説明

ブレーキブースタ負圧確保制御装置

【課題】ブレーキブースタ負圧確保制御装置において、車両のエンジン補機類の動作を制御するブレーキ負圧確保機能の作動頻度を下げることにある。
【解決手段】制御手段(20)は、ブレーキブースタ(13)内のブレーキ負圧が任意に設定されたブレーキ負圧所定値(α)よりも小さいブレーキ負圧であると判断した場合に、時間カウントを開始し、この時間カウント中に得られるブレーキ負圧を求め、この求められたブレーキ負圧中で最も大きなブレーキ負圧が得られた場合に、この最も大きなブレーキ負圧をブレーキ負圧として更新し、任意に設定された時間経過をもって時間カウントを終了し、再度ブレーキブースタ(13)内のブレーキ負圧をブレーキ負圧所定値(α)と比較してブレーキ負圧確保機能の作動を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブレーキブースタ負圧確保制御装置に係り、特にエンジンの吸気負圧を利用するブレーキブースタ負圧確保制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの車両には、フットブレーキ(以下「ブレーキ」という)の軽い踏込み力でも高い制動力を得られるように、フットブレーキ操作(以下「ブレーキ操作」という)を補助するために、ブレーキブースタが設けられている。このブレーキブースタは、その動力源としてエンジンの吸気負圧を利用するものがあり、ブレーキ操作を行うことで内部のブレーキ負圧が大気圧(0)側に近づくものである。この場合、ブレーキ操作の補助効果が低下するため、早期にある程度のブレーキ負圧が確保されることが望ましい。
このため、車両によっては、ブレーキブースタ内のブレーキ負圧が任意に設定されたブレーキ負圧所定値(以下「所定値」という)よりもブレーキ負圧が大気圧側(以下「所定値よりもブレーキ負圧が下回る状態」又は「所定値よりもブレーキ負圧が小さい状態」ともいう)であると判定されると、制御手段(ECU)により早期にブレーキ負圧確保制御を実施するものがある。
このブレーキ負圧確保制御によって、エンジン補機類として、例えば、エアコン用コンプレッサやオルタネータの作動の停止、又は、排気触媒の早期暖機のためにエンジンの点火時期の遅角制御での遅角量の調整若しくは中止等が行われる。
また、ブレーキ操作がなされたことをブレーキスイッチが検知し、その検知結果を利用して早期にブレーキ負圧確保制御を実施する方法には、例えば、所定時間内におけるブレーキの使用回数に応じて実施する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3858622号公報
【特許文献2】特開2007−331399号公報
【特許文献3】特開2008−208729号公報
【0004】
特許文献1では、排気系に配設された触媒の早期の暖機とブレーキブースタへの早期のブレーキ負圧の確保とを目的とし、エンジンの点火時期の進角及び遅角制御を行い、ある所定のブレーキ負圧が確保されることを境に、早期の触媒暖機のための点火時期の遅角制御を開始、若しくは点火時期の遅角制御の速度を速め、ある程度のブレーキ負圧が確保されれば、点火時期の進角制御を開始するというものである。
特許文献2では、排気系に配設される触媒の早期の暖機とブレーキブースタへの早期のブレーキ負圧の確保とを目的とし、ブレーキ負圧をより早期に確保するために、そのときのブレーキの使用回数がある一定値よりも大きくなれば、触媒の暖機のための点火時期の遅角量を制限する制御と、空調装置(エアコン)等のエンジン補機類の作動の停止の制御を実施するというものである。
特許文献3では、車両のアクセルオン時とアクセルオフ時とによって、エンジン、変速機、エンジン補機類の制御を変更し、アクセルオン時では、エンジンの目標回転数と変速機の変速比とを変更してエンジン回転数を上昇させ、エンジンの吸気負圧を増加させることで、エンジン補機類の作動の停止を行わない方法を採り、そして、アクセルオフ時では、1つ又は2つのエンジン補機類の作動の停止を実施することで、ブレーキブースタ内のフレーキ負圧の確保を行い、また、ブレーキブースタ内のブレーキ負圧を、車速とブレーキ負圧との関係を設定したマップから求め、さらに、ブレーキの操作回数に応じた補正値を差し引いて推定演算するというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、上記の引用文献1〜3においては、早期のブレーキ負圧の確保を実施し、吸気系に配設した吸気管圧力センサで測定した吸気負圧からブレーキブースタヘ供給される吸気負圧を算出(「推定」ともいう)する方法や、車速等よりブレーキ負圧を推定する方法が採られている。同時に、ブレーキ操作の有無をブレーキスイッチ等を用いて確認し、ブレーキ操作に応じてブレーキ負圧確保制御を行っている。この場合、ブレーキ負圧確保制御の実施条件を、所定時間内のブレーキ操作回数がある値を超えた場合としている。
しかしながら、エンジンヘの吸気量を調整するスロットルバルブを有する車両の場合、アクセルペダルの踏み込み操作がなされないブレーキ操作時には、スロットルバルブが全閉することで、ブレーキ操作の合間に大きなブレーキ負圧が得られる可能性があるのにもかかわらず、ブレーキ負圧確保制御が実施され、また、ブレーキ操作の回数に応じたブレーキ負圧減量補正値を、求めたブレーキ負圧より差し引く方法も提案されているが、このブレーキ負圧減量補正値を差し引いたブレーキ負圧が実際のブレーキ負圧と同値であることは現実的に困難であった。
【0006】
次に、このブレーキの操作回数に応じたブレーキ負圧減量補正値を求めたブレーキ負圧より差し引く場合についての問題点を、吸気負圧、ブレーキ負圧、ブレーキ操作、エアコン用コンプレッサの作動及び停止の関係の一例を示す図4のタイムチャートに基づいて説明する。
図4においては、縦軸は負圧の大きさを示しており、縦軸の下側である程、負圧が大であることを意味する。また、横軸は、時間を示し、また、ブレーキブースタのブレーキ負圧の所定値(α)(αは任意の値)も示す。この所定値(α)よりも小さなブレーキ負圧であると判断されることは、ブレーキ負圧確保制御を実施するトリガとなる。
図4に示すように、吸気負圧が略最大となる時刻t1の後、時刻t2でブレーキ負圧が所定値(α)をよりも小さい(負圧小方向)と判断されたとすると、早期のブレーキ負圧確保の一つの手段として、時刻t2で、エンジン補機類としてのエアコン用コンプレッサの作動を停止する制御を実施する。
その後、時刻t3でブレーキ操作がなされることで(この場合、ブレーキ操作回数は一回としてカウントする)(ブレーキスイッチがオン)、そのブレーキ操作に応じたブレーキ負圧減量分を、時刻t3の時点でのブレーキ負圧から差し引いて求める。
一方、時刻t3からブレーキ操作が停止する時刻t4の間で、所定値(α)よりも大きな吸気負圧(負圧大方向)が得られているので、本来であればブレーキ負圧減量分は大きくないのにもかかわらず、時刻t3から時刻t4にかけてブレーキ負圧減量分を大きく見込んでしまい、実際とかけ離れたブレーキ負圧の値を算出してしまっている。その後、得られた吸気負圧に追従してブレーキ負圧が増大し、時刻t5において所定値(α)となることで、エアコン用コンプレッサの作動を停止する制御が解除される。
つまり、従来、ブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さいと判断されると、即座にブレーキ負圧確保機能を作動させてしまい、また、ブレーキブースタ内のブレーキ負圧が実際と異なることにより、ブレーキ負圧確保制御が頻繁に行われてしまい、このため、エンジンの補機類の作動停止や点火遅角制御の停止の頻度が高くなるという不都合があった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、車両のエンジン補機類の動作を制御するブレーキ負圧確保機能の作動頻度を下げるブレーキブースタ負圧確保制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、エンジンの吸気負圧を利用するブレーキブースタを設け、前記エンジンによって駆動するエンジン補機類を設け、乗員によって操作されるフットブレーキを設け、このフットブレーキの操作を検知するブレーキスイッチを設け、前記エンジンの吸気負圧を増大させるために前記エンジン若しくは前記エンジン補機類の動作を制御するブレーキ負圧確保機能が備えられた制御手段を設けたブレーキブースタ負圧確保制御装置において、前記制御手段は、前記ブレーキブースタ内のブレーキ負圧が任意に設定されたブレーキ負圧所定値よりも小さいブレーキ負圧であると判断した場合に、時間カウントを開始し、この時間カウント中に得られるブレーキ負圧を求め、この求められたブレーキ負圧中で最も大きなブレーキ負圧が得られた場合に、この最も大きなブレーキ負圧をブレーキ負圧として更新し、任意に設定された一定時間経過をもって前記時間カウントを終了し、再度前記ブレーキブースタ内のブレーキ負圧を前記ブレーキ負圧所定値と比較して前記ブレーキ負圧確保機能の作動を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明のブレーキブースタ負圧確保制御装置は、時間カウント中にブレーキ負圧所定値よりも大きなブレーキ負圧が得られた場合に、ブレーキ負圧確保制御を実施する必要をなくし、ブレーキ負圧確保機能の作動頻度を下げることができ、一方で、任意の一定時間経過後にブレーキ負圧所定値よりも小さいブレーキ負圧である場合には早期にブレーキ負圧確保制御を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1はブレーキブースタ負圧確保制御のフローチャートである。(実施例)
【図2】図2は吸気負圧、ブレーキ負圧、ブレーキ操作、エアコン用コンプレッサの作動及び停止の関係を示すタイムチャートである。(実施例)
【図3】図3はブレーキブースタ負圧確保制御装置のシステム構成図である。(実施例)
【図4】図4は従来の吸気負圧、ブレーキ負圧、ブレーキ操作、エアコン用コンプレッサの作動及び停止の関係を示すタイムチャートである。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明は、車両のエンジン補機類の動作を制御するブレーキ負圧確保機能の作動頻度を下げる目的を、時間カウント中にブレーキ負圧所定値よりも大きなブレーキ負圧が得られた場合には、ブレーキ負圧確保制御を実施する必要をなくして実現するものである。
【実施例】
【0012】
図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。
図3において、1は車両に搭載されるエンジンである。
エンジン1には、上流側である吸気側において、吸気マニホルド2が接続している。この吸気マニホルド2は、サージタンク3を備える。このサージタンク3には、吸気管4の下流端が連結している。この吸気管4の上流端は、エアクリーナ5に連結している。吸気管4内には、エアクリーナ5の下流側でスロットルバルブ6が配設されている。
エンジン1には、下流側である排気側において、排気マニホルド7が連結している。この排気マニホルド7は、排ガスを浄化する触媒コンバータ8に連結している。この触媒コンバータ8には、排気管9が連結している。
【0013】
また、車両には、ブレーキブースタ負圧確保制御装置10が搭載される。
このブレーキブースタ負圧確保制御装置10において、エンジン1には、このエンジン1によって駆動するエンジン補機類11としての、例えば、空調装置(エアコン)のエアコン用コンプレッサ12が取り付けられている。このエアコン用コンプレッサ12は、エンジン1にベルトを介してエンジン1からの出力を利用して作動する。
サージタンク3には、エンジン1の吸気負圧を利用するブレーキブースタ13の圧力室14に開口する負圧供給管15が連結している。ブレーキブースタ13の圧力室14には、負圧供給管15を介してエンジン1のサージタンク3からの吸気負圧が導かれる。ブレーキブースタ13には、乗員によって操作されるフットブレーキ(以下「ブレーキ」という)16が接続している。
負圧供給管15は、逆止弁17を備えている。この逆止弁17は、所定の大きな吸気負圧が得られた場合に開動作してブレーキブースタ13ヘより大きな吸気負圧を供給する。そのため、逐次、より大きな吸気負圧が得られれば、ブレーキブースタ13の圧力室14には、その大きな吸気負圧が供給される。
ブレーキ16には、ブレーキスイッチ18が取り付けられる。また、サージタンク3には、吸気負圧を測定する吸気管圧力センサ19が取り付けられる。
ブレーキスイッチ18と吸気管圧力センサ19とは、制御手段(ECU)20に連絡する。ブレーキスイッチ18は、ブレーキ16の操作を検知するものであり、フットブレーキ操作(以下「ブレーキ操作」という)の有無を検知し、ブレーキ操作があった場合に、ブレーキ信号を制御手段20に出力する。吸気管圧力センサ19は、測定した吸気負圧の信号を制御手段20に出力する。また、制御手段20には、エアコン用コンプレッサ12が連絡している。
制御手段20は、ブレーキスイッチ18及び吸気管圧力センサ19の他、他のセンサ類等の出力信号の結果からエアコン用コンプレッサ12を作動し、また、ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が不足と判断した場合には、早期のブレーキ負圧確保のために、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施する。
このため、制御手段20は、エンジン1の吸気負圧を増大させるためにエンジン1若しくはエンジン補機類11の動作を制御するブレーキ負圧確保機能を備え、また、時間カウントするタイマ機能を備え、更に、各種出力信号の値を演算比較する演算比較機能を備える。
【0014】
この実施例においては、ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧がある任意に設定されたブレーキ負圧所定値(以下「所定値(α)」という)よりも小さい(大気圧側)と判断されると、制御手段20が時間カウントを開始する。そして、時間カウントの終了後に、ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さい場合には、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施する。
また、時間カウントの開始から一定時間が経過した場合に、ブレーキ負圧を確認し、ブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さい場合には、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施する。
更に、時間カウント中にブレーキ操作がなされた場合に、制御手段20は、時間カウントを中止し、さらに、ブレーキ操作時間を確認し、ブレーキ操作時間が所定時間以内の場合には、ブレーキ負圧を確認し、エアコン用コンプレッサ12の作動の停止要否の判断を行う一方、ブレーキ操作時間が所定時間以上の場合には、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施する。
さらに、前回のフローチャート処理終了時に、ブレーキ負圧が所定値(α)よりも大きいと判断された場合、次回には、吸気負圧の測定及びブレーキ負圧の算出を行ってからフロー処理を終える。
なお、この場合、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御をブレーキ負圧確保機能と称し、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御は、エンジン1若しくはエアコン用コンプレッサ12の動作を制御するブレーキ負圧確保機能の一種であり、また、ブレーキ負圧確保機能には、その他のエンジン補機類の停止やエンジン1の遅角点火制御も含むものである。
【0015】
次に、ブレーキ負圧確保機能として、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施する一例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。
図1のフローチャートにおいては、制御手段20のフロー処理を示し、(i−1)、(i)、(i+1)、(i+2)が制御上のフェーズを表す。
図1に示すように、制御手段20のプログラムがスタートすると(ステップA01)、先ず、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧(i−1)と、吸気管圧力センサ19が測定する吸気負圧(i)とを入力する(ステップA02)。このブレーキ負圧(i−1)の入力は、前回のフロー処理が存在しないために、エンジン1の始動開始後の1回目のフロー処理の場合には行わず、2回目以降のフロー処理時において行われる。
そして、その入力した吸気負圧(i)により、ブレーキ負圧(i)の算出を行う(ステップA03)。このブレーキ負圧(i)の算出は、ブレーキ負圧(i−1)の値に関係なく実施される。
次に、ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも小さいか否かを判断する(ステップA04)。この所定値(α)は、車両毎に設定される値である。なお、エンジン1の始動直後の場合には、今回のフロー処理が1回目として処理されるため、前回のフロー処理結果が存在しないので、このステップ4が省略される。
そして、このステップ4がYESで、前回のフロー処理終了時の結果からブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも小さい場合には、算出されたブレーキ負圧(i)が所定値(α)よりも大きいか否かを判断する(ステップA05)。
このステップA05がYESで、ブレーキ負圧(i)が所定値(α)よりも小さい場合には、時間カウントを開始する(ステップA06)。この時間カウントのカウント長さは、車両毎に設定される。
その後、吸気負圧(i+1)の入力を行い(ステップA07)、この入力した吸気負圧(i+1)からブレーキ負圧(i+1)を求め(ステップA08)、続いて、ブレーキ操作の有無を確認するために、ブレーキ信号が有るか否かを判断する(ステップA09)。このブレーキ操作は、一回検知されることで、ブレーキ操作が有りと判断される。
このステップA09がNOで、ブレーキ操作が無い場合には、前記ステップA05の時間カウントの開始から事前に設定された任意の一定時間が経過したか否かの判定、つまり、時間カウントが終了したかを判定する(ステップA10)。
このステップA10がNOで、時間カウントが終了していない場合には、その都度前記ステップA07に戻って吸気負圧(i+1)を入力し、さらに、前記ステップA08においてブレーキ負圧(i+1)を求め、そして、より大きいブレーキ負圧が得られた場合、そのブレーキ負圧をブレーキ負圧(i+1)として更新、つまり、この求められたブレーキ負圧中で最も大きなブレーキ負圧が得られた場合に、この最も大きなブレーキ負圧(i+1)をブレーキ負圧として更新する。
このステップA10がYESで、時間カウントが終了した場合には、ブレーキ負圧(i−1)の値を、ブレーキ負圧(i+1)の値に更新し、その記録を行う(ステップA11)。
続いて、ブレーキ負圧(i−1)の値を更新したブレーキ負圧(i+1)と所定値(α)との比較を行い、ブレーキ負圧(i+1)が所定値(α)よりも小さいか否かを判定する(ステップA12)。
このステップA12がYESで、ブレーキ負圧(i+1)が所定値(α)よりも小さい場合には、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施し(ステップA13)、プログラムをリターンする(ステップA14)。
【0016】
一方、前記ステップA04がNOで、前回のフロー処理終了時の結果からブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも大きい場合には、ブレーキ負圧(i−1)とブレーキ負圧(i)の比較を行い、ブレーキ負圧(i−1)がブレーキ負圧(i)よりも小さいか否かを判断する(ステップA15)。
前記ステップA15がYESで、前回のフロー処理終了時の結果からブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも小さい場合には、前記ステップA15での「NO」の判定が、連続で所定のN回以上なされたか否かの判定を行う(ステップA16)。なお、この回数「N」は、車両毎に設定される値である。
このステップA16を設けた理由は、この実施例においてフロー処理が繰り返し行われた際で、前記ステップA15にて繰り返し「NO」の判定がなされた場合に、実際のブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さくなるおそれがあることを考慮したためである。
ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧は、ブレーキブースタ13の構造上、時間経過によるブレーキブースタ13内への空気の浸入があるために、ブレーキ負圧が時間経過によって小さくなる問題を有する。ー方で、フロー処理が開始される度に、前記ステップA03の処理が実施され、ブレーキ負圧(i)を求めているのにも関わらず、数回前のフロー処理終了時に記録したブレーキ負圧(i−1)よりも大きなブレーキ負圧(i)が得られないために、ブレーキ負圧(i−1)が新たなブレーキ負圧の値に更新されず、実際のブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さいブレーキ負圧となっている場合がある。
このステップA16がYESで、前記ステップA15での「NO」の判定が連続でN回以上の場合には、前記ステップA16における「NO」の判定連続回数を零(0)に初期化し(連続回数を「0」に戻す)(ステップA17)、続いて、前記ステップA06に戻り、時間カウントを開始する。なお、回数「N」は、ブレーキ負圧(i−1)の値に応じて変更させても良い。この場合、ブレーキ負圧(i−1)の値が大きい程、回数「N」を大きくする。また、前記ステップA17では、ブレーキ負圧(i−1)の値を零(0)とする処理を、同時に行う構成としても良い。
前記ステップA16がNOで、前記ステップA15での「NO」の判定が連続で「N」回未満である場合には、ブレーキ負圧(i−1)の値を記録し(ステップA18)、プログラムをリターンする(ステップA14)。
【0017】
一方、前記ステップA15がYESで、ブレーキ負圧(i−1)がブレーキ負圧(i)よりも大きい場合には、ブレーキ負圧(i−1)の値を、ブレーキ負圧(i+1)の値に更新し、その記録を行い(ステップA19)、プログラムをリターンする(ステップA14)。
また、前記ステップA05がNOで、ブレーキ負圧(i)が所定値(α)よりも大きい場合にも、このステップA19に移行して、ブレーキ負圧(i−1)の値を、ブレーキ負圧(i+1)の値に更新し、その記録を行い、プログラムをリターンする(ステップA14)。
【0018】
また、前記ステップA09がYESで、ブレーキ操作が有る場合には、時間カウントの中止を実施する(ステップA20)。
続いて、前記ステップA09のブレーキ信号のあった時からのブレーキ操作時間に応じて、次のステップ処理内容を決定する。
前記ステップA09のブレーキ信号のあった時からのブレーキ操作時間が所定時間以上か否かを判断する(ステップA21)。
このステップA21がNOで、所定時間以上のブレーキ操作時間が無い場合には、吸気負圧(i+2)を入力し(ステップA22)、続いて、ブレーキ負圧(i+2)を算出する(ステップA23)。
前記ステップA22を行うのは、ブレーキ操作終了後である。なお、ブレーキ操作中の吸気負圧を入力する構成としても良い。
前記ステップA22及び前記ステップA23の処理を設けた理由は、ブレーキ操作時には、通常アクセル操作がなさないことと、さらに、この実施例のように、スロットルバルブ6を有するエンジン1の車両においては、アクセル操作がなされない場合に、スロットルバルブ6が全閉することで、大きな吸気負圧が得られる可能性があることに注目したことによる。
続いて、ブレーキ負圧(i−1)の値を、ブレーキ負圧(i+2)の値に更新し、記録する(ステップA24)。
そして、前記ステップA23で求めたブレーキ負圧(i+2)と所定値(α)との比較を行い、ブレーキ負圧(i+2)が所定値(α)よりも小さいか否かを判定する(ステップA25)。
このステップA25がYESで、ブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも小さい場合には、前記ステップA13に移行し、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施する。
しかし、前記ステップA25がNOで、ブレーキ負圧(i+2)が所定値(α)よりも大きい場合には、プログラムをリターンする(ステップA14)。
一方、前記ステップA21がYESで、所定時間以上のブレーキ操作が有る場合には、ブレーキ負圧(i−1)の値を、大気圧、つまり、ブレーキ負圧の値を零(0)に更新し、記録し(ステップA25)、続いて、前記ステップA13に移行し、エアコン用コンプレッサ12の作動を停止する制御を実施する。
【0019】
なお、前記ステップA13にて作動を停止したエアコン用コンプレッサ12が再作動するのは、次回以降のステップA04の処理時に、車両の乗員によって空調装置が作動するようエアコンスイッチが操作されており、且つ前記ステップA05、前記ステップA12、前記ステップA16、又は、前記ステップA25において、「NO」の判定がなされた場合に行われる。
【0020】
次いで、前述した図1のフローチヤートを適用した場合の主な優位点を、以下の第1〜第7に示すように、場合分けして説明する。
第1に、前記ステップA02から前記ステップA12まで順に処理される場合は、乗員によってブレーキ操作がなされない状況下の場合に有効である。ブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さくても、直ぐにブレーキ負圧確保制御を実施しないので、エアコン用コンプレッサ12の作動停止の頻度を下げられる。
第2に、前記ステップA04で「NO」の判定となり、前記ステップA15、前記ステップA16、前記ステップA17まで順に処理される場合は、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧(i−1)よりも大きなブレーキ負圧(i)が得られず、ブレーキ負圧の値が更新されないフロー処理が、ある所定回数以上連続して実施されている場合に有効である。前述したようにブレーキ負圧(i−1)は時間経過によって次第に小さくなるため、制御手段20が記録しているブレーキ負圧(i−1)よりも実際のブレーキ負圧は小さくなっている可能性があることから、このような場合に、ブレーキ負圧確保制御に移行できる。
第3に、前記ステップA04で「NO」の判定となり、前記ステップA15、前記ステップA16、前記ステップA18まで順に処理される場合は、上記の第2の場合と異なり、ブレーキ負圧(i−1)が更新されないフロー処理が、ある所定回数以上連続して実施されていない場合に有効である。この場合、上記の第2で述べたように、ブレーキ負圧(i−1)は時間経過によって次第に小さくなるが、制御手段20が記録しているブレーキ負圧(i−1)よりも実際のブレーキ負圧は小さくなっていないとし、ブレーキ負圧(i−1)をそのまま制御手段20に記録してフロー処理を終了することができ、制御手段20のフロー処理の負荷の軽減ができる。
第4に、前記ステップA05で「NO」の判定となり、前記ステップA19の処理がされる場合は、ブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも小さいブレーキ負圧であっても、ブレーキ負圧(i)が所定値(α)よりも大きい場合に、フロー処理を終了することができ、制御手段20のフロー処理の負荷の軽減ができる。
第5に、前記ステップA04から前記ステップA15を経由し、前記ステップA19に進んで処理される場合は、ブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも大きく、且つブレーキ負圧(i)がブレーキ負圧(i−1)よりも大きい場合に有効である。この場合、上記の2つのブレーキ負圧の大小を確認し、ブレーキ負圧(i−1)の値をブレーキ負圧(i)の値に更新するだけで、フロー処理を終了することができ、制御手段20のフロー処理の負荷の軽減ができる。
第6に、前記ステップA09で「YES」の判定となり、さらに前記ステップA21で「NO」の判定となり、前記ステップA25までに順にフロー処理される場合は、時間カウント中にブレーキ操作がなされ、且つそのブレーキ操作時間が比較的短い時間であった場合に有効である。前述したように、車両によってはブレーキ操作をすることで大きな吸気負圧が得られることがあり、それによって得られたブレーキ負圧(i+2)が所定値(α)よりも大きい場合に、ブレーキ負圧確保制御を実施せずに済み、エアコン用コンプレッサ12の作動停止の頻度を下げられる。一方で、ブレーキ負圧(i+2)が所定値(α)よりも小さい場合は、ブレーキ負圧確保制御に移行できる。
第7に、前記ステップA09で「YES」の判定となり、前記ステップA21を経由し、前記ステップA26に進んで処理される場合は、時間カウント中にブレーキ操作がなされ、且つそのブレーキ操作時間が比較的長い時間であった場合に有効である。この場合は、ブレーキ操作時間に応じたブレーキブースタ13内のブレーキ負圧減量分を求めるのではなく、ブレーキ負圧(i−1)の値を大気圧(負圧が0)とすることで、制御手段20のフロー処理の負荷の軽減ができ、且つ早期にブレーキ負圧確保制御に移行できる。
【0021】
次に、上記の図1のフローチャートを適用した場合の一例を、図2のタイムチャートに基づいて説明する。
図2は、吸気負圧、ブレーキ負圧、ブレーキ操作、エアコン用コンプレッサの作動及び停止の関係の一例を示すタイムチャートである。
この図2においては、図1のフローチャートの前記ステップA04、A05、A09では「YES」の判定がなされ、前記ステップA21、A25では「NO」の判定がなされた場合の例である。
また、図2においては、縦軸は負圧の大きさを示しており、縦軸の下側である程、負圧が大であることを意味する。また、横軸は、時間を示し、ブレーブースタ13の所定値(α)も示す。この所定値(α)よりも小さなブレーキ負圧であると判断されることは、ブレーキ負圧確保制御を行うトリガとなる。
図2においては、時刻t1までに図1の前記ステップA02から前記ステップA05までの処理を実施する。
時刻t1以前では、ブレーキ負圧、つまりブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも小さく、且つ時刻tlにおける吸気負圧、つまり吸気負圧(i)も所定値(α)よりも小さいことから、前記ステップA04、前記ステップA05が共に、「YES」の判定がなされ、前記ステップA06へ移行する。なお、前記ステップA02から前記ステップA05の処理を夫々別の時刻に行っても良い。
時刻t2において、前記ステップA06の処理を実施し、時間カウントを開始する。
この時間カウントの開始と共に、前記ステップA07から前記ステップA10の処理を繰り返し実施する。
吸気管圧力センサ19が測定する吸気負圧(i+1)の入力と、その吸気負圧(i+1)からブレーキ負圧(i+1)を逐次求め、より大きなブレーキ負圧となれば、その値に随時更新する。さらに、ブレーキ信号の有無の確認を行い、時間カウントの開始から一定時間が経過したか否かの確認を行う。
時刻t3では、ブレーキ操作がなされたため、前記ステップA09において「YES」の判定がなされ、前記ステップA20へ移行し、前記ステップA20にて時間カウント中止の処理を実施する。
このブレーキ操作は、時刻t3から時刻t4まで実施されている。つまり、ブレーキ操作時間は、ある所定時間未満のブレーキ操作時間とする。
前記ステップA21では、時刻t3から時刻t4まで実施されたブレーキ操作時間が所定時間未満であるので、「NO」の判定がなされ、前記ステップA22へ移行する。
前記ステップA22を実施する時刻が時刻t5であり、吸気負圧(i+2)の入力を行い、その後、前記ステップA23にてブレーキ負圧(i+2)の算出を行う。
時刻t5での吸気負圧は、所定値(α)よりも大きくなる値となっており、吸気負圧(i+2)より算出されるブレーキ負圧(i+2)は、所定値(α)よりも大きくなる。
続いて、前記ステップA24では、ブレーキ負圧(i−1)の値を、ブレーキ負圧(i+2)の値に更新してから、前記ステップA25に移行する。
前記ステップA23にて求めたブレーキ負圧(i+2)に更新したブレーキ負圧(i−1)が所定値(α)よりも大きいので、前記ステップA25において「NO」の処理がなされ、前記ステップA14に移行してリターンとなり、前記ステップA02に戻ってフロー処理を実行する。
【0022】
従って、この実施例においては、ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さいと判断されると、時間カウントを開始し、また、時間カウント終了後にブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が所定値(α)よりも小さい場合には、早期のブレーキ負圧確保制御を実施し、更に、時間カウント中にブレーキ操作がなされた場合、ブレーキ操作時間に応じてブレーキ負圧の確認、又はエアコン用コンプレッサ12の作動を停止することにより、エンジン補機類11の作動停止等を実施する頻度を下げることができ、また、時間カウント中にブレーキ操作がなされた場合、ブレーキ操作時間に応じてブレーキ負圧の確認、又はエアコン用コンプレッサ12の作動停止を行うことによって、エンジン補機類11の作動停止の頻度を下げると共に、ブレーキ操作時間によってはエンジン補機類11の作動停止の制御を実施できる。
また、前回のフローチャート処理終了時にブレーキ負圧が所定値(α)よりも大きいと判断されると、制御手段20が吸気負圧を入力し、ブレーキ負圧を算出してからフロー処理を終えることから、前回のフロー処理終了時にブレーキブ−スタ13内のブレーキ負圧が所定値(α)よりも大きく確保されている場合、早期にブレーキ負圧確保制御が実施されることを防ぐことができ、併せて、時間カウント処理等を行わなくて済み、制御手段20のフロー処理の負荷の低減ができる。
更に、ブレーキ負圧減算を実施しないことから、ブレーキ操作量に応じたブレーキ負圧減分のデータを用意する必要をなくすることができる。
【0023】
以上、この発明の実施例について説明してきたが、上述の実施例の構成を請求項毎に当てはめて説明する。
請求項1に係る発明において、制御手段20は、ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が任意に設定されたブレーキ負圧所定値である所定値(α)よりも小さいブレーキ負圧であると判断した場合に、時間カウントを開始し、この時間カウント中に得られるブレーキ負圧を求め、この求められたブレーキ負圧中で最も大きなブレーキ負圧が得られた場合に、この最も大きなブレーキ負圧をブレーキ負圧として更新し、任意に設定された一定時間経過をもって前記時間カウントを終了し、再度前記ブレーキブースタ13内のブレーキ負圧を前記所定値(α)と比較してブレーキ負圧確保機能の作動を判断する。
これにより、時間カウント中に所定値(α)よりも大きなブレーキ負圧が得られた場合に、ブレーキ負圧確保制御を実施する必要がなくなり、ブレーキ負圧確保制御の実施頻度を下げることができる。一方で、任意の一定時間経過後に前記所定値(α)よりも小さいブレーキ負圧である場合には、早期にブレーキ負圧確保制御を実施できる。
請求項2に係る発明において、制御手段20は、前記時間カウント中にブレーキ操作を検知した場合に、前記時間カウントを中止してブレーキ負圧確保機能を作動する。
これにより、ブレーキ負圧確保制御の実施頻度を下げることができるとともに、直ぐにブレーキ負圧確保制御を実施できる。
請求項3に係る発明において、制御手段20は、前記時間カウント中にブレーキ操作を検知した場合に、時間カウントを中止し、さらに、ブレーキ操作時間に応じたブレーキ負圧確保機能を作動する。
これにより、直ぐにブレーキ操作時間に応じたブレーキ負圧確保制御を実施できる。
請求項4に係る発明において、制御手段20は、ブレーキ操作時間が所定時間を超える場合に、ブレーキ負圧確保機能を作動し、ブレーキ操作時間が所定時間以内である場合には、ブレーキ負圧を求めて前記所定値(α)と比較し、ブレーキ負圧確保機能の作動を判断する。
これにより、ブレーキ操作時間に応じてブレーキ負圧確保制御を実施するので、ブレーキ負圧確保制御の実施頻度を下げることができる。
請求項5に係る発明において、制御手段20は、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧がブレーキ負圧所定値(α)よりも大きい場合に、現在のフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧との比較を行い、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧が現在のフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧よりも小さい場合に、現在のフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧をブレーキ負圧として更新してからフロー処理を終了する。
これにより、前回のフロー処理終了時にブレーキブースタ13内のブレーキ負圧が所定値(α)よりも大きく確保されている場合、ブレーキ負圧確保制御の実施を防ぐことができる。また、時間カウント処理等を行わなくて済み、制御手段20のフロー処理の負荷の低減ができる。
請求項6に係る発明において、制御手段20は、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧が所定値(α)よりも大きく且つフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧に更新されないフロー処理がある所定回数以上連続してなされる場合に、新たにブレーキ負圧を求めてブレーキ負圧確保機能の実施の判断を行い、若しくはブレーキ操作に応じたブレーキ負圧確保機能の実施の判断を行う。
これにより、制御手段20が記録しているブレーキ負圧と実際のブレーキ負圧とが異なることを軽減でき、必要に応じてブレーキ負圧確保制御を実施することができる。
【0024】
なお、この発明においては、上述の実施例に限定されず、種々応用改変が可能であることは勿論である。
例えば、ブレーキ操作時間に関わらず、時間カウントを中止した後に、早期にブレーキ負圧確保制御を実施する構成としても良い。この場合、次回のフロー処理における図1の前記ステップA04では必ず「YES」の判定となり、前記ステップA05へ移行する構成とする。
また、エアコン用コンプレッサの代わりに、エンジンの他の補機類であるオルタネータ等の他の機器を作動停止させるとしても良いし、エアコン用コンプレッサ12及びオルタネータの双方を作動停止させるとしても良く、若しくは、エンジンの点火遅角制御の停止を実施するとしても良い。
更に、上記の実施例では、ブレーキ負圧を吸気負圧より算出する方法としたが、ブレーキ負圧を直接センサ等の検知手段を用いて測定する方法としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
この発明に係るブレーキブースタ負圧確保制御装置を、各種車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 エンジン
2 吸気マニホルド
3 サージタンク
4 吸気管
6 スロットルバルブ
10 ブレーキブースタ負圧確保制御装置
11 エンジン補機類
12 エアコン用コンプレッサ
13 ブレーキブースタ
14 圧力室
15 負圧供給管
16 ブレーキ(フットブレーキ)
17 逆止弁
18 ブレーキスイッチ
19 吸気管圧力センサ
20 制御手段(ECU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気負圧を利用するブレーキブースタを設け、前記エンジンによって駆動するエンジン補機類を設け、乗員によって操作されるフットブレーキを設け、このフットブレーキの操作を検知するブレーキスイッチを設け、前記エンジンの吸気負圧を増大させるために前記エンジン若しくは前記エンジン補機類の動作を制御するブレーキ負圧確保機能が備えられた制御手段を設けたブレーキブースタ負圧確保制御装置において、前記制御手段は、前記ブレーキブースタ内のブレーキ負圧が任意に設定されたブレーキ負圧所定値よりも小さいブレーキ負圧であると判断した場合に、時間カウントを開始し、この時間カウント中に得られるブレーキ負圧を求め、この求められたブレーキ負圧中で最も大きなブレーキ負圧が得られた場合に、この最も大きなブレーキ負圧をブレーキ負圧として更新し、任意に設定された一定時間経過をもって前記時間カウントを終了し、再度前記ブレーキブースタ内のブレーキ負圧を前記ブレーキ負圧所定値と比較して前記ブレーキ負圧確保機能の作動を判断することを特徴とするブレーキブースタ負圧確保制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記時間カウント中にフットブレーキ操作を検知した場合に、前記時間カウントを中止して前記ブレーキ負圧確保機能を作動することを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースタ負圧確保制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記時間カウント中にフットブレーキ操作を検知した場合に、時間カウントを中止し、さらに、フットブレーキ操作時間に応じた前記ブレーキ負圧確保機能を作動することを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースタ負圧確保制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記フットブレーキ操作時間が所定時間を超える場合に、前記ブレーキ負圧確保機能を作動し、前記フットブレーキ操作時間が所定時間以内である場合には、ブレーキ負圧を求めて前記ブレーキ負圧所定値と比較し、前記ブレーキ負圧確保機能の作動を判断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレーキブースタ負圧確保制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧が前記ブレーキ負圧所定値よりも大きい場合に、現在のフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧との比較を行い、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧が現在のフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧よりも小さい場合に、現在のフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧をブレーキ負圧として更新してからフロー処理を終了することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のブレーキブースタ負圧確保制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前回のフロー処理終了時のブレーキ負圧が前記ブレーキ負圧所定値よりも大きく且つ現在のフロー処理開始時に求めたブレーキ負圧に更新されないフロー処理がある所定回数以上連続してなされる場合に、新たにブレーキ負圧を求めてブレーキ負圧確保機能の実施の判断を行い、若しくはブレーキ操作に応じたブレーキ負圧確保機能の実施の判断を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のブレーキブースタ負圧確保制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−207323(P2011−207323A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76511(P2010−76511)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】