説明

フロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造

【課題】剛性を十分確保でき、組み立て作業が容易で、その組み立て工数も相対的に少ない組み立て性に極めて優れたフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造を提供する。
【解決手段】本発明は、インシュレーターと、中央にはインシュレーターが挿入固定され、両側にはガイド部が突出し、後方にはスクリューが通過する締結孔が形成された締結フランジが一体に備えられたブラケットボディーと、フロントエンドモジュールキャリアにブラケットボディーが後方から前方に挿入される時、ブラケットボディーのガイド部をガイドするようにフロントエンドモジュールキャリアに備えられたガイドリブと、ブラケットボディーの締結フランジに形成された締結孔を通じて締結されるスクリューが締結されるようにフロントエンドモジュールキャリアに形成されたスクリュー締結ボスと、を含んで構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントエンドモジュールキャリアにラジエータを装着する構造に係り、より詳しくは、フロントエンドモジュールキャリアにラジエータの上側部分を固定する部分の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1と図2は、従来のフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部の構造を示すものである。アッパーマウンティングブラケット502にはラジエータ504の上側端が連結されるインシュレーター506が中央部に備えられ、インシュレーター506の外側を囲むブラケットパネル508が両側に長く突出し、図2に示すようにフロントエンドモジュールキャリア500にブラケットパネル508が接した状態でボルト510を締結して固定するようになっている。
【0003】
しかし、上記構造は、アッパーマウンティングブラケット502の大きさが多少大きく、上記のようにブラケットパネル508が両側に長く突出した構造であるため、円滑な装着性を確保するためには、このブラケットパネル508が装着される部位の近くにフロントエンドモジュールキャリア500の剛性を補強するためのリブを備えることができない構造的な限界があり、フロントエンドモジュールキャリア500の剛性低下の原因となる。
【0004】
また、上記のようにブラケットパネル508を別のガイドする部分なしに、フロントエンドモジュールキャリア500に接してボルト510孔を合わせた状態でボルト締結作業を行うことは、比較的に組み立て作業が難しく、少なくとも2ケ所以上のボルト締め作業を行わなければならないため相対的に作業工数が多い問題点がある。
【特許文献1】特開平09−249035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、フロントエンドモジュールキャリアの剛性を十分確保することができ、組み立て作業が容易で、その組み立て工数も相対的に少ない組み立て性に極めて優れたフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明のフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造は、インシュレーターと、中央には前記インシュレーターが挿入固定され、両側にはガイド部が突出し、後方にはスクリューが通過する締結孔が形成された締結フランジが一体に備えられたブラケットボディーと、 フロントエンドモジュールキャリアに前記ブラケットボディーが後方から前方に挿入される時、前記ブラケットボディーのガイド部をガイドするように前記フロントエンドモジュールキャリアに備えられたガイドリブと、前記ブラケットボディーの締結フランジに形成された締結孔を通じて締結されるスクリューが締結されるように前記フロントエンドモジュールキャリアに形成されたスクリュー締結ボスと、を含んで構成されることを特徴とする。
【0007】
前記ブラケットボディーのガイド部は、前記ブラケットボディーの前方側が後方側より狭くなっている垂直壁の形態で形成され、前記フロントエンドモジュールキャリアのガイドリブは前記ガイド部を上側と下側において共にガイドするように両側に各々上下に配置され、前記ガイドリブは前記フロントエンドモジュールキャリアに垂直に形成された補強リブから一体に突出形成されることを特徴とする。
【0008】
前記ブラケットボディーの締結フランジは前記ブラケットボディーの上側に突出形成され、前記フロントエンドモジュールキャリアのスクリュー締結ボスは、前記フロントエンドモジュールキャリアの上側から下側に延び、前記スクリュー締結ボスの上側に連結されるボスリブによって補強されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、フロントエンドモジュールキャリアのうち、ラジエータの上側をマウンティングする部位の剛性を十分確保することができ、フロントエンドモジュールキャリアにラジエータの上側をマウンティングする作業を極めて容易に行うことができ、その組み立て工数も相対的に少なく、組み立て性が非常に優れる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図3〜図8に示す通り、本発明の実施形態は、インシュレーター1と、中央にはインシュレーター1が挿入固定され、両側にはガイド部3が突出し、後方にはスクリュー5が通過する締結孔7が形成された締結フランジ9が一体に備えられたブラケットボディー11と、フロントエンドモジュールキャリア13にブラケットボディー11が後方から前方に挿入される時、ブラケットボディー11のガイド部3をガイドするようにフロントエンドモジュールキャリア13に備えられたガイドリブ15と、ブラケットボディー11の締結フランジ9に形成された締結孔7を通じて締結されるスクリュー5が締結されるようにフロントエンドモジュールキャリア13に形成されたスクリュー締結ボス17とを含んで構成される。
インシュレーター1にはラジエータ19の上側部分が連結されて支持される。
【0011】
ブラケットボディー11のガイド部3は、ブラケットボディー11の前方側が後方側より狭くなっている垂直壁の形態で形成され、フロントエンドモジュールキャリア13のガイドリブ15はガイド部3を上側と下側において共にガイドするように両側に各々上下に配置され、ガイドリブ15はフロントエンドモジュールキャリア13に垂直に形成された補強リブ21から一体に突出形成された構造である。
従って、ブラケットボディー11をフロントエンドモジュールキャリア13に嵌め込む時、最初の挿入は容易で、挿入が完了する頃にはガイド部3がガイドリブ15間に適切な圧力を有し、スクリューを締結する時は、ブラケットボディー11がフロントエンドモジュールキャリア13に挿入された状態が安定的に維持される。
【0012】
また、補強リブ21によってフロントエンドモジュールキャリア13そのものは該当部位の剛性を十分に確保することができ、ブラケットボディー11が挿入されれば、ブラケットボディー11と補強リブ21およびフロントエンドモジュールキャリア13が互いに略四角形の閉断面構造を形成し、ブラケットボディー11が装着された部位の剛性を大きく確保できるようにする効果もある。
【0013】
また、ブラケットボディー11の締結フランジ9は、ブラケットボディー11の上側に突出形成され、フロントエンドモジュールキャリア13のスクリュー締結ボス17は、フロントエンドモジュールキャリア13の上側から下側に延び、スクリュー締結ボス17の上側に連結されるボスリブ23によって補強される構造となっている。
従って、フロントエンドモジュールキャリア13のアッパーマウンティングブラケットが設けられる部位の剛性弱化の問題は、上記のようなスクリュー締結ボス17とボスリブ23および補強リブ21などによって完全に解決され十分な剛性を確保することができる。
【0014】
また、上記構造の組み立ては、ブラケットボディー11をフロントエンドモジュールキャリア13に後方から前方に押し込んだ後、スクリューを締結孔7を通じてスクリュー締結ボス17に結合することで終了するため、従来に比べて作業性が非常に良好であり、また作業工数も低減できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術のフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造を説明する図面である。
【図2】従来技術のフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造を説明する図面である。
【図3】本発明のフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造を説明する図面である。
【図4】図3のフロントエンドモジュールキャリアにブラケットボディーが挿入された状態と挿入されていない状態を比較して示す図面である。
【図5】図3のブラケットボディーとインシュレーターとの結合関係を説明する図面である。
【図6】ブラケットボディーとインシュレーターが結合された状態を他の角度からみた図面である。
【図7】図3のVII−VII線断面図である。
【図8】図3のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 インシュレーター
3 ガイド部
5 スクリュー
7 締結孔
9 締結フランジ
11 ブラケットボディー
13 フロントエンドモジュールキャリア
15 ガイドリブ
17 スクリュー締結ボス
19 ラジエータ
21 補強リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インシュレーターと、
中央には前記インシュレーターが挿入固定され、両側にはガイド部が突出し、後方にはスクリューが通過する締結孔が形成された締結フランジが一体に備えられたブラケットボディーと、
フロントエンドモジュールキャリアに前記ブラケットボディーが後方から前方に挿入される時、前記ブラケットボディーのガイド部をガイドするように前記フロントエンドモジュールキャリアに備えられたガイドリブと、
前記ブラケットボディーの締結フランジに形成された締結孔を通じて締結されるスクリューが締結されるように前記フロントエンドモジュールキャリアに形成されたスクリュー締結ボスと、
を含んで構成されることを特徴とするフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造。
【請求項2】
前記ブラケットボディーのガイド部は前記ブラケットボディーの前方側が後方側より狭くなっている垂直壁の形態で形成され、
前記フロントエンドモジュールキャリアのガイドリブは前記ガイド部を上側と下側において共にガイドするように両側に各々上下に配置され、
前記ガイドリブは前記フロントエンドモジュールキャリアに垂直に形成された補強リブから一体に突出形成されることを特徴とする請求項1に記載のフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造。
【請求項3】
前記ブラケットボディーの締結フランジは前記ブラケットボディーの上側に突出形成され、
前記フロントエンドモジュールキャリアのスクリュー締結ボスは、前記フロントエンドモジュールキャリアの上側から下側に延び、前記スクリュー締結ボスの上側に連結されるボスリブによって補強されることを特徴とする請求項1に記載のフロントエンドモジュールキャリアのラジエータアッパーマウンティング部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−143525(P2009−143525A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115132(P2008−115132)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】