説明

プリント回路板及びプリント回路板を備えた電子機器

【課題】 半導体パッケージと、プリント配線板との接続において、良好な保守性を確保したプリント回路板を提供する。
【解決手段】 パッケージ本体21と複数のはんだボール22とを有した半導体パッケージ20をプリント配線板10に実装する際、パッケージ本体21の周囲に接合部材30を塗布しプリント回路板7と接合する。パッケージ本体21から遠ざかる側の接合部材30の近傍に位置する実装面上に実装された電子部品40に、接合部材30と比してガラス転移温度の高い部品保護部材50を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体パッケージとプリント配線板とを接合部材で接合したプリント回路板及びプリント回路板を供えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブルコンピュータに用いられるプリント回路板には、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Sized Package)形の半導体パッケージが実装されたプリント配線板を有しているものがある。このようなプリント回路板は、複数のはんだボールを介して半導体パッケージとプリント配線板とが接続されているものの、接続信頼性の確保の観点から別途プリント配線板と半導体パッケージを固定する構造が採用されることがある。
【0003】
例えば半導体パッケージの角部を樹脂製の接合部材を介してプリント配線板に固定することが行われている。接合部材の充填位置ははんだ接合部及び周辺部品に隣接しているため、接合部材がはんだ接合部及び周辺部品に流入する事態が起こりうる。この問題に対応するためプリント配線板にシルク印刷による凸部を形成し、接合部材の広がりを抑制する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−48976(第8頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の技術を用いて接合部材の広がりが抑制できたとしても、保守作業の際に周辺部品を破損する恐れが生じうる。即ち、近年電子機器の小型化が進んでおり、上述した接合部材のすぐ近傍に他の周辺部品が配置される高密度実装となっている。従って、半導体パッケージの交換修理等の保守作業を目的として接合部材を除去する際に、当該接合部材を加熱して軟化させようとすると、その熱が他の周辺部品にまで影響して破損させてしまう虞があった。
【0005】
一方、周辺部品への配慮から接合部材の塗布量を減らしてしまうと、プリント配線板への半導体パッケージの固定が不十分になってしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、半導体パッケージとプリント配線板との接続において、良好な保守性を確保したプリント回路板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るプリント回路板は略方体形状の本体部と、前記本体部の1の面に設けられた複数のはんだボールとを有した半導体パッケージと、前記複数のはんだボールが実装された実装面を有したプリント配線板と、前記半導体パッケージ本体部の周囲に塗布され、前記半導体パッケージと前記プリント配線板とを接合する第1のガラス転移温度を有した第1の接合部材と、前記第1の接合部材の近傍であって、前記半導体パッケージから遠ざかる側に位置する前記実装面上に実装された電子部品と、前記実装面上に前記電子部品を覆って塗布され、前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有した第2の接合部材とを有することを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る電子機器は、筐体と、前記筐体に収容されたプリント回路板とを具備する電子機器であって、前記プリント回路板は、略方体形状の本体部と、前記本体部の1の面に設けられた複数のはんだボールとを有した半導体パッケージと、前記複数のはんだボールが実装された実装面を有したプリント配線板と、前記半導体パッケージの周囲に塗布され、前記半導体パッケージと前記プリント配線板とを接合する第1のガラス転移温度を有した第1の接合部材と、前記第1の接合部材の近傍であって、前記半導体パッケージから遠ざかる側に位置する前記実装面上に実装された電子部品と、前記実装面上に前記電子部品覆って塗布され、前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有した第2の接合部材とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体パッケージと、プリント配線板との接続において、良好な保守性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明のプリント回路板7の実施の形態について、例えば、電子機器の1つであるポータブルコンピュータ1に適用した場合を例に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係るポータブルコンピュータ1の斜視図を示す。図1において、ポータブルコンピュータ1の本体2には、表示部筐体3がヒンジ機構2Aを介して回動自在に設けられている。本体2には、ポインティングデバイス4、キーボード5等の操作部が設けられている。表示部筐体3には例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイス6が設けられている。
【0012】
また本体2には、上記ポインティングデバイス4、キーボード5等の操作部および表示デバイス6を制御する制御回路を組み込んだプリント回路板(マザーボード)7が設けられている。
【0013】
(プリント回路板の第1の実施の形態)
図2は、図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板7の第1の実施の形態を示した図である。図2(a)は断面図、図2(b)は天面図を示す。
【0014】
プリント回路板7は、プリント配線板10と、半導体パッケージ20と、接合部材30と、電子部品40と、部品保護部材50とを有する。
【0015】
プリント配線板10は、第1の面10aと、第2の面10bとを有する。プリント配線板10には、後述する半導体パッケージ20のはんだボール22と対向した領域と、電子部品40が実装される領域に、複数のパッド11が設けられている。プリント配線板10は、単層板か多層板の別は問わない。プリント配線板10は、第1の面10aや第2の面10bに、若しくは多層板であれば内層に配線や電極を有していても良い。また、第1の面10aや第2の面10bにはソルダーレジストが塗布されていても良い。
【0016】
半導体パッケージ20は、例えば略直方体の形状を有するパッケージ本体21と、このパッケージ本体21の1の面から突出した複数のはんだボール22とを有している。即ち、パッケージ本体21は、上面21aと、この上面に対向する下面21bと、上面21a及び下面21bの夫々の周辺を囲む側面21c,21d,21e,21fから構成されて偏平の略直方体を形成している。半導体パッケージ20は例えばBGA型やCSP型等の半導体パッケージである。
【0017】
接合部材30は、本発明に係る第1の接合部材に該当し、半導体パッケージ20とプリント配線板10とを接合する部材である。通常、接合部材30には熱硬化性の樹脂を用いる。接合部材30は熱硬化性の樹脂の代わりに、二液混合タイプの樹脂、UV(Ultraviolet)等を照射することで硬化する性質の樹脂、接合部材30の塗布後に硬化剤を噴射して硬化を促進させる樹脂も用いることができる。接合部材30は絶縁性であることが好ましい。
【0018】
本実施の形態においては、接合部材30は30a〜30lに示したコーナー部及びコーナー部近傍に塗布されている。即ち、接合部材30をパッケージ本体21の外周全てに環状に塗布するのではなく、接合部材30の塗布する位置を限定することでパッケージ本体21とプリント回路板7の間が密閉されることを避ける。これは、はんだボール22及び接合部材30の接合のための加熱処理の際、密閉された空気が膨張しパッケージ本体21の破損を生じる虞があるためである。従って、パッケージ本体21とプリント配線板10を接合する接合部材30はパッケージ本体21の周囲の内、一箇所以上を開放して塗布することが望ましい。
【0019】
電子部品40は、プリント配線板10上に実装された電子部品である。電子部品40は、接合部材30の近傍であって、半導体パッケージ20から遠ざかる側の位置に実装されている。電子部品40は例えば、チップコンデンサ、チップ抵抗、チップインダクタ等である。
【0020】
部品保護部材50は、本発明に係る第2の接合部材に該当し、電子部品40上に塗布される部材である。図2に示すように、接合部材30を30a〜30lに示したコーナー部及びコーナー部近傍に塗布している場合、部品保護部材50を30a〜30lの塗布位置に対向した50a〜50dの塗布位置に塗布して凸部を形成する。図2では、30a,30e,30fの3箇所の塗布位置に対向した50aの塗布位置に、部品保護部材50が連続して塗布されている。同様に、30b,30g,30hの3箇所の塗布位置に対向した50bの塗布位置に、部品保護部材50が連続して塗布されている。30c,30i,30jの3箇所の塗布位置に対向した50cの塗布位置に、部品保護部材50が連続して塗布されている。30d,30k,30lの3箇所の塗布位置に対向した50dの塗布位置に、部品保護部材50が連続して塗布されている。50a〜50dの塗布位置において電子部品40が実装されていない部分には、部品保護部材50がプリント配線板10の第1の面10a上に塗布されても良い。
【0021】
また50a〜50dの塗布位置は、各コーナー部の内、半導体パッケージ20に対して最も近くに実装されている電子部品40を基準に定められる。例えば各コーナー部の内、30aの位置するコーナー部において半導体パッケージ20と電子部品40との距離が最も近いとすると、50aの塗布位置が基準となる。この50aと半導体パッケージ20との位置関係と同様の位置関係を保ち、30b〜30dの位置するコーナー部においても50b〜50dが決定され、より接合部材30の濡れ広がりを抑制することができる。即ち、あるコーナー部において接合部材30の対向する位置に電子部品40が1つも実装されていない場合、そのコーナー部には電子部品40が存在している他のコーナー部に対応した位置に部品保護部材50を塗布する。尚、半導体パッケージ20と電子部品40の距離が所定以上の距離を有する場合は、部品保護部材50は対応した位置よりも半導体パッケージ20に近い位置に塗布されても良い。
【0022】
部品保護部材50は電子部品40の表面を全て覆い、電子部品40をプリント配線板10と部品保護部材50とで囲むように塗布する。また、接合部材30の濡れ広がりを堰き止める構造であれば良いので、電子部品40の接合部材30側の片側表面のみに塗布しても良い。
【0023】
このように、接合部材30を塗布する位置に対向する位置に連続して塗布することで、プリント配線板10の第1の面10a上に凸部を形成し、接合部材30の濡れ広がりを抑制する。
【0024】
部品保護部材50には接合部材30に比してガラス転移温度の高い材質を採用する。即ち、接合部材30除去作業の際、接合部材30のみが軟化し、部品保護部材50は軟化せず一定の強度を保持するような性質のものを用いる。部品保護部材50は、絶縁性であることが好ましい。部品保護部材50は熱硬化性の樹脂、二液混合タイプの樹脂、UV等を照射することで効果する性質の樹脂等であり、具体的にはエポキシ樹脂やアクリル樹脂等が用いられる。
【0025】
図3は、図1に示すポータブルコンピュータ1の筐体内部に収容されるプリント回路板の半導体パッケージ20とプリント配線板10とを接合する接合部材30の除去作業の様子の一例を示した図である。はんだごて8を用いて接合部材30を加熱すると、接合部材30は軟化し(以下、硬化した接合部材30を再加熱により軟化させたものを「接合部材30´」と表記する)、ピンセット等の器具を用いて接合部材30´を除去することが可能になる。即ち、半導体パッケージ20を交換することができる。一方、部品保護部材50は接合部材30に比してガラス転移温度が高い。従って、部品保護部材50は軟化せず一定の強度を保持し、電子部品40は部品保護部材50によって保護されたままの状態である。通常、接合部材30に150〜200℃で軟化する樹脂が用いられるので、部品保護部材50は150〜200℃で軟化することのない樹脂を用いれば良い。接合部材30と部品保護部材50に上述のような性質の材料を採用することで、保守作業の際に電子部品40を保護できる。即ち接合部材30の除去作業時に、電子部品40は部品保護部材50により熱及び接合部材30の除去作業を行う器具から保護される。
【0026】
上述のように電子部品40に部品保護部材50を塗布することで、プリント配線板10の第1の面10a上に凸部を形成し、接合部材30の濡れ広がりを抑制する構造が実現する。これにより接合部材30の塗布される領域は限定されるので、接合部材30の除去作業の効率が上がる。また半導体パッケージ20の周辺に位置する電子部品40に接合部材30が塗布される虞がなくなる。従って、接合部材30を必要十分に塗布することが可能になるので、限られた実装面積において所定の強度を保ち半導体パッケージ20を実装することができる。
【0027】
更に部品保護部材50を接合部材30に比してガラス転移温度の高い材質を採用することで、半導体パッケージ20周辺の電子部品40を熱及び除去作業を行う器具から保護することができる。
【0028】
また、部品保護部材50は半導体パッケージ20に周囲に形成されることで半導体パッケージ20を実装した範囲のプリント配線板10の変形を抑制する補強板としての機能を有し、プリント回路板7の堅牢性が向上する。
【0029】
上述したように本実施の形態によれば、半導体パッケージ20と、プリント配線板10との接続において、接合部材30の除去作業が容易であり、且つ半導体パッケージ20の周辺に位置する電子部品40を破損する虞がなく、良好な保守性を確保できる。
【0030】
(プリント回路板の第1の実施の形態の変形例)
図4は、図1に示すポータブルコンピュータ1の筐体内部に収容されるプリント回路板7の第1の実施の形態の変形例を示した図である。
【0031】
本実施の形態の変形例が、上述の第1の実施の形態と異なる点は、部品保護部材50の塗布される領域である。第1の実施の形態においては主として接合部材30の塗布位置に対向した位置に部品保護部材50が塗布されていたが、本変形例では、部品保護部材50が半導体パッケージ20を取り囲んで環状になっている。本変形例においても、部品保護部材50が塗布される領域の下に、必ずしも常に電子部品40が存在している必要はない。電子部品40が存在していない第1の面10a上に直接、部品保護部材50が塗布される領域が存在していても良い。
【0032】
本変形例においては、部品保護部材50を半導体パッケージ20の周囲を環状に塗布することで、半導体パッケージ20の実装部におけるプリント回路板7の変形をより抑制することができる。
【0033】
(プリント回路板の第2の実施の形態)
図5は、図1に示すポータブルコンピュータ1の筐体内部に収容されるプリント回路板7の第2の実施の形態を示した図である。本実施の形態では、接合部材30がパッケージ本体21のコーナー部及びこのコーナー部近傍に連続して塗布されている。即ち、本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、各コーナー部に塗布する接合部材30を一体化している点である。
【0034】
本実施の形態においても第1の実施の形態と同様に、部品保護部材50は30a〜30dの塗布位置に対向した50a〜50dの塗布位置に塗布される。即ち、接合部材30を塗布する位置に対向する位置において、プリント回路板の第1の面10a上に凸部を形成し、接合部材30の濡れ広がりを抑制する。尚、電子部品40が実装されていない部分における部品保護部材50の塗布、及び電子部品40が1つも実装されていない部品保護部材50の塗布位置についても上述の第1の実施の形態と同様である。
【0035】
更に部品保護部材50を接合部材30に比してガラス転移温度の高い材質を採用することで、第1の実施の形態と同様に半導体パッケージ20周辺の電子部品40を熱及び除去作業を行う器具から保護することができる。
【0036】
上述のように本実施の形態においても、半導体パッケージ20と、プリント配線板10との接続において良好な保守性を確保できる。
【0037】
本実施の形態では第1の実施の形態に比して、接合部材30を各コーナー部において一体化して塗布しているので、除去作業がより容易であり保守性に優れている。
【0038】
(プリント回路板の第2の実施の形態の変形例)
図6は、図1に示すポータブルコンピュータ1の筐体内部に収容されるプリント回路板7の第2の実施の形態の変形例を示した図である。
【0039】
本実施の形態の変形例が、上述の第2の実施の形態と異なる点は、部品保護部材50の塗布される領域である。第2の実施の形態においては主として接合部材30の塗布位置に対向した位置に部品保護部材50が塗布されていたが、本変形例では、部品保護部材50が半導体パッケージ20を取り囲んで環状になっている。本変形例においても、部品保護部材50が塗布される領域の下に、必ずしも常に電子部品40が存在している必要はない。電子部品40が存在していない第1の面10a上に直接、部品保護部材50が塗布される領域が存在していても良い。
【0040】
本変形例においては、部品保護部材50を半導体パッケージ20の周囲を環状に塗布することで、半導体パッケージ20の実装部におけるプリント回路板7の変形を第2の実施の形態に比して、より抑制することができる。
【0041】
(プリント回路板の第1の製造方法)
以下に、図7を用いて上述したプリント回路板7の製造方法の第1の実施の形態について説明する。図7は、図1に示すポータブルコンピュータ1の筐体内部に収容されるプリント回路板7の製造方法の第1の実施の形態を示した図である。
【0042】
まず、図7(a)に示すように、半導体パッケージ20及び電子部品40が実装される複数のパッド11を有したプリント配線板10を準備する(配線板準備工程、ステップS1)。
【0043】
次に、図7(b)に示すように、各パッド11に、はんだペーストHを塗布する(はんだ塗布工程、ステップS2)。このはんだ塗布工程は、はんだを塗布する領域に開口部を有したメタルマスクをプリント配線板10上に搭載し、このメタルマスクの上からはんだペーストHを塗布し、スキージ等の所定の工具を用いてメタルマスク上に塗布されたはんだペーストHを均一に塗り広げる。これにより開口部からはんだペーストHが塗布される。
【0044】
次に、図7(c)に示すように、半導体パッケージ20及び電子部品40をプリント配線板10上に実装する(実装工程、ステップS3)。半導体パッケージ20は、例えばマウンタ等の実装機を用いて半導体パッケージ20の上面21aを吸着し、はんだボール22をプリント配線板10上のパッド11に対向させる位置に移動し、上からマウンタで搭載する。電子部品40はプリント配線板10の所定のパッド11の位置にマウンタ等で搭載する。
【0045】
次に、図7(d)に示すように、半導体パッケージ20及び電子部品40を実装したプリント配線板10を加熱して、はんだによる接合を行う(第1の加熱工程、ステップS4)。この加熱工程は例えばリフロー炉を使用して所定の温度プロファイルの加熱処理を行う。半導体パッケージ20は、はんだペーストHとはんだボール22が一体化することでプリント配線板10に実装される。電子部品40ははんだペーストHによりプリント配線板10に実装される。
【0046】
次に、図7(e)に示すように、電子部品40に熱硬化性の部品保護部材50を塗布する(部品保護部材塗布工程、ステップS5)。加熱する以前の未硬化状態の部品保護部材50を部品保護部材50´´として図示している。
【0047】
次に、図7(f)に示すように、プリント配線板10を加熱して部品保護部材50を硬化させる(第2の加熱工程、ステップS6)。即ち、電子部品40が部品保護部材50により覆われた構造となる。
【0048】
次に、図7(g)に示すように、熱硬化性の接合部材30を塗布する(接合部材塗布工程、ステップS7)。即ち、プリント配線板10上かつパッケージ本体21の側面に接する領域に接合部材30を塗布する。加熱する以前の未硬化状態の接合部材30を接合部材30´´として図示している。
【0049】
次に、図7(h)に示すように、プリント配線板10を加熱して接合部材30を硬化させる(第3の加熱工程、ステップS8)。即ち、接合部材30が硬化することでプリント配線板10と半導体パッケージ20が接合される。
【0050】
上述したステップS1〜ステップS8の工程を経ることにより、プリント回路板7が得られる。このプリント回路板7による効果は、プリント回路板7の第1の実施の形態で述べた効果と同様である。
【0051】
(プリント回路板の第2の製造方法)
以下に、図8を用いて上述したプリント回路板7の製造方法の第2の実施の形態について説明する。図8は、図1に示すポータブルコンピュータ1の筐体内部に収容されるプリント回路板7の製造方法の第2の実施の形態を示した図である。
【0052】
本実施の形態において、ステップS4(図8(d))まではプリント回路板7の第1の製造方法のステップS4(図7(d))と同様であるので説明を省略する。
【0053】
図8(e)に示すように、接合部材30及び部品保護部材50を塗布する(塗布工程、ステップS5)。接合部材30はプリント配線板10上かつパッケージ本体21の側面に接する領域に、部品保護部材50は電子部品40を覆うように夫々塗布する。加熱する以前の未硬化状態の接合部材30を接合部材30´´、また未硬化状態の部品保護部材50を部品保護部材50´´として図示する。接合部材30及び部品保護部材50の塗布する順番は順不同であり、また同時に塗布するとしても良い。
【0054】
次に、図8(f)に示すように、プリント配線板10を加熱して、接合部材30及び部品保護部材50を硬化させる(第2の加熱工程,ステップS6)。即ち、接合部材30が硬化することでプリント配線板10と半導体パッケージ20が接合され、また部品保護部材50が硬化することで電子部品40が部品保護部材50により覆われた構造となる。
【0055】
上述したステップS1〜ステップS6の工程を経ることにより、プリント回路板7が得られる。第1の実施の形態と異なる点は、同塗布工程において接合部材30と部品保護部材50を塗布し、同加熱工程において両部材を硬化させている点である。これにより塗布工程及び加熱工程が夫々1回ずつ省略でき、プリント回路板7の製造が第1の製造方法に比して容易である。得られるプリント回路板7の効果は、上述した第1の製造方法によるものと同様である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板の第1の実施の形態を示した図。
【図3】図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板の半導体パッケージとプリント配線板を接合する接合部材の除去作業の様子の一例を示した図。
【図4】図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板の第1の実施の形態の変形例を示した図。
【図5】図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板の第2の実施の形態を示した図。
【図6】図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板の第2の実施の形態の変形例を示した図。
【図7】図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板の製造方法の第1の実施の形態を示した図。
【図8】図1に示すポータブルコンピュータの筐体内部に収容されるプリント回路板の製造方法の第2の実施の形態を示した図。
【符号の説明】
【0057】
1 ポータブルコンピュータ
2 本体
2A ヒンジ機構
3 表示部筐体
4 ポインティングデバイス
5 キーボード
6 表示デバイス
7 プリント回路板
8 はんだごて
10 プリント配線板
10a 第1の面
10b 第2の面
11 パッド
20 半導体パッケージ
21 パッケージ本体
21a 上面
21b 下面
21c〜21f 側面
22 はんだボール
30 接合部材
30a〜30l 接合部材の塗布位置
30´ 軟化接合部材
30´´ 未硬化接合部材
40 電子部品
50 部品保護部材
50a〜50d 部品保護部材の塗布位置
50´´ 未硬化部品保護部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方体形状の本体部と、前記本体部の1の面に設けられた複数のはんだボールとを有した半導体パッケージと、
前記複数のはんだボールが実装された実装面を有したプリント配線板と、
前記半導体パッケージ本体部の周囲に塗布され、前記半導体パッケージと前記プリント配線板とを接合する第1のガラス転移温度を有した第1の接合部材と、
前記第1の接合部材の近傍であって、前記半導体パッケージから遠ざかる側に位置する前記実装面上に実装された電子部品と、
前記実装面上に前記電子部品を覆って塗布され、前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有した第2の接合部材と
を有することを特徴とするプリント回路板。
【請求項2】
前記第1の接合部材は前記半導体パッケージのコーナー部及びこのコーナー部近傍に接合されることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路板。
【請求項3】
前記第1の接合部材は前記半導体パッケージのコーナー部とこのコーナー部近傍とを連続して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路板。
【請求項4】
前記第2の接合部材は、前記第1の接合部材と対向した位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のプリント回路板。
【請求項5】
前記第2の接合部材は、前記半導体パッケージの周囲に環状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のプリント回路板。
【請求項6】
筐体と、
前記筐体に収容されたプリント回路板とを具備する電子機器であって、
前記プリント回路板は、
略方体形状の本体部と、前記本体部の1の面に設けられた複数のはんだボールとを有した半導体パッケージと、
前記複数のはんだボールが実装された実装面を有したプリント配線板と、
前記半導体パッケージの周囲に塗布され、前記半導体パッケージと前記プリント配線板とを接合する第1のガラス転移温度を有した第1の接合部材と、
前記第1の接合部材の近傍であって、前記半導体パッケージから遠ざかる側に位置する前記実装面上に実装された電子部品と、
前記実装面上に前記電子部品覆って塗布され、前記第1のガラス転移温度よりも高い第2のガラス転移温度を有した第2の接合部材と
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
前記第1の接合部材は前記半導体パッケージのコーナー部及びこのコーナー部近傍に接合されることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の接合部材は前記半導体パッケージのコーナー部とこのコーナー部近傍とを連続して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第2の接合部材は、前記第1の接合部材と対向した位置に設けられていることを特徴とする請求項6乃至請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第2の接合部材は、前記半導体パッケージの周囲に環状に設けられていることを特徴とする請求項6乃至請求項8に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−87294(P2010−87294A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255617(P2008−255617)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】