請求項1に記載の医薬放出システム。
【請求項3】
以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成る、請求項1又は2に記載の医薬放出システム。
【請求項4】
水溶性活性物質の特に経口投与用の医薬放出システムであって、以下の成分:
a)活性物質としての治療的に有効な量のフリバンセリン又は医薬的に許容しうるその誘導体;
b)1種以上の医薬的に許容しうるpH-依存性ポリマー;
c)1種以上の医薬的に許容しうるpH-非依存性ポリマー;
d)1種以上の医薬的に許容しうる酸;及び
e)任意的な1種以上の添加剤
を含むか又は本質的に前記成分から成る、前記医薬放出システム。
【請求項5】
前記pH-依存性ポリマーが、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、アルギネート、カラギーナン、アカシア、キサンタンゴム、キチン誘導体、例えばキトサン、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、フタレート、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、トリメリテート、例えばセルロースアセテートトリメリテート、シェラック、並びにその誘導体及び混合物、好ましくはメタクリル酸コポリマー、例えばポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100)、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S)、及びアルギネート(例えばProtanal(登録商標))並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項3又は4に記載の医薬放出システム。
【請求項6】
前記pH-依存性ポリマーが、0.25〜25質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、最も好ましくは2〜15質量%、特に3〜10質量%の量で存在することを特徴とする請求項3、4、又は5に記載の医薬放出システム。
【請求項7】
前記pH-非依存性ポリマーが、アルキルセルロース、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシブチルセルロース;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;他の天然、半合成、又は合成の二糖、オリゴ糖及び多糖、例えばガラクトマンナン、トラガカント、アガー、ガーゴム、及びポリフルクタン;アンモニオメタクリレートコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー;ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンの組合せ;ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド;エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー;並びにその誘導体及び混合物、好ましくはセルロースエーテル誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、最も好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばMethocelエーテル、並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項8】
前記pH-非依存性ポリマーが、0.5〜75質量%、さらに好ましくは1〜70質量%、なおさらに好ましくは2〜65質量%、特に5〜50質量%、最も好ましくは15〜30質量%の量で存在することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項9】
前記有機酸が、酢酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸、硝酸、オミチン、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン、並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項10】
前記有機酸が、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸及びグルタル酸から成る群より選択されることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項11】
前記有機酸が、0.25〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜35質量%、最も好ましくは1〜30質量%、特に5〜30質量%の量で存在することを特徴とする請求項3〜10のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項12】
以下の成分:
フリバンセリン 5〜50質量%
pH-依存性ポリマー 0.25〜25質量%
pH-非依存性ポリマー 0.5〜75質量%
有機酸 0.25〜40質量%
潤沢剤 0.1〜4質量%
追加の添加剤を加えて 100質量%へ
から成ることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項13】
フリバンセリン又はその医薬的に許容しうる誘導体を含有する特に経口投与用の請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬放出システムの製造方法であって、湿式顆粒化、直接圧縮又はローラー圧縮法、好ましくはローラー圧縮法から選択される、前記方法。
【請求項14】
以下の成分:
a)1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーを含むコア材料;
b)任意的な遮断層;
c)1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含む第1の層;
d)フリバンセリンを含む第2の層;
e)アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含む第3の層;及び
f)任意的な第4の層
を含んでなる請求項1又は2に記載の医薬放出システム。
【請求項15】
前記pHモディファイヤーが、1種以上の医薬的に許容しうる有機酸、1種以上の医薬的に許容しうる塩基、1種以上の医薬的に許容しうる緩衝液及びその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項14に記載の医薬放出システム。
【請求項16】
前記コア材料に含まれる前記有機酸及び/又は塩基が、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、l-アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸(ベシラート)、安息香酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、ショウノウスルホン酸、炭酸、γ-カルボキシグルタミン酸、クエン酸、システイン、エタンスルホン酸、フマル酸、特にcis-フマル酸及び/又はtrans-フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、l-グルタミン、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、イソロイシン、乳酸、l-ロイシン、リジン、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸(メシラート)、メチオニン、ムチン酸、硝酸、オミチン、シュウ酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、セリン、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、チロシン、グルタミン酸、バリン並びにその誘導体及び混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項14又は15に記載の医薬放出システム。
【請求項17】
前記第1の層に含まれる前記不水溶性ポリマーが、四級アンモニウム基を含有しうるアクリル酸及び/又はメタクリル酸ポリマー、アルキルセルロース、例えばエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル並びにその誘導体及び混合物から選択されることを特徴とする請求項14〜16のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項18】
前記第3の層が、アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上のポリマーと1種以上の可塑剤とを含み、かつ任意に1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含有しうることを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項19】
前記第3の層に含まれる前記アニオン性又は非イオン性基を有するポリマーが、Eudragit(登録商標)NE、エチルセルロース、Kollicoat(登録商標)EMM 30D;ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100-55又はEudragit(登録商標)L 30D-55);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1(Eudragit(登録商標)L 100);ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2(Eudragit(登録商標)S);及び/又はその混合物から成る群より選択されることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項20】
前記第3の層がさらに細孔形成剤を含むことを特徴とする請求項14〜19のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項21】
前記制御放出システムが第4の層を含むことを特徴とする請求項14〜20のいずれか1項に記載の医薬放出システム。
【請求項22】
請求項14〜20のいずれか1項に記載の特に経口投与用の医薬制御放出システムの製造方法であって、以下の工程:
工程a) 1種以上の医薬的に許容しうるpHモディファイヤーから、任意に1種以上の結合剤及び/又は他の賦形剤を添加して、パン方法により、又はペレット化プレート上で、又は押出し/球形化によって、前記コア材料を製造する工程;
工程b) 1種以上の医薬的に許容しうる水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料、及び/又は他の添加剤を添加してよい遮断層を適用する任意的な工程;
工程c) 1種以上の医薬的に許容しうる不水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の添加剤を添加してよい第1の層を適用する工程;
工程d) 任意に1種以上の結合剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は他の賦形剤を含有しうる溶液又は分散液からの少なくとも1種の活性物質を含む第2の層を適用し、かつ同時に又は引き続き乾燥させて、溶媒又は分散剤を除去する工程;
工程e) 1種以上の医薬的に許容しうる水溶性ポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい遮断層を適用する任意的な工程;
工程f) アニオン性又は非イオン性基を有する1種以上の医薬的に許容しうるポリマーを含み、任意に1種以上の可塑剤、1種以上の分離剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい第3の層を適用する工程;
工程g) 任意に1種以上の可塑剤及び/又は1種以上の顔料及び/又は他の賦形剤を添加してよい第4の層を適用する任意的な工程;
工程h) このようにして得られた、活性物質を含有する制御放出システムをカプセル中に充填する任意的な工程
を含んでなる前記方法。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の医薬放出システムの、中枢神経系障害、情動障害、不安、睡眠及び性障害(性的欲求低下障害、月経前障害、例えば月経前不機嫌、月経前症候群、月経前気分障害;性嫌悪障害、性刺激障害、オルガスム障害、性痛障害、例えば性交疼痛症、膣痙、非性交性痛障害;全身の健康状態に起因する性機能不全及び物質誘導性機能不全)、精神病、精神分裂症、人格異常、精神器質性障害、小児の精神障害、攻撃性、年齢に伴う記憶障害、神経保護、神経変性疾患、種々起源の脳虚血、神経性拒食症、注意欠陥多動障害(ADHD)、肥満症、尿失禁、慢性疼痛及び心臓弁膜症の治療用薬物製造のための使用。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2010−500393(P2010−500393A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524178(P2009−524178)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058301
【国際公開番号】WO2008/019996
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058301
【国際公開番号】WO2008/019996
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】
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