ブロック製品
【課題】 沈床ブロック、護岸ブロック、根固めブロック等海岸や河川、或いはこれらの沿岸に適用される各種ブロック製品について、耐腐食性に優れ、環境に対する適用性に優れ、そして、コンクリート製品に比べて成型工程が簡単であるブロック製品を提供する。
【解決手段】 鉄製フレーム14を枠状に形成してなるブロック製品であって、前記鉄製フレーム14を黒鉛状鋳鉄から構成してなる。この鋳鉄品としては、JIS G 5502記載の球状黒鉛鋳鉄品が好ましい。
【解決手段】 鉄製フレーム14を枠状に形成してなるブロック製品であって、前記鉄製フレーム14を黒鉛状鋳鉄から構成してなる。この鋳鉄品としては、JIS G 5502記載の球状黒鉛鋳鉄品が好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブロック製品に係わり、沈床ブロック、護岸ブロック、根固めブロック等海岸や河川、或いはこれらの沿岸に適用される各種ブロック製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のブロック製品として、例えば、河川や海中に沈められて魚礁等として利用される沈床ブロック、河川沿岸や海岸の護岸用の根固めブロック、河川の法面に使用される補強ブロック、河川や道路等に使用される積みブロック等が存在する。
【0003】
これらのブロックとして従来から、木製、あるいはコンクリート製のものが存在する。木工沈床ブロックの場合、木質方格材を鉄線で現場にて矩形に組み立てることが行われている。根固めブロックでは、鉄製の枠内に雑割石を収容している。また、河川の法面に使用されるブロックでは、金網から構成された籠マット内に雑割石を収容した構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のブロック製品には、次の問題がある。木質のものでは強度が足りず、また腐食や劣化の問題がある。例えば、方格材として使用されている松材の耐久性は、水中で十年程度、土壌中に適用した場合には5−6年程度である。鉄製のものでは、錆が発生する問題がある。コンクリート製のブロック製品では、コンクリートの打設、養生、型枠離脱の工程を必要とする。さらに、コンクリート製品では、水中に放置された状態でアルカリ分の溶出の問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、耐腐食性に優れ、環境に対する適用性に優れ、そして、コンクリート製品に比べて成型工程が簡単であるブロック製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこの目的を達成するために、鉄製の枠体からなるブロック製品であって、この枠体が鋳鉄から構成されていることを特徴とするものである。この鋳鉄品としては、JIS G 5502(平成7年7月1日改正 日本工業準標準調査会 審議、日本規格協会発行)記載の球状黒鉛鋳鉄品が好ましい。すなわち、黒鉛含有製品であることが好ましい。
【0007】
本発明によれば、鋳鉄が耐錆性を発揮するとともに、コンクリートのような打設、養生、型枠組立、型枠脱型などの手間を省くことができる。また、鋳鉄品であれば、製品からのアルカリイオンの溶出が無く、また、鋳鉄によって植物プランクトンの生成を助ける鉄イオンが発生する。特に、鋳鉄製品中に含まれている炭素により、水質浄化作用も発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、沈床ブロックの側面、平面及び正面を示す図である。図2は、沈床ブロック製品を組み合わせたブロック組体の斜視図及びその平面図である。沈床ブロックとは、海や河川の底に沈められて、その補強を図るためや、或いは、魚礁として利用されるものである。
【0009】
図1に示すように、この沈床ブロックは、鋳鉄製のフレームを矩形に組み合わせて構成される。図1(1)はその全体斜視図、(2)はその左右の側面図、平面図、正面図を示す。10はブロックの底面に対して四カ所均等に垂直に置かれた柱部分であり、12は、この柱同士の間に置かれた梁の部分である。柱と梁の部分は、従来の公知の金具で固定されるか、或いは溶接によって固定される。この柱及び梁を成すフレーム14は既述のように球状黒鉛鋳鉄品から構成される。図1の(1)に示すブロックは複数が組み合わされて沈床ブロックとして利用される。
【0010】
図2は、図1の(1)に示されたのブロック製品1を千鳥状に組み合わせた組立品を示す。図2の(1)は、組立品の斜視図であり、(2)はその平面図に相当する模式図である。ブロック製品1は交互に互いが連結されて、全体としては千鳥状にブロック製品が連結される。各ブロック製品の連結は、例えば、後述の連結金具或いは連結板を用いて行われる。
【0011】
この組立体は陸上の工場或いは沿岸において組み立てられて海中や河川の水中に沈められる。矩形ブロック製品の内部空間である図1(1)に示す符号16内には、雑割石(栗石)等が収容される。この雑割石は自然石であると海や河川の環境に対する影響も良く、かつ雑割石間の複雑な凹凸形状の表面に微生物が付着、増殖するのに適している。
【0012】
ブロック製品のフレームは既述のように球状黒鉛含有鋳鉄品から構成することにより、生物の生成に必要な鉄イオンが環境中に提供されるばかりでなく、鋳鉄品の表面に生成する炭素によって水の浄化作用も期待される。
【0013】
この組立品によれば、次のような効果がある。方格材を鉄線で現場にて組み上げる本製の沈床工に比ベ、それぞれ規格寸法の各部材を特殊連結方法にて組み上げて行くため施工性が向上する。鋳鉄製の枠体は特殊鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)を使用しているため、従来鋳鉄製品に比べ耐久性が向上する。側板十栗石充填のみでの使用方法の他、底面部に木材(松材など)を敷き並べ、又側板上部に丸太材を取り付けることによって、より木工沈床工に近い形状となる。
【0014】
図3は、図1のブロック製品の他の形態を示すものである。このブロック製品は、矩形フレームに対して木材を固定した場合を示している。木材を固定することにより、環境に対する影響をより向上させることを目的としている。図3(1)はこのブロック製品の斜視図であり、(2)はその平面図、正面図、左右の側面図である。
【0015】
このブロック製品において、その上端と底面に木材30が固定されている。この木材は丸太を長さ方向に半割とし、平坦面の方がフレームに固定されている。ブロック製品の上端においての木材30A,30Bの固定は、互いに対向する一組のフレーム32,34の長さ方向に木材を固定する。
【0016】
次いで、上端における、残りの一組のフレーム36,38の組に対しては、互いに対向する木材30A、30Bの両端のそれぞれに木材30C、30Dを固定する。このブロック製品の底面における木材の固定は、複数の木材30Eをその両端の位置においてフレームに固定する。
【0017】
底面における木材は必ずしもフレームに固定されるものでなくても良い。このブロック製品の内部には、既述の実施形態と同様に雑割石が収容される。この雑割石の重さによって底面の木材はフレームに十分支持或いは固定される。
【0018】
木材はブロック製品の底面をほぼ覆うようにフレームに固定される。このブロック製品も図1及び図2に示すブロック製品と同様に千鳥状に組み立てられる。図4の(1)はこの組立品の斜視図、(2)はその配列を示す平面図に相当する概略図である。
【0019】
図5は、既述の二つの実施形態に係わるブロック製品に対する連結板を示したものである。フレームの両端には、フレーム同士を連結するための連結板が固定されている。図5(1)は、ブロック製品の側面を形成するフレームの内最上部の平面図であり、(2)はその側面図であり、(3)は最下部の平面図である。(4)は側面を形成するフレーム全体を上から見た平面図である。
【0020】
アーム14の両端には、アームの端部方向に向かって鋭角状になった5角形型の連結板14Aが固定されている。この連結板は、既述のようにブロック製品を千鳥状に組み立てる場合に、アーム同士を連結する働きをする。この連結板の両側には、連結板同士を固定するボルト穴14Bが構成されている。
【0021】
(1)、(2)及び(4)に示すように、最上端のアームの長さ方向のアーム中心寄りの2カ所には、木材をアームに固定するための固定金具(固定板)14Cがアームに対して固定されている。この固定金具は上面14C−1が平坦になっており、その中心には木材をアームに固定するためのボルト穴14C−2が形成されている。また、(3)に示すように最下端のアームには、アームの長さ方向に沿って連結板に連結するようにして長方形のフランジ15がアームの長さ方向の両側でアームに固定されている。ブロック製品の側面に最も近い木材の平坦面がこの内側フランジ内に置かれるか、或いは固定される。
【0022】
図6は、千鳥状にブロック製品を組み立てる場合における、ブロック製品間の連結の機構を示す平面図である。この図は、隣接するブロック製品のアーム端部を示している。このアーム端部には既述の連結板14Aが固定されている。
【0023】
隣接するアームの端部では、ブロック製品の連結板同士が隣接している状態になっている。隣接する連結板同士の同じ側を連結補助具17で連結する。連結補助具は矩形であってその両端に連結板(連結金具)のボルト穴14Bに等しい径のボルト穴17Aを持っている。連結補助具17を隣接する連結板14Aに渡し、連結補助具及び連結板をボルトで固定すると、連結補助具及び連結板を介して隣接するアーム同士が連結される。この結果、ブロック製品を所望の形状に組み立てることが可能となる。
【0024】
図7は第2番目に説明された実施形態に相当するものであって、(1)は木材が固定されない状態の斜視図であり、(2)は木材が固定された状態の斜視図である。(1)は木材を固定するための側面を形成するフレームのうち、最上端のフレームを強調して示している。木材の固定は、ボルト止め、接着材による固定など特に限定されない。環境対策の点からは、ボルト止めが好ましいと思われる。
【0025】
図8(1)は本発明の他の実施形態を示す籠マット型のブロック製品の全体斜視図であり、(2)はその左右の側面図、平面図及び正面図である。この籠マット型の製品は、黒鉛状鋳鉄製のアームを三角籠マットの骨組みとして組み立て、それぞれのアーム間にこれも黒鉛状鋳鉄製の三角網ネットを固定したものである。この籠マットの中には、雑割石を充填するための空間が形成される。
【0026】
内部に雑割石を充填した籠マットを海や河川の護岸のために、土手に積み重ねる。あるいは、河川や海岸の沿岸に敷き詰める。このアームには、隣接する籠マット同士を連結するためのフランジ52及びフランジ同士をボルトで連結するためのボルト穴54が設けられている。フランジ52はアーム50からほぼ直角に籠マットの外側に向かって延びている。ボルト穴54がフランジの長さ方向に渡って均等に複数箇所形成されている。
【0027】
このブロック製品によれば次の効果が得られる。鋳鉄内部に充填する雑割、玉石、礫等の凹凸部表面積に付着微生物膜が生成するためコンクリートブロックに比べ接触表面積の増大が水質浄化に寄与する。コンクリート打設、養生、型枠脱型の手間が省け鋳鉄部材を現地で組立、石材を投入するだけで製品が完成する。従来コンクリート製の根固めブロックに比べ製作工期は約1/3ですむ。
【0028】
図9が本発明のさらに他の実施形態を示すブロック製品である。このブロック製品は積みブロックに代わる生態系に配慮した護岸用ブロックである。図9(1)は、このブロック製品の斜視図を示すものである。(2)がこのブロックの左右の側面図、正面図、平面図を示すものである。
【0029】
積みブロックは河川や海岸において河川や海に臨む沿岸部分の壁面に積み立てられる。この積みブロック内に自然石を収容することによってコンクリート壁面である場合よりも、河川や海の生態系に良い結果を及ぼすように配慮されている。
【0030】
このブロック製品は、沿岸部分に固定される基礎壁面90に対して挿入固定されるフレーム部分92を備えている。フレーム部分92は、壁面90に沿った平行部分92Aとこの平行部分から直角に突出する垂直部分92Bとから構成されている。この垂直部分からはさらに、壁面内に挿入固定される固定脚92Cが壁面に対して突出している。このフレーム部品の平行部分92A、垂直部分92B及び固定脚92Cはそれぞれ溶接或いは連結板などによって一体化されている。
【0031】
図9(1)に示すように、前記壁面90及びフレーム92は制限された幅で一つの組合せとなっている。壁面90はコンクリートから例えば構成され、フレーム92は黒鉛球状鋳鉄品から構成されている。フレーム92の固定脚92Cを挿入する穴部を壁面部材90に形成し、この穴部内に固定脚92Cを挿入固定する。
【0032】
既述の壁面の長さ方向端部には、連接する壁体90同土の連結の案内となりかつこの連結を補強するための噛み合わせ用の凹凸面94が形成されている。壁面90とこのフレーム体92で構成された空間部分96には自然の雑割石が収容される。
【0033】
図9に示す実施形態によれば、次の効果が得られる。玉石、雑割等の自然石を格子状の鋳鉄内に充填することにより、マクロ的な多孔状の構造となり、その隙間が様々な生物に好都合な生息環境となる。
【0034】
平板状の背面控ブロックを、基礎工より計画勾配に沿って突き出した用心鉄筋に串刺しにする形で縦横断方向に積み上げることにより、任意の高さまで簡単に生態系護岸が可能となる。擁壁に作用する背面土圧の大きさによって、控えコンクリ一ト板厚を変化させ最も経済的な断面とすることができる。前面に形成された鋳鉄製の格子枠は、枠網目以上の直径の石材を使用し、左右の前面枠に挟まれた部分はその枠体縁間隔以上の直径の石材を使用する。これによって鋳鉄で囲まれた石材充填部はブロック1ケおきにそれぞれ粒径の異なった構造体が形成できる。壁体正面は剛性に富み自然環境に優しい鋳鉄十自然石の構造とし、壁体背面は安価で形状に応用のきくコンクリート製品とできる。
【0035】
図10(1)は一つの壁体90と一つのフレーム体92の組み合わせからなる、図9(1)に示すユニットの複数を並べて沿岸法面の上下左右に組み含わせた状態の左側面を示す。図10(2)はユニットをl段積みした状態の斜視図であり、(3)は2段積みした場合の斜視図である。(1)は5段積みの状態を示している。(1)において、100は法面、102は法面を形成するとともに、前記ユニットを収容するためのコンクリート製構造体である。106は最下端のユニットが段積みされた組立体の下端を指示する基礎部分である。このようにユニット体を上下左右に組み合わせることによって、沿岸の法面を保護できる。
【0036】
さらに、このユニットは、コンクリート面が河川や海岸に臨んでいるのではなく、フレーム体の中に自然石が収容されているので、環境に配慮したものとなる。図10(4)は、組立体の平面図を示すものである。フレーム内の空間部分96には自然石97が収容されている。なお、ユニットのブロック同士が連結された部分の空間部分の前面には、フレームが存在しない開放部99が形成されるが、この部分の空間内に比較的大型の自然石99Aを収容することにより、この開放部を閉鎖することができる。
【0037】
図11は図9及び図10の実施形態の変形例に相当するものである。この実施形態では、フレーム体92のうち壁体90に沿う平行部分92Aが垂直部分92Bよりも突出することなく、垂直部分で終了している場合を示している。
【0038】
図12に示すように、この実施形態では、複数のユニットを互いに連結させた場合、隣接するユニットの間100にはフレーム体の平行部分が形成されないが、この部分に別の平行部分102を雑割石を収容させた後固定すれば良い。
【0039】
図l3は本発明のさらに他の実施形態の全体の斜視図を示すものである。この実施形態は、球状黒鉛含有鋳鉄からなるH型鋼130,131をL型に配置し、これらの間に傾斜状にH型鋼132を介装した状態を示している。
【0040】
H型鋼131を四角状に組み合わせてブロック製品の底面を形成し、この底面には鋳鉄製の網ネット134を固定する。このブロック製品の正面には、二つのH型鋼130間に挿入されるフレーム体136がはめ込まれる。図14はこのブ口ック製品の斜視図を示すものである。このフレーム体は格子状フレーム136Aの両端にそれぞれ均等に複数箇所にかぎ型を呈した連結板136Bが固定されている。この連結板をH型鋼の開放部分138に挿入、あるいははめ込むことにより格子状フレームを図13のブロック製品の正面に固定することが可能となる。
【0041】
図13に示すブロック製品を均等に並べ、隣接するブロック製品の間のH型鋼同士に図14のフレーム体を挿入することにより、図15に示すようにブロック製品の連続組立体を実現することができる。なお、図15はブロック製品の正面部分のみを図示し、底面部分の図示を省略している。
【0042】
このブロック製品の正面部分と底面部分とから形成される空問部分140に自然石を積み重ねる。すなわち、ブロック製品の組立体を水中に没した後、この空間部分140に自然石を積み重ねる。この結果、ブロック製品の組立体によって自然石が崩れることなく、水中で支持される。フレーム体を球状黒鉛鋳鉄品から形成することにより環境に対して優れた特性のブロック製品を提供することが可能となる。
【0043】
図13の実施形態によれば、次の効果を達成することができる。従来のコンクリートL型擁壁工は、表面がコンクリート滑面仕上げ又は化粧としてぎ石模様にする等の方法がとられていた。しかし、滑面仕上げだと見た目にも周りの自然環境になじまず、ぎ石模様にしても意匠的にはある程度は緩和されても生態系に考慮した根本的な解決方法とは言えない。
【0044】
そこで、本工法ではあらかじめH型の鋼材またはアングルをL型に組み上げておき、縦方向に立ちあげた2本の鋼材の間に鋳鉄製の枠体を落としこむ方法をとることによって、施工性に優れた省力化構造物となる。
【0045】
図16は、図13に示す実施形態の変形例に相当するものである。このものは、コンクリート製の背面パネル160と黒鉛含有鋳鉄製正面パネル162とを組み合わせたものである。背面パネルは、断面L型の背面部160Bと、これに直角に突出し、正面パネルを固定するための井げた状の正面パネル固定部160Aと、を備えている。この背面部160Bと固定部160Aは、コンクリート製で一体になっている。
【0046】
一つ一つの背面パネルは、図16に示すような向きで、後述のように順次積み上げられる。固定部160Aの正面パネル160側は、上方から下方にむかって幅が広くなるように傾斜が形成されている。固定部160Aの上端161Aは、3段の段差が形成されている。固定部160Aの下端161Bは、図16の背面パネルの下に来る他の背面パネルの固定部上端の段差を吸収して上下一対の背面パネルが互いに係合するための凹部が形成されている。
【0047】
正面パネル162は、背面パネル160の固定部160Aの前端に傾斜状態で固定手段により固定される。固定手段は、背面パネルの固定部前面側と正面パネル内側にそれぞれ形成されたねじ穴163と図示しないねじの組合せである。正面パネルと背面パネルとは、このボルト穴にボルトを螺合することによって互いに固定される。
【0048】
固定部の背面部寄りには、この固定部を貫通する溝部165が設けられている。この溝部は左右の固定部のそれぞれに形成されている。正面パネルは、黒鉛含有鋳鉄製品で形成されている。正面パネルは、柵状に形成されている。正面パネルを背面パネルに固定した際の閉空間167に、柵と柵との間を介して、海水や湖水或いは河川水が流通可能である。前記固定部上端の段差の内、最も手前の段差161Dには、正面パネル上端にある小フランジ161Eが引掛かり、前記固定手段と合わせて正面パネルが背面パネルに正確かつ確実に組み付けられる。
【0049】
図17、図18は、湖岸、海岸や河川岸の法面に背面パネルと正面パネルとからなる組立体を複数積み重ねた状態を示している。これらの図において、符号170は海岸等の法面、符号171は不織布などの吸出防止材、符号172は基礎コンクリート、符号173は、前記閉空間167に収容される直径150mm乃至200mmの栗石、符号174は、前記組立体と吸出防止材との間に入れられた裏込砕石、符号175は、この組立体の上端を封鎖する天端コンクリート板である。
【0050】
図17と18の施工は次のようにして行われる。第1に法面を整えて吸出防止材を法面に被せる。第2に、基礎コンクリートを打つ。第3に、基礎コンクリートの上に第1段目の組立体を並べる。次いで、正面パネルと背面パネルとの間の閉空間に前記栗石を入れ込む。
【0051】
第4に、この組立体と吸出防止材との間に前記砕石を背面パネルの上端まで裏込めする。第5に、第2段目の組立体を、図のように、第1段目の組立体より吸出防止材側に後退させて配置する。第1段目と同様に栗石を組立体の閉空間に入れ、かつ、砕石を第2段目の組立体と吸出防止材との間に封入する。以後これを繰り返す。なお、この吸出防止材は、既述のような不織布であり、法面と砕石層174との間で、砕石、土、砂等の移動が無いようにするものである。
【0052】
このような工程を経ると、法面に沿って傾斜して複数の組体の列が積み上がった法面保護構造が完成される。なお、図16において、符号169は、隣接する左右又は上下の前面パネルを連結するための、黒鉛含有鋳鉄製取付具であって、この取付具を隣接する前面パネルのフレーム間の空隙内に掛け渡すことによって、隣接するパネルを互いに連結する。
【0053】
次に、他の実施形態について説明する。図19は、図16の変形例であって、背面パネルに代えて、組立パネル190とアンカー部材191との組み合わせを採用する。組立パネルは、前記背面パネルの固定部に相当する。アンカー部材は、法面側にあるアンカーパネル191Aと、このアンカーパネルから直角に突出するアンカーシャフト191Bと、このアンカーシャフトの前端に設けられた、前記組立パネルを固定するための固定プレート191Cから構成されている。組立パネルは、ほぼ直角三角形状で中空と成っているフレーム構造を有しており、その法面側のフレームには前記固定プレートに相当する位置にボルト穴190Aが設けられている。このボルト穴にボルトを螺着することによって固定プレートと組立パネルを互いに固定することが可能である。
【0054】
組立パネルを左右一対設け、各組立パネルの上下端に前記ボルト穴を設け、各組立パネルに上下合計2機、一対の組立パネルに対して合計4機のアンカー部材が固定されている。この実施形態においては、組立パネルと前面パネルとの連結手段(固定手段)が図13のそれとは異なっている。すなわち、組立パネルの前面にある上下一対のフック190Bに前面パネルのフック穴190Cが係合される。
【0055】
図20及び図21は、この実施形態における前面パネルとアンカー部材からなる組体を積層した、図17及び図18にそれぞれ相当する図である。正面パネルとアンカー部材との組み合わせを左右上下に積み上げるための工程は、前記実施形態と同様である。前記アンカー部材の根本にあるアンカープレートは、吸出防止材の手前に敷き詰められた砕石内に固定される。図19には、図16と同様に、上下左右にある隣接する正面パネル同士を連結するための金具が示されている。
【0056】
以上説明したように、本発明によれば、耐腐食性に優れ、環境に対する適用性に優れ、そして、コンクリート製品に比べて成型工程が簡単であるブロック製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】沈床ブロッを示す図である。
【図2】沈床ブロック製品を組み合わせたブロック組体を示す図である。
【図3】図1のブロック製品の他の形態を示す図である。
【図4】このブロック製品を組み合わせたブロック組体を示す図である。
【図5】既述の実施形態に係わるブロック製品に対する連結板を示す図である。
【図6】千鳥状にブロック製品を組み立てる場合における、ブロック製品間の連結の機構を示す図である。
【図7】第2の実施形態にこの連結機構を適用したことを示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す籠マット型のブロック製品を示す図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態を示すブロック製品である。
【図10】図9に示すユニットの複数を並べて沿岸法面の上下左右に組み含わせた状態を示す図である。
【図11】図11は図9及び図10の実施形態の変形例に相当する図である。
【図12】図11の使用状態を示す図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態を示す図である。
【図14】この実施形態に使用されるブ口ック製品を示す図である。
【図15】このブロック製品の連続組立体を示す図である。
【図16】図13の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図17】その使用状態を示す斜視図である。
【図18】その断面図である。
【図19】図16に示す実施形態の変形例である。
【図20】その使用状態を示す斜視図である。
【図21】その断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 ブロックの底面に対して四カ所均等に垂直に置かれた柱部分
12 この柱同士の間に置かれた梁の部分
14 柱及び梁を成すフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明はブロック製品に係わり、沈床ブロック、護岸ブロック、根固めブロック等海岸や河川、或いはこれらの沿岸に適用される各種ブロック製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のブロック製品として、例えば、河川や海中に沈められて魚礁等として利用される沈床ブロック、河川沿岸や海岸の護岸用の根固めブロック、河川の法面に使用される補強ブロック、河川や道路等に使用される積みブロック等が存在する。
【0003】
これらのブロックとして従来から、木製、あるいはコンクリート製のものが存在する。木工沈床ブロックの場合、木質方格材を鉄線で現場にて矩形に組み立てることが行われている。根固めブロックでは、鉄製の枠内に雑割石を収容している。また、河川の法面に使用されるブロックでは、金網から構成された籠マット内に雑割石を収容した構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のブロック製品には、次の問題がある。木質のものでは強度が足りず、また腐食や劣化の問題がある。例えば、方格材として使用されている松材の耐久性は、水中で十年程度、土壌中に適用した場合には5−6年程度である。鉄製のものでは、錆が発生する問題がある。コンクリート製のブロック製品では、コンクリートの打設、養生、型枠離脱の工程を必要とする。さらに、コンクリート製品では、水中に放置された状態でアルカリ分の溶出の問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、耐腐食性に優れ、環境に対する適用性に優れ、そして、コンクリート製品に比べて成型工程が簡単であるブロック製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこの目的を達成するために、鉄製の枠体からなるブロック製品であって、この枠体が鋳鉄から構成されていることを特徴とするものである。この鋳鉄品としては、JIS G 5502(平成7年7月1日改正 日本工業準標準調査会 審議、日本規格協会発行)記載の球状黒鉛鋳鉄品が好ましい。すなわち、黒鉛含有製品であることが好ましい。
【0007】
本発明によれば、鋳鉄が耐錆性を発揮するとともに、コンクリートのような打設、養生、型枠組立、型枠脱型などの手間を省くことができる。また、鋳鉄品であれば、製品からのアルカリイオンの溶出が無く、また、鋳鉄によって植物プランクトンの生成を助ける鉄イオンが発生する。特に、鋳鉄製品中に含まれている炭素により、水質浄化作用も発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、沈床ブロックの側面、平面及び正面を示す図である。図2は、沈床ブロック製品を組み合わせたブロック組体の斜視図及びその平面図である。沈床ブロックとは、海や河川の底に沈められて、その補強を図るためや、或いは、魚礁として利用されるものである。
【0009】
図1に示すように、この沈床ブロックは、鋳鉄製のフレームを矩形に組み合わせて構成される。図1(1)はその全体斜視図、(2)はその左右の側面図、平面図、正面図を示す。10はブロックの底面に対して四カ所均等に垂直に置かれた柱部分であり、12は、この柱同士の間に置かれた梁の部分である。柱と梁の部分は、従来の公知の金具で固定されるか、或いは溶接によって固定される。この柱及び梁を成すフレーム14は既述のように球状黒鉛鋳鉄品から構成される。図1の(1)に示すブロックは複数が組み合わされて沈床ブロックとして利用される。
【0010】
図2は、図1の(1)に示されたのブロック製品1を千鳥状に組み合わせた組立品を示す。図2の(1)は、組立品の斜視図であり、(2)はその平面図に相当する模式図である。ブロック製品1は交互に互いが連結されて、全体としては千鳥状にブロック製品が連結される。各ブロック製品の連結は、例えば、後述の連結金具或いは連結板を用いて行われる。
【0011】
この組立体は陸上の工場或いは沿岸において組み立てられて海中や河川の水中に沈められる。矩形ブロック製品の内部空間である図1(1)に示す符号16内には、雑割石(栗石)等が収容される。この雑割石は自然石であると海や河川の環境に対する影響も良く、かつ雑割石間の複雑な凹凸形状の表面に微生物が付着、増殖するのに適している。
【0012】
ブロック製品のフレームは既述のように球状黒鉛含有鋳鉄品から構成することにより、生物の生成に必要な鉄イオンが環境中に提供されるばかりでなく、鋳鉄品の表面に生成する炭素によって水の浄化作用も期待される。
【0013】
この組立品によれば、次のような効果がある。方格材を鉄線で現場にて組み上げる本製の沈床工に比ベ、それぞれ規格寸法の各部材を特殊連結方法にて組み上げて行くため施工性が向上する。鋳鉄製の枠体は特殊鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)を使用しているため、従来鋳鉄製品に比べ耐久性が向上する。側板十栗石充填のみでの使用方法の他、底面部に木材(松材など)を敷き並べ、又側板上部に丸太材を取り付けることによって、より木工沈床工に近い形状となる。
【0014】
図3は、図1のブロック製品の他の形態を示すものである。このブロック製品は、矩形フレームに対して木材を固定した場合を示している。木材を固定することにより、環境に対する影響をより向上させることを目的としている。図3(1)はこのブロック製品の斜視図であり、(2)はその平面図、正面図、左右の側面図である。
【0015】
このブロック製品において、その上端と底面に木材30が固定されている。この木材は丸太を長さ方向に半割とし、平坦面の方がフレームに固定されている。ブロック製品の上端においての木材30A,30Bの固定は、互いに対向する一組のフレーム32,34の長さ方向に木材を固定する。
【0016】
次いで、上端における、残りの一組のフレーム36,38の組に対しては、互いに対向する木材30A、30Bの両端のそれぞれに木材30C、30Dを固定する。このブロック製品の底面における木材の固定は、複数の木材30Eをその両端の位置においてフレームに固定する。
【0017】
底面における木材は必ずしもフレームに固定されるものでなくても良い。このブロック製品の内部には、既述の実施形態と同様に雑割石が収容される。この雑割石の重さによって底面の木材はフレームに十分支持或いは固定される。
【0018】
木材はブロック製品の底面をほぼ覆うようにフレームに固定される。このブロック製品も図1及び図2に示すブロック製品と同様に千鳥状に組み立てられる。図4の(1)はこの組立品の斜視図、(2)はその配列を示す平面図に相当する概略図である。
【0019】
図5は、既述の二つの実施形態に係わるブロック製品に対する連結板を示したものである。フレームの両端には、フレーム同士を連結するための連結板が固定されている。図5(1)は、ブロック製品の側面を形成するフレームの内最上部の平面図であり、(2)はその側面図であり、(3)は最下部の平面図である。(4)は側面を形成するフレーム全体を上から見た平面図である。
【0020】
アーム14の両端には、アームの端部方向に向かって鋭角状になった5角形型の連結板14Aが固定されている。この連結板は、既述のようにブロック製品を千鳥状に組み立てる場合に、アーム同士を連結する働きをする。この連結板の両側には、連結板同士を固定するボルト穴14Bが構成されている。
【0021】
(1)、(2)及び(4)に示すように、最上端のアームの長さ方向のアーム中心寄りの2カ所には、木材をアームに固定するための固定金具(固定板)14Cがアームに対して固定されている。この固定金具は上面14C−1が平坦になっており、その中心には木材をアームに固定するためのボルト穴14C−2が形成されている。また、(3)に示すように最下端のアームには、アームの長さ方向に沿って連結板に連結するようにして長方形のフランジ15がアームの長さ方向の両側でアームに固定されている。ブロック製品の側面に最も近い木材の平坦面がこの内側フランジ内に置かれるか、或いは固定される。
【0022】
図6は、千鳥状にブロック製品を組み立てる場合における、ブロック製品間の連結の機構を示す平面図である。この図は、隣接するブロック製品のアーム端部を示している。このアーム端部には既述の連結板14Aが固定されている。
【0023】
隣接するアームの端部では、ブロック製品の連結板同士が隣接している状態になっている。隣接する連結板同士の同じ側を連結補助具17で連結する。連結補助具は矩形であってその両端に連結板(連結金具)のボルト穴14Bに等しい径のボルト穴17Aを持っている。連結補助具17を隣接する連結板14Aに渡し、連結補助具及び連結板をボルトで固定すると、連結補助具及び連結板を介して隣接するアーム同士が連結される。この結果、ブロック製品を所望の形状に組み立てることが可能となる。
【0024】
図7は第2番目に説明された実施形態に相当するものであって、(1)は木材が固定されない状態の斜視図であり、(2)は木材が固定された状態の斜視図である。(1)は木材を固定するための側面を形成するフレームのうち、最上端のフレームを強調して示している。木材の固定は、ボルト止め、接着材による固定など特に限定されない。環境対策の点からは、ボルト止めが好ましいと思われる。
【0025】
図8(1)は本発明の他の実施形態を示す籠マット型のブロック製品の全体斜視図であり、(2)はその左右の側面図、平面図及び正面図である。この籠マット型の製品は、黒鉛状鋳鉄製のアームを三角籠マットの骨組みとして組み立て、それぞれのアーム間にこれも黒鉛状鋳鉄製の三角網ネットを固定したものである。この籠マットの中には、雑割石を充填するための空間が形成される。
【0026】
内部に雑割石を充填した籠マットを海や河川の護岸のために、土手に積み重ねる。あるいは、河川や海岸の沿岸に敷き詰める。このアームには、隣接する籠マット同士を連結するためのフランジ52及びフランジ同士をボルトで連結するためのボルト穴54が設けられている。フランジ52はアーム50からほぼ直角に籠マットの外側に向かって延びている。ボルト穴54がフランジの長さ方向に渡って均等に複数箇所形成されている。
【0027】
このブロック製品によれば次の効果が得られる。鋳鉄内部に充填する雑割、玉石、礫等の凹凸部表面積に付着微生物膜が生成するためコンクリートブロックに比べ接触表面積の増大が水質浄化に寄与する。コンクリート打設、養生、型枠脱型の手間が省け鋳鉄部材を現地で組立、石材を投入するだけで製品が完成する。従来コンクリート製の根固めブロックに比べ製作工期は約1/3ですむ。
【0028】
図9が本発明のさらに他の実施形態を示すブロック製品である。このブロック製品は積みブロックに代わる生態系に配慮した護岸用ブロックである。図9(1)は、このブロック製品の斜視図を示すものである。(2)がこのブロックの左右の側面図、正面図、平面図を示すものである。
【0029】
積みブロックは河川や海岸において河川や海に臨む沿岸部分の壁面に積み立てられる。この積みブロック内に自然石を収容することによってコンクリート壁面である場合よりも、河川や海の生態系に良い結果を及ぼすように配慮されている。
【0030】
このブロック製品は、沿岸部分に固定される基礎壁面90に対して挿入固定されるフレーム部分92を備えている。フレーム部分92は、壁面90に沿った平行部分92Aとこの平行部分から直角に突出する垂直部分92Bとから構成されている。この垂直部分からはさらに、壁面内に挿入固定される固定脚92Cが壁面に対して突出している。このフレーム部品の平行部分92A、垂直部分92B及び固定脚92Cはそれぞれ溶接或いは連結板などによって一体化されている。
【0031】
図9(1)に示すように、前記壁面90及びフレーム92は制限された幅で一つの組合せとなっている。壁面90はコンクリートから例えば構成され、フレーム92は黒鉛球状鋳鉄品から構成されている。フレーム92の固定脚92Cを挿入する穴部を壁面部材90に形成し、この穴部内に固定脚92Cを挿入固定する。
【0032】
既述の壁面の長さ方向端部には、連接する壁体90同土の連結の案内となりかつこの連結を補強するための噛み合わせ用の凹凸面94が形成されている。壁面90とこのフレーム体92で構成された空間部分96には自然の雑割石が収容される。
【0033】
図9に示す実施形態によれば、次の効果が得られる。玉石、雑割等の自然石を格子状の鋳鉄内に充填することにより、マクロ的な多孔状の構造となり、その隙間が様々な生物に好都合な生息環境となる。
【0034】
平板状の背面控ブロックを、基礎工より計画勾配に沿って突き出した用心鉄筋に串刺しにする形で縦横断方向に積み上げることにより、任意の高さまで簡単に生態系護岸が可能となる。擁壁に作用する背面土圧の大きさによって、控えコンクリ一ト板厚を変化させ最も経済的な断面とすることができる。前面に形成された鋳鉄製の格子枠は、枠網目以上の直径の石材を使用し、左右の前面枠に挟まれた部分はその枠体縁間隔以上の直径の石材を使用する。これによって鋳鉄で囲まれた石材充填部はブロック1ケおきにそれぞれ粒径の異なった構造体が形成できる。壁体正面は剛性に富み自然環境に優しい鋳鉄十自然石の構造とし、壁体背面は安価で形状に応用のきくコンクリート製品とできる。
【0035】
図10(1)は一つの壁体90と一つのフレーム体92の組み合わせからなる、図9(1)に示すユニットの複数を並べて沿岸法面の上下左右に組み含わせた状態の左側面を示す。図10(2)はユニットをl段積みした状態の斜視図であり、(3)は2段積みした場合の斜視図である。(1)は5段積みの状態を示している。(1)において、100は法面、102は法面を形成するとともに、前記ユニットを収容するためのコンクリート製構造体である。106は最下端のユニットが段積みされた組立体の下端を指示する基礎部分である。このようにユニット体を上下左右に組み合わせることによって、沿岸の法面を保護できる。
【0036】
さらに、このユニットは、コンクリート面が河川や海岸に臨んでいるのではなく、フレーム体の中に自然石が収容されているので、環境に配慮したものとなる。図10(4)は、組立体の平面図を示すものである。フレーム内の空間部分96には自然石97が収容されている。なお、ユニットのブロック同士が連結された部分の空間部分の前面には、フレームが存在しない開放部99が形成されるが、この部分の空間内に比較的大型の自然石99Aを収容することにより、この開放部を閉鎖することができる。
【0037】
図11は図9及び図10の実施形態の変形例に相当するものである。この実施形態では、フレーム体92のうち壁体90に沿う平行部分92Aが垂直部分92Bよりも突出することなく、垂直部分で終了している場合を示している。
【0038】
図12に示すように、この実施形態では、複数のユニットを互いに連結させた場合、隣接するユニットの間100にはフレーム体の平行部分が形成されないが、この部分に別の平行部分102を雑割石を収容させた後固定すれば良い。
【0039】
図l3は本発明のさらに他の実施形態の全体の斜視図を示すものである。この実施形態は、球状黒鉛含有鋳鉄からなるH型鋼130,131をL型に配置し、これらの間に傾斜状にH型鋼132を介装した状態を示している。
【0040】
H型鋼131を四角状に組み合わせてブロック製品の底面を形成し、この底面には鋳鉄製の網ネット134を固定する。このブロック製品の正面には、二つのH型鋼130間に挿入されるフレーム体136がはめ込まれる。図14はこのブ口ック製品の斜視図を示すものである。このフレーム体は格子状フレーム136Aの両端にそれぞれ均等に複数箇所にかぎ型を呈した連結板136Bが固定されている。この連結板をH型鋼の開放部分138に挿入、あるいははめ込むことにより格子状フレームを図13のブロック製品の正面に固定することが可能となる。
【0041】
図13に示すブロック製品を均等に並べ、隣接するブロック製品の間のH型鋼同士に図14のフレーム体を挿入することにより、図15に示すようにブロック製品の連続組立体を実現することができる。なお、図15はブロック製品の正面部分のみを図示し、底面部分の図示を省略している。
【0042】
このブロック製品の正面部分と底面部分とから形成される空問部分140に自然石を積み重ねる。すなわち、ブロック製品の組立体を水中に没した後、この空間部分140に自然石を積み重ねる。この結果、ブロック製品の組立体によって自然石が崩れることなく、水中で支持される。フレーム体を球状黒鉛鋳鉄品から形成することにより環境に対して優れた特性のブロック製品を提供することが可能となる。
【0043】
図13の実施形態によれば、次の効果を達成することができる。従来のコンクリートL型擁壁工は、表面がコンクリート滑面仕上げ又は化粧としてぎ石模様にする等の方法がとられていた。しかし、滑面仕上げだと見た目にも周りの自然環境になじまず、ぎ石模様にしても意匠的にはある程度は緩和されても生態系に考慮した根本的な解決方法とは言えない。
【0044】
そこで、本工法ではあらかじめH型の鋼材またはアングルをL型に組み上げておき、縦方向に立ちあげた2本の鋼材の間に鋳鉄製の枠体を落としこむ方法をとることによって、施工性に優れた省力化構造物となる。
【0045】
図16は、図13に示す実施形態の変形例に相当するものである。このものは、コンクリート製の背面パネル160と黒鉛含有鋳鉄製正面パネル162とを組み合わせたものである。背面パネルは、断面L型の背面部160Bと、これに直角に突出し、正面パネルを固定するための井げた状の正面パネル固定部160Aと、を備えている。この背面部160Bと固定部160Aは、コンクリート製で一体になっている。
【0046】
一つ一つの背面パネルは、図16に示すような向きで、後述のように順次積み上げられる。固定部160Aの正面パネル160側は、上方から下方にむかって幅が広くなるように傾斜が形成されている。固定部160Aの上端161Aは、3段の段差が形成されている。固定部160Aの下端161Bは、図16の背面パネルの下に来る他の背面パネルの固定部上端の段差を吸収して上下一対の背面パネルが互いに係合するための凹部が形成されている。
【0047】
正面パネル162は、背面パネル160の固定部160Aの前端に傾斜状態で固定手段により固定される。固定手段は、背面パネルの固定部前面側と正面パネル内側にそれぞれ形成されたねじ穴163と図示しないねじの組合せである。正面パネルと背面パネルとは、このボルト穴にボルトを螺合することによって互いに固定される。
【0048】
固定部の背面部寄りには、この固定部を貫通する溝部165が設けられている。この溝部は左右の固定部のそれぞれに形成されている。正面パネルは、黒鉛含有鋳鉄製品で形成されている。正面パネルは、柵状に形成されている。正面パネルを背面パネルに固定した際の閉空間167に、柵と柵との間を介して、海水や湖水或いは河川水が流通可能である。前記固定部上端の段差の内、最も手前の段差161Dには、正面パネル上端にある小フランジ161Eが引掛かり、前記固定手段と合わせて正面パネルが背面パネルに正確かつ確実に組み付けられる。
【0049】
図17、図18は、湖岸、海岸や河川岸の法面に背面パネルと正面パネルとからなる組立体を複数積み重ねた状態を示している。これらの図において、符号170は海岸等の法面、符号171は不織布などの吸出防止材、符号172は基礎コンクリート、符号173は、前記閉空間167に収容される直径150mm乃至200mmの栗石、符号174は、前記組立体と吸出防止材との間に入れられた裏込砕石、符号175は、この組立体の上端を封鎖する天端コンクリート板である。
【0050】
図17と18の施工は次のようにして行われる。第1に法面を整えて吸出防止材を法面に被せる。第2に、基礎コンクリートを打つ。第3に、基礎コンクリートの上に第1段目の組立体を並べる。次いで、正面パネルと背面パネルとの間の閉空間に前記栗石を入れ込む。
【0051】
第4に、この組立体と吸出防止材との間に前記砕石を背面パネルの上端まで裏込めする。第5に、第2段目の組立体を、図のように、第1段目の組立体より吸出防止材側に後退させて配置する。第1段目と同様に栗石を組立体の閉空間に入れ、かつ、砕石を第2段目の組立体と吸出防止材との間に封入する。以後これを繰り返す。なお、この吸出防止材は、既述のような不織布であり、法面と砕石層174との間で、砕石、土、砂等の移動が無いようにするものである。
【0052】
このような工程を経ると、法面に沿って傾斜して複数の組体の列が積み上がった法面保護構造が完成される。なお、図16において、符号169は、隣接する左右又は上下の前面パネルを連結するための、黒鉛含有鋳鉄製取付具であって、この取付具を隣接する前面パネルのフレーム間の空隙内に掛け渡すことによって、隣接するパネルを互いに連結する。
【0053】
次に、他の実施形態について説明する。図19は、図16の変形例であって、背面パネルに代えて、組立パネル190とアンカー部材191との組み合わせを採用する。組立パネルは、前記背面パネルの固定部に相当する。アンカー部材は、法面側にあるアンカーパネル191Aと、このアンカーパネルから直角に突出するアンカーシャフト191Bと、このアンカーシャフトの前端に設けられた、前記組立パネルを固定するための固定プレート191Cから構成されている。組立パネルは、ほぼ直角三角形状で中空と成っているフレーム構造を有しており、その法面側のフレームには前記固定プレートに相当する位置にボルト穴190Aが設けられている。このボルト穴にボルトを螺着することによって固定プレートと組立パネルを互いに固定することが可能である。
【0054】
組立パネルを左右一対設け、各組立パネルの上下端に前記ボルト穴を設け、各組立パネルに上下合計2機、一対の組立パネルに対して合計4機のアンカー部材が固定されている。この実施形態においては、組立パネルと前面パネルとの連結手段(固定手段)が図13のそれとは異なっている。すなわち、組立パネルの前面にある上下一対のフック190Bに前面パネルのフック穴190Cが係合される。
【0055】
図20及び図21は、この実施形態における前面パネルとアンカー部材からなる組体を積層した、図17及び図18にそれぞれ相当する図である。正面パネルとアンカー部材との組み合わせを左右上下に積み上げるための工程は、前記実施形態と同様である。前記アンカー部材の根本にあるアンカープレートは、吸出防止材の手前に敷き詰められた砕石内に固定される。図19には、図16と同様に、上下左右にある隣接する正面パネル同士を連結するための金具が示されている。
【0056】
以上説明したように、本発明によれば、耐腐食性に優れ、環境に対する適用性に優れ、そして、コンクリート製品に比べて成型工程が簡単であるブロック製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】沈床ブロッを示す図である。
【図2】沈床ブロック製品を組み合わせたブロック組体を示す図である。
【図3】図1のブロック製品の他の形態を示す図である。
【図4】このブロック製品を組み合わせたブロック組体を示す図である。
【図5】既述の実施形態に係わるブロック製品に対する連結板を示す図である。
【図6】千鳥状にブロック製品を組み立てる場合における、ブロック製品間の連結の機構を示す図である。
【図7】第2の実施形態にこの連結機構を適用したことを示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す籠マット型のブロック製品を示す図である。
【図9】本発明のさらに他の実施形態を示すブロック製品である。
【図10】図9に示すユニットの複数を並べて沿岸法面の上下左右に組み含わせた状態を示す図である。
【図11】図11は図9及び図10の実施形態の変形例に相当する図である。
【図12】図11の使用状態を示す図である。
【図13】本発明のさらに他の実施形態を示す図である。
【図14】この実施形態に使用されるブ口ック製品を示す図である。
【図15】このブロック製品の連続組立体を示す図である。
【図16】図13の実施形態の変形例を示す斜視図である。
【図17】その使用状態を示す斜視図である。
【図18】その断面図である。
【図19】図16に示す実施形態の変形例である。
【図20】その使用状態を示す斜視図である。
【図21】その断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 ブロックの底面に対して四カ所均等に垂直に置かれた柱部分
12 この柱同士の間に置かれた梁の部分
14 柱及び梁を成すフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄製フレームを枠状に形成してなるブロック製品であって、前記鉄製フレームを黒鉛状鋳鉄から構成してなるブロック製品。
【請求項1】
鉄製フレームを枠状に形成してなるブロック製品であって、前記鉄製フレームを黒鉛状鋳鉄から構成してなるブロック製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−133718(P2008−133718A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326941(P2007−326941)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【分割の表示】特願平10−297141の分割
【原出願日】平成10年10月19日(1998.10.19)
【出願人】(591283855)三基ブロック株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【分割の表示】特願平10−297141の分割
【原出願日】平成10年10月19日(1998.10.19)
【出願人】(591283855)三基ブロック株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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