説明

プッシュロック式メモリーカードコネクタ

【課題】ガイドピンの逆戻り防止効果が失われず、プッシュオン・プッシュオフ機構の長寿命化が図られるプッシュロック式カードコネクタを得る。
【解決手段】プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するピンガイド15は、ハウジング10の底面に上向きに設置する。ガイドピン16は、スライダー13に一端側を固定した線状バネからなるバネアーム40aの自由端側に下向きに設置してピンガイド15内に摺接させる。バネアーム40aは、ガイドピン16を往路ガイド部30側及び復路ガイド部31側で水平方向側に付勢して各ガイド部を構成している立上り壁面に圧接させる。往路ガイド部30の先端で復路ガイド部31に繋がる位置には、逆戻り防止機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュオン・プッシュオフ機構(別名「オルタネイト動作機構」)を用い、ハウジングのメモリーカード挿入空間にメモリーカードを差し込んで押し込むことにより所定の押し込み位置で戻り止めされ、再度の押し込み動作によって戻り止めが解除されて押し戻されるプッシュロック式メモリーカードコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来プッシュロック式メモリーカードコネクタは、ハウジング内に、メモリーカードの挿入・排出方向に往復スライドするスライダーと、そのスライダーをメモリーカードの排出方向に付勢させる復帰バネと、スライダーをメモリーカードと共に押し込むことにより、その所定の押し込み位置でスライダーを戻り止めし、再度の押し込み動作によって戻り止めを解除するプッシュオン・プッシュオフ機構を備え、メモリーカードを差し込んでスライダーを押し込むことにより、該スライダーが所定の押込位置で戻り止めされるとともに、メモリーカードは、スライダーの押込位置で該スライダー係止されて抜け止めされ、メモリーカードを再度の押し込むことによってスライダーの戻し止めが解除され、復帰バネによってスライダーとともにメモリーカードが押し戻されるとともに、メモリーカードは、スライダーに対する係合が解除されて抜き取り可能となるようにした構造のものが知られている(例えば特許文献1、図4、特許文献2、図6)。
【0003】
また、この種のメモリーカードコネクタにおけるプッシュオン・プッシュオフ機構には、所謂ハートカム機構が使用されている。
【0004】
この種の従来のプッシュロック式メモリーカードコネクタでは、図10〜図12に示すように、モールド成型されたハウジング本体61と、シールド兼用の金属カバー62とによってハウジング63を形成させ、そのハウジング内に、メモリーカード挿入空間64がその開口部をハウジングの前端面に開口させて形成されている。
【0005】
ハウジング63内には、メモリーカード挿入空間64の一方の側部に位置させてスライダー収容部が設けられ、ここにスライダー66がメモリーカード挿抜方向に移動可能に収容されている。
【0006】
スライダー66は、その押し込み方向の先端部側面に、メモリーカード挿入空間64に挿入させるメモリーカードAの先端を受けるメモリーカードストッパー部66aが突設され、またスライダー66押し込み方向の先端面には該スライダー66を押し戻す復帰バネの先端を受ける復帰バネ先端受部66bが設けられている。この復帰バネ先端受部66bとスライダー収容部の最奥部の立上り部に形成した復帰バネ受部67との間にコイルスプリングからなる復帰バネ14が所望の蓄勢状態で介在されている。
【0007】
尚、この従来例では、スライダー66のストッパー部66a側の側面に、ストッパー部66aとは所定の間隔を隔ててメモリーカードロック用爪69が突設されており、この爪69によって、メモリーカードAの挿入初期状態では該メモリーカードを仮止め、即ち引き抜き可能なハーフロック状態となし、押し込み位置では抜け止め、即ちロック状態とするようになっている。
【0008】
スライダー66の上面には、ガイド溝70が設けられている。このガイド溝70と後述するガイドピン71とによってハートカム機構が構成されている。
【0009】
ガイド溝70は、ハート形をしたハートカム72の両側面に、往路ガイド部70Aと復路ガイド部70Bとが設けられ、これら両ガイド部70A,70Bの両端部は相互に繋がった循環構造になっている。
【0010】
ガイドピン71は、金属線材を折り曲げて形成されており、直線状の回動アーム71aの先端側にこれを90度折り曲げた形状に溝内摺動部71bが一体に備えられ、回動アーム71aの基端部にはこれを90度折り曲げた形状に枢軸部71cが一体に備えられた構造となっており、この枢軸部71cをハウジング本体61の軸受け穴に挿入させ、溝内摺動部71bをガイド溝70内に挿入させている。
【0011】
このガイド溝70とガイドピン71とによって構成されるハートカム機構は、スライダー66を初期状態から所定の深さまで押し込みその押し込みを放した時にガイドピン71の溝内摺動部71bがイド溝70のハートカム72に係合されてスライダー66の戻り止めされ、再度押し込むことによって前記係合が解除され、その押し込みを放すことによってガイドピン71の溝内摺動部71bのハートカム72部分に対する係合が外れ、スライダー66が復帰バネ14によって初期状態に戻されるようになっている。
【0012】
このガイドピン71がガイド溝70内をスライダー66の押し込み動作の繰り返しによって循環する機構は、
また前記メモリーカードロック用爪69としては、図には詳示してないが、スライダー66に一端が固定された片持式のスプリングの先端に固定されて常時は突出状態にあるように付勢され、スライダー66がメモリーカード挿入されていない状態のときには、爪69がスライダー66内への押込が可能な状態となり、スライダー66がカードとともに押し込み方向に動作されることによって、スライダー66内への押込動作を不能とするようにしている(例えば特許文献1−図4、特許文献2−図1、図4、特許文献3−図5、図6)。
【特許文献1】特開2003−317861号公報
【特許文献1】特開2005−294203号公報
【特許文献1】特開2001−118633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述した従来のプッシュロック式メモリーカードコネクタは、ハートカム、ガイドピン及びガイドピンを付勢するためのスプリングからなるプッシュオン・プッシュオフ機構の他に、カードの挿入初期状態時に、これを引き抜き可能に仮止めしたハーフロック状態と、このハーフロック状態からカードとともにスライダーが押し込まれることによって、該カードのスライダーに対する抜き取り動作が不能となるロック状態とを構成するためのハーフロック・ロック機構を構成する部材が必要であった。
【0014】
このため、部品点数が多くなり、しかも小型化の要請から製造、組立てに技術を要し、コスト高となるという問題があった。
【0015】
従来のハートカム機構においては、ガイドピン71がガイド溝70内をスライダー66の押し込み動作の繰り返しによって循環するための機構として、ガイド溝70の内底面に段差を多数形成して、このガイド溝70の内底面にガイドピン71の先端が常時圧接されるようにスプリングによって付勢しておくことにより、ガイドピン71が逆戻りせずに一方向にのみ循環するようにしているものであるが、近年のプッシュロック式メモリーカードコネクタの著しい小型化、薄型化によりハートカム機構も小型化せざるを得ず、このためピンガイド内底面の段差を大きく取ることができなくなっている。
【0016】
このため、ガイドピン71の先端が常時ガイド溝内底面を摺接することによる磨耗によって、段差が早期に削り取られてしまうこととなり、ガイドピンの逆戻り防止降下が早期に損なわれるという問題があった。
【0017】
本発明はこのような従来の問題に鑑み、プッシュオン・プッシュオフ機構及びカードのロック・ハーフロック機構を含めて全体の部品点数を少なくし、また、ガイドピンの逆戻り防止効果が失われず、プッシュオン・プッシュオフ機構の長寿命化を図ることができるプッシュロック式カードコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載のプッシュロック式カードコネクタの特徴は、カードコネクタのハウジングのカード挿入空間に挿入されるカードの挿入・排出方向に往復スライドするスライダーと、前記スライダーを前記カードの排出方向に付勢させる復帰バネと、前記スライダーを前記カードと共に押し込むことにより、その所定の押し込み位置で前記スライダーを戻り止めし、再度の押し込み動作によって戻り止めを解除するためのピンガイド及び該ピンガイド内を摺動するガイドピンとからなるプッシュオン・プッシュオフ機構とを備え、前記スライダーの前記カード挿入空間側の縁部と前記カードのスライダー側縁とに、その相互間において凹凸の嵌め合い構造によって該カードと係合する係合凹凸部が備えられ、前記スライダーは、その押込動作前の待機位置で、前記カード挿抜によって押されることにより、前記係合凹凸部が外れる方向に回動自在であり、且つ前記カードとともに押し込まれた位置では前記回動が不能となって前記係合凹凸部が外れ止めされるようにし、前記プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するガイドピンを、前記スライダーの出入動作方向と交差し、前記係合凹凸部の外れ止め方向とは逆の方向に付勢するバネアームの先端に一体に備え、該バネアームを前記ガイドピンに対するプッシュオン・プッシュオフ機構を構成するための付勢手段と前記スライダーの回動動作復帰側への付勢手段とに兼用させたことを特徴としてなるプッシュロック式カードコネクタにある。
【0019】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記ハウジングの底面には、前記スライダーをガイドするスライダーガイド溝が備えられ、前記スライダーの底部には、前記スライダーガイド溝に嵌まり合ってガイドされるガイド部が備えられ、前記スライダーガイド溝は、互いに平行な一対の立ち上り壁にて構成され、前記スライダーの前記待機位置に対応する部分に一方の前記ガイド突条が切り欠かれた形状の欠落部を設けることにより遊び空間が形成され、該スライダーが前記待機位置にあるときは、前記遊び空間側にスライダーが移動可能として前記カード挿抜によって押されることによる係合凹凸部が外れる方向の回動がなされるようにし、該待機位置から所定長さ押し込まれた位置では、該スライダー底部のガイド部が前記ガイド溝に規制されて横方向の移動が阻止されることにより回動不能となるようにしたことにある。
【0020】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の何れか1の請求項の構成に加え、前記バネアームは、つる巻きバネの一端側を直線状に延長した部分をもって構成され、該つる巻きバネをその一端側の線状バネ部を除いた部分を前記スライダーに固定し、プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するピンガイドを前記ハウジングの底面上に備えたことにある。
【0021】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1〜3の何れか1の請求項の構成に加え、前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、前記ハウジング又はスライダーの何れか一方側にピンガイドを、他方側にガイドピンを備え、前記バネアームは、前記ガイドピンの側面によって前記ピンガイドを構成している立上り壁面からなる摺接面を押圧する方向に付勢するように設置し、前記ピンガイドには、前記ガイドピンが、前記スライダーの押し込み方向の動作時に摺動する往路ガイド部と、同復帰動作時に摺動する復路ガイド部とが備えられ、
前記往路ガイド部と復路ガイド部との一方の端部間には、バネアームによる付勢力に抗して一方側から他方側にガイドピンが通過した後は逆方向には戻らない逆戻り防止機構を備えることによって前記スライダーの押し込み・復帰動作によってガイドピンがピンガイドに沿って一方向に循環するようにし、該往路ガイド部の途中には、前記復帰バネの付勢力に抗してガイドピンが係止されるスライダー戻り止め用のガイドピン係合部を備えていることにある。
【0022】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記逆戻り防止機構は、前記往路ガイド部と復路ガイド部との境界部分において、前記ガイドピン先端面が向き合う底面に前記ガイドピンの進行方向側を低くした逆戻り防止用の段差と、前記ガイドピンを該段差位置で、その先端が該段差の高い側より低い高さに付勢する下向き付勢手段をもって構成している請求項4に記載のプッシュロック式メモリーカードコネクタ。
【0023】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項4の構成に加え、前記逆戻り防止機構は、前記ガイドピンの進行方向側にのみ開くフラップ弁式の扉をもって構成したことにある。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るプッシュロック式カードコネクタは、スライダーとピンガイド及び該溝内を摺動するガイドピンとからなるプッシュオン・プッシュオフ機構を備え、前記スライダーの前記カード挿入空間側の縁部と前記カードのスライダー側縁とに、その相互間において凹凸の嵌め合い構造によって該カードと係合する係合凹凸部が備えられ、前記スライダーは、その押込動作前の待機位置で、前記カード挿抜によって押されることにより、前記係合凹凸部が外れる方向に回動自在であり、且つ前記カードとともに押し込まれた位置では前記回動が不能となって前記係合凹凸部が外れ止めされるようにし、前記プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するガイドピンを、前記スライダーの出入動作方向と交差し、前記係合凹凸部の外れ止め方向とは逆の方向に付勢するバネアームの先端に一体に備え、該バネアームを前記ガイドピンに対するプッシュオン・プッシュオフ機構を構成するための付勢手段と前記スライダーの回動動作復帰側への付勢手段、即ちカードハーフロックのためのスプリングとに兼用させたことにより、従来に比べて部品点数が少なくなるとともに、ガイドピンの組み立てのための作業が容易となり、コストを削減できる。
【0025】
また、本発明では、前記ハウジングの底面には、前記スライダーをガイドするスライダーガイド溝が備えられ、前記スライダーの底部には、前記スライダーガイド溝に嵌まり合ってガイドされるガイド部が備えられ、前記スライダーガイド溝は、互いに平行な一対の立ち上り壁にて構成され、前記スライダーの前記待機位置に対応する部分に一方の前記ガイド突条が切り欠かれた形状の欠落部を設けることにより遊び空間が形成され、該スライダーが前記待機位置にあるときは、前記遊び空間側にスライダーが移動可能として前記カード挿抜によって押されることによる係合凹凸部が外れる方向の回動がなされるようにし、該待機位置から所定長さ押し込まれた位置では、該スライダー底部のガイド部が前記ガイド溝に規制されて横方向の移動が阻止されることにより回動不能となるようにしたことにより、より簡単な構造でカードのハーフロック・完全ロックの機構が得られる。
【0026】
更に、本発明では、前記バネアームは、つる巻きバネの一端側を直線状に延長した部分をもって構成され、該つる巻きバネをその一端側の線状バネ部を除いた部分を前記スライダーに固定し、プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するピンガイドを前記ハウジングの底面上に備えたことにより、バネ及びガイドピンが1部品として形成でき、部品数が少なくなるとともに、1部品としての形状が大きくなり、製造、自動組立てが容易となる。
【0027】
本発明では、前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、前記ハウジング又はスライダーの何れか一方側にピンガイドを、他方側にガイドピンを備え、前記バネアームは、前記ガイドピンの側面によって前記ピンガイドを構成している立上り壁面からなる摺接面を押圧する方向に付勢するように設置し、前記ピンガイドには、前記ガイドピンが、前記スライダーの押し込み方向の動作時に摺動する往路ガイド部と、同復帰動作時に摺動する復路ガイド部とが備えられ、前記往路ガイド部と復路ガイド部との一方の端部間には、バネアームによる付勢力に抗して一方側から他方側にガイドピンが通過した後は逆方向には戻らない逆戻り防止機構を備えることによって前記スライダーの押し込み・復帰動作によってガイドピンがピンガイドに沿って一方向に循環するようにし、該往路ガイド部の途中には、前記復帰バネの付勢力に抗してガイドピンが係止されるスライダー戻り止め用のガイドピン係合部を備えて構成されていることにより、ガイドピンの側面がピンガイドを構成している立上り摺接面を押圧しつつ移動するため、従来のハートカム及びピンガイドの底面の段差を利用したものに比べ、ガイドピン摺接部分の磨耗が少なくなり、小型化した際にも耐久性が維持できる。
【0028】
本発明では、前記逆戻り防止機構を、前記往路ガイド部と復路ガイド部との境界部分において、前記ガイドピン先端面が向き合う底面に前記ガイドピンの進行方向側を低くした逆戻り防止用の段差と、前記ガイドピンを該段差位置で、その先端が該段差の高い側より低い高さに付勢する下向き付勢手段をもって構成していること、また、前記ガイドピンの進行方向側にのみ開くフラップ弁式の扉をもって構成することにより、単純な構造で動作が確実なピンガイドが構成できる。
【0029】
本発明では、前記バネアームは、つる巻きバネの一端側を直線状に延長した部分をもって構成され、該つる巻きバネをその一端側の線状バネ部を除いた部分を前記スライダーに固定し、プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するピンガイドを前記ハウジングの底面上に備えたことにより、小型化した際の狭いスペースを有効に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係るプッシュロック式カードコネクタを実施するための最良の形態を、図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1乃至図6は本発明に係るプッシュロック式カードコネクタの一実施例を示したものである。本例のプッシュロック式カードコネクタでは、ハウジング10と、該ハウジング10のカード挿入空間11に挿入されるカードAと、ハウジング10内で挿入・排出方向に往復スライドするスライダー13と、スライダー13をカードAの排出方向に付勢させる復帰バネ14と、スライダー13をカードAと共に押し込むことにより、その所定の押し込み位置でスライダー13を戻り止めし、再度の押し込み動作によって戻り止めを解除するためのピンガイド15及び該ピンガイド15の摺接面を摺動するガイドピン16とからなるプッシュオン・プッシュオフ機構とを備えている。
【0032】
ハウジング10は、合成樹脂材によってモールド成型されたハウジング本体10Aとその上面に嵌め合わせた金属材料によりプレス成型されたシールドカバー10Bとから構成されている。
【0033】
スライダー13は、その本体部20の底部に、両側面が平行な内側(カード挿入空間中央側、以下同じ)及び外側(ハウジング側縁側、以下同じ)スライド面21a,21bを有するガイド部21(図2に示す)が突設され、これがハウジング底面から立ち上げた1対の平行な内側及び外側のガイド突条22a,22b間のスライダーガイド溝22内に嵌まり合ってスライダー13の向き及びスライド方向が規制されるようになっている。
【0034】
スライダー13の本体部20の先端部外側に前記外側ガイド突条22bの上を跨ぐ配置に復帰バネ受部23が一体に突設されており、この復帰バネ受部23と、ハウジング10の外壁を構成する奥部立上り壁10Aaとの間にコイルスプリングからなる復帰バネ14が蓄勢された状態で介在され、これによってスライダー13は常時、ハウジング10の前端側(カード挿入空間開口部側の端部側、以下同じ)位置側に付勢されている。尚、図中14a,14bは復帰バネ端部嵌合突起である。
【0035】
ハウジング底面には、その前端にスライダーストッパー24が突設され、スライダー13の本体部20の基端、即ち戻り方向側端部がこのスライダーストッパー24に当接する位置を待機位置とし、カードが挿入されない時には、この復帰位置に戻るように前記復帰バネ14による付勢がなされている。
【0036】
スライダーの本体部20の先端、即ちスライダーの押し込み方向側端部には、前記内側ガイド突条22aの上側を跨ぎ、カード挿入空間内に突出させた逆L字状配置のカードストッパー部25が一体に突設され、カード挿入空間の開口部より挿入されるカードの先端が、このカードストッパー部25に当接されるようになっている。
【0037】
更に、スライダーの本体部20の内側側面には、前記内側ガイド突条22aの上側を跨ぎ、カード挿入空間の側縁部に突出するカード係止爪26aが一体に突設されている。このカード係止爪26aと、後述するカードAの側縁部の凹部26bとによって凹凸の嵌め合い構造を構成する係合凹凸を構成している。
【0038】
スライダー13は、カード係止爪26aがカード挿入空間11内に突出する側に後述するバネアーム40bによって水平内側方向に付勢されている。即ち、該バネアーム40bの弾性によって、ガイド部21の内側スライド面21aが、内側ガイド突条22aに摺接する向きに付勢されている。
【0039】
前記両ガイド突条22a,22bの内、内側ガイド突条22aは、スライダーのガイド部21の、押し込み・戻り方向動作の移動長さの全域に設けられている。これに対し、他方の外側ガイド突条22bの基端、即ちハウジングのカード挿入空間開口部側の端部と、スライダーストッパー24との間には、内側のガイド突条22aよりやや短い長さの欠落部が形成されて、その外側が遊び空間27となっている。
スライダー13が待機位置、即ち復帰バネによって最も戻り方向側に移動された位置にあるにあるときは、ガイド部21の外側スライド面21bが、欠落部27位置にあるため、カードAの挿抜によってカード係止爪26aが外側横方向、即ち遊び空間27側に押されることにより、ガイド部21の外側スライド面21aの先端部分が外側ガイド突条22bの基端側に当接し、その当接位置を回動中心oとしてスライダー13が欠落部27側に回動できるようになっている(図4、図5に示す)。
【0040】
これによってカード係止爪26aがカード挿入空間11から外側に退避する長さだけ水平方向外側に移動できるようになっている。そして、スライダー13が待機位置から押し込まれることにより、内側、外側のスライド面21a,21bが両ガイド突条22a,22bに規制され、カード係止爪26aが退避不能となるようになっている。
【0041】
ガイドピン16は、スライダー13に支持された線状バネにて作られた、つる巻きバネ40の一端側のバネアーム40bの自由端側を下向きに折り曲げることによって構成され、その先端がハウジング底面に面してピンガイド15内に挿入されている。
【0042】
つる巻きバネ40は、プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するための付勢手段と前記スライダーの回動動作復帰側への付勢手段とを兼用している。このつる巻バネ40は、コイル状のつる巻部40aと、その一端側を直線状に延長させたバネアーム40b及び同他端側を直線状に延長した固定アーム40cとから構成されており、つる巻部40bをスライダー13の上面に立ち上げた立て向きの支持柱13aに巻きつけられた状態に装着し、固定アーム40cをスライダー上面に該スライダーの押し込み・戻り方向動作方向に向けて形成した固定溝13bに圧入することによって固定されている。この固定溝13bの内側には互い違いに固定アーム挟持用の突起13cが設けられている。
【0043】
バネアーム40bは、固定アーム40cからつる巻部40bを介してU字状に折り返した向きとなっており、両アーム40b,40cの先端が開く方向の付勢力が働くように蓄勢されている。これによってバネアーム40bの先端をスライダー13の押し込み・戻り方向動作方向に交差する水平方向側、即ちバネアーム40bの先端のガイドピン16がピンガイド15を構成している前記往路及び復路ガイド部30,31を水平に横切る外側の向きに付勢させている。この付勢力によって、ガイドピン16の側面をピンガイド15に対して圧接させるとともに、その反力によってスライダー13を横向きに付勢している。
【0044】
往路ガイド部30及び復路ガイド部31は、スライダー13の前記押し込み・戻り方向側に向けて設けられている。この両ガイド部30,31はハウジング底面10aより立ち上がらせて形成した立上り壁によって構成され、その立上り壁面がガイドピン摺接面を構成している。そしてガイドピン16の側面が、バネアーム40aの付勢力によって、前記摺接面に圧接されるようになっている。
【0045】
また、バネアーム40bの先端のガイドピン16が往路及び復路ガイド部30,31に当接することにより発生する反力により、スライダー13の内側スライド面21aが、内側ガイド突条22aに圧接する向きの付勢力が与えられるようになっている。
【0046】
プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するピンガイド15は、外側ガイド突条22bの外側のハウジング底面10aに上向きに設置され、スライダー13の押し込み方向側動作時にガイドピン16が摺動される往路ガイド部30と、スライダー13の排出方向側動作時にガイドピン16が摺動される復路ガイド部31とからなり、ガイドピン16は、この立上り壁面からなるガイド部30,31に摺接し、両ガイド部の両端部において一方側から他方側に移動するようにガイドされて両ガイド部30,31を循環するように構造になっている。
【0047】
この往路ガイド部30及び復路ガイド部31からなるピンガイド15には、スライダー13が待機位置にあるときにガイドピン16が位置している待機時ガイドピン停止位置a(図1、図6に示す)、スライダー13が押し込まれた位置で戻り止めされている状態にあるとき、即ちガイドピン16ガイドピン係合部41に係合される戻り止め時ガイドピン停止位置c、スライダー13を前記戻り止め状態位置から押し込んで、ガイドピン16が逆戻り防止機構を通過した後に停止する最押し込み時ガイドピン停止位置dがあり、スライダー13が最も押し込まれた状態から押込操作を解除することによって、最押し込み時ガイドピン停止位置dのガイドピン16が復路ガイド部31を通って戻され、往路ガイド部30内に入って待機時ガイドピン停止位置aに戻るようになっている。
【0048】
往路ガイド部30には、スライダー13の押し込み方向側の端部のやや手前位置、ガイドピン16がバネアーム40bの付勢力によって押し込まれることによりスライダー13をその位置で戻り止めする段状のガイドピン係合段部41が形成されており、その表面にガイドピン係合凹部41aが形成されている。このガイドピン係合段部41に至る手前の位置に傾斜部42が形成されており、この傾斜部42に沿ってバネアーム40bの付勢力に抗してガイドピン16が内側にガイドされつつ押し込まれ、ガイドピン係合段部41位置より奥側まで押し込まれるとバネアーム40bの付勢力によってガイドピン係合段部41の奥側に移動されるようになっている。
【0049】
このガイドピン係合段部41の先端部奥側には衝立壁47が該係合段部との間にガイドピン16の太さよりやや大きい間隔を隔てて備えられ、スライダー13とともに前記傾斜部42に沿って押し込まれたガイドピン16は、この衝立壁47に突き当たってそれ以上の押し込みが阻止される状態のプッシュオン動作末端時ガイドピン位置bに至る。然る後、スライダー13に対する押し込み力を解除することにより、ガイドピン16が係合段部41の基端側、即ちバネアーム40bによる付勢方向側の端部側に誘導されて、該係合段部41に形成したガイドピン係合凹部41a内に入り込み、スライダー13の戻り動作が阻止されるようになっている。
【0050】
ガイドピン係合凹部41aの更にピン往動作側に復路ガイド部側に徐々に近づく誘導部43が形成され、その更に往動作側に復路ガイド部31が繋がっている。
【0051】
この往路ガイド部30の先端で復路ガイド部31に繋がる位置には、逆戻り防止機構が備えられている。この逆戻り防止機構は、往路ガイド部30側のガイドピン通過位置底面を高くした段部45と、ガイドピン16の先端をこの段部45において、その高い側、即ち往路ガイド部30の底面の最高位より低い高さに付勢する付勢手段であるバネ材46とによって構成されている。この実施例では前記誘導部43のガイドピン先端面が向き合う底面を徐々に高くした傾斜面43aとなし、これによって段部45の段差を形成している。
【0052】
また、バネ材46は、図2に示すようにハウジング10を構成しているシールドカバー10BにU字状の切り込みを入れることにより、シールドカバー10Bに一体に形成している。尚、このバネ材46は、ガイドピン16と一体のバネアーム40bの弾性を利用してもよい。
【0053】
そして、ガイドピン16が往路ガイド部30側から復路ガイド部31に行く際に、ガイドピン16の先端が誘導部43のガイドピン先端面が向き合う底面である傾斜面43aを押しながら上昇しつつ移動し、段部45にて復路ガイド部31側の低い面に落ち込むことにより、段部45の往路ガイド部30側の立上り壁部45aにガイドピン16の側面が当たり、往路ガイド部30内への戻りが阻止されるようになっている。
【0054】
また、復路ガイド部31のピン復動作終端側(図1における復路ガイド部31の下端)は往路ガイド部30より短く途切れており、これによってガイドピン16が復路ガイド部31に圧接されて復動作され、その終端部で復路ガイド部31から外れるとバネアーム40bの付勢力によって往路ガイド部30に当接されるようになっている。
【0055】
次に、このようなプッシュロック式カードコネクタでの、プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するピンガイド15におけるガイドピン16の動作を、図1及び図3〜図6を参照して、カードやスライダーの動作と共に説明する。
【0056】
最初、ガイドピン16は往路ガイド部30に圧接されて往動作始端部の待機時ガイドピン停止位置aに位置している(図1の状態)。この位置では、スライダー13は復帰バネ14の付勢で待機位置にあり、スライダー本体部20の基端がハウジング本体10Aのスライダーストッパー24に当接して待機している。
【0057】
ハウジング10のカード挿入空間11にカードAを挿入すると、該カードAの側面でスライダー13のカード係止爪26aが図3で右方向に押される。これにより図4に示すように、スライダー13は、外側ガイド突条22bの基端を回動中心として外側(図において反時計方向)に回動され、カード係止爪26aが退避してカードAが差し込まれる。この時、バネアーム40bが蓄勢方向に回動される。
【0058】
このようにしてカードAを差し込み、該カードAの側面の凹部26bがカード係止爪26a位置に至ると、スライダー13は、そのカード係止爪26aがカード側縁を押圧する側のバネアーム40bによって付勢されているため、凹部26b内にカード係止爪26aが入り込んで、スライダー13はもとの待機位置にあった角度に戻り、該カードAがスライダー13に仮止めされ、所謂ハーフロック状態となる。この状態では、カードAの抜き取りも可能である。
【0059】
この時、カードAの先端がスライダー13のカードストッパー部25に当接する。また、この状態でガイドピン16は、バネアーム40の付勢力により、ガイドピン16は往路ガイド部30に圧接されて図1中の待機時ガイドピン停止位置aにある。
【0060】
この状態でカードAが更に押し込まれると、カードストッパー部25が押され、カードAと共にスライダー13がスライド移動を始める。スライダー13が待機位置から押し込まれると内外側のガイド突条22a,22b間にガイド部21が更に押し込まれ、これによってスライダー13は回動不能な状態となり、カードAはカードストッパー部25とカード係止爪26aとによってスライダーに対する相対移動が阻止された状態となる。
【0061】
この状態で更にスライダー13が押し込まれると、ガイドピン16は、往路ガイド部30に圧接されて移動し、ガイドピン係合部41に至る手前の傾斜部42位置をとおり、ガイドピン係合段部41より奥側に至ると、衝立壁47に突き当たってそれ以上の押し込みが阻止される状態のプッシュオン動作末端時ガイドピン位置bに至る。然る後、スライダー13に対する押し込み力を解除することにより、ガイドピン16が係合段部41の基端側、即ちバネアーム40bによる付勢方向側の端部側に誘導されて、該係合段部41に形成したガイドピン係合凹部41a内に入り込み停止する。
【0062】
この状態でカードAの押し込みを停止すると、復帰バネ14によってスライダー13が戻り方向に移動され、これによってガイドピン16がガイドピン係合段部41の奥側面の凹部41aに嵌まり合った戻り止め時ガイドピン停止位置cに至る。これによってガイドピン16の戻り動作が阻止され、カードAが所定の押し込み位置においてカードAの電極(図示せず)とカードコネクタのコンタクト(図示せず)とが接触した状態で停止する。
【0063】
この状態からカードAを再度押し込み方向に動作させることにより、ガイドピン16は、往路側ガイド部30の誘導部43を押圧しつつ復路ガイド部31側に移動し、段部45を通過して復路ガイド部31に入り、スライダー13が最も押し込まれた状態となって停止するとガイドピン13は、復路ガイド部31の戻り動作始端部、即ち最押し込み時ガイドピン停止位置dにて停止する。ガイドピン16は、一旦復路ガイド部31に入った後は往路ガイド部30側への戻りが阻止される。
【0064】
次いでカードAに対する押し込み操作力を解除することによりスライダー13は復帰バネ14に押されてもとの待機位置に戻る。この時ガイドピン16は復路ガイド部31に圧接されて摺動し、待機位置やや手前で、復路ガイド部31から外れるとバネアーム40の付勢力によって往路ガイド部30側に移動し、元の待機位置である待機時ガイドピン停止位置aに戻る。
【0065】
スライダー13が待機位置に戻ることにより、遊び空間側へのスライダー13の回動が可能な状態となり、カードAを引き抜くことにより、カード係止爪26aがカードの凹部26bから外れ、カードが抜きとられる。
【0066】
上記実施例では、往路ガイド部30の先端側のピン通過位置底面に傾斜面43aを設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、復路ガイド部31のピン通過位置底面を往路ガイド部30側より低くすることによって逆戻り防止用の段部45を形成してもよい。このようにすると、 復路ガイド部31の長さはある程度長く、その底面を徐々に高くして平面に戻す構造にすれば、その傾斜が急なものよりもガイドピン16の先端で削られるのを防止することができる。更に、前記底面とガイドピン16の先端が摺接するので、カードの飛び出しが防止される。
更に、押し下げ用のバネ材46によって下向きに付勢して復路ガイド部31にガイドピン16を落とし込むようにしているが、この他、ガイドピン16が逆戻り防止用の段部45の手前の傾斜によって弾性的に持ち上げられた後に段部45を通過することにより復路ガイド部31に落ち込むように付勢されるものであれば良く、前記押し下げ用のバネ材46の代わりにガイドピン16を支持しているバネアームの弾性を利用してもよい。この場合、ガイドピン16がフリーな状態でその先端を復路ガイド部31のピン通過位置底面に接触しない位置であって段部45に臨んだ往路ガイド部30より低い位置に弾性的に保持されるようにすることもできる。
【0067】
上述した実施例では、逆戻り防止機構としてガイドピン先端面が向き合う底面の段差を利用したものを示したが、このほか、図7、図8に示す第二実施例のように逆止め扉50を使用したものであってもよい。この例では、往路ガイド部30の先端で復路ガイド部31に繋がる位置には、逆戻り防止機構である逆止め扉50が設置されている。この逆止め扉50は、板バネをもって構成されたフラップ弁状をなしている。即ち、往路ガイド部30と復路ガイド部31とが繋がる位置にはガイドピン押込方向側とは反対側の縁部に逆止め扉50の一端が埋設されて固定され、該逆止め扉50の他端側が、前記開口部のガイドピン押込方向側の縁部に、復路ガイド部31側から窪ませた形状の段部51に当接された構造となっている。
【0068】
そして、ガイドピン16が往路ガイド部30側から復路ガイド部31に行く際には、ガイドピン16が逆止め扉50を押すことによって該扉が開かれてガイドピン16は復路ガイド部31内へ移動し、逆止め扉50位置を通過することによって、板バネの弾性によって逆止め扉50が閉じられ、ガイドピン16が往路ガイド部30内への戻りが阻止されるようになっている。
【0069】
更に、ピンガイドは上述のほか、図9、図10に示す如き形状であってもよい。この例では、往路ガイド部30の傾斜部42の奥側に、前述した衝突壁として、下向きの半円形状をした折り返し誘導ガイド部55が形成されている。この折り返し誘導ガイド部55は、平面視で半円形状の内側と外側の内壁面55cから構成されており、ピン入り口55aが傾斜部42の奥側端部側にあり、ピン出口55bがガイドピン係合段部41の凹部41a内に開口されている。凹部41aには、折り返し誘導ガイド部55のピン出口55bより外側に復路ガイド部31に通じる誘導部43が連通されている。
【0070】
このピンガイドでは、折り返し誘導ガイド部55の最奥部がガイドピン16のプッシュオン動作末端時ガイドピン位置bとなっている。即ち、ガイドピン31は、待機時ガイドピン停止位置aから奥側に移動し、傾斜部42に沿って奥側に移動して折り返し誘導ガイド部55に入る。この時、折り返し誘導ガイド部55の内側の内周面55cの最奥部がピン出口55bの開口部より奥に位置しているため、折り返し誘導ガイド部55内から出ることなく、折り返し誘導ガイド部55の最奥部がプッシュオン動作末端時ガイドピン位置bとなってこれに押し込み方向側の移動が阻止され、これによってスライダー13はそれ以上の押し込みが不能な状態となって停止する。
【0071】
この状態からスライダー13の押し込み方向の動作力を解除すると、スライダー13は復帰バネ14によって押し戻し方向に動作される。この時ガイドピン13はバネアーム40によって外側に付勢されているため、折り返し誘導ガイド部55の内周面55cに沿ってピン出口55b側に移動し、凹部41a内に係止される。
【0072】
また、この例では、復路ガイド部31を傾斜部31aと直線状部31bとをもって構成するとともに往路ガイド部30の最奥部の誘導部43を直線状に形成しており、この傾斜部31aと誘導部43の交差位置に図1に示す実施例と同様に段部45を使用した逆戻り防止機構が備えられている。スライダー13が最も押し込まれたときのガイドピン13の最押し込み時ガイドピン停止位置dは、傾斜部31aの最奥部となる。尚、逆戻り防止機構は、図8の第二実施例に使用しているすフラップ弁形式のものであってもよい。
【0073】
上述した実施例では、ハウジング本体10A側にピンガイド15を設け、ガイドピン16をスライダー13側に設けた場合を示しているが、図11に示すようにピンガイド15をスライダー13側に設けても良い。この場合、前述とは逆に、待機時ガイドピン停止位置aがスライダー13先端側に、最押し込み時ガイドピン停止位置dがスライダー13の基端側に位置することとなる。また、逆戻り防止機構、この例では段部45は、待機時ガイドピン停止位置aの図において下側の位置にあって、往路ガイド部30から復路ガイド部31側へのガイドピン移動が阻止される配置となっている。
【0074】
更に、ピンガイド15は、前述したように平板状部分の表面に突条を形成し、その側面の立上り壁をピン摺接面として構成するほか、図11に示すように平板状部分に凹溝を形成し、その凹溝内の一方側の立上り壁をピン摺接面として構成しても良い。
【0075】
尚、図10において前述した実施例と同一機能部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係るプッシュロック式カードコネクタの一実施例でハウジングの天板を外して内部構造を開示した状態の平面図である。
【図2】本実施例のプッシュロック式カードコネクタで用いているスライダー及びハウジングを示す分解斜視図である。
【図3】本実施例における逆戻り防止機構部分の断面図である。
【図4】本実施例のプッシュロック式カードコネクタでハウジングの天板を外して内部構造を開示した状態でのカード差込み時の動作状態を示す平面図である。
【図5】本実施例のプッシュロック式カードコネクタでハウジングの天板を外して内部構造を開示した状態でスライダー戻り動作開始直後のガイドピン逆戻り防止時の動作状態及びガイドピンの動作過程を示す平面図である。
【図6】本実施例のプッシュロック式カードコネクタのスライダー回動中心部分を示す部分断面図である。
【図7】本発明の第二実施例のプッシュロック式カードコネクタのスライダー及びハウジングを示す分解斜視図である。
【図8】第二実施例のプッシュロック式カードコネクタでハウジングの天板を外して内部構造を開示した状態でスライダー戻り動作開始直後のガイドピン逆戻り防止時の動作状態を示す平面図である。
【図9】本発明の第三実施例のプッシュロック式メモリーカードコネクタにおけるスライダーが押し込み最終端部にある状態及びガイドピンの動作過程を示す平面図である。
【図10】図9の部分拡大平面図である。
【図11】本発明の第四実施例のプッシュロック式メモリーカードコネクタにおけるスライダーが待機位置にある状態及びガイドピンの動作過程を示す平面図である。
【図12】従来のプッシュロック式カードコネクタの一例のハウジングの天板を外して内部構造を開示した状態の平面図である。
【図13】図11に示す同プッシュロック式メモリーカードコネクタの正面図である。
【図14】プッシュロック式メモリーカードコネクタに使用しているガイドピンを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
A カード
a〜d ガイドピン停止位置
o 回動中心
10A ハウジング本体
10Aa 奥部立上り壁--
10B シールドカバー
10a 底面
10b 押し下げ用のバネ部
11 カード挿入空間
13 スライダー
13a 支持柱
13b 固定溝
14 復帰バネ
14a,14b 復帰バネ端部勘合突起
15 ピンガイド
16 ガイドピン
20 本体部
21 ガイド部
21a 内側スライド面
21b 外側スライド面
22 スライダーガイド溝
22a 内側ガイド突条
22b 外側ガイド突条
23 復帰バネ受部
24 スライダーストッパー
25 カードストッパー部
26a カード係止爪
26b 凹部
27 欠落部
30 往路ガイド部
31 往路ガイド部
31a 傾斜部
31b 直線状部
40 つる巻きバネ
40a つる巻部
40b バネアーム
40c 固定アーム
41 ガイドピン係合段部
41a ガイドピン係合凹部
42 傾斜部
43 誘導部
43a 傾斜面
45 段部
46 バネ材
47 衝立壁
50 逆止め扉
51 段部
55 折り返し誘導ガイド部
55a ピン入り口
55b ピン出口
55c 内周面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードコネクタのハウジングのカード挿入空間に挿入されるカードの挿入・排出方向に往復スライドするスライダーと、
前記スライダーを前記カードの排出方向に付勢させる復帰バネと、
前記スライダーを前記カードと共に押し込むことにより、その所定の押し込み位置で前記スライダーを戻り止めし、再度の押し込み動作によって戻り止めを解除するためのピンガイド及び該ピンガイドに沿って移動するガイドピンとからなるプッシュオン・プッシュオフ機構とを備え、
前記スライダーの前記カード挿入空間側の縁部と前記カードのスライダー側縁とに、その相互間において凹凸の嵌め合い構造によって該カードと係合する係合凹凸部が備えられ、
前記スライダーは、その押込動作前の待機位置で、前記カード挿抜によって押されることにより、前記係合凹凸部が外れる方向に回動自在であり、且つ前記カードとともに押し込まれた位置では前記回動が不能となって前記係合凹凸部が外れ止めされるようにし、
前記プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するガイドピンを、前記スライダーの出入動作方向と交差し、前記係合凹凸部の外れ止め方向とは逆の方向に付勢するバネアームの先端に一体に備え、該バネアームを前記ガイドピンに対するプッシュオン・プッシュオフ機構を構成するための付勢手段と前記スライダーの回動動作復帰側への付勢手段とに兼用させたことを特徴としてなるプッシュロック式カードコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングの底面には、前記スライダーをガイドするスライダーガイド溝が備えられ、前記スライダーの底部には、前記スライダーガイド溝に嵌まり合ってガイドされるガイド部が備えられ、前記スライダーガイド溝は、互いに平行な一対の立ち上り壁にて構成され、前記スライダーの前記待機位置に対応する部分に一方の前記ガイド突条が切り欠かれた形状の欠落部を設けることにより遊び空間が形成され、該スライダーが前記待機位置にあるときは、前記遊び空間側にスライダーが移動可能として前記カード挿抜によって押されることによる係合凹凸部が外れる方向の回動がなされるようにし、該待機位置から所定長さ押し込まれた位置では、該スライダー底部のガイド部が前記ガイド溝に規制されて横方向の移動が阻止されることにより回動不能となるようにしてなる請求項1に記載のプッシュロック式メモリーカードコネクタ。
【請求項3】
前記バネアームは、つる巻きバネの一端側を延長した線状バネ部をもって構成され、該つる巻きバネをその一端側の線状バネ部を除いた部分を前記スライダーに固定し、プッシュオン・プッシュオフ機構を構成するピンガイドを前記ハウジングの底面上に備えてなる請求項1又は2のいずれかに記載のプッシュロック式メモリーカードコネクタ。
【請求項4】
前記プッシュオン・プッシュオフ機構は、前記ハウジング又はスライダーの何れか一方側にピンガイドを、他方側にガイドピンを備え、
前記バネアームは、前記ガイドピンの側面によって前記ピンガイドを構成している立上り壁面からなる摺接面を押圧する方向に付勢するように設置し、
前記ピンガイドには、前記ガイドピンが、前記スライダーの押し込み方向の動作時に摺動する往路ガイド部と、同復帰動作時に摺動する復路ガイド部とが備えられ、
前記往路ガイド部と復路ガイド部との一方の端部間には、バネアームによる付勢力に抗して一方側から他方側にガイドピンが通過した後は逆方向には戻らない逆戻り防止機構を備えることによって前記スライダーの押し込み・復帰動作によってガイドピンがピンガイドに沿って一方向に循環するようにし、
該往路ガイド部の途中には、前記復帰バネの付勢力に抗してガイドピンが係止されるスライダー戻り止め用のガイドピン係合部を備えている請求項1〜3の何れか1に記載のプッシュロック式メモリーカードコネクタ。
【請求項5】
前記逆戻り防止機構は、前記往路ガイド部と復路ガイド部との境界部分において、前記ピンガイド底面に前記ガイドピンの進行方向側を低くした逆戻り防止用の段差と、前記ガイドピンを該段差位置で、その先端が該段差の高い側より低い高さに付勢する下向き付勢手段をもって構成している請求項4に記載のプッシュロック式メモリーカードコネクタ。
【請求項6】
前記逆戻り防止機構は、前記ガイドピンの進行方向側にのみ開くフラップ弁式の扉をもって構成している請求項4に記載のプッシュロック式メモリーカードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−289455(P2009−289455A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138160(P2008−138160)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】