ブレーキディスクの製造方法
【課題】軽量化を図りつつ、接合部の強度を確保することができるブレーキディスクの製造方法を提供する。
【解決手段】ブレーキ本体1の各取付孔12に取付盤体2の取付突起22をそれぞれ嵌合すると共に、ブレーキ本体1の内周側に取付盤体2を配置させる。回転治具4を回転させつつ取付突起22の先端部に当接させて回転治具4の回転による摩擦熱により、取付突起22の形状を変形させて取付突起22の外壁面23を各取付孔12の内壁面15に接合させる。これによりブレーキ本体1と取付盤体2とを一体に連結される。
【解決手段】ブレーキ本体1の各取付孔12に取付盤体2の取付突起22をそれぞれ嵌合すると共に、ブレーキ本体1の内周側に取付盤体2を配置させる。回転治具4を回転させつつ取付突起22の先端部に当接させて回転治具4の回転による摩擦熱により、取付突起22の形状を変形させて取付突起22の外壁面23を各取付孔12の内壁面15に接合させる。これによりブレーキ本体1と取付盤体2とを一体に連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳鉄を基材とする摩擦摺動部を有するブレーキディスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄系鋳物部材同士を摩擦圧接により接合する方法が開示されている(特許文献1)。このものによれば、摩擦圧力を低めにとり、摩擦時間を長くすることにより、接合部における温度勾配を緩やかに設定する。その後のアプセット力を大きくすると共にアプセット時間を短くし、鉄系鋳物部材同士を摩擦圧接により接合する。
【特許文献1】特開平9−85469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した技術によれば、鉄系鋳物部材同士を摩擦圧接により接合するため、黒鉛が含まれている鋳鉄では、摩擦圧接された部分が高温となり、その熱影響により接合部の強度低下が発生するおそれがあり、重要保安部品であるブレーキとしては好ましくない。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、軽量化を図りつつ、接合部の強度を確保することができるブレーキディスクの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るブレーキディスクの製造方法は、(i)中央開口を有するリング形状をなすと共に相手材と摩擦摺動する摩擦摺動部と、前記摩擦摺動部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付孔とを備えている鋳鉄系材料を基材とするブレーキ本体と、アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材として形成され、前記ブレーキ本体の前記中央開口に配置される円盤部と、前記ブレーキ本体の各前記取付孔にそれぞれ挿入されるように前記円盤部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付突起とを備えており、車輪側に取り付けられる取付盤体とを準備する工程と、(ii)前記ブレーキ本体の各前記取付孔に前記取付盤体の前記取付突起をそれぞれ嵌合すると共に、前記ブレーキ本体の内周側に取付盤体を配置させる嵌合配置工程と、(iii)回転治具を回転させつつ前記取付突起の先端部に当接させて前記回転治具の回転による摩擦熱により、前記取付突起の形状を変形させて前記取付突起の外壁面を各前記取付孔の内壁面に接合させ、前記ブレーキ本体と前記取付盤体とを一体に連結する摩擦攪拌接合工程とを順に実施することを特徴とする。
【0006】
嵌合配置工程においては、ブレーキ本体の各取付孔に取付盤体の取付突起をそれぞれ嵌合すると共に、ブレーキ本体の内周側に取付盤体を配置させる。摩擦攪拌接合工程においては、回転治具を回転させつつ取付突起の先端部に当接させて回転治具の回転による摩擦熱により、取付突起の形状を変形させる。これにより取付突起の外壁面を各取付孔の内壁面に密着させて接合させる。この結果、ブレーキ本体と取付盤体とは一体に連結される。
【0007】
取付突起の外壁面および取付孔の内壁面のうちの少なくとも一方は、取付突起の中心軸線に沿って切断した断面で、勾配をもつことが好ましい。この場合、嵌合配置工程において、ブレーキ本体の各取付孔に取付盤体の取付突起をそれぞれ嵌合するとき、取付突起の外壁面と取付孔の内壁面との間に隙間が形成され、隙間は、取付突起の先端面に向かうにつれて隙間幅が増加するように設定されていることが好ましい。この場合、取付突起の変形能は、回転治具で加圧される取付突起のうち先端面側が大きい。上記のように設定された隙間形状であれば、取付突起の先端部の変形に良好に対処することができる。
【0008】
摩擦攪拌接合工程では、取付突起のうちの少なくとも一部は、溶融した後に凝固される形態が例示される。この場合、溶融状態が得られると、変形能力が増加するため、取付突起の変形能が増加し易い。また、溶融後に凝固した部分の冷却速度は速いため、凝固組織が微細化され、強度が高まり易い。あるいは、摩擦攪拌接合工程では、取付突起のうちの少なくとも一部は溶融せずに軟化し、径外方向に広がる形態が例示される。
【0009】
ブレーキ本体と取付盤体との間に防食膜が位置するように、ブレーキ本体および取付盤体のうちの少なくとも一方には防食膜が被覆されている形態が例示される。この場合、ブレーキ本体と取付盤体との間の電位差に起因する腐食が防食膜によって抑制される。
【0010】
車輪側に取り付けられる取付盤体は、アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材として形成されているため、軽量化を図り得る。取付盤体を構成するアルミニウム合金としては、アルミニウム−シリコン系、アルミニウム−シリコン−マグネシウム系、アルミニウム−マンガン系、アルミニウム−シリコン−マグネシウム系が例示される。取付盤体を構成するマグネシウム合金で形成されていても良い。マグネシウム合金としては、マグネシウム−アルミニウム系、マグネシウム−亜鉛系、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛系、マグネシウム−ジルコニウム−亜鉛系、マグネシウム−マンガン系が例示される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鋳鉄を基材とするブレーキ本体の取付孔に、アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材とする取付盤体の取付突起をそれぞれ嵌合させる。その状態で、回転治具を回転させつつ取付突起の先端部に当接させて回転治具の回転による摩擦熱により、取付突起の形状を変形させて取付突起の外壁面を各取付孔の内壁面に接合させ、ブレーキ本体と取付盤体とを一体に連結する。これにより軽量化を図りつつ、接合部の強度を確保することができるブレーキディスクの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化する各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1〜図9は本発明の実施形態1を示す。準備工程では、図1に示すように、ブレーキ作用を発揮するディスク状をなすブレーキ本体1と、車軸側の取り付けられるハット部2(取付盤体)とを準備する。ブレーキ本体1は、中央開口10を有するリング形状をなす摩擦摺動部11と、摩擦摺動部11の中心軸線P1の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付孔12とを備えている。摩擦摺動部11は、互いに背向する表面11x,11yを備えている。取付孔12は、断面で円形状をなしており、摩擦摺動部11の表面11x,11y間に貫通している。取付孔12は、摩擦摺動部11の内周側に形成されている。摩擦摺動部11は、放熱性に優れたベンチレーテッド型であり、相手材と摩擦摺動する平坦な摩擦摺動面13と、冷却空気を通過させる透孔17を形成する突部18とを備える。
【0014】
ブレーキ本体1は、摺動性を確保すべく、黒鉛を含む鋳鉄系材料を基材とする。鋳鉄系材料としては片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、芋虫状黒鉛鋳鉄、共晶黒鉛鋳鉄等が例示される。鋳鉄系材料の基地としてはフェライト系、パーライト系、フェライト・パーライト系、オーステナイト系、ベイナイト系が例示される。
【0015】
ハット部2は、軽量化等のために、アルミニウム合金を基材として形成されている。アルミニウム合金はアルミニウム−シリコン系であり、亜共晶組成をもち、シリコンを質量比で4〜10%、5〜8%含む。ハット部2は、ブレーキ本体1の中央開口10に配置される円盤部20と、円盤部20の中心軸線P2の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付突起22とを備えている。円盤部20は帽子形状をなしており、円筒部20aと、円筒部20aから径内方向に延設された内フランジ部20bと、円筒部20aから径外方向に延設された外フランジ部20cとを備えている。取付突起22は、ブレーキ本体1に対面する側のリング状をなす表面11sにおいて、ブレーキ本体1に向けて突出されている。従って取付突起22も、アルミニウム−シリコン系のアルミニウム合金を基材として形成されている。取付突起22は、ブレーキ本体1の各取付孔12にそれぞれ挿入可能とされている。
【0016】
図2に示すように、ブレーキ本体1の取付孔12は、これの内壁面である内周壁面15を備えている。内周壁面15は、取付孔12の中心軸線Paに沿って切断した断面(取付突起22の中心軸線Peに沿って切断した断面)で、傾斜を備える第1勾配16をもつ。第1勾配16は、取付孔12の中心軸線Paに対して角度θ1(図2参照)で傾斜している。従って取付孔12の内周壁面15は、円錐面形状をなしている。取付孔12について、取付突起22が挿入される側の挿入開口12aの内径をDa(図2参照)とし、取付突起22が突出する突出開口12bの内径をDb(図2参照)とすると、内径Dbは内径Dbよりも大きく設定されている。なお、取付孔12の深さはH1(図2参照)として示される。
【0017】
図3に示すように、取付突起22は、これの外壁面である外周壁面23を備えている。外周壁面23は、取付突起22の中心軸線Peに沿って切断した断面で、傾斜を備える第2勾配24をもつ。第2勾配24は、第1勾配16と逆の勾配を有しており、取付突起22の中心軸線Peに対して角度θ2(図3参照)で傾斜している。従って、取付突起22の外周壁面23は円錐面形状をなしている。取付突起22のうち、取付孔12に挿入される先端部27の先端面25の外径をDeとし、取付突起22の基端26側の外径をDfとする。ここで、外径Deは外径Dfよりも小さく設定されている。取付突起22の突出量はH2として示される。取付突起22の突出量H2は、取付孔12の深さH1よりも大きく設定されている(H2>H1)。
【0018】
嵌合配置工程においては、ブレーキ本体1の各取付孔12にハット部2の取付突起22をそれぞれ嵌合すると共に、ブレーキ本体1の内周側にハット部2を配置させる。嵌合配置工程において、図4に示すように、ブレーキ本体1の各取付孔12にハット部2の取付突起22をそれぞれ嵌合する。この場合、図5に示すように、取付突起22の外周壁面23と取付孔12の内周壁面15との間に、リング状の隙間3が形成される。隙間3は、取付突起22の先端面25に向かうにつれて隙間幅ta(図5参照)が増加する隙間幅に設定されている。
【0019】
図5に示すように、ブレーキ本体1の各取付孔12にハット部2の取付突起22が嵌合された状態では、取付突起22の先端面25は、取付孔12の周縁12cから寸法ΔH突出している。寸法ΔHは、隙間3の空間を埋める材料肉部分を確保するために必要である。隙間3の容積等に応じて適宜設定されるが、0.5〜3ミリメートル、0.8〜1.5ミリメートルが例示される。但しこれに限定されるものではない。なお、嵌合配置工程においては、図4および図5に示すように、取付孔12は、内径が相対的に小さな挿入開口12aおよび内径が相対的に大きな突出開口12bを有する。ここで、取付孔12の挿入開口12aは突出開口12bよりも下側に位置する。突出開口12bは挿入開口12aよりも上側に位置する。
【0020】
摩擦攪拌接合工程においては、高い剛性をもつ回転治具4を用いる。回転治具4は、平坦な先端加圧面40と、円筒形状の断面をもつ外周壁面41とを有する。図5から理解できるように、回転治具4の外径は、取付突起22の先端面25の外径よりも小さく設定されている。
【0021】
そして、ブレーキ本体1およびハット部2が固定されている状態で、回転治具4をこれの中心軸線Pkを中心として一方向に回転させる。回転治具4を回転させつつ、回転治具4を矢印Y1方向(中心軸線Pa,Peに沿った方向)に沿って加圧し、回転治具4の先端加圧面40を取付突起22の先端面25に強圧させて当接させる。ここで、回転治具4の回転により、取付突起22の先端面25側に摩擦熱が発生する。摩擦熱により、取付突起22の先端部27は部分的に軟化または溶融する。回転治具4は矢印Y1方向への加圧力を発揮させる。このため、取付突起22をこれの径外方向(矢印X1方向,図5参照)に拡径変形させる。この結果、ハット部2の取付突起22の外周壁面23を、ブレーキ本体1の取付孔12の内周壁面15に密着させて接合させる。この結果、ブレーキ本体1およびハット部2は、一体に連結される(図6参照)。回転治具4の先端加圧面40が矢印Y1方向に強圧されているため、一種の鍛圧効果が期待され、金属組織の緻密化が図られる。この意味においても、接合強度を高めるのに貢献できる。
【0022】
上記した摩擦攪拌接合工程において回転治具4の回転に基づいて発生する摩擦熱により、取付突起22の先端部27が部分的に溶融する場合には、その溶融部分は流動性を有するため、回転治具4の押し込みにより径外方向に広がりつつ、冷却されて再凝固する。回転治具4の回転に基づく遠心力が溶融部分に作用して径外方向にひろがる作用も期待される。摩擦攪拌接合工程においては、回転治具4の先端加圧面40が矢印Y1方向に強圧されているため、一種の鍛圧効果が期待され、組織が緻密化されるとともに、ピンホール等の空孔の低減にも貢献できる。更に、溶融再凝固部分の冷却速度が速く、溶融部分は急冷されるため、凝固組織が微細化され、凝固組織の強度が向上する。この意味においても接合部の強度を高めるのに貢献できる。このように摩擦攪拌接合工程では、取付突起22のうちの一部は、溶融した後に凝固されるため、取付突起22の変形能が大きく確保される。
【0023】
なお、回転治具4の材質は耐熱性に高いものが好ましい。例えば耐熱鋼(SKD材)が例示される。回転治具4の回転数は適宜設定されるが、500〜10000rpm、1000〜5000rpm、2000〜4000rpm、2500〜3500rpmが例示される。但しこれらに限定されるものではない。
【0024】
本実施形態によれば、回転治具4の中心軸線Pkと直交する断面では、回転治具4の外周壁面41は、真円形状をなしている。この場合、回転治具4を製造し易く、回転治具4の製造コストが低減される。
【0025】
但し場合によっては、長径/短径が1.01〜1.2程度の楕円形状とすることもできる。この場合、隙間幅が大きいときであっても、取付突起22の先端部27を径外方向に付勢させて、取付突起22の外周壁面23を取付孔12の内周壁面15に密着接合させる効果を期待できる。
【0026】
本実施形態によれば、上記した摩擦攪拌接合工程では、取付突起22のうちの一部は、溶融した後に凝固されることがある。この場合、溶融部分は固体部分よりも流動性を有するため、取付突起22の変形能が増加し、隙間3を良好に埋めることができる。取付突起22を構成するアルミニウム−シリコン系合金は鋳造性が良いため、隙間3を良好に埋めることができる。また、溶融後に凝固した部分の冷却速度は速いため、凝固組織が微細化され、この場合においても接合部の強度が高められる。
【0027】
図6は、摩擦攪拌接合工程の終了直前の状態を示す。図6に示すように、回転治具4の先端加圧面40は、取付突起22の先端部27側に押し込められている。図7は摩擦攪拌接合工程が終了した状態を示す。摩擦攪拌接合工程が終了すれば、取付突起22の先端面25は、取付孔12の周縁12c(ブレーキ本体1の表面11x)とほぼ面一状態となる。図6および図7に示すように、ハット部2の各取付突起22はブレーキ本体1の取付孔12の空間を満たしており、ブレーキ本体1に接合されているため、ブレーキ本体1とハット部2との抜け止め性が良好に確保される。ここで、取付孔12の内周壁面15の第1勾配16は、ハット部2の取付突起22が取付孔12から抜けることに対して抵抗を発揮するような傾斜を有するため、抜け止め勾配として機能できる。このため、ブレーキ本体1とハット部2との抜け止め性が一層確保される。なお、図7に示すように、摩擦攪拌接合工程を実施した後における取付突起22の先端面25には、回転治具4の先端加圧面40の押込跡である凹状部22hが形成されている。
【0028】
本実施形態によれば、図7に示すように、ブレーキ本体1とハット部2との間に防食膜5が位置するように、ブレーキ本体1およびハット部2のうちの少なくとも一方には防食膜5が被覆されている。具体的には、アルミニウム合金を基材とするハット部2のうち、ブレーキ本体1に接触する側の表面には、防食膜5が被覆されている。防食膜5は高い電気絶縁性をもち、塗装膜、アルマイト処理膜、樹脂膜等が例示される。但し、防食膜5は必要に応じて設ければよいものであり、場合によっては廃止しても良い。
【0029】
図8は、完成したブレーキディスクの平面図を示す。M1,M2は、中心軸線P1,P2を規定する直交線を示す。図8に示すように、ブレーキ本体1の内周側にハット部2が同軸的に配置されている。従って、ブレーキ本体1の中心軸線P1と、ハット部2の中心軸線P2とは、同軸的な配置とされている。複数の取付突起22は中心軸線P1の回りの仮想円弧M4に沿って均等間隔で形成されている。ハット部2には、中心軸線P2の回りの仮想円弧M5に沿って均等間隔で主孔29が形成されている。主孔29に挿通された取付具(図略)によりブレーキディスクは車輪側に取り付けられる。
【0030】
前記した摩擦攪拌接合工程においては、複数の取付突起22のうち、回転治具4を2個用意し、中心軸線P1、P2に対して対称的位置となる2個づつ、摩擦攪拌接合している。即ち、図8に示すように、取付突起22a,22bは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22c,22dは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22e,22fは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22g,22hは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22i,22kは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。本実施形態によれば、対称的配置とされている取付突起22a,22bを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22c,22dを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22e,22fを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22g,22hを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22i,22kを同時に摩擦攪拌接合する。以上のように対称的配置とされている2個の取付突起22を同時に摩擦攪拌接合するため、接合の均等性を維持するのに有利である。
【0031】
また本実施形態によれば、上記した接合形態に限定されず、複数の取付突起22をそれぞれ1個づつ順番に摩擦攪拌接合することにしても良い。あるいは、3個の取付突起22を同時に摩擦攪拌接合することにしても良い。あるいは、5個の取付突起22を同時に摩擦攪拌接合することにしても良い。場合によっては、全ての取付突起22を同時に摩擦攪拌接合することにしても良い。
【0032】
(実施形態2)
図10および図11は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図10に示すように、取付孔12Bは、ブレーキ本体1に形成されている第1孔121と、第1孔121の内径よりも大きな内径を備えるリング形状の第2孔122とを備えている。第1孔121および第2孔122は同軸的である。図10に示すように、取付突起22が取付孔12Bに嵌合されているとき、第2孔122は取付突起22の先端部27側に位置している。
【0033】
図11は摩擦攪拌接合工程の終了直前の状態を示す。図11に示すように、回転治具4の先端加圧面40は、取付突起22の先端部27の先端面25に押し込められている。図11に示すように、取付突起22の先端部27は径外方向に変形し、係合部22mを形成している。係合部22mは、第2孔122に埋め込まれて第2孔122と係合している。これによりブレーキ本体1とハット部2との抜け止め性が一層確保される。
【0034】
(実施形態3)
図12は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図12に示すように、取付孔12の突出開口12bの内径(取付孔12の最大内径)を相対表示で100とするとき、回転治具4の外径は80以上を占めるように、回転治具4の外径は拡径化されている。この場合、回転治具4が取付突起22の先端部27を加圧して矢印Y1方向(加圧方向)に押し込むとき、材料押込量が確保され、材料が径外方向に広がる。このため取付突起22の外周壁面23を取付孔12の内周壁面15に密着接合させ易い利点が得られる。
【0035】
(実施形態4)
図13は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。本実施形態によれば、図5に示す寸法ΔHが大きめとされている。従って、摩擦攪拌接合工程が実施されると、図13に示すように、取付孔12の突出開口12b(取付孔12の最大内径を有する開口)よりも回転治具4側に突き出る突出部分22wが鍔状に形成される。突出部分22wの外径は、取付孔12の突出開口12bの内径よりも大きい。このため、ハット部2の取付突起22がブレーキ本体1の取付孔12から抜けることが突出部分22wにより防止される。故に、抜け止め効果が向上する。
【0036】
(実施形態5)
図14は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図14に示すように、回転治具4Bの先端部400(下端部)は円錐軸形状とされており、平坦な先端加圧面40Bと、円錐面形状をなす外周壁面41Bとをもつ。外周壁面41Bは、取付突起22に向かうにつれて縮径する円錐形状をなす。図14に示すように、回転治具4Bの先端部400が取付突起22の先端面25に押し込められると、回転治具4Bの外周壁面41Bに対して垂直方向(矢印E1方向)に付勢力を発生させる。このため、取付突起22の溶融または軟化した先端部が回転治具4Bの外周壁面41Bにより矢印E1方向に付勢される。このため、取付突起22の外周壁面23は、取付孔12の内周壁面15に密着接合され易くなり、接合部の緻密化に貢献できる。
【0037】
(実施形態6)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図9を準用する。ハット部2は、アルミニウム−シリコン系のアルミニウム合金を基材として形成されている。シリコン量は11〜15%組成とされており、アルミニウム合金は過共晶組成とされている。
【0038】
(実施形態7)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図9を準用する。ハット部2は、マグネシウム合金を基材として形成されている。マグネシウム合金としては、マグネシウム−アルミニウム系、マグネシウム−亜鉛系、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛系、マグネシウム−ジルコニウム−亜鉛系、マグネシウム−マンガン系が例示される。
【0039】
(実施形態8)
図15は、実施形態8を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図15に示すように、ブレーキディスクの摩擦摺動部11の摩擦摺動面13に摩擦材を摩擦させて制動をかけるキャリパー60が設けられている。
【0040】
(その他)
上記した実施形態によれば、回転治具4Bは耐熱鋼で形成されているが、チタン合金、セラミックス等で形成しても良い。上記した実施形態によれば、回転治具4の外径は、取付突起22の先端面25の外径よりも小さく設定されているが、これに限らず、寸法ΔHが確保されている限り、回転治具4の外径は、取付突起22の先端面25の外径よりも大きく設定されていても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。ある実施形態に特有の構成および機能は他の実施形態にも適用できる。従って複数の実施形態の特徴を併合させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は車両や産業機器等のディスクブレーキ装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ブレーキ本体およびハット部を示す断面図である。
【図2】ブレーキ本体の取付孔付近を示す断面図である。
【図3】ハット部の取付突起付近を示す断面図である。
【図4】ハット部の取付突起をブレーキ本体の取付孔に嵌合する直前の状態を示す断面図である。
【図5】ハット部の取付突起をブレーキ本体の取付孔に嵌合している状態を示す断面図である。
【図6】回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図7】ハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させた状態を示す断面図である。
【図8】ブレーキディスクの正面図である。
【図9】ブレーキディスクの断面図である。
【図10】実施形態2に係り、ハット部の取付突起をブレーキ本体の取付孔に嵌合している状態を示す断面図である。
【図11】実施形態2に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図12】実施形態3に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図13】実施形態4に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図14】実施形態5に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図15】実施形態8に係り、キャリパーを搭載している状態を示すディスクブレーキ装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1はブレーキ本体、10は中央開口、11は摩擦摺動部、12は取付孔、13は摩擦摺動面、15は内周壁面(内壁面)、16は第1勾配、2はハット部(取付盤体)、20は円盤部、22は取付突起、23は外周壁面(外壁面)、24は第2勾配、25は先端面、27は先端部、4は回転治具、40は先端加圧面、41は外周壁面、5は防食膜を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳鉄を基材とする摩擦摺動部を有するブレーキディスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄系鋳物部材同士を摩擦圧接により接合する方法が開示されている(特許文献1)。このものによれば、摩擦圧力を低めにとり、摩擦時間を長くすることにより、接合部における温度勾配を緩やかに設定する。その後のアプセット力を大きくすると共にアプセット時間を短くし、鉄系鋳物部材同士を摩擦圧接により接合する。
【特許文献1】特開平9−85469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した技術によれば、鉄系鋳物部材同士を摩擦圧接により接合するため、黒鉛が含まれている鋳鉄では、摩擦圧接された部分が高温となり、その熱影響により接合部の強度低下が発生するおそれがあり、重要保安部品であるブレーキとしては好ましくない。
【0004】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、軽量化を図りつつ、接合部の強度を確保することができるブレーキディスクの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るブレーキディスクの製造方法は、(i)中央開口を有するリング形状をなすと共に相手材と摩擦摺動する摩擦摺動部と、前記摩擦摺動部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付孔とを備えている鋳鉄系材料を基材とするブレーキ本体と、アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材として形成され、前記ブレーキ本体の前記中央開口に配置される円盤部と、前記ブレーキ本体の各前記取付孔にそれぞれ挿入されるように前記円盤部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付突起とを備えており、車輪側に取り付けられる取付盤体とを準備する工程と、(ii)前記ブレーキ本体の各前記取付孔に前記取付盤体の前記取付突起をそれぞれ嵌合すると共に、前記ブレーキ本体の内周側に取付盤体を配置させる嵌合配置工程と、(iii)回転治具を回転させつつ前記取付突起の先端部に当接させて前記回転治具の回転による摩擦熱により、前記取付突起の形状を変形させて前記取付突起の外壁面を各前記取付孔の内壁面に接合させ、前記ブレーキ本体と前記取付盤体とを一体に連結する摩擦攪拌接合工程とを順に実施することを特徴とする。
【0006】
嵌合配置工程においては、ブレーキ本体の各取付孔に取付盤体の取付突起をそれぞれ嵌合すると共に、ブレーキ本体の内周側に取付盤体を配置させる。摩擦攪拌接合工程においては、回転治具を回転させつつ取付突起の先端部に当接させて回転治具の回転による摩擦熱により、取付突起の形状を変形させる。これにより取付突起の外壁面を各取付孔の内壁面に密着させて接合させる。この結果、ブレーキ本体と取付盤体とは一体に連結される。
【0007】
取付突起の外壁面および取付孔の内壁面のうちの少なくとも一方は、取付突起の中心軸線に沿って切断した断面で、勾配をもつことが好ましい。この場合、嵌合配置工程において、ブレーキ本体の各取付孔に取付盤体の取付突起をそれぞれ嵌合するとき、取付突起の外壁面と取付孔の内壁面との間に隙間が形成され、隙間は、取付突起の先端面に向かうにつれて隙間幅が増加するように設定されていることが好ましい。この場合、取付突起の変形能は、回転治具で加圧される取付突起のうち先端面側が大きい。上記のように設定された隙間形状であれば、取付突起の先端部の変形に良好に対処することができる。
【0008】
摩擦攪拌接合工程では、取付突起のうちの少なくとも一部は、溶融した後に凝固される形態が例示される。この場合、溶融状態が得られると、変形能力が増加するため、取付突起の変形能が増加し易い。また、溶融後に凝固した部分の冷却速度は速いため、凝固組織が微細化され、強度が高まり易い。あるいは、摩擦攪拌接合工程では、取付突起のうちの少なくとも一部は溶融せずに軟化し、径外方向に広がる形態が例示される。
【0009】
ブレーキ本体と取付盤体との間に防食膜が位置するように、ブレーキ本体および取付盤体のうちの少なくとも一方には防食膜が被覆されている形態が例示される。この場合、ブレーキ本体と取付盤体との間の電位差に起因する腐食が防食膜によって抑制される。
【0010】
車輪側に取り付けられる取付盤体は、アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材として形成されているため、軽量化を図り得る。取付盤体を構成するアルミニウム合金としては、アルミニウム−シリコン系、アルミニウム−シリコン−マグネシウム系、アルミニウム−マンガン系、アルミニウム−シリコン−マグネシウム系が例示される。取付盤体を構成するマグネシウム合金で形成されていても良い。マグネシウム合金としては、マグネシウム−アルミニウム系、マグネシウム−亜鉛系、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛系、マグネシウム−ジルコニウム−亜鉛系、マグネシウム−マンガン系が例示される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鋳鉄を基材とするブレーキ本体の取付孔に、アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材とする取付盤体の取付突起をそれぞれ嵌合させる。その状態で、回転治具を回転させつつ取付突起の先端部に当接させて回転治具の回転による摩擦熱により、取付突起の形状を変形させて取付突起の外壁面を各取付孔の内壁面に接合させ、ブレーキ本体と取付盤体とを一体に連結する。これにより軽量化を図りつつ、接合部の強度を確保することができるブレーキディスクの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化する各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
(実施形態1)
図1〜図9は本発明の実施形態1を示す。準備工程では、図1に示すように、ブレーキ作用を発揮するディスク状をなすブレーキ本体1と、車軸側の取り付けられるハット部2(取付盤体)とを準備する。ブレーキ本体1は、中央開口10を有するリング形状をなす摩擦摺動部11と、摩擦摺動部11の中心軸線P1の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付孔12とを備えている。摩擦摺動部11は、互いに背向する表面11x,11yを備えている。取付孔12は、断面で円形状をなしており、摩擦摺動部11の表面11x,11y間に貫通している。取付孔12は、摩擦摺動部11の内周側に形成されている。摩擦摺動部11は、放熱性に優れたベンチレーテッド型であり、相手材と摩擦摺動する平坦な摩擦摺動面13と、冷却空気を通過させる透孔17を形成する突部18とを備える。
【0014】
ブレーキ本体1は、摺動性を確保すべく、黒鉛を含む鋳鉄系材料を基材とする。鋳鉄系材料としては片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄、芋虫状黒鉛鋳鉄、共晶黒鉛鋳鉄等が例示される。鋳鉄系材料の基地としてはフェライト系、パーライト系、フェライト・パーライト系、オーステナイト系、ベイナイト系が例示される。
【0015】
ハット部2は、軽量化等のために、アルミニウム合金を基材として形成されている。アルミニウム合金はアルミニウム−シリコン系であり、亜共晶組成をもち、シリコンを質量比で4〜10%、5〜8%含む。ハット部2は、ブレーキ本体1の中央開口10に配置される円盤部20と、円盤部20の中心軸線P2の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付突起22とを備えている。円盤部20は帽子形状をなしており、円筒部20aと、円筒部20aから径内方向に延設された内フランジ部20bと、円筒部20aから径外方向に延設された外フランジ部20cとを備えている。取付突起22は、ブレーキ本体1に対面する側のリング状をなす表面11sにおいて、ブレーキ本体1に向けて突出されている。従って取付突起22も、アルミニウム−シリコン系のアルミニウム合金を基材として形成されている。取付突起22は、ブレーキ本体1の各取付孔12にそれぞれ挿入可能とされている。
【0016】
図2に示すように、ブレーキ本体1の取付孔12は、これの内壁面である内周壁面15を備えている。内周壁面15は、取付孔12の中心軸線Paに沿って切断した断面(取付突起22の中心軸線Peに沿って切断した断面)で、傾斜を備える第1勾配16をもつ。第1勾配16は、取付孔12の中心軸線Paに対して角度θ1(図2参照)で傾斜している。従って取付孔12の内周壁面15は、円錐面形状をなしている。取付孔12について、取付突起22が挿入される側の挿入開口12aの内径をDa(図2参照)とし、取付突起22が突出する突出開口12bの内径をDb(図2参照)とすると、内径Dbは内径Dbよりも大きく設定されている。なお、取付孔12の深さはH1(図2参照)として示される。
【0017】
図3に示すように、取付突起22は、これの外壁面である外周壁面23を備えている。外周壁面23は、取付突起22の中心軸線Peに沿って切断した断面で、傾斜を備える第2勾配24をもつ。第2勾配24は、第1勾配16と逆の勾配を有しており、取付突起22の中心軸線Peに対して角度θ2(図3参照)で傾斜している。従って、取付突起22の外周壁面23は円錐面形状をなしている。取付突起22のうち、取付孔12に挿入される先端部27の先端面25の外径をDeとし、取付突起22の基端26側の外径をDfとする。ここで、外径Deは外径Dfよりも小さく設定されている。取付突起22の突出量はH2として示される。取付突起22の突出量H2は、取付孔12の深さH1よりも大きく設定されている(H2>H1)。
【0018】
嵌合配置工程においては、ブレーキ本体1の各取付孔12にハット部2の取付突起22をそれぞれ嵌合すると共に、ブレーキ本体1の内周側にハット部2を配置させる。嵌合配置工程において、図4に示すように、ブレーキ本体1の各取付孔12にハット部2の取付突起22をそれぞれ嵌合する。この場合、図5に示すように、取付突起22の外周壁面23と取付孔12の内周壁面15との間に、リング状の隙間3が形成される。隙間3は、取付突起22の先端面25に向かうにつれて隙間幅ta(図5参照)が増加する隙間幅に設定されている。
【0019】
図5に示すように、ブレーキ本体1の各取付孔12にハット部2の取付突起22が嵌合された状態では、取付突起22の先端面25は、取付孔12の周縁12cから寸法ΔH突出している。寸法ΔHは、隙間3の空間を埋める材料肉部分を確保するために必要である。隙間3の容積等に応じて適宜設定されるが、0.5〜3ミリメートル、0.8〜1.5ミリメートルが例示される。但しこれに限定されるものではない。なお、嵌合配置工程においては、図4および図5に示すように、取付孔12は、内径が相対的に小さな挿入開口12aおよび内径が相対的に大きな突出開口12bを有する。ここで、取付孔12の挿入開口12aは突出開口12bよりも下側に位置する。突出開口12bは挿入開口12aよりも上側に位置する。
【0020】
摩擦攪拌接合工程においては、高い剛性をもつ回転治具4を用いる。回転治具4は、平坦な先端加圧面40と、円筒形状の断面をもつ外周壁面41とを有する。図5から理解できるように、回転治具4の外径は、取付突起22の先端面25の外径よりも小さく設定されている。
【0021】
そして、ブレーキ本体1およびハット部2が固定されている状態で、回転治具4をこれの中心軸線Pkを中心として一方向に回転させる。回転治具4を回転させつつ、回転治具4を矢印Y1方向(中心軸線Pa,Peに沿った方向)に沿って加圧し、回転治具4の先端加圧面40を取付突起22の先端面25に強圧させて当接させる。ここで、回転治具4の回転により、取付突起22の先端面25側に摩擦熱が発生する。摩擦熱により、取付突起22の先端部27は部分的に軟化または溶融する。回転治具4は矢印Y1方向への加圧力を発揮させる。このため、取付突起22をこれの径外方向(矢印X1方向,図5参照)に拡径変形させる。この結果、ハット部2の取付突起22の外周壁面23を、ブレーキ本体1の取付孔12の内周壁面15に密着させて接合させる。この結果、ブレーキ本体1およびハット部2は、一体に連結される(図6参照)。回転治具4の先端加圧面40が矢印Y1方向に強圧されているため、一種の鍛圧効果が期待され、金属組織の緻密化が図られる。この意味においても、接合強度を高めるのに貢献できる。
【0022】
上記した摩擦攪拌接合工程において回転治具4の回転に基づいて発生する摩擦熱により、取付突起22の先端部27が部分的に溶融する場合には、その溶融部分は流動性を有するため、回転治具4の押し込みにより径外方向に広がりつつ、冷却されて再凝固する。回転治具4の回転に基づく遠心力が溶融部分に作用して径外方向にひろがる作用も期待される。摩擦攪拌接合工程においては、回転治具4の先端加圧面40が矢印Y1方向に強圧されているため、一種の鍛圧効果が期待され、組織が緻密化されるとともに、ピンホール等の空孔の低減にも貢献できる。更に、溶融再凝固部分の冷却速度が速く、溶融部分は急冷されるため、凝固組織が微細化され、凝固組織の強度が向上する。この意味においても接合部の強度を高めるのに貢献できる。このように摩擦攪拌接合工程では、取付突起22のうちの一部は、溶融した後に凝固されるため、取付突起22の変形能が大きく確保される。
【0023】
なお、回転治具4の材質は耐熱性に高いものが好ましい。例えば耐熱鋼(SKD材)が例示される。回転治具4の回転数は適宜設定されるが、500〜10000rpm、1000〜5000rpm、2000〜4000rpm、2500〜3500rpmが例示される。但しこれらに限定されるものではない。
【0024】
本実施形態によれば、回転治具4の中心軸線Pkと直交する断面では、回転治具4の外周壁面41は、真円形状をなしている。この場合、回転治具4を製造し易く、回転治具4の製造コストが低減される。
【0025】
但し場合によっては、長径/短径が1.01〜1.2程度の楕円形状とすることもできる。この場合、隙間幅が大きいときであっても、取付突起22の先端部27を径外方向に付勢させて、取付突起22の外周壁面23を取付孔12の内周壁面15に密着接合させる効果を期待できる。
【0026】
本実施形態によれば、上記した摩擦攪拌接合工程では、取付突起22のうちの一部は、溶融した後に凝固されることがある。この場合、溶融部分は固体部分よりも流動性を有するため、取付突起22の変形能が増加し、隙間3を良好に埋めることができる。取付突起22を構成するアルミニウム−シリコン系合金は鋳造性が良いため、隙間3を良好に埋めることができる。また、溶融後に凝固した部分の冷却速度は速いため、凝固組織が微細化され、この場合においても接合部の強度が高められる。
【0027】
図6は、摩擦攪拌接合工程の終了直前の状態を示す。図6に示すように、回転治具4の先端加圧面40は、取付突起22の先端部27側に押し込められている。図7は摩擦攪拌接合工程が終了した状態を示す。摩擦攪拌接合工程が終了すれば、取付突起22の先端面25は、取付孔12の周縁12c(ブレーキ本体1の表面11x)とほぼ面一状態となる。図6および図7に示すように、ハット部2の各取付突起22はブレーキ本体1の取付孔12の空間を満たしており、ブレーキ本体1に接合されているため、ブレーキ本体1とハット部2との抜け止め性が良好に確保される。ここで、取付孔12の内周壁面15の第1勾配16は、ハット部2の取付突起22が取付孔12から抜けることに対して抵抗を発揮するような傾斜を有するため、抜け止め勾配として機能できる。このため、ブレーキ本体1とハット部2との抜け止め性が一層確保される。なお、図7に示すように、摩擦攪拌接合工程を実施した後における取付突起22の先端面25には、回転治具4の先端加圧面40の押込跡である凹状部22hが形成されている。
【0028】
本実施形態によれば、図7に示すように、ブレーキ本体1とハット部2との間に防食膜5が位置するように、ブレーキ本体1およびハット部2のうちの少なくとも一方には防食膜5が被覆されている。具体的には、アルミニウム合金を基材とするハット部2のうち、ブレーキ本体1に接触する側の表面には、防食膜5が被覆されている。防食膜5は高い電気絶縁性をもち、塗装膜、アルマイト処理膜、樹脂膜等が例示される。但し、防食膜5は必要に応じて設ければよいものであり、場合によっては廃止しても良い。
【0029】
図8は、完成したブレーキディスクの平面図を示す。M1,M2は、中心軸線P1,P2を規定する直交線を示す。図8に示すように、ブレーキ本体1の内周側にハット部2が同軸的に配置されている。従って、ブレーキ本体1の中心軸線P1と、ハット部2の中心軸線P2とは、同軸的な配置とされている。複数の取付突起22は中心軸線P1の回りの仮想円弧M4に沿って均等間隔で形成されている。ハット部2には、中心軸線P2の回りの仮想円弧M5に沿って均等間隔で主孔29が形成されている。主孔29に挿通された取付具(図略)によりブレーキディスクは車輪側に取り付けられる。
【0030】
前記した摩擦攪拌接合工程においては、複数の取付突起22のうち、回転治具4を2個用意し、中心軸線P1、P2に対して対称的位置となる2個づつ、摩擦攪拌接合している。即ち、図8に示すように、取付突起22a,22bは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22c,22dは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22e,22fは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22g,22hは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。取付突起22i,22kは、中心軸線P1、P2に対して対称的位置とされている。本実施形態によれば、対称的配置とされている取付突起22a,22bを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22c,22dを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22e,22fを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22g,22hを同時に摩擦攪拌接合する。対称的配置とされている取付突起22i,22kを同時に摩擦攪拌接合する。以上のように対称的配置とされている2個の取付突起22を同時に摩擦攪拌接合するため、接合の均等性を維持するのに有利である。
【0031】
また本実施形態によれば、上記した接合形態に限定されず、複数の取付突起22をそれぞれ1個づつ順番に摩擦攪拌接合することにしても良い。あるいは、3個の取付突起22を同時に摩擦攪拌接合することにしても良い。あるいは、5個の取付突起22を同時に摩擦攪拌接合することにしても良い。場合によっては、全ての取付突起22を同時に摩擦攪拌接合することにしても良い。
【0032】
(実施形態2)
図10および図11は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図10に示すように、取付孔12Bは、ブレーキ本体1に形成されている第1孔121と、第1孔121の内径よりも大きな内径を備えるリング形状の第2孔122とを備えている。第1孔121および第2孔122は同軸的である。図10に示すように、取付突起22が取付孔12Bに嵌合されているとき、第2孔122は取付突起22の先端部27側に位置している。
【0033】
図11は摩擦攪拌接合工程の終了直前の状態を示す。図11に示すように、回転治具4の先端加圧面40は、取付突起22の先端部27の先端面25に押し込められている。図11に示すように、取付突起22の先端部27は径外方向に変形し、係合部22mを形成している。係合部22mは、第2孔122に埋め込まれて第2孔122と係合している。これによりブレーキ本体1とハット部2との抜け止め性が一層確保される。
【0034】
(実施形態3)
図12は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図12に示すように、取付孔12の突出開口12bの内径(取付孔12の最大内径)を相対表示で100とするとき、回転治具4の外径は80以上を占めるように、回転治具4の外径は拡径化されている。この場合、回転治具4が取付突起22の先端部27を加圧して矢印Y1方向(加圧方向)に押し込むとき、材料押込量が確保され、材料が径外方向に広がる。このため取付突起22の外周壁面23を取付孔12の内周壁面15に密着接合させ易い利点が得られる。
【0035】
(実施形態4)
図13は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。本実施形態によれば、図5に示す寸法ΔHが大きめとされている。従って、摩擦攪拌接合工程が実施されると、図13に示すように、取付孔12の突出開口12b(取付孔12の最大内径を有する開口)よりも回転治具4側に突き出る突出部分22wが鍔状に形成される。突出部分22wの外径は、取付孔12の突出開口12bの内径よりも大きい。このため、ハット部2の取付突起22がブレーキ本体1の取付孔12から抜けることが突出部分22wにより防止される。故に、抜け止め効果が向上する。
【0036】
(実施形態5)
図14は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図14に示すように、回転治具4Bの先端部400(下端部)は円錐軸形状とされており、平坦な先端加圧面40Bと、円錐面形状をなす外周壁面41Bとをもつ。外周壁面41Bは、取付突起22に向かうにつれて縮径する円錐形状をなす。図14に示すように、回転治具4Bの先端部400が取付突起22の先端面25に押し込められると、回転治具4Bの外周壁面41Bに対して垂直方向(矢印E1方向)に付勢力を発生させる。このため、取付突起22の溶融または軟化した先端部が回転治具4Bの外周壁面41Bにより矢印E1方向に付勢される。このため、取付突起22の外周壁面23は、取付孔12の内周壁面15に密着接合され易くなり、接合部の緻密化に貢献できる。
【0037】
(実施形態6)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図9を準用する。ハット部2は、アルミニウム−シリコン系のアルミニウム合金を基材として形成されている。シリコン量は11〜15%組成とされており、アルミニウム合金は過共晶組成とされている。
【0038】
(実施形態7)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図1〜図9を準用する。ハット部2は、マグネシウム合金を基材として形成されている。マグネシウム合金としては、マグネシウム−アルミニウム系、マグネシウム−亜鉛系、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛系、マグネシウム−ジルコニウム−亜鉛系、マグネシウム−マンガン系が例示される。
【0039】
(実施形態8)
図15は、実施形態8を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図15に示すように、ブレーキディスクの摩擦摺動部11の摩擦摺動面13に摩擦材を摩擦させて制動をかけるキャリパー60が設けられている。
【0040】
(その他)
上記した実施形態によれば、回転治具4Bは耐熱鋼で形成されているが、チタン合金、セラミックス等で形成しても良い。上記した実施形態によれば、回転治具4の外径は、取付突起22の先端面25の外径よりも小さく設定されているが、これに限らず、寸法ΔHが確保されている限り、回転治具4の外径は、取付突起22の先端面25の外径よりも大きく設定されていても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。ある実施形態に特有の構成および機能は他の実施形態にも適用できる。従って複数の実施形態の特徴を併合させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は車両や産業機器等のディスクブレーキ装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ブレーキ本体およびハット部を示す断面図である。
【図2】ブレーキ本体の取付孔付近を示す断面図である。
【図3】ハット部の取付突起付近を示す断面図である。
【図4】ハット部の取付突起をブレーキ本体の取付孔に嵌合する直前の状態を示す断面図である。
【図5】ハット部の取付突起をブレーキ本体の取付孔に嵌合している状態を示す断面図である。
【図6】回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図7】ハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させた状態を示す断面図である。
【図8】ブレーキディスクの正面図である。
【図9】ブレーキディスクの断面図である。
【図10】実施形態2に係り、ハット部の取付突起をブレーキ本体の取付孔に嵌合している状態を示す断面図である。
【図11】実施形態2に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図12】実施形態3に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図13】実施形態4に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図14】実施形態5に係り、回転治具によりハット部の取付突起を変形させて取付突起をブレーキ本体の取付孔の内周壁面に密着接合させている状態を示す断面図である。
【図15】実施形態8に係り、キャリパーを搭載している状態を示すディスクブレーキ装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1はブレーキ本体、10は中央開口、11は摩擦摺動部、12は取付孔、13は摩擦摺動面、15は内周壁面(内壁面)、16は第1勾配、2はハット部(取付盤体)、20は円盤部、22は取付突起、23は外周壁面(外壁面)、24は第2勾配、25は先端面、27は先端部、4は回転治具、40は先端加圧面、41は外周壁面、5は防食膜を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)中央開口を有するリング形状をなすと共に相手材と摩擦摺動する摩擦摺動部と、前記摩擦摺動部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付孔とを備えている鋳鉄系材料を基材とするブレーキ本体と、
アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材として形成され、前記ブレーキ本体の前記中央開口に配置される円盤部と、前記ブレーキ本体の各前記取付孔にそれぞれ挿入されるように前記円盤部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付突起とを備えており、車輪側に取り付けられる取付盤体とを準備する工程と、
(ii)前記ブレーキ本体の各前記取付孔に前記取付盤体の前記取付突起をそれぞれ嵌合すると共に、前記ブレーキ本体の内周側に取付盤体を配置させる嵌合配置工程と、
(iii)回転治具を回転させつつ前記取付突起の先端部に当接させて前記回転治具の回転による摩擦熱により、前記取付突起の形状を変形させて前記取付突起の外壁面を各前記取付孔の内壁面に接合させ、前記ブレーキ本体と前記取付盤体とを一体に連結する摩擦攪拌接合工程とを順に実施することを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記取付突起の外壁面および前記取付孔の内壁面のうちの少なくとも一方は、前記取付突起の中心軸線に沿って切断した断面で勾配をもち、
前記嵌合配置工程において、ブレーキ本体の各前記取付孔に前記取付盤体の前記取付突起をそれぞれ嵌合するとき、前記取付突起の外壁面と前記取付孔の内壁面との間に隙間が形成され、前記隙間は、前記取付突起の先端面に向かうにつれて隙間幅が増加するように設定されていることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記摩擦攪拌接合工程では、前記取付突起のうちの少なくとも一部は、溶融した後に凝固されることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記ブレーキ本体と前記取付盤体との間に防食膜が位置するように、前記ブレーキ本体および前記取付盤体のうちの少なくとも一方には前記防食膜が被覆されていることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【請求項1】
(i)中央開口を有するリング形状をなすと共に相手材と摩擦摺動する摩擦摺動部と、前記摩擦摺動部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付孔とを備えている鋳鉄系材料を基材とするブレーキ本体と、
アルミニウム合金またはマグネシウム合金を基材として形成され、前記ブレーキ本体の前記中央開口に配置される円盤部と、前記ブレーキ本体の各前記取付孔にそれぞれ挿入されるように前記円盤部の中心軸線の回りの周方向において間隔を隔てて形成された複数個の取付突起とを備えており、車輪側に取り付けられる取付盤体とを準備する工程と、
(ii)前記ブレーキ本体の各前記取付孔に前記取付盤体の前記取付突起をそれぞれ嵌合すると共に、前記ブレーキ本体の内周側に取付盤体を配置させる嵌合配置工程と、
(iii)回転治具を回転させつつ前記取付突起の先端部に当接させて前記回転治具の回転による摩擦熱により、前記取付突起の形状を変形させて前記取付突起の外壁面を各前記取付孔の内壁面に接合させ、前記ブレーキ本体と前記取付盤体とを一体に連結する摩擦攪拌接合工程とを順に実施することを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記取付突起の外壁面および前記取付孔の内壁面のうちの少なくとも一方は、前記取付突起の中心軸線に沿って切断した断面で勾配をもち、
前記嵌合配置工程において、ブレーキ本体の各前記取付孔に前記取付盤体の前記取付突起をそれぞれ嵌合するとき、前記取付突起の外壁面と前記取付孔の内壁面との間に隙間が形成され、前記隙間は、前記取付突起の先端面に向かうにつれて隙間幅が増加するように設定されていることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記摩擦攪拌接合工程では、前記取付突起のうちの少なくとも一部は、溶融した後に凝固されることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記ブレーキ本体と前記取付盤体との間に防食膜が位置するように、前記ブレーキ本体および前記取付盤体のうちの少なくとも一方には前記防食膜が被覆されていることを特徴とするブレーキディスクの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−30625(P2009−30625A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191925(P2007−191925)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】
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