説明

フルオレン化合物、発光素子、発光装置、電子機器、照明装置、及び有機化合物

【課題】正孔輸送性を有し、バンドギャップの広い物質の提供。
【解決手段】下式で代表されるフルオレン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン化合物、発光素子、発光装置、電子機器、照明装置、及び有機化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンス(EL:Electroluminescence)を利用した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光物質を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、発光物質からの発光を得ることができる。
【0003】
このような発光素子は自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できることも大きな利点である。さらに非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
また、これらの発光素子は膜状に形成することが可能であるため、面状に発光を得ることができる。よって、大面積の素子を容易に形成することができる。このことは、白熱電球やLEDに代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
そのELを利用した発光素子は、発光物質が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって大別できる。発光物質に有機化合物を用い、一対の電極間に当該有機化合物を含む層を設けた有機ELの場合、発光素子に電圧を印加することにより、陰極から電子が、陽極からホール(正孔)がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、電子およびホールの両方が発光性の有機分子中で生成した状態である励起状態から、これらキャリア(電子およびホール)が再結合して基底状態に戻ることで発光する。
【0006】
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、物質に依存した問題が多く、これらを克服するために素子構造の改良や物質開発等が行われている。
【0007】
有機ELを利用した発光素子は複数の層で構成されているが、発光層と電極との間にはキャリア輸送層を設けることが一般的である。その理由の一つとして、発光層中の励起エネルギーが電極へとエネルギー移動して消光してしまうのを防ぐためであることが挙げられる。また発光層と隣接するキャリア輸送層も、発光層の励起エネルギーが移動してしまわないように、そのキャリア輸送層は発光層よりも励起エネルギーの高い材料(励起子ブロック材料)が望ましい。つまり最高被占有軌道準位(HOMO準位)−最低空軌道準位(LUMO準位)間のバンドギャップ(Bg)の広い材料が好ましいと考えられる。
【0008】
また、有機ELを利用した発光素子において、発光層と電極間に設けられたキャリア輸送層は、複数の層で構成されることがある。その理由の一つとして、隣接する層間のキャリア注入障壁を調節するためであることが挙げられる。注入障壁があるほど、キャリアの抜けが抑制でき、そのことでより発光層で効率よく再結合させることが出来ると考えられる。
【0009】
また、燐光を発する素子の場合、発光物質と接する材料の三重項励起エネルギーの準位(T1準位)が該発光物質のT1準位よりも十分高くないと、発光物質の励起エネルギーが損なわれる。そのため、燐光発光素子における発光層のホスト材料や発光層に隣接するキャリア輸送層の材料には、燐光発光材料よりもT1準位が高い材料を用いる。
【0010】
しかしながら、一般的なバンドギャップが広い、又はT1準位が高い材料の多くは、共役を広げないようにした、分子量が小さい材料である。これら材料はその分子量の小ささゆえに、熱物性が著しく悪く(ガラス転移温度(Tg)が低い・結晶化しやすい)、膜質が良好でない、蒸着時の安定性が悪いなど、課題が多かった。そのため、バンドギャップの広さやT1準位の高さを保ちつつ、これらの課題を克服する材料が望まれている。
【0011】
例えば、非特許文献1では、発光素子の正孔輸送層に用いることのできる材料として、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Chem.Mater. 1998,10, p.2235−2250
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、NPBは可視域に吸収がある。したがって、発光素子に用いた場合、発光層から放出した可視光の一部をNPBが吸収し、光取り出し効率が低下してしまう問題がある。またバンドギャップが十分広くなく、LUMO準位が低いため、発光層から隣接したNPBへ、電子の抜けが起こることがある。そしてキャリアバランスを最適化できず、効率低下や色変化を起こすことがある。また発光層側の励起エネルギーが隣接したNPBへ移動してしまい、消光してしまうことがある。
【0014】
そこで、本発明の一態様は、正孔輸送性を有し、バンドギャップの広い物質を提供することを目的の一とする。
【0015】
又は、本発明の一態様は、該物質を発光素子に適用することにより、発光効率の高い発光素子を提供することを目的の一とする。又は、該物質を発光素子に適用することにより、長寿命の発光素子を提供することを目的の一とする。また、本発明の一態様は、該発光素子を用いた発光装置、該発光装置を用いた電子機器、照明装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物である。
【0017】
【化1】

【0018】
式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、n及びkは、それぞれ独立に、0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0019】
上記フルオレン化合物において、α、α、及びArが有する置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基であることが好ましい。
【0020】
α及びαとしては、それぞれ独立に、それぞれ置換又は無置換の、フェニレン基、ビフェニルジイル基、ナフタレンジイル基等が挙げられる。
【0021】
Arとしては、それぞれ置換又は無置換の、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、4−ジベンゾフラニル基等が挙げられる。
【0022】
α、α、及びArが有する置換基、並びにR〜R15としては、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基等が挙げられる。
【0023】
また、上記フルオレン化合物において、R〜R15は、それぞれ独立に、構造式(R−1)〜(R−14)のいずれか一を表すことが好ましい。
【0024】
【化2】

【0025】
また、α、α、及びArが置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立に、上記構造式(R−2)乃至構造式(R−14)のいずれか一であることが好ましい。
【0026】
また、上記フルオレン化合物において、α及びαは、それぞれ独立に、構造式(α−1)〜(α−7)のいずれか一を表すことが好ましい。
【0027】
【化3】

【0028】
また、上記フルオレン化合物において、Arは、構造式(Ar−1)〜(Ar−21)のいずれか一を表すことが好ましい。構造式(Ar−15)〜(Ar−19)において、Qは、硫黄又は酸素を表す。
【0029】
【化4】

【0030】
また、本発明の一態様は、上記フルオレン化合物を含む発光素子である。
【0031】
また、本発明の一態様は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられた発光層とを有し、陽極と発光層との間に、上記フルオレン化合物を含む層を有する発光素子である。
【0032】
また、上記発光素子において、陽極と接する層が上記フルオレン化合物を含む層であっても良いし、発光層と接する層が上記フルオレン化合物を含む層であっても良い。
【0033】
特に、上記フルオレン化合物を含む層が、陽極と接する場合、上記フルオレン化合物を含む層は、さらに金属酸化物を含むことが好ましい。特に、酸化モリブデンを含むことが好ましい。
【0034】
また、本発明の一態様は、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に設けられた発光層とを有し、該発光層が上記フルオレン化合物を含む発光素子である。
【0035】
また、本発明の一態様は、上記発光素子を有する発光装置である。また、本発明の一態様は、上記発光装置を有する電子機器である。また、本発明の一態様は、上記発光装置を有する照明装置である。
【0036】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、光源を含む。また、パネルにコネクター、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、又は発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の一態様では、正孔輸送性を有し、バンドギャップの広い物質を提供することができる。
【0038】
また、本発明の一態様では、発光効率の高い発光素子を提供することができる。又は、長寿命の発光素子を提供することができる。また、本発明の一態様では、該発光素子を用いた発光装置、該発光装置を用いた電子機器、照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一態様の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の一態様の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の一態様の発光装置を説明する図。
【図4】本発明の一態様の発光装置を説明する図。
【図5】本発明の一態様の電子機器を説明する図。
【図6】本発明の一態様の照明装置を説明する図。
【図7】DBTFLP−IIIのH NMRチャートを示す図。
【図8】DBTFLP−IIIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図9】DBTFLP−IIIの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図10】DBTFLP−IVのH NMRチャートを示す図。
【図11】DBTFLP−IVのヘキサン溶液の吸収スペクトル及びトルエン溶液の発光スペクトルを示す図。
【図12】DBTFLP−IVの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図13】実施例の発光素子を説明する図。
【図14】DBTFLP−IIIのCV測定結果を示す図。
【図15】実施例3の発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図16】実施例3の発光素子の輝度−電流効率特性を示す図。
【図17】実施例3の発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図18】実施例3の発光素子の輝度−色度座標特性を示す図。
【図19】実施例4の発光素子の輝度−電流効率特性を示す図。
【図20】実施例4の発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図21】実施例5の発光素子の電流密度−輝度特性を示す図。
【図22】実施例5の発光素子の輝度−電流効率特性を示す図。
【図23】実施例5の発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図24】mmDBFFLBi−IIのH NMRチャートを示す図。
【図25】mmDBFFLBi−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図26】mmDBFFLBi−IIの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図27】mmDBTFLBi−IIのH NMRチャートを示す図。
【図28】mmDBTFLBi−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図29】mDBFFLPPhA−IIのH NMRチャートを示す図。
【図30】mDBFFLPPhA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図31】mDBFFLPPhA−IIの薄膜の吸収スペクトル及び発光スペクトルを示す図。
【図32】実施例9の発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図33】実施例9の発光素子の電圧−電流特性を示す図。
【図34】実施例9の発光素子の輝度−色度座標特性を示す図。
【図35】実施例9の発光素子の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図36】実施例9の発光素子の発光スペクトルを示す図。
【図37】実施例9の発光素子の信頼性試験の結果を示す図。
【図38】実施例10の発光素子の電圧−輝度特性を示す図。
【図39】実施例10の発光素子の電圧−電流特性を示す図。
【図40】実施例10の発光素子の輝度−色度座標特性を示す図。
【図41】実施例10の発光素子の輝度−外部量子効率特性を示す図。
【図42】実施例10の発光素子の発光スペクトルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0041】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のフルオレン化合物について説明する。
【0042】
本発明の一態様は、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物である。
【0043】
【化5】

【0044】
一般式(G1)中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、n及びkは、それぞれ独立に、0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0045】
一般式(G1)において、フルオレン骨格の9位に、2つの置換基が結合している。これら置換基は、フルオレン骨格の9位のシグマ結合を介して結合している。そのため、フルオレン骨格の9位に結合している一方の置換基は、他方の置換基まで共役が広がりづらく、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物は、大きな分子量でありながらも、広いバンドギャップを有することができ、好ましい。
【0046】
上記フルオレン化合物において、αが1以上の置換基を有する場合、その置換基としては、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基であることが好ましい。
【0047】
また、上記フルオレン化合物において、αが1以上の置換基を有する場合、その置換基としては、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基であることが好ましい。
【0048】
また、上記フルオレン化合物において、Arが1以上の置換基を有する場合、その置換基としては、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基であることが好ましい。
【0049】
α(n=1)及びα(k=1)は、それぞれ独立に、それぞれ置換もしくは無置換の、フェニレン基又はビフェニルジイル基を表すことが好ましい。フェニレン基又はビフェニルジイル基の場合、共役が広がりづらく、バンドギャップが広く保たれ、可視域に吸収が出づらいため、好ましい。特に蛍光の青や緑など、より短波長の発光素子に用いる場合に好ましい。また、フェニレン基の場合、三重項励起エネルギーの準位(T1準位)がより高く保たれ、好ましい。特に燐光の青や緑など、より短波長の発光素子に用いる場合に好ましい。なお、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
【0050】
Arは、それぞれ置換もしくは無置換の、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、トリフェニル基、フルオランテニル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、又は4−ジベンゾフラニル基であることが好ましい。特に、Arがナフチル基、フェナントリル基、又はアントリル基であると、縮合環を有し、キャリアを良く運ぶため、好ましい。また、Arがフェニル基、ビフェニル基、4−ジベンゾチオフェニル基、又は4−ジベンゾフラニル基であると、バンドギャップをより広く保てるため、好ましい。
【0051】
α、α、及びArが有する置換基、並びにR〜R15は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基等や、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、又はフェナントリル基であることが好ましい。
【0052】
また、上記フルオレン化合物において、R〜R15は、それぞれ独立に、構造式(R−1)〜(R−14)のいずれか一を表すことが好ましい。
【0053】
【化6】

【0054】
また、一般式(G1)におけるR〜R15のいずれかの位置に置換基を有すると、立体障害により結晶化しづらい材料となるため、好ましい。また、該置換基が前述の構造式(R−2)〜(R−6)のようにアルキル基の場合、有機溶剤への溶解性が良好となり、精製や溶液調整が容易となるため、好ましい。また、該置換基がアルキル基や、前述の構造式(R−8)、(R−11)〜(R−13)のようにフェニル基又はビフェニル基であると、より広いバンドギャップを保つことができ、好ましい。また、該置換基が前述の構造式(R−8)〜(R−14)のようにアリール基であると、キャリア輸送性が向上し、好ましい。
【0055】
特に、ジベンゾチオフェン骨格又はジベンゾフラン骨格の2位又は8位(一般式(G1)におけるR10又はR13の位置)に置換基を有するフルオレン化合物は、合成が容易であるため、好ましい。ただし、フルオレン化合物が置換基を有する場合、合成ステップの数が多くなり、副生成物の増加や合成コストが高くなることがある。その点では、置換基を有さないほうが好ましい。
【0056】
また、上記フルオレン化合物において、α、α、及びArが有する置換基は、それぞれ独立に、構造式(R−2)〜(R−14)のいずれか一であることが好ましい。
【0057】
また、上記フルオレン化合物において、α及びαは、それぞれ独立に、構造式(α−1)〜(α−7)のいずれか一を表すことが好ましい。
【0058】
【化7】

【0059】
また、上記フルオレン化合物において、Arは、構造式(Ar−1)〜(Ar−21)のいずれか一を表すことが好ましい。構造式(Ar−15)〜(Ar−19)において、Qは、硫黄又は酸素を表す。
【0060】
【化8】

【0061】
特に、上記構造式(Ar−5)〜(Ar−14)のように、Arが縮合環を有すると、キャリア輸送性が向上するため、好ましい。
【0062】
さらに、Arがアントラセン骨格やピレン骨格を有する場合、発光効率が良好となり、好ましい。この時、これら骨格は、フルオレン骨格の9位に結合している構造となる(αを介して結合する場合もある)。そのため、それ以上(ジベンゾチオフェン又はジベンゾフラン骨格まで)共役が広がりづらく、フルオレン化合物は短波長(青紫から短波長)の発光色を効率よく呈することが可能である。
【0063】
下記構造式(100)〜(124)、構造式(130)〜(154)、構造式(160)〜(169)、構造式(170)〜(179)、構造式(180)〜(185)、構造式(190)〜(201)、構造式(210)〜(221)、及び構造式(230)〜(236)に、本発明の一態様のフルオレン化合物の具体的な構造式を列挙する。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
【0064】
【化9】

【0065】
【化10】

【0066】
【化11】

【0067】
【化12】

【0068】
【化13】

【0069】
【化14】

【0070】
【化15】

【0071】
【化16】

【0072】
【化17】

【0073】
【化18】

【0074】
【化19】

【0075】
【化20】

【0076】
【化21】

【0077】
【化22】

【0078】
【化23】

【0079】
【化24】

【0080】
また、本実施の形態で示すフルオレン化合物を合成する際に用いられる有機化合物も新規な材料であるため、該有機化合物も本発明の一態様に含まれるものとする。
【0081】
したがって、本発明の一態様は、一般式(G2)で表される有機化合物である。
【0082】
【化25】

【0083】
式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数7〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。
【0084】
また、本発明の一態様は、一般式(G3)で表される有機化合物である。
【0085】
【化26】

【0086】
式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。
【0087】
また、本発明の一態様は、構造式(700)で表される有機化合物である。
【0088】
【化27】

【0089】
また、本発明の一態様は、一般式(G4)で表される有機化合物である。
【0090】
【化28】

【0091】
式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数7〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0092】
また、本発明の一態様は、一般式(G5)で表される有機化合物である。
【0093】
【化29】

【0094】
式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0095】
また、本発明の一態様は、構造式(720)で表される有機化合物である。
【0096】
【化30】

【0097】
したがって、本発明の一態様は、一般式(G6)で表される有機化合物である。
【0098】
【化31】

【0099】
式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数7〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0100】
また、本発明の一態様は、一般式(G7)で表される有機化合物である。
【0101】
【化32】

【0102】
式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0103】
また、本発明の一態様は、構造式(740)で表される有機化合物である。
【0104】
【化33】

【0105】
本発明の一態様のフルオレン化合物を合成する際に用いられる有機化合物としては、具体的には、構造式(700)〜構造式(710)、構造式(720)〜構造式(730)、及び構造式(740)〜構造式(748)で表される有機化合物を挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0106】
【化34】

【0107】
【化35】

【0108】
【化36】

【0109】
本発明の一態様であるフルオレン化合物の合成方法、及び該フルオレン化合物を合成する際に用いられる有機化合物の合成方法としては、種々の反応を適用することができる。例えば、以下に示す合成方法を用いて、一般式(G1)で表される本発明の一態様のフルオレン化合物を合成することができる。なお、本発明の一態様のフルオレン化合物の合成方法は、以下の方法に限定されない。
【0110】
【化37】

【0111】
一般式(G1)中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、n及びkは、それぞれ独立に、0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。
【0112】
≪一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法1≫
一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法の一例について説明する。具体的には、一般式(G1)において、k=1の場合のフルオレン化合物の合成方法の一例を説明する。
【0113】
<ステップ1>
下記合成スキーム(A−1)に示すように、ハロゲン化アリール化合物(a1)をリチオ化又はグリニア試薬化としたのち、アリールカルボニルハロゲン化合物(a2)と反応させることで、ハロゲン化ジアリールケトン化合物(a3)が得られる。
【0114】
【化38】

【0115】
合成スキーム(A−1)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、nは0又は1を表し、kは1を表し、X、X、及びXは、それぞれ独立にハロゲンを表す。Xは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素を表し、より好ましくはヨウ素を表す。また、Xは、化合物(a2)の安定性の高さから好ましくは塩素を表す。
【0116】
合成スキーム(A−1)では、ハロゲン基を有するアリール化合物を活性化させた後、カルボニルハロゲン化合物と反応させ、ジアリールケトン化合物にすることができる。
【0117】
その活性化の一例としては、アルキルリチウム試薬でリチオ化する反応や、活性化マグネシウムでグリニヤール試薬とする反応を用いることができる。アルキルリチウムとしてはn−ブチルリチウムや、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム等が挙げられる。中和用の酸としては塩酸などを用いることができる。溶媒としては脱水溶媒を用い、ジエチルエーテルなどのエーテル類やテトラヒドロフラン(THF)を用いることができる。
【0118】
<ステップ2>
次に、下記合成スキーム(A−2)に示すように、1−ハロゲン化ビフェニル化合物(a4)をリチオ化又はグリニア試薬化としたのち、ハロゲン化ジアリールケトン化合物(a3)と反応させることで、ハロゲン化ジアリールフルオレン化合物(a5)が得られる。
【0119】
【化39】

【0120】
合成スキーム(A−2)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、nは0又は1を表し、kは1を表し、X及びXは、それぞれ独立にハロゲンを表す。Xは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素を表し、より好ましくはヨウ素を表す。
【0121】
合成スキーム(A−2)では、ハロゲン基を有するアリール化合物を活性化させた後、ケトン化合物と反応させ、アリールアルコール化合物とした後、酸を加えて脱水させることで、フルオレン化合物にすることができる。
【0122】
その活性化の一例としては、アルキルリチウム試薬でリチオ化する反応や、活性化マグネシウムでグリニヤール試薬とする反応を用いることができる。アルキルリチウムとしてはn−ブチルリチウムや、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム等が挙げられる。酸としては塩酸などを用いることができる。溶媒としては脱水溶媒を用い、ジエチルエーテルなどのエーテル類やテトラヒドロフラン(THF)を用いることができる。
【0123】
<ステップ3>
さらに、下記合成スキーム(A−3)に示すように、ハロゲン化ジアリールフルオレン化合物(a5)とホウ素化合物(a6)とをカップリングさせることで、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物が得られる。
【0124】
【化40】

【0125】
合成スキーム(A−3)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、nは0又は1を表し、kは1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、Xは、ハロゲンを表し、Bはボロン酸又はジアルコキシボロンを表す。Xは反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素、より好ましくはヨウ素を表す。
【0126】
なお合成スキーム(A−3)のカップリング反応は様々な反応条件があるが、その一例として、塩基存在下にて金属触媒を用いた合成方法を適用することができる。
【0127】
本実施の形態では、合成スキーム(A−3)において、鈴木・宮浦反応を用いる場合について示す。金属触媒としてはパラジウム触媒を用いることができ、該パラジウム触媒としてはパラジウム錯体とその配位子の混合物を用いることができる。該パラジウム錯体としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロライド等が挙げられる。また該配位子としては、トリ(オルト−トリル)ホスフィンや、トリフェニルホスフィンや、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。
【0128】
また該塩基として用いることができる物質としては、ナトリウム tert−ブトキシド等の有機塩基や、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。また、当該反応は溶液中で行うことが好ましく、用いることができる溶媒としては、トルエンと水の混合溶媒、トルエンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、キシレンと水の混合溶媒、キシレンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、ベンゼンと水の混合溶媒、ベンゼンとエタノール等のアルコールと水の混合溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類と水の混合溶媒等が挙げられる。ただし、用いることができる触媒、塩基、溶媒はこれらに限られるものでは無い。
【0129】
また、合成スキーム(A−3)において、ホウ素化合物の代わりに、アリールアルミニウム、アリールジルコニウム、アリール亜鉛、アリールスズ等を用いても良い。また合成スキーム(A−3)は窒素やアルゴンなど不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
【0130】
また、スキーム(A−3)では、化合物(a5)のハロゲン基Xと、化合物(a6)のホウ素化合物基Bとを反応させたが、ホウ素化合物基Bを有する化合物(a5)と、ハロゲン基Xを有する化合物(a6)とをカップリングさせても(反応基を交換しても)、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物が得られる。
【0131】
以上によって、本実施の形態のフルオレン化合物を合成することができる。
【0132】
≪一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法2≫
一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法の別の例について説明する。具体的には、一般式(G1)において、n=1の場合のフルオレン化合物の合成方法の一例を説明する。
【0133】
<ステップ1>
下記合成スキーム(B−1)に示すように、ジハロゲン化アリール化合物(a7)をリチオ化又はグリニア試薬化としたのち、アリールカルボニルハロゲン化合物(a2)とを反応させることで、ジハロゲン化ジアリールケトン化合物(a8)が得られる。
【0134】
【化41】

【0135】
合成スキーム(B−1)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、nは1を表し、kは0又は1を表し、X、X、X、及びXは、それぞれ独立にハロゲンを表す。Xは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素を表し、より好ましくはヨウ素を表す。また、Xは、化合物(a2)の安定性の高さから、好ましくは塩素を表す。
【0136】
合成スキーム(B−1)では、合成スキーム(A−1)と同様に、ハロゲン基を有するアリール化合物を活性化させた後、カルボニルハロゲン化合物と反応させジアリールケトン化合物にすることができる。詳細は合成スキーム(A−1)を参照する。
【0137】
<ステップ2>
次に、下記合成スキーム(B−2)に示すように、1−ハロゲン化ビフェニル化合物(a4)をリチオ化又はグリニア試薬化としたのち、ジハロゲン化ジアリールケトン化合物(a8)と反応させることで、ジハロゲン化ジアリールフルオレン化合物(a9)が得られる。
【0138】
【化42】

【0139】
合成スキーム(B−2)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、nは1を表し、kは0又は1を表し、X、X、及びXは、それぞれ独立にハロゲンを表す。Xは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素を表し、より好ましくはヨウ素を表す。
【0140】
合成スキーム(B−2)では、合成スキーム(A−2)と同様に、ハロゲン基を有するアリール化合物を活性化させた後、ケトン化合物と反応させ、アリールアルコール化合物とした後、酸を加えて脱水させることで、フルオレン化合物にすることができる。詳細は合成スキーム(A−2)を参照する。
【0141】
<ステップ3>
次に、下記合成スキーム(B−3)に示すように、ジハロゲン化ジアリールフルオレン化合物(a9)とホウ素化合物(a6)とをカップリングさせることで、ハロゲン化ジアリールフルオレン化合物(a10)が得られる。
【0142】
【化43】

【0143】
合成スキーム(B−3)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、nは1を表し、kは0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、X及びXは、それぞれ独立にハロゲンを表す。X及びXは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素、より好ましくはヨウ素を表す。また、化合物(a6)を化合物(a9)のXと選択的に反応させるために、Xは、Xより反応性の高いハロゲンであることが好ましい(例えば、Xが塩素の場合、Xは臭素又はヨウ素、Xが臭素の場合、Xはヨウ素であることが好ましい)。Bはボロン酸又はジアルコキシボロンを表す。
【0144】
なお、合成スキーム(B−3)のカップリング反応は様々な反応条件があるが、その一例として、塩基存在下にて金属触媒を用いた合成方法を適用することができる。合成スキーム(A−3)と同様の条件で合成できるため、詳細は合成スキーム(A−3)を参照する。
【0145】
<ステップ4>
次に、下記合成スキーム(B−4)に示すように、ハロゲン化ジアリールフルオレン化合物(a10)とホウ素化合物(a11)とをカップリングさせることで、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物が得られる。
【0146】
【化44】

【0147】
合成スキーム(B−4)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、nは1を表し、kは0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、Xは、ハロゲンを表す。Xは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素、より好ましくはヨウ素を表す。Bはボロン酸又はジアルコキシボロンを表す。
【0148】
なお合成スキーム(B−4)のカップリング反応は様々な反応条件があるが、その一例として、塩基存在下にて金属触媒を用いた合成方法を適用することができる。合成スキーム(A−3)と同様の条件で合成できるため、詳細は合成スキーム(A−3)を参照する。
【0149】
また、合成スキーム(B−3)、(B−4)では、化合物(a6)、化合物(a11)の順にカップリング反応を行ったが、化合物(a11)、化合物(a6)の順にカップリングさせても、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物が得られる。
【0150】
また、合成スキーム(B−3)、(B−4)で、化合物(a6)と化合物(a11)が同じ化合物の場合(BやBで表される反応基以外が同じである場合)、化合物(a9)に対し化合物(a6)を二等量以上用いて(または、化合物(a9)に対し化合物(a6)と化合物(a11)を両方同時に加えて)反応させても、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物が得られる。この反応を用いると、合成がより簡便となり好ましい。
【0151】
また、合成スキーム(A−3)と同様に、合成スキーム(B−3)、(B−4)で反応基を逆にしてカップリングさせても、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物が得られる。
【0152】
以上によって、本実施の形態のフルオレン化合物を合成することができる。
【0153】
≪一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法3≫
さらに、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物の合成方法の別の例について説明する。
【0154】
<ステップ1>
下記合成スキーム(C−1)に示すように、ハロゲン化アリール化合物(a1)をリチオ化又はグリニア試薬化としたのち、アリールカルボニルハロゲン化合物(a12)とを反応させることで、ジアリールケトン化合物(a13)が得られる。
【0155】
【化45】

【0156】
合成スキーム(C−1)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、n及びkは、それぞれ独立に、0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、X及びXは、それぞれ独立にハロゲンを表す。Xは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素を表し、より好ましくはヨウ素を表す。また、Xは、化合物(a12)の安定性の高さから好ましくは塩素を表す。
【0157】
合成スキーム(C−1)では、合成スキーム(A−1)と同様に、ハロゲン基を有するアリール化合物を活性化させた後、カルボニルハロゲン化合物と反応させジアリールケトン化合物にすることができる。詳細は合成スキーム(A−1)を参照する。
【0158】
<ステップ2>
次に、下記合成スキーム(C−2)に示すように、1−ハロゲン化ビフェニル化合物(a4)をリチオ化又はグリニア試薬化としたのち、ジアリールケトン化合物(a13)と反応させることで、一般式(G1)で表されるフルオレン化合物が得られる。
【0159】
【化46】

【0160】
合成スキーム(C−2)において、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表し、n及びkは、それぞれ独立に、0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、Xは、ハロゲンを表す。Xは、反応性の高さから、好ましくは臭素又はヨウ素を表し、より好ましくはヨウ素を表す。
【0161】
合成スキーム(C−2)では、合成スキーム(A−2)と同様に、ハロゲン基を有するアリール化合物を活性化させた後、ケトン化合物と反応させ、アリールアルコール化合物とした後、酸を加えて脱水させることで、フルオレン化合物にすることができる。詳細は合成スキーム(A−2)を参照する。
【0162】
以上によって、本実施の形態のフルオレン化合物を合成することができる。
【0163】
上述した本発明の一態様のフルオレン化合物は、正孔輸送性が高い。また、本発明の一態様のフルオレン化合物は、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い。また、本発明の一態様のフルオレン化合物は、最低空軌道準位(LUMO準位)が高い。また、本発明の一態様のフルオレン化合物は、バンドギャップが広い。また、本発明の一態様のフルオレン化合物は、T1準位が高い。
【0164】
本発明の一態様のフルオレン化合物は、発光素子に好適に用いることができる。特に、発光素子の正孔輸送層として用いることが好ましい。また、本発明の一態様のフルオレン化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を発光素子の正孔注入層として用いることができる。
【0165】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0166】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したフルオレン化合物を正孔輸送層に用いた、本発明の一態様の発光素子について図1を用いて説明する。
【0167】
本実施の形態の発光素子は、一対の電極間に、少なくとも正孔輸送層及び発光層を有するEL層を挟持して形成される。EL層は、正孔輸送層及び発光層の他に複数の層を有してもよい。当該複数の層は、電極から離れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層を組み合わせて積層されたものである。当該複数の層としては、例えば、正孔注入層、電子注入層、電子輸送層などを有していても良い。
【0168】
図1(A)に示す本実施の形態の発光素子において、第1の電極101及び第2の電極103の一対の電極間に、正孔輸送層112及び発光層113を有するEL層102が設けられている。EL層102は、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を有している。図1(A)における発光素子は、基板100上に、第1の電極101と、第1の電極101の上に順に積層した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115と、さらにその上に設けられた第2の電極103から構成されている。なお、本実施の形態に示す発光素子において、第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極103は陰極として機能する。
【0169】
基板100は発光素子の支持体として用いられる。基板100としては、例えばガラス、石英、又はプラスチックなどを用いることができる。また可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォンからなるプラスチック基板等が挙げられる。また、フィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニル等からなる)、無機蒸着フィルムなどを用いることもできる。なお、発光素子の支持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0170】
第1の電極101としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛膜は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。また、IWZO膜は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。この他、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0171】
但し、EL層102のうち、第1の電極101に接して形成される層が、後述する有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いて形成される場合には、第1の電極101に用いる物質は、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム、銀、アルミニウムを含む合金(例えば、Al−Si)等も用いることもできる。
【0172】
第1の電極101上に形成されるEL層102は、少なくとも正孔輸送層112及び発光層113を有しており、また正孔輸送層112には、本発明の一態様であるフルオレン化合物を含んで形成される。EL層102の一部には公知の物質を用いることもでき、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層102を形成する物質には、有機化合物のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。
【0173】
また、EL層102は、正孔輸送層112及び発光層113の他、図1に示すように正孔注入層111、電子輸送層114、電子注入層115などを適宜組み合わせて積層することにより形成される。
【0174】
正孔注入層111は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0175】
また、低分子の有機化合物である4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0176】
さらに、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)を用いることもできる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)などの高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0177】
また、正孔注入層111として、有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子受容体によって有機化合物に正孔が発生するため、正孔注入性及び正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物は、発生した正孔の輸送に優れた材料(正孔輸送性の高い物質)であることが好ましい。
【0178】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機化合物を具体的に列挙する。
【0179】
本発明の一態様のフルオレン化合物は、正孔輸送性の高い有機化合物であるため、複合材料に好適に用いることができる。そのほか、複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等の芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等のカルバゾール誘導体を用いることができる。
【0180】
また、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0181】
さらに、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素化合物を用いることができる。
【0182】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0183】
なお、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合物と、上述した電子受容体を用いて複合材料を形成し、正孔注入層111に用いてもよい。
【0184】
正孔輸送層112は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。本実施の形態における正孔輸送層112は、本発明の一態様のフルオレン化合物を含む。
【0185】
発光層113は、発光物質を含む層である。発光物質としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や、燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0186】
本発明の一態様のフルオレン化合物は蛍光を発する材料のため、発光物質として用いることができる。
【0187】
発光層113に用いることができる蛍光性物質としては、例えば、青色系の発光材料として、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:YGAPA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(略称:PCBAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0188】
また、発光層113に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq)(acac))、トリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(bzq))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス{2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト}イリジウム(III)(略称:Ir(dmmoppr)(acac))などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−iPr)(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(acac))、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(tppr)(dpm))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光性化合物として用いることができる。
【0189】
また、発光物質として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PFO)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PPV−DPD)などが挙げられる。
【0190】
なお、発光層113としては、上述した発光物質(ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、発光物質よりもLUMO準位が高く、HOMO準位が低い物質を用いることが好ましい。
【0191】
本発明の一態様のフルオレン化合物は、LUMO準位が高く、HOMO準位が低い物質であるため、ホスト材料として好適に用いることができる。
【0192】
また、発光物質が燐光性化合物の場合、そのホスト材料はその発光物質よりもT1準位が高い物質を用いることが好ましい。本発明の一態様のフルオレン化合物は、T1準位が高い物質であるため、燐光発光物質のホスト材料に好適に用いることができる。
【0193】
また、発光物質が蛍光性化合物の場合、そのホスト材料はその発光物質よりも一重項励起エネルギーの準位(S1準位)が高い物質を用いることが好ましい。本発明の一態様のフルオレン化合物は、S1準位が高い物質であるため、蛍光発光物質のホスト材料に好適に用いることができる。
【0194】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(又はα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0195】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0196】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層113の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0197】
電子輸送層114は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等が挙げられる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0198】
電子注入層115は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層115には、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
【0199】
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性及び電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
【0200】
なお、上述した正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0201】
第2の電極103は、第2の電極103が陰極として機能する際は仕事関数の小さい(好ましくは3.8eV以下)金属、合金、導電性化合物、及びこれらの混合物などを用いて形成することが好ましい。具体的には、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、すなわちリチウムやセシウム等のアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、Mg−Ag、Al−Li)、ユーロピウム、イッテルビウム等の希土類金属及びこれらを含む合金の他、アルミニウムや銀などを用いることができる。
【0202】
但し、EL層102のうち、第2の電極103に接して形成される層が、上述する有機化合物と電子供与体(ドナー)とを混合してなる複合材料を用いる場合には、仕事関数の大小に関わらず、アルミニウム、銀、ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料を用いることができる。
【0203】
なお、第2の電極103を形成する場合には、真空蒸着法やスパッタリング法を用いることができる。また、銀ペーストなどを用いる場合には、塗布法やインクジェット法などを用いることができる。
【0204】
上述した発光素子は、第1の電極101と第2の電極103との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層102において正孔と電子とが再結合することにより発光する。そして、この発光は、第1の電極101又は第2の電極103のいずれか一方又は両方を通って外部に取り出される。従って、第1の電極101又は第2の電極103のいずれか一方、又は両方が可視光に対する透光性を有する電極となる。
【0205】
なお、第1の電極101と第2の電極103との間に設けられる層の構成は、上記のものに限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光を防ぐように、第1の電極101及び第2の電極103から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発光領域を設けた構成であれば上記以外のものでもよい。
【0206】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質、又は正孔ブロック材料等から成る層を、発光層及び本発明の一態様のフルオレン化合物を含む正孔輸送層と自由に組み合わせて構成すればよい。
【0207】
また、本発明の一態様のフルオレン化合物は、HOMO準位が低い物質であるため、正孔ブロック材料として好適に用いることができる。
【0208】
図1(B)に示す発光素子は、基板100上において、第1の電極101及び第2の電極103の一対の電極間に、EL層102が設けられている。EL層102は、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115を有している。図1(B)における発光素子は、基板100上に、陰極として機能する第2の電極103と、第2の電極103上に順に積層した電子注入層115、電子輸送層114、発光層113、正孔輸送層112、正孔注入層111と、さらにその上に設けられた陽極として機能する第1の電極101から構成されている。
【0209】
なお、本実施の形態の発光素子は、正孔輸送層に本発明の一態様のフルオレン化合物を用いる構成としたが、本発明の発光素子の構成はこれに限られない。
【0210】
例えば、発光素子の正孔注入層に本発明の一態様のフルオレン化合物を含んでいても良い。この場合、正孔輸送層は、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いて形成しても良いし、他の正孔輸送性の高い材料を用いても形成しても良い。そのほか、前述のように、蛍光発光材料や、緑色までの燐光発光材料のホスト材料として、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いても良い。
【0211】
また本発明の一態様のフルオレン化合物はHOMO準位が低く、LUMO準位が高い。またバンドギャップが広い。そのため、発光層に隣接するキャリア輸送層(正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層など)として好適に用いることができる。そのことで、高効率な素子を得ることができる。
【0212】
以下、具体的な発光素子の形成方法を示す。
【0213】
本実施の形態の発光素子は一対の電極間にEL層が挟持される構造となっている。EL層は少なくとも正孔輸送層及び発光層を有し、正孔輸送層は、本発明の一態様のフルオレン化合物を含んで形成される。また、EL層には、発光層、正孔輸送層の他に正孔注入層、電子輸送層、電子注入層などを含んでもよい。電極(第1の電極及び第2の電極)、及びEL層は液滴吐出法(インクジェット法)、スピンコート法、印刷法などの湿式法を用いて形成してもよく、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法などの乾式法を用いて形成してもよい。湿式法を用いれば、大気圧下で形成することができるため、簡易な装置及び工程で形成することができ、工程が簡略化し、生産性が向上するという効果がある。一方乾式法は、材料を溶解させる必要がないために溶液に難溶の材料も用いることができ、材料の選択の幅が広い。
【0214】
発光素子を構成する薄膜のすべての形成を湿式法で行ってもよい。この場合、湿式法で必要な設備のみで発光素子を作製することができる。また、発光層を形成するまでの積層を湿式法で行い、発光層上に積層する機能層や第1の電極などを乾式法により形成してもよい。さらに、発光層を形成する前の第2の電極や機能層を乾式法により形成し、発光層、及び発光層上に積層する機能層や第1の電極を湿式法によって形成してもよい。もちろん、本実施の形態はこれに限定されず、用いる材料や必要とされる膜厚、界面状態によって適宜湿式法と乾式法を選択し、組み合わせて発光素子を作製することができる。
【0215】
本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリクス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。スタガ型のTFTでもよいし逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFTに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体を用いてもよいし、結晶性半導体を用いてもよい。また、TFT基板に形成される駆動用回路についても、N型及びP型のTFTからなるものでもよいし、若しくはN型又はP型のいずれか一方からのみなるものであってもよい。
【0216】
以上のように、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いて発光素子を作製することができる。本発明の一態様では、発光効率が高い発光素子を実現することができる。また、長寿命な発光素子を実現することができる。
【0217】
また、このようにして得られた本発明の一態様の発光素子を用いた発光装置(画像表示デバイス)は低消費電力を実現できる。
【0218】
なお、本実施の形態で示した発光素子を用いて、パッシブマトリクス型の発光装置や、薄膜トランジスタ(TFT)によって発光素子の駆動が制御されたアクティブマトリクス型の発光装置を作製することができる。
【0219】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて用いることができる。
【0220】
(実施の形態3)
本実施の形態は複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、積層型素子という)の態様について、図2を参照して説明する。この発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に複数の発光ユニットを有する発光素子である。
【0221】
図2(A)において、第1の電極301と第2の電極303との間には、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312が積層されている。本実施の形態において、第1の電極301は陽極として機能する電極であり、第2の電極303は陰極として機能する電極である。なお、第1の電極301と第2の電極303は実施の形態2と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312は同じ構成であっても異なる構成であっても良い。また、第1の発光ユニット311と、第2の発光ユニット312は、その構成として、実施の形態2と同様なものを適用しても良いし、いずれかが異なる構成であっても良い。
【0222】
また、第1の発光ユニット311と第2の発光ユニット312の間には、電荷発生層313が設けられている。電荷発生層313は、第1の電極301と第2の電極303に電圧を印加したときに、一方の発光ユニットに電子を注入し、他方の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。本実施の形態の場合には、第1の電極301に第2の電極303よりも電位が高くなるように電圧を印加すると、電荷発生層313から第1の発光ユニット311に電子が注入され、第2の発光ユニット312に正孔が注入される。
【0223】
なお、電荷発生層313は、光の取り出し効率の点から、可視光に対する透光性を有することが好ましい。また、電荷発生層313は、第1の電極301や第2の電極303よりも低い導電率であっても機能する。
【0224】
電荷発生層313は、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む構成であっても、電子輸送性の高い有機化合物と電子供与体(ドナー)とを含む構成であってもよい。また、これらの両方の構成が積層されていても良い。なお、電子受容体や電子供与体は、少なくとも電界のアシストにより電子を授受するものであればよい。
【0225】
正孔輸送性の高い有機化合物に電子受容体が添加された構成とする場合において、正孔輸送性の高い有機化合物としては、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いることができる。そのほか、NPBやTPD、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0226】
また、電子受容体としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0227】
一方、電子輸送性の高い有機化合物に電子供与体が添加された構成とする場合において、電子輸送性の高い有機化合物としては、例えば、Alq、Almq、BeBq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、Zn(BOX)、Zn(BTZ)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、PBDやOXD−7、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば、上記以外の物質を用いても構わない。
【0228】
また、電子供与体としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、又は元素周期表における第13族に属する金属及びその酸化物、炭酸塩などを用いることができる。具体的には、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム、インジウム、酸化リチウム、炭酸セシウムなどを用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物を電子供与体として用いてもよい。
【0229】
なお、上述した材料を用いて電荷発生層313を形成することにより、EL層が積層された場合における駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0230】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に、図2(B)に示すように、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子も適用することが可能である。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度で発光する長寿命素子を実現できる。
【0231】
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0232】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0233】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の、発光素子を有する発光装置について図3を用いて説明する。なお、図3(A)は、発光装置を示す上面図、図3(B)は図3(A)をA−B及びC−Dで切断した断面図である。
【0234】
図3(A)において、点線で示された401は駆動回路部(ソース側駆動回路)、402は画素部、403は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、404は封止基板、405はシール材であり、シール材405で囲まれた内側は、空間407になっている。
【0235】
なお、引き回し配線408はソース側駆動回路401及びゲート側駆動回路403に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)409からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光装置本体だけでなく、それにFPC又はPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
【0236】
次に、断面構造について図3(B)を用いて説明する。素子基板410上には駆動回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路401と、画素部402中の一つの画素が示されている。
【0237】
なお、ソース側駆動回路401はnチャネル型TFT423とpチャネル型TFT424とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、TFTで形成される種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0238】
また、画素部402はスイッチング用TFT411と、電流制御用TFT412とそのドレインに電気的に接続された第1の電極413とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極413の端部を覆って絶縁物414が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0239】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物414の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物414の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物414の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物414として、光の照射によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0240】
第1の電極413上には、EL層416、及び第2の電極417がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極413に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、ITO膜、又は珪素を含有したインジウム錫酸化物膜、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれる。
【0241】
また、EL層416は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法などの液滴吐出法、印刷法、スピンコート法等の種々の方法によって形成される。EL層416は、実施の形態1で示したフルオレン化合物を含んでいる。また、EL層416を構成する他の材料としては、低分子材料、オリゴマー、デンドリマー、又は高分子材料であっても良い。
【0242】
さらに、EL層416上に形成され、陰極として機能する第2の電極417に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料(Al、Mg、Li、Ca、又はこれらの合金や化合物、Mg−Ag、Mg−In、Al−Li等)を用いることが好ましい。なお、EL層416で生じた光が第2の電極417を透過するためには、第2の電極417として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(ITO、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化亜鉛等)との積層を用いるのが良い。
【0243】
さらにシール材405で封止基板404を素子基板410と貼り合わせることにより、素子基板410、封止基板404、及びシール材405で囲まれた空間407に発光素子418が備えられた構造になっている。なお、空間407には、充填材が充填されており、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材405で充填される場合もある。
【0244】
なお、シール材405にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板404に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0245】
以上のようにして、本発明の一態様の発光素子を有するアクティブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
【0246】
また、本発明の発光素子は、上述したアクティブマトリクス型の発光装置のみならずパッシブマトリクス型の発光装置に用いることもできる。図4に本発明の発光素子を用いたパッシブマトリクス型の発光装置の斜視図及び断面図を示す。なお、図4(A)は、発光装置を示す斜視図、図4(B)は図4(A)をX−Yで切断した断面図である。
【0247】
図4において、基板501上の第1の電極502と第2の電極503との間にはEL層504が設けられている。第1の電極502の端部は絶縁層505で覆われている。そして、絶縁層505上には隔壁層506が設けられている。隔壁層506の側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなるような傾斜を有する。つまり、隔壁層506の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(絶縁層505と接する辺)の方が上辺(絶縁層505と接しない辺)よりも短い。このように、隔壁層506を設けることで、クロストーク等に起因した発光素子の不良を防ぐことができる。
【0248】
以上により、本発明の一態様の発光素子を有するパッシブマトリクス型の発光装置を得ることができる。
【0249】
なお、本実施の形態で示した発光装置(アクティブマトリクス型、パッシブマトリクス型)は、いずれも本発明の一態様の発光素子を用いて形成されることから、消費電力の低い発光装置を得ることができる。
【0250】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0251】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明を適用した一態様である発光装置を用いて完成させた様々な電子機器および照明器具の一例について、図5、図6を用いて説明する。
【0252】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器および照明器具の具体例を図5に示す。
【0253】
図5(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、発光装置を表示部7103に用いることができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0254】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0255】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0256】
図5(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。
【0257】
図5(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図5(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図5(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図5(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0258】
図5(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。
【0259】
図5(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0260】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0261】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0262】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0263】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0264】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0265】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0266】
図5(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
【0267】
図6は、発光装置を、室内の照明装置801として用いた例である。発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。その他、ロール型の照明装置802として用いることもできる。なお、図6に示すように、室内の照明装置801を備えた部屋で、図5(E)で説明した卓上照明器具803を併用してもよい。
【0268】
以上のようにして、発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることができる。発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0269】
なお、本実施の形態に示す構成は、実施の形態1乃至実施の形態4に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【実施例1】
【0270】
≪合成例1≫
本実施例では、実施の形態1で構造式(106)に示した、本発明の一態様のフルオレン化合物である、2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)の合成方法について説明する。
【0271】
【化47】

【0272】
100mL三口フラスコに9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−フルオレンを1.6g(4.0mmol)、2,8−ジフェニルジベンゾチオフェン−4−ボロン酸を1.7g(4.4mmol)、酢酸パラジウム(II)を11mg(0.1mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィンを30mg(0.1mmol)、トルエン30mL、エタノール3mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液5mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した後、窒素雰囲気下、90℃で6.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0273】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加えた後、この有機層をフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナ(メルク、中性)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)の順で濾過して濾液を得た。得られた濾物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:3)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶化したところ、目的物の白色粉末を収量2.3g、収率90%で得た。また、上記合成法の反応スキームを下記(D−1)に示す。
【0274】
【化48】

【0275】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物では0.33、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−フルオレンでは0.60だった。
【0276】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるDBTFLP−IIIであることを確認した。
【0277】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):7.23−7.52(m,20H),7.65−7.76(m,8H),7.81(d,J=6.9Hz,1H),7.88(d,J=8.1Hz,1H),8.40(dd,J=11.7Hz,1.5Hz,2H)。
【0278】
また、H NMRチャートを図7に示す。なお、図7(B)は、図7(A)における6.0ppm〜9.0ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0279】
また、DBTFLP−IIIのトルエン溶液の吸収スペクトルを図8(A)に、発光スペクトルを図8(B)にそれぞれ示す。また、DBTFLP−IIIの薄膜の吸収スペクトルを図9(A)に、発光スペクトルを図9(B)にそれぞれ示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。吸収スペクトルに関して、溶液については石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示し、薄膜については石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図8(A)及び図9(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。図8(B)及び図9(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。トルエン溶液の場合では、295及び349nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは、367nm(励起波長300nm)であった。また、薄膜の場合では、266、299、及び352nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは376及び388nm(励起波長354nm)であった。図8(A)及び図9(A)から、DBTFLP−IIIは、可視域に吸収が少ない物質であることがわかる。つまり、本発明の一態様のフルオレン化合物であるDBTFLP−IIIを発光素子に用いた場合、発光層から放出された可視光はDBTFLP−IIIに吸収されにくいため、素子の光取り出し効率の低下を抑制できることが示唆された。
【0280】
また、DBTFLP−IIIは、発光スペクトルのピークが非常に短波長であるため、可視光を発する蛍光素子において、発光層のホスト材料や発光層に隣接するキャリア輸送層としても用いることができることがわかった。
【0281】
薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、HOMO準位は−5.89eVであった。薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットから吸収端は3.24eVであった。従って、固体状態のエネルギーギャップは3.24eVと見積もられ、このことはLUMO準位が−2.65eVであることを意味する。このことから、DBTFLP−IIIは、比較的低めのHOMO準位をもち、広いバンドギャップをもつことがわかった。
【0282】
酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
【0283】
酸化反応特性を、参照電極に対する作用電極の電位を0.00Vから1.25Vまで走査した後、1.25Vから0.00Vまで走査し測定した。その結果、HOMO準位は、−6.20eVであることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値となった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわかった。
【0284】
なお、以下に測定方法について詳述する。
【0285】
(参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーの算出)
まず、本実施例で用いる参照電極(Ag/Ag電極)の真空準位に対するポテンシャルエネルギー(eV)を算出した。つまり、Ag/Ag電極のフェルミ準位を算出した。メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位は、標準水素電極に対して+0.610[V vs. SHE]であることが知られている(参考文献;Christian R.Goldsmith et al., J.Am.Chem.Soc., Vol.124, No.1,83−96, 2002)。一方、本実施例で用いる参照電極を用いて、メタノール中におけるフェロセンの酸化還元電位を求めたところ、+0.11V[vs.Ag/Ag]であった。したがって、この参照電極のポテンシャルエネルギーは、標準水素電極に対して0.50[eV]低くなっていることがわかった。
【0286】
ここで、標準水素電極の真空準位からのポテンシャルエネルギーは−4.44eVであることが知られている(参考文献;大西敏博・小山珠美著、高分子EL材料(共立出版)、p.64−67)。以上のことから、用いた参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.44−0.50=−4.94[eV]であると算出できた。
【0287】
(目的物のCV測定条件)
CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)((株)アルドリッチ製、99.8%、カタログ番号;22705−6)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−BuNClO)((株)東京化成製カタログ番号;T0836)を100mmol/Lの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象を2mmol/Lの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、参照電極としてはAg/Ag電極(ビー・エー・エス(株)製、RE7非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。なお、測定は室温(20〜25℃)で行った。また、CV測定時のスキャン速度は、0.1V/secに統一した。
【0288】
次に、このCV測定からHOMO準位を算出した。酸化反応特性のCV測定結果を図14に示す。図14に示すように、酸化ピーク電位(中性側から酸化間)Epaは、1.18Vであった。また、還元ピーク電位(酸化側から中性間)Epcは1.04Vであった。したがって、半波電位(EpaとEpcの中間の電位、Epa+Epc)/2[V])は1.11Vと算出できる。このことは、1.11[V vs.Ag/Ag]の電気エネルギーにより酸化されることを示している。ここで、上述した通り、用いた参照電極の真空準位に対するポテンシャルエネルギーは、−4.94eVであるため、DBTFLP−IIIのHOMO準位は、−4.94−1.11=−6.05[eV]であることがわかった。
【0289】
また真空蒸着にてDBTFLP−IIIの薄膜を作製した。この薄膜は白濁がみられず、透明な膜であった。このことからも、DBTFLP−IIIは、結晶化し難い物質であることがわかった。
【実施例2】
【0290】
≪合成例2≫
本実施例では、実施の形態1で構造式(103)に示した、本発明の一態様のフルオレン化合物である、4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)の合成方法について説明する。
【0291】
【化49】

【0292】
100mL三口フラスコに9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−フルオレンを1.6g(4.0mmol)、4−フェニルジベンゾチオフェン−6−ボロン酸を1.2g(4.0mmol)、酢酸パラジウム(II)を4.0mg(20μmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィンを12mg(40μmol)、トルエン30mL、エタノール3mL、2mol/L炭酸カリウム水溶液3mLを加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した後、窒素雰囲気下、90℃で6時間加熱撹拌し、反応させた。
【0293】
反応後、この反応混合液にトルエン150mLを加えた後、この有機層をフロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)、アルミナ(メルク、中性)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)の順で濾過して濾液を得た。得られた濾物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 トルエン:ヘキサン=1:3)による精製を行った。得られたフラクションを濃縮し、アセトンとメタノールを加えて超音波をかけたのち、再結晶化したところ、目的物の白色粉末を収量1.6g、収率73%で得た。また、上記合成法の反応スキームを下記(E−1)に示す。
【0294】
【化50】

【0295】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物では0.40、9−(4−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−フルオレンでは0.48だった。
【0296】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるDBTFLP−IVであることを確認した。
【0297】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):7.16−7.59(m,22H),7.69−7.71(m,2H),7.79(d,J=7.5Hz,2H),8.14−8.18(m,2H)。
【0298】
また、H NMRチャートを図10に示す。なお、図10(B)は、図10(A)における6.5ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0299】
また、DBTFLP−IVのヘキサン溶液の吸収スペクトルを図11(A)に、トルエン溶液の発光スペクトルを図11(B)にそれぞれ示す。また、DBTFLP−IVの薄膜の吸収スペクトルを図12(A)に、発光スペクトルを図12(B)にそれぞれ示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。吸収スペクトルに関して、溶液については石英セルにヘキサンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示し、薄膜については石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図11(A)及び図12(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。図11(B)及び図12(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。溶液の場合では、236及び338nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは、353nm(励起波長290nm)であった。また、薄膜の場合では、247及び343nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは365nm(励起波長343nm)であった。図11(A)及び図12(A)から、DBTFLP−IVは、可視域に吸収が少ない物質であることがわかる。つまり、本発明の一態様のフルオレン化合物であるDBTFLP−IVを発光素子に用いた場合、放出された可視光が再吸収されづらいため、光取り出し効率が低下しづらい素子となることが示唆された。
【0300】
また、DBTFLP−IVは、発光スペクトルのピークが非常に短波長であるため、可視光を発する蛍光素子において、発光層のホスト材料や発光層に隣接するキャリア輸送層としても用いることができることがわかった。
【0301】
また、薄膜を大気中にて光電子分光法(理研計器社製、AC−2)で測定した結果、HOMO準位は−5.99eVであった。薄膜の吸収スペクトルのTaucプロットから吸収端は3.42eVであった。従って、固体状態のエネルギーギャップは3.42eVと見積もられ、このことはLUMO準位が−2.57eVであることを意味する。このことから、DBTFLP−IVは、比較的低めのHOMO準位をもち、広いバンドギャップをもつことがわかった。
【0302】
次に、酸化還元反応特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって調べた。測定には、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A又は600C)を用いた。
【0303】
酸化反応特性を、参照電極に対する作用電極の電位を−0.40Vから1.50Vまで走査した後、1.50Vから−0.40Vまで走査し測定した。その結果、HOMO準位は、−6.20eVであることがわかった。また、100サイクル後でも酸化ピークが同様の値となった。このことから、酸化状態と中性状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわかった。
【0304】
還元反応特性を、参照電極に対する作用電極の電位を−3.00Vから−1.18Vまで走査した後、−1.18Vから−3.00Vまで走査し測定した。その結果、LUMO準位は、−2.19eVであることがわかった。また、100サイクル後でも還元ピークが同様の値となった。このことから、中性状態と還元状態間の酸化還元の繰り返しに良好な特性を示すことがわかった。
【0305】
なお、測定方法については実施例1と同様であるため、詳細は実施例1を参照する。
【0306】
次に、ガラス転移温度を、示差走査熱量分析装置(DSC、パーキンエルマー社製 Pyris1)により測定した。測定結果から、ガラス転移温度は154℃であった。このように、DBTFLP−IVは、高いガラス転移温度を示し、良好な耐熱性を有することがわかった。また、結晶化を表すピークは存在せず、DBTFLP−IVは、結晶化し難い物質であることが分かった。これは、DBTFLP−IVの分子構造が立体的であることと、十分な大きさの分子量(576.7)を有するためだと考えられる。
【0307】
また真空蒸着にてDBTFLP−IVの薄膜を作製した。この薄膜は白濁がみられず、透明な膜であった。このことからも、DBTFLP−IVは、結晶化し難い物質であることがわかった。
【0308】
以上のことから、DBTFLP−IVは、バンドギャップを広く保ちつつ、熱物性も良好な材料であり、電気化学的にも安定な材料であることがわかった。
【実施例3】
【0309】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図13(A)を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
【0310】
【化51】

【0311】
以下に、本実施例の発光素子1の作製方法を示す。
【0312】
(発光素子1)
まず、ガラス基板1100上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0313】
当該基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0314】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
【0315】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、実施例2にて合成した4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−6−フェニルジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−IV)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、DBTFLP−IVと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=DBTFLP−IV:酸化モリブデン)となるように調節した。なお、共蒸着法とは、一つの処理室内で、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
【0316】
次に、正孔注入層1111上に、DBTFLP−IVを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0317】
さらに、4−[3−(トリフェニレン−2−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:mDBTPTp−II)、及びトリス(2−フェニルピリジナト−N,C’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))を共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、mDBTPTp−II及びIr(ppy)の重量比は、1:0.06(=mDBTPTp−II:Ir(ppy))となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は40nmとした。
【0318】
次に、発光層1113上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)を膜厚15nmとなるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
【0319】
その後、第1の電子輸送層1114a上にバソフェナントロリン(略称:BPhen)を膜厚15nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
【0320】
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
【0321】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子1を作製した。
【0322】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0323】
以上により得られた発光素子1の素子構造を表1に示す。
【0324】
【表1】

【0325】
発光素子1を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子1の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0326】
発光素子1の電圧−輝度特性を図15に示す。図15において、横軸は電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図16に示す。図16において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、発光素子1における輝度1000cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表2に示す。
【0327】
【表2】

【0328】
また、発光素子1に0.1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図17に示す。図17において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図17に示す通り、発光素子1の発光スペクトルは、516nmにピークを有している。また、表2に示す通り、1000cd/mの輝度の時の発光素子1のCIE色度座標は(x,y)=(0.34,0.61)であった。発光素子1は、Ir(ppy)に由来する緑色発光が得られたことがわかった。
【0329】
また、輝度−色度座標特性を図18に示す。図18において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は色度座標(X座標、又はY座標)を示す。図18に示す通り、発光素子1は、低輝度から高輝度まで、色変化がほとんど見られなかった。このことから、発光素子1は、キャリアバランスの良好な素子であるといえる。
【0330】
発光素子1のような、燐光性化合物を含む発光層を用いた発光素子を、高効率で発光させるためには、発光層に接する正孔輸送層にT1準位が十分に高い物質を適用することが好ましい。発光素子1において、本発明の一態様のフルオレン化合物を含む層は、緑色の発光を有する発光層に接しており、図16及び表2に示す通り、発光素子1は、発光効率が高いことがわかった。よって、本発明の一態様のフルオレン化合物は、T1準位が十分に高い(少なくとも緑色発光材料よりも高いT1準位である)ことがわかった。
【0331】
また、本発明の一態様のフルオレン化合物を正孔輸送層に用いることで、発光効率の高い素子を実現できることが示された。これは本発明の一態様のフルオレン化合物のLUMO準位が十分高く、発光層からの電子の抜けが抑制されているためと考えられる。また、HOMO準位が十分低く、発光層への正孔の注入性が良好であるためと考えられる。
【0332】
以上のことから、本発明の一態様のフルオレン化合物は、緑色の燐光性化合物を発光層に用いた発光素子の正孔輸送層として好適に用いることができると示された。また、本発明の一態様のフルオレン化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料は、正孔注入層として好適に用いることができると示された。これは、本発明の一態様のフルオレン化合物を含む複合材料は、正孔注入性及び正孔輸送性が高い材料であるためと考えられる。
【実施例4】
【0333】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図13(A)を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
【0334】
【化52】

【0335】
以下に、本実施例の発光素子2及び比較発光素子3の作製方法を示す。
【0336】
(発光素子2)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0337】
当該基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0338】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
【0339】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、実施例2にて合成したDBTFLP−IVと酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、DBTFLP−IVと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=DBTFLP−IV:酸化モリブデン)となるように調節した。
【0340】
次に、正孔注入層1111上に、DBTFLP−IVを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0341】
さらに、9−[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA)、及びN,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)を共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、CzPA及び1,6FLPAPrnの重量比は、1:0.05(=CzPA:1,6FLPAPrn)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
【0342】
次に、発光層1113上に、CzPAを膜厚10nmとなるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
【0343】
その後、第1の電子輸送層1114a上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
【0344】
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
【0345】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子2を作製した。
【0346】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0347】
(比較発光素子3)
比較発光素子3の正孔注入層1111は、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール((略称:PCzPA)及び酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで形成した。その膜厚は、50nmとし、PCzPAと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節した。
【0348】
さらに、比較発光素子3の正孔輸送層1112は、PCzPAを膜厚10nmとなるように成膜することで形成した。正孔注入層1111及び正孔輸送層1112以外は、発光素子2と同様に作製した。
【0349】
以上により得られた発光素子2、及び比較発光素子3の素子構造を表3に示す。
【0350】
【表3】

【0351】
これらの発光素子を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0352】
なお、発光素子2及び比較発光素子3は、同一基板上に素子を形成した。また、上記2つの発光素子の第1の電極、発光層〜第2の電極、封止は、同時に形成・操作を行っている。
【0353】
発光素子2及び比較発光素子3の輝度−電流効率特性を図19に示す。図19において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、各発光素子における輝度1000cd/m付近のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表4に示す。
【0354】
【表4】

【0355】
また、これらの発光素子に0.1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図20に示す。図20において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図20に示す通り、発光素子2及び比較発光素子3の1000cd/m付近の発光スペクトルは、いずれも466nm付近にピークを有し、同様のスペクトルを有していた。また、表4に示す通り、それぞれ1000cd/m付近の輝度のときの発光素子2のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.23)であり、比較発光素子3のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.21)であった。これらの結果から、発光素子2及び比較発光素子3は、1,6FLPAPrnに由来する青色発光が得られたことがわかった。
【0356】
本実施例で比較発光素子3に用いているPCzPAは、正孔輸送層用材料、正孔注入層用材料として用いることで、高効率、長寿命な発光素子を得られる材料の一つである。図19からわかるように、発光素子2は、比較発光素子3に比べ、発光効率が良好であった。
【0357】
以上の結果から、本発明の一態様のフルオレン化合物と電子受容体(アクセプター)とを混合してなる複合材料を正孔注入層として用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。これは、本発明の一態様のフルオレン化合物を含む複合材料は、正孔注入性及び正孔輸送性が十分高い材料であるためと考えられる。
【0358】
また、本発明の一態様のフルオレン化合物を正孔輸送層に用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。これは本発明の一態様のフルオレン化合物のLUMO準位が十分高く、発光層からの電子の抜けが抑制されているためと考えられる。また、HOMO準位が十分低く、発光層への正孔の注入性が良好であるためと考えられる。
【0359】
また、蛍光性化合物を含む発光層を用いた発光素子を、高効率で発光させるためには、発光層に接する正孔輸送層に一重項励起エネルギーの準位(S1準位)が十分に高い物質を適用することが好ましい。発光素子2において、本発明の一態様のフルオレン化合物を含む層は、青色の発光を有する発光層に接しており、図19及び表4に示す通り、発光素子2は、発光効率が高いことがわかった。よって、本発明の一態様のフルオレン化合物は、S1準位が十分に高いことがわかった。なお、一重項励起エネルギーとは、基底状態と一重項励起状態とのエネルギー差である。
【0360】
次に、発光素子2及び比較発光素子3の信頼性試験を行った。信頼性試験は、初期輝度を5000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で本実施例の2つの発光素子をそれぞれ駆動した。
【0361】
100時間後の輝度について、発光素子2及び比較発光素子3は、初期輝度の65%を保っていた。前述の通り、比較発光素子3に用いたPCzPAは、正孔輸送層用材料、正孔注入層用材料として用いることで、長寿命な発光素子を得られる材料の一つである。この結果から、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いた素子も長寿命を実現できることが示唆された。
【0362】
以上のことから、本発明の一態様のフルオレン化合物を正孔注入層の複合材料及び正孔輸送層に用いた発光素子2は、比較発光素子3に比べ、信頼性が同程度に良好で、発光効率が非常に高い素子であることがわかった。
【実施例5】
【0363】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図13(A)を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。
【0364】
【化53】

【0365】
以下に、本実施例の発光素子4及び比較発光素子5の作製方法を示す。
【0366】
(発光素子4)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0367】
当該基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0368】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
【0369】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、実施例1にて合成した2,8−ジフェニル−4−[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]ジベンゾチオフェン(略称:DBTFLP−III)と酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、DBTFLP−IIIと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=DBTFLP−III:酸化モリブデン)となるように調節した。
【0370】
次に、正孔注入層1111上に、DBTFLP−IIIを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0371】
さらに、CzPA、及び1,6FLPAPrnを共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、CzPA及び1,6FLPAPrnの重量比は、1:0.05(=CzPA:1,6FLPAPrn)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
【0372】
次に、発光層1113上に、CzPAを膜厚10nmとなるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
【0373】
その後、第1の電子輸送層1114a上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
【0374】
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
【0375】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子4を作製した。
【0376】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0377】
(比較発光素子5)
比較発光素子5の正孔注入層1111は、PCzPA及び酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで形成した。その膜厚は、50nmとし、PCzPAと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節した。
【0378】
さらに、比較発光素子5の正孔輸送層1112は、PCzPAを用いて形成した。その膜厚は10nmとした。正孔注入層1111、正孔輸送層1112以外は、発光素子4と同様に作製した。
【0379】
以上により得られた発光素子4及び比較発光素子5の素子構造を表5に示す。
【0380】
【表5】

【0381】
これらの発光素子を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、これらの発光素子の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0382】
なお、発光素子4及び比較発光素子5は、同一基板上に素子を形成した。また、上記2つの発光素子の第1の電極、発光層〜第2の電極、封止は、同時に形成・操作を行っている。
【0383】
発光素子4及び比較発光素子5の電流密度−輝度特性を図21に示す。図21において、横軸は、電流密度(mA/cm)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、輝度−電流効率特性を図22に示す。図22において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。また、各発光素子における輝度1000cd/m付近のときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表6に示す。
【0384】
【表6】

【0385】
また、発光素子4及び比較発光素子5に0.1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図23に示す。図23において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図23に示す通り、発光素子4及び比較発光素子5の1000cd/m付近の発光スペクトルは、いずれも466nm付近にピークを有し、同様のスペクトルを有していた。また、表6に示す通り、それぞれ1000cd/m付近の輝度の時の発光素子4のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.23)であり、比較発光素子5のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.21)であった。これらの結果から、発光素子4及び比較発光素子5は、1,6FLPAPrnに由来する青色発光が得られたことがわかった。
【0386】
図21及び図22からわかるように、発光素子4は、比較発光素子5に比べ、高い発光効率を示していた。
【0387】
以上の結果から、正孔注入層の複合材料と正孔輸送層に、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。これは、本発明の一態様のフルオレン化合物を含む複合材料は、正孔注入性及び正孔輸送性が十分高い材料であるためと考えられる。
【0388】
また、本発明の一態様のフルオレン化合物を正孔輸送層に用いることで、発光効率の高い素子を実現できることが示された。これは本発明の一態様のフルオレン化合物のLUMO準位が十分高く、発光層からの電子の抜けが抑制されているためと考えられる。また、HOMO準位が十分低く、発光層への正孔の注入性が良好であるためと考えられる。
【0389】
また、本発明の一態様のフルオレン化合物を含む層は、青色の発光を有する発光層に接しており、図21、図22及び表6に示す通り、発光素子4は、発光効率が高いことがわかった。よって、本発明の一態様のフルオレン化合物は、S1準位が十分に高い(少なくとも青色発光材料よりも高いS1準位である)ことがわかった。
【実施例6】
【0390】
≪合成例3≫
本実施例では、実施の形態1で構造式(141)に示した、本発明の一態様のフルオレン化合物である、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾフラン(略称:mmDBFFLBi−II)の合成方法について説明する。
【0391】
【化54】

【0392】
200mL三口フラスコにて、9−(3−ブロモフェニル)−9−フェニルフルオレン3.5g(8.9mmol)、3−(ジベンゾフラン−4−イル)フェニルボロン酸2.8g(9.8mmol)、酢酸パラジウム(II)22mg(0.1mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィン89.5mg(0.3mmol)、トルエン38ml、エタノール3.8ml、2mol/L炭酸カリウム水溶液12.7mlの混合物を、減圧下で撹拌しながら脱気した後、窒素雰囲気下、80℃で15.5時間加熱撹拌し、反応させた。
【0393】
反応後、この反応混合液にトルエンを300mL加え、この混合液の有機層をアルミナ(メルク、中性)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して濾過した。得られた濾液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この懸濁液をろ過して濾液を得た。得られた濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。このとき、クロマトグラフィーの展開溶媒として、トルエンとヘキサンの混合溶媒(トルエン:ヘキサン=2:5)を用いた。得られたフラクションを濃縮し、メタノールを加えて超音波をかけた後、再結晶をしたところ、目的物の白色粉末を収量3.0g、収率60%で得た。また、上記合成法の反応スキームを下記(F−1)に示す。
【0394】
【化55】

【0395】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物は0.33であった。
【0396】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるmmDBFFLBi−IIであることを確認した。
【0397】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.18−7.60(m,22H),7.78(d,J=6.4Hz,2H),7.85(td,J=1.5Hz,7.3Hz,1H),7.96(dd,J=1.47Hz,7.81Hz,1H),7.99−8.00(m,2H)。
【0398】
また、H NMRチャートを図24に示す。なお、図24(B)は、図24(A)における7.0ppm〜8.2ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0399】
また、mmDBFFLBi−IIのトルエン溶液の吸収スペクトルを図25(A)に、発光スペクトルを図25(B)にそれぞれ示す。また、mmDBFFLBi−IIの薄膜の吸収スペクトルを図26(A)に、発光スペクトルを図26(B)にそれぞれ示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。吸収スペクトルに関して、溶液については石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示し、薄膜については石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図25(A)及び図26(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。図25(B)及び図26(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。溶液の場合では、304nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは、330及び343nm(励起波長310nm)であった。また、薄膜の場合では、309nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは341及び349nm(励起波長311nm)であった。図25(A)及び図26(A)から、mmDBFFLBi−IIは、可視域に吸収が少ない物質であることがわかる。つまり、本発明の一態様のフルオレン化合物であるmmDBFFLBi−IIを発光素子に用いた場合、放出された可視光が再吸収されづらいため、光取り出し効率が低下しづらい素子となることが示唆された。
【0400】
また、mmDBFFLBi−IIは、発光スペクトルのピークが非常に短波長であるため、可視光を発する蛍光素子において、発光層のホスト材料や発光層に隣接するキャリア輸送層としても用いることができることがわかった。
【0401】
また真空蒸着にてmmDBFFLBi−IIの薄膜を作製した。この薄膜は白濁がみられず、透明な膜であった。このことからも、mmDBFFLBi−IIは、結晶化し難い物質であることがわかった。
【実施例7】
【0402】
≪合成例4≫
本実施例では、実施の形態1で構造式(111)に示した、本発明の一態様のフルオレン化合物である、4−{3−[3−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]フェニル}ジベンゾチオフェン(略称:mmDBTFLBi−II)の合成方法について説明する。
【0403】
【化56】

【0404】
200mL三口フラスコにて、9−(3−ブロモフェニル)−9−フェニル−9H−フルオレン1.70g(4.33mmol)、3−(ジベンゾチオフェン−4−イル)フェニルボロン酸1.40g(4.73mmol)、酢酸パラジウム(II)10.0mg(0.04mmol)、トリ(オルト−トリル)ホスフィン36.5mg(0.12mmol)、トルエン20ml、エタノール2.0ml、2mol/L炭酸カリウム水溶液7.0mlの混合物を、減圧下で撹拌しながら脱気した後、窒素雰囲気下、80℃で11時間加熱撹拌し、反応させた。
【0405】
反応後、この反応混合液にトルエンを300mL加え、この混合液の有機層をアルミナ(メルク、中性)、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)を通して濾過した。得られた濾液を水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて水分を吸着させた。この懸濁液を濾過して濾液を得た。得られた濾液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行った。このとき、クロマトグラフィーの展開溶媒として、トルエンとヘキサンの混合溶媒(トルエン:ヘキサン=1:5)を用いた。得られたフラクションを濃縮したところ、目的物の白色粉末を収量2.30g、収率92%で得た。また、上記合成法の反応スキームを下記(G−1)に示す。
【0406】
【化57】

【0407】
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)でのRf値(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=1:10)は、目的物は0.25であった。
【0408】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるmmDBTFLBi−IIであることを確認した。
【0409】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ(ppm)=7.18−7.39(m,11H),7.47−7.59(m,11H),7.63−7.67(m,1H),7.78(d,J=7.32,2H),7.81−7.88(m,2H),8.15−8.21(m,2H)。
【0410】
また、H NMRチャートを図27に示す。なお、図27(B)は、図27(A)における7.0ppm〜8.5ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0411】
また、mmDBTFLBi−IIのトルエン溶液の吸収スペクトルを図28(A)に、発光スペクトルを図28(B)にそれぞれ示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れてサンプルを作製した。吸収スペクトルに関して、石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図28(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。図28(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。図28からわかるように、330nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは、348nm(励起波長290nm)であった。図28(A)から、mmDBTFLBi−IIは、可視域に吸収が少ない物質であることがわかる。つまり、本発明の一態様のフルオレン化合物であるmmDBTFLBi−IIを発光素子に用いた場合、放出された可視光が再吸収されづらいため、光取り出し効率が低下しづらい素子となることが示唆された。
【0412】
また、mmDBTFLBi−IIは、発光スペクトルのピークが非常に短波長であるため、可視光を発する蛍光素子において、発光層のホスト材料や発光層に隣接するキャリア輸送層としても用いることができることがわかった。
【実施例8】
【0413】
≪合成例5≫
本実施例では、実施の形態1で構造式(231)に示した、本発明の一態様のフルオレン化合物である、4−(3−{9−[4−(9−フェニルアントラセン−10−イル)フェニル]−9H−フルオレン−9−イル}フェニル)ジベンゾフラン(略称:mDBFFLPPhA−II)と、構造式(700)、(720)、(740)に示した、本発明の一態様の有機化合物の合成方法について説明する。
【0414】
【化58】

【0415】
<ステップ1:3−ブロモ−4’−(9−フェニルアントラセン−10−イル)ベンゾフェノンの合成>
200mL三口フラスコに、5.0g(12mmol)の9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンを入れ、フラスコ内を窒素置換した後、テトラヒドロフラン65mLを加え、−80度にした。この溶液に8.1mL(13mmol)のn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液)を、シリンジにより滴下した。滴下終了後、この溶液を同温度で1時間攪拌した。攪拌後、この溶液に2.8g(13mmol)の3−ブロモベンゾイルクロリドを加え、室温に戻しながら18時間攪拌した。攪拌後、この混合物の水層から有機物を酢酸エチルで抽出し、抽出溶液と有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムにより乾燥し、乾燥後この混合物を自然濾過した。得られた濾液を濃縮し、固体を得た。得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:トルエン=5:1)で精製し、淡黄色固体を収量1.8g、収率28%で得た。上記合成法の反応スキームを下記(H−1)に示す。
【0416】
【化59】

【0417】
<ステップ2:(2−ビフェニル)−(3−ブロモフェニル)−4−(9−フェニルアントラセン−10−イル)フェニルメタノールの合成>
100mL三口フラスコ内を窒素雰囲気にした後、テトラヒドロフランを20mL、2−ブロモビフェニル0.57mL(3.4mmol)を加え、−80度にした。この混合物にn−ブチルリチウムを2.3mL(3.8mmol)加え、1時間攪拌した。攪拌後、3−ブロモ−4’−(9−フェニルアントラセン−10−イル)ベンゾフェノン1.8g(3.4mol)を加え、この混合物を室温にして一晩攪拌した。攪拌後、この溶液に約20mLの希塩酸(1.0mol/L)を加えた。この混合物の有機層と水層を分離し、水層から有機物を酢酸エチルで抽出し、有機層と合わせて飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥後この混合物を自然濾過した。得られた濾液を濃縮し目的物の固体を得た。得られた固体をトルエンに溶解させ、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引濾過した。濾液を濃縮して白色固体を得た。得られた固体をトルエン、ヘキサンを用いて再結晶し、白色固体を収量1.4g、収率59%で得た。上記合成法の反応スキームを下記(H−2)に示す。
【0418】
【化60】

【0419】
<ステップ3:9−フェニル−10−{4−[9−(3−ブロモフェニル)−9H−フルオレン−9−イル]}フェニルアントラセンの合成>
300mLナスフラスコに、(2−ビフェニル)−(3−ブロモフェニル)−4−(9−フェニルアントラセン−10−イル)フェニルメタノール1.4g(2.0mmol)と、氷酢酸100mLと、塩酸1mLとを入れ、4日間撹拌した。撹拌後、この混合物の水層から有機物をトルエンで抽出し、有機層と合わせて、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥後この混合物を自然濾過した。得られた濾液を濃縮し固体を得た。得られた固体をトルエン、エタノールで再結晶し、淡黄色固体を収量0.92g、収率69%で得た。上記合成法の反応スキームを下記(H−3)に示す。
【0420】
【化61】

【0421】
<ステップ4:4−(3−{9−[4−(9−フェニル−アントラセン−10−イル)フェニル]−9H−フルオレン−9−イル}フェニル)ジベンゾフラン(略称:mDBFFLPPhA−II)の合成>
50mL三口フラスコに、1.6g(2.5mmol)の9−フェニル−10−{4−[9−(3−ブロモフェニル)−9H−フルオレン−9−イル]}フェニルアントラセンと、0.57g(2.7mmol)のジベンゾフラン−4−ボロン酸と、216mg(0.071mmol)のトリ(オルト−トリル)ホスフィンを入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物に、10mLのトルエンと、10mLのエタノールと、4mLの2.0M炭酸カリウム水溶液を加えた。この混合物を減圧しながら攪拌することで脱気した。この混合物に6mg(0.025mmol)の酢酸パラジウム(II)を加え、窒素気流下、80℃で13時間攪拌した。撹拌後、混合物を濾過して固体を回収した。得られた固体にトルエンを加え、セライト(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:531−16855)、アルミナ、フロリジール(和光純薬工業株式会社、カタログ番号:540−00135)を通して吸引濾過した。濾液を濃縮して固体を得た。得られた固体をトルエンで再結晶した。
【0422】
また、再結晶の濾液を高速液体カラムクロマトグラフィー(略称:HPLC)(展開溶媒:クロロホルム)により精製した。得られたフラクションを濃縮して淡黄色固体を得た。再結晶と高速液体カラムクロマトグラフィーにより精製したものを合わせて淡黄色固体を収量1.3g、収率69%で得た。
【0423】
得られた淡黄色固体をトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製は圧力2.5Pa、アルゴン流量5mL/minの条件で、淡黄色固体を300℃で加熱して行った。昇華精製後、淡黄色固体を収率94%で得た。上記合成法の反応スキームを下記(H−4)に示す。
【0424】
【化62】

【0425】
核磁気共鳴法(NMR)によって、この化合物が目的物であるmDBFFLPPhA−IIであることを確認した。
【0426】
得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=7.20−7.63(m,24H),7.65−7.74(m,6H),7.78(d,J1=7.8Hz,1H),7.85−7.86(m,1H),7.87(d,J1=2.1Hz,1H),7.78(dd,J1=1.5Hz,J2=7.8Hz,1H),7.96−7.99(m,1H),8.05(t,J1=2.1Hz,1H)。
【0427】
また、H NMRチャートを図29に示す。なお、図29(B)は、図29(A)における7.0ppm〜8.2ppmの範囲を拡大して表したチャートである。
【0428】
またmDBFFLPPhA−IIのトルエン溶液の吸収スペクトルを図30(A)に、発光スペクトルを図30(B)にそれぞれ示す。また、mDBFFLPPhA−IIの薄膜の吸収スペクトルを図31(A)に、発光スペクトルを図31(B)にそれぞれ示す。測定には紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製、V550型)を用いた。溶液は石英セルに入れ、薄膜は石英基板に蒸着してサンプルを作製した。吸収スペクトルに関して、溶液については石英セルにトルエンのみを入れて測定した吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示し、薄膜については石英基板の吸収スペクトルを差し引いた吸収スペクトルを示した。図30(A)及び図31(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は吸収強度(任意単位)を表す。図30(B)及び図31(B)において横軸は波長(nm)、縦軸は発光強度(任意単位)を表す。溶液の場合では、282、308、357、376及び396nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは、416及び434nm(励起波長376nm)であった。また、薄膜の場合では、203、225、264、309、342、362、381及び402nm付近に吸収ピークが見られ、発光波長のピークは427及び440nm(励起波長401nm)であった。図30(A)及び図31(A)から、mDBFFLPPhA−IIは、可視域に吸収が少ない物質であることがわかる。つまり、本発明の一態様のフルオレン化合物であるmDBFFLPPhA−IIを発光素子に用いた場合、放出された可視光が再吸収されづらいため、光取り出し効率が低下しづらい素子となることが示唆された。
【0429】
また、mDBFFLPPhA−IIは、発光スペクトルのピークが非常に短波長であるため、可視光を発する蛍光素子において、発光層のホスト材料や発光層に隣接するキャリア輸送層としても用いることができることがわかった。
【0430】
また、mDBFFLPPhA−IIは、発光強度が高く、発光材料としても用いることができることがわかった。
【0431】
また、真空蒸着にてmDBFFLPPhA−IIの薄膜を作製した。この薄膜は白濁がみられず、透明な膜であった。このことからも、mDBFFLPPhA−IIは、結晶化し難い物質であることがわかった。
【実施例9】
【0432】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図13(A)を用いて説明する。本実施例で用いた材料の化学式を以下に示す。なお、既に示した材料については省略する。
【0433】
【化63】

【0434】
以下に、本実施例の発光素子6の作製方法を示す。
【0435】
(発光素子6)
まず、ガラス基板1100上に、ITSOをスパッタリング法にて成膜し、第1の電極1101を形成した。なお、その膜厚は110nmとし、電極面積は2mm×2mmとした。
【0436】
当該基板1100上に発光素子を形成するための前処理としては、基板表面を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
【0437】
その後、10−4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った後、基板1100を30分程度放冷した。
【0438】
次に、第1の電極1101が形成された面が下方となるように、第1の電極1101が形成された基板1100を真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに固定し、10−4Pa程度まで減圧した後、第1の電極1101上に、PCzPAと酸化モリブデン(VI)を共蒸着することで、正孔注入層1111を形成した。その膜厚は、50nmとし、PCzPAと酸化モリブデン(VI)の比率は、重量比で4:2(=PCzPA:酸化モリブデン)となるように調節した。
【0439】
次に、正孔注入層1111上に、PCzPAを10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1112を形成した。
【0440】
そして、実施例8にて合成した4−(3−{9−[4−(9−フェニル−アントラセン−10−イル)フェニル]−9H−フルオレン−9−イル}フェニル)ジベンゾフラン(略称:mDBFFLPPhA−II)、及び1,6FLPAPrnを共蒸着し、正孔輸送層1112上に発光層1113を形成した。ここで、mDBFFLPPhA−II及び1,6FLPAPrnの重量比は、1:0.03(=mDBFFLPPhA−II:1,6FLPAPrn)となるように調節した。また、発光層1113の膜厚は30nmとした。
【0441】
次に、発光層1113上に、Alqを膜厚10nmとなるように成膜し、第1の電子輸送層1114aを形成した。
【0442】
その後、第1の電子輸送層1114a上にBPhenを膜厚15nmとなるように成膜し、第2の電子輸送層1114bを形成した。
【0443】
さらに、第2の電子輸送層1114b上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
【0444】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子6を作製した。
【0445】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0446】
以上により得られた発光素子6の素子構造を表7に示す。
【0447】
【表7】

【0448】
発光素子6を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子6の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0449】
発光素子6の電圧−輝度特性を図32に示す。図32において、横軸は、電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、電圧−電流特性を図33に示す。図33において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。また、輝度−色度座標特性を図34に示す。図34において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は色度座標(x座標又はy座標)を表す。また、輝度−外部量子効率特性を図35に示す。図35において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子6における輝度820cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表8に示す。
【0450】
【表8】

【0451】
また、発光素子6に1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図36に示す。図36において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図36に示す通り、発光素子6の発光スペクトルは、466nm付近にピークを有していた。また、表8に示す通り、820cd/mの輝度の時の発光素子6のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.20)であった。これらの結果から、発光素子6は、1,6FLPAPrnに由来する青色発光が得られたことがわかった。
【0452】
表8、図32、図33及び図35から、発光素子6は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、消費電力が低いことがわかった。また、図34から、発光素子6は、輝度による色度の変化が小さく、キャリアバランスが良好な素子であることがわかった。
【0453】
次に、発光素子6の信頼性試験を行った。信頼性試験の結果を図37に示す。図37において、縦軸は初期輝度を100%とした時の規格化輝度(%)を示し、横軸は素子の駆動時間(h)を示す。
【0454】
信頼性試験は、初期輝度を1000cd/mに設定し、電流密度一定の条件で発光素子6を駆動した。
【0455】
図37から、発光素子6の270時間後の輝度は、初期輝度の83%を保っていた。本発明の一態様を適用した発光素子6は、長寿命であり、高い信頼性を有することがわかった。
【0456】
以上の結果から、発光層のホスト材料に、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。また、駆動電圧の低い素子を実現できることが示された。また、消費電力の低い素子を実現できることが示された。また、信頼性の高い素子を実現できることが示された。
【0457】
また、本発明の一態様のフルオレン化合物は、青色の発光を有する発光層のホスト材料として好適であることがわかった。このことから、本発明の一態様のフルオレン化合物は、S1準位が十分に高い(少なくとも青色発光材料よりも高いS1準位である)ことがわかった。
【実施例10】
【0458】
本実施例では、本発明の一態様の発光素子について、図13(B)を用いて説明する。本実施例で用いた材料は先の実施例で用いた材料であるため、化学式は省略する。
【0459】
以下に、本実施例の発光素子7の作製方法を示す。
【0460】
(発光素子7)
まず、実施例9で示した発光素子6と同様の条件で、ガラス基板1100上に、第1の電極1101、正孔注入層1111、正孔輸送層1112、発光層1113を形成した。
【0461】
次に、発光層1113上に、BPhenを膜厚25nmとなるように成膜し、電子輸送層1114を形成した。
【0462】
その後、電子輸送層1114上に、LiFを1nmの膜厚で蒸着し、電子注入層1115を形成した。
【0463】
最後に、陰極として機能する第2の電極1103として、アルミニウムを200nmの膜厚となるように蒸着することで、本実施例の発光素子7を作製した。
【0464】
なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
【0465】
以上により得られた発光素子7の素子構造を表9に示す。
【0466】
【表9】

【0467】
発光素子7を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子7の動作特性について測定を行った。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
【0468】
発光素子7の電圧−輝度特性を図38に示す。図38において、横軸は、電圧(V)を、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、電圧−電流特性を図39に示す。図39において、横軸は電圧(V)を、縦軸は電流(mA)を表す。また、輝度−色度座標特性を図40に示す。図40において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は色度座標(x座標又はy座標)を表す。また、輝度−外部量子効率特性を図41に示す。図41において、横軸は輝度(cd/m)を、縦軸は外部量子効率(%)を表す。また、発光素子7における輝度990cd/mのときの電圧(V)、電流密度(mA/cm)、CIE色度座標(x、y)、輝度(cd/m)、電流効率(cd/A)、パワー効率(lm/W)、外部量子効率(%)を表10に示す。
【0469】
【表10】

【0470】
また、発光素子7に1mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図42に示す。図42において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図42に示す通り、発光素子7の発光スペクトルは、466nm付近にピークを有していた。また、表10に示す通り、990cd/mの輝度の時の発光素子7のCIE色度座標は(x,y)=(0.15,0.20)であった。これらの結果から、発光素子7は、1,6FLPAPrnに由来する青色発光が得られたことがわかった。
【0471】
表10、図38、図39及び図41から、発光素子7は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、消費電力が低いことがわかった。また、図40から、発光素子7は、輝度による色度の変化が小さく、キャリアバランスが良好な素子であることがわかった。
【0472】
以上の結果から、発光層のホスト材料に、本発明の一態様のフルオレン化合物を用いることで、高い発光効率の素子を実現できることが示された。また、駆動電圧の低い素子を実現できることが示された。また、消費電力の低い素子を実現できることが示された。
【0473】
また、本発明の一態様のフルオレン化合物は、青色の発光を有する発光層のホスト材料として好適であることがわかった。このことから、本発明の一態様のフルオレン化合物は、S1準位が十分に高い(少なくとも青色発光材料よりも高いS1準位である)ことがわかった。
【0474】
(参考例1)
上記実施例で用いた、N,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)を製造する合成例を示す。
【0475】
【化64】

【0476】
1,6−ジブロモピレン3.0g(8.3mmol)、4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ジフェニルアミン(略称:FLPA)6.8g(17mmol)を300mLの三口フラスコへ入れ、フラスコ内を窒素置換した。この混合物へ、100mLのトルエンと、トリ(tert−ブチル)ホスフィンの10wt%ヘキサン溶液0.10mLと、ナトリウム tert−ブトキシド2.4g(25mmol)を加えた。この混合物を、減圧下で攪拌しながら脱気した。この混合物を80℃で加熱して原料が溶けるのを確認してから、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)48mg(0.083mmol)を加えた。この混合物を、80℃で1.5時間攪拌した。攪拌後、析出した黄色固体を、混合物を冷まさずに吸引濾過により回収した。得られた固体を3Lのトルエンに懸濁し、110℃で加熱した。この懸濁液を110℃のままアルミナ、セライト、フロリジールを通して吸引濾過し、さらに110℃に熱した200mLのトルエンを流した。得られた濾液を約300mLまで濃縮して再結晶化したところ、目的物を収量5.7g、収率67%で得た。
【0477】
得られた黄色固体3.56gをトレインサブリメーション法により昇華精製した。昇華精製条件は、圧力5.0Pa、アルゴンガスを流量5.0mL/minで流しながら、353℃で加熱した。昇華精製後、目的物の黄色固体を収量2.54g、収率71%で得た。上記合成例の合成スキームを下記(x−1)に示す。
【0478】
【化65】

【0479】
核磁気共鳴法(NMR)によって、得られた化合物がN,N’−ビス[4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニル−ピレン−1,6−ジアミン(略称:1,6FLPAPrn)であることを確認した。
【0480】
上記合成例で得られた化合物のH NMRデータを以下に示す。
H NMR(CDCl,300MHz):δ=6.88−6.91(m,6H),7.00−7.03(m,8H),7.13−7.40(m,26H),7.73−7.80(m,6H),7.87(d,J=9.0Hz,2H),8.06−8.09(m,4H)。
【符号の説明】
【0481】
100 基板
101 第1の電極
102 EL層
103 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
301 第1の電極
303 第2の電極
311 第1の発光ユニット
312 第2の発光ユニット
313 電荷発生層
401 ソース側駆動回路
402 画素部
403 ゲート側駆動回路
404 封止基板
405 シール材
407 空間
408 配線
409 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
410 素子基板
411 スイッチング用TFT
412 電流制御用TFT
413 第1の電極
414 絶縁物
416 EL層
417 第2の電極
418 発光素子
423 nチャネル型TFT
424 pチャネル型TFT
501 基板
502 第1の電極
503 第2の電極
504 EL層
505 絶縁層
506 隔壁層
801 照明装置
802 照明装置
803 卓上照明器具
1100 基板
1101 第1の電極
1103 第2の電極
1111 正孔注入層
1112 正孔輸送層
1113 発光層
1114 電子輸送層
1114a 第1の電子輸送層
1114b 第2の電子輸送層
1115 電子注入層
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(G1)で表されるフルオレン化合物。
【化1】


(式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、n及びkは、それぞれ独立に、0又は1を表し、Qは、硫黄又は酸素を表し、R〜R15は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)
【請求項2】
請求項1において、
前記R〜R15は、それぞれ独立に、構造式(R−1)〜(R−14)のいずれか一を表すフルオレン化合物。
【化2】

【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記α及びαは、それぞれ独立に、構造式(α−1)〜(α−7)のいずれか一を表すフルオレン化合物。
【化3】

【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
前記α又は前記αは、1以上の置換基を有する炭素数6〜13のアリーレン基を表し、
前記置換基が、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基であるフルオレン化合物。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記Arは、構造式(Ar−1)〜(Ar−21)のいずれか一を表すフルオレン化合物。
【化4】


(式中、Qは、硫黄又は酸素を表す。)
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記Arは、1以上の置換基を有する炭素数6〜18のアリール基、1以上の置換基を有する4−ジベンゾチオフェニル基、又は1以上の置換基を有する4−ジベンゾフラニル基を表し、
前記置換基が、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基であるフルオレン化合物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のフルオレン化合物を含む発光素子。
【請求項8】
陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられた発光層とを有し、
前記陽極と前記発光層との間に、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のフルオレン化合物を含む層を有する発光素子。
【請求項9】
請求項8において、
前記フルオレン化合物を含む層が、前記陽極と接する発光素子。
【請求項10】
請求項8又は請求項9において、
前記フルオレン化合物を含む層が、金属酸化物を含む発光素子。
【請求項11】
請求項10において、
前記金属酸化物が、酸化モリブデンである発光素子。
【請求項12】
請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光素子を有する発光装置。
【請求項13】
請求項12に記載の発光装置を有する電子機器。
【請求項14】
請求項12に記載の発光装置を有する照明装置。
【請求項15】
一般式(G2)に表される有機化合物。
【化5】


(式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数7〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。)
【請求項16】
一般式(G3)に表される有機化合物。
【化6】


(式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表す。)
【請求項17】
構造式(700)に表される有機化合物。
【化7】

【請求項18】
一般式(G4)に表される有機化合物。
【化8】


(式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数7〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)
【請求項19】
一般式(G5)に表される有機化合物。
【化9】


(式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)
【請求項20】
構造式(720)に表される有機化合物。
【化10】

【請求項21】
一般式(G6)に表される有機化合物。
【化11】


(式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、Arは、置換もしくは無置換の炭素数7〜18のアリール基、置換もしくは無置換の4−ジベンゾチオフェニル基、又は置換もしくは無置換の4−ジベンゾフラニル基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)
【請求項22】
一般式(G7)に表される有機化合物。
【化12】


(式中、α及びαは、それぞれ独立に、置換又は無置換の炭素数6〜13のアリーレン基を表し、mは、0又は1を表し、X10は、塩素、臭素、又はヨウ素を表し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数6〜14のアリール基を表す。)
【請求項23】
構造式(740)に表される有機化合物。
【化13】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−10730(P2013−10730A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193860(P2011−193860)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】