説明

フレキシブル電子回路製品及びその製造方法

本発明は、基板(12)、基板上に配置され、少なくとも約10.0原子百分率のケイ素を含むプラズマ蒸着層(18)、及びプラズマ蒸着層より上に配置されたパターン化導電層(22)、を有する電子回路製品(10)を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にフレキシブル電子回路(FEC)製品及びFEC製品の製造方法に関する。より特定的には、本発明は、プラズマ蒸着されたケイ素含有層を含むFEC製品に関する。
【背景技術】
【0002】
FEC製品は、インクジェットカートリッジ用回路、集積回路実装用インターコネクト、ハードディスクドライブ回路及び液晶ディスプレー用ドライバ相互接続といったようなさまざまな商業的利用分野において使用されている。これらの利用分野において適切に機能するために、FEC製品は一般に、ファインピッチ(すなわち狭い幅)及び優れた層間接着を必要とする。特に、FEC製品が経時的に高温にさらされる場合、層間剥離を防ぐために優れた層間接着が必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
FEC製品を形成するための従来の技術には、標準的にフレキシブル基板上に導電性材料層を被着させること及び回路トレースを作り上げるべく被着層をパターン化することが関与している。かかる被着技術の例としては、接着剤ベースの積層、注型及びスパッタリングが含まれる。それでも、加熱時点及び加熱の後にファインピッチ、優れた層間接着及び優れた安定性を示すFEC製品に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の少なくとも1つの態様は、基板、該基板上に配置されたプラズマ蒸着層及び該プラズマ蒸着層より上に配置されたパターン化導電層を含む電子回路製品に向けられている。プラズマ蒸着層は、少なくとも約10.0原子百分率を含み得る。本発明の少なくとも1つの態様はさらに、ポリイミド基板、該ポリイミド基板より上に配置されたプラズマ蒸着層、及び該プラズマ蒸着層より上に配置されたパターン化導電層を含む電子回路製品に向けられている。プラズマ蒸着層は、少なくとも約50.0原子百分率の有機ケイ素化合物を含む気体から誘導され得る。
【0005】
本発明の少なくとも1つの態様はさらに、電子回路製品を形成する方法に向けられている。該方法は、基板上にケイ素含有層をプラズマ蒸着する工程、該ケイ素含有層より上に導電性材料層を被着させる工程及び導電性材料層をパターン化する工程を含み得る。
【0006】
相反する明示的記述のないかぎり、本書では以下の定義が適用される。
【0007】
プラズマ蒸着層より上にパターン化導電層が配置されている状態に関して本書で使用されている通りの「〜より(の)上」という用語は、基板とは反対側にあるプラズマ蒸着層の主要表面との関係におけるあらゆる場所を意味する。この定義にはパターン化導電層がプラズマ蒸着層上に配置されている状態が含まれ、同様に、パターン化導電層とプラズマ蒸着層の間に1つ以上の層が存在するような形でパターン化導電層が配置されている状態も含まれている。
【0008】
「プラズマ」というのは、電子、イオン、中性分子、遊離ラジカル、及びその他の励起状態の原子及び分子を含む反応種を含有する物質の部分的にイオン化された気体又は液体状態を意味する。可視光及びその他の放射線は、標準的には、さまざまな励起状態からより低い又は基底状態までのプラズマ緩和を形成する種としてプラズマから発出される。プラズマは通常は反応チャンバ内で有色雲として現われる。
【0009】
「負バイアス」というのは、1つの物体(例えば電極)が物体の付近にあるいくらかのその他の物質(例えばプラズマ)との関係において負の電位を有することを意味する。
【0010】
電極及びプラズマに関して「負の自己バイアス」というのは、プラズマを作り出す電極に対する電力の印加により発生する負のバイアスを意味する。
【0011】
以上で識別された作図は、該発明の複数の実施形態を説明しているが、本書で指摘される通り、その他の実施形態も同様に考慮されている。全てのケースにおいて、本開示は、制限するものとしてではなく代表するものとして該発明を提示している。当業者であれば、該発明の原理の範囲及び精神に入る数多くのその他の修正及び実施形態を考案することができる、ということを理解すべきである。図は、原寸に比例して描かれていない可能性がある。同じ部品を示すために各図全体を通して同じ参照番号が使用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
フレキシブル電子回路製品の説明
本発明の1つの態様は、気体有機ケイ素化合物のプラズマ蒸着及び回路化により形成された多層品であるFEC製品10として、図1に断面で描かれている。図示されているように、FEC製品10は、上面14と底面16を有する基板12を含む。気体有機ケイ素ケイ素化合物は、上面20を有するケイ素含有層18を形成するため基板12の上面14上にプラズマ蒸着される。導電性トレース層22がこのときケイ素含有層18の上面20上に形成されパターン化され(すなわち回路化)て、電子回路を画定する。1つの実施形態においては、ケイ素含有層18は、少なくとも約10.0原子百分率のケイ素を含む。こうして、基板12と導電性トレース層22の間に優れた層間接着が提供される。FEC製品10は同様に、優れた環境安定性を示し、ファインピッチの利用分野にも適している。
【0013】
基板12は、望ましくは、耐熱性及び電気絶縁性のある材料から形成されている可撓性性重合体フィルムである。基板12のための適切な材料の例としてはポリイミド、改質ポリイミド(例えばポリエステルイミド、ポリイミド・エステル、ポリシロキサンイミド及びポリアミド)、ポリメチルメタクリラート、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラバナート、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンナフタラート、ポリエーテルエーテルケトン及びそれらの組合せが含まれる。基板12のための特に適した材料の例としては、優れた物理的強度を示し耐熱性及び化学耐性をもつポリイミドが含まれる。基板12は、上面14と底面16の間の層厚みAを得るため従来の技術により押出し加工され得る。基板12のための適切な層厚みAの例は、約12マイクロメートルから約130マイクロメートル(約0.5ミル〜約5ミル)の範囲内にある。しかしながら、層厚みAは、個々のニーズが要求し得る通りに変動可能である。
【0014】
ケイ素含有層18は、バッチ様のプロセス又は連続プロセスの中で基板12上にプラズマ蒸着され得る。製造効率を高めるために、望ましくは連続プロセスが使用される。一般に、プラズマ蒸着には、(大気圧との関係における)減圧下で1つ以上の気体有機ケイ素化合物が充填されたチャンバを通して基板12のフィルムを移動させることが関与する。基板12の底面16に隣接して又はそれと接触して位置づけされた電極(図示せず)に対して電力が提供される。こうして、電界が作り出され、この電界が、気体有機ケイ素化合物からケイ素富有プラズマを形成させる。このとき、プラズマからのイオン化された分子が電極に向かって加速し、基板12の上面14に衝撃を与える。この衝撃付与により、イオン化分子は基板12と反応し、これに共有結合する。こうして基板12上にケイ素含有層18が作り上げられる。プラズマ蒸着の1つの利点は、ケイ素含有層18を被着させるのに必要とされる温度が比較的低い(例えば約10℃)という点にある。このことは、代替的被着技術(例えば化学蒸着)が、ポリイミドといったような基板12に適した数多くの材料を劣化させることがわかっているため、有益である。
【0015】
プラズマ蒸着の程度は、気体有機ケイ素化合物(単複)の組成、その他の気体の存在、プラズマに対する基板12の曝露時間、電極に対し提供される電力レベル、気体流量及びチャンバ圧力といったようなさまざまな処理要因により左右され得る。これらの要因は、相応じて、ケイ素含有層18の層厚みBを決定する一助となる。図1に描かれているように、層厚みBは、基板12の上面14からケイ素含有層18の上面20まで延びている。ケイ素含有層18の適切な層厚みBの例は、約0.5ナノメートルから約10.0ナノメートルまでの範囲内である。ケイ素含有層18のための特に適切な層厚みBの例は、約1.0ナノメートルから約5.0ナノメートルまでの範囲内である。層厚みBのこれらの範囲は、基板12と導電性トレース層22の間に優れた層間接着を提供する一助となる。
【0016】
上述の通りの約10.0%のケイ素の含有に加えて、ケイ素含有層18は、少なくとも約15.0原子百分率の酸素を含むこともできる。ケイ素含有層18のための特に適切な組成物には、少なくとも約20.0原子百分率のケイ素、少なくとも約25.0原子百分率の酸素及び約50.0原子百分率未満の炭素のうち、1つ以上が含まれる。
【0017】
導電性トレース層22は、導電性材料を被着させ、被着した導電性材料をパターン化することによりケイ素含有層18の表面20上に形成される。導電性材料の被着は、スパッタリング、蒸着、真空蒸着、無電解メッキ及び電解メッキといったような従来の被着技術によって実施可能である。適切な導電性材料の例には、錫、金、銀、銅、クロム、及びそれらの組合せといったような導電性金属が含まれる。ケイ素含有層18の上面20と導電性トレース層22の上面24の間に層厚みCを伴って導電性トレース層22を形成するため、従来のフォトリソグラフィ技術によりパターン化を実施することができる。適切な層厚みCの例は、約12マイクロメートルから約130マイクロメートル(約0.5ミル〜約5ミル)の範囲内である。しかしながら、層厚みCは、個々のニーズが要求し得る通りに変動可能である。
【0018】
従って、製造後、本発明のFEC製品10は、電気絶縁用バッキング(すなわち基板12とケイ素含有層18の組合せ)上に配置された電気回路(すなわち導電性トレース層22)を含むフレキシブル回路である。FEC製品10は、基板12と導電性トレース層22の間に優れた層間接着を示し、優れた安定性を示し、かつファインピッチ利用分野における使用に適している。導電性トレース層22に適した一部の材料(例えば銅)は、ポリイミドといったような基板12に適したポリオレフィンを分解することがわかっている。従って、ケイ素含有層18は、導電性トレース層22の材料が基板12と相互作用するのを妨げる。
【0019】
図2は、上述のFEC製品10に類似しているFEC製品26と呼ばれる本発明の代替的FEC製品を描く断面図である。しかしながら、FEC製品26は付加的に、導電性トレース層22を環境条件(例えば腐食)から保護するべく導電性トレース層22上に配置されたメッキ層28を含んでいる。FEC製品26は、FEC製品10と同じ要領で形成させることができる。しかしながら、導電性トレース層22が被着されパターン化された後、付加的な導電性材料(図示せず)を、従来の被着技術(例えば無電解メッキ及び電解メッキ)により、ケイ素含有層18の上面20及び導電性トレース層22の上面24及び側面上に被着することが可能である。このとき、付加的な導電性材料は、導電性トレース層22の上面24とメッキ層28の上面30の間に層厚みDを伴ってメッキ層28を形成するべく、従来のフォトリソグラフィ技術でパターン化され得る。適切な層厚みDの例は、約2マイクロメートルから約25マイクロメートル(約0.1ミル〜約1ミル)の範囲内である。しかしながら層厚みDは同じく、個々のニーズが要求し得る通りに変動可能である。
【0020】
メッキ層28のための適切な材料には、導電性トレース層22用に開示されたものと同じ材料が含まれる。従って、本発明のFEC製品用に複数の導電性トレース層(例えば導電性トレース層22及び28)を製造するために多数の被着及びパターン化工程を使用することができる。被着及びパターン化工程の程度は、個々のニーズが要求し得る通りに変動可能である。
【0021】
図3は、図1で上述されているFEC製品10と類似のものであるFEC製品32と呼ばれている本発明のもう1つの代替的FEC製品を描く断面図である。しかしながら、FEC製品32は、ケイ素含有層18と導電性トレース層22の間に配置されたタイ層34をさらに含んでいる。タイ層34は、基板12と導電性トレース層22の間の潜在的な層間剥離を削減するために付加的な接着を提供している。タイ層34は、導電性トレース層22が、一般に重合体基板に対する比較的低い層間接着を示す材料(例えば銅)から誘導される場合に、特に適している。
【0022】
FEC製品32のケイ素含有層18及び基板12には、FEC製品10について上述したものと同じ要領で形成される。しかしながら、ケイ素含有層18がプラズマ蒸着された後、スパッタリング、蒸着及び真空蒸着といった従来の被着技術により、ケイ素含有層18の表面20上にタイ層34用材料を被着させることができる。タイ層34に適した材料の例としては、金属及び金属合金、例えばクロム、ニッケル、ニッケル・クロム、それらの酸化物、それらの合金及びそれらの組合せが含まれる。
【0023】
タイ層34用の材料が被着された後、導電性トレース層22用の材料をFEC製品10のための上述の技術を用いてタイ層34上に被着させることができる。このとき、(導電性トレース層22とタイ層34の)組合せ材料層を、図3に描かれているように導電性トレース層22及びタイ層34を形成するべく従来のフォトリソグラフィ技術によりパターン化することができる。図示されている通り、タイ層34は、ケイ素含有層18の上面20とタイ層34の上面36間に層厚みEを有している。適切な層厚みEの例は、約2マイクロメートルから約25マイクロメートル(約0.1ミル〜約1ミル)の範囲内である。しかしながら、層厚みEは同じく、個々のニーズが要求する通りに変動可能である。
【0024】
図4は、FEC製品38と呼ばれている本発明の代替的FEC製品を描く断面図である。FEC製品38は、FEC製品26の特長の一部分とFEC製品32の特長の一部分を組合せていて、それは図2および3を参照して上記に記載されている。図4で示されているように、FEC製品38は、導電性トレース層22上に配置されたメッキ層28及び、ケイ素含有層18と導電性トレース層22の間に配置されたタイ層34を含む。FEC製品38は一般に、図3のFEC製品32について上述されているものと同じ要領で形成され得る。しかしながら、タイ層34及び導電性トレース層22用の材料が被着された後、メッキ層28用材料を、図2のFEC製品26について上述された通りに、被着させパターン化することができる。FEC製品38は、多数の導電性トレース層(すなわち導電性トレース層22及び28)の使用とタイ層34の組合わさった利点を提供する。
【0025】
図5〜8は、図1〜4に開示されているもの(それぞれFEC製品10、26、32及び38)と類似している(FEC製品10’、26’、32’及び38’として描かれた)本発明の付加的な代替的FEC製品を描く断面図である。しかしながら、FEC製品10’、26’、32’及び38’においては、(ケイ素含有層18’として描かれている)ケイ素含有層18は、導電性トレース層22及び/又はタイ層34と共にパターン化されている。こうして、基板12の上面14は大気に曝露され、本発明のFEC製品の可撓性の増加が得られる。この可撓性の増大は、相応じて、さまざまな異なる工業的利用分野における使用のための本発明のFEC製品の汎用性を増大させる。
【0026】
上述の通り、本発明のFEC製品は、加熱の時点及び加熱後に、優れた層間接着及び優れた安定性を示す。本発明のFEC製品に適した特性の例としては、少なくとも約1.6キログラム/センチメートル(kg/cm)(約3.0ポンド/インチ)の初期剥離強度、少なくとも約1.1kg/cm(約2.0ポンド/インチ)という1時間250℃の温度への曝露後の剥離強度、少なくとも約1.1kg/cm(約2.0ポンド/インチ)の200時間150℃の温度への曝露後の剥離強度、そして少なくとも1012オーム/100平方ミリメートルの絶縁抵抗が含まれる。本発明のFEC製品に特に適した特性の例としては、少なくとも約2.1キログラム/センチメートル(kg/cm)(約4.0ポンド/インチ)の初期剥離強度、少なくとも約1.6kg/cm(約3.0ポンド/インチ)という1時間250℃の温度への曝露後の剥離強度、少なくとも約1.6kg/cm(約3.0ポンド/インチ)の200時間150℃の温度への曝露後の剥離強度、そして少なくとも1013オーム/100平方ミリメートルの絶縁抵抗が含まれる。本発明のFEC製品の剥離強度は、基板12と導電性トレース層22の間の剥離強度を意味している。従って、本発明のFEC製品は、著しい環境曝露度に耐える能力を有し、これにより本発明のFEC製品の汎用性は増大する。
【0027】
プラズマ蒸着プロセスの説明
図9は、連続プロセスにおいて基板12上にケイ素含有層18をプラズマ蒸着するための適切なシステムであるシステム40を描いた概略的側面図である。前述のように、本発明のFEC製品(例えばFEC製品10、26、32、38、10’、26’、32’及び38’)は、プラズマ蒸着を介して製造される。この点に関して、システム40は、チャンバ44を画定する壁42を含むが、システム40は、制御された環境を提供する能力をもつあらゆる器具であり得る。例えば、チャンバ44は、望ましくは、排出、排出後に導入された気体の格納、気体有機ケイ素化合物からのプラズマ発生、イオン加速及び支持用フィルムの被着といった能力を有し得る。アルミニウムは、低いスパッタ収量を示し、相応じて壁42から汚染を低減させることから、壁42のためには、アルミニウムが好ましい材料である。しかしながら、壁42用の適切な材料のその他の例としては、黒鉛、銅、ガラス、ステンレス鋼及びそれらの組合せが含まれる。
【0028】
システム40は、チャンバ44の内部にドラム電極46、複数のリール機構48、供給スプール50及び収容スプール52を含み得る。これらのコンポーネントを伴う適切なシステムが、ディビッド(David)らの米国特許第5,888,594号明細書(「‘594号特許」)及び同第5,948,166号明細書(「‘166号特許」)及びヤン(Yang)ら,米国特許第6,071,597号明細書(「‘597号特許」)の中で開示されている。「‘594号特許」、「‘166号特許」及び「‘597号特許」の中に開示されているように、基板12は、供給スプール50からフィルムとして、プラズマ蒸着が行なわれるドラム電極46まで供給される。結果として得られる(基板12及びケイ素含有層18を含有する)フィルムは、その後、収容スプール52上に巻取られる。リール機構48は、フィルムのライン経路を方向づけし、フィルムに対する張力を提供する。
【0029】
‘594号特許、‘166号特許及び‘597号特許に開示されているコンポーネントに加えて、システム40は同様に、基板12から水分を除去するように乾燥ユニット54を含み得る。乾燥ユニット54は、基板12を乾燥するのに適したあらゆるシステムであり得る。プラズマ蒸着に先立って、基板12は、その中の水分濃度を低減させるため、乾燥ユニット54を通過し得る。基板12内の過剰の水分は、プラズマ蒸着の有効性を削減し得る。乾燥ユニット54の一例としては、フィルムに向かって赤外線を導く赤外線ランプが含まれる(熱線54aにより示されている)。
【0030】
上述の通り、ドラム電極46のための適切なシステムが、‘594号特許、‘166号特許及び‘597号特許の中で開示されている。作業中、及びプラズマ蒸着に先立って、チャンバ44に連結された真空ポンプ(図示せず)などを用いてチャンバ44から空気を除去するべくシステム40は排気することができる。空気がチャンバ44からパージされた後、気体有機ケイ素化合物(単複)を次に所望の流量でチャンバ44内に導入することができる。所望の流量は、チャンバ44のサイズ及び被着されたイオンを受入れることになる基板12表面部域のサイズといったような複数の要因によって左右され得る。かかる流量は、望ましくは、プラズマ蒸着を達成するため、標準的に約10×10−6トールから約1.0トールの範囲内にある適切な圧力を樹立するのに充分なものである。
【0031】
プラズマ蒸着のために使用される気体有機ケイ素化合物には、チャンバ44の減圧下で気体状態のあらゆる有機ケイ素化合物(単複)が含まれる。適切な有機ケイ素化合物の例としては、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビストリメチルシリルメタン及びその組合せが含まれる。特に適した有機ケイ素化合物の例としては、テトラメチルシランが含まれる。さらに、気体はシランを含んでいてよい。
【0032】
気体有機ケイ素化合物(単複)に加えて、プラズマ蒸着を補助するためチャンバ44内に1つ以上の気体非有機化合物を導入することもできる。好ましい気体非有機化合物の例としては、酸素、アルゴン、水素、窒素、ヘリウム、アンモニア及びその組合せが含まれる。気体非有機化合物(単複)の流量は、非有機化合物(単複)対気体有機ケイ素化合物(単複)の所望の比率に応じて変動し得る。しかしながら、気体非有機化合物(単複)及び気体有機ケイ素化合物(単複)の合計流量は、プラズマ蒸着を達成するために適切な圧力(例えば約1.0×10−6トール〜約1.0トール)を樹立するのに充分なものである。
【0033】
気体非有機化合物対気体有機ケイ素化合物(単複)の適切な体積流量比の例は、約0:1(すなわち気体非有機化合物(単複)無し)から約10:1の範囲内である。気体有機ケイ素化合物(単複)及び気体非有機ケイ素化合物(単複)は、予め混合された単一気体としてか又代替的にはチャンバ44内部で互いに実質的に混合する別々の気体として、チャンバ44に導入され得る。例えば、気体有機ケイ素化合物(単複)は、約80標準立方センチメートル毎秒(sccm)の気体流量でチャンバ44に導入されてよく、気体非有機ケイ素化合物(単複)は、約320sccmの気体流量でチャンバ44に導入され得る(すなわち、約4:1の体積流量比)。
【0034】
’594号特許、’166号特許及び’597号特許の中で論述されているように、ドラム電極46は、あらゆる導電性材料で作られた環状表面56をもつ円筒形電極であり得る。環状表面56のための適切な材料の例としては、アルミニウム、銅、鋼、ステンレス鋼、銀、クロム、それらの合金、及びそれらの組合せが含まれる。環状表面56のための特に適した材料の例は、付随する製造の容易さ、低いスパッタ収量及び低コストに起因して、アルミニウムである。環状表面56は、ドラム電極46から半径方向外向きに電界が浸透できるようにする。ドラム電極46は同様に、電界浸透を防止する非導電性絶縁性領域をも含み得る。かくして、プラズマ蒸着はドラム電極46の環状表面56に制限される。非導電性領域は、重合体(例えばポリテトラフルオロエタン)といったような適切なあらゆる電気的絶縁材料を用いて形成可能である。(図9の図に平行な平面に対し垂直な方向での)環状表面56の適切な幅は、一般に、少なくともコーティングされるべきフィルムの幅(例えば約16.5センチメートル)に等しいものであるべきである。
【0035】
ドラム電極46は同様に、好ましくはドラム電極46に対し温度制御用流体を供給するための温度制御システム58をも含んでいる。温度制御システム58は、ドラム電極46を必要に応じて加熱又は冷却することができ、従って、ドラム電極46は、プラズマ蒸着を支援する適切な温度を有している。好ましい実施形態においては、温度制御システム58は、冷却剤流体を用いる冷却剤システムである。適切な冷却剤流体の例としては、水、エチレングリコール、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、液化ガス(例えば液体窒素)及びそれらの組合せが含まれる。
【0036】
好ましくは、温度制御システム58は、ドラム電極46の温度を選択的に制御するようプラズマ蒸着プロセスの持続時間全体を通してドラム電極46を通り冷却剤流体(図示せず)を圧送する。ドラム電極46に適した温度は、約5℃〜約20℃の範囲内にある。基板12はドラム電極46と直接接触していることから、プラズマから基板12への熱伝導は、この冷却アプローチにより管理され、かくして感温性フィルム上へのプラズマ蒸着を可能にする。
【0037】
ドラム電極46は同様に、それに電気的に接続された電源60をも含んでいる。電源60は、システム40の上に具備され得、そうでなければ代替的に、別のシステム上に具備され電気的にドラム電極46に接続されてもよい。いずれの場合でも、電源60は、ドラム電極46に対し充分な電力を供給する能力をもつあらゆる電力発生及び伝送システムであり得る。
【0038】
適切な電源60の一例としては、RF電力を供給するための無線周波数(RF)電源が含まれる。RF電力は、ドラム電極46の適切に構成されたバージョンの上に負バイアスを形成するのに充分なほど高く、ただし結果としてのプラズマ内に定常波を作り出すのに充分なほどには高くない周波数を示す。定常波は一般にプラズマ蒸着効率を減少させる。RF電力は、高いコーティング出力(例えば幅広フィルム及び高いライン速度)のために拡張可能である。RF電力が用いられる場合、ドラム電極46上の負バイアスは負の自己バイアスである(すなわち、ドラム電極46上の負バイアスを誘発するためにいかなる別の電源も使用する必要がない)。
【0039】
RF電源としての電源60は、約0.01〜約50MHz、好ましくは13.56MHz又はその任意の整数(例えば1、2又は3)倍数の範囲内の周波数をもつドラム電極46に電力供給することができる。ドラム電極46に供給された通りのこのRF電力は、チャンバ44の内部で気体有機ケイ素化合物(単複)からケイ素富有プラズマを作り出す。電源60の適切なRF例には、電源のインピーダンスを伝送線路(通常は50オーム抵抗性であるもの)のものと整合させるように機能しかくして同転伝送線路を通してRF電力を有効に伝送する線路網を介してドラム電極46に接続された13.56MHzの発振器といったようなRF発生器が含まれる。
【0040】
ドラム電極46に対するRF電力の印加時点で、イオンシースが形成され、これによってドラム電極46は、プラズマとの関係において負自己バイアスされた状態となる。イオンシースは、イオンボンバードメントを得それを支持するために必要であり、このイオンボンバードメントは、基板12上に高密度実装されたケイ素含有層18を生成するために必要である。この負自己バイアスは一般に500〜1400ボルトの範囲内にあり、気体有機ケイ素化合物(単複)をイオン化させ、中にイオンを伴うケイ素富有プラズマを形成させる。ひとたびプラズマが生成されたならば、電源60からのRF電力をドラム電極46に連続供給することによりドラム電極46上に負のDCバイアス電圧が作り出される。この負バイアスは、ケイ素富有プラズマ内部のイオンをドラム電極46の非絶縁部分(すなわち環状表面56)に向かって加速させる。ケイ素富有プラズマの発生は同様に、一般にチャンバ44内の圧力を増大させる。例えば、チャンバ44内部の約5.0×10−6トールのプラズマ前圧力が、プラズマ発生中に約5〜10ミリトールまで増大する可能性がある。
【0041】
本発明のFEC製品の形成中、基板12は乾燥の後、基板12の底面16が環状表面56と接触するような形でドラム電極46の環状表面56のまわりに補給される。従って、プラズマのイオンは、ドラム電極46と接触状態で基板12の上面14をボンバードする。こうして、上面14とイオン化ケイ素含有化合物の共有結合がひき起こされ、その結果基板12上にケイ素含有層18が被着されてフィルム63を形成する。
【0042】
このとき、結果として得られるフィルム62を、その後導電性トレース層22、メッキ層28及び/又はタイ層34を被着させパターン化する目的で収容スプール52上に巻取ることができる。代替的には、結果としてのフィルム62が連続プロセス内でドラム電極46を離れるにつれて、導電性トレース層22、メッキ層28及び/又はタイ層34のための材料を被着させることができる。システム40の連続プロセスは、プラズマのイオンが安定化する前にケイ素含有層18の上面20上に材料を被着させることができるようにするため、有利である。こうしてケイ素含有層18に対する被着済み材料の接着が増大し、こうして、結果としてのFEC製品の層間接着も相応じて増大する。
【0043】
図10は、ドラム電極46に対する代替的電極器具であり、システム40内でドラム電極46に置換しうる平坦電極64の概略的側面図である。平坦電極64についての適切なシステムの例は、ディビッドらの米国特許第6,696,157号明細書の中で開示されている。図10に示されているように、平坦電極64は、導電板70を電気的に絶縁する絶縁層68とバッキングプレート66を含む。同じく平坦電極64内に含まれるのは、温度制御システム58からの冷却剤流体及び電源60からの電力を平坦電極64に供給するための導管72である。温度制御システム58及び電源60は各々図9の中で上述されており、ここで温度制御システム58は平坦電極64の温度を管理し、電源60は導電板70に電力を供給している。
【0044】
本発明のFEC製品の形成中、乾燥ユニット54での乾燥の後に、基板12は、基板12の底面16が離隔距離Fだけ導電板70より上に配置されている状態で、平坦電極64の導電板70を横断して補給され得る。基板12と導電板70の間の適切な離隔距離Fの例は、約2.5ミリメートルから約13ミリメートルの範囲内である。離隔距離Fは、基板12の底面16と接触するドラム電極46の環状表面56とは対照的に、基板12と導電板70の間に非接触配置を提供する。平坦性及び非接触配置のため、平坦電極64は、連続プロセスで本発明のFEC製品を形成するためには効率が良い。代替的には、基板12の底面16は、基板12が平坦電極64を通過して補給されるにつれて導電板70と接触してもよい。
【0045】
導電板70に対しRF電力を印加した時点でイオンシースが形成され、これにより導電板70は、上述した通り、チャンバ44内のプラズマとの関係において負に自己バイアスされた状態になる。上述の通り、イオンシースは、イオンボンバードメントを得それを補助するために必要であり、このイオンボンバードメントは基板12上に高密度実装されたケイ素含有層18を生成するのに必要である。このバイアスも同じく一般に500〜1400ボルトの範囲内にあり、気体有機ケイ素化合物(単複)がイオン化状態となるようにし、その結果、内部にイオンを伴うケイ素富有プラズマが形成されることになる。ひとたびプラズマが生成されたならば、電源60からのRF電力を導電板70に連続供給することにより導電板70上に負のDCバイアス電圧が作り出される。このバイアスはケイ素富有プラズマ内部のイオンを導電板70に向かって加速させる。従って、イオンは、導電板70の上に配置された基板12の上面14を衝撃する。こうして、ケイ素含有化合物と上面14の共有結合がひき起こされ、その結果基板12上にケイ素含有層18が被着させられる。
【0046】
ドラム電極46の場合と同様に、このとき、平坦電極64からの結果として得られたフィルム62を、その後導電性トレース層22、メッキ層28及び/又はタイ層34を被着させパターン化する目的で、収容スプール52(図10では図示せず)上に巻取ることができる。代替的には、結果としてのフィルム62が連続プロセス内で平坦電極64を離れるにつれて、導電性トレース層22、メッキ層28及び/又はタイ層34を被着させることができる。これは、平坦電極64の平坦性、非接触性のため、特に有用である。
【0047】
システム40のためのもう1つの適切な構成は、同じチャンバ44内にドラム電極46と平坦電極64の両方を含むことができる。こうして、ドラム電極46及び平坦電極64の両方が各々同じリール機構48、供給スプール50及び収容スプール52を使用できるようになり、かくして器具のコストは削減される。使用中、プラズマ蒸着のためにドラム電極46又は平坦電極64のいずれかを使用でき、その間2つのうちのもう一方の電極は未使用状態にとどまる。さらに、本発明のFEC製品の層が連続プロセス内で被着され得るように、チャンバ44内部に、導電性トレース層22、メッキ層28及び/又はタイ層34を被着させるためのデバイスを置くこともできる。
【0048】
全体として、ドラム電極46及び平坦電極64でのプラズマ発生及びイオン加速は、大幅に単純化される。1個ソース電極及び1個ターゲット電極の代わりに、1個の電極のみが用いられる。電力供給された電極はプラズマを作り出すと共に負に自己バイアスされた状態となり、かくして基板12のイオンボンバードメントのためプラズマ内部のイオンを電力供給された電極に向かって加速させる。このDCバイアス電圧は同様に、被着されたコーティングを高密度化するためにも役立ち、こうしてケイ素含有層18の特性が増強される。
【0049】
導電層被着プロセス及び回路化プロセスの説明
ケイ素含有層18が基板12上にプラズマ蒸着された後、結果として得られたフィルム62上に付加的な材料を被着させパターン化させて、導電性トレース層22、メッキ層28及び/又はタイ層34を形成することが可能である。こうして、電気回路として機能する本発明のFEC製品の導電性部分が得られる。上述の通り、導電性トレース層22、メッキ層28及び/又はタイ層34は、各々、スパッタリング、電解メッキ、レジスト露光、レジスト現像及びエッチングといったような一連の被着及びフォトリソグラフィ技術を用いて、被着されパターン化され得る。かかる技術の順序は、特定の利用分野のために望まれる通りに変動可能である。適当な技術の例が、’597号特許の中で開示されている。
【0050】
タイ層34を含む本発明のFEC製品(例えばFEC製品32、38、32’及び38’)については、タイ層34用の材料がケイ素含有層18の上面20上に被着される。上述の通り、これは、連続プロセスの中でケイ素含有層18中のイオンが安定化する前に行なうことができ、こうしてケイ素含有層18に対するタイ層34の接着は増大する。以上でさらに詳述されているように、タイ層34は、スパッタリング、蒸着及び真空蒸着といったような従来の被着技術により被着させることができる。例えば1つの実施形態においては、タイ層34の材料を、約700ワットの直流(DC)マグネトロン電力設定でケイ素含有層18の上面20上にマグネトロンスパッタリングすることができる。スパッタリングは、約5.0×10−6トール未満のスパッタリング前圧力でアルゴンガスを格納するチャンバ内で行なうことができる(スパッタリングプロセスは一般にチャンバ内の圧力を増大させる)。チャンバは、上述の通り、本発明のFEC製品又はその一部分を連続プロセスが製造できるようにするチャンバ40であり得る。代替的には、タイ層34をスパッタリングするためのチャンバは、チャンバ40と別であってもよい。
【0051】
タイ層34が被着された後、タイ層34の表面36上に導電性トレース層22用材料が被着させられる。上述の通り、タイ層34は、スパッタリング、蒸着、真空蒸着及び電解メッキといったような従来の被着技術によって被着され得る。例えば、1つの実施形態においては、導電性トレース層22用材料を、シード層の被着とそれに続く電解メッキが関与する2段階プロセスにおいて被着させることができる。シード層は標準的に、大部分の導電性トレース層22のために用いられるものと同じ材料である。導電性トレース層22のためのシード層は、約2000ワットのDCマグネトロン電力設定でタイ層34の上面36上にマグネトロンスパッタリングされ得る。該スパッタリングは、約5.0×10−6トール未満のスパッタリング前圧力でアルゴンガスを格納するチャンバ内で行なうことができる(スパッタリングプロセスは一般にチャンバ内の圧力を増大させる)。
【0052】
シード層をスパッタリングするためのチャンバは、上述の通り、本発明のFEC製品又はその一部分を連続プロセスが製造できるようにするチャンバ40であり得る。シード層をスパッタリングするためのチャンバも、タイ層34をスパッタリングするためのチャンバと同じチャンバであり得る。こうして、導電性トレース層22のシード層及びタイ層34用の材料を連続プロセス内で逐次的に(ただしプラズマ蒸着とは別に)被着させることができることになる。代替的には、シード層をスパッタリングするためのチャンバは、タイ層34をスパッタリングするためのチャンバともチャンバ40とも別であってよい。
【0053】
導電性トレース層22のシード層が被着された後、結果として得られたフィルムを、電解メッキのためのシード層を調整するべく一連の浴に曝露することができる。例えば、結果として得られるフィルムを最初にロナクリーン(RONACLEAN) PC−960Mという商品名称でニューヨーク州フリーポート(Freeport,NY)のリロナール・インク(Learonal Inc.)から市販されている15%のスルホン酸と15重量%のナトリウム塩を含む水性組成物25%(体積)及び脱イオン(DI)水75%(体積)を含む溶液の中に入れることができる。この溶液は、シード層の露出した表面から酸化物と有機残渣を除去する。次に、結果として得たフィルムを、ロナエッチ(RONAETCH)という商品名称でリロナール・インクから市販されている1重量%の過硫酸ナトリウム溶液の中に置くことができる。最終的に、結果として得たフィルムを10%の硫酸(HSO)溶液中に置くことができる。このとき、結果として得られたフィルムは、シード層の上面に導電性トレース層22の残りの部分をいつでも電解メッキできる状態となる。
【0054】
導電性トレース層22の残りの部分のための材料は、従来の電解メッキ技術を用いて電解メッキされ得る。例えば、1つの実施形態においては、約18%のHSO及び約23%のCuSO5HOを含む溶液中で結果としてのフィルムを置くことによりシード層上に導電性トレース層22用の銅材料をメッキすることができる。シード層をメッキするために溶液に電流(例えば約200アンペア/平方メートル)を印加する。電流は、ウィスコンシン州エーメリー(Amery,WI)のダイナトロニクス・インク(Dynatronix、Inc.)から市販されている、ダイナトロニクス(DYNATRONIX)型式PMC104/PR−20−60プログラマブル電源という商品名称の下で入手可能な電源といったようなあらゆる従来の電源によって印加可能である。電解メッキがひとたび完了すると、タイ層34及び導電性トレース層22は、いつでもパターン化可能な状態となる。
【0055】
タイ層34及び導電性トレース層22のパターン化は、あらゆるさまざまなフォトリソグラフィ技術により実施可能であり得る。1実施形態においては、水性又は溶剤型であり得かつネガ又はポジのフォトレジストであり得るフォトレジストが基板12の底面16及び導電性トレース層22の上面24上に積層される。フォトレジストは、高温ローラーでの標準的積層技術を用いて適用され得る。フォトレジストの適当な厚みは、約35〜約50マイクロメートルの範囲内である。フォトレジストはこのとき、両側で紫外線光などにマスク又はフォトツールを通して曝露され得る。こうして、マスクによりカバーされていないフォトレジスト部分が架橋される。基板12の底面16はパターン化されていないことから、底面16に適用されるフォトレジストはフラッド露光される。フォトレジストの未露光部分はこのとき適切な溶剤を用いて現像される。水性レジストの場合、希釈水溶液(例えば約0.5重量%〜約1.5重量%の炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムを含む溶液)を、導電性トレース層22の上面24上に所望のパターンが得られるまで塗布することができる。
【0056】
フォトレジストが形成された後、フィルムは次にエッチャント溶液のスプレーを受けることができ、これに架橋済みフォトレジストでカバーされていない導電性トレース層22の一部分をエッチングする。導電性トレース層22をエッチングするための適切なエッチャント溶液の一例としては、約10.0重量%のHSO及び約2.0重量%〜約3.0重量%のHを含む溶液が含まれる。エッチングは、タイ層32の上面34の一部の部域を曝露する(すなわち、導電性トレース層22はパターン化される)。使用されるフォトリソグラフィ技術に応じて、この時点でフォトレジストを除去するか又は後続するエッチングのために保持することができる。
【0057】
導電性トレース層22がパターン化された後、次に、第2のエッチャント溶液中に結果として得られたフィルムを置くことによりタイ層34をエッチングすることができ、この溶液は、架橋済みフォトレジストでカバーされていないタイ層34の一部分をエッチングする。トレース層34をエッチングするための適切なエッチャント溶液の例としては、約4.0重量%のKOH及び約2.5重量%のKMnOを含む溶液が含まれる。このとき、結果として得られたフィルムを、エッチング後の中和のため、約10.0重量%のHSOを含む第3の溶液の中に置くことができる。エッチングが完了した時点で、次にフォトレジストを導電性トレース回路22の上面24及び基板12の底面16からはぎ取ることができる。フィルムをエッチング工程の前及び/又は後に脱イオン水で洗い流す工程、フィルムを乾燥させる工程及びその他の従来のフィルム清浄工程といったようなその他の工程をプロセスの中に内含させることもできる。このとき、結果として得られたフィルムを、さまざまな工業的利用分野において使用するため、別々のFEC製品(例えばFEC製品32、38、32’及び38’)へと分離することができる。
【0058】
導電性トレース回路22上に位置設定された導電性トレース回路28をも含む本発明のFEC製品(例えばFEC製品26、38、26’及び38’)については、導電性トレース回路22について上述されているものと同じ要領で導電性トレース回路28用の材料を被着させパターン化させることができる。導電性トレース回路28用の材料を、導電性トレース回路22がパターン化される前又は後に被着させることができる。1つの実施形態においては、導電性トレース回路28用材料を導電性トレース回路22がパターン化される前に被着させる。この場合、フォトレジストを、導電性トレース回路22の上面24上ではなくむしろ導電性トレース回路28の上面30上に形成させ架橋させることができる。このとき、上述の通り、導電性トレース回路28を導電性トレース回路22と共にパターン化させることが可能である。
【0059】
もう1つの実施形態においては、導電性トレース回路22及びタイ層34は、導電性トレース回路28を形成する前にパターン化される。こうして、図2、4、6及び8に示されているように、FEC製品26、38、26’及び38’が生成される。この場合、導電性トレース回路22及びタイ層34がパターン化された後、導電性トレース回路28用の材料のシード層を被着させ、それに続いて電解メッキすることができる。代替的には、導電性トレース回路22及び導電性トレース回路28の材料が導電性トレース回路22と導電性トレース回路28の間で適切な層間接着を提供する場合、シード層は必要でないかもしれない。
【0060】
被着後、導電性トレース回路28を次に、導電性トレース回路22について上述したものと同じ要領でパターン化することができる。従って、第2のフォトレジストを導電性トレース回路28の上面30上に形成させ架橋させることができる。結果として得られたフィルムを、回路トレースを画定するようにエッチングすることができ、その後、上述の通りフォトレジストを剥ぎ取ることができる。
【0061】
本発明のFEC製品は同様に、導電性トレース回路22及び導電性トレース回路28を超えて付加的な導電性トレース回路を含むこともできる。該付加的な導電性トレース回路は、導電性トレース回路22及び導電性トレース回路28について上述されたものと同じ要領で被着されパターン化され得る。
【0062】
タイ層34を含まない本発明のFEC製品(例えばFEC製品10、26、10’及び26’)については、導電性トレース層22をケイ素含有層18の上面20上に被着させ、上述のものと同じ要領でパターン化させることができる。パターン化されたケイ素含有層18’を含む本発明のFEC製品(例えばFEC製品10’、26’、32’及び38’)については、上述のものと同じパターン化工程に従って、タイ層34及び/又は導電性トレース層22と共にケイ素含有層18’をエッチングすることができる。
【0063】
プラズマ蒸着及び回路化の後、本発明のFEC製品は片側に導電性回路を又、反対側に重合体基板表面を有する。FEC製品は、はんだ球、リフロー球、熱圧着、ワイヤボンディング、インナーリードボンディングなどといったようなさまざまな従来の手段によりプリント回路板又はその他のデバイスに接続可能である。従って、本発明のFEC製品は、ボールグリッドアレイ、チップスケールパッケージ、単一及び多重金属層パッケージなどといったような電子パッケージの中で有用である。かかる回路及びパッケージは、記録用デバイス、印刷用デバイス、単一及び多重媒体デバイス、プロジェクタ、カメラ、コンピュータ、データ記憶デバイスなどを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)あらゆる電子デバイスの中で使用するように設計され得る。
【0064】
特性分析及び特長づけ手順
本発明のFEC製品を製造し特徴づけるためにさまざまな分析技術が利用可能である。ここではいくつかの技術が利用されている。これらの技術の説明を以下に記す。
【0065】
ドラム電極製造方法
以下の手順により、ドラム電極でのプラズマ蒸着及びその後の回路化により本発明のFEC製品を製造した。供給スプール上にポリイミド基板フィルムを提供し、ここで該基板フィルムは、50.8マイクロメートルのフィルム層厚み及び15.2センチメートルのフィルム断面幅を示していた。基板フィルムは当初、オハイオ州デイトン(Dayton,OH)のスタコ・エナジー・プロダクツ(Staco Energy Products)から市販されている可変AC単巻変圧器、型式033−3504(60%の電力設定値)を用いてIRランプに補給された。IRランプは、基板フィルムから水分を除去するべく1.0×10−6トールに維持された圧力を有するチャンバの中に格納されていた。基板フィルムは、0.61メートル/分のライン速度で補給された。
【0066】
次に、基板フィルムを、プラズマ蒸着のためドラム電極の環状表面のまわりに補給した。ドラム電極の直径は50.8センチメートル(20.0インチ)、環状表面の幅は16.5センチメートル(6.5インチ)であった。ドラム電極は同様に、カットアウト無しの管陽極及び陰極棒を格納するOグロー放電デバイスをも含んでいた。プラズマ蒸着に先立ち、チャンバから空気をパージし、次に5.0×10−6トールに維持されたプラズマ前圧力を提供するような流量でチャンバ内に気体を圧送した(気体の組成は実施例間で変動した)。10℃に維持した循環水を同様に温度制御システムからドラム電極を通して圧送した。その後、気体内でプラズマを作り上げるため、2000ワットのRF電力をドラム電極に供給した。これにより、チャンバ圧力は約4〜7ミリトールまで上昇した。その後基板フィルムを、4.6メートル/分のライン速度でドラム電極の環状表面のまわりに補給し、これにより3秒というプラズマに対する曝露時間が作り出された。基板フィルムの一定の与えられた部分がドラム電極の環状表面と接触しプラズマに曝露された合計時間量として、曝露時間を測定した。基板フィルムの上面上にプラズマからのイオンが被着されて、ケイ素含有層を形成した。その後、結果としてのフィルムを収容スプール上に巻き取った。
【0067】
チャンバを通して4.6メートル/分のライン速度で(基板及びケイ素含有層を格納する)フィルムを補給することにより、ケイ素含有層上にNiCrタイ層を被着させた。スパッタリングに先立ち、チャンバから空気をパージし、その後400sccmの流量でアルゴンを充填して5.0×10−6トールのスパッタリング前圧力を提供した。700ワットのDCマグネトロン電力設定でNiCr材料をマグネトロンスパッタリングすることにより、ケイ素含有層上にタイ層を被着させた。スパッタリングプロセスは、チャンバ内の圧力を7.0ミリトールまで上昇させた。
【0068】
次に、チャンバを通して4.6メートル/分のライン速度で(基板、ケイ素含有層及びNiCrタイ層を格納する)フィルムを補給することによって、タイ層上に銅(Cu)シード層を被着させた。スパッタリングに先立ち、チャンバから空気をパージし、400sccmの流量でアルゴンを充填して5.0×10−6トールのスパッタリング前圧力を提供した。2000ワットのDCマグネトロン電力設定で銅材料をマグネトロンスパッタリングすることにより、NiCrタイ層上にCuシード層を被着させた。スパッタリングプロセスは、チャンバ内の圧力を7.0ミリトールまで増大させた。
【0069】
シード層が被着された後、フィルムを25℃で2分間溶液中に入れ、ここで溶液はロナクリーン(RONACLEAN)PC−960Mという商品名称でリロナール・インクから市販されている15重量%のスルホン酸及び15%のナトリウム塩を含む水性組成物25%(体積)及び脱イオン(DI)水75%(体積)を含んでいた。その後フィルムに2分間DI水をスプレーした。次にフィルムを、1.0重量%の過硫酸ナトリウム溶液から成るリロナール・インクから市販されているロナエッチ(RONAETCH)銅浴の中に浸漬させた。その後、フィルムにDI水を再び2分間スプレーした。前後に、シートを15秒間10重量%のHSO浴の中に浸漬させた。一連の浴の後、フィルムはいつでも電解メッキできる状態となった。
【0070】
22ガロンの浴中に(基板、ケイ素含有層、NiCrタイ層及びCuシード層を格納する)フィルムを置くことによって電解メッキを実施した。浴は、空気攪拌された溶液を格納し、同じく銅−燐ナゲットの入ったバスケットを格納していた。溶液は、18重量%のHSO、23重量%のCuSo・5HO、マサチューセッツ州マールボロ(Marlborough,MA)のローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ社(Rohm and Haas Electronic Materials Co.)からCopper Gleam CLX添加剤として市販されている2重量%の担体/光沢剤溶液及びローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ社から市販されている2重量%のPPR担体を含んでいた。浴は、ダイナトロニクス・インクから市販されている、ダイナトロニクス(DYNATRONIX)型式PMC104/PR−20−60プログラマブル電源からの200アンペア/平方メートル(20アンペア/平方フィート)の電流密度で充電された。フィルムは、24.1〜25.4センチメートル(9.5〜10インチ)のメッキ距離で43分間浴中に存在していた。浴から除去した時点で、フィルムはいつでも回路化(すなわちパターン化)できる状態にあった。
【0071】
平坦電極製造方法
以下の手順により、平坦電極でのプラズマ蒸着及びその後の回路化により本発明のFEC製品を製造した。供給スプール上にポリイミド基板フィルムを提供し、ここで該基板フィルムは、50.8マイクロメートルのフィルム層厚み及び15.2センチメートルのフィルム断面幅を示していた。基板フィルムは当初、オハイオ州デイトンのスタコ・エナジー・プロダクツから市販されている可変AC単巻変圧器、型式033−3504(60%の電力設定値)を用いてIRランプに補給された。IRランプは、基板フィルムから水分を除去するべく1.0×10−6トールに維持された圧力を有するチャンバの中に格納されていた。基板フィルムは、0.61メートル/分のライン速度で補給された。
【0072】
次に、プラズマ蒸着のため0.64センチメートル(0.25インチ)の離隔距離で平坦電極を通過して基板フィルムを補給した。平坦電極をペンシルバニア州Exportのレイボルド・バキューム・プロダクツ・インク(Leybold Vacuum Products Inc.)から市販されているレイボールド生産メッキ装置の中に設置した。平坦電極は、(基板フィルムの移動方向に)26.7センチメートル(10.5インチ)の長さ及び38.1センチメートル(15.0インチ)の幅を含んでいた。プラズマ蒸着に先立ち、チャンバから空気をパージし、次に5.0×10−6トールに維持されたプラズマ前圧力を提供するような流量でチャンバ内に気体を圧送した(気体の組成は実施例間で変動した)。10℃に維持した循環水を同様に温度制御システムから平坦電極を通して圧送した。その後、気体内でプラズマを作り上げるため、2000ワットのRF電力を平坦電極に供給した。これにより、チャンバ圧力は7.0ミリトールまで上昇した。その後基板フィルムを、4.6メートル/分のライン速度で平坦電極を通過して補給し、これにより、3秒というプラズマに対する曝露時間が作り出された。基板フィルムの一定の与えられた部分が平坦電極の環状表面を通過しプラズマに曝露された合計時間量として、曝露時間を測定した。基板フィルムの上面上にプラズマからのイオンが被着されて、ケイ素含有層を形成した。
【0073】
プラズマ蒸着の後、同じチャンバ内での連続プロセスにおいてNiCrタイ層を被着させるためスパッタリングデバイスを通過して(基板とケイ素含有層を格納する)フィルムを補給した。700ワットのDCマグネトロン電力設定でNiCr材料をマグネトロンスパッタリングすることにより、ケイ素含有層上にタイ層を被着させた。その後、(基板、ケイ素含有層及びNiCrタイ層を格納する)フィルムを、同じチャンバ内での連続プロセスにおいてタイ層上にCuシード層を被着させるために第2のスパッタリングデバイスを通過して、補給した。2000ワットのDCマグネトロン電力設定で銅材料をマグネトロンスパッタリングすることにより、NiCrタイ層上にCuシード層を被着させた。Cuシード層を被着させた後、電解メッキのため、収容スプール上にフィルムを巻取った。
【0074】
電解メッキに先立ち、フィルムを25℃で2分間溶液中に入れ、ここで溶液はロナクリーンPC−960Mという商品名称でリロナール・インクから市販されている15重量%のスルホン酸及び15%のナトリウム塩を含む水性組成物25%(体積)及び脱イオン(DI)水75%(体積)を含んでいた。その後フィルムに2分間DI水をスプレーした。次にフィルムを、1.0重量%の過硫酸ナトリウム溶液から成るリロナール・インクから市販されているロナエッチ銅浴の中に浸漬させた。その後、フィルムにDI水を再び2分間スプレーした。前後に、シートを15秒間10重量%のHSO浴の中に浸漬させた。一連の浴の後、フィルムはいつでも電解メッキできる状態となった。
【0075】
22ガロンの浴中に(基板、ケイ素含有層、NiCrタイ層及びCuシード層を格納する)フィルムを置くことによって電解メッキを実施した。浴は、空気攪拌された溶液を格納し、同じく銅−燐ナゲットの入ったバスケットを格納していた。溶液は、18重量%のHSO、23重量%のCuSo・5HO、マサチューセッツ州マールボロのローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ社(Rohm and Haas Electronic Materials Co.)からCopper Gleam CLX添加剤として市販されている2重量%の担体/光沢剤溶液及びローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ社から市販されている2重量%のPPR担体を含んでいた。浴は、ダイナトロニクス・インクから市販されている、ダイナトロニクス(DYNATRONIX)型式PMC104/PR−20−60プログラマブル電源からの200アンペア/平方メートル(20アンペア/平方フィート)の電流密度で充電された。フィルムは、24.1〜25.4センチメートル(9.5〜10インチ)のメッキ距離で43分間浴中に存在していた。浴から除去した時点で、フィルムはいつでも回路化(すなわちパターン化)できる状態にあった。
【0076】
回路化方法
ドラム電極製造方法及び平坦電極製造方法に従って製造したフィルムを、回路形成のための以下の手順に従ってパターン化した。導電層の表面及び基板の底面上にカリフォルニア州エルセガンド(El Segundo,CA)のウエスタン・マグナム(Western Magnum)から市販されているXRL−120Aホットローラーラミネータ(Hot Roller Laminator)を用いてフォトレジストを形成した。45.7センチメートル/分(1.5フィート/分)のライン速度でラミネータを通過してフィルムを補給した。積層温度は127℃(260°F)であり、積層圧力は414キロパスカル(60ポンド/平方インチ)であった。フォトレジストは、ポリエチレンライナー、ポリ(メチルメタクリラート)フォトレジスト層及びポリエステルカバーシートを格納し、アクアーマー(Aqua−Mer)SF320ドライフィルムフォトレジストという商品名でコネチカット州ウォーターベリー(Waterbury,CT)のマクダーミット・インク(MacDermid Inc.)から市販されている。積層に先立ち、ポリエチレンライナー及びポリエステルカバーシートをフォトレジスト層から除去した。
【0077】
次に、マスクを通して15秒間の15ミリワット/平方センチメートルのUV放射線露光により、導電層上に形成されたフォトレジストを架橋させた。基板上に形成されたフォトレジストを、15秒間15ミリワット/平方センチメートルのUV放射線のフラッド露光により架橋させた。UV放射線は、カリフォルニア州サンノゼ(San Jose,CA)のJBAアソシエーツ(Associates)から市販されている500ワットの短アーク水銀ランプの備わったJBA紫外線露光システム(商品名称)により提供された。フォトレジストは、フロリダ州クリアウォーター(Clearwater,FL)のアイドシャン・エンジニアリング・インク(Eidschun Engineering、Inc.)から市販されているASI型式TT−24(商品名称)スプレー現像装置を用いて現像された。現像速度は27.4センチメートル/分(0.9フィート/分)であり、現像温度は29.4℃(85°F)であり、現像液浴は0.85重量%のKCOを含み、スプレー圧力は172キロパスカル(25ポンド/平方インチ)であった。
【0078】
次に、スプレー圧172キロパスカル(25ポンド/平方インチ)、浴速度9.1センチメートル/分(0.3フィート/分)で43℃(110°F)に維持されたエッチ浴を伴うTT−24型スプレー現像装置を用いて、Cu層をエッチングした。浴は、10.0重量%のHSO及び2.0〜3.0重量%のHを含んでいた。エッチング後に、フォトレジストを、25℃に維持された溶液で除去した。該溶液は、イリノイ州アイタスカ(Itasca,IL)のトーヨン・テクノロジーズ(Toryon Technologies)から市販されているレジストストリッパ(Resist Stripper)S−8044i(商品名称)50%とDI水50%を含んでいる。
【0079】
次に、フィルムからFEC製品を個別にカットしマルチメータで短絡についてチェックした。その後、FEC製品を2分間NiCrエッチ溶液内に個別に置き、NiCrタイ層をエッチングした。100ミリリットルの水中に4.0グラムのKOH及び2.5グラムのKMnOを溶解させ、57℃(137°F)まで加熱することにより、NiCrエッチ溶液を調整した。NiCrエッチ溶液からの除去の後、FEC製品をDI水で洗い流し、1分間10.0重量%のHSO溶液中に置いてNiCrエッチ溶液を中和した。FEC製品を再び1分間DI水で洗い流し、窒素ガスでブロー乾燥した。
【0080】
初期剥離強度試験
FEC製品の剥離強度(すなわち層間接着強度)を、FEC製品の製造後に以下の手順に従って定量的に測定した。ミネソタ州セントポール(St.Paul,MN)のスリーエム・カンパニー(3M Company)から市販されているスコッチ(SCOTCH)永久両面テープ(Permanent Double Stick Tape)を用いてガラススライド上にFEC製品の試料を置いた。試料の3つのトレースを2〜4ミリメートルまで部分的に剥離させて、剥離を開始した。試料を伴うガラススライドを、マサチューセッツ州カントン(Canton,MA)のインストロン・コーポレーション(Instron Corporation)から市販されているインストロン(INSTRON)試験機器(Test Equipement)型式5567上に取り付けた。クリップを10グラムのロードセル及び試料のトレースの1つに接続する。剥離角度が90+/−10度となるように試料を位置づけした。その後基板に対する導電性トレース層の剥離強度を、1.27センチメートル/分(0.5インチ/分)のクロスヘッド速度で測定した。負荷重量が実質的に一定となった時点で剥離強度を記録した。最初に剥離された2つの残りのトレースで、試験をくり返した。本書に作表されている結果は、3回の試験ランの平均である。
【0081】
250℃、1時間の剥離強度試験
FEC製品の剥離強度を、FEC製品の製造後に上述の初期剥離強度試験に従って定量的に測定し、1時間250℃のオーブン内に置いた。こうして、高温に対する曝露の後のFEC製品の安定性が試験された。
【0082】
150℃、200時間の剥離強度試験
FEC製品の剥離強度を、FEC製品の製造後に上述の初期剥離強度試験に従って定量的に測定し、200時間150℃のオーブン内に置いた。こうして、長時間にわたる熱に対する曝露の後のFEC製品の安定性が試験された。
【0083】
はんだリフローの剥離強度試験
FEC製品の剥離強度を、FEC製品の製造後に上述の初期剥離強度試験に従って定量的に測定し、窒素ガス循環を伴うはんだリフローオーブン内に置いた。はんだリフローは、プリント回路板に対し電子コンポーネントを付着させる広く受入れられた方法である。従って、本発明のFEC製品は望ましくは、はんだリフロー条件に対する曝露した場合も優れた安定性を示す。
【0084】
絶縁抵抗試験
FEC製品の絶縁抵抗を、以下の手順を用いて定量的に測定した。2ミリメートルの厚みで、各々のFEC製品の50×50ミリメートルの正方形の試料を作製した。25℃及び大気圧でトレースを横断して100ボルトのDC電圧を誘導させた。結果として得られた電流をピコアンメータで測定した。電圧及び結果として得られた電流から表面抵抗を計算した。FEC製品の該正方形内のトレース数とアスペクト比の積で表面抵抗を除することにより、シート抵抗(オーム/正方形)を計算した。
【0085】
本発明のFEC製品は望ましくはプラズマ蒸着の後優れた絶縁抵抗を保持する。低い絶縁抵抗は、特にファインピッチ利用分野において、トレース間の漏れ電流に起因してFEC製品の性能にとって不利である可能性がある。
【実施例】
【0086】
本発明の範囲内で当業者にとって数多くの修正及び変形形態が明らかになると思われることから単なる例示として意図されている以下の実施例の中で、さらに詳細に本発明について記述する。別途指摘がある場合を除き、以下の例に報告されている全ての部分量、百分率及び比率は、原子百分率をベースとしており、実施例中で使用される全ての試薬は、以下で記述する化学物質供給業者から得たものであるか又は入手可能なものであり、そうでなければ、従来の技術で合成可能である。
【0087】
以下の組成上の略語が、以下の実施例において使用されている:
「ポリイミド」:デラウエア州ウィルミントン(Wilmington,DE)のE.I.デュポン・ド・ヌムール社(DuPont de Nemours Co.)からカプトン(KAPTON)Eポリイミドフィルムの商品名称で市販されているポリイミドフィルム
「TMS」:ミズーリ州セントルイス(Saint Louis,MO)のシグマ・アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Sigma−Aldrich Chemical Company)から市販されているNMR等級のテトラメチルシラン(Si(CH
「アルゴン」:シグマ・アルドリッチ・ケミカル・カンパニーから市販されている超高純度アルゴンガス
「酸素」:シグマア・アルドリッチ・ケミカル・カンパニーから市販されている超高純度酸素ガス
「窒素」:シグマ・アルドリッチ・ケミカル・カンパニーから市販されている超高純度窒素ガス
【0088】
実施例1〜15及び比較例A〜C
実施例1〜15は、プラズマ蒸着の曝露時間及びRF電力が表1に示されている通りに変動させられたという点を除いて、上述の通りの「ドラム電極製造方法」及び「回路化方法」に従って調整された本発明のFEC製品である。表1は、実施例1〜15のFEC製品を製造するためにプラズマ蒸着中に使用される曝露時間、RF電力、気体流量を提供している。
【0089】
表1

【0090】
比較例Aは、以下の点を除いて、上述の通りの「ドラム電極製造方法」及び「回路化方法」に従って調整された。酸素グロー放電デバイスは、500sccmの流量でチャンバに対し酸素を提供するドラム電極の環状表面に隣接して組立てられた(いかなるTMSも存在しなかった)。ドラム電極は3000ボルト及び26ミリアンペアの電流で電力供給された。こうして、5ミリトールの動作圧力が生成された。ポリイミド基板フィルムは61センチメートル/分(2フィート/分)の速度でドラム電極のまわりに補給された。
【0091】
「初期剥離強度試験」、「250℃、1時間の剥離強度試験」及び「150℃、200時間の剥離強度試験」に従って、実施例1〜15及び比較例AのFEC製品を試験した。表2は、実施例1〜4及び比較例AのFEC製品についての剥離強度結果を提供し、表3は実施例5〜10及び比較例AのFEC製品についての剥離強度結果を提供し、表4は実施例11〜15及び比較例AのFEC製品についての剥離強度結果を提供している。
【0092】
表2

【0093】
表3

【0094】
表4

【0095】
表2〜4のデータは、本発明のFEC製品内のプラズマ蒸着されたケイ素含有層のメリットを例示している。一般的に、実施例1−15のFEC製品は、優れた初期層間接着及び加熱条件に曝露した後の優れた安定性の組合せを示した。相対的に、比較実施例AのFEC製品は加熱条件に暴露したあと、安定性の著しい減少を示した。かくして本発明のFEC製品は、FEC製品が長期間にわたり熱に付される可能性があるさまざまな利用分野で使用するために適している。
【0096】
表3及び4のデータは同様に、ケイ素含有層が過度に厚い場合に本発明のFEC製品の層間接着が削減されるということをも例示している。このことは、実施例10及び15のFEC製品についても示されている。実施例10のFEC製品は、180sccmのTMS流量(その他の気体は全く存在せず)及び8秒の曝露時間で製造された。同様にして、実施例15のFEC製品は、180sccmのTMS流量、170sccmの窒素流量及び20秒の曝露時間で製造された。上述の通り、プラズマ蒸着の程度は、気体の組成及び曝露時間といったようなさまざまなプロセス要因によって左右され得る。気体が高濃度のTMSを含み、曝露時間が長い場合、基板上にはより大量のイオンが被着し、ケイ素含有層の厚みを増大させる。実施例10及び15のFEC製品は、比較的厚いケイ素含有層がFEC製品の層内接着を低減させ得るということを示している。
【0097】
実施例16〜23及び比較例B〜M
実施例16〜23は、プラズマ蒸着の圧力、ライン速度、RF電力、DCバイアス、及びアンペア数が表5示されている通りに変動させられたという点を除いて、上述の通りの「平坦電極製造方法」、及び「回路化方法」に従って調整された本発明のFEC製品である。チャンバには、178sccmの気体流量でTMSが、又181sccmの気体流量で酸素が充填されている。表5は、実施例16−23のFEC製品を製造するためにプラズマ蒸着中に用いられるIR加熱温度、ライン速度、RF電力、DCバイアス及びアンペア数を提供している。
【0098】
表5

【0099】
比較例D〜Oは、気体がアルゴンのみを含有していたこと(TMS無し)及びプラズマ蒸着の圧力、ライン速度、RF電力、DCバイアス及びアンペア数が表6に示されている通りに変動させられたという点を除いて、上述の通りの「平坦電極製造方法」及び「回路化方法」に従って調整されたFEC製品である。表6は、比較例B〜MのFEC製品を製造するためにプラズマ蒸着中に用いられるアルゴン流量、圧力、IR加熱温度、ライン速度、RF電力、DCバイアス及びアンペア数を提供している。
【0100】
表6

【0101】
実施例16〜23及び比較例B〜MのFEC製品は、「初期剥離強度試験」、「250℃、1時間の剥離強度試験」及び「はんだリフロー剥離強度試験」に従って試験された。表7は、実施例16〜23及び比較例B〜MのFEC製品についての剥離強度結果を提供している。
【0102】
表7

【0103】
表7に提供されているデータはさらに、実施例16〜23のFEC製品が優れた初期層間接着及び加熱条件及びはんだリフローに対する曝露後の優れた安定性の組合せを示したことを例示している。これに比較して、比較例B〜MのFEC製品は、加熱条件及びはんだリフローオーブンに対する曝露後の安定性の著しい低下を示した。かくして、本発明のFEC製品は、FEC製品が熱に付される可能性のあるさまざまな利用分野において使用するのに適している。その上、本発明のFEC製品は同様に、はんだリフロー中に優れた安定性を示し、本発明のFEC製品が著しい不利な影響無く回路板などにしっかりと固定され得るようにしている。
【0104】
実施例24〜44
実施例24〜44は、圧力、曝露時間及びRF電力が表8に示されている通りに変動されたという点を除いて、上述の通りの「平坦電極製造方法」及び「回路方法」に従って調整された本発明のFEC製品である。チャンバは同様に、変動する体積気体流量比のTMS/酸素が充填された。実施例22〜24のFEC製品を製造し試験して、層間接着及び安定性に対しプロセス変数の改変がどのような効果をもたらすかを判定した。表は、実施例24〜44のFEC製品を製造するためにプラズマ蒸着中に使用されるTMS/酸素の体積気体流量比、圧力、曝露時間及びRF電力を提供している。
【0105】
表8

【0106】
実施例24〜44のFEC製品を、「初期剥離強度試験」、「250℃、1時間の剥離強度試験」、及び「150℃、200時間の剥離強度試験に従って試験した。表9は、実施例24〜44のFEC製品についての剥離強度結果を提供している。
【0107】
表9

【0108】
表9に提供されているデータは、プロセス変数の複数の組合せが、優れた初期層間接着と加熱条件に対する曝露後の優れた安定性の組合せを提供するということを例示している(例えば実施例24、25,31,34,35,37,39及び41のFEC製品)。これは、優れた初期層間接着及び加熱条件に対する曝露後の優れた安定性を提供するケイ素含有層を得るためのプロセスウインドウが比較的広いものであるということを実証している。
【0109】
実施例45〜56
実施例45〜56は、RF電力が表10に示されている通りに変動させられ各々のFEC製品についての曝露時間が30秒であったという点を除いて、上述の通りの平坦電極製造方法(ただし回路化方法ではない)に従って調整されたFEC製品である。実施例45−56のFEC製品は、ケイ素含有層内に存在する酸素、炭素及びケイ素の実際の濃度を検査する一助となるように、調整され試験された。分析され得る充分に厚い層を得るために30秒の曝露時間を使用した。表10は、実施例45−56のFEC製品を製造するためにプラズマ蒸着中に用いられるTMS及び酸素の気体流量、圧力及びRF電力を提供している。表11は、化学分析用電子分光法(ESCA)で分析される通りの実施例45〜56のFEC製品のケイ素含有層の中に存在する酸素、炭素及びケイ素の濃度を提供している。
【0110】
表10

【0111】
表11

【0112】
表11中のデータは、実施例45〜56のFEC製品のケイ素含有層内に存在する酸素、炭素及びケイ素の濃度に対する処理変数の影響を例示している。特に、データは、本発明のFEC製品のケイ素含有層中の酸素/TMS比が、RF電力の増大、チャンバ圧力の増大及び/又はTMS/酸素体積流量比の減少によって増加し得る、ということを例示している。
【0113】
実施例57〜59及び比較例N及びO
実施例57〜59は、上述されている通りの「平坦電極製造方法」及び「回路化方法」に従って調整された本発明のFEC製品である。実施例57のFEC製品は、180sccmのTMS流量及び170sccmのアルゴン流量で製造された。実施例58のFEC製品は、180sccmのTMS流量及び170sccmの酸素流量で製造された。実施例59のFEC製品は、80sccmのTMS流量、320sccmの酸素流量で製造された。
【0114】
比較例NのFEC製品は、プラズマ蒸着又は回路化に付されなかったポリイミド基板であり、プラズマ蒸着により絶縁抵抗がいかに影響されるかを比較するための基準線を提供している。比較例OのFEC製品は、170sccmのアルゴン流量(TMSは無し)で、上述の通りの「平坦電極製造方法」及び「回路化方法」に従って調整された。
【0115】
実施例57及び58及び比較例N及びOのFEC製品を、「絶縁抵抗試験」に従って試験した。表12は、実施例57及び58及び比較例N及びOのFEC製品についての絶縁抵抗の結果を提供している。
【0116】
表12

【0117】
表12内のデータは、絶縁抵抗に関してのプラズマ蒸着されたケイ素含有層のメリットを例示している。上述の通り、比較例Nのポリイミド基板は、絶縁抵抗の基準線を提供する。表12に示されているように、実施例57及び58のFEC製品は、比較例Oに比べてより高い絶縁抵抗レベルを保持している。TMS無しのアルゴンプラズマ処理が、比較例Oのポリイミド基板の表面を黒鉛化した可能性があると考えられている。
【0118】
付加的に、表12のデータは、TMSと酸素を用いた実施例58のFEC製品が、比較例Nのポリイミド基板との関係においていかなる絶縁抵抗も実質的に失なわなかったということを示している。従って、優れた層間接着及び安定性を示すことに加えて、本発明のFEC製品は同様に優れた絶縁抵抗をも示す。このため、トレース間に漏れ電流が存在する確率は減少する。
【0119】
実施例59のFEC製品を、5つの別々の正方形(実施例59a〜59e)に分割し、85℃の温度及び85%の相対湿度にセットされたオーブン内にこれらを保持した。FEC製品を、オーブン内に保持されている間、10日間にわたり「絶縁抵抗試験」に従って数回試験した。表13は、実施例59a〜59eのFEC製品についてのシート抵抗結果(オーム/正方形)を提供している。
【0120】
表13

【0121】
表13のデータは、TMS及び酸素でプラズマ蒸着された本発明のFEC製品のシート抵抗が、10日間にわたる高い湿度及び温度条件下でさえ優れている、ということを例示している。この実施例はさらに、長時間にわたってさえ、優れた剥離強度、安定性と同様絶縁抵抗をも示す該発明のFEC製品の有用性についてさらに例示している。
【0122】
本発明について好ましい実施形態を基準にして記述してきたが、当業者であれば、該発明の精神及び範囲から逸脱することなく形態及び細部に変更を加えることができるということを認識することだろう。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明のフレキシブル電子回路製品の第1の実施形態の断面図である。
【図2】本発明のフレキシブル電子回路製品の第2の実施形態の断面図である。
【図3】本発明のフレキシブル電子回路製品の第3の実施形態の断面図である。
【図4】本発明のフレキシブル電子回路製品の第4の実施形態の断面図である。
【図5】本発明のフレキシブル電子回路製品の第5の実施形態の断面図である。
【図6】本発明のフレキシブル電子回路製品の第6の実施形態の断面図である。
【図7】本発明のフレキシブル電子回路製品の第7の実施形態の断面図である。
【図8】本発明のフレキシブル電子回路製品の第8の実施形態の断面側面図である。
【図9】本発明のフレキシブル電子回路製品の製造用システムの概略的側面図である。
【図10】本発明のフレキシブル電子回路製品の製造のための代替的システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板上に配置され、少なくとも約10.0原子百分率のケイ素を含むプラズマ蒸着層、及び
前記プラズマ蒸着層より上に配置されたパターン化導電層、
を含む電子回路製品。
【請求項2】
前記プラズマ蒸着層が、少なくとも約20.0原子百分率のケイ素を含んでいる、請求項1に記載の電子回路製品。
【請求項3】
前記プラズマ蒸着層がさらに、前記プラズマ蒸着層の合計重量を基準として少なくとも約15.0原子百分率の酸素を含んでいる、請求項1に記載の電子回路製品。
【請求項4】
前記プラズマ蒸着層がさらに、少なくとも約25.0原子百分率の酸素を含んでいる、請求項3に記載の電子回路製品。
【請求項5】
前記プラズマ蒸着層が、約0.5ナノメートルから約10.0ナノメートルの範囲の厚みを有する、請求項1に記載の電子回路製品。
【請求項6】
前記厚みが約1.0ナノメートル〜約5.0ナノメートルである、請求項5に記載の電子回路製品。
【請求項7】
前記プラズマ蒸着層が、有機ケイ素化合物を少なくとも約50.0原子百分率含む気体から誘導されている、請求項1に記載の電子回路製品。
【請求項8】
前記有機ケイ素化合物がテトラメチルシランを含む、請求項7に記載の電子回路製品。
【請求項9】
前記気体がさらに、酸素、アルゴン、窒素、アンモニア及び水素のうちの1つ以上を含んでいる、請求項7に記載の電子回路製品。
【請求項10】
前記プラズマ蒸着層と前記パターン化導電層との間に配置された金属タイ層をさらに含む、請求項1に記載の電子回路製品。
【請求項11】
ポリイミド基板、
前記ポリイミド基板上に配置され、少なくとも約50.0原子百分率の有機ケイ素化合物を含む気体から誘導されているプラズマ蒸着層、
及び前記プラズマ蒸着層より上に配置されたパターン化導電層、
を含む電子回路製品。
【請求項12】
前記有機ケイ素化合物がテトラメチルシランを含む、請求項11に記載の電子回路製品。
【請求項13】
前記気体がさらに、酸素、アルゴン、窒素、アンモニア及び水素のうちの1つ以上を含んでいる、請求項11に記載の電子回路製品。
【請求項14】
前記プラズマ蒸着層が、約0.5ナノメートルから約10.0ナノメートルの範囲の厚みを有する、請求項11に記載の電子回路製品。
【請求項15】
前記厚みが約1.0ナノメートル〜約5.0ナノメートルである、請求項11に記載の電子回路製品。
【請求項16】
プラズマ蒸着により基板上にケイ素含有層を形成させる工程、
前記ケイ素含有層より上に導電性材料の層を被着させる工程、及び
前記導電性材料層をパターン化する工程、
を含む、電子回路製品の形成方法。
【請求項17】
前記ケイ素含有を形成させる工程が、有機ケイ素化合物を含む気体をイオン化する工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記有機ケイ素化合物がテトラメチルシランを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機ケイ素化合物が、前記気体の合計原子を基準として、前記気体の少なくとも約50.0原子百分率を構成している、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記気体がさらに、酸素、アルゴン、窒素、アンモニア及び水素のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記導電性材料層をパターン化する工程が、フォトリソグラフィにより前記導電性材料層をエッチングする工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記ケイ素含有層上に金属タイ層を被着させる工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
約0.5ナノメートルから約10.0ナノメートルまでの範囲の厚みを有する前記ケイ素含有層を提供するのに有効な曝露時間、前記基板をプラズマに対し曝露する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
約1.0ナノメートルから約5.0ナノメートルまでの範囲の厚みを有する前記ケイ素含有層を提供するのに有効な曝露時間、前記基板をプラズマに対し曝露する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2008−526019(P2008−526019A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548229(P2007−548229)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/041827
【国際公開番号】WO2006/068741
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】