説明

フレキシブル基板及び該フレキシブル基板を備える回路モジュール

【課題】各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつ、電子部品からの配線とパッド電極との接続を確実に行うことができるフレキシブル基板及び、該フレキシブル基板を備える回路モジュールを提供する。
【解決手段】フレキシブル基板2は、可撓性を有する基材21と、基材21の表面に設けられ、電子部品3からのワイヤ(配線)32に振動を加えて接続するパッド電極23と、基材21に埋め込まれ、パッド電極23と接合するビア(第1ビア)25とを備える。ビア(第1ビア)25は、基材21に比べて剛性の高い材料で形成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル基板及び該フレキシブル基板を備える回路モジュールに関し、特に、振動を加えてパッド電極に電子部品を接続するフレキシブル基板及び該フレキシブル基板を備える回路モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末機器をはじめとする各種電子機器は、小型化、軽量化のために配線基板に可撓性を有する基材を用いたフレキシブル基板を採用している。また、表面にICチップ等の電子部品を実装する回路モジュールは、回路モジュールの基板にフレキシブル基板を採用することで小型化、軽量化が可能になる。
【0003】
フレキシブル基板の表面に、ICチップ等の電子部品を実装する場合、例えば、フレキシブル基板の表面に形成したパッド電極と、電子部品の端子電極とをワイヤボンディング方法を用いて接続する。ワイヤボンディング方法は、端子電極のワイヤの先端をパッド電極に押し当てて振動(例えば、超音波)を加えることで、ワイヤとパッド電極とを接続する。しかし、パッド電極が可撓性を有する基材を用いたフレキシブル基板の表面に形成されている場合、ワイヤの先端をパッド電極に押し当てて振動を加えると、パッド電極が基材の方向に沈み込みワイヤが切断されるという問題があった。また、可撓性を有する基材が、ワイヤに加えた振動を吸収し、ワイヤとパッド電極との接続に問題が生じる場合があった。
【0004】
そこで、特許文献1では、可撓性を有する基材の略全面に金属補強層を埋め込み、基材の表面にパッド電極を形成することで、ワイヤボンディング方法でフレキシブル基板の表面に電子部品を実装する場合に、パッド電極が基材の方向に沈み込むのを防止し、ワイヤに加えた振動の吸収を低減して、ワイヤとパッド電極との接続を確実に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平06−45793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、可撓性を有する基材の略全面に金属補強層を埋め込むため、フレキシブル基板の可撓性が損なわれ、携帯端末機器をはじめとする各種電子機器に採用することができないという問題があった。また、フレキシブル基板において電子部品と接する部分の可撓性が損なわれると、フレキシブル基板の表面に電子部品を実装する場合に、電子部品に加わる衝撃により電子部品に割れや欠けが生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつ、電子部品からの配線とパッド電極との接続を確実に行うことができるフレキシブル基板、及び該フレキシブル基板を備える回路モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係るフレキシブル基板は、可撓性を有する基材と、該基材の表面に設けられ、電子部品からの配線に振動を加えて接続するパッド電極と、前記基材に埋め込まれ、前記パッド電極と接合する第1ビアとを備え、前記第1ビアは、前記基材に比べて剛性の高い材料で形成してある。
【0009】
また、第2発明に係るフレキシブル基板は、第1発明において、前記パッド電極と接合する前記第1ビアの接合部分と、前記電子部品からの配線を接続する前記パッド電極の接合部分とは、前記パッド電極を挟んで対向する。
【0010】
また、第3発明に係るフレキシブル基板は、第1又は第2発明において、前記パッド電極と接合する前記第1ビアは、複数である。
【0011】
また、第4発明に係るフレキシブル基板は、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記第1ビアは、前記パッド電極と接合する接合面の面積が、該接合面に平行な別の面の面積より小さいテーパ形状である。
【0012】
また、第5発明に係るフレキシブル基板は、第4発明において、前記第1ビアの前記接合面に平行な別の面の面積は、前記パッド電極の前記第1ビアと接合する接合面の面積以下である。
【0013】
また、第6発明に係るフレキシブル基板は、第1乃至第5発明のいずれか一つにおいて、前記第1ビアは、絶縁材料である。
【0014】
また、第7発明に係るフレキシブル基板は、第1乃至第6発明のいずれか一つにおいて、複数の前記基材が積層され、複数の前記基材のそれぞれに埋め込まれた前記第1ビアが互いに接合する。
【0015】
また、第8発明に係るフレキシブル基板は、第1乃至第7発明のいずれか一つにおいて、前記第1ビアは、前記基材に設けてある面内配線の間を電気的に接続するための第2ビアと同じ材料で形成してある。
【0016】
また、第9発明に係るフレキシブル基板は、第1乃至第8発明のいずれか一つにおいて、前記第1ビアの凸部と、前記パッド電極の凹部とを嵌合して前記第1ビアと前記パッド電極とを接合する。
【0017】
また、第10発明に係るフレキシブル基板は、第1乃至第9発明のいずれか一つにおいて、複数の前記基材が積層され、前記第1ビアは、前記基材と前記基材との間に形成される面内配線のうち、別の面内配線と電気的に接続していない配線と接合する。
【0018】
上記目的を達成するために第11発明に係る回路モジュールは、電子部品と、可撓性を有する基材と、該基材の表面に設けられ、前記電子部品からの配線に振動を加えて接続するパッド電極と、前記基材に埋め込まれ、前記パッド電極と接合する第1ビアとを有するフレキシブル基板とを備え、前記第1ビアは、前記基材に比べて剛性の高い材料で形成してある。
【0019】
第1発明では、フレキシブル基板は、可撓性を有する基材の表面に設けられたパッド電極と接合し、基材に比べて剛性の高い材料で形成してある第1ビアを備えるので、基材に比べて剛性の高い材料を略全面に設けるのではなく、基材に比べて剛性の高い材料で形成してある第1ビアを基材のパッド電極が存在する部分にのみ設けることができ、各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつパッド電極を補強することが可能となり、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【0020】
第2発明では、パッド電極と接合する第1ビアの接合部分と、電子部品からの配線を接続するパッド電極の接合部分とは、パッド電極を挟んで対向するので、電子部品からの配線を接続するパッド電極を第1ビアで確実に補強することができ、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【0021】
第3発明では、パッド電極と接合する第1ビアは、複数あるので、複数の第1ビアと接合するパッド電極が基材の表面から剥離しにくく、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【0022】
第4発明では、第1ビアは、パッド電極と接合する接合面の面積が、該接合面に平行な別の面の面積より小さいテーパ形状であるので、第1ビアがパッド電極の方向に抜けにくくなり、第1ビアと接合するパッド電極が基材の表面から剥離しにくく、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【0023】
第5発明では、第1ビアの接合面に平行な別の面の面積は、パッド電極の第1ビアと接合する接合面の面積以下であるので、基材の電子部品が接する部分の可撓性を確保しつつパッド電極を補強することが可能となる。
【0024】
第6発明では、第1ビアは、絶縁材料であるので、第1ビアを介して電子部品からの電流が漏れることがないため、電子部品の動作の信頼性が向上する。
【0025】
第7発明では、複数の基材のそれぞれに埋め込まれた第1ビアが互いに接合するので、第1ビアと接合するパッド電極が基材の表面から剥離しにくく、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【0026】
第8発明では、第1ビアは、基材に設けてある面内配線の間を電気的に接続するための第2ビアと同じ材料で形成してあるので、第1ビアと第2ビアとを同じ工程で形成することができ、第1ビアを形成するコストを低減することができる。
【0027】
第9発明では、第1ビアの凸部と、パッド電極の凹部とを嵌合して第1ビアとパッド電極とを接合するので、第1ビアとパッド電極とが強く接合され、第1ビアと接合するパッド電極が基材の表面から剥離しにくく、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【0028】
第10発明では、複数の基材が積層され、第1ビアは、基材と基材との間に形成される面内配線のうち、別の面内配線と電気的に接続していない配線と接合するので、第1ビアがパッド電極の方向に抜けにくくなり、第1ビアと接合するパッド電極が基材の表面から剥離しにくく、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【0029】
第11発明では、電子部品と、可撓性を有する基材の表面に設けられたパッド電極と、パッド電極と接合し、基材に比べて剛性の高い材料で形成してある第1ビアとを有するフレキシブル基板とを備えるので、各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつパッド電極を補強することが可能となり、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、フレキシブル基板は、可撓性を有する基材の表面に設けられたパッド電極と接合し、基材に比べて剛性の高い材料で形成してある第1ビアを備えるので、各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつパッド電極を補強することが可能となり、電子部品からの配線とパッド電極とを確実に接続して、電子部品を実装したフレキシブル基板の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1に係る回路モジュールの構成を示す断面図である。
【図2】従来のフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係るフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係るフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態5に係るフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態6に係る回路モジュールの構成を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態7に係るフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態7に係るフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る回路モジュールの構成を示す断面図である。図1に示す回路モジュール1は、フレキシブル基板2、可撓性を有する複数の基材21、21、21で構成されたフレキシブル基板2に実装する電子部品3を備えている。フレキシブル基板2は、可撓性を有する基材21が複数積層され、基材21の表面に所定のパターンの面内配線22が形成されている。つまり、面内配線22は、積層された基材21と基材21との間、フレキシブル基板2の表面を構成する基材21の表面に形成されている。また、フレキシブル基板2の表面を構成する基材21の表面には、所定のパターンのパッド電極23も形成されている。パッド電極23は、電子部品3からのワイヤ(配線)32と接続するとともに、基材21の表面に形成された面内配線22とも接続されている。異なる基材21の表面に形成された複数の面内配線22の間を電気的に接続するためのビア(第2ビア)24が基材21に埋め込まれている。ここで、基材21は、シート状の素材であり、例えばポリイミド等の熱硬化性樹脂や、液晶ポリマ、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が用いられる。面内配線22やパッド電極23には、Cu箔等の金属導体が用いられている。ビア24には、Sn−Ag合金等の金属導体(金属焼結体)が用いられている。
【0033】
フレキシブル基板2の製造方法は、従来の方法と同じである。すなわち、まずリソグラフィ法を用いて基材21の表面に所定のパターンの面内配線22及びパッド電極23を形成する。面内配線22又はパッド電極23を形成した基材21の表面とは反対側の基材21の表面にレーザ光を照射してビアホールを形成し、形成したビアホールに金属導体を埋め込みビア24を形成する。面内配線22、パッド電極23、ビア24を形成した基材21を複数積層し、各層間を接着剤で接着する。
【0034】
フレキシブル基板2に実装する電子部品3は、例えばICチップである。電子部品3がICチップの場合、ワイヤボンディング方法を用いてフレキシブル基板2と電子部品3とを接続する。ワイヤボンディング方法では、まず一次側として電子部品3の電極31にワイヤ32を押し当て、ワイヤ32に振動(例えば超音波)を加えて電子部品3の電極31に接続する。次に二次側としてフレキシブル基板2のパッド電極23にワイヤ32を押し当て、ワイヤ32に振動(例えば超音波)を加えてパッド電極23に接続する。なお、本発明の実施の形態1では、二次側であるフレキシブル基板2のパッド電極23とワイヤ32との接続について説明する。
【0035】
図2は、従来のフレキシブル基板のパッド電極の構成を示す断面図である。図2(a)はワイヤ104を接続する前のパッド電極102の構成を示す断面図、図2(b)はワイヤ104を接続する場合のパッド電極102の構成を示す断面図である。図2(a)に示すように、従来のフレキシブル基板100のパッド電極102は、可撓性を有する基材101の表面に形成してある。そのため、図2(b)に示すように、ワイヤボンディング方法で用いるキャピラリ103を用いてワイヤ104をパッド電極102に押し当て、ワイヤ104に振動を加えた場合、パッド電極102が基材101の方向に沈み込むことによりワイヤ104が切断される、あるいは基材101がワイヤ104に加えた振動を吸収してワイヤ104とパッド電極102との接続に問題が生じる場合があった。
【0036】
図1に戻って、本発明の実施の形態1に係るフレキシブル基板2は、パッド電極23と接合するビア(第1ビア)25が基材21に埋め込まれている。ビア25には、ビア24と同じ材料のSn−Ag合金等の金属導体(金属焼結体)が用いられているが、これに限定されるものではなく、基材21に比べて剛性の高い材料で形成してあれば良い。基材21に比べて剛性の高い材料には、例えばCu等の金属導体がある。また、ビア25は、同じ基材21に形成されているビア24と同じ工程で形成しても、別の工程で形成しても良い。ビア25をビア24と同じ工程で形成する場合、ビア25を形成するコストを低減することができる。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態1に係るフレキシブル基板2のパッド電極23の構成を示す断面図である。図3(a)はワイヤ32を接続する前のパッド電極23の構成を示す断面図であり、図3(b)はワイヤ32を接続したパッド電極23の構成を示す断面図である。図3(a)に示すように、本発明の実施の形態1に係るフレキシブル基板2のパッド電極23は、可撓性を有する基材21の表面に形成され、基材21に埋め込まれているビア25と接合する。そのため、図3(b)に示すように、パッド電極23は、ワイヤボンディング方法で用いるキャピラリ103を用いてワイヤ32をパッド電極23に押し当て、ワイヤ32に振動を加えた場合であっても、接合したビア25によりパッド電極23が基材21の方向に沈み込まない。したがって、基材21のワイヤ32に加えた振動の吸収を低減することができ、ワイヤ32が切断されず、ワイヤ32とパッド電極23とを確実に接続することができる。なお、ビア25は、パッド電極23を表面に形成した基材21には埋め込まれているが、パッド電極23を表面に形成した基材21の下層の基材21には埋め込まれていない。また、パッド電極23がCu箔で、ビア25がSn−Ag合金でそれぞれ形成されている場合、パッド電極23とビア25との境界部にはSn−Cu系の固相拡散層が形成されるので、ビア25とパッド電極23とを強固に接合することができる。
【0038】
ビア25は、パッド電極23と接合する接合面の面積が、該接合面に平行な別の面の面積より小さいテーパ形状である。そのため、ビア25は、パッド電極23の方向に抜けにくい。当該形状のビア25と接合したパッド電極23は、単に基材101の表面に形成した図2(a)に示す従来のフレキシブル基板100のパッド電極102に比べて、基材21の表面から剥離しにくくなり、ワイヤボンディング方法を用いて電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを確実に接続して、電子部品3を実装したフレキシブル基板2の信頼性が向上する。
【0039】
また、ビア25は、パッド電極23と接合する接合面に平行な別の面の面積が、パッド電極23のビア25と接合する接合面の面積以下である。そのため、ビア25は、パッド電極23の直下の基材21には埋め込まれているが、図1に示すようにパッド電極23が設けられていない部分の直下の基材21には埋め込まれていない。従って、フレキシブル基板2は、各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつ、ワイヤボンディング方法を用いて電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを接続する場合に生じる不具合を防止できる程度にパッド電極23を補強することができる。さらに、ビア25は、パッド電極23が設けられていない部分の直下の基材21には埋め込まれていないことから、電子部品3が基材21と接する部分の直下の基材21にも埋め込まれることはない。よって、基材21の電子部品3と接する部分は可撓性を確保することができるので、フレキシブル基板2に電子部品3を実装する場合に、電子部品3に加わる衝撃を緩和することができ、電子部品3の割れや欠けを防止することができる。
【0040】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る回路モジュール1は、可撓性を有する基材21の表面に設けられたパッド電極23と接合し、基材21に比べて剛性の高い材料で形成してあるビア25を有するフレキシブル基板2を備えているので、各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつパッド電極23を補強することが可能となり、電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを確実に接続して、電子部品3を実装したフレキシブル基板2の信頼性が向上する。なお、本実施の形態1では、ビア25は、積層された基材21と基材21との間に形成された面内配線22とは電気的に接続していないので、ワイヤボンディング方法を用いて電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを接続する際に圧力や振動が加わってもフレキシブル基板2の電気的な接続に影響を与えることはない。もっとも、ビア25が面内配線22と接続されていても、パッド電極23を補強するという効果は奏する。
【0041】
また、パッド電極23と接合するビア25の接合部分と、電子部品3からのワイヤ32を接続するパッド電極23の接合部分とは、パッド電極23を挟んで対向しているので、電子部品3からのワイヤ32を接続するパッド電極23をビア25で確実に補強することができ、電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを確実に接続することができる。
【0042】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係るフレキシブル基板2のパッド電極23の構成を示す断面図である。なお、本発明の実施の形態2に係る回路モジュール1、及びフレキシブル基板2の構成は、図4で説明する構成以外、実施の形態1で説明した構成と同じであるため、同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
図4に示す本発明の実施の形態2に係るフレキシブル基板2のパッド電極23は、可撓性を有する基材21の表面に形成され、基材21に埋め込まれているビア(第1ビア)41と接合する。ビア41は、実施の形態1で説明したビア25と形状や形成方法は同じであるが、用いる材料が絶縁材料である点で異なる。ビア41に用いる絶縁材料には、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、シリカ等のフィラーを混ぜた樹脂がある。また、ビア41は、パッド電極23との接合を強化するために、パッド電極23と接した状態でビア41を構成する絶縁材料である樹脂を硬化する。
【0044】
以上のように、本発明の実施の形態2に係るフレキシブル基板2は、ビア41が絶縁材料であるので、ビア41を介して電子部品3からの電流が漏れることがないため、電子部品3の動作の信頼性が向上する。
【0045】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係るフレキシブル基板2のパッド電極23の構成を示す断面図である。なお、本発明の実施の形態3に係る回路モジュール1、及びフレキシブル基板2の構成は、図5で説明する構成以外、実施の形態1で説明した構成と同じであるため、同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0046】
図5に示す本発明の実施の形態3に係るフレキシブル基板2のパッド電極23は、可撓性を有する基材21の表面に形成され、基材21に埋め込まれているビア(第1ビア)51と接合する。ビア51は、さらにビア51の下層の基材21に埋め込まれているビア(第1ビア)52と接合する。
【0047】
ビア51は、パッド電極23と接合する接合面の面積が、該接合面に平行な別の面の面積より大きいテーパ形状である。一方、ビア52は、ビア51と接合する接合面の面積が、該接合面に平行な別の面の面積より小さいテーパ形状である。ビア51とビア52とを接合することで、ビア51、52は、パッド電極23の方向にも逆方向にも抜けにくくなる。当該ビア51、52と接合したパッド電極23は、実施の形態1で形成したパッド電極23に比べて、基材21の表面から剥離しにくくなる。
【0048】
なお、ビア51、52の形状は、図5に示すテーパ形状に限定されるものではない。また、ビア51、52は、実施の形態1で説明した形成方法で形成され、金属導体、絶縁材料のいずれの材料であっても良い。また、ビア51とビア52とで、形状、サイズが異なっても良い。
【0049】
以上のように、本発明の実施の形態3に係るフレキシブル基板2は、複数の基材21が積層され、複数の基材21に埋め込まれたビア51、52が互いに接合するので、ビア51と接合するパッド電極23が基材21の表面から剥離しにくくなる。また、パッド電極23を補強するビア51,52の体積が増え、剛性がより増すので、ワイヤボンディング方法を用いて電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とをより確実に接続して、電子部品3を実装したフレキシブル基板2の信頼性が向上する。
【0050】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4に係るフレキシブル基板2のパッド電極23の構成を示す断面図である。なお、本発明の実施の形態4に係る回路モジュール1、及びフレキシブル基板2の構成は、図6で説明する構成以外、実施の形態1で説明した構成と同じであるため、同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
図6に示す本発明の実施の形態4に係るフレキシブル基板2のパッド電極23は、可撓性を有する基材21の表面に形成され、基材21に埋め込まれているビア(第1ビア)61と接合する。ビア61とパッド電極23とは、ビア61の凸部61aとパッド電極23の凹部23aとを嵌合して接合している。なお、パッド電極23の凹部23aは、ビア61のビアホールを形成する際のレーザ光照射を用いてパッド電極23の表面に容易に形成することができる。また、ビア61の凸部61aは、凹部23aを形成したパッド電極23を底部とするビアホールに金属導体又は絶縁材料を埋め込むことで容易に形成することができる。
【0052】
以上のように、本発明の実施の形態4に係るフレキシブル基板2は、ビア61の凸部61aと、パッド電極23の凹部23aとを嵌合して、ビア61とパッド電極23とを接合するので、ビア61とパッド電極23とが強く接合され、パッド電極23が基材21の表面から剥離しにくくなる。したがって、ワイヤボンディング方法を用いて電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを確実に接続して、電子部品3を実装したフレキシブル基板2の信頼性が向上する。
【0053】
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5に係るフレキシブル基板2のパッド電極23の構成を示す断面図である。なお、本発明の実施の形態5に係る回路モジュール1、及びフレキシブル基板2の構成は、図7で説明する構成以外、実施の形態1で説明した構成と同じであるため、同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
図7に示す本発明の実施の形態5に係るフレキシブル基板2のパッド電極23は、可撓性を有する基材21の表面に形成され、基材21に埋め込まれているビア(第1ビア)71と接合する。ビア71は、さらにビア71の下層の基材21と基材21との間に形成されるダミー配線72と接合する。ダミー配線72は、面内配線22のうち、別の面内配線22と電気的に接続していない配線である。
【0055】
以上のように、本発明の実施の形態5に係るフレキシブル基板2は、複数の基材21が積層され、ビア71は、基材21と基材21との間に形成される面内配線22のうち、別の面内配線22と電気的に接続していないダミー配線72と接合するので、ビア71がパッド電極23の方向に抜けにくくなり、当該ビア71と接合するパッド電極23が基材21の表面から剥離しにくい。したがって、ワイヤボンディング方法を用いて電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを確実に接続して、電子部品3を実装したフレキシブル基板2の信頼性が向上する。なお、ダミー配線72のビア71と接合する接合面の面積は、ダミー配線72と接合するビア71の接合面の面積より大きい方が、よりパッド電極23の方向に抜けにくくなる。
【0056】
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6に係る回路モジュール1の構成を示す断面図である。なお、本発明の実施の形態6に係る回路モジュール1、及びフレキシブル基板2の構成は、電子部品3をフレキシブル基板2に実装する構成以外、実施の形態1で説明した構成と同じであるため、同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0057】
図8に示す回路モジュール1は、電子部品3の電極31にバンプ81を設け、設けたバンプ81をパッド電極23に接続することで、電子部品3をフレキシブル基板2に実装する。バンプ81が、ワイヤボンディング方法を用いる場合のワイヤに相当し、電子部品3からのワイヤ(配線)32に相当する。バンプ81とパッド電極23との接続は、フレキシブル基板2のパッド電極23にバンプ81を押し当て、バンプ81に振動(例えば超音波)を加えてパッド電極23に接続する。なお、バンプ81には、Au等を用いる。
【0058】
以上のように、本発明の実施の形態6に係る回路モジュール1は、バンプ81を用いて電子部品3をフレキシブル基板2に実装する場合であっても、各種電子機器に採用することが可能な可撓性を確保しつつパッド電極23を補強することができる。したがって、電子部品3の電極31に設けたバンプ81とパッド電極23とを確実に接続して、電子部品3を実装したフレキシブル基板2の信頼性が向上する。
【0059】
(実施の形態7)
図9は、本発明の実施の形態7に係るフレキシブル基板2のパッド電極23の構成を示す断面図である。図10は、本発明の実施の形態7に係るフレキシブル基板2のパッド電極23の構成を示す平面図である。なお、本発明の実施の形態7に係る回路モジュール1、及びフレキシブル基板2の構成は、図9及び図10で説明する構成以外、実施の形態1で説明した構成と同じであるため、同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
図9に示す本発明の実施の形態7に係るフレキシブル基板2のパッド電極23は、可撓性を有する基材21の表面に形成され、基材21に埋め込まれている複数のビア(第1ビア)91、91と接合する。ビア91、91は、図10に示すようにパッド電極23の四隅にそれぞれ配置され、パッド電極23とそれぞれ接合する。なお、ビア91の数、配置は、4本をパッド電極23の四隅に配置することに限定されるものではなく、例えば8本を円形に配置しても良い。
【0061】
以上のように、本発明の実施の形態7に係るフレキシブル基板2は、パッド電極23に複数のビア91、91が接合するので、当該ビア91、91と接合するパッド電極23が基材21の表面から剥離しにくく、ワイヤボンディング方法を用いて電子部品3からのワイヤ32とパッド電極23とを確実に接続して、電子部品3を実装したフレキシブル基板2の信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0062】
1 回路モジュール
2 フレキシブル基板
21 基材
22 面内配線
23 パッド電極
3 電子部品
24 ビア(第2ビア)
25、41、51、52、61、71、91 ビア(第1ビア)
32 ワイヤ
72 ダミー配線
81 バンプ
103 キャピラリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する基材と、
該基材の表面に設けられ、電子部品からの配線に振動を加えて接続するパッド電極と、
前記基材に埋め込まれ、前記パッド電極と接合する第1ビアと
を備え、
前記第1ビアは、前記基材に比べて剛性の高い材料で形成してあることを特徴とするフレキシブル基板。
【請求項2】
前記パッド電極と接合する前記第1ビアの接合部分と、前記電子部品からの配線を接続する前記パッド電極の接合部分とは、前記パッド電極を挟んで対向することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル基板。
【請求項3】
前記パッド電極と接合する前記第1ビアは、複数であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレキシブル基板。
【請求項4】
前記第1ビアは、前記パッド電極と接合する接合面の面積が、該接合面に平行な別の面の面積より小さいテーパ形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項5】
前記第1ビアの前記接合面に平行な別の面の面積は、前記パッド電極の前記第1ビアと接合する接合面の面積以下であることを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル基板。
【請求項6】
前記第1ビアは、絶縁材料であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項7】
複数の前記基材が積層され、
複数の前記基材のそれぞれに埋め込まれた前記第1ビアが互いに接合することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項8】
前記第1ビアは、前記基材に設けてある面内配線の間を電気的に接続するための第2ビアと同じ材料で形成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項9】
前記第1ビアの凸部と、前記パッド電極の凹部とを嵌合して前記第1ビアと前記パッド電極とを接合することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項10】
複数の前記基材が積層され、
前記第1ビアは、前記基材と前記基材との間に形成される面内配線のうち、別の面内配線と電気的に接続していない配線と接合することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のフレキシブル基板。
【請求項11】
電子部品と、
可撓性を有する基材と、該基材の表面に設けられ、前記電子部品からの配線に振動を加えて接続するパッド電極と、前記基材に埋め込まれ、前記パッド電極と接合する第1ビアとを有するフレキシブル基板と
を備え、
前記第1ビアは、前記基材に比べて剛性の高い材料で形成してあることを特徴とする回路モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−210930(P2011−210930A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76863(P2010−76863)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】