説明

フリーアクセス床下空調状態計測装置

【課題】フリーアクセス床下の空調状態を容易に正確に計測できるフリーアクセス床下空調状態計測装置を提供する。
【解決手段】空調状態計測部と無線送信部とを備えた空調状態計測ユニットと、無線受信部と電波強度測定部とを備えた3台以上の無線受信ユニットと、前記各無線受信ユニットで受信した計測データを取得するとともに各無線受信ユニットで測定した電波強度をそれぞれ取得する制御ユニットとから構成され、床上に設置した制御ユニットに接続された3台以上の無線受信ユニットを予めフリーアクセス床下に設置しておくとともに、前記制御ユニットに、前記各無線受信ユニットでそれぞれ測定した電波強度に基づいて計測データを送信した空調状態計測ユニットの設置位置を検出する送信位置検出部と、検出した空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて計測データを表示器に表示する計測データ表示部とを設けたフリーアクセス床下空調状態計測装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時の発熱による温度上昇を抑制するために床下の空気を冷却に使用しており、フリーアクセス床下の空調を必要とするような設備機器(例えば情報処理装置)の設置区域において、フリーアクセス床下の空調状態が所定の如く保持されているか否かを確認するためのフリーアクセス床下空調状態計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子計算機に用いられている部材(例えば高集積度LSI)は、単位面積当たりの発熱量が大きいため、強制的に冷却する必要がある。その冷却方法の一つとしてフリーアクセス床下の空間を、床上の電子計算機室の室内温度よりも低く(例えば、温度を18℃、相対湿度を75%に)空調しておいて、この空気を電子計算機の下面から取り入れ、LSIなどを強制冷却させたのち、電子計算機の上面から室内にファンにより排出する方法がある。
【0003】
このような冷却方法を利用している電子計算機システムの保守に際しては、定期的に床下の温度・湿度は勿論であるが、冷気供給能力の指標となる風量(風速×面積)や冷気が電子計算機の床下にたどり着く前に遮断されていないかどうかを知るために風向の確認も必要になる。
【0004】
従来は、上記各種の測定に際して、フリーアクセス床の床板を外したままの状態で、センサまたは計測装置全体を手で保持しながら床下に差し入れて計測するか、まず床下にセンサをセットし、その接続ケーブルを風向、風速の計測に影響を与えないように引き回し、離れた場所でフリーアクセス床上に引き出して計測器に接続することで、計測を行なっていた。
また例えば、フリーアクセス床板またはそれと同一寸法の板材の裏面側に、風向、風速、温度、湿度のセンサや計測器を取付けて一体化させ、それを通常のフリーアクセス床板と嵌め替えてフリーアクセス床下の空調状態を測定していた。(例えば特許文献1を参照)
【特許文献1】特開平7−333015
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フリーアクセス床板を外したまま、または床板1枚をすっかり外した状態では風の吹き抜け量が多くなるので、手が差し込める程度に限定して床板をずらして測定するにしても、従来の床板を外した状態でセンサや計測器を手持ちで床下に差し込んで測定する方法では、計測した風向、風速などが実際の状態とは相違するのを、通常は防げなかった。また、手持ちの計測器で計測する場合、一度に手で持つ道具類の重量をなるべく軽くしたいので、風向、風速、温度、湿度を別々に測定することになり、しかも測定項目ごとに別々に測定するので測定工数は大きくなり、煩わしかった。特に、フリーアクセス床板を外したままの状態で計測すると、床板を外した開口部から風が吹き抜けるので、電子計算機の床下からの冷却風取り入れに影響の大きい風速、風向の測定を正確に行なうことができないという問題が大きかった。
また、床下にセンサをセットしておき、その接続ケーブルを風向、風速に影響が生じない離れた場所でフリーアクセス床下から床上に引き出し、計測器を接続して表示値を読み取るという方法は、センサをセットし、それに接続ケーブルを接続するための時間がかかるという問題が生じていた。
さらに、フリーアクセス床板の裏面側に計測器を一体化させてフリーアクセス床下の空調状態を床上において観測できるように構成した装置では、風向、風速に影響が生じないようにフリーアクセス床下の空調状態を測定できるものの、床板の上に電子計算機等が設置されている場合には計測器のセットが困難であった。また電子計算機が多数設置された電子計算機室などでは、フリーアクセス床下の多数の計測地点で空調状態を測定し、それら測定結果を各計測地点に対応させて管理して電子計算機室の空調を制御する必要があり、各測定結果を室内の機器設置図(フロアレイアウト)に対応させてデータ管理することが求められているが、フリーアクセス床板の裏面側に計測器を一体化させた装置では、当該装置をフリーアクセス床板と嵌め替えた場所の床下の空調状態を計測するだけで、機器設置図(フロアレイアウト)に対応させて計測データを管理することが困難であるといった問題点があった。なお、フリーアクセス床板の裏面側に計測器を一体化させた装置にコンピュータとの接続機構を設け、測定結果をコンピュータで管理する技術も考案されてはいるものの、多数の計測地点での測定結果をコンピュータで管理する場合、各計測地点とコンピュータとを接続ケーブルで接続する手間がかかるとともに、その間に延びるケーブルが邪魔になるといった問題点がある。
【0006】
本発明は上記のような従来の問題を解消し、測定に際して床の開口部を風が吹き抜けるとか、測定の都度、センサに計測器への接続ケーブルを接続するために時間がかかるなどの問題が生じることなく、かつ室内の機器設置図(フロアレイアウト)に対応させてフリーアクセス床下の空調状態の計測データを管理できるようにしたフリーアクセス床下空調状態計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
少なくとも風向、風速、温度、湿度の何れかを計測可能なセンサを備えた空調状態計測部と、前記空調状態計測部で計測した計測データを無線送信する無線送信部とを備えた空調状態計測ユニットと、前記空調状態計測ユニットが無線送信した計測データを受信する無線受信部と、その電波強度を測定する電波強度測定部とを備えた3台以上の無線受信ユニットと、前記各無線受信ユニットと接続され、無線受信ユニットで受信した計測データを取得するとともに、各無線受信ユニットで測定した電波強度をそれぞれ取得する制御ユニットとから構成され、床上に設置した制御ユニットに接続された3台以上の無線受信ユニットを予めフリーアクセス床下に設置しておくとともに、前記制御ユニットに、前記各無線受信ユニットでそれぞれ測定した電波強度に基づいて計測データを送信した空調状態計測ユニットの設置位置を検出する送信位置検出部と、検出した空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて計測データを表示器に表示する計測データ表示部とを設けたフリーアクセス床下空調状態計測装置であって、フリーアクセス床下の任意の計測地点に空調状態計測ユニットを設置して床板を閉じた後、前記空調状態計測ユニットから遠隔した床上に設置してある制御ユニットにおいて、無線受信ユニットで受信した空調状態計測ユニットの計測データを、無線受信ユニットで測定した電波強度に基づいて検出した空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて表示器に表示するものである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、従来のように、フリーアクセス床板を取り外した状態で、フリーアクセス床下の空調状態を測定してその計測値を確認する必要がなく、そのためフリーアクセス床板の開口部から風が吹き抜けて、計測値(とくに風速、風向の計測値)に悪影響を与えることがなく、フリーアクセス床下の空調状態を正確に測定することができる。
またフリーアクセス床下の空調状態を測定する空調状態計測ユニットは計測データを無線送信するように構成され、空調状態計測ユニット自体は接続用ケーブルなどで他のユニットと接続されていないため、接続用ケーブルの接続作業に時間や手間を取られることなく空調状態計測ユニットを任意の計測地点に設置することができ、前記空調状態計測ユニットによって、フリーアクセス床下の任意の計測地点を長い期間にわたって極めて容易に正確に計測できる。そして床上に設置してある制御ユニットは、予めフリーアクセス床下に固定的に設置してある3台以上の無線受信ユニットから前記空調状態計測ユニットによる計測データを取得するため、フリーアクセス床下の任意の計測地点の計測データをリアルタイムで観測することができる。
さらに、各無線受信ユニットで測定した電波強度に基づいて空調状態計測ユニットの設置位置を検出し、その検出した設置位置に対応させて計測データを表示器に表示するため、電子計算機が多数設置された電子計算機室などにおいて、測定結果を室内の機器設置図(フロアレイアウト)に対応させてデータ管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明によるフリーアクセス床下空調状態計測装置の好適な実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の第1実施例によるフリーアクセス床下空調状態計測装置の構成を説明する図である。この実施例によるフリーアクセス床下空調状態計測装置は、例えば、電子計算機などの設備機器が多数設置されている電子計算機室のフリーアクセス床下の空調状態が所定の如く保持されているか否かを確認するための計測装置であって、1台の空調状態計測ユニット10と、3台の無線受信ユニット20a〜20cと、1台の制御ユニット30とから構成される。
【0010】
図1に示すように、空調状態計測ユニット10は、少なくとも風向、風速、温度、湿度の何れかを計測可能なセンサを備えた空調状態計測部1と、前記空調状態計測部で計測した計測データを無線送信する無線送信部2とを備え、電子計算機室のフリーアクセス床下の任意の計測地点に設置される。
【0011】
また無線受信ユニット20a〜20cは、空調状態計測ユニット10が無線送信した計測データを受信する無線受信部3と、その電波強度を測定する電波強度測定部4とを備え、電子計算機室のフリーアクセス床下に予め設置しておく。
前記各無線受信ユニット20a〜20cは、床上に設置してある制御ユニット30と接続用ケーブル40によってそれぞれ接続され、フリーアクセス床下に固定的(非移動的)にそれぞれ設置される。
つまり空調状態計測ユニット10はフリーアクセス床下の任意の計測地点に設置されるのに対し、接続ケーブル40によって制御ユニット30に接続された各無線受信ユニット20a〜20cは、予めフリーアクセス床下の所定の場所に固定的に設置される。
【0012】
床上に設置した制御ユニット30は、各無線受信ユニット20a〜20cと接続用ケーブル40によって接続され、各無線受信ユニットでそれぞれ測定した電波強度と、無線受信ユニットで受信した空調状態計測ユニットの計測データとを取得する。
前記制御ユニット30は、前記各無線受信ユニットでそれぞれ測定した電波強度に基づいて計測データを送信した空調状態計測ユニットの設置位置を検出する送信位置検出部5と、各無線受信ユニットでそれぞれ受信した計測データのうち1つを選択する表示データ選択部6と、送信位置検出部5で検出された設置位置に対応させて、表示データ選択部6で選択した空調状態計測ユニットの計測データを表示器に表示する計測データ表示部7とを備える。
【0013】
なお無線通信システムにおける電波発信局の位置検出方法については、様々な方法が既に考案されており、電波発信局の位置を検出するために、当該電波発信局の電波を受信する複数の無線受信局を設置しておき、これら各無線受信局から得られた情報に基づいて電波発信局の位置を検出する方法が知られている(例えば特開2000−244968)。すなわち複数の電波受信局で受信したデータ信号の電波強度や、電波到達角度や、電波到達時間などに基づいて、当該データ信号を送信している電波発信局の位置候補を各電波受信局毎に複数算出しておき、そして各受信局でそれぞれ算出された複数の位置候補を組み合わせて解析することによって、電波発信局の位置を検出する位置検出方法が知られている。
制御ユニット30の送信位置検出部5では、上記の既知の位置検出方法を用いて、空調状態計測ユニット10が無線送信した計測データを無線受信した3つの無線受信ユニット20a〜20cでそれぞれ測定した電波強度に基づいて、計測データを無線送信している空調状態計測ユニット1の設置位置(計測地点)を検出する。
【0014】
制御ユニット30の表示データ選択部6は、各無線受信ユニット20a〜20cが受信した計測データ(つまり3つの計測データ)のうち1つを、表示用計測データとして取得する。例えば、所定の無線受信ユニット(無線受信ユニット20aのみ)の計測データを常に選択して取得するように設定してもよいし、一番強い電波強度を測定した無線受信ユニットの計測データを選択して取得するように設定してもよい。
【0015】
制御ユニット30の計測データ表示部7は表示器に計測データを表示するにあたって、送信位置検出部5で検出した空調状態計測ユニット10の設置位置(計測地点)に対応させて計測データを表示させるものであって、例えば、電子計算機室の機器設置図(フロアレイアウト)を表示器に表示したうえで、当該機器設置図上(表示画面上)で空調状態計測ユニット10の設置位置に該当する地点を検出し、当該地点に重ね合わせて計測データ(風向,風速(m/s),温度(℃),湿度(%))を表示させるように構成する。
【0016】
この実施例によるフリーアクセス床下空調状態計測装置は、フリーアクセス床下の任意の計測地点に空調状態計測ユニット10を設置した後、フリーアクセス床板を閉じて、風の吹き抜けなどによって風向や風速の計測に影響がでない状態で空調状態計測ユニット10で計測を行ない、予めフリーアクセス床下に固定的に設置されている3台の無線受信ユニット20a〜20cによって、前記任意の計測地点に設置された空調状態計測ユニット10が計測した計測データを無線受信するとともに、その電波強度をそれぞれ測定する。
そして前記各無線受信ユニット20a〜20cと接続用ケーブル40によって接続されている制御ユニット30は、無線受信ユニットで受信した計測データを取得するとともに、各無線受信ユニット20a〜20cでそれぞれ測定した電波強度に基づいて空調状態計測ユニット10の設置位置を検出する。
そして床上に設置してある制御ユニット30は表示器に計測データを表示するにあたって、検出した空調状態計測ユニット10の設置位置(計測地点)に対応させて計測データを表示器に表示する。この空調状態計測ユニットの設置位置(計測地点)に対応させた計測データの表示によって、電子計算機室の空調状態を容易に監視することができる。
【0017】
なお床上に設置される制御ユニット30は、電子計算機室内に設置する必要はなく、各無線受信ユニット20a〜20cと制御ユニット30とを接続する接続用ケーブル40を延長することによって、例えば電子計算機室とは遠隔した場所にある空調状態監視室において、電子計算機室内の空調状態を監視するように構築してもよい。
【0018】
次に、この発明の第2実施例によるフリーアクセス床下空調状態計測装置について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、この発明の第2実施例によるフリーアクセス床下空調状態計測装置の構成を説明する図である。
この実施例によるフリーアクセス床下空調状態計測装置は、フリーアクセス床下の任意の計測地点(第1,第2計測地点)に空調状態計測ユニット10a,10bをそれぞれ設置し、前記空調状態計測ユニットから遠隔した床上に設置してある制御ユニット30において、無線受信ユニット20d〜20fで受信した各空調状態計測ユニット10a,10bの計測データを、各無線受信ユニット20d〜20fで測定した電波強度に基づいて検出した各空調状態計測ユニット10a,10bの設置位置(第1,第2計測地点)に対応させて表示器にそれぞれ表示するものである。
【0019】
図2に示すように、各空調状態計測ユニット10a,10bにID番号設定部8を設け、空調状態計測ユニットからID番号付の計測データを無線送信するように構成するとともに、各無線受信ユニット20d〜20fにID番号識別部9を設け、何れの空調状態計測ユニットから送信された計測データであるかを識別して受信するとともに、その電波強度を空調状態計測ユニット毎に識別して測定するように構成した。
【0020】
なお上記構成以外は第1実施例と同様であり、電子計算機室のフリーアクセス床下に予め設置してある3台の無線受信ユニット20d〜20fにおいて、各空調状態計測ユニット10a,10bからID番号付の計測データを無線受信し、ID番号付の計測データの電波強度をそれぞれ測定することによって、制御ユニット30は、計測データを空調状態計測ユニット毎に識別して取得するとともに、前記電波強度も空調状態計測ユニット毎に識別して取得する。
これによって制御ユニット30は、空調状態計測ユニット毎に識別された計測データと、空調状態計測ユニット毎に識別された電波強度とを取得するため、フリーアクセス床下の任意の第1計測地点に設置した空調状態計測ユニット10aの計測データを、各無線受信ユニット20d〜20fでそれぞれ測定した前記計測データの電波強度に基づいて検出した空調状態計測ユニット10aの設置位置に対応させて表示器に表示することができるとともに、フリーアクセス床下の任意の第2計測地点に設置した空調状態計測ユニット10bの計測データを、各無線受信ユニット20d〜20fでそれぞれ測定した前記計測データの電波強度に基づいて検出した空調状態計測ユニット10bの設置位置に対応させて表示器に表示することができる。
【0021】
図3(a)は、電子計算機室に設置されている設備機器の配置とフリーアクセス床下に設置されている各ユニットの配置とを示す図である。
図3(a)に示すように、この実施例では、多数の設備機器(例えば電子計算機)が設置されている電子計算機室のフリーアクセス床下に、接続用ケーブルによって制御ユニット(図示せず)に接続されている3台の無線受信ユニット20d〜20fを、北壁側の2隅と、南壁側中央とにそれぞれ設置した。またフリーアクセス床下の任意の計測地点である第1,第2計測地点に空調状態計測ユニット10a,10bをそれぞれ設置した。
【0022】
図3(b)は、計測データの表示例を示す図であって、前記各無線受信ユニット20d〜20fで受信した各空調状態計測ユニット10a,10bの計測データを、その電波強度に基づいて検出した前記各空調状態計測ユニット10a,10bの設置位置(第1及び第2計測地点)に対応させて表示する。
この実施例では、表示器の表示画面に機器設置図(フロアレイアウト)を表示したうえで、この機器設置図(表示画面上)における各空調状態計測ユニット10a,10bの設置位置(第1及び第2計測地点)に該当する地点を検出し、これらの地点にそれぞれ各空調状態計測ユニット10a,10bで測定した計測データ(風向,風速(m/s),温度(℃),湿度(%))を重ね合わせて表示した。
なお前記表示画面上(機器設置図)に、フリーアクセス床下に設置してある3台の無線受信ユニット20d〜20fの設置位置もあわせて表示するように設定してもよい。
【0023】
さらに、この発明の第3実施例によるフリーアクセス床下空調状態計測装置について、図4を参照して説明する。
この実施例では、制御ユニット30´に計測位置設定手段11を設けるとともに、当該計測位置設定手段で算出した移動信号を無線送信する移動信号送信部12をフリーアクセス床下に設け、さらにフリーアクセス床下に設置される空調状態計測ユニット10cに、前記移動信号を無線受信する移動信号受信部13と、受信した移動信号に基づいて移動する移動手段14を設け、前記フリーアクセス床下にセットした空調状態計測ユニットを任意の計測地点まで移動させることができるように構成した。
【0024】
この実施例では上記構成以外は第1実施例と同様であり、電子計算機室のフリーアクセス床下に予め設置してある3台の無線受信ユニット20a〜20cにおいて、空調状態計測ユニット10cから計測データを無線受信し、その計測データの電波強度をそれぞれ測定する。そして送信位置検出部5を備える制御ユニット30´は、各無線受信ユニット20a〜20cでそれぞれ測定した電波強度に基づいて空調状態計測ユニット10cの位置を検出し、計測データ表示部7において、空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて表示器に表示する。前記制御ユニット30´では、表示器の表示画面に機器設置図(フロアレイアウト)が表示されたうえで、この機器設置図(表示画面上)における空調状態計測ユニット10cの設置位置に該当する地点が検出され、当該地点に計測データが重ね合わせて表示される。
そしてこの実施例では、現在の計測地点と別の計測地点の計測データを取得したい場合、オペレータが表示画面上(フロアレイアウト上)で計測したい地点を指定することで、計測位置設定手段11が現在の計測地点から指定の計測地点までの移動方向と移動距離を算出し、制御ユニット30´において移動信号が生成される。当該移動信号は、予めフリーアクセス床下に設置してある移動信号送信部(接続用ケーブル40によって制御ユニット30´に接続された移動信号送信部)12から無線送信され、フリーアクセス床下の空調状態計測ユニット10cで無線受信する。移動手段14を備えた空調状態計測ユニット10cは、受信した移動信号に基づき、オペレータが制御ユニット30´の表示画面上(フロアレイアウト上)で指定した地点に該当する場所に移動し、当該計測地点の空調状態を計測する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の第1実施例による空調状態計測装置の構成を示す図である。
【図2】この発明の第2実施例による空調状態計測装置の構成を示す図である。
【図3】計測データの表示例を示す図である。
【図4】この発明の第3実施例による空調状態計測装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1 空調状態計測部
2 無線送信部
3 無線受信部
4 電波強度測定部
5 送信位置検出部
6 表示データ選択部
7 計測データ表示部
8 ID番号設定部
9 ID番号識別部
10,10a,10b,10c 空調状態計測ユニット
20a〜20f 無線受信ユニット
30,30´ 制御ユニット
40 接続用ケーブル
11 計測位置設定手段
12 移動信号送信部
13 移動信号受信部
14 移動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも風向、風速、温度、湿度の何れかを計測可能なセンサを備えた空調状態計測部(1)と、前記空調状態計測部で計測した計測データを無線送信する無線送信部(2)とを備えた空調状態計測ユニット(10)と、
前記空調状態計測ユニットが無線送信した計測データを受信する無線受信部(3)と、その電波強度を測定する電波強度測定部(4)とを備えた3台以上の無線受信ユニット(20a〜20c)と、
前記各無線受信ユニットと接続され、無線受信ユニットで受信した計測データを取得するとともに、各無線受信ユニットで測定した電波強度をそれぞれ取得する制御ユニット(30)とから構成され、
床上に設置した制御ユニットに接続された3台以上の無線受信ユニットを予めフリーアクセス床下に設置しておくとともに、前記制御ユニットに、前記各無線受信ユニットでそれぞれ測定した電波強度に基づいて計測データを送信した空調状態計測ユニットの設置位置を検出する送信位置検出部(5)と、検出した空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて計測データを表示器に表示する計測データ表示部(7)とを設けたフリーアクセス床下空調状態計測装置であって、
フリーアクセス床下の任意の計測地点に空調状態計測ユニットを設置して床板を閉じた後、前記空調状態計測ユニットから遠隔した床上に設置してある制御ユニットにおいて、無線受信ユニットで受信した空調状態計測ユニットの計測データを、無線受信ユニットで測定した電波強度に基づいて検出した空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて表示器に表示することを特徴とするフリーアクセス床下空調状態計測装置。
【請求項2】
フリーアクセス床下の複数の任意の計測地点に空調状態計測ユニットをそれぞれ設置し、前記空調状態計測ユニットから遠隔した床上に設置してある制御ユニットにおいて、無線受信ユニットで受信した各空調状態計測ユニットの計測データを、無線受信ユニットで測定した電波強度に基づいて検出した各空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて表示器にそれぞれ表示するフリーアクセス床下空調状態計測装置であって、
各空調状態計測ユニット(10a,10b)にID番号設定部(8)を設け、空調状態計測ユニットからID番号付の計測データを無線送信するように構成するとともに、
各無線受信ユニット(20d〜20f)にID番号識別部(9)を設け、何れの空調状態計測ユニットから送信された計測データであるかを識別して受信するとともに、その電波強度を空調状態計測ユニット毎に識別して測定するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のフリーアクセス床下空調状態計測装置。
【請求項3】
設備機器設置区域のフリーアクセス床下の空調状態を確認するフリーアクセス床下空調状態計測装置において、
送信位置検出部(5)で検出した空調状態計測ユニットの設置位置に対応させて計測データを表示器に表示する計測データ表示部(7)は、設備機器設置区域の機器設置図(フロアレイアウト)を表示器に表示したうえで、当該機器設置図上で空調状態計測ユニットの設置位置に該当する地点を検出し、当該地点に重ね合わせて計測データを表示させるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のフリーアクセス床下空調状態計測装置。
【請求項4】
制御ユニットに計測位置設定手段(11)を設け、当該計測位置設定手段で算出した移動信号を無線送信する移動信号送信部(12)をフリーアクセス床下に設けるとともに、フリーアクセス床下に設置される空調状態計測ユニットに、前記移動信号を無線受信する移動信号受信部(13)と、受信した移動信号に基づいて移動する移動手段(14)を設け、フリーアクセス床下にセットした空調状態計測ユニットを任意の計測地点まで移動させることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のフリーアクセス床下空調状態計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−121911(P2008−121911A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303072(P2006−303072)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)
【Fターム(参考)】