説明

ブラケット及び取付構造

【課題】作業者への負担が小さく、且つ、ブラケット及び取付部材の被取付部材への取り付け作業を迅速に行うことが可能となるブラケット及び取付構造を提供する。
【解決手段】ブラケット2の各嵌入頭部21を相対向するセンタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13に嵌入して、各段差部26をセンタフロアパネル1の上端面に当接することによって、ブラケット2を各嵌入頭部21の各弾性係止片29を介して各取付孔12、13に係止する。また、コンソールボックス3の底面部に立設された各挿入ピン31をブラケット2の相対向する各貫通孔25に挿通しつつ、底面部の各切欠溝部37に取り付けられた各クリップ41をブラケット2の各コンソールボックス取付孔30に差し込むことによって、コンソールボックス3を各クリップ41の各弾性係止片51を介して各コンソールボックス取付孔30に係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体等の被取付部材に対して、コンソールボックス、インストルメントパネル等の取付部材を取り付けるブラケット及び取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体を構成する各種パネルに対して、コンソールボックス、インストルメントパネル等を取り付ける技術が種々提案されている。
例えば、フロアパネルに複数の逆U字状のブラケットを、各ブラケットの脚部のボルト孔とフロアパネルの取付孔とをボルトにより固定し、更に、各ブラケットの上部のボルト孔とフロアコンソールパネルの取付孔とをボルトにより締結して固定するフロアコンソール構造がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−2160号公報(段落(0017)〜(0033)、図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたフロアコンソール構造では、フロアパネルにブラケットをボルトにより固定し、更に、このブラケットの上部にフロアコンソールパネルをボルトにより固定するために、専用工具でボルト締めをする必要があり、作業者は下向きの姿勢を長時間強いられて負担が大きいという問題があった。また、フロアコンソールパネルは合成樹脂によって形成されているため、専用工具でボルト締めする際に、フロアコンソールパネルを傷つけないように、取り付け作業を注意深く行う必要があり、フロアコンソールパネルの固定作業に時間がかかってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、作業者への負担が小さく、且つ、ブラケット及び取付部材の被取付部材への取り付け作業を迅速に行うことが可能となるブラケット及び取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係るブラケットは、被取付部材の上側に取り付けられると共に、取付部材が上側に取り付けられるブラケットにおいて、前記取付部材の底面部が取り付けられる平板状の平板部と、前記平板部の相対向する側縁部の四隅から直角外側方向に所定長さ延出され、更に直角外側方向に延出された側断面L字形の2対の脚部と、前記2対の脚部のそれぞれの前記被取付部材の前記ブラケットの取り付け位置に穿設される平面視四角形の2対のブラケット取付孔に対向する位置に穿設される2対の貫通孔と、前記2対の貫通孔の各周縁部から前記被取付部材側方向に膨出して内側に中空部が形成されて、相対向する前記2対のブラケット取付孔に嵌入される底面視略四角形の2対の嵌入頭部と、前記2対の嵌入頭部のそれぞれの一方の両側面部に設けられて、それぞれ前記両側面部よりも外側方向に所定高さ突設される係止突起が前記貫通孔側端部に形成されて該嵌入頭部の内側方向に弾性変形可能な4対の弾性係止片と、前記平板部の前記取付部材の取り付け位置に穿設される複数の取付部材取付孔と、を備え、該ブラケットは、前記2対の嵌入頭部を相対向する前記被取付部材の2対のブラケット取付孔に嵌入して、該2対の嵌入頭部の基端部を被取付部材に当接することによって、前記4対の弾性係止片が該2対のブラケット取付孔の周縁部に弾性的に係止され、前記取付部材の底面部が、前記取付部材取付孔を介して該ブラケットの上側に取り付けられた場合には、該取付部材の底面部の前記2対の貫通孔に対向する位置に立設された2対の挿入ピンが該2対の貫通孔に挿通されて相対向する一対の前記弾性係止片の間に嵌入されることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係るブラケットは、請求項1に記載のブラケットにおいて、前記取付部材は、前記底面部の前記複数の取付部材取付孔に対向する位置に設けられる複数の被取付孔と、前記複数の被取付孔に取り付けられる複数のクリップと、を有し、該取付部材は、前記2対の挿入ピンを前記2対の貫通孔に挿通しつつ、前記複数のクリップを前記複数の取付部材取付孔にそれぞれ差し込むことによって、該複数のクリップの締結部を介して該複数の取付部材取付孔に係止されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る取付構造は、被取付部材の上側にブラケットを介して取付部材を取り付ける取付構造において、前記被取付部材は、前記ブラケットの取り付け位置に穿設される平面視四角形の2対のブラケット取付孔を備え、前記ブラケットは、前記取付部材の底面部が取り付けられる平板状の平板部と、前記平板部の相対向する側縁部の四隅から直角外側方向に所定長さ延出され、更に直角外側方向に延出された側断面L字形の2対の脚部と、前記2対の脚部のそれぞれの前記ブラケット取付孔に対向する位置に穿設される2対の貫通孔と、前記2対の貫通孔の各周縁部から前記被取付部材側方向に膨出して内側に中空部が形成されて、相対向する前記2対のブラケット取付孔に嵌入される底面視略四角形の2対の嵌入頭部と、前記2対の嵌入頭部のそれぞれの一方の両側面部に設けられて、それぞれ前記両側面部よりも外側方向に所定高さ突設される係止突起が前記貫通孔側端部に形成されて該嵌入頭部の内側方向に弾性変形可能な4対の弾性係止片と、前記平板部の前記取付部材の取り付け位置に穿設される複数の取付部材取付孔と、を備え、前記取付部材は、底面部の前記2対の貫通孔に対向する位置に立設された2対の挿入ピンを備え、該ブラケットは、前記2対の嵌入頭部を相対向する前記被取付部材の2対のブラケット取付孔に嵌入して、該2対の嵌入頭部の基端部を被取付部材に当接することによって、前記4対の弾性係止片が該2対のブラケット取付孔の周縁部に弾性的に係止され、前記取付部材の底面部が、前記取付部材取付孔を介して該ブラケットの上側に取り付けられた場合には、前記2対の挿入ピンが前記2対の貫通孔に挿通されて相対向する一対の前記弾性係止片の間に嵌入されることを特徴とする。
【0009】
更に、請求項4に係る取付構造は、請求項3に記載の取付構造において、前記取付部材は、前記底面部の前記複数の取付部材取付孔に対向する位置に設けられる複数の被取付孔と、前記複数の被取付孔に取り付けられる複数のクリップと、を備え、該取付部材は、前記2対の挿入ピンを前記2対の貫通孔に挿通しつつ、前記複数のクリップを前記複数の取付部材取付孔にそれぞれ差し込むことによって、該複数のクリップの締結部を介して該複数の取付部材取付孔に係止されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する請求項1に係るブラケットでは、2対の嵌入頭部を相対向する被取付部材の2対のブラケット取付孔に嵌入して、各嵌入頭部の基端部を被取付部材に当接することによって、ブラケットを4対の弾性係止片を介して各ブラケット取付孔にワンタッチで係止することができ、作業者へのブラケット取り付け作業の負担が小さく、且つ、取付作業工数の大幅な短縮化を図ることが可能となる。また、取付部材の底面部をブラケットの上側に取り付けることによって、この底面部に立設された2対の挿入ピンが各貫通孔を通って相対向する一対の弾性係止片の間に嵌入されるため、各弾性係止片の内側方向への弾性変形を防止でき、ブラケットの各嵌入頭部が被取付部材の各ブラケット取付孔から外れるのを確実に防止することができる。
【0011】
また、請求項2に係るブラケットでは、取付部材の底面部に立設された2対の挿入ピンをブラケットの相対向する各貫通孔に挿通しつつ、底面部の各被取付孔に取り付けられたクリップをブラケットの各取付部材取付孔に差し込むことによって、取付部材を各クリップの締結部を介してブラケットにワンタッチで取り付けることができ、作業者への取付部材の取り付け作業の負担が小さく、且つ、取付作業工数の大幅な短縮化を図ることが可能となる。また、ボルト締め用の専用工具を必要とすることがないため、専用工具等によって取付部材を傷つけることがなくなり、製品品質の向上を図ることが可能となる。
【0012】
また、請求項3に係る取付構造では、ブラケットの2対の嵌入頭部を相対向する被取付部材の2対のブラケット取付孔に嵌入して、各嵌入頭部の基端部を被取付部材に当接することによって、ブラケットを4対の弾性係止片を介して各ブラケット取付孔にワンタッチで係止することができ、作業者へのブラケット取り付け作業の負担が小さく、且つ、取付作業工数の大幅な短縮化を図ることが可能となる。また、取付部材の底面部をブラケットの上側に取り付けることによって、この底面部に立設された2対の挿入ピンが各貫通孔を通って相対向する一対の弾性係止片の間に嵌入されるため、各弾性係止片の内側方向への弾性変形を防止でき、ブラケットの各嵌入頭部が被取付部材の各ブラケット取付孔から外れるのを確実に防止することができる。
【0013】
更に、請求項4に係る取付構造では、取付部材の底面部に立設された2対の挿入ピンをブラケットの相対向する各貫通孔に挿通しつつ、底面部の各被取付孔に取り付けられたクリップをブラケットの各取付部材取付孔に差し込むことによって、取付部材を各クリップの締結部を介してブラケットにワンタッチで取り付けることができ、作業者への取付部材の取り付け作業の負担が小さく、且つ、取付作業工数の大幅な短縮化を図ることが可能となる。また、ボルト締め用の専用工具を必要とすることがないため、専用工具等によって取付部材を傷つけることがなくなり、製品品質の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るブラケット及び取付構造について、具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施例に係るブラケットと、このブラケットが取り付けられる被取付部材の一例としての自動車の車体を構成する金属板(ボディ)から構成されるセンタフロアパネルと、ブラケットの上側に取り付けられる取付部材の一例としてのコンソールボックス等に関する全体構成について図1に基づき説明する。
図1は本実施例に係るセンタフロアパネルに取り付けられたブラケットにコンソールボックスを取り付けた状態を模式的に示す平面図である。
【0015】
図1に示すように、センタフロアパネル1の上側には、ブラケット2が後述の各嵌入頭部21(図3参照)を介して係止されている。また、このブラケット2の上側には、コンソールボックス3が後述の各クリップ41(図8参照)を介して弾性的に係止されている。
ここで、ブラケット2は、各種の樹脂、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート等から一体成型されている。また、コンソールボックス3は、各種の樹脂、例えば、ポリプロピレンや「スーパータフナイロン」といわれる中・高衝撃ナイロン等から一体成型されている。
【0016】
ここで、先ず、センタフロアパネル1の概略構成について図2に基づいて説明する。図2はセンタフロアパネル1の概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図2に示すように、厚さ約0.8mm〜2mmのセンタフロアパネル1は、車幅方向(図2(A)中、左右方向である。)中央部が隆起し、この車幅方向中央部に平坦で車長方向(図2(A)中、上下方向である。)に長い平面視長四角形状のブラケット取付部11が形成されている。
【0017】
また、ブラケット取付部11のフロント側の部分(図2(A)中、下側の部分である。)には、ブラケット2の下端部に形成された車幅方向に相対向する2対の嵌入頭部21(図3参照)のうちの一方の一対の嵌入頭部21がそれぞれ嵌入される、該嵌入頭部21の水平断面にほぼ等しい形状の車長方向に長い平面視長方形の一対の基準用ブラケット取付孔12が貫通して形成されている。
【0018】
また、ブラケット取付部11のフロント側端縁部(図2(A)中、下側端縁部である。)には、ブラケット2の他方の一対の嵌入頭部21がそれぞれ嵌入される、基準用ブラケット取付孔12の幅と同じ幅で、この基準用ブラケット取付孔12の車長方向の長さよりも少し長い平面視長方形の一対の逃がし用ブラケット取付孔13が貫通して形成されている。これにより、ブラケット2の各嵌入頭部21と、ブラケット取付部11の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13との車長方向の取付誤差を吸収することができる。
【0019】
次に、ブラケット2の概略構成を図1、図3乃至図5に基づいて説明する。図3はブラケット2の概略構成を示す斜視図である。図4はブラケット2の概略構成を示す平面図である。図5は図4のX1−X1矢視断面図である。
図1、図3乃至図5に示すように、ブラケット2は、コンソールボックス3が上側に取り付けられる車長方向(図4中、Y方向である。)に長い平面視略長方形の所定厚さ(例えば、厚さ約2mm〜3mmである。)の平板状の平板部22が形成されている。
【0020】
また、この平板部22の車幅方向(図4中、X方向である。)に相対向する側縁部の車長方向両端部から、つまり、平板部22の4隅から、センタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12の車長方向の長さよりも広い幅寸法で、直角下側方向に所定長さ延出された後、更に直角外側方向に各基準用ブラケット取付孔12の上側を覆うように延出された側断面略L字形の車幅方向に相対向する2対の脚部23が設けられている。尚、各脚部23の下端面から平板部22の下端面までの高さは、コンソールボックス3に取り付けられたクリップ41の高さよりも高くなるように形成されている(図15参照)。
【0021】
また、平板部22の車幅方向の幅は、センタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12の内側端縁間及び各逃がし用ブラケット取付孔13の内側端縁間の距離よりも狭い幅に形成されると共に、各脚部23の下端面は、各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13の周縁部の上側を覆うように形成されている。また、各脚部23の車長方向の両側面部には、正面視略三角形状の各補強リブ24が形成されている。
【0022】
また、各脚部23の下端面の略中央部には、後述のようにコンソールボックス3の底面部に立設された4本の挿入ピン31(図6参照)がそれぞれ上方から挿入される平面視略四角形の各貫通孔25が形成されている。また、各貫通孔25の下端周縁部には、後述のようにセンタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13の周縁部に当接する所定高さ(例えば、高さ約0.5mm〜2mmである。)のリブ状の各段差部26が形成されている。
【0023】
また、各段差部26の下端部には、センタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13のそれぞれに嵌入される車幅方向に相対向する2対の嵌入頭部21が立設されている。
また、各嵌入頭部21は、全体として平面視長方形の各基準用ブラケット取付孔12に嵌入される水平断面長方形状で、下側方向に所定厚さ(例えば、厚さ約1mm〜3mmである。)で膨出するように形成されると共に、車幅方向(図4中、X方向である。)の両側面部が、各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13の長手方向に沿うように形成されている。
【0024】
また、各嵌入頭部21の下端部は、閉塞されており、該各嵌入頭部21の内部には、段差部26を介して各貫通孔25に連通する断面略四角形の中空部27が軸方向に沿って形成されている。また、各嵌入頭部21の車幅方向の両側面部には(図5中、左右の側面部である。)、縦長略長方形の各貫通孔28が形成されている。そして、各嵌入頭部21は、各貫通孔28の下端縁部から段差部26内まで上側方向に延出されて、内側方向、つまり、中空部27側へ弾性変形可能に構成される一対の弾性係止片29が設けられている。
【0025】
この各弾性係止片29は、正面視略縦長四角形に形成されると共に、図5に示すように、段差部26の下端部に対向する部分に、側断面略三角形状に突出した各係止突起29Aが形成されている。これにより、後述のように各嵌入頭部21をセンタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13に嵌入した場合には、各段差部26の下端面が、センタフロアパネル1のブラケット取付部11の上側面に押し付けられると共に、各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13の各長辺部が各弾性係止片29の係止突起29Aの上端部に確実に当接する(図16参照)。
【0026】
また、平板部22には、車長方向中央部(図4中、Y方向中央部である。)よりもフロント側(図4中、Y方向下側である。)の位置において、車幅方向中央位置に対して対称に一対のコンソールボックス取付孔30が貫通して形成されている。また、各コンソールボックス取付孔30は、車長方向に長い平面視長方形に形成され、長手方向(図4中、Y方向)の幅寸法は、クリップ41の後述の各弾性係止片51、51の外側突出端部間の距離寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
これにより、後述のようにクリップ41を反時計方向に90度回転させて各コンソールボックス取付孔30から抜く際に、各弾性係止片51、51が各コンソールボックス取付孔30を通過可能な幅寸法に形成されており、コンソールボックス3に組み付けられた各クリップ41とブラケット2との車長方向(図4中、Y方向である。)の位置ずれが吸収されるように構成されている。
【0028】
また、各コンソールボックス取付孔30の長手方向に対して直角方向の幅寸法(図4中、X方向の幅寸法である。)は、クリップ41のクリップ嵌入頭部48(図8参照)の幅寸法にほぼ等しくなるように形成され、後述のようにクリップ41の各弾性係止片51、51がコンソールボックス取付孔30の各長辺部に弾性的に係止される(図16参照)。
【0029】
次に、コンソールボックス3の概略構成について図1、図6及び図7に基づいて説明する。図6はコンソールボックス3の底面部を示す斜視図である。図7は図6のW1部分の拡大斜視図である。
【0030】
図1、図6及び図7に示すように、コンソールボックス3は、収納部32の上端開口部のフロント側(図1中、下側である。)及び車幅方向両側(図1中、左右方向両側である。)から略水平に所定長さ延出された後、斜め下外側方向に延出された側壁部33が形成されている。また、側壁部33の車幅方向両側の部分は、所定長さリヤ側(図1中、上側である。)に延出されて、該側壁部33は、全体として水平断面略U字状に形成されている。また、側壁部33は、コンソールボックス3をブラケット2に取り付けた場合には、下端周縁部がセンタフロアパネル1のブラケット取付部11の左右のフロア部分の近傍に位置するように形成されている(図15参照)。
【0031】
また、収納部32の底面には、コンソールボックス3をブラケット2に取り付けた場合において、該ブラケット2の各貫通孔25に対向する位置に立設されて、該各貫通孔25に挿通される4本の水平断面略四角形の挿入ピン31が形成されている。各挿入ピン31の長さは、後述のようにコンソールボックス3をブラケット2に取り付けた場合において、ブラケット2の各嵌入頭部21の中空部27内の底面部近傍まで挿通可能な長さに形成されている(図16参照)。
【0032】
また、各挿入ピン31の断面形状は、各嵌入頭部21の中空部27の断面形状とほぼ同じ略四角形に形成され、後述のように中空部27に挿入された場合には、車幅方向の両側面部が各弾性係止片29の内側面間に嵌入されるように形成されている。
また、各挿入ピン31の車幅方向の両側面部には、基端部に正面視略三角形の一対の補強リブ34が形成されている。
【0033】
また、収納部32内の底面部には、後述のクリップ41のフランジ部44(図8参照)の厚さ寸法よりも大きい深さで外側方向に窪んで、車幅方向(図1中、左右方向である。)に長い平面視横長四角形の凹部35が形成されている。また、凹部35には、クリップ41のフランジ部44が挿通可能な車長方向(図1中、上下方向である。)に長い平面視略長方形の一対の貫通孔36が形成されている。
【0034】
この一対の貫通孔36は、コンソールボックス3をブラケット2に取り付けた場合に、ブラケット2の平板部22に形成された各コンソールボックス取付孔30の間の部分、つまり、各コンソールボックス取付孔30よりも車幅方向内側の部分に対向するように形成されている。また、各貫通孔36の車幅方向外側の側縁部には、長手方向中央位置から車幅方向外側に、後述のクリップ41のボス部43(図8参照)が嵌入される溝幅で切り欠かれた平面視横長の切欠溝部37が形成されている。
【0035】
また、各切欠溝部37は、コンソールボックス3をブラケット2に取り付けた場合に、各コンソールボックス取付孔30の長手方向中央部に対向すると共に、各コンソールボックス取付孔30よりも車幅方向外側まで切り欠かれて形成されている。これにより、後述のように、各切欠溝部37に装着された各クリップ41を各コンソールボックス取付孔30に嵌入する場合に、各クリップ41が各切欠溝部37内を移動して、該各クリップ41と各コンソールボックス取付孔30との車幅方向の取付誤差を吸収することができる。
【0036】
次に、クリップ41の概略構成について図8乃至図11に基づいて説明する。図8はクリップ41を示す斜視図である。図9はクリップ41を示す正面図である。図10はクリップ41を示す底面図である。図11は図9のX2−X2矢視断面図である。
尚、クリップ41は、各種の樹脂、例えば、ポリプロピレンや「スーパータフナイロン」といわれる中・高衝撃ナイロン等から一体成形されている。
【0037】
図8乃至図11に示すように、クリップ41は、コンソールボックス3の底面に当接される平面視略長四角形の平板部42を有し、この平板部42の底面の中央部には、ボス部43が垂設されている。
また、クリップ41を後述のようにコンソールボックス3の各切欠溝部37に取り付けた際には、この平板部42の平面視長手方向は、各切欠溝部37の長手方向に対して略直角方向になる(図13参照)。
【0038】
また、この平板部41の平面視長辺方向の長さは、コンソールボックス3の各貫通孔36の長手方向の幅寸法よりも大きく、且つ、ブラケット2の各コンソールボックス取付孔30の長手方向の幅寸法よりも大きくなるように形成されている。また、平板部42の平面視長手方向の両側端縁部には、全幅に渡って、後述のようにブラケット2の各コンソールボックス取付孔30の長手方向外側に当接される各当接部42A、42Aが垂直上側方向に所定高さ(例えば、高さ約1mm〜3mmである。)延出されている。
【0039】
また、このボス部43の高さ寸法は、コンソールボックス3の凹部35の厚さ寸法にほぼ等しい高さ寸法である(図13参照)。また、このボス部43は、コンソールボックス3の各切欠溝部37の幅寸法にほぼ等しい直径の円柱状に形成されている。
また、このボス部43の下端部(図9中、下端部)には、該ボス部43の下端部よりも各々外側方向に所定長さ(本実施例では、約2mm〜4mmである。)突出する平面視略六角形で所定厚さ(本実施例では、厚さ約4mm〜6mmの厚さ寸法である。)のフランジ部44が形成されている。
【0040】
また、フランジ部44の上端部(図9中、上端部)の外周には、所定厚さ(本実施例では、約1mm〜2mmである。)で半径方向外側に延出された平面視円形状の延出部44Aが形成されている。また、このフランジ部44の平板部42の底面に対向する上端面部には、該平板部42の長手方向の両外側端縁部に、コンソールボックス3の凹部35の内側底面部に当接する所定高さ(本実施例では、約0.3mm〜0.5mmの高さ寸法である。)の各当接リブ部44Bが立設されている。
【0041】
これにより、ボス部43をコンソールボックス3の切欠溝部37に嵌入した場合には、平板部42の底面と各当接リブ部44Bの上端面部とによってコンソールボックス3の凹部35を挟み込み、クリップ41がコンソールボックス3の切欠溝部37に組み付けられた状態となると共に、クッリプ41が切欠溝部37に沿って摺動可能となる(図13参照)。
【0042】
また、このフランジ部44の下端中央部には、該フランジ部44の厚さ寸法にほぼ等しい深さ寸法を有する水平断面略六角形の凹部45が形成され、六角レンチ等の工具の先端部を嵌入可能に構成されている。
【0043】
また、平板部42の上面の中央部には、後述のようにブラケット2の平面視略長方形の各コンソールボックス取付孔30に嵌入されるクリップ嵌入頭部48が立設されている。また、このクリップ嵌入頭部48は、全体として各コンソールボックス取付孔30の短辺方向の幅寸法を一辺とする平面視略正方形に形成されると共に、クリップ嵌入頭部48の上端部は、側面視先細り状に形成されている。
【0044】
また、クリップ嵌入頭部48の上端面部には、平板部42の上面部に達する深さで、水平断面が左右方向に長い長方形に形成された各孔部49、49が、クリップ41をコンソールボックス3の各切欠溝部37に取り付けた際に、各切欠溝部37の長手方向に対して直交する方向に沿うように、つまり、ブラケット2の各コンソールボックス取付孔30の長手方向に沿うように設けられている。
【0045】
また、クリップ嵌入頭部48の各孔部49、49に対向する側面部には、縦長略長方形の各貫通孔50、50が穿設されている。そして、この各貫通孔50、50の上端縁部から下側方向に延出されて内側方向に弾性変形可能に構成される一対の弾性係止片51が設けられている。この各弾性係止片51、51は、正面視略縦長四角形に形成されると共に、下端部が側断面略三角形状に突出している。
【0046】
また、この各弾性係止片51、51の下端部から平板部42までの高さ寸法は、平板部42の上面部から各当接部42Aの上端部までの高さ寸法とブラケット2の平板部22の厚さ寸法との合計寸法よりも少し小さい寸法になるように形成されている(図16参照)。これにより、後述のようにクリップ41をブラケット2の各コンソールボックス取付孔30に嵌入した場合には、各コンソールボックス取付孔30の各長辺部が各弾性係止片51、51の斜め内側に傾斜する下端部に確実に当接して、該各弾性係止片51、51が各コンソールボックス取付孔30の各長辺部に弾性的に係止される(図16参照)。
【0047】
また、クリップ嵌入頭部48は、各弾性係止片51、51の外側に突出する各突出部から平板部42までの基端部の軸方向に垂直な断面が、全体としてブラケット2の各コンソールボックス取付孔30の短辺方向の幅寸法にほぼ等しい寸法を一辺とする略正方形に形成され、一組の対角が各コンソールボックス取付孔30の短辺方向の幅寸法とほぼ同一直径の円弧48Aをなしている。また、他の組の対角が、ほぼ直角な角部48Bをなしている。
【0048】
これにより、クリップ41をブラケット2の各コンソールボックス取付孔30に嵌入して、該クリップ41をコンソールボックス3に取り付けた状態で回転させる場合には、クリップ嵌入頭部48の基端部の軸方向に垂直な断面形状から、その回転方向としてコンソールボックス3の上方から見て、反時計方向に回転させる方向しか回転できないようになっている。また、クリップ嵌入頭部48の基端部は、各コンソールボックス取付孔30内を反時計方向に90度しか回転できないようになっている。
【0049】
続いて、前記のように構成されたクリップ41のコンソールボックス3への取り付けについて図12及び図13に基づいて説明する。図12はコンソールボックス3の底面部にクリップ41を取り付けた状態を示す斜視図である。図13は図12のW2部分の拡大斜視図である。
【0050】
図12及び図13に示すように、クリップ41のコンソールボックス3への取り付けは、先ず、コンソールボックス3を、収納部32の底面部が上側になるようにセットする。そして、各クリップ41の平板部42の長手方向を、凹部35に形成された各貫通孔35の長手方向に合わせつつ、各クリップ41のフランジ部44を各貫通孔35に挿入して、各平板部42の底面を各貫通孔36の周縁部に当接させる。
【0051】
続いて、各クリップ41のボス部43を各切欠溝部37に嵌入させつつ押し込むことによって、各クリップ41の平板部42の底面とフランジ部44の各当接リブ部44Bとにより凹部35が挟み込まれ、各クリップ41が各切欠溝部37に沿って、摺動移動可能となる。また、各クリップ41は、平板部42の長手方向が、各切欠溝部37の長手方向に直交するように取り付けられる。
これにより、各クリップ41を各切欠溝部37に沿って摺動移動可能な状態で常時保持できると共に、各クリップ41をコンソールボックス3に組み付けた状態で、常時一体的に取り扱うことが可能となる。
【0052】
次に、上記のように各クリップ41が取り付けられたコンソールボックス3とブラケット2をセンタフロアパネル1に組み付ける方法について図14乃至図16に基づいて説明する。図14はブラケット2及びコンソールボックス3のセンタフロアパネル1への組み付けを説明する断面図である。図15はブラケット2及びコンソールボックス3をセンタフロアパネル1に組み付けた状態を説明する断面図である。図16は図15のW3部分の拡大断面図である。
【0053】
図14乃至図16に示すように、先ず、ブラケット2の車幅方向(図4中、X方向である。)に対向する2対の嵌入頭部21のうちの各コンソールボックス取付孔30から離れている方の一対の嵌入頭部21、つまり、フロント側(図4中、Y方向下側である。)から遠い方の一対の嵌入頭部21の先端部を、センタフロアパネル1のブラケット取付部11に形成された各基準用ブラケット取付孔12に上方から嵌入する。
【0054】
また、ブラケット2の車幅方向に対向する2対の嵌入頭部21のうちの各コンソールボックス取付孔30に近い方の一対の嵌入頭部21、つまり、フロント側の一対の嵌入頭部21の先端部を、センタフロアパネル1のブラケット取付部11に形成された各逃がし用ブラケット取付孔13に上方から嵌入する。
【0055】
そして、この状態からブラケット2を更に下側方向(矢印X3方向である。)へ押し下げ、各嵌入頭部21を各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13に挿通し、各脚部23の下端面に形成された各段差部26をブラケット取付部11に当接させる。また、各嵌入頭部21の車幅方向の両側面部に形成された各弾性係止片29は、各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13の各長辺部に対向した状態で各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13に挿通される。
【0056】
これにより、各嵌入頭部21の各弾性係止片29が各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13の各長辺部に当接されて、内側方向に弾性変形され、各中空部27内に押し込まれて、該各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13を通過する。そして、各嵌入頭部21の各弾性係止片29が再度、外側方向に弾性変形して、該各係止突起29Aの斜め下方向に傾斜する各傾斜面が各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13の各長辺部に弾性的に当接して、各嵌入頭部21が各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13に係止され、ブラケット2がセンタフロアパネル1に係止される。
【0057】
続いて、上記のように各クリップ41が底面部に取り付けられたコンソールボックス3(図12参照)のフロント側(図2(A)中、下側方向である。)の底面部に立設される各挿入ピン31の先端部を、センタフロアパネル1に係止されたブラケット2の4隅に設けられた各脚部23の下端面に形成された貫通孔25に挿通する。また同時に、コンソールボックス3の各切欠溝部37に取り付けられた各クリップ41のクリップ嵌入頭部48の先端部を、ブラケット2の平板部22に形成された各コンソールボックス取付孔30に挿入する。
【0058】
そして、コンソールボックス3を更に下方向(矢印X4方向)に押し下げ、各挿通ピン31をブラケット2の各嵌入頭部21内、つまり、中空部27内に嵌入すると共に、ブラケット2の各コンソールボックス取付孔30に各クリップ嵌入頭部48を挿通する。この際、各挿入ピン31の断面形状は、各嵌入頭部21の中空部27の断面形状とほぼ同じ略四角形に形成されているため、コンソールボックス3は、各嵌入頭部21の中空部27に対して位置決めされた状態で下方向に移動する。
【0059】
また、ブラケット2は、各コンソールボックス取付孔30の長手方向(図4中、上下方向)が、コンソールボックス3の各切欠溝部37の長手方向に対して略直角になるようにセンタフロアパネル1に取り付けられているため、各クリップ41の各弾性係止片51は、各コンソールボックス取付孔30の各長辺部に対向した状態で、該各コンソールボックス取付孔30に挿通される。かかる挿通作業は、ブラケット2の平板部22に各クリップ41の平板部42の各当接部42Aが当接されるまで行われる。
【0060】
また、各コンソールボックス取付孔30の長手方向に対して直角方向の幅寸法、即ち、短辺方向の幅寸法は、各クリップ41のクリップ嵌入頭部48の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。このため、各クリップ嵌入頭部48の先端部をブラケット2の各コンソールボックス取付孔30に挿入して、下方向(矢印X4方向)に押し下げることによって、この各クリップ嵌入頭部48と各コンソールボックス取付孔30とが車幅方向(図14中、左右方向である。)にずれている場合には、各クリップ嵌入頭部48の先端部の傾斜面に沿って、各クリップ41が各切欠溝部37内を長手方向(図14中、左右方向である。)に摺動して、各クリップ嵌入頭部48が各コンソールボックス取付孔30に対して車幅方向の位置決めをされつつ該各コンソールボックス取付孔30に嵌入される。
【0061】
これにより、コンソールボックス3の各切欠溝部37に組み付けられた各クリップ41と各コンソールボックス取付孔30との該各コンソールボックス取付孔30の長手方向に対して直角方向(図14中、左右方向)における位置ずれが吸収されて、該各クリップ41のクリップ嵌入頭部48を各コンソールボックス取付孔30に嵌入できる。また、各コンソールボックス取付孔30の長手方向の幅寸法は、クリップ嵌入頭部48の幅寸法よりも大きいため、コンソールボックス3の各切欠溝部37に組み付けられた各クリップ41と各コンソールボックス取付孔30との該各コンソールボックス取付孔30の長手方向(図1中、上下方向である。)における位置ずれが吸収される。
【0062】
そして、コンソールボックス3を更に下方向(矢印X4方向)に押圧することによって、各弾性係止片51、51が各コンソールボックス取付孔30の各長辺部に当接されて、内側方向に弾性変形され、各孔部49内に押し込まれる。
【0063】
これにより、各コンソールボックス取付孔30が該各弾性係止片51、51を通過してクリップ嵌入頭部48の基端部に嵌入され、ブラケット2の平板部22が、平板部42の各当接部42Aに当接される。また、各弾性係止片51、51が再度、外側方向に弾性変形して平板部42側の斜め下方向に傾斜する各傾斜面が各コンソールボックス取付孔30の各長辺部に弾性的に当接して、各クリップ41が各コンソールボックス取付孔30に係止される。この状態が図15及び図16に示されている。
【0064】
また、図15及び図16に示す状態では、各コンソールボックス取付孔30が各クリップ41の各弾性係止片51、51を通過してクリップ嵌入頭部48の基端部に嵌入されると共に、この各弾性係止片51、51の平板部42側の斜め下方向に傾斜する各傾斜面が、ブラケット2の各コンソールボックス取付孔30の各長辺部に弾性的に当接して、該ブラケット2を上方向(図15中、上方向である。)に押圧した状態になり、各クリップ41が各コンソールボックス取付孔30に係止される。また、各平板部42の各当接部42Aは、ブラケット2の平板部22に押圧された状態になる。
【0065】
これにより、コンソールボックス3は各クリップ41及びブラケット2を介してセンタフロアパネル1に取り付けられるものである。また、コンソールボックス3の底面部に立設される各挿入ピン31は、各嵌入頭部21の中空部27に嵌入されて、車幅方向の両側面部が各弾性係止片29の内側面間に嵌入されるため、各弾性係止片29を外側方向に押し広げて、内側方向への弾性変形を防止できる。従って、コンソールボックス3及びブラケット2の位置ずれやガタツキを確実に防止できる。
【0066】
次に、上記のように各クリップ41を各コンソールボックス取付孔30に係止することによってコンソールボックス3をブラケット2を介してセンタフロアパネル1に取り付けた状態となるが、かかる各クリップ41の各コンソールボックス取付孔30への係止を解除して、コンソールボックス3及びブラケット2をセンタフロアパネル1から取り外す操作について図16に基づいて説明する。
【0067】
図16に示すように、先ず、コンソールボックス3の上方から断面六角形の六角レンチ等の工具61を挿入して、この工具61の先端部を一方のクリップ41のフランジ部44に形成された水平断面が六角形の凹部45に挿入する。そして、工具61を反時計方向(矢印X5方向)に回転させると、上記の通り、クリップ41のクリップ嵌入頭部48の基端部の軸方向に垂直な断面形状から(図8参照)、該クリップ嵌入頭部48の基端部はコンソールボックス取付孔30内を反時計方向に90度だけ回転して停止する。
【0068】
また、この一方のクリップ41から工具61を抜いて、この工具61の先端部を他方のクリップ41のフランジ部44に形成された凹部45に挿入して、同様に反時計方向に90度だけ回転させると、他方のクリップ41のクリップ嵌入頭部48の基端部は、コンソールボックス取付孔30内を反時計方向に90度だけ回転して停止する。
【0069】
これにより、各クリップ41が反時計方向(矢印X5方向)に90度だけ回転して停止した場合には、各弾性係止片51がブラケット2の各コンソールボックス取付孔30の長手方向に位置決めされるため、該各弾性係止片51と各コンソールボックス取付孔30との係止が解除される。
続いて、ブラケット2からコンソールボックス3を上方に持ち上げて各クリップ41を各コンソールボックス取付孔30から抜くと共に、各挿入ピン31を各貫通孔25から抜くことによって、当該ブラケット2からコンソールボックス3を取り外すことができる。
【0070】
その後、センタフロアパネル1の下面側からブラケット2の各嵌入頭部21の各弾性係止片29を内側方向に押し込みつつ、該各嵌入頭部21を上方に持ち上げてセンタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13から抜くことによって、当該センタフロアパネル1からブラケット2を取り外すことができる。
【0071】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るセンタフロアパネル1にブラケット2及びコンソールボックス3を取り付ける取付構造では、ブラケット2の2対の嵌入頭部21を相対向するセンタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13に嵌入して、各段差部26をセンタフロアパネル1のブラケット取付部11の上端面に当接することによって、ブラケット2を各嵌入頭部21の各弾性係止片29を介して各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13にワンタッチで取り付けることができ、作業者へのブラケット2の取り付け作業の負担が小さく、且つ、取付作業工数の大幅な短縮化を図ることが可能となる。また、ブラケット2をセンタフロアパネル1に取り付けるためのボルト締め用の専用工具や、センタフロアパネル1の下面側のナット溶接等を無くすことができる。
【0072】
また、コンソールボックス3の底面部に立設された各挿入ピン31をブラケット2の相対向する各貫通孔25に挿通しつつ、底面部の各切欠溝部37に取り付けられた各クリップ41をブラケット2の各コンソールボックス取付孔30に差し込むことによって、コンソールボックス3を各クリップ41の各弾性係止片51を介してブラケット2にワンタッチで取り付けることができ、作業者へのコンソールボックス3の取り付け作業の負担が小さく、且つ、取付作業工数の大幅な短縮化を図ることが可能となる。また、コンソールボックス3をブラケット2に取り付けるためのボルト締め用の専用工具を必要とすることがないため、専用工具等によってコンソールボックス3を傷つけることがなくなり、製品品質の向上を図ることが可能となる。また、コンソールボックス3をブラケット2に取り付けるためのボルト締め用の専用工具や、ブラケット2の下面側のナット溶接等を無くすことができる。
【0073】
更に、コンソールボックス3の底面部に立設された各挿入ピン31が、ブラケット2の相対向する各嵌入頭部21の中空部27内に嵌入されるため、各嵌入頭部21の各弾性係止片29の内側方向への弾性変形を防止でき、ブラケット2の各嵌入頭部21が、センタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12及び各逃がし用ブラケット取付孔13から外れるのを確実に防止することができる。
【0074】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0075】
例えば、ブラケット2の各脚部23に替えて、ブラケット2の平板部22の車長方向(図4中、Y方向である。)に相対向する側縁部の車幅方向両端部(図4中、X方向両端部である。)から、つまり、平板部22の4隅から、センタフロアパネル1の各基準用ブラケット取付孔12の車幅方向の長さよりも広い幅寸法で、直角下側方向に所定長さ延出された後、更に直角外側方向に各基準用ブラケット取付孔12の上側を覆うように延出された側断面略L字形の車長方向に相対向する2対の脚部を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施例に係るセンタフロアパネルに取り付けられたブラケットにコンソールボックスを取り付けた状態を模式的に示す平面図である。
【図2】センタフロアパネルの概略構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図3】ブラケットの概略構成を示す斜視図である。
【図4】ブラケットの概略構成を示す平面図である。
【図5】図4のX1−X1矢視断面図である。
【図6】コンソールボックスの底面部を示す斜視図である。
【図7】図6のW1部分の拡大斜視図である。
【図8】クリップを示す斜視図である。
【図9】クリップを示す正面図である。
【図10】クリップを示す底面図である。
【図11】図9のX2−X2矢視断面図である。
【図12】コンソールボックスの底面部にクリップを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】図12のW2部分の拡大斜視図である。
【図14】ブラケット及びコンソールボックスのセンタフロアパネルへの組み付けを説明する断面図である。
【図15】ブラケット及びコンソールボックスをセンタフロアパネルに組み付けた状態を説明する断面図である。
【図16】図15のW3部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 センタフロアパネル
2 ブラケット
3 コンソールボックス
12 基準用ブラケット取付孔
13 逃がし用ブラケット取付孔
21 嵌入頭部
22 平板部
23 脚部
25、36 貫通孔
26 段差部
27 中空部
29、51 弾性係止片
29A 係止突起
30 コンソールボックス取付孔
31 挿入ピン
37 切欠溝部
41 クリップ
42 平板部
44 フランジ部
48 クリップ嵌入頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材の上側に取り付けられると共に、取付部材が上側に取り付けられるブラケットにおいて、
前記取付部材の底面部が取り付けられる平板状の平板部と、
前記平板部の相対向する側縁部の四隅から直角外側方向に所定長さ延出され、更に直角外側方向に延出された側断面L字形の2対の脚部と、
前記2対の脚部のそれぞれの前記被取付部材の前記ブラケットの取り付け位置に穿設される平面視四角形の2対のブラケット取付孔に対向する位置に穿設される2対の貫通孔と、
前記2対の貫通孔の各周縁部から前記被取付部材側方向に膨出して内側に中空部が形成されて、相対向する前記2対のブラケット取付孔に嵌入される底面視略四角形の2対の嵌入頭部と、
前記2対の嵌入頭部のそれぞれの一方の両側面部に設けられて、それぞれ前記両側面部よりも外側方向に所定高さ突設される係止突起が前記貫通孔側端部に形成されて該嵌入頭部の内側方向に弾性変形可能な4対の弾性係止片と、
前記平板部の前記取付部材の取り付け位置に穿設される複数の取付部材取付孔と、
を備え、
該ブラケットは、前記2対の嵌入頭部を相対向する前記被取付部材の2対のブラケット取付孔に嵌入して、該2対の嵌入頭部の基端部を被取付部材に当接することによって、前記4対の弾性係止片が該2対のブラケット取付孔の周縁部に弾性的に係止され、
前記取付部材の底面部が、前記取付部材取付孔を介して該ブラケットの上側に取り付けられた場合には、該取付部材の底面部の前記2対の貫通孔に対向する位置に立設された2対の挿入ピンが該2対の貫通孔に挿通されて相対向する一対の前記弾性係止片の間に嵌入されることを特徴とするブラケット。
【請求項2】
前記取付部材は、
前記底面部の前記複数の取付部材取付孔に対向する位置に設けられる複数の被取付孔と、
前記複数の被取付孔に取り付けられる複数のクリップと、
を有し、
該取付部材は、前記2対の挿入ピンを前記2対の貫通孔に挿通しつつ、前記複数のクリップを前記複数の取付部材取付孔にそれぞれ差し込むことによって、該複数のクリップの締結部を介して該複数の取付部材取付孔に係止されることを特徴とする請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
被取付部材の上側にブラケットを介して取付部材を取り付ける取付構造において、
前記被取付部材は、前記ブラケットの取り付け位置に穿設される平面視四角形の2対のブラケット取付孔を備え、
前記ブラケットは、
前記取付部材の底面部が取り付けられる平板状の平板部と、
前記平板部の相対向する側縁部の四隅から直角外側方向に所定長さ延出され、更に直角外側方向に延出された側断面L字形の2対の脚部と、
前記2対の脚部のそれぞれの前記ブラケット取付孔に対向する位置に穿設される2対の貫通孔と、
前記2対の貫通孔の各周縁部から前記被取付部材側方向に膨出して内側に中空部が形成されて、相対向する前記2対のブラケット取付孔に嵌入される底面視略四角形の2対の嵌入頭部と、
前記2対の嵌入頭部のそれぞれの一方の両側面部に設けられて、それぞれ前記両側面部よりも外側方向に所定高さ突設される係止突起が前記貫通孔側端部に形成されて該嵌入頭部の内側方向に弾性変形可能な4対の弾性係止片と、
前記平板部の前記取付部材の取り付け位置に穿設される複数の取付部材取付孔と、
を備え、
前記取付部材は、底面部の前記2対の貫通孔に対向する位置に立設された2対の挿入ピンを備え、
該ブラケットは、前記2対の嵌入頭部を相対向する前記被取付部材の2対のブラケット取付孔に嵌入して、該2対の嵌入頭部の基端部を被取付部材に当接することによって、前記4対の弾性係止片が該2対のブラケット取付孔の周縁部に弾性的に係止され、
前記取付部材の底面部が、前記取付部材取付孔を介して該ブラケットの上側に取り付けられた場合には、前記2対の挿入ピンが前記2対の貫通孔に挿通されて相対向する一対の前記弾性係止片の間に嵌入されることを特徴とする取付構造。
【請求項4】
前記取付部材は、
前記底面部の前記複数の取付部材取付孔に対向する位置に設けられる複数の被取付孔と、
前記複数の被取付孔に取り付けられる複数のクリップと、
を備え、
該取付部材は、前記2対の挿入ピンを前記2対の貫通孔に挿通しつつ、前記複数のクリップを前記複数の取付部材取付孔にそれぞれ差し込むことによって、該複数のクリップの締結部を介して該複数の取付部材取付孔に係止されることを特徴とする請求項3に記載の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−12967(P2010−12967A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175303(P2008−175303)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000208293)大和化成工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】