説明

プラスチックペレット形成装置

【課題】プラスチック材をペレットに形成する空冷式のプラスチックペレット形成装置を提供する。
【解決手段】押し出し手段10から押し出された溶融プラスチック20をダイス40によりストランド50に形成して、垂直に起立する筒状ガイド60内側を通過させた後、そのストランド50をカッター90により一定長さに順次切り揃えてペレットを形成する。筒状ガイド60内側を通過中のストランド50周囲には、ストランドの冷却手段100により、空冷用の冷媒を、外気中に漏れ出させぬようにして、循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック射出成形現場において、成形機から排出されるランナー、不良成形品などのプラスチック廃材を、その成形現場で、粉砕、造粒し、溶融した後、ペレットにして、プラスチック製品に再利用するのに用いられる、プラスチックペレット形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、成形機から排出されるランナー、不良成形品などのプラスチック廃材は、プラスチック射出成形現場において、粉砕されて、バージン材と混合され、プラスチック製品の成形材に再利用されている。
そのうち、いわゆる精密安定成形と呼ばれるプラスチック成形の分野においては、上記のように、プラスチック廃材を単に粉砕しただけでは、その粉砕材中に微粉や大小不揃いの粉砕粒が混在していて、その粉砕材をそのままプラスチィック成形に使用した場合には、上記のプラスチックの精密安定成形が阻害される恐れがある。
従って、上記のプラスチックの精密安定成形を行う場合は、その一旦粉砕された粉砕材を、一定大きさにペレット化するペレット形成装置が必要となる。
【0003】
この粉砕材をペレット化するペレット形成装置は、一般に、ホット回転スクリュー方式の押し出し手段から、溶融プラスチックを、ダイスを通して、ストランドにして、連続して押し出している。ダイスを通して押し出したストランドは、カッターにより、一定長さに順次切り揃えて、ペレット化している。
【0004】
あるいは、上記のようにして、ダイスから押し出された未冷却の溶融状態にあるストランドは、粘着力を持っていて、そのままカッターにより複数のペレットに切断すると、その複数のペレットが互いにくっつき合う等して、大粒化してしまう。
そのため、通常のペレット形成装置には、ダイスから押し出される溶融状態にあるストランドを冷却、固化させるための、冷却水が貯留された水槽が備えられている。そして、ダイスから押し出されるストランドを、その水槽内を通して、冷却して固化させている。その後、その冷却、固化させたストランドを、ピンチローラに巻き取る等して、そのストランドを、カッターにより、一定長さに順次切り揃えて、ペレット化している。
【0005】
この一般に用いられるペレット形成装置は、上記のように、大掛かりなホット回転スクリュー方式の押し出し手段や、ストランドを冷却する水冷式の大型水槽等が備えられており、設置面積を広く取り、高価である。
従って、設置面積の狭いプラスチック射出成形現場での使用には、不向きである。
【0006】
また、上記の通常用いられる水冷式のペレット形成装置は、そのペレット化するプラスチック廃材を異種、異色のものに切り替える場合に、その新たに切り替えた異種、異色の冷却するストランドを、冷却水が貯留された水槽内等を通し直す面倒で手数の掛かるセッティング作業等が必要となって、多大な時間と労力を要する。また、ストランドの中途部が、何らかの原因で一旦途切れて、切断された場合にも、そのストランドを冷却水が貯留された水槽内等を通し直す面倒で手数の掛かるセッティング作業が必要となる。
【0007】
さらに、上記の通常用いられるペレット形成装置は、ストランドを冷却水が貯留された水槽中を通して冷却、固化させる水冷方式のため、その冷却、固化させたストランドをペレットに裁断した後に、そのペレットを乾燥する後工程が必要となり、その分、設備が大掛かりとなり、高価でもある。
【0008】
これらの理由から、上記の通常用いられる水冷式のペレット形成装置は、プラスチック成形現場に設置して、使用するには、不向きである。
【0009】
これらの難点を解消するペレット形成装置としては、ストランドを冷却、固化させる大型水槽を排除した、ダイスから押し出される溶融状態にあるストランドを大気により冷却、固化させる空冷式の、特開平9−29739号公報や、特開2001−88196号公報や、特開2002−59419号公報記載の装置がある。
【特許文献1】特開平9−29739号公報
【特許文献2】特開平9−193158号公報
【特許文献3】特開2001−88196号公報
【特許文献4】特開2002−59419号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのうち、特開平9−29739号公報記載の装置は、ホット回転スクリューからダイスを通して押し出された溶融状態にあるストランドが、ガイド用グループ内をガイドされて、空冷式のブッシュ・メカエレメント内側に導入されて冷却される構造をしている。
そのため、この装置においては、特開平9−193158号公報の段落番号0002に記載されたように、未冷却の溶融状態にあるストランドが、ダイスから押し出された直後に冷却されない軟弱状態のまま、ガイド用グループ内をガイドされることになって、その際に、そのガイド用グループ内をガイドされるストランドの径が、均一にならずに、不安定となってしまった。
また、この装置においては、ブッシュ・メカエレメント内側を通過中の溶融状態にあるストランド周囲に空気を送り込んで、ストランドを冷却する際の冷却効率が悪く、ストランドが十分に冷却、固化されないまま、ブッシュ・メカエレメント外部に排出されてしまう状況が多発した。
その原因は、ブッシュ・メカエレメント内側に送り込んだ冷却用の空気の多くが、ブッシュ・メカエレメント内側を通過中のストランド周囲を循環せずに、ブッシュ・メカエレメントの広く開口した上端開口部や下端開口部からブッシュ・メカエレメント外部に漏れ出してしまうからである。また、常温状態の空気を用いて冷却するため、大気温度が高いと、ストランドが十分に冷却、固化されない事態に陥るからである。
さらに、この装置においては、ダイス温度が低い状態からストランド形成を行おうとすると、そのダイスのストランド形成路から押し出された未冷却の軟弱状態のストランド先端がダイス端面に付着して、リング状に曲ってしまった。そして、そのリング状に曲ったストランド先端が、ガイド用グループ内を通してブッシュ・メカエレメント内側に円滑に導入されずに、ブッシュ・メカエレメントの上端開口部を塞いでしまった。そして、ペレット形成装置を継続して稼働させることが不可能となってしまった。
【0011】
特開2001−88196号公報記載の装置は、ダイスから押し出された溶融状態にあるストランドに、送風機から空気を吹きかけて、ストランドを冷却、固化させる構造をしている。送風機と反対側には、ストランドの通路を挟んで、金網が張設されている。そして、その金網により、ストランドが送風機から送り出される空気の風圧を受けて、大きく撓むのが防止される構造をしている。
この装置では、その送風機から送り出される冷却用の空気の多くが、未冷却の軟弱状態にあるストランドに確実に接触して、そのストランド周囲を循環せずに、そのストランドから離れた部分を金網側へと無駄に通過してしまう。そのため、ストランドが効率よく十分に冷却、固化されない難点がある。
従って、この装置においては、その送風機から冷却用の空気を送り出して未冷却の軟弱状態にあるストランドを通過させる通路を長く設定して、そのストランドを距離長く長時間冷却し続ける必要があった。そのため、その軟弱状態にあるストランドがダイス下方に長く垂下した状態となって、その長く垂下したストランドの自重を受けて、ダイス近くに位置するストランドが、長く引き伸ばされた状態となった。そして、そのダイスから押し出されたストランドの外径が大きく狂う難点があった。
また、この装置においては、溶融状態にあるストランドを常温状態の空気により冷却する方式のため、大気温度の変動の影響を受けて、ストランドが十分に冷却、固化されない事態が生じた。
【0012】
特開2002−59419号公報記載の装置は、溶融状態にあるストランドの冷却時間を延すために、ストランドの通路の途中にガイドローラを設けている。そして、ダイスから押し出された未冷却の軟弱状態にあるストランドを、ガイドローラ周囲をほぼV字状に距離長く循環通過させている。そして、そのストランドを空気により時間をかけて十分に冷却、固化させる構造をしている。
この装置においては、その稼働開始時に、ダイスから押し出された溶融状態にあるストランドを、ガイドローラ周囲に巻掛ける等の面倒で手数の掛かるセッティング作業が必要であった。また、ガイドローラが付加された分、装置が大型化して、設置面積を狭く抑えたいプラスチック成形現場に置いて使用するには、不向きであった。
【0013】
本発明は、このような課題を解消可能な、設置面積を狭く抑えたいプラスチック成形現場に設置して、粉砕されたプラスチック廃材を一定大きさに順次ペレット化するペレット形成装置であって、ダイスから押し出される未冷却の溶融状態にあるストランドを効率良く確実に十分に冷却、固化させることの可能な、空冷式のプラスチックペレット形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明のプラスチックペレット形成装置は、ペレット形成用のプラスチック材を溶融して押し出す溶融プラスチックの押し出し手段と、該押し出し手段から押し出された溶融プラスチックをストランド形成路に導入して、ストランドを形成し、そのストランドをストランド形成路下端から垂直下方に押し出すダイスと、該ダイスのストランド形成路下端の直下に垂直に起立する筒状ガイドであって、前記ダイスから押し出されたストランドを、その上端開口部から導入して、その内側を通過させた後、その下端開口部から排出する筒状ガイドと、該筒状ガイドの下端開口部から排出されるストランドを一定長さに順次切り揃えるストランド切断用のカッターとを持った構造をしている。
そして、前記ストランドの冷却手段が、空冷用の冷媒を、外気中に漏れ出させぬようにして、前記筒状ガイドの上端開口部から筒状ガイド内側に送り込んで、その筒状ガイド内側を通過中のストランド周囲を循環させた後、その筒状ガイドの下端開口部から筒状ガイド外部に排出する構造をしている。
【0015】
このような構成のプラスチックペレット形成装置においては、そのストランドの冷却手段により、空冷用の冷媒の全てを、外気中に漏れ出させぬようにして、筒状ガイドの上端開口部から筒状ガイド内側に効率よく確実に送り込むことができる。そして、その筒状ガイド内側に送り込んだ空冷用の冷媒のほぼ全てを、筒状ガイド外部に漏れ出させぬようにして、側壁に穴等の開口のない筒状ガイド内側を通過中のストランドに接触させることができる。そして、その筒状ガイド内側に送り込んだ空冷用の冷媒を、その筒状ガイド内側を通過中のストランド周囲を効率よく確実に循環させることができる。そして、そのストランド周囲を循環させる冷媒により、筒状ガイド内側を通過中のストランドを短時間のうちに効率よく確実に冷却、固化させることができる。
【0016】
本発明のプラスチックペレット形成装置においては、前記ダイスが、前記押し出し手段から押し出された溶融プラスチックを、複数のストランド形成路に分岐させて導入して、その複数のストランド形成路に連なる複数のストランド形成路下端からストランドを垂直下方にそれぞれ押し出すものであることを好適としている。
また、前記筒状ガイドが、前記複数のストランド形成路下端の直下にそれぞれ垂直に起立する複数の筒状ガイドであって、そのストランド形成路下端から垂直下方に押し出されるストランドを、その上端開口部から導入して、その筒状ガイド内側を通過させた後、その下端開口部から筒状ガイド外部に排出する複数の筒状ガイドからなるものであることを好適としている。
【0017】
このような構成のプラスチックペレット形成装置にあっては、押し出し手段から押し出される溶融プラスチックを、ダイスに設けられた、1つではなくて、2つ以上の複数のストランド形成路に分岐させて導入できる。そして、その複数のストランド形成路に連なる2つ以上の複数のストランド形成路下端から、ストランドを垂直下方にそれぞれ同時に押し出すことができる。そして、ペレット形成用の複数本のストランドを短時間のうちに同時形成できる。
また、そのようにして短時間のうちに同時形成した複数本のストランドのそれぞれは、ダイスの複数のストランド形成路下端の直下にそれぞれ垂直に起立する複数の筒状ガイド内側のそれぞれに、その上端開口部から導入できる。そして、その複数の筒状ガイド内側をそれぞれ通過させるストランド周囲に、前記冷却手段により空冷用の冷媒を循環させて、その複数本のストランドを同時に冷却、固化させることができる。固化させたストランドは、ストランド切断用のカッターにより一定長さに順次切り揃えて、ペレットに形成できる。そして、多数のペレットを、短時間のうちに同時形成できる。
また、押し出し手段から押し出される溶融プラスチックを、ダイスにより複数本のストランドに分岐させて形成し、その複数本のストランドを複数の筒状ガイド内側をそれぞれ別々に通過させることにより、その複数の筒状ガイド内側のそれぞれを通過中の溶融状態にあるストランドを空冷式の冷却手段により冷却する効率を向上させることができる。そして、ペレット形成用の冷却、固化させた複数本のストランドを、短時間のうちに効率よく同時形成できる。
【0018】
本発明のプラスチックペレット形成装置においては、空冷用の冷媒が、冷却空気であっても良く、あるいは、常温空気であっても良い。
空冷用の冷媒が、冷却空気である場合は、常温空気に比べて、筒状ガイド内側を通過中のストランドを冷却手段により冷却する際の冷却効率を確実に向上させることができる。また、空冷用の冷媒が、冷却空気である場合は、筒状ガイド内側を通過中のストランドを、大気温度の変化の影響を受けさせずに、冷却手段により、安定して、確実に冷却、固化させることができる。
【0019】
本発明のプラスチックペレット形成装置においては、前記ダイスのストランド形成路下端に、先端内径が前記筒状ガイドの内径よりも小径のストランド形成用の絞りノズルがストランド形成路に連通させて設けられて、その絞りノズルの先端が前記筒状ガイドの上端開口部内側に筒状ガイド内壁と非接触の中吊り状態で導入された構造とすることを好適としている。
【0020】
このような構成のプラスチックペレット形成装置にあっては、ダイスのストランド形成路下端にストランド形成路に連通させて設けられたストランド形成用の絞りノズル内側を、ダイスから押し出される溶融状態にあるストランドを通過させて、そのストランドの外径を、筒状ガイドの内径よりも小径の絞りノズル先端の内径まで小径に絞り込むことができる。次いで、その小径に絞り込まれたストランドを、それよりも内径が大径の筒状ガイド内側にその上端開口部から引っ掛かり抵抗なく円滑に導入できる。
その際には、絞りノズルの先端が、筒状ガイドの上端開口部内側に筒状ガイド内壁と非接触の中吊り状態で導入されているため、その絞りノズル先端から押し出される粘着力を持つ溶融状態にあるストランドを、筒状ガイド内壁に付着させずに、筒状ガイド内側のほぼ中央に引っ掛かり抵抗なく円滑に導入できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明のプラスチックペレット形成装置によれば、ダイスから押し出される溶融状態にあるストランドを短時間のうちに効率良く十分確実に冷却、固化させることができる。そして、押し出し手段から押し出される溶融プラスチックを、短時間のうちに効率よく、多数のペレットに形成できる。
また、空冷式のため、ストランドを冷却する水冷式の大掛かりな水槽や、面倒で手数の掛かるストランドのセッティング作業が不要となり、設置面積の狭いプラスチック形成現場に置いて手軽に使用するのに好適な、プラスチックペレット形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
図1と図2は本発明のプラスチックペレット形成装置の好適な実施の形態を示し、図1はその正面断面図、図2はそのカッターが設けられた箇所の底面図である。以下に、このプラスチックペレット形成装置を説明する。
【0023】
このプラスチックペレット形成装置は、図1に示したように、その上部に、ペレット形成用のプラスチック材を溶融して押し出す溶融プラスチックの押し出し手段10が備えられている。
押し出し手段10は、水平方向に回転する円柱状の回転体(円盤スクリュー)12の下端面に、その中央からその周辺に向けて、渦巻き状の溝14が刻設されている。そして、その回転体12を減速ギヤ付き電動モータ(ギヤドモータ)16により回転させるのに伴い、回転体12外側に設けられたホッパー18から、回転体12下端面の周囲に送り込まれたペレット形成用のプラスチック材20が、電気ヒータ30により、加熱シリンダー32及び回転体12を介して、漸次加熱、溶融され続けながら、回転体下端面の渦巻き状の溝14内側に沿って、回転体12下端面中央へと圧送され続ける構造をしている。回転体12下端面中央に圧送された溶融プラスチックは、回転体12下端面の中央に設けられた押し出し口19から回転体12下方に連続して順次押し出される構造をしている。
この押し出し手段10は、円柱状の回転体12下端面に渦巻き状の溝14が刻設された縦型構造をしていて、プラスチックペレット形成装置の設置面積を狭めるのに好適なものである。この押し出し手段10は、特許第3418639号公報記載の射出成形装置にも、用いられている。
【0024】
回転体12下方には、円盤状のダイス40が、回転体12の回転を妨げぬようにして、その上端面を回転体12下端面に隙間少なくほぼ接触させた状態で、配置されている。そして、回転体下端面中央の押し出し口19から押し出され続ける溶融プラスチックが、ダイス40中央に設けられた導入口42を通して、ダイスに設けられたストランド形成路44に連続して順次押し込まれて、ストランド50が連続形成される構造をしている。ストランド形成路44に押し込まれて連続形成されるストランド50は、ダイス40下端面に設けられたストランド形成路下端46から、重力の作用方向に当たる垂直下方に連続して押し出される構造をしている。
【0025】
ダイスのストランド形成路下端46の直下には、側壁に穴等の開口部のない筒状ガイド60が、垂直に起立させた状態で配置されている。そして、ダイスのストランド形成路下端46から押し出され続ける溶融状態にあるストランド50を、その筒状ガイドの上端開口部62から導入して、その筒状ガイド60内側を通過させた後、その筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60下方に連続して排出する構造をしている。
【0026】
筒状ガイド60の上端と下端は、装置フレーム70に固定、支持されている。装置フレーム70とダイス40との間には、断熱板80が介在されている。そして、電気ヒータ30の熱が、装置フレーム70を介して、筒状ガイド60に伝わるのが防止されている。
【0027】
筒状ガイド60下端には、ストランド切断用のカッター90であって、筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60下方に連続して排出されるストランド50を一定長さに順次切り揃えるカッター90が備えられている。カッター90は、図1と図2に示したように、固定刃92と回転刃94とが組み合わされた構造をしている。固定刃92は、ほぼ円盤状をしていて、筒状ガイド60下端に固定されている。回転刃94は、ほぼ棒状をしていて、ほぼ円盤状をした固定刃92下端面に沿って、装置フレーム70内側に備えられた変速電動モータ96により、回転刃94下端面中央を中心に回転させる構造をしている。そして、筒状ガイドの下端開口部64に連なる固定刃に設けられた穴93を通して、固定刃92下方に連続して排出されるストランド50を、固定刃92下端面に沿って回転させる回転刃94により、一定長さに順次切り揃える構造をしている。
その際には、変速電動モータ96の回転速度を調整して、固定刃94下端面に沿って回転させる回転刃94の回転速度を、穴93を通して固定刃92下方に排出されるストランド50の排出速度に応じて、遅速に調整できる構造をしている。そして、その固定刃92及び回転刃94からなるカッター90によりストランド50から切断形成されるペレットの長さを、所望の一定長さに調整できる構造をしている。
【0028】
以上の構成は、従来一般のプラスチックペレット形成装置と同様であるが、この図1と図2に示したペレット形成装置では、ストランドの冷却手段100が、空冷用の冷媒を、外気中に漏れ出させぬようにして、筒状ガイドの上端開口部62から筒状ガイド60内側に送り込んで、その筒状ガイド60内側を通過中のストランド50に接触させながら、そのストランド50周囲を循環させた後、その筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60外部に排出する構造をしている。
具体的には、図1に示したように、筒状ガイド60上端を支持する装置フレーム上端(筒状パイプ保持板)72に、その中央下面に設けられた冷媒導入口74を通して、空冷用の冷媒を、外気中に漏れ出させぬようにして、筒状ガイドの上端開口部62から筒状ガイド60内側に送り込む、冷媒通路76が、装置フレーム70及び筒状ガイド60の外部と気密性を持たせて設けられている。
装置フレーム上端72に設けられた冷媒導入口74には、図1に示したように、空冷用の冷媒(空気)を装置フレーム上端72に設けられた冷媒通路76に連続して送り込む冷媒送給手段110が連結されている。
冷媒送給手段110は、送風ファン(図示せず)と、該ファンから送り出される空気冷媒を冷媒導入口74へと送り込む冷媒導入路112とから構成されている。そして、冷却用の空気(冷媒)を、外気中に漏れ出させぬようにして、冷媒導入路112、冷媒通路76を通して、筒状ガイドの上端開口部62に連続して送り込む構造をしている。
【0029】
図1と図2に示したペレット形成装置は、以上のように構成されていて、このペレット形成装置においては、減速ギヤ付き電動モータ16により、回転体12を回転させながら、電気ヒータ30により、回転体12を所望温度に加熱し続けることができる。そして、回転体12外側に設けられたホッパー18に搬入された粉砕プラスチック廃材、バージン材などのプラスチック材20を、回転体下端面の渦巻き状の溝14内側を回転体12下端面の周囲からその中央へと圧送し続けることができる。それと共に、その回転体下端面の渦巻き状の溝14内側を回転体12下端面の中央に圧送され続けるプラスチック材20を、電気ヒータ30により、加熱シリンダー32及び回転体12を介して、漸次加熱、溶融し続けることができる。そして、そのプラスチック材20が溶融された状態の溶融プラスチックを、回転体12下端面の中央に設けられた押し出し口19から回転体12下方に連続して順次押し出すことができる。
回転体12下方に連続して押し出される溶融プラスチックは、ダイス中央に設けられた導入口42を通して、ダイスのストランド形成路44に連続して順次押し込んで、ストランド50に連続形成できる。ストランド形成路44に押し込まれて連続形成されるストランド50は、ダイス下端面のストランド形成路下端46から、重力の作用方向に当たるダイス40下方に垂直に連続して押し出すことができる。
ダイスのストランド形成路下端46から押し出され続ける未冷却の溶融状態にあるストランド50は、ストランド形成路下端46の直下に配置された筒状ガイド60に、その上端開口部62から導入して、その筒状ガイド60内側を通過させることができる。
その際には、ストランド50が、ストランド形成路下端46から、重力の作用方向に当たる、垂直下方に排出されるため、その粘着力を持つストランド50を、ストランド形成路下端46の直下に垂直に起立させて配置された筒状ガイド60内側のほぼ中央に、その上端開口部62から、筒状ガイド60内壁に付着等させずに円滑に導入できる。
筒状ガイド60内側を通過させたストランド50は、その筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60下方に連続して排出できる。
【0030】
ダイス40から押し出された溶融状態にあるストランド50を筒状ガイド60内側を通過させる際には、冷媒送給手段110の送風ファン(図示せず)を駆動させて、空冷用の冷媒(空気)の全てを、外気中に漏れ出させぬようにして、装置フレーム上端72に設けられた気密性の冷媒通路76を通して、筒状ガイドの上端開口部62から筒状ガイド60内側に送り込むことができる。そして、その空冷用の冷媒のほぼ全てを、筒状ガイド60外部に漏れ出させぬようにして、側壁に穴等の開口部のない筒状ガイド60内側を通過中のストランド50に確実に接触させながら、そのストランド50周囲を循環させることができる。そして、その筒状ガイド60内側を通過中の溶融状態にあるストランド50を空冷用の冷媒により効率よく確実に冷却、固化させることができる。冷却、固化させたストランド50は、筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60下方に連続して排出できる。
【0031】
その際には、断熱板80により、電気ヒータ30の熱が、装置フレーム70を介して、筒状ガイド60に伝わるのを防ぐことができる。そして、電気ヒータ30の熱が、筒状ガイド60内側を通過中の空冷式の冷却手段100によるストランド50の冷却効率を低下させるのを、防ぐことができる。
【0032】
筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60下方に連続して排出されるストランド50は、筒状ガイド60下端に備えられたカッター90により、一定長さに順次切り揃えることができる。そして、固化した状態のストランドが一定長さに切り揃えられてなる多数のペレットを次々に形成できる。
【0033】
このペレット形成装置においては、図1に示したように、ダイス40が、押し出し手段10から押し出された溶融プラスチックを、複数のストランド形成路44に分岐させて送り込んで、その複数のストランド形成路44に連なる複数のストランド形成路下端46のそれぞれからストランド50を垂直下方に押し出す、複数の分枝したストランド形成路44を持つものであることが好ましい。
それと共に、筒状ガイド60が、図1に示したように、ダイス40に設けられた複数のストランド形成路のストランド形成路下端46の直下にそれぞれ垂直に起立する複数の筒状ガイド60からなるものであることが好ましい。そして、その複数のストランド形成路下端46から垂直下方にそれぞれ押し出される複数本のストランド50を、その直下の筒状ガイドの上端開口部62から導入して、その筒状ガイド60内側を通過させた後、その筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60下方に排出する複数の筒状ガイド60からなるものであることが好ましい。
【0034】
そして、押し出し手段10から押し出される溶融プラスチックを、ダイス40に分岐させて設けられた複数のストランド形成路44のそれぞれに送り込むと良い。そして、その複数のストランド形成路44に連なるダイス下端面の複数のストランド形成路下端46のそれぞれから、ストランド50をストランド形成路下端46の垂直下方にそれぞれ同時に押し出すと良い。そして、複数本のペレット形成用のストランド50を短時間のうちに同時形成可能とすると良い。
それと共に、そのようにして短時間のうちに同時形成した複数本のストランド50のそれぞれを、ダイスの複数のストランド形成路下端46の直下にそれぞれ垂直に起立する複数の筒状ガイド60内側に、その筒状ガイドの上端開口部62から導入すると良い。そして、その複数の筒状ガイド60内側をそれぞれ通過させるストランド50の周囲に、冷媒送給手段110から送り込んだ冷却用の空気を循環させて、その複数本のストランド50のそれぞれを短時間のうちに効率よく同時に冷却、固化させると良い。筒状ガイドの下端開口部64から筒状ガイド60下方に排出する固化させたストランド50は、カッター90により一定長さに順次切り揃えて、ペレットに形成すると良い。そして、多数のペレットを、短時間のうちに効率よく同時形成可能とすると良い。
また、押し出し手段10から押し出される溶融プラスチックを、ダイスにより複数本のストランド50に分岐させて形成し、その複数本のストランド50を複数の筒状ガイド60内側をそれぞれ別々に通過させることにより、その複数の筒状ガイド60内側のそれぞれを通過中の溶融状態にあるストランド50を空冷式の冷却手段100により冷却する効率を向上させると良い。そして、ペレット形成用の冷却、固化させた複数本のストランド50を、短時間のうちに効率よく同時形成可能とすると良い。
【0035】
このペレット形成装置においては、冷媒送給手段110により筒状ガイド60内側に送り込む空冷用の冷媒が、常温状態の空気ではなくて、マイナス温度等に冷却された冷却空気であっても良い。
そして、その空冷用の冷媒である冷却空気により、筒状ガイド60内側を通過中のストランド50の冷却手段100による冷却効率を確実に大幅に向上させても良い。それと共に、筒状ガイド60内側を通過中のストランド50を、大気温度の変化の影響を受けさせずに、冷却手段100により、安定して、確実に冷却、固化可能としても良い。
この場合の冷媒送給手段110には、例えば、コンプレッサから送られた空気を超低温状態に冷却する、ボルテックス・チューブと呼ばれる超低温空気発生器等を用いると良い。
【0036】
このプラスチックペレット形成装置においては、図1に示したように、ダイスのストランド形成路下端46に、先端内径が筒状ガイド60の内径よりも小径のストランド形成用の絞りノズル120がストランド形成路44に連通させて設けられた構造とすると良い。絞りノズル120の先端は、筒状ガイドの上端開口部62内側に、筒状ガイド60内壁と非接触の中吊り状態で、導入された構造とすると良い。
そして、そのストランド形成路下端46に設けられたストランド形成用の絞りノズル120内側を、ダイス40から押し出される溶融状態にあるストランド50を通過させて、そのストランド50の外径を、筒状ガイド60の内径よりも小径の絞りノズル120先端の内径まで小径に絞り込むと良い。そして、その小径に絞り込んだストランド50を、それよりも内径が大径の筒状ガイド60内側にその上端開口部62から引っ掛かりなく円滑に導入可能とすると良い。
それと共に、そのダイス40から押し出される粘着力を持つ溶融状態にあるストランド50を、筒状ガイドの上端開口部62内側に筒状ガイド60内壁と非接触の中吊り状態で導入された絞りノズル120先端から、筒状ガイド60内壁に付着させずに、筒状ガイド60内側のほぼ中央に引っ掛かり抵抗なく円滑に導入可能とすると良い。
空冷用の冷媒は、冷媒送給手段110から、筒状ガイドの上端開口部62内壁と、筒状ガイドの上端開口部内側に中吊り状態で導入された絞りノズル120先端外壁との間の隙間を通して、筒状ガイド60内側に送り込む構造とすると良い。
【0037】
このペレット形成装置においては、異種、異色等の種々のプラスチック材を用いての、ペレット形成実験結果から、筒状ガイド60の内径が、絞りノズル120の先端内径の1.5〜3.0倍であり、好ましくは2.0倍であると良いことが、判明した。
【0038】
このペレット形成装置においては、図3に示したように、その溶融プラスチックの押し出し手段10に、前述のホット回転スクリューを用いることも、可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のペレット形成装置は、設置面積の狭いプラスチック形成現場に置いて、異種、異色等の様々の種類のペレットを時間をかけずに効率よく形成するのに、広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明のプラスチックペレット形成装置の正面断面図である。
【図2】本発明のプラスチックペレット形成装置のカッターが備えられた箇所の底面図である。
【図3】本発明の他のプラスチックペレット形成装置の正面断面図である。
【符号の説明】
【0041】
10 押し出し手段
12 回転体
14 渦巻き状の溝
16 減速ギヤ付き電動モータ
18 ホッパー
20 プラスチック材
30 電気ヒータ
32 加熱シリンダー
40 ダイス
44 ストランド形成路
46 ストランド形成路下端
50 ストランド
60 筒状ガイド
62 筒状ガイドの上端開口部
64 筒状ガイドの下端開口部
70 装置フレーム
72 装置フレーム上端
76 冷媒通路
80 断熱板
90 カッター
92 固定刃
94 回転刃
96 変速電動モータ
100 ストランドの冷却手段
110 冷媒送給手段
112 冷媒導入路
120 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット形成用のプラスチック材を溶融して押し出す溶融プラスチックの押し出し手段と、
該押し出し手段から押し出された溶融プラスチックをストランド形成路に導入して、ストランドを形成し、そのストランドをストランド形成路下端から垂直下方に押し出すダイスと、
該ダイスのストランド形成路下端の直下に垂直に起立する筒状ガイドであって、前記ダイスから押し出されたストランドを、その上端開口部から導入して、その内側を通過させた後、その下端開口部から排出する筒状ガイドと、
該筒状ガイドの下端開口部から排出されるストランドを一定長さに順次切り揃えるストランド切断用のカッターとを持ち、
前記ストランドの冷却手段が、空冷用の冷媒を、外気中に漏れ出させぬようにして、前記筒状ガイドの上端開口部から筒状ガイド内側に送り込んで、その筒状ガイド内側を通過中のストランド周囲を循環させた後、その筒状ガイドの下端開口部から筒状ガイド外部に排出するものであることを特徴とするプラスチックペレット形成装置。
【請求項2】
前記ダイスが、前記押し出し手段から押し出された溶融プラスチックを、複数のストランド形成路に分岐させて導入して、その複数のストランド形成路に連なる複数のストランド形成路下端からストランドを垂直下方にそれぞれ押し出すものであり、
前記筒状ガイドが、前記複数のストランド形成路下端の直下にそれぞれ垂直に起立する複数の筒状ガイドであって、そのストランド形成路下端から垂直下方に押し出されたストランドを、その上端開口部から導入して、その筒状ガイド内側を通過させた後、その下端開口部から筒状ガイド外部に排出する複数の筒状ガイドからなることを特徴とする請求項1記載のプラスチックペレット形成装置。
【請求項3】
前記空冷用の冷媒が、冷却空気であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックペレット形成装置。
【請求項4】
前記空冷用の冷媒が、常温空気であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックペレット形成装置。
【請求項5】
前記ダイスのストランド形成路下端に、先端内径が前記筒状ガイドの内径よりも小径のストランド形成用の絞りノズルがストランド形成路に連通させて設けられて、その絞りノズルの先端が前記筒状ガイドの上端開口部内側に筒状ガイド内壁と非接触の中吊り状態で導入されたことを特徴とする請求項1記載のプラスチックペレット形成装置。
【請求項6】
前記筒状ガイドの内径が、前記絞りノズルの先端内径の1.5〜3.0倍であり、好ましくは2.0倍であることを特徴とする請求項5記載のプラスチックペレット形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−132029(P2009−132029A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309869(P2007−309869)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(592108768)
【Fターム(参考)】