説明

プラズマ電位制御装置およびその方法

【課題】プラズマ処理システムの再設計をできるだけ少なくして、プラズマ閉じ込めを強化する方法を提供する。
【解決手段】半導体ウエハーのプラズマ処理用装置100を開示する。この装置は、その内部に下部電極103と上部電極105とを配置したチャンバ101を備える。下部電極103は、高周波電流をチャンバに流し、チャンバ内でプラズマを生成するように構成される。上部電極105は、下部電極103の上に配置され、チャンバから電気的に絶縁されている。上部電極には電圧源123が接続されている。電圧源123は、チャンバに対する上部電極105の電位を制御可能なように構成される。上部電極の電位を電圧源を用いて制御することにより、下部電極と上部電極との間に生成するべきプラズマ電位に影響を与えることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体ウエハー(以下、「ウエハー」)の製造工程では、ウエハーをプラズマに暴露してプラズマの反応性成分によりウエハー表面を改質する処理が行われることが多い。ウエハーのプラズマ処理は通常チャンバ内で行われる。チャンバ内で、反応ガスに高周波(RF)電力をかけると、反応ガスがプラズマに変換される。ここで、反応ガスの流量が高い場合には、チャンバ内でのプラズマ閉じ込めに損失が生じる。プラズマ閉じ込めの損失は、プラズマとチャンバとの間の領域におけるパッシェン破壊に起因すると考えられる。
【0002】
中性ガスに導入された電子は、中性ガスを貫通する電場の存在によりエネルギーを獲得する一方で、中性ガス分子との衝突によりエネルギーを失う。電子の平均エネルギーゲインが中性ガスをイオン化させるのに十分大きければ、プラズマ破壊が生じる。パッシェンモデルでは、電子と中性ガス分子との間の衝突の影響を積(P*d)で表す。ここで、(P)は中性ガスの圧力、(d)は装置の特性スケールの長さ(すなわち、高電位領域と接地との間の距離)を示す。パッシェンモデルにより、プラズマ閉じ込めができない反応ガス流量の閾値傾向の多くを定性的に説明することができる。従来、上記積(P*d)を最小化することに、プラズマ閉じ込め研究の多くが費やされてきた。ただし、積(P*d)を最小化するためには、既存のプラズマ処理システムを実質的に再設計する必要がある。このため、プラズマ処理システムの再設計をできるだけ少なくして、プラズマ閉じ込めを強化する別の方法が求められてきた。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一つの態様は、チャンバと、下部電極と、上部電極と、を備える半導体ウエハープラズマ処理装置である。下部電極は、チャンバ内に配置され、チャンバ内を通して高周波電流を伝送するように構成される。また、下部電極は、高周波電流によりチャンバ内に発生するプラズマに暴露される半導体ウエハーを保持するように配置される。上部電極は、下部電極より上に、かつ、距離をあけて配置される。また、上部電極は、チャンバから電気的に絶縁される。半導体ウエハープラズマ処理装置は、さらに、上部電極に接続される電圧源を備える。電圧源は、チャンバに対する上部電極の電位を制御するように構成される。上部電極の電位を制御することによって、下部電極と上部電極との間に生成されるプラズマの電位に影響を与える。従って、電圧源を用いて上部電極の電位を制御することにより、プラズマ電位の制御が可能になる。
【0004】
本発明の別の態様は、チャンバと、下部電極と、上部電極と、インピーダンス制御装置と、を備える半導体ウエハープラズマ処理装置である。下部電極は、チャンバ内に配置され、チャンバ内を通して高周波電流を伝送するように構成される。また、下部電極は、高周波電流によりチャンバ内に発生するプラズマに暴露される半導体ウエハーを保持するように配置される。上部電極は、下部電極より上に、かつ、距離をあけて配置される。また、下部電極と上部電極との間の空間でプラズマが生成され、この空間にプラズマが閉じ込められる。インピーダンス制御装置は、上部電極の中心領域と基準接地との間に接続される。また、インピーダンス制御装置は、上部電極の中心領域を通る高周波電流伝送路を制御するように構成される。インピーダンス制御装置による高周波電流伝送路の制御によりプラズマの閉じ込め制御が可能になる。
【0005】
本発明のさらに別の態様は、チャンバ内に下部電極を備える半導体ウエハープラズマ処理装置である。下部電極は、チャンバ内を通して高周波電流を伝送するように構成される。また、下部電極は、高周波電流によりチャンバ内に発生するプラズマに暴露される半導体ウエハーを保持するように配置される。さらに、下部電極より上に、かつ、距離をあけて上部電極が配置される。上部電極は、ドープ半導体材料から形成される。上部電極内のドーピング濃度は、上部電極の中心から周縁部に向かって放射状に変化する。
【0006】
本発明のまた別の態様は、プラズマ閉じ込め制御方法である。プラズマ閉じ込め制御方法は、チャンバ内部の下部電極と上部電極との間でプラズマを生成する工程と、上部電極とチャンバとの間に接続される電圧源を制御する工程と、を備える。電圧源の制御により、上部電極上の電位が制御される。この上部電極上の電位の制御に応じて、プラズマの電位が変化して、チャンバ内部のプラズマ閉じ込めに影響を与える。
【0007】
本発明の他の態様や利点は、添付図面を参照した以下の本発明の実施例の詳細な説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例として、半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システムを示す概略構成図である。
【図2】本発明の別の実施例として、半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システムを示す概略構成図である。
【図3】本発明の更に別の実施例として、半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システムを示す概略構成図である。
【図4】本発明の一実施例として、インピーダンス制御装置を含む半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システムを示す概略構成図である。
【図5】本発明の一実施例として、プラズマ閉じ込め制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本発明の完全な理解を助ける目的で、多くの具体的な詳細が記載されている。ただし、当業者には自明であるが、これらの具体的な詳細の一部または全部を省略した形態でも本発明は実施可能である。また、本発明理解の便を図って、周知の工程や操作の詳細な説明は省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施例として、半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システム100を示す概略構成図である。システム100は、その内部でプラズマ109を生成し、基板104をプラズマに暴露可能なプラズマ処理チャンバ(以下、「チャンバ」)101を有する。ここで、基板104は、半導体ウエハー、あるいは、電子的要素を内部で規定する他のいかなる種類の基板でもよい。チャンバ101は、下部電極103と上部電極105とを備える。処理操作の際に、RF電源117により生成された高周波(RF)電力は、連結部119および121を介して、照合ネットワーク115から下部電極103に送られる。電源117から負荷に対してRF電力が正しく伝送されたことを実証するために適当なインピーダンス照合を実施するように、照合ネットワーク115を構成することが望ましい。下部電極103で受信したRF電力は、チャンバ101の内部空間を通り、基準接地に対して制御電位に維持された上部電極105に伝達される。本実施例では、チャンバ101が、基準接地として作用する。
【0011】
上部電極105は、連結部125を介して、直流(DC)電圧源123に接続され、DC電圧源123は、連結部127を介して、基準接地に接続される。上部電極105と基準接地との間にフィルタネットワーク122が接続され、DC電圧源123を迂回して接地に直接RF電流を伝送可能な手段として機能する。上部電極105をチャンバ101から電気的に絶縁させる構成が望ましい。本実施例では、上部電極105は、誘電体113によりチャンバ101から電気的に絶縁されている。円盤状上部電極を用いた本実施例では、誘電体113は環状体でもよい。上部電極105が電気的に絶縁されているため、接地に対する、すなわち、チャンバ101に対する上部電極105の電位は、DC電圧源123で制御可能である。さらに、プラズマ109の電位は上部電極105の電位に影響されるため、DC電圧源123により上部電極105の電位を制御することによって、プラズマ109の電位を制御することができる。
【0012】
処理操作では、制御下で反応ガスをチャンバ101内部に供給すると、チャンバ101内部を介して、すなわち、反応ガスを介して、下部電極103から上部電極105に伝送されるRF電力の作用により、反応ガスがプラズマ109に変換される。チャンバ101内の所定の位置におけるプラズマ109の濃度は、チャンバ101内の所定の位置を通って伝送されるRF電力の量に比例する。従って、チャンバ101内の所定の位置を通って伝送されるRF電力量を大きくすることにより、チャンバ101内の所定の位置におけるプラズマ109の濃度が増大し、また、その逆も成立する。
【0013】
下部電極103と上部電極105との間に存在する、基板104上の空間を取り囲むように、チャンバ101内に一組の閉じ込めリング111を設置する。ここで、図1に示す閉じ込めリング111の数は単なる一例に過ぎず、図1の数よりも閉じ込めリング111の数を多くすることも少なくすることもできる。閉じ込めリング111の作用により、基板104上の空間にプラズマ109が閉じ込められる。もっと具体的に言えば、隣接する閉じ込めリング111間の溝でプラズマ109が消滅する。隣接する閉じ込めリング111間の溝の内周と外周との間の電位により、溝のプラズマ109閉じ込め能力が左右される。すなわち、閉じ込めリング111の外側領域に対してプラズマ109の電位を制御することにより、プラズマ109の閉じ込め制御が可能になる。一般に、チャンバ101に対してプラズマ109の電位を低くすれば、プラズマ109の閉じ込めが容易になる。
【0014】
本発明の説明の簡明さを図って特に言及はしないが、プラズマ処理チャンバ101並びにシステム100は、上記以外にも多くの特徴や構成要素を備える。本発明は、主に、上部電極105の電位の制御および/あるいはチャンバ101を通るRF電力の伝送路の制御に基づく、チャンバ101内プラズマ109の電位制御に関する。
【0015】
図1に示す例では、DC電圧源123は、上部電極105の中心近傍に接続される。DC電圧源123により上部電極105の電位を制御することにより、チャンバ101に対するプラズマ109の電位を低下させることができる。従って、DC電圧源123を用いて、チャンバ101に対するプラズマ109の電位に「バイアスをかける」ことができる。プラズマ109の電位にバイアスをかけて、閉じ込めリング111とチャンバ101との間に存在する電界が低下するように、DC電圧源123の極性を設定する。閉じ込めリング111とチャンバ101との間の電界強さの低下に伴って、プラズマ閉じ込め能力が増大する。プラズマ閉じ込めを最適化するように、DC電圧源123の電圧レベルを設定することができる。プラズマ閉じ込めの最適化に必要な所定電圧レベル、すなわち、最適電圧レベルは、チャンバの特定細部構造によって変動するが、チャンバ101に対するプラズマ109の電位よりも低くなければならない。
【0016】
RF電流に対して短絡を与える「理想」電圧源として、DC電圧源123を構成することができる。あるいは、「理想」電圧源ではなく、RF電流に対して低インピーダンスを与えるように、DC電圧源123を構成することもできる。更に、RF電流に対して一定のインピーダンスを与えるように、DC電圧源123を構成することもできる。
【0017】
周知のように、プラズマ閉じ込め処理システムでは、反応ガスの流量が高いとプラズマ閉じ込めに損失が生じるという問題がある。DC電圧源123を用いてプラズマ109の電位を制御することにより、閉じ込めリング111とチャンバ101との間の電界を低下させて、その結果、プラズマ閉じ込めウィンドウを拡大することができる。プラズマ閉じ込めウィンドウを拡大すれば、反応ガスの流量が高くなってもプラズマの閉じ込めが可能になる。従って、DC電圧源123によりプラズマ閉じ込めウィンドウを拡大することによって、ガス流量等のプラズマ処理パラメータを確立する際のフレキシビリティを高めることができる。
【0018】
プラズマ電位の高度制御により、ガス流量の増加が許容可能な範囲を超えて、処理制御を拡張することができる。例えば、プラズマ電位の高度制御により、ウエハー104の表面上におけるイオンエネルギー分布の調節が可能になる。ウエハー104の表面上におけるイオンエネルギー分布の調節は、ウエハー104表面全体にわたるエッチングプロファイルに影響する。もっと具体的に言えば、プラズマ109と下部電極103表面との間の電位は、プラズマ109とウエハー104との間の領域、すなわち鞘状領域をイオンが移動することにより生じるエネルギーを規定する。DC電圧源123によってプラズマ電位を操作することにより、鞘状領域を隔てた電位差を操作することが可能になる。鞘状領域を隔てた電位差の操作は、ウエハー104に接するイオンエネルギー分布に直接的な影響を与える。
【0019】
状況によっては、プラズマ電位をより空間的に制御することが望ましい。上部電極105上における電位の空間的な制御を増強することにより、プラズマ電位の空間的制御の拡張が可能である。図2は、本発明の別の実施例として、半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システムを示す概略構成図である。図2のプラズマ処理システムは、上部電極105とDC電圧源123とを除き、上述した図1のプラズマ処理システムと基本的に同様の構成である。図2の実施例では、上部電極は、中心部105A1と、環状部105A2と、環状部105A3とから形成され、環状部は中心部の外側に同心円状に配置される。上部電極の隣接部は、誘電体領域129Aおよび129Bにより、互いに電気的に分離される。図2の実施例に示した上部電極の区分構造は単に例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。上部電極の各部の数や大きさ、並びに、対応するDC電圧源の数や大きさは、プラズマ処理要件を満たす限り任意に設定可能である。
【0020】
上部電極の各部(105A1、105A2、105A3)は、各DC電圧源(123A、123B、123C)に接続される。DC電圧源123A、123B、123Cは、上述した図1に示す実施例のDC電圧源123と同様に構成される。上部電極の各部(105A1、105A2、105A3)と基準接地との間にフィルタネットワーク123が接続され、各DC電圧源(123A、123B、123C)を迂回して接地に直接RF電流を伝送可能な手段として機能する。各DC電圧源123Aないし123Cを用いることにより、チャンバ101に対して上部電極の各部が異なった電位を保持することができる。従って、上部電極を区分化することにより、プラズマ109上における電位分布を確立することが可能になる。プラズマ109内部の電位分布に影響を与えることにより、上部電極の区分構造における電位分布と組み合わせて、ウエハー104上のエッチング特性が左右される。
【0021】
図3は、本発明の更に別の実施例として、半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システムを示す概略構成図である。図3のプラズマ処理システムは、上部電極105とDC電圧源123とを除き、上述した図1のプラズマ処理システムと基本的に同様の構成である。図3の実施例では、上部電極は、ドープシリコン等のドープ半導体材料から形成され、上部電極内のドーピング濃度は、上部電極の中心から周縁部に向かって放射状に変化する。例えば、一実施形態において、上部電極は、第一ドーピング濃度の中心部105B1と、第二ドーピング濃度の環状部105B2と、第三ドーピング濃度の環状部105B3とから形成され、環状部は中心部の外側に同心円状に配置される。図3の実施例に示した上部電極の区分構造は単に例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。プラズマ処理要件を満たす限り、任意のドーピングプロファイルに従って上部電極の区分構造を設定可能である。
【0022】
図3の実施例において、上部電極内部の所定の位置におけるドーピング濃度に基づき、上部電極の所定の位置を通る電気抵抗を制御することができる。上部電極の所定の位置を通る電気抵抗は、所定の位置における上部電極の電位に影響を与える。従って、上部電極のドーピングプロファイルに応じて、プラズマ109上に電位分布を確立することができる。上述したように、プラズマ109内部の電位分布に影響を与えることにより、上部電極の電位分布と組み合わせて、ウエハー104上のエッチング特性が左右される。一実施形態において、上部電極(105B1ないし105B3)がチャンバ101から電気的に絶縁される。この実施例で、一つあるいは複数の電圧源を上部電極に接続して、上部電極上の電位分布を制御するようにしてもよい。
【0023】
図4は、本発明の一実施例として、インピーダンス制御装置133を含む半導体ウエハー処理用のプラズマ処理システムを示す概略構成図である。図4のプラズマ処理システムは、DC電圧源123を除き、上述した図1のプラズマ処理システムと基本的に同様の構成である。図4の実施例では、DC電圧源123は不要であるが、DC電圧源123を備える構成でもかまわない。図4のプラズマ処理システムは、上部電極の中心領域と基準接地、すなわち、チャンバ101との間に接続されるインピーダンス制御装置133を備える。インピーダンス制御装置133は、上部電極105の中心領域を通るRF電流伝送路を制御する。RF電流伝送路を制御することによりプラズマの閉じ込め制御を実行することができる。
【0024】
例えば、下部電極が2MHzと27MHzの両方の周波数でRF電力を伝送するように制御されている場合、インピーダンス制御装置133はフィルタネットワーク、すなわち、並列接続されたインダクタとコンデンサとして機能し、上部電極105の中心領域を通る2MHzのRF電流に対して高インピーダンスを与える。従って、2MHzのRF電流に対して上部電極105の周縁部近傍の伝送路が優位になり、その結果、上部電極105周縁部近傍の電力集中が増大する。上部電極105の周縁部近傍における電力集中の増大により、プラズマ109の閉じ込めが強化、すなわち、増進される。
【0025】
図5は、本発明の一実施例として、プラズマ閉じ込め制御方法を示すフローチャートである。図5の方法は、図1及び図2に基づいて上述したプラズマ処理システムを用いて実行される。このプラズマ閉じ込め制御方法は、チャンバ内部において下部電極と上部電極との間でプラズマを発生させる工程501と、上部電極上の電位が制御されるように、上部電極とチャンバとの間に接続される電圧源を制御する工程503と、を備える。例えば、電圧源は低インピーダンスをRF電流に与えるDC電圧源でもよい。上部電極上の電位の制御に応じて、生成されたプラズマの電位が変化して、チャンバ内部のプラズマ閉じ込めに影響を与える。
【0026】
一実施形態では、チャンバに対するプラズマ電位が低下するように電圧源が制御される。この場合、プラズマ電位の低下により、プラズマ閉じ込めが保持される。また、プラズマ閉じ込め制御方法が、さらに、プラズマとチャンバとの間の電界強さを低下させ、電界強さの低下によりプラズマ閉じ込めを保持するように、電圧源の極性を確立する工程を備えるようにしてもよい。別の実施形態として、工程503が、上部電極の各部の電位をそれぞれ制御する複数の電圧源を独立に制御するような構成も可能である。上部電極の各部の電位を独立に制御することにより、上部電極の全体にわたる電位プロファイルの確立が可能になる。上部電極全体にわたる電位プロファイルの確立を利用して、プラズマ電位を制御することができる。
【0027】
上述した実施例のプラズマ処理チャンバ101は、プラズマ閉じ込め機構として閉じ込めリング111を備える。ただし、閉じ込めリング111に加えて、他の閉じ込め機構もプラズマ処理チャンバ101に備えるようにしてもよい。プラズマ処理チャンバ101内に所定の閉じ込め機構を実現する構成にかかわらず、閉じ込めリング111を介したプラズマからチャンバ壁への電位降下の結果、電界がイオン閉じ込め強化に十分な大きさになれば、プラズマ閉じ込めを強化することができる。従って、プラズマ処理チャンバ101内部で実現される所定の閉じ込め機構に関係なく、DC電圧源123を用いて、プラズマからチャンバ壁への電位降下に影響を与えることにより、プラズマ閉じ込めを強化することが可能になる。
【0028】
以上、いくつかの実施例に従って本発明を詳述したが、当業者には自明のように、上述した実施例の詳細や図面に示す構造は、様々な態様で変更、追加、置き換え等が可能である。従って、本発明は、本発明の要旨の範囲内における種々の変更、追加、置換等を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハープラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、チャンバ内を通して高周波電流を伝送するように構成される電極であって、高周波電流によりチャンバ内に発生するプラズマに暴露される半導体ウエハーを保持するように配置される下部電極と、
前記下部電極より上に離間して配置され、前記チャンバから電気的に絶縁される上部電極と、
前記上部電極に接続され、前記チャンバに対する前記上部電極の電位を制御するように構成される電圧源で、前記電圧源を用いて前記上部電極の電位を制御することによって、前記下部電極と前記上部電極との間に生成されるプラズマの電位に影響を与えるように構成される電圧源と
を備える半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項2】
前記電圧源が直流電圧源である請求項1記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項3】
前記電圧源を用いて前記上部電極の電位を制御することによって、前記チャンバに対するプラズマの電位を低下させて、プラズマ電位の低下によりプラズマ閉じ込めを可能にする請求項1記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項4】
前記電圧源は、プラズマの電位よりも低い電位レベルの前記上部電極の電位を保持するように構成される請求項1記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項5】
前記電圧源は、前記チャンバを通る高周波電流に対して低インピーダンスを与えるように構成される、請求項1記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項6】
前記上部電極が、中心部と、前記中心部の外側に同心円状に配置される一つあるいは複数の環状部とを備え、前記上部電極の隣接部が誘電体により互いに電気的に分離され、前記上部電極の各部が対応する各電圧源に接続される請求項1記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項7】
各電圧源が、前記各電圧源に接続される前記上部電極各部の電位を制御し、前記上部電極全体にわたる電位プロファイルの確立が可能なように構成される請求項6記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項8】
半導体ウエハープラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、チャンバ内を通して高周波電流を伝送するように構成される電極であって、高周波電流によりチャンバ内に発生するプラズマに暴露される半導体ウエハーを保持するように配置される下部電極と、
前記下部電極より上に離間して配置され、プラズマを生成し、下部電極と上部電極との間の空間にプラズマを閉じ込めるように構成される上部電極と、
前記上部電極の中心領域と基準接地との間に接続されるインピーダンス制御装置で、前記上部電極の中心領域を通る高周波電流伝送路を制御して、高周波電流伝送路の制御によりプラズマの閉じ込め制御を可能にするように構成されるインピーダンス制御装置と
を備える半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項9】
前記インピーダンス制御装置が、低周波インピーダンスを増大させるように構成される請求項8記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項10】
前記インピーダンス制御装置が、前記上部電極の周縁部近傍の電力集中の増大を可能にし、上部電極の周縁部近傍の電力集中の増大により、プラズマ閉じ込めが強化されるように構成される請求項8記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項11】
半導体ウエハープラズマ処理装置であって、
チャンバと、
前記チャンバ内に配置され、チャンバ内を通して高周波電流を伝送するように構成される電極であって、高周波電流によりチャンバ内に発生するプラズマに暴露される半導体ウエハーを保持するように配置される下部電極と、
前記下部電極より上に離間して配置され、ドープ半導体材料から形成される電極であって、電極内のドーピング濃度が、電極の中心から周縁部に向かって放射状に変化するように構成される上部電極と
を備える半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項12】
前記上部電極内部の所定の位置におけるドーピング濃度に基づき、前記上部電極の所定の位置を通る電気抵抗を制御し、前記上部電極の所定の位置を通る電気抵抗が、前記所定の位置における上部電極の電位に影響を与える請求項11記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項13】
前記上部電極がドープシリコン材料から形成される請求項11記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項14】
前記上部電極が前記チャンバから電気的に絶縁され、前記チャンバが電気接地として作用する請求項11記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項15】
前記上部電極に接続され、前記チャンバに対する前記上部電極の電位を制御するように構成される電圧源をさらに備える請求項14記載の半導体ウエハープラズマ処理装置。
【請求項16】
プラズマ閉じ込め制御方法であって、
チャンバ内部の下部電極と上部電極との間でプラズマを生成する工程と、
前記上部電極上の電位が制御され、前記上部電極上の電位の制御に応じてプラズマの電位が変化して、前記チャンバ内部のプラズマ閉じ込めに影響を与えるように、前記上部電極と前記チャンバとの間に接続される電圧源を制御する工程と、
を備えるプラズマ閉じ込め制御方法。
【請求項17】
前記電圧源が、高周波電流に対して低インピーダンスを与える直流電圧源である請求項16記載のプラズマ閉じ込め制御方法。
【請求項18】
前記電圧源を制御して、前記チャンバに対するプラズマの電位を低下させ、プラズマ電位の低下によりプラズマ閉じ込めを保持する請求項16記載のプラズマ閉じ込め制御方法。
【請求項19】
請求項16記載のプラズマ閉じ込め制御方法であって、更に
プラズマと前記チャンバとの間の電界強さを低下させ、電界強さの低下によりプラズマ閉じ込めを保持するように、前記電圧源の極性を確立する工程を備える
プラズマ閉じ込め制御方法。
【請求項20】
前記電圧源を制御する工程は、前記上部電極の各部の電位をそれぞれ制御する複数の電圧源を独立に制御することにより、前記上部電極の全体にわたる電位プロファイルの確立を可能にする請求項16記載のプラズマ閉じ込め制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−165007(P2012−165007A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−98090(P2012−98090)
【出願日】平成24年4月23日(2012.4.23)
【分割の表示】特願2009−519462(P2009−519462)の分割
【原出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】