ブレーキ装置
【課題】エレベータ巻上機のブレーキ装置101において、非制動時にブレーキシュー5が回転ドラム2の制動面31に接触しないようにする。
【解決手段】ブレーキ装置101において、回転ドラム2を内周側から押圧して回転ドラム2の回転を制動するブレーキシュー5の上下、奥手前の計4箇所にくの字状のリンク機構部50を取り付ける。リンク機構部50は一端側において長穴50eを有してブレーキシュー5に固定されたピンd50dを係合してブレーキシュー5と連結する。また、リンク機構部50は屈曲部において固定部材15のトルク受け部16とピンc50cにより回転可能に連結する。さらに、リンク機構部50は他端側においてローラ50aを有する。リンク機構部50はブレーキシュー5が回転ドラム2に対して後退した際にピンc50cを軸に回転しローラ50aを回転ドラム2の制動面31に当接する。
【解決手段】ブレーキ装置101において、回転ドラム2を内周側から押圧して回転ドラム2の回転を制動するブレーキシュー5の上下、奥手前の計4箇所にくの字状のリンク機構部50を取り付ける。リンク機構部50は一端側において長穴50eを有してブレーキシュー5に固定されたピンd50dを係合してブレーキシュー5と連結する。また、リンク機構部50は屈曲部において固定部材15のトルク受け部16とピンc50cにより回転可能に連結する。さらに、リンク機構部50は他端側においてローラ50aを有する。リンク機構部50はブレーキシュー5が回転ドラム2に対して後退した際にピンc50cを軸に回転しローラ50aを回転ドラム2の制動面31に当接する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エレベータ巻上機のブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシューがバネの押付方向に対し直線的に配列されており、回転する回転ドラムを押圧して制動力を発生させる可動部分(アーマチュア及びブレーキシュー)が固定部分に固定されていないエレベータ巻上機用ブレーキ機構において、回転ドラムの制動時にブレーキシューにかかる回転トルク(ブレーキトルク、制動トルク)は、巻上機の構造として固定的に設けられたトルク受け部にブレーキシューが接触することにより吸収される。そこで、エレベータ巻上機は、ブレーキトルクの発生時に回転ドラムおよびブレーキシューが回転しないように、ブレーキシューとトルク受け部との隙間が10分の数ミリメートル程度と狭く設計されている。
このため、動作中の外乱によりブレーキシューに傾きが生じた場合にブレーキシューがトルク受け部の角端部に接触するが、ブレーキシューの傾きおよびブレーキシューとトルク受け部の角端部との接触は、回転ドラムに対して進退するブレーキシューの動作の円滑化やブレーキシューの前方において回転ドラムと接触するライニングの長寿命化のためには、発生しないことが望ましい。
【0003】
例えば、特許文献1では制動部材(ブレーキシュー)がトルク受け部(制動部材の両側面それぞれに対して対面するように設けられた切欠部)にガイドされて直線的に移動する直動式ブレーキを開示している。
また例えば、特許文献2では制動を解除したときに制動部材の姿勢(傾き)を調整する調整部材を用いて制動部材と回転ドラムの制動面との隙間を確保することを開示している。
【特許文献1】国際公開第2005/019085号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/036080号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の直動式ブレーキは、トルク受け部が制動部材を直線的にガイドできるように、トルク受け部と制動部材との間に隙間が設けられている。この制動部材は、電磁石機構の電磁コイルの通電により、固定鉄心側に移動して回転ドラムに対する制動を解除する。このとき、制動部材がトルク受け部との隙間分、傾く場合があり、この傾きによって制動部材が回転ドラムの制動面に接触する場合がある。そして、制動部材と回転ドラムとの擦り音や制動部材の磨耗が発生する。
【0005】
また、特許文献2において調整部材は、固定部材に設けられた突出部であり、回転ドラムに対する制動が解除された時に接した制動部材の傾きを調整して制動部材が傾くことを規制するものである。
【0006】
本発明は、例えば、非制動時に制動部材が傾くことにより制動部材が回転ドラムの制動面に接触しないようにすることができるブレーキ装置を得ることを目的とする。
特に、固定部材に設けた突出部以外の調整部材により制動部材の傾きを調整するブレーキ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブレーキ装置は、回転ドラムの内周側に配置され前記回転ドラムに対して進退し前記回転ドラムに対して前進した際に前記回転ドラムの内周面を押圧して前記回転ドラムの回転を制動するブレーキシューを備えるブレーキ装置であり、前記ブレーキシューに連結するシュー連結部と、前記シュー連結部を介して前記ブレーキシューの進退に連動して前記回転ドラムに対して進退する連動端部とを有するリンク機構部を備え、前記リンク機構部は、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの前進に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して後退し、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの後退に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して前進し、前進した前記連動端部が前記回転ドラムの内周面に当接することにより、前記連動端部に連動する前記ブレーキシューの後退を前記シュー連結部が前記ブレーキシューに連結する部分において抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、調整部材(リンク機構部)が、回転ドラムの制動面(内周面)に接した際に、制動部材(ブレーキシュー)との連結部において制動部材の後退を抑制することにより、制動面に接していない調整部材の連結部分でだけ制動部材を後退させ、制動部材の傾きを調整することができる。つまり、本発明のブレーキ装置は、制動部材が回転ドラムの制動面に接触しないようにすることができ、制動部材と回転ドラムとの擦り音の防止や制動部材の磨耗の減少といった効果を得ることができる。また、その他にも、制動部材の回転ドラムに対する進退動作をよりスムーズにするなどの効果を得ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における巻上機100の正面断面図である。図1では、固定部材15部分についてのみ断面図を示し、リンク機構部50と連結するブレーキシュー5部分などのその他の部分については正面図を示している。巻上機100が備えるブレーキ装置101を示す各図(図2、図4〜図7)についても同様である。
図2は、実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図である。
図3は、実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図である。
実施の形態1におけるブレーキ装置101および巻上機100について、図1〜図3に基づいて以下に説明する。
【0010】
図1において、巻上機100には、軸102を中心に回転する回転ドラム2(ロータードラム、ブレーキドラム)が設けられ、回転ドラム2は内面に制動面31(内周面、ドラム面)を有する。さらに、巻上機100は回転ドラム2の内周側にブレーキ装置101が設けられている。回転ドラム2およびブレーキ装置101は巻上機100の基体であるハウジング14に格納されている。
【0011】
エレベータの巻上機100は、駆動綱車(図示省略)にエレベータのかごを懸吊するロープが巻き掛けられ、ロープの他端にはエレベータのかごの昇降を補助するための重りが懸吊されている。駆動綱車は図1において回転ドラム2の裏側(奥側)に位置し、回転ドラム2と結合している。巻上機100は、モーター(図示省略)が駆動綱車を左右に回動してエレベータのかごを昇降し、駆動綱車に連動して回動する回転ドラム2を内側から押圧して制動することにより昇降させたエレベータのかごを制動する。
【0012】
ブレーキ装置101(電磁石機構、電磁マグネット)は、固定部材15と、固定部材15に対向した可動鉄心4(アーマチュア)と、固定部材15に設けられた電磁コイル13および可動鉄心4を押し出す押し付けバネ12を有する。
また、可動鉄心4の外側(制動面31側)には調整ボルト35を介してブレーキシュー5(制動部材)が取り付けられ、回転ドラム2の制動面31と対面するブレーキシュー5の先端には回転ドラム2の制動面31に当接する摩擦材であるライニング17が取り付けられている。
この調整ボルト35は頭部が凸状の球面に形成され、ブレーキシュー5には調整ボルト35の球面と係合する凹状の球面に形成された球面座36が取り付けられている。また、調整ボルト35の頭部に引っ掛けられた板ばね37が、調整ボルト35と球面座36とを挟み込むようにしてブレーキシュー5に取り付けられている。また、ネジ切りされた可動鉄心4にねじ込まれて結合された調整ボルト35は止めナット38で固定されている。そして、この調整ボルト35をネジ作用で進退させることで、ブレーキシュー5が回転ドラム2の制動面31に対して進退する量を調整する。ブレーキシュー5のライニング17と回転ドラム2の制動面31との非制動時におけるすき間は100分の数ミリメートル程度に調整され、制動時においてブレーキシュー5が回転ドラム2に対して前進する量は10分の数ミリメートル程度に調整されている。ブレーキシュー5は回転ドラム2とのすき間量と前進量との差分だけライニング17を回転ドラム2の制動面31に押し付けて回転ドラム2の回転を制動する。
【0013】
ブレーキ装置101は、電磁コイル13を通電することで固定部材15を励磁して、可動鉄心4を押し付けバネ12に抗して固定部材15に引き付け、ブレーキシュー5を回転ドラム2の制動面31から引き離す。こうして、ブレーキ装置101は回転ドラム2に対する制動力を解放する。
また、ブレーキ装置101は電磁コイル13への通電を遮断することで固定部材15を励磁されない状態にして、押し付けバネ12によって可動鉄心4を押し出し、ブレーキシュー5のライニング17を回転ドラム2の制動面31に押し付ける。こうして、ブレーキ装置101は回転ドラム2の回転に対して制動力を発生させる。
【0014】
実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の制動面31に対するブレーキシュー5の後退時に回転ドラム2の制動面31に先端を当接することにより、ブレーキシュー5の傾きを調整するリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0015】
特に、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転方向の上流側と回転ドラム2の回転方向の下流側とにリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0016】
また、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転方向の上流側と回転ドラム2の回転方向の下流側とのいずれか側においてブレーキシュー5を挟んで対向する2つのリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0017】
また、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転方向の上流側と下流側とにブレーキシュー5を挟んで斜向かいに位置する2つのリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0018】
図2において、実施の形態1におけるブレーキ装置101が備えるリンク機構部50は、くの字状(または、への字状、L字状、V字状など)を形成するレバー50bと、レバー50bの一端側に位置する長穴50e(シュー連結部)と、レバー50bの他端側に位置するローラ50a(連動端部、回転体)と、レバー50bの屈曲部分で固定部材15のトルク受け部16(第1固定部、第2固定部)と連結するピンc50c(固定部連結部)とを有する。
ローラ50aはレバー50bの先端に回転自在に取り付けられ、回転ドラム2の制動面31に当接した際に回転ドラム2の回転に合わせて回転する。
ピンd50d(シュー固定ピン)は長穴50eを貫通してブレーキシュー5に固定され、リンク機構部50は長穴50eに係合したピンd50dを介してブレーキシュー5に取り付けられている。
また、リンク機構部50はピンc50cを回転軸にして回転自在に取り付けられ、ピンd50dはリンク機構部50の回転に合わせて長穴50eの伸長方向に移動する。
【0019】
図3は、図2に示すA−A線から見たブレーキ装置101の断面を示している。
図3において、ブレーキシュー5には、ブレーキシュー5の上部でブレーキシュー5を挟んで対向するように配置された2つのリンク機構部50と、ブレーキシュー5の下部でブレーキシュー5を挟んで対向するように配置された2つのリンク機構部50との計4つのリンク機構部50が取り付けられている。つまり、ブレーキシュー5は、図3において、左右両側面において、上部と下部とに2つずつのリンク機構部50が取り付けられている。また、図2において、ブレーキシュー5は上下、奥手前の可動鉄心4箇所にリンク機構部50が取り付けられている。
【0020】
図4は、実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図である。
図2および図4に基づいて、実施の形態1における回転ドラム2の回転を制動するブレーキ装置101の制動時の動作について説明する。
【0021】
図2において、回転ドラム2のモーター(図示省略)による回転が停止した際、ブレーキ装置101は電磁コイル13への通電を止め、固定部材15を非磁石化する。そして、押し付けバネ12は伸長して可動鉄心4を固定部材15から外側に押し離し、調整ボルト35を介して可動鉄心4と連結するブレーキシュー5は回転ドラム2に向かって前進し、ブレーキシュー5の前方に位置するライニング17は回転ドラム2の制動面31に当接して回転ドラム2の回転を制動する。
このとき、リンク機構部50は、ブレーキシュー5に固定されたピンd50dと係合する長穴50e部分がブレーキシュー5に連動して回転ドラム2に対して前進動作し、長穴50e部分の回転ドラム2に対する前進動作に伴って、ピンc50cを回転軸として回転し、ローラ50aが回転ドラム2に対して後退動作する。これにより、リンク機構部50のローラ50aは回転ドラム2の制動面31と非接触の状態になる。つまり、リンク機構部50が脚状(腕状)に取り付けられた制動時のブレーキシュー5は、回転ドラム2に対する前進動作に連動させて開脚し、各脚を回転ドラム2と非接触の状態にする。
【0022】
ここで、巻上機100がモーターを停止して回転ドラム2の回転を止めたときでも、エレベータのかごとエレベータのかごを懸吊するロープの他端に取り付けられた重りとの重量(かご内の人・物を含む)および昇降位置の関係に応じて、回転ドラム2および回転ドラム2の回転を制動するブレーキシュー5にはエレベータのかごが懸吊されている側と重りが懸吊されている側とのいずれかの方向に回転しようとする回転トルク(制動トルク)がかかる。
【0023】
例えば、図4において、回転ドラム2に左回りの回転トルクがかかった場合、ブレーキシュー5にはライニング17を介して下向き(回転ドラム2にかかる回転トルクの回転下流側、回転先側)に回転トルクがかかる。このとき、板ばね37、先端を凸半球状に形成する調整ボルト35および凹半球状の球面座36を介して可動鉄心4と連結するブレーキシュー5は、球面座36での回転と板ばね37の弾性とにより、回転トルクがかかる下向きに傾き、ブレーキシュー5の下側に位置する固定部材15のトルク受け部16(第2固定部)に当接する。また、リンク機構部50は、ブレーキシュー5に固定されたピンd50dを長穴50eの伸長方向下方に移動させて、ブレーキシュー5をブレーキシュー5の下側に位置する固定部材15のトルク受け部16に当接させる。
そして、ブレーキシュー5にかかる回転トルクをブレーキシュー5が当接した固定部材15のトルク受け部16(第2固定部)で吸収することにより、ブレーキ装置101は回転ドラム2に対する制動力を十分に確保することができる。
【0024】
図5は、実施の形態1における非制動時のブレーキ装置101の拡大図である。
次に、実施の形態1における回転ドラム2の回転を制動しないブレーキ装置101の非制動時の動作について説明する。
【0025】
図5において、回転ドラム2がモーターにより回転する際、ブレーキ装置101は電磁コイル13に電流を流して固定部材15を磁化し、磁石となった固定部材15により可動鉄心4を押し付けバネ12の伸長力に抗してより強い力で引き付ける。そして、可動鉄心4と連結するブレーキシュー5は回転ドラム2から後退し、ブレーキシュー5の前方に位置するライニング17は回転ドラム2の制動面31から離れ、回転ドラム2の回転に対する制動は解放される。
このとき、ブレーキシュー5に固定されたピンd50dはブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退動作に連動してリンク機構部50の長穴50eを移動する。そして、リンク機構部50は、ピンd50dと係合する長穴50e部分がピンd50dの移動に伴い回転ドラム2に対する後退動作をし、長穴50e部分の回転ドラム2に対する後退動作に伴って、ピンc50cを回転軸として回転し、ローラ50aが回転ドラム2に対して前進動作をする。これにより、リンク機構部50のローラ50aは回転ドラム2の制動面31に当接し、回転ドラム2の回転に合わせて回転する。
【0026】
図6は、実施の形態1における制動解放時のブレーキ装置101の拡大図である。
図7は、従来の制動解放時のブレーキ装置101の拡大図である。
実施の形態1において、ブレーキ装置101が回転ドラム2の回転に対する制動を解放するために可動鉄心4を固定部材15に引き付けてブレーキシュー5を回転ドラム2から後退させる際に、ブレーキシュー5に傾きが生じた場合のブレーキシュー5の後退動作について、図6および図7に基づいて以下に説明する。
【0027】
エレベータの巻上機100のブレーキ装置101は、制動時にブレーキシュー5にかかる回転ドラム2の回転トルクを固定部材15のトルク受け部16で受けるために、ブレーキシュー5が板ばね37、調整ボルト35および球面座36を介して可動鉄心4と連結し、球面座36での回転と板ばね37の弾性とにより傾き可能な構造になっている。また、非制動時のブレーキシュー5のライニング17と回転ドラム2の制動面31との乖離間隔は100分の数ミリメートル程度と非常に狭い。
このため、制動解放時にブレーキシュー5を回転ドラム2から後退させてもブレーキシュー5に傾きが生じた場合、リンク機構部50を有さない従来のブレーキ装置101では、図7に示すようにライニング17の一方(一端側)が回転ドラム2の制動面31と接し、ライニング17と制動面31との摩擦音やライニング17の磨耗が発生する。
【0028】
一方、リンク機構部50を有する実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転に対する制動の解放時に、ブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退と連動してリンク機構部50のローラ50aが前進して回転ドラム2の制動面31に当接することにより、回転ドラム2の制動面31にローラ50aが当接したリンク機構部50の長穴50e部分においてブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退を抑制してブレーキシュー5の傾きを矯正する。
【0029】
実施の形態1におけるブレーキ装置101では、ブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退時にブレーキシュー5に傾きが生じた場合、まず、ブレーキシュー5の上下、奥手前の4箇所に取り付けられた4つのリンク機構部50のうち1つまたは2つのリンク機構部50がローラ50aを回転ドラム2の制動面31に当接する。例えば、図6において、ブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退時にブレーキシュー5が下方手前に傾いた場合、ブレーキシュー5に取り付けられた4つのリンク機構部50のうちブレーキシュー5の傾いた側に取り付けられているリンク機構部B52だけが回転ドラム2の制動面31に当接する。
このとき、ローラ50aが当接したリンク機構部50の長穴50eではピンd50dが長穴50eの端部に位置しており、ピンd50dはこれ以上長穴50eを移動することができない。これにより、ローラ50aが当接したリンク機構部50の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分において、ブレーキシュー5は拘束され、回転ドラム2に対する後退が抑制される。また、その他の部分、つまり、ローラ50aが当接していないリンク機構部50の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分においては、ブレーキシュー5は拘束されず、回転ドラム2に対して後退可能である。例えば、図6において、ブレーキシュー5は、リンク機構部B52の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分では拘束され、リンク機構部A51(又はその他の50)の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分では後退方向に可動である。
さらに、ブレーキ装置101が可動鉄心4を固定部材15に引き付けてブレーキシュー5を回転ドラム2から後退させると、ブレーキシュー5は、拘束されていない可動部分(図6におけるリンク機構部B52以外のリンク機構部50(例えば、リンク機構部A51)に係合するピンd50dが位置する部分)において、リンク機構部50のローラ50aが回転ドラム2の制動面31に当接するまで後退する。
こうして、ブレーキシュー5に取り付けられた4つのリンク機構部50は、順次、ローラ50aを回転ドラム2の制動面31に当接し、連結部分においてブレーキシュー5の後退動作を拘束する。そして、ブレーキ装置101による固定部材15への可動鉄心4の引き付け終了状態時には、全てのリンク機構部50のローラ50aが回転ドラム2の制動面31に当接し、ブレーキシュー5が各リンク機構部50により傾きを矯正され、ブレーキシュー5のライニング17が回転ドラム2の制動面31に対して乖離した状態となる。つまり、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、確実にブレーキシュー5のライニング17が回転ドラム2の制動面31から離れた状態で、回転ドラム2の回転に対する制動を解除することができる。
これにより、非制動時におけるブレーキシュー5のライニング17と回転ドラム2の制動面31との摩擦音やブレーキシュー5のライニング17の磨耗の発生を防ぐことができる。
【0030】
実施の形態1では、ブレーキシュー5にリンク機構部50を設け、その先端(ローラ50a)が回転ドラム2の制動面31を押すことによりブレーキシュー5の姿勢を矯正するブレーキ装置101について説明した。
【0031】
特に、巻上機100の駆動によって回転し、制動面31を有する回転ドラム2を制動するエレベータ巻上機用のブレーキ装置101として以下の構成を備えるブレーキ装置101について説明した。
(a)巻上機100に設けられた固定部材15。
(b)固定部材15に設けられた電磁石機構(電磁コイル13)。
(c)電磁石機構によって回転ドラム2の制動面31に対して進退して回転ドラム2の制動と解除を行う制動部材(ブレーキシュー5)。
(d)固定部材15に回転自在に設けられ、一端(長穴50e)が制動部材に連結されて、制動部材の進退に連動して回転する、2個以上のレバー(リンク機構部50)。
このブレーキ装置101は、制動部材が回転ドラム2の制動面31から離れたときに、レバーの他端部(ローラ50a)が制動面に当接することを特徴とする。
【0032】
上記では、ブレーキシュー5に4つのリンク機構部50を取り付ける形態について説明したが、5つ以上のリンク機構部50をブレーキシュー5に取り付けてもよいし、3つ以下のリンク機構部50をブレーキシュー5に取り付けてもよい。
図8、図9、図10は、実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図である。
ブレーキシュー5に3つ以下のリンク機構部50を取り付ける場合、ブレーキシュー5の高さ方向と幅方向とのうち、より長く伸長する方向において対向する2つのリンク機構部50を取り付けるのが好ましい。これにより、同じ傾き角でも傾き量が大きくなる方向においてブレーキシュー5の傾きを矯正することができる。
例えば、実施の形態1のようにブレーキシュー5が左右の幅方向より上下の高さ方向に長い長さを持つ場合、図8に示すように、ブレーキシュー5の左右いずれかの片面において、ブレーキシュー5の上部とブレーキシュー5の下部とにリンク機構部50を備えてもよいし、図9に示すように、ブレーキシュー5の上部においてブレーキシュー5の左右いずれかの片面に取り付けられたリンク機構部50とブレーキシュー5の下部においてそのリンク機構部50とブレーキシュー5を挟んで斜向かいの位置に取り付けられたリンク機構部50とを備えてもよい。但し、図10に示すようにブレーキシュー5の上下いずれか一方においてブレーキシュー5を挟んで対向するように2つのリンク機構部50を備えるようにしても構わないし、1つだけリンク機構部50を備えるようにしても構わない。
【0033】
実施の形態1においてエレベータの巻上機100のブレーキ装置101について説明したが、リンク機構部50を有することを特徴とするブレーキ装置101はエレベータ以外の巻上機100に用いても、物を昇降する巻上機100以外に用いても構わず、例えば、車のタイヤブレーキに用いても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態1における巻上機100の正面断面図。
【図2】実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図。
【図3】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【図4】実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図。
【図5】実施の形態1における非制動時のブレーキ装置101の拡大図。
【図6】実施の形態1における制動解放時のブレーキ装置101の拡大図。
【図7】従来の制動解放時のブレーキ装置101の拡大図。
【図8】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【図9】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【図10】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【符号の説明】
【0035】
2 回転ドラム、4 可動鉄心、5 ブレーキシュー、12 押し付けバネ、13 電磁コイル、14 ハウジング、15 固定部材、16 トルク受け部、17 ライニング、31 制動面、35 調整ボルト、36 球面座、37 板ばね、38 止めナット、50 リンク機構部、50a ローラ、50b レバー、50c ピンc、50d ピンd、50e 長穴、51 リンク機構部A、52 リンク機構部B、100 巻上機、101 ブレーキ装置、102 軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エレベータ巻上機のブレーキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシューがバネの押付方向に対し直線的に配列されており、回転する回転ドラムを押圧して制動力を発生させる可動部分(アーマチュア及びブレーキシュー)が固定部分に固定されていないエレベータ巻上機用ブレーキ機構において、回転ドラムの制動時にブレーキシューにかかる回転トルク(ブレーキトルク、制動トルク)は、巻上機の構造として固定的に設けられたトルク受け部にブレーキシューが接触することにより吸収される。そこで、エレベータ巻上機は、ブレーキトルクの発生時に回転ドラムおよびブレーキシューが回転しないように、ブレーキシューとトルク受け部との隙間が10分の数ミリメートル程度と狭く設計されている。
このため、動作中の外乱によりブレーキシューに傾きが生じた場合にブレーキシューがトルク受け部の角端部に接触するが、ブレーキシューの傾きおよびブレーキシューとトルク受け部の角端部との接触は、回転ドラムに対して進退するブレーキシューの動作の円滑化やブレーキシューの前方において回転ドラムと接触するライニングの長寿命化のためには、発生しないことが望ましい。
【0003】
例えば、特許文献1では制動部材(ブレーキシュー)がトルク受け部(制動部材の両側面それぞれに対して対面するように設けられた切欠部)にガイドされて直線的に移動する直動式ブレーキを開示している。
また例えば、特許文献2では制動を解除したときに制動部材の姿勢(傾き)を調整する調整部材を用いて制動部材と回転ドラムの制動面との隙間を確保することを開示している。
【特許文献1】国際公開第2005/019085号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/036080号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の直動式ブレーキは、トルク受け部が制動部材を直線的にガイドできるように、トルク受け部と制動部材との間に隙間が設けられている。この制動部材は、電磁石機構の電磁コイルの通電により、固定鉄心側に移動して回転ドラムに対する制動を解除する。このとき、制動部材がトルク受け部との隙間分、傾く場合があり、この傾きによって制動部材が回転ドラムの制動面に接触する場合がある。そして、制動部材と回転ドラムとの擦り音や制動部材の磨耗が発生する。
【0005】
また、特許文献2において調整部材は、固定部材に設けられた突出部であり、回転ドラムに対する制動が解除された時に接した制動部材の傾きを調整して制動部材が傾くことを規制するものである。
【0006】
本発明は、例えば、非制動時に制動部材が傾くことにより制動部材が回転ドラムの制動面に接触しないようにすることができるブレーキ装置を得ることを目的とする。
特に、固定部材に設けた突出部以外の調整部材により制動部材の傾きを調整するブレーキ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブレーキ装置は、回転ドラムの内周側に配置され前記回転ドラムに対して進退し前記回転ドラムに対して前進した際に前記回転ドラムの内周面を押圧して前記回転ドラムの回転を制動するブレーキシューを備えるブレーキ装置であり、前記ブレーキシューに連結するシュー連結部と、前記シュー連結部を介して前記ブレーキシューの進退に連動して前記回転ドラムに対して進退する連動端部とを有するリンク機構部を備え、前記リンク機構部は、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの前進に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して後退し、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの後退に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して前進し、前進した前記連動端部が前記回転ドラムの内周面に当接することにより、前記連動端部に連動する前記ブレーキシューの後退を前記シュー連結部が前記ブレーキシューに連結する部分において抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、調整部材(リンク機構部)が、回転ドラムの制動面(内周面)に接した際に、制動部材(ブレーキシュー)との連結部において制動部材の後退を抑制することにより、制動面に接していない調整部材の連結部分でだけ制動部材を後退させ、制動部材の傾きを調整することができる。つまり、本発明のブレーキ装置は、制動部材が回転ドラムの制動面に接触しないようにすることができ、制動部材と回転ドラムとの擦り音の防止や制動部材の磨耗の減少といった効果を得ることができる。また、その他にも、制動部材の回転ドラムに対する進退動作をよりスムーズにするなどの効果を得ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における巻上機100の正面断面図である。図1では、固定部材15部分についてのみ断面図を示し、リンク機構部50と連結するブレーキシュー5部分などのその他の部分については正面図を示している。巻上機100が備えるブレーキ装置101を示す各図(図2、図4〜図7)についても同様である。
図2は、実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図である。
図3は、実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図である。
実施の形態1におけるブレーキ装置101および巻上機100について、図1〜図3に基づいて以下に説明する。
【0010】
図1において、巻上機100には、軸102を中心に回転する回転ドラム2(ロータードラム、ブレーキドラム)が設けられ、回転ドラム2は内面に制動面31(内周面、ドラム面)を有する。さらに、巻上機100は回転ドラム2の内周側にブレーキ装置101が設けられている。回転ドラム2およびブレーキ装置101は巻上機100の基体であるハウジング14に格納されている。
【0011】
エレベータの巻上機100は、駆動綱車(図示省略)にエレベータのかごを懸吊するロープが巻き掛けられ、ロープの他端にはエレベータのかごの昇降を補助するための重りが懸吊されている。駆動綱車は図1において回転ドラム2の裏側(奥側)に位置し、回転ドラム2と結合している。巻上機100は、モーター(図示省略)が駆動綱車を左右に回動してエレベータのかごを昇降し、駆動綱車に連動して回動する回転ドラム2を内側から押圧して制動することにより昇降させたエレベータのかごを制動する。
【0012】
ブレーキ装置101(電磁石機構、電磁マグネット)は、固定部材15と、固定部材15に対向した可動鉄心4(アーマチュア)と、固定部材15に設けられた電磁コイル13および可動鉄心4を押し出す押し付けバネ12を有する。
また、可動鉄心4の外側(制動面31側)には調整ボルト35を介してブレーキシュー5(制動部材)が取り付けられ、回転ドラム2の制動面31と対面するブレーキシュー5の先端には回転ドラム2の制動面31に当接する摩擦材であるライニング17が取り付けられている。
この調整ボルト35は頭部が凸状の球面に形成され、ブレーキシュー5には調整ボルト35の球面と係合する凹状の球面に形成された球面座36が取り付けられている。また、調整ボルト35の頭部に引っ掛けられた板ばね37が、調整ボルト35と球面座36とを挟み込むようにしてブレーキシュー5に取り付けられている。また、ネジ切りされた可動鉄心4にねじ込まれて結合された調整ボルト35は止めナット38で固定されている。そして、この調整ボルト35をネジ作用で進退させることで、ブレーキシュー5が回転ドラム2の制動面31に対して進退する量を調整する。ブレーキシュー5のライニング17と回転ドラム2の制動面31との非制動時におけるすき間は100分の数ミリメートル程度に調整され、制動時においてブレーキシュー5が回転ドラム2に対して前進する量は10分の数ミリメートル程度に調整されている。ブレーキシュー5は回転ドラム2とのすき間量と前進量との差分だけライニング17を回転ドラム2の制動面31に押し付けて回転ドラム2の回転を制動する。
【0013】
ブレーキ装置101は、電磁コイル13を通電することで固定部材15を励磁して、可動鉄心4を押し付けバネ12に抗して固定部材15に引き付け、ブレーキシュー5を回転ドラム2の制動面31から引き離す。こうして、ブレーキ装置101は回転ドラム2に対する制動力を解放する。
また、ブレーキ装置101は電磁コイル13への通電を遮断することで固定部材15を励磁されない状態にして、押し付けバネ12によって可動鉄心4を押し出し、ブレーキシュー5のライニング17を回転ドラム2の制動面31に押し付ける。こうして、ブレーキ装置101は回転ドラム2の回転に対して制動力を発生させる。
【0014】
実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の制動面31に対するブレーキシュー5の後退時に回転ドラム2の制動面31に先端を当接することにより、ブレーキシュー5の傾きを調整するリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0015】
特に、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転方向の上流側と回転ドラム2の回転方向の下流側とにリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0016】
また、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転方向の上流側と回転ドラム2の回転方向の下流側とのいずれか側においてブレーキシュー5を挟んで対向する2つのリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0017】
また、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転方向の上流側と下流側とにブレーキシュー5を挟んで斜向かいに位置する2つのリンク機構部50を備えることを特徴とする。
【0018】
図2において、実施の形態1におけるブレーキ装置101が備えるリンク機構部50は、くの字状(または、への字状、L字状、V字状など)を形成するレバー50bと、レバー50bの一端側に位置する長穴50e(シュー連結部)と、レバー50bの他端側に位置するローラ50a(連動端部、回転体)と、レバー50bの屈曲部分で固定部材15のトルク受け部16(第1固定部、第2固定部)と連結するピンc50c(固定部連結部)とを有する。
ローラ50aはレバー50bの先端に回転自在に取り付けられ、回転ドラム2の制動面31に当接した際に回転ドラム2の回転に合わせて回転する。
ピンd50d(シュー固定ピン)は長穴50eを貫通してブレーキシュー5に固定され、リンク機構部50は長穴50eに係合したピンd50dを介してブレーキシュー5に取り付けられている。
また、リンク機構部50はピンc50cを回転軸にして回転自在に取り付けられ、ピンd50dはリンク機構部50の回転に合わせて長穴50eの伸長方向に移動する。
【0019】
図3は、図2に示すA−A線から見たブレーキ装置101の断面を示している。
図3において、ブレーキシュー5には、ブレーキシュー5の上部でブレーキシュー5を挟んで対向するように配置された2つのリンク機構部50と、ブレーキシュー5の下部でブレーキシュー5を挟んで対向するように配置された2つのリンク機構部50との計4つのリンク機構部50が取り付けられている。つまり、ブレーキシュー5は、図3において、左右両側面において、上部と下部とに2つずつのリンク機構部50が取り付けられている。また、図2において、ブレーキシュー5は上下、奥手前の可動鉄心4箇所にリンク機構部50が取り付けられている。
【0020】
図4は、実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図である。
図2および図4に基づいて、実施の形態1における回転ドラム2の回転を制動するブレーキ装置101の制動時の動作について説明する。
【0021】
図2において、回転ドラム2のモーター(図示省略)による回転が停止した際、ブレーキ装置101は電磁コイル13への通電を止め、固定部材15を非磁石化する。そして、押し付けバネ12は伸長して可動鉄心4を固定部材15から外側に押し離し、調整ボルト35を介して可動鉄心4と連結するブレーキシュー5は回転ドラム2に向かって前進し、ブレーキシュー5の前方に位置するライニング17は回転ドラム2の制動面31に当接して回転ドラム2の回転を制動する。
このとき、リンク機構部50は、ブレーキシュー5に固定されたピンd50dと係合する長穴50e部分がブレーキシュー5に連動して回転ドラム2に対して前進動作し、長穴50e部分の回転ドラム2に対する前進動作に伴って、ピンc50cを回転軸として回転し、ローラ50aが回転ドラム2に対して後退動作する。これにより、リンク機構部50のローラ50aは回転ドラム2の制動面31と非接触の状態になる。つまり、リンク機構部50が脚状(腕状)に取り付けられた制動時のブレーキシュー5は、回転ドラム2に対する前進動作に連動させて開脚し、各脚を回転ドラム2と非接触の状態にする。
【0022】
ここで、巻上機100がモーターを停止して回転ドラム2の回転を止めたときでも、エレベータのかごとエレベータのかごを懸吊するロープの他端に取り付けられた重りとの重量(かご内の人・物を含む)および昇降位置の関係に応じて、回転ドラム2および回転ドラム2の回転を制動するブレーキシュー5にはエレベータのかごが懸吊されている側と重りが懸吊されている側とのいずれかの方向に回転しようとする回転トルク(制動トルク)がかかる。
【0023】
例えば、図4において、回転ドラム2に左回りの回転トルクがかかった場合、ブレーキシュー5にはライニング17を介して下向き(回転ドラム2にかかる回転トルクの回転下流側、回転先側)に回転トルクがかかる。このとき、板ばね37、先端を凸半球状に形成する調整ボルト35および凹半球状の球面座36を介して可動鉄心4と連結するブレーキシュー5は、球面座36での回転と板ばね37の弾性とにより、回転トルクがかかる下向きに傾き、ブレーキシュー5の下側に位置する固定部材15のトルク受け部16(第2固定部)に当接する。また、リンク機構部50は、ブレーキシュー5に固定されたピンd50dを長穴50eの伸長方向下方に移動させて、ブレーキシュー5をブレーキシュー5の下側に位置する固定部材15のトルク受け部16に当接させる。
そして、ブレーキシュー5にかかる回転トルクをブレーキシュー5が当接した固定部材15のトルク受け部16(第2固定部)で吸収することにより、ブレーキ装置101は回転ドラム2に対する制動力を十分に確保することができる。
【0024】
図5は、実施の形態1における非制動時のブレーキ装置101の拡大図である。
次に、実施の形態1における回転ドラム2の回転を制動しないブレーキ装置101の非制動時の動作について説明する。
【0025】
図5において、回転ドラム2がモーターにより回転する際、ブレーキ装置101は電磁コイル13に電流を流して固定部材15を磁化し、磁石となった固定部材15により可動鉄心4を押し付けバネ12の伸長力に抗してより強い力で引き付ける。そして、可動鉄心4と連結するブレーキシュー5は回転ドラム2から後退し、ブレーキシュー5の前方に位置するライニング17は回転ドラム2の制動面31から離れ、回転ドラム2の回転に対する制動は解放される。
このとき、ブレーキシュー5に固定されたピンd50dはブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退動作に連動してリンク機構部50の長穴50eを移動する。そして、リンク機構部50は、ピンd50dと係合する長穴50e部分がピンd50dの移動に伴い回転ドラム2に対する後退動作をし、長穴50e部分の回転ドラム2に対する後退動作に伴って、ピンc50cを回転軸として回転し、ローラ50aが回転ドラム2に対して前進動作をする。これにより、リンク機構部50のローラ50aは回転ドラム2の制動面31に当接し、回転ドラム2の回転に合わせて回転する。
【0026】
図6は、実施の形態1における制動解放時のブレーキ装置101の拡大図である。
図7は、従来の制動解放時のブレーキ装置101の拡大図である。
実施の形態1において、ブレーキ装置101が回転ドラム2の回転に対する制動を解放するために可動鉄心4を固定部材15に引き付けてブレーキシュー5を回転ドラム2から後退させる際に、ブレーキシュー5に傾きが生じた場合のブレーキシュー5の後退動作について、図6および図7に基づいて以下に説明する。
【0027】
エレベータの巻上機100のブレーキ装置101は、制動時にブレーキシュー5にかかる回転ドラム2の回転トルクを固定部材15のトルク受け部16で受けるために、ブレーキシュー5が板ばね37、調整ボルト35および球面座36を介して可動鉄心4と連結し、球面座36での回転と板ばね37の弾性とにより傾き可能な構造になっている。また、非制動時のブレーキシュー5のライニング17と回転ドラム2の制動面31との乖離間隔は100分の数ミリメートル程度と非常に狭い。
このため、制動解放時にブレーキシュー5を回転ドラム2から後退させてもブレーキシュー5に傾きが生じた場合、リンク機構部50を有さない従来のブレーキ装置101では、図7に示すようにライニング17の一方(一端側)が回転ドラム2の制動面31と接し、ライニング17と制動面31との摩擦音やライニング17の磨耗が発生する。
【0028】
一方、リンク機構部50を有する実施の形態1におけるブレーキ装置101は、回転ドラム2の回転に対する制動の解放時に、ブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退と連動してリンク機構部50のローラ50aが前進して回転ドラム2の制動面31に当接することにより、回転ドラム2の制動面31にローラ50aが当接したリンク機構部50の長穴50e部分においてブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退を抑制してブレーキシュー5の傾きを矯正する。
【0029】
実施の形態1におけるブレーキ装置101では、ブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退時にブレーキシュー5に傾きが生じた場合、まず、ブレーキシュー5の上下、奥手前の4箇所に取り付けられた4つのリンク機構部50のうち1つまたは2つのリンク機構部50がローラ50aを回転ドラム2の制動面31に当接する。例えば、図6において、ブレーキシュー5の回転ドラム2に対する後退時にブレーキシュー5が下方手前に傾いた場合、ブレーキシュー5に取り付けられた4つのリンク機構部50のうちブレーキシュー5の傾いた側に取り付けられているリンク機構部B52だけが回転ドラム2の制動面31に当接する。
このとき、ローラ50aが当接したリンク機構部50の長穴50eではピンd50dが長穴50eの端部に位置しており、ピンd50dはこれ以上長穴50eを移動することができない。これにより、ローラ50aが当接したリンク機構部50の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分において、ブレーキシュー5は拘束され、回転ドラム2に対する後退が抑制される。また、その他の部分、つまり、ローラ50aが当接していないリンク機構部50の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分においては、ブレーキシュー5は拘束されず、回転ドラム2に対して後退可能である。例えば、図6において、ブレーキシュー5は、リンク機構部B52の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分では拘束され、リンク機構部A51(又はその他の50)の長穴50eに係合するピンd50dが位置する部分では後退方向に可動である。
さらに、ブレーキ装置101が可動鉄心4を固定部材15に引き付けてブレーキシュー5を回転ドラム2から後退させると、ブレーキシュー5は、拘束されていない可動部分(図6におけるリンク機構部B52以外のリンク機構部50(例えば、リンク機構部A51)に係合するピンd50dが位置する部分)において、リンク機構部50のローラ50aが回転ドラム2の制動面31に当接するまで後退する。
こうして、ブレーキシュー5に取り付けられた4つのリンク機構部50は、順次、ローラ50aを回転ドラム2の制動面31に当接し、連結部分においてブレーキシュー5の後退動作を拘束する。そして、ブレーキ装置101による固定部材15への可動鉄心4の引き付け終了状態時には、全てのリンク機構部50のローラ50aが回転ドラム2の制動面31に当接し、ブレーキシュー5が各リンク機構部50により傾きを矯正され、ブレーキシュー5のライニング17が回転ドラム2の制動面31に対して乖離した状態となる。つまり、実施の形態1におけるブレーキ装置101は、確実にブレーキシュー5のライニング17が回転ドラム2の制動面31から離れた状態で、回転ドラム2の回転に対する制動を解除することができる。
これにより、非制動時におけるブレーキシュー5のライニング17と回転ドラム2の制動面31との摩擦音やブレーキシュー5のライニング17の磨耗の発生を防ぐことができる。
【0030】
実施の形態1では、ブレーキシュー5にリンク機構部50を設け、その先端(ローラ50a)が回転ドラム2の制動面31を押すことによりブレーキシュー5の姿勢を矯正するブレーキ装置101について説明した。
【0031】
特に、巻上機100の駆動によって回転し、制動面31を有する回転ドラム2を制動するエレベータ巻上機用のブレーキ装置101として以下の構成を備えるブレーキ装置101について説明した。
(a)巻上機100に設けられた固定部材15。
(b)固定部材15に設けられた電磁石機構(電磁コイル13)。
(c)電磁石機構によって回転ドラム2の制動面31に対して進退して回転ドラム2の制動と解除を行う制動部材(ブレーキシュー5)。
(d)固定部材15に回転自在に設けられ、一端(長穴50e)が制動部材に連結されて、制動部材の進退に連動して回転する、2個以上のレバー(リンク機構部50)。
このブレーキ装置101は、制動部材が回転ドラム2の制動面31から離れたときに、レバーの他端部(ローラ50a)が制動面に当接することを特徴とする。
【0032】
上記では、ブレーキシュー5に4つのリンク機構部50を取り付ける形態について説明したが、5つ以上のリンク機構部50をブレーキシュー5に取り付けてもよいし、3つ以下のリンク機構部50をブレーキシュー5に取り付けてもよい。
図8、図9、図10は、実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図である。
ブレーキシュー5に3つ以下のリンク機構部50を取り付ける場合、ブレーキシュー5の高さ方向と幅方向とのうち、より長く伸長する方向において対向する2つのリンク機構部50を取り付けるのが好ましい。これにより、同じ傾き角でも傾き量が大きくなる方向においてブレーキシュー5の傾きを矯正することができる。
例えば、実施の形態1のようにブレーキシュー5が左右の幅方向より上下の高さ方向に長い長さを持つ場合、図8に示すように、ブレーキシュー5の左右いずれかの片面において、ブレーキシュー5の上部とブレーキシュー5の下部とにリンク機構部50を備えてもよいし、図9に示すように、ブレーキシュー5の上部においてブレーキシュー5の左右いずれかの片面に取り付けられたリンク機構部50とブレーキシュー5の下部においてそのリンク機構部50とブレーキシュー5を挟んで斜向かいの位置に取り付けられたリンク機構部50とを備えてもよい。但し、図10に示すようにブレーキシュー5の上下いずれか一方においてブレーキシュー5を挟んで対向するように2つのリンク機構部50を備えるようにしても構わないし、1つだけリンク機構部50を備えるようにしても構わない。
【0033】
実施の形態1においてエレベータの巻上機100のブレーキ装置101について説明したが、リンク機構部50を有することを特徴とするブレーキ装置101はエレベータ以外の巻上機100に用いても、物を昇降する巻上機100以外に用いても構わず、例えば、車のタイヤブレーキに用いても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施の形態1における巻上機100の正面断面図。
【図2】実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図。
【図3】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【図4】実施の形態1における制動時のブレーキ装置101の拡大図。
【図5】実施の形態1における非制動時のブレーキ装置101の拡大図。
【図6】実施の形態1における制動解放時のブレーキ装置101の拡大図。
【図7】従来の制動解放時のブレーキ装置101の拡大図。
【図8】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【図9】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【図10】実施の形態1におけるブレーキ装置101のA−A線断面図。
【符号の説明】
【0035】
2 回転ドラム、4 可動鉄心、5 ブレーキシュー、12 押し付けバネ、13 電磁コイル、14 ハウジング、15 固定部材、16 トルク受け部、17 ライニング、31 制動面、35 調整ボルト、36 球面座、37 板ばね、38 止めナット、50 リンク機構部、50a ローラ、50b レバー、50c ピンc、50d ピンd、50e 長穴、51 リンク機構部A、52 リンク機構部B、100 巻上機、101 ブレーキ装置、102 軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ドラムの内周側に配置され前記回転ドラムに対して進退し前記回転ドラムに対して前進した際に前記回転ドラムの内周面を押圧して前記回転ドラムの回転を制動するブレーキシューを備えるブレーキ装置において、
前記ブレーキシューに連結するシュー連結部と、前記シュー連結部を介して前記ブレーキシューの進退に連動して前記回転ドラムに対して進退する連動端部とを有するリンク機構部を備え、
前記リンク機構部は、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの前進に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して後退し、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの後退に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して前進し、前進した前記連動端部が前記回転ドラムの内周面に当接することにより、前記連動端部に連動する前記ブレーキシューの後退を前記シュー連結部が前記ブレーキシューに連結する部分において抑制する
ことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
前記ブレーキ装置は、さらに、
前記回転ドラムの内周側において位置が固定され、前記ブレーキシューに対して前記回転ドラムの回転方向の上流側に位置する第1固定部と、前記ブレーキシューに対して前記回転ドラムの回転方向の下流側に位置する第2固定部とを有し、前記第1固定部と前記第2固定部との間に前記ブレーキシューを配置する固定部材を備え、
前記リンク機構部は、前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とのいずれか側に配置されてくの字状を形成し、くの字状の一端側に前記シュー連結部を有し、くの字状の他端側に前記連動端部を有し、くの字状の屈曲部分に前記固定部材の前記第1固定部と前記固定部材の前記第2固定部とのうち前記リンク機構部が配置された側に位置する固定部と連結する固定部連結部を有し、前記シュー連結部が連結する前記ブレーキシューの進退に連動して前記固定部連結部を回転軸にして回動して前記連動端部を前記回転ドラムに対して進退させる
ことを特徴とする請求項1記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記リンク機構部は、くの字状の前記シュー連結部が位置する一端側からくの字状の屈曲部分に向かって伸長する長穴を前記シュー連結部として有し、前記長穴を貫通して前記ブレーキシューに固定されたシュー固定ピンにより前記ブレーキシューと連結し、前記ブレーキシューの進退に連動して前記シュー固定ピンが前記長穴の伸長方向に移動する
ことを特徴とする請求項2記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記リンク機構部の前記連動端部は前記回転ドラムの内周面に当接した際に前記回転ドラムの回転に合わせて回転する回転体であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記ブレーキ装置は、
前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とに前記リンク機構部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかに記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記ブレーキ装置は、
前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とのいずれか側において、前記ブレーキシューを挟んで対向する2つの前記リンク機構部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかに記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記ブレーキ装置は、
前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とで前記ブレーキシューを挟んで斜向かいに位置する2つの前記リンク機構部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかに記載のブレーキ装置。
【請求項1】
回転ドラムの内周側に配置され前記回転ドラムに対して進退し前記回転ドラムに対して前進した際に前記回転ドラムの内周面を押圧して前記回転ドラムの回転を制動するブレーキシューを備えるブレーキ装置において、
前記ブレーキシューに連結するシュー連結部と、前記シュー連結部を介して前記ブレーキシューの進退に連動して前記回転ドラムに対して進退する連動端部とを有するリンク機構部を備え、
前記リンク機構部は、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの前進に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して後退し、前記回転ドラムに対する前記ブレーキシューの後退に連動して前記連動端部が前記回転ドラムに対して前進し、前進した前記連動端部が前記回転ドラムの内周面に当接することにより、前記連動端部に連動する前記ブレーキシューの後退を前記シュー連結部が前記ブレーキシューに連結する部分において抑制する
ことを特徴とするブレーキ装置。
【請求項2】
前記ブレーキ装置は、さらに、
前記回転ドラムの内周側において位置が固定され、前記ブレーキシューに対して前記回転ドラムの回転方向の上流側に位置する第1固定部と、前記ブレーキシューに対して前記回転ドラムの回転方向の下流側に位置する第2固定部とを有し、前記第1固定部と前記第2固定部との間に前記ブレーキシューを配置する固定部材を備え、
前記リンク機構部は、前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とのいずれか側に配置されてくの字状を形成し、くの字状の一端側に前記シュー連結部を有し、くの字状の他端側に前記連動端部を有し、くの字状の屈曲部分に前記固定部材の前記第1固定部と前記固定部材の前記第2固定部とのうち前記リンク機構部が配置された側に位置する固定部と連結する固定部連結部を有し、前記シュー連結部が連結する前記ブレーキシューの進退に連動して前記固定部連結部を回転軸にして回動して前記連動端部を前記回転ドラムに対して進退させる
ことを特徴とする請求項1記載のブレーキ装置。
【請求項3】
前記リンク機構部は、くの字状の前記シュー連結部が位置する一端側からくの字状の屈曲部分に向かって伸長する長穴を前記シュー連結部として有し、前記長穴を貫通して前記ブレーキシューに固定されたシュー固定ピンにより前記ブレーキシューと連結し、前記ブレーキシューの進退に連動して前記シュー固定ピンが前記長穴の伸長方向に移動する
ことを特徴とする請求項2記載のブレーキ装置。
【請求項4】
前記リンク機構部の前記連動端部は前記回転ドラムの内周面に当接した際に前記回転ドラムの回転に合わせて回転する回転体であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかに記載のブレーキ装置。
【請求項5】
前記ブレーキ装置は、
前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とに前記リンク機構部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかに記載のブレーキ装置。
【請求項6】
前記ブレーキ装置は、
前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とのいずれか側において、前記ブレーキシューを挟んで対向する2つの前記リンク機構部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項5いずれかに記載のブレーキ装置。
【請求項7】
前記ブレーキ装置は、
前記回転ドラムの回転方向の上流側と前記回転ドラムの回転方向の下流側とで前記ブレーキシューを挟んで斜向かいに位置する2つの前記リンク機構部を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項6いずれかに記載のブレーキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−35416(P2009−35416A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203741(P2007−203741)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]