説明

ブレーキ力倍力装置

本発明は、筋力で操作するためのピストンロッド(3)と、電気機械式のアクチュエータ(2)とを備える電気機械式のブレーキ力倍力装置(1)に関する。本発明は、ペダルロッド(3)の筋力が弾性的な伝達部材(8)、例えばばね部材(19)を介して、かつアクチュエータ力が、弾性的な伝達部材(8)とは別に、例えば複数のばね部材(20)及び並列に配置されたダンパ(21)を備える固有の弾性的な伝達部材(13)を介して伝達されることを提案する。その際、制御可能なブレーキ力倍力装置は、倍力装置ボディ及び入力部材の相対変位を表す量に基づいて運転される。本発明に係るブレーキ力倍力装置(1)は、特に操作ストローク、操作速度及び/又は操作加速度に基づいていてよい、広範な範囲で可変の倍力装置特性線の設定を可能にする。異なるモード、例えばスポーツモードへの切換も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の特徴を備えるブレーキ力倍力装置、すなわち、制御可能なブレーキ力倍力装置であって、筋力で操作可能な入力部材と、アクチュエータと、マスタブレーキシリンダのピストンに操作力を加え得る出力部材とを備え、該出力部材には、前記入力部材により筋力がかつ/又は前記アクチュエータによりアクチュエータ力が加えられることができ、前記アクチュエータが倍力装置ボディを備えている、制御可能なブレーキ力倍力装置に係り、特に自動車用に予定されているブレーキ力倍力装置に関する。本発明の範囲において、「制御」の概念は、調整も含む。
【0002】
乗用車において、今日、負圧式ブレーキ力倍力装置が一般的である。負圧式ブレーキ力倍力装置は、内部にダイヤフラムを備える負圧チャンバを有しており、ダイヤフラムは、負圧チャンバを2つのチャンバに分割している。両チャンバ内は、負圧、すなわち大気圧よりも低い圧力が占めている。ブレーキ操作の際、両チャンバの一方は、大気(必ずしも大気圧ではなく、最大の倍力時にのみ大気圧)が加えられ、これにより、外力として筋力に対して付加的に液圧式のマスタブレーキシリンダのピストンに及ぼされる力が、ダイヤフラムに及ぼされる。ダイヤフラムを備える負圧チャンバは、アクチュエータ、すなわち、ブレーキ力倍力装置の空気圧式のアクチュエータ又は負圧式のアクチュエータと解されてよい。
【0003】
電気機械式のブレーキ力倍力装置も公知である。電気機械式のブレーキ力倍力装置は、負圧を必要としないという利点を有している。それゆえ、電気機械式のブレーキ力倍力装置は、負圧ポンプなしに、ディーゼルエンジンを備える自動車において使用可能である。ディーゼルエンジンは、その構造に起因して、負圧式ブレーキ力倍力装置の運転のための(十分な)負圧を吸気管内に有しない。現代のガソリンの直接噴射を行うオットーエンジンや、リーンバーンエンジンにおいても、吸気管内の負圧は、一部において、負圧式ブレーキ力倍力装置の運転のためには不十分である。電気機械式のブレーキ力倍力装置のその他の利用分野は、単数又は複数の電動モータと内燃機関とによる組み合わされた駆動を行うハイブリッド車両や、電気車両である。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10057557号明細書は、電気機械式のアクチュエータを備える電気機械式のブレーキ力倍力装置を開示している。アクチュエータのアクチュエータ力は、外力として、車両運転者によって及ぼされる筋力に対して付加的に、マスタブレーキシリンダのピストンに及ぼされる。電気機械式のアクチュエータとして、公知の電気機械式のブレーキ力倍力装置は、電磁石又はリニアモータを有している。例えば、下流に接続される回転/並進変換伝動装置を備える電動モータも可能である。この場合、電動モータと変換伝動装置との間には、減速伝動装置が接続されていてよい。この列挙は限定列挙ではない。
【0005】
ブレーキ力倍力装置は、車両運転者が筋力を加え得る入力部材と、既述のアクチュエータと、マスタブレーキシリンダのピストンに操作力を加える出力部材とを有している点において共通している。マスタブレーキシリンダのピストンが既に出力部材を形成しているようにすることも可能であるが、通常は、これらは2つの部材である。公知のブレーキ力倍力装置の入力部材は、一般に、ヒンジ式に(フット)ブレーキペダルに接続されているピストンロッドである。ハンドブレーキレバーも、入力部材を形成することができるか、又はヒンジ式にブレーキ力倍力装置のピストンロッドに接続されていることができる。ブレーキ力倍力装置は、アクチュエータにより発生されるアクチュエータ力と、車両運転者により入力部材に及ぼされる筋力とを合わせて、両方の力を操作力として出力部材に伝達する。筋力に対するアクチュエータ力の比は、一定であってもよいし、可変であってもよい。操作力へのアクチュエータ力及び筋力の合計は、通常、機械的にブレーキ力倍力装置において行われる。
【0006】
公知のブレーキ力倍力装置の出力部材は、一般に、いわゆるプッシュロッドである。
【0007】
アクチュエータ力及び筋力の伝達及び合力のために、公知の電気機械式のブレーキ力倍力装置は、いわゆるリアクションディスクを有している。リアクションディスクは、アクチュエータ及び入力部材により力を加えられ、自らは出力部材に力を加えるゴム弾性を有するディスクである。リアクションディスクは、アクチュエータ力の弾性作用を有する入力結合を生じ、筋力で操作される入力部材とアクチュエータとの間の相対運動を可能にする。
【0008】
発明の概要
請求項1の特徴を備える本発明に係る制御可能なブレーキ力倍力装置は、車両運転者により入力部材に及ぼされる筋力を出力部材に伝達する変形可能な伝達部材を有している。公知の電気機械式のブレーキ力倍力装置のリアクションディスクとは異なり、本発明に係るブレーキ力倍力装置の伝達部材は、アクチュエータにより力を加えられない。アクチュエータのアクチュエータ力は、異なる形で入力結合される。本発明により、ブレーキ力倍力装置は、倍力装置ボディを有しており、倍力装置ボディ及び入力部材の相対変位を表す量に基づいて運転される。
【0009】
制御可能とは、この文脈において、開ループ制御(steuern)可能かつ/又は閉ループ制御(regeln)可能と解され、以下においてはもはや区別しない。
【0010】
有利には、アクチュエータも、出力部材にアクチュエータ力を伝達するための変形可能な伝達部材を有している。この態様は、請求項13に係る発明である。
【0011】
有利には、伝達部材は、弾性変形可能であり、つまり、例えばゴム弾性を有する部材又はばね部材、例えば圧縮コイルばねである。伝達部材は、ばね定数又は非線形のばね特性線を有していてよい。伝達部材のディスク形状は、不要である。伝達部材は、例えば一定の容積内、例えばベローズ又はバッグ内の一定の容積内に封入されている非圧縮性の流体を有していてもよい。一般化すると、伝達部材は、アクチュエータのアクチュエータ力あるいは入力部材の筋力を形状変化及び/又は形状変化速度に基づいて出力部材に伝達する部材と解されることができる。伝達部材は、減衰性、特に振動減衰性及び/又は衝撃減衰性に作用することができる。単数又は複数の伝達部材の力伝達特性は、可変、例えば制御可能であってもよい。伝達部材が、非ニュートン流体を有していてもよい。例えば粘度が磁界又は電界の影響を受けるMR流体(magnetorheologisches Fluid:磁気粘性流体)又はER流体(elektrorheologisches Fluid:電気粘性流体)によって、伝達部材の力伝達特性の変更が可能である。上述の説明は、入力部材の伝達部材にも、存在するのであれば、アクチュエータの伝達部材にも当てはまる。
【0012】
本発明の利点は、アクチュエータ力及び筋力の、互いに独立した入力結合により、入力結合が、公知のブレーキ力倍力装置の場合に比べてかなり可変性であることにある。筋力に対するアクチュエータ力の比、つまり倍力比は、広範な範囲で開ループ制御又は閉ループ制御可能である。アクチュエータに対する入力部材の比較的大きな相対運動並びに入力部材及びアクチュエータのそれぞれ異なる速度及び加速度が可能である。ペダルフィーリング及びブレーキフィーリングは、広範な範囲で調節されるか、あるいは変更され、例えば車両速度、道路性質等の外的な影響、又は例えばスポーツモード等の車両運転者の希望に適合される。その際、ペダルフィーリングとは、車両運転者がブレーキペダル(又はハンドブレーキレバー)において知覚するものであり、ブレーキペダルのどの位置で、ペダル速度にも応じて、筋力がどの程度の大きさであるかを意味している。ブレーキフィーリングは、制動中の、車両運転者により知覚される遅れである。さらに、「Springer‐Funktion」とも呼ばれるジャンプイン(Jump‐in)機能が可能である。ジャンプイン機能においては、下側の力領域(例えば15barより下のブレーキ圧)で、アクチュエータ力の開ループ制御又は閉ループ制御が、略一定の筋力において、入力部材のストロークによりストローク制御されて実施される。操作力は、この領域において完全にアクチュエータにより加えられることができる。倍力装置ボディ及び入力部材の相対変位に基づくブレーキ力倍力装置の運転は、ブレーキ力倍力装置の運転がストロークセンサだけで可能であり、これにより力センサを省略することができ、コストが下がるという利点を有している。
【0013】
従属請求項に係る発明は、請求項1に係る発明の有利な形態及び態様である。すなわち、本発明に係る制御可能なブレーキ力倍力装置は、筋力で操作可能な入力部材と、アクチュエータと、マスタブレーキシリンダのピストンに操作力を加え得る出力部材とを備え、該出力部材には、前記入力部材により筋力がかつ/又は前記アクチュエータによりアクチュエータ力が加えられることができ、前記アクチュエータが倍力装置ボディを備えている、制御可能なブレーキ力倍力装置において、前記入力部材が、変形可能な伝達部材を有しており、該伝達部材が、前記入力部材の筋力を前記出力部材に伝達し、前記アクチュエータによっては力を加えられず、かつ前記制御可能なブレーキ力倍力装置が、前記倍力装置ボディ及び前記入力部材の相対変位を表す量に基づいて運転されることを特徴としており、好ましくは、前記入力部材が、前記出力部材に前記伝達部材を介して力を加える前に、アイドルストロークを有しており、第1の運転モードにおいて、前記相対変位の調節により前記ブレーキ力倍力装置が、アイドルストロークが乗り越えられないように運転される、かつ/又は第2の運転モードにおいて、前記ブレーキ力倍力装置が前記相対変位の調節により、前記アイドルストロークが乗り越えられているように運転される。また、好ましくは、前記第1の運転モードにおいて、ブレーキ力がアクチュエータ力だけで加えられ、前記第2の運転モードにおいて、ブレーキ力がアクチュエータ力及び/又は筋力により加えられる。また、好ましくは、前記第1の運転モードにおいて、前記ブレーキ力倍力装置は、入力部材と倍力装置ボディとの間の固定の相対変位が提示される、特に相対変位がないように運転される。また、好ましくは、前記第2の運転モードにおいて、前記ブレーキ力倍力装置は、前記相対変位が該相対変位と前記倍力装置ボディの移動ストロークとの間の所定の関係に基づいて調節されるように運転される。また、好ましくは、前記第1の運転モードと前記第2の運転モードとの間の移行が、ブレーキ系に存在する圧力及び/又は前記倍力装置ボディの移動ストローク及び/又は前記入力部材の移動ストロークに基づいている、特に、ブレーキ系に存在する圧力及び/又は前記倍力装置ボディの移動ストローク及び/又は前記入力部材の移動ストロークに基づいて調節される。また、好ましくは、前記倍力装置ボディの現在の移動ストロークと、前記倍力装置ボディ及び前記入力部材の調節したい相対変位との間の関係が、少なくとも1つの特性線の形で格納されている、特にブレーキ力倍力装置の制御装置に格納されている。また、好ましくは、使用したい特性線が、運転者により選択されるかつ/又は車両の周辺条件に適合される。また、好ましくは、現在の移動ストロークにおいて加えなければならない筋力が、前記相対変位の調節により調節される。また、好ましくは、筋力に対するアクチュエータ力の比が、前記ブレーキ力倍力装置の運転によって、前記相対変位の調節により調節される。また、好ましくは、筋力に対するアクチュエータ力の比及び/又は移動ストロークと調節したい相対変位との間の関係が、前記倍力装置ボディ及び/又は前記入力部材の速度及び/又は加速度に基づいて調節される。また、好ましくは、前記倍力装置ボディ及び/又は前記入力部材の移動ストローク、相対変位、速度及び/又は加速度を求めるために、センサの信号が援用される。また、好ましくは、前記アクチュエータが、変形可能な伝達部材を備え、該伝達部材がアクチュエータ力を前記アクチュエータから前記出力部材に伝達する。また、好ましくは、前記入力部材及び/又は前記アクチュエータの前記伝達部材が弾性変形可能であるかつ/又は減衰作用を有する。また、好ましくは、前記入力部材及び/又は前記アクチュエータが、弾性的な部材及びダンパを備える。また、好ましくは、前記入力部材の前記伝達部材が弾性的であり、プリロードを有しない。
【0014】
前述のジャンプイン機能を実現するために、請求項2に係る発明では、出力部材に伝達部材を介して力を加える前に、入力部材のアイドルストロークが設けられている。このことは、第1の運転モードでのブレーキ力倍力装置の運転によって、倍力装置ボディと入力部材との間の相対変位が、アイドルストロークを乗り越えてしまわないように調節されることにより達成される。第2の運転モードでは、アイドルストロークが相対変位の調節により乗り越えられるようになっている。第1及び第2の運転モードの分類は、必ずしも順番と解される必要はない。ブレーキ力倍力装置は、有利には、第1の運転モードだけ又は第2の運転モードだけで運転されてもよい。
【0015】
アイドルストロークが乗り越えられるまで、入力部材は力フリーに、あるいは通常はブレーキペダルの戻しばねの力に抗して、つまり無視可能な小さな筋力で動かされる。請求項3に係る発明では、第1の運転モードにおいて、ブレーキ力がアクチュエータ力だけで加えられる。これに対して、第2の運転モードにおいては、ブレーキ力がアクチュエータ力及び/又は筋力により加えられる。ブレーキ力とは、車輪のホイールブレーキ力を意味している。
【0016】
第1の運転モードにおいて、本発明に係るブレーキ力倍力装置は、入力部材と倍力装置ボディとの間の固定の相対変位が提示されるように運転可能である。特に、相対変位をゼロに設定することもできる。ブレーキ力倍力装置のこのような運転により、アイドルストロークが乗り越えられないことが保証されている。
【0017】
有利には、第2の運転モードにおいて、ブレーキ力倍力装置を倍力装置ボディの移動ストロークと相対変位との予め決められた関係に基づいて調節するようになっていてもよい。こうして、ブレーキ力倍力装置の特性は、この予め設定可能な関係に基づいて設定可能である。
【0018】
有利には、ブレーキ力倍力装置の第1の運転モードから第2の運転モードへの移行又は第2の運転モードから第1の運転モードへの移行は、ブレーキ系に存在する圧力、倍力装置ボディの移動ストローク及び/又は入力部材の移動ストロークに基づいていてよい。もちろん、この関連性を介して、第1の運転モードと第2の運転モードとの間の移行が調節されてもよい。こうして、ブレーキ力倍力装置は、例えばブレーキ系中の圧力が低いときには第1の運転モードで運転され、ブレーキ系中の圧力がより高いときには第2の運転モードで運転されることができる。
【0019】
有利には、従属請求項7及び8により、上述の倍力装置ボディの移動ストロークと調節したい相対変位との間の関係が、特性線の形で車両内に格納、例えばブレーキ力倍力装置の制御装置内に格納されていてよい。この特性線は、例えば運転者により選択可能であるか、又は自動的に周辺条件又は走行状況に適合可能である。例えば、高速道路を走行している場合には、市街地を走行している場合又は山中で降坂している場合とは異なる特性線が設けられていてよい。
【0020】
請求項9及び10により、現在の移動ストロークにおいて加えなければならない筋力が、相対変位の調節により調節される。筋力に対するアクチュエータ力の比も、相対変位の調節により調節可能である。
【0021】
さらに、倍力比、つまり筋力に対するアクチュエータ力の比、及び/又は移動ストロークと調節したい相対変位との間の関係が、倍力装置ボディ及び/又は入力部材の速度及び/又は加速度に基づいて調節されるようになっていてよい。速度あるいは加速度とは、例えば操作速度あるいは操作加速度を意味している。このことは、非常時にブレーキペダルが極めて急速に操作された場合の別の特性線の用意を可能にして、増大されたブレーキ力/特に最大のブレーキ力を制動のために提供することができる。
【0022】
移動ストローク、相対変位、速度及び/又は加速度等の、ブレーキ力倍力装置の運転のために必要な量を求めるために、適当なセンサの信号を使用するようになっている。その際、センサは、これらの信号を直接又は間接に提供可能である。同様に、これらの信号を別の確定ステップにおいて例えば計算により処理することも可能である。
【0023】
ジャンプイン機能の実現は、入力部材の伝達部材がプリロードを有しない場合も可能である(請求項16)。本発明は、負圧式ブレーキ力倍力装置及び電気機械式のブレーキ力倍力装置に限定されるものではなく、ブレーキ力倍力装置がどの形式であるかにかかわらず、ブレーキ力倍力装置全般に及ぶ。しかし、本発明は、特に電気機械式のブレーキ力倍力装置、つまり、電気機械式のアクチュエータを備えるブレーキ力倍力装置用に予定されている。
【0024】
上述の請求項により、「Springer‐Funktion」とも呼ばれる既述のジャンプイン機能が実現可能である。その際、第1の運転モードは、ジャンプイン機能と同一視することができる。その際、車両ブレーキ装置のブレーキ力が低いときに、例えばマスタブレーキシリンダに及ぼされる操作力は、完全に、ブレーキ力倍力装置のアクチュエータにより加えられる。正確に言うと、車両運転者の筋力なしの、外力であるアクチュエータ力単独での外力制動である。ブレーキ力とは、車輪のホイールブレーキ力を意味している。低いとは、ホイールスリップ時の最大のブレーキ力に比較してと解されるべきである。低いブレーキ力を明らかとするために、液圧式の車両ブレーキ装置では、ホイールブレーキシリンダ内のホイールブレーキ圧が援用可能である。ブレーキ力が低いとき、ホイールブレーキ圧は、例えば約15bar以下である。ブレーキ力倍力装置の制御は、特に、ペダルストロークに基づいてストローク制御されて行われる。その際、低いブレーキ力は、最大のペダルストロークに比較して短いペダルストロークにより明らかとされるようになっていてもよい。従来慣用のブレーキ力倍力装置の本発明による運転の可能性は、排除されていない。従来慣用のブレーキ力倍力装置は、例えば変形可能な伝達部材として弾性的なリアクションディスクを備える電気機械式のブレーキ力倍力装置又は負圧式ブレーキ力倍力装置である。伝達部材は、車両運転者からブレーキ力倍力装置の入力部材に及ぼされる筋力及びアクチュエータのアクチュエータ力をブレーキ力倍力装置の出力部材に伝達する。有利には、ブレーキ力倍力装置の本発明における運転は、アクチュエータ力及び筋力の、互いに独立した入力結合のために有利である。この場合、アクチュエータ力の増大は、必ずしも、筋力へのリアクションに至らない。リアクションディスクを備える電気機械式のブレーキ力倍力装置では、リアクションディスクはアクチュエータ力により押し潰され、それゆえ、その中央部において弾性的にブレーキ力倍力装置の入力部材に向かって逆向きに変形する。変形によって、リアクションディスクは、操作方向とは逆向きの、車両運転者の筋力によって均衡されなければならない力が、入力部材に及ぼされる。それゆえ、専らアクチュエータ力によるブレーキ操作は、リアクションディスクを備える電気機械式のブレーキ力倍力装置において、不可能であるか、又は限定的にのみ可能である。
【0025】
以下に、本発明について、図面に示した2つの実施の形態を参照しながら詳細に説明する。両図面は、本発明に係るブレーキ力倍力装置の2つの実施の形態の軸方向断面図を示している。図面は、本発明の理解を助け、これを説明するための、概略化され簡単化された図面と解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るブレーキ力倍力装置の一実施の形態の軸方向断面図である。
【図2】本発明に係るブレーキ力倍力装置の別の実施の形態の軸方向断面図である。
【0027】
発明の実施の形態
図1に示す本発明に係るブレーキ力倍力装置1は、後述する電気機械式のアクチュエータ2とピストンロッド3とを備える電気機械式のブレーキ力倍力装置1である。ピストンロッド3は、一般に、筋力で操作可能な入力部材4と解されてよい。ピストンロッド3は、ヒンジ式にブレーキペダル5に接続されている。さらに、ブレーキ力倍力装置1は、ピストン状のベース部とプッシュロッド7とを備える出力部材6を有している。プッシュロッド7は、自体公知の形式で、液圧式の車両ブレーキ装置の図示しない液圧式のマスタブレーキシリンダのやはり図示しないプライマリピストン又はロッドピストンに、操作力を加えることができる。
【0028】
出力部材6とピストンロッド3との間には、ゴム弾性を有するピン状の伝達部材8が配置されている。伝達部材8を介して、ブレーキペダル5によりピストンロッド3に及ぼされた筋力が、ブレーキ力倍力装置1の出力部材6に伝達可能である。弾性特性及び減衰特性を示す伝達部材8は、ゴム又はゴム弾性を有するプラスチックからなっていてよい。
【0029】
アクチュエータ2は、倍力装置ボディ9を有している。倍力装置ボディ9は、図示の実施の形態では柱体状であり、軸方向の貫通孔10を有している。貫通孔10内には、ピストンロッド3が、軸方向で移動可能に収容されている。ピストンロッド3の伝達部材8も、軸方向で移動可能に倍力装置ボディ9の貫通孔10内に収容されている。倍力装置ボディ9の貫通孔10は、付加的に、伝達部材8の一種のソケット又はジャケットとして機能して、軸方向で力が加わったときの伝達部材8の半径方向の膨張を制限する。
【0030】
伝達部材8は、ブレーキ力倍力装置1が図示の未操作の基本位置にあるとき、ピストンロッド3と出力部材6との間の間隔よりも若干短い。これにより、ピストンロッド3及びブレーキペダル5は、ピストンロッド3が伝達部材8を介して筋力をブレーキ力倍力装置1の出力部材6に伝達する前にピストンロッド3及びブレーキペダル5が動かされるアイドルストロークlを有している。
【0031】
倍力装置ボディ9の貫通孔10は、柱面状の凹部11に開口している。凹部11は、貫通孔10より大径の直径を有している。凹部11内には、出力部材6が軸方向で移動可能に収容されている。出力部材6と凹部11の底12との間には、ゴム弾性を有する伝達部材13が配置されている。伝達部材13は、本発明の図示の実施の形態では環状であり、ピストンロッド3の伝達部材8を同心的に包囲している。アクチュエータ2の環状の伝達部材13は、アクチュエータ力を倍力装置ボディ9から出力部材6に伝達する。環状の伝達部材13も、弾性特性及び減衰特性を示し、ゴム又はゴム弾性を有するプラスチックからなっていてよい。
【0032】
倍力装置ボディ9は、ピストンロッド3及び出力部材6と同様に、軸方向で移動可能である。軸方向の移動可能性は、図面に概略的に、倍力装置ボディ9の下面に設けられた転がり支承部によって示されている。
【0033】
駆動のため、アクチュエータ2は電動モータ14を有している。電動モータ14は、歯車15を介して倍力装置ボディ9を軸方向で駆動可能である。歯車15は、倍力装置ボディ9のラック16に噛み合う。歯車15と電動モータ14との間には、図示しない減速伝動装置が接続されていてもよい。電動モータによる駆動の代わりに、電気機械式のアクチュエータ2は、例えば電磁式の駆動装置又はリニアモータを有していてもよい(図示せず)。電気機械式のアクチュエータ2は確かに好ましいが、電気機械式でなくてもよい。空気圧式の負圧式又は加圧式若しくは正圧式のアクチュエータや、液圧式のアクチュエータも可能である。この列挙は限定列挙ではない。
【0034】
電気機械式のブレーキ力倍力装置1は、倍力装置ボディ9の移動、これにより速度及び加速度も測定可能なストロークセンサ17と、相対運動、つまり、倍力装置ボディ9に対するピストンロッド3の移動を測定可能な位置センサ18とを有している。
【0035】
アクチュエータ力を伝達するための倍力装置ボディ9と出力部材6との間の弾性的な伝達部材13は、必須ではなく、アクチュエータ2への出力部材6の剛連結も、例えば出力部材6を倍力装置ボディ9の凹部11の底12に直接当接させることによってか、又は出力部材6と凹部11の底12との間に、例えば鋼からなる剛性の高いリングを介装することによって可能である(図示せず)。倍力装置ボディ9と、電動モータ14と、倍力装置ボディ9のラック16に噛み合う歯車15とは、ブレーキ力倍力装置1の電気機械式のアクチュエータ2を形成している。
【0036】
図2に示す本発明に係るブレーキ力倍力装置1において、図1と比較して、両伝達部材8,13は置換されている。具体的には、ペダルロッド3の伝達部材8は、ばね部材19により置換され、アクチュエータ2の環状の伝達部材13は、複数のばね部材20により置換されている。複数のばね部材20は、ペダルロッド3のばね部材19を取り巻くように仮想の同心円上に配置されている。アクチュエータ2のばね部材20には、複数のダンパ21が配設されている。ダンパ21は、機械的に並列に作用するように配置されている。ばね部材19,20は、図示の実施の形態では圧縮コイルばねである。ピストンロッド3のばね部材19は、ピストンロッド3の弾性的な伝達部材8を形成し、アクチュエータ2のばね部材20及びダンパ21は、アクチュエータ2の、ばね弾性及び減衰作用を有する伝達部材13を形成している。その他の点では、図2に示したブレーキ力倍力装置1は、図1に示したブレーキ力倍力装置1と同様に形成されており、同様に機能する。両図において、同じ部材には同じ符号が付されている。繰り返しを避けるために、図2の説明については、図1の説明を参照されたい。
【0037】
ブレーキ操作のために、通常のように、ブレーキペダル5が踏まれることにより、筋力がピストンロッド3と、ピストンロッド3の、ゴム弾性を有する伝達部材8とを介して出力部材6に伝達される。出力部材6は、出力部材6のプッシュロッド7により、マスタブレーキシリンダの図示しないピストンに力を加える。図示しない電子制御部は、倍力装置ボディ9がやはり出力部材6に向かって運動するように、アクチュエータ2の電動モータ14を通電する。アクチュエータ2の伝達部材13を介して、アクチュエータ2は、アクチュエータ力を出力部材6に及ぼす。ピストンロッド3により及ぼされる筋力と、倍力装置ボディ9により及ぼされるアクチュエータ力とは、機械的に出力部材6により合わされて、操作力を形成する。操作力は、プッシュロッド7を介してマスタブレーキシリンダのピストンに力を加える。倍力装置ボディ9に対するピストンロッド3の相対運動、つまり、倍力装置ボディ9に対するピストンロッド3の移動は、制御され、位置センサ18によって測定される。
【0038】
相対運動は、「0」になるように制御可能である。すなわち、相対運動は、倍力装置ボディ9がピストンロッド3と同期して連動するように制御可能である。ピストンロッド3に対する倍力装置ボディ9の先行又は遅れの制御も可能である。すなわち、倍力装置ボディ9は、ピストンロッド3に先んじて移動するか、又はピストンロッド3に遅れて移動するように制御可能である。
【0039】
倍力装置ボディ9及びピストンロッド3の移動に基づいて、かつアイドルストロークlを利用して、ブレーキ力倍力装置1を運転することにより、ブレーキ力倍力装置の2つの運転モードが実現可能である。
【0040】
第1の運転モードでは、アイドルストロークlが乗り越えられないようにブレーキ力倍力装置を運転するようになっていてよい。このモードは、ブレーキ力倍力装置の制御の際に、常に、ピストンロッド3に関する倍力装置ボディ9の移動が調節されて、ピストンロッド3が弾性的な部材8,19に当接することがないようにすることによって可能である。このために、ピストンロッド3に関して固定の倍力装置ボディ9の移動、特にゼロの移動が設定可能である。
【0041】
この運転モードにおいて、いわゆる「ジャンプイン機能(Jump‐in:「Springer‐Funktion」とも言う)」が実現されている。こうして、制御により、例えばブレーキ操作の開始時、つまりピストンロッド3の移動の開始時に、操作力が実質的にアクチュエータ2によってのみ発生可能である。ブレーキペダル5に加えられる筋力は、略一定であり、かつ低い。アクチュエータ力は、ピストンロッド3の移動に基づいて制御される。ジャンプイン機能の実現は、入力部材4を形成するピストンロッド3の伝達部材8がプリロードを有しないか、又はせいぜい低いプリロードを有しているにすぎない場合、アイドルストロークlなしにも可能である。
【0042】
第2の運転モードでは、アイドルストロークlが乗り越えられているようにブレーキ力倍力装置を運転するようになっていてよい。このモードは、倍力装置ボディ9に対する入力部材3の移動を、アイドルストロークが乗り越えられているように調節することによりなされる。この第2の運転モードにおいて、操作力はアクチュエータ2及び運転者の筋力により加えられる。
【0043】
第2の運転モードにおいて、ブレーキ力倍力装置は、調節したい移動xと倍力装置ボディの位置sとの間の所定の関係に基づいて運転される。この関係は、特性線の形で車両内に格納されていることができる。
【0044】
両運転モードにおいて、制御は、倍力装置ボディ9の移動ストロークに基づいて、つまり倍力装置ボディ9の位置、速度及び/又は加速度に基づいて制御可能である。アクチュエータ2の倍力装置ボディ9の移動の代わりに、ピストンロッド3の移動を測定することも可能である(図示せず)。
【0045】
ブレーキ力倍力装置1の倍力係数、つまり筋力に対するアクチュエータ力の比は、広範な範囲で自由に調節され、詳細には、特に倍力装置ボディ9あるいはペダルロッド3の移動ストローク、つまり位置、速度及び/又は加速度に基づいて調節されてもよい。つまり、倍力は、高速のペダル操作時と低速のペダル操作時とでは異なっていてよい。倍力係数の調節は、倍力装置ボディ9の現在の位置sあるいはペダルロッド3の現在の位置でのその都度の移動xの調節により実施される。伝達部材8,19が例えば線形のばねであることに基づくと、移動xを介して運転者の力の割合が調節可能であることは自明である。ばねは、その際、マスタブレーキシリンダに支持されている。ブレーキ力倍力装置が運転者に例えばばね8,19を踏み込ませれば踏み込ませるほど、運転者の必要な力は大きくなる。どの程度運転者がばねを踏み込むかは、移動xの調節により決定される。ばねが、その際、マスタブレーキシリンダに支持されているので、制動における運転者の割合は増加し、倍力は低下する。倍力装置により移動xが小さくなるようにされると、運転者はばねをそれほど圧縮する必要がなく、運転者にとって知覚可能な力は小さくなる。これにより、倍力係数は、調節したい移動xと倍力装置ボディの位置sとを関連付けている既述の特性線により生じる。これにより、倍力係数は、操作位置に対応可能あるいは操作位置とともに変化可能であることを暗に示している。倍力装置ボディ9の現在の位置sあるいはペダルロッド3の現在の位置において加えなければならない運転者の筋力も、移動xの調節により調節可能である。再度線形のばね8,19から出発すると、ブレーキ力倍力装置による移動xの調節により運転者の足の力が調節可能であることは自明である。有利には、このことは、操作ストロークの関数として調節される。
【0046】
ブレーキ力倍力装置の制御は、調節したい移動xとペダルロッド3の位置との間の関係を示す特性線に基づいてなされてもよいが、これについての詳細な説明は省略する。
【0047】
両運転モードは、それぞれ単独で、又は互いに組み合わされて、ブレーキ操作時のブレーキ力倍力装置の運転のために利用可能である。両運転モードは必ずしも相前後して実施される必要はない。
【0048】
しかし、倍力装置特性線、これに関連するペダルフィーリングを説明するために、ブレーキ力倍力装置は、まず第1の運転モードで運転され、次に第2の運転モードで運転されるものとする。第1の運転モードと第2の運転モードとの間の移行は、ブレーキ系に存在する圧力、倍力装置ボディ9の移動s及び/又は入力部材3の移動に依存しており、これにより、これらの量に基づいて調節可能である。
【0049】
このような倍力装置特性線の車両運転者の希望に基づく変更が可能である。例えば、車両運転者は、異なるモードの間で選択可能、例えばノーマルモードとスポーツモードとの間で切換可能である。倍力装置特性線を車両の周辺条件及び/又は走行状況に基づいて選択することもできる。
【0050】
特性線の選択は、両方の運転モードに関する必要はない。特性線を第2の運転モードで変更するだけで、倍力装置挙動を第1の運転モードにおいて、場合によっては第2の運転モードへの移行点を含めて、不変とすることも可能である。
【0051】
アクチュエータ2の故障時の補助ブレーキは、筋力でブレーキペダル5を踏み込むことにより可能である。筋力は、ピストンロッド3及び伝達部材8を介して出力部材6に伝達される。アクチュエータ2は、補助ブレーキの際に連動されない。それゆえ、アクチュエータ2を動かすための筋力は発揮されずに済む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御可能なブレーキ力倍力装置であって、筋力で操作可能な入力部材(4)と、アクチュエータ(2)と、マスタブレーキシリンダのピストンに操作力を加え得る出力部材(6)とを備え、該出力部材(6)には、前記入力部材(4)により筋力がかつ/又は前記アクチュエータ(2)によりアクチュエータ力が加えられることができ、前記アクチュエータが倍力装置ボディ(9)を備えている、制御可能なブレーキ力倍力装置において、
‐前記入力部材(4)が、変形可能な伝達部材(8,19)を有しており、該伝達部材(8,19)が、前記入力部材(4)の筋力を前記出力部材(6)に伝達し、前記アクチュエータ(2)によっては力を加えられず、かつ
‐前記制御可能なブレーキ力倍力装置が、前記倍力装置ボディ(9)及び前記入力部材(4)の相対変位(x)を表す量に基づいて運転される、
ことを特徴とする、制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項2】
前記入力部材(4)が、前記出力部材(6)に前記伝達部材(8,19)を介して力を加える前に、アイドルストローク(l)を有しており、第1の運転モードにおいて、前記相対変位(x)の調節により前記ブレーキ力倍力装置が、アイドルストローク(l)が乗り越えられないように運転される、かつ/又は第2の運転モードにおいて、前記ブレーキ力倍力装置が前記相対変位(x)の調節により、前記アイドルストローク(l)が乗り越えられているように運転される、請求項1記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項3】
‐前記第1の運転モードにおいて、ブレーキ力がアクチュエータ力だけで加えられ、
‐前記第2の運転モードにおいて、ブレーキ力がアクチュエータ力及び/又は筋力により加えられる、
請求項2記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項4】
前記第1の運転モードにおいて、前記ブレーキ力倍力装置は、入力部材(4)と倍力装置ボディ(9)との間の固定の相対変位(x)が提示される、特に相対変位(x)がないように運転される、請求項2又は3記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項5】
前記第2の運転モードにおいて、前記ブレーキ力倍力装置は、前記相対変位(x)が該相対変位(x)と前記倍力装置ボディ(9)の移動ストローク(s)との間の所定の関係に基づいて調節されるように運転される、請求項2又は3記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項6】
前記第1の運転モードと前記第2の運転モードとの間の移行が、ブレーキ系に存在する圧力及び/又は前記倍力装置ボディの移動ストローク(s)及び/又は前記入力部材の移動ストロークに基づいている、特に、ブレーキ系に存在する圧力及び/又は前記倍力装置ボディの移動ストローク(s)及び/又は前記入力部材の移動ストロークに基づいて調節される、請求項2から5までの少なくとも1項記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項7】
前記倍力装置ボディ(9)の現在の移動ストローク(s)と、前記倍力装置ボディ(9)及び前記入力部材(4)の調節したい相対変位(x)との間の関係が、少なくとも1つの特性線の形で格納されている、特にブレーキ力倍力装置の制御装置に格納されている、請求項4及び/又は5記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項8】
使用したい特性線が、運転者により選択されるかつ/又は車両の周辺条件に適合される、請求項7記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項9】
現在の移動ストローク(s)において加えなければならない筋力が、前記相対変位(x)の調節により調節される、請求項5記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項10】
筋力に対するアクチュエータ力の比が、前記ブレーキ力倍力装置の運転によって、前記相対変位(x)の調節により調節される、請求項1から9までのいずれか1項記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項11】
‐筋力に対するアクチュエータ力の比及び/又は
‐移動ストローク(s)と調節したい相対変位(x)との間の関係
が、前記倍力装置ボディ(9)及び/又は前記入力部材(4)の、
‐速度及び/又は
‐加速度
に基づいて調節される、請求項1から10までのいずれか1項記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項12】
前記倍力装置ボディ(9)及び/又は前記入力部材(4)の移動ストローク(s)、相対変位(x)、速度及び/又は加速度を求めるために、センサ(17,18)の信号が援用される、請求項1から11までのいずれか1項記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項13】
前記アクチュエータ(2)が、変形可能な伝達部材(13,20,21)を備え、該伝達部材(13,20,21)がアクチュエータ力を前記アクチュエータ(2)から前記出力部材(6)に伝達する、請求項1記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項14】
前記入力部材(4)及び/又は前記アクチュエータ(2)の前記伝達部材(8,19;13,20,21)が弾性変形可能であるかつ/又は減衰作用を有する、請求項1記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項15】
前記入力部材(4)及び/又は前記アクチュエータ(2)が、弾性的な部材(8,19;13,20)及びダンパ(21)を備える、請求項1記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。
【請求項16】
前記入力部材(4)の前記伝達部材(8,19)が弾性的であり、プリロードを有しない、請求項1記載の制御可能なブレーキ力倍力装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−512780(P2012−512780A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541284(P2011−541284)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066031
【国際公開番号】WO2010/069740
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】