説明

フレキシブルプリント基板

【課題】 基板上に形成されるインピーダンス成分のうちインダクタンス値を減少させ得る印刷フレキシブルプリント基板を提供する。
【解決手段】 インク吐出のための少なくとも1つのヒータを有するプリンタヘッドに連結されるフレキシブルプリント基板であって,プリンタから受信される印刷命令信号の有無に従ってヒータに駆動電圧を選択的に供給する電圧供給端子と,一端は電圧供給端子に,他端は第1のボンディングパッドに連結され駆動電圧をヒータに伝達する第1の電線と,少なくとも1つの接地端子と,一端は接地端子に,他端は第2のボンディングパッドに連結される第2の電線と,を含み,第2の電線は,所定位置で少なくとも2つのポーションに分岐され,少なくとも2つのポーションは第1の電線の長さ方向に沿って備えられ,第1の電線の両側には少なくとも1つのポーションが備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,フレキシブルプリント基板に関し,さらに詳細には,インピーダンスを最小化することによりプリント速度が向上されるプリンタヘッドと連結されるフレキシブルプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタあるいはコピー機などの湿式現像方式の印刷機は,インクカートリッジを用いて画像を形成する。インクカートリッジは,印刷機から入力された印刷命令信号,即ち,ヒータ選択信号に応じてインクカートリッジ内に格納されたモノまたはカラーのインクをプリンタヘッドを介して印刷用紙に排出させる。プリンタヘッドは,インクを吐出する基板であってインクカートリッジの一部に形成される。
【0003】
このとき,印刷機から入力されたヒータ選択信号をプリンタヘッドに伝達するための装置が必要とされる。かかる装置をフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit:以下,FPCという)と称する。即ち,FPC印刷機とプリンタヘッドを電気的に連結する一種の印刷回路基板( Printed Circuit Board:PCB)である。
【0004】
以下,図1に基づいて,印刷機の一例としてインクジェットプリンタを用いて詳説する。図1は,従来のプリンタヘッドと連結されたFPCの一部を概略的に示す平面図である。
【0005】
図1に示すように,従来のFPC100は,複数の電圧供給端子110,複数の接地端子120,複数の信号端子130,複数の第1の電線115,及び複数の第2の電線125を有する。さらに,電圧供給端子110はP,接地端子120はG,信号端子130はSに図示される。
【0006】
色相別に駆動される電圧供給端子110は,インクジェットプリンタから受信された印刷命令信号に応じて電圧を供給する。接地端子120は,FPC100を接地させるための端子であって,1つの電圧供給端子110に少なくとも2つの接地端子120が備えられる。信号端子130は,インクジェットプリンタから受信される制御信号に応じて適応的に機能を行なう端子である。
【0007】
第1の電線115は,電圧供給端子110と後述するプリンタヘッド150の第1のボンディングパッド152を電気的に連結する配線である。第1の電線125は,接地端子120と後述するプリンタヘッド150の第2のボンディングパッド154を電気的に連結する配線である。信号端子130とプリンタヘッド150とを連結する配線の図示は省略する。
【0008】
また,インク吐出のために複数のヒータ(図示せず)を有するプリンタヘッド150はインクカートリッジの一面に備えられ,複数の第1のボンディングパッド152及び第2のボンディングパッド154を有する。その他のプリンタヘッド150に備られるFET素子などの説明及び図面の図示は省略する。
【0009】
複数の第1及び第2のボンディングパッド152,154は,プリンタヘッド150の両側面(即ち,第1の側端及び第2の側端)に分散されて備えられる。アルミニウムからなる第1及び第2のボンディングパッド152,154は,超音波融着によって各々第1及び第2の電線115,125の終端部であるリード(lead)とボンディングされる。
【0010】
インクカートリッジの一面に備えられるプリンタヘッド150は,FPC100によりインクジェットプリンタから受信される印刷命令信号に応じてインクを吐出する。
【0011】
印刷命令信号が受信されれば,電圧供給端子(例えば,Y1−P)110と連結されたヒータ(図示せず)及び少なくとも2つの接地端子(例えば,Y1−G)120に形成されるインピーダンスは抵抗,キャパシタンス及びインダクタンスのうち,インダクタンスからの影響を大きく受ける。即ち,インダクタンス値が大きければインピーダンスは上昇するのである。
【0012】
表1は,図1のプリンタヘッドと連結されたFPC100から測定されたインダクタンス値を表す。
【0013】
【表1】



【0014】
表1及び図1に示すように,Yは黄色,Mはマゼンタ,Cはシアンを具現するグループであり,色相ブロックの第1及び第2は各色相グループ(Y,M,C)がプリンタヘッド150の第1の側端及び第2の側端に連結されることを意味する。さらに,Y1は黄色を具現するために1つの電圧供給端子(Y1−P)及び2つの接地端子(Y1−G)からなり,Y2,M1,M2,C1,及びC2の構成においてはY1と類似しているためその詳説は省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら,図1に示すように,所定のグループ(Y1)から第1の電線115と第2の電線125が所定の距離以上に離間されFPC100に備えられたり,第1及び第2の電線115,125の直径がほぼ同一である場合,従来のFPC100は表1のように高いインダクタンス値を有するようになる。
【0016】
さらに,従来のインクジェットプリンタは,プリントの高速化のために10MHz〜100MHzの最大のデータ伝送周波数が必要とされる。即ち,FPC100のインダクタンス値が表1のように高い状態で高周波を用いてプリントを行なうと,インピーダンスが上昇し電流供給が損失される。このことにより,プリンタヘッド150を駆動するFET素子(図示せず)は必要な電流量が供給されないので,ヒータ(図示せず)が発熱されずプリント速度も遅延される,という問題がある。
【0017】
したがって,本発明の目的は,基板上に形成されるインピーダンス成分のうちインダクタンス値を減少させることが可能な新規かつ改良されたフレキシブルプリント基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために,インク吐出のための少なくとも1つのヒータと,少なくとも1つの第1及び第2のボンディングパッドが形成されたプリンタヘッドに連結されプリンタから受信される印刷命令信号に従って前記少なくとも1つのヒータを選択的に駆動するフレキシブルプリント基板であって,前記プリンタから受信される印刷命令信号の有無に従って前記少なくとも1つのヒータに駆動電圧を選択的に供給する少なくとも1つの電圧供給端子と,一端は前記電圧供給端子に,他端は前記第1のボンディングパッドに連結され,前記駆動電圧を前記ヒータに伝達する少なくとも1つの第1の電線と,接地のための少なくとも1つの接地端子と,一端は前記接地端子に,他端は前記第2のボンディングパッドに連結される少なくとも1つの第2の電線と,を含み,前記第2の電線は,前記第2の電線の所定位置で少なくとも2つのポーションに分岐され,前記第1の電線の両側に沿って所定の距離離間され並行されるように備えられる,如く構成される。
【0019】
また,前記第1の電線と前記第1のポーション間の離間距離と,前記第1の電線と前記第2のポーション間の離間距離は,30μm〜300μmの範囲にある,如く構成するのが好ましい。
【0020】
また,前記少なくとも1つの第1及び第2のボンディングパッドが前記プリンタヘッド基板の第1の側端及び前記第1の側端に対向する第2の側端に所定の比率で分散され備えられた場合,前記第1の側端の第1及び第2のボンディングパッドに連結される第1及び第2の電線間の離間距離は,前記第2の側端の第1及び第2のボンディングパッドに連結された第1及び第2の電線間の離間距離と相違している,如く構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては,接地のための電線がプリンタヘッドに電圧を供給する電線の両側に沿って備えられるので,フレキシブルプリント基板に形成されるインダクタンス値が減少される。したがって,フレキシブルプリント基板に形成される全インピーダンスも減少し,フレキシブルプリント基板は,高周波においても電線の短絡なしに必要な電流をプリンタヘッドに供給されるのでプリント速度を高めることができる。さらに,接地のための電線がプリントヘッドに電圧供給する電線間距離を調整するのでインダクタンス値を調節し印刷品質が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
まず,図2に基づいて,本実施形態にかかるフレキシブルプリント基板(FPC)の構成について説明する。なお,図2Aは,本実施形態にかかるプリンタヘッドに連結されるFPCの一部を概略的に示す平面図である。図2Bは,図2AのFPCと連結されるプリンタヘッドを概略的に示す平面図である。
【0024】
本実施形態にかかるFPCは,印刷機から受信される印刷命令信号(即ち,ヒータ選択信号)をプリンタヘッドに伝達するための基板である。さらに,プリンタヘッドはFPCを介して受信された印刷命令信号に応じて選択的にスイッチング素子であるFET及びヒータを駆動して印刷命令信号に応じるインクを吐出する。印刷機は,例えば,インクジェットプリンタ,コピー機などを例に挙げられるが,以下ではインクジェットプリンタを例に挙げて説明する。
【0025】
図2A及び図2Bに示すように,本実施形態にかかるFPC200は,複数の電圧供給端子210,複数の接地端子220,複数の信号端子230,複数の第1の電線215,及び複数の第2の電線225を有する。図面にて,電圧供給端子210と連結された第1の電線215は斜線で,接地端子220と連結された第2の電線225は点線で図示される。
【0026】
さらに,電圧供給端子210には,P(power),接地端子220にはG(ground),信号端子230にはS(signal)が示されている。例えば,Y2−Pに表示された電圧供給端子210は,黄色のインクを吐出するための印刷命令信号を受信すると,それに対応する電圧を供給するためにプリンタヘッド250の第1側に備えられる。また,Y2−Gに表示された接地端子220は,Y2−Pと所定の黄色いグループを形成して接地させる端子である。
【0027】
第1の電線215は,電圧供給端子210と後述するプリンタヘッド250の第1のボンディングパッド252を電気的に連結する配線である。即ち,第1の電線215は,連結された電圧供給端子210から供給される駆動電圧を第1のボンディング252を介してそれに対応するヒータ256に伝達する。
【0028】
第2の電線225は,接地端子220とプリンタヘッド250の第2のボンディングパッド254を電気的に連結する配線である。信号端子230とプリンタヘッド250とを連結する配線の図示は省略する。
【0029】
第1及び第2のボンディングパッド252,254とボンディングされる第1及び第2電線215,225の一端はリードと言う。リードは,銅からなる第1及び第2の電線215,225の露出された表面を例えば金などの材料でコーティング処理したものである。
【0030】
電圧供給端子210は,インクジェットプリンタから受信される印刷命令信号の有無に応じて図2Bのプリンタヘッド250に形成されたヒータ256に第1の電線215に沿って駆動電圧を選択的に供給する(信号伝送関係は図示せず)。例えば,電圧供給端子(Y1−P)210に印刷命令信号が受信されれば,印刷命令信号が受信された電圧供給端子(Y1−P)210と電気的に連結されたヒータ256のみが印刷命令信号及び電圧供給端子(Y1−P)210に対応する色相のインクが吐出される。
【0031】
接地端子220は,FPC200の接地のための端子であって,1つの電圧供給端子210に少なくとも1つの接地端子220が設けられる。即ち,1つの電圧供給端子210及び1つの接地端子220は色相別グループをなして駆動される。信号端子230はインクジェットプリンタから受信される制御信号に応じて適応的にその機能を行なう。
【0032】
かかる電圧供給端子210,接地端子220,及び信号端子230の一面は,インクジェットプリンタと電気的に接触するため表面がメッキされている。これをディンプルと言う。
【0033】
図3は,図2Aに備えられた1つの電圧供給端子及び1つの接地端子を示す平面図である。図4は,図3に示す電圧供給端子と第1及び第2の電線の一部を拡大図示した平面図である。
【0034】
図3及び図4に示すように,接地端子220に連結された第2の電線225は,所定位置(例えば,一点鎖線で図示されたAの位置)において,少なくとも2つに分岐され電圧供給端子210に連結された第1の電線215の両側に沿って並行される。即ち,第2の電線225は,所定位置(A)で少なくとも2つのポーションに分岐された後,分岐された少なくとも2つのポーションは第1の電線215の長さ方向に沿って備えられる。このとき,少なくとも2つのポーションのうち第1のポーションは,第1の電線215の一側に備えられ,少なくとも2つのポーションのうち第2のポーションは,第1の電線215の他側に備えられる。即ち,分岐された少なくとも2つのポーションのうち第1及び第2のポーションは第1の電線215を中心に各々左側及び右側に備えられる。
【0035】
このとき,第2の電線225の分岐された少なくとも2つのポーションは,第1の電線215の両側から所定の距離(d)離間されて備えられる。離間距離(d)は,30μm〜500μmであるのが好ましい。
【0036】
さらに,第1及び第2の電線215,225のリードは,1つまたは少なくとも2つに分岐されて各々第1及び第2のボンディングパッド252,254にボンディングされることが好ましい。これは,少なくとも2つに分岐されることにより,リードが並列接続されるので,抵抗は減少して,所定の接点(即ち,分岐されたリードのうちいずれかの1つのリード)が短絡される時,残りの接点(分岐されたリードのうち短絡されたリード他の残りのリード)を使用できるからである。このことにより,FPC200の使用期間も延長できる。
【0037】
図2Bに示すように,プリンタヘッド250は,図2Aの点線で図示されたところに備えられFPC200と電気的に連結される。
【0038】
インク吐出のためのプリントヘッド250は,インクカートリッジの一面に備えられ,複数の第1及び第2のボンディングパッド252,254及び複数のヒータ256を有する。なお,プリンタヘッド250に備えられるFET素子などの説明及び図面で図示は省略する。
【0039】
複数の第1及び第2のボンディングパッド252,254は,プリンタヘッド250の両側端(即ち,第1の側端及び第2の側端)に分散されて備えられる。本実施形態においては,第1の側端は,第2の側端に比べてFPC200と隣接しているところを指す。アルミニウムからなる第1及び第2のボンディングパッド252,254は,超音波融着によって第1及び第2の電線215,225のリードとボンディングされる。
【0040】
複数のヒータ256は,色相別に区分され,連結された電圧供給端子210から駆動電圧が印加されると,インクを吐出する。
【0041】
FPC200とプリンタヘッド250が結合されたインクカートリッジがディンプルによりインクジェットプリンタ内のプリンタカートリッジに電気的に接触されると,プリンタヘッド250は,FPC200によりインクジェットプリンタから受信された印刷命令信号に応じてインクを吐出する。
【0042】
インクジェットプリンタから印刷命令信号が受信されると,受信された印刷命令信号の色相に該当するFPC200の電圧供給端子(例えば,Y2−P)10は,少なくとも1つの接地端子(例えば,Y2−G)220とグループ(例えば,Y2)を形成してプリンタヘッド250のヒータ256を駆動する。
【0043】
グループY1において,Yは黄色のインクを吐出するためのグループであり,1はグループY1が第1及び第2の電線225によってプリンタヘッド250の第1の側端に連結されていることを意味する。
【0044】
図5は,図2に示すプリンタヘッド250と連結されるFPC200の一部を図示した回路図である。
【0045】
図5に示すように,FPC200の第1及び第2の電線215,225のリードは,プリンタヘッド250の第1及び第2のボンディングパッド252,254にボンディングされる。このとき,インクジェットプリンタから印刷命令信号が受信されると,Rで示されたヒータ256は,所定の電圧供給端子(V)210及びFETで図示されたスイッチング素子のONによって加熱される。このことにより,インクは所定のヒータ256を介して吐出され,回路は所定の接地端子(GND)220により接地される。
【0046】
なお,プリンタヘッド250と連結されたFPC200には数式1のようなインピーダンスが形成される
【0047】
【数1】



(数式1)
【0048】
上記数式1に示すように,Zはインピーダンス,RはR〜Rの合成抵抗,LはL及びLの合成インダクタンス,Cはキャパシタンス,wは角速度である。インピーダンス(Z)は数式1のように抵抗(R),インダクタ(L),及びキャパシタンス(C)により形成され,インピーダンス(Z)が低いほどFPC200からプリンタヘッド250への信号及び駆動電圧は円滑に供給される。かかるインピーダンス(Z)はデータ伝送周波数に対してインダクタンス(L)の影響を大きく受ける。
【0049】
以下に示す表2は,図2示すプリンタヘッド250と連結されるFPC200から測定されたインダクタンス値を示したものである。
【0050】
【表2】



【0051】
上記表2に示すように,Yは黄色,Mはマゼンタ,Cはシアンを備えるグループであり,色相ブロックの数字第「1」及び「2」は各々プリンタヘッド250の第1の側端及び第2の側端に連結されることを意味する。
【0052】
さらに,Y1は1つの電圧供給端子(Y1−P)及び1つの接地端子(Y1−G)からなり,Y2は1つの電圧供給端子(Y2−P)及び1つの接地端子(Y2−G)からなる。これは,M1,M2,C1,及びC2においても同様に適用されるのでその詳説は省略する。
【0053】
上記表2にで示すインダクタンス値は,第1に,図4に示すように,第1の電線215の直径(A)が第2の電線225の幅(a)の2倍であり,第2に,第1の電線215と第2の電線225間の離間距離(d)が60μm〜100μmである場合に測定された値である。
【0054】
上記のように設定された場合,FPC200の色相別グループに形成されるインダクタンスの最小値は5.9nHであり,最大値は16.6nHである。かかるインダクタンスは離間距離に比例するので,第1及び第2の電線215,225間の離間距離を縮小させることによりインダクタンス値を減少させ得る。
【0055】
このように複数の第1及び第2の電線215,225に形成されるインピーダンスが減少されることにより,FPC200はプリンタヘッド250の方にFET素子の駆動に必要な電流を円滑に供給し,電圧及び電流の損失が減少されるので,プリント速度は高速になる。
【0056】
なお,上記表2に示すように,同一の色相を具現するグループであっても第1の側端及び第2の側端にて測定されるインダクタンス値は相異なる。これは,第1の側端及び第2の側端と連結される配線の長さが相違しているからである。相異なるインダクタンス値は第1及び第2の電線215,225間の離間距離(d)を調節することにより調節できる。
【0057】
なお,本実施形態にかかるFPC200においては,プリンタヘッド250の第1の側端に連結された第1及び第2の電線215,225間の離間距離(d)と第2の側端に連結された第1及び第2の電線215,225間の離間距離は相違しているのが好ましい。
【0058】
即ち,第1の側端は,第2の側端に比べてFPC200と隣接したところに位置しているので,第1の側端に連結された第1及び第2の電線215,225間の離間距離が第2の側端に連結された第1及び第2の電線215,225間の離間距離より大きくなるように第1及び第2の電線215,225を備える。
【0059】
換言すると,インダクタンス値が大きい部分の離間距離が短くなるとインダクタンスが減少し,インダクタンス値が小さい部分の離間距離が長くなるとインダクタンス値が増加される。
【0060】
上記離間距離の調節によるインダクタンス値の調節は,印刷品質を向上させる。例えば,FPC200がプリンタヘッド250と連結された場合に,インクジェットプリンタから第1の側端及び第2の側端に位置するヒータ256を同時に駆動するという印刷命令信号が印加されると,インダクタンス値を調節して第1の側端及び第2の側端のインピーダンス値を同一にすることにより,第1の側端及び第2の側端に位置するヒータ256を同時に駆動することが可能である。したがって,相違した位置の2つのヒータ256が相異なる色相のインク又は同じ色相のインクを吐出することにより印刷の品質が向上される。
【0061】
一方,本実施形態にかかるFPC200において,多数の第2の電線225を第1の電線215の左側及び右側に備えることもできる。例えば,3つの第2の電線225のうち1つは第1の電線215の左側に沿って備えられ,残りの2つの電線は第1の電線215の右側に沿って備えられることによっても,インダクタンス値を減少させることができる。
【0062】
接地のための電線がプリンタヘッドに電圧を供給する電線の両側に沿って備えられるので,フレキシブルプリント基板に形成されるインダクタンス値が減少される。したがって,フレキシブルプリント基板に形成される全インピーダンスも減少し,フレキシブルプリント基板は,高周波においても電線の短絡なしに必要な電流をプリンタヘッドに供給されるのでプリント速度を高めることができる。さらに,接地のための電線がプリントヘッドに電圧供給する電線間距離を調整するのでインダクタンス値を調節し印刷品質が向上される。
【0063】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は,フレキシブルプリント基板に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来のプリンタヘッドと連結されたフレキシブルプリント基板の一部を概略的に示す平面図である。
【図2A】図2Aは,第1の実施の形態にかかるプリンタヘッドに連結されるフレキシブルプリント基板の一部を概略的に示す平面図である。
【図2B】図2Bは,図2Aのフレキシブルプリント基板と連結されるプリンタヘッドを概略的に示す平面図である。
【図3】図2に備えられた1つの電圧供給端子及び1つの接地端子を示す平面図である。
【図4】図3に図示された電圧供給端子と第1及び第2の電線の一部を拡大した平面図である。
【図5】図2のプリンタヘッドと連結されるFPCの一部を示す回路図である。
【符号の説明】
【0066】
200 FPC
210 電圧供給端子
215 第1の電線
220 接地端子
225 第2の電線
230 信号端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク吐出のための少なくとも1つのヒータを有するプリンタヘッドに連結されるフレキシブルプリント基板であって,
前記プリンタから受信される印刷命令信号の有無に従って前記少なくとも1つのヒータに駆動電圧を選択的に供給する少なくとも1つの電圧供給端子と,
一端は前記少なくとも1つの電圧供給端子に,他端は第1のボンディングパッドに各々連結され,前記駆動電圧を前記少なくとも1つのヒータに伝達する少なくとも1つの第1の電線と,
少なくとも1つの接地端子と,
一端は前記少なくとも1つの接地端子に,他端は少なくとも1つの第2のボンディングパッドに連結される少なくとも1つの第2の電線と,を含み,
前記少なくとも1つの第2の電線は,所定位置で少なくとも2つのポーションに分岐され,前記少なくとも2つのポーションが前記少なくとも1つの第1の電線の長さ方向に沿って備えられ,前記少なくとも2つのポーションのうち第1のポーションは前記第1の電線の一側に備えられ,前記少なくとも2つのポーションのうち第2のポーションは前記第1の電線の他側に備えられる,
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
前記第1の電線と前記第1のポーション間の離間距離と,前記第1の電線と前記第2のポーション間の離間距離は,30μm〜300μmの範囲にある,
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1及び第2のボンディングパッドが前記プリンタヘッドを備える基板の第1の側端及び前記第1の側端に対向する第2の側端に所定の比率で分散され備えられた場合,前記第1の側端の第1及び第2のボンディングパッドに連結される第1及び第2の電線間の離間距離は,前記第2の側端の第1及び第2のボンディングパッドに連結される第1及び第2の電線間の離間距離と相違している,
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1及び第2の電線の他端は,少なくとも2つに分岐され,各々前記少なくとも1つの第1及び第2のボンディングパッドに連結される,
ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1及び第2のボンディングパッドに連結される前記少なくとも1つの第1及び第2の電線は,各々前記電線を含む第1の物質以外に第2の物質でコーティング処理される,ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項6】
前記第1の物質は銅であり,前記第2の物質は金である,ことを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電圧供給端子及び前記少なくとも1つの接地端子の一面は,前記プリンタと電気的に接触するためにメッキされる,ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1及び第2のボンディングパッドは,アルミニウムからなる,ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1及び第2の電線は,各々前記少なくとも1つの第1及び第2のボンディングパッドに超音波融着によりボンディングされる,ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項10】
インダクタンスは,前記少なくとも1つの第1及び第2の電線間の前記所定の離間距離に比例する,ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項11】
プリンタヘッドに連結されるフレキシブルプリント基板であって,
前記プリンタヘッドに電圧を供給する複数の電圧連結配線と,
前記プリンタヘッドの接地のための複数の接地連結配線と,を含み,
複数の前記接地連結配線は,各々少なくとも2つに分割し,各々の前記電圧連結配線の両側に沿って並行するように備えられる,
ことを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項12】
前記フレキシブルプリント基板に形成されるインピーダンスは,複数の前記接地連結配線と複数の前記電圧連結配線との間の所定の離間距離の調節により調節される,
ことを特徴とする請求項11に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項13】
複数の前記電圧及び接地連結配線のリードは,少なくとも2つに分岐され前記プリンタヘッドにボンディングされる,ことを特徴とする請求項11に記載のフレキシブルプリント基板。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2004−165673(P2004−165673A)
【公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−385149(P2003−385149)
【出願日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【Fターム(参考)】