説明

プリント配線基板の接続構造及び接続装置

【課題】余剰はんだが接続端子部からはみ出ることによる不具合を防止しながらも、そのための構成を簡単に済ませる。
【解決手段】リジッド基板34の表面に形成された配線パターン37の端部部分が接続端子部37aとされ、ペースト状のはんだ38がコーティングされる。フレキシブル配線基板35の表面に形成された配線パターン41の端部が接続端子41aとされ、ペースト状のはんだ42がコーティングされる。リジッド基板34にフレキシブル配線基板35を接続するにあたっては、フレキシブル配線基板35を下向きにして各接続端子部37aと接続端子41aとの位置合せ状態で重ね合わせ、ヒートツール24を下降させて押当てることによりはんだ付けを行う。接続端子部37a部分には、余剰はんだを吸収するための多数本の溝部44を形成しておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンに設けられた接続端子部と、フレキシブル配線基板の表面に設けられた接続端子とをはんだ付けにより接続するプリント配線基板の接続構造及び接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器における、リジッドなプリント配線基板とフレキシブル配線基板との接続技術としては、図7に示すものがある。ここで、図7(a)に示すように、リジッドなプリント配線基板1(以下、「リジッド基板1」という)は、例えばガラスエポキシからなる基材2上に、銅箔による配線パターン3が形成され、その配線パターン3のうち、フレキシブル基板6が接続される端部部分が接続端子部(ランド)3aとされる。前記接続端子部3a上には、例えばペースト状のはんだ4がコーティングされている。尚、リジッド基板1の表面には、接続部分を除いてソルダレジスト層5が設けられる。
【0003】
一方、フレキシブル配線基板6(以下、「フレキシブル基板6」という)は、樹脂フィルムからなるフレキシブルな基材7の表面に、やはり銅箔からなる配線パターン8が形成され、その端部が接続端子8aとされる。接続端子8aの表面部には、ペースト状のはんだ9がコーティングされ、接続部分を除いてソルダレジスト層10が設けられる。
【0004】
接続にあたっては、ヒートツール11を有する接続装置(全体として図示せず)を用い、図7(b)に示すように、リジッド基板1上に、下向きにしたフレキシブル基板6を、接続端子部3aと接続端子8aとの位置合せ状態で重ね合わせ、上方(フレキシブル基板6の裏面側)からヒートツール11が押し当てられる。これにより、接続端子部3aのはんだ4と接続端子8aのはんだ9とが溶融し、はんだ接合層を介して、接続端子部3aと接続端子8aとが接続される。これと共に、フレキシブル基板6の基材7の一部が溶融し、リジッド基板1の樹脂部分に溶着(接着)されるようになる。
【0005】
ところが、上記した接続構造にあっては、ヒートツール11が押し当てられる際に、接続端子部3aと接続端子8aとの間で、溶融したはんだ4、9が押し潰されるような圧力を受けるため、図8に示すように、余剰のはんだSが、接続部分(配線パターン3)からはみ出すように流れ出て、ひいては隣接する接続端子部3a同士間を接続してしまう(はんだブリッジが生ずる)虞があった。この場合、余剰のはんだSが生ずることは避けられない。
【0006】
そこで、上記のような問題点に対処するため、図9に示すように、リジッド基板1の接続端子部3a部分にスルーホール12を設ける構造が考えられている(例えば特許文献1参照)。これによれば、接続時の余剰のはんだSを、スルーホール12内に逃がすことができ、上記の不具合を解消することができる。
【特許文献1】特開2003−86913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記したような、リジッド基板1に、余剰はんだSを逃がすためのスルーホール12を設ける構成では、接続端子部3a部分の大きさが大形化し、リジッド基板1の構造がその分複雑となる。このため、スルーホール12を設ける余分な工程が増えてコスト高となると共に、リジッド基板1に、スルーホール12形成分の面積を確保しなければならず、実装密度の低下(基板1の大形化)を招いてしまうことになる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、リジッドなプリント配線基板とフレキシブル配線基板とをはんだ付け接続するものにあって、余剰はんだが接続端子部からはみ出ることによる不具合を防止することができ、しかも、そのための構成を簡単に済ませることができるプリント配線基板の接続構造及び接続装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1のプリント配線基板の接続構造は、リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンに設けられた接続端子部と、フレキシブル配線基板の表面に設けられた接続端子とを、はんだを介在させた状態で重ね合わせ、前記フレキシブル配線基板の裏面側からヒートツールを押当てて加熱することによりはんだ付けする構造にあって、前記リジッドなプリント配線基板の少なくとも接続端子部の表面に、前記はんだ付け時における余剰はんだを吸収するための溝部を形成したところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0010】
これによれば、ヒートツールが押当てられる際に、接続端子部と接続端子との間で、溶融したはんだが押し潰されるような圧力を受けるため、余剰のはんだが、フレキシブル基板との重なり部分からはみ出る虞があるが、接続端子部の表面に形成された溝部に余剰のはんだをある程度収容し、吸収することができる。従って、余剰のはんだが接続端子部上からはみ出すことを抑えることができ、はんだブリッジが生ずることを防止することができる。この場合、接続端子部の表面に溝部を形成するだけで良いので、リジッド基板にスルーホールを形成するものと異なり、簡単な構成で済ませることができ、リジッド基板の大形化あるいは実装密度の低下を未然に防止することができる。
【0011】
このとき、前記溝部を、リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンの全体に形成するように構成しても良く(請求項2の発明)、これによれば、表面配線パターンのうち余剰はんだの吸収の必要がない部位においても、溝部が形成されていることによって、表面配線パターンと金属メッキとの接着性、或いはプリント配線基板とソルダレジストとの接着性等が向上するようになり、効果的となる。
【0012】
本発明の第2のプリント配線基板の接続構造は、リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンに設けられた接続端子部と、フレキシブル配線基板の表面に設けられた接続端子とを、前記接続端子部の表面にフラックスを塗布し前記接続端子の表面にはんだを塗布した状態で重ね合わせ、前記フレキシブル配線基板の裏面側からヒートツールを押当てて加熱することによりはんだ付けする構造にあって、前記リジッドなプリント配線基板の少なくとも接続端子部の表面に、前記フラックスが侵入する溝部を形成したところに特徴を有する(請求項3の発明)。
【0013】
これによれば、接続端子部の表面に形成された溝部に、フラックスが貯えられるようになるので、接続端子部の表面部に対するはんだの濡れ性を大幅に高めることができる。従って、ヒートツールが押当てられた際に、余剰のはんだがフレキシブル基板との重なり部分から流れ出ても、その余剰のはんだは、接続端子部の表面に沿ってその延びる方向に広がっていくようになり、接続端子部上からはみ出すことを防止することができる。この場合も、接続端子部の表面に溝部を形成するだけで済むので、リジッド基板にスルーホールを形成するものと異なり、簡単な構成で済ませることができ、リジッド基板の大形化あるいは実装密度の低下を未然に防止することができる。
【0014】
本発明のプリント配線基板の接続装置は、リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンに設けられた接続端子部と、フレキシブル配線基板の表面に設けられた接続端子とが、はんだを介在させて重ね合わせられた状態で、前記フレキシブル配線基板の裏面側からヒートツールを押当てて加熱することにより、はんだ付けするようにしたものにあって、前記ヒートツールの近傍に、耐熱繊維材料からメッシュ状に構成され、前記はんだ付け時において、先端が前記はんだ付け部分に配置されて余剰はんだを吸取る吸取部材を設けたところに特徴を有する(請求項4の発明)。
【0015】
これによれば、ヒートツールが押当てられる際に、接続端子部と接続端子との間で、溶融したはんだが押し潰されるような圧力を受けるため、余剰のはんだが、フレキシブル基板との重なり部分からはみ出る虞があるが、はみ出た余剰のはんだを、吸取部材の先端部に接するようにさせることによって、吸取部材の毛細管現象によって吸取ることができる。従って、余剰のはんだが、接続端子部上からはみ出してはんだブリッジが生ずることを未然に防止することができる。この場合、吸取部材を設けるだけの簡単な構成で済ませることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化したいくつかの実施例について、図1ないし図6を参照しながら説明する。
(1)第1の実施例
図1ないし図3を参照して,本発明の第1の実施例について述べる。まず、図3は、本実施例において使用されるプリント配線基板の接続装置21の構成を概略的に示しており、この接続装置21について簡単に述べておく。この接続装置21は、後述するリジッドなプリント配線基板34及びフレキシブル配線基板35が載置される載置台部22の上方に、ヒートツール機構部23を有して構成されている。
【0017】
前記ヒートツール機構部23は、後述するはんだ付け部分を加圧、加熱するためのヒートツール24、このヒートツール24に対する通電用の一対の電極部25,25、前記ヒートツール24の先端部(下部)の左右部に配置された例えば銅製のヒートシンク26,26、前記ヒートツール24の先端部(下端部)において前記ヒートシンク26,26間をつなぐように設けられたステンレス製の薄板部材27を備えている。そして、このヒートツール機構部23は、図示しない駆動機構により、上下方向に移動されるようになっている。
【0018】
前記載置台部22は、複数本の脚部28上に弾性部材29を介して載置状に設けられた吸着台30と、その吸着台30の下面側の空間部に配置された加熱台31及びヒータ32等からなる予備加熱装置33とを備えている。後述するように、リジッドなプリント配線基板34は、前記吸着台30上に載置され、図示しない吸着機構により吸着保持されるようになっていると共に、予備加熱装置33により予備加熱される。そして、吸着台30上に載置されたリジッドなプリント配線基板34上に、フレキシブル配線基板35が位置合せ状態で重ね合わせられ、上記ヒートツール24が下降することにより、接続部分が加圧,加熱され、はんだ接続がなされるようになっている。
【0019】
次に、本実施例における、リジッドなプリント配線基板34(以下、「リジッド基板34」という)及びフレキシブル配線基板35の構成について、図1及び図2も参照して述べる。前記リジッド基板34は、例えばガラスエポキシからなる基材36上に、銅箔による配線パターン37が形成され、その配線パターン37のうち、フレキシブル配線基板35が接続される端部部分(図で右端部部分)が接続端子部37aとされる。
【0020】
この場合、図2に示すように、接続端子部37a(配線パターン37)は複数本例えば4本が設けられている。前記配線パターン37上の必要部位(接続端子部37a)には、例えばペースト状のはんだ38がコーティングされている。さらに、このリジッド基板34の表面には、接続部分を除いた領域(接続端子部37aよりも図で左方の領域)に、ソルダレジスト層39が設けられる。
【0021】
一方、フレキシブル配線基板35は、図1(a)等に上下反転状態で示すように、樹脂フィルムからなるフレキシブルな基材40の表面に、やはり銅箔からなる配線パターン41が形成され、その端部(図で左端部)が接続端子41aとされる。詳しく図示はしないが、この接続端子41aは、前記接続端子部37aに対応して4本が設けられている。各接続端子41aの表面部の必要部位には、ペースト状のはんだ42がコーティングされ、接続部分を除いてソルダレジスト層43が設けられる。
【0022】
後の作用説明で述べるように、前記リジッド基板34にフレキシブル配線基板35を接続するにあたっては、リジッド基板34に対し、フレキシブル配線基板35が、下向きにされて各接続端子部37aの先端側部分と接続端子41aとの位置合せ状態で重ね合わせられ、はんだ付けがなされる。このとき、図2にも示すように、フレキシブル配線基板35の左端辺部が、前記リジッド基板34のソルダレジスト層39の右端縁部から、若干だけ右方に位置するように位置合せがなされるようになっている。
【0023】
さて、本実施例では、図1及び図2に示すように、前記リジッド基板34の配線パターン37のうち接続端子部37a部分(少なくともソルダレジスト層39から露出している部分)には、余剰はんだを吸収するための多数本の溝部44が形成されている。このとき、この溝部44は、前後方向(配線パターン37の延びる方向と直交する方向)に延びて、断面V字状に形成されている。
【0024】
尚、詳しく図示はしないが、この溝部44を形成する方法としては、基材36の表面全体に銅箔が貼られた状態で、多数本の爪状の針を有する工具を用いて、銅箔表面の必要部位を引っ掻くようにして削ることによってその部分全体に溝部を形成し、その後、例えばエッチング等による配線パターン37のパターニングを行うようにすることができる。或いは、銅箔が貼られた基材36に対し、溝形成用の型を有したプレス装置を用いて銅箔表面に溝部を形成し、その後、やはり例えばエッチング等による配線パターン37のパターニングを行うようにすれば良い。溝部44を、銅箔の全面(ひいては配線パターン37全体)に渡って形成しても良い。
【0025】
次に、上記構成の作用について述べる。前記接続装置21を用いて、前記リジッド基板34にフレキシブル配線基板35を接続するにあたっては、図1(a)及び図3に示すように、まず、吸着台30上にリジッド基板34が位置決め状態に載置される。次いで、フレキシブル配線基板35が、下向きにされて、リジッド基板34の各接続端子部37aの先端部と各接続端子41aとの位置合せ状態で重ね合わせられる。
【0026】
そして、この状態から、ヒートツール24が下降され、フレキシブル配線基板35の裏面側から薄板部材27を介して押当てられる。これにより、接続端子部37aのはんだ38と接続端子41aのはんだ42とが溶融し、はんだ接合層を介して、各接続端子部37aと各接続端子41aとが接続される。これと共に、フレキシブル基板35の基材40の一部が溶融し、リジッド基板34の樹脂部分に溶着(接着)されるようになる。
【0027】
しかして、上記したヒートツール24が押当てられる際に、接続端子部37aと接続端子41aとの間で、溶融したはんだ38、42が押し潰されるような圧力を受けるため、図1(b)に示すように、余剰のはんだが、フレキシブル基板35との重なり部分から図で左方に流れ出る事情がある。このとき、もし、余剰のはんだが、接続端子部37a上から図で前後方向にはみ出すようになると、隣接する接続端子部37a同士間を接続してしまう(はんだブリッジが生ずる)虞がある。
【0028】
ところが、本実施例では、接続端子部37aの表面に多数本の溝部44が形成されているので、図1(b)に示すように、その溝部44内に、余剰のはんだをある程度収容し、吸収することができる。従って、余剰のはんだが、接続端子部37a上からはみ出すことを抑えることができ、はんだブリッジが生ずることを防止することができる。この場合、接続端子部37aの表面に多数本の溝部44を形成するだけで済むので、従来例(図9)で述べたような、リジッド基板1にスルーホール12を形成するものと異なり、簡単な構成で済ませることができ、リジッド基板34の大形化あるいは実装密度の低下を未然に防止することができるものである。
【0029】
このように本実施例によれば、リジッド基板34とフレキシブル配線基板35とをはんだ付け接続するものにあって、リジッド基板34の接続端子部37aの表面にはんだ付け時における余剰はんだを吸収するための溝部44を形成したので、余剰のはんだが接続端子部37aからはみ出ることによる不具合を防止することができ、しかも、そのための構成を簡単に済ませることができるという優れた効果を得ることができる。
【0030】
尚、上記した第1の実施例では、溝部44を、配線パターン37の延びる方向と直交する方向に延びるように形成したが、図4に示す変形例のように形成することもできる。即ち、図4(a)に示すように、多数本の溝部45を、配線パターン37(接続端子部37a)の延びる方向に対して斜め(45度の)方向に延びるように形成しても良い。また、図4(b)に示すように、多数本の溝部46を、斜め方向に網目状に延びるように形成しても良い。さらに、図4(c)に示すように、多数本の溝部47を、配線パターン37の延びる方向に平行に延びるように形成しても良い。
【0031】
(2)第2の実施例
次に、図5を参照して、本発明の第2の実施例について説明する。尚、この第2の実施例においては、接続装置21の構成や、フレキシブル配線基板35の構成等については、上記第1の実施例と共通するので、共通部分については、新たな図示や詳しい説明を省略すると共に符号も共通して使用し、以下、異なる点についてのみ述べることとする。
【0032】
この実施例では、リジッドなプリント配線基板51(以下、リジッド基板51という)とフレキシブル配線基板35との接続を、鉛フリー化のために、いわゆるプリフラックス法により行うようなっている。前記リジッド基板51は、上記第1の実施例と同様に、基材52上に、銅箔による配線パターン53が複数本形成され、フレキシブル配線基板35が接続される図で右端部部分が接続端子部53aとされる。尚、このリジッド基板51の表面には、接続部分を除いた領域(接続端子部53aよりも左方の領域)に、ソルダレジスト層(図示せず)が設けられる。
【0033】
そして、前記接続端子部53aの表面にフラックス54が塗布されるようになっており、その状態でフレキシブル配線基板35の接続端子41aと重ね合わせられ、フレキシブル配線基板35の裏面側からヒートツール24を押当てて加熱することによりはんだ付けされるようになっている。この場合には、フレキシブル配線基板35の接続端子41aに予め塗布されているはんだ42のみではんだ付け接続がなされるようになる。
【0034】
このとき、本実施例では、リジッド基板51の少なくとも接続端子部53aの表面には、前記フラックス54が侵入する多数本の溝部55が形成されている。この溝部55も、前後方向(配線パターン53の延びる方向と直交する方向)に延びて、断面V字状をなし、上記第1の実施例と同様にして形成されている。
【0035】
これによれば、接続端子部53aの表面に形成された溝部55に、フラックス54が貯えられるようになるので、接続端子部53aの表面部に対するはんだ42の濡れ性が大幅に高まる。従って、ヒートツール24が押当てられた際に、余剰のはんだ42がフレキシブル基板35との重なり部分から図で左方に流れ出ても、図5に矢印で示すように、その余剰のはんだ42は、接続端子部53aの表面に沿って図で左方に広がっていくようになり、接続端子部53a上から図で前後方向にはみ出すことを防止することができる。
【0036】
この結果、この第2の実施例によっても、上記第1の実施例と同様に、リジッド基板51とフレキシブル配線基板35とを、いわゆるプリフラックス法によりはんだ付け接続するものにあって、リジッド基板51の接続端子部53aの表面にフラックス54が侵入する溝部55を形成したので、余剰のはんだが接続端子部53aからはみ出ることによる不具合を防止することができ、しかも、そのための構成を簡単に済ませることができるという優れた効果を得ることができる。
【0037】
(3)第3の実施例
図6は、本発明の第3の実施例に係るプリント配線基板の接続装置61を示している。この接続装置61が、上記第1の実施例で説明した接続装置21と異なる点は、ヒートツール24の近傍に、毛細管現象を利用して余剰はんだを吸取るための吸取部材62を設けた構成にある。
【0038】
この吸取部材62は、耐熱繊維状材料例えば金属線材を編込んだ(或いは金属繊維を集合させた)メッシュ状に構成され、小形のブロック状をなしている。この吸取部材62は、前記薄板部材27の一方(図で左側)の傾斜面部分の外面に、着脱(交換)可能に装着されている。このとき、図6(b)に示すように、ヒートツール24が下降した状態では、吸取部材62の先端が、はんだ接続部分から流れ出た余剰はんだSに接触する位置に設けられている。
【0039】
上記構成の接続装置61においては、例えば、従来例で説明したリジッド基板1及びフレキシブル配線基板6をはんだ付けすることができる。即ち、図6(a)に示すように、まず、吸着台30上に位置決め状態に載置されたリジッド基板1に対し、フレキシブル配線基板6が、下向きにされて、リジッド基板1の各接続端子部3aの先端部と各接続端子8aとの位置合せ状態で重ね合わせられる。そして、この状態から、ヒートツール24が下降され、フレキシブル配線基板6の裏面側から押当てられる。
【0040】
これにより、接続端子部3aのはんだ4と接続端子8aのはんだ9とが溶融し、はんだ接合層を介して、各接続端子部3aと各接続端子8aとが接続されると共に、フレキシブル基板6の基材7の一部が溶融し、リジッド基板1の樹脂部分に溶着(接着)されるようになる。このとき、ヒートツール24が押当てられる際に、接続端子部3aと接続端子8aとの間で、溶融したはんだ4、9が押し潰されるような圧力を受けるため、余剰のはんだSが、フレキシブル基板6との重なり部分から図で左方に流れ出る事情がある。
【0041】
ところが、図6(b)に示すように、流れ出た余剰のはんだSが、吸取部材62の先端部に接し、吸取部材62の毛細管現象によって、余剰のはんだSが吸取られ、接続端子部3aから除去されるようになる。従って、余剰のはんだSが、接続端子部3a上からはみ出すことを抑えることができ、はんだブリッジが生ずることを防止することができるのである。尚、使用に伴い、吸取部材62の吸取り機能が低下したときには、取外して清掃される或いは新たなものに交換されるようになっている。
【0042】
このような第3の実施例に係る接続装置61によれば、従来例で説明したリジッド基板1及びフレキシブル配線基板6をはんだ付けする際であっても、流れ出た余剰はんだを、吸取部材62によって吸取ることができ、余剰のはんだSが接続端子部3aからはみ出ることによる不具合を防止することができる。しかも、吸取部材62を設けるだけの簡単な構成で済ませることができるという優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、リジッド基板とフレキシブル基板との接続前(a)及び接続後(b)の様子を示す要部の縦断面図
【図2】リジッド基板とフレキシブル基板との接続後の要部の平面図
【図3】接続装置の構成を概略的に示す正面図
【図4】接続端子部に形成される溝部の3種類の変形例を示す図
【図5】本発明の第2の実施例を示す図1(b)相当図
【図6】本発明の第3の実施例を示す図3相当図
【図7】従来例を示すもので、図1相当図
【図8】図2相当図
【図9】他の従来例を示す図1(b)相当図
【符号の説明】
【0044】
図面中、21,61は接続装置、24はヒートツール、34,51はリジッド基板(リジッドなプリント配線基板)、35はフレキシブル配線基板、37、53は配線パターン、37a,53aは接続端子部、38,42ははんだ、41は配線パターン、41aは接続端子、44,45,46,47は溝部、54はフラックス、55は溝部、62は吸取部材を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンに設けられた接続端子部と、フレキシブル配線基板の表面に設けられた接続端子とを、はんだを介在させた状態で重ね合わせ、前記フレキシブル配線基板の裏面側からヒートツールを押当てて加熱することによりはんだ付けするようにしたプリント配線基板の接続構造において、
前記リジッドなプリント配線基板の少なくとも接続端子部の表面に、前記はんだ付け時における余剰はんだを吸収するための溝部を形成したことを特徴とするプリント配線基板の接続構造。
【請求項2】
前記溝部は、前記リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンの全体に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリント配線基板の接続構造。
【請求項3】
リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンに設けられた接続端子部と、フレキシブル配線基板の表面に設けられた接続端子とを、前記接続端子部の表面にフラックスを塗布し前記接続端子の表面にはんだを塗布した状態で重ね合わせ、前記フレキシブル配線基板の裏面側からヒートツールを押当てて加熱することによりはんだ付けするようにしたプリント配線基板の接続構造において、
前記リジッドなプリント配線基板の少なくとも接続端子部の表面に、前記フラックスが侵入する溝部を形成したことを特徴とするプリント配線基板の接続構造。
【請求項4】
リジッドなプリント配線基板の表面配線パターンに設けられた接続端子部と、フレキシブル配線基板の表面に設けられた接続端子とが、はんだを介在させて重ね合わせられた状態で、前記フレキシブル配線基板の裏面側からヒートツールを押当てて加熱することにより、はんだ付けするようにしたプリント配線基板の接続装置において、
前記ヒートツールの近傍に、耐熱繊維材料からメッシュ状に構成され、前記はんだ付け時において、先端が前記はんだ付け部分に配置されて余剰はんだを吸取る吸取部材を設けたことを特徴とするプリント配線基板の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−198840(P2008−198840A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33445(P2007−33445)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】