説明

フレキシブル膜上に載置された反転メタモルフィックソーラーセル

【課題】従来技術で開示された材料及び作製段階は、フレキシブル膜上に取り付けられた反転メタモルフィック構造に基づくエネルギー効率の良いソーラーセルの製造については記載されていない。
【解決手段】基板を準備し、ソーラーセルを形成する半導体材料の一連の層を基板上に堆積し、半導体基板をフレキシブル膜の上に載置し、半導体基板を所定の厚さまで薄型化することによってフレキシブル膜上にソーラーセルを製造する方法。一連の層は、反転メタモルフィックソーラーセル構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーセル半導体デバイスの分野に関し、詳細には、多重接合ソーラーセルと、アノード及びカソード端子を電池の表側からアクセスできるようにするビアとを含むフレキシブル膜上に取り付けられた集積半導体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーセルとも呼ばれる光起電力セルは、ここ数年で利用可能になった最も重要な新規のエネルギー源の1つである。ソーラーセルの開発には相当な努力が注がれた。その結果、ソーラーセルは、幾つかの産業用及び消費者用の用途で現在利用されている。この領域において著しい進歩があったが、より高度な用途のニーズを満たすソーラーセルの要件は需要に対応していない。データ通信で使用される衛星などの用途では、電力及びエネルギー変換特性が改善されたソーラーセルに対する需要が劇的に高まっている。
【0003】
衛星及び他の宇宙関連用途では、衛星電力システムの大きさ、質量及びコストは、使用されるソーラーセルの電力及びエネルギー変換効率によって決まる。別の言い方をすれば、最大積載量の規模及び船内サービスの可用性は供給される電力量に比例する。したがって、最大積載量がより高度化されるにつれて、船内電力システム用の電力変換デバイスとして機能するソーラーセルの設計効率がますます重要になる。
【0004】
ソーラーセルは、多くの場合、個々のソーラーセルが互いに直列に接続された垂直な多重接合構造で作製され、水平配列で配置される。配列の形状及び構造並びに収容されるセルの数は、1つには、所望の出力電圧及び電流によって決まる。
【0005】
名称「高性能用格子不整合手法」のM.W.Wanless他による米国特許第6,951,819号、「III−V光起電力エネルギー変換」(2005年IEEE Press、2005年1月3日から7日、第31回IEEE光電池専門家会議の会議議事録)、及び本発明の譲受人の2006年6月2日に出願された同時係属の米国特許出願シリアル番号11/445,793に記載されているような反転メタモルフィックソーラーセル構造体は、高エネルギー変換効率を有する将来の商品開発にとって最も重要な出発点を提示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の以前では、従来技術で開示された材料及び作製段階は、フレキシブル膜上に取り付けられた反転メタモルフィック構造に基づくエネルギー効率の良いソーラーセルの製造については記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
要約すると、大まかには本発明は、基板を準備し、ソーラーセルを形成する半導体材料の一連の層を基板上に堆積し、基板をフレキシブル膜の上に載置し、基板を所定の厚さまで薄型化することによってソーラーセルを製造する方法を提供する。
【0008】
別の態様では、要約すると、大まかには本発明は、半導体材料の一連の層を基板上に堆積した後に第1の基板をフレキシブル膜支持体に接着し、多重接合ソーラーセルの少なくとも1つのセルを形成し、これに続いて第1の基板の少なくとも一部分を除去することによってソーラーセルを製造する方法を提供する。
【0009】
本発明は更に、第1のバンドギャップを有する第1のソーラーサブセルと、第1のサブセルの上に配置され、且つ第1のバンドギャップよりも小さな第2のバンドギャップを有する第2のソーラーサブセルと、第2のサブセルの上に配置され、且つ第2のバンドギャップよりも大きな第3のバンドギャップを有する傾斜中間層と、第3のソーラーサブセルが第2のサブセルに対して格子不整合であるように中間層の上に配置され、且つ第3のバンドギャップよりも小さな第4のバンドギャップを有する第3のサブセルと、を含む一連の層を有する半導体本体を含む、フレキシブル膜上に載置されたソーラーセルを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のこれら及び他の特徴並びに利点は、添付図面と共に以下の詳細な説明を参照することによってより良く完全に理解されるであろう。
【0011】
図1は、基板上に3つのサブセルA、B及びCを形成後の本発明による多重接合ソーラーセルを図示している。より具体的には、ガリウムヒ素(GaAs)、ゲルマニウム(Ge)、又は他の好適な物質のいずれかとすることができる第1の基板100が示されている。Ge基板の場合、InGaP2などの核形成層が基板上に堆積される。基板上、又はGe基板の場合には核形成層を覆って、GaAsのバッファ層103及びGaInP2のエッチング停止層104が更に堆積される。次いで、n++GaAsのキャップ又は接触層105が層104上に堆積され、n+AlInP2の窓層106がキャップ又は接触層105上に堆積される。次いで、GaInP2のn+エミッタ層107及びGaInP2のp型基層108からなるサブセルAが窓層106上に堆積される。
【0012】
好ましい実施形態は上述のIII−V半導体材料を利用するが、この実施形態は例証に過ぎず、多重接合ソーラーセル構造は、格子定数及びバンドギャップ要件を条件として周期律表に記載されるIIIからV族元素のあらゆる好適な組み合わせによって形成することができる点に留意すべきであり、ここでIII族は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(T)を含む。IV族は、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、及びスズ(Sn)を含む。V族は、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)を含む。
【0013】
好ましい実施形態では、基板100はガリウムヒ素であり、エミッタ層107はInGa(Al)Pから構成され、基層はInGa(Al)Pから構成される。括弧内のAlという用語は、Alが任意の成分であることを意味し、この事例では、0%から30%の範囲の量で用いることができる。
【0014】
基層108の上部には、再結合損失を低減するのに用いられるAlGaInPのp+型裏面電界(「BSF」)層109が堆積される。
【0015】
BSF層109は、再結合損失の影響を最小限にするようにベース/BSF界面の表面近傍の領域から少数キャリアを生じさせる。言い換えれば、BSF層109は、ソーラーサブセルAの背面で再結合損失を低減し、これによってベース中の再結合を減少させる。
【0016】
BSF層109の上部には、セルAをセルBに電気的に接続する回路素子として用いられる、トンネルダイオードを形成する一連の高濃度にドープされたp型(AlGaAsなど)及びn型層110(InGaP2など)が堆積される。
【0017】
トンネルダイオード層110の上部にn+InAlP2の窓層111が堆積される。サブセルBで使用される窓層111はまた、再結合損失を低減するように動作する。窓層111は、下にある接合部のセル表面のパッシベーションを改良する。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、付加層をセル構造に付加し又は取り除くことができる点を理解されるはずである。
【0018】
窓層111の上部には、セルBの層、すなわち、n+エミッタ層112及びp型基層113が堆積される。これらの層は、好ましくはそれぞれn+GaAs及びp型GaAsから構成されるが、同様に格子定数及びバンドギャップ要件と一致するあらゆる他の好適な材料成分を用いることができる。
【0019】
セルBの上部には、BSF層109と同様の機能を果たすp+型AlGaAsのBSF層114が堆積される。次いで、n++/p++トンネルダイオード115は、層110のトンネルダイオードに類似するBSF層114上に堆積され、この場合もセルBをセルCに電気的に接続する回路素子を形成する。トンネルダイオードは、好ましくはAlGaAsの上のGaAsの層である。次いで、メタモルフィックバッファ層117は、トンネルダイオード116の上に堆積される。層117は、セルBからサブセルCまで格子定数の遷移を生じさせる、単調に変化する格子定数を備えた一連の層として堆積されるInGaAlAsの組成的にステップ傾斜した組成であるのが好ましい。層117のバンドギャップは、ミドルセルBのバンドギャップよりもわずかに大きな数値を有する1.5eV定数である。
【0020】
1つの実施形態では、Wanless他の論文で示唆されるように、ステップ傾斜は、0.25ミクロンの厚さを有する各段階層で9つの組成的に傾斜した段階を含む。好ましい実施形態では、中間層は、格子定数が単調に変化させたInGaAlAsから構成される。
【0021】
メタモルフィックバッファ層117の上部には、GaInP2の別のn+窓層118が堆積される。窓層118は、下にある接合部のセル表面のパッシベーションを改良する。付加層は、本発明の範囲から逸脱することなく設けることができる。
【0022】
窓層118の上部には、サブセルCの層、すなわち、n+型エミッタ層119及びp型基層120が堆積される。好ましい実施形態では、エミッタ層はGaInAsから構成され、基層は約1.0eVバンドギャップを有するGaInAsから構成されるが、好適な格子定数及びバンドギャップ要件を備えた他のあらゆる半導体材料も同様に用いることができる。
【0023】
サブセルCの基層120の上部には、好ましくはGaInP2から構成される裏面電界(BSF)層121が堆積される。
【0024】
BSF層121を覆って又はその上には、好ましくはp++型GaInAsのp+接触層122が堆積される。
【0025】
p+接触層122の上部には、金属層123、好ましくは層のTi/Au/Ag/Auシーケンスが堆積される
【0026】
次いで、図1に示す半導体構造は、図2に示すように接着剤150によってフレキシブル膜151(Kaptonなど)の表面に結合される。フレキシブル膜は通常、厚さ約75ミクロンを有するが、基板を含む半導体構造体は約660ミクロンである。より具体的には、構造体は表を下向きに、すなわち金属接触層123が膜151に隣接した状態で結合される。
【0027】
図3は、フレキシブル膜151の底部に対しサファイアなどの代理基板175を接着する次のプロセス段階の後の図2の構造の断面図である。好ましい実施形態では、代理基板は、厚さ約1000ミクロンであり、後で基板を除去するのを助けるために4mmの間隔を置いて配置された直径約1mmの孔が穿孔されている。材料の選択の考察を含めて、接着プロセスの詳細を引き続き検討する。
【0028】
図4は、ソーラーセル層123から103の下の元の基板100を除去して厚さ約12ミクロンの層123から103からなる半導体構造を残すことを含めて描かれた、本発明による次のプロセス段階の後の図3のソーラーセル構造の断面図である。
【0029】
図5は、既知のウェット又はドライ化学エッチングによって露出した半導体表面の上部から層103を除去する本発明による次のプロセス段階の後の図4のソーラーセルの断面図である。104はエッチング停止層であるので、エッチングは層103を完全に除去する。
【0030】
図6は、典型的にはHCl/H2O溶液によって半導体表面の層104が除去される、本発明による次のプロセス段階の後の図5のソーラーセルの断面図である。
【0031】
図7は、本発明による次のプロセス段階の後の図6のソーラーセル構造の断面図である。最初にリソグラフィーが行われ、フォトレジストを堆積して金属が全く存在しない領域を定めるようにする。金属層はフォトレジストの上に蒸着される。金属層125は通常、Pd/Ge/Ti/Pd/Ag/Au層から構成される。
【0032】
図8は、金属層が既知のリソグラフィー技術によってグリッド線にパターン化され、ここで金属層125の部分がリフトオフされて、残りの金属がソーラーセルの表面上にグリッドを形成する平行線126を形成するようになる、本発明による次のプロセス段階の後の図7のソーラーセル構造の断面図である。
【0033】
図9は、グリッド線がマスクとして用いられ、グリッド線間の半導体構造のキャップ層105が既知のウェット又はドライ化学エッチングプロセスによって除去され、これによってグリッド線間及び残りの露出された半導体表面上で窓層106を露出する、本発明による次のプロセス段階の後の図8のソーラーセル構造の断面図である
【0034】
図10は、ARC層がグリッド線126の上面の上に約2000オングストロームの厚さに堆積される、本発明による次のプロセス段階の後の図9のソーラーセルの断面図である。次いでリソグラフィープロセスは、ボンディングパッドが位置付けられることになる領域からARCを除去するように用いられる。
【0035】
図11は、構造体の周縁部が金属層123に至るまでエッチングされ、これによりウェーハの表面上にメサ半導体構造を形成する、本発明による次のプロセス段階の後の図10のソーラーセルの断面図である。次いで、別のリソグラフィープロセスを用いて、電池の上部から裏面金属まで裏面金属ビアをウェットエッチングする。これによりソーラーセルの裏面金属又はアノードまでの接触を形成することが可能になる。
【0036】
図12は、代理基板が除去された、本発明による次のプロセス段階の後の図11のソーラーセルの断面図である。
【0037】
上記では、本発明を具体的な好ましい実施形態において特定のタイプのソーラーセルを形成するためのプロセスとして説明してきたが、より一般的には、本発明は、単に適切な接着剤(Du PontのTeflon(FEP/PFA)、又はポリイミドなど)を用いて、比較的薄いフレキシブル膜(Du PontのKaptonなど)上で表を下向きにウェーハ(デバイス構造体又は層を備える場合があり、又は備えていない場合がある)を結合し、次いで、所望の厚さが達成されるまで又は所望の層が達成されるまでウェーハを薄型化(研磨/ラッピング及びエッチング)し、次いで、薄いウェーハを更に処理して電子デバイス、光デバイス、又は機械デバイス(例えば、薄型光起電力電池)を形成する方法である。
【0038】
本発明はまた、より一般的には、剛性キャリア(サファイアなど)を用いて、全ての半導体デバイス定義及び処理を通じてフレキシブル薄膜上に薄型半導体構造又はウェーハを支持することを含み、後で膜を剛性基板から取り外し、次いで最終面(例えば、ソーラーパネル)に取り付けることができる。薄膜は、一時的な接着剤(Dow CorningのI−4010など)を用いてキャリアに取り付けることができる。
【0039】
基板の薄型化は、処理中及び使用中に他の幾つかの支持手段がデバイス層に与えられる必要があることを意味する。Kaptonは、耐熱性及び化学的耐性があり、更に可撓性であるので良好な材料である。Kaptonは様々な厚さで得ることができ、片面又は両面に接着剤を用いて得ることができる。Teflonなどの接着剤がKaptonで利用可能であり、極めて化学的耐性があり、更にある程度までの耐熱性があるので、Teflonはこの目的には好適である。或いは、接着剤は施工することができる(例えば、積層化、又はスピンによって)。Teflonシートは、Kapton上に積層化することができる。ポリイミドは、ウェーハ上にスピンさせることができ、ポリイミドを接着剤として用いて、ウェーハをKaptonに取り付けることができる。またプロセスの最後で接着剤をKaptonに施工し、Kaptonを一時的又は恒久的に曲面或いは平面に取り付けることができる。
【0040】
上述のように、本発明の1つの実施形態は、Teflon又はポリイミドなどの接着剤を用いてKaptonなどの膜上で表を下向きにしてウェーハを取り付け、必要に応じて剛性キャリアを取り付け、ウェーハを薄型化し、デバイスを処理し、剛性キャリア(使用する場合)から取り外し、次いで別の接着剤の有無にかかわらず最終面上でKaptonにデバイスを施工することを含む。
【0041】
FEP及びPFAは、デュポン製のTeflonの別種であり、同様に接着剤として用いることができる熱可塑性材である。PFA(300−310C)は、FEP(250−280C)よりも溶融が高温である。PFAは、260C連続使用に従うことができ、FEPは、205C連続使用に従うことができる。これらの両方は、種々の厚さの膜で利用可能である。
【0042】
Kaptonは種々の厚さで利用可能であり、FEP又はPFAが既に積層化されたデュポンのポリイミドである。或いは、FEP及び/又はPFAは、熱板プレスでの積層化によってKapton膜に施工することができる。
【0043】
Kaptonが、片面又は両面上のいずれにFEP/PFAを有するかに応じて2つの方法がある。ウェーハ/Kaptonの組み合わせを処理中(例えばリソグラフィー中)の支持としての剛性キャリアに取り付ける必要がある場合、ポリマーが片面だけにあれば、Dow Corning I−4010などの別の接着剤を他の面に用いることができる。
【0044】
両面にFEP/Kapton又はPFA/Kaptonを用いる実施形態では、開始点は、必要なあらゆるデバイス層を有するウェーハとなる。次に、薄型反転光電池を形成する特定の場合には、ウェーハは、デバイス側で金属化し、必要に応じて更にアニールすることができる。
【0045】
処理中に剛性キャリアが必要とされる場合、熱板プレス中にKaptonの両側上にウェーハ(デバイス側を下向き)及びキャリア(例えば、サファイアディスク/Siウェーハ)を合わせる。プレスは、熱及び圧力の組み合わせを適用する。PEP/PFAは、加圧下で溶融されて、連続結合を形成する。冷却し圧力を除去すると、所定時間後、ウェーハ(デバイス側を下向き)、Kapton、及びキャリア(サファイア/Si)を互いに取り付ける。
【0046】
ウェーハのバルクを薄型化(研磨/ラッピング及びエッチング)してエッチング停止層及び/又はデバイス層(ある場合)に至り、更にウェーハを処理する(標準デバイス製造プロセス)。薄型反転光電池の特定の場合において、これらのプロセスは、限定ではないが、リソグラフィー、金属化(メタライゼーション)、堆積、エッチング、その他を含むことができる。ウェーハ上のセルは、好適にエッチングした接触窓、及び同様に前面接触パッドを通って前面側から裏面金属に接触することによって、このステージで試験することができる。
【0047】
熱可塑性材の融点まで加熱することによって、キャリアからKaptonを分離する。これは、例えば熱板上で行うことができる。キャリアとKaptonとの間のポリマーが溶融すると、その上の薄型化ウェーハを有するKaptonが離れることができる。Kaptonとウェーハとの間にポリマーの溶融が幾らかある可能性があるが、これは、Kaptonがキャリアから取り出されるときに再凝固することになる。KaptonからIMMウェーハ/セルのいかなる分離もあるべきではない。理想的には、ウェーハ側にPFAを備え、且つキャリア側にFEPを備えたKaptonを用いる必要があり、この場合、FEP溶融温度まで加熱すると、キャリアからKapton/ウェーハを放出することになり、PFAはFEPよりも高い温度で溶融するので、Kaptonとウェーハとの間のPFA結合がそのまま残る。
【0048】
デバイスは、更なる接続の準備が整ったKapton上にある。必要な場合ウェーハ上にエッチングしたストリートを通ってKaptonを機械的に切断することにより、デバイスを分離することができる。カバー・ガラスを取り付けることができる。光電池の具体的な場合では、セルを分離させる必要がある場合、メサ・ストリートを用いてKaptonを通って切断することができ、セルを相互接続することができる。Kaptonは、デバイスが柔軟性であるまで十分に薄く(ミクロン)なると、接着剤の有無にかかわらず(例えば、ソーラーパネル)最終的な平面又は曲面に取り付けることができる。
【0049】
片側FEP/Kapton又はPFA/Kaptonを用いる実施形態では、処理中に剛性キャリアを用いることができ、別の接着剤(例えばDow Corning I−4010)を用いて、剛性キャリアにKaptonを取り付けることができ、例えば、上記で言及したように孔を有するサファイア基板とすることができる。これは、真空、圧力、及び熱の組み合わせを加えて接着剤を硬化させる市販のウェーハ装置で行われる。これは、Kapton/FEP又はKapton/PFAを熱板プレスでウェーハに取り付けた後に行うことができる。I−4010は、ウェーハ製作で使用される多くの溶媒、酸、塩基、及び他の化学物質に対し不活性のシリコン接着剤である。I−4010はまた耐熱性がある。
【0050】
既に述べたように処理した後、使用されたキャリアは、溶媒によって剥離する必要がある。サファイア内の孔は、接着剤に対する溶媒のアクセスを増大させることによって、剥離を加速するのを助ける。FEP/PFA結合はこの溶媒に対し不活性であり、したがって、Kapton/ウェーハ結合は、サファイアから取り外された後も不活性のままとなる。直前に述べたように、Kaptonに結合されたウェーハは、更に処理するために機械的に切断してデバイスを分離することができる。
【0051】
FEP/PFAではなく他の接着剤については、温度、化学物質、及びデバイスの処理及び最終用途に伴う他の環境に耐性のある他のあらゆる接着剤を用いることができる。使用可能な1つの化学的耐性及び熱的耐性のある材料はポリイミドであり、その中である種のものが利用可能であり、異なる硬化温度及び耐環境性を有する。ポリイミドは、例えば、スピンコーティングによってウェーハ背面に施工することができ、Kaptonを取り付けることもでき、更に、スタックを硬化して結合を形成することができる。この後の手順は上述と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1の基板上にソーラーセルの層を形成するプロセス段階の最後における本発明によるソーラーセルの拡大断面図である。
【図2】フレキシブル膜の上部への構造体の接着を含む、本発明による次のプロセス段階の後の図1のソーラーセルの断面図である。
【図3】フレキシブル膜に代理基板を接着する次のプロセス段階の後の図2の構造の断面図である。
【図4】代理基板の下の元の層を除去して半導体構造を残すのを含めて描いた、本発明による次のプロセス段階の後の図3のソーラーセルの断面図である。
【図5】半導体表面の上部から層を除去する本発明による次のプロセス段階の後の図4のソーラーセルの断面図である。
【図6】半導体表面の別の層が除去される、本発明による次のプロセス段階の後の図5のソーラーセルの断面図である。
【図7】金属層が半導体表面の上に堆積される、本発明による次のプロセス段階の後の図6のソーラーセルの断面図である。
【図8】金属層がグリッド線にパターン化される、本発明による次のプロセス段階の後の図7のソーラーセルの断面図である。
【図9】グリッド線間の半導体表面の最上層が除去される、本発明による次のプロセス段階の後の図8のソーラーセルの断面図である。
【図10】ARC層が表面の上に堆積される、本発明による次のプロセス段階の後の図9のソーラーセルの断面図である。
【図11】ボンディングパッドがARC層内で開口された、本発明による次のプロセス段階の後の図10のソーラーセルの断面図である。
【図12】代理基板が除去された、本発明による次のプロセス段階の後の図11のソーラーセルの断面図である。
【符号の説明】
【0053】
100 基板
103 バッファ層
122 p+接触層
123 金属接触層
126 平行線
150 接着剤
151 フレキシブル膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーセルを製造する方法であって、
基板を準備する段階と、
ソーラーセルを形成する半導体材料の一連の層を第1の基板上に堆積させる段階と、
半導体基板をフレキシブル膜上に載置する段階と、
前記半導体基板を所定の厚さまで薄くする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記半導体材料の一連の層が、前記フレキシブル膜に隣接して直接取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フレキシブル膜を代理基板に取り付ける段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記代理基板がサファイアウェーハである、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
処理の後で前記代理基板を除去する段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フレキシブル膜を備えた前記ソーラーセルをガラス支持部材に取り付ける段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
半導体材料の一連の層を堆積する前記段階が、
第1のバンドギャップを有する前記基板上に第1のソーラーサブセルを形成する段階と、
前記第1のバンドギャップよりも小さな第2のバンドギャップを有する第2のソーラーサブセルを、前記第1のサブセルの上に形成する段階と、
前記第2のバンドギャップよりも大きな第3のバンドギャップを有する傾斜中間層を、前記第2のサブセルの上に形成する段階と、
第3のサブセルが前記第2のサブセルに対して格子不整合であるように、前記第2のバンドギャップよりも小さな第4のバンドギャップを有する前記第3のソーラーサブセルを形成する段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の基板がGaAsから構成され、前記第1のソーラーサブセルがInGa(Al)Pエミッタ領域及びInGa(Al)Pベース領域から構成され、前記第2のソーラーサブセルがInGaPエミッタ領域及びIn0.015GaAsベース領域から構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のソーラーセルを製造する方法。
【請求項9】
前記傾斜中間層が、格子定数を単調に増大したInGaAlAsの複数の層から構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のソーラーセルを製造する方法。
【請求項10】
フレキシブル膜と、
前記フレキシブル膜上に載置された半導体本体と、
を備えたソーラーセルであって、
前記半導体本体が、
第1のバンドギャップを有する第1のソーラーサブセルと、
第1のサブセルの上に配置され、前記第1のバンドギャップよりも小さな第2のバンドギャップを有する第2のソーラーサブセルと、
前記第2のサブセルの上に配置され、前記第2のバンドギャップよりも大きな第3のバンドギャップを有する傾斜中間層と、
第3のソーラーサブセルが前記第2のサブセルに対して格子不整合であるように前記中間層の上に配置され、第3のバンドギャップよりも小さな第4のバンドギャップを有する第3のサブセルと、
を含む一連の層を有する、
ことを特徴とするソーラーセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−166794(P2008−166794A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334822(P2007−334822)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(507200916)エムコア コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】