説明

プリント装置

【課題】 塗布液の塗布機構を備えたプリント装置において複数頁の連続プリントを行なう際のスループットを向上させる。
【解決手段】 シートを積層収納するカセット(201)からシートを1頁ずつ給紙する給紙部(202)と、給紙されたシートに塗布液を塗布する塗布部(208)と、塗布液が塗布されたシートにプリントを行なうプリント部を有し、制御部(100)はプリントの一時中断または遅延のイベント発生の状況に応じて、現頁プリント中の給紙部による次頁の給紙を開始するタイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートにプリントを行なうプリント装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のインクジェットプリント装置では、インク色材と反応する塗布液(前処理液)をプリント前に予めシートに塗布する塗布機構を備えている。塗布機構は、塗布液をシートに塗布する塗布面を持った塗布ローラと、塗布面に当接して塗布液を保持する液体保持空間を形成する液体保持部材を有する。そして、塗布ローラの回転させることによってシートを搬送しながら塗布液をシートに塗布するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−254229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塗布動作中に塗布ローラとシートが接触したまま停止すると、塗布液がシートの接触部のみならず、接触部の周囲にまで拡がってシートに多量に吸収されて、塗布液が一様に塗布されない塗布むらが生じる。局所的な塗布むらが顕著になると、そのシートは均一なプリント品質が保証できなくなる。特許文献1の装置では、塗布機構から記録開始位置までのシート搬送経路の長さを搬送方向におけるシート長さよりも大きくして、停止なく塗布を行えるようにしている。しかし、給紙からプリントまでの搬送経路に比較的大きな距離が必要であるため、給紙からプリント開始までに比較的大きな時間を要する。
【0005】
シート複数頁に連続してプリントする際のトータルスループットを向上させるには、給紙に要する搬送経路の距離を短くし、ある頁のプリントが完了してから次の頁のプリントを開始するまでに要する時間(プリントの空白時間)を少しでも減らす工夫が求められる。その際、上記の塗布液の塗布動作における特有の問題を考慮しなければならない。すなわち、塗布機構に対してシートを途中停止なく一定速度で通過させて、シートに対する塗布液の塗布むらが生じないようにする工夫が求められる。
【0006】
本発明は上述の課題の認識に基づいてなされたものである。本発明の目的は、塗布液の塗布機構を備えたプリント装置の改良である。本発明のより具体的な目的の一つは、現頁のプリント中に次頁の給紙を開始して連続プリントの際のスループットを向上させることである。本発明のより具体的な目的の一つは、連続給紙の際に現頁のプリント中に次頁を給紙した場合に両者が衝突したり、次頁の塗布動作が途中で停止することを極力回避することである。なお、本明細書においては、頁とはシート1枚を意味し、現頁とはプリント部でプリントを行なっている最中の1枚のシートを意味し、次頁とは次に給紙される予定の1枚のシートを意味するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決する本発明のプリント装置は、シートを積層収納する収納部からシートを1頁ずつ給紙する給紙部と、前記給紙されたシートに塗布液を塗布する塗布部と、前記塗布液が塗布されたシートにプリントを行なうプリント部と、前記給紙部、前記塗布部および前記プリント部の動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部はプリントの一時中断または遅延のイベント発生の状況に応じて、前記プリント部による現頁のプリント中の、前記給紙部による次頁の給紙を開始するタイミングを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現頁のプリント中に次頁の給紙を開始して塗布を行なうので、連続プリントの際のスループットを向上させることできる。その際、プリントの一時中断または遅延のイベント発生の状況に応じて次頁の給紙を開始するタイミングを制御するので、現頁と次頁の衝突、塗布動作の停止の少なくともいずれかを回避することができる。塗布動作の停止が無いので、シートに対する塗布液の塗布むらがなく高品質のプリントを行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】プリント装置の主要部の構成を示す概略図
【図2】塗布液塗布機構の構成を示す側面図
【図3】プリント部の構成を示す斜視図
【図4】制御部の構成を示すブロック図
【図5】複数頁の連続プリントの動作シーケンスを示すフローチャート
【図6】次頁の給紙を開始した後に現頁のシート搬送不良が発生した場合の回復動作シーケンスを示すフローチャート
【図7】第1実施形態の判定シーケンスを示すフローチャート
【図8】第2実施形態の判定シーケンスを示すフローチャート
【図9】第3実施形態の判定シーケンスを示すフローチャート
【図10】第4実施形態の判定シーケンスを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
図1は本実施形態のインクジェットプリント装置の主要部の構成を示す概略図である。カセット201から給紙されたシートがプリントを終えて排紙されるまでのシート搬送経路を図中の矢印に示す。給紙手段としてカセット201と給紙ローラ202を備える。カセット201は、記録媒体であるシートSを複数枚(複数頁)積層収納する収納部である。給紙ローラ202は、カセット201からシートを1頁ずつ分離して取り出して給紙する給紙部である。塗布機構208は、給紙ローラ202から給紙されたシートに塗布液(前処理液)を塗布する塗布部である。塗布機構208は塗布ローラ101、カウンタローラ102および液体保持部材103から構成されている。塗布液とは、例えば顔料を色材とするインクで記録した際に顔料の凝集を早めるための前処理のための液体(顔料インクのための前処理液)である。
【0011】
塗布機構208からプリント部209までの搬送経路に沿って複数の紙搬送ローラ対203が設けられ、シートSをプリント部209方向へと搬送される。塗布機構208における塗布ローラ101とカウンタローラ102の挟持位置からプリント部209までのシート搬送経路の長さは、使用する最大シートサイズの搬送方向におけるシート長よりも大きくなっている。これは、塗布機構208で塗布液を塗布されたシートが、塗布ローラ101とカウンタローラ102の挟持位置からシートの後端が抜けるまではプリントが行なわないようにするためである。一方、給紙ローラ202から塗布機構208における塗布ローラ101とカウンタローラ102の挟持位置までの搬送経路の長さは、搬送方向におけるシートSのシート長よりも小さい。
【0012】
搬送されたシートは、プリント部の手前で搬送ローラ204とピンチローラ205で挟持されプリント部209へと搬送される。プリント部209に達したシートは搬送ローラ204の回転駆動により副走査しながら、記録ヘッド206によりシート幅分のプリントを行なう。主走査方向へプリントと副走査方向のシート送りとの組み合わせによりシート上に二次元画像のプリントが行なわれる。プリント終了後は排紙ローラ207によりシートを排紙する。シートセンサ210は、搬送ローラ204の手前位置でシートの有無を検出するもので、シート有りから無しへと変化することを捉えてシートSの後端がシートセンサ210を通過したことを検知する。制御部100はCPU、メモリ、駆動回路、各種I/Oインターフェースを備え、給紙、塗布およびプリントを含む装置全体の動作制御を司る。操作部406は入力部(ボタン、キー、タッチパネル等)と表示部を備え、ユーザによる制御入力等を可能にする。表示部はディスプレイを有し、メンテナンスやプリントステータスやメンテナンスなどに関する各種情報を表示する。
【0013】
図2は塗布機構208の構成を示す側面図である。塗布ローラ101とカウンタローラ102でシートSを挟持して図中の矢印方向に搬送する。液体保持部材103は、塗布ローラ101の円筒表面に沿った凹形状を有するベース部材106と、これに密接するシール107からなる。ベース部材106、シール107、塗布ローラ101によって形成された液体保持空間104に塗布液を保持する。液体保持部材103は、バネ等の弾性体105によって塗布ローラ101の側に付勢されており、シール107が塗布ローラ101と密着することで、液体保持空間104からの塗布液の漏れを防止する。塗布ローラ101が図中の矢印方向へ回転すると、液体保持空間104の回転方向下流側から塗布液が染み出し、塗布ローラ101表面に塗膜を形成する。そして塗布ローラ101とカウンタローラ102で挟持しているシートSの表面に塗布液を転写する。
【0014】
図3はプリント部209およびその近傍の構成を示す斜視図である。記録ヘッド206はキャリッジに301に装着され、記録ヘッド206にはCMYK4色のインクタンク302から個別にインクが供給される。各インクタンク302は個別に交換することができるようになっている。キャリッジ301は駆動モータにより主走査方向(図中のx方向)に往復移動する。キャリッジ301の移動範囲で記録領域の外側には回復機構300が設けられている。回復機構300は、記録ヘッドのノズル面の汚れの清掃やノズル内に混入した気泡や目詰まりの除去、予備吐出を行った際の排出インクの受容などを行なうユニットである。ノズル面のクリーニングを行なうクリーニング機構はワイパーを有し、ワイパーによってノズル面のインク付着を拭き取る。また、記録ヘッド内の混入気泡を吸引除去する吸引機構は、記録ヘッド206のノズル面をキャッピングする吸引キャップと吸引キャップからチューブを介して繋がれた吸引ポンプから構成されている。予備吐出はノズル内で乾燥増粘したインクを排出する動作であり、回復機構に設けられた受容部で排出インクを受容する。
【0015】
図4は制御部100の構成を示すブロック図である。CPU400はメインバスライン405を介して装置各部の制御およびデータ処理を実行する。CPU400は、ROM401に格納されるプログラムに従い、データ処理、記録ヘッド駆動およびキャリッジ駆動を制御してプリント動作やその他の装置各種動作を司る。RAM402はCPU400によるデータ処理のワークエリアとして用いられ、一時的に複数スキャンのプリントデータ、インクタンク内のインク残量、およびプリント装置の回復処理に係るパラメータ等を記憶する。画像入力部403はホスト装置とのインターフェース418を介し、ホスト装置から入力した画像を一時的に保持する。画像信号処理部404は、色変換、二値化等のデータ処理を実行する。また、メインバスライン405には操作部406の入力部と表示部が接続され、操作部からの入力はCPU400で検知し、CPU400の制御によって表示部への表示出力が行なわれる。シートセンサ210で検知したシートの有無からシートの後端位置を判定することができる。また、シートセンサ210のシート無し検知結果とシート送り制御回路417で制御されたシート送り量から、記録領域にシートが無いことを判定可能である。
【0016】
回復系制御回路407では回復処理プログラムに従って予備吐出、吸引動作、記録ヘッドノズル面のワイピング等の回復動作を制御する。回復系モータ408は、記録ヘッド413とこれに対向離間するクワイパー409やキャップ410、吸引ポンプ411を駆動する。ヘッド駆動制御回路415は、記録ヘッド413のインク吐出用の駆動を制御し、通常、予備吐出や記録のためのインク吐出を記録ヘッド413に行わせる。キャリッジ駆動回路416は、画像信号処理部404で処理されたプリントデータに従い、記録ヘッド413の主走査方向のスキャンを制御する。記録ヘッド413には温度センサ419が備えられ記録ヘッドの温度を検知する。
【0017】
次に、図5のフローチャートを用いて、複数頁の連続プリントの動作シーケンスについて説明する。この動作シーケンスは制御部100に記憶された実行プログラムに従って行なわれる。ホスト装置からのプリント指令に基づいてプリントが開始される。ステップS1では、給紙部で1頁(1枚)のシートを給紙して塗布部において塗布液の塗布を行なう。塗布のなされたシートはプリント部に搬送される。ステップS2では、搬送されたシートの記録ヘッドで1スキャン(1回の主走査)で1バンド分のプリントを行なう。
【0018】
ステップS3では、現在プリント中の現頁のシートの次に給紙する次頁のシートの給紙の可否をシート位置を基準に判定する。判定の基準は、次頁のシートの給紙が行なった際に、現頁のシートの後端に接触するか否かである。接触しないなら次頁の給紙は可、接触するなら次頁の給紙は不可と判断する。判定の一つの方法は、現頁のシート位置により判定するものである。現頁のシートの後端が、搬送経路においてある所定位置よりもプリント部の側にあれば、次頁のシートの給紙を開始してもシート同士の接触は避けることができる。判定の別の方法は、現頁のシートのプリントが完了するまでの残り時間を推定して、残り時間が所定値よりも小さい場合に給紙を可と判定するものである。いずれの方法を採用してもよい。
【0019】
ステップS3での判定が不可であった場合はステップS4に移行する。ステップS4では1バンド分のシート送りを実行する、そして次のバンドのプリントを行うためにステップS2に戻る。ステップS3での判定が可であった場合はステップS5に移行する。ステップS5では、次頁のプリントデータが制御部のメモリ(RAM402)に記憶されているか否かを判定する。次頁のプリントデータが無い場合はステップS6に移行する。ステップS6では、引き続き現頁のプリントを続行するために現頁のシート送りを行う。続くステップS7では1スキャン分のプリントを行う。ステップS8ではプリントが終了したかを判定する。終了していなければステップS6に戻り、シート送りと1スキャンのプリントを繰り返す。プリントが終了したらステップS9に移行して現頁のシートを排紙する。そして、プリントのシーケンスを終了する。
【0020】
一方、ステップS5において次頁のプリントデータがあると判定したら、ステップS11に移行する。ステップS11では、次頁のシートの給紙禁止要件の有無を判定する。次頁給紙禁止要件とは、プリントの一時中断または遅延のなんらかのイベントの発生である。本例での次頁給紙禁止要件は、インクタンクに収容されるインクの残量が所定値より少ない(無しを含む)状態となり、インクタンク交換またはインク補充が必要とされる状況である。次頁給紙禁止要件のより詳細については後述する。ステップS11の判定で次頁の給紙禁止要件がある(Yes)場合は次頁のシートの給紙は行わない。この場合はステップS4に移行して、現頁のプリントを続行するために1バンド分のシート送りを実行する。そして、ステップS2に戻る。
【0021】
ステップS11の判定で次頁給紙禁止要件がない(No)の場合はステップS12に移行する。ステップS12では給紙部において次頁のシートの給紙動作を開始する。そして塗布部において塗布液の塗布を行ない、塗布のなされたシートはプリント部に搬送される。これと並行して、現頁のシートの残りの未プリント領域に、ステップS13での1バンド分のシート送りと、ステップS14での1スキャン分のプリント動作を、ステップS15でプリント終了と判断されるまで繰り返す。ステップS16では、プリントが終了した現頁のシートを排紙する。ステップS16の後にステップS2に戻って、次頁のプリント動作を開始する。ステップS12(次頁のシートの給紙)とステップS13〜ステップS16(現頁のシートの残り領域のプリント)とは並行して実行されるが、通常は、次頁のシートの先頭が現頁のシート後端と接触することはない。これは、上述のステップS3〜ステップS11にて、次頁の給紙が可能なタイミングを判断した上で、給紙が可となってからステップS12を実行するためである。
【0022】
稀ではあるが、ステップS12で次頁の給紙を開始した後に、現頁のシート搬送(プリント最中またはプリント後の排紙)に予期しない中断または遅延が発生することがある。例えば、シート搬送中のジャムによりシート搬送不良となる場合がある。あるいは、ステップS11での判断に推定誤差があって実際にはプリント中断が長引く場合がある。このような予期しないプリント中断が発生した場合に、次頁の給紙を続行すると、現頁のシート後端に接触する畏れがある。そこで、ステップS12で次頁の給紙を開始した以降、ならびにステップS16で現頁のプリント後の排紙を開始した以降に、以下に示す回復シーケンスを並行して行なうようになっている。図6は、次頁の給紙を開始した後に現頁のシート搬送不良が発生した場合の回復動作シーケンスを示すフローチャートである。
【0023】
図6において、ステップS21では、現頁のシート搬送(プリント最中またはプリント後の排紙)に予期しない中断または遅延等の搬送不良が発生したかを検知手段によって絶えず検知する。検知手段の一例はシートの搬送状態をモニタするジャムセンサである。搬送不良が検知されたら(Yes)ステップS22に移行する。検知されない場合はステップS30に移行する。ステップS30は予定されている全てのプリント動作が終了したかを判断する。判断がNoの場合はステップS21に戻る。判断がYesの場合は本シーケンスを終了する。
【0024】
ステップS22では、すでに開始している給紙ローラ202による次頁の給紙動作をただちに停止させる。これは、停止中の現頁のシートの後端に次頁が衝突するのを防ぐためである。続くステップS23では、次頁のシート先端位置を検出手段によって検出する。検出手段は、給紙ローラ202が回転を始めてからの回転量または経過時間からシート先端位置を推定する。あるいは、シート搬送経路の複数箇所でセンサによってシートの有無を検知してシート先端位置を検出する。ステップS24では、検出したシート先端位置が塗布機構208の塗布位置(塗布ローラ101とカウンタローラ102の挟持位置)の手前であるか否かを判断する。判断がYesの場合はステップS25に移行し、判断がNoの場合はステップS27に移行する。
【0025】
次頁のシート先端が塗布機構208の塗布位置に達する前にシートが停止すれば、シートには塗布液が付着しないで済むため、正常品として扱うことができる。ステップS24での判断がYesの場合は、ステップS25では現頁のシート搬送(プリントまたはプリント後の排紙)が回復するまで待つ。回復したらステップS26に移行する。ステップS26では次頁の給紙を再開して、塗布機構208による塗布動作を再開する。塗布されたシートは塗布むらのない正常品なので、プリント部209の記録ヘッド206でプリントがなされる。そして、ステップS21に戻って同様の処理を繰り返す。
【0026】
一方、ステップS24での判断がNoの場合は、次頁のシートの一部にすでに塗布液が付与されて、塗布動作の途中で給紙が停止した状態となっている。塗布動作に特有の問題として、シートを一定速度で塗布機構208を通過させないとシートに対する塗布液の塗布むらが生じてしまう。そのため、塗布途中の位置でシートが停止するとその部位に通常よりも多くの塗布液が付与されるので、局所的な塗布むらが生じてしまう。ジャム等の回復作業に時間を要して停止時間が長くなるほどに塗布むらも顕著となって、そのシートは均一なプリント品質が保証できなくなる。
【0027】
ステップS27では現頁のシート搬送(プリントまたはプリント後の排紙)が回復するまで待つ。回復したらステップS28に移行する。ステップS28では、次頁の給紙を再開して残りの塗布を行なう。ただし、そのシートは高品質なプリントには向かないので、プリント部で209でプリントは行なわずに装置から排紙する。排紙されたシートは不良品としてユーザによって破棄される。その後、さらなる次頁の給紙が開始され、ステップS21に戻って同様の処理を繰り返す。なお、給紙部の側でもジャムが発生して自動的に排紙できない場合は、装置がユーザにメンテナンスを指示して、ユーザが経路からシートを取り除いて排紙するようにしてもよい。
【0028】
以上のように、次頁の給紙を開始した後に現頁のシート搬送に予期しない中断の発生が検知されたら次頁の給紙をただちに停止させる。そして、給紙を停止させた次頁のシート先端位置に応じて、給紙再開後に給紙するシートにプリントを行なうかプリントを行なわずに排出するかを決定する。次頁のシート先端位置が、塗布部よる塗布位置よりも手前の場合は給紙再開後にプリントを行ない、塗布部よる塗布位置を過ぎている場合は給紙再開後にプリントを行なわないように制御する。これにより、既に次頁の給紙を開始した後に予期しないエラーが発生して、先行する現頁の搬送が停止した場合にも適切に対処することができる。次頁を救えなかったときだけ塗布不良となったシートを不良品として排出するので、失敗によるシートと塗布液の消費を減らすことができる。
【0029】
以下、ステップS11の次頁給紙禁止要件について、図7のフローチャートを用いてより詳しく説明する。ステップS61で次頁給紙禁止要件の判定を開始する。ステップS62では現時点でのCMYK各色のインクタンクの残量をそれぞれ取得する。インクタンク内のインク残量は、インクタンク内のインクの液面高さを光学的、電気的なセンサあるいは別の物理的な手法のセンサで検出することができる。別法として、センサを用いずに、すでにプリントした分のプリントデータから消費したインク量を推定して、新品のインクタンクの容量から累積の消費量を差し引くことで、残量を推定することができる。
【0030】
ステップS63では、各色についてインク残量が所定値よりも大きい(Yes)か、大きくない(No)かを判定する。ここで所定値とは、現頁の残りの領域のプリントに必要なインク量と、次頁(1頁すべて)のプリントに必要なインク量とを合計した値、すなわち2つのパラメータの合計値である。Yesの場合は、次頁プリント中にインク残量がなくなることはないから、ステップS64で次頁の給紙開始を可とする。一方、Noの場合は、次頁プリントの途中(最悪は現頁プリント途中)にその色のインクが無くなる可能性があるから、ステップS65で次頁の給紙開始を不可とする。不可の場合は、次頁の給紙は行なわずに、現頁のプリントが終了した段階で、ユーザに残量の不足した色のインクタンクの交換を促す。
【0031】
前記所定値は、経験から求めた固定値であってもよいが、より的確な判定のためには、所定値を構成する上述の2つパラメータをできるだけ正確に推定して状況に応じて所定値を可変にすることが好ましい。現頁の残りのプリントに必要なインク使用量は、現頁の未プリントのプリントデータを元に計算することができる。プリント画像はプリントデータを反映した多数のインクドットの集合体から構成され、各ドットのインク量の積分値が合計のインク使用量となる。同様に、次頁のプリントに必要なインク量は、次頁のプリントデータから計算することができる。なお、次頁のプリントのためのインク量は次頁のプリントデータから求めるのがより正確であるが、経験的に得た固定値(例えば1頁の半分のベタ打ちが可能なインク量)として計算を簡略化してもよい。
【0032】
以上のように制御部は、インク残量と、未プリントデータの解析で推定されるインク使用量を元に設定した所定値を元に、インク残量が必要なだけあるかを判断して、現頁のプリント中に給紙部による次頁の給紙の可否を決定するように制御する。現頁のプリント中に次頁の給紙を開始して塗布を行なうので、連続プリントの際のスループットを向上させることできる。その際、プリントの一時中断または遅延のイベント発生の状況に応じて次頁の給紙を開始するタイミングを制御する。そのため、現頁と次頁の衝突が未然に回避され、且つ、塗布中にシート搬送速度は一定を保つことができ、塗布液の塗布むらが生じることがない。また、塗布部からプリント部までの経路途中で搬送が停止して長時間シートが放置されることがないので、塗布液が塗布されたシートに強い曲がり癖がついたり、搬送経路のガイドにシートから塗布液が偏って転写することも回避される。
【0033】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。プリントの動作シーケンスは図5と同様であるため繰返しの説明は省略する。上記の実施形態との違いは、図5のステップS11の判断である。
【0034】
記録ヘッドを高負荷(高プリントデューティ)で長時間連続して駆動すると、記録ヘッドのエネルギ発生源の発熱に冷却が追いつかずに記録ヘッドが昇温する場合がある。これは、エネルギ発生源にヒータ(発熱素子)を用いたサーマルタイプのインクジェット記録ヘッドの場合に顕著である。サーマルタイプに限らず、エネルギ発生素子としてピエゾ素子やMEMS素子等のアクチュエータを用いたインクジェット記録ヘッドでもアクチュエータの駆動で発熱が生じるので同じ問題が発生し得る。そこで、温度上昇によって記録ヘッドがダメージを受ける可能性がある所定温度(ヘッド故障温度)を越えないように制御する必要がある。本例では、記録ヘッドの近傍に温度センサを設けて記録ヘッドの温度を検出し、ヘッド故障温度に達する前にプリント動作を一時中断させる。そして記録ヘッドの温度低下を待ってプリントを再開させる。このため、プリント中に一時的なプリント中断時間(待ち時間)が発生する場合がある。次頁のシートを給紙して塗布動作中にプリント中断が起きると、シートの搬送が中断してそれに伴って塗布動作も中断してシートに塗布むらが生じる畏れがある。そこで本例では、プリント中に発生する記録ヘッドの冷却のための待ち時間がプリント一時中断イベントであり、これを図5のステップS11における次頁給紙禁止要件とする。
【0035】
図8のフローチャートを用いて、記録ヘッド冷却のための待ち時間が次頁給紙禁止要件となる場合の動作シーケンスについて説明する。ステップS81で次頁給紙禁止要件の判定を開始する。ステップS82では、温度センサの検出出力から現在の記録ヘッドの温度情報を取得する。ステップS83では、制御部のメモリ(RAM402)上に記憶された未プリントデータを解析して、インクドット数とプリント領域からプリントデューティを算出する。ステップS84では、経験から求めて予めメモリに記憶した温度推定テーブルを用いて、現在の記録ヘッド温度と未プリントデータのプリントデューティとから、現頁のプリント最中に達するであろう記録ヘッドの最大温度(記録ヘッド温度推定値)を求める。ステップS85では、求めた記録ヘッド温度推定値と上記所定温度(ヘッド故障温度)とを比較する。ヘッド故障温度が記録ヘッド温度推定値よりも大きい場合(Yes)は、現頁プリント中に冷却による待ち時間の発生はないと判断し、ステップS86で次頁給紙開始を可とする。一方、ヘッド故障温度が記録ヘッド温度推定値よりもが大きくない場合(No)は、現頁プリント中に冷却による待ち時間が発生する可能性があると判断し、ステップS87で次頁給紙開始を不可とする。
【0036】
以上のように、制御部は、温度センサでの検出出力と未プリントデータとに基づいて冷却のためのプリントの一時中断の発生を推定し、推定に基づいて現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を決定するように制御する。具体的には、制御部は、未プリントデータのプリントデューティを解析し、温度センサでの検出出力とプリントデューティとから現頁プリント中の最大温度を推定する。そして、推定した温度が所定温度よりも大きい場合は、現頁のプリント中の給紙部による次頁の給紙を不可とするよう制御する。実施形態2でも実施形態1で説明したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
なお、本発明はインクジェットプリント装置には限定されない。インクジェット以外のサーマルタイプの記録ヘッドを備えたプリント装置(昇華型プリント装置や熱転写プリント装置)に適用することもできる。
【0038】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。プリントの動作シーケンスは図5と同様であるため繰返しの説明は省略する。上記の実施形態との違いは、図5のステップS11の判断である。
【0039】
記録ヘッドから同時にインク吐出する数が増えるほどに消費電力が大きくなるが、電源容量の拡大はプリント装置のコスト増となる。通常の画像のプリントでは同時に全ノズルのインク吐出が行われる頻度は少ない。そこで、電源には限られた小容量のものを用いて、制御部は電源容量を越えないように同時吐出のノズル数の制限するように制御する。例えば、1スキャン分のプリントデータに同時吐出数が所定数を越えるデータが存在する場合は、1バンドを上流側と下流側の半分に分けて2度のスキャンでプリントを行なう。最初のスキャン(往路)で上流側の半分のノズルを使用して上流側だけプリントする。次いで、シート送りをせずに、2度目のスキャン(復路)で下流側の半分のノズルを使用して下流側だけプリントして、1バンド分のプリントを完成させる。このような同時吐出数に応じた分割プリント制御を行えば最大吐出ノズル数は全ノズル数の半分にすることができ、消費電力の増大して電源容量を越える事態を防ぐことができる。ただし、分割プリント制御では、全ノズルを使用した場合と比較してスキャン数が倍になるためプリント時間が増加する。つまり、分割プリント制御では、1バンドの中でシートの送り動作せずに2スキャンを行なうので、1ページの中で分割プリント制御を行なうバンドが増えるほどに、1ページ分のプリント時間に要する時間が増えて、次頁のシートの先端と衝突する可能性が出てくる。そこで本例では、分割プリント制御において生じ得るプリント時間の増大がプリント時間遅延イベントであり、これを図5のステップS11における次頁給紙禁止要件とする。
【0040】
図9のフローチャートを用いて、最大同時吐出数の制限が次頁給紙禁止要件となる場合の動作シーケンスについて説明する。ステップS91で次頁給紙禁止要件の判定を開始する。ステップS92では、制御部のメモリ(RAM402)上に記憶された未プリントデータを解析して、1バンド分のプリントデータの中での最大同時吐出数を取得する。ステップS93では、上記取得した未プリントデータの最大同時吐出数と、電源容量を元に予め規定された同時吐出可能なノズル数(許容同時吐出数)とを比較する。比較の結果、許容同時吐出数が最大同時吐出数よりも大きい場合(Yes)は、分割プリント制御が発生しないので、ステップS94で次頁給紙開始を可とする。一方、許容同時吐出数が最大同時吐出数よりも大きくない場合(No)は、分割プリント制御が発生してプリント時間が増大するので、ステップS95で次頁搬送開始を不可とする。
【0041】
以上のように、制御部は、未プリントデータを解析して取得されるノズルからの同時吐出数が所定値よりも大きい場合には一度に使用するノズル数を制限してプリントする分割プリント制御が可能である。そして制御部は、未プリントデータを解析して取得されるノズルからの同時吐出数に基づいて、現頁のプリント中に給紙部による次頁の給紙の可否を決定するように制御する。実施形態3でも実施形態1で説明したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0042】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。プリントの動作シーケンスは図5と同様であるため繰返しの説明は省略する。上記の実施形態との違いは、図5のステップS11の判断である。
【0043】
プリントの際には、吐出されたインク滴に付随する吐出速度の小さい微小な液滴(インクミスト)が発生してプリント装置内を浮遊する。インクミストがノズル近傍に付着し蓄積されるとインクの吐出方向に影響が生じて、インク滴のシート上への着弾位置にずれが生じて画質低下の要因となり得る。また、蓄積された複数色のインクがノズル内に進入してインクの混色が起きる場合もある。そのため、回復機構300はワイパーを持ったクリーニング機構を備え、周期的に記録ヘッドのノズル面に付着したインクを拭き取ってクリーニング(回復処理)を実行する。制御部は、累積の吐出数をカウントして所定のカウント数を超えたらクリーニングを行なう。また、累積のプリント時間、あるいは累積の装置起動時間をカウントして、累積時間が所定の値を越えたらクリーニングを行なうようにしてもよい。つまり、累積吐出数または累積使用時間によってクリーニングのタイミング決定する周期が決定される。
【0044】
また、ヒータを有するインクジェット記録ヘッドでは、吐出によって発生した気泡の消泡時に二次的に微細な泡が生じる場合がある。この微細な泡はインクが満たされたノズル内で吐出数に比例して蓄積されていく。蓄積された泡がある程度の容量になると、ノズルへのインク供給の障害となり得る。そのため、回復機構300は記録ヘッドを気密にキャッピングして吸引することでノズル内の気泡を強制的に吸引除去する吸引機構を備えている。吸引(回復処理)は周期的に行なわれる。制御部は、累積の吐出数をカウントして所定のカウント数を超えたらクリーニングを行なう。また、累積のプリント時間、あるいは累積の装置起動時間をカウントして、累積時間が所定の値を越えたら吸引を行なうようにしてもよい。つまり、累積吐出数や累積使用時間によって吸引のタイミング決定する周期が決定される。
【0045】
このような周期的にクリーニング処理や吸引処理などの回復処理を行う場合、現頁のプリント中あるいは現頁と次頁の間で回復処理のためのプリント中断時間(待ち時間)が生じる。次頁のシートを給紙して塗布動作中にプリント中断が起きると、シートの搬送が中断してそれに伴って塗布動作も中断してシートに塗布むらが生じる畏れがある。もし、プリント中断中に塗布動作だけを実行すると、現頁と次頁のシート同士の衝突が起き得る。そこで本例では、回復処理による待ち時間の発生がプリント一時中断イベントであり、これを図5のステップS11における次頁給紙禁止要件とする。
【0046】
図10のフローチャートを用いて、回復処理により待ち時間が次頁給紙禁止要件となる場合の動作シーケンスについて説明する。ステップS101で次頁給紙禁止要件の判定を開始する。ステップS102では、現在までの累積の吐出数(カウント値)を取得する。ステップS103では、制御部のメモリ(RAM402)上に記憶された未プリントデータのプリントに必要な吐出数を計算する。ステップS104では、現時点での累積吐出数と未プリントデータの吐出数とを足し合わせて、現頁の終了時において予想される累積吐出数を算出する。ステップS105では、算出した現頁の終了時において予想される累積吐出数を、回復処理に応じて規定された所定値と比較する。回復処理には、クリーニング動作と吸引動作があるが、それぞれに適した周期は異なるので、所定値はそれぞれの周期に応じた異なる値となる。比較の結果、いずれかの回復処理に対応した所定値にも達していない場合(Yes)は、回復処理によるプリント中断は起きないので、ステップS106で次頁給紙開始を可とする。少なくともいずれか一方の回復処理の所定値を越えた場合(No)は、回復処理によるプリント中断が発生するので、ステップS107で次頁給紙開始を不可とする。
【0047】
なお、上述したように、累積吐出数の代わりに、累積の使用時間(プリント時間または装置起動時間)に基づいて、回復処理を実行するタイミングを決めるようにしてもよい。この場合は、プリント実行中に累積使用時間が回復処理の周期に対応した所定値(クリーニング処理と吸引処理とでは異なる)に達するか否かを判断する。いずれも所定値に達しない場合は次頁のプリント次頁給紙開始を可とし、少なくともいずれか一方が所定値に達した場合は次頁給紙開始を不可とする。
【0048】
また、回復機構は、クリーニング機構や吸引機構のほかに、予備吐出で排出された排出インクを受容する受容部と、受容部に蓄積されたインクを排出する機構を有する。受容部に蓄積可能なインク容量は限られており、容量を越える前に受容部のインクを排出する必要がある。受容部からのインク排出動作が際には、プリント中断時間(待ち時間)が生じて上述した問題が起き得る。そこで、制御部は、予備吐出の累積吐出数をカウントして、このカウント値が受容部の容量に対応した所定値に達したか否かに応じて給紙部による次頁の給紙の可否を制御する。予備吐出のカウント値が所定値に達しない場合は次頁のプリント次頁給紙開始を可とし、所定値に達した場合は次頁給紙開始を不可とする。
【0049】
このように、制御部は、回復機構での回復処理の実行の有無に基づいて、現頁のプリント中に給紙部による次頁の給紙の可否を制御する。具合的には、制御部は、累積吐出数または累積使用時間が前記クリーニングの周期に対応した所定値に達したか否かに応じて、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を決定するように制御する。実施形態4でも実施形態1で説明したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
(第5実施形態)
以上の実施形態の機能にさらに加えて、プリント部でのプリント後に定着乾燥のために次頁のプリントの一時中断を行なう乾燥モードを有する。これはシート上でインクの滲みや、次頁への転写を防止するためである。現頁のプリントでの吐出インク量を元に、吐出インク量が所定値よりも大きい場合、すなわちシートの濡れが大きい場合には、乾燥モードを実行する。また、ユーザの操作部への入力指示で乾燥モードを実行するようにしてもよい。つまり本例では、乾燥モードの実行がプリント一時中断イベントであり、これを図5のステップS11における次頁給紙禁止要件とする。制御部は、現頁のプリントでの吐出インク量またはユーザの操作部への入力指示の有無を元に乾燥モードの実行の有無を判断して、この判断に基づいて現頁のプリント中に前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御する。これにより上述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0051】
以上、次頁給紙禁止要件のいくつかの例を説明してきたが、これらのいずれかまたは全てを組み合わせて実施するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
101 塗布ローラ
102 カウンターローラ
103 液体保持部材
104 液体保持空間
201 カセット
202 給紙ローラ
204 搬送ローラ
206 記録ヘッド
207 排紙ローラ
208 塗布機構
209 プリント部
210 シートセンサ
301 キャリッジ
302 インクタンク
300 回復機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積層収納する収納部からシートを1頁ずつ給紙する給紙部と、
前記給紙されたシートに塗布液を塗布する塗布部と、
前記塗布液が塗布されたシートにプリントを行なうプリント部と、
前記給紙部、前記塗布部および前記プリント部の動作を制御する制御部と、
を有し、前記制御部はプリントの一時中断または遅延のイベント発生の状況に応じて、前記プリント部による現頁のプリント中の、前記給紙部による次頁の給紙を開始するタイミングを制御することを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記制御部は、インク残量と所定値とを比較して、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項1記載のプリント装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記インク残量と未プリントデータから推定されるインク使用量を元に設定した前記所定値を元に、前記インク残量が次頁のプリントに必要なだけあるかを判断して、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項2記載のプリント装置。
【請求項4】
前記プリント部はヒータを有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの温度を検知する温度センサを備え、前記制御部は、前記温度センサでの検出出力と未プリントデータとに基づいて冷却のためのプリントの一時中断の発生を推定し、前記推定に基づいて現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項1記載のプリント装置。
【請求項5】
前記記録ヘッドはエネルギ発生素子としてヒータを有し、前記制御部は、前記未プリントデータのプリントデューティを解析し、前記温度センサでの検出出力と前記プリントデューティとから現頁プリント中の最大温度を推定し、前記推定した温度が所定温度よりも大きい場合は、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙を不可とすることを特徴とする請求項4記載のプリント装置。
【請求項6】
前記制御部は、未プリントデータを解析して取得されるノズルからの同時吐出数が所定値よりも大きい場合には一度に使用するノズル数を制限してプリントする分割プリント制御が可能であり、未プリントデータを解析して取得されるノズルからの同時吐出数に基づいて、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項1記載のプリント装置。
【請求項7】
前記プリント部が有する記録ヘッドの回復処理を周期的に行なう回復機構を有し、
前記制御部は、前記回復機構での回復処理の実行の有無に基づいて、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
【請求項8】
前記回復機構は、前記記録ヘッドのノズル面をクリーニングするクリーニング機構を備え備え、前記制御部は、累積吐出数または累積使用時間が前記クリーニングの周期に対応した所定値に達したか否かに応じて、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項7記載のプリント装置。
【請求項9】
前記回復機構は、前記記録ヘッドのノズルを吸引する吸引機構を備え、前記制御部は、累積吐出数または累積使用時間が前記吸引の周期に対応した所定値に達したか否かに応じて、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項7記載のプリント装置。
【請求項10】
前記回復機構は、予備吐出で排出された排出インクを受容する受容部と、前記受容部に蓄積されたインクを排出する機構を有し、前記制御部は、予備吐出の累積吐出数が前記受容部の容量に対応した所定値に達したか否かに応じて、現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項7記載のプリント装置。
【請求項11】
前記プリント部でのプリント後に定着乾燥のために次頁のプリントの一時中断を行なう乾燥モードを有し、前記制御部は、現頁のプリントでの吐出インク量またはユーザによる操作部への入力指示を元に前記乾燥モードの実行の有無を判断して、前記判断に基づいて現頁のプリント中の前記給紙部による次頁の給紙の可否を制御することを特徴とする請求項1記載のプリント装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記次頁の給紙を開始した後に、前記現頁のシート搬送に予期しない中断の発生が検知されたら前記次頁の給紙をただちに停止させるように制御することを特徴とする、請求項1記載のプリント装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記給紙を停止させた前記次頁のシート先端位置に応じて、給紙再開後に給紙するシートにプリントを行なうかプリントを行なわずに排出するかを決定するように制御することを特徴とする、請求項12記載のプリント装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記次頁のシート先端位置が、前記塗布部よる塗布位置よりも手前の場合は給紙再開後にプリントを行ない、前記塗布部よる塗布位置を過ぎている場合は給紙再開後にプリントを行なわないように制御することを特徴とする、請求項13記載のプリント装置。
【請求項15】
前記塗布液は、顔料インクのための前処理液であることを特徴とする、請求項1記載のプリント装置。
【請求項16】
シートを積層収納する収納部からシートを1頁ずつ給紙して、給紙されたシートにプリントを行なう際に、プリントの一時中断または遅延のイベント発生の状況に応じて、現頁のプリント中の次頁の給紙のタイミングを制御することを特徴とするプリント装置の給紙方法。
【請求項17】
前記イベントは、インクの交換または補充、記録ヘッドの冷却のためのプリントの一時中断、一度に使用するノズル数を制限してプリントする分割プリント制御、記録ヘッドのクリーニング処理、記録ヘッドの吸引処理、予備吐出の排出インクの受容部の回復処理、プリント後の乾燥モードの実行の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項16に記載のプリント装置の給紙方法。
【請求項18】
前記次頁の給紙を開始した後に前記現頁のシート搬送に予期しない中断が発生した場合には、給紙をただちに停止させて、シート先端位置に応じて給紙再開後に給紙するシートにプリントを行なうかプリントを行なわずに排出するかを決定することを特徴とする、請求項16記載のプリント装置の給紙方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−284966(P2010−284966A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82797(P2010−82797)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】