説明

プリント装置

【課題】装置設定情報をフラッシュメモリに蓄積するプリント装置で、装置が正常終了しなかった場合であっても、フィルム使用状況管理を適切に実行する。
【解決手段】制御プログラムおよび設定情報を記憶するフラッシュメモリと、制御プログラムと設定情報とに基づいてプリント装置を制御する制御部と、制御部により制御され、記録媒体に対してプリント動作を行う動作ユニットと、各種情報が記録されるEEPROMと、を備え、制御部は、動作ユニットにおける記録媒体使用状況を、動作ユニットにおける記録媒体の使用毎にEEPROMに記録し、プリント装置の終了時毎に、プリント装置の終了状況と動作ユニットにおける記録媒体使用状況とをフラッシュメモリに記録し、プリント装置の起動時に、前回の終了が正常でなかった場合には、EEPROMに記録された記録媒体使用状況を前回終了時における記録媒体使用状況として扱う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体に対してプリントを実行するプリント装置に関し、さらに詳しくは、制御部によって記録媒体の使用状況を管理するプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体としてシート状のフィルムあるいは印画紙を用いて、画像のプリントを実行するプリント装置(イメージャ)が存在している。また、この種のプリント装置では、フィルム切れを未然に防止するため、フィルムの使用状況を正確に管理する必要がある。
【0003】
このため、プリント動作中にはCPUに接続された揮発性のDRAMなどでフィルム使用状況(使用枚数、残枚数)を管理しておき、プリント装置のシャットダウン(終了)時には、不揮発性メモリにフィルム使用状況を記憶させておくものがある。
【0004】
また、この出力のプリント装置として、制御プログラム、オペレーティングシステム、および、フィルム使用状況を含む各種設定情報を不揮発性の半導体メモリに記憶しておくものがある。
【0005】
この場合の不揮発性の半導体メモリとして、大容量のものであってアクセス速度も速いものとして、フラッシュメモリが用いられる。このフラッシュメモリは、基本的には、EEPROMの一種であるが、構造的には、EEPROMが1bitあたり2トランジスタ必要なのに対し、回路を工夫して1bitあたり1トランジスタですむようにしている。また、消去も8Kbytesとか64Kbytesなどというブロック単位で行うようにして内部構造を簡略化し、その分大容量化を図っている。これにより、EEPROMでは1byte単位で消去、書き込みできるが、フラッシュメモリはブロック単位の消去と1byte単位での書き込みが可能、という違いがある。また、書き込み時間はフラッシュメモリの方がEEPROMよりも1000倍程度速く、その高速な書き換え性能を活かして、ディスク的なデータ保存用途にも向いている。なお、EEPROMは書き換えが遅いので、頻繁に書き込むような用途には向いていない。
【0006】
なお、以下の特許文献に類似する技術に関する記載がなされている。
【特許文献1】特開平5―66524号公報、(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、フィルムなどの記録媒体を1枚ずつ使用する毎にフィルム使用状況をフラッシュメモリに書き戻すことが正確なフィルム使用状況管理の上では望ましい。
ここで、1日あたりフィルムを1パック(100枚程度)・3トレイ分使用するプリント装置の場合、装置保証年数を7年とした場合、100×3×365×7≒70万回の書き込みがフラッシュメモリになされることになる。
【0008】
ところが、上述したフラッシュメモリの書き換え可能回数は10万回程度である。このため、フラッシュメモリが装置保証年数を全うすることができない問題が生じる。また、EEPROMの書き換え可能回数は100万回程度であるものの、書き換えが遅く、大容量な素子がないという問題のため、以上のようなフラッシュメモリを代わりに使用することはできない。
【0009】
そこで、このようにフラッシュメモリを用いるプリント装置では、プリント動作中にはCPUに接続された揮発性のDRAMなどでフィルム使用状況(使用枚数、残枚数)を管理しておき、プリント装置のシャットダウン(電源断による終了)時に、DRAMからフラッシュメモリにフィルム使用状況を記憶させるようにしている。
【0010】
このようにシャットダウン時にDRAMからフラッシュメモリにフィルム使用状況管理を書き込むようにすることで、フラッシュメモリへの書き込み回数は激減し、装置保証年数の間、問題なくフラッシュメモリを使用することが可能になる。
【0011】
しかし、このようにシャットダウン時にDRAMからフラッシュメモリにフィルム使用状況管理を書き込むようにすることで、シャットダウン時までの間に停電等の理由によって装置が正常終了しなかった場合には、フィルム使用状況が正確な値でなく、次回起動時に装置が把握しているフィルム使用状況と実際のフィルム使用状況とにズレが生じ、使用途中の実装フィルムの残枚数を正確に把握できなくなり、使用中にフィルム切れを発生してしまうことがある。
【0012】
本発明は、上記不具合を解消するためになされたものであって、装置設定情報をフラッシュメモリに蓄積するプリント装置で、少なくとも装置耐用年数の間は装置が正常終了しなかった場合であってもフィルム使用状況管理を適切に実行することが可能なプリント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、前記した課題を解決は、以下に列記する発明により解決される。
なお、ここで、フラッシュメモリとは、電気的に書き込みと消去とが可能な半導体メモリの一種であり、ブロック単位で消去が可能なものを意味している。また、EEPROMとは、電気的に書き込みと消去とが可能な半導体メモリの一種であり、1バイト単位で消去が可能なものを意味しており、フラッシュメモリを含まないものとする。
【0014】
(1)請求項1記載の発明は、制御プログラムおよび設定情報を記憶するフラッシュメモリと、前記制御プログラムと前記設定情報とに基づいてプリント装置を制御する制御部と、前記制御部により制御され、前記記録媒体に対してプリント動作を行う動作ユニットと、各種情報が記録されるEEPROMと、を備え、前記制御部は、前記動作ユニットにおける前記記録媒体使用状況を、前記動作ユニットにおける前記記録媒体の使用毎に前記EEPROMに記録し、プリント装置の終了時毎に、プリント装置の終了状況と前記動作ユニットにおける前記記録媒体使用状況とを前記フラッシュメモリに記録し、プリント装置の起動時に、前回の終了が正常でなかった場合には、前記EEPROMに記録された前記記録媒体使用状況を前回終了時における前記記録媒体使用状況として扱う、ことを特徴とするプリント装置である。
【0015】
この発明で、制御部は、動作ユニットにおける記録媒体使用状況を、動作ユニットにおける記録媒体の使用毎にEEPROMに記録し、プリント装置の終了時毎に、プリント装置の終了状況と動作ユニットにおける記録媒体使用状況とをフラッシュメモリに記録する。そして、制御部は、プリント装置の起動時に、前回の終了が正常でなかった場合には、EEPROMに記録された記録媒体使用状況を前回終了時における記録媒体使用状況として扱う。
【0016】
(2)請求項2記載の発明は、プリント装置動作時における各種データを記憶する揮発性の記憶部を備え、前記制御部は、プリント装置動作時における前記動作ユニットにおける記録媒体使用状況を前記記憶部に記憶しておき、プリント装置の終了時に、前記使用状況を前記記憶部から前記フラッシュメモリに記録する、ことを特徴とする請求項1記載のプリント装置である。
【0017】
この発明で、プリント装置動作時における各種データを記憶する揮発性の記憶部を備えておき、プリント装置動作時における動作ユニットにおける記録媒体使用状況を揮発性の記憶部に記憶しておき、プリント装置の終了時に使用状況を記憶部からフラッシュメモリに記録する。
【0018】
(3)請求項3記載の発明は、前記制御部は、プリント装置全体を制御する全体制御部と、前記動作ユニットを制御するための各部制御部とから構成されており、前記フラッシュメモリは前記全体制御部に接続され、前記EEPROMは前記各部制御部に接続される、ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のプリント装置である。
【0019】
この発明で、前記制御部として、プリント装置全体を制御する全体制御部と、動作ユニットを制御するための各部制御部とが存在しており、フラッシュメモリは全体制御部に接続され、EEPROMは各部制御部に接続される。
【0020】
(4)請求項4記載の発明は、プリント装置に使用される前記記録媒体は、シート状のフィルムあるいは印画紙である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプリント装置である。
【0021】
この発明で、制御部は、シート状のフィルムあるいは印画紙についての記録媒体使用状況を、動作ユニットにおける記録媒体の使用毎にEEPROMに記録し、プリント装置の終了時毎に、プリント装置の終了状況と動作ユニットにおける記録媒体使用状況とをフラッシュメモリに記録する。そして、制御部は、プリント装置の起動時に、前回の終了が正常でなかった場合には、EEPROMに記録された記録媒体使用状況を前回終了時における記録媒体使用状況として扱う。
【発明の効果】
【0022】
以上、説明したように、本発明によれば、以下のような効果が得られる。
(1)請求項1記載の発明では、制御部は、動作ユニットにおける記録媒体使用状況を、動作ユニットにおける記録媒体の使用毎にEEPROMに記録し、プリント装置の終了時毎に、プリント装置の終了状況と動作ユニットにおける記録媒体使用状況とをフラッシュメモリに記録する。そして、制御部は、プリント装置の起動時に、前回の終了が正常でなかった場合には、EEPROMに記録された記録媒体使用状況を前回終了時における記録媒体使用状況として扱う。
【0023】
ここで、1日あたりフィルムを1パック(100枚程度)・3トレイ分使用するプリント装置の場合、装置保証年数を7年とした場合、100×3×365×7≒70万回の記録媒体使用状況書き込みがEEPROMになされることになる。一般的なEEPROMの書き換え可能回数は100万回程度であるため、問題はない。また、EEPROMの書き換えが遅いとしても、記録媒体使用状況の記録であるため、問題は生じない。また、EEPROMの容量が小さいとしても、記録媒体使用状況の記録であるため、問題は生じない。
【0024】
また、同じくプリント装置保証年数を7年として、終了時電源オフが毎日行われる装置の場合、365×7≒2500回の書き込みが、フラッシュメモリになされることになる。一般的なフラッシュメモリの書き換え可能回数は10万回程度であるため問題はない。
【0025】
このように、記録媒体を1枚ずつ使用する毎に記録媒体使用状況をEEPROMに記録しつつ、プリント装置終了時にフラッシュメモリに記録媒体使用状況を書き込むようにすることで、フラッシュメモリへの書き込み回数は激減し、装置保証年数の間、問題なくフラッシュメモリを使用することが可能になる。
【0026】
ここで、プリント装置終了時までの間に停電等の理由によってプリント装置が正常終了しなかった場合には、フラッシュメモリに書き込まれた記録媒体使用状況は正確な値ではなくなっているが、EEPROMには正確な記録媒体使用状況が書き込まれている。
【0027】
このため、正常終了しなかった場合には、EEPROMの記録媒体使用状況を用いることで、起動時にプリント装置が把握している記録媒体使用状況と実際の記録媒体使用状況とにズレが生じることがなくなり、使用途中の実装記録媒体の残枚数を正確に把握することが可能になる。
【0028】
(2)請求項2記載の発明では、プリント装置動作時における各種データを記憶する揮発性の記憶部を備えておき、プリント装置動作時における動作ユニットにおける記録媒体使用状況を揮発性の記憶部に記憶しておき、プリント装置の終了時に使用状況を記憶部からフラッシュメモリに記録する。
【0029】
このように、記録媒体を1枚ずつ使用する毎に記録媒体使用状況をEEPROMと揮発性記録部とに記録しつつ、プリント装置終了時にフラッシュメモリに記録媒体使用状況を書き込むようにすることで、フラッシュメモリへの書き込み回数は激減し、装置保証年数の間、問題なくフラッシュメモリを使用することが可能になる。
【0030】
ここで、プリント装置終了時までの間に停電等の理由によってプリント装置が正常終了しなかった場合には、フラッシュメモリに書き込まれた記録媒体使用状況は正確な値ではなくなっているが、EEPROMには正確な記録媒体使用状況が書き込まれている。
【0031】
このため、正常終了しなかった場合には、EEPROMの記録媒体使用状況を用いることで、起動時にプリント装置が把握している記録媒体使用状況と実際の記録媒体使用状況とにズレが生じることがなくなり、使用途中の実装記録媒体の残枚数を正確に把握することが可能になる。
【0032】
(3)請求項3記載の発明では、制御部として、プリント装置全体を制御する全体制御部と、動作ユニットを制御するための各部制御部とが存在しており、フラッシュメモリは全体制御部に接続され、EEPROMは各部制御部に接続される。
【0033】
このように、記録媒体を1枚ずつ使用する毎に記録媒体使用状況を、各部制御部に接続されたEEPROMに記録しつつ、プリント装置終了時には全体制御部に接続されたフラッシュメモリに記録媒体使用状況を書き込むようにすることで、全体制御部に接続されたフラッシュメモリへの書き込み回数は激減し、装置保証年数の間、問題なくフラッシュメモリを使用することが可能になる。
【0034】
ここで、プリント装置終了時までの間に停電等の理由によってプリント装置が正常終了しなかった場合には、全体制御部に接続されたフラッシュメモリに書き込まれた記録媒体使用状況は正確な値ではなくなっているが、各部制御部に接続されたEEPROMには正確な記録媒体使用状況が書き込まれている。
【0035】
このため、正常終了しなかった場合には、各部制御部に接続されたEEPROMの記録媒体使用状況を用いることで、起動時にプリント装置が把握している記録媒体使用状況と実際の記録媒体使用状況とにズレが生じることがなくなり、使用途中の実装記録媒体の残枚数を正確に把握することが可能になる。
【0036】
(4)請求項4記載の発明では、記録媒体としてシート状のフィルムあるいは印画紙を1枚ずつ使用する毎に記録媒体使用状況をEEPROMと揮発性記録部とに記録しつつ、プリント装置終了時にフラッシュメモリに記録媒体使用状況を書き込むようにすることで、装置保証年数の間、問題なくフラッシュメモリを使用することが可能になり、正常終了しなかった場合にも、プリント装置が把握している記録媒体使用状況と実際の記録媒体使用状況とにズレが生じることがなくなり、使用途中の実装フィルムの残枚数を正確に把握することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施をするための最良の形態を詳細に説明する。
本発明の実施をするための最良の形態のプリント装置の好適な実施の形態について説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0038】
〈第1の実施形態〉
プリント装置100は、図外の撮影装置や画像格納装置から画像データを受けてプリントを実行するイメージャなどの装置であり、大きく分けて、プリント装置100全体を制御する全体制御回路部110と、少なくとも後述する動作ユニット130の動作を制御する各部制御回路部120、プリント動作を実行する動作ユニット130とから構成されている。なお、ここでは、記録媒体としてシート状のフィルムあるいは印画紙を用いてプリントを実行するプリント装置(イメージャ)を想定しているため、動作ユニット130は、シート状のフィルムあるいは印画紙に対してプリント動作を実行するユニットである。なお、シート状のフィルムと印画紙とを総称してフィルムと呼ぶことにする。
【0039】
また、全体制御回路部110は、CPUなどで構成された全体制御部111と、オペレータにより操作の入力がなされる操作部112と、各種状態表示を行う表示部114と、プリント装置動作時における各種プログラムや各種データを記憶する揮発性の記憶部としてのRAM116と、制御プログラムおよびオペレーティングシステムならびにおよび設定情報を記憶する不揮発性の半導体メモリとしてのフラッシュメモリ118と、を少なくとも有して構成されている。
【0040】
なお、全体制御部111は、プリント装置100の終了時毎に、プリント装置100の終了状況と、動作ユニット130における記録媒体使用状況(以下、フィルム使用状況)とを、フラッシュメモリ118に記録する。プリント装置100の次回起動時毎に、前回プリント装置100の終了状況と、動作ユニット130におけるフィルム使用状況とを、フラッシュメモリ118から読み出す。
【0041】
また、各部制御回路部120は、CPUなどで構成された各部制御部121と、各部制御部121によってフィルム使用状況が記録されるEEPROMと、を少なくとも有して構成されている。
【0042】
ここで、各部制御部121は、動作ユニット130におけるフィルム使用状況としてフィルム使用枚数やフィルム残枚数などを、フィルムの使用1枚毎にEEPROM122に記録する。なお、プリント装置100の起動時に、前回の終了が正常でなかった場合には、EEPROM122に記録されたフィルム使用状況が、前回終了時におけるフィルム使用状況として扱われる。
【0043】
また、動作ユニット130は、フィルムに対するプリント動作を実行するプリントエンジン131と、複数枚のフィルムがパッケージやトレイなどを介して収容されるフィルム収容部132と、フィルム収容部132に収容されているフィルムを1枚ずつプリントエンジン131に搬送するフィルム搬送部133と、を少なくとも有して構成されている。なお、この動作ユニット130は、前述した各部制御回路部120によって動作の制御がなされている。
【0044】
なお、ここで、フラッシュメモリとは、電気的に書き込みと消去とが可能な半導体メモリの一種であり、ブロック単位で消去が可能なものを意味している。また、EEPROMとは、電気的に書き込みと消去とが可能な半導体メモリの一種であり、1バイト単位で消去が可能なものを意味しており、フラッシュメモリを含まないものとする。
【0045】
なお、以上の全体制御回路部110がプリント装置100においてメイン基板として配置され、以上の各部制御回路部120がプリント装置100においてメカコン(メカ・コントロール)基板として配置されていてもよい。
【0046】
以下、本実施形態のプリント装置100についての動作(処理)状態について、図2のフローチャート、図3以降の状態説明図をも参照しつつ説明を行う。なお、図2は正常終了時と異常終了時との両方に対応できる本実施形態の動作を示すフローチャートであり、図3は正常終了時後の起動時の処理を示す状態説明図、図4は異常終了時後の起動時の処理を示す状態説明図である。
【0047】
まず、プリント装置100にて電源オンされると、全体制御部111はフラッシュメモリ118からメインの制御プログラムをRAM116上にロードする(図2S1)。プリント装置100は、この制御プログラムにより動作を開始する。この際、全体制御部111は、開始時刻をフラッシュメモリ118に書き込む。なお、この制御プログラムに基づく全体制御部111の制御を、単に全体制御部111の制御と呼ぶことにする。
【0048】
ここで、全体制御部111は、フラッシュメモリ118の所定の設定情報を参照し、前回のプリント装置100の終了が正常終了であったか否かを調べる(図2S2、図3(1)、図4(1))。なお、正常終了していれば、終了処理時に制御部101が正常終了フラグをフラッシュメモリ118の所定の設定情報に書き込む。すなわち、その正常終了フラグが存在していなければ、あるいは、残っている正常終了フラグが前回の開始時刻よりも古ければ、停電あるいは強制終了などの異常終了であったことを意味している。
【0049】
前回のプリント装置100の終了が正常終了であった場合(図2S2でY)は、全体制御部111はフラッシュメモリ118からフィルム使用状況を読み出す(図2S3、図3(2))。ここで、フィルム使用状況とは、動作ユニット130におけるフィルム使用枚数やフィルム残枚数などを意味している。そして、全体制御部111は、フラッシュメモリ118から読み出したフィルム使用状況に基づいて、プリント装置100の動作を開始する(図2S5)。
【0050】
一方、前回のプリント装置100の終了が異常終了であった場合(図2S2でN)は、前回の異常終了によってフラッシュメモリ118に記憶されているフィルム使用状況が実際の状態と異なっていると予想されるため、全体制御部111はフラッシュメモリ118からではなく、各部制御部121を介してEEPROM122からフィルム使用状況を読み出す(図2S4、図4(2)(3))。そして、全体制御部111は、EEPROM122から読み出したフィルム使用状況に基づいて、プリント装置100の動作を開始する(図2S5、図4(4))。
【0051】
外部からプリントすべき画像データが送られてくると、全体制御部111は各部制御部121に対して、画像データとプリント指示とを与える(図3(3)、図4(5))。
これを受けた各部制御部121は、動作ユニット130に画像データとプリント指示とを与える(図2S6、S7、図3(4)、図4(6))。
【0052】
この画像データとプリント指示とを受けた動作ユニット130は、フィルム搬送部133がフィルム収容部132からフィルムを搬送し、プリントエンジン131により画像データに応じた画像をプリントする(図2S8、図3(5)、図4(7))。
【0053】
また、動作ユニット130は、フィルムを1枚使用したことをサプライ完了通知として、各部制御部121に通知する(図3(6)、図4(8))。
このサプライ完了通知を受けた各部制御部121は、フィルム使用状況としてフィルム残枚数を減算し、フィルム使用枚数を加算し(図2S10)、EEPROM122にフィルム使用状況として記録する(図2S11、図3(7)、図4(9))。
【0054】
また、サプライ完了通知を受けた各部制御部121は、計算したフィルム使用状況を全体制御部111に通知する(図3(8)、図4(10))。この通知を受けた全体制御部111は、フィルム使用状況をRAM116に記憶させる(図2S11、図3(9)、図4(11))。
【0055】
そして、全体制御部111と各部制御部121との制御に基づく以上の画像データのプリントを、プリントすべき画像データがなくなりプリント装置を停止させるまで続行する(図2S13でN、図2S6)。
【0056】
ここで、プリントすべき画像データがなくなり、かつ、プリント装置を停止させる時刻になると(図2S13でY)、全体制御部111はRAM116上に存在しているフィルム使用状況のデータをフラッシュメモリ118に記録する(図2S14、図3(10)、図4(12))。そして、全体制御部111と各部制御部121とはプリント装置各部を終了させるための処理を実行する(図2S15)。また、この際に、全体制御部111は、正常終了フラグと終了時刻とをフラッシュメモリ118の所定の設定情報に書き込む。
【0057】
以上の実施形態の場合、1日あたりフィルムを1パック(100枚程度)・3トレイ分使用するプリント装置の場合、プリント装置100の保証年数を7年とした場合、100×3×365×7≒70万回のフィルム使用状況が書き込みがEEPROM122になされることになる。
【0058】
EEPROM122の一般的なの書き換え可能回数は100万回程度であるため、問題はない。また、EEPROM122の書き込みが遅いとしても、フィルム使用状況の記録であるため、次の書き込みまで十分な時間があり、問題は生じない。また、EEPROM122の容量がフラッシュメモリ118と比較して小さいとしても、フィルム使用状況の記録であるため、容量的な問題は生じない。
【0059】
また、同じくプリント装置100の保証年数を7年として、終了時電源オフが毎日行われる装置の場合、365×7≒2500回の書き込みが、フラッシュメモリになされることになる。一般的なフラッシュメモリの書き換え可能回数は10万回程度であるため、一日あたり数回の終了時電源オフが生じても問題はない。
【0060】
このように、フィルムを1枚ずつ使用する毎にフィルム使用状況をEEPROM122に記録しつつ、プリント装置100終了時にフラッシュメモリ118にフィルム使用状況を書き込むようにすることで、フラッシュメモリ118への書き込み回数は激減し、プリント装置100の保証年数の間、問題なくフラッシュメモリ118を使用することが可能になる。
【0061】
ここで、プリント装置100終了時までの間に停電等の理由によってプリント装置100が正常終了しなかった場合には、フラッシュメモリ118に書き込まれたフィルム使用状況は正確な値ではなくなっているが、EEPROM122には正確なフィルム使用状況が書き込まれている。このため、正常終了しなかった場合には、EEPROM122のフィルム使用状況を用いることで、次回起動時にプリント装置100が把握しているフィルム使用状況と実際のフィルム使用状況とにズレが生じることがなくなり、使用途中の実装フィルムの残枚数を正確に把握することが可能になる。
【0062】
また、以上のように、プリント装置100動作時における各種データを記憶する揮発性の記憶部としてのRAM116を備えておき、プリント装置100動作時における動作ユニット130におけるフィルム使用状況をRAM116に記憶しておき、プリント装置100の終了時に使用状況をRAM116からフラッシュメモリ118に記録する。このように、フィルムを1枚ずつ使用する毎にフィルム使用状況をEEPROM122とRAM116とに記録しつつ、プリント装置100終了時にRAM116からフラッシュメモリ118にフィルム使用状況を書き込むようにすることで、フラッシュメモリ118への書き込み回数は激減し、装置保証年数の間、問題なくフラッシュメモリ118を使用することが可能になる。
【0063】
また、制御部として、プリント装置100全体を制御する全体制御部111と、動作ユニット130を制御するための各部制御部121とが存在しており、フラッシュメモリ118は全体制御部111に接続され、EEPROM122は各部制御部121に接続されることが、処理を分散する上で望ましい。
【0064】
〈その他の実施形態〉
本実施形態によれば、以上の説明における実装しているフィルム枚数以外にも、フィルム処理に関する様々な情報を、より正確に管理することが可能になる。
【0065】
たとえば、フィルム総処理枚数(装置設置以降、正常にプリントできたフィルム枚数)、各フィルムサイズ毎のフィルム処理枚数(月毎/週毎/日毎)、各入力装置別毎のフィルム処理枚数(月毎/週毎/日毎)、を管理することが可能である。
【0066】
また、本実施形態では、フラッシュメモリ118と、EEPROM122との両方でフィルム使用状況を管理しているため、故障などの理由で基板交換やユニット交換が発生した場合に、交換していない側のデータを用いることで、復旧が極めて容易に行えるようになる。
【0067】
また、本実施形態では、フラッシュメモリ118と、EEPROM122との両方でフィルム使用状況を管理しているため、いずれか一方にデータ異常(範囲外データ、データ消滅、パリティエラーなど)が発生した場合に、異常が発生していない側のデータを用いることで、復旧が極めて容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施形態の全体構成あるいは全体処理の流れを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態における処理例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態におけるデータの流れを示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態におけるデータの流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
100 プリント装置
110 全体制御回路部
111 全体制御部
112 操作部
114 表示部
116 RAM
118 フラッシュメモリ
120 各部制御回路部
121 各部制御部
122 EEPROM
130 動作ユニット
131 プリントエンジン
132 フィルム収容部
133 フィルム搬送部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御プログラムおよび設定情報を記憶するフラッシュメモリと、
前記制御プログラムと前記設定情報とに基づいてプリント装置を制御する制御部と、
前記制御部により制御され、記録媒体に対してプリント動作を行う動作ユニットと、
各種情報が記録されるEEPROMと、を備え、
前記制御部は、
前記動作ユニットにおける前記記録媒体の使用状況を、前記動作ユニットにおける前記記録媒体の使用毎に前記EEPROMに記録し、
プリント装置の終了時毎に、プリント装置の終了状況と前記動作ユニットにおける前記記録媒体の使用状況とを前記フラッシュメモリに記録し、
プリント装置の起動時に、前回の終了が正常でなかった場合には、前記EEPROMに記録された前記記録媒体の使用状況を前回終了時における前記記録媒体の使用状況として扱う、
ことを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
プリント装置動作時における各種データを記憶する揮発性の記憶部を備え、
前記制御部は、プリント装置動作時における前記動作ユニットにおける記録媒体の使用状況を前記記憶部に記憶しておき、プリント装置の終了時に、前記使用状況を前記記憶部から前記フラッシュメモリに記録する、
ことを特徴とする請求項1記載のプリント装置。
【請求項3】
前記制御部は、プリント装置全体を制御する全体制御部と、前記動作ユニットを制御するための各部制御部とから構成されており、
前記フラッシュメモリは前記全体制御部に接続され、前記EEPROMは前記各部制御部に接続される、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載のプリント装置。
【請求項4】
前記記録媒体は、シート状のフィルムあるいは印画紙である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−118331(P2007−118331A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312266(P2005−312266)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】