説明

プリテンショナを備えるリトラクタ用のパイプの製造方法

【課題】製造コストの増大を招来することなく、リトラクタの小型化を図ることが可能な、曲げ部分の内方側外周面から絞り部を設けたパイプの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明では、先端部が絞り部Sの形状に合致した絞り部成形用凸部42を備える絞り部成形用部材40を用い、絞り部成形用凸部42が、直線状に延在したパイプ素材P″の曲げ部分Qとなる部位よりも一端部側においてその内方側外周面に当接するように、パイプ素材P″の他端部を弧状に変位させることにより曲げ成形を施し、曲げ成形が進行し、内方側外周面に絞り部成形用凸部42が当接した以降、曲げ部分Qの内方側外周面と絞り部成形用部材40の絞り部成形用凸部42とを互いに押圧させて絞り部Sを成形したリトラクタ用パイプを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線状に延在したパイプ素材から、曲げ部分の内方側外周面に絞り部を有したプリテンショナを備えるリトラクタ用のパイプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用の安全装置であるシートベルトには、車両の衝突時に乗員を座席と一体に拘束するためのプリテンショナを備えたリトラクタが用いられている。プリテンショナは、車両の衝突を検知してガス発生装置を作動させ、該ガス発生装置から発生した燃焼ガスの圧力を利用してリトラクタの巻取軸をウェビングの巻取方向に強制的に回転させるためのものである。
【0003】
この種のプリテンショナでは、ガス発生装置から発生した燃焼ガスを効率良く利用して瞬時にウェビングを巻き取る必要がある等々の要求から、図6乃至図8に示すように、これらガス発生装置とプリテンショナにおけるウェビングの巻取部との間にパイプPを介在させるようにしている。すなわち、このパイプPは、図5に示すように、その長手方向の略中央部に曲げ部分Qを有した略L字状を成している。このようなプリテンショナは、例えば、特許文献1によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−314557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、単純にL字状の曲げ部分を有するパイプに関しては、従前の成形方法を適用することで、直線状に延在したパイプ素材からこれを容易に成形することが可能である。例えば、図9に示すように、パイプ素材P′の両端部をそれぞれ支持した状態で適宜形状のパンチRを介してその略中央部に押圧力を付与すれば、当該中央部が曲げ部分Qとなってパイプ素材P′がL字状に成形されることになる。
【0006】
しかしながら、上記のようにして成形したパイプにあっては、X,Yいずれの方向においても寸法が大きくなるため、リトラクタに適用した場合、これを小型化することが困難となる。
【0007】
一方、上述したように曲げ部分Qの内方側外周面Q1に絞り部Sを有するパイプPによれば、当該絞り部Sによって寸法を小さくできるため、適用するリトラクタの小型化を図ることが可能になる。
【0008】
しかしながら、上述したパイプPにあっては、その横断面が左右方向に大きく扁平した形状であるため、上述した成形方法を適用してこれを成形しようとした場合、つまりパンチRを介してパイプ素材P′の略中央部に押圧力を付与した場合、その横断面形状を維持することが困難となり、当該絞り部Sが容易に座屈する虞れがある。
【0009】
しかも、曲げ部分Qに成形する絞り部Sの影響から、パイプ素材P′を単純にL字状に曲げる場合に比べて、成形途中における曲げ部分Qの内方側と外方側とで材料の流れのアンバランスが顕著となるため、つまり成形途中において曲げ部分Qの内方側Qinにおいて材料が過多になる一方、曲げ部分Qの外方側Qoutにおいて材料が不足する現象が顕著となるため、成形後における肉厚の変動が大きくなるばかりか、当該曲げ部分Qの外方側Qoutに割れが発生する割合も極めて高くなる。これらの結果、歩留まりの点できわめて不利となり、生産性に著しく劣るばかりか、製造コストの著しい増大を招来することになる。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストの増大を招来することなく、リトラクタの小型化を図ることが可能な、曲げ部分の内方側外周面から絞り部を設けたパイプの製造方法を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、プリテンショナを備えるリトラクタに用い、一端部と他端部とを有するパイプ素材の曲げ部分の内方側外周面に絞り部を有したパイプの製造方法であって、先端部が前記絞り部の形状に合致した絞り部成形用凸部を備える絞り部成形用部材を用い、前記絞り部成形用凸部が、直線状に延在した前記パイプ素材の曲げ部分となる部位よりも一端部側においてその内方側外周面に当接するように、前記パイプ素材の他端部を弧状に変位させることにより曲げ成形を施し、前記曲げ成形が進行し、前記内方側外周面に前記絞り部成形用凸部が当接した以降、前記曲げ部分の内方側外周面と前記絞り部成形用部材の前記絞り部成形用凸部とを互いに押圧させて前記絞り部を成形したプリテンショナを備えるリトラクタ用のパイプの製造方法である。
【0012】
前記パイプ素材を曲げる以前において前記曲げ部分となる部位よりも一端部側に芯金を嵌合挿入して、曲げ成形を施すことが好ましい。前記パイプ素材は曲げる以前においてその一端部側が矩形の筒状を成すとともに、その他端部側が円筒状を成すようにしてもよく、この場合、矩形の筒状を成す部分と円筒状を成す部分との境界部近傍に曲げ成形を施すことが好ましい。また、前記パイプ素材は曲げる以前においてその全長が円筒状を成すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、絞り部成形用部材の絞り部成形用凸部が、直線状に延在したパイプ素材の曲げ部分となる部位よりも一端部側においてその内方側外周面に当接するように、前記パイプ素材の他端部を弧状に変位させることにより曲げ成形を施し、この曲げ成形が進行し、前記内方側外周面に前記絞り部成形用凸部が当接した以降、前記曲げ部分の内方側外周面と前記絞り部成形用部材の絞り部成形用凸部とを互いに押圧させて絞り部を成形するようにしているため、当該絞り部において座屈が発生する事態を有効に防止することができる。さらに、パイプ素材の一端部から押圧力を付与しながら曲げ成形を行うようにしているため、曲げ部分の外方側へも十分に材料が供給されるようになり、割れが発生する虞れもなくなる。これらの結果、歩留まりが著しく向上し、生産性を高めることができるとともに、製造コストの低減を図ることができるようになる。そして、このようなパイプを備えるリトラクタは、小型化が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るリトラクタ用のパイプの製造方法を順に示す概念図である。
【図2】(a)は図1に示した製造方法に適用する絞り部成形用部材の斜視図、(b)はその要部断面図である。
【図3】図1に示した製造方法に適用する芯金の要部斜視図である。
【図4】図1に示した製造方法に適用する支持台および押圧部材の斜視図である。
【図5】(a)は本発明における成形対象となる曲げ部分の内方側外周面に絞り部を有したパイプの断面側面図、(b)は(a)における矢視B図、(c)は(a)における矢視C図である。
【図6】本発明を適用した製造方法で製造したパイプを用いる車両用の安全装置であるシートベルトのリトラクタを示す断面図である。
【図7】リトラクタの要部分解斜視図である。
【図8】リトラクタの動作を示すもので、(a)はプリテンショナの非作動状態を示す断面図、(b)はプリテンショナの作動状態を示す断面図である。
【図9】従来のパイプの製造方法を順に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明に係るパイプの製造方法の一実施形態を概念的に示したものである。ここで例示する製造方法は、先に図5に示したものと同様に、シートベルトのガス発生装置とプリテンショナにおけるウェビングの巻取部との間に介在されるもの、つまり、その長手方向の略中央部に曲げ部分Qを有した略L字状を成し、該曲げ部分Qの内方側外周面Q1から絞り部Sを設けたパイプPを製造するためのものである。より具体的に述べれば、このパイプPは、肉厚が約2mmで全長が約120mmの鉄や軟鋼等の金属製筒状部材である。曲げ部分Qよりも一端部側となる部位は、図5(c)に示すように、矩形の筒状を成す一方、該曲げ部分Qよりも他端部側となる部位は、図5(b)に示すように、一端部側よりも僅かに太径の円筒状を成し、さらにその開放端部が僅かに広口となっている。
【0016】
まず、この製造方法では、図1(a)に示すようなパイプ素材P″を用意する。パイプ素材P″は、直線状に延在し、かつ曲げ部分Qとなる部位よりも一端部側が矩形の筒状を成すとともに、該曲げ部分Qを含んだ他端部側が一端部側よりも僅かに太径の円筒状を成すものである。このパイプ素材P″に関しては、従前の方法を適用することで容易に構成することができる。この場合、必ずしも円管からパイプ素材P″を構成する必要はなく、円柱棒材に圧造成形を施すことによってもパイプ素材P″を容易に構成することが可能である。
【0017】
次いで、図1(b)に示すように、このパイプ素材P″において曲げ部分Qとなる部位よりも一端側に芯金10を嵌合挿入するとともに、パイプ素材P″の一端面に押圧部材20を当接させ、さらにこのパイプ素材P″の一端部を支持台30と絞り部成形用部材40との間に摺動可能に挟装保持させる。
【0018】
芯金10は、図3に示すように、パイプ素材P″の一端部に嵌合するようにその横断面が略矩形状を成すもので、その先端部に湾曲部11を有している。湾曲部11は、パイプPの曲げ部分Qにおける外方側内周面Q2(図5参照)に沿った形状を成す部分である。
【0019】
押圧部材20は、図4に示すように、パイプ素材P″の一端部と同一形状の筒状部材であり、上述した芯金10をガイドとしてその先端面をパイプ素材P″の一端面に当接させてある。
【0020】
支持台30は、その上面にパイプ素材P″の一端部を収容するための支持溝31を有したブロック状を成す部材であり、該支持溝31を介してパイプ素材P″の一端部において下方側外周面に当接している。
【0021】
絞り部成形用部材40は、図2に示すように、支持台30の支持溝31に対向する部位に抑え溝41を有したブロック状を成すものであり、この抑え溝41を介してパイプ素材P″の一端部において上方側外周面に当接することにより、上記支持台30の支持溝31との間においてパイプ素材P″の一端部を挟持している。
【0022】
この絞り部成形用部材40には、パイプ素材P″の他端側に向く先端部に、絞り部成形用凸部42および一対の規制壁部43を設けてある。絞り部成形用凸部42は、成形すべき絞り部Sの形状に合致した突出部分であり、抑え溝41の先端よりもさらに先端に向けて突設してある。規制壁部43は、互いの間に上述したパイプ素材P″における他端部側の外径よりも僅かに大きな間隙を確保した状態で相互に対向する壁状部分であり、抑え溝41の先端両側となる位置から互いに平行となるように突設してある。
【0023】
次いで、上記製造方法では、パイプ素材P″において曲げ部分Qよりも他端部側となる部分をクランプ部材50,51によってクランプし、さらに図1(c)に示すように、押圧部材20を介してパイプ素材P″の一端面から押圧力を付与するとともに、クランプ部材50,51を介してパイプ素材P″の他端部を上方に向けて弧状に変位させることにより、当該パイプ素材P″の略中央部に順次曲げ成形を施す。クランプ部材50,51は、例えばパイプ素材P″における曲げ部分Qの曲げ中心を軸心とする円盤上に設けられていることが好ましい。
【0024】
上述した状態でパイプ素材P″に対する曲げ成形が暫時進行すると、やがて曲げ部分Qの内方側外周面Q1に絞り部成形用凸部42が当接し、以降、パイプ素材P″の内方側外周面Q1をこの絞り部成形用凸部42に押圧した状態で曲げ成形が進行するようになり、当該パイプ素材P″の内方側外周面Q1に絞り部成形用凸部42の形状に合致した絞り部Sが順次成形されるようになる。
【0025】
ここで、この製造方法によれば、パイプ素材P″の内方側外周面Q1を絞り部成形用凸部42に押圧した状態で曲げ成形が進行し、換言すれば、当該内方側外周面Q1の変位を停止させた状態で曲げ成形が進行し、これによりパイプ素材P″に絞り部Sを構成するようにしているため、従前の如く、パンチの押圧力によって絞り部Sを構成するようにした方法に比べて座屈が発生する割合がきわめて小さくなる。しかも、この絞り部Sを構成する部分の両側となる部位に、それぞれ絞り部成形用部材40の規制壁部43を配するようにしているため、当該絞り部Sにおいてパイプ素材P″が必要以上に左右方向に変形して座屈を招来する事態も有効に防止することができる。さらに、パイプ素材P″の一端部から押圧力を付与しながら曲げ成形を行うようにしているため、曲げ部分Qの外方側Qoutへも十分に材料が供給されるようになり、割れが発生する虞れもなくなる。
【0026】
また、パイプ素材P″の一端部に芯金10を嵌合挿入してあるため、絞り部Sを構成する際の影響が当該パイプ素材P″の一端部に及ぶ虞れもない。
【0027】
これらの結果、本製造方法によれば、最終的に図1(d)に示すように、パイプ素材P″の他端部が一端部に対して直交するまでクランプ部材50,51を変位させれば、図5に示す形状通りのパイプPを得ることができるようになり、その歩留まりの著しい向上から、生産性を高めることができるとともに、製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0028】
以下、上記のように構成したパイプPを適用したシートベルトのリトラクタ100について、図6乃至図8を参照しながらその一例を簡単に説明する。
【0029】
このリトラクタ100では、図6に示すように、ねじりシャフト101の周囲にウェビング102を巻き取るためのボビン103を設けてある。ねじりシャフト101は、図示せぬ巻取バネ装置によって常時ウェビング102を巻き取る方向に付勢させたもので、その一端部にロック機構110を備えているとともに、その他端部にプリテンショナ120を備えている。
【0030】
ロック機構110は、ウェビング102が所定値以上の加速度で引き出されようとした場合に作動してねじりシャフト101の回転を阻止し、ウェビング102が引き出されないようにするためのものである。
【0031】
一方、プリテンショナ120は、車両の衝突時にウェビング102を強制的に巻き取ってその弛みを瞬時に除去するための機構である。このプリテンショナ120は、図6および図8(a)に示すように、ねじりシャフト101の基端部にスリーブ121、クラッチプレート122およびプーリ123を備えている。スリーブ121は、ねじりシャフト101と一体的に回転するもので、その外周面がローレット状に形成してある。クラッチプレート122は、ねじりシャフト101に対して回転可能に配設したもので、スリーブ121の外周部に複数、本実施形態では4つのクラッチ爪122aを備えている。各クラッチ爪122aは、スリーブ121の外周面に向けて凹となるように湾曲した横断面形状を有しており、通常状態においてスリーブ121の外周面から離隔している。プーリ123は、内周にカム面123aを有した環状を成しており、該カム面123aを上述したクラッチ爪122aに接触させた状態で配置してある。このプーリ123には、その外周部にワイヤ124の基端を連結してある。ワイヤ124は、プーリ123の外周部を複数巻回させた後に外方に延在させ、さらにその先端部をケース125に保持させてある。なお、上述したプーリ123は、ケース125から突設したせん断ピン126(図7参照)を介して当該ケース125に保持させてある。
【0032】
また、このプリテンショナ120は、上述したパイプPを備えている。パイプPは、矩形の筒状を成す部分の開口を上述したワイヤ124の延在部分に対向させた状態でケース125に保持させてある。このパイプPには、筒状を成す部分にロッド127を嵌合収容させてあるとともに、太径の円筒状を成す部分にガス発生装置128を取り付けてある。ロッド127は、その基端部に押出部材であるパッキン129を装着した状態で上記パイプPに配置してあり、その弧状に形成した先端面にワイヤ124の延在部分を当接させてある。なお、このロッド127は、ケース125から突設したせん断ピン130(図7参照)を介して上述した位置を保持するようにしてある。ガス発生装置128は、車両が衝突した場合に発生する急激な加速度がショックセンサ(図示せず)によって検出された場合に、この検出信号に基づいてガス発生剤を発火させるように構成したものである。
【0033】
このリトラクタ100では、通常状態にある場合、図8(a)に示すように、クラッチプレート122のクラッチ爪122aがねじりシャフト101から離隔しているため、当該ねじりシャフト101に対してプリテンショナ120が何等の影響も与えない。この結果、ウェビング102に対しては、巻取バネ装置(図示せず)による付勢力のみが作用した状態にあり、ボビン103に対してウェビング102を任意に引き出し、あるいは巻き取り可能である。
【0034】
これに対して衝突により車両に急激な加速度が発生した場合には、ガス発生装置128のガス発生剤が発火することになり、これによって発生した燃焼ガスがパイプPの内部に充満し、図8(b)に示すように、その高圧によりパッキン129を介してロッド127がパイプPから瞬時に進出移動するようになる。この場合、上記パイプPによれば、ガス発生装置128からロッド127に至る通路に絞り部Sを設けてあるため、当該ガス発生装置128から発生した燃焼ガスが瞬時にロッド127のパッキン129に到達することになる。
【0035】
ロッド127がパイプPから押し出されると、当該ロッド127に当接したワイヤ124がプーリ123から引き出され、これに伴ってプーリ123が矢印A方向に急速に回転するようになる。さらに、プーリ123が回転すると、そのカム面123aの作用によってクラッチプレート122のクラッチ爪122aがねじりシャフト101の外周面に噛み合うことになり、このクラッチ爪122aを介してプーリ123とねじりシャフト101が一体的に回転する。この結果、ウェビング102がボビン103に対して急速に巻き取られ、乗員が直ちに座席と一体に拘束されることになる。
【0036】
なお、上述した実施の形態では、曲げ部分よりも一端部側となる部位が矩形の筒状を成すとともに、該曲げ部分よりも他端部側となる部位が円筒状のパイプを製造する方法を例示しているが、曲げ部分の内方側外周面から絞り部を設けたものであれば、その他の横断面形状を有するパイプにも適用することが可能であり、その用途もシートベルトのガス発生装置とプリテンショナにおけるウェビングの巻取部との間に介在されるものに限らない。例えばパイプの横断面は、一端部側も他端部側と同様に円筒状であったり、逆に他端部側も一端部側と同様に矩形の筒状であって構わない。前者の場合、パイプ素材としては全長を予め円筒状に成形したものを適用すればよく、後者の場合、パイプ素材としては全長を予め矩形の筒状に成形したものを適用すればよい。なお、パイプの寸法が上述した実施の形態に限定されないのももちろんである。
【0037】
さらに、上述した実施の形態では、絞り部成形用部材をパイプ素材の上部側周面に当接させるようにしているが、その他の外周面に当接させてもよい。
【0038】
また、上述した実施の形態では、パイプ素材の他端部側を保持したクランプ部材を変位させるようにしているが、パイプ素材の一端部側を保持した支持台と絞り部成形用部材とを変位させたり、両者を共に変位させてパイプ素材に曲げ成形を施すようにしても構わない。
【符号の説明】
【0039】
10 芯金
11 湾曲部
20 押圧部材
30 支持台
31 支持溝
40 絞り部成形用部材
41 抑え溝
42 絞り部成形用凸部
43 規制壁部
50,51 クランプ部材
P パイプ
P″ パイプ素材
Q 曲げ部分
Q1 内方側外周面
Q2 外方側内周面
Qin 内方側
Qout 外方側
S 絞り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリテンショナを備えるリトラクタに用い、一端部と他端部とを有するパイプ素材の曲げ部分の内方側外周面に絞り部を有したパイプの製造方法であって、
先端部が前記絞り部の形状に合致した絞り部成形用凸部を備える絞り部成形用部材を用い、前記絞り部成形用凸部が、直線状に延在した前記パイプ素材の曲げ部分となる部位よりも一端部側においてその内方側外周面に当接するように、前記パイプ素材の他端部を弧状に変位させることにより曲げ成形を施し、
前記曲げ成形が進行し、前記内方側外周面に前記絞り部成形用凸部が当接した以降、前記曲げ部分の内方側外周面と前記絞り部成形用部材の前記絞り部成形用凸部とを互いに押圧させて前記絞り部を成形したことを特徴とするプリテンショナを備えるリトラクタ用のパイプの製造方法。
【請求項2】
前記パイプ素材を曲げる以前において前記曲げ部分となる部位よりも一端部側に芯金を嵌合挿入して、曲げ成形を施すことを特徴とする請求項1記載のリトラクタ用のパイプの製造方法。
【請求項3】
前記パイプ素材は曲げる以前においてその一端部側が矩形の筒状を成すとともに、その他端部側が円筒状を成すことを特徴とする請求項1または請求項2記載のリトラクタ用のパイプの製造方法。
【請求項4】
前記パイプ素材において矩形の筒状を成す部分と円筒状を成す部分との境界部近傍に曲げ成形を施すことを特徴とする請求項3記載のリトラクタ用のパイプの製造方法。
【請求項5】
前記パイプ素材は曲げる以前においてその全長が円筒状を成すことを特徴とする請求項1または請求項2記載のリトラクタ用のパイプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−101902(P2011−101902A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5990(P2011−5990)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【分割の表示】特願2008−200758(P2008−200758)の分割
【原出願日】平成12年2月2日(2000.2.2)
【出願人】(503175047)オートリブ株式会社 (5)
【出願人】(599145524)有限会社勝又製作所 (2)
【Fターム(参考)】