説明

プラスチックパイプと別のプラスチック製品とのレーザー溶接化連接部

【課題】プラスチックパイプ2と別のプラスチック製品3との連接部1を形成させるためのレーザー溶接法を提供する。
【解決手段】該パイプ2の一方の端部4が該製品3の管状端部5と重なって接合され、該連接部1の領域において該端部4及び5がそれぞれ内部寸法6又は外部寸法7を有し、該連接部1の領域における内部端部4と5の最大外部寸法7が、該領域内の外部端部5と4の最小内部寸法6よりも大きいことに起因して該端部4と5の間に接触圧が発生し、該接触圧によってレーザー溶接中の相互熱接触が改善されるレーザー溶接法であって、該パイプ2と該製品3との接合端部4が主成分としてポリアミドを含有すると共にマンドレルを使用せずに固定され、溶接に使用されるレーザービームが固定されたパイプ連接部の周囲へ案内されることによって特徴づけられる該レーザー溶接法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックパイプと別のプラスチック製品との連接部を形成させるためのレーザー溶接法であって、プラスチックパイプの一方の端部が別のプラスチック製品の管状端部と重なって接合され、該連接部の領域においてプラスチックパイプの端部及びプラスチック製品の端部がそれぞれ内部寸法又は外部寸法を有し、該連接部の領域における内部端部の最大外部寸法が、該領域内の外部端部の最小内部寸法よりも大きいことに起因して2つの端部間に接触圧が発生し、該接触圧によってレーザー溶接中の相互熱接触が改善される該レーザー溶接法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックパイプを別のプラスチック製品へ連接させることは、例えば、自動車産業の分野において知られている。特に、このような連接は燃料ラインにおいておこなわれる。燃料ラインにおいては、燃料を輸送するために用いられるプラスチックパイプとの継手及び/又はアタッチメントは安全な封止状態で連接されなければならない。増大する燃料中のエタノール成分に起因して、燃料ラインにおいては著しい膨潤がしばしば発生し、燃料ラインの軟化がもたらされる。このため、チューブ用オリーブ(例えば、特許文献1参照)又は松かさ状断面材を用いる常套の連接点によっては、圧力増大と要求される封止能に耐えることができなくなる。最悪の場合には、パイプラインとコネクター(例えば、急速継手形態のコネクター)との間の連接部が弛み、これらの部材が相互に捩れるか、又はパイプがコネクターから離反する。燃料ラインの場合と同じような現象がオイル冷却ラインにおいて見られが、これは、松かさ状断面材を用いる常套の連接部が、温度と圧力の増加の結果として、該ライン中においてしばしば消失することに起因する。
【0003】
現在では、この種の連接部は回転摩擦溶接(特許文献2参照)又は接着法(特許文献3参照)によって調製されるようになっている。しかしながら、この方法によって発生する研磨粒子が、回転摩擦溶接部からラインの内部に集合して該内部を汚染させるということが知られている。また、接着剤に起因して、パイプラインの内部においては、パイプラインの機能を阻害する粉末の発生やパイプラインの圧縮がもたらされることがある。
【0004】
レーザー溶接法を用いて、プラスチックパイプを他のプラスチック製品へ連接させる技術も知られている(特許文献4参照)。他のプラスチック製品とプラスチックパイプの端部の外部層は不透明になるように調製される。即ち、該端部にはレーザー光の吸収剤、例えば、カーボンブラック、カルシウムシリカ又は酸化鉄等が添加される。プラスチックパイプの一方の端部は、他のプラスチック製品の管状端部と重なり合った状態で接合される。レーザー光に対して透過性の(即ち、レーザー透過性の)プラスチックから製造されるアダプターはこの接合部上に配設される。この場合、該アダプターはプラスチックパイプの一部と他のプラスチック製品の管状端部の一部を被い、これらの重なり合った部分に対して良好な熱接触性を示す。各々の重なり合った部分はレーザー照射によって加熱されるので、この領域において溶融するアダプターにより、少なくとも1つの周縁状溶接継目を介して連接される。他のプラスチック製品はパイプ、クイックコネクター、枝管、バルブ又はパイプ用カバーであってもよい。
【0005】
レーザーによるプラスチック溶接法は下記の非特許文献1に掲載されているベーム、ザイフェルト及びレンナーによる報文「全色彩でのレーザーによるプラスチック溶接」から一般的に知られている。この場合、特に次の点に留意すべきである。即ち、溶接されるべき製品の着色の自由度は現時点では制限されており、レーザー照射線の吸収度は、多くの場合、埋封される添加剤、例えば、顔料及び/又は着色剤によって決定されており、ポリマーマトリックスによっては決定されない。一般的には、これらの吸収剤は、可視範囲においては顕著な固有の色彩を有するので(例えば、カーボンブラックの場合は、濃黒色)、現在までのところ、技術的な設計事項と所望の色彩との間で妥協がおこなわれている。
【0006】
透明なプラスチック製品において使用される理想的なレーザー吸収性添加剤は、近赤外(NIR)領域における一般的なレーザー波長において強い吸収性を示すが、可視光(即ち、非固有色彩光であって、非干渉性の視認可能な色彩光)においては吸収性を示さず、また、光学的散乱を示さない。この種の添加剤はポリマーマトリックスの機械的性質に影響を及ぼさず、また、非毒性であって、高い射出成形温度での加工処理に付すことができる。レーザー溶接用添加剤が非常に重要な理由はこの点にある。
【0007】
一方、これとは反対に、レーザービームを透過させる着色剤であって、可視範囲において色彩感覚(即ち、レーザー透過性発色)をもたらす着色剤が知られている(非特許文献1に記載の報文参照)。プラスチック製品の固有の色彩が最終的な用途において要求される場合には、この種のレーザー透過性着色剤は、上部の接合パートナーのレーザー透過溶接において使用される。
【0008】
特許文献5には、一方のパイプを他方のパイプの内部へ挿入させて両者を半径方向に嵌合させた後、レーザーを用いてスポット溶接させることによって少なくとも2本のパイプから成る複合材料の製造法が開示されている。しかしながら、この種の連接法によっては、連接されたパイプ内を液体又は流体を安全に通過させることができない。これは、スポット溶接によっては封止状連接を達成できないからである。
【0009】
特許文献6には、プラスチック製パイプを非干渉性光源(即ち、レーザーではない光源)を用いて連接させるための費用効率の高い方法と装置が開示されている。
【0010】
特許文献7には、プラスチック製端板(着色された低密度ポリエチレン製ヘッド)をプラスチック製本体(透明な高密度ポリエチレン製パイプ)へ溶接させる同種の方法が開示されている。端板は内部マンドレルによって支持され、溶接中は1500rpmの速度で回転される。相互に溶接されるべき部分が、界面において可能な限り接近することによってできるだけ少量の材料を溶融させて2つの部分を融合させるような接触部を有するようにするためには、被溶接部間に圧力ばねを形成させることが好ましい。あるいは、マントル上のリブを利用することによって、ヘッドとチューブ本体の間に加圧接触部を形成させてもよい。いずれの場合も、チューブ本体とヘッドは回転性マンドレル上に載置され、次いで、被溶接領域が、レンズを通過したレーザービームが存在するレンズの焦点に近接して位置するように配設される。このマンドレルの表面は、レーザービームの最大反射が達成されるように適切に研磨される。
【0011】
この方法は、直線状のパイプ又は管状体をヘッド又はプラスチック製品へ溶接させるためには有用であるが、次のような欠点を有する。即ち、溶接後にマンドレルを取り除かなければならず、このことは、特に非直線状パイプの溶接においては大きな問題であり、不可能な場合がある。
【特許文献1】独国特許公報DE3843995C2号
【特許文献2】ヨーロッパ特許公報EP0635670B1号
【特許文献3】独国特許公報DE10336494A1号
【特許文献4】ヨーロッパ特許公報EP1403030A1号
【特許文献5】独国特許公報DE10304071号
【特許文献6】独国特許公報DE10 2005 010193号
【特許文献7】独国特許公報DE2261388号
【非特許文献1】スイス国工業雑誌「テヒニッシェン・ルントシャウ」、2004年、第23号、スイス・プロフェッショナル・メディア社(ヴァーベルン、スイス国)発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、レーザー溶接法の利点を利用すると共に、従来から知られている連接法の欠点を回避できる別の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項1記載の特徴を有する本発明によるレーザー溶接法によって解決された。このレーザー溶接法は、プラスチックパイプと別のプラスチック製品との連接部を形成させるために使用させる。この場合、プラスチックパイプの一方の端部が別のプラスチック製品の管状端部と重なって接合され、プラスチックパイプの端部及びプラスチック製品の端部が該連接部の領域においてそれぞれ内部寸法又は外部寸法を有し、該連接部の領域における内部端部の最大外部寸法が、該連接部の領域内の外部端部の最小内部寸法よりも大きいことに起因して2つの端部間に接触圧が発生し、該接触圧によってレーザー溶接中の相互熱接触が改善される。本発明によるレーザー溶接法は、プラスチックパイプと別のプラスチック製品との接合端部が主成分としてポリアミドを含有すると共にマンドレルを使用せずに固定され、溶接に使用されるレーザービームが固定されたパイプ連接部の周囲へ案内されることによって特徴づけられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
このレーザー溶接法においては、特に次の実施態様が好ましい。即ち、プラスチック製品の端部が内部表面又は外部表面を有し、該表面が、内部寸法を低減させるか又は外部寸法を増大させる少なくとも1つのレリーフ構造を有し、これに起因して2つの端部が接合されたときに接触圧の増大がもたらされ、これによって、レーザー溶接中の相互熱接触が改良される。
【0015】
本発明によるその他の好ましい特徴は、特許請求の範囲の従属項に記載の通りである。
【0016】
本発明による方法の利点には次の点が含まれる:
1)レーザーの透過性ラインと吸収性コネクター(標準的製品は黒色である)を使用することにより、密着性とコネクターの引張力は著しく改良される。また、燃料貯蔵後の著しい改良効果も達成される。
2)従来から知られているレーザー溶接法(特許文献4参照)とは対照的に、付加的なスリーブ、即ち、付加的なアダプターは不要である。
3)コネクター上のレリーフ構造を用いることによって、溶接されるべき2つの成形品間の熱的接触度が強化され、溶接継目及び/又はスポット溶接が改良される。
【0017】
以下においては、本発明を、選択された例示的な実施態様に基づいて説明するが、これらの実施態様は本願発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
添付図面について説明する。
図1は、第1の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図2は、第2の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図3は、第3の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図4は、第4の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【0019】
図5は、第5の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図6は、第6の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図7は、第7の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図8は、第8の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【0020】
図9は、第9の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図10は、第10の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図11は、第11の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
図12は、第12の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【0021】
図1は、本発明によるレーザー溶接法を用いて調製したプラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との連接部を示す。プラスチックパイプ(2)は単層パイプ又は多層パイプであってもよい。プラスチックパイプ(2)の一方の端部(4)は、別のプラスチック製品(3)の管状端部(5)と重なり合って接合される。プラスチックパイプの端部(4)とプラスチック製品の端部(5)は、連接部(1)の領域において、それぞれ内部寸法(6)又は外部寸法(7)を有する。連接部(1)の領域における内部端部(5)の最大外部寸法(7)は、この領域における外部端部(4)の最小内部寸法(6)よりも大きい。好ましくは、このホース連接部の最大外部寸法(7)は、プラスチックパイプの端部(4)の最小内部寸法(6)よりも少なくとも0.05mm大きい(一般的には、少なくとも1%大きい)。例えば、一般的な自動車用のプラスチック製燃料ラインの場合、内部直径は6mmで、外部直径は8mmである。レーザー溶接中の相互熱接触を改良する接触圧は、最大外部寸法(7)のこの超過分に起因して、2つの端部(4)及び(5)の間に発生する。少なくとも5%の超過分はより好ましく、少なくとも10%の超過分は特に好ましい。
【0022】
図1及び3に示すレーザー溶接による連接部においては、プラスチックパイプの端部(4)はプラスチック製品の端部(5)の上部へ嵌め込まれる。所望の連接部(1)の領域においては、内部のプラスチック製品の端部(5)は、少なくともレーザー光に対して一般に不透過性であり、また、プラスチックパイプの端部(4)は、少なくともレーザー光に対して一般に透過性である。プラスチックパイプの端部(4)は該端部を透過するレーザー(図中では、ジグザグ矢印で示す)を受容する。このレーザー光の照射は、プラスチック製品の端部(5)の照射される外部表面(8)及び該表面上に押圧されたプラスチックパイプの端部(4)の内部表面(9)が加熱されて溶融することによって、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との間の照射部分の周縁部に融合結合部(10)が形成されるまでおこなう。この融合結合部は、少なくとも照射領域における2つの接合された端部(4)及び(5)の円周部に実質上沿って形成される。
【0023】
本発明によるレーザーによる連接部の第1の実施態様と第3の実施態様においては、周縁部に沿って単一の溶接継目が形成される(図1及び図3参照)。これとは異なり、第2の実施態様によれば、本発明によるレーザー溶接による連接部は、周縁部に沿って二重の溶接継目を有する(図2参照)。これらの2つの溶接継目のうちの一方は、相互に分離した多重スポット溶接部の連鎖から形成されていてもよい(この態様は図示せず)。
【0024】
周縁部に沿って完全な溶接継目が形成されず、機械的定着効果を得るためにスポット溶接部のみを使用する場合には、スポット溶接による連接部の他に、ゴムシール、例えば、Oリング形態のゴムシールを使用する態様が好ましい。このようなシールを使用するためには、プラスチックパイプの端部(4)とプラスチック製品の端部(5)が重なり合う部分の領域の形態を、該シールに対して幾何学的に適合するように設計すべきである。
【0025】
一般的には、スポット溶接による連接部の代わりに、又はスポット溶接による連接部と共に、非円周状の短い多重溶接継目を使用してもよい。好ましくはプラスチックパイプの端部(4)及び/又はプラスチック製品の端部(5)の円周に沿って均一に配設されると共に、これらの2つの端部(4)及び(5)の一方の円周に実質上追随する3つの短い溶接継目が特に好ましい。
【0026】
図2は、本発明によるレーザー溶接法を用いて調製された連接部(1)を示す。この場合、プラスチックパイプの端部(4)はプラスチック製品の端部(5)の上部に嵌め込まれる。図示するプラスチックパイプの端部(4)は内部層(11)を有しており、該内部層は、少なくとも当該連接部(1)の領域内においては、レーザー光に対して一般に不透過性である。例えば、該内部層は、カーボンブラックを用いた着色ブラック及び/又は帯電防止剤を保有する。内部層(11)の厚さはレーザー光に適合させるのが好ましい。即ち、レーザー光の照射に際して、該内部層は加熱され、プラスチック製品の端部(5)の非照射外部表面(8)と融合することによって、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との間の照射点において少なくとも1つの融合結合部(10)が形成されるような厚さにするのが好ましい。好ましくは、内部層はESD層(静電気放電層)である。ESD層は、連接部(1)の全領域にわたって、別のプラスチック製品(3)と電気的に接続され、該製品もこの部分においては電導性である。この場合、ESD層の電導度は、自体既知の添加剤、例えば、電導性カーボンブラック、カーボンフィブリル、グラファイトフィブリル(カーボンナノチューブ)及びスチールファイバー等を用いて調整される。
【0027】
第3の実施態様は、特に、周縁リムの形態を有する保持フック(17)を用いる点で第1の実施態様と第2の実施態様と相違する(図3参照)。この保持フック(17)は、溶接連接部(10)が形成されるまで、プラスチックパイプの端部(5)を止め(18)に対して安全に保持するために適しており、該止めは、好ましくはプラスチック製品の端部(5)に配設される。さらに、最終的な連接部の引離力は保持フックによって増大される。必要な場合には、止め(18)は省略してもよい(図示せず)。
【0028】
図1〜図3の場合と同様に、図4は押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。本発明によるレーザー溶接連接部に関するこの第4実施態様は前記の実施態様とは次の点で相違する。即ち、プラスチック製品の端部(5)は、外部寸法(7)が増大する少なくとも1つのレリーフ構造(14)(この場合は、周縁膨らみ部の形態で示す)を含むが外部表面(8)を有し、該レリーフ構造に起因して、2つの端部(4)及び(5)が嵌合されたときの接触圧が増大し、また、該レリーフ構造は、レーザー溶接過程中の相互熱接触を改善する。
【0029】
特にレリーフ構造(14)に起因して、最大外部寸法(7)は、プラスチックパイプの端部(4)の最小外部寸法(6)よりも約1mm〜約4mm(一般的には、15%〜70%)増大する点で有利である(一般的な自動車用のプラスチック製燃料ラインは6mmの内径と8mmの外径を有する)。最大外部寸法(7)のこの過大部に起因して、2つの端部(4)及び(5)との間には接触圧が発生し、該接触圧は、レーザー溶接過程中の相互熱接触をさらに改良する。少なくとも1つの周縁状の融合結合部(10)は、好ましくは、別のプラスチック製品(3)のレリーフ構造(14)上に位置する。
【0030】
好ましい試験片においては(連接部(1)の密着性とコネクターの引離力に関する後述の試験参照)、このホースの連接部の最大外部寸法(7)はプラスチックパイプの端部(4)の最小外部寸法(6)よりも2.5mm又は約41%大きい。プラスチックパイプの端部(4)の代表的な有効内径及びプラスチック製品の端部(5)の代表的な有効外径はいずれも6mmである。プラスチック製品の端部(5)の外部表面(8)上のレリーフ構造(14)に起因して、最大外径(7)は増大する(この例の場合には、8.5mm及び/又は約41%増大する)。偏差寸法(より大きな寸法又はより小さな寸法)を有するプラスチックパイプとプラスチック製品は、それぞれ対応する過大部又は過小部によって同じ効果を達成する。
【0031】
図1〜図4の場合と同様に、図5は押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。本発明によるレーザー溶接連接部の第4実施態様とは異なり、保持フック(17)は存在せず、封止性溶接継目の形態を有する2つの溶接連接部(10)が周縁上に配設される。
【0032】
図1〜図5の場合と同様に、図6は押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。本発明によるレーザー溶接連接部の第4実施態様とは異なり、保持フック(17)は存在するが、レリーフ構造(14)は2つの部分に分離される。2つのレリーフ構造(14)及び広幅保持フック(17)と共に、封止性溶接継目の形態を有する3つの溶接連接部(10)が周縁上に配設される。
【0033】
図1〜図6の場合と同様に、図7は押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。本発明によるレーザー溶接連接部の第6実施態様とは異なり、保持フック(17)は存在せず、レリーフ構造(14)は3つの部分に分離される。3つのレリーフ構造(14)と共に、封止性溶接継目の形態を有する3つの溶接連接部(10)が周縁上に配設される。これらの3つの溶接継目が相互に十分に近接して位置するならば、これらの3つの溶接継目は相互に融合し、特に幅広な溶接継目が形成される。
【0034】
図1〜図7の場合と同様に、図8は押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。しかしながら、第8実施態様においては、プラスチックパイプ(2)は多層状に構成され、レーザー光を透過させない内層(11)を有する。プラスチックパイプの端部(4)においては、レーザー光を透過させない全ての層は、本発明による所定の連接部(1)の第1領域(15)においては除去されているために、レーザー光を一般的に透過させる外部層及び一定の状況下でのプラスチックパイプ(2)の中間層のみがプラスチック製品の端部(5)上に配設され、レーザー溶接に際して、該端部と共に融合結合部(10)を形成する。この中間層(11)は、好ましくはESD層であり、該ESD層は、所定の連接部(1)の第2の領域(16)において別のプラスチック製品(3)と密接に電気的に接触する。プラスチック製品の端部(5)の第2領域(16)内に形成された保持フック(17)によって、ESD層と電導性ホース連接部との電気的接触がさらに改良される。図8に示す実施態様は、レーザー吸収性内層が非常に薄い場合及び/又は該内層がレーザー吸収性の添加剤を高濃度で含有する場合には、レーザーエネルギーの大部分は、別のプラスチック製品(3)との接触点ではなくて、該内層内において熱に変換されるということを教示する。
【0035】
図1〜図8の場合と同様に、図9は押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。しかしながら、第9実施態様においては、プラスチックパイプは波形パイプ(19)として形成される。連接部(1)の領域内における内側の端部(5)の最大外部寸法(7)は、該領域内の波形パイプ(19)の外側の端部(4)の最小内部寸法(6)よりも大きい。好ましくは、このホース連接部の最大外部寸法(7)もプラスチックパイプの端部(4)の最小内部寸法(6)に比べて、少なくても前述の割合だけ大きい。接触圧は、この最大外部寸法(7)の過大部に起因して2つの端部(4)及び(5)の間において発生する。該過大部はレーザー溶接過程中の相互熱接触を改良する。流体(即ち、液体、蒸気又は気体、例えば、新鮮な空気等)を誘導するために波形パイプ(19)を使用する場合、好ましくは、2つの溶接連接部(10)又はこれらの少なくとも1つは周縁部に沿った溶接継目として形成させる。これに対して、波形パイプ(19)を電線の保護パイプとしてのみ使用する場合には、例えば、プラスチックパイプの端部(4)とプラスチック製品の端部(5)との間の封止状連接部は不要である。この場合、波形パイプ(19)の円周に少なくとも実質上沿ったスポット溶接列及び/又は相互に密着しない短い溶接継目を用いて該波形パイプを確実な固定するだけで十分である(該波形パイプの端部は波形バレーにする態様が好ましい)。プラスチック製品の端部(5)の外部表面(8)へレリーフ構造(14)を取り付けることによっても、溶接連接部(10)の調製中における波形パイプ(19)への熱接触が改良される。
【0036】
図1〜図9の場合とは異なり、図10〜図12は、プラスチックパイプの端部(4)がプラスチック製品の端部(5)の内部へ押し込まれたホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。本発明によるレーザー溶接法を用いて製造された連接部(1)の第10実施態様においては、プラスチックパイプの端部(4)はプラスチック製品の端部(5)の内部へ押し込まれ、内部のプラスチックパイプの端部(4)は少なくとも1つの外部表面(12)を有し、該外部表面はレーザー光に対して一般に不透過性である。これに対して、プラスチック成形品の端部(5)は、少なくとも所定の連接部(1)の領域中においては、レーザー光に対しては一般に透過性である。融合結合部(10)の調製中においては、プラスチック製品の端部(5)にはレーザー光(ジグザグの矢印で示す)が透過される。この場合、レーザー光の照射は、プラスチックパイプの端部(4)の外部表面(12)及び該外部表面上に押し付けられるプラスチック製品の端部(5)の内部表面(13)が熱せられて融合するまでおこなわれ、これにより、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との間の照射点においては融合結合部(10)が形成される。
【0037】
第11実施態様においては、プラスチック製品の端部(5)は、周縁リブ形態の内部保持フック(17)をさらに具有する(図11参照)。
【0038】
図12に示す第12実施態様においては(該実施態様は、基本的には第4実施態様の逆転した態様に相当する)、プラスチック製品の端部(5)は、内部寸法(6)を低減させる少なくとも1つのレリーフ構造(14)を含む内部表面(13)を有する。該内部表面に起因して、2つの端部(4)及び(5)を嵌め合わせたときの接触圧が増大し、これにより、レーザー溶接過程中の相互熱接触がさらに改良される。本発明によるレーザー溶接連接部の第4実施態様に関連して説明したような保持フック(17)がこの実施態様においても配設される(但し、この場合には、内部に配設される)。
【0039】
接合されるべき2つの部分の重なり合った直径部分の過大部又は過小部に関しては、押し込みパイプを含む実施態様の場合と同じ好ましい百分率の値が、挿入パイプを含む変形態様に対しても適用できる。
【0040】
全ての添付図面においては、回転対称性断面を有するプラスチックパイプの端部(4)とプラスチック製品の端部(5)が示されている。従って、最小内部寸法(6)は内径であり、また、最大外部寸法は外径である。しかしながら、全ての場合において、パイプは円形断面を有していなければならないわけではないことに特に留意すべきである。従って、卵形、楕円形、三角形、長方形、六角形、八角形、その他の任意の多角形の断面を有するパイプ、及び円形形態からそれた断面を有する曲がり管等従来から知られているものを使用してもよい。さらに、特別な場合には、プラスチック製品(3)は、プラスチックパイプ(2)の軸に対して隣接して固定してもよく、あるいは対角線状に固定してもよい。コネクターが軸の線内に部分的に取り付けられない特別な中空異形材の非円形ラインの例としては、ヨーロッパ特許公報EP1705050A1を参照されたい。
【0041】
添付図においては、各々の場合の全ての部分が詳細に記載されていなくても、同じ参照番号は同じ部分を示す。図示及び/又は記載された実施態様の当業者には明らかな任意の組み合わせは本発明の範囲内に包含される。
【0042】
レーザーの透過による溶接処理に付してもよい熱可塑性成形材料用の特別な配合材料はヨーロッパ特許EP1240243B1の明細書に記載されている。この場合、ポリマーマトリックス中においては、単一のレーザー透過性着色剤の代わりに、少なくとも2種のレーザー透過性着色剤、好ましくは、色彩論によれば目に対して灰色及び/又は暗色の印象を与える補色の着色剤が使用される。従って、最終製品において暗色及び/又は黒みがかった色の印象をもたらすことが望まれる場合には、レーザー吸収性カーボンブラックによる着色化は、2種のレーザー透過性着色剤の併用によって置き換えてもよい。この種の成形材料は、特に本明細書に記載のレーザー溶接法において使用してもよい。
【0043】
本発明においては、ポリアミド、即ち、当業者には既知のホモポリアミド、コポリアミド、及びこれらのブレンドと混合物をプラスチック及び/又はポリマーとして主として使用する態様が好ましい。これらのポリアミドはレーザー透過性着色剤を用いて着色してもよく、これによって製造されるプラスチックパイプと既知のプラスチックパイプを視覚的にほんの僅かに異なるようにしてもよく、あるいは全く異ならないようにしてもよい。その他の添加剤、例えば、安定剤(例えば、熱安定剤、加水分解安定剤及びUV安定剤等)、補強剤(例えば、ガラス繊維等)及び充填剤等の当業者に既知の添加剤を必要に応じてポリマー材料中へ配合してもよい。ポリアミドは他のポリマー層(例えば、燃料ラインにおけるバリヤー層等)を含む多層複合材として使用してもよい。
【実施例】
【0044】
連接部(1)の密着性及びコネクターの引離力を次の試験において調べた。即ち、強い膨潤効果を発揮する媒体の影響下において、3つのリブ及び/又はレリーフ構造(14)を具有する標準的な松かさ状異形材(pinecone profile)の挙動(実施例A、B及びC;図7参照)を、特に好ましいレリーフ構造を有するホース連接部の挙動(実施例D;図5参照)と比較した。これらの4つの実施例は、以下の表1に示すようなコネクターのレリーフ構造及びパイプの取付条件に基づいて区別してもよい。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例Cにおいては、レーザー溶接は3つの全てのリブ上においておこなった(図7参照)。実施例C及びDは本発明による実施態様である。ポリアミド(PA12)製プラスチックパイプのレーザー透過性単層部材、及び30%のガラス繊維補強剤とカーボンブラック充填剤を配合したポリアミド(PA12)から調製されたレーザー光吸収性の別の黒色プラスチック部材(コネクター)を試験片として選択した。
【0047】
各々の実施例においては、1つのコネクターと1つのプラスチックパイプ部材を連接させ、また、実施例C及びDにおいては、レーザー透過による溶接をおこなった。このようにして得られた管状試験片の内部にE50−混合燃料を充填し、該試験片の両端部はストッパーを用いて閉鎖させた後、100℃で該試験片内において発生する蒸気圧の条件下において、静置状態で500時間にわたって保存した。燃料混合物としては、E50(50%エタノール)、水5%、メタノール1%及び無鉛レギュラーガソリン44%からなる混合物を使用した(濃度単位:容量%)。極限条件下での連接部の品質は、高濃度のエタノール成分に起因して強い膨潤効果を発揮する該燃料混合物を用いて検査することができる。
【0048】
燃料を貯蔵した後、試験片は、SAEスタンダードJ 2260に従って、コネクターの引離力(ホース連接部からプラスチックパイプ部分を引き離すのに必要な力)に関する試験に付した。SAEスタンダードJ 2044及びJ 2045によれば、許容される最小引離力は300Nよりも大きな値でなければならない。密着性の試験は、水中に保持した試験片内へ空気を注入し、該試験片から逃散する空気の泡を視認することによっておこなった。この場合、空気を注入するために用いた圧力は2 bar (過剰圧力)とした。全ての試験片は、燃料を貯蔵しなかった対応する原試験片と比較した。さらに、コネクターの連接力を手動によって評価した。以上の試験結果を以下の表2にまとめて示す。
【0049】
【表2】

【0050】
これらの試験結果から次のことが判明した。全ての原試験片の連接部は、長期間にわたって燃料と接触させないために必要な要求を満たすが、特にエタノール含有量の高い燃料に長期間曝した後では、常套の連接部を緩めるために必要な引離力は大きく低下する。これに対して、レーザー溶接された連接部は常に安定した連接状態を維持し、また、引離力は、試験片を燃料に長期間曝した後においても、必要な制限値よりも著しく高い範囲内の値を示す。引離力が、許容される限界値である300N未満のときには、常套の連接部(実施例A及びB)は弛められるために、これらの常套のコネクターの連接部は、エタノール含有量の高い燃料用に使用するには不適当であると見なされなければならない。
【0051】
さらに、レーザー溶接連接部を用いて固定されたプラスチックパイプは動かないように固定される(即ち、コネクター及び/又はホース連接部上に捩れ止めされる)。実際上は、ホース連接部材の溶接線を引き離す操作を実行するときには、プラスチックパイプ又は連接部材の破損が観察される。捩れ止めを達成するためには、常套の差込形連接部を少数のレーザースポット溶接点によって固定するだけで十分である。しかしながら、溶接継目によって固定される好ましい差込形連接部を緩めるためには、より大きな引離力が印可されなければならない。
【0052】
試験片の膨潤性は、エタノールに起因して特に著しいので、この試験においては、試験に供された連接部に非常に大きな歪が印加され、この点については前述の通りである。これらの結果は、他の膨潤性流体(例えば、バイオディーゼル油、グリコール等)用のライン、又はより高い負荷容量を達成するための非膨潤性流体用のラインにも適用されてもよい。本発明によるレーザー溶接連接部は、もちろん一般的な用途に使用してもよく、これによって安全性の非常に高い貯蔵と改良された密着性という利点がもたらされる。
【0053】
プラスチックパイプ(2)及びプラスチック製品(3)の原料としてのプラスチックとしては、ポリアミドが主として使用される。「ポリアミド」という用語には、ホモポリアミド、コポリアミド及びこれらのブレンドと混合物が包含される。脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド及び部分芳香族ポリアミド(例えば、ポリフタルアミド等)を含むポリアミド群は特に好ましく、この種のポリアミド及び選定されるポリアミドの種類に応じて使用される原料モノマーは当業者には既知の化合物である。嵌め合わされるプラスチックパイプ(2)の端部(4)と他のプラスチック製品(3)に使用されるポリアミドとしては、脂肪族ポリアミド(PA6、PA610、PA612、PA11及びPA12)及びポリフタルアミドを含む群から選択されるポリアミドが特に好ましい。
【0054】
この種のポリアミドを用いて製造されるプラスチックパイプ(2)及びプラスチック製品(3)は、動力車(例えば、自動車、オートバイ等)、船舶及び航空機に使用される燃料ラインを製造するために特に適している。本発明によるレーザー溶接法は、動力車用燃料ラインのプラスチック製品(3)とプラスチックパイプ(2)を連接するために特に適している。何故ならば、これらのプラスチックパイプ(2)とプラスチック製品(3)は複雑な幾何学的形態を有している場合が多く(特に、該パイプは直線状に成形することができない場合が多い)、レーザー溶接過程中において移動又は回転させることができないからである。従って、被溶接部ではなくて、レーザービームを本発明によって移動されるときには、該方法は非常に有利である。
【0055】
1つの可能性には、レーザー源自体をパイプ連接部の周囲を移動させることが含まれる。しかしながら、光学的部材(例えば、レンズ、プリズム及び/又はミラー、特に円錐ミラー)を用いることによって、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との嵌め合わされた端部(4)から成る固定されたパイプ連接部の周囲を溶接するために使用されるレーザービームの移動及び/又は偏向をおこなう態様が好ましい。従って、レーザー源自体ではなくて、レーザービームのみが、溶接されるべきパイプの連接部に対して移動される。
【0056】
しかしながら、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との連接部を調製するための本発明によるレーザー溶接法は、マンドレルを使用せずにおこなう態様が特に有利である。従って、溶接操作の終了後、マンドレルの除去作業は不要となる。特に、動力車用燃料ラインのプラスチック製品(3)をプラスチックパイプと連接するに際しては、大抵の場合には該パイプを破壊することなく支持マンドレルを除去することは不可能である。この理由は、動力車用のこの種の燃料ラインは、エンジン区画室内と燃料タンク内におけるスペース又は取付け条件に応じて、二次元的又は三次元的に曲がった複雑な幾何学的形態であって、乗り物に取付けるために適合するように、例えば、熱形成等によって形成される該幾何学的形態を有している場合が多いからである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図2】第2の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図3】第3の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図4】第4の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図5】第5の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図6】第6の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図7】第7の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図8】第8の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図9】第9の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図10】第10の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図11】第11の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【図12】第12の実施態様による押込式プラスチックパイプを有するホース連接部の軸方向の部分的断面図を示す。
【符号の説明】
【0058】
1 連接部
2 プラスチックパイプ
3 プラスチック製品
4 プラスチックパイプの端部
5 プラスチック製品の端部
6 内部寸法
7 外部寸法
8 端部(5)の外部表面
9 端部(4)の内部表面
10 融合結合部
11 内層
12 端部(4)の外部表面
13 端部(5)の内部表面
14 レリーフ構造
15 連接部(1)の第1領域
16 連接部(1)の第2領域
17 保持フック
18 止め
19 波形パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との連接部(1)を調製するためのレーザー溶接法であって、プラスチックパイプ(2)の一方の端部(4)が別のプラスチック製品(3)の管状端部(5)と重なって接合され、該連接部(1)の領域においてプラスチックパイプの端部(4)及び別のプラスチック製品の端部(5)がそれぞれ内部寸法(6)又は外部寸法(7)を有し、該連接部(1)の領域における内部端部(4、5)の最大外部寸法(7)が、該領域内の外部端部(5、4)の最小内部寸法(6)よりも大きいことに起因して2つの端部(4、5)間に接触圧が発生し、該接触圧によってレーザー溶接中の相互熱接触が改善される該レーザー溶接法において、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との接合端部(4)が主成分としてポリアミドを含有すると共にマンドレルを使用せずに固定され、溶接に使用されるレーザービームが固定されたパイプ連接部の周囲へ案内されることによって特徴づけられる該レーザー溶接法。
【請求項2】
レーザービームが、光学素子を用いて、固定されたパイプの連接部の周囲へ案内される請求項1記載のレーザー溶接法。
【請求項3】
プラスチックパイプの端部(4)とプラスチック製品の端部(5)が回転対称な断面を有し、最小内部寸法(6)が内部直径であり、最大外部寸法(7)が外部直径である請求項1又は2記載のレーザー溶接法。
【請求項4】
プラスチックパイプの端部(4)がプラスチック製品の端部(5)の周囲上へ押し込まれる請求項1から3いずれかに記載のレーザー溶接法。
【請求項5】
内部のプラスチック製品の端部(5)が、レーザー光に対して少なくとも大部分が不透過性である外部表面(8)を有し、プラスチックパイプの端部(4)の大部分が、少なくとも所望の連接部(1)の領域内においてレーザー光に対して透過性であり、プラスチック製品の端部(5)の照射された外部表面(8)及び該表面上へ押し付けられたプラスチックパイプの端部(4)の内部表面(9)が加熱されて融合されるまではプラスチックパイプの端部(4)へレーザー光が透過され、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との間の融合結合部(10)が照射点において形成される請求項4記載のレーザー溶接法。
【請求項6】
プラスチックパイプの端部(4)が、少なくとも所望の連接部(1)の領域内においてレーザー光に対して少なくとも大部分が不透過性である内部層(11)を含み、該連接部が、使用するレーザー光が照射時に該連結部を加熱してプラスチック成形品の端部(5)の非照射外部表面(8)と融合させるために適合した厚さを有し、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との間の融合結合部(10)が照射点において形成される請求項4記載のレーザー溶接法。
【請求項7】
プラスチックパイプ(2)が多層形態を有し、レーザー光に対して透過性を示さない内部層(11)を有し、レーザー光に対して透過性を示さない全ての層が、所望の連接部(1)の第1領域(15)内のプラスチックパイプの端部(4)から除去され、レーザー光に対して大部分が透過性を示すプラスチックパイプ(2)の層のみがプラスチック製品の端部(5)を押し付け、レーザー溶接時に該端部との間に融合結合部(10)を形成させる請求項5又は6記載のレーザー溶接法。
【請求項8】
内部層(11)がESD層であり、該層が、連接部(1)の全範囲又は該連接部(1)の第2領域(16)にわたって別のプラスチック製品(3)へ電気的に接続される請求項6又は7記載のレーザー溶接法。
【請求項9】
プラスチックパイプの端部(4)がプラスチック製品の端部(5)の内部へ押し込まれる請求項1から3いずれかに記載のレーザー溶接法。
【請求項10】
内部のプラスチック製品の端部(4)が、レーザー光に対して大部分が不透過性である少なくとも1つの外部表面(12)を有し、プラスチック製品の端部(5)の大部分が、少なくとも所望の連接部(1)の領域内においてレーザー光に対して透過性であり、プラスチックパイプの端部(4)の照射された外部表面(12)及び該表面上へ押し付けられたプラスチック製品の端部(5)の内部表面(13)が加熱されて融合されるまではプラスチック製品の端部(5)へレーザー光が透過され、プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との間の融合結合部(10)が照射点において形成される請求項9記載のレーザー溶接法。
【請求項11】
プラスチック製品の端部(5)が、少なくとも1つのレリーフ構造(14)を有し、該レリーフ構造が内部寸法(6)を低減させるか、又は外部寸法(7)を増大させ、これに起因して2つの端部(4、5)が接合されたときに接触圧の増大がもたらされ、これによって、レーザー溶接中の相互熱接触が改良される請求項1から10いずれかに記載のレーザー溶接法。
【請求項12】
複数の点状の融合接合部(10)及び/又は非周縁状の溶接継目が、2つの接合された端部(4、5)の円周に実質上沿って形成される請求項1から11いずれかに記載のレーザー溶接法。
【請求項13】
少なくとも1つの周縁状の融合接合部(10)が、2つの接合された端部(4、5)の円周に実質上沿ってプラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)との間に形成される請求項1から11いずれかに記載のレーザー溶接法。
【請求項14】
複数の点状の融合接合部(10)及び/又は非周縁状の溶接継目又は少なくとも1つの周縁状の融合接合部が、別のプラスチック製品(3)のレリーフ構造(14)上に位置する請求項11記載のレーザー溶接法。
【請求項15】
最大外部寸法(7)が最小内部寸法(6)よりも少なくとも1%、好ましくは5%、特に好ましくは10%大きい請求項1から14いずれかに記載のレーザー溶接法。
【請求項16】
最大外部寸法(7)が最小内部寸法(6)よりも15〜70%、好ましくは約41%大きい請求項14又は15記載のレーザー溶接法。
【請求項17】
点状融合接合部及び/又は非周縁状の溶接継目の他に、ゴム製シール(好ましくは、Oリング形態のゴム製シール)を、プラスチックパイプの端部(4)とプラスチック製品の端部(5)の重なり領域内に使用する請求項12記載のレーザー溶接法。
【請求項18】
プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)の接合端部(4)に用いるポリアミドが、脂肪族ポリアミド、脂環式ポリアミド及び部分芳香族ポリアミドから成る群から選択されるポリアミドである請求項1から17いずれかに記載のレーザー溶接法。
【請求項19】
プラスチックパイプ(2)と別のプラスチック製品(3)の接合端部(4)に用いるポリアミドが、脂肪族ポリアミドPA6、PA610、PA612、PA11及びPA12並びにポリフタルアミドから成る群から選択されるポリアミドである請求項18記載のレーザー溶接法。
【請求項20】
請求項1から19いずれかに記載のレーザー溶接法を、自動車用燃料ラインのプラスチック製品(3)とプラスチックパイプ(2)を接続するために使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−18576(P2009−18576A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−151932(P2008−151932)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(505343930)エムス−パテント アクチエンゲゼルシャフト (10)
【Fターム(参考)】