説明

プラズマディスプレイ装置及びその駆動方法

【課題】本発明はリセット期間でサステイン電極にサステイン電圧と同一の大きさのネガティブパルスを印加する時にも面放電モードを利用し得るようにして、別の負の電圧源を備える必要がないように、サステイン電圧と同一の大きさのネガティブパルスを印加して大きさと費用を減らし得るプラズマディスプレイ装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】本発明によるプラズマディスプレイ装置は、スキャン電極及びサステイン電極と、リセット期間のセットアップ期間の間、前記スキャン電極にはランプアップ波形を有するスキャンパルスを印加し、前記サステイン電極にはサステイン放電のためのサステインパルスと同一の大きさを有する負極性パルスを印加するパルス制御部と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラズマディスプレイ装置及びその駆動方法に関するもので、より詳しくは、ネガティブサステインパルスを使うプラズマディスプレイパネルの駆動時、リセット期間のセットアップ期間中にサステイン電極にネガティブパルスを印加して面放電モードを利用するように構成されたプラズマディスプレイ装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:以下、PDPと称す)は各電極に放電セルを初期化させるためのリセットパルスと、放電されるセルを選択するためのアドレスパルス、放電セルの放電を維持させるためのサステインパルスを各サブフィールドの階調値によって所定回数印加し、これによって発生するガス放電によって蛍光体を発光させる。このようなPDPは、前述したようなリセット、アドレッシング、及びサステインを、フレームを構成する各サブフィールド毎に繰り返すようになるが、PDP駆動特性を向上させるためには、各サブフィールドが始まる前に各電極側に残存する壁電荷を除去するための消去パルスを印加することが必要である。
【0003】
図1は一般的なプラズマディスプレイパネルの構造を示す図である。
図1に示すように、プラズマディスプレイパネルは画像がディスプレイされる表示面である前面ガラス101にスキャン電極102とサステイン電極103とが対を成して形成された複数の維持電極対が配列された前面パネル100と、背面を成す後面ガラス111上に前述した複数の維持電極対と交差するように複数のアドレス電極113が配列された後面パネル110が一定距離を介して並行に結合される。
【0004】
前面パネル100は、一つの放電セルで相互放電させてセルの発光を維持するためのスキャン電極102及びサステイン電極103、すなわち透明なITO物質で形成された透明電極(a)と金属材質で製作されたバス電極(b)が備えられたスキャン電極102及びサステイン電極103とが対を成して含まれる。スキャン電極102及びサステイン電極103は、放電電流を制限して電極対の間を絶縁させる一つ以上の上部誘電体層104によって覆われて、該上部誘電体層104の上面には放電条件を容易にするために酸化マグネシウム(MgO)を蒸着した保護層105が形成される。
【0005】
後面パネル110は、複数個の放電空間、すなわち、放電セルを形成させるためのストライプタイプ(またはウェルタイプ:well-type)の隔壁112が平行を維持して配列される。また、アドレス放電を遂行して真空紫外線を発生させる多数のアドレス電極113が隔壁112に対して平行に配置される。後面パネル110の上側面にはアドレス放電時に画像表示のための可視光線を放出するR、G、B蛍光体114が塗布される。アドレス電極113と蛍光体114の間にはアドレス電極113を保護するための下部誘電体層115が形成される。
【0006】
このようなプラズマディスプレイパネルで画像階調を実現する方法を次の図2を参照して説明する。
【0007】
図2は一般的なプラズマディスプレイパネルの画像階調を実現する方法を示す図である。
【0008】
図2に示すように、従来のプラズマディスプレイパネルの画像階調(Gray Level)表現方法は、1つのフレームを発光回数が異なる多くのサブフィールドに分けて、各サブフィールドは再びすべてのセルを初期化させるためのリセット期間(RPD)、放電されるセルを選択するためのアドレス期間(APD)及び放電回数によって階調を実現するサステイン期間(SPD)に分けられる。例えば、256階調で画像を表示しようとする場合、1/60秒に当たるフレーム期間16.67msは図2のように8個のサブフィールド(SF1〜SF8)に分けられて、8個のサブフィールド(SF1〜SF8)のそれぞれがリセット期間、アドレス期間及びサステイン期間に再び分けられる。
【0009】
各サブフィールドのリセット期間及びアドレス期間は各サブフィールド毎に同一である。放電されるセルを選択するためのアドレス放電はアドレス電極とスキャン電極である透明電極間の電圧差によって起こる。サステイン期間は各サブフィールドにおいて2(ただし、n=0、1、2、3、4、5、6、7)の割合で増加する。このように各サブフィールドでサステイン期間が異なるようになるため、各サブフィールドのサステイン期間、すなわち、サステイン放電回数を調節して画像の階調を表現するようになる。このようなプラズマディスプレイパネルの駆動方法による駆動波形を次の図3を参照して説明する。
【0010】
図3は従来のプラズマディスプレイパネルの駆動方法による駆動波形を示す図である。
【0011】
図3に示すように、プラズマディスプレイパネルは、すべてのセルを初期化させるためのリセット期間、放電させるセルを選択するためのアドレス期間及び選択されたセルの放電を維持させるためのサステイン期間に分けられて駆動される。
【0012】
リセット期間において、セットアップ期間(SU)の間には、すべてのスキャン電極(Y)に上昇ランプ波形(Ramp-up)が同時に印加される。該上昇ランプ波形によって全画面の各放電セル内には放電が起こる。該セットアップ放電によってアドレス電極(X)とサステイン電極(Z)上には正の壁電荷が蓄積され、スキャン電極(Y)上には負の壁電荷が蓄積されるようになる。セットダウン期間(SD)においては、上昇ランプ波形が供給された後、上昇ランプ波形のピーク電圧より低い正の電圧から落ち始めて基底電圧(GND)または負の特定電圧レベルまで落ちる下降ランプ波形(Ramp-down)が印加される。これにより各放電セル内に微弱な消去放電が発生して、過度に形成された壁電荷が一部消去され、このセットダウン放電によってアドレス放電が安定的に起こり得る程度の壁電荷が各放電セル内に均一に残留する。
【0013】
アドレス期間においては、負のスキャンパルスが各スキャン電極(Y)に順次印加されると同時に、スキャンパルスに同期して各アドレス電極(X)に正のデータパルスが印加される。該スキャンパルスとデータパルスとの電圧差とリセット期間に生成された壁電荷による壁電圧が加わりながら、データパルスが印加される放電セル内ではアドレス放電が発生する。アドレス放電によって選択された各放電セル内では、サステイン電圧が印加される時、放電が起こり得る程度の壁電荷が形成される。この時、サステイン電極(Z)にはセットダウン期間とアドレス期間の間にスキャン電極(Y)との電圧差を減らしてスキャン電極(Y)との誤放電が起こらないようにするための正の直流電圧(Vz)が供給される。
【0014】
サステイン期間においては、各スキャン電極(Y)とサステイン電極(Z)に交番的にサステインパルス(sus)が印加される。アドレス放電によって選択された放電セルは放電セル内の壁電圧とサステインパルスが加わりながらサステインパルスが印加される度にスキャン電極(Y)とサステイン電極(Z)の間にサステイン放電、すなわち、表示放電が起こるようになる。
【0015】
サステイン放電が完了した後、パルス幅と電圧レベルが小さいランプ波形(Ramp-ers)がサステイン電極(Z)に供給されて、全画面の各放電セル内に残留する壁電荷を消去させるようになる。
【0016】
一方、前述したようなプラズマディスプレイ装置は、サステイン期間中にスキャン電極(Y)側とサステイン電極(Z)側に正(+)のサステインパルス(sus)を交番的に印加することによって、相対的に電位差が低いアドレス電極(X)側に正イオンが蓄積するようになる。この時、各電子(electron)より相対的に重い正イオンが前述したアドレス電極(X)が形成された後面パネルの蛍光層(図1の114)にイオン衝突(ion bombardment)を加えるようになって、プラズマディスプレイ装置の寿命を短縮させる原因となっていた。
【0017】
従って、最近は、次の図4に示すように前述したサステインパルス(sus)を負(−)の電圧レベルを有するようにして、スキャン電極(Y)とサステイン電極(Z)が形成された後面パネルに各電子が蓄積するようにするネガティブサステイン方式の駆動が行われている。
【0018】
図4は従来のプラズマディスプレイパネルのネガティブサステイン駆動方法による駆動波形を示す図である。
【0019】
図4に示すように、サステイン期間中にスキャン電極(Y)とサステイン電極(Z)には負のネガティブサステインパルス(−sus)が互いに交番的に印加される。
【0020】
これによれば、前述したように、蛍光層114が形成された後面パネル110には、前述したネガティブサステインパルス(−sus)によって相対的に各電子が蓄積するようになる。従って、蛍光層114に加えられるイオン衝突が減少する。一方、前面パネル100には正イオンが蓄積する過程で、前面パネル100上に形成された保護層、すなわち、酸化マグネシウム(MgO)層105にイオン衝突量を増加させて、2次電子(secondary electron)発生率を向上させるようになる。
【0021】
すなわち、蛍光層114の損失を防止しながらも2次電子の発生量を増加させて、プラズマディスプレイ装置の寿命は増加させて放電開始電圧を低下し得るという長所があった。
【0022】
一方、前述したネガティブサステインパルス(−sus)は新しい電極構造であるロングギャップ(long gap)構造に適用することができる。
【0023】
従来の電極間の間隔は60〜80μm程度であったが、電極間隔を150μm以上広げることで電極の間を通る光量を高める方法が提示された。これをロングギャップ構造と言う。ロングギャップ構造によれば、蛍光体から発光された光量が多くなることで、発光効率を改善することができる。
【0024】
ロングギャップ構造を実現するための方法としては、従来の電極面積、すなわち、ITO面積を減らすことで、ロングギャップ構造を形成することが一般的である。ロングギャップ構造によれば、スキャン電極とサステイン電極間の放電時にサステイン電圧をグランド電圧に設定する場合、対向放電を引き起こすようになる。
【0025】
対向放電とはスキャン電極とデータ電極間の放電を意味する。すなわち、ロングギャップ構造において、スキャン電極とグランド電圧に設定されたサステイン電極間に電圧差が生じる場合、スキャン電極とサステイン電極間の放電に先立ってスキャン電極とデータ電極間の電圧差によって放電が行われる。結局、前述したように、ロングギャップ構造は対向放電の発生を前提として駆動が行われることが分かる。これは従来の面放電モードにおける駆動方法とは別個の駆動方法を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
従って、本発明は、リセット期間においてサステイン電極にサステイン電圧と同一の大きさのネガティブパルスを印加して面放電モードを利用するように構成されたプラズマディスプレイ装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
第1発明によるプラズマディスプレイ装置は、スキャン電極及びサステイン電極と、これらスキャン電極及びサステイン電極と交差するデータ電極と、リセット期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極に互いに反対極性のパルスが印加され、サステイン期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極には負極性サステインパルスが印加されるようにするパルス制御部と、を含み、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極またはサステイン電極と前記データ電極との離隔距離より長いことを特徴とする。
【0028】
第2発明によるプラズマディスプレイ装置は、第1発明によるプラズマディスプレイ装置において、前記リセット期間中に前記スキャン電極に印加されるパルスは上昇ランプ波形であることを特徴とする。
【0029】
第3発明によるプラズマディスプレイ装置は、第2発明によるプラズマディスプレイ装置において、前記上昇ランプ波形の電圧の大きさは、前記リセット期間中に前記サステイン電極に印加されるパルスの電圧の大きさより大きいことを特徴とする。
【0030】
第4発明によるプラズマディスプレイ装置は、第2発明によるプラズマディスプレイ装置において、前記リセット期間中に前記スキャン電極に正極性ランプ波形が印加され、前記サステイン電極に負極性パルスが印加され、前記負極性パルスの電圧の大きさは前記負極性サステインパルスの電圧の大きさと実質的に同一であることを特徴とする。
【0031】
第5発明によるプラズマディスプレイ装置は、第1発明によるプラズマディスプレイ装置において、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は100μm以上400μm以下であることを特徴とする。
【0032】
第6発明によるプラズマディスプレイ装置は、第5発明によるプラズマディスプレイ装置において、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は150μm以上350μm以下であることを特徴とする。
【0033】
第7発明によるプラズマディスプレイ装置は、第1発明によるプラズマディスプレイ装置において、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極の透明電極と前記サステイン電極の透明電極との離隔距離であることを特徴とする。
【0034】
第8発明によるプラズマディスプレイ装置は、第4発明によるプラズマディスプレイ装置において、前記負極性パルスは前記負極性サステインパルスと同一の電圧源から供給されることを特徴とする。
【0035】
第9発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、スキャン電極及びサステイン電極と前記スキャン電極及び前記サステイン電極と交差するデータ電極を含むプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、リセット期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極に互いに反対極性のパルスが印加される段階と、サステイン期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極には負極性サステインパルスが印加される段階と、を含み、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極またはサステイン電極と前記データ電極との離隔距離より長いことを特徴とする。
【0036】
第10発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、第9発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、前記リセット期間中に前記スキャン電極に印加されるパルスは上昇ランプ波形であることを特徴とする。
【0037】
第11発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、第10発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、前記上昇ランプ波形の電圧の大きさは、前記リセット期間中に前記サステイン電極に印加されるパルスの電圧の大きさより大きいことを特徴とする。
【0038】
第12発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、第10発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、前記リセット期間中に、前記スキャン電極に正極性ランプ波形が印加され、前記サステイン電極に負極性パルスが印加され、前記負極性パルスの電圧の大きさは前記負極性サステインパルスの電圧の大きさと実質的に同一であることを特徴とする。
【0039】
第13発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、第9発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は100μm以上400μm以下であることを特徴とする。
【0040】
第14発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、第13発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は150μm以上350μm以下であることを特徴とする。
【0041】
第15発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、第9発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極の透明電極と前記サステイン電極の透明電極との離隔距離であることを特徴とする。
【0042】
第16発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、第12発明によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、前記負極性パルスは前記負極性サステインパルスと同一の電圧源から供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明はリセット期間のセットアップ期間中にサステイン電極にネガティブパルスを印加する時にも面放電モードを利用できるようにして、別の負の電圧源を備える必要がないように、サステイン電圧と同一の大きさのネガティブパルスを印加して、大きさと費用を低減することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明のプラズマディスプレイ装置及びその駆動方法について詳細に説明する。
【0045】
図5は本発明によるプラズマディスプレイ装置を説明するための図面である。
【0046】
図5に示すように、本発明のプラズマディスプレイ装置は、前述したリセット期間、アドレス期間及びサステイン期間にアドレス電極(X1〜Xm)、スキャン電極(Y1〜Yn)及びサステイン電極(Z)に駆動パルスが印加されて、少なくとも一つ以上のサブフィールドの組合せによって構成されるフレームから成る画像を表現するプラズマディスプレイパネル200と、該プラズマディスプレイパネル200に形成された各アドレス電極(X1〜Xm)にデータを供給するためのデータ駆動部202と、各スキャン電極(Y1〜Yn)を駆動するためのスキャン駆動部203と、共通電極であるサステイン電極(Z)を駆動するためのサステイン駆動部204と、プラズマディスプレイパネル200の駆動時に前述したスキャン駆動部203及びサステイン駆動部204を制御してリセット期間におけるリセットパルスの供給を調節し、アドレス期間におけるスキャンパルスの供給を調節し、サステイン期間におけるサステインパルスの供給を調節するパルス制御部201と、それぞれの駆動部202、203、204に必要な駆動電圧を供給するための駆動電圧発生部205と、を含んで構成される。
【0047】
前記データ駆動部202には図示しない逆ガンマ補正回路、誤差拡散回路などによって逆ガンマ補正及び誤差拡散された後、サブフィールドマッピング回路(図示せず)によって各サブフィールドにマッピングされたデータが供給される。このようなデータ駆動部202は、タイミングコントロール部(図示せず)からのデータタイミング制御信号(CTRX)に応答してデータをサンプリングしてラッチ(latch)した後、そのデータを各アドレス電極(X1〜Xm)に供給するようになる。また、消去期間中に消去パルスを各アドレス電極(X1〜Xm)に供給する。
【0048】
スキャン駆動部203は、パルス制御部201の制御下でリセット期間中にリセットパルスを各スキャン電極(Y1〜Yn)に供給し、アドレス期間中にスキャンパルスを各スキャン電極(Y1〜Yn)に供給し、サステインパルス制御部の制御下でサステイン期間中にネガティブサステインパルスを各スキャン電極(Y1〜Yn)に供給し、消去期間中に消去パルスを各スキャン電極(Y1〜Yn)に供給する。
【0049】
サステイン駆動部204は、パルス制御部の制御下でアドレス期間中に所定大きさのバイアス電圧を各サステイン電極(Z)に供給し、サステイン期間中に前述したスキャン駆動部203と交代に動作してネガティブサステインパルス(−sus)を各サステイン電極(Z)に供給し、消去期間中に消去パルスをサステイン電極(Z)に供給する。
【0050】
パルス制御部201は、リセット期間と、アドレス期間と、サステイン期間及び消去期間において、スキャン駆動部203と、サステイン駆動部204と、データ駆動部202の動作タイミングと同期化を制御するための所定の制御信号を各駆動部202、203、204に供給する。
【0051】
特に、本発明のパルス制御部201は、従来技術と差別的にリセット期間においてスキャン電極とサステイン電極に互いに反対極性のパルスが印加されるようにして面放電モードを利用し得るようにする。
【0052】
一方、前述したデータ制御信号(CTRX)にはデータをサンプリングするためのサンプリングクロック、ラッチ制御信号、エネルギー回収回路(図示せず)と駆動スイッチ素子(図示せず)のオン/オフタイムを制御するためのスイッチ制御信号が含まれる。スキャン制御信号(CTRY)にはスキャン駆動部203内のエネルギー回収回路(図示せず)と駆動スイッチ素子(図示せず)のオン/オフタイムを制御するためのスイッチ制御信号が含まれ、サステイン制御信号(CTRZ)にはサステイン駆動部204内のエネルギー回収回路(図示せず)と駆動スイッチ素子(図示せず)のオン/オフタイムを制御するためのスイッチ制御信号が含まれる。
【0053】
駆動電圧発生部205は、セットアップ電圧(Vsetup)、スキャン共通電圧(Vscan-com)、スキャン電圧(−Vy)、サステイン電圧(Vs)、データ電圧(Vd)などを発生する。このような各駆動電圧は放電ガスの造成や放電セルの構造によって変わることができる。
【0054】
このような図5の本発明のプラズマディスプレイ装置の動作は、以後の駆動方法によってより明確に説明されるであろう。
【0055】
図6は本発明によるプラズマディスプレイパネルのネガティブサステイン駆動方法による駆動波形を示す図である。
【0056】
図6に示すように、本発明はリセット期間中にスキャン電極とサステイン電極に互いに反対極性のパルスが印加され、サステイン期間中にスキャン電極とサステイン電極には負極性サステインパルスが印加されることを特徴とする。
【0057】
ここで、リセット期間中にスキャン電極に上昇ランプ波形のパルスを印加することができる。例えば、スキャン電極に正極性の上昇ランプ波形を印加し、サステイン電極には負極性パルスが印加することができる。該負極性パルスの電圧の大きさは、負極性サステインパルスの電圧の大きさと実質的に同一にすることができる。また、負極性パルスを負極性サステインパルスと同一の電圧源から供給することができる。
【0058】
また、リセット期間中にスキャン電極に負極性のパルスを印加し、サステイン電極には正極性パルスを印加して面放電を起こすことも可能である。該負極性パルスの電圧の大きさを負極性サステインパルスの電圧の大きさと実質的に同一にすることができる。
【0059】
このように、本発明は面放電モードを利用して放電特性を改善することができる。ロングギャップ構造において、リセット期間中にサステイン電極をグランド(GND)状態に維持する場合には、スキャン電極とサステイン電極に比べて相対的に近いスキャン電極とデータ電極間で対向放電が発生する。
【0060】
対向放電の発生後、スキャン電極とサステイン電極に再び面放電を形成するためには、対向放電以後に蓄積された壁電荷の量によって適切な放電電圧を印加しなければならない。
【0061】
一方、本発明はスキャン電極に面放電時に利用するパルスと同一のパルスを印加する一方、サステイン電極にはサステイン放電のために印加されるサステイン電圧と同一の大きさのネガティブバイアス(negative bias)を印加することを特徴とする。すなわち、本発明は、対向放電ではない面放電を利用してリセットを遂行し、この時に使われる電圧源はネガティブサステインパルスと同一の大きさの電圧源が使われる。これによって別途の電圧源を要しないから、費用及び大きさを低減することができる。このような本発明において、スキャン電極とサステイン電極との離隔距離がスキャン電極またはサステイン電極とデータ電極との離隔距離より長いロングギャップ構造で効果的に面放電モードのリセット放電を行うことができる。このようなスキャン電極とサステイン電極との離隔距離は100μm以上400μm以下にすることができる。また、スキャン電極とサステイン電極の離隔距離を150μm以上350μm以下に調節して、ロングギャップ構造で放電の効率を高めることができる。ここで、スキャン電極とサステイン電極との離隔距離はスキャン電極の透明電極とサステイン電極の透明電極との離隔距離として定義することができる。
【0062】
本発明によってリセット期間のセットアップ期間においてサステイン電極にネガティブサステイン電圧が印加される場合、スキャン電極には面放電形成のために適用されるリセットパルスを印加することができる。すなわち、リセット期間のセットアップ期間においてランプアップ波形のリセットパルスがスキャン電極に印加される間、サステイン電極には負のサステインパルスが印加される。これによってスキャン電極とサステイン電極間の電圧差がさらに大きくなる。
【0063】
一方、本発明はセットダウン期間においてスキャン電極にランプダウン波形のリセットパルスが印加される一方、サステイン電極には正のサステインパルスが印加される。
【0064】
言い換えれば、リセット期間のセットアップ期間においてはスキャン電極にランプアップ波形が印加され、セットダウン期間においてはランプダウン波形が印加される一方、サステイン電極にはセットアップ期間中に負のサステインパルスが印加され、セットダウン期間中には正のサステインパルスが印加される。
【0065】
前述したように、リセット期間のセットアップ期間中にスキャン電極とサステイン電極間には急激な極性の反転が起こり、結局、放電が容易に起こる。
【0066】
一方、前述したように、本発明はリセット期間中にスキャン電極にランプアップ波形が印加される時、サステイン電極に加えられる負の電圧の大きさをサステイン電圧(−Vs)の大きさと同一に設定することを特徴とする。
【0067】
これはサステイン期間中にスキャン電極及びサステイン電極に加えられるネガティブサステインパルス(negative sustain pulse)の大きさと同一の大きさのネガティブサステインパルスをリセット期間中にサステイン電極に印加することで、別途の負の電圧源を備えることなく、駆動を可能にする。
【0068】
結局、本発明はリセット期間中にスキャン電極に面放電時と同一の方法で駆動パルスを印加し得るようになり、この時、スキャン電極及びサステイン電極には同一の電圧源を使う。従って、別途の負の電圧源を備えることなく、サステイン電圧と同一の大きさのネガティブパルスを印加して駆動し得ることで、大きさと費用を減らすようにした。
【0069】
以上、説明した内容を通じて当業者であれば本発明の技術事象を逸脱しない範囲で変更が可能であり、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載された内容に限定するのではなく、特許請求範囲により定められるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】一般的なプラズマディスプレイパネルの構造を示す図である。
【図2】一般的なプラズマディスプレイパネルの画像階調を実現する方法を示す図である。
【図3】従来のプラズマディスプレイパネルの駆動方法による駆動波形を示す図である。
【図4】従来のプラズマディスプレイパネルのネガティブサステイン駆動方法による駆動波形を示す図である。
【図5】本発明によるプラズマディスプレイ装置を説明するための図である。
【図6】本発明によるプラズマディスプレイ装置のネガティブサステイン駆動方法による駆動波形を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
200 プラズマディスプレイパネル
201 パルス制御部
202 データ駆動部
203 スキャン駆動部
204 サステイン駆動部
205 駆動電圧発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャン電極及びサステイン電極と、
前記スキャン電極及び前記サステイン電極と交差するデータ電極と、
リセット期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極に互いに反対極性のパルスが印加され、サステイン期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極には負極性サステインパルスが印加されるようにするパルス制御部と、を含み、
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極またはサステイン電極と前記データ電極との離隔距離より長いことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項2】
前記リセット期間中に前記スキャン電極に印加されるパルスは上昇ランプ波形であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項3】
前記上昇ランプ波形の電圧の大きさは、前記リセット期間中に前記サステイン電極に印加されるパルスの電圧の大きさより大きいことを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項4】
前記リセット期間中に、前記スキャン電極に正極性ランプ波形が印加され、前記サステイン電極に負極性パルスが印加され、前記負極性パルスの電圧の大きさは前記負極性サステインパルスの電圧の大きさと実質的に同一であることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項5】
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は100μm以上400μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項6】
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は150μm以上350μm以下であることを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項7】
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極の透明電極と前記サステイン電極の透明電極との離隔距離であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項8】
前記負極性パルスは前記負極性サステインパルスと同一の電圧源から供給されることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイ装置。
【請求項9】
スキャン電極及びサステイン電極と前記スキャン電極及びサステイン電極と交差するデータ電極を含むプラズマディスプレイ装置の駆動方法において、
リセット期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極に互いに反対極性のパルスが印加される段階と、
サステイン期間中に前記スキャン電極と前記サステイン電極には負極性サステインパルスが印加される段階と、を含み、
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極またはサステイン電極と前記データ電極との離隔距離より長いことを特徴とするプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項10】
前記リセット期間中に前記スキャン電極に印加されるパルスは上昇ランプ波形であることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項11】
前記上昇ランプ波形の電圧の大きさは、前記リセット期間中に前記サステイン電極に印加されるパルスの電圧の大きさより大きいことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項12】
前記リセット期間中に、前記スキャン電極に正極性ランプ波形が印加され、前記サステイン電極に負極性パルスが印加され、前記負極性パルスの電圧の大きさは前記負極性サステインパルスの電圧の大きさと実質的に同一であることを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項13】
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は100μm以上400μm以下であることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項14】
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は150μm以上350μm以下であることを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項15】
前記スキャン電極と前記サステイン電極との離隔距離は、前記スキャン電極の透明電極と前記サステイン電極の透明電極との離隔距離であることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項16】
前記負極性パルスは前記負極性サステインパルスと同一の電圧源から供給されることを特徴とする請求項12に記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−166069(P2008−166069A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352955(P2006−352955)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】