プリント配線板、プリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法
【課題】熱応力によって発生する不具合を抑制できるプリント配線板、プリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板1は、電子部品11をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板1であって、主表面2aを有する基材2と、基材2の主表面2a上に配置された2つ以上の導電体3とを備えている。2つ以上の導電体3のそれぞれは電子部品11にはんだ付けにより接続されるためのものである。2つ以上の導電体3の少なくとも1つが基材2の主表面2aに接着された接着部3a、および主表面2aに接着されておらずかつ主表面2aに対して相対的に移動可能な非接着部3bを含んでいる。
【解決手段】プリント配線板1は、電子部品11をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板1であって、主表面2aを有する基材2と、基材2の主表面2a上に配置された2つ以上の導電体3とを備えている。2つ以上の導電体3のそれぞれは電子部品11にはんだ付けにより接続されるためのものである。2つ以上の導電体3の少なくとも1つが基材2の主表面2aに接着された接着部3a、および主表面2aに接着されておらずかつ主表面2aに対して相対的に移動可能な非接着部3bを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、プリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法に関し、特に、電子部品をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板、それを備えたプリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に電子部品を実装する方式としては、面実装方式と挿入実装方式とがある。面実装方式は、プリント配線板の表面に形成された電極と電子部品の電極とをはんだによって接合する方式である。挿入実装方式は、プリント配線板の貫通穴の壁面およびプリント配線板表面の当該貫通穴周囲に形成された電極(以下スルーホール電極と称する)に電子部品の電極を挿入し、はんだによって接合する方式である。プリント回路基板の製造方法として、面実装方式および挿入実装方式は一般に広く用いられている。
【0003】
上述のプリント配線板の表面に形成された電極は、プリント配線板の基材上に圧着された銅箔をエッチングによって所望の形状に成形することによって形成されている。そのため、プリント配線板の表面に形成された電極は、プリント配線板の基材上に強固に固定されている。たとえば、特開2005−51133号公報(特許文献1)には、プリント配線基板の表面に銅などからなるランド(電極)が形成されたプリント配線基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−51133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来のプリント配線板に電子部品を実装する方式では、プリント配線板、電子部品およびはんだからなる系に温度変化が与えられた場合、構成される部材ごとに熱膨張量が異なるため、各所に熱応力が生じ、この熱応力が不具合の原因となる場合がある。この不具合の具体的事例としては、系に温度変化が繰り返し与えられた場合、プリント配線板が電子部品よりも大きく膨張または収縮することよりはんだによる継ぎ手に繰り返し熱応力が生じて、はんだが疲労破壊するという問題がある。
【0006】
また、上記の従来のプリント配線板に電子部品を実装する方式では、プリント配線板上にはんだごてを用いて手作業によって電子部品をはんだ付けする場合、プリント配線板の電極と電子部品の電極との両方にはんだが接触するようにはんだ付けが行われる。この際、構成される部材ごとに熱膨張量が異なるため、プリント配線板はほとんど熱膨張しないのに対し、電子部品は熱膨張する。その後、はんだごてを離すと、プリント配線板、電子部品およびはんだの温度が低下し、プリント配線板、電子部品およびはんだはそれぞれの線膨張率に応じて収縮する。
【0007】
この際、はんだ付け作業の間、温度変化をほとんど生じないプリント配線板はほとんど収縮しない。そのため、電子部品ははんだによってプリント配線板に拘束された状態で収縮する。その結果、電子部品には熱応力(引張り応力)が発生する。この熱応力により電子部品の本体にき裂を生じるという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、熱応力によって発生する不具合を抑制できるプリント配線板、プリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリント配線板は、電子部品をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板であって、主表面を有する基材と、基材の主表面上に配置された2つ以上の導電体とを備えている。2つ以上の導電体のそれぞれは電子部品にはんだ付けにより接続されるためのものである。2つ以上の導電体の少なくとも1つが基材の主表面に接着された接着部、および主表面に接着されておらずかつ主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプリント配線板によれば、2つ以上の導電体の少なくとも1つが基材の主表面に接着された接着部、および主表面に接着されておらずかつ主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を含んでいるため、非接着部が移動することによりはんだに生じる熱応力を抑制することができる。したがって、はんだによる継ぎ手に繰り返し熱応力が生じてはんだが疲労破壊することを抑制できるためはんだ接合の長期信頼性を向上できる。また、非接着部が移動することにより電子部品に生じる熱応力を抑制することができる。したがって、電子部品がはんだによってプリント配線板に拘束された状態で収縮することを抑制できるため、はんたごてによるはんだ付けの際の電子部品の損傷を抑制できる。よって、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の概略断面図であって、図2のI−I線に沿う概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の概略平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第1工程を示す概略断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第2工程を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第3工程を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第4工程を示す概略断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図13】比較例のプリント回路基板の概略断面図であって、図14のXIII−XIII線に沿う概略断面図である。
【図14】比較例のプリント回路基板の概略平面図である。
【図15】比較例のプリント回路基板のはんだごてによるはんだ付けの様子を示す概略断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における導電体の形状を示す概略平面図である。
【図17】本発明の実施の形態2における導電体の変形例1の形状を示す概略平面図である。
【図18】本発明の実施の形態2における導電体の変形例2の形状を示す概略平面図である。
【図19】本発明の実施の形態2における導電体の変形例3の形状を示す概略平面図である。
【図20】本発明の実施の形態2における導電体の変形例4の形状を示す概略平面図である。
【図21】本発明の実施の形態2におけるプリント回路基板の変形例の形状を示す概略断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の概略断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図24】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図25】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1の電子部品を実装したプリント回路基板の構成について説明する。
【0013】
図1および図2を参照して、プリント回路基板10は、プリント配線板1と、電子部品11とを主に有している。プリント配線板1に電子部品11がはんだ4で接続されている。電子部品11をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板1は、基材2と、2つ以上の導電体3とを有している。基材2は、主表面2aと、主表面2aに対向する面2bとを有している。基材2は、樹脂を含む材質からなっている。基材2は、たとえばガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂(ガラスエポキシ基材)からなっている。ガラスエポキシ基材の線膨張係数は、たとえば17×10-6である。
【0014】
2つ以上の導電体3は、基材2の主表面2a上に配置されている。2つ以上の導電体3のそれぞれは、電子部品11にはんだ付けにより接続されるためのものである。2つ以上の導電体3は、少なくとも第1の導電体31と、第2の導電体32とを有している。第1の導電体31および第2の導電体32のそれぞれ、はんだ4により電子部品11に接続されている。導電体3は、たとえば基材2の表面に圧着された銅箔をエッチングすることにより形成されている。銅箔の線膨張係数は、ガラスエポキシ基材とほぼ同じになるよう設定され、たとえば17×10-6である。
【0015】
第1の導電体31は、電極31aと、電極31aに接続されている配線パターン31bとを有している。電極31aは第1の導電体31の一端に形成されている。第2の導電体32は、電極32aと、電極32aから接続されている配線パターン32bとを有している。電極32aは第2の導電体32の一端に形成されている。
【0016】
2つ以上の導電体3の少なくとも1つが接着部3aおよび非接着部3bとを有している。接着部3aは、基材2の主表面2aに接着されている。非接着部3bは、主表面2aに接着されておらず、かつ主表面2aに対して相対的に移動可能に構成されている。非接着部3bは、熱膨張および収縮による変形量が材料の弾性変形範囲内にとどまるような形状を有している。本実施の形態では、2つ以上の導電体3の少なくとも1つである第1の導電体31が接着部3aと、非接着部3bとを有している。
【0017】
第1の導電体31の配線パターン31bの一部が接着部3aに該当し、電極31aおよび配線パターン31bの一部が非接着部3bに該当する。なお、非接着部3bは、主表面2aに対して相対的に移動可能であればよく、主表面2aに接触していてもよい。つまり、非接着部3bは、基材2に接着または接合などにより固定されていなければよい。一方、第2の導電体32は基材2に接着されている。つまり、第2の導電体32は非接着部3bを有していない。
【0018】
また、非接着部3bは、主表面2aとの間に隙間5を空けて配置されていてもよい。つまり、非接着部3bは基材2から浮いていてもよい。非接着部3bが主表面2aとの間に隙間5を空けて配置されていることにより、非接着部3bは主表面2aに対して相対的に移動することが容易である。
【0019】
電子部品11は、プリント配線板1の表面に実装される部品である。電子部品11は、たとえばアルミナなどのセラミクスを材料とするセラミックコンデンサである。セラミックコンデンサは、その主な構成材料がアルミナであるため、線膨張係数は、たとえば7×10-6である。
【0020】
電子部品11は2つ以上の電極端子12を有している。本実施の形態では、電子部品11の両端に第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bがそれぞれ設けられている。電極端子12は、たとえば銀粒子を焼結した下地電極の表面にNi(ニッケル)めっき層とSn(錫)めっき層とを重ねて形成した電極である。
【0021】
電子部品11の2つ以上の電極端子12の各々が2つ以上の導電体3のそれぞれにはんだ接合されている。つまり、第1の電極端子12aが第1の導電体31の電極31aにはんだ4で接続されており、第2の電極端子12bが第2の導電体32の電極32aにはんだ4で接続されている。
【0022】
2つ以上の電極端子12の少なくとも1つが2つ以上の導電体3のうち少なくとも1つの導電体3の非接着部3bにはんだ接合されている。本実施の形態では、2つ以上の電極端子12の少なくとも1つである第1の電極端子12aが2つ以上の導電体3のうち少なくとも1つである第1の導電体31の非接着部3bにはんだ4で接続されている。
【0023】
はんだ4は、電子部品11をプリント配線板1に接続している。はんだ4は第1の導電体31の電極31aおよび第2の導電体32の電極32aのそれぞれを覆うように形成されている。はんだ4は、たとえば合成組成がSn−0.3Ag(銀)−0.5Cu(銅)の鉛フリーはんだである。
【0024】
次に、本実施の形態のプリント配線板の製造方法について説明する。以下、本実施の形態のプリント配線板の製造方法の一例として、基材2がガラスエポキシ基材であり、導電体3が銅箔である場合について説明する。
【0025】
図3を参照して、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが準備される。次に、図4を参照して、導電体(銅箔)3の接着面の接着部分3cが租化される。基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面の接着部分に樹脂と金属との間の接着性を高めるためのカップリング剤6が塗布される。カップリング剤6として、たとえばシランカップリング剤6が適用され得る。一方、図1に示す非接着部3bを形成する部分では、導電体(銅箔)3の接着面が租化されず、基材(ガラスエポキシ基材)2にシランカップリング剤6が塗布されない。
【0026】
図5を参照して、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが加圧されることにより圧着される。基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3との接着部分においては、導電体(銅箔)3の接着面の接着部分3cの租化と基材(ガラスエポキシ基材)の接着面の接着部分に塗布されたシランカップリング剤6とによって接着部分の接着強度が高められる。
【0027】
一方、非接着部3bを形成する部分においては、導電体(銅箔)3の接着面が租化されておらず、基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面の接着部分にシランカップリング剤6が塗布されていないため、基材(ガラスエポキシ樹脂)2と導電体(銅箔)3とが接着されない。非接着部3bを形成する部分においては、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3との間に隙間5が形成されていてもよい。図6を参照して、導電体(銅箔)3が所定の形状にエッチングされる。このようにして図1に示すプリント配線板1が製造される。
【0028】
続いて、本実施の形態のプリント配線板の製造方法の変形例1について説明する。
変形例1では、上述と同様に、図3に示すように、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが準備される。次に、図7を参照して、図1に示す非接着部3bを形成する部分では、基材(ガラスエポキシ基材)2にエッチングレジスト7が塗布される。エッチングレジスト7として、たとえばはんだが適用され得る。
【0029】
図8を参照して、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とがエッチングレジスト7を挟んで加圧されることにより圧着される。基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面でのエッチングレジスト7が配置された部分以外において、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが接着される。
【0030】
一方、基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面でのエッチングレジスト7が配置された部分において、エッチングレジスト7が挿入されているため、基材(ガラスエポキシ樹脂)2と導電体(銅箔)3とが接着されない。図9を参照して、導電体(銅箔)3がエッチングされる。図10を参照して、エッチングにより導電体(銅箔)3にパターンが形成された後、エッチングレジスト7が除去される。これにより、非接着部3bを形成する部分においては、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3との間に隙間5が形成される。このようにして、図1に示すプリント配線板1が製造される。
【0031】
続いて、本実施の形態のプリント配線板の製造方法の変形例2について説明する。
変形例2では、一般的な製造方法によってプリント配線板1を製造した後、図1に示す非接着部3bを形成する部分に高温のはんだごてを接触させる。これにより、図1に示す基材2から非接着部3bを剥離させる。はんだごての温度は、非接着部3bを剥離させ、その他の部分を損傷しない温度であることが必要であり、たとえば380℃に設定される。はんだごての温度は、温度が高いほど簡単に非接着部3bを剥離できるため、非接着部3bを剥離させ、その他の部分を損傷しない温度の範囲において、400℃以上がより好ましい。このようにして、図1に示すプリント配線板1が製造される。
【0032】
次に、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法について説明する。以下、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法の一例として、電子部品11がセラミックコンデンサである場合について説明する。
【0033】
図11を参照して、上述のように製造されたプリント配線板1と、電子部品11であるセラミックコンデンサとが準備される。図12を参照して、第1の導電体31の電極31aに電子部品11であるセラミックコンデンサの第1の電極端子12aがはんだ接合される。第1の電極端子12aが第1の導電体31の非接着部3bにはんだ接合される。再び図1を参照して、第2の導電体32の電極32aに電子部品11であるセラミックコンデンサの第2の電極端子12bがはんだ接合される。これにより、電子部品11であるセラミックコンデンサがプリント配線板1に実装される。このようにして、プリント回路基板10が製造される。
【0034】
第1の導電体31の電極31aと第1の電極端子12a、および第2の導電体32の電極32aと第2の電極端子12bとは、はんだごてにより手作業ではんだ付けされてもよく、またソルダペーストを用いてリフローはんだ付けされてもよい。
【0035】
上述では、第1の導電体31がはんだ接合された後、第2の導電体32がはんだ接合される場合について説明したが、第2の導電体32がはんだ接合された後、第1の導電体31がはんだ接合されてもよい。
【0036】
次に、本実施の形態の作用効果について比較例と比較して説明する。
図13および図14を参照して、比較例のプリント回路基板10では、第1の導電体31が非接着部3bを有していない。比較例のプリント回路基板10のその他の構造については本実施の形態のプリント回路基板10と同様である。
【0037】
プリント配線板1の基材2はガラスエポキシ基材であり、導電体3は銅箔である。ガラスエポキシ基材および銅箔の線膨張係数はほぼ同じになるように設定され、たとえば17×10-6である。プリント配線板1にはんだ4によって実装されている電子部品11は、セラミックコンデンサである。セラミックコンデンサの線膨張係数はたとえば7×10-6である。
【0038】
そのため、系に温度変化が繰り返し与えられた場合、プリント配線板1の基材2であるガラスエポキシ基材と導電体3である銅箔とが電子部品11であるセラミックコンデンサよりも大きく膨張または収縮する。このため、はんだ4による継ぎ手に繰り返し熱応力が生じて、はんだ4が疲労破壊することがある。はんだ4の疲労破壊はセラミックコンデンサの寸法が絶対的に大きい場合に顕著になり、特に、セラミックコンデンサの全長が5mmより大きい場合にはんだ4の疲労破壊が発生することが多い。
【0039】
次に、比較例の別の問題について説明する。図15を参照して、比較例のはんだ付けでは、はんだごて9を用いて手作業によって、プリント配線板1に電子部品11を実装する。はんだ材8は、糸状に形成されており、たとえば、芯にペースト状のロジン系フラックスを含有した糸はんだである。はんだ材8の合金組成はたとえばSn−3.0Ag−0.5Cuである。はんだごて9は、糸はんだ8を加熱および溶融させるためのものであり、たとえば、その先端部にはCu合金の表面にFe(鉄)めっきが施されている。
【0040】
プリント配線板1に電子部品11であるセラミックコンデンサをはんだ付けする場合、セラミックコンデンサの電極端子12がプリント配線板1の第1の導電体31の電極31aおよび第2の導電体32の電極32a上に位置するよう配置される。その状態で、糸はんだ8が電極32aとセラミックコンデンサの第2の電極端子12bとの両方に接触するよう配置される。はんだごて9のこて先がプリント配線板1の電極32aと糸はんだ8とに接触されて、糸はんだ8が溶融される。
【0041】
糸はんだ8を構成する合金は、Sn−3.0Ag−0.5Cuであり、その融点は217〜219℃であるため、219℃を超える温度になれば糸はんだ8は溶融・流動する。しかし、プリント配線板1の電極31a,32aとセラミックコンデンサの第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bとがはんだ接合されるためには、糸はんだ8のみが溶融する温度に上昇するだけでは不十分であり、電極31a,32aと第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bとも糸はんだ8の融点である219℃以上の温度に達する必要がある。
【0042】
糸はんだ8、電極31a,32a、第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bの全てをはんだごて9で加熱し、数秒間ではんだ付けを完了するため、一般的にはんだごて9の温度は糸はんだ8の融点よりも高い300〜400℃程度の温度に設定され、たとえば380℃に設定される。この際、プリント配線板1上の電極31a,32aの温度は比較的早期に上昇するが、プリント配線板1の基材2は熱伝導性の低いガラスエポキシ樹脂で構成されているため、基材2の温度は簡単には上昇しない。
【0043】
一方、電子部品11であるセラミックコンデンサを構成するアルミナはガラスエポキシ樹脂に比較して熱伝導率が高いため、電極端子12の温度の上昇に伴い、セラミックコンデンサの本体も温度上昇する。その結果、プリント配線板1はほとんど熱膨張しないのに対し、セラミックコンデンサは、それの温度上昇分だけ熱膨張した状態のまま、はんだ付けされる。
【0044】
再び図13を参照して、その後、はんだごて9が電極31a,32aから離されると、電極31a,32a、電極端子12、はんだ4、セラミックコンデンサの温度が低下し、それぞれの線膨張率に応じて収縮する。この際、はんだ付け作業の間、温度変化をほとんど生じなかったプリント配線板1は、ほとんど収縮しないため、セラミックコンデンサははんだ4によって拘束され、セラミックコンデンサ自体の収縮によって熱応力(引張り応力)が発生し、セラミックコンデンサの本体にき裂を生じることがある。
【0045】
それに対して、本実施の形態のプリント配線板1によれば、2つ以上の導電体3の少なくとも1つである第1の導電体31が基材2の主表面2aに接着された接着部3a、および主表面2aに接着されておらずかつ主表面2aに対して相対的に移動可能な非接着部3bを含んでいるため、非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。したがって、はんだ4による継ぎ手に繰り返し熱応力が生じてはんだ4が疲労破壊することを抑制できるためはんだ接合の長期信頼性を向上できる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。したがって、電子部品11がはんだ4によってプリント配線板1に拘束された状態で収縮することを抑制できるため、はんたごてによるはんだ付けの際の電子部品11の損傷を抑制できる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0046】
また、本実施の形態のプリント配線板1によれば、非接着部3bは、主表面2aとの間に隙間5を空けて配置されていてもよい。これにより、非接着部3bは、主表面2aに対する相対的な移動を容易にすることができる。
【0047】
また、本実施の形態のプリント回路基板10によれば、上記のプリント配線板1を備えており、電子部品11の2つ以上の電極端子12の各々が2つ以上の導電体3のそれぞれにはんだ接合されており、2つ以上の電極端子12の少なくとも1つが2つ以上の導電体3のうち少なくとも1つの導電体3の非接着部3bにはんだ接合されている。
【0048】
そのため、基材2および導電体3と電子部品11との線膨張係数が異なる場合でも、非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、はんだ付け作業の後、プリント配線板1が電子部品11に比べてほとんど収縮しない場合でも非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0049】
本実施の形態のプリント回路基板の製造方法によれば、電子部品11の2つ以上の電極端子12の各々が2つ以上の導電体3のそれぞれにはんだ接合され、2つ以上の電極端子12の少なくとも1つである第1の電極端子12aが2つ以上の導電体3のうちの少なくとも1つである第1の導電体31の非接着部3bにはんだ接合される。このため、第1の電極端子12aとはんだ4で接続された非接着部3bが移動することにより第1の電極端子12aと第1の導電体31とを接合するはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0050】
なお、上記では、電子部品11として、セラミックコンデンサを用いた場合について述べたが、プリント配線板1の基材2より熱膨張率が小さい電子部品11であれば本実施の形態と同様の効果が得られる。また、電子部品11の電極端子12が構造上変形し難い形状である場合には、効果が顕著である。たとえば、電子部品11として、セラミックレジスタなど他の角チップ部品、メルフ抵抗などを用いた場合にも同様の効果が得られる。さらに、セラミック基材の外周部にキャスタレーションと呼ばれる半月状の電極を持つ水晶発振子、鉄系合金の電極リードを持つプラスティックパッケージIC部品などを用いた場合にも同様の効果が得られる。
【0051】
また、電子部品11がリードレス部品の場合には熱応力をリードに逃がすことができないため、電子部品11としてリードレス部品を用いた場合には本実施の形態と同様の効果が得られる。また、電子部品11がセラミックインダクタなどのように熱膨張率の小さいものである場合には、効果が顕著である。
【0052】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、実施の形態1と比較して導電体の形状が異なっている。なお、本実施の形態のこれ以外の構成および製造方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図16〜図20を参照して、実施の形態1における第1の導電体31を例に説明する。図16〜図20では、図1に示す基材2と導電体3とが積層された方向から見た第1の導電体31の形状が示されている。
【0054】
図16を参照して、本実施の形態の第1の導電体31では、非接着部3bは曲線状の部分3b1を有している。つまり、非接着部3bの配線パターン31bの形状がS字形に形成されている。このため、曲線状の部分3b1によって図1に示す電子部品11の長手方向に対する非接着部3bの配線パターン31bの剛性が直線状の場合に比べて低下する。そのため、プリント配線板1と電子部品11との間に熱膨張の不整合が生じた場合でも、配線パターン31bが容易に変形することができる。これにより、電子部品11およびはんだ4に熱応力が発生することを抑制できる。
【0055】
上述では、非接着部3bの配線パターン31bがS字形状に形成された場合について述べたが、非接着部3bの配線パターン31bの形状はこの形状に限られない。非接着部3bの剛性が低下する形状であれば上述と同様の効果が得られる。以下、非接着部3bの配線パターン31bの形状が異なる導電体3の変形例について説明する。
【0056】
まず、本実施の形態の導電体3の変形例1について説明する。図17を参照して、変形例1では、非接着部3bの配線パターン31bの形状がU字形に形成されている。続いて、図18を参照して、変形例2では、非接着部3bの配線パターン31bの形状が横S字形に形成されている。続いて、図19を参照して、変形例3では、非接着部3bの配線パターン31bの形状がC字形に形成されている。続いて、図20を参照して、変形例4では、非接着部3bの配線パターン31bの形状がO字形に形成されている。
【0057】
非接着部3bの配線パターン31bの引き回しの距離が長くなるほど剛性を低減できる。しかし、非接着部3bの配線パターン31bの引き回しの距離が長くなるほどプリント配線板1上での導電体3の占有面積が大きくなり実装密度を低下させることになる。したがって、電極31aでのはんだ4に作用する熱応力の大小によって非接着部3bの配線パターン31bの形状を選定すればよい。たとえば、熱ひずみがそれほど大きくない場合は、非接着部3bの配線パターン31bとして図17に示す変形例3のU字形が適当であるが、熱ひずみが大きい場合は、図16に示す引き回しが長いS字形などが適当である。
【0058】
上述では、図1に示す基材2と導電体3とが積層された方向から見て非接着部3bの配線パターン31bが曲線状の部分3b1を有している場合について説明したが、基材2と導電体3とが積層する方向(基材2の厚み方向)に非接着部3bの配線パターン31bが曲線状の部分3b1を有していてもよい。図21を参照して、非接着部3bの配線パターン31bは、その立ち上がり部において、曲線状の部分3b1を有している。なお、曲線状の部分3b1の位置はこれに限定されず、非接着部3bの配線パターン31bの剛性が低下されない位置であればよい。したがって、非接着部3bの配線パターン31bにおいて、はんだ4で接続される位置以外の位置が好ましい。
【0059】
本実施の形態によれば、非接着部3bは曲線状の部分3b1を有しているため、曲線状の部分3b1により非接着部3bの剛性が低下する。そのため、プリント配線板1と電子部品11との間に熱膨張の不整合が生じた場合でも、非接着部3bが容易に変形することができる。これにより、電子部品11およびはんだ4に熱応力が発生することをさらに効果的に抑制できる。
【0060】
(実施の形態3)
最初に本発明の実施の形態2の電子部品を実装したプリント回路基板の構成について説明する。
【0061】
図22を参照して、プリント回路基板10は、プリント配線板1と、電子部品11とを主に有している。電子部品11は2つ以上の電極端子12を有している。電極端子12は、互いに長さの異なる第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bを有している。第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bの双方は、同じ方向に突出するように設けられている。第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bは、棒状のリード端子であってもよい。電子部品11は、たとえばリレーである。
【0062】
プリント配線板1の基材2は主表面2aから主表面2aに対向する面2bに向かって貫通する貫通孔(スルーホール)21を有している。2つ以上の導電体3のうちの少なくとも1つである第1の導電体31の非接着部3bは、2つ以上の電極端子12のうちの少なくとも1つである第1の電極端子12aとはんだ接合されている。2つ以上の導電体3のうちの少なくとも1つである第2の導電体32は、貫通孔21の開口の周囲に設けられた部分32cを有している。第2の導電体32は、2つ以上の電極端子12のうちの少なくとも1つである第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bとはんだ接合されている。
【0063】
第2の導電体32は、貫通孔21の内周面に形成された貫通孔部32dを有している。貫通孔21の開口の周囲に設けらた部分32cと貫通孔部32dとでいわゆるスルーホール電極が形成されている。第2の電極端子12bは貫通孔部32dともはんだ接合されている。
【0064】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0065】
次に、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法について説明する。以下、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法の一例として、基材2がガラスエポキシ基材であり、導電体3が銅箔であり、電子部品11がリレーである場合について説明する。
【0066】
図23を参照して、上述のプリント配線板1と、電子部品11であるリレーとが準備される。図24を参照して、第1の導電体31の電極31a上に図示しないソルダペーストが供給された状態で、電子部品11であるリレーの第1の電極端子12aが電極31a上に位置するように配置され、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入される。
【0067】
図25を参照して、図示しないリフロー炉にて系全体が加熱されることによりソルダペーストが溶融され、電子部品11であるリレーの第1の電極端子12aと非接着部3bの電極31aとがソルダペーストが固化したはんだ4で接合される。
【0068】
その後、再び図22を参照して、基材2の主表面2aに対向する面2bを溶融したはんだに浸漬させるなどにより接触させることによって、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の導電体32の貫通孔21の開口の周囲に設けらた部分32cおよび貫通孔部32dと電子部品11であるリレーの第2の電極端子12bとがはんだ4で接合される。これにより、電子部品11であるリレーがプリント配線板1に実装される。このようにして、プリント回路基板10が製造される。
【0069】
上述では、第1の導電体31の電極31aと第1の電極端子12aとはソルダペーストをリフロー炉によって溶融させてはんだ付けされる場合について説明したが、はんだごてにより手作業ではんだ付けされてもよい。また、第2の導電体32の電極32aと第2の電極端子12bとは溶融はんだに接触させることによりはんだ付けされる場合について説明したが、はんだごてにより手作業ではんだ付けされてもよい。
【0070】
なお、本実施の形態のこれ以外の製造方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0071】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のプリント回路基板10によれば、第1の導電体31の非接着部3bは、第1の電極端子12aとはんだ接合されており、第2の導電体32は、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bとはんだ接合されている。プリント回路基板10に温度変化が与えられ、プリント配線板1と電子部品11との間に大きな熱膨張差が発生した場合、第2の電極端子12bと第2の導電体32の電極32aとははんだ4で強固に接続されているが、第1の電極端子12aとはんだ4で接続された非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0072】
また、第2の導電体32は第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bとはんだ接合されているいるため、スルーホールではんだ接合することにより、電極表面のみではんだ接合する場合と比較して高い接合強度が得やすくなる。そのため、電子部品11としてトランスなどの重量部品の実装に適している。
【0073】
また、本実施の形態のプリント回路基板10によれば、第2の電極端子12bが第2の導電体32の貫通孔部32dとはんだ接合されているため、さらに高強度の継ぎ手を得ることができる。そのため、電子部品11として、大型および重量部品の実装にさらに適している。
【0074】
また、貫通孔21の開口の周囲に設けられた部分32cと貫通孔部32dとではんだ接合されているため、外力が作用する場合、一定の方向に対する耐性が低くなることを抑制できる。つまり、クリープによるせん断破壊を抑制できる。
【0075】
また、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法によれば、第1の電極端子12aが第1の導電体31の非接着部3bにはんだ接合された後、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bと第2の導電体32がはんだ接合される。このため、第1の電極端子12aとはんだ4で接続された非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0076】
また、貫通孔21に第2の電極端子12bが挿入された場合、挿入性を確保するため、一般的に0.5mm程度のアソビが設けられる。仮に、第1の電極端子12aがはんだ接合される前に、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態ではんだ接合されると、第2の電極端子12bはアソビの寸法の分移動することが可能である。第2の電極端子12bがアソビの寸法の分移動することにより、第1の電極端子12aとはんだ接合される第1の導電体31の非接着部3bとの配置がずれることがある。
【0077】
本実施の形態のプリント回路基板の製造方法では、第1の電極端子12aがはんだ接合された後、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態ではんだ接合されるため、第1の電極端子12aと第1の導電体31の非接着部3bとの配置のずれを抑制することができる。
【0078】
また、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bと第2の導電体32がはんだ接合されるため、電極表面のみではんだ接合する場合と比較して高い接合強度が得やすくなる。そのため、電子部品11としてトランスなどの重量部品の実装に適している。
【0079】
また、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法によれば、第2の電極端子12bが貫通孔部32dにはんだ接合されているため、さらに高強度の継ぎ手を得ることができる。そのため、電子部品11として、大型および重量部品の実装にさらに適している。
【0080】
なお、上記では、電子部品11として、リレーを用いた場合について述べたが、スルーホールに接合され、基材2と線膨張係数が異なる部品であれば、本実施の形態と同様の効果が得られる。たとえば、電子部品11として、コネクタ、トランス、コイル、コンデンサなどを用いた場合にも同様の効果が得られる。
【0081】
上記の各実施の形態は適宜組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 プリント配線板、2 基材、2a 主表面、2b 主表面に対向する面、3 導電体、3a 接着部、3b 非接着部、3b1 曲線状の部分、3c 接着部分、4 はんだ、5 隙間、6 カップリング剤、7 エッチングレジスト、8 はんだ材、10 プリント回路基板、11 電子部品、12 電極端子、12a 第1の電極端子、12b 第2の電極端子、21 貫通孔、31 第1の導電体、31a 電極、31b 配線パターン、32 第2の導電体、32a 電極、32b 配線パターン、32c 貫通孔の開口の周囲に設けられた部分、32d 貫通孔部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板、プリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法に関し、特に、電子部品をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板、それを備えたプリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に電子部品を実装する方式としては、面実装方式と挿入実装方式とがある。面実装方式は、プリント配線板の表面に形成された電極と電子部品の電極とをはんだによって接合する方式である。挿入実装方式は、プリント配線板の貫通穴の壁面およびプリント配線板表面の当該貫通穴周囲に形成された電極(以下スルーホール電極と称する)に電子部品の電極を挿入し、はんだによって接合する方式である。プリント回路基板の製造方法として、面実装方式および挿入実装方式は一般に広く用いられている。
【0003】
上述のプリント配線板の表面に形成された電極は、プリント配線板の基材上に圧着された銅箔をエッチングによって所望の形状に成形することによって形成されている。そのため、プリント配線板の表面に形成された電極は、プリント配線板の基材上に強固に固定されている。たとえば、特開2005−51133号公報(特許文献1)には、プリント配線基板の表面に銅などからなるランド(電極)が形成されたプリント配線基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−51133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来のプリント配線板に電子部品を実装する方式では、プリント配線板、電子部品およびはんだからなる系に温度変化が与えられた場合、構成される部材ごとに熱膨張量が異なるため、各所に熱応力が生じ、この熱応力が不具合の原因となる場合がある。この不具合の具体的事例としては、系に温度変化が繰り返し与えられた場合、プリント配線板が電子部品よりも大きく膨張または収縮することよりはんだによる継ぎ手に繰り返し熱応力が生じて、はんだが疲労破壊するという問題がある。
【0006】
また、上記の従来のプリント配線板に電子部品を実装する方式では、プリント配線板上にはんだごてを用いて手作業によって電子部品をはんだ付けする場合、プリント配線板の電極と電子部品の電極との両方にはんだが接触するようにはんだ付けが行われる。この際、構成される部材ごとに熱膨張量が異なるため、プリント配線板はほとんど熱膨張しないのに対し、電子部品は熱膨張する。その後、はんだごてを離すと、プリント配線板、電子部品およびはんだの温度が低下し、プリント配線板、電子部品およびはんだはそれぞれの線膨張率に応じて収縮する。
【0007】
この際、はんだ付け作業の間、温度変化をほとんど生じないプリント配線板はほとんど収縮しない。そのため、電子部品ははんだによってプリント配線板に拘束された状態で収縮する。その結果、電子部品には熱応力(引張り応力)が発生する。この熱応力により電子部品の本体にき裂を生じるという問題がある。
【0008】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、熱応力によって発生する不具合を抑制できるプリント配線板、プリント回路基板およびプリント回路基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプリント配線板は、電子部品をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板であって、主表面を有する基材と、基材の主表面上に配置された2つ以上の導電体とを備えている。2つ以上の導電体のそれぞれは電子部品にはんだ付けにより接続されるためのものである。2つ以上の導電体の少なくとも1つが基材の主表面に接着された接着部、および主表面に接着されておらずかつ主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のプリント配線板によれば、2つ以上の導電体の少なくとも1つが基材の主表面に接着された接着部、および主表面に接着されておらずかつ主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を含んでいるため、非接着部が移動することによりはんだに生じる熱応力を抑制することができる。したがって、はんだによる継ぎ手に繰り返し熱応力が生じてはんだが疲労破壊することを抑制できるためはんだ接合の長期信頼性を向上できる。また、非接着部が移動することにより電子部品に生じる熱応力を抑制することができる。したがって、電子部品がはんだによってプリント配線板に拘束された状態で収縮することを抑制できるため、はんたごてによるはんだ付けの際の電子部品の損傷を抑制できる。よって、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の概略断面図であって、図2のI−I線に沿う概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の概略平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第1工程を示す概略断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第2工程を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第3工程を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1におけるプリント配線板の製造方法の変形例1の第4工程を示す概略断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1におけるプリント回路基板の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図13】比較例のプリント回路基板の概略断面図であって、図14のXIII−XIII線に沿う概略断面図である。
【図14】比較例のプリント回路基板の概略平面図である。
【図15】比較例のプリント回路基板のはんだごてによるはんだ付けの様子を示す概略断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における導電体の形状を示す概略平面図である。
【図17】本発明の実施の形態2における導電体の変形例1の形状を示す概略平面図である。
【図18】本発明の実施の形態2における導電体の変形例2の形状を示す概略平面図である。
【図19】本発明の実施の形態2における導電体の変形例3の形状を示す概略平面図である。
【図20】本発明の実施の形態2における導電体の変形例4の形状を示す概略平面図である。
【図21】本発明の実施の形態2におけるプリント回路基板の変形例の形状を示す概略断面図である。
【図22】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の概略断面図である。
【図23】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図24】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図25】本発明の実施の形態3におけるプリント回路基板の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に本発明の実施の形態1の電子部品を実装したプリント回路基板の構成について説明する。
【0013】
図1および図2を参照して、プリント回路基板10は、プリント配線板1と、電子部品11とを主に有している。プリント配線板1に電子部品11がはんだ4で接続されている。電子部品11をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板1は、基材2と、2つ以上の導電体3とを有している。基材2は、主表面2aと、主表面2aに対向する面2bとを有している。基材2は、樹脂を含む材質からなっている。基材2は、たとえばガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂(ガラスエポキシ基材)からなっている。ガラスエポキシ基材の線膨張係数は、たとえば17×10-6である。
【0014】
2つ以上の導電体3は、基材2の主表面2a上に配置されている。2つ以上の導電体3のそれぞれは、電子部品11にはんだ付けにより接続されるためのものである。2つ以上の導電体3は、少なくとも第1の導電体31と、第2の導電体32とを有している。第1の導電体31および第2の導電体32のそれぞれ、はんだ4により電子部品11に接続されている。導電体3は、たとえば基材2の表面に圧着された銅箔をエッチングすることにより形成されている。銅箔の線膨張係数は、ガラスエポキシ基材とほぼ同じになるよう設定され、たとえば17×10-6である。
【0015】
第1の導電体31は、電極31aと、電極31aに接続されている配線パターン31bとを有している。電極31aは第1の導電体31の一端に形成されている。第2の導電体32は、電極32aと、電極32aから接続されている配線パターン32bとを有している。電極32aは第2の導電体32の一端に形成されている。
【0016】
2つ以上の導電体3の少なくとも1つが接着部3aおよび非接着部3bとを有している。接着部3aは、基材2の主表面2aに接着されている。非接着部3bは、主表面2aに接着されておらず、かつ主表面2aに対して相対的に移動可能に構成されている。非接着部3bは、熱膨張および収縮による変形量が材料の弾性変形範囲内にとどまるような形状を有している。本実施の形態では、2つ以上の導電体3の少なくとも1つである第1の導電体31が接着部3aと、非接着部3bとを有している。
【0017】
第1の導電体31の配線パターン31bの一部が接着部3aに該当し、電極31aおよび配線パターン31bの一部が非接着部3bに該当する。なお、非接着部3bは、主表面2aに対して相対的に移動可能であればよく、主表面2aに接触していてもよい。つまり、非接着部3bは、基材2に接着または接合などにより固定されていなければよい。一方、第2の導電体32は基材2に接着されている。つまり、第2の導電体32は非接着部3bを有していない。
【0018】
また、非接着部3bは、主表面2aとの間に隙間5を空けて配置されていてもよい。つまり、非接着部3bは基材2から浮いていてもよい。非接着部3bが主表面2aとの間に隙間5を空けて配置されていることにより、非接着部3bは主表面2aに対して相対的に移動することが容易である。
【0019】
電子部品11は、プリント配線板1の表面に実装される部品である。電子部品11は、たとえばアルミナなどのセラミクスを材料とするセラミックコンデンサである。セラミックコンデンサは、その主な構成材料がアルミナであるため、線膨張係数は、たとえば7×10-6である。
【0020】
電子部品11は2つ以上の電極端子12を有している。本実施の形態では、電子部品11の両端に第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bがそれぞれ設けられている。電極端子12は、たとえば銀粒子を焼結した下地電極の表面にNi(ニッケル)めっき層とSn(錫)めっき層とを重ねて形成した電極である。
【0021】
電子部品11の2つ以上の電極端子12の各々が2つ以上の導電体3のそれぞれにはんだ接合されている。つまり、第1の電極端子12aが第1の導電体31の電極31aにはんだ4で接続されており、第2の電極端子12bが第2の導電体32の電極32aにはんだ4で接続されている。
【0022】
2つ以上の電極端子12の少なくとも1つが2つ以上の導電体3のうち少なくとも1つの導電体3の非接着部3bにはんだ接合されている。本実施の形態では、2つ以上の電極端子12の少なくとも1つである第1の電極端子12aが2つ以上の導電体3のうち少なくとも1つである第1の導電体31の非接着部3bにはんだ4で接続されている。
【0023】
はんだ4は、電子部品11をプリント配線板1に接続している。はんだ4は第1の導電体31の電極31aおよび第2の導電体32の電極32aのそれぞれを覆うように形成されている。はんだ4は、たとえば合成組成がSn−0.3Ag(銀)−0.5Cu(銅)の鉛フリーはんだである。
【0024】
次に、本実施の形態のプリント配線板の製造方法について説明する。以下、本実施の形態のプリント配線板の製造方法の一例として、基材2がガラスエポキシ基材であり、導電体3が銅箔である場合について説明する。
【0025】
図3を参照して、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが準備される。次に、図4を参照して、導電体(銅箔)3の接着面の接着部分3cが租化される。基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面の接着部分に樹脂と金属との間の接着性を高めるためのカップリング剤6が塗布される。カップリング剤6として、たとえばシランカップリング剤6が適用され得る。一方、図1に示す非接着部3bを形成する部分では、導電体(銅箔)3の接着面が租化されず、基材(ガラスエポキシ基材)2にシランカップリング剤6が塗布されない。
【0026】
図5を参照して、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが加圧されることにより圧着される。基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3との接着部分においては、導電体(銅箔)3の接着面の接着部分3cの租化と基材(ガラスエポキシ基材)の接着面の接着部分に塗布されたシランカップリング剤6とによって接着部分の接着強度が高められる。
【0027】
一方、非接着部3bを形成する部分においては、導電体(銅箔)3の接着面が租化されておらず、基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面の接着部分にシランカップリング剤6が塗布されていないため、基材(ガラスエポキシ樹脂)2と導電体(銅箔)3とが接着されない。非接着部3bを形成する部分においては、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3との間に隙間5が形成されていてもよい。図6を参照して、導電体(銅箔)3が所定の形状にエッチングされる。このようにして図1に示すプリント配線板1が製造される。
【0028】
続いて、本実施の形態のプリント配線板の製造方法の変形例1について説明する。
変形例1では、上述と同様に、図3に示すように、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが準備される。次に、図7を参照して、図1に示す非接着部3bを形成する部分では、基材(ガラスエポキシ基材)2にエッチングレジスト7が塗布される。エッチングレジスト7として、たとえばはんだが適用され得る。
【0029】
図8を参照して、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とがエッチングレジスト7を挟んで加圧されることにより圧着される。基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面でのエッチングレジスト7が配置された部分以外において、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3とが接着される。
【0030】
一方、基材(ガラスエポキシ基材)2の接着面でのエッチングレジスト7が配置された部分において、エッチングレジスト7が挿入されているため、基材(ガラスエポキシ樹脂)2と導電体(銅箔)3とが接着されない。図9を参照して、導電体(銅箔)3がエッチングされる。図10を参照して、エッチングにより導電体(銅箔)3にパターンが形成された後、エッチングレジスト7が除去される。これにより、非接着部3bを形成する部分においては、基材(ガラスエポキシ基材)2と導電体(銅箔)3との間に隙間5が形成される。このようにして、図1に示すプリント配線板1が製造される。
【0031】
続いて、本実施の形態のプリント配線板の製造方法の変形例2について説明する。
変形例2では、一般的な製造方法によってプリント配線板1を製造した後、図1に示す非接着部3bを形成する部分に高温のはんだごてを接触させる。これにより、図1に示す基材2から非接着部3bを剥離させる。はんだごての温度は、非接着部3bを剥離させ、その他の部分を損傷しない温度であることが必要であり、たとえば380℃に設定される。はんだごての温度は、温度が高いほど簡単に非接着部3bを剥離できるため、非接着部3bを剥離させ、その他の部分を損傷しない温度の範囲において、400℃以上がより好ましい。このようにして、図1に示すプリント配線板1が製造される。
【0032】
次に、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法について説明する。以下、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法の一例として、電子部品11がセラミックコンデンサである場合について説明する。
【0033】
図11を参照して、上述のように製造されたプリント配線板1と、電子部品11であるセラミックコンデンサとが準備される。図12を参照して、第1の導電体31の電極31aに電子部品11であるセラミックコンデンサの第1の電極端子12aがはんだ接合される。第1の電極端子12aが第1の導電体31の非接着部3bにはんだ接合される。再び図1を参照して、第2の導電体32の電極32aに電子部品11であるセラミックコンデンサの第2の電極端子12bがはんだ接合される。これにより、電子部品11であるセラミックコンデンサがプリント配線板1に実装される。このようにして、プリント回路基板10が製造される。
【0034】
第1の導電体31の電極31aと第1の電極端子12a、および第2の導電体32の電極32aと第2の電極端子12bとは、はんだごてにより手作業ではんだ付けされてもよく、またソルダペーストを用いてリフローはんだ付けされてもよい。
【0035】
上述では、第1の導電体31がはんだ接合された後、第2の導電体32がはんだ接合される場合について説明したが、第2の導電体32がはんだ接合された後、第1の導電体31がはんだ接合されてもよい。
【0036】
次に、本実施の形態の作用効果について比較例と比較して説明する。
図13および図14を参照して、比較例のプリント回路基板10では、第1の導電体31が非接着部3bを有していない。比較例のプリント回路基板10のその他の構造については本実施の形態のプリント回路基板10と同様である。
【0037】
プリント配線板1の基材2はガラスエポキシ基材であり、導電体3は銅箔である。ガラスエポキシ基材および銅箔の線膨張係数はほぼ同じになるように設定され、たとえば17×10-6である。プリント配線板1にはんだ4によって実装されている電子部品11は、セラミックコンデンサである。セラミックコンデンサの線膨張係数はたとえば7×10-6である。
【0038】
そのため、系に温度変化が繰り返し与えられた場合、プリント配線板1の基材2であるガラスエポキシ基材と導電体3である銅箔とが電子部品11であるセラミックコンデンサよりも大きく膨張または収縮する。このため、はんだ4による継ぎ手に繰り返し熱応力が生じて、はんだ4が疲労破壊することがある。はんだ4の疲労破壊はセラミックコンデンサの寸法が絶対的に大きい場合に顕著になり、特に、セラミックコンデンサの全長が5mmより大きい場合にはんだ4の疲労破壊が発生することが多い。
【0039】
次に、比較例の別の問題について説明する。図15を参照して、比較例のはんだ付けでは、はんだごて9を用いて手作業によって、プリント配線板1に電子部品11を実装する。はんだ材8は、糸状に形成されており、たとえば、芯にペースト状のロジン系フラックスを含有した糸はんだである。はんだ材8の合金組成はたとえばSn−3.0Ag−0.5Cuである。はんだごて9は、糸はんだ8を加熱および溶融させるためのものであり、たとえば、その先端部にはCu合金の表面にFe(鉄)めっきが施されている。
【0040】
プリント配線板1に電子部品11であるセラミックコンデンサをはんだ付けする場合、セラミックコンデンサの電極端子12がプリント配線板1の第1の導電体31の電極31aおよび第2の導電体32の電極32a上に位置するよう配置される。その状態で、糸はんだ8が電極32aとセラミックコンデンサの第2の電極端子12bとの両方に接触するよう配置される。はんだごて9のこて先がプリント配線板1の電極32aと糸はんだ8とに接触されて、糸はんだ8が溶融される。
【0041】
糸はんだ8を構成する合金は、Sn−3.0Ag−0.5Cuであり、その融点は217〜219℃であるため、219℃を超える温度になれば糸はんだ8は溶融・流動する。しかし、プリント配線板1の電極31a,32aとセラミックコンデンサの第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bとがはんだ接合されるためには、糸はんだ8のみが溶融する温度に上昇するだけでは不十分であり、電極31a,32aと第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bとも糸はんだ8の融点である219℃以上の温度に達する必要がある。
【0042】
糸はんだ8、電極31a,32a、第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bの全てをはんだごて9で加熱し、数秒間ではんだ付けを完了するため、一般的にはんだごて9の温度は糸はんだ8の融点よりも高い300〜400℃程度の温度に設定され、たとえば380℃に設定される。この際、プリント配線板1上の電極31a,32aの温度は比較的早期に上昇するが、プリント配線板1の基材2は熱伝導性の低いガラスエポキシ樹脂で構成されているため、基材2の温度は簡単には上昇しない。
【0043】
一方、電子部品11であるセラミックコンデンサを構成するアルミナはガラスエポキシ樹脂に比較して熱伝導率が高いため、電極端子12の温度の上昇に伴い、セラミックコンデンサの本体も温度上昇する。その結果、プリント配線板1はほとんど熱膨張しないのに対し、セラミックコンデンサは、それの温度上昇分だけ熱膨張した状態のまま、はんだ付けされる。
【0044】
再び図13を参照して、その後、はんだごて9が電極31a,32aから離されると、電極31a,32a、電極端子12、はんだ4、セラミックコンデンサの温度が低下し、それぞれの線膨張率に応じて収縮する。この際、はんだ付け作業の間、温度変化をほとんど生じなかったプリント配線板1は、ほとんど収縮しないため、セラミックコンデンサははんだ4によって拘束され、セラミックコンデンサ自体の収縮によって熱応力(引張り応力)が発生し、セラミックコンデンサの本体にき裂を生じることがある。
【0045】
それに対して、本実施の形態のプリント配線板1によれば、2つ以上の導電体3の少なくとも1つである第1の導電体31が基材2の主表面2aに接着された接着部3a、および主表面2aに接着されておらずかつ主表面2aに対して相対的に移動可能な非接着部3bを含んでいるため、非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。したがって、はんだ4による継ぎ手に繰り返し熱応力が生じてはんだ4が疲労破壊することを抑制できるためはんだ接合の長期信頼性を向上できる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。したがって、電子部品11がはんだ4によってプリント配線板1に拘束された状態で収縮することを抑制できるため、はんたごてによるはんだ付けの際の電子部品11の損傷を抑制できる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0046】
また、本実施の形態のプリント配線板1によれば、非接着部3bは、主表面2aとの間に隙間5を空けて配置されていてもよい。これにより、非接着部3bは、主表面2aに対する相対的な移動を容易にすることができる。
【0047】
また、本実施の形態のプリント回路基板10によれば、上記のプリント配線板1を備えており、電子部品11の2つ以上の電極端子12の各々が2つ以上の導電体3のそれぞれにはんだ接合されており、2つ以上の電極端子12の少なくとも1つが2つ以上の導電体3のうち少なくとも1つの導電体3の非接着部3bにはんだ接合されている。
【0048】
そのため、基材2および導電体3と電子部品11との線膨張係数が異なる場合でも、非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、はんだ付け作業の後、プリント配線板1が電子部品11に比べてほとんど収縮しない場合でも非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0049】
本実施の形態のプリント回路基板の製造方法によれば、電子部品11の2つ以上の電極端子12の各々が2つ以上の導電体3のそれぞれにはんだ接合され、2つ以上の電極端子12の少なくとも1つである第1の電極端子12aが2つ以上の導電体3のうちの少なくとも1つである第1の導電体31の非接着部3bにはんだ接合される。このため、第1の電極端子12aとはんだ4で接続された非接着部3bが移動することにより第1の電極端子12aと第1の導電体31とを接合するはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0050】
なお、上記では、電子部品11として、セラミックコンデンサを用いた場合について述べたが、プリント配線板1の基材2より熱膨張率が小さい電子部品11であれば本実施の形態と同様の効果が得られる。また、電子部品11の電極端子12が構造上変形し難い形状である場合には、効果が顕著である。たとえば、電子部品11として、セラミックレジスタなど他の角チップ部品、メルフ抵抗などを用いた場合にも同様の効果が得られる。さらに、セラミック基材の外周部にキャスタレーションと呼ばれる半月状の電極を持つ水晶発振子、鉄系合金の電極リードを持つプラスティックパッケージIC部品などを用いた場合にも同様の効果が得られる。
【0051】
また、電子部品11がリードレス部品の場合には熱応力をリードに逃がすことができないため、電子部品11としてリードレス部品を用いた場合には本実施の形態と同様の効果が得られる。また、電子部品11がセラミックインダクタなどのように熱膨張率の小さいものである場合には、効果が顕著である。
【0052】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2では、実施の形態1と比較して導電体の形状が異なっている。なお、本実施の形態のこれ以外の構成および製造方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図16〜図20を参照して、実施の形態1における第1の導電体31を例に説明する。図16〜図20では、図1に示す基材2と導電体3とが積層された方向から見た第1の導電体31の形状が示されている。
【0054】
図16を参照して、本実施の形態の第1の導電体31では、非接着部3bは曲線状の部分3b1を有している。つまり、非接着部3bの配線パターン31bの形状がS字形に形成されている。このため、曲線状の部分3b1によって図1に示す電子部品11の長手方向に対する非接着部3bの配線パターン31bの剛性が直線状の場合に比べて低下する。そのため、プリント配線板1と電子部品11との間に熱膨張の不整合が生じた場合でも、配線パターン31bが容易に変形することができる。これにより、電子部品11およびはんだ4に熱応力が発生することを抑制できる。
【0055】
上述では、非接着部3bの配線パターン31bがS字形状に形成された場合について述べたが、非接着部3bの配線パターン31bの形状はこの形状に限られない。非接着部3bの剛性が低下する形状であれば上述と同様の効果が得られる。以下、非接着部3bの配線パターン31bの形状が異なる導電体3の変形例について説明する。
【0056】
まず、本実施の形態の導電体3の変形例1について説明する。図17を参照して、変形例1では、非接着部3bの配線パターン31bの形状がU字形に形成されている。続いて、図18を参照して、変形例2では、非接着部3bの配線パターン31bの形状が横S字形に形成されている。続いて、図19を参照して、変形例3では、非接着部3bの配線パターン31bの形状がC字形に形成されている。続いて、図20を参照して、変形例4では、非接着部3bの配線パターン31bの形状がO字形に形成されている。
【0057】
非接着部3bの配線パターン31bの引き回しの距離が長くなるほど剛性を低減できる。しかし、非接着部3bの配線パターン31bの引き回しの距離が長くなるほどプリント配線板1上での導電体3の占有面積が大きくなり実装密度を低下させることになる。したがって、電極31aでのはんだ4に作用する熱応力の大小によって非接着部3bの配線パターン31bの形状を選定すればよい。たとえば、熱ひずみがそれほど大きくない場合は、非接着部3bの配線パターン31bとして図17に示す変形例3のU字形が適当であるが、熱ひずみが大きい場合は、図16に示す引き回しが長いS字形などが適当である。
【0058】
上述では、図1に示す基材2と導電体3とが積層された方向から見て非接着部3bの配線パターン31bが曲線状の部分3b1を有している場合について説明したが、基材2と導電体3とが積層する方向(基材2の厚み方向)に非接着部3bの配線パターン31bが曲線状の部分3b1を有していてもよい。図21を参照して、非接着部3bの配線パターン31bは、その立ち上がり部において、曲線状の部分3b1を有している。なお、曲線状の部分3b1の位置はこれに限定されず、非接着部3bの配線パターン31bの剛性が低下されない位置であればよい。したがって、非接着部3bの配線パターン31bにおいて、はんだ4で接続される位置以外の位置が好ましい。
【0059】
本実施の形態によれば、非接着部3bは曲線状の部分3b1を有しているため、曲線状の部分3b1により非接着部3bの剛性が低下する。そのため、プリント配線板1と電子部品11との間に熱膨張の不整合が生じた場合でも、非接着部3bが容易に変形することができる。これにより、電子部品11およびはんだ4に熱応力が発生することをさらに効果的に抑制できる。
【0060】
(実施の形態3)
最初に本発明の実施の形態2の電子部品を実装したプリント回路基板の構成について説明する。
【0061】
図22を参照して、プリント回路基板10は、プリント配線板1と、電子部品11とを主に有している。電子部品11は2つ以上の電極端子12を有している。電極端子12は、互いに長さの異なる第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bを有している。第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bの双方は、同じ方向に突出するように設けられている。第1の電極端子12aおよび第2の電極端子12bは、棒状のリード端子であってもよい。電子部品11は、たとえばリレーである。
【0062】
プリント配線板1の基材2は主表面2aから主表面2aに対向する面2bに向かって貫通する貫通孔(スルーホール)21を有している。2つ以上の導電体3のうちの少なくとも1つである第1の導電体31の非接着部3bは、2つ以上の電極端子12のうちの少なくとも1つである第1の電極端子12aとはんだ接合されている。2つ以上の導電体3のうちの少なくとも1つである第2の導電体32は、貫通孔21の開口の周囲に設けられた部分32cを有している。第2の導電体32は、2つ以上の電極端子12のうちの少なくとも1つである第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bとはんだ接合されている。
【0063】
第2の導電体32は、貫通孔21の内周面に形成された貫通孔部32dを有している。貫通孔21の開口の周囲に設けらた部分32cと貫通孔部32dとでいわゆるスルーホール電極が形成されている。第2の電極端子12bは貫通孔部32dともはんだ接合されている。
【0064】
なお、本実施の形態のこれ以外の構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0065】
次に、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法について説明する。以下、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法の一例として、基材2がガラスエポキシ基材であり、導電体3が銅箔であり、電子部品11がリレーである場合について説明する。
【0066】
図23を参照して、上述のプリント配線板1と、電子部品11であるリレーとが準備される。図24を参照して、第1の導電体31の電極31a上に図示しないソルダペーストが供給された状態で、電子部品11であるリレーの第1の電極端子12aが電極31a上に位置するように配置され、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入される。
【0067】
図25を参照して、図示しないリフロー炉にて系全体が加熱されることによりソルダペーストが溶融され、電子部品11であるリレーの第1の電極端子12aと非接着部3bの電極31aとがソルダペーストが固化したはんだ4で接合される。
【0068】
その後、再び図22を参照して、基材2の主表面2aに対向する面2bを溶融したはんだに浸漬させるなどにより接触させることによって、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の導電体32の貫通孔21の開口の周囲に設けらた部分32cおよび貫通孔部32dと電子部品11であるリレーの第2の電極端子12bとがはんだ4で接合される。これにより、電子部品11であるリレーがプリント配線板1に実装される。このようにして、プリント回路基板10が製造される。
【0069】
上述では、第1の導電体31の電極31aと第1の電極端子12aとはソルダペーストをリフロー炉によって溶融させてはんだ付けされる場合について説明したが、はんだごてにより手作業ではんだ付けされてもよい。また、第2の導電体32の電極32aと第2の電極端子12bとは溶融はんだに接触させることによりはんだ付けされる場合について説明したが、はんだごてにより手作業ではんだ付けされてもよい。
【0070】
なお、本実施の形態のこれ以外の製造方法は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0071】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態のプリント回路基板10によれば、第1の導電体31の非接着部3bは、第1の電極端子12aとはんだ接合されており、第2の導電体32は、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bとはんだ接合されている。プリント回路基板10に温度変化が与えられ、プリント配線板1と電子部品11との間に大きな熱膨張差が発生した場合、第2の電極端子12bと第2の導電体32の電極32aとははんだ4で強固に接続されているが、第1の電極端子12aとはんだ4で接続された非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0072】
また、第2の導電体32は第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bとはんだ接合されているいるため、スルーホールではんだ接合することにより、電極表面のみではんだ接合する場合と比較して高い接合強度が得やすくなる。そのため、電子部品11としてトランスなどの重量部品の実装に適している。
【0073】
また、本実施の形態のプリント回路基板10によれば、第2の電極端子12bが第2の導電体32の貫通孔部32dとはんだ接合されているため、さらに高強度の継ぎ手を得ることができる。そのため、電子部品11として、大型および重量部品の実装にさらに適している。
【0074】
また、貫通孔21の開口の周囲に設けられた部分32cと貫通孔部32dとではんだ接合されているため、外力が作用する場合、一定の方向に対する耐性が低くなることを抑制できる。つまり、クリープによるせん断破壊を抑制できる。
【0075】
また、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法によれば、第1の電極端子12aが第1の導電体31の非接着部3bにはんだ接合された後、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bと第2の導電体32がはんだ接合される。このため、第1の電極端子12aとはんだ4で接続された非接着部3bが移動することによりはんだ4に生じる熱応力を抑制することができる。また、非接着部3bが移動することにより電子部品11に生じる熱応力を抑制することができる。これにより、熱応力によって発生する不具合を抑制することができる。
【0076】
また、貫通孔21に第2の電極端子12bが挿入された場合、挿入性を確保するため、一般的に0.5mm程度のアソビが設けられる。仮に、第1の電極端子12aがはんだ接合される前に、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態ではんだ接合されると、第2の電極端子12bはアソビの寸法の分移動することが可能である。第2の電極端子12bがアソビの寸法の分移動することにより、第1の電極端子12aとはんだ接合される第1の導電体31の非接着部3bとの配置がずれることがある。
【0077】
本実施の形態のプリント回路基板の製造方法では、第1の電極端子12aがはんだ接合された後、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態ではんだ接合されるため、第1の電極端子12aと第1の導電体31の非接着部3bとの配置のずれを抑制することができる。
【0078】
また、第2の電極端子12bが貫通孔21に挿入された状態で第2の電極端子12bと第2の導電体32がはんだ接合されるため、電極表面のみではんだ接合する場合と比較して高い接合強度が得やすくなる。そのため、電子部品11としてトランスなどの重量部品の実装に適している。
【0079】
また、本実施の形態のプリント回路基板の製造方法によれば、第2の電極端子12bが貫通孔部32dにはんだ接合されているため、さらに高強度の継ぎ手を得ることができる。そのため、電子部品11として、大型および重量部品の実装にさらに適している。
【0080】
なお、上記では、電子部品11として、リレーを用いた場合について述べたが、スルーホールに接合され、基材2と線膨張係数が異なる部品であれば、本実施の形態と同様の効果が得られる。たとえば、電子部品11として、コネクタ、トランス、コイル、コンデンサなどを用いた場合にも同様の効果が得られる。
【0081】
上記の各実施の形態は適宜組み合わせることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1 プリント配線板、2 基材、2a 主表面、2b 主表面に対向する面、3 導電体、3a 接着部、3b 非接着部、3b1 曲線状の部分、3c 接着部分、4 はんだ、5 隙間、6 カップリング剤、7 エッチングレジスト、8 はんだ材、10 プリント回路基板、11 電子部品、12 電極端子、12a 第1の電極端子、12b 第2の電極端子、21 貫通孔、31 第1の導電体、31a 電極、31b 配線パターン、32 第2の導電体、32a 電極、32b 配線パターン、32c 貫通孔の開口の周囲に設けられた部分、32d 貫通孔部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板であって、
主表面を有する基材と、
前記基材の前記主表面上に配置された2つ以上の導電体とを備え、
前記2つ以上の導電体のそれぞれは前記電子部品にはんだ付けにより接続されるためのものであり、
前記2つ以上の導電体の少なくとも1つが前記基材の前記主表面に接着された接着部、および前記主表面に接着されておらずかつ前記主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を含む、プリント配線板。
【請求項2】
前記非接着部は、前記主表面との間に隙間を空けて配置されている、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記非接着部は、曲線状の部分を有している、請求項1または2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプリント配線板と、
2つ以上の電極端子を有する前記電子部品とを備え、
前記電子部品の前記2つ以上の電極端子の各々が前記2つ以上の導電体のそれぞれにはんだ接合されており、前記2つ以上の電極端子の少なくとも1つが前記2つ以上の導電体のうち少なくとも1つの前記導電体の前記非接着部にはんだ接合されている、プリント回路基板。
【請求項5】
前記基材は前記主表面から前記主表面に対向する面に向かって貫通する貫通孔を含み、
前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第1の導電体の前記非接着部は、前記2つ以上の電極端子のうちの少なくとも1つである第1の電極端子とはんだ接合されており、
前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第2の導電体は、前記貫通孔の開口の周囲に設けられた部分を含み、かつ前記2つ以上の電極端子のうちの少なくとも1つである第2の電極端子が前記貫通孔に挿入された状態で前記第2の電極端子とはんだ接合されている、請求項4に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記第2の導電体は、前記貫通孔の内周面に形成された貫通孔部を含み、
前記第2の電極端子が前記貫通孔部とはんだ接合されている、請求項5に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
電子部品が搭載されたプリント回路基板の製造方法であって、
2つ以上の電極端子を有する電子部品を準備する工程と、
基材の主表面上に配置された2つ以上の導電体を有する基板を準備する工程とを備え、
前記2つ以上の導電体の少なくとも1つが前記基材の前記主表面に接着された接着部、および前記主表面に接着されておらずかつ前記主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を有し、さらに
前記電子部品の前記2つ以上の電極端子の各々が前記2つ以上の導電体のそれぞれにはんだ接合される工程とを備え、
前記はんだ接合される工程は、前記2つ以上の電極端子の少なくとも1つである第1の電極端子が前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第1の導電体の前記非接着部にはんだ接合される工程を含む、プリント回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第2の導電体は、前記基材の前記主表面から前記主表面と対向する面に向かって貫通する貫通孔の開口の周囲に設けられた部分を含み、
前記はんだ接合される工程は、
前記第1の電極端子が前記第1の導電体の前記非接着部にはんだ接合された後、前記2つ以上の電極端子のうちの少なくとも1つである第2の電極端子が前記貫通孔に挿入された状態で前記第2の電極端子と前記第2の導電体とがはんだ接合される工程を含む、請求項7に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2の導電体は前記貫通孔の内周面に形成された貫通孔部を含み、
前記第2導電体がはんだ接合される工程は、
前記第2の電極端子が前記貫通孔部にはんだ接合される工程を含む、請求項8に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項1】
電子部品をはんだ付けにより搭載するためのプリント配線板であって、
主表面を有する基材と、
前記基材の前記主表面上に配置された2つ以上の導電体とを備え、
前記2つ以上の導電体のそれぞれは前記電子部品にはんだ付けにより接続されるためのものであり、
前記2つ以上の導電体の少なくとも1つが前記基材の前記主表面に接着された接着部、および前記主表面に接着されておらずかつ前記主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を含む、プリント配線板。
【請求項2】
前記非接着部は、前記主表面との間に隙間を空けて配置されている、請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記非接着部は、曲線状の部分を有している、請求項1または2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のプリント配線板と、
2つ以上の電極端子を有する前記電子部品とを備え、
前記電子部品の前記2つ以上の電極端子の各々が前記2つ以上の導電体のそれぞれにはんだ接合されており、前記2つ以上の電極端子の少なくとも1つが前記2つ以上の導電体のうち少なくとも1つの前記導電体の前記非接着部にはんだ接合されている、プリント回路基板。
【請求項5】
前記基材は前記主表面から前記主表面に対向する面に向かって貫通する貫通孔を含み、
前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第1の導電体の前記非接着部は、前記2つ以上の電極端子のうちの少なくとも1つである第1の電極端子とはんだ接合されており、
前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第2の導電体は、前記貫通孔の開口の周囲に設けられた部分を含み、かつ前記2つ以上の電極端子のうちの少なくとも1つである第2の電極端子が前記貫通孔に挿入された状態で前記第2の電極端子とはんだ接合されている、請求項4に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記第2の導電体は、前記貫通孔の内周面に形成された貫通孔部を含み、
前記第2の電極端子が前記貫通孔部とはんだ接合されている、請求項5に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
電子部品が搭載されたプリント回路基板の製造方法であって、
2つ以上の電極端子を有する電子部品を準備する工程と、
基材の主表面上に配置された2つ以上の導電体を有する基板を準備する工程とを備え、
前記2つ以上の導電体の少なくとも1つが前記基材の前記主表面に接着された接着部、および前記主表面に接着されておらずかつ前記主表面に対して相対的に移動可能な非接着部を有し、さらに
前記電子部品の前記2つ以上の電極端子の各々が前記2つ以上の導電体のそれぞれにはんだ接合される工程とを備え、
前記はんだ接合される工程は、前記2つ以上の電極端子の少なくとも1つである第1の電極端子が前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第1の導電体の前記非接着部にはんだ接合される工程を含む、プリント回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記2つ以上の導電体のうちの少なくとも1つである第2の導電体は、前記基材の前記主表面から前記主表面と対向する面に向かって貫通する貫通孔の開口の周囲に設けられた部分を含み、
前記はんだ接合される工程は、
前記第1の電極端子が前記第1の導電体の前記非接着部にはんだ接合された後、前記2つ以上の電極端子のうちの少なくとも1つである第2の電極端子が前記貫通孔に挿入された状態で前記第2の電極端子と前記第2の導電体とがはんだ接合される工程を含む、請求項7に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2の導電体は前記貫通孔の内周面に形成された貫通孔部を含み、
前記第2導電体がはんだ接合される工程は、
前記第2の電極端子が前記貫通孔部にはんだ接合される工程を含む、請求項8に記載のプリント回路基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−124408(P2012−124408A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275617(P2010−275617)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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