説明

フロントアクスル支持用治具

【課題】フロントアクスルFAを自動車ボディーBへ取付けた後に、自動的にフロントアクスルFAから離れて支持を解除すると共に、下降時にフロントアクスルFAと干渉しない治具を提供する。
【解決手段】フロントアクスルFAを立てた状態で支持可能な治具であり、車軸の前側に位置する基台部2と、基台固定部と回動自在に軸支されるフロントアクスル外れ止めアーム3と、外れ止めアーム3の回動端に回動自在に取付けるフロントアクスル外れ止めプレート5とから構成する。
フロントアクスル外れ止めアーム3は、フロントアクスルFA支持状態では略水平に位置し、非支持状態では略垂直に位置するように回動する。
フロントアクスル外れ止めアーム3には、基台部2との間で補助力を作用させるアーム逃がし用ダンパーを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車組み立て工場において、自動車ボディーにエンジンユニットを組み付ける際にエンジン搭載治具と共に用いるフロントアクスル支持用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車組み立て工場では、自動車の組立は各工程が流れ作業で行われている。そして、その工程の一つに自動車ボディーにエンジンを組み付ける工程がある。
それぞれ別工程で仕上げられてきた自動車ボディーと、自動車のエンジンユニットとが、組み付け工程に搬送されて来る。自動車ボディーは吊り下げられるように、下方に間隙を持って搬送され、エンジンユニットは治具パレットに載置されて搬送される。エンジンユニットは、FF車の場合フロント車軸やフロントアクスルがエンジンに一体的に組み付けられたものであり、自動車ボディーのエンジンルーム及びタイヤハウスに組み付けられる。
【0003】
エンジンユニットは、自動車ボディー下方から上昇されて位置され、エンジン本体は自動車ボディーに設けるエンジンルームの所定位置となるように位置され、フロント車軸やフロントアクスルはタイヤハウスに位置される。そして、エンジン本体はエンジンルームの中へ下方から挿入されて各固定箇所がボルトによって固定される。また、エンジン本体から伸びるフロント車軸はフロントタイヤハウスに位置される。同様に、前輪を自動車ボディーに固定し前輪の路面からの振動緩和等を行うフロントアクスル及びアブソーバーは、基部がフロント車軸側で回動自在に支持されており回動先端側が自在に回動してしまうので、先端側がフロントアクスル治具によって上方へ位置されて軸支されている。
【0004】
この状態では、エンジンを下方から自動車ボディーへ組み付けた際に、フロントアクスル治具による支持によってフロントアクスル先端が、自動車ボディーのタイヤハウス上部に設けたフロントアクスル固定部に位置され、作業者によって該取付け位置にてフロントアクスルが固定される。これにより前輪を取付けるフロント車軸も支持される。
【0005】
フロントアクスルを自動車ボディーへ組み付ける際には、フロントアクスルが回動自在であるため先端位置を位置決めして支持可能なフロントアクスル治具が必須であった。
【0006】
このフロントアクスル治具は、フロントアクスルを組み付ける際には、下方からフロントアクスル回動側を支持するので、下方からフロント車軸及びフロントブレーキユニットと共に上昇していくので、組み付け作業の邪魔にはならない。
そしてフロントアクスルを自動車ボディーに組み付けた後には、エンジン及びフロント車軸、フロントアクスル等を載置していたリフト式のエンジン支持治具及びフロントアクスル治具が自動車ボディーから下降し、エンジン等の部品を自動車ボディーに組み付け置いて該治具のみが下方へと移動することとなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、エンジン等の部品を自動車ボディーへ組み付け置いた状態で下降してくると、エンジンが載置されていたエンジン支持治具は単に下方へ抜けるだけで済むが、フロントアクスル治具は、フロントアクスルがフロント車軸及びフロントブレーキユニットの上部に位置している関係から、下降時にフロント車軸やフロントブレーキユニットと干渉してしまうので、フロントアクスル治具を可動式にして作業者がフロントアクスルから取外しフロント車軸等の後方あるいは前方に回動させてから下降させる必要が生じ、作業者の手作業によるフロントアクスル治具の回動操作が必須となり、フロントアクスルの組み付け作業に余分な時間を要するという問題点を有した。
更に、フロントアクスルからフロントアクスル治具を取外すためには、フロントアクスル治具が有る程度下降した瞬間に行わないと、フロントアクスルのばね力が加わっているので容易に外すことが出来ず、注意を要するばかりか作業時の怪我を招く原因ともなるという問題点を有した。
【0008】
そこでこの発明は、上記問題点に鑑み、フロントアクスル治具が下方へ移動する際に自動的にフロント車軸、フロントブレーキユニットを避けて下降可能とさせたフロントアクスル治具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、フロントアクスル治具下降時の退避動作を自動化させるために、
【0010】
エンジンユニットが載置されるエンジン支持プレートを自動車ボディー下方から自動車ボディー側へ上昇させて自動車ボディーの所定位置にエンジンユニットを位置させ、エンジンユニットを自動車ボディーに固定した後にエンジン支持プレートを下降させるエンジン搭載工程で用いエンジン支持プレートに固定してフロントアクスルを支持可能な治具であって、
一端がエンジン支持プレートに載置されるエンジンユニットの車軸の前後何れかの側部に位置されて固定される基台部と、一端を基台部に回動自在に軸支されるフロントアクスル外れ止めアームと、中間部がフロントアクスル外れ止めアームの回動端に回動自在に軸支されるフロントアクスル外れ止めプレートと、フロントアクスル外れ止めアームの回動端側と基台部との間に設けられ、フロントアクスル外れ止めアームを付勢可能なアーム逃がし用ダンパーとからなり、
フロントアクスル外れ止めアームは、フロントアクスル支持時には回動端が車軸の略上部に位置して支持状態をとり、フロントアクスルを支持していない状態時には基台部の設置された側の車軸と干渉しない非支持状態をとり、
アーム逃がし用ダンパーは、フロントアクスル外れ止めアームを常に非支持状態となるように付勢し、
フロントアクスル外れ止めプレートは、フロントアクスル支持時には略水平に位置されて支持状態をとり、フロントアクスルの支持終了時には自重により中間部を軸に回動して略垂直に位置されて非支持状態をとり、
エンジンユニットを自動車ボディーに搭載して後にエンジン支持プレートと共に下降すると、フロントアクスル外れ止めプレートがフロントアクスルから離れて略垂直となるように回動し、フロントアクスル外れ止めアームが逃がし用ダンパーの付勢力により非支持状態となるように回動され、フロントアクスル外れ止めアーム及びフロントアクスル外れ止めプレートが車軸と干渉しない位置となることを特徴とするフロントアクスル支持用治具、
【0011】
を提供する。フロントアクスル支持用治具は、エンジンユニットをエンジン支持プレートに載置する際に、フロントアクスルを自動車ボディー搭載時の所定位置となるように移動させておき、フロントアクスル支持用治具のフロントアクスル外れ止めアームをアーム逃がし用ダンパーの付勢力に抗して回動させると共にフロントアクスル外れ止めプレートを略水平方向となるように回動させ、フロントアクスルをフロントアクスル外れ止めプレート上に載置してフロントアクスルを該位置に支持固定させる。この時、該プレート及び該アームはフロントアクスルの自重により下方へ付勢されることとなり、該アームがアーム逃がし用ダンパーの付勢力により回動することはない。
フロントアクスルをフロントアクスル支持用治具によって支持した状態でエンジン支持プレートを上方へ移動させ、上方に位置されている自動車ボディーのエンジンルームへ位置させるとフロントアクスルも自動車ボディーのタイヤハウス上部にフロントアクスル先端が位置されることとなる。
エンジンユニットが所定位置へ移動された状態で、エンジンユニットを自動車ボディーへ固定する。フロントアクスルもタイヤハウス上部に所定の方法で固定される。
【0012】
エンジンユニットが自動車ボディーへ固定されたことを受け、エンジン支持プレートが下降される。するとフロントアクスル支持用治具もこれと共に下方へ移動されることとなる。
フロントアクスル支持用治具が下方へ移動され始めるとフロントアクスル外れ止めプレートがフロントアクスルの支持位置から離れ、フリーで移動可能となり、フロントアクスル外れ止めアームとの回動軸を中心に回動し、略垂直な状態である非支持状態へと移動する。
同様にフロントアクスル外れ止めアームも、フロントアクスルによる支持位置への付勢が解除されるので、アーム逃がし用ダンパーの付勢力により非支持状態へと移動するように回動される。
【0013】
その結果、フロントアクスル外れ止めアーム及びフロントアクスル外れ止めプレートは、フロント車軸に対し基台部が固定されている側へと回動移動するので、エンジン支持プレートが下方に移動した際に、フロントアクスル外れ止めアーム及びフロントアクスル外れ止めプレートがフロント車軸あるいはフロントブレーキユニットと干渉せずに下方へ移動する。
【発明の効果】
【0014】
従ってこの発明によれば、フロントアクスルを支持しているフロントアクスル支持用治具が、フロントアクスルの支持を終了して下方へ移動されると、フロントアクスル支持用治具自身によってフロント車軸やフロントブレーキユニットと干渉しない位置へと移動可能なので、作業者によるフロントアクスル支持用治具の干渉回避動作を必要とせず、自動化が行え自動車ボディーへのフロントアクスルの取付け作業に無駄な時間を要せず作業を効率化できるという効果を有する。
【実施例1】
【0015】
以下に、この発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は、この発明を実施した状態を表す斜視説明図であり、図2はこの発明の実施例を表す平面説明図であり、図3はこの発明の実施例を表す正面説明図であり、図4はこの発明の実施例を表す側面説明図であり、図5はこの発明の実施例が支持解除した状態を表す側面説明図であり、図6はエンジンユニットを車体に搭載前の状態を表す側面説明図であり、図7はエンジンユニットを車体に位置させて固定した状態を表す側面説明図であり、図8はエンジンユニットを車体に位置させて後の状態を表す側面説明図であり、図9はエンジンユニットを車体に取付けて下降した状態を表す説明図である。
【0016】
1はフロントアクスル支持用治具である。フロントアクスル支持用治具1は、エンジンユニットEが載置されるエンジン支持プレートEPに設ける。エンジン支持プレートEPは、従来同様であり、エンジンユニットEの形状に合わせ、エンジンユニットEを載置支持可能な形状をなす。
フロントアクスル支持用治具1は、このエンジン支持プレートEPに載置されたエンジンユニットEに有るフロントアクスルFAを支持可能に、エンジン支持プレートEP上の所定位置に固定される。エンジン支持プレートEPは、複数の車種に対応可能とするために、フロントアクスル支持用治具1を固定する固定部(図示せず)が、長孔形状等のボルト係止孔等から形成して、フロントアクスル支持用治具1の固定位置を適宜変更可能にしてある。
以下にフロントアクスル支持用治具1の詳細を説明する。フロントアクスル支持用治具1は、図1や図8に表すように、基台部2を備える。この基台部2は、エンジン支持プレートEPに載置されるエンジンユニットEの搭載位置で、エンジンユニットEのフロントアクスルFA後方側に載置固定される。基台部2は、エンジン支持プレートEP上に固定される基台部本体21と、基台部本体21から上方へ立設されて基台部本体21と固定される支持柱部22とからなる。
【0017】
基台部本体21は支持柱部22とボルトナットにより強固に固定されてなる。そして基台部本体21には、フロントアクスル外れ止めアーム3が回動自在に係止される。一方、支持柱部22には、一端がフロントアクスル外れ止めアーム3に回動自在に係止されてフロントアクスル外れ止めアーム3の回動を補助するアーム逃がし用ダンパ4の他端が固定される。従って、フロントアクスル外れ止めアーム3は、基台部本体21に回動自在に軸支されてその回動は支持柱部22との間でアーム逃がし用ダンパ4により補助される。
【0018】
フロントアクスル外れ止めアーム3(以下、単に外れ止めアーム3という。)は、各図に表すように、へ字状に折曲した強固な板状体でありフロントアクスルFAを支持可能な強度を持つ。そして、一端が回動軸31を形成して基台部本体21に回動自在に係止される。また、外れ止めアーム3は 回動軸と反対の端部に外れ止めプレート5を回動自在に取付けられている。
【0019】
フロントアクスル外れ止めプレート5(以下、単に外れ止めプレート5という。)は、フロントアクスルFAと強固な金属プレートからなり、フロントアクスル外れ止めアーム3の回動側先端で、フロントアクスルFA支持時には略水平方向に長手方向を向けて位置し、上面がフロントアクスルFAの支持部FA1を支持可能な形状に形成される。また、外れ止めプレート5は、重心から偏心させた位置を回動中心となるように外れ止めアーム3に回動自在に係止される。そして、外れ止めプレート5は、回動中心となるプレート軸51の偏心により、フロントアクスルFAの支持部FA1を外れ止めプレート5が支持していないときには、自身の自重により長手方向が略垂直となるまで自然と回動するように形成されている。この自重による回動方向は、前方へ首を垂れるように回動させる。このように外れ止めプレート5が自重により前方へ自動的に回動することで、フロントアクスルFAを支持している支持状態から非支持状態へと移る際に、外れ止めプレート5がフロントアクスルFAに引っ掛かってしまい、支持状態から非支持状態への移行を妨げることを防止している。
【0020】
上記のように形成する外れ止めアーム3及び外れ止めプレート5は、フロントアクスルFAの支持部FA1が外れ止めプレート5上に載置された支持状態では、フロントアクスルFAの車両後方側に位置している基台部2から回動した状態のフロントアクスルFA上方に位置している。
また、フロントアクスルFAを支持していない非支持状態では、外れ止めアーム3はアーム逃がし用ダンパ4の一端が回動自在に設けられているので、アーム逃がし用ダンパ4の補助力が支持柱部22との間で伸張方向に働き、このアーム逃がし用ダンパ4の補助力によって非支持状態を維持可能である。
そして、外れ止めアーム3が支持部FA1を支持している支持状態では該アーム逃がし用ダンパ4の補助力は非支持状態へ戻るよう回動させる方向に働いているが、フロントアクスルFAの自重により外れ止めアーム3は回動せずに支持状態を維持することが出来る。支持状態からフロントアクスル支持用治具1が下方へ移動する等して支持部FA1の支持を解除した時には、アーム逃がし用ダンパ4の補助力が作用して外れ止めアーム3は外れ止めプレート5と共に非支持状態へと回動移動されるように形成されている。
【0021】
外れ止めアーム3は、フロントアクスルFAを支持している支持状態の時に、該支持位置より非支持位置とは反対方向へ回動しないようにする機構は、アーム逃がし用ダンパ4が縮短した状態で固定するようにしても良く、また、アーム逃がし用ダンパ4にフロントアクスルFAの自重により回動しようとする力が加わらないように外れ止めアーム3の回動角度を、外れ止めアーム3及び支持柱部22に係止片を設ける等して回動を抑制しても良く、適宜方法をとればよい。
【0022】
以下に、フロントアクスル支持用治具1の作用を説明する。
図6は、エンジンユニットEがエンジン支持プレートEP上に載置され、自動車ボディーBの下方に位置されているエンジンユニットE搭載前状態を表している。
この状態では、エンジンユニットEのフロントアクスルFAは、フロントアクスル支持用治具1の外れ止めプレート5上に支持されて略垂直の方向に有る。フロントアクスルFAはフロント車軸と回動自在なので、フロントアクスル支持用治具1によって支持されていない場合には倒れてしまい、自動車ボディーBに組み付ける際に支持部FA1を上方へ回動させて自動車ボディーBへ組み付ける所定の位置へ持っていかなければならない。従って、フロントアクスル支持用治具1は、エンジンユニットEを自動車ボディーBへ組み付ける作業の際に、フロントアクスルFAが自由に回動せず所定の位置に有るように固定している。フロントアクスル支持用治具1は、フロントアクスルFAを支持させる際には、作業者が外れ止めアーム3及び外れ止めプレート5を所定位置へ移動させてフロントアクスルFAを支持させる。
【0023】
エンジンユニットE組み付け工程では、フロントアクスル支持用治具1がフロントアクスルFAを支持した状態でエンジン支持プレートEPを上方へ移動させる。この移動は昇降装置により行われるが、通常の組み付け作業にて行われているものと何ら変わりないので詳細な説明は省略する。
エンジン支持プレートEPが上方へ移動すると、やがて図7に表す状態となる。この状態では、エンジンユニットEの本体は、自動車ボディーBのエンジンルーム内へ収められ、図7に表すように、タイヤハウスの下方から若干見えている程度となる。一方フロントアクスルFAは、タイヤハウス内へ収められる。そしてフロントアクスルFAの支持部FA1側の端部が、自動車ボディーBのタイヤハウス上部の所定位置へと移動されている。
図7に表す状態で、エンジンユニットE本体の所定箇所及びフロントアクスルFAの所定箇所が自動車ボディーBと固定されて組み付けられることとなる。
【0024】
やがて、図7に表す状態で組み付け作業が終了すると、エンジン支持プレートEPは下降を始める。この時の状態が図8に現れている。図8に表す状態では、エンジン支持プレートEPが下降するとこれに伴いフロントアクスル支持用治具1も下降する。
すると、フロントアクスル支持用治具1は、フロントアクスルFAが自動車ボディーBに組み付けられているのでフロントアクスルFAから離れることとなる。即ち、下降するのに伴い外れ止めアーム3が下方へ移動するとフロントアクスルFAの自重が係らなくなるので、アーム逃がし用ダンパ4の補助力が働いて外れ止めアーム3は非支持状態になろうとする。この移動方向が図8中に白抜き矢印Cで表す方向であり、アーム逃がし用ダンパ4の補助力が働く方向である。また、外れ止めプレート5も支持部FA1との間隔が大きくなるのに従い外れ止めプレート5の自重により前方へ回動されることとなる。この方向が図8中に黒矢印Dで表す方向であり略水平方向に位置していた外れ止めプレート5が頭を垂れるように自重により前方へ回動する。
【0025】
そして、フロントアクスル支持用治具1がフロントアクスルFAと完全に分離したときには、フロントアクスル支持用治具1の外れ止めアーム3は、非支持位置へと移動し、同様に外れ止めプレート5も非支持位置である略垂直方向にその長手方向を向けている。
この状態が図9に表す状態であり、エンジン支持プレートEPはエンジンユニットEを載置された時と同様の自動車ボディーB下方へと移動されている。
【0026】
従来のように、フロントアクスル支持用治具1が自動的に回動できない場合には、作業者がフロントアクスル支持用治具1を移動させて、エンジン支持プレートEP下降時にフロントアクスル支持用治具1のフロントアクスルFAを支持している部品がフロントアクスルFAやフロント車軸及びその周辺部品と干渉しないように移動させなければならなかったが、この実施例では、外れ止めアーム3がアーム逃がし用ダンパ4の補助力の作用により自動的に回動し、あわせて、外れ止めプレート5も自重により回動するので、フロントアクスルFAやフロント車軸及びその周辺部品と干渉しないよう移動出来る。
【0027】
尚、この実施例では詳細な説明は省略したが、エンジン支持プレートEPは種々のエンジン形状に対応可能に形成されており、エンジンユニットEの各所を支持するための支持治具(図示せず)を移動可能に形成されているが、これらの構成は従来と同様である。そして、フロントアクスル支持用治具1も、これら支持治具(図示せず)と同様にエンジン支持プレートEP上でエンジンユニットEの形状差によるフロントアクスルFA位置に合わせて移動可能に形成されている。また、フロントアクスル支持用治具1も、車種毎に異なるフロントアクスルFAの長さの差異に合わせてその高さを調整可能に形成しても良く、この場合には、外れ止めプレート5の長さを変更可能に二つの部品をボルトナットで止める等して形成すれば足りる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明は、自動車の組み立て工場や修理工場などにおいて利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明を実施した状態を表す斜視説明図
【図2】この発明の実施例を表す平面説明図
【図3】この発明の実施例を表す正面説明図
【図4】この発明の実施例を表す側面説明図
【図5】この発明の実施例が支持解除した状態を表す側面説明図
【図6】エンジンユニットを車体に搭載前の状態を表す側面説明図
【図7】エンジンユニットを車体に位置させて固定した状態を表す側面説明図
【図8】エンジンユニットを車体に位置させた後の状態を表す側面説明図
【図9】エンジンユニットを車体に取付けて下降した状態を表す説明図
【符号の説明】
【0030】
B 自動車ボディー
E エンジンユニット
FA フロントアクスル
FA1 支持部
EP エンジン支持プレート
1 フロントアクスル支持用治具
2 基台部
21 基台部本体
22 支持柱部
3 フロントアクスル外れ止めアーム
31 回動軸
4 アーム逃がし用ダンパ
5 フロントアクスル外れ止めプレート
51 プレート軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンユニットが載置されるエンジン支持プレートを自動車ボディー下方から自動車ボディー側へ上昇させて自動車ボディーの所定位置にエンジンユニットを位置させ、エンジンユニットを自動車ボディーに固定した後にエンジン支持プレートを下降させるエンジン搭載工程で用いエンジン支持プレートに固定してフロントアクスルを支持可能な治具であって、
一端がエンジン支持プレートに載置されるエンジンユニットの車軸の前後何れかの側部に位置されて固定される基台部と、一端を基台部に回動自在に軸支されるフロントアクスル外れ止めアームと、中間部がフロントアクスル外れ止めアームの回動端に回動自在に軸支されるフロントアクスル外れ止めプレートと、フロントアクスル外れ止めアームの回動端側と基台部との間に設けられ、フロントアクスル外れ止めアームを付勢可能なアーム逃がし用ダンパーとからなり、
フロントアクスル外れ止めアームは、フロントアクスル支持時には回動端が車軸の略上部に位置して支持状態をとり、フロントアクスルを支持していない状態時には基台部の設置された側の車軸と干渉しない非支持状態をとり、
アーム逃がし用ダンパーは、フロントアクスル外れ止めアームを常に非支持状態となるように付勢し、
フロントアクスル外れ止めプレートは、フロントアクスル支持時には略水平に位置されて支持状態をとり、フロントアクスルの支持終了時には自重により中間部を軸に回動して略垂直に位置されて非支持状態をとり、
エンジンユニットを自動車ボディーに搭載して後にエンジン支持プレートと共に下降すると、フロントアクスル外れ止めプレートがフロントアクスルから離れて略垂直となるように回動し、フロントアクスル外れ止めアームが逃がし用ダンパーの付勢力により非支持状態となるように回動され、フロントアクスル外れ止めアーム及びフロントアクスル外れ止めプレートが車軸と干渉しない位置となることを特徴とするフロントアクスル支持用治具。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−64647(P2010−64647A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233631(P2008−233631)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【Fターム(参考)】