説明

プラズマ処理システム

【課題】ダウンストリーム型プラズマで加工物を処理するプラズマ処理システムを提供すること。
【解決手段】本プラズマ処理システムの処理チャンバは、電力供給電極と接地板の間に一般的に配置されたプラズマ・キャビティを有するチャンバ蓋、プラズマ・キャビティから接地板で隔離された処理空間、および加工物を保持するための処理空間中の基板支持物を含む。プラズマ・キャビティで、直接プラズマが生成される。接地板は、プラズマ・キャビティから処理空間中に入ることを許されるプラズマから電子およびイオンを除去して遊離基のダウンストリーム型プラズマを供給する開口と適合される。この開口は、プラズマ・キャビティと処理空間の間の光の見通し通路も無くする。他の態様では、チャンバ蓋から少なくとも1つの取外し可能な側壁部を取り除いて、または挿入して、処理チャンバの体積を調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にプラズマ処理に関し、より詳細には、ダウンストリーム型プラズマ処理を行うように構成されたプラズマ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願のクロス・リファレンス
この出願は、2002年4月19日に出願された米国仮出願番号60/374,010号の利益を請求し、この出願の開示全体を参照して本明細書に組み込む。
プラズマ処理は、集積回路、電子用パッケージ、およびプリント回路基板に関係する用途で使用される加工物の表面特性を変えるために広く応用されている。プラズマ処理システムは、プロセス・ガスから直接プラズマを生成し、基板または加工物の表面を直接プラズマから生成された活性種にさらして、物理的スパッタリング、化学支援スパッタリング、または化学反応によって表面原子を除去するように構成される。物理的または化学的作用を使用して、密着のような特性を改善するように表面を条件づけし、プロセス材料の異質な表面層を選択的に除去し、または表面から不要な汚染物質を除去することができる。電子用パッケージでは、例えば、層間剥離不良およびボンド不良を無くし、ワイヤ・ボンド強度を改善し、ボイドのないアンダーフィルを保証し、酸化物を除去し、ダイ付着を強化し、および、封止の密着を改善するために、表面活性化および/または表面清浄度を高めるように、プラズマ処理が使用される。
【0003】
プラズマ処理システムは、インライン・システムおよびクラスタ・システム、または、連続するプラズマ照射または処理サイクルで加工物のグループが処理されるバッチ・プロセスに組み込むことができる。加工物は様々な方法で供給することができる。この方法には、マガジンでの受渡し、コンベヤー搬送システムによる個々の受渡し、または処理チャンバ中への手操作挿入がある。また、プラズマ処理システムは、プラズマ処理実施のためにプロセス・チャンバに入れたり出したりする加工物取り替えを調整する自動ロボット・マニピュレータを備えることができる。
【0004】
従来のプラズマ処理システムは、個々の加工物の表面全体にわたって適切なプロセス一様性を実現することができなかった。プラズマ密度が表面全体にわたって実質的に一様であるように、加工物の表面の全ての場所でプラズマ密度を精密に正確に制御しなければならない。プラズマの一様性を制御するためのクリティカルなパラメータに、励起電力およびプロセス・ガス分散の空間的な一様性がある。加工物の表面でプラズマ密度が一様でないと、プロセスの確実性が落ち、プロセス歩留りが低下する。加工物間の一様性を達成するために、活性種の流量が加工物の表面全体にわたって空間的に一様であるように、プロセス・ガスを一様に分散させ、励起電力で一様にイオン化しなければならない。
【0005】
従来のプラズマ処理システムは、さらに、加工物の連続するバッチ間でプラズマ処理の適切な再現性を実現することができなかった。バッチ間再現性は、連続する加工物が実質的に全く同じプラズマ条件にさらされるように、プロセス変数およびパラメータを精密に制御することに依存している。さらに、従来のプラズマ処理システムは、自動化処理ラインに適している処理能力、すなわち製造の要求条件で加工物を高速に処理することができない。システム処理能力およびプラズマ処理の一様性を最大限にして、製造コストを低減しなければならない。
【0006】
従来のインライン・プラズマ処理システムは、また、イオン、電子、および電磁スペクトルの少なくとも可視領域の光が実質的に無いダウンストリーム型プラズマを生成する能力にも欠けている。よく知られているように、直接プラズマは、正味電荷を有するイオンおよび電子、ソース・ガス分子、および中性の遊離基を含んだ多数の異なる種の組合せである。遊離基は、ほとんどイオン化しているが電子という完全な補体を保持しているので、正にも負にも帯電していないガス分子である。加工物は、全てのプラズマ種を含有する直接プラズマか、主に遊離基を含むダウンストリーム型プラズマかで処理することができる。直接プラズマを用いた加工物の処理では、イオンおよび電子のボンバードによる物理的な作用と遊離基の表面相互作用で生じる化学的な作用の両方で、処理が促進される。他方で、ダウンストリーム型プラズマによる処理は主に化学作用を含む。
【0007】
従来のプラズマ処理システムは、一般に、固定された寸法のプラズマ・チャンバと、対向処理電極間の固定位置に加工物を保持するプラズマ・チャンバ中の基板支持物とを含む。加工物は固定位置に位置づけされるので、プラズマ処理すべき表面は、処理電極に対して同様に間隔を空けて配置される。固定位置は、特定の厚さの加工物に対して効果的なプラズマ処理を行うのに効果的な間隔を実現するように選ばれる。当然の結果として、システムで処理される加工物の厚さが変化するとき、表面の位置は最早所望の固定位置にないので、プラズマ処理の効率が低下する可能性があるということになる。したがって、従来のプラズマ処理システムは、加工物の厚さの変化に対応するように十分に必要な備え付けがなされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、プラズマ・チャンバで加工物を処理するためにダウンストリーム型プラズマを供給することができ、かつ効果的な処理効率を維持しながら異なる厚さの加工物に対応することができるインライン・プラズマ処理システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ダウンストリーム型プラズマ処理を行うことができるプラズマ処理システムを提供して、従来技術に関連したこれらの問題および他の問題に対処する。このプラズマ処理システムは、処理空間、チャンバ蓋、およびチャンバ蓋中に画定されたプラズマ・キャビティを含む真空チャンバと、処理空間中に位置づけされた加工物ホルダーと、真空チャンバと流体連通状態で結合された真空源と、真空チャンバと流体連通状態で結合されたプロセス・ガス供給源と、第1のプラズマ励起源とを含む。プラズマ・キャビティと処理空間は流体連通状態である。プロセス・ガス供給源は少なくともプラズマ・キャビティにプロセス・ガスを供給することができ、真空源は処理空間およびプラズマ・キャビティを排気することができ、さらに第1のプラズマ励起源はプラズマ・キャビティ中のプロセス・ガスを励起してプラズマを生成することができる。プラズマ励起源はさらにプラズマ・キャビティと処理空間の間に位置づけされた接地板を含む。この接地板は、プラズマ・キャビティから処理空間へのイオンおよび電子のような荷電種の移動を妨げることができる、または少なくとも実質的に減少させることができる複数の開口を含む。しかし、この開口は、プラズマ・キャビティから処理空間への遊離基の移動を選択的に可能にする。本発明のこの態様に従って、荷電粒子および光子の無い、または実質的に無いダウンストリーム型プラズマが、加工物のところに生成されて、そうでなければ荷電粒子で行われる物理的作用の無い状態で、基の化学作用でプラズマ処理を行うことができる。
【0010】
本発明の原理に従って、加工物をプラズマで処理する方法が提供される。この方法は、プラズマ処理システムの処理空間中に加工物を配置すること、荷電粒子および遊離基を含む直接プラズマを生成すること、直接プラズマから荷電種子をろ過して遊離基を含むダウンストリーム型プラズマを生成すること、および処理空間の加工物をダウンストリーム型プラズマの遊離基にさらすことを含む。
【0011】
本発明の他の態様に従って、プラズマ処理システムは、チャンバ・ベース、および処理空間を画定する閉じた位置と処理空間に加工物を入れたり出したり移動するための開いた位置との間でチャンバ・ベースに対して動かすことができるチャンバ蓋を有する真空チャンバと、この真空チャンバと流体連通状態で結合された真空源と、処理空間中に位置づけされた加工物ホルダーと、真空チャンバと流体連通状態にあるプロセス・ガス供給源と、プラズマ励起源とを含む。プロセス・ガス供給源はプロセス・ガスを処理空間に供給することができ、真空源は処理空間を排気することができ、そして、プラズマ励起源はプロセス・ガスから生成された処理空間のプラズマを供給するように動作可能である。チャンバ蓋はさらに、真空チャンバの垂直寸法を変えるためにチャンバ蓋から取り除くことができる第1の側壁部を含む。本発明のこの態様に従って、処理電極から予測可能な距離に加工物の露出表面を置いて基板厚さを補償することで、異なる厚さの加工物に対応するように、チャンバの垂直寸法を変えることができる。
【0012】
本発明の原理に従って、チャンバ蓋を有する真空チャンバ中の処理空間で加工物をプラズマ処理する方法が提供される。この方法は、加工物を処理空間に配置すること、および、加工物の露出表面からチャンバ蓋中に位置づけされた処理電極までの距離を加工物の厚さに基づいて変えるためにチャンバ蓋の体積を変えることを含む。
本発明のこれらおよび他の目的および利点は、添付の図面およびそれの説明からいっそう明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の原理に従ったプラズマ処理システムを示す透視図である。
【図2A】図1のプラズマ処理システムを示す側面概略部分切欠図である。
【図2B】チャンバ蓋が閉じた位置にある図1のプラズマ処理システムを示す側面概略部分切欠図である。
【図2C】図1のプラズマ処理システムを示す詳細側面図である。
【図3】図1のプラズマ処理システムを示す正面図である。
【図4】図1のプラズマ処理システムの制御システムを示す概略ブロック図である。
【図5】図4の制御システムを使用するプラズマ処理サイクルを実施するプロセスを示す流れ図である。
【図6】本発明の原理の他の実施形態に従った基板支持物を示す側面図である。
【図7】図6の基板支持物を示す部分正面図である。
【図8】本発明の原理に従ったプラズマ・チャンバを示す上面図である。
【図9】図8の線9−9に一般的に沿った断面を示す断面図である。
【図10】図8の線10−10に一般的に沿った断面を示す断面図である。
【図11】図10の一部を示す詳細図である。
【図12】図8〜11のプラズマ・チャンバを示す分解図である。
【図13】図8〜12のプラズマ・チャンバで使用される接地板の他の実施形態を示す透視図である。
【図14】図8〜12のプラズマ・チャンバで使用される接地板の他の実施形態を示す透視図である。
【図15】本発明の原理に従ったプラズマ・チャンバの他の実施形態を示す図9と同様な断面図である。
【図15A】図15の一部を示す詳細図である。
【図16】図15のプラズマ・チャンバを示す図10と同様な断面図である。
【図17】図16の一部を示す詳細図である。
【図18】図15〜17のプラズマ・チャンバを示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を図示し、上で示した本発明の一般的な説明および以下に示す詳細な説明と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0015】
本発明は、その原理および目的に従って、加工物をプラズマで処理するための装置および方法を提供する。本発明は、一様な高密度プラズマ、高速な排気とベントのサイクル、再現性のある処理条件、および簡単化された材料取り扱いを実現するように構成されたプラズマ処理システムを提供する。有利なことに、このシステムでは、連続する加工物の各々を処理するために必要なサイクル時間を最小にする制御アルゴリズムを使用しながら、処理空間中に一様な高密度プラズマを起動しかつ持続させるのに必要な励起パワーが減少する。
【0016】
本発明の原理に従ったプラズマ処理システム10を図1、2A〜2Cおよび3に示す。図1を参照すると、プラズマ処理システム10は、処理チャンバ12、ローディング・ステーション20、および出口ステーション22を含み、これ等は、機器筺体26の一番上の実質的に平らで機械的に安定な表面24に位置している。処理チャンバ12は、蝶番アセンブリ16でチャンバ・ベース18に蝶番式に動くように連結されたチャンバ蓋14を含む。チャンバ蓋14は、図1および図2Aに示すような開いた位置と図2Bに示すような閉じた位置のどちらかに選択的に位置づけすることができる。チャンバ・ベース18およびチャンバ蓋14は、アルミニウム合金またはステンレス鋼のような高真空用途に適した電気伝導性材料で形成するのが好ましい。
【0017】
チャンバ蓋14は、ドーム型天井28、および平らな縁32で取り囲まれた一体型側壁30を含む。ビューポート開口38が、ビューポート34を保持するために、天井28に設けられている。図2Cに最も適切に示すように、ビューポート34は、フレーム35および留め具36でチャンバ蓋14に取り付けられた実質的に平らな窓ガラスである。ビューポート開口38に外接する溝42の中にOリング40が収容される。ビューポート34は、Oリング40に圧縮するように係合して、空密封止を形成する。この場合、封止力は、処理チャンバ12の内部と外部の間の圧力差と留め具36でひとまとめにして与えられる。ビューポート34は、低スパッタ係数を有し気体不浸透性でありさらに光学波長に対して広い透過範囲を有する誘電体セラミックス、例えば石英で作られる。Oリング40は、Viton(登録商標)のようなエラストマーで形成するのが好ましい。
【0018】
チャンバ・ベース18は、平らなリップ48で取り囲まれた側壁46と一体化している床壁44を含む。リップ48は、電気伝導経路およびチャンバ蓋14とチャンバ・ベース18の間の実質的な空密封止を実現する導電性弾性封止部材すなわちOリング51を収容するための周囲溝50を含む。溝50およびOリング51の寸法は、空密封止を作るように選ばれる。理解できることであるが、Oリング溝50、したがってOリング51は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、チャンバ蓋14かチャンバ・ベース18かいずれかに位置づけすることができる。理解されることであるが、チャンバ蓋14に位置づけされる場合、周囲の環境からの粒子はOリング51に比較的付着し難く、Oリング51の封止能力を犠牲にすることがなさそうである。
【0019】
Oリング51は、導電性エラストマーのガスケットであり、例えばシリコーン中の銀およびアルミニウムの粉末のように、エラストマー結合剤中に導電性充填粉末が充満されている複合材料で形成されるのが好ましい。例示のOリング51は、Parker Hannifin Corp.(Cleveland、OH)の事業部であるEMI Shielding Productsによって商品名Cho−seal(登録商標)で製造販売されている導電性複合材料で形成される。
【0020】
他の態様では、チャンバ・ベース18は、さらに、部品すなわち加工物56を収容し支持するように構成された加工物ホルダーすなわち基板支持物64を含む。一般に、加工物56は、長方形の平面構造であり、所定の厚さの対向する側縁部58、59、前縁部60、および後縁部62を有する周囲を含む。対向する側縁部58、59は、加工物56の長手方向の軸に対して垂直に測定される所定の最大横幅だけ離れている。加工物56は、ボール・グリッド・アレイ(BGA)または金属リード・フレーム、Auerボートに保持された分離されたBGA、またはマルチチップ電子モジュールを保持するパレット、集積回路チップなどのような細片型部品でもよい。また、加工物56は、シリコン、ガリウム砒素、および当業者がよく知っている他の半導体材料で形成されたディスク状半導体ウェーハすなわち基板でもよいし、また、メタライゼーション、コンタクト、絶縁層などのパターン形成された領域を含んでいてもよい。
【0021】
図2Cに最も適切に示すように、基板支持物64は、実質的な平面支持台68から垂直に延びる対向する側レール66a、66bを備える。側レール66aは、加工物56の側縁部58と59の間の最大幅が収容されるように、支持台68の長手方向の軸に沿って側レール66bに対して間隔を空けた関係にある。便宜上、側レール66aについては、側レール66bが同一構造であることを理解した上で以下で詳細に説明する。側レール66aは、図3に最適に示すように、リップ48を含む水平面の上に突出し、さらに、基板支持物64の長手方向の軸に平行に延びる細長いチャネル72を含んでいる。チャネル72は、加工物56の側縁部59を滑動可能に収容するような大きさのU字形断面プロファイルを有する。チャネル72の対向する先端部は、図3に最適に示すようにフレア・リップ74を含み、このフレア・リップ74は、ローディング中に加工物56の側縁部59を物理的につかまえる。限定ではなく例として、処理チャンバ12および基板支持物64は、2.7”(幅)×9.25”(長さ)×3/8”(厚さ)の最大寸法または6”×12”×1”の最大寸法を有する加工物56を受け入れるように構成することができる。他の実施形態では、処理チャンバ12は、12”×12”の最大平面寸法を有する加工物56を受け入れるように構成することができる。
【0022】
図1を参照すると、ローディング・ステーション20および出口ステーション22は、処理チャンバ12のそれぞれの対向する端部のすぐ近くにあり、処理チャンバ12に加工物56、56’を入れたり出したり往復運動で運ぶように構成されている。ローディング・ステーション20は、実質的に平面の支持台76および対向するローディング側レール78aおよび78bを含む。ローディング側レール78aは、加工物56の最大幅が収容されるように支持台76の長手方向の軸に沿ってローディング側レール78bに対して間隔を空けた関係にある。便宜上、側レール78aについては、側レール78bが実質的に全く同じであるということを理解した上で以下で詳細に説明する。ローディング側レール78aは、リップ48を含む水平面の上に突出し、さらに細長いチャネル82を含んでいる。このチャネル82は、加工物56の1つの対向する側縁部58または59を滑動可能に収容するような大きさに構成されたU字形断面プロファイルを有する。チャネル82の対向する先端部はフレア・リップ80を含み、このフレア・リップ80は、加工物56の側縁部58、59を物理的につかまえる。支持柱84は支持台76の底面から表面24に延びる。
【0023】
出口ステーション22は、ローディング・ステーション20と同様に構成される。出口ステーション22は、対向するアンローディング側レール86a、86bを含み、このアンローディング側レールは平面支持台88から上方外側に延びている。便宜上、側レール86aについては、側レール86bが全く同じ構造であるということを理解した上で以下で詳細に説明する。側レール86aは、縁部48を含む水平面の上に突出し、さらに長手方向のチャネル90を含んでいる。チャネル90は、処理された加工物56’の2つの周辺縁部58’、59’の1つを滑動可能に受け入れるような大きさのU字形断面プロファイルを有する。チャネル90の対向する先端部はフレア・リップ91を含み、このフレア・リップ91は、アンローディング中に処理された加工物56’の側縁部58’、59’を物理的につかまえるのに役立つ。支持柱92は支持台88の底面から表面24まで延びる。
【0024】
プラズマ処理システム10は、さらに、ローディング・ステーション20および出口ステーション22に取り付けられたピンチ・ホイール99、および位置決めレバー94を含む。ピンチ・ホイール99は、加工物56または56’を位置決めする際に微調整を行うように動作可能である。レバー94は、機器筺体26の上面24に画定されたスロット96の長さに沿って移動し、さらに垂直方向に平行移動するように動作可能である。駆動機構(図示しない)は、レバー94に取り付けられ、スロット96中でアーム94を垂直方向および長手方向に動かすように動作可能である。レバー94は、プラズマ処理サイクル中、処理チャンバ12の完全に外に位置づけされている。
【0025】
位置決めレバー94は、さらに、第1の指98aを有する棒97を含む。この第1の指98aは、ローディング側レール78a、bの間に保持された加工物56の後方縁部62と選択的に接し、第2の指98bは、側レール66a、bの間に保持された第2の加工物56の後方縁部62と選択的に接する。理解できることであるが、指98a、bは棒97に対して弾性的に片寄らせることができ、さらに、指98a、bは、例えば側レールの組と位置合せ不良の加工物によって生じる位置決めレバー94の直線移動時の抵抗を検出するセンサを含むことができる。
【0026】
加工物ローディング動作中に、加工物56は、自動搬送システム(図示しない)で引き渡され、ローディング・ステーション20のローディング側レール78a、bに位置づけされる。ローディング・ステーション20のピンチ・ホイール99を使用して、加工物56を短い距離動かして適切に位置づけする。チャンバ蓋14が開いた後で、指98aが後方縁部62に係合し加工物56をローディング側レール78a、bに沿って基板支持物64の方に押すように、位置決めレバー94は初期位置から下げられ、直線的に動かされる。加工物56の前縁部60は、ローディング側レール78a、bおよび側レール66a、bの間のギャップを通り抜ける。加工物56の対向する側縁部58、59を、側レール66a、bが滑動可能に収容する。その後、加工物56が基板支持物64に適切かつ正確に位置づけされるまで、位置決めレバー94は加工物56を押し続ける。好ましくは、加工物56の中心は、処理チャンバ12の中心垂直軸すなわち中心線と共通の軸を持つように位置づけされる。それから、位置決めレバー94が初期位置に後退するときに、指98bが加工物56の前縁部をクリアーするように位置決めレバー94は垂直方向に平行移動する。
【0027】
加工物ローディング作業中に処理された加工物56’が基板支持物64にある場合は、指98bは後方縁部62’に係合し、位置決めレバー94が処理された加工物56’を出口ステーション22の方に取り除く。処理された加工物56’の前縁部60’が処理チャンバ12と出口ステーション22の間のギャップを横切る。アンローディング側レール86a、bが処理された加工物56’の側縁部58’、59’をつかまえる。継続する直線運動で、処理された加工物56’は処理チャンバ12から完全に取り除かれる。出口ステーション22のピンチ・ホイール99を使用して加工物56’を短い距離動かして、次の処理ステーションへの移動に備えて適切に位置づけする。
【0028】
チャンバ蓋14が、図2Aに最も適切に示すような開いた位置と図2Bに最も適切に示すような閉じた位置の間で、チャンバ・ベース18に対して選択的に蝶番式に旋回するように、蝶番アセンブリ16は構成されている。蝶番アセンブリ16は図1に最も適切に示すように少なくとも2個のブラケット100を含み、これらのブラケットは、側壁46の真空でない側に沿って間隔を空けた関係で配置されている。チャンバ蓋14が閉じた位置に突き出すとき、例えば図2Bに示すように、チャンバ蓋14とチャンバ・ベース18が空密処理空間102の境界となる。
【0029】
各ブラケット100は、留め具108で側壁46の真空でない側に取り付けられたV字形ブレース104およびナブ106を含む。各ブレース104は、ブレース104の湾曲部近くの開口部112およびナブ106の同軸の開口部124の中に収容された蝶番ピン110で支えられている。図1に示すように、両方のブラケット100が蝶番ピン110を共有している。図2Aに戻って、ブレース104の一端は、チャンバ蓋14の側壁30の真空でない側につながっている。各ブレース104の第2の端は、両方のブレース104が同じく共有する連結棒116を収容する開口部114を含む。
【0030】
連結棒116がさらに棒端部118に取り付けられ、この棒端部118は、双方向空気シリンダすなわち蓋アクチュエータ122のピストン棒120の一方の端でネジ形式で支えられている。棒端部118は、さらに、連結棒116をその中に滑動可能に収容する大きさに作られた内径を有する開口部(図示しないが、開口部114と同様で、これと同一線上にある)を含む。ピストン棒120は、ブレース104が蝶番ピン110のまわりを旋回して開いた位置と閉じた位置のどちらかにチャンバ蓋14を突き出すように、往復直線垂直運動を行うように構成されている。図2Cに示すように、蓋アクチュエータ122の対向する端部は取付けブロック126で機器筺体26内の構造支持物(図示しない)に取り付けられている。
【0031】
図2Bを参照すると、本発明の一態様で、ナブ106の開口部124中にオブラウンド・ベアリング128が滑動的に収容される。オブラウンド・ベアリング128は、開口部124中に摩擦嵌合するように選ばれた外径の環状外面および蝶番ピン110を収容するような大きさに作られた内部の穴130を有する。穴130は、穴130の長手方向の軸に対して直角に見たときに、垂直方向に長軸を有する実質的に楕円形の断面プロファイルを有する。図2Aに示すように、チャンバ蓋14が開いた位置にあるとき、蝶番ピン110の一端の長さは穴130の下の内面に接触する。チャンバ蓋14が蓋アクチュエータ122によって旋回するとき、蝶番ピン110はそれの長手方向の軸のまわりを回転する。回転中に、蝶番ピン110の外面は穴130の下の内面と接触したままである。図2Bに示すように、リップ32がOリング51の表面に接触するとき、蓋アクチュエータ122は延び続けるので、チャンバ蓋14は下方に動いてOリング51を押し縮める。オブランド・ベアリング128があるために、蝶番ピン110は穴130の中で自由に垂直上方に平行移動する。
【0032】
図2Cを参照すると、チャンバ蓋14は閉じた位置にあり、チャンバ蓋14の内周面およびチャンバ・ベース18が処理空間102の境界となっている。真空封止は、チャンバ・ベース18とチャンバ蓋14の間のOリング51のいっそうの圧縮で強められる。Oリング51の追加の圧縮が、チャンバ蓋14の外側に作用する大気圧と処理チャンバ12内の真空の間の圧力差によってもたらされる。この圧力差は、チャンバ蓋14を垂直下方にチャンバ・ベース18の方に動かす力を加える。オブランド・ベアリング128が存在するために、蝶番ピン110は垂直方向に最小の横運動で平行移動する。
【0033】
円形断面プロファイルの穴を有する従来のベアリングに比べると、オブランド・ベアリング128内の穴130によって、蝶番ピン110に追加の垂直方向自由度が与えられる。チャンバ蓋14は、Oリング51を圧縮する力に応答して自由に垂直方向に動く。その結果として、リップ32とOリング51の間の空密封止は、溝50の周囲で一様になる。好ましい実施形態では、オブランド・ベアリング128の存在することで、蝶番ピン110にほぼ50ミルの垂直方向の移動が与えられる。
【0034】
圧力計52が、配管53を介して側壁46に設けられた開口部に接続される。圧力計52は、処理空間102の中の真空圧力を感知するように動作可能であり、圧力帰還信号を供給する。例示の圧力計52は、MKS Instruments(Andover、MA)で製造されたBaratron(登録商標)Capacitance Manometerのようなキャパシタンス・マノメータである。ブリード・バルブ54が、配管55を介して側壁46に設けられた他の開口部に接続される。ブリード・バルブ54は、処理チャンバ12に周囲の空気または室素のような供給ガスを放出するように動作可能である。
【0035】
図3を参照すると、プラズマ処理システム10は、チャンバ・ベース18の底壁44の中心に位置づけられた大きな排気口136を通して真空排気系134と流体連通になるように接続されている。真空排気系134は、円錐状縮小ニップル138、真空弁140、排気真空導管(図示しない)、および真空ポンプ144を含む。
【0036】
円錐状縮小ニップル138の対向する端部には、第1の真空フランジ146および第2の真空フランジ166が付いている。第1の真空フランジ146は、Oリング150が外接する網つき芯合せ環148および複数のバルクヘッド・クランプ152によって排気口136に接続される。バルクヘッド・クランプ152は、第1の真空フランジ146の周囲に対象的に配置される。各バルクヘッド・クランプ152は、第1の真空フランジ146の相補的な下面に係合するように構成されたテーパ部分154と、留め具160を取外し可能に収容する穴(図示しない)をさらに含むブロック部156とを有する。好ましくは、留め具160は、底壁44の相補的な内部ネジ山(図示しない)を有する開口部に取り付けることができるネジ込みボルトである。空密封止を作るために、Oリング150を一様に圧縮するようにパターン化された順序で予め選ばれたトルクまで、留め具160を締め付ける。
【0037】
真空弁140は、真空固定具164によって円錐状縮小ニップル138に付いている第2の真空フランジ166と流体連通になるように接続された上の真空フランジ162を支持する。真空固定具164は、蝶ナット・クロージャ170を有する取外し可能なクラムシェル・クランプ168および貫通穴芯合せ環172を備える。蝶ナット・クロージャ170が締め付けられるとき、芯合せ環172に保持されるOリング174が圧縮されて空密封止を作る。また、真空弁140は、さらに、真空ポンプ144と流体連通になるように接続される。
【0038】
真空ポンプ144は、真空技術分野の当業者には明らかであるように、1つまたは複数の真空ポンプを備えることができる。好ましい真空ポンプ144は、例えば、Alcatel Vacuum Technologies Inc.(Fremont、CA)で製造されている型の単一回転翼型真空ポンプであり、これは、毎分約11立方フィートの排気速度を有し、処理チャンバ12のコンダクタンスが高いために、約6秒以下で処理空間102を約200mTorrの真空圧力まで排気することができる。他の真空ポンプ144として、乾式ポンプおよびターボ分子ポンプがある。
【0039】
本発明の他の態様で、真空分散バッフル180がチャンバ・ベース18の内側の肩部178に位置づけされている。真空分散バッフル180は、複数のオリフィス184による穴が開いている平らな細長い板182である。オリフィス184は、圧力差をなくするように真空排気系134の入口の方に向かうプロセス・ガスの流れを制限する。その結果として、加工物56の全処理表面はプラズマに一様にさらされ、同時に、プロセス・ガスおよびプラズマ処理動作中にスパッタされた汚染物質種の高速排出を可能にする。また、真空分散バッフル180は、真空ポンプ144へのガスの流れで基板支持物64上の加工物56の位置が乱されることのないようにする。
【0040】
好ましくは、真空分散バッフル180は、例えば機械加工可能なセラミックスのような、ガス放出の可能性が最小である電気絶縁材料で形成される。適切な械加工可能セラミックスには、アルミニウム酸化物またはMykroy/Mycalex(登録商標)またはMacor(登録商標)のようなガラス接着マイカ複合物がある。
【0041】
本発明の一態様では、チャンバ蓋14にガス分配システムが一体化され、このガス分配システムは、プロセス・ガスの流れを加工物56の表面に対象的かつ一様に分配するように構成されている。特に、チャンバ蓋14の天井28は、埋め込みキャビティ186、プロセス・ガス入口190、および複数の開口192を含む。図2Cに最も適切に示すように、ガス入口190はチャンバ蓋14に位置づけされ、さらに、ガス・ライン194を介して、プロセス・ガスを処理空間102に供給するガス・マニホルド308(図4)に結合されている。図3に最も適切に示すように、天井28の真空側には、キャビティ186から処理空間102中にプロセス・ガスを注入するための開口192がある。好ましくは、プロセス・ガスが加工物56の表面全体に一様に流れて、プラズマ均一性の向上に寄与するように、開口192は、処理チャンバ12の長手方向の軸のまわりに2次元配列で対照的に分布される。
【0042】
他の態様では、チャンバ・ベース18はさらに電力分配システムを含み、この電力分配システムは、無線周波(RF)発生器302(図4)のようなプラズマ励起源から電力を伝達して、処理空間102に閉じ込められたプロセス・ガスをイオン化しかつ解離させる。電力分配システムは、RF発生器302に動作可能に接続された電力分配棒198、一対の電力フィードスルー200a、b、下の電極202、および基板支持物64を含む。RF発生器302は、フィードスルー200a、bによって基板支持物64に動作可能に接続されている。この基板支持物64は、励起エネルギーを処理チャンバ12中のプロセス・ガスと容量的に結合させる電力供給電極として作用して、処理空間102でプラズマを引き起こし、さらに持続する。チャンバ蓋14およびチャンバ・ベース18が、ひとまとめで電力を供給されない接地電極を形成する。
【0043】
チャンバ・ベース18の床壁44には、さらに、電力フィードスルー200a、bを収容する2個の開口204がある。各開口204の中心の長手方向軸のまわりに、Oリング210を収容するための円形の溝208が同心で形成されている。電力フィードスルー200a、bの各々は、遮蔽絶縁体座金214で同軸的に囲繞された電気連結棒212、チャンバ絶縁体座金216、および下部絶縁体座金218を含む。好ましくは、座金214、216、218は、石英またはアルミナのようなガス不浸透性セラミック誘電体で構成され、さらに、各連結棒は、銅、アルミニウム、またはそれらの合金のような電気伝導体で形成される。電力フィードスルー200a、bは、処理チャンバ12から電気的に分離される。
【0044】
電気連結棒212は、フランジ付き頭222および対向したネジ切り端部226を含む。フランジ付き頭222は、電気導通および下方への動きを阻止する機械的な固定を行うために、下部電極202の上面に形成された相補的な凹部228の中に収容される。連結棒212は、遮蔽絶縁体座金214、チャンバ絶縁体座金216および下部絶縁体座金218の中心の穴を通って下方に延びる。ネジ切り端部226は、励起電源との接続のために底壁44を越えて突出する。
【0045】
下部絶縁体座金218は、より小さな第2の外径の環状上部234と連続する第1の外径の環状下部232を含む。上部234が開口204の中に収容され、その結果、下部232の上面は、床壁44の真空でない表面と空密封止を行うようにOリング210に接するようになる。穴230の切頭円錐部236はOリング238を収容するように構成されている。切頭円錐部236は、Oリング238が留め具239で圧縮されて連結棒212の周囲と下部絶縁体座金218の間に真空封止を実現することができるように、そのような寸法に作られ、また構成される。
【0046】
遮蔽絶縁体座金214は、下部電極202の下の表面と真空分散バッフル180の上の表面の間に置かれる。遮蔽絶縁体座金214は、より大きな第2の外径の環状上部244と一体の第1の直径の環状下部242を含む。上部244は真空分散バッフル180に接し、下部242は下方に開口の中に突き出る。
【0047】
チャンバ絶縁体座金216は、チャンバ・ベース18の内部下面と真空分散バッフル180の下の表面の間に置かれる。チャンバ絶縁体座金214は、対向する平行な表面248、250を有する。表面248は、下部絶縁体座金218の上部234の長さ全体に適合するように構成された第1の凹部を含む。対向する表面250は、チャンバ絶縁体座金216の下部242の長さを収容する異なる直径の第2の凹部を含む。
【0048】
留め具239は、連結棒212のネジ切り端部226と対になるように構成されたネジ切り穴を有する。留め具239を締め付けるとき、下部絶縁体座金218の上の表面が圧縮するようにOリング210に係合し、Oリング210に逆らって上方に動いて、チャンバ・ベース18の外面と下部絶縁体座金218の間に空密封止を作る。留め具239の上の表面は切頭円錐テーパ234に配置されたOリング238に圧縮するように係合して、連結棒212の周囲と下部絶縁体座金218の内径の間に空密封止を作る。
【0049】
電力分配棒198は、連結棒212のネジ切り端部224に2個の留め具256、258で取り付けられる。下部電極202の上の表面は、電気導通を与えるよう密接接触で基板支持物64の下の表面に係合する。したがって、電力分配棒198に供給された電力は連結棒212を介して基板支持物64に伝達され、基板支持物64自体が電力供給電極の一部として機能する。下部電極202および基板支持物64は、アルミニウムのような電気伝導性材料で形成されるのが好ましい。他の実施形態では、基板支持物64だけで電力供給電極を構成するように、下部電極202はセラミックスで構成することができる。
【0050】
上で詳細に説明した真空分散バッフル180は、また、下部電極202の下側の面とチャンバ・ベース18の間のRF電界強度を減少させるプラズマ遮蔽としても機能する。その結果として、基板支持物64で保持される加工物56の表面近くでプラズマが強くなり、各加工物56のプラズマ処理を行う電力および時間が最小になる。さらに、電力供給電極および接地電極の構成によって、基板支持物64の上にある加工物56に対して実質的に垂直な電界が生成されるので、イオン軌道は加工物56の表面の法線に対して実質的に垂直になる。
【0051】
加工物56は、チャンバ蓋14の天井28と支持台68の上面の中間の面内に実質的に垂直位置を有するように、処理チャンバ12内に位置づけされるのが有利である。知られているプラズマ処理システムに比べて、排気速度を高くするためにチャンバ12の体積を最小化することおよび加工物56を精密に位置決めすることによって、低い電力レベルで高速プラズマ処理が可能になる。
【0052】
図4を参照すると、プラズマ処理システム10は、ガス・フロー制御300および処理チャンバ12に接続されたRF発生器302を含む。処理システム制御304は、プラズマ処理システム10内の様々な装置から入力信号を受け取り、ガス・フロー制御300およびRF発生器302を動作させる出力信号を供給する。制御304は、プログラム可能グラフィックス・ユーザ・インタフェース306にも接続されている。このインタフェースは、例えば、プッシュボタン、スイッチ、その他のユーザ入力装置を提供し、さらに、出力装置、例えば光および表示画面を有し、それによって、ユーザはプラズマ処理システム10の動作の状態を追跡し、その動作を制御することができるようになる。制御304は、論理能力と演算能力の両方を有する任意の型のマイクロプロセッサをベースにした制御であることができる。例えば、Koyoで製造され、Automation Direct of Cummings、Georgiaから市販されるModel Direct Logic205のようなプログラム可能論理制御器である。さらに、グラフィックス・ユーザ・インタフェース306は、同じく、Direct Logic205用にKoyoで製造され、同じくAutomation Directから市販されている。
【0053】
通常、処理チャンバ12内のプラズマ処理動作中に、複数のプロセス・ガスがマニホルド308の中で混合される。例示のプロセス・ガスには、Ar、He、CO2、N2、O2、CF4、SF6、H2、およびそれらの混合物がある。各プロセス・ガスは、ガス供給源310、マス・フロー・コントローラ312、隔離弁314、および電磁弁315で構成される独立したガス供給システム309を有する。2つのガス、例えばArとO2が使用される場合には、ガス供給源310a、310b、マス・フロー・コントローラ312a、312b、隔離弁314a、314b、および電磁弁315a、315bで構成される2個の独立したガス供給システム309a、309bがあってもよい。理解されるであろうが、任意の数の追加のガス供給309nをマニホルド308に接続することができ、各追加のガスはそれ自体のガス供給源310n、マス・フロー・コントローラ312n、隔離弁314n、および電磁弁315nを有する。
【0054】
独立したガス供給に加えて、ガス・フロー制御300は、真空ポンプ144、真空弁140、電磁弁341および圧力計52を含む。プラズマ処理システム10は、処理パラメータの変化に対して非常に敏感である。したがって、圧力計52はチャンバ12のすぐ近傍に配置され、さらに、大きな直径が有利であるチューブ55、例えば直径0.500インチのチューブでチャンバ12に流動体的に接続される。ガス・フロー制御300は、さらに、プラズマ処理サイクルの終わりに処理チャンバ12を大気圧に戻すためのブリード・バルブ54およびこれの電磁弁357を含む。再び、減圧プロセスを最小限にするために、ブリード・バルブ54は通常処理チャンバ12のすぐ近傍にあり、それとの比較的大きな流体連通開口を有する。したがって、ブリード・バルブ54は、ほぼ1秒で処理チャンバ12を大気圧に戻すことができる。
【0055】
RF発生器302は、RF電力をL回路同調器すなわちインピーダンス整合装置320、例えば一対の可変空気コンデンサに供給するRF電源318で構成されている。RF電源318は、約40KHzから約13.56MHzの周波数で、好ましくは約13.56MHzで、および約0ワットから約600ワットの電力で、好ましくは約60ワットから約400ワットまでの電力で動作する。可変空気コンデンサ320、324からのPF電力は、出力328で処理チャンバ12内の基板支持物64(図3)に加えられる。位相コンデンサ320はモータ321に接続された可動極板を含み、さらに、制御304の入力323上でアナログ帰還信号を供給する位相制御322を有する。振幅コンデンサ324はモータ325に接続された可動極板を有し、さらに、制御304の入力327上でアナログ帰還信号を供給する位相制御326を有する。制御304は、知られているPID制御ループを利用して出力328、329上でアナログ命令信号をそれぞれのモータ321、325に供給し、知られているやり方で可変空気コンデンサ320、324の極板を動かす。
【0056】
本発明のPID制御ループは、境界条件での性能を改善するように可変利得を自動的に供給する制御アルゴリズムを使用する。入力323上の帰還信号の振幅は、−5ボルトから+5ボルトまでの範囲を有する。一定利得システムでは、帰還信号の振幅がゼロ交差に近づきさらにゼロ交差を通過するので、正確で安定したシステム制御が困難である。従来、利得は、高信号レベルで制御システムを飽和させないようにしながら低信号レベルを取り扱うのに必要とされる利得である妥協の固定値に設定されている。その結果、システム応答性および性能は、一般に妥協されたレベル、すなわち低レベルのものである。すなわち、制御システムが安定するのに必要な時間は比較的長い。本発明では、入力323上の帰還信号の信号強度の関数として利得値を絶えず計算し直し、動的に設定する。したがって、PIDループはきわどく減衰する。すなわち、PIDループは最小限のオーバーシュートで素早く安定状態に達する。他の点では、同調回路320は、知られているやり方で機能して、RF電源318のRF出力、同調回路320、および処理チャンバ12内のRF回路で与えられるRF負荷で構成されるRFシステムのインピーダンスを所望のインピーダンス値、例えば50オームに整合させる。
【0057】
理解されるであろうが、様々なリミット・スイッチまたは近接スイッチ330が処理チャンバ12の動作に関連して使用される。例えば、処理チャンバ12のチャンバ蓋14(図1)の開いた位置および閉じた位置それぞれを検出し、制御304のそれぞれの入力331上で状態帰還信号を供給するために、リミット・スイッチが使用される。これらのリミット・スイッチは、蓋14を作動させる蓋アクチュエータ122(図2C)に接続することができるし、蓋14に取り付けることができるし、または、そうでなければ蓋14の位置を検出することができる。また、近接スイッチは、処理チャンバ12内の加工物56の所望の位置を検出するために使用される。磁気、機械的接触、光、その他を使用して物体の近接または位置を検出する多くの異なる市販のリミット・スイッチがある。設計者の用途および好みに依存して、特定の型の市販リミット・スイッチが選ばれる。
【0058】
プラズマ処理サイクルの終点はいくつかの方法で決定することができる。本発明のプラズマ処理システムは、制御のレベルが非常に高い。したがって、プラズマ処理サイクルは繰り返しに非常に適している。したがって、本発明のプラズマ処理システムでは、制御304は、通常、内部タイマを使用してプラズマ処理サイクルの所要時間を測定する。いくつかの用途では、終点検出器334は処理チャンバ12と効果的に接続される。終点検出器334は、通常、光電スイッチであり、この光電スイッチは、処理チャンバ12内で生成されたプラズマの光の所望の特定波長の検出に応答して状態を変える。終点検出器334と処理チャンバ12の内部の間の光学的連通は、ビューポート34(図1)を通して終点検出器334を向けることで、または、処理チャンバ12の壁の開口部または穴(図示しない)の中に終点検出器334を取り付けることで実現することができる。処理チャンバ12内でのガス・プラズマの生成で光が発生する。さらに、この光の波長は、チャンバ12中のガス・プラズマの異なる材料の組成で変化する。例えば、エッチング・プロセスでは、ガス・プラズマは加工物の表面から様々な材料をエッチングするので、プラズマで生成される光の波長は、ガス・プラズマとそれらの材料の原子の結合の関数である。表面から被膜および不純物がエッチングされた後で、継続するエッチングで、加工物の固有の材料とガス・プラズマの原子の結合が生じる。この結合で固有の波長の光が生成され、これが終点検出器334で検出され、検出器334は出力336上で2進帰還信号を制御304に戻す。このようにして、制御304は、その帰還信号が状態を変えるときにプラズマ処理サイクルが完了した時を検出することができる。
【0059】
図5は、代表的なプラズマ処理サイクルを実施する際の制御304の動作を説明する流れ図である。602で、部品移動サイクルが始動する。このプロセス中に、制御304は命令信号を制御器(図示しない)に送り、この制御器によって、位置決めレバー94が未処理加工物56を側レール78a、bの間のチャンバ12に移動する。部品56が所定位置に移動したとき、リミット・スイッチ330の1つが、部品の置かれた位置を検出し、それぞれの出力331上で状態帰還信号を制御304に供給する。604で、部品が置かれたことを示すスイッチ状態の変化を制御が検出するとすぐに、制御304は出力337上で命令信号を与えて電磁弁338を開く。開いた電磁弁338は、空気供給源例えば工場空気340からの加圧空気を、蓋アクチュエータ122に蓋14を閉じた位置に動かさせる方向で、蓋アクチュエータ122に向けて送り出す。リミット・スイッチ330の1つがこの閉じた位置を検出し、状態を変え、それぞれの入力331上で状態帰還信号を制御304に与える。
【0060】
608で、蓋の閉じた位置を検出するとすぐに、610で、制御304は出力342上で信号を与えてソレノイド341に真空弁140を開くように命令する。同時に、612で、制御304はPRPROCESSに等しい圧力設定点を設定し、プロセス圧力監視の動作を始動する。通常、プラズマ処理システムでは、プラズマ処理サイクルの開始前に、チャンバ12は所望の固定部分真空圧力に排気される。しかし、チャンバ12の初期排気は時間のかかるプロセスである。出願人は、チャンバ12内の通常使用される処理圧力より上および下の圧力の範囲で高品質プラズマ処理を保証できることを発見した。多くの部品をチャンバ12内の異なる条件の下で処理して、許容圧力範囲を決定した。したがって、本発明のプラズマ処理システムでは、圧力境界の上の限界例えば250mTorrは、通常使用される処理圧力例えば200mTorrにオフセット圧力例えば50mTorrを加えることで決定される。さらに、圧力境界の下の限界、例えば150mTorrは、通常使用される処理圧力、例えば200mTorrからオフセット圧力例えば50mTorrを引くことで決定される。この例では、圧力監視システムは通常使用される処理圧力の200mTorrを圧力設定点として設定するが、圧力が250mTorrと150mTorrのそれぞれ上と下の境界限界の間にある限りは、圧力監視システムはアラームをセットしない、またはプラズマ処理システムの動作に影響を与えない。したがって、真空ポンプ144が動作している限り、制御304は、圧力計52からの圧力帰還信号を与えている入力348を監視している。チャンバ12が250mToorまで排気されたことを制御304が検知したとき、ガス・プラズマが始まる。
【0061】
612での圧力監視の開始と同時に、制御304は、614で、出力344、346上で命令信号を与えて、それぞれのマス・フロー・コントローラ312および隔離弁314を作動させる。プロセス・ガスは、例えばArについて毎分5〜100標準立方センチメートル(sccm)のように、所定の流量でプロセス・ガス入口190を通して導入される。マス・フロー・コントローラ312で供給されるガスの流量および真空ポンプ144の排気速度を調整して、その後のプラズマ処理が維持されるようにプラズマ生成に適した処理圧力が与えられる。チャンバ12内の処理圧力は、一般におおよそ50から1000mTorrであり、好ましくは125から250mTorrまでの範囲である。従来のシステムと異なり、処理チャンバ12は、チャンバ12から雰囲気ガスを抜くために最初に使用される処理ガスが導入されると同時に絶えず排気されている。一実施形態では、マス・フロー・コントローラ312は、ほぼ0.5リットルの体積の処理チャンバに30sccmの流量を供給するように動作する。このようにして、処理チャンバ12内では毎秒約4回新鮮なガスが交換される。多くの従来のプラズマ処理システムは、5秒にほぼ一度処理チャンバのガスを交換する。本発明のシステムのガス流量が大きいことで、エッチングされた材料および処理チャンバからの他の汚染物質の除去が改善され、またエッチングされた材料の処理チャンバ12内の壁および細工への堆積が最小になる。
【0062】
制御304は、処理チャンバ12内の圧力または分圧を絶えず測定している圧力計54から帰還信号を入力348上で絶えず監視する。616で、処理チャンバ12内の圧力が初期圧力、すなわち通常使用される処理圧力にオフセット圧力値を加えたもの、上の例では250mToor、に等しくなる時を、制御304は検出する。そのとき、618で、制御は出力350上で命令信号を与えて、RF電源318をオンにする。しかし、RF電源318からの全電力を供給するのではなく、制御304はRF電源に命令して最小電力レベルだけを、例えば30ワットを供給させる。従来のプラズマ処理システムは、同調回路320によって最初に全電力を処理チャンバ12に加える。全電力でガス・プラズマを生成すると、プラズマ・スパイク、アーク放電、エネルギー・ホット・スポット、その他の異常、および非常に不安定なガス・プラズマをもたらすことが多い。さらに、ガス・プラズマの変化は処理チャンバ12内のRF負荷の変化をもたらすことになるので、不安定なガス・プラズマのために、同調回路320がRFシステムのインピーダンスを所望の値に整合させることは非常に困難になる。したがって、最初にガス・プラズマを全電力で生成することで、プラズマが処理チャンバ12内で安定するのを待ち、その後、所望のインピーダンス整合が確立するまで同調回路320を動作させるのに、かなりの時間がかかる。本発明のプラズマ処理システムでは、最初に比較的低いまたは最小レベルの電力、例えば30ワットをシステムに加えることで、従来システムに比べると、チャンバ12内のプラズマは非常に急速に安定することができるようになる。
【0063】
最小電力レベルにRF電源318をオンさせた後で、620で、制御304は200ミリ秒の遅延を実施する。この遅延期間によって、最小電力レベルのプラズマが安定することができる。その後、622で、制御304は、自動同調サイクルすなわち自動同調制御の動作を始動し、この自動同調制御で、電源318の出力のRFインピーダンスおよび処理チャンバ12の入力のRFインピーダンスを所望のインピーダンス、例えば50オームに整合させるように、可変空気コンデンサが使用される。このプロセス中に、位相振幅制御322、326からのアナログ帰還信号が制御304のそれぞれの入力323、329上に与えられる。制御はPID制御ループを実施し、出力328、329上で命令信号を与えて、可変空気コンデンサ320、324で所望のインピーダンス整合が実現されるようにそれぞれのモータ321、325を動作させる。
【0064】
それから、624で、同調回路320が所望のインピーダンス整合を達成したかどうかを、制御は決定する。それが行われたとき、制御304は、626で、最小レベルから最大レベルまで電力をランプ増加し始める。電力が増加するときに、628で、制御は各連続する電力レベルで同調回路320を動作させ続ける。このようにして、制御が最小電力レベルから最大電力レベルに移行するときに、RF電源318の見るインピーダンスが依然として所望の50オーム負荷に整合されているように、可変空気コンデンサ320は絶えず調整される。RF電力を最大レベルまで傾斜増加させながらインピーダンス整合を維持することで、RF電源318を最初に最大電力レベルにオンさせてインピーダンス整合動作を実施する場合よりも短時間で、全電力で安定したガス・プラズマを実現できることを出願者は発見した。
【0065】
留意すべきことであるが、電力が最大レベルまで傾斜増加しているとき、プロセス・ガスは所望の流量で処理チャンバ12を流れ、真空ポンプ144は処理チャンバを減圧し続けている。前に説明したように、動作圧力の範囲は、異なるプロセス・パラメータを使用して多くの加工物を処理することで求めた。同様な実験方法を使用して、同調されたRFシステムを維持しながらRF電力を増加することができる最大速度を求めた。RF電力増加のその最大速度で、プラズマ処理サイクルの減少が実現される。
【0066】
630で、RF電力は最大レベルでないと制御304が決定する場合、628で、制御は再び電力レベルをインクリメントし、同調回路320を動作させてインピーダンスを所望の値に整合させる。630で、電力は現在最大値であると制御304が決定する場合、632で、制御は、電力が最大値のままであり、かつプラズマ処理プロセスが続いている間、プラズマ処理サイクルの終点を求めて監視を始める。プラズマ処理動作中に、加工物56の表面からスパッタされた汚染物質種は、プロセス・ガスの流れとともに排気口136を介して処理空間102から排出される。プラズマ処理システム10は、プラズマ処理の空間的な一様性とシステム処理能力の両方を高めるように最適化される。
【0067】
634で、制御304は、終点検出器334からの入力352上の帰還信号の状態を調べて、プラズマ処理サイクルが完了であるかどうか決定する。説明した実施形態では、処理サイクルの終点は、プラズマの光の特定の波長を検出しそのようなもの表す信号を制御304に与える終点検出器334で決定される。理解されるであろうが、異なる処理パラメータを使用して多数の加工物を処理することで、加工物を処理するのに必要な時間の長さを決定することができる。他の実施形態では、制御304は、622で自動同調制御が始動されるのと同時に内部タイマを始動することができる。タイマは、実験的に求められたような加工物を処理するのに要する時間の長さに設定する。したがって、内部タイマの時間が切れてプラズマ処理サイクルの終わりを示すとき、304で、制御はタイマの満了をプラズマ処理サイクルの終点として検出する。
【0068】
634で、プラズマ処理サイクルの終わりを表す入力352上の終点帰還信号の状態を制御が検出するとすぐに、636で、制御304は出力350上で命令信号を与えて、RF電源318がRF電力を最大レベルから最小レベルにデクリメントする、すなわち傾斜減少させるようにする。通常、電力を最小レベルから最大レベルに傾斜増加させるのに必要とされるのと同じ速度で、したがって全く同じ時間で、電力は最大レベルから最小レベルに傾斜減少される。638で、RF電源318が最小レベルの電力を供給していることを制御304が検出するとすぐに、640で、制御304はRFシステムが最小電力レベルで同調されていることを検査する。その後、642で、制御304は自動同調制御をオフし、200ミリ秒の遅延を実行する。この遅延によって、最小電力レベルのプラズマが安定化することができる。
【0069】
従来のプラズマ処理サイクルでは処理サイクルの終わりにRF発生器をオフにし、同調回路はRF電源からの処理電力出力に対応する状態になっている。したがって、異なった電力レベルの可能性がある次のサイクルが開始されるとき、同調回路320がインピーダンスを整合させるのに時間が必要になる。対照的に、本発明では、サイクルの終わりに、同調回路は最小電力に同調される。したがって、RF電源318が最小電力にオンされる次の処理サイクルの始めに、同調回路320は、所望のインピーダンス整合がすでに存在しているか、すぐに整合に同調させることができるかいずれかのような状態にある。RFシステムの調整を最小限にすることで、結果的に最高で15秒のサイクル時間の節約となる。
【0070】
次に、制御304は、644で、圧力監視の動作を停止し、出力342および346上で命令信号を与えて、それぞれの電磁弁341および315がそれぞれの真空弁140および隔離弁314を閉じるようにする。さらに、制御304は出力344上で命令信号を与えて、適切なマス・フロー・コントローラ312を流れるガスの流量を終わらせる。さらに、制御304は、出力356上で命令信号を与えて、電磁弁357がブリード・バルブ54を開くようにし、それによって、処理チャンバ12を減圧する。646で、制御304は、処理チャンバ12内の圧力が実質的に大気圧に等しいことを決定する。この決定は、通常、ブリード・バルブ54で処理チャンバ12を減圧するのに必要な時間を測定するように内部タイマを使用する制御で行われる。したがって、648で、制御304は出力337上で命令信号を与えて、電磁弁338が状態を変えて蓋アクチュエータ122の動作を逆にするようにする。その後、650で、制御304は、蓋14が開いた位置に持ち上げられていることを検出し、さらに、その次の部品移動サイクル602を始動する。そして、上記のプロセスは次の加工物について繰り返される。
【0071】
図6および7は、本発明の原理に従った処理チャンバ12の他の実施形態を示し、この実施形態は、可変幅基板支持物260を含む。有利なことに、支持物260は、いろいろな寸法の加工物を収容することができる。図6を参照すると、基板支持物260は、2個の可動の対向する側レール264、266を滑動可能に支持する高い台262と、各連結棒212が加える下向きの力で下部電極202に取り付けられた平板267とを含む。高い台262は、複数の留め具269で平板267に機械的電気的に取り付けられている。矢印268、270で示すように、側レール264、266は、支持台262の周囲近くの極限位置から高い台262の長手方向の軸に沿った中心位置までの間で動かすことができる。その結果として、側レール264、266の間の間隔は、所定の横幅の加工物272に対応して変えることができる。
【0072】
側レール264および側レール266は全く同じ構造であり、この構造を側レール266に関連して説明する。図7を参照すると、側レール266は、各対向端に一体の垂直な柱276のある水平部材274を備える。チャネル278は水平部材274の長さ全体に沿って長手方向に延び、加工物272の周辺縁部を受け入れる所定幅のU字形断面を有する。チャネル278の各対向端は、フレア・リップ280を含み、このリップによって、加工物272の側縁部を滑動可能に容易につかまえることができるようになる。
【0073】
各垂直柱276は、固定ネジ286を収容するネジ切り穴284を有する上の突出し部分282および傾斜のついた下の突出し部分288を含む。上の突出し部分282の下面は、下の突出し部分288の上面から垂直方向に変位して、高い台262の厚さよりも僅かに小さな幅のくぼみ290を形成する。このくぼみ290は高い台262の周辺縁部を滑動可能に収容する。したがって、各側レール264、266は、所定の横位置に独立に移動させ、固定ネジ286で取り付けることができる。
【0074】
図8〜12を参照すると、同様な参照数字は図1〜7の同様な特徴を指し、さらに、本発明の他の実施形態に従って、プラズマ処理システム10は、チャンバ・ベース18および蝶番式に動かすことができるようにチャンバ・ベース18と結合されたチャンバ蓋402を含む処理チャンバ400を備えることができる。特に、処理空間102に加工物56を入れるか出すか移動させるための開いた位置とチャンバ蓋402がチャンバ・ベース18と封止接触する閉じた位置との間で、チャンバ蓋402がチャンバ・ベース18に対して選択的に旋回しまたは1つの端が飛び出すように、チャンバ蓋402の1つの側は蝶番アセンブリ16に取り付けられている。ローディング・ステーション20(図1)および出口ステーション22(図1)を使用して、処理チャンバ12に関してここで説明したように、処理チャンバ400に加工物56を入れたり出したり往復運動で運ぶことができる。プラズマ処理システム10の能力を拡張するために、チャンバ蓋402をチャンバ蓋14(図1)と取り替えることができる。その結果、元のチャンバ蓋を有する既存のプラズマ処理システムに、本発明の態様のチャンバ蓋402を組み込んだ代替チャンバ蓋を後付けすることができるようになる。
【0075】
チャンバ蓋402は、下部側壁部404、ドーム型天井部406、およびドーム型天井部406から下部側壁部404を隔離する中間側壁部408を含むアセンブリである。側壁部404、408およびドーム型天井部406は、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような比較的高い電気伝導率を有する材料で形成される。中間側壁部408の周囲上部縁部と上のドーム型部406の周囲下部縁部の間に、圧縮性エラストマーのOリング封止材401が設けられる。他の圧縮性エラストマー・Oリング封止材403が、中間側壁部408の周囲下部縁部と下部側壁部404の周囲上部縁部の間に設けられる。Oリング51が、下部側壁部404の周囲下部縁部とチャンバ・ベース18のエプロンの間に圧縮的に保持される。下部側壁部404は、処理チャンバ400の処理空間102で起こるプラズマ・プロセスを見るための2個のビューポート・アセンブリを含み、そのうちのビューポート・アセンブリ410を図12に見ることができる。
【0076】
無線周波(RF)キャビティ472からプラズマ・キャビティ442を隔離するドーム型天井部406の分割壁406aに、ガス口409が設けられる。このガス口409は、プラズマ・キャビティ442をプロセス・ガスの供給源407まで延びるガス・ライン405と流体連通状態に結合するガス取付け部品411で構成される。このガス取付け部品411はガス分配通路でプラズマ・キャビティ442と結合され、このガス分配通路は、プロセス・ガス通路413、プロセス・ガス通路413と結合された一対のプロセス・ガス通路415a、b、および、セラミックス絶縁板416の上の平面の近くで終端するようにガス通路415a、bから延びる多数のガス通路417を含む。プラズマを生成するようにRFエネルギーで励起されたときに、ここで説明したように、加工物56のダウンストリーム型プラズマ処理を行うために適切な遊離基および他の活性種を供給することができる任意の適切なプロセス・ガスまたはプロセス・ガス混合物を供給することができる。代表的なプロセス・ガスには、O2、CF4、N2およびH2があり、Arのような不活性ガスと混合されてプロセス・ガス混合物を実現することができる。処理チャンバ400中でのダウンストリーム型プラズマ処理に適したガス流量は、一般に、約1sccmから約300sccmまでの範囲にあり、プラズマ・キャビティ442の適切な圧力は約50mTorrから約1000mTorrまでの範囲にある。
【0077】
処理チャンバ400を囲繞する環境からの雰囲気空気のマス・フロー制御された流れは、プロセス・ガスとして使用することができ、表面汚染物質を除去するためのある特定の用途で特に有効であることが分かっている。そのようなダウンストリーム型プラズマは、水素、酸素、窒素および空気の他の主要な構成物から得られる、酸素ベースの遊離基および窒素ベースの遊離基を含んだ遊離基を含むと思われる。
【0078】
続けて図8〜12を参照すると、チャンバ蓋402のドーム型天井部406は、接地板412と、接地板412に対向しかつ接地板412と一般的に平行な電力供給平面を画定する電力供給電極414を含む。接地板412、およびプラズマ・キャビティ442を囲繞するドーム型天井部406の部分が、共同で、接地面を画定する。長方形の平面セラミックス電極絶縁物416は、接地板412を含んだドーム型天井部406から電力供給電極414を分離する。プラズマ・キャビティ442は、接地板412と電力供給電極414の間に囲まれた体積として、ドーム型天井部406中に画定される。接地板412と電力供給電極414は各々、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような高電気伝導率を有する材料で形成される。
【0079】
接地板412は、加工物56の幾何学的形状に依存した構成、寸法、および/または配列を有する複数の開口または貫通孔421(図13)を含む。貫通孔421は、プラズマ・キャビティ442で生成された直接プラズマから処理空間への遊離基および正味電荷のない他のプロセス・ガス種の好ましい透過を可能とし、プラズマ・キャビティ442に存在する直接プラズマから処理空間102へのイオンおよび電子のような荷電種の移動を阻止するか、または防げる。一般に、接地板412は、プラズマ・キャビティ442から処理空間102に入ることを許されたプラズマからかなりのパーセント値の荷電種を除去するのに効果的である。貫通孔421は、プラズマ・キャビティ442から処理空間102への見通し通路を持たない曲がりくねった経路である。処理空間102のプラズマは、荷電粒子のない、または実質的にないダウンストリーム型のプラズマであり、そうでなければ荷電粒子が行う物理的作用のない状態で、基の化学作用によって加工物56のプラズマ処理を行う。
【0080】
貫通孔421は、アレイまたはマトリックス状に配列することができ、または、周期性のない中心間穴間隔で配列することができる。接地板412の貫通孔421の面積密度は、1平方インチ当たり約10個の穴から1平方インチ当たり約200個の穴の範囲でよい。個々の貫通孔421の直径は、約0.001インチから約0.125インチの範囲でよい。
【0081】
図13および14を参照すると、チャンバ蓋402は、接地板418(図13)および接地板420(図14)のような他の接地板を使用して新たに構成することができる。接地板418、420は、プラズマ・キャビティ442中の直接プラズマから処理空間102に送られ最終的には基板支持物64に支持される加工物56の露出表面56aに送られる遊離基の分布またはパターンを変えるために、接地板412と交換することができる。接地板418および420の貫通孔419は、プラズマ・キャビティ442から処理空間102に入ることを許される遊離基の空間分布を変えるように、構成、寸法および/または配列が接地板412と違っている。
【0082】
接地板418は、ディスク状の穴パターンの円形の外周の内側に配列された複数の貫通孔419を含む。接地板418は、例えば、300mmシリコン・ウェーハのような半導体ウェーハをダウンストリーム型プラズマで処理するために使用することができる。接地板420は、長方形の中心開口を有する2枚のフレーム板422、424、および中心開口を部分的にふさぐようにフレーム板422、424の間に取り込まれた遮蔽格子または格子426を含む。遮蔽格子426は、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような比較的高電気伝導率を有する材料で作られた目の細い針金の網である。
【0083】
様々な接地板412、418および420の中から選ぶことができることで、プラズマから加工物56に送られる遊離基の幾何学的なパターンを調整することができるようになる。そのために、接地板412の貫通孔421のような貫通孔の穴パターンは、ダウンストリーム型プラズマでプラズマ処理される加工物56の形状寸法に対応するように調整することができる。例えば、接地板412の貫通孔421は、丸い加工物を処理するためにはディスク状穴パターンに、正方形の加工物には正方形状穴パターンに、長方形の加工物には長方形状穴パターンに、さらに、加工物56の幾何学的形状に一致するために必要なような当業者には明らかな他の幾何学的配列に、配列することができる。一般に、貫通孔421は、穴パターンの周囲限界が加工物56の外周縁または周囲に実質的に対応するように、接地板412に位置づけされる。
【0084】
図8〜12を参照すると、チャンバ蓋402は、さらに、無線周波(RF)バルクヘッド取付け部品428、一対のセラミックス・キャップ430a、b、一対の環状セラミックス・スプール432a、b、一対の電力フィードスルー434a、b、電力分配棒436、および無線周波(RF)蓋クロージャ要素438を含む。無線周波(RF)電源439は、伝導線440によってRFバルクヘッド取付け部品428と電気的に結合されている。RF電源439およびチャンバ蓋402の部品が、共同で、プラズマ・キャビティ442のプロセス・ガスを励起してプラズマを生成することができるプラズマ励起源を実現する。電力フィードスルー434a、bは、RF電力をRFバルクヘッド取付け部品428および電力分配棒436から電力供給電極414に伝達する。RF電源439は、一般に、約40kHzと約13.56MHzの間の周波数、好ましくは約13.56MHzで、さらに約0ワットと約600ワットの間の電力、一般には約50ワットから約600ワットまでの電力で動作する。
【0085】
セラミックス・キャップ430aは、電力フィードスルー434aの上部に固定され、電力分配棒436とクロージャ要素438の間に位置づけされる。セラミックス・スプール432aは、分割壁406aと電力分配棒436の間に取り込まれ、電力フィードスルー434aは、セラミックス・スプール432aの穴を通って延びて、電力分配棒436と電力供給電極414を電気的に接触させる。セラミックス・キャップ430bは、電力フィードスルー434bの上部に固定され、電力分配棒436とクロージャ要素438の間に位置づけされる。セラミックス・スプール432bは、分割壁406aと電力分配棒436の間に取り込まれ、電力フィードスルー434bは、セラミックス・スプール432bの穴を通って延びて、電力分配棒436と電力供給電極414を電気的に接触させる。セラミックス・キャップ430a、bは協働して、電力棒436および電力フィードスルー434a、bの上端部をクロージャ要素438から電気的に分離する。セラミックス・スプール432a、bは協働して電力フィードスルー434a、bをドーム型天井部406の分割壁406aから電気的に分離する。また、セラミックス・スプール432a、bは、セラミックス絶縁板416と分割壁406aの間にガスの流れが生じるように、その間に垂直方向寸法の小さなギャップを維持する。
【0086】
使用中に、また、図8〜12を続いて参照すると、プロセス・ガスは、ガス取付け部品411を通ってチャンバ蓋402に入り、さらにガス通路413、415a、bを通って、セラミックス絶縁板416の上側で終っている多数のガス通路417に向けて送られる。プロセス・ガスの流れがドーム型天井部406の外の縁部に向けて送られるように、プロセス・ガスは電力供給電極414およびセラミックス絶縁板416の周囲または周辺を流れ、またはそこからしみ出る。プロセス・ガスは、セラミックス絶縁板416の縁部のまわりの処理空間102で真空力によって横方向に、さらに貫通孔421の方に引き寄せられる。これによって、プラズマ・キャビティ442中の一様なプロセス・ガス分布が促進される。
【0087】
接地板412と電力供給電極414の間に加えられたRFエネルギーは、プラズマ・キャビティ442中に存在するプロセス・ガスからプラズマを発火させ、さらに持続させる。プラズマ・キャビティ442中のプラズマは、イオン、電子、遊離基および分子種を含んだ完全な直接プラズマである。プラズマ処理システム10内のプロセス・ガスの流れは一般的に底壁44にある排気口136の方に導かれるので、プラズマ・キャビティ442中の直接プラズマの様々な成分は、吸引力すなわち真空力によって、接地板412の貫通孔421の方に引き寄せられる。接地板412はアース接地に対して接地されているので、電子およびイオンは貫通孔421の内側で再結合する傾向がある。その結果として、イオンおよび電子はほとんど処理空間102に入る可能性は小さくなる。接地板412によって、遊離基および中性分子のような正味電荷の無いプラズマ種は貫通孔421を通って処理空間102に移動することができるようになる。一般に、接地板412は、プラズマ・キャビティ442から処理空間102に移送された、すなわち入ることを許されたプラズマから実質的に全ての荷電種を取り除くために効果的である。
【0088】
真空ポンプ144(図3)の真空動作すなわち排気動作によって、遊離基および中性分子は、加工物56の方に動かされてダウンストリーム型プラズマ処理を行う。ダウンストリーム型プラズマで処理すべき加工物56は、基板支持物64の側レール66a、66bで支えられている。処理空間102に入った遊離基は、加工物56の露出表面56aと接触し、加工物56を形成する材料と科学的に反応して表面処理を行う。過剰な遊離基、未反応プロセス・ガス分子、および加工物56から除去された汚染物質は、真空ポンプ144の排気動作によって処理空間102から排出される。
【0089】
チャンバ蓋402は、表面処理のためのダウンストリーム型プラズマを生成することができることのほかに、様々な異なる能力をプラズマ処理システム10に与える。接地板412は接地面を形成するので、処理空間102中に直接プラズマを生成するようにRF発生器302(図4)で基板支持物64を付勢することができる。この結果、プラズマ処理システム10のような、チャンバ蓋402を備えたプラズマ処理システムを使用して、プロセスの要求に応じて直接プラズマかダウンストリーム型プラズマかいずれかで加工物56を選択的にプラズマ処理することができるので、両方の能力を単一のシステム10で利用することができるということになる。
【0090】
代わりの動作モードでは、接地板412を取り除き、基板支持物64をアース接地に接地し、さらに電力供給電極414を付勢して処理空間102およびプラズマ・キャビティ442中に直接プラズマを生成することによって、逆の直接プラズマを供給するように、プラズマ処理システム10を構成することができる。接地板412を取り除いた状態では、電力供給面が電力供給電極414で与えられ、かつ接地面が基板支持物64で与えられるように、チャンバ構成が変化する。逆直接プラズマの構成によって、加工物56の上の露出表面56aのプラズマ処理が向上するために、ある特定の環境の下で、プロセス時間が減少する。
【0091】
他の動作モードでは、接地板412が取り除かれた状態で電力供給電極414に電力を供給し、これに加えて、ここで説明するように、基板支持物64を付勢するように、プラズマ処理システム10を構成することができる。この動作モードでは、RF電源439で電極414に供給されるRF電力は、発生器302(図4)で基板支持物64に供給されるRF電力に対して180電気度(180E)位相がずれる。その結果、処理空間102(図3)でプロセス・ガスをイオン化する励振力を与える電圧電位は、全体的に同じ量のRF電力で実効的に2倍になる。この動作モードの1つの可能性のある利点は、電力供給電極414が付勢されるとき供給される直接プラズマの電子およびイオンのために、基板支持物64に加えられるRF電力が減少することである。
【0092】
さらに他の動作モードでは、接地板412が取り付けられた状態で電力供給電極414に電力を供給し、これに加えて、ここで説明するように、基板支持物64を付勢するように、プラズマ処理システム10を構成することができる。この動作モードでは、荷電粒子を接地板412でろ過した後で処理空間102に入ることを許された遊離基がプラズマ・キャビティ442の直接プラズマから注入される処理空間102中で生成された直接プラズマに、加工物56はさらされる。本発明の原理に従って、プロセス・ガス供給源407からプラズマ・キャビティ442中に流れ込むプロセス・ガスは、独立したプロセス・ガス供給源(図示しない)から処理空間102に直接流れ込むプロセス・ガスと違う可能性があるので、プラズマ・キャビティ442から接地板412を通って処理空間102に移される遊離基は、処理空間102で生成される直接プラズマの種と違っている。
【0093】
本発明の原理に従って、また、続いて図8〜12を参照すると、中間側壁部408は、垂直方向のチャンバ蓋402のチャンバ寸法を増すように作用する。チャンバ蓋402から中間側壁部408を取り除くことで、垂直方向のチャンバ寸法を減少することができる。元の中間側壁部408に追加の中間側壁部408を加えて、すなわち積み重ねて、チャンバ蓋402の高さをさらに増し、垂直方向のチャンバ寸法をさらに高くすることができる。本発明がさらに考えていることであるが、例えば中間側壁部408を伸長可能な真空ベローとして作るような多数の異なるやり方で、チャンバ蓋402の垂直方向の寸法を変えることができる。下部側壁部404およびドーム型天井部406は、チャンバ蓋402を形成するアセンブリに常に存在し、中間側壁部408のない状態で組み立てられるとき、部分404および406の寸法によって、電力供給電極414と電力供給電極414に直面する加工物56の露出表面56aとの間の最小間隔が画定される。
【0094】
中間側壁部408は取外し可能に下部側壁部404に取り付けられる。取付け時に、下部側壁部404に対する中間側壁部408の位置決めの助けになるように、案内444が設けられる。同様に、案内444は、取付け時に、中間側壁部408に対してドーム型天井部406を位置決めするのを手助けする。中間側壁部408がアセンブリから取り除かれる場合、下部側壁部404に対してドーム型天井部406を位置決めするためにも、案内444を使用することができる。中間側壁部408を下部側壁部404と固定し、かつOリング403に圧縮力を加えて空密封止を形成するために、留め具448が使用される。同様に、ドーム型天井部406を中間側壁部408と固定し、かつOリング401に圧縮力を加えて空密封止を形成するために、留め具450が使用される。
【0095】
1つまたは複数の中間側壁部408の挿入および取外しによって処理チャンバ400の垂直方向のチャンバ寸法を変えることができることで、プラズマ処理システム10は異なる厚さの加工物56に対応することができるようになる。特に、電力供給電極414と基板支持物64で保持された加工物56の露出表面56aとの間に再現性のある、すなわち予測可能な距離すなわち間隔を維持することができる。そのために、各中間側壁部408の垂直方向の寸法は、電力供給電極414と露出表面56aの間に所望の間隔を与えるように選ぶことができる。例えば、チャンバ蓋402を2個の1インチ厚さの中間側壁部408で構成することで、2インチ厚さの加工物56の露出表面56aは、チャンバ蓋402が単一の1インチ中間側面部408を有する処理チャンバ構成における1インチ厚さの加工物56と同じ距離だけ、電力供給電極414から離れる。
【0096】
加工物56の処理表面と電力供給電極414の間の間隔は、直接プラズマか処理の一様性が十分であるダウンストリーム型プラズマかいずれかで効果的なプラズマ処理を行うために制御しなければならない基本的な変数である。理解されるであろうが、1つまたは複数の取外し可能な中間側壁部408を使用してチャンバ蓋402および処理空間102の囲まれた体積を変える機能は、直接プラズマ処理システムとダウンストリーム型プラズマ処理システムの両方に制限なしに応用することができる。
【0097】
同様な参照数字は図1〜14の同様な特徴を示す図15〜18を参照すると、また、本発明の他の実施形態に従って、プラズマ処理システム10は、チャンバ・ベース18と、チャンバ・ベース18と蝶番式に可動に結合された、チャンバ蓋402と同様なチャンバ蓋502とを含む処理チャンバ500を備えることができる。チャンバ蓋502は、蝶番アセンブリ16に取り付けられて、処理空間102に加工物56を入れたり出したり移動するための開いた位置とチャンバ蓋502が封止するようにチャンバ・ベース18に接触する閉じた位置のどちらかに、チャンバ・ベース18に対して選択的に旋回するか、または一端を突き出すようになる。チャンバ蓋502は、チャンバ蓋14(図1)またはチャンバ蓋402(図8〜14)と交換して、チャンバ蓋502と同様なやり方でプラズマ処理システム10の機能を拡張することができる。さらに、チャンバ蓋502は、プラズマ処理システム10のような既存のプラズマ処理システムに後付けすることができる。
【0098】
チャンバ蓋502は、プラズマ・キャビティ542を有するドーム型天井部504およびドーム型天井部504と固定された下部側壁部506を含むアセンブリである。ドーム型天井部504は、プラズマ・キャビティ542の周囲のまわりに延びる側壁501および無線周波(RF)チャンバ543をプラズマ・キャビティ542から分離する分割壁508を含む。案内544(図16)は、下部側壁部506に対してドーム型天井部504を位置決めするために使用される。圧縮性エラストマーOリング封止材503が、ドーム型天井部504の周囲の下の縁部と下部側壁部506の周囲の上の縁部の間に設けられる。ドーム型天井部504を下部側壁部506と固定し、かつOリング503に圧縮力を加えて空密封止を形成するために、留め具448が使用される。Oリング51は、下部側壁部506の周囲の下の縁部とチャンバ・ベース18のエプロンの間に圧縮的に保持されて、空密封止を形成する。下部側壁部506は、観察者が処理チャンバ500の処理空間102中で起こっているプラズマ・プロセスを見ることができるようにするサイト・ガラスを組み込んだビューポート・アセンブリ510を含む。本発明の考えることであるが、ここで説明した中間側壁部408(図8〜12)と同様な1つまたは複数の中間側壁部(図示しない)をドーム型天井部504と下部側壁部506の間に入れることができる。
【0099】
続けて図15〜18を参照すると、ガス・ライン505は、ガス取付け部品511を介して、プロセス・ガス供給源507(図16)をドーム型天井部504に設けられたガス口509を結合する。ガス口509は、ガス分配通路によってチャンバ蓋502に画定されたプラズマ・キャビティ542と流体連通状態に結合され、このガス分配通路は、プロセス・ガス通路513と、このプロセス・ガス通路513と流体連通状態に結合されたガス分配チャンバ515を画定するガス分配バッフル546とを含む。ガス分配チャンバ515は、ガス分配バッフル546の多数のガス出口517の分布配列によって、プラズマ・キャビティ542と流体連通状態に結合される。ガス出口517は、異なる種類および構成の加工物56をプラズマ処理するために処理チャンバ102に入ることを許されるプラズマを調整するのに適したガス負荷を与えるように、任意の寸法または配列をとることができる。ここで説明したように、プラズマ・キャビティ542で直接プラズマを生成するようにRFエネルギーで励起されたとき、加工物56のダウンストリーム型プラズマ処理を行うのに適切な遊離基および他の反応種を供給することができる任意の適切なプロセス・ガスまたはプロセス・ガス混合物を、プラズマ・キャビティ542に供給することができる。ガス分配バッフル546は省略することができ、さらにプロセス・ガスの流れはプロセス・ガス通路513の出口を通ってプラズマ・キャビティ542に入ることができると、本発明は考える。そのために、プロセス・ガス通路513の出口は、ドーム型天井部504の幾何学的な中心とほぼ一致するように位置づけすることができる。
【0100】
ドーム型天井部504は、接地板512と、この接地板512から垂直方向に間隔を空けて配置された電力供給電極514とを備える。この電力供給電極514は、接地板512と対向しかつ一般に平行な、プラズマ・キャビティ542中の電力供給面を画定する。接地板512は側壁501と良好に電気的に接触し、この側壁501は、チャンバ蓋502が接地されるときに接地板512を電気的に接地する。接地板512およびプラズマ・キャビティ542を囲繞するドーム型天井部504の部分が共同で接地面を画定する。接地板512および電力供給電極514は、各々、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような高電気伝導率を有する材料で形成される。
【0101】
図15〜18を続いて参照すると、接地板512は、上のスロット付き板516、中央のスロット付き板518および下のスロット付き板520を含むアセンブリである。板516、518および520は実質的に等しい厚さであるが、本発明はそのように限定されない。上のスロット付き板516には多数の開口すなわちスロット522が開いており、このスロットは、加工物56がローディング・ステーション20から基板支持物64にさらに基板支持物64から出口ステーション22に移動される機械方向、図16のページの面に出入りする方向、に対して横向きに延びる長軸を有する。同様に、中心および下のスロット付き板518、520各々には、多数の開口すなわちスロット524、526それぞれが開いており、そのスロット各々は、加工物移動の機械方向に対して横向きに延びる長軸を有する。垂直方向に見たときの各スロット522、524、526の断面プロファイルは、機械方向に対して横向き並んだ長軸を有するどのような形でもよく、特に長方形か楕円形かであることができる。
【0102】
図15および15Aを参照すると、上および下のスロット付き板516および520のスロット522および526は、それぞれ垂直方向に一直線に並んでいる。中央のスロット付き板518のスロット524は、スロット522および526から機械方向にずれている。スロット522、524および526は、プラズマ・キャビティ542から処理空間102へのプロセス・ガスおよび基の流体の流れを可能にするが、スロット付き板516と518の間およびスロット付き板518と520の間の相関的な板間隔と協働して、処理空間102からプラズマ・キャビティ542への見通し通路全てを実質的に無くする、曲がりくねったすなわち迷路のような経路を与える。見通し通路を無くすることで、プラズマ・キャビティ542で直接プラズマによって生成される一般に電磁スペクトルの可視領域にある光が、光が反射で向きを変える以外には、処理空間102に入ることがなくなる。
【0103】
図15、16および18を参照すると、上のスロット付き板516は、複数の例えば4個の周囲に配置されたスペーサ550で、中央のスロット付き板518から間隔を空けて配置され、このスペーサ550は板516と518を電気的に良好に接触させる。同様に、下のスロット付き板520は、複数の例えば4個の周囲に配置されたスペーサ551で、中央のスロット付き板518から間隔を空けて配置され、このスペーサ551は板518と520を電気的に良好に接触させる。スペーサ550は、板516と518を一様なギャップで分離する寸法であり、同様に、スペーサ551は、板518と520を一様なギャップで分離する寸法であり、このギャップは板516と518の間のギャップと異なっていてよい。
【0104】
本発明で考えられることであるが、スロット522、524および526は、板間隔と協働してプラズマ・キャビティ542と処理空間102の間の見通し通路を無くするか、妨げるか、または少なくとも実質的に減少させる任意の相関的な空間配列であることができる。また、本発明の考えることであるが、スロット522、524、526は、加工物56の幾何学的な形状に対応した構成、寸法、および/または配列を有することができる。一実施形態では、スロット522、524および526は、処理空間102とプラズマ・キャビティ542の間に延びる方向で見た断面プロファイルが長方形であり、ほぼ2インチの長軸に沿った寸法、ほぼ3/16インチの短軸に沿った寸法、約3/32インチの隣り合うスロット間の間隔を有し、さらに、スロット524はスロット522および526から3/16インチだけずれている。上と中央の板516と518は、板厚さにほぼ等しい距離だけ離れ、さらに、中央と下の板518と520は、板厚さの1.5倍にほぼ等しい距離だけ離れている。
【0105】
接地板512は、プラズマ・キャビティ542の直接プラズマから処理空間102へのイオンおよび電子を含んだ荷電種の移動を妨げ、プラズマ・キャビティ542から処理空間102への遊離基および正味電荷の無い他のプロセス・ガス種の移動を可能にする。特に、スロット522、524、526をそれぞれ囲繞する接地されたスロット付き板516、518、520の材料で、荷電種は捕獲される。真空ポンプ144(図3)の排気動作で、遊離基および中性分子は、スロット522、524、526を通ってプラズマ・キャビティ542から処理空間102中にさらに加工物56の方に引き寄せられて、ダウンストリーム型プラズマ処理を行う。処理空間102のプラズマは、荷電粒子および光の無いまたは実質的に無いダウンストリーム型プラズマであり、そうでなければ荷電粒子で行われる物理的な作用のない状態で、遊離基の化学作用によって加工物56のプラズマ処理を行う。一般に、接地板512は、プラズマ・キャビティ542から処理空間102中に移送された、すなわち入ることを許された直接プラズマの部分から、実質的に全ての荷電種を取り除くのに効果的である。一般に、接地板512は、荷電粒子の少なくとも約90%を取り除くために効果的であり、さらに、荷電粒子の99%以上を取り除くために効果的である。
【0106】
接地板412、418、および420(図12〜14)に関して本明細書で説明したように、例えばプラズマ処理される加工物56の種類の変化に対応するようにスロット522、524、526の構成、寸法、および/または配列を変えるために、接地板512は、チャンバ蓋502から取外し可能であるように構成される。例えば、スロット522、524、526は、丸い加工物を処理するためにディスク状パターンに、正方形の加工物のために正方形状パターンに、長方形の加工物のために長方形パターンに、さらに加工物56の幾何学的な形と相関するのに必要なような当業者には明らかな他の幾何学的な配列に、必要な大きさに作り、かつ配列することができる。
【0107】
図15〜18を参照すると、チャンバ蓋502は、さらに、無線周波(RF)バルクヘッド取付け部品528、一対の電気絶縁キャップ530a、b、一対の誘電体スプール532a、b、一対の電力フィードスルー534a、b、電力分配棒536、RFチャンバ543への接近を可能にする取外し可能な無線周波(RF)蓋クロージャ要素538、および一対の環状セラミックス・スペーサ540a、bを含む。無線周波(RF)電源539は、伝導線540でRFバルクヘッド取付け部品528と結合されている。RF電源539、およびチャンバ蓋502の部品が共同で、プラズマ・キャビティ542中のプロセス・ガスを励起してプラズマを生成することができるプラズマ励起源を実現する。電力フィードスルー534a、bは、RFバルクヘッド取付け部品528および電力分配棒536から電力供給電極514にRF電力を伝達する。RF電源539は、一般に、約40kHzと約13.56MHzの間の周波数、好ましくは約13.56MHzで、かつ約0ワットと約600ワットの間の電力、一般に約50ワットから約600ワットで動作する。
【0108】
電力フィードスルー534a、bおよびセラミックス・スプール532a、bは、分割壁508を通って延びるそれぞれの開口541a、b中に位置づけされる。キャップ530aは、電力フィードスルー534aの上部に固定され、電力分配棒536とクロージャ要素538の間に位置づけされる。セラミックス・スプール532aは、分割壁508と電力分配棒536の間に押さえられるフランジを有し、電力フィードスルー534aは、セラミックス・スプール532aの穴を通って延びて電力分配棒536と電力供給電極514を電気的に接触させる。キャップ530bは、電力フィードスルー534bの上部に固定され、電力分配棒536とクロージャ要素538の間に位置づけされる。セラミックス・スプール532bは、分割壁508と電力分配棒536の間に押さえられたフランジを有し、電力フィードスルー534bは、セラミックス・スプール532bの穴を通って延びて電力分配棒536と電力供給電極514を電気的に接触させる。セラミックス・スペーサ540aは、分割壁508と電力供給電極514の間に押さえられ、セラミックス・スプール532aと同心である。同様に、セラミックス・スペーサ540bは、分割壁508と電力供給電極514の間に押さえられ、セラミックス・スプール532bと同心である。キャップ530a、bは協働して電力棒536および電力フィードスルー534a、bの上端部をクロージャ要素538から電気的に分離する。セラミックス・スプール532a、bおよびセラミックス・スペーサ540a、bは協働して電力フィードスルー534a、bをドーム型天井部504の分割壁508から電気的に分離する。
【0109】
図15〜18を続いて参照すると、電力供給電極514の平面の上面514a、平面の下面514bおよび側縁部514cが、電気的に接地されたドーム型天井部504および接地板512の隣り合う囲繞する表面から実質的に等距離に位置づけされるように、電力供給電極514はプラズマ・キャビティ542中に位置づけされる。特に、下面514bが上のスロット付き板516の上向き平面516aから離れているのとほぼ同じ距離だけ、上面514aはガス分配バッフル546の下向き平面546aから垂直方向に離れ、かつこの平面546aと一般的に平行な関係にある。表面514aおよび514bは、一般的に平行な関係にある。さらに、側面514cと側壁501の内向きの表面501aの隣り合う部分との間の横方向距離は、表面514aおよび546aと表面514bおよび516aとの間の間隔にほぼ等しい。その結果、電力供給電極514は表面501a、546aおよび516aに対して対称に、かつこれらの表面から等距離に位置づけされることになる。プラズマ・キャビティ542中に特に一様なプラズマ、したがって処理空間102中に特に一様なダウンストリーム型プラズマを実現する一実施形態では、電力供給電極514と表面501a、546a、および516aの間の間隔はそれぞれほぼ1インチである。等距離間隔および間隔の大きさが協働して、プラズマ・スパイク、アーク放電、エネルギー・ホット・スポット、またはプラズマ不安定を引き起こすことなしに、RF電源539から電力供給電極514へのランピングの無い全電力の供給を可能にする。
【0110】
続けて図15〜18を参照すると、使用時に、プロセス・ガスはガス口509を通ってチャンバ蓋502に入り、ガス通路513を通ってガス分配バッフル546の上側に向けて送られる。ガスは、ガス分配バッフル546の上側からガス出口517を通ってプラズマ・キャビティ542中に流れ、このガス分配バッフル546はプラズマ・キャビティ542中の一様なプロセス・ガスの分配を促進する。接地板512と電力供給電極514の間に加えられたRFエネルギーは、プラズマ・キャビティ542中に存在するプロセス・ガスからプラズマを発火し、持続させる。プラズマ・キャビティ542中のプラズマは、イオン、電子、遊離基、および分子種を含有する完全な直接プラズマである。プラズマ処理システム10でのプロセス・ガスの流れは、一般的に、底壁44の排気口136に向かって導かれるので、プラズマ・キャビティ542中の直接プラズマの様々な成分は、吸引力すなわち真空力によって、接地板512を共同して構成するスロット付き板516、518、および520の方に引き寄せられる。接地板512はアース接地に対して接地されているので、電子およびイオンのような荷電種はスロット522、524、および526の内側で再結合する。その結果として、イオンおよび電子は処理空間102に入る可能性がほとんど小さくなる。接地板512によって、プロセス・ガスの遊離基および中性分子のような正味電荷の無いプラズマ種がスロット522、524および526を通って処理空間102中に移動することを可能にする。スロット522、524および526の相対的な配列、および上および中心のスロット付き板516、518と中心および下のスロット付き板518、520との間の空間関係によって、プラズマ・キャビティ542から処理空間102への見通し通路が無くなるので、または実質的に無くなるので、プラズマ・キャビティ542中の直接プラズマで生成される光は処理空間102では見えない。
【0111】
真空ポンプ144(図3)の真空動作すなわち排気動作によって、遊離基および中性分子は加工物56の方に動いて、ダウンストリーム型プラズマ処理を行う。ダウンストリーム型プラズマで処理すべき加工物56は、基板支持物64の側レール66a、66bで支持される。処理空間102に入ることを許された遊離基は、加工物56の露出表面56aと接触し、加工物56を形成する材料または露出表面56aを覆う汚染物と化学的に反応して表面処理を行う。過剰な遊離基、未反応プロセス・ガス分子、および加工物56から除去された汚染物は、真空ポンプ144の排気動作によって処理空間102から排出される。
【0112】
本発明を様々な実施形態の説明で明らかにし、またこれらの実施形態はかなり詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲の範囲をそのような詳細に限定することは、またはいずれにしても制限することは、本出願人の目的ではない。その他の有利点および修正物は当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、より広い態様の本発明は、特定の詳細、代表的な装置および方法、および図示し説明した例示の例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなし、そのような詳細から逸脱することができる。本発明自体の範囲は、請求する特許請求の範囲によって定義されるだけであるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物をプラズマで処理するための装置であって、
処理空間、チャンバ蓋、および前記チャンバ蓋中に画定されたプラズマ・キャビティを含む真空チャンバであって、前記プラズマ・キャビティと前記処理空間が流体連通状態にある真空チャンバと、
前記処理空間に位置づけされた加工物ホルダーと、
前記真空チャンバと流体連通状態で結合され、前記処理空間および前記プラズマ・キャビティを排気することができる真空源と、
前記真空チャンバと流体連通状態で結合され、プロセス・ガスを少なくとも前記プラズマ・キャビティに供給することができるプロセス・ガス供給源と、
前記プラズマ・キャビティ中のプロセス・ガスを励起してプラズマを生成することができ、前記プラズマ・キャビティと前記処理空間の間に位置づけされた接地板を含む第1のプラズマ励起源とを備え、
前記接地板が、前記プラズマ・キャビティから前記処理空間へのイオンおよび電子の移動を妨げ、かつ前記プラズマ・キャビティから前記処理空間への遊離基の移動を可能にすることができる複数の開口を有する装置。
【請求項2】
前記第1のプラズマ励起源が、前記プラズマ・キャビティ中に位置づけられた第1の電力供給電極を備え、前記第1の電力供給電極が前記プラズマ・キャビティ中にプラズマを生成するために前記接地板と協働する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のプラズマ励起源が、さらに、前記第1の電力供給電極と電気的に結合された第1の無線周波電源を備え、前記第1の無線周波電源が前記プラズマ・キャビティ中のプロセス・ガスを励起するために無線周波励起エネルギーを前記第1の電力供給電極に供給する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記処理空間中に位置づけされた第2の電力供給電極および前記第2の電力供給電極と電気的に結合された第2の無線周波電源を備え、前記第2の無線周波電源が前記処理空間中のプロセス・ガスを励起してプラズマを生成するために励起エネルギーを前記第2の電力供給電極に供給することができる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の無線周波電源が、前記第2の無線周波電源によって前記第2の電力供給電極に供給される無線周波電力に対して180電気度位相のずれた無線周波電力を前記第1の電力供給電極に供給する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の開口が、プラズマ処理される加工物の幾何学的な形に対応するパターンで配列される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記パターンの外周縁が、前記加工物の外周縁に実質的に対応する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記チャンバ蓋が、前記加工物ホルダーへの加工物の導入および前記加工物ホルダーからの加工物の取出しを可能にするために、開いた位置と閉じた位置の間で動かすことができる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
さらに、
前記チャンバ蓋が開いた位置にあるときに、加工物を前記加工物ホルダーに導入するために構成されたローディング・ステーションと、
前記チャンバ蓋が開いた位置にあるときに、前記加工物ホルダーから加工物を取り出すために構成された出口ステーションとを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記チャンバ蓋が、さらに、前記プロセス・ガス供給源を前記プラズマ・キャビティと流体連通状態で結合するプロセス・ガス入口を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記チャンバ蓋が、さらに、前記プロセス・ガス入口から入って来たプロセス・ガスを前記プラズマ・キャビティに分配するためのガス分配通路を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1のプラズマ励起源が、前記プラズマ・キャビティ中に位置づけされた第1の電力供給電極および前記第1の電力供給電極と前記チャンバ蓋の間に位置づけされた電極絶縁体を含み、さらに、前記ガス分配通路が、前記プラズマ・キャビティ中に実質的に一様な分配を行うために、前記電極絶縁体の外周および前記第1の電力供給電極の外周のまわりにしみ出るプロセス・ガスを放出する前記電極絶縁体のすぐ近くの複数の出口を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記ガス分配通路が、プロセス・ガスの流れを前記プラズマ・キャビティ中に分配するように位置づけされた複数の空間的に配列されたガス出口を有するガス分配バッフルを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記接地板が、前記プラズマ・キャビティと前記処理空間の間に取外し可能に位置づけされている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記開口が、前記処理空間と前記プラズマ・キャビティの間の見通し通路を実質的に無くするように配列されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記接地板が、複数のスロット付き板を供え、各スロット付き板が見通し通路を実質的に無くするために協働するスロット配列を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記スロット付き板のうちの隣り合うものが、見通し通路を実質的に無くするために前記スロット配列と協働する、前記プラズマ・キャビティと前記処理空間の間に延びる方向の板間の間隔を有する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記スロット付き板のうちの少なくとも1つの前記スロット配列が、前記スロット付き板の少なくとも別の1つの前記スロット配列から空間的にずれている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記真空チャンバが、加工物がその方向に搬送される機械方向を有し、前記少なくとも1つのスロット付き板の前記スロット配列が前記機械方向と同じ方向にずれている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プラズマ・キャビティが、前記チャンバ蓋の複数の内側を向いた表面と前記接地板の表面で画定され、前記電力供給電極が前記チャンバ蓋の前記複数の内側を向いた表面および前記接地板の前記表面から等距離に位置づけされている、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
加工物をプラズマで処理するための装置であって、
チャンバ・ベース、および処理空間を画定する閉じた位置と前記処理空間に加工物を入れたり出したり移動するための開いた位置との間で前記チャンバ・ベースに対して動かすことができるチャンバ蓋を有する真空チャンバであって、前記真空チャンバの垂直寸法を変えるために前記チャンバ蓋から取り除くことができる第1の側壁部を含む真空チャンバと、
前記真空チャンバと流体連通状態で結合され、前記処理空間を排気することができる真空源と、
前記処理空間に位置づけされた加工物ホルダーと、
前記真空チャンバと流体連通状態であり、プロセス・ガスを前記処理空間に供給することができるプロセス・ガス供給源と、
前記プロセス・ガスから生成される前記処理空間のプラズマを供給するように動作可能なプラズマ励起源とを備える装置。
【請求項22】
前記チャンバ蓋が、さらに、プラズマ・キャビティを含むドーム型天井部を備え、前記プラズマ励起源が前記プラズマ・キャビティ中に位置づけされた電力供給電極を含む、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記プラズマ励起源が、さらに、前記プラズマ・キャビティと前記処理空間の間に位置づけされた接地板を備える、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記接地板が、前記プラズマ・キャビティ中のプラズマから前記処理空間に遊離基を選択的に移動させることができる複数の開口を含む、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
さらに、前記チャンバ・ベースと密封するように係合することができる第2の側壁部を備え、前記第1の側壁部が前記ドーム型天井部と前記第2の側壁部の間に位置づけされる、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
さらに、前記第1の側壁部を前記第2の側壁部と位置合せするための案内を備える、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記案内が、さらに、前記第2の側壁部を前記ドーム型天井部と位置合せすることができる、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
さらに、前記取外し可能な側壁部を前記ドーム型天井部と位置合せするための案内を備える、請求項25に記載の装置。
【請求項29】
前記プラズマ励起源が、前記加工物ホルダーを含むアセンブリの部分である電力供給電極を備える、請求項21に記載の装置。
【請求項30】
厚さと露出表面を有する加工物を、チャンバ蓋およびチャンバ蓋中に位置づけされた処理電極を有する真空チャンバの処理空間でプラズマ処理する方法であって、
前記加工物の前記露出表面から前記処理電極までの距離を前記加工物の厚さに基づいて変えるために、前記チャンバ蓋の体積を変えるステップと、
前記処理空間中に加工物を配置するステップと、
前記加工物の前記露出表面を前記プラズマにさらすステップとを含む方法。
【請求項31】
前記体積を変えるステップが、さらに、前記チャンバ蓋から少なくとも1つの側壁部を取り除くことを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記体積を変えるステップが、さらに、前記チャンバ蓋に少なくとも1つの側壁部を追加することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
加工物をプラズマで処理する方法であって、
プラズマ処理システムの処理空間中に加工物を配置するステップと、
プロセス・ガスから荷電種および遊離基を含む直接プラズマを生成するステップと、
前記直接プラズマから荷電種をろ過して遊離基を含むダウンストリーム型プラズマを生成するステップと、
前記処理空間で前記加工物を前記ダウンストリーム型プラズマの遊離基にさらすステップとを含む方法。
【請求項34】
前記荷電種をろ過することが、前記直接プラズマが生成されるプラズマ・キャビティと前記処理空間の間に接地された穴あき板を位置づけすることを含み、前記穴が、前記プラズマ・キャビティ中の直接プラズマから前記処理空間に遊離基を選択的に移動させることができる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記プラズマ処理システムが、可動チャンバ蓋を有する真空チャンバおよび前記接地された穴あき板で前記処理空間から隔離された前記チャンバ蓋中のプラズマ・キャビティを含み、さらに、前記直接プラズマの生成が前記プラズマ・キャビティ中で起こる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記プロセス・ガスが空気であり、前記直接プラズマが空気から生成され、さらに、前記第2のプラズマが、空気の構成ガス特有の基を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記直接プラズマの生成で光が生じ、前記直接プラズマから生じる光の前記処理空間中への伝達を実質的に無くすることをさらに含む、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図15A】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−80984(P2010−80984A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294576(P2009−294576)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【分割の表示】特願2003−113544(P2003−113544)の分割
【原出願日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】