説明

プリズムフィルムの製造方法

【課題】フィルムの加工性やフィルムのハンドリング性に優れ、かつ賦形性にも優れるプリズムフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】透明樹脂を溶融して押し出す押出工程、押し出されたフィルム状の透明樹脂30をプリズム形状が賦形された賦型ロール14と狭圧手段20との間に挟んで、賦型ロール14のプリズム形状を上記押し出されたフィルム状の透明樹脂30に転写しつつ冷却固化させる賦形工程、及びプリズム形状が転写されたフィルムを賦型ロール14から剥離した後、さらに冷却ロール16で冷却する冷却工程を経て、プリズムフィルムを製造する方法において、上記透明樹脂として、メルトフローレイトが0.1g/10分以上40g/10分以下のものを選択する。この方法によってプリズムフィルムを製造し、得られるプリズムフィルムに偏光板を貼合すれば、偏光板付きプリズムフィルムが製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ分野で好適に用いられるプリズムフィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報表示技術における表示装置は、過去半世紀以上ブラウン管(CRT)が主要な地位を占めてきた。これに対して近年、急速に発展する情報化時代を迎えて、多様な方式のディスプレイ技術が発展してきている。特に表示装置における薄型化の要求は強く、すでに小型計測機器だけでなく、ノートブック型パーソナルコンピュータが薄型化により大衆化され、各種モニターやテレビに至るまで、既存のCRT方式が薄型化されたディスプレイによって置き換えられてきている。
【0003】
薄型ディスプレイ技術は、テレビ分野においてすでに市場を確保した液晶ディスプレイ(LCD)、プロジェクションディスプレイ及びプラズマディスプレイパネル(PDP)が主流になってきている。また、電界放出ディスプレイ(FED)や電界発光ディスプレイ(ELD)などの新しい表示方式も提案されている。
【0004】
これらのうち液晶ディスプレイは、2枚のガラス基板の間に液晶を封入して、上下のガラス基板に設置された電極に電圧を印加することにより、各画素における液晶分子の配列を変化させ、映像を表示する装置である。このような液晶ディスプレイは通常、液晶パネル、駆動部、及びバックライトユニットで構成される。液晶パネルは自発光ができない構造であり、単純にバックライト光を透過させる機能だけを有する。したがって、光がない状態、すなわち、夜間又は室内においては、バックライトの助けがないと画像を表示できない構造になっている。このような液晶ディスプレイに用いられるバックライトユニットは、その表示画像を見やすくするために、液晶パネルに均一な光を供給するだけでなく、できるだけ多くの光を供給することが要求される。つまり、バックライトユニットには、光拡散性に優れることとともに、高い輝度を与えるという光学特性が要求される。
【0005】
バックライトユニットは主に、光源ランプ、シート類、筐体部、及び駆動回路で構成される。光源ランプだけでは全面積に渡って均一な光を供給できないため、導光板や光拡散板、反射板、プリズムシート等のシート類を有し、さらにフレーム等の筐体部を有する。
【0006】
バックライトユニットには、様々な方式が存在する。現在最も広く一般的に用いられているものの一つとして、エッジライト方式がある。これは、反射パターンが印刷された導光板を有し、その一つの側面又は対向する二つの側面に、冷陰極蛍光ランプや発光ダイオード(LED)に代表される光源ランプを配置する方式である。エッジライト方式においては、光源ランプが導光板の側面に位置することから、パネル面内の輝度分布が不均一になる現象を抑えるため、導光板の背面に反射パターンが印刷される。導光板に反射パターンを印刷する方式は、生産性に優れるものの、印刷パターン自体による光損失が生じるため、光の利用効率が必ずしも十分とはいえない。また、液晶ディスプレイが大型化されるほど、全体的な輝度の面内均一性も悪くなるといった短所を持つ。
【0007】
このような導光板を用いたエッジライト方式のほかに、多数の光源ランプを光拡散板の下に一定の間隔で配列する直下型方式がある。この直下型方式では一般に、光拡散板の背面に光源ランプが複数列配列されるので、エッジライト方式に比べると、輝度を高めて面内の均一性を改善することができる。明るい画面を表示するために、バックライト光源は非常に明るくなければならない。これは、光源から発せられる光が液晶パネルに到達するまでの間に様々な光学素子を経る結果、散乱や吸収などによってその本来の明るさを失うためである。
【0008】
このような液晶パネルに到達する光をできるだけ多くするための一つの解決策として、光源の光量を増大させることが考えられる。しかしながらこれは、(1)コストが高い、(2)消費電力が増大する、(3)重量が増大するといった問題を生じる。そこで、光源からの光がいくつかの光学素子を通過するときに生じる光損失をできるかぎり少なくし、視認者の目まで到達する光量を増やすためのいくつかの対策が採られている。
【0009】
薄型ディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイやプロジェクションテレビにおいては、光源からの光が視認者の目に到達するまでの間に重要な役割を果たす光学要素の一つとして、光拡散板がある。光拡散板は、光源から発せられる光を均一に分散させる役割を果たす。光を分散させたり拡散させたりする光学構造として、一般に次の二種類の方式が採用されている。一つは、表面の適度な粗度を利用して、数多くの方向に屈折させたり分散させたりする外部散乱方式であり、もう一つは、光学素子の内部に光拡散要素を備えた内部拡散方式である。
【0010】
一方、プリズムシートは、光拡散板を通過した光を垂直方向に屈折させ、放散しようとする光を集光し、輝度を上昇させる役割を果たす。最近では、光拡散板とプリズムシートの機能を統合したシートの開発が進められている。プリズムシートの製造方法として、鋳造法、溶剤キャスティング法、モノマーキャスティング法、押出成形法、平板への熱プレス法、射出成形法などがあるが、これらの中でもモノマーキャスティング法と押出成形法が、一般的かつ汎用的であり、利便性も高いと考えられる。
【0011】
モノマーキャスティング法は、樹脂の状態が液状であるため、樹脂がプリズムパターンの頂部まで行き渡りやすく、また紫外線照射などの硬化反応によって樹脂を硬化させるため、形状が安定しやすいなど、プリズムシートのプリズムパターンを精度良く確保することができる。しかしながら、モノマーキャスティング法では、使用できる樹脂に限りがあり、また十分な反応を施しても若干のモノマー又は低分子量物が残留し、これが臭気の原因になったり、十分な硬さが得られない原因になったりする。さらにモノマーキャスティング法は、連続的な生産には不向きであり、硬化反応に要する時間も必要となる。
【0012】
一方、押出成形法では、モノマーキャスティング法に見られるような不具合はほとんどない。すなわち、熱可塑性樹脂であれば、加工上その種類が限定されず、また化学反応による硬化処理が必要ないため、残留物やこれに起因する臭気も発生しない。押出成形法でプリズムシートを製造する方法の一つとして、プリズムパターンが賦形されたロール(賦型ロール)とタッチロールなどの挟圧手段との間に、ダイから連続的にシート状で供給される溶融樹脂を通過させ、賦型ロールのプリズムパターンをその溶融樹脂に転写しつつ、冷却固化させる方式がある。
【0013】
特開 2004-287418号公報(特許文献1)には、ダイから熱可塑性樹脂を溶融押出し、賦型ロールとタッチロールとの間を通して成形することにより、プリズムシートを製造することが開示されており、その際、賦型ロール表面からシート表面へのプリズム形状の賦形性を向上させるため、
(1)吐出樹脂温度を高めにし、
(2)成形速度を大きめにし、
(3)ダイと賦型ロール/タッチロールとの間のエアギャップを短めにし、かつ
(4)変形し易いタッチロールを用いる
ことが提案されている。
【0014】
また特開 2007-276463号公報(特許文献2)には、賦型ロールとタッチロールの中心を通る面に垂直な面を基準にして、一定角度を超えない角度でフィルム状物を賦型ロール側に傾ける方法が提案されている。さらに韓国特許出願公開 10-2009-0072354号公報(特許文献3)には、賦形時に溶融状樹脂のメルトフローレイト(MFR)を50g/10分から90g/10分までの範囲に維持することによりプリズム形状を制御し、賦形性を向上させる方法が提案されている。なお、この特許文献3には、メルトフローレイトの単位が記載されていないが、常法に従い、g/10分の単位を言っているものと理解した。
【0015】
特許文献3で提案されている方法は、賦形時の溶融樹脂のメルトフローレイトを制御することで、溶融樹脂の流れ性が良好となり、賦形性の観点から有利であるが、このようにメルトフローレイトの高い樹脂は、押出時にガス化しやすいためにフィルム化しにくく、フィルム強度が脆くなって、加工性やフィルムのハンドリング性が良くないといった問題点が明らかになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2004−287418号公報
【特許文献2】特開2007−276463号公報
【特許文献3】韓国特許出願公開10−2009−0072354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明が解決しようとする課題の一つは、フィルムの加工性やフィルムのハンドリング性に優れ、かつ賦形性にも優れるプリズムフィルムの製造方法を提供することにある。また、本発明が解決しようとするもう一つの課題は、この方法によって製造されたプリズムフィルムに偏光板を貼合し、偏光板付きプリズムフィルムを製造する方法を提供することにある。
【0018】
なお、上記した特許文献1では、「光学シート」という語が使われており、本明細書でもここまでは「プリズムシート」という語を使ってきたが、こうしたプリズム形状が付与されたシート又はフィルムは、より一層薄肉化されつつあり、場合によっては偏光板に直接貼合して用いられる例も散見されるようになってきている。そこで本明細書では以下、「プリズムフィルム」という語で代表させることとする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下の範囲にある透明樹脂を溶融押出に供することで、加工性やハンドリング性に優れ、賦形性にも優れるプリズムフィルムが製造できることを見出し、本発明に至った。
【0020】
すなわち本発明は、透明樹脂を溶融して押し出す押出工程、押し出されたフィルム状の透明樹脂をプリズム形状が賦形された賦型ロールと挟圧手段との間に挟んで、上記賦型ロールのプリズム形状を上記押し出されたフィルム状の透明樹脂に転写しつつ冷却固化させる賦形工程、及びプリズム形状が転写されたフィルムを前記賦型ロールから剥離した後、さらに冷却する冷却工程を経て、プリズムフィルムを製造する方法において、上記透明樹脂として、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下のものを選択する、プリズムフィルムの製造方法を提供するものである。
【0021】
この方法において、上記の賦形工程は、上記賦型ロールの表面温度を0℃以上170℃以下に保って行うことが好ましい。またこの賦形工程は、上記挟圧手段の表面温度を4℃以上140℃以下に保って行うことが好ましい。
【0022】
これらの方法に用いる透明樹脂の好ましい例として、ポリプロピレン系樹脂を挙げることができる。このポリプロピレン系樹脂は、実質的にプロピレンの単独重合体からなるものであってもよいし、また、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなるものであってもよい。さらに、このポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレイトの異なる少なくとも2種類のポリプロピレン系樹脂の混合物で構成し、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下となるように調整したものであってもよい。
【0023】
本発明はさらに、以上の方法によってプリズムフィルムを製造し、得られるプリズムフィルムに偏光板を貼合して、偏光板付きプリズムフィルムを製造する方法をも提供するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の方法によれば、加工性やフィルムのハンドリング性に優れるプリズムフィルムを賦形性良く製造することができる。また、この方法によって得られるプリズムフィルムを偏光板に貼合すれば、液晶ディスプレイの背面側(光源側)偏光板として好適に用いることができる偏光板付きプリズムフィルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の方法に好適に用いられるプリズムフィルム製造装置の配置例を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の方法に好適に用いられるプリズムフィルム製造装置のもう一つの配置例を概略的に示す断面図である。
【図3】プリズムフィルムのプリズム形状の一例を示す拡大断面模式図である。
【図4】プリズムフィルムのプリズム形状の他の例を示す拡大断面模式図である。
【図5】プリズムフィルムのプリズム形状における一つの山をさらに拡大して示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、適宜添付の図面も参照しながら、本発明を詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の方法に好適に用いられるプリズムフィルム製造装置の配置例を概略的に示す断面図である。まずこれらの図を参照して、フィルム製造装置について説明する。
【0027】
[フィルム製造装置]
図1に示すフィルム製造装置1は、溶融混練される樹脂原料を供給するホッパー11を備える押出機10、そこで溶融混練された透明樹脂を樹脂吐出口12aから押し出すためのTダイ12、その樹脂吐出口12aからフィルム状に押し出される溶融樹脂30にプリズム形状を転写するため、表面にプリズム形状が賦形された賦型ロール14、賦型ロール14との間にフィルム状溶融樹脂30を挟んで賦形するための挟圧ベルト20、及び、プリズム形状が賦形され、賦型ロール14から剥離された透明樹脂フィルムをさらに冷却するための冷却ロール16を含んで構成されている。
【0028】
ここで、挟圧ベルト20は、賦型ロール14との間にフィルム状溶融樹脂30を挟む主体となる無端ベルト21を備え、さらに第1のロール22及び、当該第1のロール22との間で無端ベルト21を装架し、それを連続的に移動させる第2のロール23を備える。第1のロール22は、弾性体、例えばゴムで構成されるのが好ましく、この場合は、弾性層の表面に薄い金属層を設けることもできる。また、第2のロール23は、一般に金属で構成され、無端ベルト21も、金属で構成されることが多い。図1に示されるような、2本のロール22,23の間に無端ベルト21を装架し、その無端ベルト21を賦型ロール14に押し付けてフィルムを成形する方式は、スリーブタッチ方式とも呼ばれる。
【0029】
一方、図2に示すフィルム製造装置2は、図1に示される挟圧ベルト20をタッチロール25に変更した構造であり、その他の部材は、図1に示したものと同じなので、それぞれの説明は省略する。ここで、タッチロール25は、そこからの圧力を賦型ロール14との間に挟んでいるフィルム状樹脂30に有効に伝えるために、弾性体、例えばゴムで構成するのが好ましい。また図示の如く、弾性ロール26の表面に金属層26aを設けた構造とすることも有効である。
【0030】
図1においては挟圧ベルト20が、そして図2においてはタッチロール25が、それぞれ本発明でいう挟圧手段を構成している。図1に示す挟圧ベルト20を構成する無端ベルト21は、先にも述べたとおり金属で構成することができる。また図2に示すタッチロール25は、金属ロールやゴムロールなどであることができる。
【0031】
本発明でいう挟圧手段は、図1に示すような挟圧ベルト方式(スリーブタッチ方式)、及び図2に示すようなタッチロール方式のほか、筒状の金属製帯状体(無端ベルト)の内側にその帯状体内径よりも小さい径を有する弾性ロールを収納し、両者の間に形成される空間に温度調節された流体を満たし、その弾性ロールで押される帯状体を溶融樹脂に接触させながら回転させ、溶融樹脂を賦型ロール14に押し付けるフレックスロールと呼ばれる方式、冷却空気をあてて溶融樹脂を賦型ロール14に押し付ける方式などであってもよい。要は、賦型ロール14との間で溶融樹脂を挟圧できる方式を、挟圧手段として採用すればよい。
【0032】
図1及び図2に示される賦型ロール14は、先述のとおり、フィルム状に押し出される溶融樹脂30にプリズム形状を転写するため、表面にプリズム形状が賦形されたものである。ここに例示した賦型ロール14は、高い剛性を有する金属外筒14aと、その内側に配置された流体軸筒14bとを備えている。そして、金属外筒14aと流体軸筒14bとの間の空間及び流体軸筒14bの内部には、冷却用の流体Fが満たされるようになっており、その流体Fの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)を備えている。賦型ロール14は、その直径が200mm以上600mm以下の範囲にあることが好ましい。
【0033】
また、冷却ロール16は、やはり先述したとおり、賦型ロール14から剥離された透明樹脂フィルムをさらに冷却する役割を果たすものである。ここに例示した冷却ロール16も、高い剛性を有する金属外筒16aと、その内側に配置された流体軸筒16bとを備えている。そして、金属外筒16aと流体軸筒14bとの間の空間及び流体軸筒14bの内部には、冷却用の流体Fが満たされるようになっており、その流体Fの温度を調節するための温度調節手段(図示せず)を備えている。冷却ロール14も、その直径が200mm以上600mm以下の範囲にあることが好ましい。冷却ロール14の表面は、得られるプリズムフィルムの厚み精度を向上させるため、できるだけ鏡面状態であることが好ましく、具体的には、最大高さの標準数列で表される粗度が 0.2S以下であることが好ましい。
【0034】
これらの賦型ロール14及び冷却ロール16においては、図示しない温度調節手段により流体Fの温度を調節し、間接的に金属外筒14a,16aの表面温度が調節されるようになっている。かかる温度調節手段としては、例えば、図示の空間内を流体Fが流れるように構成し、その流体Fの温度と流量を適宜調節する方式を採用することができる。図示は省略するが、図1における挟圧ベルト20及び図2におけるタッチロール25についても、このような温度調節手段を設けて、それぞれの表面温度を調節することができる。図1のような挟圧ベルト20であれば、無端ベルト21を装架する二つのロール22,23の少なくとも一方、好ましくは賦型ロール14に無端ベルト21を介して接触する第1のロール22に、上記のような温度調節手段を設ければよい。
【0035】
以下、図1及び図2に示したフィルム製造装置を参照しながら、本発明の方法を構成する各工程を順に説明していくこととする。
【0036】
[押出工程]
まず、透明樹脂をフィルム状に押し出す押出工程が行われる。この工程では、ホッパー11から押出機10に透明樹脂を投入する。このとき、押出機10の内部は、高温の窒素ガスやアルゴンガスの如き不活性ガスで置換しておくことが好ましい。押出機10は、投入された透明樹脂を溶融混練しながら、その透明樹脂をTダイ12へと搬送する。Tダイ12は、押出機10に接続しており、押出機10で溶融混練され、そこから送られてくる透明樹脂をフィルム状に押し出す機能を有し、そのため、その先端には樹脂吐出口12aが設けられている。
【0037】
樹脂吐出口12aからフィルム状に押し出された透明樹脂30が、次の賦形工程で賦型ロール14に接するまでの距離は、エアギャップAと称される。エアギャップAは、用いる透明樹脂の種類やフィルム製造装置の規模にもよるが、一般には50mm以上250mm以下の範囲とするのが好ましく、さらには180mm以下とするのがより好ましい。エアギャップAをあまり大きくとると、そこで樹脂の配向を生じ、得られるプリズムフィルムに無視できない面内位相差を生じることがある。一方で、樹脂吐出口12aの直下に賦型ロール14及びそれにフィルム状透明樹脂30を押し付けるための挟圧ベルト20又はタッチロール25が存在するため、エアギャップAの下限値は自ずと定まる。
【0038】
[賦形工程]
Tダイ12の樹脂吐出口12aから押し出されたフィルム状の透明樹脂30は、賦型ロール14と、挟圧手段(すなわち、挟圧ベルト20又はタッチロール25)との間に挟まれて、賦型ロール14の表面に賦形されたプリズム形状をフィルム状の透明樹脂30に転写しつつ冷却固化される賦形工程に供される。この賦形工程では、Tダイ12の樹脂吐出口12aからフィルム状に押し出された溶融透明樹脂30を、賦型ロール14と挟圧手段20との間に挟むことによって、フィルム状透明樹脂30の表面にプリズム形状を転写しつつ、そのフィルム状透明樹脂30を冷却固化させ、プリズム形状を有するフィルムの原形を作製することになる。
【0039】
この賦形工程において、賦型ロール14と挟圧手段の間にフィルム状透明樹脂30を挟むときの線圧は、賦型ロール14に挟圧手段を押し付けるときの圧力によって決まる。この線圧は、一般には、1N/mm以上300N/mm以下の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは200N/mm以下である。このときの線圧が小さすぎると、溶融状態にあるフィルム状透明樹脂30にかかる圧力を均一に制御することが難しくなるとともに、賦型ロール14のプリズム形状を精度よくフィルム状透明樹脂30に転写することも難しくなる。一方、このときの線圧が大きすぎると、フィルム状透明樹脂30に大きな圧力がかかるので、賦型ロール14及び挟圧手段との接触が始まる部分にバンク(溶融樹脂溜り)を形成することがあり、その場合には賦形性や得られるプリズムフィルムの複屈折に悪影響を与える可能性がある。
【0040】
またこの賦形工程においては、賦型ロール14と挟圧手段との間にフィルム状透明樹脂30を挟むのが基本であるが、フィルム状で押し出される透明樹脂30と挟圧手段との間に熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させることもできる。このように熱可塑性樹脂の二軸延伸フィルムを介在させる形態は、例えば、図2に示されるタッチロール25の表面が、弾性体の如く金属以外の材質からなる場合などに有効である。この場合に用いる二軸延伸フィルムは、フィルム状で押し出されてプリズムフィルムになる透明樹脂30と強固に熱融着しないものであればよく、プリズムフィルムになる透明樹脂30の種類に合わせて適宜選択される。典型的には、当該透明樹脂30に比べて融点又はガラス転位温度の高い樹脂の二軸延伸フィルムが用いられる。例えば、押し出される透明樹脂30がポリプロピレン系樹脂である場合には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルからなる二軸延伸フィルムが好適に用いられる。
【0041】
[冷却工程]
賦型ロール14によって賦形されたフィルム状透明樹脂30は次に、賦型ロール14から剥離された後、さらに冷却する冷却工程に付される。この工程では、賦型ロール14から剥離されたフィルム状透明樹脂が、そのプリズム形状が付与された面とは反対側の面で冷却ロール16に当接し、冷却されて、その透明樹脂に付与されたプリズム形状を固定化することになる。こうして、プリズム形状が固定化されたプリズムフィルム35が得られるのであるが、このプリズムフィルム35はその後、適宜のロール(図示せず)に巻き取って、製品とすることができる。
【0042】
[プリズム形状]
プリズムフィルム35に付与されるプリズム形状は、空気との界面が略直線で構成される略三角形であればよい。賦型ロール14の表面に形成されたプリズム形状がフィルム状透明樹脂30の表面に押し当てられ、賦型ロール14のプリズム形状を逆型としてフィルム状透明樹脂30に転写されて、プリズムフィルム35にプリズム形状が付与される。
【0043】
ここでいう略三角形とは、概ね三角形に見える形状であればよいことを意味する。前述の一連の工程を経て製造されるプリズムフィルムのプリズム断面形状は、それぞれの工程にかかる温度や圧力、樹脂に接触するロールの状態などの加工条件によって、斜面部が若干の曲面性を帯びたり、頂部又は谷部に幾分丸みを帯びたり、斜面に若干の凹凸(いわゆる粗面)が形成されたりすることに起因して、斜面部、頂部及び/又は谷部の直線性が幾分損なわれることもある。幾何学的な意味でいう三角形は各辺が直線であることを前提とするが、プリズムフィルムの製造上、プリズムの山方向に直交するフィルム断面における三角形の各辺が若干の曲線性を帯びたり、頂部及び/又は谷部が若干の丸みを帯びたりすることもあるため、このような曲線性を帯びたり丸みを帯びたりすることを許容する意味で、「略」という語を使っている。
【0044】
図3及び図4は、賦型ロール14からプリズム形状が転写されたプリズムフィルム35の一例を示す拡大断面模式図であり、いずれも、断面形状がV字溝(三角形)のプリズム形状となっている。図3に示す例は、フィルムの断面においてV字溝が隙間なく連続して平行に形成されたものである。図4に示す例は、V字溝の谷に相当する部分に所定幅の平坦部38を有するものである。
【0045】
図3及び図4において、各溝の隣接する頂点間の距離を溝の間隔(ピッチ)Pと定義する。溝の間隔Pは、隣接する谷の所定位置間の距離を測っても同じ値になる。図4に示すような、谷部に平坦部37を有する場合は、その平板部37を挟んで頂点から隣接する頂点までの距離が、溝の間隔Pとなる。また、溝の谷から頂部までの垂直距離を溝の高さhと定義する。さらに、V字溝の頂部に至る二辺のなす角度を頂角θと定義する。
【0046】
プリズム形状における溝の間隔Pは、例えば、1μm以上320μm以下の範囲とすることができるが、好ましくは5μm以上120μm以下である。溝の高さhは、例えば、10μm以上100μm以下の範囲とすることができるが、好ましくは60μm 以下である。溝の高さhは、フィルム全面においてすべて同じであってもよいし、異なる複数種の高さhを有する構造であってもよい。頂角θは、例えば、30°以上120°以下の範囲とすることができるが、好ましくは50°以上100°以下の範囲である。また、プリズム形状の頂部に至る二辺は、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。溝の間隔Pや溝の高さh、またその形状は、製造されるプリズムフィルムの用途によって適宜選択すればよい。
【0047】
プリズム形状は先述のとおり、賦型ロール14から転写されるものであるが、賦型ロール14に設けられる溝は、そのロールの円周方向に平行であってもよいし、ロールの幅方向に平行であってもよいし、また円周方向に対して一定の角度をなして形成されていてもよい。
【0048】
このようなプリズム形状の逆型を有する賦型ロール14は、公知の方法によって作製することができる。一例として、金属ロールの表面に、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキの如きメッキ処理を施した後、そのメッキ面に対して、ダイヤモンドバイトや金属砥石などを用いた除去加工、レーザー加工、又はケミカルエッチング加工を行い、形状を付与する方法を挙げることができるが、もちろんこれらの方法に限定されるものではない。金属ロールの表面にこのようなプリズム形状を付与した後、例えば、表面形状の精度を損なわない程度に、クロムメッキ、銅メッキ、ニッケルメッキ、ニッケル−リンメッキなどにより追加のメッキ処理を施してもよく、同じく表面形状の精度を損なわない程度に、樹脂層を表面に形成するなどの表面処理を施してもよい。
【0049】
[プリズムフィルムの製造条件]
前記賦形工程において、賦型ロール14のプリズム形状に溶融透明樹脂が正確に引き込まれ、プリズム形状が転写されることが理想的である。しかし実際には、溶融透明樹脂が賦型ロール14のプリズム形状の溝に空気をかみ込むなどの理由により、正確に引き込まれないことがある。このような問題が発生すると、プリズム形状において溝の高さhが設計値より小さくなるとともに、シャープネスが確保できず、光学フィルムとしての諸物性を低下させる要因になる。
【0050】
このような、賦型ロール14から転写されるプリズム形状を制御するために考慮すべき因子として、大きく分けて、(1)透明樹脂の流れやすさの指標となるメルトフローレイト(MFR)、及び(2)賦型ロール14などの温度因子が考えられる。
【0051】
本発明においては、特に用いる透明樹脂のメルトフローレイトが、賦型ロール14からの転写性にとって重要であることが見出された。そこで、上記した押出工程、賦形工程、及び冷却工程を経てプリズムフィルムを製造するにあたり、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下の樹脂を選択する。
【0052】
透明樹脂のメルトフローレイトが大きいほど、溶融状態で流れやすくなり、賦形フィルム14のプリズム形状を正確に転写することができる。しかし、メルトフローレイトが大きい樹脂は一般に、低分子量であることが多く、溶融時にガス化しやすいため、フィルムへの成形性が損なわれる傾向が見受けられた。また、得られるプリズムフィルムのハンドリング性の観点からは、メルトフローレイトが大きくなると、フィルムの強度が低下し、脆くなりやすい傾向が見受けられた。一方で、透明樹脂のメルトフローレイトが小さくなれば、溶融状態での流れ性が低下し、賦型ロール14のプリズムパターンへ樹脂が流れ込みにくくなって、賦形フィルム14のプリズム形状の正確な転写が難しくなる。
【0053】
本発明者らは、数多くの実験を行った結果、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下の範囲にある樹脂を選択することによって、賦型ロール14の逆型プリズム形状からの賦型性が高度に改善されたプリズムフィルムが製造できることを見出した。このメルトフローレイトは、押出加工性の観点から、1g/10分以上、さらには3g/10分以上であることが好ましく、また押出加工性とフィルムのハンドリング性の観点から、30g/10分以下、さらには18g/10分以下であることが好ましい。
【0054】
メルトフローレイトは、 JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997 に準拠している)に従って求めることができる。同JISの附属書Aには、有用と考えられる14種類の試験条件が列挙されている。また附属書Bには、その制定当時他の規格に規定されている試験条件が材料毎に列挙されている。この附属書Bにあるとおり、対象とする材料(樹脂)によって試験温度及び公称荷重が異なるので、それぞれの樹脂に応じて、同附属書Aに規定される14種類の試験条件の中から選択し、また規格化にまで至っていない樹脂であれば、それに適した条件を選択して、メルトフローレイトを求めることができる。
【0055】
先に述べたこととも関連するが、樹脂のメルトフローレイトを上記の範囲とするためには、分子量の制御が有効である。分子量が大きくなれば、メルトフローレイトが小さくなる傾向にあり、分子量が小さくなれば、メルトフローレイトが大きくなる傾向にある。樹脂の分子量は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量で求めるのが一般的である。
【0056】
以上のとおり、溶融押出に用いる透明樹脂を、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下のもので構成することが最も重要であるが、その他に考慮すべき因子として、先にも述べたとおり、ロールの温度制御を挙げることができる。ここでロールの温度は、賦型ロール14と挟圧手段(図1における挟圧ベルト20又は図2におけるタッチロール25)が接する地点の表面温度を意味する。
【0057】
賦型ロール14の表面温度は、0℃以上170℃以下の範囲にあることが好ましく、さらには20℃以上、とりわけ30℃以上、また150℃以下、とりわけ80℃以下に保つことが一層好ましい。この温度があまり低いと、賦型ロール14上での樹脂の流動性が悪くなり、そこからのプリズム形状の賦形性が低下しやすくなる。一方、その温度があまり高いと、プリズム形状が付与されたフィルムの賦型ロール14からの剥離性が悪くなり、プリズム形状が崩れたり、賦型ロール14にフィルムが巻きついたりするなど、加工性を損ないやすくなる傾向にある。
【0058】
また、プリズム形状の制御において、賦型ロール14と挟圧手段による冷却条件も考慮する必要がある。賦型ロール14と挟圧ベルト20又はタッチロール25の間では、透明樹脂30の体積収縮により、プリズムのシャープネスを低下させることもある。そこで、賦型ロール14と挟圧ベルト20又はタッチロール25との間に透明樹脂30を挟む際、急冷条件とし、フィルム状透明樹脂30の表面温度を急激に低下させることが好ましい。これにより、フィルム状透明樹脂30が硬化するとき、高分子鎖が残留応力によって体積収縮する前に、高分子鎖の流動性を制限することができ、形状変化が抑制できる。また、急冷条件を適宜調節することで、体積収縮が発生しても、その程度を制御することができる。このようなことから、挟圧手段(挟圧ベルト20又はタッチロール25)の表面温度も、制御因子とすることが好ましい。
【0059】
具体的には、賦型ロール14の形状をフィルム状透明樹脂30の表面に転写した後、なるべく早期にそのフィルム状透明樹脂30を固化させ、転写されたプリズム形状を固定させることが好ましい。そこで、挟圧手段(挟圧ベルト20又はタッチロール25)の表面温度を4℃以上140℃以下の範囲とすることが好ましく、さらには5℃以上、とりわけ10℃以上、また80℃以下、さらには50℃以下とすることが一層好ましい。挟圧手段の表面温度があまり低いと、やはり賦型ロール14上での樹脂の流動性が悪くなり、賦形性が低下しやすくなる。一方で、挟圧手段の表面温度があまり高いと、やはりプリズム形状が付与されたフィルムの賦型ロール14からの剥離性が悪くなり、プリズム形状が崩れたり、賦型ロール14にフィルムが巻きついたりするなど、加工性を損ないやすくなる傾向にある。特に結晶性の樹脂を用いる場合には、挟圧手段の表面温度を低くすることにより、得られるプリズムフィルムの高い透明性を確保できるため、賦型ロール14の表面温度に比べ、挟圧手段の表面温度が高くならないように設定することが好ましい。
【0060】
[用いる透明樹脂]
本発明で用いる透明樹脂は、先に述べたとおり、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下の範囲にあるものであり、かかるメルトフローレイトの条件を満たし、かつ透明な熱可塑性樹脂から適宜選択して用いることができる。適用できる透明樹脂の例を挙げると、ポリメタクリル酸メチルに代表される(メタ)アクリル系樹脂(メタクリル系樹脂とアクリル系樹脂を含む)、オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合樹脂、アクリロニトリル・スチレン系共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレートやポリエチレンテフタレートに代表されるポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂などがある。
【0061】
本発明では特に、プリズムフィルムを製造する過程における取扱い性を向上させ、またプリズムフィルムへの押出加工性を高める観点から、メルトフローレイトが上記範囲にあるポリプロピレン系樹脂が、好ましく用いられる。ポリプロピレン系樹脂は、賦型ロール14からの離形性に優れているため、プリズムフィルムを製造する過程において、取扱い性を向上させることが可能となる。ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレイトは、上記した JIS K 7210:1999の附属書Bにあるとおり、同附属書Aに規定される条件M、すなわち、試験温度230℃、公称荷重21.18N(2.16kg)で測定される。ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレイトの測定方法は、 JIS K 6921-1:1995(ISO 1873-1:1995 に準拠している)の3.3.3にも規定されている。
【0062】
ポリプロピレン系樹脂は、実質的にプロピレンの単独重合体からなる樹脂であってもよいし、プロピレンと他の共重合性コモノマーとの共重合体からなる樹脂であってもよい。ここで、「実質的にプロピレンの単独重合体」は、プロピレンユニットの含有量が100重量%である重合体のほか、 0.6重量%程度以下の範囲でエチレンユニットを含有するプロピレン/エチレン共重合体も含むものとする。
【0063】
プロピレンと他の共重合性コモノマーとの共重合体からなるポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーの1種又は2種以上を少量共重合させたものである。具体的には、このような共重合体からなるポリプロピレン系樹脂は、コモノマーユニットを例えば20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは7重量%以下の範囲で含有する樹脂であることができる。共重合体におけるコモノマーユニットの含有量は、一般には 0.6重量%を超え、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上である。コモノマーユニットの含有量を1重量%以上とすることで、加工性や透明性を有意に向上させられる可能性がある。一方、コモノマーユニットの含有量が20重量%を超えると、ポリプロピレン系樹脂の融点が下がり、耐熱性を低下させる傾向にある。2種以上のコモノマーをプロピレンに共重合させる場合には、その共重合体に含まれる全てのコモノマーに由来するユニットの合計含有量が、上記範囲となるようにすることが好ましい。
【0064】
プロピレンに共重合されるコモノマーは、例えば、エチレンや、炭素原子数4〜20のα−オレフィンであることができる。α−オレフィンとして具体的には、次のようなものを挙げることができる。
【0065】
1−ブテン、2−メチル−1−プロペン(以上C4 );
1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン(以上C5 );
1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン(以上C6 );
1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン(以上C7 );
1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン
(以上C8);
1−ノネン(C9 );1−デセン(C10);1−ウンデセン(C11);
1−ドデセン(C12);1−トリデセン(C13);1−テトラデセン(C14);
1−ペンタデセン(C15);1−ヘキサデセン(C16);1−ヘプタデセン(C17);
1−オクタデセン(C18);1−ノナデセン(C19)など。
【0066】
エチレンを共重合させるのが最も一般的であるが、その他、上記α−オレフィンの中では、炭素原子数4〜12のものが好ましく、具体的には、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン;1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン;1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン;1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ペンテン、2−メチル−3−エチル−1−ブテン;1−オクテン、5−メチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−ヘキセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセン、2−メチル−3−エチル−1−ペンテン、2,3,4−トリメチル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ペンテン、2,3−ジエチル−1−ブテン;1−ノネン;1−デセン;1−ウンデセン;1−ドデセンなどを挙げることができる。共重合性の観点からは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンが好ましく、とりわけ、エチレン、1−ブテン及び1−ヘキセンがより好ましい。
【0067】
共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。好ましい共重合体として、プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体を挙げることができる。プロピレン/エチレン共重合体やプロピレン/1−ブテン共重合体において、エチレンユニットの含有量や1−ブテンユニットの含有量は、例えば、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法により赤外線(IR)スペクトル測定を行い、求めることができる。
【0068】
メルトフローレイトの異なる少なくとも2種類のポリプロピレン系樹脂を混合し、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下、好ましくは1g/10分以上、さらには3g/10分以上、また30g/10分以下、さらには18g/10分以下となるように調整した混合樹脂を用いるのも有効である。
【0069】
ポリプロピレン系樹脂の立体規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック、又はアタクチックのいずれであってもよいが、耐熱性の観点からは、シンジオタクチック又はアイソタクチックのポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
【0070】
得られるプリズムフィルム35の厚さは、Tダイ12の樹脂吐出口12aにおけるリップ間隔などを調節することにより、適切に制御できる。ポリプロピレン系樹脂を用いる場合、それから得られるフィルムの厚さは、5μm 以上200μm 以下の範囲が好ましく採用される。とりわけ40μm 以上、また120μm 以下であることがより好ましい。その厚さがあまり小さいと、フィルムのハンドリング性が悪くなり、貼合や裁断などの加工に不具合を生じることがある。一方、その厚さがあまり大きいと、フィルムの透明性が損なわれる傾向にある。なお、本明細書において、プリズムフィルムの厚さHとは、図3及び図4に示すように、プリズムフィルム35の非プリズム面37からプリズムの頂部までの距離である。
【0071】
[その他の因子]
図5は、プリズム形状における一つの山40をさらに拡大して示す断面模式図である。プリズム形状における斜面(図示の断面では、三角形の斜辺となる部分)は、図5において破線で示されるような、プリズムの頂点41と谷42とを直線状に結ぶ面44であってもよいし、図5において実線で示されるような、プリズムの頂点41と谷42とを曲線状に結ぶ面46であってもよい。賦型ロール14における逆型プリズムの斜面が直線状であれば、賦形工程で転写されるプリズム形状は、直線状の斜面44よりも内側に形成され、所定の曲率を有する斜面46として形成されることが多い。これは、樹脂の残留応力による体積収縮のためと考えられ、頂点41が三角形の頂点形状から遠ざかって、最終的に緩やかな曲率を形成することになる。すなわち、透明樹脂が押出工程、賦形工程及び冷却工程をこの順に経て、賦形工程及び冷却工程の冷却時の残留応力によりエントロピー的に安定な状態へ状態変化しようとする性質に起因すると考えられる。
【0072】
そこで、賦型ロール14における逆型プリズムの形状を、図5における三角形がなす斜面44よりも外側(賦型ロール14における逆型プリズムでは、三角形がなす斜面よりも内側)に曲率を有するプリズム形状としておけば、冷却過程での体積収縮を考慮することにより、フィルムに転写されたプリズムの斜面46が直線44に近くなり、プリズムの頂点41の形状が三角形の頂点形状に近くなる。
【0073】
以上のようにして製造されるプリズムフィルムは、加工性やフィルムのハンドリング性に優れ、かつ賦形性にも優れるものとなる。こうして得られるプリズムフィルムは、搬送などの後工程において、他物品への接触などからプリズムの形状を保護するために、そのプリズム面にプロテクトフィルムを貼合してもよい。
【0074】
[偏光板付きプリズムフィルム]
以上の方法によってプリズムフィルムを製造し、得られるプリズムフィルムは、偏光板に貼合して、偏光板付きプリズムフィルムとすることができる。この偏光板付きプリズムフィルムは、偏光板一体型プリズムフィルムと呼ぶこともできる。本発明の方法により製造されるプリズムフィルムは、その強度に優れることから、その後偏光板に貼合して偏光板付きプリズムフィルムを製造する際、フィルム破断などの不具合を生じにくいものとなる。
【0075】
ここで偏光板とは、自然光から特定の振動方向の光を取り出す機能を有する光学素子であり、公知の各種のものを用いることができる。好適に用いられる偏光板の例として、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの片面又は両面に、アセチルセルロース系樹脂やシクロオレフィン系樹脂などの透明樹脂からなる保護フィルムが貼合されたものを挙げることができる。
【0076】
偏光板にプリズムフィルムを貼合する場合、プリズムフィルムのプリズム面とは反対側の面、すなわち図3及び図4に示す非プリズム面37を、偏光板に貼り合わせるのが一般的である。この貼合には、粘着剤(感圧接着剤とも呼ばれる)や各種の接着剤を用いることができる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量を表す%及び使用割合は、特記ないかぎり重量基準である。また、実施例及び比較例では次の透明樹脂を用いた。以下、これらの樹脂はそれぞれの記号で表示する。
【0078】
PPホモA:プロピレンの単独重合体であり、メルトフローレイト(MFR)が8g/10分、融点が164℃のもの。
PPホモB:プロピレンの単独重合体であり、メルトフローレイトが25g/10分、融点が164℃のもの。
PP共重合体C:エチレンユニットを約4%含むプロピレン−エチレンランダム共重合体であり、メルトフローレイトが60g/10分、融点が141℃のもの。
【0079】
これら各樹脂のメルトフローレイト及び融点は、以下の方法で測定した。
【0080】
(1)メルトフローレイト(MFR)
JIS K 7210:1999 に従い、温度230℃、荷重21.18N(2.16kg)で測定した。
【0081】
(2)融点
それぞれの樹脂シートを熱プレス機内に入れ、230℃で5分間予熱した後、その温度で3分間かけて4.90MPaまで昇圧し、その温度及び圧力で2分間保持して熱プレス成形し、次に温度を30℃に下げ、2.94MPaで5分間保持して、厚さ0.5mm のシートを作製した。得られたプレスシートを細かく裁断し、その10mgを示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製の DSC-7型)に入れ、窒素雰囲気下で以下に示す[1]〜[5]の熱履歴を加えた後、昇温速度5℃/分で50℃から180℃まで昇温して融解曲線を作成した。この融解曲線において最高吸熱ピークを示す温度を求め、これをその樹脂の融点とした。
【0082】
[1]220℃に昇温し、その温度で5分間保持する;
[2]降温速度300℃/分で220℃から150℃まで降温する;
[3]150℃において1分間保温する;
[4]降温速度5℃/分で150℃から50℃まで降温する;
[5]50℃において1分間保温する。
【0083】
また、以下の例において用いた賦型ロールは、断面三角形のV字溝がロールの周方向に平行に設けられ、その形状がそのまま樹脂フィルムに転写されると、図3及び図4に示すように、各溝部が平行に等間隔で構成されるものである。そして、溝の間隔P、溝の高さh及び頂角θが、それぞれ表1に示すとおりである2種類の賦型ロールを用いた。表1にある溝1は、図3に示すようにV字溝がほぼ隙間なく連続して平衡に形成されたものであり、溝2は、図4に示すようにV字溝の谷に相当する部分に平坦部を有するものである。
【0084】
【表1】

【0085】
[実施例1]
フルフライトスクリューを備え、スクリューの長さLと直径Dとの比L/Dが32である50mmφ押出機を用いた。この押出機10にPPホモAを投入し、270℃で溶融混練し、押出機に続いて設置されたギヤポンプ、アダプタ及びTダイ12(すべて270℃に設定)へとこの順に送り、Tダイ12の樹脂吐出口12aからフィルム状に押し出した。Tダイ12の樹脂吐出口12aにおける溶融樹脂温度は270℃であった。その溶融樹脂を、図1に示されるように、賦型ロール14と挟圧ベルト20とで挟み、挟圧長さ4mm、線圧150N/mmで挟圧して賦形し、その後、賦型ロール14から冷却ロール16に導いて冷却し、固化させることにより、厚さが約100μm のプリズムフィルムを作製した。
【0086】
ここで、賦型ロール14と挟圧ベルト20との間に挟むときの挟圧長さは、以下の方法で測定した。すなわち、溶融樹脂を供給せず、ロールを回転させない以外は上の運転と同じ状態で、賦型ロール14と挟圧ベルト20との間に感圧紙(富士フィルムビジネスサプライ(株)から販売されている“プレスケールLLW”)を挟み、感圧紙の発色した部分の機械方向(MD)距離を測定し、それを挟圧長さとした。
【0087】
また、挟圧ベルト20を構成する無端ベルト21には、厚さが300μm で、円筒状としたときの直径が280mm、表面粗度が 0.2Sである金属製のものを用いた。無端ベルト21を装架し、賦型ロール14に接する第1のロール22は、表面がシリコーンで形成され、直径160mmでその表面硬度が60度のもので構成し、反対側の第2のロール23は金属製であり、直径140mmのもので構成した。賦型ロール14と冷却ロール16は、それぞれ直径300mmのもので構成した。冷却ロール16には、表面粗度が 0.1Sで表面が鏡面の金属ロールを用いた。また賦型ロール14には、表1に示した溝1のプリズム形状が付された金属ロールを用いた。そして、挟圧ベルト20の移動速度を5m/分、賦型ロール14及び冷却ロール16の回転周速度を5m/分、エアギャップAを150mm、賦型ロール14の表面温度を20℃、挟圧ベルト20を構成する無端ベルト21の表面温度を20℃にそれぞれ設定した。
【0088】
[実施例2]
実施例1と同じ押出機及び樹脂(PPホモA)を用い、溶融混練温度並びに、押出機に続いて設置されるギヤポンプ、アダプタ及びTダイの温度をすべて280℃に設定し、その他は実施例1と同様にして、PPホモAの溶融押出を行った。Tダイ12の樹脂吐出口12aにおける溶融樹脂の温度は280℃であった。そしてその溶融樹脂を、図2に示されるように賦型ロール14とタッチロール25とで挟むとともに、別途、繰出機から繰り出された厚さ25μm のポリエステル製二軸延伸フィルムを溶融樹脂とタッチロール25の間に挿入し、続いて賦型ロール14から冷却ロール16に導いて冷却し、固化させることにより、厚さHが100μm のプリズムフィルムを作製した。賦型ロール14とタッチロール25とで溶融樹脂を挟むときの条件は、挟圧長さ8mm、線圧14N/mmとした。
【0089】
ここでの挟圧長さも実施例1と同様に、溶融樹脂を供給せず、ロールを回転させない以外は上の運転と同じ状態で、賦型ロール14とタッチロール25との間に感圧紙を挟み、感圧紙の発色部分の機械方向(MD)距離を測定し、それを挟圧長さとした。
【0090】
タッチロール25、賦型ロール14及び冷却ロール16として、いずれも直径300mmのものを用いた。タッチロール25は、ゴム製ロールである。賦型ロール14には、表1に示した溝2のプリズム形状が付されたものを用いた。冷却ロール16には、その表面粗度が 0.1Sで表面が鏡面の金属ロールを用いた。タッチロール25の回転周速度を5m/分、賦型ロール14及び冷却ロール16の回転周速度も5m/分とし、エアギャップAを120mm、賦型ロール14の表面温度を50℃、タッチロール25の表面温度を10℃にそれぞれ設定した。
【0091】
[実施例3]
賦型ロール14の表面温度を70℃に設定したこと以外は実施例2と同様にして、プリズムフィルムを作製した。
【0092】
[実施例4]
樹脂を、PPホモAの70%とPPホモBの30%を混合物に変更したこと以外は実施例2と同様にして、プリズムフィルムを作製した。
【0093】
[実施例5]
賦型ロール14の表面温度を70℃に設定したこと以外は実施例4と同様にして、プリズムフィルムを作製した。
【0094】
以上の実施例1〜5で得られたフィルムの特性及び製造の際の操作性を、以下のようにして評価した。
【0095】
(3)プリズムフィルムの賦形性
得られたプリズムフィルムを厚さ方向に、かつプリズムの山方向と直交する断面が見られるように切断し、その断面を鏡面仕上げしたのち、超深度形状測定顕微鏡(キーエンス社製の“VK-8500”) で観察し、以下の式により、賦形率Tを算出した。
【0096】
【数1】

【0097】
(4)内部ヘイズ
ポリプロピレンとほぼ同じ屈折率を有する液体であるフタル酸ジメチルと測定対象のフィルムを、石英ガラス製の容器(セル)に入れた状態で、JIS K 7136:2000 に準じた方法で内部ヘイズを測定した。ヘイズは、(拡散透過率/全光線透過率)×100(%)で表される値である。
【0098】
(5)押出加工性
樹脂をTダイから押し出した後、安定的にフィルム化できるかどうかを、以下の基準で評価した。
○: 特に問題なくフィルム化できる。
×: ドローダウン(Tダイから押出された樹脂が自重で引き伸ばされる現象)が顕著であるか、又はフィルム表面が波立って表面が荒れるなどの成形不良が発生する。
【0099】
(6)フィルムのハンドリング性
フィルムを裁断したり他のフィルムに貼合したりするときに、問題なく扱えるかどうかを、以下の基準で評価した。
○: 特に問題なく扱える。
×: 加工中にフィルムに亀裂などの不具合が生じる。
【0100】
(7)総合評価
賦形率T、押出加工性及びフィルムのハンドリング性の観点から、以下の基準で評価した。
○: 賦形率Tが90%以上で、かつ、押出加工性及びフィルムのハンドリング性とも良好である。
×: 賦形率Tが90%を下回るか、又は押出加工性及びフィルムのハンドリング性のいずれかに×がある。
【0101】
[比較例1]
樹脂をPP共重合体Cに変更し、溶融混練温度並びに、押出機に続いて設置されるギヤポンプ、アダプタ及びTダイの温度をすべて250℃に変更したこと以外は実施例2と同様にして、プリズムフィルムの成形を試みた。この場合、Tダイ12の樹脂吐出口12aからフィルム状溶融樹脂を押し出したときに、樹脂のドローダウンが顕著となり、フィルムの端部が不安定な挙動をとり、それに伴って厚みムラが生じるとともに、フィルムを安定して得ることができなかった。そのため、上記実施例の(5)に示した押出加工性は×であった。また、フィルムを安定的に得ることができなったため、賦形率T及び内部ヘイズの測定はできず、フィルムのハンドリング性の評価は行えなかった。
【0102】
以上の実施例1〜5及び比較例1の主な変動条件、並びに評価結果を表2にまとめた。実施例1〜5においては、フィルム化にあたって特に問題を生じることなく、安定してプリズムフィルムを製造することができた。また、加工中にフィルムに亀裂などの不具合も生じなかった。
【0103】
【表2】

【符号の説明】
【0104】
1,2…プリズムフィルム製造装置、
10……押出機、
11……ホッパー、
12……Tダイ、
12a…Tダイの樹脂吐出口、
14……賦型ロール、
14a…賦型ロールの金属外筒、
14b…賦型ロールの流体軸筒、
16……冷却ロール、
16a…冷却ロールの金属外筒、
16b…冷却ロールの流体軸筒、
20……挟圧ベルト、
21……無端ベルト、
22……無端ベルトを装架する第1のロール、
23……無端ベルトを装架する第2のロール、
25……タッチロール、
26……弾性ロール、
26a…弾性ロールの表面に設けられた金属層、
30……フィルム状に押し出された透明樹脂、
35……プリズムフィルム、
37……プリズムフィルムの非プリズム面、
38……プリズムの谷に形成された平坦部、
40……プリズム形状における一つの山、
41……プリズムの頂点、
42……プリズムの谷、
44……プリズムの頂点と谷を直線状に結ぶ斜面、
46……プリズムの頂点と谷を曲線状に結ぶ斜面、
A………エアギャップ、
L………流体、
P………溝の間隔(ピッチ)、
h………溝の深さ、
H………フィルムの厚さ、
θ………V字溝の頂角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂を溶融して押し出す押出工程、
押し出されたフィルム状の透明樹脂をプリズム形状が賦形された賦型ロールと狭圧手段との間に挟んで、前記賦型ロールのプリズム形状を前記押し出されたフィルム状の透明樹脂に転写しつつ冷却固化させる賦形工程、及び
プリズム形状が転写されたフィルムを前記賦型ロールから剥離した後、さらに冷却する冷却工程を経て、プリズムフィルムを製造する方法において、
前記透明樹脂として、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下のものを選択することを特徴とするプリズムフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記賦形工程は、賦型ロールの表面温度を0℃以上170℃以下に保って行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記賦形工程は、狭圧手段の表面温度を4℃以上140℃以下に保って行われる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記透明樹脂は、ポリプロピレン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ポリプロピレン系樹脂は、実質的にプロピレンの単独重合体からなる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリプロピレン系樹脂は、10重量%以下のエチレンユニットを含有するプロピレンとエチレンとの共重合体からなる請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリプロピレン系樹脂は、メルトフローレイトの異なる少なくとも2種類のポリプロピレン系樹脂の混合物であって、メルトフローレイトが 0.1g/10分以上40g/10分以下に調整されている請求項4に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の方法によってプリズムフィルムを製造し、得られるプリズムフィルムに偏光板を貼合することを特徴とする偏光板付きプリズムフィルムの製造方法。

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−194583(P2011−194583A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60452(P2010−60452)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】