説明

プリプレグの製造装置及び製造方法

【課題】強化繊維が毛羽立ちなく且つ十分に開繊した一方向強化繊維プリプレグを製造する装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】強化繊維束を案内するガイド部と、搬送される強化繊維束を等間隔に揃えるコーム部9と、開繊用ローラー10を用いて強化繊維束を開繊する開繊装置2と、開繊した強化繊維を樹脂含浸用ローラー12を用いて移動させながら樹脂を含浸させて複合化させる樹脂含浸部(ラミネーター3)とを有するプリプレグの製造装置において、該開繊用ローラー10の回転速度が該樹脂含浸用ローラー12の回転速度よりも小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は強化繊維と合成樹脂との複合材料であるプリプレグを製造する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの強化繊維と各種マトリックス樹脂とを複合化することにより得られる繊維複合材料は、航空・宇宙分野から一般産業分野まで幅広く利用されている。これらの繊維複合材料は、機械的特性、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れている。中でも炭素繊維複合材料は力学特性、軽量性などに非常に優れていることから自動車用部品などに広く利用されている。
【0003】
マトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂が主として用いられているが、熱可塑性樹脂が用いられることもある。熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂として用いたプリプレグは、耐衝撃性に優れ、プリプレグの保存も容易であり、さらに成形時間が短くなり、成形コストの低減につながるなどの特徴を有する。
【0004】
熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とするプリプレグの製造方法としては、フィルム状の樹脂を加熱溶融して強化繊維に含浸させる方法(溶融含浸法)、粉末状の樹脂を流動床法や懸濁法によって強化繊維に塗布・融着させる方法(パウダー法)、樹脂を溶液化し、強化繊維に含浸後に溶媒を除去する方法(溶液含浸法)等が知られている。しかし、溶融含浸法では樹脂の溶融粘度が高いため炭素繊維内部まで均一に樹脂を含浸させるのが困難である。パウダー法では樹脂の含浸量を調整するのが難しい、溶液含浸法では使用できる樹脂や溶媒の種類が制限されるなどの問題があった。
【0005】
繊維複合材料の中間素材であるプリプレグとしては、可能な限り構成繊維が平行かつ一様に整列した高品質の開繊プリプレグが求められている。ポリプロピレン、ポリアミドなどに代表される熱可塑性樹脂は、加熱溶融状態であっても、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を熱硬化させる前の粘度と比較して高粘度であることから、開繊プリプレグに対する樹脂の均一な含浸性についてはまだ改善の余地が残されている。
【0006】
特許文献1,2には、繊維が平行で、且つ全体的に薄くて繊維の分布密度も一様に連続している開繊プリプレグの製造方法が記載されている。
【0007】
しかし、これらの方法で複数本の束を開繊しようとした場合は、良好なプリプレグが得られないという問題があった。これは、開繊の際、流動体である気流を通過させて開繊を行うため、該気流の流れが強化繊維束一本の場合と複数本のときとで一定でないことが原因と考えられる。
【0008】
特許文献3〜8には、ローラー間に角度を設けることによる開繊(特許文献3)、繊維をタップしてテンションを調節しほぐすことによる開繊(特許文献4)、ローラーを進行方向に対して垂直方向に振動させることによる開繊等のローラーによる開繊(特許文献5)、下降気流による開繊(特許文献6)、水流による開繊(特許文献7)等の流動体による開繊、超音波振動による開繊(特許文献8)が記載されている。
【0009】
しかしながら、いずれの手法においても強化繊維の開繊時に炭素繊維の傷つき、毛羽立ちが生じる、もしくは炭素繊維の開繊が不十分であり、また定量的でないなどの課題がある。
【0010】
特許文献9には、熱可塑性樹脂の粉末をアルコールなどの有機溶媒または有機溶媒と水との混合溶媒に分散させてサスペンジョンとし、これに炭素繊維のストランドまたはシートを浸漬し、樹脂粉末をストランドまたはシートに付着させた後加熱して、樹脂を溶融させて熱可塑性樹脂と炭素繊維のストランドまたはシートを一体化させる方法が記載されている。特許文献9には、この方法によると樹脂が比較的均一に含浸したプリプレグが得られること(含浸樹脂量のばらつき値が4.2〜5.0)、サスペンジョンに通電処理を施すとさらにそのばらつきが抑えられること(含浸樹脂量のばらつき値が2.8〜3.8)が記載されている。しかし、この手法は溶媒を用いるため、溶媒の処理などの後工程が必要となる。
【0011】
特許文献10には、多数本の繊維束を、複数の固定ローラー上を所定角度に屈曲させ、張力下に通過させることにより開繊、拡幅を行う開繊手段と、樹脂含浸部の回転体との間に太鼓状の鍔付きローラーを複数配設し、繊維シート状物を供給すること、及び該回転体の表面速度を繊維シート状物の走行速度よりも速くすることにより開繊することが記載されている。ここで、シート状物の走行速度とは、樹脂含浸部で樹脂を付与した繊維シートを引取りローラーで引き取る際の引取り速度である。
【0012】
この方法は、開繊手段として固定ローラーを用いており、しかも、その表面が、無電解ニッケル被覆中にフッ素樹脂の微粒子を分散させた複合めっき処理をされたすべりが良いことが好ましいとしており、ローラーと繊維束の摩擦を極力抑えて開繊するものと考えられ、開繊に関与しているのは主に張力となるため、開繊が不十分になる。
【0013】
特許文献11には、開繊手段と樹脂含浸部との間に、中心軸が強化繊維シートに対して交差する方向に配置され、かつ強化繊維シートの搬送方向と同一方向に周速度Vrで回転する駆動ローラーを設け、該周速度Vrと搬送速度Vfの関係が0<Vr/Vf≦0.9とする方法が記載され、それによって、開繊、拡幅における強化繊維の蛇行や隙間が解消されるため、プリプレグに加工した際に品質が向上するとの記載がある。この方法では、開繊手段では、配向の乱れた繊維が生じるため、該配向の乱れた単繊維を含む繊維束の張力を緩めて、駆動ローラーとの接触、擦過によって、配向の乱れを改善する。
【0014】
この特許文献11では、強化繊維束をまず開繊したのち、蛇行や隙間を解消するために周速度を搬送速度より低速にした駆動ローラーと接触させる。ところが、開繊工程で乱れた繊維流れを駆動ローラーで整えるのは、周速度を調整した駆動ローラーを用いても困難であり、開繊が進んだ細い繊維の乱れた流れと、駆動するローラーとが接触するため、切れや毛羽立ちが起きやすいという問題がある。
【0015】
特許文献12には、ガラス長繊維ペレットの製造装置及び製造方法において、開繊部より上流側に、繊維を挟む一対の上流側ローラー(駆動ローラー)と、樹脂含浸部より下流側に位置する繊維を挟む一対の下流側ローラー(フィードローラー)を設け、該上流側ローラーと下流側ローラーの回転周速度を等しくすることが記載されている。この上流側ローラ(駆動ローラー)と下流側ローラー(フィードローラー)の間に含浸ローラーが設置されている。該含浸ローラーは繊維を開繊すると共に溶融樹脂をガラス繊維に含浸するものであり、駆動機構を備えておらず、繊維の流れに伴って回転するものである。したがって、該上流側ローラーと下流側ローラーの間の開繊部及び樹脂含浸部では、繊維には張力が殆ど掛からない。これによって、ガラス繊維が開繊し易くなり、多量の樹脂をガラス長繊維に含浸させることができるとしている。
【0016】
しかし、このような方法では、隙間が空きすぎたり、隙間が均一にできなかったり、また樹脂が含浸し過ぎて目抜けが発生したりしてしまう場合がある。
【0017】
特許文献13には、樹脂含浸部において樹脂垂れなどによる毛羽の発生や厚み精度の不良などが生じないようにするために、樹脂溜まりを抑制する制御板を設けることが記載されている。しかしこの方法は、樹脂溜まりが抑えられ、それに起因する毛羽の発生は抑制されているものの、毛羽の発生を抑えるには至らず、樹脂溜まり制御板上部に溜まった樹脂が元で起こる毛羽の発生までは抑えられておらず、改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特許第3049225号公報
【特許文献2】特許第3064019号公報
【特許文献3】特公平3−31823号公報
【特許文献4】特許第4025820号公報
【特許文献5】特開昭56−43435号公報
【特許文献6】特表2007−518890号公報
【特許文献7】特開昭52−151362号公報
【特許文献8】特開平1−282362号公報
【特許文献9】特公平4−12894号公報
【特許文献10】特開平9−111644号公報
【特許文献11】特開2005−325191号公報
【特許文献12】特開2001−300935号公報
【特許文献13】特公平2−26845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、強化繊維が毛羽立ちなく且つ十分に開繊したプリプレグを製造することができる装置及び方法を提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、その一態様において、熱硬化性樹脂に比べ高粘度溶融状態である熱可塑性樹脂を開繊した強化繊維に均一に含浸させて、高品質で任意の幅を有するプリプレグを連続的に製造することが出来る装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明(請求項1)のプリプレグの製造装置は、強化繊維束を案内するガイド部と、搬送される強化繊維束を等間隔に揃えるコーム部と、開繊用ローラーを用いて強化繊維束を開繊する開繊部と、開繊した強化繊維を樹脂含浸用ローラーを用いて移動させながら樹脂を含浸させて複合化させる樹脂含浸部とを有するプリプレグの製造装置において、該開繊用ローラーの回転速度が該樹脂含浸用ローラーの回転速度よりも小さいことを特徴とするものである。
なお、本発明において「回転速度」とは、「単位時間当たりにローラーが回転する速さ(回数)」を示す。
【0022】
請求項2のプリプレグの製造装置は、請求項1において、該開繊用ローラーの回転速度と該樹脂含浸用ローラーの回転速度との比が70:100〜90:100の範囲であることを特徴とするものである。
【0023】
請求項3のプリプレグの製造装置は、請求項1又は2において、該開繊用ローラーの外周面が凹凸処理面となっていることを特徴とするものである。
【0024】
請求項4のプリプレグの製造装置は、請求項3において、凹凸処理が梨地処理であることを特徴とするものである。
【0025】
請求項5のプリプレグの製造装置は、請求項1ないし4のいずれか1項において、開繊用ローラーが複数本設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
請求項6のプリプレグの製造装置は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記樹脂含浸部は、前記強化繊維を鉛直方向に移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
請求項7のプリプレグの製造装置は、請求項1ないし6のいずれか1項において、強化繊維が炭素繊維であることを特徴とするものである。
【0028】
請求項8のプリプレグの製造装置は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ガイド部に強化繊維束を供給するためのクリールスタンド部が設けられており、該クリールスタンド部には、強化繊維束を巻回してなるボビンと、該ボビンの回転を制動するための制動手段とが設けられていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明(請求項9)のプリプレグの製造方法は、強化繊維束を案内するガイド部と、搬送される強化繊維束を等間隔に揃えるコーム部と、開繊用ローラーを用いて強化繊維束を開繊する開繊部と、開繊した強化繊維を樹脂含浸用ローラーを用いて移動させながら樹脂を含浸させて複合化させる樹脂含浸部とを有するプリプレグの製造装置において、該開繊用ローラーの回転速度が該樹脂含浸用ローラーの回転速度よりも小さいことを特徴とするものである。
【0030】
請求項10のプリプレグの製造方法は、請求項9において、該開繊用ローラーの回転速度と該樹脂含浸用ローラーの回転速度との比が70:100〜90:100の範囲であることを特徴とするものである。
【0031】
請求項11のプリプレグの製造方法は、請求項9又は10において、該開繊用ローラーの外周面が凹凸処理面となっていることを特徴とするものである。
【0032】
請求項12のプリプレグの製造方法は、請求項11において、凹凸処理が梨地処理であることを特徴とするものである。
【0033】
請求項13のプリプレグの製造方法は、請求項9ないし12のいずれか1項において、前記樹脂含浸部において前記強化繊維を鉛直方向に移動させることを特徴とするものである。
【0034】
請求項14のプリプレグの製造方法は、請求項9ないし13のいずれか1項において、前記樹脂は熱可塑性樹脂であることを特徴とするものである。
【0035】
請求項15のプリプレグの製造方法は、請求項9ないし14のいずれか1項において、前記ガイド部に強化繊維束を供給するためのクリールスタンド部が設けられており、該クリールスタンド部には、強化繊維束を巻回してなるボビンと、該ボビンの回転を制動するための制動手段とが設けられていることを特徴とするものである。
【0036】
請求項16のプリプレグの製造方法は、請求項15において、前記制動手段による制動力を制御することにより、該ボビンから巻き出される強化繊維束の張力を制御することを特徴とするものである。
【0037】
請求項17のプリプレグの製造方法は、請求項9ないし16のいずれか1項において、強化繊維が炭素繊維であることを特徴とするものである。
【0038】
本発明(請求項18)のプリプレグは、請求項9ないし17のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたものである。
【発明の効果】
【0039】
本発明では、強化繊維束を樹脂含浸用ローラーと開繊用ローラーとのローラーの回転速度差によって強化繊維束に適度な張力を付与し、開繊用ローラー表面で適度な摩擦を強化繊維に付与することにより、傷や毛羽立ちも防ぎつつ強化繊維束を開繊させる。
なお、本発明では、「開繊用ローラーの回転速度が樹脂含浸用ローラーの回転速度よりも小さい」ことが必要であるので、このような効果を得るためには、開繊用ローラーの径が含浸用ローラーの径より小さいことが好ましい。
【0040】
強化繊維束を巻回してなるボビンの回転に制動を与えることにより、強化繊維束に適度な摩擦を付与し開繊させることができる。
【0041】
本発明では、開繊された強化繊維束に樹脂を含浸させる際に、その進行方向を鉛直下方とすることが好ましい。
【0042】
従来のプリプレグの製造装置では、開繊した強化繊維束を樹脂に含浸させる樹脂含浸部における強化繊維束の進行方向を水平方向としているが、このようにすると、樹脂垂れなどによる毛羽の発生や厚み精度の不良などの問題が発生する。
【0043】
これに対し、樹脂含浸部における強化繊維束の進行方向を鉛直下方とすることにより、樹脂含浸部における樹脂垂れが防止される。また、進行方向を水平方向としたときに比べて、樹脂が強化繊維に対していずれの面においても均一に分散するため、厚み精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明のプリプレグ製造装置のクリールスタンドから開繊装置、樹脂含浸部までの装置全体を概略的に表した側面図である。
【図2】図2は本発明のプリプレグ製造装置のクリールスタンドを概略的に表した平面図である。
【図3】図3は本発明のプリプレグ製造装置の開繊装置を概略的に表した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、図面を用いて本発明の一例を詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない範囲であれば、これら説明は本発明を何ら限定するものではない。
【0046】
図1のプリプレグの製造装置は、強化繊維束の張力の調整機能を有するクリールスタンド1と、該クリールスタンド1から引き出された強化繊維束Xを開繊させる開繊装置2と、開繊した強化繊維束に熱可塑性樹脂からなるマトリックス樹脂を含浸させるラミネーター(樹脂含浸部を含む)3とを有する。クリールスタンド1には、強化繊維束Xが巻回されたボビン4が複数取り付けられている。
【0047】
クリールスタンド1には、回動自在なシャフト5が複数本設けられており、各シャフト5にそれぞれボビン4が装着されている。
【0048】
このクリールスタンド1としては、一方向強化繊維プリプレグを製造するために、例えば張力の調整機能を備えているものが好ましい。張力の調整方法としては、特公昭47−771号公報に記載の可動ローラーにより張力を調整する方法、特開平7−53128号公報に記載の繊維などの張力に応じて巻取りドラムの有効周速度を変更させて張力を調整させる方法、実開昭50−23445号公報に記載の空気圧ブレーキにより張力を調整する方法などを挙げることができる。
【0049】
この実施の形態では、シャフト5の回転に制動(ブレーキ)をかけることにより、引き出される強化繊維束Xに張力を与えるための空気圧ブレーキ5aが各シャフト5に設けられている。この空気圧ブレーキ5aは、シャフトに連動した回転軸と、該軸に摺接するブレーキパッドと、空気圧アクチュエータとを備え、該ブレーキパッドを軸に対して空気圧アクチュエータによって押し付けるよう構成されている。
【0050】
空気圧ブレーキ5aのアクチュエータの空気圧は、好ましくは4MPa以下、より好ましくは3MPa以下、さらに好ましくは2MPa以下、特に好ましくは0.5MPa以上1.5MPa未満、最も好ましくは0.7以上1.2MPa未満の範囲である。
【0051】
クリールスタンド1から引き出された強化繊維束Xは、クリールスタンド1のガイドポール6、続いてガイド7を通過し、さらにガイドローラー8を通り、コーム部(くし部)9において各々の強化繊維束間の幅が任意に調整され、互いに並行に整然と並んだ状態で開繊装置2まで流送される。
【0052】
開繊装置2において、強化繊維束は、複数(この実施の形態では3個)のローラー10(10a,10b,10c)を介して走行する。ローラー10はいずれも、ローラー軸心を水平としている。図1では、先頭側及び末尾側のローラー10a,10cは比較的高位に配置され、中間のローラー10bはそれらの間において比較的低位に配置されている。強化繊維束Xは、高位の第1番目(図1の最も左側)のローラー10aに掛けられた後、低位の第2番目のローラー10bに掛けられ、次いで高位の第3番目のローラー10cに掛けられている。従って、側面視においては、強化繊維束XはV字状に走行する。ただし、高位側に合計3本のローラー10を配置し、低位側に合計2本のローラー10を配置し、強化繊維束Xを側面視においてW字状にジグザグに走行させてもよい。また、さらに多数のローラーを配置してもよい。この実施の形態では、V字状の角度をなすように強化繊維を走行させているが、このように角度をつけて強化繊維を走行させることは、摩擦による開繊を行ううえで極めて重要である。従って、図1に示した実施の形態では、強化繊維がV字状となるように、中間のローラー10bを先頭側及び末尾側のローラー10a,10cに比べて比較的低位に配置したが、中間のローラー10bを、先頭側及び末尾側のローラー10a,10cに比べて比較的高位になるように配置してもよく、図1の態様に限定されない。
【0053】
この開繊用ローラー10の材質としてはステンレス材が適当である。ローラー10の表面はスベリを良くし繊維束の拡幅を促進するためと、毛羽の発生を抑えるために梨地表面とするのが良い。磨耗を防ぎ長期使用に耐えうるようにするために、ロール表面にクロムメッキ処理を施したあと梨地処理を行うことが特に好ましい。
【0054】
最も下流側(図1では最も右側)のローラー10cに掛けられた強化繊維束Xは、その後、鉛直下方に向って引き回され、開繊装置2からラミネーター3に導入される。このラミネーター3には、1対の樹脂含浸用ローラー12がローラー軸心を水平とし、且つ両者間に開繊された強化繊維を挟むように配置されている。
【0055】
樹脂含浸用ローラー12,12から若干離隔して、ラミネートフィルム11の巻回体が軸心方向を水平方向として配置されている。各巻回体から巻き出されたラミネートフィルム11がローラー12,12間に供給され、強化繊維をラミネートフィルム11,11で挟む。また、マトリックス樹脂の供給機(図示略)によって、溶融状態又は未硬化液状もしくは粉状のマトリックス樹脂Yをラミネートフィルム11,11の間の強化繊維がローラー12,12に引き込まれる部分に供給する。このようにして、ラミネーター3で、マトリックス樹脂Yを開繊した強化繊維に含浸すると同時に、2枚のラミネートフィルム11で挟み、ローラー12の圧力(ニップ圧)によって、強化繊維とマトリックス樹脂を複合化する。
【0056】
このプリプレグ製造装置においては、開繊用ローラー10の回転速度を樹脂含浸用ローラー12の回転速度よりも小さくする。これにより、開繊用ローラー10の外周面と強化繊維束Xとの間に摩擦が生じ、この摩擦によって強化繊維束がほぐされ、開繊される。なお、前述の通り、開繊用ローラー10の外周面の凹凸面を特に梨地処理面とすることにより、効率よく開繊が行われる。
【0057】
ローラー12の回転速度V12に対するローラー10の回転速度V10の百分比V10/V12×100(%)は、100%未満であり、好ましくは55〜95%、特に好ましくは70〜90%である。
【0058】
ローラー10の外周面を凹凸面とする場合、この凹凸面のRmax(JIS B0601−1982準拠)を1〜10μm、特に3〜7μmとすることが好ましい。
【0059】
複合化された強化繊維含有プリプレグは、ラミネートフィルム11,11とともにガイドローラー13を経て巻取りローラー14によって巻き取られる。なお、通常の場合、該ラミネートフィルム11を剥がしてから、強化繊維含有プリプレグとして種々の用途に使用される。
【0060】
なお、ラミネーター3のローラー12付近における強化繊維の進行方向は、鉛直下方であることが好ましい。特に、ローラー10cからガイドローラー13までの区画で強化繊維が鉛直下方に進行することが好ましい。マトリックス樹脂Yが溶融した熱可塑性樹脂である場合、強化繊維は、開繊装置2の最も下流側のローラー10cから樹脂含浸用ローラー12を通過して樹脂含浸された後、ガイドローラー13に到達する前に樹脂がその軟化点よりも低い温度まで冷えて固化し、マトリックス樹脂と強化繊維とが一体化することが好ましい。
【0061】
本発明で製造される一方向強化繊維プリプレグは、一方向に引き揃え、並べられた強化繊維にマトリックス樹脂が含浸されているものである。
【0062】
本発明おいて強化繊維とは、繊維強化プラスチック(FRP)に使用される繊維を言う。この繊維としては、一方向プリプレグの製造に使用でき、かつ本発明の方法に適用できるような十分な強度と長さを有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維等の無機繊維、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、有機天然繊維等の有機繊維等が挙げられるが、中でも無機繊維が好ましく、特には炭素繊維が好ましい。炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、セルロース系、炭化水素の気相成長系が挙げられるが、PAN系又はピッチ系の使用が好ましい。また、これらの繊維は単一の種類で使用しても良いが、複数種使用しても良い。
【0063】
本発明において用いられる樹脂は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでも良いが、プリプレグとした際の性能上、保存管理上、生産性の点等から熱可塑性樹脂が好ましい。使用できる熱可塑性樹脂は特に限定されないが、具体的にはポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアラミドなどが挙げられ、好ましくはポリプロピレン、芳香族ポリエステル、芳香族ポリアミド、芳香族ポリカーボネートが好ましく使用される。該熱可塑性樹脂は単一の種類で使用しても良いが、複数種使用しても良い。また、必要に応じて、公知の添加剤を含有しても良い。
【実施例】
【0064】
以下、開繊部のローラーと樹脂含浸部のローラーとのローラーの回転速度差を種々変えて炭素繊維束の開繊及び樹脂含浸を行った実施例及び比較例を説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
【0065】
実施例及び比較例の中で述べられる炭素繊維開繊幅及びプリプレグ幅の測定法、プリプレグの仕上がり評価は各々以下の方法により行った。
【0066】
[炭素繊維開繊幅]
炭素繊維束の開繊幅は、開繊部を通過した後の炭素繊維束の幅を定規を用いて測定した測定値である。
【0067】
[プリプレグ幅]
プリプレグの幅は、樹脂含浸後のプリプレグの幅を定規を用いて測定した測定値である。
【0068】
[プリプレグの仕上がり評価]
開繊部及びプリプレグの毛羽立ちの有無、樹脂の含浸状態(繊維が一方向に均一に整列されているか)について下記の基準で目視により観察し、評価した。
◎:プリプレグ表面に毛羽立ちなども見られず、且つ樹脂が均一に含浸している
○:プリプレグ表面の一部に毛羽立ちは見られるが、樹脂は均一に含浸している
△:樹脂の含浸が不均一でプリプレグ表面に皺などの外観不良が見られる
【0069】
実施例1〜3、比較例1
図1に示す装置において(ただし、炭素繊維束は1本のみとした。)、マトリックス樹脂として三洋化成工業株式会社製ポリプロピレン樹脂・商品名ユーメックス1010(軟化点145℃)を180℃にて溶融してラミネートフィルム11の上側に供給した。炭素繊維束として三菱樹脂株式会社製PITCH系炭素繊維ダイアリード、ラミネートフィルムとして同じく三菱樹脂株式会社製離型フィルム・商品名MRF38を使用した。空気圧ブレーキ5aの空気圧を1.0MPaとし、樹脂含浸部のローラー12の回転周速度Vs12=20cm/min(回転速度V12=0.64回/min)とした。開繊用ローラー10の直径は40mm、軸方向長さは400mmである。開繊用ローラー10の表面はクロムメッキされた梨地面である。開繊ローラーの表面の凹凸は、Rmax=3〜7μm、樹脂含浸用ローラー12の直径は100mm、軸方向長さは400mmである。
【0070】
開繊部のローラーの回転速度V10をV10/V12×100%が70%(実施例1)、90%(実施例2)、50%(実施例3)、100%(比較例1)となるように変えて炭素繊維束の開繊及び樹脂含浸を行い、得られたプリプレグの評価結果を表1に示した。
【0071】
[考察]
実施例1,2では、炭素繊維束の幅が6mmから14mmへおよそ2.3倍になるように炭素繊維束が開繊し、且つその開繊時に課題であった毛羽立ちなどの問題は見られず、均一なプリプレグが得られた。
【0072】
実施例3でも、実施例1と同等に炭素繊維束の幅は6mmから14mmへおよそ2.3倍に開繊している様子が確認された。しかし、この条件においては炭素繊維束にかかる摩擦が大きく、一部で炭素繊維開繊時の毛羽立ちによる不均一な部分が見られた。
【0073】
比較例1では、炭素繊維束の幅は6mmから11mmへおよそ1.8倍に開繊している様子が確認された。しかし、この条件においては炭素繊維束にほとんど摩擦がかかっておらず、炭素繊維束の開繊が不十分であった。
【0074】
【表1】

【0075】
実施例4〜7
樹脂含浸用ローラー12の回転周速度Vs12を20cm/min(V12=0.64回/分)(実施例4)、30cm/min(V12=0.96回/min)(実施例5)、10cm/min(V12=0.32回/min)(実施例6)又は50cm/min(V12=1.59回/min)(実施例7)とし、空気圧ブレーキの空気圧を1.0MPa、V10/V12を70%とした他は上記実施例と同様にしてプリプレグを製造した。各プリプレグの開繊幅の評価結果を表2に示した。
【0076】
比較例2〜5
実施例4〜7において、V10/V12が100%となるようにVs10を変えた他は同様にしてプリプレグを製造した。各プリプレグの開繊幅の評価結果を表3に示した。
【0077】
[考察]
実施例4,5では、プリプレグ幅が35mmとなり、樹脂の含浸量が良好で、且つ目抜けや毛羽立ちなどの不良もないことを確認した。
【0078】
実施例6では、プリプレグ幅が27mmであり、炭素繊維束が開繊されたことがわかる。しかし、この条件においては樹脂の含浸がニップ圧により妨げられる度合いが大きいため、用途によっては、強化繊維プリプレグの樹脂含浸量が必ずしも十分とはいえないことがある。また生産性が不十分となる場合がある。
【0079】
実施例7では、プリプレグ幅が23mmと開繊幅がやや狭い。このような場合、特に熱可塑性樹脂の粘度が高いときには、樹脂が炭素繊維束に十分に含浸する前に樹脂含浸部を通過することがある。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
実施例8〜12
実施例1(Vs12=20cm/min、V10/V12=70%)において、空気圧ブレーキ5aの空気圧を0.5、1.0、1.5、0又は2MPaとしたこと以外は同様にして強化繊維プリプレグを製造し、毛羽立ち及び樹脂含浸状態を観察し、結果を表4に示した。
【0083】
[考察]
実施例8,9では、開繊時に炭素繊維に毛羽立ちなどは見られず、また樹脂含浸時においても炭素繊維が適度な張力をもって整然と引き揃えられており、均一かつ十分に開繊し、プリプレグの仕上がりも良好であった。
【0084】
実施例10では、一部に毛羽立ちなどは見られるが、均一かつ十分に開繊し、プリプレグの仕上がりも良好であった。
【0085】
実施例11では、張力をかけない空気圧ブレーキの空気圧0MPaの条件としたため、得られたプリプレグには、均一に樹脂が含浸されない部分があった。
【0086】
実施例12では、空気圧ブレーキの空気圧が2.0MPaと高いために、開繊部において炭素繊維束に毛羽立ちが一部で見られ、またプリプレグにも樹脂の含浸が不十分な部分があった。
【0087】
実施例8〜12の通り、空気圧ブレーキを用いた張力調整機能を有するクリールスタンドを用い、ピッチ系炭素繊維を使用する場合は、張力の調整は、主に毛羽立ちや樹脂の含浸に影響があり、仕上がりに影響をもたらす。空気圧ブレーキを用いると張力の調整が容易である。
【0088】
【表4】

【0089】
実施例13,14
空気圧ブレーキの空気圧を1.0MPaとし、炭素繊維束を1本(実施例13)又は6本(実施例14)としたこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグを製造し、得られたプリプレグの幅を測定した。
【0090】
その結果、炭素繊維束を1本とした実施例13では、プリプレグの幅は35mmであった。炭素繊維束を6本とした実施例14では、幅は190mmであった。開繊幅35mmの開繊炭素繊維を6本引き揃えた場合の幅35×6=210mm幅と比較すると10%ほど幅が減少しているが、これは目抜けの発生を防止するために炭素繊維束の一部同士をオーバーラップさせたことによるものであり、炭素繊維束の開繊幅が低下しているわけではない。以上の結果より、炭素繊維束が複数本になった場合においても均一かつ十分に開繊されることが認められた。
【0091】
以上の実施例及び比較例から明らかなとおり、本発明のプリプレグの製造方法及び装置によると、開繊部ローラーと樹脂含浸部のローラーとの回転速度差を設けることによって、強化繊維が十分に開繊し、且つ樹脂が均一に含浸した強化繊維プリプレグを得ることが可能である。また、強化繊維束の張力を定量的に調整することによって、強化繊維束に過度の負荷をかけることなく、凹凸処理された開繊ローラーを使用することによって、適度に炭素繊維束に摩擦をかけてほぐすことが可能となり、切れや毛羽立ちなどなく、良好に炭素繊維束が開繊する。
【0092】
また、強化繊維束の開繊後の樹脂含浸部のローラーにおいては、強化繊維の進行方向を鉛直下方とすることにより、樹脂の含浸に偏りがなく両面とも均一に、且つ開繊プリプレグの品質としても、毛羽立ちなどの問題がなく良好であるものが得られる。
【0093】
さらに本発明の製造方法及び装置によると、開繊させる強化繊維束が一本の場合でも複数本の場合でも、同等の効果を発揮させることが出来る。これは、炭素繊維束の開繊に関わる要素がローラー間の回転速度比と、好ましくはローラー表面の梨地処理と空気圧ブレーキによる炭素繊維束の張力などであるため、炭素繊維が複数本になっても炭素繊維束一本あたりには常に一定の張力がかかり、安定した開繊プリプレグを得ることが出来るものと考えられる。
【0094】
なお、実施例においては、開繊した強化繊維を2枚の離型フィルムで挟持し、該離型フィルムの間に、複合化させる溶融したポリプロピレン樹脂(商品名ユーメックス1010)を供給することにより含浸を行ったが、本発明の開繊装置はこの方法に限らず、パウダー法や溶液含浸法などの他の熱可塑性樹脂による導入方法でも同様にしてプリプレグを製造することが出来る。
【符号の説明】
【0095】
1 クリールスタンド
2 開繊装置
3 ラミネーター
4 強化繊維ボビン
5 シャフト
5a 空気圧ブレーキ
6 ガイドポール
7 ガイド
8 ガイドローラー
9 くし(コーム部)
10 開繊部のローラー
11 ラミネートフィルム
12 樹脂含浸部のローラー
13 ガイドローラー
14 巻取りローラー
X 強化繊維
Y マトリックス樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維束を案内するガイド部と、
搬送される強化繊維束を等間隔に揃えるコーム部と、
開繊用ローラーを用いて強化繊維束を開繊する開繊部と、
開繊した強化繊維を樹脂含浸用ローラーを用いて移動させながら樹脂を含浸させて複合化させる樹脂含浸部と
を有するプリプレグの製造装置において、
該開繊用ローラーの回転速度が該樹脂含浸用ローラーの回転速度よりも小さいことを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項2】
請求項1において、該開繊用ローラーの回転速度と該樹脂含浸用ローラーの回転速度との比が70:100〜90:100の範囲であることを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、該開繊用ローラーの外周面が凹凸処理面となっていることを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項4】
請求項3において、凹凸処理が梨地処理であることを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、開繊用ローラーが複数本設けられていることを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記樹脂含浸部は、前記強化繊維を鉛直下方に移動させるように構成されていることを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、強化繊維が炭素繊維であることを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記ガイド部に強化繊維束を供給するためのクリールスタンド部が設けられており、
該クリールスタンド部には、強化繊維束を巻回してなるボビンと、該ボビンの回転を制動するための制動手段とが設けられていることを特徴とするプリプレグの製造装置。
【請求項9】
強化繊維束を案内するガイド部と、
搬送される強化繊維束を等間隔に揃えるコーム部と、
開繊用ローラーを用いて強化繊維束を開繊する開繊部と、
開繊した強化繊維を樹脂含浸用ローラーを用いて移動させながら樹脂を含浸させて複合化させる樹脂含浸部と
を有するプリプレグの製造装置において、
該開繊用ローラーの回転速度が該樹脂含浸用ローラーの回転速度よりも小さいことを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項10】
請求項9において、該開繊用ローラーの回転速度と該樹脂含浸用ローラーの回転速度との比が70:100〜90:100の範囲であることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10において、該開繊用ローラーの外周面が凹凸処理面となっていることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項12】
請求項11において、凹凸処理が梨地処理であることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項13】
請求項9ないし12のいずれか1項において、前記樹脂含浸部において前記強化繊維を鉛直下方に移動させることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項14】
請求項9ないし13のいずれか1項において、前記樹脂は熱可塑性樹脂であることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項15】
請求項9ないし14のいずれか1項において、前記ガイド部に強化繊維束を供給するためのクリールスタンド部が設けられており、
該クリールスタンド部には、強化繊維束を巻回してなるボビンと、該ボビンの回転を制動するための制動手段とが設けられていることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項16】
請求項15において、前記制動手段による制動力を制御することにより、該ボビンから巻き出される強化繊維束の張力を制御することを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項17】
請求項1ないし6のいずれか1項において、強化繊維が炭素繊維であることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項18】
請求項9ないし17のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたプリプレグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−148146(P2011−148146A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10173(P2010−10173)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】