説明

プラスモジウム種に感染した網状赤血球由来のエキソソーム、それらの取得方法およびその用途

本発明は、マラリアの防御および予防のためのワクチンの分野に属し、より詳しくは、プラスモジウム種に感染した網状赤血球由来のエキソソーム、それらの取得方法、マラリアの防御および予防のためのその用途、並びに新規プラスモジウム抗原の発見と同定のためのその使用に関する。また、本発明は、プラスモジウム種抗原を含む人工エキソソームにも関する。最終的に、本発明は、プラスモジウム種に感染した網状赤血球から得られたエキソソームにより見出される特異的抗原に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マラリアの防御および予防のためのワクチンの分野に属し、より詳しくは、プラスモジウム種に感染した網状赤血球由来のエキソソーム、それらの取得方法、マラリアの防御および予防のためのその用途、並びに新規プラスモジウム抗原の発見と同定のためのその使用に関する。また、本発明は、プラスモジウム種抗原を含んでなる人工エキソソームにも関する。最終的に、本発明は、プラスモジウム種に感染した網状赤血球から得られたエキソソームにより見出される特異的抗原に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスモジウム種は、マラリアの原因となる病原性微生物であり、“泥沼熱(paludism)”としても知られる。プラスモジウム属には異なる種が存在するが、そのあるものは無害である。それに対し、他の種は高度に感染性であり、世界中のヒトマラリア症例の大半の原因である。後者の中でも最も重要な種は、熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum、P.ファルシパルム)と三日熱マラリア原虫(P. vivax、P.ヴィヴァックス)である。
【0003】
ヒトのプラスモジウム種(熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫(P. malariae、P.マラリアエ)、卵形マラリア原虫(P. ovale、P.オヴァレ)、東南アジアマラリア原虫(P. knowlesi、ノウレシ))は、すべて、多かれ少なかれ、赤血球および/またはその前駆体、網状赤血球に感染するが、網状赤血球は成熟と分化の過程を必要として、それらの最終的な赤血球としての機能状態に達する。異なるプラスモジウム種の中でも、そのある種のもの、例えば、三日熱マラリア原虫(P. vivax)などは、他の種よりも高い網状赤血球感染能力を有し、このタイプの細胞に優先的に感染する。
【0004】
網状赤血球が赤血球へと成熟し、分化する過程においては、後者に必要ではないある種のタンパク質が、多小胞体(MVB)に位置する内部小胞に取り込まれ、後に、エキソソームとして知られる小さなナノ小胞体として細胞外媒質に放出される。
【0005】
最近、抗原提示細胞などの他の細胞が、このタイプのナノ小胞体を分泌し得ること、それが網状赤血球の成熟と分化において、当初報告されていた役割以外の役割を有することを示唆しているとの発見の後、エキソソームに関する研究が活気づいてきた。事実、異なる細胞型についてのいくつもの研究が、エキソソームは、それらが免疫応答に際して細胞間の情報を伝達することで、免疫系の調節に役割を果たしており、従って、細胞間の情報伝達の新しい様式を説明するものであることを明らかにしてきた(非特許文献1)。この方針において、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)(プラスモジウムも属するアピコンプレキサ(Apicomplexa)門の一員である)に実験的に感染させたエキソソームの防御能力が証明されている(非特許文献2)。
【0006】
さらに、ヒトに対する予防薬または免疫促進剤としてのエキソソームの使用に基づくいくつもの戦略が報告されている(非特許文献3)。
【0007】
取り分け、国際公開第97/05900号は、B細胞、マクロファージまたは樹状細胞などの抗原提示細胞から得られるエキソソームについて開示している。この文献に記載されたエキソソームは、それらが抗原提示細胞から得られるものであるために、その抗原がMHC−IおよびMHC−IIの環境に提示されるという特性を有する。
【0008】
同様に、欧州特許第1523990号は、癌細胞(テキソソームと確認)から、または、抗原負荷もしくは非負荷樹状細胞(本文献ではそれらをデキソソームと称する)から得られるエキソソームについて記載している。
【0009】
国際公開第2004/014954号では異なる戦法を用いているが、その理由は、その表面で所望の抗原を示すエキソソームを得るために、CT26系統からの細胞(マウス大腸癌)およびTA3HA系統からの細胞(マウス乳癌)が、所望の抗原(muc−1)をエンコードする配列をそのゲノムに含んでなる組換えウイルスにより形質移入され、結果として、所望の抗原がこの型の細胞から単離されるエキソソームの表面に発現されるからである。
【0010】
国際公開第00/28001号は、本質的に内在性のMHC分子を欠損するマスト細胞から得られたエキソソームについて記載している。しかし、本文献に記載されているエキソソームは、その表面に組換えMHCを発現する。
【0011】
最後に、国際公開第2008/092153号は、通常、エキソソームに存在する1種以上の免疫抑制ポリペプチドを欠損する癌細胞から得たエキソソームについて記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第97/05900号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1523990号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/014954号パンフレット
【特許文献4】国際公開第00/28001号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2008/092153号パンフレット
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ショーレイおよびバートナガー(Schorey JS and Bhatnagar S)、Exosome function: from tumor immunology to pathogen biology(エキソソームの機能、腫瘍免疫学から病原体生物学まで)、Traffic (コペンハーゲン、デンマーク) 2008; 9: 871-881
【非特許文献2】バートナガー、シナガワ、カステリーノ、およびショーレイ(Bhatnagar S, Shinagawa K, Castellino FJ and Schorey JS)、Exosomes released from macrophages infected with intracellular pathogens stimulate a proinflammatory response in vitro and in vivo(細胞内病原体に感染したマクロファージから放出されるエキソソームはインビトロおよびインビボにおいて前炎症性応答を促進する)、Blood2007; 110: 3234-3244
【非特許文献3】ヴィオウド、ウルリッヒ、ジトヴォーゲル、およびチャプット(Viaud S, Ullrich E, Zitvogel L and Chaput N)、Exosomes for the treatment of human malignancies(ヒト悪性疾患治療用のエキソソーム)、Horm Metab Res 2008; 40: 82-88
【非特許文献4】リボウト、ベーリイ、シェバレイら(Ribaut C, Berry A, Chevalley S et al)、Concentration and purification by magnetic separation of the erythrocytic stages of all human Plasmodium species(ヒトプラスモジウム種すべての赤血球段階の磁気分離による濃縮と精製)。Malaria journal 2008; 7: 45
【非特許文献5】ストーンおよびウイリアムス(Stone KL and Williams KR)、In The protein protocol handbook(タンパク質プロトコールハンドブック)、編集、Walker JM, Totowa, NJ: Humana Press Inc.; 1996
【非特許文献6】ジュラド、ラエル、リーブら(Jurado JD, Rael ED, Lieb CS et al)、Complement inactivating proteins and intraspecies venom variation in Crotalus oreganus helleri(クロタラス・オルガナス・ヘレリにおけるタンパク質不活化補体および種内毒液変動)、Toxicon2007; 49: 339-350
【非特許文献7】エリアスおよびギューギイ(Elias JE and Gygi SP)、Target-decoy search strategy for increased confidence in large-scale protein identifications by mass spectrometry(質量分析法による大規模タンパク質同定における信頼性増大のための目標おとり検索戦略)。Nat Methods 2007; 4: 207-214
【非特許文献8】デルポルチロ、フェルナンデス−ベセラ、ボウマンら(del Portillo HA, Fernandez-Becerra C, Bowman S et al)、A superfamily of variant genes encoded in the subtelomeric region of Plasmodium vivax(三日熱マラリア原虫のサブテロメア領域にエンコードされた変異遺伝子のスーパーファミリー)、 Nature 2001; 410: 839-842
【非特許文献9】カールトン、アダムス、シルバら(Carlton JM, Adams JH, Silva JC et al)、Comparative genomics of the neglected human malaria parasite Plasmodium vivax(放置されたヒトマラリア寄生虫プラスモジウム・ヴィヴァックスの比較ゲノミクス)、Nature2008; 455: 757-763
【非特許文献10】トンキン、ヴァンドーレン、スパーックら(Tonkin CJ, van Dooren GG, Spurck TP et al)、Localization of organellar proteins in Plasmodium falciparum using a novel set of transfection vectors and a new immunofluorescence fixation method(形質導入ベクターの新規セットおよび新しい免疫蛍光固定化法を用いるプラスモジウム・ファルシパラム中のオルガネラタンパク質の局在部位)、Mol Biochem Parasitol 2004; 137: 13-21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の著者らは、この度、プラスモジウムに感染したマウスモデルまたは被験対象の網状赤血球からエキソソームを単離し使用して、マラリアを防御または予防する新規の戦法を開発した。これらのエキソソームは、プラスモジウム種で感染させた末梢血から、または当該末梢血から予め取得した網状赤血球のインビトロ培養物から取得する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の目的は、少なくとも1種のプラスモジウム種抗原をその内部もしくはその表面に含んでなる血漿/網状赤血球の培養物から単離したエキソソームによって表される(以下、本発明のエキソソームとする)。
【発明の効果】
【0016】
本発明のエキソソームは、マラリアに対して免疫原性能力を示し、従って、本疾患の防御および予防のためのワクチンの調製において、非常に有力な有用性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マウス血漿から単離したエキソソームの特性化を描写する図である。(A)動的光散乱による粒度分析、(B)2%パラホルムアルデヒドで固定した後の陰性染色を示す。縮尺は100nmを表す。
【図2】(A)対照マウスおよびプラスモジウム・ヨエリ(P. yoelii)17X感染マウスの血液から単離した網状赤血球のギームザ染色、(B)網状赤血球からの陰性染色エキソソームのEM画像を示す。縮尺バーは200nmを表す。
【図3】寄生虫血の経時的進化と、エキソソームで免疫したマウスの細胞向性の分析を描出する図である。寄生虫血曲線は、2匹の非免疫対照マウス、正常動物の血液から単離したエキソソームで免疫した2匹の対照マウス、P.ヨエリの非致死性株を感染させた動物から得たエキソソームで免疫した3匹のマウス、およびP.ヨエリの致死性株を感染させた動物から得たエキソソームで免疫した3匹のマウスの平均値から計算した。各群の代表動物の、屠殺前日の末梢血塗抹に対するギームザ染色。
【図4】(A)生存曲線、および(B)予めexC(n=6)およびexPyNL(n=6)で免疫したBALB/Cマウス群のプラスモジウム・ヨエリ(P. yoelii)17XL感染の経時的寄生虫血症を示す図である。非免疫マウス(n=5)は未処理とした。
【図5】エキソソームで免疫した動物血清中の抗P.ヨエリIgG抗体の応答についてのウエスタンブロット分析を示す図である。サンプルは2度目の免疫後、20日目に上顎穿刺により採取した。各パネルは、これらの実験に使用した各動物群の血清混合物に相当する。ウエスタンブロットにおいては、P.ヨエリの非致死性株(AgNL)および致死性株(AgL)から得られた総抗原を使用し、IgG抗体の応答は、アルカリホスファターゼに結合し、マウスIgGに対して産生させたヤギ血清を使用することにより検出した。
【図6】P.ヨエリの非致死性株を感染させたマウスの血液からのエキソソームで免疫した動物中のT細胞、CD4+細胞およびCD8+細胞の細胞内染色分析を描出する図である。Balb/cマウスをCpG−ODN中のPyNLエキソソーム5マイクログラムで免疫した。最初の免疫から2週間後に、CpG−ODNを含まないエキソソーム5マイクログラムによる追加免疫を実施した。(A)CD8IFN−γの割合は、インビトロの再刺激、細胞内染色およびフローサイトメトリー分析後に計算した。CD4IFN−γであるCSFEloリンパ球の割合は(B)に示し、CD4IFN−γIL−2の割合は(C)に示す。データは、1回の実験に相当するものであり、3匹の非免疫マウスと、非致死性exPyNL株を感染させたマウスに由来するエキソソームで免疫した3匹のマウスの平均±標準誤差として表す。
【図7】17XL−pRBCを認識する免疫血清の明視野像および蛍光像を示す図である。NI=非免疫マウスからの血清、exC=非感染マウスREXからのエキソソームで免疫したマウスからの血清、exPyI=P.ヨエリNL−感染動物からのREXで免疫した2匹のマウスからの血清を示す。
【図8A】P.ヨエリに感染したマウスからの、またはP.ヴィヴァックスに感染した患者からの末梢血由来エキソソームに存在する抗原のプロテオミクス分析により得られるMS/MSスペクトルを示す図である。該スペクトルの生命情報科学分析は、分析したエキソソームサンプル中に、P.ヨエリおよびP.ヴィヴァックス双方の抗原が存在することを確実に示す。
【図8B】P.ヨエリに感染したマウスからの、またはP.ヴィヴァックスに感染した患者からの末梢血由来エキソソームに存在する抗原のプロテオミクス分析により得られるMS/MSスペクトルを示す図である。該スペクトルの生命情報科学分析は、分析したエキソソームサンプル中に、P.ヨエリおよびP.ヴィヴァックス双方の抗原が存在することを確実に示す。
【図8C】P.ヨエリに感染したマウスからの、またはP.ヴィヴァックスに感染した患者からの末梢血由来エキソソームに存在する抗原のプロテオミクス分析により得られるMS/MSスペクトルを示す図である。該スペクトルの生命情報科学分析は、分析したエキソソームサンプル中に、P.ヨエリおよびP.ヴィヴァックス双方の抗原が存在することを確実に示す。
【図8D】P.ヨエリに感染したマウスからの、またはP.ヴィヴァックスに感染した患者からの末梢血由来エキソソームに存在する抗原のプロテオミクス分析により得られるMS/MSスペクトルを示す図である。該スペクトルの生命情報科学分析は、分析したエキソソームサンプル中に、P.ヨエリおよびP.ヴィヴァックス双方の抗原が存在することを確実に示す。
【図9】A)Vir多重遺伝子族保存モチーフの模式図、B)VirペプチドLP1(左)とVirペプチドLP2(右)の模式図である。
【図10】ブラジルの地域流行性領域からの一部の血清が、合成長鎖ペプチドを認識し得ることを示すバイオプレックス(Bioplex)アッセイを示す図である。
【図11】抗−Lp1(A)および抗−Lp2(B)が、三日熱マラリア原虫自然感染のVirタンパク質を同定し得ることを示す免疫蛍光アッセイを示す図である。
【図12】Lp1およびLp2ペプチドを含んでなる免疫金標識人工エキソソームの画像並びにそれらの組成中の画像である。該エキソソームは、79:20:1のモル比の1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、コレステロール(CHOL)、および4−(p−マレイミドフェニル)ブチリルホスファチジルエタノールアミン(MBP−PE)を含む。免疫標識は、LP1およびLP2Virペプチドに対する抗体で実施し、次いで、プロテインA−金とインキュベートすることにより行った。縮尺バーは200nmを表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のエキソソームに存在する抗原または抗原類は、いずれのプラスモジウム種からも由来し得る。本発明の特定の実施態様において、該エキソソームに存在する抗原または抗原類は、以下のプラスモジウム種に由来する:三日熱マラリア原虫(P.ヴィヴァックス、P. vivax)、熱帯熱マラリア原虫(P.ファルシパルム、P. falciparum)、四日熱マラリア原虫(P.マラリアエ、P. malariae)、卵形マラリア原虫(P.オバレ、P. ovale)、P.ヨエリ(P. yoelli)、P.アチオテンセ(P. achiotense)、P.アクロマチクム(P. achromaticum)、P.エジプテンシス(P. aegyptensis)、P.エウミナタム(P. aeuminatum)、P.アガメ(P. agamae)、P.アナサム(P. anasum)、P.アテルリ(P. atheruri)、P.アズロフィラム(P. azurophilum)、P.バリ(P. balli)、P.バブシコライ(P. bambusicolai)、P.バシリシ(P. basilisci)、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、P.ビゲチ(P. bigueti)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム;P. brasilianum)、P.ブリグーイ(P. brygooi)、P.ブーリアチ(P. booliati)、P.ブバリス(P. bubalis)、P.ブッキ(P. bucki)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.カテメリウム(P. cathemerium)、P.セファロフィ(P. cephalophi)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、P.チリカフエ(P. chiricahuae)、P.シルクラリス(P. circularis)、P.クネミドフォリ(P. cnemidophori)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.コゲシャリ(P. coggeshalli)、P.コロンビエンセ(P. colombiense)、P.コラデッチ(P. corradettii)、P.コターニックス(P. coturnix)、P.クーランゲシ(P. coulangesi)、P.ククルス(P. cuculus)、P.ポポ(P. popo)、P.シクロプシ(P. cyclopsi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ;P. cynomolgi)、P.ジミヌチバム(P. diminutivum)、P.ジプログロッシ(P. diploglossi)、P.ジサナイケイ(P. dissanaikei)、P.ドミニカナ(P. dominicana)、シチメンチョウマラリア原虫(P.デュレ、P. durae)、P.エゲルニエ(P. egerniae)、P.エロンガタム(P. elongatum)、P.エイレシ(P. eylesi)、P.ファベシア(P. fabesia)、P.フェアチルジ(P. fairchildi)、P.ファラックス(P. fallax)、P.フィールジ(P. fieldi)、P.フォレイ(P. foleyi)、P.フォレステリ(P. forresteri)、P.フロリデンセ(P. floridense)、P.フラジル(P. fragile)、P.ガーンハミ(P. garnhami)、ニワトリマラリア原虫(P.ガリナセウム、P. gallinaceum)、P.ギガンテウム(P. giganteum)、P.ジョバンノライ(P. giovannolai)、P.ギラルジ(P. girardi)、P.ゴナトジ(P. gonatodi)、P.ゴンデリ(P. gonderi)、P.ゲオルゲシ(P. georgesi)、P.グラシリス(P. gracilis)、P.グリフィスシ(P. griffithsi)、P.グアンゴング(P. guanggong)、P.グンデルシ(P. gundersi)、P.グヤンネンセ(P. guyannense)、P.ヘイッシ(P. heischi)、P.ヘグネリ(P. hegneri)、P.ヘルマニ(P. hermani)、P.ヘテロヌクレアレ(P. heteronucleare)、P.ヘキサメリウム(P. hexamerium)、P.ホラスピ(P. holaspi)、P.フッフィ(P. huffi)、P.ヒロバチ(P. hylobati)、P.イシペーンシス(P. icipeensis)、P.イノピナタム(P. inopinatum)、サルマラリア原虫(P.イヌイ、P. inui)、P.ジェフェリ(P. jefferi)、P.ジョセフィーネ(P. josephinae)、P.ジャクスタヌクレアレ(P. juxtanucleare)、P.ケンピ(P. kempi)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ、P. knowlesi)、P.ケントロピクシ(P. kentropyxi)、P.リーヌクテウス(P. leanucteus)、P.レムリス(P. lemuris)、ニワトリマラリア原虫(P.ロフレ、P. lophurae)、P.レピドプチフォルミス(P. lepidoptiformis)、P.リゴソメ(P. lygosomae)、P.マブイエ(P. mabuiae)、P.マッケラセ(P. mackerrasae)、P.マクリラブレ(P. maculilabre)、P.メイオール(P. maior)、P.マルギナタム(P. marginatum)、P.マチュチナム(P. matutinum)、P.メキシカヌム(P. mexicanum)、P.ミナセンセ(P. minasense)、P.モルラム(P. morulum)、P.ヌクレオフィリアム(P. nucleophilium)、P.オクタメリウム(P. octamerium)、P.オドコイレイ(P. odocoilei)、P.パペルナイ(P. papernai)、P.パラヌクレオフィラム(P. paranucleophilum)、P.パルブラム(P. parvulum)、P.ペディオエセチイ(P. pedioecetii)、P.ペレジ(P. pelaezi)、P.ペルシガルンハミ(P. percygarnhami)、P.ペテルシ(P. petersi)、P.ピファノイ(P. pifanoi)、P.ピノッティ(P. pinotti)、P.ピノッリ(P. pinorrii)、サルマラリア原虫(P.ピテシ、P. pitheci)、P.ピツマニ(P. pitmani)、P.ポラレ(P. polare)、トリマラリア原虫(P.プレコックス、P. praecox)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)、トリマラリア原虫(P.レリクタム、P. relictum)、P.ラジヌラム(P. rhadinurum)、P.ロダイニ(P. rhodaini)、P.ロビンソニ(P. robinsoni)、P.ルクシ(P. rouxi)、P.サンドシャミ(P. sandoshami)、P.ササイ(P. sasai)、オラウータンマラリア原虫(P.シュバイツイ、P. schweitzi)、P.シルバチカム(P. silvaticum)、P.シミウム(P. simium)、P.セミオバレ(P. semiovale)、P.ショルティ(P. shortii)、P.スミルノビ(P. smirnovi)、P.サブプレコックス(P. subpraecox)、矮小マラリア原虫(P.テヌエ、P. tenue)、P.テジェライ(P. tejerai)、P.トモドニ(P. tomodoni)、P.トレアルバイ(P. torrealbai)、P.トラグリ(P. traguli)、P.トリボロノッチ(P. tribolonoti)、P.トロピズリ(P. tropiduri)、P.ユイレンベルギ(P. uilenbergi)、P.ワテニ(P. watteni)、P.ウェニオニ(P. wenyoni)、P.バキュオラタム(P. vacuolatum)、P.バスタトール(P. vastator)、P.ボウガニ(P. vaughani)、P.ビンケイ(P. vinckei)、P.ボランス(P. volans)、またはP.ヤンギ(P. youngi)。
【0019】
本発明の好適な実施態様において、該エキソソームは、ヒト、サル、および/または齧歯類に感染するプラスモジウム種に由来する抗原を含んでなる、すなわち、本発明の好適な実施態様において、エキソソームの内部または表面に存在する当該抗原または抗原類は、三日熱マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、プラスモジウム・ヨエリ(Plasmodium yoelli)、P.ベルゲイ(P. berghei)、P.ブラシリアヌム(P. brasilianum)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、P.シノモルギ(P. cynomolgi)、P.フラジル(P. fragile)、P.ノウレシ(P. knowlesi)、またはP.レイチェノウイ(P. reichenowi)に属する。
【0020】
本発明のエキソソームは、プラスモジウム種に感染したいずれかの哺乳動物の網状赤血球から分離し得るが、好ましくは、ヒト、サルおよび/またはマウスの網状赤血球から分離する。好適な実施態様では、ヒトの網状赤血球を使用するようにして、それらをヒトの患者に投与したときに、できる限り不所望の反応を予防するようにする。
【0021】
本発明のもう一つの目的は、本発明のエキソソームを取得する方法によって象徴され、その方法は、
a)プラスモジウム種に感染した血液サンプルを取得すること、
b)選択肢として、a)の血液サンプルから網状赤血球を単離し、培養すること、
c)a)またはb)からの血液サンプルの逐次超遠心分離により、網状赤血球由来のエキソソーム画分を取得すること、
を特徴とする。
【0022】
特定の実施態様において、該血液サンプルは以下のプラスモジウム種に感染した血液であってもよい。三日熱マラリア原虫(P.ヴィヴァックス、P. vivax)、熱帯熱マラリア原虫(P.ファルシパルム、P. falciparum)、四日熱マラリア原虫(P.マラリアエ、P. malariae)、卵形マラリア原虫(P.オバレ、P. ovale)、P.ヨエリ(P. yoelli)、P.アチオテンセ(P. achiotense)、P.アクロマチクム(P. achromaticum)、P.エジプテンシス(P. aegyptensis)、P.エウミナタム(P. aeuminatum)、P.アガメ(P. agamae)、P.アナサム(P. anasum)、P.アテルリ(P. atheruri)、P.アズロフィラム(P. azurophilum)、P.バリ(P. balli)、P.バブシコライ(P. bambusicolai)、P.バシリシ(P. basilisci)、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、P.ビゲチ(P. bigueti)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム、P. brasilianum)、P.ブリグーイ(P. brygooi)、P.ブーリアチ(P. booliati)、P.ブバリス(P. bubalis)、P.ブッキ(P. bucki)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.カテメリウム(P. cathemerium)、P.セファロフィ(P. cephalophi)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、P.チリカフエ(P. chiricahuae)、P.シルクラリス(P. circularis)、P.クネミドフォリ(P. cnemidophori)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.コゲシャリ(P. coggeshalli)、P.コロンビエンセ(P. colombiense)、P.コラデッチ(P. corradettii)、P.コターニックス(P. coturnix)、P.クーランゲシ(P. coulangesi)、P.ククルス(P. cuculus)、P.ポポ(P. popo)、P.シクロプシ(P. cyclopsi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ、P. cynomolgi)、P.ジミヌチバム(P. diminutivum)、P.ジプログロッシ(P. diploglossi)、P.ジサナイケイ(P. dissanaikei)、P.ドミニカナ(P. dominicana)、シチメンチョウマラリア原虫(P.デュレ、P. durae)、P.エゲルニエ(P. egerniae)、P.エロンガタム(P. elongatum)、P.エイレシ(P. eylesi)、P.ファベシア(P. fabesia)、P.フェアチルジ(P. fairchildi)、P.ファラックス(P. fallax)、P.フィールジ(P. fieldi)、P.フォレイ(P. foleyi)、P.フォレステリ(P. forresteri)、P.フロリデンセ(P. floridense)、P.フラジル(P. fragile)、P.ガーンハミ(P. garnhami)、ニワトリマラリア原虫(P.ガリナセウム、P. gallinaceum)、P.ギガンテウム(P. giganteum)、P.ジョバンノライ(P. giovannolai)、P.ギラルジ(P. girardi)、P.ゴナトジ(P. gonatodi)、P.ゴンデリ(P. gonderi)、P.ゲオルゲシ(P. georgesi)、P.グラシリス(P. gracilis)、P.グリフィスシ(P. griffithsi)、P.グアンゴング(P. guanggong)、P.グンデルシ(P. gundersi)、P.グヤンネンセ(P. guyannense)、P.ヘイッシ(P. heischi)、P.ヘグネリ(P. hegneri)、P.ヘルマニ(P. hermani)、P.ヘテロヌクレアレ(P. heteronucleare)、P.ヘキサメリウム(P. hexamerium)、P.ホラスピ(P. holaspi)、P.フッフィ(P. huffi)、P.ヒロバチ(P. hylobati)、P.イシペーンシス(P. icipeensis)、P.イノピナタム(P. inopinatum)、サルマラリア原虫(P.イヌイ、P. inui)、P.ジェフェリ(P. jefferi)、P.ジョセフィーネ(P. josephinae)、P.ジャクスタヌクレアレ(P. juxtanucleare)、P.ケンピ(P. kempi)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ、P. knowlesi)、P.ケントロピクシ(P. kentropyxi)、P.リーヌクテウス(P. leanucteus)、P.レムリス(P. lemuris)、ニワトリマラリア原虫(P.ロフレ、P. lophurae)、P.レピドプチフォルミス(P. lepidoptiformis)、P.リゴソメ(P. lygosomae)、P.マブイエ(P. mabuiae)、P.マッケラセ(P. mackerrasae)、P.マクリラブレ(P. maculilabre)、P.メイオール(P. maior)、P.マルギナタム(P. marginatum)、P.マチュチナム(P. matutinum)、P.メキシカヌム(P. mexicanum)、P.ミナセンセ(P. minasense)、P.モルラム(P. morulum)、P.ヌクレオフィリアム(P. nucleophilium)、P.オクタメリウム(P. octamerium)、P.オドコイレイ(P. odocoilei)、P.パペルナイ(P. papernai)、P.パラヌクレオフィラム(P. paranucleophilum)、P.パルブラム(P. parvulum)、P.ペディオエセチイ(P. pedioecetii)、P.ペレジ(P. pelaezi)、P.ペルシガルンハミ(P. percygarnhami)、P.ペテルシ(P. petersi)、P.ピファノイ(P. pifanoi)、P.ピノッティ(P. pinotti)、P.ピノッリ(P. pinorrii)、サルマラリア原虫(P.ピテシ、P. pitheci)、P.ピツマニ(P. pitmani)、P.ポラレ(P. polare)、トリマラリア原虫(P.プレコックス、P. praecox)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)、トリマラリア原虫(P.レリクタム、P. relictum)、P.ラジヌラム(P. rhadinurum)、P.ロダイニ(P. rhodaini)、P.ロビンソニ(P. robinsoni)、P.ルクシ(P. rouxi)、P.サンドシャミ(P. sandoshami)、P.ササイ(P. sasai)、オラウータンマラリア原虫(P.シュバイツイ、P. schweitzi)、P.シルバチカム(P. silvaticum)、P.シミウム(P. simium)、P.セミオバレ(P. semiovale)、P.ショルティ(P. shortii)、P.スミルノビ(P. smirnovi)、P.サブプレコックス(P. subpraecox)、矮小マラリア原虫(P.テヌエ、P. tenue)、P.テジェライ(P. tejerai)、P.トモドニ(P. tomodoni)、P.トレアルバイ(P. torrealbai)、P.トラグリ(P. traguli)、P.トリボロノッチ(P. tribolonoti)、P.トロピズリ(P. tropiduri)、P.ユイレンベルギ(P. uilenbergi)、P.ワテニ(P. watteni)、P.ウェニオニ(P. wenyoni)、P.バキュオラタム(P. vacuolatum)、P.バスタトール(P. vastator)、P.ボウガニ(P. vaughani)、P.ビンケイ(P. vinckei)、P.ボランス(P. volans)、またはP.ヤンギ(P. youngi)。
【0023】
しかし、本発明の好適な実施態様において、該血液サンプルは、三日熱マラリア原虫(プラスモジウム・ヴィヴァックス)、熱帯熱マラリア原虫(プラスモジウム・ファルシパルム)、四日熱マラリア原虫(プラスモジウム・マラリアエ)、卵形マラリア原虫(プラスモジウム・オバレ)、プラスモジウム・ヨエリ、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム、P. brasilianum)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ、P. cynomolgi)、P.フラジル(P. fragile)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ、P. knowlesi)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)に感染したものである。
【0024】
本方法の工程b)は任意工程であるが、それを実施することが本発明の好適な選択肢である。工程b)を実施することにより、エキソソーム画分が、網状赤血球由来のエキソソームとしてより純度の高いものとなる。工程b)を実施しない場合、該エキソソーム画分は、例えば、樹状細胞などの網状赤血球以外の他の細胞型からの微量のエキソソームを含み得る。
【0025】
全血サンプルからの網状赤血球の単離は、
i)700〜1000×gで15〜25分間遠心分離すること、
ii)パーコール勾配にて、200〜300gで25〜35分間遠心分離すること、
により実施し得る。
【0026】
工程b)における網状赤血球の単離はまた、磁気ビーズシステムを使用することによっても実施し得る。例えば、磁気ビーズは抗CD71抗体に接合させるのがよいが、その理由は、CD71が網状赤血球の主要表面マーカであるからである。
【0027】
網状赤血球の単離の後、これらは一般的な条件下にインビトロで培養する。
【0028】
本方法の工程c)は、工程a)からの血液サンプルから、または工程b)からのインビトロ培養網状赤血球から、逐次超遠心分離する工程を含む。
【0029】
特定および好適な実施態様において、逐次超遠心分離は、以下を含む。
i)400〜700×gで15〜25分間、遠心分離すること、
ii)900〜1000×gで15〜25分間、遠心分離すること、
iii)10,000〜14,000×gで20〜40分間、遠心分離すること、
iv)90,000〜110,000×gで1〜3時間、遠心分離すること。
【0030】
選択肢として、この最初の逐次超遠心分離の後、得られるペレットを緩衝液、好ましくは、PBSに懸濁し、次いで、エキソソーム画分を粒子径によって弁別するフィルタ(フィルタは約0.20μmの孔径を有するものとする)で濾過する。この操作の後、好ましくは、90,000〜11,000×gで1〜3時間、再度遠心分離する。
【0031】
逐次遠心分離は、好ましくは、0〜7℃の低温で実施し、精製したエキソソームのタンパク質およびタンパク質構造の完全性を保存するようにしなければならない。
【0032】
エキソソームを直接全血から取得する場合、すなわち、本方法の工程b)を実施しない場合、通常、大半、網状赤血球由来のエキソソームにより形成されるエキソソーム画分が取得される。しかしながら、この画分は他の血液細胞型に由来するエキソソームの画分を僅かながら含有し得る。
【0033】
得られる画分は、網状赤血球由来のエキソソームが十分に高濃度であるが、選択肢として、さらに高濃度の画分を所望する場合には、得られたエキソソーム画分を免疫単離による精製方法に付してもよい。免疫単離はエキソソーム中に存在する網状赤血球の特定の分子に対する特異的抗体を使用すること意味する。特定の実施態様において、免疫単離は、トランスフェリン受容体に対する特異的抗体を用いることによって実施してもよい。
【0034】
網状赤血球由来のエキソソームの免疫単離は、トランスフェリン受容体に対する抗体を被覆した磁気ビーズにより実施し得る。網状赤血球由来のエキソソームは、一旦、抗−トランスフェリン受容体抗体を介して磁気ビーズに付着させ、そこから酸処理によって分離することができる。
【0035】
本発明のエキソソームの分析は、実施例にて説明するように、プラスモジウム種の内部または表面に存在する抗原の発見と同定を可能とする。この意味で、本発明の目的は、プラスモジウム種抗原の発見と同定のために、プラスモジウム種を感染させた網状赤血球から単離したエキソソームを使用することでもある。
【0036】
本発明にて同定された抗原の一つは、プラスモジウム・ヨエリからのタンパク質Yirである(このものは三日熱マラリア原虫からのタンパク質Virのオーソログである)。このタンパク質から、本発明者らは2種類のVir誘導ペプチドを開発した。これらのペプチドはモルモットの免疫で抗原性を示し、患者のP.ヴィヴァックス感染網状赤血球を認識する特異的IgG免疫応答を惹起し得ることが証明された。
【0037】
従って、本発明の目的は、また、配列番号1を有するか、または配列番号1と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチド、並びに配列番号1を有するか、または配列番号2と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチドである。これらのペプチドは、それぞれLp1およびLp2と呼称されている。
【0038】
本発明のもう一つの側面は、その内部またはその表面に少なくとも1種のプラスモジウム種抗原を含んでなる人工エキソソームである。
【0039】
該人工エキソソームは既知の方法(デラ・ペナ、de la Pena et al. 2009)により開発されたものであり、Lp1およびLp2と同定されたプラスモジウム抗原を含んでなるが、他のいずれのプラスモジウム抗原をその人工エキソソーム製剤中に取り込んでいてもよい。人工エキソソームの使用は、免疫した患者に起こる自己免疫応答の危険を低減する。
【0040】
本発明の好適な実施態様において、該人工エキソソームは、主として、サル、マウスまたはヒトに感染するプラスモジウム種からの抗原に結合させる。かかる抗原は、例えば、三日熱マラリア原虫(プラスモジウム・ヴィヴァックス)、熱帯熱マラリア原虫(プラスモジウム・ファルシパルム)、四日熱マラリア原虫(プラスモジウム・マラリアエ)、卵形マラリア原虫(プラスモジウム・オバレ)、プラスモジウム・ヨエリ、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム、P. brasilianum)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ;P. cynomolgi)、P.フラジル(P. fragile)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ、P. knowlesi)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)である。好適な実施態様において、該人工エキソソームは、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、熱帯熱マラリア原虫(P.falciparum)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)または卵形マラリア原虫(P. ovale)などの抗原である。
【0041】
本発明の好適な実施態様は、配列番号1または配列番号1と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチド、および/または配列番号2または配列番号1と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチドを含むプラスモジウム種の抗原を含んでなる人工エキソソームによって象徴される。
【0042】
本発明のもう一つの目的は、本発明のエキソソームもしくは本発明の人工エキソソーム、および/または配列番号1および/または配列番号2のペプチドまたは配列番号1もしくは配列番号2と少なくとも85%の相同性を有するペプチド、並びに少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を含んでなる医薬組成物である。
【0043】
該添加剤は、担体、支持物質、滑沢剤、充填剤、溶剤、希釈剤、着色剤、矯味剤(例えば、糖)、抗酸化剤および/または結合剤から選択し得る。これらの補助物質および/または添加剤の選択、および使用すべき量の選択は、該医薬組成物の適用形態に左右されよう。
【0044】
本発明による医薬組成物は、経口投与または非経口投与のいずれの投与形態にも適合可能であり、例えば、経肺経路、鼻腔経路、直腸経路および/または静脈内経路による投与形態に適合し得る。従って、本発明による製剤は局所または全身投与、具体的には、皮膚、皮下、筋肉内、関節内、腹腔内、胸腔内、口腔内、舌下、鼻腔内、経皮、膣内、経口または非経口投与に適合させ得る。
【0045】
本発明の最終的目的は、マラリアに対するワクチンであって、本発明のエキソソームもしくは本発明の人工エキソソーム、および/または配列番号1および/または配列番号2のペプチドまたは配列番号1もしくは配列番号2と少なくとも85%の相同性を有するペプチドを含んでなるワクチンである。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、その範囲を限定しようとするものではない。
【0047】
<実施例1:エキソソームの精製>
[1.1.マウス血液からの直接の精製]
エキソソームはEDTA中に採血したマウス血液から取得した血漿から精製した。P.ヨエリ17Xおよび17XL株による感染および非感染のBalb/cマウス(10〜40%寄生虫血症)の血漿を使用した。エキソソームを分離するために、血清を4℃で、500×gで30分間、12000×gで35分間および100,000×gで2時間、逐次遠心分離した。最終の沈殿物をPBSに再懸濁し(通常、血清の当初容量の5×)、0.22μmのフィルタで濾過し、4℃で2時間、100,000×gで遠心分離した。沈殿物を1×PBSに再懸濁し、回収されるタンパク質の量をブラドフォードアッセイにより定量した。血清1.5mlから、約5マイクログラムのエキソソームを得る。得られた物質を直ちに使用するか、または急速冷却により凍結して、−80℃で保存する。
【0048】
エキソソームを動的光散乱(DLS)および電子顕微鏡(EM)により分析して、その純度を確認し、形態を観察した(図1)。DLS測定には、ゼータサイザーナノS(Zetasizer Nano S)(マルバーンインスツルーメント、Malvern Instruments)を使用して、25℃のPBS中、0.1μg/μlの懸濁液50μlにつき分析した。EMによる分析は2%パラホルムアルデヒド中、4℃で一夜固定した新鮮なエキソソーム標品で操作した。エキソソームを1分間フォームバーグリッドに載置した後、蒸留水で洗浄した。酢酸ウラニル/蒸留水の2%溶液で1分間、グリッドを陰性染色した。完全に乾燥した後、グリッドをJEOL1010透過電子顕微鏡下で観察した。両技法により、エキソソームについて先に記載したサイズに匹敵する直径をもつナノ小胞の均一な個体群が明らかになった。
【0049】
[1.2.マウスのインビトロ培養網状赤血球からの精製]
エキソソームを網状赤血球培養液の上清から精製した。網状赤血球は、EDTA中に採血したマウス血液から取得した。P.ヨエリ17X株による感染および非感染のBalb/cマウス(20〜40%寄生虫血症)の血液を使用した。網状赤血球を分離するために、血液を700〜1000×gで20分間遠心分離した。リン酸緩衝食塩水(PBS)中で2回洗浄した後、血液からの網状赤血球は、パーコール/NaCl密度勾配の頂部に積層することにより精製した。そうするために、パーコール溶液(密度、1.096g/mL)5ミリリットルを15mL容量のチューブに入れた。パーコール(密度、1.058g/mL)2ミリリットルをその上に積層した。最終ヘマトクリット50%までPBS希釈した血液2mlを各チューブの頂部に積層した。チューブを4℃、250×gで30分間遠心分離した。2つのパーコール層の界面から網状赤血球を採取し、PBSで2回洗浄した。
【0050】
5mMグルタミン、3%ウシ胎仔血清、50U/mLペニシリン、および50μg/mLストレプトマイシンを補足したDMEM中、精製した網状赤血球(図2A)を1〜5×10細胞/mLの密度として、37℃で24時間培養した。培地中に外来のエキソソームの混入汚染する可能性を回避するために、ウシ胎仔血清は予め遠心分離した(100,000×g o.n.)。エキソソームは、4℃、500×gで20分間、900〜1000×gで20分間、12,000×gで30分間、および100,000×gで2時間遠心分離することにより、上清から単離した。最終のペレットを大容量のPBS(通常、当初容量の5×)に再懸濁し、0.22μmのフィルタで濾過し、4℃、100,000×gで2時間遠心分離した。ペレットをPBSに再懸濁し、回収されるタンパク質の量をブラドフォードアッセイにより定量した。
【0051】
エキソソームは、その純度を確認し、形態を可視化するために、電子顕微鏡(EM)により分析した(図2B)。EMによる分析は、2%パラホルムアルデヒド中、4℃で一夜固定した新鮮なエキソソームで実施した。次いで、エキソソームを20分間フォームバーグリッド上に沈着させた後、PBSで洗浄した。次いで、グリッドを1%グルタールアルデヒド中で5分間固定し、蒸留水で洗浄し、シュウ酸ウラニル溶液(pH=7)により5分間、および酢酸ウラニル(4%)−メチルセルロース(2%)により4℃で10分間、陰性染色した。完全に乾燥した後、グリッドをJEOL1010透過電子顕微鏡下で観察した。この技法により、エキソソームについて先に報告したサイズに匹敵する直径をもつ、サンプル中の小胞の均一な個体群が明らかになった。
【0052】
[1.3.ヒトのインビトロ培養網状赤血球からのエキソソームの精製]
末梢血からのヒト網状赤血球は、バルセローナの血液組織バンク(www.bancsang.net)の未処理血液バッグから取得した。サンプルを取得するために、すでに実施例1.2に記載した方法に従い、パーコール密度勾配で遠心分離を行った。このサンプルは、プラスモディパー(Plasmodipur)フィルタ(ユーロジアグノスティカ)により、予め白血球を除去したものであった。
【0053】
この方法と並行して、ヒト網状赤血球を、また、精製システムMidi−MACS(ミディ−マックス)(ミルテニイバイオテック;Miltenyi Biotec)を用い、製造業者の指示書に従い、抗−CD71(網状赤血球の主表面マーカ)と接合した磁気ビーズにより濃縮した。両方の方法で濃縮したヒト網状赤血球は、異なる培地(DMEM、RPMI)に24時間保持し、実施例1.2に記載した方法に従って、超遠心分離により、ヒト網状赤血球由来のエキソソーム(hREX)を上清から濃縮した。
【0054】
[1.4.三日熱マラリア原虫に感染したヒト網状赤血球からの精製]
成熟形の三日熱マラリア原虫に感染した網状赤血球は、文献(リボウトら、Ribaut et al.(非特許文献4))に記載された方法に従い、磁気カラムシステムMidi−MACS(ミディ−マックス)(ミルテニイバイオテック;Miltenyi Biotec)を用い、捕集した。感染した網状赤血球は、不完全培地で洗浄し、異なる培地(DMEM、RPMI)に24時間保持した。
ヒト三日熱マラリア原虫感染網状赤血球由来のエキソソーム(hiREX)は、実施例1.3に記載した方法に従って、超遠心分離により、上清から濃縮した。
【0055】
<実施例2:エキソソームの免疫原性>
[2.1.マウス血液から直接精製して得られたエキソソームの免疫原性]
非感染マウス(exC)の血液、および実施例1.1にて得られた非致死株(exPyNL)と致死株(exPyL)のエキソソームを感染させたマウスの血液に由来するエキソソームでBalc/cマウスを免疫した。免疫するために、マウスは、ケタミン(100mg/Kg)とミダゾラム(5mg/Kg)の組合せを腹腔内注射して麻酔した後、PBS100μl中のエキソソーム5μgを静脈内(i.v.)投与した。20日間の間を置き2回のエキソソーム投与(i.v.)で免疫した4〜6匹のBalc/cマウス(9〜11週令)の群につき、エキソソームによる実験を2回実施した。非免疫(NI)マウスは未処理とした。2回目の20日後に、すべてのマウスを致死株の寄生虫(P.ヨエリ17XL)5×10〜10により感染させ、寄生虫血症を毎日調節した。顕著なことは、各株のエキソソームで免疫したマウスの半数が、NIマウスおよびexCマウスと比較した場合、寄生虫血症曲線において差異を示し、その生存期間がより長いことであった(図3)。さらに、感染動物のエキソソームで免疫したマウスは、網状赤血球血症の増加を示すのみならず、網状赤血球への正赤血球致死株の細胞向性の変化をも示した(表1)。
【0056】
【表1】

【0057】
[2.2.インビトロ培養網状赤血球の精製により得られたエキソソームの免疫原性]
非感染網状赤血球(exC)および実施例1.2で得られた非致死性P.ヨエリ17X株(exPyNL)に感染した網状赤血球の培養物から得られたエキソソームでBalb/cマウスを免疫した。免疫のために、マウスに10μgのエキソソームと10μgのCpG ODN−1826を皮下(s.c.)注射した。20日後に、マウスを5μgのエキソソームで免疫した。2回目の免疫の20日後、すべてのマウスを5×10のP.ヨエリ17XLで免疫し、寄生虫血症を毎日追跡した。2回の実験は免疫した6匹のメスBALB/cマウス(9〜11週令)の群により遂行した。非免疫マウス(NI)は未処理とした。注目すべきことに、P.ヨエリ17Xで感染した網状赤血球からのエキソソームで免疫した5/6匹のマウスは、致死性寄生虫、P.ヨエリ17XLでの感染に耐えた(図4)。
【0058】
<実施例3:体液性および細胞性応答>
[3.1.マウスの血液から直接精製したエキソソームにより引き出される体液性IgG免疫応答および細胞性免疫応答]
実施例1.1にて精製したエキソソームの免疫原能力を証明した後、防御応答が体液性および/または細胞性免疫応答と関連したものであるかどうかを評価するために、実験を開始した。
【0059】
特異的抗体の産生を検討するために、2度目の免疫の20日前に、血清を採取し、−20℃に保存した。NI、exC、exPyNLおよびexPyL群の動物の血清混合物を用いて、エキソソームでの免疫により誘導された循環抗−P.ヨエリ抗体について分析した。感染した赤血球を1.5M−NHCl、0.1M−KHCOおよび0.001M−EDTAで溶解させ、次いで数回の凍結融解サイクルを繰り返すことにより得た総P.ヨエリ抗体溶解液を用いてウエスタンブロットを実施した。非致死性感染により生じたエキソソームで免疫したマウスは、両株のP.ヨエリ抗原に対して特異的IgG抗体を産生した(図5)。非免疫動物の血清中には、予測通りに、P.ヨエリに対する抗体が検出されなかった。
【0060】
細胞性免疫応答を評価するための個々の細胞のサイトカイン産生は、細胞内染色により実施した。2度目の免疫の20日後に、免疫した動物の脾臓細胞(脾細胞)を96穴プレート上に、3組となるように播種した(5×10細胞/ウエル)。脾細胞は、温度不活化した10%ウシ胎仔血清(FCS)、HEPES(10mM)、L−グルタミン(2mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、2β−メルカプトエタノール(50μM)、およびペニシリン−ストレプトマイシン(0.1mM)を補足したDMEM培地中、10μg/mlのP.ヨエリ抗原もしくは5μgの凍結エキソソーム調製品の存在下または不存在下に培養した。増殖を分析するために、培養に先立ち、ヴィブラント(vybrant)CFDASE細胞トレーサーキット(インビトロゲン、Invitrogen)を用い、5−6−カルボキシフルオレセイン二酢酸スクシンイミジルエステル(CFSE)により細胞を染色した。37℃で72時間プレートをインキュベートし、最後の4時間には、ホルボールミリステートアセテート(50ng/ml)、イオノマイシン(500ng/ml)およびブレフェルジンA(10μg/ml)とインキュベートした。細胞を採取し、洗浄し、異なる表面マーカを検出するために、異なる発蛍光基に接合した抗体を用いて、20分間染色した。PBS/BSAで2回洗浄した後、細胞をサイトフィックス/サイトパーム(BDバイオサイエンス)により室温で20分間固定化し、次いで、洗浄し、それらを透過するパーム/ワッシュ溶液に再懸濁した。透過処理後、細胞を異なるサイトカインに対する特異的結合抗体により30分間染色した。サンプルはFACSカリブール中で分析した。72時間の培養の後、ウエル中の細胞の色と量の可視化実験は、エキソソームの存在およびP.ヨエリ抗原の存在下においてのみ、exPyNL網状赤血球においてより高い防御応答を示すことを明らかにした。IFN−γを産生するCD8T脾細胞の数は、exPyNLで免疫した動物において増大し、またエキソソームと総P.ヨエリ抗原で再刺激した後に増大した(図6A)。IFN−γ単独、またはIL−2との組み合わせでIFN−γを産生するCD4増殖T細胞(CSFE低)は、P.ヨエリ抗原とエキソソームでの再刺激後の同じ動物群において、より高次数で検出される(図6B、6C)。
【0061】
[3.2.インビトロで培養した網状赤血球から精製したエキソソームにより引き出される体液性IgG免疫応答]
本実施例は、実施例1.2にて精製したエキソソームが、成熟段階のP.ヨエリ−感染赤血球細胞(pRBC)を認識する寄生虫特異的体液性IgG免疫応答を引き出し得ることを示す。
【0062】
エキソソームにより引き出された体液性IgG免疫応答は、免疫化の20日後に採取し、寄生虫につき試験した免疫マウスからの血清を用いて、免疫蛍光法により検討した。免疫蛍光アッセイは、17XL感染血液塗抹を冷メタノールで固定化し、空気乾燥して、その後に室温で30分間、5%BSA/PBSでブロックしたものにつき実施した。スライドは、0.5%BSA/PBS中に1/10に希釈したマウス血清と4℃で一夜、室温で1時間インキュベートした。反応性のIgGは、アレキサフローア(Alexa Fluor)488(インビトロゲン)に結合させ、1/200に希釈した抗マウスIgG抗体を用いて、室温で1時間検出した。洗浄後、核を室温で7分間、DAPI(インビトロゲン;5mg/mL)で染色した。pRBCを認識する血清は、倒立63×オイル対物レンズを装着したライカTCS−SL顕微鏡を使用し、明視野およびグリーン蛍光に対して画像化した。非免疫マウスからの血清および非感染動物からのエキソソームで免疫したマウスからの血清を陰性対照として使用した。図7に示すように、exPyでの免疫化は感染した赤血球細胞を認識し得るIgG抗体を惹起した。
【0063】
<実施例4:抗原のプロテオミクス分析>
Balb/c−P.ヨエリのマウスモデルを用いて、マラリアの実験的感染におけるエキソソームの免疫原性に関するデータを生成することに加えて、P.ヨエリを感染させたマウスから得られたエキソソームまたはP.ヴィヴァックスを有する患者から得られたエキソソームが寄生虫の抗原を含むということを示すデータも生成された。最後に、未感染のマウス、P.ヨエリの致死性および非致死性株を感染させたマウス、健常人ボランティア、および三日熱マラリアの患者の精製したエキソソーム5マイクログラム分割量につき、質量分析法により分析した。
【0064】
[4.1.液体クロマトグラフィに結合した質量分析法による分析]
エキソソーム調製物は、8M尿素中の0.4M−NHHCOに再懸濁した。サンプルを5mM−DTTにより、50℃で15分間還元し、10mM−ヨードアセトアミドにより室温で30分間アルキル化し、次いで、尿素濃度が1MとなるまでHPLC等級の水で希釈した。配列決定純度1/50(酵素/タンパク質比)を有するトリプシンで16時間消化した後、1%ギ酸(FA)を加えて反応を終結させた(非特許文献5)。サンプルはPOROS R2ジップチップで脱塩し(非特許文献6)、真空ポンプで乾燥した。次いで、サンプルを0.1%FA(2D LC−MSシステム(LC−エクシジェント1D−プラス、ETDを有するMS−サーモフィッシャーLTQ XL、ESI源−トリヴァーサ(Tiversa)、アディヴィオン(Adivion))に確保)に再懸濁した。サンプルは、それぞれに強カチオン交換(SCX)カラム(5μL、オプチマイズドテクノロジー(Optimized Technologies))に容れ、NaCl濃度を増加させながら(5%アセトニトリル/0.5%FA中0〜500mM−NaCl)、インジェクトすることにより自動的に溶出した。溶出したペプチドを自家製のC18カラム(1cm、75μm、フェノメネックスルナ(Phenomenex Luna)C18、5μm)にトラップし、洗浄した。分離はC18キャピラリーカラム(20cm、75μm、フェノメネックスルナC18、5μm)により、ACNと0.1%FAの直線勾配にて達成した。スペクトルはデータ依存収集モードにて収集した(図8)。
【0065】
[4.2.生命情報科学分析]
MS/MSスペクトル(図5)はDTAフォーマットに変換し、シーケスト(Sequest)(バイオワークス3.3.1にて利用可能;サーモフィッシャーサイエンティフィック)を用いて、データベース検索に送った。P.ヴィヴァックスおよびP.ヨエリについて使用したデータベースは、プラスモ(Plasmo)DB(http://plasmodb.org)にて極最近公開されたものであり、またヒトケラチン、ブタトリプシン、培地タンパク質などの配列を汚染物として含むものが検索された(http://www.ebi.ac.uk/IPI/IPIhelp.html またはhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db= Protein&itool=toolbar)。配列はすべて逆バージョンの鎖状体に転換し、偽陽性の推定を可能とする(非特許文献7)。得られたデータは、フィルタに通して偽陽性の誤りを約1〜2%とした。
【0066】
顕著なことは、感染マウスから、または三日熱マラリア患者から得られたエキソソームが、プラスモジウムタンパク質の存在を明らかにしたことである(表2)。個々のスペクトルのデータは、これらのペプチドがプラスモジウムタンパク質に対応することを100%正しいと証明した。
【0067】
これらの結果はすべて、該エキソソームが三日熱マラリア原虫を原因とするヒトのマラリアを含め、マラリアの原因となる寄生虫のタンパク質を含むこと、またそれらがマウスモデルにおいて抗原を提示し、免疫応答と防御応答を生成し得ることを明白に証明している。
【0068】
【表2】

【0069】
【表3】

【0070】
<実施例5:プラスモジウム・ヨエリに感染した網状赤血球由来のエキソソーム中に同定されるVirタンパク質、Yirタンパク質のオルソログの分析>
実施例4にて同定したプラスモジウム・ヨエリ中のタンパク質の一つは、タンパク質Yirである。Yirは三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)のVirタンパク質に対するオルソログである(非特許文献8)。本実施例は、Virタンパク質が自然感染において免疫原性であり、マウスの免疫に対し抗原性であって、患者の三日熱マラリア感染網状赤血球を認識する特異的IgG免疫応答を引き出し得ることを支持するデータを提供する。このデータもまたプラスモジウム種に感染した網状赤血球由来のエキソソームが、プラスモジウム種の発見にとって相当に有用であることを支持する。
【0071】
[5.1.Virペプチド配列とバイオプレックスアッセイ]
三日熱マラリア原虫の完全なゲノム配列を記載する刊行物において、本発明者らが以前に使用し、報告したMEMEモデルによると、Virタンパク質は原型保存モチーフ機構を有する。モチーフ1および4ないし10は、球状ドメインであると予測され、モチーフ2はTMドメインに特有な疎水性アミノ酸をコードし、そしてモチーフ3はペクセル(Pexel)様配列を含む(図9A)。これらの保存モチーフに基づき、2種の長鎖ペプチド、すなわち、Lp1(配列番号1)およびLp2(配列番号2)を設計した。Lp1は中心コア保存モチーフを含み、Lp2はC−末端保存モチーフを含む。これらのモチーフは非免疫原性リンカー配列を側面に配置しており、モチーフの保存順は、合成長鎖ペプチドに維持されている(図9B)。
【0072】
Lp1およびLp2の配列は以下に示すとおりである。
Lp1−(配列番号1)
VKELCKKLVRNLKKISCIYLNYWLYDQIKERKDLHDYFKNYDTIKCCEKYCTYVTYIKSLYEYDPKDLLSKLDC
Lp2−(配列番号2)
IADSPGTLGTVHEELDSNFFRNIIMVVGVMMTFFFLYKFTPVGAFFRGGRGRVHRIPRSFHGQFPGKRKGKIFEHNYYEEYEKELAMYGSEFLDSQMDRYYLNYQPDQDSYY
【0073】
これらのペプチドについては、バイオプレックスアッセイに使用して、異なる風土病領域の三日病熱マラリア患者からの血清により、それらの免疫原性をチェックしてきた。バイオプレックスカルボキシル化ビーズ(バイオ−ラッド)を製造業者の指示書(バイオプレックスアミンカップリングキット)に従い、2本の長鎖ペプチドで共有結合により被覆した。カップル結合したビーズは、フェルナンデス−ベッセラ(Fernandez-Becerra)らの文献(2010)(非特許文献9)の記載どおりに分析した。簡単に説明すると、5,000個の被覆ビーズに相当する分割量、50μlをそれぞれのアッセイに使用した。血漿サンプルをアッセイバッファに1:50に希釈し、その分割量50μlをビーズに加えた(最終血漿希釈、1:100)。1:7500に希釈したビオチニル化ヒトIgG抗体(シグマ)の分割量50μlおよび2μg/mlに希釈したフィコエリスリン接合ストレプトアビジンの分割量50μlを引き続くインキュベーションに使用した。ビーズを125μlのアッセイバッファ(バイオラッド)に再懸濁して、バイオプレックス100システムで分析し、結果を中央蛍光強度(MFI)として表した。
【0074】
本実施例からの結果は、一部の血清がこれらの長鎖ペプチドを特異的に認識したことから、Virタンパク質が、自然感染において免疫原性であることを証明している(図10)。
【0075】
[5.2.Virタンパク質は抗原性であり、自然感染からの三日熱マラリア感染網状赤血球に対して反応する抗体を惹起し得る]
Vir抗原性のより広範な分析を実施するために、これら2種のペプチドに対する2種の抗血清を生成させ、免疫蛍光法により天然の分離株中のVirタンパク質を認識するようにした。モルモットをこれらの長鎖ペプチドで免疫し、抗−Lp1および抗−Lp2抗血清を取得した。三日熱マラリア原虫の野生株におけるVirタンパク質の異なる細胞レベル下の場所を確認するために、抗−Lp1および抗−Lp2によるIFAアッセイを実施した。
【0076】
抗−Lp1および抗−Lp2抗血清は、モルモットを配列番号1および配列番号2のペプチドで免疫することにより生成させた。分割量の三日熱マラリア感染赤血球細胞を不完全RPMIで1回洗浄し、先に記載されているように固定化した(非特許文献10)。固定化した細胞をPBS中の0.1%トリトンX−100で透過性を上げ、3%PBS−BSA中で1時間ブロックした。スライドはモルモットの抗−Lp1または抗−Lp2抗体と一夜インキュベートした。反応はアレキサフローア(Alexa Fluor)488(モレキュラープローブ)に結合させた抗−モルモットIgGを用いて進行させた。核はDAPI(PBS中に希釈した5μl/ml)で10分間染色した。共焦点顕微鏡法は、レーザ走査共焦点顕微鏡(TCS−SP5、ライカマイクロシステム)により実施し、画像はイメージJイメージブラウザーソフトウエアを用いて加工処理した。
【0077】
三日熱マラリア感染患者(感染はPCRにより確認)のIFAアッセイは、三日熱マラリア原虫の環状期に感染した網状赤血球の表面で蛍光の外輪を示した(図11Aおよび11B、上段列)。成熟期において、異なる染色パターンは、PVMにおける網状赤血球表面(図11A、中段列)、および感染した網状赤血球の表面(図11A、下段列)に、また寄生虫体内部と感染網状赤血球細胞質ゾル(図11B、下段列)において類似していることが判明した。
【0078】
まとめると、このデータが示すことは、Virペプチドが抗原性であって、ワクチン開発のための抗原としてのそれらの価値を強化する天然の三日熱マラリア原虫株に対して反応する抗体を惹起し得るということである。
【0079】
<実施例6:人工エキソソームの調製>
ペプチドLp1およびLp2を含む人工エキソソームは、以下のリポソーム組成、すなわち、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(DOPC)、コレステロール(CHOL)、および4−(p−マレイミドフェニル)ブチリルホスファチジルエタノールアミン(MBP−PE)(モル比79:20:1)を用い、1μgのVirペプチドLp1およびLpを加えて調製した。
【0080】
脂質を有機溶媒(クロロホルム:メタノール、2:1)に溶解し、混合して、均一な脂質混合物とした。脂質を一旦有機溶媒に混合した後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を除去し、丸底フラスコの側壁に脂質薄膜を形成した。残余の微量有機溶媒をN流下30分間乾燥することにより除去した。クロロホルムの完全除去を確実なものとするために、薄膜をデシケータ中に一夜放置した。乾燥した脂質は、PBS中、37℃で水和した。
【0081】
多重膜リポソームは、ボルテックスミキサ上、3回の定常4分間の振盪と、引き続く浴中4分間の音波処理により形成した。多重膜リポソームは、押出装置(リポスファスト、アベスチン((LiposoFast、Avestin)、オタワ、カナダ)の100nmポリカーボネート膜を通して押出すことによりサイズ縮小し、単層もしくはオリゴ層の小胞を形成させた。リポソームサイズは、ゼータサイザーナノ(Zetasizer Nano)ZS90(マルバーン(Malvern)株、マルバーン、英国)を用いて動的光散乱により決定した。
【0082】
人工エキソソーム中のLp1およびLp2の存在は、金微粒子で免疫標識することによりチェックした。免疫標識は、LP1およびLp2Virペプチドに対する抗体と、引き続くプロテインA−金とのインキュベーションにより実施した。図12は人工エキソソーム中のペプチドの存在を明瞭に示している。
【0083】
このデータは、マラリア抗原を含むエキソソームが合成によっても入手し得ることを証明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のプラスモジウム種抗原をその内部またはその表面に含んでなる網状赤血球から単離されることを特徴とするエキソソーム。
【請求項2】
前記エキソソーム中に存在する抗原または抗原類が、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヨエリ(Plasmodium yoelli)、P.アチオテンセ(P. achiotense)、P.アクロマチクム(P. achromaticum)、P.エジプテンシス(P. aegyptensis)、P.エウミナタム(P. aeuminatum)、P.アガメ(P. agamae)、P.アナサム(P. anasum)、P.アテルリ(P. atheruri)、P.アズロフィラム(P. azurophilum)、P.バリ(P. balli)、P.バブシコライ(P. bambusicolai)、P.バシリシ(P. basilisci)、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、P.ビゲチ(P. bigueti)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム、P. brasilianum)、P.ブリグーイ(P. brygooi)、P.ブーリアチ(P. booliati)、P.ブバリス(P. bubalis)、P.ブッキ(P. bucki)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.カテメリウム(P. cathemerium)、P.セファロフィ(P. cephalophi)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、P.チリカフエ(P. chiricahuae)、P.シルクラリス(P. circularis)、P.クネミドフォリ(P. cnemidophori)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.コゲシャリ(P. coggeshalli)、P.コロンビエンセ(P. colombiense)、P.コラデッチ(P. corradettii)、P.コターニックス(P. coturnix)、P.クーランゲシ(P. coulangesi)、P.ククルス(P. cuculus)、P.ポポ(P. popo)、P.シクロプシ(P. cyclopsi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ;P. cynomolgi)、P.ジミヌチバム(P. diminutivum)、P.ジプログロッシ(P. diploglossi)、P.ジサナイケイ(P. dissanaikei)、P.ドミニカナ(P. dominicana)、シチメンチョウマラリア原虫(P.デュレ、P. durae)、P.エゲルニエ(P. egerniae)、P.エロンガタム(P. elongatum)、P.エイレシ(P. eylesi)、P.ファベシア(P. fabesia)、P.フェアチルジ(P. fairchildi)、P.ファラックス(P. fallax)、P.フィールジ(P. fieldi)、P.フォレイ(P. foleyi)、P.フォレステリ(P. forresteri)、P.フロリデンセ(P. floridense)、P.フラジル(P. fragile)、P.ガーンハミ(P. garnhami)、ニワトリマラリア原虫(P.ガリナセウム、P. gallinaceum)、P.ギガンテウム(P. giganteum)、P.ジョバンノライ(P. giovannolai)、P.ギラルジ(P. girardi)、P.ゴナトジ(P. gonatodi)、P.ゴンデリ(P. gonderi)、P.ゲオルゲシ(P. georgesi)、P.グラシリス(P. gracilis)、P.グリフィスシ(P. griffithsi)、P.グアンゴング(P. guanggong)、P.グンデルシ(P. gundersi)、P.グヤンネンセ(P. guyannense)、P.ヘイッシ(P. heischi)、P.ヘグネリ(P. hegneri)、P.ヘルマニ(P. hermani)、P.ヘテロヌクレアレ(P. heteronucleare)、P.ヘキサメリウム(P. hexamerium)、P.ホラスピ(P. holaspi)、P.フッフィ(P. huffi)、P.ヒロバチ(P. hylobati)、P.イシペーンシス(P. icipeensis)、P.イノピナタム(P. inopinatum)、サルマラリア原虫(P.イヌイ;P. inui)、P.ジェフェリ(P. jefferi)、P.ジョセフィーネ(P. josephinae)、P.ジャクスタヌクレアレ(P. juxtanucleare)、P.ケンピ(P. kempi)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ;P. knowlesi)、P.ケントロピクシ(P. kentropyxi)、P.リーヌクテウス(P. leanucteus)、P.レムリス(P. lemuris)、ニワトリマラリア原虫(P.ロフレ;P. lophurae)、P.レピドプチフォルミス(P. lepidoptiformis)、P.リゴソメ(P. lygosomae)、P.マブイエ(P. mabuiae)、P.マッケラセ(P. mackerrasae)、P.マクリラブレ(P. maculilabre)、P.メイオール(P. maior)、P.マルギナタム(P. marginatum)、P.マチュチナム(P. matutinum)、P.メキシカヌム(P. mexicanum)、P.ミナセンセ(P. minasense)、P.モルラム(P. morulum)、P.ヌクレオフィリアム(P. nucleophilium)、P.オクタメリウム(P. octamerium)、P.オドコイレイ(P. odocoilei)、P.パペルナイ(P. papernai)、P.パラヌクレオフィラム(P. paranucleophilum)、P.パルブラム(P. parvulum)、P.ペディオエセチイ(P. pedioecetii)、P.ペレジ(P. pelaezi)、P.ペルシガルンハミ(P. percygarnhami)、P.ペテルシ(P. petersi)、P.ピファノイ(P. pifanoi)、P.ピノッティ(P. pinotti)、P.ピノッリ(P. pinorrii)、サルマラリア原虫(P.ピテシ;P. pitheci)、P.ピツマニ(P. pitmani)、P.ポラレ(P. polare)、トリマラリア原虫(P.プレコックス、P. praecox)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)、トリマラリア原虫(P.レリクタム、P. relictum)、P.ラジヌラム(P. rhadinurum)、P.ロダイニ(P. rhodaini)、P.ロビンソニ(P. robinsoni)、P.ルクシ(P. rouxi)、P.サンドシャミ(P. sandoshami)、P.ササイ(P. sasai)、オラウータンマラリア原虫(P.シュバイツイ;P. schweitzi)、P.シルバチカム(P. silvaticum)、P.シミウム(P. simium)、P.セミオバレ(P. semiovale)、P.ショルティ(P. shortii)、P.スミルノビ(P. smirnovi)、P.サブプレコックス(P. subpraecox)、矮小マラリア原虫(P.テヌエ、P. tenue)、P.テジェライ(P. tejerai)、P.トモドニ(P. tomodoni)、P.トレアルバイ(P. torrealbai)、P.トラグリ(P. traguli)、P.トリボロノッチ(P. tribolonoti)、P.トロピズリ(P. tropiduri)、P.ユイレンベルギ(P. uilenbergi)、P.ワテニ(P. watteni)、P.ウェニオニ(P. wenyoni)、P.バキュオラタム(P. vacuolatum)、P.バスタトール(P. vastator)、P.ボウガニ(P. vaughani)、P.ビンケイ(P. vinckei)、P.ボランス(P. volans)、P.ヤンギ(P. youngi)に属することを特徴とする請求項1記載のエキソソーム。
【請求項3】
前記エキソソーム中に存在する前記抗原または抗原類が、三日熱マラリア原虫(プラスモジウム・ヴィヴァックス)、熱帯熱マラリア原虫(プラスモジウム・ファルシパルム)、四日熱マラリア原虫(プラスモジウム・マラリアエ)、卵形マラリア原虫(プラスモジウム・オバレ)、プラスモジウム・ヨエリ、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム、P. brasilianum)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ、P. cynomolgi)、P.フラジル(P. fragile)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ;P. knowlesi)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)に属することを特徴とする請求項2記載のエキソソーム。
【請求項4】
前記エキソソームが、サル、マウスおよび/またはヒトの網状赤血球から単離されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエキソソーム。
【請求項5】
マラリアに対しての防御および予防に使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエキソソーム。
【請求項6】
請求項1によるエキソソームを取得する方法であって、
a)プラスモジウム種に感染した血液サンプルを取得するステップと、
b)選択肢として、a)の血液サンプルから網状赤血球を単離し、培養するステップと、
c)a)またはb)からの血液サンプルの逐次超遠心分離により、網状赤血球由来のエキソソーム画分を取得するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記血液サンプルが、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、プラスモジウム・ヨエリ(Plasmodium yoelli)、P.アチオテンセ(P. achiotense)、P.アクロマチクム(P. achromaticum)、P.エジプテンシス(P. aegyptensis)、P.エウミナタム(P. aeuminatum)、P.アガメ(P. agamae)、P.アナサム(P. anasum)、P.アテルリ(P. atheruri)、P.アズロフィラム(P. azurophilum)、P.バリ(P. balli)、P.バブシコライ(P. bambusicolai)、P.バシリシ(P. basilisci)、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、P.ビゲチ(P. bigueti)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム、P. brasilianum)、P.ブリグーイ(P. brygooi)、P.ブーリアチ(P. booliati)、P.ブバリス(P. bubalis)、P.ブッキ(P. bucki)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.カテメリウム(P. cathemerium)、P.セファロフィ(P. cephalophi)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、P.チリカフエ(P. chiricahuae)、P.シルクラリス(P. circularis)、P.クネミドフォリ(P. cnemidophori)、P.コートネイ(P. coatneyi)、P.コゲシャリ(P. coggeshalli)、P.コロンビエンセ(P. colombiense)、P.コラデッチ(P. corradettii)、P.コターニックス(P. coturnix)、P.クーランゲシ(P. coulangesi)、P.ククルス(P. cuculus)、P.ポポ(P. popo)、P.シクロプシ(P. cyclopsi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ、P. cynomolgi)、P.ジミヌチバム(P. diminutivum)、P.ジプログロッシ(P. diploglossi)、P.ジサナイケイ(P. dissanaikei)、P.ドミニカナ(P. dominicana)、シチメンチョウマラリア原虫(P.デュレ;P. durae)、P.エゲルニエ(P. egerniae)、P.エロンガタム(P. elongatum)、P.エイレシ(P. eylesi)、P.ファベシア(P. fabesia)、P.フェアチルジ(P. fairchildi)、P.ファラックス(P. fallax)、P.フィールジ(P. fieldi)、P.フォレイ(P. foleyi)、P.フォレステリ(P. forresteri)、P.フロリデンセ(P. floridense)、P.フラジル(P. fragile)、P.ガーンハミ(P. garnhami)、ニワトリマラリア原虫(P.ガリナセウム、P. gallinaceum)、P.ギガンテウム(P. giganteum)、P.ジョバンノライ(P. giovannolai)、P.ギラルジ(P. girardi)、P.ゴナトジ(P. gonatodi)、P.ゴンデリ(P. gonderi)、P.ゲオルゲシ(P. georgesi)、P.グラシリス(P. gracilis)、P.グリフィスシ(P. griffithsi)、P.グアンゴング(P. guanggong)、P.グンデルシ(P. gundersi)、P.グヤンネンセ(P. guyannense)、P.ヘイッシ(P. heischi)、P.ヘグネリ(P. hegneri)、P.ヘルマニ(P. hermani)、P.ヘテロヌクレアレ(P. heteronucleare)、P.ヘキサメリウム(P. hexamerium)、P.ホラスピ(P. holaspi)、P.フッフィ(P. huffi)、P.ヒロバチ(P. hylobati)、P.イシペーンシス(P. icipeensis)、P.イノピナタム(P. inopinatum)、サルマラリア原虫(P.イヌイ、P. inui)、P.ジェフェリ(P. jefferi)、P.ジョセフィーネ(P. josephinae)、P.ジャクスタヌクレアレ(P. juxtanucleare)、P.ケンピ(P. kempi)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ、P. knowlesi)、P.ケントロピクシ(P. kentropyxi)、P.リーヌクテウス(P. leanucteus)、P.レムリス(P. lemuris)、ニワトリマラリア原虫(P.ロフレ、P. lophurae)、P.レピドプチフォルミス(P. lepidoptiformis)、P.リゴソメ(P. lygosomae)、P.マブイエ(P. mabuiae)、P.マッケラセ(P. mackerrasae)、P.マクリラブレ(P. maculilabre)、P.メイオール(P. maior)、P.マルギナタム(P. marginatum)、P.マチュチナム(P. matutinum)、P.メキシカヌム(P. mexicanum)、P.ミナセンセ(P. minasense)、P.モルラム(P. morulum)、P.ヌクレオフィリアム(P. nucleophilium)、P.オクタメリウム(P. octamerium)、P.オドコイレイ(P. odocoilei)、P.パペルナイ(P. papernai)、P.パラヌクレオフィラム(P. paranucleophilum)、P.パルブラム(P. parvulum)、P.ペディオエセチイ(P. pedioecetii)、P.ペレジ(P. pelaezi)、P.ペルシガルンハミ(P. percygarnhami)、P.ペテルシ(P. petersi)、P.ピファノイ(P. pifanoi)、P.ピノッティ(P. pinotti)、P.ピノッリ(P. pinorrii)、サルマラリア原虫(P.ピテシ、P. pitheci)、P.ピツマニ(P. pitmani)、P.ポラレ(P. polare)、トリマラリア原虫(P.プレコックス、P. praecox)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)、トリマラリア原虫(P.レリクタム、P. relictum)、P.ラジヌラム(P. rhadinurum)、P.ロダイニ(P. rhodaini)、P.ロビンソニ(P. robinsoni)、P.ルクシ(P. rouxi)、P.サンドシャミ(P. sandoshami)、P.ササイ(P. sasai)、オラウータンマラリア原虫(P.シュバイツイ、P. schweitzi)、P.シルバチカム(P. silvaticum)、P.シミウム(P. simium)、P.セミオバレ(P. semiovale)、P.ショルティ(P. shortii)、P.スミルノビ(P. smirnovi)、P.サブプレコックス(P. subpraecox)、矮小マラリア原虫(P.テヌエ、P. tenue)、P.テジェライ(P. tejerai)、P.トモドニ(P. tomodoni)、P.トレアルバイ(P. torrealbai)、P.トラグリ(P. traguli)、P.トリボロノッチ(P. tribolonoti)、P.トロピズリ(P. tropiduri)、P.ユイレンベルギ(P. uilenbergi)、P.ワテニ(P. watteni)、P.ウェニオニ(P. wenyoni)、P.バキュオラタム(P. vacuolatum)、P.バスタトール(P. vastator)、P.ボウガニ(P. vaughani)、P.ビンケイ(P. vinckei)、P.ボランス(P. volans)、P.ヤンギ(P. youngi)に感染したものであり得ることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記血液サンプルが、三日熱マラリア原虫(プラスモジウム・ヴィヴァックス)、熱帯熱マラリア原虫(プラスモジウム・ファルシパルム)、四日熱マラリア原虫(プラスモジウム・マラリアエ)、卵形マラリア原虫(プラスモジウム・オバレ)、プラスモジウム・ヨエリ、齧歯類マラリア原虫(P.ベルゲイ、P. berghei)、ブラジルマラリア原虫(P.ブラシリアヌム、P. brasilianum)、P.チャボウディ(P. chabaudi)、サルマラリア原虫(P.シノモルギ、P. cynomolgi)、P.フラジル(P. fragile)、サルマラリア原虫(P.ノウレシ、P. knowlesi)、P.レイチェノウイ(P. reichenowi)に感染したものであり得ることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
選択肢としての工程b)における前記網状赤血球の単離を、
i)700〜1000×gで15〜25分間遠心分離すること、
ii)パーコール勾配で、200〜300gで25〜35分間遠心分離すること、
により実施することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項10】
選択肢としての工程b)における前記網状赤血球の単離を、磁気ビーズシステムにより実施することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項11】
工程c)の前記逐次超遠心分離が、
i)400〜700×gで15〜25分間、遠心分離するステップと、
ii)900〜1000×gで15〜25分間、遠心分離するステップと、
iii)10,000〜14,000×gで20〜40分間、遠心分離するステップと、
iv)90,000〜110,000×gで1〜3時間、遠心分離するステップと、
を含むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項12】
プラスモジウム種抗原の発見と同定のための請求項1〜5のいずれか1項に記載のエキソソームの使用。
【請求項13】
配列番号1を有するか、または配列番号1と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチド。
【請求項14】
配列番号2を有するか、または配列番号1と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチド。
【請求項15】
少なくとも1種のプラスモジウム種の抗原をその内部またはその表面に含むことを特徴とする人工エキソソーム。
【請求項16】
前記プラスモジウム種の抗原が、配列番号1を有するか、もしくは配列番号1と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチド、および/または配列番号2を有するか、もしくは配列番号1と少なくとも85%の相同性を有するVir由来のペプチドを含むことを特徴とする請求項15記載の人工エキソソーム。
【請求項17】
請求項1〜5および/または15〜16のいずれか1項に記載のエキソソームおよび/または請求項13〜14のいずれか1項に記載のペプチド、および少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜5および/または15〜16のいずれか1項に記載のエキソソームおよび/または請求項13〜14のいずれか1項に記載のペプチドを含むことを特徴とするマラリアに対するワクチン。

【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−515495(P2013−515495A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546436(P2012−546436)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070800
【国際公開番号】WO2011/080271
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(512169866)セントレ デ レセルカ エン サルト インテルナシオナル デ バルセロナ (1)
【出願人】(512171032)
【出願人】(512169888)
【出願人】(511027264)
【氏名又は名称原語表記】HOSPITAL CLINIC I PROVINCIAL DE BARCELONA
【住所又は居所原語表記】C/Villarroel,170,E−08036 Barcelona,Spain
【Fターム(参考)】