説明

プリント回路基板及びその製造方法

【課題】半田レジストとシード層との密着力の低下により発生するシード層の浮き上がり、半田レジストの損傷などのような問題を改善するためのプリント回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のプリント回路基板100の製造方法は、接続パッド121及び回路パターン123を含む回路層120が形成されたベース基板110を準備する段階と、回路層120を含むベース基板110上に、接続パッド121が露出される第1開口部を有する半田レジスト層130を形成する段階と、半田レジスト層130上に、第1開口部と対応する領域に第2開口部を有するメッキレジスト層を形成する段階と、第1及び第2開口部を含み、メッキレジスト層上にシード層150を形成する段階と、第1及び第2開口部に金属ポスト170を形成する段階と、を含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、ファインピッチ(Fine pitch)において半田バンプのピッチ限界及び信頼性を克服できる次世代バンピング技術として金属ポストバンピング技術の開発が提案されている。
【0003】
しかし、上述の金属ポストは、微細ピッチに対応できるように、ポストの高さを高く形成することができるという長所がある一方、半田レジスト上に形成されたシード層との密着力が劣るという問題点が発生する。
【0004】
上述の問題を改善するために、半田レジスト上に表面粗さを形成する技術が提案されているが、この技術は、半田レジストに損傷が発生するという問題点を有する。
【0005】
上述の半田レジストに係る問題により、半田レジストの形成後の工程が困難になるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−0060968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の一側面は、金属ポストを形成する際に、半田レジストとシード層との密着力の低下により発生するシード層の浮き上がり、半田レジストの損傷などのような問題を改善するためのプリント回路基板及びその製造方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例によるプリント回路基板の製造方法は、接続パッド及び回路パターンを含む回路層が形成されたベース基板を準備する段階と、前記回路層を含む前記ベース基板上に、前記接続パッドが露出される第1開口部を有する半田レジスト層を形成する段階と、前記半田レジスト層上に、前記第1開口部と対応する領域に第2開口部を有するメッキレジスト層を形成する段階と、前記第1及び第2開口部を含み、前記メッキレジスト層上にシード層を形成する段階と、前記第1及び第2開口部に金属ポストを形成する段階と、を含むものである。
【0009】
ここで、前記金属ポストを形成する段階は、前記第1及び第2開口部を含み、前記メッキレジスト層上に金属層を形成する段階と、前記メッキレジスト層上に形成された前記シード層及び金属層を除去する段階と、を含むことが好ましい。
【0010】
また、前記金属層を除去する段階の後に、前記メッキレジスト層を除去する段階をさらに含むことが好ましい。
【0011】
また、前記メッキレジスト層を形成する段階で、前記メッキレジスト層はドライフィルムであることが好ましい。
【0012】
また、シード層を形成する段階で、前記第1及び第2開口部を介して露出された接続パッドの上部、前記第1及び第2開口部の内壁、及び前記メッキレジスト層の上部に、シード層を形成することが好ましい。
【0013】
また、前記金属ポストを形成する段階で、前記金属ポストは銅からなることが好ましい。
【0014】
本発明の他の実施例によるプリント回路基板は、接続パッド及び回路パターンが含まれた回路層が形成されたベース基板と、前記回路層を含む前記ベース基板上に形成され、前記接続パッドが露出されるように形成された開口部を有する半田レジスト層と、前記開口部に形成された金属ポストと、前記開口部を含んで前記金属ポストの側面に形成されたシード層と、を含むものである。
【0015】
ここで、前記シード層は、前記開口部に形成され、前記金属ポストの側面の一部に形成されることが好ましい。
【0016】
また、前記金属ポストは銅からなることが好ましい。
【0017】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
【0018】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプリント回路基板及びその製造方法は、金属ポストを形成する段階の直前段階である半田レジスト層及びメッキレジスト層の形成段階の後にシード層を形成するため、半田レジスト層とシード層との密着力の低下によって発生するシード層の浮き上がり現象を予防することができるという効果を期待することができる。
【0020】
また、本発明は、半田レジスト層とシード層との接触面積を最小化することにより、半田レジストとシード層との密着力向上のために行う半田レジストの表面粗さの形成工程を省略することができるため、半田レジストの損傷を防止することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例によるプリント回路基板の構成を示す断面図である。
【図2】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図3】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図4】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図5】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図6】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図7】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図8】図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図9】本発明の他の実施例によるプリント回路基板の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係わる以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素は前記用語によって限定されない。
【0023】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0024】
(プリント回路基板)
図1は、本発明の実施例によるプリント回路基板の構成を示す断面図であり、図9は、本発明の他の実施例によるプリント回路基板の構成を示す断面図である。
【0025】
図1に図示するように、プリント回路基板100は、接続パッド121及び回路パターン123を含む回路層120が形成されたベース基板110と、回路層120を含むベース基板110上に形成され、接続パッド121が露出されるように形成された開口部を有する半田レジスト層130と、開口部に形成された金属ポスト170及び開口部を含んで金属ポストの側面に形成されたシード層150と、を含むものである。
【0026】
一方、図9に図示するように、シード層150は、開口部を含んで金属ポスト170の側面に形成されるが、金属ポスト170の側面一部に形成されることが好ましい。
【0027】
また、金属ポスト170は、銅からなることが好ましいが、これに限定されない。
【0028】
また、ベース基板110は、絶縁層に接続パッドを含む1層以上の回路が形成された回路基板であり、好ましくは、プリント回路基板であることが好ましい。本図面では、説明の便宜のために、具体的な内層回路の構成は省略して図示したが、当業者であれば、前記ベース基板110として、絶縁層に1層以上の回路が形成された通常の回路基板に適用することができるということを十分認識することができるであろう。
【0029】
前記絶縁層としては、樹脂絶縁層を用いることが好ましい。前記樹脂絶縁層としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグを用いることが好ましく、また光硬化性樹脂などを用いることも好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0030】
また、前記接続パッド121及び回路パターン123を含む回路層は、回路基板の分野において、回路用伝導性金属として用いられるものであれば制限されずに適用可能であり、プリント回路基板では、銅を用いることが一般的である。
【0031】
また、前記半田レジスト層130は、最外層回路を保護する保護層の機能をし、電気的絶縁のために形成されるものであり、最外層の接続パッド121を露出させるために、開口部が形成される。前記半田レジスト層130は、当業界にて公知されたように、例えば、半田レジストインク、半田レジストフィルムまたは封止剤などで構成されることが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0032】
前記露出された接続パッド121には、必要に応じて表面処理層(不図示)がさらに形成されることが好ましい。
【0033】
前記表面処理層は、当業界にて公知されたものであれば特に限定されるものではないが、例えば、電解金メッキ(Electro Gold Plating)、無電解金メッキ(Immersion Gold Plating)、OSP(Organic Solderability Preservative)、または無電解スズメッキ(Immersion Tin Plating)、無電解銀メッキ(Immersion Silver Plating)、ENIG(Electroless Nickel and Immersion Gold;無電解ニッケルメッキ/置換金メッキ)、DIGメッキ(Direct Immersion Gold Plating)、HASL(Hot Air Solder Leveling)などにより形成されることが好ましい。
【0034】
(プリント回路基板の製造方法)
図2から図8は、図1のプリント回路基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0035】
まず、図2に図示するように、接続パッド121及び回路パターン123を含む回路層120が形成されたベース基板110を準備する。
【0036】
ここで、ベース基板110は、絶縁層に接続パッドを含む1層以上の回路が形成された回路基板であり、好ましくは、プリント回路基板であることが望ましい。本図面では、説明の便宜のために、具体的な内層回路の構成は省略して図示したが、当業者であれば、前記ベース基板110として、絶縁層に1層以上の回路が形成された通常の回路基板に適用することができるということを十分認識することができるであろう。
【0037】
前記絶縁層としては、樹脂絶縁層を用いることが好ましい。前記樹脂絶縁層としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリイミドなどの熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維または無機フィラーなどの補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグを用いることができ、また光硬化性樹脂などを用いることも好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0038】
次に、図2に図示するように、回路層120を含むベース基板110上に、接続パッド121が露出される第1開口部131を有する半田レジスト層130を形成する。
【0039】
前記半田レジスト層130は、当業界にて公知されたように、例えば、半田レジストインク、半田レジストフィルムまたは封止剤などで構成することが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0040】
次に、図3及び図4に図示するように、半田レジスト層130上に、第1開口部131と対応する領域に第2開口部141を有するメッキレジスト層140を形成する。
【0041】
この際、メッキレジスト層140は、ドライフィルム(dry film)または液状のポジ型フォトレジスト(P−LPR;positive liquid photo resist)などの感光性レジストを用いることが好ましいが、これらに限定されない。
【0042】
次に、図5に図示するように、第1及び第2開口部131、141を含んでメッキレジスト層140上にシード層150を形成する。
【0043】
この際、シード層150は、第1及び第2開口部131、141を介して露出された接続パッド121の上部、第1及び第2開口部131、141の内壁、及びメッキレジスト層140上部に形成することが好ましい。
【0044】
上述したように、本発明では、シード層150において、シード層150との密着力が弱い半田レジスト層130との接触面積より、シード層150とメッキレジスト層140との接触面積が大きいため、半田レジスト層とシード層との密着力の低下によって発生するシード層の浮き上がり現象を防止することができるという効果を期待することができる。
【0045】
また、シード層150とメッキレジスト層140との密着力の向上により、シード層との接着力を向上させるために行われる半田レジスト層130上に表面粗さを形成する工程を省略することができるため、工程の単純化及び半田レジスト層の損傷の防止効果を期待することができる。
【0046】
更に、シード層150は、例えば、脱脂(cleaning)過程、ソフトエッチング(soft etching)過程、プレ触媒(pre−catalyst)処理過程、触媒処理過程、活性化(accelerating)過程、無電解メッキ過程、及び酸化防止処理過程を含む一般的な触媒析出方式を利用して形成することが好ましいが、これらに限定されない。
【0047】
次に、図6及び図7に図示するように、第1及び第2開口部131、141に金属ポスト170を形成する。
【0048】
より詳細に説明すると、金属ポスト170を形成する段階は、第1及び第2開口部131、141を含んでメッキレジスト層140上に金属層160を形成する段階と、メッキレジスト層140上に形成されたシード層150及び金属層160を除去する段階と、を含むものである。
【0049】
この際、メッキレジスト層140上に金属層160を形成する段階は、実質的にメッキレジスト層140上に形成されたシード層150上に金属層160を形成する段階である。
【0050】
また、シード層150は、クィックエッチング(quick etching)またはフラッシュエッチングなどにより除去することが好ましい。
【0051】
図7に図示するように、シード層150及び金属層160を除去する際、第1及び第2開口部131、141の内壁に形成されたシード層及び第1及び第2開口部131、141に形成された金属ポスト170は残して、メッキレジスト層140上に形成されたシード層150及び金属層160を除去する。
【0052】
また、金属層160を除去する段階の後に、メッキレジスト層140を除去する段階をさらに行うことが好ましい。
【0053】
この際、メッキレジスト層140は、水酸化ナトリウム(NaOH)または水酸化カリウム(KOH)などの剥離液を用いて除去することが好ましい。
【0054】
また、金属ポスト170は、銅からなることが好ましいが、これに限定されない。
【0055】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明によるプリント回路基板及びその製造方法は、これに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0056】
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、半田レジストとシード層との密着力の低下により発生するシード層の浮き上がり、半田レジストの損傷などのような問題を改善するためのプリント回路基板及びその製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 プリント回路基板
110 ベース基板
120 回路層
121 接続パッド
123 回路パターン
130 半田レジスト層
131 第1開口部
140 メッキレジスト層
141 第2開口部
150 シード層
160 金属層
170 金属ポスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続パッド及び回路パターンを含む回路層が形成されたベース基板を準備する段階と、
前記回路層を含む前記ベース基板上に、前記接続パッドが露出される第1開口部を有する半田レジスト層を形成する段階と、
前記半田レジスト層上に、前記第1開口部と対応する領域に第2開口部を有するメッキレジスト層を形成する段階と、
前記第1及び第2開口部を含み、前記メッキレジスト層上にシード層を形成する段階と、
前記第1及び第2開口部に金属ポストを形成する段階と、
を含むプリント回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記金属ポストを形成する段階は、
前記第1及び第2開口部を含み、前記メッキレジスト層上に金属層を形成する段階と、
前記メッキレジスト層上に形成された前記シード層及び金属層を除去する段階と、
を含む請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記金属層を除去する段階の後に、
前記メッキレジスト層を除去する段階をさらに含む請求項2に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記メッキレジスト層を形成する段階で、前記メッキレジスト層はドライフィルムである請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記シード層を形成する段階で、前記第1及び第2開口部を介して露出された接続パッドの上部、前記第1及び第2開口部の内壁、及び前記メッキレジスト層の上部に、シード層を形成する請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記金属ポストを形成する段階で、前記金属ポストは銅からなる請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項7】
接続パッド及び回路パターンが含まれた回路層が形成されたベース基板と、
前記回路層を含む前記ベース基板上に形成され、前記接続パッドが露出されるように形成された開口部を有する半田レジスト層と、
前記開口部に形成された金属ポストと、
前記開口部を含んで前記金属ポストの側面に形成されたシード層と、
を含むプリント回路基板。
【請求項8】
前記シード層は、前記開口部に形成され、前記金属ポストの側面の一部に形成される請求項7に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記金属ポストは銅からなる請求項7に記載のプリント回路基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−80889(P2013−80889A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283849(P2011−283849)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】